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Title グルコサミン含有食品の膝関節機能および運動機能に対 する有効性( Dissertation_全文 ) Author(s) 神﨑, 範之 Citation Kyoto University (京都大学) Issue Date 2016-03-23 URL https://doi.org/10.14989/doctor.r13026 Right 許諾条件により本文は2017-03-01に公開 Type Thesis or Dissertation Textversion ETD Kyoto University

Title グルコサミン含有食品の膝関節機能および運動 …...3 要 目的:グルコサミンは世界規模で膝関節痛の治療に用いられているが、コンドロイチン硫

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Title グルコサミン含有食品の膝関節機能および運動機能に対する有効性( Dissertation_全文 )

Author(s) 神﨑, 範之

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2016-03-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.r13026

Right 許諾条件により本文は2017-03-01に公開

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

Kyoto University

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グルコサミン含有食品の膝関節機能

および運動機能に対する有効性

神﨑 範之

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2

目次

要旨 ..........................................................................................................................................3

第一章 はじめに ....................................................................................................................4

第一節 背景 .......................................................................................................................4

第二節 目的 .......................................................................................................................8

第二章 対象と方法 ................................................................................................................8

第一節 グルコサミン含有食品の膝関節機能に対する有効性(試験①) ........................8

第二節 グルコサミン含有食品の運動機能に対する有効性(試験②) ..........................12

第三節 グルコサミン含有食品の運動機能改善メカニズム(試験③) ..........................15

第三章 結果 .........................................................................................................................18

第一節 グルコサミン含有食品の膝関節機能に対する有効性(試験①) ......................18

第二節 グルコサミン含有食品の運動機能に対する有効性(試験②) ..........................21

第三節 グルコサミン含有食品の運動機能改善メカニズム(試験③) ..........................23

第四章 考察 .........................................................................................................................25

第五章 結論 .........................................................................................................................31

謝辞 ........................................................................................................................................31

参考文献 ................................................................................................................................32

図表 ........................................................................................................................................37

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3

要旨

目的:グルコサミンは世界規模で膝関節痛の治療に用いられているが、コンドロイチン硫

酸およびケルセチン配糖体との組み合わせでの膝関節機能に対する有効性については検討

されていない。また、グルコサミン含有食品の歩行速度などの運動機能に対する有効性や

生物力学的なメカニズムも明らかにされていない。本研究では、グルコサミン含有食品の

膝関節機能および運動機能に対する有効性とそのメカニズムを検討することを目的とし

た。

方法:膝関節痛を有する日本人中高齢男女に対するランダム化二重盲検プラセボ対照比較

試験 2 件(試験①、②)とオープン試験 1 件(試験③)を実施した。試験①ではグルコサミン塩

酸塩、コンドロイチン硫酸およびケルセチン配糖体を含む食品(GCQ)またはプラセボ食品

(P)を摂取させた。試験②では、GCQ に含まれる成分に加えて筋肉に作用すると報告のあ

るイミダゾールペプチド、ビタミン D を配合した食品(GCQID)またはプラセボ食品(P)を摂

取させ、試験③では GCQID のみを摂取させた。各試験の介入は 16 週間継続した。試験①

では主に日本整形外科学会膝変形性関節症治療成績判定基準(JOA)、試験②では主に日本版

変形性膝関節症患者機能評価尺度(JKOM)により、膝関節機能を評価した。試験②、③で

は、主に通常歩行速度測定またはモーションキャプチャーにより、運動機能を評価した。

結果:試験①、②では JOA、JKOM のスコアを GCQ、GCQID がそれぞれ P と比較して改

善した。試験②において、GCQID が P と比較して通常歩行速度を上昇させた。試験③で

は、GCQID の摂取により摂取前と比較して試験②と同程度の通常歩行速度上昇とともに、

ストライド長、つま先離地時の足底角度の増加などが認められた。

結論:GCQは膝関節機能を改善し、特に、筋肉に作用する成分を組み合わせたGCQIDは、膝関

節機能改善とともに、運動機能を改善することが示され、その生物力学的メカニズムの一部が

明らかになった。

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第一章 はじめに

第一節 背景

現在、わが国では超高齢社会を迎え、加齢に伴う様々な疾患が社会問題となっている。

その中でも、運動器障害は要支援・要介護の原因の多くの部分を占めるために注目されて

おり、「運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態」である「ロコモティ

ブシンドローム(ロコモ)」という概念が日本整形外科学会より提唱された 1。ロコモ予防

への意識向上をめざし、厚生労働省が進める国民の健康づくり運動「健康日本 21」の第二

次計画でもロコモの認知向上が目標に挙げられている 2。実際にロコモを判定するための

診断ツールも開発されており 3、人々にロコモ予防に対する意識を高めさせるために活用

されている。ロコモの原因には、大きく分けて、運動器自体の疾患と加齢による運動器機

能不全がある。運動器自体の疾患(筋骨格運動器系)は加齢に伴う様々な運動器疾患、た

とえば変形性関節症(OA)、骨粗鬆症に伴う円背、易骨折性、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症

などが挙げられる。一方、加齢による運動器機能不全としては、筋肉の減少 4、筋力低下 5

などがあげられる。ロコモ状態を診断する指標の代表的なものとして膝伸展筋力や歩行速

度が挙げられるが、歩行速度は加齢とともに低下すると報告され 6、高齢者の生存率と正

の相関があることから生命力の指標になりうると考えられ 7、膝伸展筋力を含めた筋力低

下は寝たきりにもつながる「転倒」の危険因子として挙げられているため 8、これらを低

下しないように保つことが生命維持のための一つの対応策であると考えられる。

OA はロコモの原因となる運動器疾患の一つであるが、患者数は増加の一途を辿ってお

り、その中でも変形性膝関節症(KOA)は、疼痛の増加や歩行障害に伴う日常活動性およ

び生活の質の著しい悪化の主な要因の一つになっている。日本における大規模コホート研

究 ROAD(Research on Osteoarthritis Against Disability)では、X 線検査を用いた KOA の病

態変化の分類方法である Kellgren–Lawrence (K-L)分類 9のグレードを基準にしてグレード II

以上の者が KOA 患者であると判定されているが、そこから推定される日本における患者

数は 2,530 万人(男性 860 万人、女性 1,670 万人)、このうち痛みを伴う有症状患者数は約

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780 万人とされている 10。近年、KOA の病態の判断指標として、K-L 分類や痛みの有無を

用いる以外に、客観的に評価できる信頼性や感度が高いバイオマーカーが報告されており

11、中でも KOA の病態発症に II 型コラーゲン(CII)代謝の異常が重要な役割を果たすため、

CII 代謝特異的な軟骨バイオマーカーが用いられている 12。また、KOA 患者の運動機能の

変化も捉えられており、症状の悪化に伴い歩行速度や歩幅の低下など歩行機能の低下が起

こることが報告されている 13,14。これに対して、KOA 患者の低下した歩行機能が運動療法

や温熱療法によって改善するということも報告されている 15。

現在の KOA に対する治療法は、外科的療法、薬物療法、運動療法などがある。KOA に

対する治癒的療法はないので、KOA 患者が最も必要としているのは手術以外の方法で症状

を和らげ病変の進行を抑える治療法であるが 16、現在では薬物療法が主流となっており、

アセトアミノフェンなどの非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)およびセレコキシブなどの選択

的シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤などが使用されている。しかしながら、

NSAIDs については胃腸障害、選択的 COX-2 阻害剤については心血管系に対する副作用が

懸念されている 17。さらに、ある種の NSAIDs はヒトで軟骨代謝に悪影響を及ぼし、KOA

の進行に拍車をかけるという報告もある 18。

薬物療法の一方で、KOA などの関節疾患で磨耗した軟骨の成分としてグルコサミンを補

充することにより、損傷した軟骨の回復とともに症状が改善するという理論のもと、KOA

患者に対するグルコサミンの膝関節機能への有効性に関する様々な規模の臨床研究報告が

1980 年代よりここ数十年間に数多くなされてきた 19-22。グルコサミンはアミノ糖の一種で

あり、一般的には硫酸塩や塩酸塩として使用されるが、生体内で N-アセチルグルコサミン

や N-アセチルガラクトサミンに変換され、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等のグリコ

サミノグリカンの構成成分として取り込まれ、ヒトを含めた動物の関節軟骨や皮膚、結合

組織などに存在することが知られている 23,24。グルコサミンを摂取させた臨床研究報告の

多くはグルコサミン硫酸塩を用いた研究であり、2000 年の McAlindon らによるメタアナリ

シスの報告においても、それぞれの研究の質についての指摘がありながら KOA に対して

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一定の有効性が示唆された 25。こうした報告がある中で注目されたのが、2001 年に

Reginster らが発表したグルコサミン硫酸塩を長期摂取させたランダム化プラセボ対照比較

試験である 26。この試験では、212 名の KOA 患者をグルコサミン群とプラセボ群に分け、

3 年間にわたり 1 日 1,500mg のグルコサミン硫酸塩を摂取させたところ、プラセボ群と比

較してグルコサミン群で膝関節の症状悪化と軟骨の磨耗が抑制された。この報告に続き、

2002 年に Pavelká らによっても、グルコサミン硫酸塩の長期間摂取が KOA の症状に対し

て有効性を示すという同様の報告がなされた 27。これに対して、2006 年にアメリカ国立衛

生研究所(National Institutes of Health, NIH)が主体となって実施した大規模試験

(Glucosamine/Chondroitin Arthritis Intervention Trial, GAIT)の結果が報告され、グルコサミ

ンの有効性に関して疑問を残すものとなった 28。GAIT では、40 歳以上で症状を有する

222 名の KOA 患者に 6 ヶ月間にわたり①グルコサミン塩酸塩(1 日 1,500mg)、②コンドロ

イチン硫酸(1 日 1,200mg)、③グルコサミン塩酸塩およびコンドロイチン硫酸(①+

②)、④セレコキシブ(1 日 200mg)、⑤プラセボを摂取させた。プラセボ群と比較した膝

関節痛に対する有効性は、全例比較ではセレコキシブ群のみで認められ、グルコサミン/コ

ンドロイチン併用群では一部の層別解析で改善作用が認められたものの、グルコサミン単

独群では認められなかった。本報告の考察では、プラセボ群の症状改善率が高かったこと

が問題視されており、グルコサミンの有効性に関しての最終結論は得られていない。本報

告において用いられたグルコサミンが塩酸塩であったことも異なる有効性の結果となった

要因の一つとして考えられるが、グルコサミン硫酸塩、塩酸塩のいずれも、摂取後 15 分~

30 分に血中濃度がピークを迎え、ほぼ同等の経口吸収性を示すとの報告もあり 29、その違

いは明確ではなく、事実、グルコサミン塩酸塩を用いた臨床報告も少なくない。1999 年の

Houpt らの報告によると、KOA 患者に対してグルコサミン塩酸塩を 8 週間にわたって投与

したときに、プラセボ群と比較して膝関節痛の改善効果が認められた 30。また日本におい

ても、1 日 1,500mg のグルコサミン塩酸塩を KOA 患者に 2 ヶ月間摂取させたところ、プラ

セボを摂取した場合と比較して膝関節痛の改善効果が認められたという報告がある 31。

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2012 年に消費者庁より発表された「食品の機能性評価モデル事業」においては、グルコサ

