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本製品のご使⽤前に本マニュアルをご参照ください。 マニュアル Ver. 3.6 研究⽤ OriCiro ® Cell-Free Cloning System OriCiro ® Cell-Free Cloning System は多断⽚ DNA の同時連結法 (OriCiro ® Assembly Kit)と⻑鎖環状 DNA の増幅法(OriCiro ® Amp Kit) を組み合わせた世界初の無細胞⻑鎖環状 DNA 構築ツールで す。この新技術は従来の実験ワークフローを劇的に効率化し、かつ 遺伝⼦⼯学の応⽤技術領域を⼤きく拡げます。 OriCiro Assembly Kit は酵素反応により、複数の DNA 断⽚を末端相 同配列を介してシームレスに連結し、50 断⽚以上からなる多断⽚ の同時連結を可能にします。OriCiro Amp Kit は oriC 配列(0.3 kb) を含む環状 DNA(最⼤ 50 kb)の指数関数的な増幅を可能とします。 OriCiro Assembly Kit と付属の oriC Cassette(あるいはその PCR 産 物)を⽤いて oriC を含む環状連結産物を調製します。続いて連結反 応液を直接 OriCiro Amp Kit で反応させると、連結環状化した DNA 分⼦のみが選択的に増幅され、 10 μl 反応あたり 200 ng ‒ 1 μg のスーパーコイル型 DNA の増幅産物が得られます。 OriCiro Cell-Free Cloning System は⼤腸菌を⽤いずにプラスミド DNA の効率的かつ迅速な構築を可能にし、作業時間と労⼒を削減 します。また、従来法では困難だった細胞毒性や GC リッチを含む 配列の構築も可能です。増幅した環状 DNA サンプルは様々な⽤途 に直接ご使⽤いただけます。

OriCiro Cell-Free Cloning System...OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A 7 OriCiro Genomics, Inc. V. ご注意事項 本製品のご使 に際する注意事項を下記に記載しております。最適

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  • 本製品のご使⽤前に本マニュアルをご参照ください。 マニュアル Ver. 3.6

    研究⽤

    OriCiro® Cell-Free Cloning System

    OriCiro® Cell-Free Cloning System は多断⽚ DNA の同時連結法 (OriCiro® Assembly Kit) と⻑鎖環状 DNA の増幅法 (OriCiro® Amp Kit) を組み合わせた世界初の無細胞⻑鎖環状 DNA 構築ツールです。この新技術は従来の実験ワークフローを劇的に効率化し、かつ遺伝⼦⼯学の応⽤技術領域を⼤きく拡げます。

    OriCiro Assembly Kit は酵素反応により、複数の DNA 断⽚を末端相同配列を介してシームレスに連結し、50 断⽚以上からなる多断⽚の同時連結を可能にします。OriCiro Amp Kit は oriC 配列(0.3 kb)を含む環状 DNA(最⼤ 50 kb)の指数関数的な増幅を可能とします。OriCiro Assembly Kit と付属の oriC Cassette(あるいはその PCR 産物)を⽤いて oriC を含む環状連結産物を調製します。続いて連結反応液を直接 OriCiro Amp Kit で反応させると、連結環状化した DNA分⼦のみが選択的に増幅され、 10 μl 反応あたり 200 ng ‒ 1 μgのスーパーコイル型 DNA の増幅産物が得られます。 OriCiro Cell-Free Cloning System は⼤腸菌を⽤いずにプラスミドDNA の効率的かつ迅速な構築を可能にし、作業時間と労⼒を削減します。また、従来法では困難だった細胞毒性や GC リッチを含む配列の構築も可能です。増幅した環状 DNA サンプルは様々な⽤途に直接ご使⽤いただけます。

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    2 OriCiro Genomics, Inc.

