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Title 気液接触装置の流動特性に関する研究( Dissertation_全文 ) Author(s) 赤木, 靖春 Citation Kyoto University (京都大学) Issue Date 1978-07-24 URL https://doi.org/10.14989/doctor.r3641 Right Type Thesis or Dissertation Textversion author Kyoto University

Title 気液接触装置の流動特性に関する研究( …...日 次 序 論 1.既往の研究の概要 2.本研究の「1的 第i編 気液接触装置の安定操作域 緒

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  • Title 気液接触装置の流動特性に関する研究( Dissertation_全文 )

    Author(s) 赤木, 靖春

    Citation Kyoto University (京都大学)

    Issue Date 1978-07-24

    URL https://doi.org/10.14989/doctor.r3641

    Right

    Type Thesis or Dissertation

    Textversion author

    Kyoto University

  • 気液接触装置の流動特性に関する研究

    1977年10月

    春靖木赤

  • 気液接触装置の流動特性に関する研究

    1977年10月

    春靖木赤

  •             日       次

    序   論

     1.既往の研究の概要

     2.本研究の「1的

    第i編 気液接触装置の安定操作域

     緒   論

     第1章 段塔の棚段上に液が停滞し始める気液流速

      緒   言

      1-1 実験装置および実験方法

       1-1-1 モデルトレイによる実験

       1-1-2 段塔による実験

      1-2 液停滞の始まる現象

      1-3 実験結果

       1-3-1 液流下に用いられる孔数の全孔数に対する比(τ5)

       1-3-2 液が停滞し始める気液流速(Ztah , Z(lh)-

      1-4 実験結果の整理

       1-4-1 モデルトレイ

       1-4-2多孔板   1-4-3 ターボグリノドトレイ

      結   言

     第2章 充填塔および濡壁塔のフラッディンク速度

      緒   言

      2-1 既往の研究の概要

       2-1-1 フラッディング点の判定

    122   1 

    ll

    ll

    ll

  •  2-1-2 充墳塔および濡壁塔のフラッディング速度

    2-2 充墳塔および濡壁塔のフラッディング速度の相関

    結   言 ……

    24.8444

    第3章 各種段塔のフラッディング速度と安定操作域

     緒   言

     3-1 既往の研究の概要

     3-2 実験装置および実験方法

      3-2-1 実験に用いたトレイ

      3-2-2 実験装置および実験方法

     3-3 実験結果

      3-3-1 フラッディソグ点の判定

      3-3-2 フラッディング速度およびこれにおよぼすトレイ

            形状および液物性の影響

     3-4 フラッディング速度の相関

     3-5 十字流型段塔のフラッディング速度の相関

     3-6 向流型段塔の液停滞の始まる気液流速

     3-7 向流型段塔の安定操作域

     結   言

    結 論

    第2編気液接触装置のガス側圧力損失と液ホールドアップ

     緒   論

    第4章 旋回流トレイのガス側圧力損失と液ホールドアップ

     緒言……- 4-1 トレイ上の液ホールドアップに関する既往の研究

     4-2 実験装置および実験方法一一一t・-t

    5555555

    704与489566666

    71

    75

    66Q∨7776

  •   4-2-1 旋回流トレイ

      4-2-2 ガス側圧力損失と液ホールドアップの測定’・

      4-2-3 液側抵抗係数の測定

     4-3 泡沫層の挙動とガス側圧力損失

     4-4 液ホールドアップー…

      4-4-1 各種係数等の決定

      4-4-2 液ホールドアップの相関・-

     4-5 ガス側圧力損失 ……一  …一一・一

     結   言

    第5章 リップルトレイのガス側圧力損失と液ホールドアップ

     緒   言

     5-1 実験装置および実験方法  一・  … 一…ttt-一一一一一一一一…一一

      5-1-1  トレイ …… .一一…t--t……

      5-1-2 実験装置および実験方法…一一……

     5-2 液ホールドアップ’

      5-2-1 実験結果 一 一… 一 ・… 一 …… …一一T_

      5-2-2 液ホールドアップの相関・

     5-3 ガス側圧力損失

      5-3-1 実験結果     ・一…一…………一一

      5-3-2 ガス側圧力損失の相関一

     結言…一一一一一……一一一・…一一一一一…一一一一一…t一

    第6章 ターボグリッドトレイのガス側圧力損失と液ホールドアップ

     緒   言

     6-1 実験装置および実験方法

     6-2 液ホールドアップ

      6-2-1 実験結果

  •   6-2-2 各種係数等の決定

      6-2-3 液ホールドアノブの相関

     6-3 ガス側圧力損失

      6-3-1 実験結果

      6-3-2 ガス側圧力損失の相関

     結   言

    第7章 各種段塔のガス側圧力損失と液ホールドアップ

     緒   言

     7-1 各種の向流型トレイの液ホールドアッゾの比較検討

      7-1-1 τおよびβ

      7-1-2 液ホールドアップ

     7-2 各種の向流型トレイのガス側圧力損失の比較検討

     7-3 十字流型段塔のガス側圧力損失と液ホールドアップの相関

      7-3-1 液ホーノレドアップ

      7-3-2 ガス側圧力損失

      7-3-3 向流型トレイとの比較

     結   言

    第8章 充墳塔のガス側圧力損失と液ホールドアップ

     緒   言

     8-1 使用データおよび流動特性

     8-2 液ホールドアップ

      8-2-1 静ホールドアップ(Hs)

      8-2-2 動ホールドアップ(〃d)

      8-2-3 液ホールドアップ(HL)

     8-3 ガス側圧力損失

      8-3-1 乾き圧力損失(dPd/Z)

    468803l 

    l 

    1 

    1 

    1 

    1

    22222333331 

    1 

    1 

    1 

    1 

    1 

    1 

    1 

    1 

    1

    005568894444144441 1

    1

    1

    11

    11

  •  8-3-2 全圧力損失(dPT/Z)