ミンの KOA の症状改善に関する有効性が評価されている 32。論文調査の結果、11 報のラ

ンダム化比較試験が評価の対象となったが、7 報は肯定的なものであり、4 報は否定的なも

のであったことから、研究のタイプ、数、質の観点からは最高ランクの A 評価であったも

のの一貫性の観点では第二ランクの B 評価となり、総合的には第二ランクの B 評価(機能

性について肯定的な根拠がある)とされた。上記のことから、グルコサミンの膝関節機能

への有効性には一貫性がなく、実際に扱う素材を用いたランダム化比較試験を行うことに

より有効性の検証を十分に行う必要があると考えられる。

コンドロイチン硫酸は、軟骨、結合組織、粘液に含まれるムコ多糖類の一種で、動物体

内ではコアタンパク質に結合したプロテオグリカンの構成体として、軟骨、骨、靭帯、角

膜、脳、血管、皮膚などに存在しており、グルコサミンと同様に膝関節機能を改善するこ

とを目的として用いられているため 33、グルコサミンと組み合わせて摂取することによる

相加・相乗効果も期待されている。食品機能性成分として近年注目されているケルセチン

は、野菜や果物などに含まれるフラボノイドの一種で特に玉ネギに多く含まれているが、

in vitro34や in vivo35で抗炎症作用を示すことが報告されており、関節炎に伴う疼痛改善作用

のある成分として期待される。ケルセチンは脂溶性が高く一般的に体内への吸収性が高い

とは言えないため、ケルセチンと比較して高い水溶性とそれに伴う高い生体利用率が確認

されているケルセチン配糖体が開発されている 36。これらのことから、グルコサミン塩酸

塩にコンドロイチン硫酸およびケルセチン配糖体を組み合わせることで、膝関節機能改善

効果が向上することが期待される。

ケルセチンには in vivo で筋萎縮抑制作用があることが報告され 37、運動機能に対する直

接的な作用も期待される。また、ビタミン D は骨代謝に関わるとされているが、近年、高

齢者において筋力や運動機能を改善し転倒のリスクを低下させるという報告もある 38,39。

さらに、筋肉中に含まれるタンパク質の一種であるイミダゾールペプチドには筋持久力を

上昇させるという報告があり 40、筋肉の機能に対する作用が期待される。グルコサミンを

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含有する食品の膝関節機能への作用については既に多くの報告がある一方で、運動機能に

対する作用はほとんど知られておらず、また、歩行に対する影響を生物力学的に解析した

研究もない。薬剤投与によって膝関節痛の改善とともに運動機能が改善するという報告も

あり 41、グルコサミン含有食品の膝関節機能改善による運動機能の改善が期待されるが、

筋肉への作用が期待されるケルセチン配糖体やビタミン D、イミダゾールペプチドといっ

た成分を強化することにより、その作用がさらに増強される可能性があると考えられる。

第二節 目的

本研究は、膝関節に痛みのある者がグルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸およびケ

ルセチン配糖体を含有する食品(GCQ)を摂取することによる膝関節機能への影響について

評価するとともに、GCQに筋肉への作用が期待されるケルセチン配糖体、イミダゾールペ

プチドおよびビタミンDを強化した食品(GCQID)の運動機能への影響および生物力学的

メカニズムを解明することを目的とした。

第二章 対象と方法

第一節 グルコサミン含有食品の膝関節機能に対する有効性(試験①)

【試験デザイン】

本試験は、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験にて実施した。本試験は

2009 年 6 月から 12 月にかけて、田奈整形外科・外科および北新横浜整形外科・外科で 2

名の試験責任医師の下で行われた。また、本試験は「ヘルシンキ宣言」の精神に則り、「疫

学研究に関する倫理指針」を準拠して、倫理審査委員会である田奈整形外科・外科倫理審

査委員会の審査を受け、その承認を得た後に実施した。試験責任医師は、試験実施に先立

ち、参加者に対して同意説明書を交付の上、試験の趣旨および内容を十分説明し、参加者

の自由意思に基づく同意を文書で取得した。

【対象】

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被験者は、膝関節に痛みを感じる 40 歳以上 85 歳未満の日本人男女を対象とした。日本

整形外科学会膝 OA 治療成績判定基準(JOA)42のうち、「疼痛・歩行能」の項目で左右の

いずれかの膝が 25 点以下の者を膝関節に痛みを感じる者とし、次の除外基準に該当しない

40 名を被験者とした:X線画像の所見を基にした K-L 分類 9がグレード IV に分類される

者;痛風、リウマチ等による痛みの生じる可能性のある者; 膝の手術を行ったことがある

者またはその必要がある者; ヒアルロン酸、グルコサミン、コンドロイチン硫酸を含む健

康食品および医薬品を常用しており、試験期間中にも摂取を継続する者および摂取前検査

の 2 週間以内に摂取していた者; ビスフォスフォネート剤、ホルモン療法等の軟骨または

骨代謝マーカーに影響を及ぼす医薬品を摂取している者; 摂取前検査の 2 週間以内にヒア

ルロン酸の関節内注入を行った者、または 3 ヵ月以内にステロイド剤の関節内注入を行っ

た者、試験期間中にこれらを行う必要がある者; 試験期間中に関節の薬物療法等を要する

者; 不定期に激しい運動を行っている者; 過去 3 ヶ月内に骨や関節に関わる疾患の既往

がある者;ワルファリンを服用している者または試験期間中に服用する必要がある者;喘

息患者または試験食品によりアレルギー発症の恐れがある者; 授乳期、妊娠中の者、また

試験期間中に妊娠の計画のある者;他の臨床試験に参加している者; その他、試験責任医

師が不適格と判断した者。

【試験食品】

被験食品には、1 日摂取量 6 粒中に、機能性関与成分としてグルコサミン塩酸塩 1,200

mg、サメ軟骨抽出粉末 300mg(コンドロイチン硫酸として 60mg)、ケルセチン配糖体

45mg を配合したタブレット形状の食品(GCQ)を用い、対照食品には、機能性関与成分を含

まないタブレット形状の食品(P)を用いた。両食品は官能面、性状、外観において識別でき

ないよう製造された。

【摂取方法とスケジュール】

事前検査後、被験者はランダム化により 2 群に割付けられ、JOA の合計スコア(両膝の

合計)が不均衡にならないことを確認した。GCQ および P は、いずれも 1 日あたりの摂取

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量として 6 粒を 16 週間連日摂取させた。試験食品を摂取する時間帯は指定せず、摂取した

時刻を日誌に記録させた。試験食品摂取期間中の摂取日数が 80%未満の者や試験食品摂取

期間中に試験食品の摂取を 7 日以上連続して怠った者は有効性解析の除外対象とした。

試験期間中は、試験参加前からの食事、運動、喫煙等の生活習慣を大きく変えたり、新

たに健康食品を摂取したりしないように指導した。また、日常範囲を大きく逸脱する過度

な運動、節食や過食をしないように指導した。検査前の 3 日間は禁酒とし、検査前日は深

夜 0 時頃までに飲食を終え、以後は水以外の飲食は検査が終了するまで禁止した。検査当

日は、朝食および試験食品を摂取せず、極力関節を使う運動をせずに来院させ、検査を受

けさせた。

【評価項目】

膝関節機能は他覚所見および自覚症状に基づいて評価した。他覚所見は JOA を用いて評

価を行った。自覚症状は膝関節の痛みを記入する Visual Analogue Scale(VAS)を用いて評価

を行った。各評価時点における各評価項目の改善(JOA スコアは増加、VAS は減少)を指

標とした。評価は、摂取前から 4 週、8 週、12 週、16 週の経過と、各時点での GCQ 群と

P 群の比較により行った。JOA を用いた評価では、各検査日に試験責任医師による問診

(聞き取り方式)で診察を行った。被験者の左右両膝の「疼痛・歩行能(各脚 30 点満

点)」、「疼痛・階段昇降能(各脚 25 点満点)」、「屈曲角度および強直・高度拘縮(各脚 35

点満点)」、および「腫脹(各脚 10 点満点)」の 4 項目とそれらの「合計」(200 点満点)に

ついて点数評価した。VAS を用いた評価では、膝関節の安静時、歩行時、階段昇降時の膝

の痛みの程度を、被験者に 100 mm の線分上に記入させた。それぞれの VAS のスケールは

0 から 100 までとなり、0 は痛みがなく、100 はこれまで経験した最も激しい痛みを示して

いる。VAS による評価においては、GCQ による痛みの緩和する効果の評価を目的としたた

め、試験食品摂取前に膝の痛みを有する膝関節(VAS で 20 mm 以上あった膝関節)につい

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て評価した。また、K-L 分類が有効性への影響を検討するために、ROAD10の KOA 判定基

準である K-L 分類のグレードⅠ以下とグレードⅡ以上に分けて層別解析を行い、被験者の

KOA の有無による有効性の違いを評価した。

血清サンプルと尿サンプルは摂取前、8 週、12 週、16 週に採取した。CII 分解マーカー

である C-terminal cross-linked telopeptide of CII(CTX-Ⅱ)とおよび CII 合成マーカーである

C-terminal neopeptide of CII procollagen (CPII)を評価した。また、各評価時点の CTX-II と

CPII の測定値から CTX-II/CPII の比を算出した。血清中 CPII 値の測定には

PROCOLLAGEN II C-PROPEPTIDE ELISA(IBEX Pharmaceuticals Inc.)を、尿中 CTX-II 値

の測定には Urine CartiLaPs EIA(Immunodiagnostic Systems Ltd)を、それぞれ用いた。

CTX-II 値については、尿中クレアチニン(Cre)値により補正した値を指標とし、ng/mmol

Cr で表した。評価は、所定の評価時点における各項目の改善(CTX-II、CTX-II/CPII は減

少、CPII は増加)を指標とした。評価は、摂取前から 4 週、8 週、12 週、16 週の経過と、

各時点での GCQ 群と P 群の比較により行った。

【統計解析】

全例解析および VAS20mm 以上の膝関節の解析における数値は平均値±標準偏差で表し、

K-L 分類による層別解析の数値は平均値±標準誤差で表した。摂取前の測定値の群間比較に

は、定量的データについては対応のない t 検定を用い、定性的データについてはχ二乗検

定を用いた。摂取前後の値を比較する場合は、全例解析および VAS20mm 以上の膝関節の

解析においては、JOA スコアについては Wilcoxon 符号付順位和検定を用い、VAS および

CII 代謝マーカーについては対応のある t 検定を用い、K-L 分類による層別解析において

は、JOA スコアについては steel 検定を用い、VAS については Dunnett 検定を用いた。各時

点での値を群間比較する場合または、摂取前の値から各時点の値への変化量を群間比較す

る場合は、JOA スコアについては Mann-Whitney U 検定を用い、VAS については対応のな

い t 検定を用い、CII 代謝マーカーについては共分散分析を行った。いずれの検定結果も有

意水準は 5%(両側検定)とした。

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第二節 グルコサミン含有食品の運動機能に対する有効性(試験②)

【試験デザイン】

本試験は、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験にて実施した。本試験

は、2012 年 2 月から 9 月にかけて、ゴゥクリニックにて、1 名の試験責任医師の下で行わ

れた。また、本試験は「ヘルシンキ宣言」の精神に則り、「疫学研究に関する倫理指針」を

準拠して、医療法人社団上善会品川イーストワンメディカルクリニック倫理審査委員会の

審査を受け、その承認を得た後に実施した。試験責任医師は、試験実施に先立ち、参加者

に対して同意説明書を交付の上、試験の趣旨および内容を十分説明し、参加者の自由意思

に基づく同意を文書で取得した。

【対象】

被験者は 40 歳以上 75 歳未満の日本人男女の中で、日本版変形性膝関節症患者機能評価

尺度(Japanese Knee Osteoarthritis Measure, JKOM)43の I.膝の痛みの程度(VAS)で膝関節痛

が確認された者(20 mm 以上の者)かつX線画像の所見を基にした K-L 分類 9がグレード

0~II に分類された者かつ JOA42の「疼痛・歩行能」で痛みが確認された者(左右のいずれ

かが 25 点以下の者)、を対象とした。事前検査結果をもとに、以下の除外基準に該当しな

い 100 名を被験者とした。

除外基準:歩行速度が低下していない者(1.6m/s<の者);高尿酸血症の者;糖尿病の

者;循環器、肝、腎、心などに重篤な既往がある者、罹患者;体重に影響を及ぼすとされ

る食事・運動療法を行っている、または薬剤治療を行っている者;リウマチ陽性の者、ま

たはリウマチによる痛みの生じる可能性のある者;膝の手術経験者、または膝の手術を要

する者;関節の薬物療法の予定者;選定の 2 週間以内にヒアルロン酸の関節内注入を行っ

た者、または 3 ヵ月以内にステロイド剤の関節内注入を行った者;過去 3 ヵ月以内に骨折

や捻挫などの骨や関節に関わる疾患の既往がある者;本試験の評価に影響を及ぼす健康食

品や医薬品を常用している者;日常的な杖の使用者;日常的または不定期に激しい運動を

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行う者;ワルファリン服用者;喘息、呼吸器系疾患で薬剤治療中の者;その他、試験責任