    Note

    I. 製品内容

    a. OriCiro Assembly Kit (5 反応分) (1) 2X RA Mix 12.5 μl (2) oriC Cassette (50 pg/μl)*1 5 μl (3) Control Fragment (1 ng/μl) 5 μl

    b. OriCiro Amp Kit (10 反応分) (4) 10X RE Mix 10 μl (5) 5X Buffer I 20 μl X 2 vials (6) 5X Buffer II 20 μl X 2 vials

    *1 : oriC Cassette は oriC 配列 (E. coli chromosomal origin) を含む 378 bp の DNA 断⽚であり、両末端には Control Fragmentに対する 40 bp の相同配列を有します (図 1.)。配列情報は VII. 補⾜情報をご参照ください。

    図 1. oriC Cassette と Control Fragment の模式図

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    3 OriCiro Genomics, Inc.

    II. 調製・準備が必要なもの

    a. 試薬 - Nuclease-Free Water - ⽬的 DNA 断⽚と断⽚連結⽤ oriC Cassette

    b. 機器・消耗品 - ボルテックスミキサー - 卓上遠⼼機 - ヒートブロック - サーマルサイクラー (または エアーインキュベーター) - 0.2 ml マイクロチューブ (PCR チューブ) - ピペット (P-2, P-10) とフィルターチップ

    III. 保存条件 -70℃ 以下で保存してください。 10X RE Mix は融解後に再凍結する際は液体窒素やドライアイスエタノールで瞬間凍結してから -70℃ 以下で保存してください。

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    4 OriCiro Genomics, Inc.

    IV. 原理

    a. 連結反応 OriCiro Assembly Kit は相同配列を介して複数の DNA 断⽚を設計通りに連結するためのキットです。まず、DNA 断⽚はエキソヌクレアーゼによって消化され、⼀本鎖相同配列が露出します。この相同配列が⼀致する DNA 断⽚同⼠が、酵素によってアニールされます (図 2.)。

    図 2. 連結反応

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    5 OriCiro Genomics, Inc.

    原理

    b. 増幅反応 OriCiro Amp Kit には⼤腸菌の染⾊体複製に必須な 26 種類の酵素が含まれています。複製サイクルは⾃律的に繰り返し、oriC を含む環状 DNA の指数増幅を達成します (図 3, 4, 5.)。増幅反応の詳細につきましては下記の⽂献をご参照ください。 https://academic.oup.com/nar/article/45/20/11525/4209619

    図 3. 試験管内染⾊体複製サイクル

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    6 OriCiro Genomics, Inc.

    図 4. 増幅反応

    図 5. 効率的な環状 DNA の調製

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    7 OriCiro Genomics, Inc.

    V. ご注意事項

    本製品のご使⽤に際する注意事項を下記に記載しております。最適な結果を得るために、実験の前にご参照ください。

    a. ⼀般的なご注意事項 - 全ての試薬チューブはご使⽤前に穏やかにスピンダウンして

    ください。 - 酵素試薬は粘性が⾼いためピペットで穏やかに攪拌してくだ

    さい。 - サンプル間のコンタミを避けるために試薬分注の際は、常に新

    しい使い捨てピペットチップをご使⽤ください。 - より良い結果を得るために、インキュベーション開始前にサーマルサイクラーをご希望の温度に温めておいてください。また蓋の温度はブロックの温度より 7℃⾼く設定してください。蓋の温度が⾼すぎると酵素反応が阻害される可能性があります。

    b. 連結反応

    - 連結反応後は必ず本製品の増幅反応を⾏うことを推奨します。 - 本製品で連結可能な DNA 断⽚のサイズは 200 bp ‒ 50 kb で

    す。

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    8 OriCiro Genomics, Inc.

    ご注意事項

    c. 増幅反応 - 10X RE Mix は氷上で溶かしてください。 - 増幅する鋳型 DNA は環状であり、⼤腸菌の oriC 配列が含ま

    れている必要があります。 - 増幅可能な環状 DNA の最⼩サイズは約 2 kb であり、最⼤サ

    イズは 50 kb です。50 kb 以上の環状 DNA の増幅をご希望の際は異な る プ ロトコ ー ル が必要に な り ま す の で 、[email protected] までお問い合わせください。

    - OriCiro Amp の反応産物は、収量を増やすためにさらに増幅反応を繰り返すこと (継代増幅) が可能です。

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    9 OriCiro Genomics, Inc.