    8-4 段塔との比較検討

     8-4-1 液ホールドアップ

     8-4-2 ガス側圧力損失

    結   言

    151

    155

    155

    156

    156

    結 論 159

    総括結論 163

    謝 辞 164

  • 序△冊

     蒸留,ガス吸収などの気液間の物質移動操作に多く使用されている接触装置

    は塔形式の充墳塔,段塔および濡壁塔などである。これらの塔形式の接触装置

    ではガスは塔1:下の圧力差を推進力として止二昇し,重力の作用によって流Fする

    液と接触するという操作法が一般的である。上昇するガス流速が速いときには

    液の流下が困難になって塔頂へ逆流するなどして気液の正常な接触が不可能

    となる。 この種の接触装置ではかかる現象の始まる点が操作の上部限界であ

    り,フラッディング点と呼ばれる。実際のフラッディング現象は装置形状によ

    って異なり,様々な現象がみられる。

     一方,充填塔および濡壁塔では基本的には非常に小さなガス流速においても

    正常な操作が可能であるが,堰および溢流管をもたない段塔(以下向流型段塔

    と呼ぶ)ではガス流速の小さい場合には棚段(トレイ)に設けた孔を液が自由

    に流下してトレイ上に泡沫層が形成されない。そして,ガス流速がある程度大

    きくなるとトレイ上に液が停滞し泡沫層が形成され始めて気液の接触が可能と

    なる。また,堰および溢流管をもっている段塔(以下十字流型段塔と呼ぶ)で

    は小さなガス流速において,やはり液がトレイの孔を流下するいわゆるweep-

    i 1)9現象が起って,堰をこえ溢流管を通って下段へ流下するという十字流型

    段塔の正常な液流れが生じない。このように段塔では正常に操作できる下限の

    ガス流速が存在し,このガス流速からフラッディング現象の起るガス流速まで

    が安定操作域と考えられる。

     これらの気液接触装置内を上昇するガスの圧力損失は最も重要な流動特性の

    一っである。ガス側全圧力損失は塔内に設置されている充墳層あるいはトレイ

    などを通過するさいのガス流の縮小,拡大などに起因する損失(乾き圧力損失)

    と塔内に停滞する液ホールドアップに起因する損失(濡れ圧力損失)の和とし

    て表現される。乾き圧力損失は充墳塔では充填物の種類,大きさおよび充填法

    など,段塔では孔の形状,孔径および開孔比などのトレイ形状すなわち装置形

    状とガスの物性に依存する。一方,濡れ圧力損失は液ホールドアソプによって

    一1一

  • ほとんど決定される。さらに液ホールドアップは上述の装置形状の他,気液流

    速,物性などの操作条件にも依存する。

     気液接触装置の安定操作域およびガス側圧力損失は設計のさいの重要な変数

    であり,個々の装置に対しては多くの研究がなされているので以下に既往の研

    究について概説し,本研究の目的について述べる。

    1.既往の研究の概要

    (1)安定操作域に関する研究

      向流型段塔のトレイ上に液が停滞し泡沫層が形成され始める気液流速に

     関する研究は少ないが,斉藤と前田65)は多孔板について研究し,次式を提

      出している。

        畜一一8・9・d・・’・・(÷)(篭)aas   (1)

      RylekとStandart64)はターボグリッドトレイについて孔を通る気液の流

      れの解析に基づいて実測値を検討し次式を提出している。

         叶÷ヨ㌦5+・5(論,)

             一{・73+…(de・㌃,)}1蹴}乃(・)

      この他にCervinkaとCerny7)およびSelix72)は充墳塔のフラッディン

      グ速度に対するSherwood,ShipleyとHolloway74)の研究結果を利用し

      てターボグリッドトレイの液停滞の始まる気液流速を次式で表現している。

       1・g{識昔・・Ω}一一κ・一・・ピ幣ピ(・)

    K,およびK2は研究者によって異なる値である。

     充填塔のフラッディング速度についての最初の体系的な研究は内田と藤

    田92)によってなされている。彼らは実験結果を(灌液時空隙率/乾燥時空

    隙率)を用いて図的に相関している。この図は充墳物の種類,充墳法およ

                  一2一

  • び液の種類によって変化するパラメータを含んでいる。Sherwoodら74)は

    次元解析に基づいて内田らの結果も含め,つぎの座標軸を用いて図的に相

    関している。

       ”ヂき・L°-2VS一㍑(ρG)°5    (4ρL)

    Newton,Mason,MetcalfeとSummers59)は液の表面張力の影響を考

    慮してEq.(4)を補正しており,Leva49)は液密度による補正を行なってい

    る。この他に実測値あるいは図的相関を報告した多くの研究】’13’15’23’31’

    68’70’84’97’100)がある。これらの相関にはpacking factor(a/ε3)が含

    まれているが,これは充墳物の種類,大きさ,材質および充填法などによ

    って複雑に変化する。このため上述の研究結果はよく一致しているとはい

    えない。Lobo, Friend, HashmallとZenz51)はこの点に注目し,・/ε3

    について詳細に検討して充填物の種類,大きさなどによって異なるa/ε3

    の値をまとめて表に示した。そしてこの結果を用いて多くの研究結果を整

    理しなおして図的に相関している。SakiadisとJohnson66)はSherwood

    らの考え方に基づいて次式を提出している。

       1+・835(;tL)%(…ゴー・1(字÷昔・μ)%(・)

    ここでClはRaschig ringに対してCl二1.79εo・oo68/.o・043σo・0625,

    Berl saddleに対してcl二2.44ε゜・78/a°・0351 ・°°625となる。また

    Sawistowski69)はLoboらの図的相関を次式のように表現した。

       1・{”1≒一㌃(音♪2ト・(篇γ(7L)“ (・)

    Strek, WernerとPaniuticz86)は充墳層を支えるグリッドの開孔比がフラ

    ッディング速度に与える影響について考察し,次式を提出している。

       {”ic2εき・ゾ・}-1・・6(1’)・xp{-3君(静兎}V4(7)

    以上はSherwoodらが最初に行なった次元解析に基づいて図的に,あるい

    一3一

  • は式によって相関しようとする一連の研究である。

     Bertetti3)は充填層中の空隙を向流に通る気液の流れを圧力損失を考慮

    した力の釣合に基づいて理論的に解析し,次式を提出している。

       …27・ヅ・(告叛,触・34・;1賭一9芦ε (・)

    Tao go)は流下液に作用する重力と気液界面および充墳物表面における粘性

    抗力とを考慮して理論的に解析し,既往の実測値51)を用いて次式をえて

    いる。

    /{乙/GC2  a  ρG   O.2 9  ε3 PLμL}-2・3・8{借)(ぽ㍗3

                   +…{ Lル1( G,v)(晋絆゜ (・)