医師または試験分担医師が当該試験の対象として不適当と判断した者。

【試験食品】

被験食品は、1 日摂取量 8 粒中に、機能性関与成分としてグルコサミン塩酸塩 1,200

mg、サメ軟骨抽出粉末 300mg(コンドロイチン硫酸として 60mg)、ケルセチン配糖体

90mg、イミダゾールペプチド 10mg およびビタミン D5ug を配合したタブレット形状の食

品(GCQID)を用い、対照食品には、機能性関与成分を含まないタブレット形状の食品

(P)とした。両食品は官能面、性状、外観において識別できないよう製造された。

【摂取方法とスケジュール】

事前検査後、被験者は事前検査結果をもとにランダム化により 2 群に割付けられ、歩行

速度、年齢、性別、観察期間の平均歩数、JOA 判定の合計スコア、BMI、K-L 分類が不均

衡にならないことを確認した。GCQID および P は、いずれも 1 日あたりの摂取量として 8

粒を 16 週間連日摂取させた。試験食品を摂取する時間帯は指定せず、摂取した時刻を日誌

に記録させた。試験食品摂取期間中の摂取日数が 80%未満の者や試験食品摂取期間中に試

験食品の摂取を 7 日以上連続して怠った者は有効性解析の除外対象とした。試験期間中の

食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が、試験開始時から大きく変化させず、可能限り

一定に維持するようにし、ダイエットや過度の運動、飲酒、喫煙を行わないように指導し

た。来院前日は禁酒とし、検査来院で採血を行う場合、前日の夕食は、目安として 21:00

までに済ませるようにし、検査当日は、検査終了まで絶食させた。また、歩数計を装着さ

せ、試験期間中の歩行量をモニターし、運動量に変化がないか確認した。

【評価項目】

膝関節機能の評価として、JKOM および歩行時の膝の痛みの程度を測定した。JKOM の

「I.膝の痛みの程度」は、100 mm スケールの VAS 法で記入させた(JKOM の VAS)。「II.膝

の痛みやこわばり」、「III.日常生活の状態」、「IV.普段の生活など」、「V.健康状態について」

の計 25 問の設問は、もっとも良い機能状態に対する回答肢を選択した場合を 0 点、もっと

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14

も重症の機能状態に対する回答肢を選択した場合を 4 点、中間の回答肢を選択した場合に

は機能状態の良い順に、1、2、3 点とし、総点を JKOM 合計スコア(100 点満点)とし

た。歩行時の膝の痛みの程度は、片脚ごとに 100 mm スケールの VAS 法により被験者に記

入させ、痛みの強い方の膝に関して評価を行った(歩行時の VAS)。VAS のスケールは 0

から 100 までとなり、0 は痛みがなく、100 はこれまで経験した最も激しい痛みを示してい

る。膝関節機能の評価は、摂取前から 4 週、8 週、12 週、16 週の経過と、各時点での

GCQID 群と P 群の比較により行った。

運動機能の評価として、通常歩行速度、膝伸展筋力を測定した。通常歩行速度の検査で

は、被験者に 10m のレーンを普段通りの速さで歩くように指示し、そのうち中間の 6mを

進むのにかかる時間を計測した。計測は 2 回行い、1 秒あたりに進んだ距離(m/s)を計算

し、2 回の平均値を歩行速度とした。膝伸展筋力の検査は、渡邉らが報告した方法に従い

実施した 44。被験者が測定専用の椅子に座った際に膝を伸ばすときの筋力を各脚について

それぞれ計測し、測定は各脚 3 回ずつ行い、測定したうちの最高値を採用した。得られた

値から両脚の筋力の合計値を計算し、体重あたりの割合(%)を算出した。運動機能の評価

は、摂取前から 8 週、16 週の経過と、各時点での GCQID 群と P 群の比較により行った。

血清サンプルは摂取前、16 週に採取した。血中ビタミン D 濃度の指標として 25-OH ビ

タミン D 濃度を測定し、摂取前から 16 週の経過と、16 週時点での GCQID 群と P 群の比

較により評価を行った。

本試験は、GCQID の運動機能改善効果に対して痛みの緩和が寄与していることを想定し

ていたため、全例解析に加えて試験食品摂取前に中程度から重度の膝の痛みを有する被験

者(JKOM の「I.膝の痛みの程度」の VAS で 20 mm 以上であった者)のみの解析について

も行った。また、K-L 分類が GCQID の有効性に与える影響を検討するために、ROAD10の

KOA 判定基準である K-L 分類のグレードⅠ以下とグレードⅡ以上に分けてサブ解析を行

い、中程度から重度の膝の痛みを有する被験者の中で KOA の有無による有効性の違いを

JKOM 合計スコアおよび通常歩行速度について評価した。

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15

【統計解析】

データはすべて平均値±標準誤差で示した。摂取前の測定値の群間比較には、定量的デ

ータについては対応のない t 検定を用い、定性的データについてはχ二乗検定を用いた。

介入効果の違いについて解析するために、反復測定二元配置分散分析により交互作用(群

×摂取期間)の検定を行い、その後に摂取期間、群効果の検定を行った。交互作用がない

場合には、各時点での値を群間比較する場合または、摂取前の値から各時点の値への変化

量を群間比較する場合は、JKOM 合計スコアについては Mann-Whitney U 検定を用い、

JKOM の VAS、歩行時の VAS、通常歩行速度、膝伸展筋力、25-OH ビタミン D 濃度の各

項目については対応のない t 検定を用いた。また、摂取前後の値を比較する場合は、JKOM

合計スコアは steel 検定を用い、JKOM の VAS、歩行時の VAS、通常歩行速度、膝伸展筋

力の各項目については、Dunnett 検定を用い、血中 25-OH ビタミン D 濃度については対応

のある t 検定を用い 0 週との比較を行った。いずれの検定結果も有意水準は 5%(両側検

定)とした。群間比較により有意な差が認められたものに関しては、効果量(パラメトリ

ックな項目は d 値、ノンパラメトリックな項目は r 値)を算出した。

第三節 グルコサミン含有食品の運動機能改善メカニズム(試験③)

【試験デザイン】

本試験は、オープンラベル試験にて実施した。本試験は、2014 年 2 月から 8 月にかけ

て、東海大学体育学部体育学科(神奈川県平塚市)および学前クリニック(神奈川県平塚

市)にて、1 名の試験責任医師の下で行われた。また、本試験は「ヘルシンキ宣言」の精

神に則り、「疫学研究に関する倫理指針」を準拠して、東海大学(神奈川県平塚市)の「人

を対象とする研究に関する倫理委員会」および田奈整形外科・外科(神奈川県横浜市)の

「倫理審査委員会」の審査を受け、その承認を得た後に実施した。試験責任医師は、試験

実施に先立ち、参加者に対して同意説明書を交付の上、試験の趣旨および内容を十分説明

し、参加者の自由意思に基づく同意を文書で取得した。

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16

【対象】

被験者は 40 歳以上 75 歳未満の日本人男女の中で、JKOM 43の I.膝の痛みの程度(VAS)

で膝関節痛が確認された者(20 mm 以上の者)かつ日本整形外科学会膝痛疾患治療成績判

定基準(JOA)42の「疼痛・歩行能」で痛みが確認された者(左右のいずれかが 25 点以下

の者)かつロコモ 5 を用いた評価 3でロコモと判定された者(6 点以上の者)かつX線画像

の所見を基にした K-L 分類 9がグレード 0~II に分類される者、を対象者とした。第二章

第二節に記載の除外基準と同様の除外基準を設定し、該当しない 30 名を被験者とした。

【試験食品】

試験食品は、1 日摂取量 6 粒に、機能性関与成分としてグルコサミン塩酸塩 1,200mg、

サメ軟骨抽出粉末 300mg(コンドロイチン硫酸として 60mg)、ケルセチン配糖体 90mg、

イミダゾールペプチド 10mg、ビタミン D 5ug を含む食品(GCQID)を用いた。

【摂取方法とスケジュール】

1 日あたりの摂取量として 6 粒を 16 週間連日摂取させた。試験食品を摂取する時間帯は

指定せず、摂取した時刻を日誌に記録させた。試験食品摂取期間中の摂取日数が 80%未満

の者や試験食品摂取期間中に試験食品の摂取を 7 日以上連続して怠った者は有効性解析の

除外対象とした。試験期間中の食事や運動、飲酒、喫煙などの生活習慣を試験開始時から

大きく変化させず、可能な限り一定に維持するようにし、ダイエットや過度の運動、飲

酒、喫煙をしないように指導した。検査前日は 0 時までに就寝し、十分な睡眠と休養を取

り、検査前日から検査が終了するまで禁酒とし、検査前日から関節に負担が多い運動は控

え、検査当日は極力関節を使う運動をせずに来院するように指導した。検査前日は 22 時か

ら飲食をせず、空腹時臨床検査を行う検査当日は、検査が終了するまで飲食をしないよう

に指導した(ただし、水や湯を飲むことは可とした)。また歩数計を装着させ、試験期間中

の歩行量をモニターした。

【評価項目】

膝関節機能に関しては、JKOM43、ロコモ 53、場面ごとの膝の痛みの VAS、アンケートを

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17

用いて摂取前、4 週目、8 週目、12 週目、16 週目に評価を行った。場面ごとの膝の痛みの

VAS の評価では、膝関節の安静時、歩行時、階段昇降時の膝の痛みの程度を、片脚ごとに

100 mm スケールの VAS 法により被験者に記入させ、片脚ずつの評価を行った。それぞれの

VAS のスケールは 0 から 100 までとなり、0 は痛みがなく、100 はこれまで経験した最も激

しい痛みを示している。アンケートでは、検査前数日間の「歩行時のつまずき」、「階段昇降

時のつまずき」および「階段昇降時の脚のつらさ」について、「全くない(1 点)」~「かな

りある(5 点)」の 5 択から選択させ、「転倒経験」については 4 ヶ月間の転倒経験の有無、

転倒回数を記入させた。「転倒経験」は、摂取前、16 週目のみ実施した。

運動機能の評価に関しては、通常歩行速度測定およびモーションキャプチャー検査を摂

取前、8 週目、16 週目に行った。通常歩行速度測定のために、被験者に 10 m を普段通り

の速度で自由歩行するように指示し、中間 6 m において 1 秒間あたりに進む距離を算出し

た。モーションキャプチャー検査では、被験者は靴を脱ぎ、滑り止めのついた靴下を着用

した後、モーションキャプチャースーツを着用した。モーションキャプチャー用スーツに

は、頭頂、左右の耳珠、胸骨上縁、左右の肋骨下端、左右の上前腸骨棘、左右の肩峰、左

右の外肘、左右の手首、左右の手の甲、左右の大転子、左右の内膝および外膝、左右の内

踝および外踝、左右の踵、左右のつま先、の計 30 箇所にマーカーを取り付けた。通常歩行

速度測定と同時に、被験者に取り付けたマーカーの軌道をモーションキャプチャーシステ

ム(Raptor-E Digital Real Time System; Motion Analysis Corporation, Santa Rosa, California,

USA)により検出し、これにより得られた動画をもとに、歩幅(ステップ長、ストライド

長)、歩調(ケイデンス)、立脚時間、遊脚時間、足角度(踵接地時)、足底角度(つま先離

地時、踵接地時)を算出した。モーションキャプチャーに関わる用語の定義を図 6 に示し

た。

【相関解析】

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18

歩行機能の改善メカニズムを考察する目的で、膝関節機能の指標(JKOM、ロコモ 5)と

歩行機能の指標(通常歩行速度、ストライド長、ケイデンス、足角度(踵接地時)、足底角

度(つま先離地時、踵接地時))に関して、摂取前の測定値および摂取前から 16 週目にか

けての変化量について相関を評価した。

【統計解析】

データはすべて平均値±標準誤差で示した。連続変数の値(JKOM の VAS、場面ごとの

VAS、歩行機能の各項目)は、摂取前と摂取後の各時点の差を Dunnett’s-test で比較した。

順位変数の値(JKOM スコア、ロコモ 5、アンケート(転倒回数以外))は、摂取前と摂取

後の各時点の差を steel test で比較した。アンケート(転倒回数)は、摂取前と摂取後の各

時点の差を Wilcoxon 符号付順位和検定で比較した。相関解析では、連続変数の値同士の相

関に関しては、ピアソンの積率相関係数(r)を算出し、順位変数の値を含む相関に関して

は、スピアマンの順位相関係数(ρ)を算出した。0≦|r|, |ρ|<0.2 を「相関なし」、0.2≦|r|, |ρ|<

0.4 を「弱い相関あり」、0.4≦|r|, |ρ|<0.7 を「相関あり」、0.7≦|r|, |ρ|≦1.0 を「強い相関あ

り」とした。いずれの検定結果も有意水準を、5%(両側)とした。

第三章 結果

第一節 グルコサミン含有食品の膝関節機能に対する有効性(試験①)