    VI. プロトコール

    a. 連結反応 反応

    (1) ヒートブロックを 42℃に設定する。

    (2) 2X RA Mix を氷上で溶かし、ボルテックスミキサーで 30 秒間、最⼤スピードでよく攪拌し、卓上遠⼼機でスピンダウンする。

    (3) 下記の反応液を氷上で調製する*1。DNA fragments は TE buffer や Tris-HCl、Nuclease-Free Water に溶解しているものが使⽤可能。 < 1 反応分> 試薬 量 Nuclease-Free Water 2.5 - X μl DNA Fragments*2 X μl 2X RA Mix 2.5 μl 合計 5 μl

    < 1 反応分、Control Fragment ⽤> 試薬 量 Nuclease-Free Water 0.5 μl oriC Cassette 1 μl Control Fragment 1 μl 2X RA Mix 2.5 μl 合計 5 μl

    反応液は泡⽴たないようにピペッティングにより撹拌する。

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    10 OriCiro Genomics, Inc.

    Note

    プロトコール

    (4) 反応液をヒートブロックで 42℃*3、30 分インキュベートし、氷上に静置する。

    (オプション) サーマルサイクラーを 65℃ に設定し、蓋を 72℃ に 設定する。 反応液を 65℃ で 2 分間インキュベートし、氷上に静置する*4。注) サーマルサイクラーの温度を 42℃ から 65℃ に徐々に上げるのは避けてください。

    (5) 連結産物は 4℃ で数⽇間保存可能です。⻑期保存の際は終濃度 20 mM EDTA を連結産物に添加し、-20℃ で保管してください。OriCiro Amp Kit による増幅反応は終濃度 2 mM EDTA までは影響がありません。

    *1 : 蒸発を避けるために 0.2 ml PCR チューブをご使⽤くださ

    い。 *2 : 必ず oriC cassette を加えてください。各 DNA 断⽚は等

    モル⽐になるように調製し、添加する総 DNA 量は 1 pg-20 ng の範囲に設定してください。10 断⽚以上の連結時に最適な総 DNA 量は 20 ng です。DNA 断⽚の添加量に関する計算⽅法は VII 補⾜情報をご参照ください。

    *3 : 30-42℃ が許容範囲です。 *4 : 熱処理は多数の DNA 断⽚の連結反応時に⽣じるミスア

    ニーリング産物を減少させる効果があります。

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    11 OriCiro Genomics, Inc.

    b. 増幅反応

    プロトコール

    (1) サーマルサイクラーかエアーインキュベーターを 33℃ に設定する。サーマルサイクラーを使⽤する場合、反応液の蒸発による反応阻害を避けるために蓋は 40℃ に設定する。

    (2) 5X Buffer I と 5X Buffer II は氷上で融解後,ボルテックスミキサーで撹拌し、卓上遠⼼機でスピンダウンする。10X RE Mix は,氷上で融解後、ボルテックスミキサーで 1秒×3回撹拌し、卓上遠⼼機でスピンダウンする。

    (3) 下記増幅反応液を 0.2 ml PCR チューブを⽤いて氷上で調製する*1.

    < 1 反応> 試薬 量 Nuclease-Free Water 4 μl 5X Buffer I 2 μl 5X Buffer II 2 μl 10X RE Mix 1 μl 合計 9 μl

    (4) 増幅反応液を 30℃、15 分インキュベートする。

    (5) 増幅反応液に 1 μl の Assembly product を加え、反応液をピペッティングにより穏やかに攪拌し、卓上遠⼼機でスピンダウンする。

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    12 OriCiro Genomics, Inc.