    KolarとBroz46)は球状充墳物を用いた場合のフラッディング速度につい

    て種々考察し次式を提出した。

    {(昔鼎25-・73(29言曜’アお

                   一1・2(㌃晋ナ265(争23咀

    ここでde。二〇.0028mである。最近Hutton, Leung, BrooksとNick-

    lin36)は充墳層の空隙の一部がガス流れに対して有効に働かない(dead

    space)として空隙率のかわりにdead spaceを考慮した有効空隙率を使

    用した。そして流下液に作用する重力,粘性抗力およびガスの慣性力を用

    いて理論的に検討している。以上は充墳層の空隙を向流に流れる気液に作

    用する重力,粘性抗力などを考慮した理論的解析に基づく一連の研究であ

    る。

     濡壁塔のフラッディング速度にっいて,小柳と片山47)は塔高の比較的

    小さい塔を用いてフラッディング速度を測定し,充墳塔に対するSher

    woodら74)の相関を利用して次式のように整理した。

    一4一

  •    {ギき・♪2}一・2.・蜘巨55{鵠)Y’}り⑪

    この式は・1/1DTをa/ε3で置換えるとEq.(7)によく似ており,濡壁塔と充

    填塔のフラッディソグ速度が類似の式で相関できることを示唆している。

    亀井と大石42)は塔高2.5mの塔で種々の液を用いてフラッディング速度

    を詳細に測定し,結果を次元解析に基づいて整理して次式を報告している。

                              2  2晋一198(弩i”プ225(。,:,、、汀23(告ア71(㌃∫13(D㌃矧231⑫

    藤田22>ま Eq.(12)を簡略化した相関式を与えた。 IlewittとWallis27),

    Shi,e。, Pi。k。,i。gとBlacker75),・Clif・,P,it,h。,dとN。dd,,m。n’°),

    およびWaHis95)は無次元速度を用いて次式のように表現した。

    VG*°’5+VL*°’5=C、

    ここで 曜磁9,ρ。°5(D・9・コρ)一゜5

         VL*・μ,、ρ『5(D,gdρ)一゜・・

    c2は研究者および実験条件によって異なった値となる。

    a3

     ShearerとDavidson73)は上昇ガス流によって流下液膜表面に乱れが生

    じ,この乱れが大きくなってフラッディングが起ると考えて解析し,フラ

    ッディング速度を予測するモデルを提出した。CetinbudaklarとJame-

    son 8)も気液界面に生じた波の振巾の増大によってフラッディングが起る

    と仮定して解析している。この他にもいくつかの研究12’16’37’44)がある。

     向流型段塔のフラッディング速度についてKasatkin, Dytnerski と

    Umarov 45)はターボグリッドトレイ,Majeweski52)はターボグリッドト

    レイおよび多孔板に関してつぎの相関式を報告している。

       器券音ピアー1・・xp{一・ピ芦(㍗}as

    液粘度の項の指数nに関してKasatkinら,Majeweskiはそれぞれ0.16

    および0.10を与えている。のちにF61des 21)はEq.(15)は孔径の影響を強

    一5一

  • 調しすぎているとして新しい相関式を提出している。

    携,(晋℃-6・9(●σ“    a・

    Eduljee 14)はHoblerとKrupiczka29)およびHoblerとCzajka 30)の実測

    値を用いてターボグリッドトレイおよび多孔板のフラッディング速度に対

    して次式を提出している。

       (76)2÷-1・23・1・’1(芸㌃∫%  a”

    係数Cはターボグリッドトレイおよび多孔板に対してそれぞれLOおよび

    1.33となる。三箇67)は多孔板のフラッディング速度が濡れ圧力損失で表

    現できるとしており,Valentin93)はキッテルトレイに対する相関を報告

    している。以上の研究のほとんどは充填塔に対するSherwoodらの結果と

    比較的類似した結果をえており,装置形状としては開孔比および孔径の影

    響の現われることを示している。

     十字流型段塔のフラッディング速度にっいてはSoudersとBrown 81)の

    研究が最初である。彼らは泡鐘板のフラッディング速度を飛沫同伴によっ

    て判定して次式のように表現した。

    G。-K{(ρ、一ρ、)/ρ。}°5⑱

    係数κはSouders-Brown係数と呼ばれ,段間隔によって変化する。

    Nelson58)はMayf ield, Church, Green, LeoとRashmussen53)およびそ

    の他の実測値を用いて考察し,泡鐘板,多孔板およびカスケードトレイに

    対するκ値を報告している。またHuangとHodson32)およびHarrisと

    Roper26)もEq.(18)を用いて多孔板のフラッディング速度を相関している。

    FairとMatthews19)は泡鐘板に関する既往の研究結果9’40’53)を用いて

    K値を段間隔をパラメータとして図的に相関している。さらにFairl8)は

    液の表面張力の影響を含めて多孔板のフラッディング速度を実測し,表面

    張力の補正項を含めると泡鐘板に対する上述の相関19)が適用できること

    一6一

  • を示している。

     十字流型段塔の安定操作域

    に関してはcapacity graph

    がいくつか提出されている32’

    50’80 d 一例としてSmith80)