【解析対象者】

選択基準、除外基準に基づき選抜した被験者 40 名(GCQ 群 20 名、P 群 20 名)のう

ち、P 群の 1 名が試験食品摂取開始 57 日目に交通事故による鞭打ちのために試験中止とな

ったため、残りの 39 名の被験者(GCQ 群 20 名、P 群 19 名)が有効性解析対象者となっ

た。このうち、VAS20mm 以上の膝関節は、安静時が GCQ 群 13 膝関節、P 群 10 膝関節、

歩行時が GCQ 群 29 膝関節、P 群 26 膝関節、階段昇降時が GCQ 群 30 膝関節、P 群 28 膝

関節であった。K-L 分類でグレードⅠ以下の者は 24 名(GCQ 群 13 名、P 群 11 名)であ

り、K-L 分類でグレードⅡ以上の者は 15 名(GCQ 群 7 名、P 群 8 名)であり、グレード

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Ⅲの者はいずれの群にも含まれていなかった。全例の被験者背景を表 1 に示した。いずれ

の項目も初期値に群間差は認められなかった。K-L 分類でグレードⅠ以下の者、K-L 分類

でグレードⅡ以上の者の被験者背景を表 2 に示した。K-L 分類でグレードⅠ以下の者で

は、JOA の疼痛・歩行能の項目に関して群間に有意な差が認められたが、その他のいずれ

の項目においても、群間に有意な差は認められなかった。

【JOA による評価】

JOA スコアの推移(全例)を表 3 に示した。GCQ 群では、摂取前からの比較で「疼痛・

歩行能」、「疼痛・階段昇降能」、「合計スコア」のそれぞれが少なくとも 8 週目以降に有意

に改善した。P 群では、摂取前からの比較で「疼痛・歩行能」、「疼痛・階段昇降能」、「合

計スコア」のそれぞれが少なくとも 12 週目以降に有意に改善した。「屈曲角度および強

直」および「腫脹」は、各摂取群内の摂取前からの比較で、いずれも有意な変化は認めら

れなかった(data not shown)。「疼痛・歩行能」、「疼痛・階段昇降能」、「合計」のそれぞれに

ついて、試験食品摂取前からの変化量の推移を図 1 に示した。「疼痛・歩行能」に関して

は、12 週、16 週の 2 時点で、P 群に対して GCQ 群で有意な増加、すなわち症状の改善が

認められた。「疼痛・階段昇降能」に関しては、16 週で P 群に対して GCQ 群で有意な増

加、すなわち症状の改善が認められた。「合計スコア」に関しては、12 週および 16 週で P

群に対して GCQ 群でスコアの有意な増加、すなわち症状の改善が認められた。

K-L 分類でグレード I 以下の者、グレード II 以上の者の「疼痛・歩行能」、「疼痛・階段

昇降能」および「合計スコア」の推移を表 4 に示した。K-L 分類のグレード I 以下の者で

は、GCQ 群で、0 週と比較して、「疼痛・歩行能」については摂取 8 週目以降に、「疼痛・

階段昇降能」については摂取 16 週目に、「合計スコア」については摂取 12 週目以降に有

意なスコアの上昇が認められたが、P 群では変動が認められなかった。K-L 分類のグレー

ド II 以上の者では、GCQ 群で、0 週と比較して、「疼痛・歩行能」および「合計スコア」

については摂取 16 週目に有意なスコアの上昇が認められたが、P 群では変動が認められ

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なかった。K-L 分類でグレード I 以下の者とグレード II 以上の者のいずれにおいても、試

験食品摂取後のいずれの時点のスコアにも群間に有意な差が認められなかった。

K-L 分類でグレード I 以下の者、グレード II 以上の者の「疼痛・歩行能」、「疼痛・階段

昇降能」および「合計スコア」の摂取前からの変化量を図 2 および図 3 に示した。K-L 分

類でグレード I 以下の者で、疼痛・歩行能については摂取 8 週目以降に、疼痛・階段昇降

能については摂取 16 週目に、合計スコアについては摂取 8 週目以降に群間に有意な差が

認められた。グレード II 以上の者では群間に有意な差はなかった。

【VAS による評価】

膝関節の痛みを VAS で評価した結果を表 5 に示した。GCQ 群では、摂取前との比較で

「安静時」、「歩行時」、「階段昇降時」の痛みに関するそれぞれの数値について、4 週以降

の全時点で有意な低下が認められた。P 群では、摂取前との比較で「安静時」の数値が 16

週時点で有意な低下が認められなかった以外は、「安静時」、「歩行時」、「階段昇降時」のそ

れぞれの数値について、4 週以降の全時点での有意な低下が認められた。「歩行時」に関し

ては、4 週に P 群に比べて GCQ 群で有意に高値を示したのに対し、16 週では P 群に比べ

て GCQ 群が有意に低値を示した。また、「階段昇降時」に関しては 16 週で P 群に比べて

GCQ 群の数値が有意に低値を示した。「安静時」、「歩行時」、「階段昇降時」のそれぞれに

ついて、試験食品摂取前からの変化量の推移を図 4 に示した。「歩行時」については、16

週で P 群に対して GCQ 群で有意な低下、すなわち症状の改善が認められた。「安静時」、

「階段昇降時」については、P 摂取群に対する GCQ 群の有意な変化は認められなかった。

K-L 分類でグレード I 以下の者、グレード II 以上の者の「疼痛・歩行能」、「疼痛・階段

昇降能」および「合計スコア」の推移を表 6 に示した。K-L 分類のグレード I 以下の者で

は、GCQ 群で、0 週と比較して、「疼痛・歩行能」については摂取 8 週目以降に、「疼痛・

階段昇降能」については摂取 16 週目に、「合計スコア」については摂取 12 週目以降に有

意なスコアの上昇が認められたが、P 群では変動が認められなかった。K-L 分類のグレー

ド II 以上の者では、GCQ 群で、0 週と比較して、「疼痛・歩行能」および「合計スコア」

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については摂取 16 週目に有意なスコアの上昇が認められたが、P 群では変動が認められ

なかった。K-L 分類でグレード I 以下の者とグレード II 以上の者のいずれにおいても、試

験食品摂取後のいずれの時点のスコアにも群間に有意な差が認められなかった。

【CII 代謝についての評価】

CII バイオマーカー(CPII、CTX-II)の測定値および CTX-II/CPII 比の推移についての共

分散分析結果を表 7 に示した。CTX-II、CPII、CTX-II/CPII の平均値は、いずれの時点にお

いても P 群に比べて GCQ 群で有意な変化は認められなかった。

第二節 グルコサミン含有食品の運動機能に対する有効性(試験②)

【解析対象者】

試験期間中に GCQID 群 1 名、P 群 1 名が有害事象により本試験の評価に影響を与えると

判断され、試験が中止された。また、GCQID 群 1 名が自己都合により試験から脱落した。

このため、試験を完了した被験者は 97 名(GCQID 群 48 名、P 群 49 名)となった。この

うち、統計解析計画書から逸脱した 15 名(GCQID 群 7 名、P 群 8 名)を解析除外対象者

とし、有効性解析対象者は 82 名(GCQID 群 41 名、P 群 41 名)とした。0 週における

JKOM の VAS が 20mm 以上の被験者は 48 名(GCQID 群 23 名、P 群 25 名)であった。0

週における JKOM の VAS が 20mm 以上かつ K-L 分類でグレードⅠ以下の者は 39 名

(GCQID 群 20 名、P 群 19 名)であり、K-L 分類でグレードⅡ以上の者は 9 名(GCQID

群 3 名、P 群 6 名)であった。有効性解析対象者および層別解析対象者(0 週における中

程度から重度の膝の痛みを有する被験者)のスクリーニング時の被験者背景を表 8、9 に示

した。いずれの項目も初期値に群間差は認められなかった。

【全例解析結果】

有効性解析対象者全例の 16 週間の介入期間における膝関節機能および運動機能の推移を

表 10 に示した。

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22

いずれの測定項目に関しても、群×摂取期間の交互作用はなかった。JKOM の VAS は、

0 週と比較していずれの群においても 8 週以降に有意に改善し、合計スコアは 0 週と比較

して、GCQID 群では 8 週以降に、P 群では 16 週に有意に改善した。JKOM の VAS および

合計スコアのいずれに関しても、各時点の測定値および変化量に群間差は認められなかっ

た。歩行時の膝の痛みの VAS の値は、GCQID 群では 8 週以降に、P 群では 12 週以降に有

意に改善したが、各時点の測定値および変化量に群間差は認められなかった。通常歩行速

度はいずれの群も 0 週と比較して 8 週以降に有意に上昇した。膝伸展筋力は GCQID 群の

み 0 週と比較して 8 週以降に有意に上昇した。運動機能のいずれの項目においても、各時

点の測定値および 0 週からの変化量に群間差は認められなかった。血中 25-OH ビタミン D

濃度はいずれの群もスクリーニング時と比較して 16 週に有意に上昇した(GCQID: 19.9 ±

0.9 ng/ml から 31.9 ± 0.8 ng/ml, P < 0.01, P: 20.1 ± 0.9 ng/ml から 28.5 ± 1.1 ng/ml, P < 0.01)

が、16 週時点の測定値は P 群に比べて GCQID 群で有意に上昇した(P < 0.05, d = 0.49)。

【層別解析結果】

0 週における中程度から重度の膝の痛みを有する被験者の 16 週間の介入期間における膝

関節機能および運動機能の測定値の推移を表 11 に示した。

血中 25-OH ビタミン D 濃度以外のいずれの測定項目に関しても、群×摂取期間の交互

作用はなかった。JKOM の VAS はいずれの群でも少なくとも 8 週以降に、合計スコアは

GCQID 群のみで 8 週以降に有意に改善したが、各時点の測定値に群間差は認められなかっ

た。歩行時の膝の痛みの VAS については、0 週と比較して、GCQID 群では 4 週以降に、P

群では 8 週以降に有意に改善した。通常歩行速度は 0 週と比較して P 群は 16 週のみで有

意に上昇し、GCQID 群は 8 週以降に有意に上昇した。膝伸展筋力は 0 週と比較して P 群で

16 週に、GCQID 群で 8 週以降に有意に上昇し(P < 0.05, d = 0.65)、8 週では P 群に比べて

GCQID 群で有意に上昇した。0 週からの変化量は、JKOM の VAS および膝伸展筋力には群

間差が認められなかったが(data not shown)、JKOM の合計スコアに関しては 8 週において P

群に比べて GCQID 群で有意に増加(改善)し(P < 0.05, r = 0.37)、通常歩行速度に関して

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23

は 16 週において P 群に比べて GCQID 群で有意に高値を示した(P < 0.05, d = 0.62)(図

5)。血中 25-OH ビタミン D 濃度には、群×摂取期間の交互作用があり、0 週から 16 週に

かけての変化量が P 群に比べて GCQID 群で有意に上昇した(GCQID:11.9±1.8 ng/ml、P:

6.9±1.3 ng/ml, P < 0.05, d = 0.80)。

K-L 分類によるサブ解析結果を表 12 に示した。JKOM の合計スコア、通常歩行速度のい

ずれに関しても、群×摂取期間の交互作用はなかった。K–L 分類のグレードⅡ以上の者

は、いずれの群でも JKOM の合計スコアに有意な変化はなかったが、0 週からの変化量

は、8 週において P 群に比べて GCQID 群で有意に増加(改善)した(P < 0.05, r = 0.74)。通

常歩行速度は P 群のみで 16 週に有意に上昇したが、0 週からの変化量は、16 週において P

群に比べて GCQID 群で有意ではないが上昇する傾向があった(P = 0.08)。K–L 分類のグレ

ードⅠ以下の者は、JKOM の合計スコアが GCQID 群のみで 0 週に比べて 16 週で有意に改

善し、通常歩行速度が GCQID 群のみで 0 週に比べて 16 週で有意に上昇した。通常歩行速

度の 0 週からの変化量は、16 週において P 群に比べて、GCQID 群で有意ではないが上昇

する傾向があった(P = 0.08)。さらに、K–L 分類のグレードⅠの者の解析を行うと、JKOM

の合計スコア、通常歩行速度のいずれに関しても、群×摂取期間の交互作用はなかった

が、JKOM の合計スコアの 0 週からの変化量は、8 週において P 群に比べて、GCQID 群で

有意に増加(改善)した(GCQID:-6.2±1.5 点、P:-1.8±0.9 点, P < 0.05, r = 0.42)。通常歩行

速度の 0 週からの変化量は、16 週において P 群に比べて、GCQID 群で有意に上昇した

(GCQID:1.36±0.05 m/s、P:1.21±0.02 m/s, P < 0.05, d = 0.68)。K–L 分類のグレード 0 の者

の解析については、JKOM の合計スコア、通常歩行速度のいずれに関しても、群×摂取期

間の交互作用はなく、有意な群間差も認められなかった(data not shown)。

第三節 グルコサミン含有食品の運動機能改善メカニズム(試験③)