    プロトコール

    (6) 反応液をサーマルサイクラーで 33℃、6 時間から⼀晩インキュベートする。

    (7) 5X Buffer I、5X Buffer II、Nuclease-Free Water を⽤いて、各成分の最終濃度が 1X になるように新しいバッファー(1X Buffer III)を調製する。ステップ (6) の反応液を直ちに 1X Buffer III で 2 倍希釈し、33℃で 30 分間インキュベートする。

    (8) 増幅反応産物は4℃で数⽇保管可能。⻑期保管の場合は終濃度20 mM EDTA を添加して-20℃ 保管する。増幅産物が 50 kb 程度の場合、凍結による DNA 切断を避けるためにフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿により精製してから 4℃ 保管する。

    (9) 増幅産物の検証にはアガロースゲル電気泳動を⾏う。ただし、

    増幅産物である環状のスーパーコイル型 DNA のバンドは予測されるサイズの位置に検出されないため、適切な制限酵素で切断してから電気泳動を⾏う。0.5 µl の増幅産物に 5 µl の Loading Buffer (25 mM Tris-HCl pH8.0, 25 mM EDTA, 0.1% SDS, 5% glycerol, 0.1% bromophenol blue) を添加して泳動する。

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    VII. 補⾜情報

    a. DNA 断⽚のデザインと調製 DNA 断⽚の両末端は相同配列になるように設計してください。少数断⽚の連結反応には短い相同配列 (~25 bp) で⼗分ですが、10 断⽚以上の場合は⻑い相同配列 (40-60 bp) が必要です。相同配列のデザインには Tm 値を考慮する必要はありません。また相同配列は DNA 断⽚の末端に配置する必要はありませんが、末端から 100 bp 以内に配置する必要があります。

    b. oriC 断⽚のデザインと調製 標的断⽚に対する相同末端配列を持つご希望の oriC 断⽚は、約 40 bp の相同配列を 5ʼ 末端にデザインしたプライマーペアを⽤いて、キットに含まれる oriC Cassette を PCR することで調製できます。典型的なプライマー配列は下記になり、oriC Cassette の両端にあるter 配列 (複製終結配列) にアニーリングしないようにデザインします。

    Forward primer : 5'- ( ~40 nt overlap for your DNA fragment) + CTGCTCTGATGCCG CATAG -3ʼ Reverse primer : 5'- (~40 nt overlap for your DNA fragment (Reverse)) + GTGTCGG GGCTGGCTTAAC -3ʼ

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    14 OriCiro Genomics, Inc.

    補⾜情報

    c. 連結反応に⽤いる DNA 量の計算 各 DNA 断⽚は等モル⽐になるように調製し、添加する総 DNA 量は 1 pg - 20 ng の範囲に設定してください。10 断⽚以上の連結時に最適な総 DNA 量は 20 ng です。下記の計算により連結反応に必要な DNA 量を算出可能です。 断⽚のサイズ ÷ 連結産物のサイズ x DNA 量 (1 pg - 20 ng) 例として oriC Cassette (size : 0.4 kb) と Control Fragment (size : 7.5 kb) の 2 断⽚を連結し、約 8 kb の連結産物を作製する場合の各 DNA 断⽚必要量は下記になります。 oriC Cassette: 0.4 kb ÷ 8 kb x 1 ng = 50 pg Control Fragment: 7.5 kb ÷ 8 kb x 1 ng ≈ 1 ng 10 断⽚以上の連結の場合、蛍光ベースの定量実施を推奨します。

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    補⾜情報

    d. oriC Cassette の配列

    5’- ATGGTGCA CTCTCAGTAC AATCTGCTCT GATGCCGCAT agtatgttgt aactaaagat ctactgtgga taactctgtc aggaagcttg gatcaaccgg tagttatcca aagaacaact gttgttcagt ttttgagttg tgtataaccc ctcattctga tcccagctta tacggtccag gatcaccgat cattcacagt taatgatcct ttccaggttg ttgatcttaa aagccggatc cttgttatcc acagggcagt gcgatcctaa taagagatca caatagaaca gatctctaaa taaatagatc ttctttttaa tactttagtt acaacatact GTTAAGCCAG CCCCGACACC CGCCAACACC CGCTGACGCG -3′

    ⼩⽂字: oriC 配列 太⽂字: Control Fragment に対する 40 bp オーバーラップ配列 四⾓で囲んだ配列: コンカテマーの形成を抑制する ter 配列 (複製終結配列)

    アンダーライン: OriC カセットを PCR 増幅するためのプライマー配列

    e. Control Fragment (7.5 kb) の配列

    Control Fragment は下記の プ ラ イマー を ⽤ い た pBeloBAC11 plasmid の PCR により調製しており、クロラムフェニコール耐性遺伝⼦を含みます。 5ʼ- CTATGCGGCATCAGAGCAG -3ʼ and 5ʼ- GTTAAGCCAGCCCCGACAC -3ʼ.