    のgraphをFig.1に不して

    いるが研究者によってトレイ

    上の現象の分類あるいは定義

    がかなり異なっているのでこ

    の種のcapacity graphには

    かなり差異がみられる。安定

    Entraim●ntflooding

    Liquid ft◎w rate

    Downttovvftooding

    Fig・1  Stable operating region of

     plate column with downcomer

    操作域はweeping(dumping),entrainment flooding, dowllflow

    floodingおよびchokingなどと呼ばれる現象によって決められる。さら

    にこれらの現象の発生条件はトレイの種類,形状などによって異なるので

    安定操作域もトレイ形状などにより異なる。

    (2)液ホールドアップに関する研究

      充填塔はガス流速が変化しても液ホールドアップが変化しないローディ

     ング点以下の領域で操作される場合が多いので,この領域における液ホー

     ルドアップについて考察する。充填塔の液ホールドアップ(HL)は一般に

     体積分率で表され,塔内を流下する動ホールドアップ(Ild)(dynamicま

     たはoperating holdup)と充填物間の間隙に保持されているものおよび表

     面に付着して静止状態になっても塔外へ流出しないような静ホールドアッ

     プ(Ils)(static holdup)の和として表現されている。

      Hd についてJesserとElgin39)およびShulman, Ullrich,Wellsと

     Proulx78)は実験に基づいて類似した式を提出している。

        Hd=c L〃aμ LβρLrσδ                                 (lg

     係数および指数は充墳物の種類および大きさで変化する値である。大竹と

    一7一

  • 岡田62)は不規則に充墳されたRaschig ring, Berl saddleおよび

    SphereのIldについて既往のデータ15’39’91)も含めて考察し,液レイノ

    ルズ数7~2000に対して次式を報告している。

       Hd-1・295(竿℃76(竿℃44(a・dp) 四

    また大竹と棒田61)はRaschig ringに対して次式を報告している。

       Hd-1・75・叫蕊)(典   μL)  ・D

    VarrierとRaog4)は不規則充墳されたRaschig ringとBerl saddleの

    Hdを次式で表現した。

       H・・一…1・2(竿ナ67(竿丁α44  ・

    この式はEq.(20)とよく似ており,1.295(a・dp)=7.12という関係がえら

                55)             はRaschig ring, Lessi㎎ri㎎ およびれる。MohuntaとLaddha

    Glass sphereを用いて次式を報告している。

       Hd-16・13(μL麗凡蜘吻丁%   es

    またBuchanan 5)はShulmanら78),大竹ら62)および内田と藤田91)の

    実測値を用いてRaschig ringに対するHdを次式のように表現した。

       H・一・・2(、荒)’/3+1・8(  LM2∂ρρ了a)V2  ⑭

    以上の研究はJesserらおよびShulman らの研究を除けば次元解析に基

    づいて実測値を整理した研究である。この他にも実測値を報告した研究が

    ある15・79≧

     一方,H、についてShulman, UllrichとWells77)および大竹と樫田

    61)は種々の充填物に対して次式を与えている。

       Hs=Kdpa                      田

    ここでKおよびαは充填物の種類によって変化する値である。Shulman,

                  -8一

  • UIlrich,WeUsとProulx78)はlin.のRaschig ringを用いて液物性の

    影響について考察し,次式を報告している。

       〃g-・・1.・(一が゜37(謬     ㈱

    係数および指数は充填物の材質によって変化する値である。

     向流型段塔のトレイ上に停滞する〃L(液深で表現する)に関して平塚,

    増田と橋本28)は多孔板を用いて測定し,結果を液気の質量流量比および

                               83)                             および通孔ガス流速の関数として整理している。StandartとRylek

    SteinerとStandart85)はトレイ下部と泡沫層上部とにBernoulliの定

    理を適用し,液の流下に使用される孔数の全孔数に対する割合(τ)を用いて

    1なを解析しているが実測値との対応が充分とはいえないようである。高

    橋,須藤と田中87’88)は多孔板上の泡沫層に局部的に気液の密度差が生じ

    て密な部分から液が流下し,粗な部分からガスが上昇すると考えた。そし

    てτを使用して〃Lを次式のように表現した。

    ・ll・一i誌蕊(巴)2ρ・+ζ・t/+(1一ζ・・)£(z≒”了・・}θ

    通気係数q3)を気液流速,トレイ形状および液物性で整理してHLを相関し

    た。

     卜字流型段塔のII・Lに関して亀井,高松,水野と富沢43)は多孔板上の

    ノILを泡沫層高に関係づけて次式のように整理している。

    〃L・・一…53(結ヅ㍉・L

    tmith80)は堰高の影響を認めて次式を提出している。

     〃L’0.725〃・・-6.61・1()W24、。砺+3.34・1・O・”4 IP’+0・0061 eg}

    正野,鈴木と平田76)は鬼/A、=0.06~0.09,de=0、005~0.Olsm,

    Hw’=0.03~0.09m, Ut、 =1L88~3L68%,2‘9。-0~5000%・

    の範囲に対して次式を与えている。

                  -9一

  •    〃L-(・.333〃。+de+・.・・2+72・・Z、、c)1。g(1°°°U・・)C・

                             Ugc

    またBernardとSargent2)およびZelfe1 98)によっても考察されている。

    一一 菇A鐘板上の〃Lに関する定量的研究はほとんどなく,わずかにGer-

    ster,Hm,HochgrafとRob i nson 24)の研究があるのみで彼らは次式を提

    出している。

    〃L二〇.19Hor-3.76×10『6Z4gcVπ十6.82×IO-4 Ur→-O.0419 Bl)

    (3) ガス側圧力損失に関する研究

      充填塔のガス側圧力損失は液を流さない場合の乾き圧力損失(dl’d)と

     液を流した場合の全圧力損失(∠∫・T)とが独立に研究されていて,両者の

     関係について論じた研究は見当らない。

      まずAt’dについてFurnasとBellinger23)はガス流量の関数として次式

     のように表現している。

        4-・(㍑)α         B2

     係数および指数はいずれも充墳物の種類および大きさで決定される定数で

     ある。Ergun l7)は実験結果を流体摩擦係数の形で整理し,Morcom56),

     BurkeとPlummer6)およびOmanとWatsoii60)のデータも含めて次式を

     えている。

       (lt;!d)(4き緩)(1三、)-15・(Lil,iZ-tgZ;”G+1・75 ea

     Tallmadge89)もErgun の式を用いて検討しており,またJacksと

     Merrin 38)の研究もある。

      前述のF。・na、ら23)はdpTについてもdl・dと同じEq.(32)で表現してい

     る。この場合α=1.9であり,Cは充墳物によって変化する定数である。

     Leva 49)はEq.(32)に類似の次式で相関した。

    一10 一

  •            2   -4生=cloαL〃三亙              BtD   z        ρG

    Cおよびaは充填物に独特の定数である。内田と藤田91)は次元解析に基

    づいて相関しているが,他の研究結果と同様,係数および指数は充填物に

                       57)よって変化する、Morton, KingとA tkinson                     は

              2   d 1”r     a(;〃  Mz一㌔ρG(,→ン∬うT           B5

    を報告しており,ζは充填物の種類,気液の流量の関数となる。また,

    Elginら15)も実測値を報告している。

     段塔のdPdに関して,亀井,高松,水野と富沢43)とLeibson, Kelly

    とBulUngton48)は多孔板のAl・dをオリフィス式

       ・・、一;-4’・      ea

    で表現して流量係数Cについて種々考察している。 Hunt, Hansonと

    WUke34)はトレイの孔におけるガス流の収縮および拡大の損失を基礎に

    して次式を与えている。

       ・…1・14{(1一ア+・・(125一争}」きρG ・”