【解析対象者】

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24

試験期間中に、1 名が突発性難聴により入院が必要となったため、試験責任医師の判断

で試験が中止された。このため、試験を完了した 29 名の被験者を解析対象とした。表 13

に被験者背景を示した。

【膝関節機能、運動機能の評価およびモーションキャプチャー解析】

膝関節機能についての結果を表 14 に示した。JKOM(VAS、合計スコア)、ロコモ 5、場

面ごとの VAS は、いずれも摂取前と比較して 4 週以降に有意にスコアが低下した。アンケ

ートで評価した「歩行時のつまずき」および「階段昇降時のつまずき」は、摂取前と比較

して 8 週以降に有意にスコアが低下し、「階段昇降時のつらさ」は、摂取前と比較して 12

週以降に有意にスコアが低下した。「転倒回数」には有意な低下が認められなかった(data

not shown)。

通常歩行速度測定とモーションキャプチャー検査についての評価の結果を表 15 に示し

た。摂取前と比較して 16 週に通常歩行速度は有意に上昇し、足角度(踵接地時)は有意に

低下した。摂取前と比較して 8 週以降にステップ長、ストライド長、足底角度(つま先離

地時、踵接地時)は有意に上昇し、立脚時間は有意に低下した。摂取前と比較して 8 週に

歩行時の膝の高さは有意に上昇した。その他のいずれの項目においても、各時点の測定値

に摂取前と比較して有意な差はなかった。

【相関解析】

相関解析結果を表 16、17 に示した。膝関節機能の相関解析では、0 週の測定値に関して

は、JKOM の VAS が JKOM の合計スコアとロコモ 5 の合計スコアと有意な正の相関を示

し、JKOM の合計スコアがロコモ 5 の合計スコアと有意な正の強い相関を示した。0 週か

ら 16 週にかけての変化量に関しても、JKOM の VAS が JKOM の合計スコアとロコモ 5 の

合計スコアと有意な正の相関を示し、JKOM の合計スコアがロコモ 5 の合計スコアと有意

な正の強い相関を示した。モーションキャプチャー測定項目の相関解析では、0 週の測定

値に関しては、通常歩行速度が、歩幅と有意な正の強い相関を示し、足底角度(つま先離

地時)、足底角度(踵接地時)と有意な正の相関を示した。また、ストライド長が、足底角

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度(つま先離地時)、足底角度(踵接地時)と有意な正の強い相関を示した。さらに、足底

角度(踵接地時)が、足角度(踵接地時)、足底角度(つま先離地時)とそれぞれ有意な負

の相関、正の相関を示した。0 週から 16 週にかけての変化量に関しては、通常歩行速度が

歩幅と有意な正の強い相関を示し、歩調(ケイデンス)および足底角度(つま先離地時)

と有意な正の相関を示した。また、ストライド長が足底角度(つま先離地時)、足底角度

(踵接地時)と有意な正の相関を示した。さらに、足底角度(踵接地時)が、足角度(踵

接地時)と有意な負の相関を示した。膝関節機能とモーションキャプチャー測定項目の相

関解析においては、摂取前から 16 週目にかけての変化量において、ストライド長がロコモ

5 の合計スコアおよび JKOM の合計スコアと有意な負の相関があった。その他、項目同士

に弱い相関があるものもあったが、いずれに関しても有意な相関ではなかった。

第四章 考察

本研究では、グルコサミン含有食品の膝関節機能、運動機能の改善効果およびそのメカ

ニズムを、膝関節痛を有する日本人成人男女を対象に、2 つのランダム化二重盲検プラセ

ボ対照並行群間比較試験(試験①、②)および 1 つのオープン試験(試験③)にて検証し

た。

その結果、試験①において JOA を用いた評価で GCQ を摂取することにより「疼痛・歩

行能」、「疼痛・階段昇降能」および合計スコアを改善した(表 3、図 1)。また、自覚症状

(VAS)による評価では、痛みを有する膝関節について評価を行い、「安静時」、「歩行

時」、「階段昇降時」の痛みに関するそれぞれの数値について、GCQ 群、P 群の両方とも摂

取期間中に有意な改善が認められたが、「歩行時」、「階段昇降時」については、16 週で P

群に対して GCQ 群で症状の改善が認められた(表 5、図 4)。これらの結果から、GCQ は膝

関節痛を有する被験者の痛み(特に歩行時、階段昇降時)を中心とした膝関節機能を改善

することが示唆された。また、JOA に関しては、K-L 分類のグレード I 以下の者と K-L 分

類のグレード II 以上の者のいずれにおいても、GCQ 群で 0 週と比較して有意な改善が認

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められたが、P 群では改善は認められなかった(表 4)。一方で、K-L 分類のグレード I 以

下の者において P 群と比較して GCQ 群で JOA の合計スコアの変化量に有意な改善が認め

られ(図 2)、K-L 分類のグレード II 以上の者では有意な群間差が認められなかったこと

から(図 3)、GCQ の膝関節機能改善効果は、特に K-L 分類のグレードⅠ以下の者で発揮し

易いことが明らかとなった。

試験①では、GCQ が軟骨代謝に与える影響についても検討を行うため、CII 代謝特異的

な軟骨バイオマーカーとして CII 分解マーカーである CTX-II および CII 合成マーカーであ

る CPII を用いた。CTX-II などの CII 分解マーカーは、実際にグルコサミン 45やコンドロ

イチン 46などの成分の軟骨保護作用の評価に用いられている。本試験において、CTX-II の

値および CTX-II/CII 比は 16 週で P 群に比べて GCQID 群で低下傾向(改善傾向)であった

が、有意な変化は認められなかったことから(それぞれ P = 0.125、P = 0.167)、今回の試

験の摂取期間においては、GCQ は CII 代謝変動に一部寄与していたものの、その影響は小

さいと考えられた。しかしながら、今回は 16 週という摂取期間で試験を行っているため、

これらのバイオマーカーに対する GCQ の有効性に関するより詳細な情報を得るために

は、摂取期間の延長によってこれらのマーカーの変動にどのような影響があるかを調べる

必要がある。以前の研究において、同様のグルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ケ

ルセチン配糖体を含有する食品を摂取することにより、摂取前に比べて関節液中のバイオ

マーカーが変動したとの報告もあるため 47、本試験に用いた CII 代謝マーカーについても

関節液中の挙動を調べることにより、その変動が検出できる可能性がある。

試験①において GCQ による膝関節機能改善効果が認められた生化学的メカニズムにつ

いては不明な部分が多いが、関与成分と考えるグルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫

酸、ケルセチン配糖体に関する報告には次のようなものがある。グルコサミン塩酸塩に

は、ウサギ変形性関節症モデル(前十字靭帯切断モデル)において関節軟骨のプロテオグ

リカン量およびグリコサミノグリカン量の減少が抑制されたという報告 48や、OA 発症に

より産生される IL-1β の影響で増加したプロスタグランジン E2、一酸化窒素およびマトリ

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ックスメタロプロテアーゼ(MMP)の産生を抑制することで OA による炎症や痛みを抑

え、軟骨破壊を予防する可能性についての報告がある 49,50。コンドロイチン硫酸には、前

駆軟骨細胞株(ATDC5)において総グルコサミノグリカン産生量を有意に上昇したという報

告 51や、コンドロイチン硫酸の分解物である不飽和二糖が、IL-1β で刺激した軟骨細胞の

NF-κB の産生を抑制し、その結果として、滑膜細胞の炎症性サイトカイン産生を抑制し、

関節症を改善しているという報告がある 52。ケルセチン配糖体に関しては、そのアグリコ

ンであるケルセチンに in vitro や in vivo で抗炎症作用を示すことが報告されている 34,35。こ

れらの成分の複合的な作用により、膝関節痛を有する被験者に対する GCQ の膝関節機能

改善効果が得られたと推察される。

試験②および試験③では、GCQ に筋肉への作用が期待される成分を強化した食品である

GCQID が膝関節機能や運動機能に与える影響およびその生物力学的メカニズムについて、

検討を行った。

試験②では、JKOM の合計スコアや歩行時の膝の痛みの VAS を用いた評価において、

GCQID を摂取することにより膝関節痛を有する被験者の膝関節機能を改善することが明ら

かとなった。P 群においても改善が見られたが、GCQID 群ではその効果がより強く、より

早く認められ(表 10)、特に 0 週における中程度から重度の膝の痛みを有する被験者で

は、JKOM の合計スコアの 0 週から 8 週の変化量が、P 群と比較して GCQID 群で有意な改

善が認められた(図 5)。また、K-L 分類のグレード別の解析において、0 週における中程

度から重度の膝の痛みを有しかつ K-L 分類のグレード I の者では、P 群と比較して GCQID

群で JKOM の合計スコアの 0 週から 8 週の変化量に有意な改善が認められたことから、

GCQID の膝関節機能改善効果は、特に中程度から重度の膝の痛みを有しかつ K-L 分類の

グレード I の者で発揮することが明らかとなった。GCQID には膝関節機能に影響を与える

成分が GCQ と同様に配合されているため、同様の生化学的メカニズムで膝関節機能が改

善したと考えられる。

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試験②では、膝伸展筋力と通常歩行速度を用いた評価において、GCQID を摂取すること

により膝関節痛を有する被験者の運動機能を改善することが明らかとなった。有効性解析

対象者の全例解析では、通常歩行速度はいずれの群においても 8 週以降に有意な上昇が認

められたが、膝伸展筋力は GCQID 群のみで有意な上昇が認められた(表 10)。特に 0 週に

おける中程度から重度の膝の痛みを有する被験者では、膝伸展筋力は、8 週の測定値が、P

群と比較して GCQID 群で有意に上昇し(表 11)、通常歩行速度の 0 週から 16 週の変化量

が、P 群と比較して GCQID 群で有意な上昇が認められた(図 5)。K-L 分類のグレード別

の解析において、0 週における中程度から重度の膝の痛みを有しかつ K-L 分類のグレード I

の者では、通常歩行速度の 16 週の測定値に P 群と比較して GCQID 群で有意な上昇が認め

られたことから、GCQID の運動機能改善効果は、特に 0 週における中程度から重度の膝の

痛みを有しかつ K-L 分類のグレード I の者で発揮することが明らかとなった。

試験②で運動機能改善効果が認められた生化学的メカニズムとしては、抗炎症薬による

膝関節痛の改善とともに運動機能が改善したという報告 41と同様に、先述の GCQID の膝

関節機能改善効果が一部寄与している可能性が示唆される。また、ケルセチン配糖体のア

グリコンであるケルセチンの in vivo での筋萎縮抑制作用 37やビタミン D の高齢者での運動

機能改善作用 38,39、イミダゾールペプチドの筋持久力上昇作用 40も一部寄与していると考

えられる。特に、GCQID による血中ビタミン D 濃度の上昇は今回の試験において捉えら

れ、GCQID の運動機能改善効果へのビタミン D の寄与が示唆されるが、P 群においても

16 週間の介入により有意に上昇した。血中ビタミン D 濃度は、日本において冬季の終わり

に最も低く夏季の終わりに最も高いという報告があるが 53、本試験は冬季から夏季にかけ

て試験を実施したため、試験期間後半での日常的な紫外線への暴露量の上昇による皮膚で

のビタミン D 合成量の上昇に起因して、P 群の血中ビタミン D 濃度も上昇したと考えられ

た。このビタミン D の血中濃度上昇が P 群における運動機能の改善に寄与していた可能性

はある。しかしながら、16 週間にわたる GCQID の摂取によって、P 群と比較して有意な

血中ビタミン D 濃度の上昇が認められており、GCQID の運動機能改善効果に対してビタ

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ミン D が一部寄与しているものと考えられる。ビタミン D は、高齢者での運動機能への作