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    16 OriCiro Genomics, Inc.

    補⾜情報

    f. 環状 DNA の定量 増幅後の産物にはヌクレオチドが含まれるため、吸光法による DNA定量はカラムやビーズによる精製後に⾏ってください。 蛍光法では、増幅産物であるスーパーコイル型 DNA は直鎖 DNA よりも濃度が低く測定されますので、直鎖化してから定量してください。 キャピラリー電気泳動装置では、増幅産物であるスーパーコイル型DNA を分離することはできません。必要であれば直鎖化して解析してください。

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    17 OriCiro Genomics, Inc.

    VIII. 実験例

    a. コントロール反応 - oriC Cassette(0.4 kb) と Control Fragment (7.5 kb) を⽤いた連

    結増幅反応を本マニュアルのプロトコルに従って実施しました。

    - 連結反応は 42℃ で 30 分⾏いました。 - 1 μl の連結産物を増幅反応に使⽤しました。 - 増幅反応は 33℃ で 6 時間⾏いました。 - 0.5 μl の増幅産物をアガロースゲル電気泳動で分離しました。 - 電気泳動結果から増幅された covalently closed supercoiled

    DNA が観察されました。Supercoiled DNA は同じ⼤きさの直鎖状 DNA よりも早く泳動されるため、増幅された DNA のバンドはマーカーの 8 kb よりも下に検出されます。

    図 6. アガロースゲル電気泳動結果

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    18 OriCiro Genomics, Inc.

    IX. トラブルシューティング & FAQ

    a. 連結反応

    Q1 : 増幅反応の前に連結産物を精製する必要がありますか? A1 : ありません。連結産物 1 µl を直接増幅反応液 (合計 10 µl) に加えてください。OriCiro Amp は選択的に環状 DNA を増幅し、直鎖状 DNA は増幅しません。

    Q2 : 制限酵素や CRISPR/Cas9 により切断した DNA 断⽚も使⽤可

    能ですか? A2 : 可能です。 Q3 : 連結産物が検出できません。 A3 : 実験条件によっては連結反応産物の量が検出できるほど多く

    ないことがありますので、増幅反応後に電気泳動で確認されることを強くお勧めします。

    b. 増幅反応

    Q4 : 増幅反応産物を再度増幅することは可能ですか? A4 : 可能です。連続的に継代増幅することが可能です。増幅産物を

    希釈 (~10-6) し、新たな増幅反応液を調製して再度インキュベートしてください。最⼤ 10 回までの連続的な継代増幅が可能なことを確認しています。

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    19 OriCiro Genomics, Inc.

    トラブルシューティング & FAQ Q5 : ColE1 型複製起点 (origin) を持つベクターを増幅可能ですか? A5 : ColE1 型複製起点のみを持つプラスミドは増幅できません。増

    幅反応には OriCiro Cell-Free Cloning System に含まれる最適化された oriC 配列が必要です。 ColE1 型複製起点を持つプラスミドに oriC 配列を導⼊する場合、増幅反応が ColE1 型複製起点に阻害されることはありません。

    Q6 : アガロースゲル電気泳動で余計なバンドが検出されるのはな

    ぜですか? A6-1 : DNA のコンタミネーション

    増幅反応⽤に DNA を⼊れないネガティブコントロールを設 定してください。OriCiro Amp Kit は 1 分⼦コンタミした環状DNA も増幅します。DNA のコンタミネーションを除くためには限界希釈により 1 分⼦の環状 DNA を調製してから増幅を⾏うのが便利です。

    A6-2 : コンカテマー DNA

    4 kb 以下の環状 DNA の増幅の場合、コンカテマー DNA の バンドが検出されることがあります。その場合は増幅反応の時間を短くすることで改善されることがあります。

    Q7 : 増幅産物が検出できません。 A7-1 : DNA サンプルの塩や EDTA 濃度が⾼すぎると、連結反応が

    阻害されることがあります。 A7-2 : 増幅反応温度を最⼤ 37℃ まで上げてください。

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    20 OriCiro Genomics, Inc.