    正野ら76)はEq.(37)の係数をO.883(%/Ac)…168(t,/de)一・・4で表現し

    ている。またMcAIlister, McGinnisとPlank54)はEq.(37)の{ }内に

    摩擦による損失項4f(te/de)を加え,右辺の係数を(te/de)の関数

    として図示している。Hughmarkと0’Conne U 33)は

       …一・5{1一中ト禦    ・・

    を与えており,cを(de/te)の関数として図示している。ターボグリッ

    ドトレイ.のal’dについてSelix71)は次式を報告している。

       a・・一(・・35・㌧紗2-・←    ・・

    一11一

  • 泡鐘板の∠1’dについてBolles4)は次式を与えている。

               2   AI・d-9.8 C旦Z‘.2         gq          PL

    係数Cはcapの形状によって変化する。この他にDavisl1), Zenz loo)およ

    びWelch96)はdPdをライザー部における損失,リバーサル部における損

    失およびスロット部における損失の和として表現し,各圧力損失にっいて

    考察している。

     段塔のAp 1一はトレイ上に停滞する液ホールドアップの影響を強く受け

    る。十字流型段塔のaPTについて,正野ら76),亀井ら43),原田,吉田と

    関口25),Mayfieldら53)およびZelfel98)は多孔板,Gersterら24),

    JuChin Chu41)およびSouders, Huntington, CorneilとEmert82)は泡

    鐘板に対する実測値をそれぞれ報告している。

     一方向流型段塔の∠Pτを考えるさい,トレイから液がもれている状態での

    4ルが必要である。このため最近では上述のdl’dに関する研究結果を液流

    Fに用いられる孔数の比で補正したり,孔を通る気液の2相流の考え方に

    基づいて表現しようとする方向に発展しつつある。斉藤と前田65)は多孔

    板,HutchinsonとBaddour 35)はリップルトレイ,Majeweski52),

    Selix 7i)およびZelinskiとKafarov99)はターボグリッドトレイ,Fastovski,

    PetrovskiとAkchurin20)およびPollard63)はキッテルトレイの∠Pl・の

    実測値を報告している。

    2. 本研究の目的

     前節において塔形式の気液接触装置の流動特性に関する研究結果のうちで重

    要な安定操作域,液ホールドアップおよびガス側圧力損失の諸特性について充

    墳塔,濡壁塔および段塔などの装置別に概説した。これらの既往の研究の多く

    は特定の装置を対象としたものであり,実験結果の整理法についても各装置に

    独特のもので装置間の流動特性の類似性について論じたものは非常に少ない。

     これらの気液接触装置は塔中に充墳物あるいはトレイのような抵抗を設置し

    一12一

  • て向流に流れる気液を分散させ,あるいは気液の乱れを大きくして物質移動を

    促進しようとするものであるから,その流動特性は基本的には同一の考え方で

    整理できるものと考えられる。またこのような整理ができれば各種の気液接触

    装置間の流動特性の比較が非常に容易になり,与えられた物質移動操作に対し

    て最適な装置構造および操作条件の決定が可能になるであろう。

     本研究は上述の考え方に基づいて向流型段塔のトレイ上に液が停滞し泡沫層

    が形成され始める気液流速(操作下限),充墳塔,濡壁塔,向流型および十字

    流型段塔のフラッディソグ速度(操作上限)そして充墳塔,向流型および十字

    流型段塔の安定操作域における液ホールドアップとガス側圧力損失を比較検討

    し,統一的な相関を求めることを目的とする。使用したデータは充墳塔,濡壁

    塔および十字流型段塔に関しては既往の研究結果であり,向流型段塔は本研究に

    よってえられたものである。

     本論文の内容はつぎのように要約できる

     第1編は安定操作域について論じたものである。第1章では向流型段塔のトレ

    イ上に液が停滞を始める気液流速を表現する相関式をえた。トレイ上への液の

    流入法を変えながら液停滞の始まる現象を観察してモデルを作成し,これによ

    って多孔板およびターボグリッドトレイの液停滞の始まる気液流速を表現した。

    第2章では充填塔のフラッディング速度に関する既往の整理法を検討し,従来

    図的に表現されていた相関々係を発展させて新しい相関式をえた。さらに式中

    の装置形状の影響を表す項について考察することにより濡壁塔のフラッディン

    グ速度が同じ式で表現できることを明らかにした。第3章では第2章でえたフ

    ラッディング速度の相関式を段塔に適用することを試み,装置形状の影響を示

    す項を開孔比または段間隔の関数として表すことによって充墳塔および濡壁塔

    と同じ式で相関できることを明らかにした。また,向流型段塔の液停滞の始ま

    る気液流速がフラッディング速度と同じように相関できることも明らかにした。

     第2編は安定操作域内の流動特性として重要なガス側圧力損失と液ホールド

    アップについて論じたものである。第4,5および6章では向流型段塔のガス

    一13一

  • 側圧力損失およびトレイ上の液ホールドアップを同一の考え方で相関できるこ

    とを示した。すなわち第4章において旋回流トレイ,第5章においてリップル

    トレイおよび多孔板(多孔板はガス側圧力損失のみ),第6章においてターボ

    グリッドトレイについて論じているが,いずれも液ホールドアップは液流下に

    用いられるトレイの孔の面積割合を用いた多孔板に対するモデル87)で表現で

    きる。ガス側全圧力損失は乾き圧力損失,気泡形成時の液の表面張力による損

    失および液ホールドアップによる損失の和として表現された。第7章ではえられ

    た相関式を用いて各種の向流型段塔のガス側圧力損失および液ホールドアップ

    を比較検討し,各トレイの特徴を明確にした。さらに十字流型段塔のガス側圧

    力損失および液ホールドアップについて検討した。最後の第8章では充墳塔の

    ガス側圧力損失を段塔の場合と同様に乾き圧力損失と濡れ圧力損失の和の形で

    表現した。そして充墳塔および段塔のガス側圧力損失を比較検討した。

    Nomenclature in Introduction

    a  =:specific surface area of packing

    Ah/A’=ratio of total hole area to tray area

    de・=equivalent hole diameter

    dp=diameter of packi㎎

    D,「=column diameter

    ノ「 = friction factor

    a =gravitational acceleration

    gc=gravitational conversion factor

    GM=gaS maSS velOCity

    hf=froth height

    Hd=dynamic holdup of liquid in packed column

    ”L = total liquid holdup

    一14一

    〔m%n3〕

    〔一〕

    〔m〕

    〔m〕

    〔m〕

    〔一〕

    〔m/hr2〕

    〔㎏m/Kg hr2〕

    〔㎏/㎡hr〕

    〔m〕

    〔一〕

    〔m〕or〔  〕

  • 〃8=static holdup of liquid in packed column    〔   〕

    侮=weir height                   〔m〕

    LAf二liquid mass velocity                〔kg/n2 hr〕

    N 二number of packing                  〔m-3〕

    AI)d二dry pressure drop                    〔kg/m hr2〕

    dPT=total pressure drop                    〔kg/m hr2」

    te=equivalent tray thickness           〔m〕

    Ztgc,UGc=gas velocity based on cross-sectional area of column

                                                 〔m/hr〕and〔m/sec〕

    Uah・=gas velocity based on total hole area       〔m/hr〕

    Utc=liquid velocity based on cross sectional area of column

                                                        〔m/hr〕

    Ulh=liquid velocity based on total hole area     〔m/hr〕

    Ur=gas velocity based on riser of bubble.-cap     〔m/hr〕

    V}二dimensionless gas velocity            〔  〕

    P’ T.二dimensionless liquid velocity           〔  〕

    Or二liquid flow rate      〔m3/hr m of traywidth〕

    Z 二column height                     〔m〕

    β=aeration factor           〔 〕

    ε 二void fraction of packed column          〔  〕

                                               to gas,

                                               atray

    ζd, ζ1, ζσ,ζh_reslstance coefficients due

                    tension and l iquid layer on

    μG・=viscosity of gas

    μL=viscosity of liquid

    μm=viscosity of water

    ρo=dens i ty of gas

    ρL=density of liquid

    ρm=density of water

    liquid, surface

    〔  〕

    〔㎏/m hr〕

    〔㎏/m hr〕

     〔kg/m hr〕

    〔㎏/㎡〕

    〔㎏/㎡〕

    〔kg/㎡〕

    一15一

  • dρ=difference of density

    σ  = surface tension of liquid

    τ =ratio of hole area of liquid

                       〔kg/m3〕

                       〔㎏/hr2〕

    flow to total hole area of a tray

                       〔  〕

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    67)Sanga, S.:Kagaku Kogaku,27,162(1963)