用が知られているものの、OA 患者に対して 2 年間にわたり 1 日あたり 50ug のビタミン D

を単独で摂取させた試験において、血中ビタミン D 濃度が上昇したにもかかわらず膝関節

痛や運動機能に改善が認められなかったという報告がある 54。このことから、OA 患者の

ような膝関節痛を有する者にはビタミン D 単独では膝関節痛改善効果や運動機能改善効果

が認められにくいということが考えられる。今回は、膝関節痛の緩和を中心とした膝関節

機能を改善する成分との併用摂取によりビタミン D の作用をより引き出すことができたと

考えられる。

試験③では、GCQID の運動機能改善効果の生物力学的メカニズムを検証した。歩行速度

は歩幅と歩調により制御されるが 55、本試験において GCQID の摂取により通常歩行速度

や歩幅の上昇を中心とした各種歩行パラメータに変化が認められた中で、歩調(ケイデン

ス)は変化しなかった(表 15)。相関解析において、摂取前からの通常歩行速度の変化量と

ストライド長の変化量が強い正の相関を示し(表 16)、摂取前からの足底角度(つま先離地

時)の変化量と通常歩行速度およびストライド長の変化量がそれぞれ正の相関を示した(表

17)。足底角度(つま先離地時)は歩行時の蹴り出しの強さの指標になると考えられるが

(図 6)、GCQID 摂取によって足底角度(つま先離地時)が上昇することすなわち力強い蹴

りだしが出来るようになったことが歩幅を上昇させ、さらに通常歩行速度の上昇へと導い

た可能性が示唆される。GCQID の摂取によって立脚時間短縮が認められたが(表 15)、膝

OA 患者は立脚時間が延長すると報告があることから 5、本試験において、GCQID 摂取が

膝関節痛に起因する膝関節機能低下を改善したことが、立脚時間短縮に寄与した可能性が

あると考えられる。足角度(踵接地時)および足底角度(踵接地時)は、踵接地時に足の

つま先の高さの指標になると考えられるが(図 6)、GCQID 摂取によって足角度(踵接地

時)の低下および足底角度(踵接地時)の上昇が認められたことから、踵接地時につま先

がより上がった歩き方になったことが示唆された。アンケートにおいても、歩行時および

階段昇降時のつまずきのスコアが改善したことから、つま先が上がった歩き方をすること

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によって、実際に被験者の体感としてもつまずくことが少なくなったということが考えら

れた。しかしながら、本試験は 16 週間という短期間の試験のため、転倒回数を改善するに

は至らなかったが、長期間で試験を行うことでつまずきによる転倒リスクを軽減する可能

性もあると考えられるため、転倒リスク軽減効果を検証するためには、より長期間の試験

を行うことが望まれる。

本研究の主な限界を以下に挙げる。第一に、これまで世の中で行われているグルコサミ

ンの有効性を検証した臨床試験と比較して、いずれの試験も短期間でありサンプルサイズ

も小さかった。そのため、例えば、試験①における軟骨代謝に与える GCQ の影響や、試

験③の転倒回数に与える GCQID の影響については、明らかにならなかった。GCQ、

GCQID の膝関節機能または運動機能についてより詳細に検討するためには、より長期間か

つ大規模の試験を行うことが望まれる。第二に、いずれの試験においても膝関節機能また

は運動機能に影響を与える食品の摂取については制限をかけていたものの、詳細なモニタ

リングは行っておらず、本研究の中で確認された GCQ、GCQID の膝関節機能または運動

機能への有効性の一部はその影響を受けていた可能性は完全には否定できない。第三に、

GCQ または GCQID にはグルコサミン塩酸塩を始めとした複数の成分が含まれている為、

各成分が相乗的、または相加的に膝関節機能または運動機能を改善したと考えられるが、

詳しいメカニズムは不明である。これらの成分の寄与を明らかにするためには、それぞれ

の成分に対するメカニズム研究をより深く行う必要がある。第四に、試験③はオープンラ

ベル試験であることから、GCQID の作用はプラセボ効果を加味した結果であることが挙げ

られる。しかしながら、試験③における GCQID 摂取による通常歩行速度の上昇は、試験

②の GCQID 摂取による通常歩行速度の上昇幅とほぼ一致し、さらに試験②ではプラセボ

を摂取した場合と比較して有意に上昇したことから、試験③で GCQID によって得られた

結果はプラセボ効果を凌駕した効果であると十分に推察される。この点については、今

後、プラセボ対照比較試験を行うことで明らかになると考えられる。

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第五章 結論

グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸およびケルセチン配糖体を含む食品(GCQ)

は、膝関節痛を有する者に対して膝関節機能を改善する可能性が示された。また、GCQ に

ケルセチン配糖体、イミダゾールペプチド、ビタミン D を強化した食品(GCQID)は運動機

能を改善することが示され、その生物力学的メカニズムの一部が明らかになった。

謝辞

本研究をまとめるにあたり、多くの方々にご助力いただきましたことを、心より感謝申

し上げます。試験②の実施および本論文作成における熱心なご指導およびご助言を賜りま

した京都大学大学院人間・環境学研究科の森谷敏夫教授に甚大なる感謝の意を表します。

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37

図表

表 1 被験者背景(全例)

項目 単位

GCQ P

(n = 20) (n = 20)

男性:4 女性:16 男性:3 女性:17

年齢 (歳) 55.1 ± 10.9 58.3 ± 7.4

身長 (cm) 157.4 ± 5.6 157.3 ± 8.1

体重 (kg) 54.7 ± 9.5 56.2 ± 7.5

BMI (kg/m2) 22.0 ± 3.4 22.8 ± 0.8

収縮期血圧 (mmHg) 118.9 ± 16.5 127.8 ± 18.8

拡張期血圧 (mmHg) 73.3 ± 11.1 78.5 ± 12.4

JOA

疼痛・歩行能 (点) 47.8 ± 6.2 51.0 ± 3.8

疼痛・階段昇降能 (点) 38.0 ± 7.7 39.3 ± 6.3

合計スコア (点) 174.8 ± 13.7 178.0 ± 10.6

VAS

安静時 (mm) 30.4 ± 37.8 22.3 ± 20.9

歩行時 (mm) 68.7 ± 43.0 61.7 ± 37.5

階段昇降時 (mm) 86.3 ± 49.1 84.7 ± 46.8

K-L グレード(0, I, II) (名) 2, 11, 7 1, 11, 8

数値は平均値±標準偏差(K-L グレードを除く)。

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38

表 2 被験者背景(K-L 分類による層別解析)

K-L グレード ≦ I K-L グレード ≧ II

項目 単位

GCQ P GCQ P

(n = 13) (n = 11) (n = 7) (n = 8)

男性:2 女性:11 男性:2 女性:9 男性:2 女性:5 男性:1 女性:7

年齢 (歳) 53.2 ± 2.8 57.6 ± 1.3 58.4 ± 4.6 60.3 ± 3.6

身長 (cm) 156.0 ± 1.0 157.7 ± 2.3 160.1 ± 2.9 156.8 ± 3.4

体重 (kg) 55.8 ± 2.8 55.2 ± 2.5 52.5 ± 3.2 57.7 ± 2.5

BMI (kg/m2) 22.9 ± 1.0 22.2 ± 0.8 20.4 ± 0.9 23.7 ± 1.5

収縮期血圧 (mmHg) 116.2 ± 4.2 121.0 ± 4.4 124.0 ± 7.2 141.1 ± 5.5

拡張期血圧 (mmHg) 73.4 ± 3.0 77.0 ± 3.3 73.0 ± 4.6 83.5 ± 4.1

JOA

疼痛・歩行能 (点) 46.9 ± 2.0# 52.3 ± 0.8 49.3 ± 1.3 49.4 ± 1.8

疼痛・階段昇降能 (点) 36.9 ± 2.6 41.4 ± 1.0 40.0 ± 1.1 37.5 ± 3.0

合計スコア (点) 173.8 ± 4.4 181.8 ± 2.4 176.4 ± 3.6 173.8 ± 4.5

VAS

安静時 (mm) 19.1 ± 8.1 25.0 ± 6.4 51.5 ± 17.0 21.4 ± 7.5

歩行時 (mm) 62.1 ± 11.4 61.1 ± 13.3 80.9 ± 17.8 64.1 ± 11.1

階段昇降時 (mm) 77.9 ± 13.3 83.9 ± 15.9 101.9 ± 19.3 86.6 ± 15.7

K-L グレード (名) 0 : 2、I : 11 0 : 1、I : 10 II : 7 II : 8

数値は平均値±標準誤差(K-L グレードを除く)。

#P < 0.05 P 群と比較して有意差あり(Mann-Whitney U 検定)。

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表 3 JOA スコアの推移(全例)

項目 GCQ P

疼痛・歩行能 (点) 0 週 47.8 ± 6.2 51.1 ± 3.9

4 週 49.8 ± 7.0* 51.6 ± 4.4

8 週 54.5 ± 5.8** 55.0 ± 4.7**

12 週 57.0 ± 5.2** 55.5 ± 5.2**

16 週 58.0 ± 3.4** 56.1 ± 4.9**

疼痛・階段昇降能 (点) 0 週 38.0 ± 7.7 39.7 ± 6.1

4 週 38.8 ± 8.4 39.7 ± 6.1

8 週 41.3 ± 5.1* 41.8 ± 5.1

12 週 43.5 ± 6.1** 42.4 ± 5.6*

16 週 45.8 ± 5.4** 43.2 ± 5.6**

合計スコア (点) 0 週 174.8 ± 13.7 178.4 ± 10.7

4 週 177.5 ± 14.9* 179.5 ± 10.8

8 週 184.8 ± 9.4** 185.3 ± 9.6**

12 週 189.5 ± 10.2** 186.3 ± 10.5**

16 週 193.0 ± 7.3** 187.9 ± 10.2**

数値は平均値±標準偏差、解析対象者数は、GCQ 群:n = 20、P 群:n = 19。

*P < 0.05、**P < 0.01 0 週と比較して有意差あり(Wilcoxon 符号付順位和検定)。

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40

表 4 JOA スコアの推移(K-L 分類による層別解析)

項目 K-L グレード ≦ I K-L グレード ≧ II

GCQ P GCQ P

疼痛・歩行能 (点) 0 週 46.9 ± 2.0# 52.3 ± 0.8 49.3 ± 1.3 49.4 ± 1.8

4 週 49.2 ± 2.3 52.7 ± 0.8 50.7 ± 1.7 50.0 ± 2.1

8 週 54.6 ± 1.8* 55.5 ± 1.4 54.3 ± 1.7 54.4 ± 1.8

12 週 57.3 ± 1.6** 55.5 ± 1.7 56.4 ± 1.8 55.6 ± 1.8

16 週 58.1 ± 0.9** 56.4 ± 1.5 57.9 ± 1.5* 55.6 ± 1.8

疼痛・階段昇降能 (点) 0 週 36.9 ± 2.6 41.4 ± 1.0 40.0 ± 1.1 37.5 ± 3.0

4 週 36.9 ± 2.6 41.4 ± 1.0 42.1 ± 2.1 37.5 ± 3.0

8 週 39.6 ± 1.3 42.3 ± 1.2 44.3 ± 1.7 41.3 ± 2.3

12 週 42.3 ± 1.8 42.7 ± 1.7 45.7 ± 1.7 41.9 ± 2.1

16 週 45.4 ± 1.6** 44.1 ± 1.6 46.4 ± 1.8 41.9 ± 2.1

合計スコア (点) 0 週 173.8 ± 4.4 181.8 ± 2.4 176.4 ± 3.6 173.8 ± 4.5

4 週 176.2 ± 4.5 183.2 ± 2.1 180.0 ± 4.9 174.4 ± 4.8

8 週 184.2 ± 2.6 186.8 ± 2.9 185.7 ± 3.7 183.1 ± 3.5

12 週 189.6 ± 3.0** 187.3 ± 3.6 189.3 ± 3.8 185.0 ± 3.1

16 週 193.5 ± 2.1** 189.5 ± 3.4 192.1 ± 2.6* 185.6 ± 3.1

平均値±標準誤差、解析対象者数は以下の通り。

K-L グレード ≦ I, GCQ 群:n = 13、P 群:n = 11。

K-L グレード ≧ II, GCQ 群:n = 7、P 群:n = 8。

*P < 0.05、**P < 0.01 0 週と比較して有意差あり(steel 検定)。

#P < 0.05 P 群と比較して有意差あり(Mann-Whitney U 検定)。

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41

表 5 膝関節の痛みの VAS の推移(全例)