    トラブルシューティング & FAQ A7-3 : 増幅反応時間を最⼤ 18 時間まで延⻑してください。 A7-4 : 増幅反応に加える鋳型 DNA の量を増やしてください。 A7-5 : DNA サイズが 50 kb 以上の場合、増幅には本マニュアル

    とは異なるプロトコルが必要になります。[email protected] までお問い合わせください。

    Q8 : 増幅後の DNA は⼤腸菌の形質転換や、培養細胞へのトランス

    フェクションに使⽤できますか? A8: 使⽤可能です。増幅産物の精製はヒートショックによる形質

    転換の場合は不要ですが、エレクトロポレーションを⽤いる場合は塩を除くためにエタノール沈殿や透析よる精製を⾏ってください。増幅産物は⼤腸菌内で低コピー oriC プラスミドとして⾃律複製します。プラスミド保持のため薬剤マーカーが必須です。キット付属の「Control fragment」にはクロラムフェニコール耐性遺伝⼦が含まれますので、コントロール産物で形質転換をお試しいただけます。なお、pUC 系の変異導⼊された ColE1 複製起点と oriC 配列を含むベクターを⼤腸菌で増幅すると、⼤腸菌の増殖が阻害されプラスミドのコピー数が低下します。

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

    21 OriCiro Genomics, Inc.

    X. 参考⽂献

    1. Hasebe, T., Narita, K., Hidaka, S. and Su'etsugu, M. Efficient Arrangement of the Replication Fork Trap for In Vitro Propagation of Monomeric Circular DNA in the Chromosome-Replication Cycle Reaction. Life, 2018, 8 (43) 2. M. Suʼetsugu, H. Takada, T. Katayama, H. Tsujimoto, Exponential propagation of large circular DNA by reconstitution of a chromosome-replication cycle, Nucleic Acids Research, 2017, 45 (20), 11525‒11534 3. T. Mukai, T. Yoneji, K. Yamada, H. Fujita, S. Nara, M. Su'etsugu, Overcoming the Challenges of Megabase-Sized Plasmid Construction in Escherichia coli, ACS Synthetic Biology, 2020, 9 (6), 1315-1327

    XI. 関連製品

    OriCiro® Amp Kit (Cat.# : MS0021-A)

  • OriCiro® Cell-Free Cloning System 1.0 Cat.# : MS0011-A

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    ご注意事項 : - 本製品は研究⽤です。本製品は、ヒト⼜は動物の治療⼜は診断

    に⽤いることはできません。 - 本製品は、オリシロジェノミクス株式会社からの書⾯による承認なしに、再販、譲渡、再販または譲渡のための改造、または市販製品の製造に使⽤することはできません。

    - 本製品の(1) 製品製造や品質管理への使⽤、(2) サービス、情報、データの提供への使⽤、(3)本製品を使⽤して製造された物質、その改変物、派⽣物の再販など、研究⽤途以外の使⽤については、オリシロジェノミクス株式会社([email protected]) までメールでお問い合わせください。

    - ライセンスに関する情報は弊社ウェブサイトをご覧ください。 - オリシロジェノミクス社は、いかなる場合においても、ユ

    ーザーの逸失利益、間接損害、⼆次的損害について責任を負いません。また、オリシロジェノミクス社は、第三者が利⽤者に与えた損害賠償についても責任を負いません。オリシロジェノミクス社に起因する損害賠償責任は、すべての場合において製品のコストに相当する⾦額に限定されます。

    - 保証期間中であっても、誤⽤、放置、乱⽤、不適切な保管、事 故 (製品⾃体に起因する事故以外)の対象となった製品には、保証は適⽤されません。

    - OriCiro は、オリシロジェノミクス社の登録商標です。

    Ver. 3.6