    68)Sarchet, B. P.:Trans. AIChE.,38,283(1942)

    69)Sawistowski,H.:Chem. Eng. Sci.,」6」138(1957)

    70)Schoenborn, E. M. ard W J. Dougherty:Trans. AIChE.,40,51

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    71)Selix, M.:Strojirenstvi,11,255(1961)

    72)Selix, M.:Chem. Prumysl,ユ2∠3ヱ(8),423(1962)

    73)Shearer, C. J. and J. F. Davidson:J. Fluid Mech.,22, part 2,

        321 (1965)

                                 -19一

  • 74)Sherwood, T. K.,G. H. Shipley and F. A. L. Holloway:Ind. Eng.

       Chem.,30,765(1938)

    75)Shires,G. L.,A. R. Pickering and P. T. Blacker:AEEW-R

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    82)Souders, M.,R. L. Hunt ington, H. G. Corneil and F. L. Emert:

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    100)Zenz, F. A.:Chem. Eng. Progr.,43,415(1947)

    一21一

  • 第1編 気液接触装置の安定操作域

    緒 論

     充墳塔,段塔および濡壁塔はいずれも塔形式の気液接触装置であり,気液の

        向流接触が一般的な操作法である。これらの各種装置の流動特性が統一的に表

    現されれば装置間の比較,したがって最適な装置形状の選定が容易になる。

     本編では向流型段塔のトレイ上に液が停滞し泡沫層が形成されるようになる

    気液流速,充墳塔,段塔および濡壁塔のフラッディング速度および向流型段塔

    の安定操作域を比較検討し,統一的相関々係を求める試みを行なった結果につ

    いて述べる。

     まず多孔板上に液が停滞するようになる現象をトレイに設けた孔における気

    液の向流に着目して理論的に解析し,液停滞の始まる気液流速の実測値を表現

    する相関式をえた。この関係はターボグリッドトレイにも適用できることがわ

    かった。っついて充墳塔のフラッディング速度に対する既往の多くの研究結果

    を検討し,気液流速を分離した新しい相関式をえた。式中の装置形状の影響を

    示す項を各装置に独特なものにすることによって,この相関式は濡壁塔,向流

    型および十字流型段塔のフラッディソグ速度の整理に使用できる。さらに向流

    型段塔における液停滞の始まるガス流速からフラッディングガス流速までの安

    定操作域について各種トレイ間で比較検討した。

    *)十字流型段塔はトレイ上では気液が十字流接触しているが,塔全体としては他の装置と同様

     に向流接触と考えてよい。

    一22一

  • 第1章 段塔の棚段上に液が停滞し始める気液流速1-6)

     緒    言

     向流型段塔では棚段(トレイ)に設けた孔を気液が同時に向流に流れる。そ

    のため低ガス流速ではトレイ上に液が保持されず,正常な操作状態とはならな

    い。ガス流速が増大するとトレイ上下のガス側の圧力差が増大する。このため

    液が流下しにくくなってトレイ上に停滞し泡沫層が形成される。トレイ上に泡

    沫層が形成されると始めて段塔の正常な操作が可能となるのであるから,トレ

    イ上に液が停滞を始める気液流速は向流型段塔の流動特性で最も重要なもので

    ある。しかしながらこの種の研究は非常に少ない1-1’1”3’1-4㌧

     泡沫層が形成され始める現象を詳細に観察するために,トレイ上へ液を周囲

    より静かに流入させるなどトレイへの液の流入法を変えられるように工夫した

    装置を用いて孔数の比較的少ない多孔板を設置した。そして液停滞の始まる現

    象を観察すると同時に液流下に使用される孔数,トレイ上の液深,液が停滞を

    始めるガス流速などを測定した。これらの結果をトレイの孔における気液の流

    れの解析に基づいて相関した。また0.15m径の塔を用いて向流型の多孔板お

    よびターボグリッドトレイの液停滞の始まる気液流速を測定し,その結果をモ

    デルトレイにおける結果と比較検討し相関した。

    1-1 実験装置および実験方法

     1-1-1 モデルトレイによる実験

     使用したモデルトレイの形状をTable 1-1に示している。トレイは4×26

    cmの多孔板であり,P-1~P-11は6個の孔を1列に配列している。 P-12は

    16個の孔を2列に並べており,P-13,P-14は12個の孔を1列に並べてい

    る。孔径は0.005~0.02m,板厚は0.001~0.02m,開孔比は0.0113~0.1812

    の範囲である。

     実験装置のフローシートをFig.1-1に示している。ポンプによって貯槽⑥

    から定水位槽⑦へ揚げられた液は流量計⑧を通って塔①へ流入する。塔底より

    一23一

  • 流出した液は貯槽へ戻り循環する。

    一方コンプレッサーからの空気は充填

    層③によって油分などを除去されて緩

    衝タンク④へ流入する。ここで脈動を

    抑制された空気は流量計⑤を通って塔

    へ流入し上部より排出される。

     モデルトレイへの液の流入はつぎの

    3種の方法を用いて行なった。

    (1) トレイ上へ周囲より静かに流入さ

     せる。この方法では主に液停滞の始

     まる現象の観察,トレイ上の液深の

     測定⑨,⑩,液流下に用いられる孔

     数の全体に対する比(τ∫)などの測

     定を行なった(Case 1)。

    Table 1-1 Dimensions of

    model trays

    Tray deNo 〔m〕

    P- 1 0.005

     20.007 30.009 40.Ol1 50.Ol5 60.020 70.009 8  ◆

     9  t 10  e

     11  ’

     12  ’

     13  ◇

     140.007

    te    n  Ah!Ac

    〔m】 〔一〕 ←〕

    0.001 60.0113 e   ◆ 0.0222

     e     e  O.0367

     ’     9  0.0548

     ◆   ◆ 0.1020

     φ   ◆ 0.1812

    0.002   ◆  0.0367

    0・0047  ■    9

    0.OIO ’  ◆

    0.Ol5 ,  .