項目 GCQ P

安静時 (mm) 0 週 40.9 ± 14.0 32.5 ± 7.4

4 週 28.0 ± 17.0* 18.2 ± 16.9*

8 週 26.2 ± 27.3* 17.5 ± 21.4*

12 週 21.3 ± 24.2** 10.3 ± 12.2**

16 週 8.6 ± 15.1** 20.2 ± 28.6

歩行時 (mm) 0 週 45.9 ± 18.5 44.1 ± 18.2

4 週 34.9 ± 26.6* # 22.8 ± 16.4**

8 週 24.6 ± 23.2** 22.6 ± 18.9**

12 週 17.9 ± 14.8** 20.3 ± 17.9**

16 週 8.3 ± 13.1** # 20.9 ± 22.7**

階段昇降時 (mm) 0 週 56.0 ± 22.1 56.1 ± 20.9

4 週 41.2 ± 28.1* 31.3 ± 19.3**

8 週 28.0 ± 23.7** 28.8 ± 23.0**

12 週 21.5 ± 17.4** 23.9 ± 21.2**

16 週 10.8 ± 14.1** # 22.8 ± 23.0**

数値は平均値±標準偏差、解析対象膝関節数は、以下の通り。

安静時;GCQ 群:n = 13、P 群:n = 10、歩行時;GCQ 群:n = 29、P 群:n = 26、昇降

時;GCQ 群:n = 30、P 群:n = 28。

*P < 0.05、**P < 0.01 0 週と比較して有意差あり(対応のある t 検定)。

#P < 0.05 P 群と比較して有意差あり(対応のない t 検定)

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42

表 6 膝関節の痛みの VAS の推移(K-L 分類による層別解析)

項目 K-L グレード ≦ I K-L グレード ≧ II

GCQ P GCQ P

安静時 (mm) 0 週 19.1 ± 8.1 25.0 ± 6.4 51.5 ± 17.0 21.4 ± 7.5

4 週 12.0 ± 4.7 15.6 ± 5.6 42.0 ± 16.2 20.4 ± 9.6

8 週 14.4 ± 7.2 16.6 ± 7.4 36.7 ± 19.2 20.2 ± 8.8

12 週 11.9 ± 5.4 18.0 ± 7.5 30.4 ± 18.7 14.5 ± 7.6

16 週 8.7 ± 6.4 23.6 ± 10.2 5.0 ± 1.5* 19.8 ± 10.6

歩行時 (mm) 0 週 62.1 ± 11.4 61.1 ± 13.3 80.9 ± 17.8 64.1 ± 11.1

4 週 45.1 ± 14.4 25.5 ± 5.8* 69.8 ± 19.1 42.9 ± 9.3

8 週 42.2 ± 13.4 35.9 ± 12.0 30.6 ± 7.6* 37.4 ± 9.3

12 週 25.9 ± 7.8** 33.1 ± 11.8 29.8 ± 9.8** 31.1 ± 9.2*

16 週 13.2 ± 7.7** 32.7 ± 13.1 11.9 ± 4.1** 33.3 ± 10.9

階段昇降時 (mm) 0 週 77.9 ± 13.3 83.9 ± 15.9 101.9 ± 19.3 86.6 ± 15.7

4 週 56.8 ± 15.0 38.3 ± 6.6** 77.3 ± 22.5 62.8 ± 12.8

8 週 46.9 ± 13.4* 45.9 ± 15.4* 37.9 ± 10.4** 49.7 ± 13.5*

12 週 34.3 ± 9.7** 39.4 ± 13.2** 32.6 ± 11.5** 39.7 ± 11.5**

16 週 19.3 ± 7.9** 36.4 ± 14.3** 12.8 ± 4.9** 40.1 ± 12.0**

平均値±標準誤差、解析対象者数は以下の通り。

K-L グレード ≦ I, GCQ 群:n = 13、P 群:n = 11。

K-L グレード ≧ II, GCQ 群:n = 7、P 群:n = 8。

*P < 0.05、**P < 0.01 0 週と比較して有意差あり(Dunnett 検定)。

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43

表 7 CII バイオマーカーの共分散分析結果の推移

項目 GCQ P

CTX-II(ng/mmol Cr) 0 週 353.2

8 週 370.2 ± 23.0 354.0 ± 23.6

12 週 361.3 ± 29.7 358.9 ± 30.5

16 週 316.0 ± 21.1 364.2 ± 21.7

CPII(ng/mL) 0 週 1319

8 週 1371 ± 36 1366 ± 37

12 週 1393 ± 41 1391 ± 42

16 週 1428 ± 49 1446 ± 50

CTX-II/CPII 0 週 1.53

8 週 1.61 ± 0.12 1.56 ± 0.12

12 週 1.50 ± 0.13 1.59 ± 0.14

16 週 1.27 ± 0.10 1.47 ± 0.10

数値は平均値±標準偏差、解析対象者数は、GCQ 群:n = 20、P 群:n = 19。

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44

表 8 被験者背景(全例)

項目 単位

GCQID

(n = 50)

男性:22 女性:28

P

(n = 50)

男性:22 女性:28

年齢 (歳) 51.9 ± 1.2 51.6 ± 1.1

身長 (cm) 162.0 ± 1.0 163.0 ± 1.2

体重 (kg) 60.3 ± 1.3 62.3 ± 1.3

BMI (kg/m2) 22.9 ± 0.5 23.3 ± 0.5

収縮期血圧 (mmHg) 129.7 ± 2.1 125.7 ± 2.2

拡張期血圧 (mmHg) 81.1 ± 1.5 80.2 ± 1.5

通常歩行速度 (m/s) 1.28 ± 0.02 1.29 ± 0.02

膝伸展筋力 (%体重) 100.0 ± 5.2 93.1 ± 5.3

JOA 合計スコア (点) 180.4 ± 1.3 177.9 ± 2.0

歩行時の膝の痛みのVAS (mm) 25.5 ± 3.0 21.3 ± 2.7

一週間の平均歩数 (歩/日) 6,511 ± 465 6,192 ± 446

K-Lグレード (0, I, II) (名) 14 , 25, 11 16, 23, 11

数値は平均値±標準誤差(K-L グレードを除く)。

膝伸展筋力は両膝について測定し、両膝の合計筋力が示されている。

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45

表 9 被験者背景(試験食品摂取前に中程度から重度の膝の痛みを有する被験者)

項目 単位

GCQID

(n = 23)

男性:9 女性:14

P

(n = 25)

男性:12 女性:13

年齢 (歳) 51.5 ± 1.7 50.6 ± 1.4

身長 (cm) 162.3 ± 1.7 163.8 ± 1.7

体重 (kg) 63.1 ± 2.8 62.9 ± 2.3

BMI (kg/m2) 23.8 ± 0.7 23.4 ± 0.7

収縮期血圧 (mmHg) 131.1 ± 3.6 126.6 ± 3.2

拡張期血圧 (mmHg) 82.7 ± 2.5 82.4 ± 2.5

通常歩行速度 (m/s) 1.26 ± 0.04 1.25 ± 0.03

膝伸展筋力 (%体重) 93.4 ± 6.7 81.5 ± 7.6

JOA 合計スコア (点) 178.9 ± 2.0 175.4 ± 2.9

歩行時の膝の痛みのVAS (mm) 33.3 ± 4.3 24.5 ± 3.0

一週間の平均歩数 (歩/日) 6,221 ± 510 6,386 ± 599

K-Lグレード (0, I, II) (名) 6, 14, 3 7, 12, 6

数値は平均値±標準誤差(K-L グレードを除く)。

膝伸展筋力は両膝について測定し、両膝の合計筋力が示されている。

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46

表 10 有効性解析対象者の膝関節機能および運動機能の推移

項目 各時点での測定値

Two way ANOVA

(群×摂取期間)

0週 4週 8週 12週 16週 P 値

JKOM

(I) 膝の痛みの程度のVAS (mm)

GCQID 27.0 ± 3.4 24.2 ± 3.1 17.1 ± 2.5 * 14.0 ± 3.0 ** 9.8 ± 2.3 ** 0.939

P 28.5 ± 3.0 24.2 ± 3.3 18.7 ± 3.2 * 13.0 ± 2.5 ** 11.4 ± 2.1 **

(II-V) 合計スコア (点)

GCQID 14.0 ± 1.6 11.8 ± 1.5 9.2 ± 1.0 * 9.1 ± 1.2 ** 8.5 ± 1.1 ** 0.362

P 13.0 ± 1.0 12.6 ± 1.1 11.0 ± 1.1 10.5 ± 1.2 9.3 ± 0.9 *

歩行時の膝の痛みのVAS (mm)

GCQID 23.7 ± 3.3 16.2 ± 2.8 12.5 ± 2.5 ** 9.6 ± 2.3 ** 7.1 ± 2.2 ** 0.216

P 18.6 ± 2.2 16.1 ± 2.9 15.0 ± 3.1 11.6 ± 2.3 * 7.3 ±1.6 **

通常歩行速度 (m/s)

GCQID 1.28 ± 0.03 1.32 ± 0.03 * 1.35 ± 0.02 ** 0.524

P 1.28 ± 0.02 1.32 ± 0.02 * 1.33 ± 0.02 **

膝伸展筋力 (%体重)

GCQID 95.9 ± 5.0 104.6 ± 5.0 * 104.5 ± 4.9 * 0.546

P 88.1 ± 5.8 92.3 ± 5.5 92.6 ± 5.6

数値は平均値±標準誤差(K-L グレードを除く)、解析対象者数は、GCQID 群:n = 41、P 群:n = 41。

*P < 0.05、**P < 0.01(JKOM の VAS、歩行時の膝の痛みの VAS、通常歩行速度、膝伸展筋力:Dunnett 検定、JKOM 合計スコア:steel 検定)

膝伸展筋力は両膝について測定し、両膝の合計筋力が示されている。

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表 11 試験食品摂取前に中程度から重度の膝の痛みを有する被験者の膝関節機能および運動機能の推移

項目 各時点での測定値

Two way ANOVA

(群×摂取期間)

0週 4週 8週 12週 16週 P 値

JKOM

(I) 膝の痛みの程度のVAS (mm)

GCQID 41.5 ± 4.0 31.2 ± 4.3 19.9 ± 2.9 ** 15.4 ± 4.4 ** 9.9 ± 3.4 ** 0.490

P 40.0 ± 3.1 28.6 ± 3.9 * 22.4 ± 3.5 ** 18.5 ± 3.7 ** 16.4 ± 3.0 **

(II-V) 合計スコア (点)

GCQID 17.6 ± 2.5 14.3 ± 2.5 10.3 ± 1.5 * 10.7 ± 2.0 ** 9.2 ± 1.7 ** 0.169

P 15.2 ± 1.3 13.7 ± 1.6 13.3 ± 1.6 12.2 ± 1.7 10.6 ± 1.2

歩行時の膝の痛みのVAS (mm)

GCQID 33.3 ± 4.3 22.2 ± 4.3 * 14.3 ± 3.4 ** 12.0 ± 3.9 ** 8.7 ± 3.8 ** 0.067

P 24.5 ± 3.0 20.0 ± 3.7 17.9 ± 3.4 * 16.6 ± 3.4 * 9.6 ± 2.4 **

通常歩行速度 (m/s)

GCQID 1.26 ± 0.04 1.32 ± 0.04 * 1.37 ± 0.04 ** 0.095

P 1.25 ± 0.03 1.28 ± 0.03 1.30 ± 0.03 *

膝伸展筋力 (%体重)

GCQID 93.4 ± 6.7 108.4 ± 5.3 ** # 109.8 ± 5.6 ** 0.330

P 81.5 ± 7.6 88.0 ± 7.3 92.0 ± 7.8 **

数値は平均値±標準誤差(K-L グレードを除く)、解析対象者数は、GCQID 群:n = 23、P 群:n = 25。

*P < 0.05、**P < 0.01(JKOM の VAS、歩行時の膝の痛みの VAS、通常歩行速度、膝伸展筋力:Dunnett 検定、JKOM 合計スコア:steel 検定)

#P < 0.05 P 群と比較して有意差あり(対応のない t 検定)。膝伸展筋力は両膝について測定し、両膝の合計筋力が示されている。

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表 12 試験食品摂取前に中程度から重度の膝の痛みを有する被験者の膝関節機能および運動機能の推移(K-L 分類による層別解析)