    0.020  ’  ◆

    0.001  16 0.0979

     θ  120.0734 ’    0  0.0444

    Compresso

    1 test column

    2modet tray

    3etiminator

    4 bu〈H}er tank

    srotameter

    6 teed tank

    7 head tank

    8rotameter

    g indicator

    10cathetometer

    ll high speed camera

    12mirror

    13column wall

    14 tiquid distributor

    Fig.1-1  Experimental apParatus (model tray)

    一24一

  • ② トレイ上の周囲の3方向に壁を設け,1方向より液を流入させる。この方

     法は十字流型段塔でトレイ上に泡沫層が形成されるようになる条件の観察に

     使用された(Case 2)。

    (3) トレイ上の周囲に塔壁⑬を設けて,液を上方の液分布板⑭より流下させる。

     この方法はモデルトレイを使用した場合と向流型多孔板の場合の比較検討を

     行なうためのものであり,トレイと液分散板との距離(段間隔)を0.11~

     0.54mに変化させた(Case 3)。

     また,液停滞の始まる現象を詳細に観察するために,高速度カメラ⑪を用い

    てモデルトレイにおける気液の流動状態を撮影した。さらにトレイ下部のガス

    の圧力変動を差圧変換器を用いて測定し,記録した。

    液流速(Ze・h)を3・6~5600物Pガス流速(Zt、・/i)を0~50000m/h・の

    範囲に変化させた。液には主に水を用いたが液物性の影響をみるためにグリセ

    リン水溶液およびメタノール水溶液を用いて,密度を800~1170㎏/M3,粘度

    を2.6~54k9/mhr,表面張力を36×105~9.2×1 05 kgy/h子(27.8~71.2 dyrゾ㎝)

    に変化させた。

     1-1-2 段塔による実験

     多孔板にはTable 1-2に示す9種のものを使用した。すべて三角形配列で

    ある。ターボグリッドトレイにはTable 1-3に示す7種のものを使用した。

    相当孔径(de)はスリット幅の2倍(水力直径)である。

     実験装置のフローシートをFig.1-2に示す。プロア④を出た空気はオリフ

    ィス流量計⑤によって流量を測定されて塔①へ流入し,整流板⑪,トレイ⑩を

    通って排出される。一方ポンプ⑥によって定水位槽②へ揚げられた液はオリフィ

    ス流量計③を通って液分布板⑨上に流入する。液分布板から分散流下した液は

    トレイ⑩上で空気と接触したのち,塔底より貯槽⑦へ戻り循環する。

     塔は0.15m径の透明塩ビ製で外部からトレイ上の流動状態の観察が可能であ

    る。各トレイとも一段で実験し,実験は液流量を一定に保ち,ガス流量を変化

    させてガス側圧力損失をゲッチンゲン型微圧計⑫を用いて測定した。

    一25一

  • Table 1-2  Dimensions

           of sieve trays

    Table 1-3  Dimensions

     of turbogrid trays

    TrayNo

    S-1,

       2

       3

       4

       5

       6

       7

       8

       9

    de〔m〕

    0.003

    0.004

    0.005

    0.006

    0.007

    0.009

      〃

      t

    O.011

    te〔m〕

    0.001

      tl  、

      tt

      ◆

      9

      9

      9

      9

    Ah/Ac〔 〕

    0.140

    0.176

    0.200

    0.1 91

    0.198

    0.103

    0.203

    0.302

    0.228

    TrayNo

    TG-1

       2

       3

       4

       5

       6

       7

    de〔m〕

    0.004

    0.006

    0.008

    0.010

    0.Ol4

     〕

    em

    ▲し〔

    0.003

      tt

      tt

     ’

      ウ

      e

      φ

    Ah/Ac〔 〕

    0.265

    0.354

    0.269

    0.164

    0.268

    0.360

    0.259

    i7 9

    ↓↑ ⑩

    ⑫  1マピ▼④

    、 C

    =σ

    ③-

    Fig.1-2  Experimental apparatus (sieve tray

            and turbogrid tray)

    一26一

  • 1-2 液停滞の始まる現象

     Fig.1-3は向流型多孔板およびターボグリッドトレイのガス側全圧力損失

    の実験結果の一例である。多孔板ではa点以下のガス流速ではトレイ上に泡沫

    層が形成されず正常な操作が行えない。a-b間で液が停滞し圧力損失が急激

    に増大する。b点が多孔板の安定操作域の下限である。 b-c間では圧力損失

    の増加はゆるやかであるが,c点をこえるガス流速では再び急激に増大する。

    b-c間が安定操作範囲で,c点は後述するフラッディング点である。また,

    Fig.1-3にはa点以下,b-c間およびc点以上のガス流速におけるトレイ

    上の泡沫層の状態の写真をそれぞれA,BおよびCに示している。ターボグリ

    ッドトレイにおいても多孔板と類似の状態が観察される。

     そこでa-b間の気液の流動状態を詳細に観察するためにモデルトレイを用

    いて実験した。1-1-1に述べたCase lで,トレイ上に液が停滞を始める

    200

    100

    50宕fεε]

    o.1

    Fig.1-3

      05  1       5G喧ts velocity   [m/se司

    C

    B

    A

    Total pressure drop through a tray (sieve

    and turbogrid tray)

    一27一

  • さいのトレイ下部の圧

    力変化の一例をFig.