項目 各時点での測定値

Two way ANOVA

(群×摂取期間)

0週 4週 8週 12週 16週 P 値

K-Lグレード ≧ II

JKOM 合計スコア (点)

GCQID 29.7 ± 14.8 24.3 ± 14.9 9.3 ± 2.4 9.3 ± 1.5 8.0 ± 2.6 0.082

P 13.7 ± 2.6 12.0 ± 3.4 14.2 ± 3.8 13.0 ± 5.3 9.3 ± 2.8

通常歩行速度 (m/s)

GCQID 1.16 ± 0.07 1.31 ± 0.13 1.35 ± 0.08 0.064

P 1.28 ± 0.04 1.30 ± 0.05 1.35 ± 0.06 *

K-Lグレード ≦ I

JKOM 合計スコア (点)

GCQID 15.8 ± 1.8 12.9 ± 2.0 10.5 ± 1.7 10.9 ± 2.3 9.4 ± 1.9 * 0.634

P 15.7 ± 1.5 14.3 ± 2.0 13.1 ± 1.8 11.9 ± 1.6 11.0 ± 1.4

通常歩行速度 (m/s)

GCQID 1.27 ± 0.04 1.33 ± 0.05 1.37 ± 0.04 ** 0.193

P 1.25 ± 0.04 1.28 ± 0.04 1.28 ± 0.04

数値は平均値±標準誤差(K-L グレードを除く)、解析対象者数は、以下の通り。

K-L グレード ≦ I, GCQID 群:20 名、P 群:19 名。

K-L グレード ≧ II, GCQID 群:3 名、P 群:6 名。

*P < 0.05、**P < 0.01 0 週と比較して有意差あり(JKOM 合計スコア:steel 検定、通常歩行速度:Dunnett 検定)

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表 13 被験者背景(有効性解析対象者)

項目 単位 数値

被験者数 (名) 29

年齢 (歳) 56.9 ± 1.9

性別 (男性 / 女性) (名) 14 / 15

身長 (cm) 161.66 ± 1.74

体重 (kg) 62.59 ± 2.12

BMI (kg/m2) 23.83 ± 0.59

収縮期血圧 (mmHg) 120.4 ± 2.5

拡張期血圧 (mmHg) 73.3 ± 1.6

JKOM (I) 膝の痛みの程度のVAS (mm) 59.7 ± 3.8

JKOM (II-V) 合計スコア (点) 37.0 ± 2.2

JOA 合計スコア (点) 165.9 ± 3.4

ロコモ5 合計スコア (点) 9.2 ± 0.6

K-Lグレード(0, I, II) (名) 2, 22, 5

通常歩行速度 (m/s) 0.98 ± 0.05

ステップ長 (cm) 52.81 ± 2.22

ストライド長 (cm) 104.97 ± 4.33

歩調(ケイデンス) (歩/分) 134.94 ± 2.81

立脚時間 (秒) 0.67 ± 0.02

遊脚時間 (秒) 0.45 ± 0.01

足角度(踵接地時) (度) 98.01 ± 0.65

足底角度(つま先離地時) (度) 36.01 ± 1.06

足底角度(踵接地時) (度) 17.52 ± 0.82

数値は平均値 ± 標準誤差(被験者数、性別および K-L分類以外)。

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表 14 有効性解析対象者の膝関節機能の推移

項目 各時点での測定値

0週 4週 8週 12週 16週

JKOM (I) VAS(mm) 59.7 ± 3.8 30.9 ± 3.9** 25.2 ± 3.8** 25.9 ± 4.1** 16.0 ± 3.5**

JKOM (II-V) 合計スコア(点) 38.0 ± 2.5 23.6 ± 2.2** 20.9 ± 2.4** 19.7 ± 2.2** 15.9 ± 2.0**

ロコモ5 合計スコア(点) 9.2 ± 0.6 6.5 ± 0.6* 5.7 ± 0.6** 5.1 ± 0.6** 4.6 ± 0.6**

VAS 安静時 右膝(mm) 26.9 ± 5.4 11.9 ± 3.4** 8.0 ± 2.9** 9.1 ± 3.0** 5.0 ± 1.9**

VAS 安静時 左膝(mm) 23.4 ± 4.7 9.6 ± 2.7** 8.8 ± 3.2** 10.5 ± 3.4** 5.3 ± 2.5**

VAS 歩行時 右膝(mm) 45.4 ± 5.3 19.4 ± 3.7** 15.7 ± 3.6** 17.0 ± 3.5** 10.4 ± 2.9**

VAS 歩行時 左膝(mm) 39.0 ± 5.3 21.1 ± 4.3** 15.4 ± 3.9** 17.4 ± 4.3** 11.8 ± 3.8**

VAS 階段昇降時 右膝(mm) 53.4 ± 6.0 31.7 ± 5.3** 24.6 ± 4.7** 23.7 ± 4.7** 13.3 ± 3.1**

VAS 階段昇降時 左膝(mm) 45.6 ± 5.4 27.1 ± 5.0** 21.6 ± 4.4** 21.4 ± 5.1** 14.8 ± 3.8**

歩行時のつまずき(点) 2.7 ± 0.2 2.3 ± 0.2 2.1 ± 0.2* 1.9 ± 0.2** 2.0 ± 0.1*

階段昇降時のつまずき(点) 2.6 ± 0.2 2.1 ± 0.2 1.8 ± 0.1* 1.8 ± 0.2* 1.7 ± 0.1**

階段昇降時のつらさ(点) 3.6 ± 0.2 3.2 ± 0.2 3.0 ± 0.2 2.9 ± 0.2* 2.4 ± 0.2**

数値は平均値 ± 標準誤差、解析対象者数は、n = 29。

*P < 0.05、**P < 0.01 0 週と比較して有意差あり。

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表 15 有効性解析対象者の歩行機能の推移

項目 各時点の測定値

0週 8週 16週

通常歩行速度(m/s) 0.98 ± 0.05 1.02 ± 0.04 1.10 ± 0.04**

ステップ長(cm) 52.81 ± 2.22 55.05 ± 2.12* 58.18 ± 1.85**

ストライド長(cm) 104.97 ± 4.33 109.54 ± 4.17* 115.33 ± 3.73**

歩調(ケイデンス)(歩/分) 134.94 ± 2.81 135.59 ± 2.59 135.32 ± 3.01

立脚時間(秒) 0.67 ± 0.02 0.64 ± 0.01** 0.63 ± 0.01**

遊脚時間(秒) 0.45 ± 0.01 0.45 ± 0.01 0.45 ± 0.01

足角度(踵接地時)(度) 98.01 ± 0.65 97.31 ± 0.61 96.65 ± 0.49*

足底角度(つま先離地時)(度) 36.01 ± 1.06 38.25 ± 0.93* 39.47 ± 0.84**

足底角度(踵接地時)(度) 17.52 ± 0.82 17.46 ± 0.92 19.02 ± 0.88**

数値は平均値 ± 標準誤差、解析対象者数は、n = 29。

*P < 0.05、**P < 0.01 0 週と比較して有意差あり。

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表 16 相関解析結果(0 週の測定値)

通常

歩行速度

ストライ

ド長

ケイデン

足角度

(踵接地時)

足底角度

(つま先離

地時)

足底角度

(踵接地時)

JKOM

VAS

JKOM

合計

スコア

ロコモ 5

合計

スコア

通常歩行速度 -

ストライド長 0.914** -

ケイデンス 0.155 -0.200 -

足角度(踵接地時) -0.099 -0.191 0.219 -

足底角度(つま先離地時) 0.659** 0.755** -0.288 -0.268 -

足底角度(踵接地時) 0.615** 0.741** -0.336 -0.443* 0.494** -

JKOM VAS 0.006 0.030 0.069 -0.011 0.127 0.090 -

JKOM 合計スコア -0.261 -0.169 -0.060 -0.121 0.104 0.099 0.629** -

ロコモ 5 合計スコア -0.334 -0.240 -0.125 -0.078 0.139 0.010 0.567** 0.835** -

数値はピアソンの積率相関係数(r)またはスピアマンの順位相関係数(ρ)。

*P < 0.05、**P < 0.01 有意な相関あり。

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表 17 相関解析結果(0 週から 16 週の変化量)

通常

歩行速度

ストライ

ド長

ケイデン

足角度

(踵接地時)

足底角度

(つま先離

地時)

足底角度

(踵接地時)

JKOM

VAS

JKOM

合計

スコア

ロコモ 5

合計

スコア

通常歩行速度 -

ストライド長 0.866** -

ケイデンス 0.440* 0.229 -

足角度(踵接地時) -0.223 -0.222 -0.086 -

足底角度(つま先離地時) 0.656** 0.665** 0.232 -0.123 -

足底角度(踵接地時) 0.326 0.418* -0.083 -0.534** -0.111 -

JKOM VAS -0.117 -0.131 0.024 0.016 -0.194 0.103 -

JKOM 合計スコア -0.263 -0.440* 0.026 -0.042 -0.234 0.007 0.491** -

ロコモ 5 合計スコア -0.300 -0.420* 0.044 -0.121 -0.133 0.052 0.599** 0.768** -

数値はピアソンの積率相関係数(r)またはスピアマンの順位相関係数(ρ)。

*P < 0.05、**P < 0.01 有意な相関あり。

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図 1 JOA((A)「疼痛・歩行能」、(B)「疼痛・階段昇降能」および(C)「合計スコア」)の

0 週から各週への変化量の推移(全例)

数値は平均値±標準偏差、解析対象数は GCQ 群(•):n = 20、P 群(◦):n = 19。

#P < 0.05、##P < 0.01 P 群と比較して有意差あり(Mann-Whitney U 検定)。

A B

C

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図 2 JOA((A)「疼痛・歩行能」、(B)「疼痛・階段昇降能」および(C)「合計スコア」)の

0 週から各週への変化量の推移(K-L グレード ≦ I の被験者)

数値は平均値±標準誤差、解析対象数は GCQ 群(•):n = 13、P 群(◦):n = 11。

#P < 0.05、##P < 0.01 P 群と比較して有意差あり(Mann-Whitney U 検定)。

A B

C

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図 3 JOA((A)「疼痛・歩行能」、(B)「疼痛・階段昇降能」および(C)「合計スコア」)の

0 週から各週への変化量の推移(K-L グレード ≧ II の被験者)

数値は平均値±標準誤差、解析対象数は GCQ 群(•):n = 7、P 群(◦):n = 8。

A B

C

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図 4 膝関節の痛みの VAS((A)「安静時」、(B)「歩行時」、(C)「階段昇降時」)の 0 週か

ら各週への変化量の推移(全例)

数値は平均値±標準偏差。

GCQ 群(•)および P 群(◦)の解析対象膝関節数は、以下の通り。

安静時;GCQ 群:n = 13、P 群:n = 10、歩行時;GCQ 群:n = 29、P 群:n = 26、昇降

時;GCQ 群:n = 30、P 群:n = 28。

#P < 0.05 P 群と比較して有意差あり(Mann-Whitney U 検定)。

A B

C

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図 5 (A) JKOM (II–V) 合計スコア、(B) 通常歩行速度の 0 週から各週への変化量の推移

数値は平均値±標準誤差、解析対象数は GCQID 群(•):n = 23、P 群(◦):n = 25。

#P < 0.05 P 群と比較して有意差あり(JKOM:Mann-Whitney U 検定、通常歩行速度:対応

のない t 検定)。

A B

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右踵接地時 右つま先離地時

右立脚期 右遊脚期

左遊脚期 左立脚期

左つま先離地時 左踵接地時

項目 定義

ステップ長 歩行時の、一側の踵接地から次の他側の着地した踵接地までの距離

ストライド長 歩行時の、同側の踵接地から次に着地した踵接地までの距離

歩調(ケイデンス) 歩行時の、1分間あたりの歩数

立脚期 歩行時の、足が床に接地している間

遊脚期 歩行時の、足が床から離れている間

立脚時間 1歩行周期あたりの立脚期の時間

遊脚時間 1歩行周期あたりの遊脚期の時間

足角度(踵接地時) 踵接地時の、膝関節中心と足関節中心を結んだ線分と、足関節中心

とつま先を結んだ線分のなす角度

足底角度(つま先離地時) つま先離地時の、床と、踵とつま先を結んだ線分のなす角度

足底角度(踵接地時) 踵接地時の、床と、踵とつま先を結んだ線分のなす角度

図6 モーションキャプチャーに係わる用語の定義