    1-4に示す。写真は

    64frames/secで上

    部から撮影したトレイ

    上の気液の流動状態の

    一部である。トレイ上

    の気液の流動状態を観

    察しながらガス流速を

    徐々に増大させてUGC

    =0.145m/sec一定

    にしたところ,以下の

    ような過程を経て液が

    停滞を始めた。すなわ

    ちこのガス流速になる

    てトレイ上に滞留し,

    D

    C

    B

    de=aoO9rnt.=0.001m

    Uuc=OOO162 m!sec

    UGC=O.145 m/sec

    Fig.1-4 Phenomena of incipient l iquid

    stagnation

              トレイ下部の圧力が上昇する(A点)。つづいてML 3の

    孔から液が流下しなくなり気泡が発生する(B点)。しかし他の孔では変化が

    みられない。この孔のみから気泡が発生するときは圧力変動は規則的であるが

    この間に液ホールドアップが増加し両側の孔が液でふさがれて気泡が発生し始

    める(C点),そしてついにはすべての孔から気泡が発生するようになり(D

    点),圧力変動は不規則なものとなる。そして液は間けつ的に流下し,動的な

    新しい平衡状態となる。AよりD点までの所要時間は約5秒である。また図中

    のN点はカメラを作動させたさいのノイズであり,振動域における振幅は数mm

    H20である。

     上述の現象は液が一つあるいはそれ以上の孔の全体をふさいで流下している

    場合,すなわちFig.1-5(a)に示す状態に対するものであり,モデルトレイに

    よる実験のほとんどはこのような流れ方をしている。液流量の非常に小さい場

    合には液の流下が間けつ的あるいは滴下状態になってトレイ上の液深が変動し

    一28一

  • 実験結果に再現性がなくなる。孔径が

    大きく液の表面張力の小さい場合には

    Fig.1-5(b)に示すように液が環状で

    流下し,中心をガスが上昇するという

    状態が現われることがある。また粘度

    の大きい液を使用した場合にはFig.1

    -5(c)に示すように孔の一部を液が流

    ドし,残りの部分をガスが上昇するこ

    とがある。Case lの実験では孔が液

    膜によっておおわれ,気液のどちらも

    流れないという状態は観察されなかっ

    た。Case 2の実験ではトレイ上の気

    液の流動状態はCase l

    12ZE2Zl l

    a)

    P2 h

    、、   ,’

    @、’

    P1

    te

    Fig.1-5 Flow pattern of gas

    and liquid

               とほとんど同じである。

     Case 3の実験では流下液の一部が滴となって飛散する。またトレイ上の液

    面が乱れ,液の流下に使用される孔数が多くなる。そして液膜でおおわれ,気

    液のどちらも流れない状態の孔が現われる場合もある。多孔板およびターボグ

    リッドトレイにおける実験でも液停滞の始まる現象はこれとほぼ同じである。

    1-3 実 験 結 果

     1-3-1 液流下に用いられる孔数の全孔数に対する比(τs)

     液停滞の始まる直前のガス流速において測定された液の流下に使用される孔

    数の全孔数に対する比(τs)はFig.1-6に示すように実験条件によって変化

    する。これはモデルトレイにおける結果で,孔数は6~16である。このためτs

    は連続的な変化をしないが,液Re数が増大すると最初に急に大きくなって1

    に漸近するとみなせるであろう。高粘度液を用いた場合にはFig.1-5(c)に示

    す流れ方がみられ,このときは孔の半分を液が流れているとしてτsを求めて

    いる。

     τ5におよぼす液の流入法の影響をみると,Cases 1および2は一致する。

    一29一

  • 1

    0.5

    0

    e一

    O

    一.

    n...

    一一

    O-.

    . 「△ ▲

    槙 △_ O

    7

    6胡△

    ,spaClng

    n54mR 〃

    O.33

    O.54

    |3 -一一

    .一

    D

    .‘

    P_1       Case 3  _

    XΦ  120.11         -

    O   ’,

    怐@ ん

    「  ’     Case 1      

    O●   ◎

    」   12       Case 2

    (75.’・gly◎erin water

    0           500

    1000 1500

    ReL 〔 〕

    Fig.1-6 Ratio of hole area of droPPing liquid flow

    to total hole area (model tray)

    2000

    ⑰1

    005

    ワ●ω\ε己

    001

    50

    ㊥Φ一A1.

    「ρ」  w

    D .

    .・..一.. ?j一.D .ニ  ー

    一’.」 .

    @

    一一

    .1-

    @

    :一

    一 . 一.... 一一

    一・

    黶D一一..一一

    へく

    O-Op Φ 一.一.・.・ 09 、 ● 』\一’

    一一 、  兄 ノ玩  (「          5P-3 997  2.88  9,2x10

    @12 4  .   φ

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    @11 ち   ’   〃@3  801  259  3.6×105

    @         5、  1171 54.14  6.8×10

    一’.・.

    黶v’「

    @ w

    一.・一

    A.一 .・ 一.

    D一一

    D一

    .. 一L 「一

    α07al   0.5   1

    Liquid vetocity(hote)

        5

    〔cm/s㏄〕

    10 20

    Fig.1-7 Gas and liquid velocities of incipient

    liquid stagnation (Case 1)

    一30一

  • Case 3のτ5はかなり大きくなり,上段よりの液の流F距離(段間隔)による

    変化は認められない、,トレイ形状の影響をみると孔径の減少によってτ5が増

    大する,,また同一の液Re数で比較すると液粘度が増加するとτsは大きくな

    る。液粘度の増加によって液の流Fに対する抵抗が大きくなり,したがってτs

    が大きくなるのであろう。

     1-3-2 液が停滞し始める気液流速(Z{ah, Ulh)

     Fig.1-7はCase lの液停滞の始まる気液流速の実測値の一例を示してい

    る。約2cm/sec以下のUt hではUahはほぼ一定であるがUl ltが大きくなると

    減少する。Z垣が小さい範囲では孔径とともにZtqhが増大するが,これは・.s

    が小さくなるからである。また板厚の大きいトレイでは孔中の液量(液深)が

    大きいため液が流下しやすいのでUahが大きくなる。孔数すなわち開孔比によ

    る変化はあまり認められない。また,Uahは液の粘度および表面張力とともに

    増加する。

     Fig.1-8はモデルトレイにおける液の流入法のUehにおよぼす影響,モデ

    ルトレイと多孔板の比較などを示している。Cases lおよび2のUqhはほぼ一

    致しているが,Case 3ではより小さなZtahで液が停滞を始める。 Case 3ではτs

    が大きくなるので(Fig.1-6参照),ガスの上昇に使用される孔数が減少する

    ためであろう。また段間隔の影響は認められない。さらにCase 3のこのガス

    流速は孔径,開孔比が類似の多孔板(S-6)とほぼ一致する。したがって液

    の流入法が同じであればモデルトレイと多孔板におけるZ’{ahは一致するといえ

    よう。多孔板におけるUahは孔径とともに増大する。

    1-4 実験結果の整理

     1-4-1  モデルトレイ

     1) τsについて

       1-3-1に述べたようにτsはR・Lとともに増大し1.0に漸近する。

      そしてτsの変化はトレイ形状,液の流入法などの影響を受ける。このよ

    一31一

  • 2000

    1000

    ミ 5005

    oo

    50

    i9。5 。1   。5 1   5 1・ 2・       Liquid vetocity(hote)  〔cm/sec〕

    Fig.1-8  Gas and liquid velocities of incipient

         liquid stagnation

    うな変化をするτsを次式のように表現することを試みる。

         ・・一叶+言碕)”e   (1-1)

    Eq.(1-1)によって計算したτsと実測値の誤差が最’」・になるようにκ,

    を試行法によって求めるとFig.1-6に示す曲線となる。この曲線は実測

    値をほぼ表現しているので上式によってτsを相関することができよう。

    Case 1についてえられたκ1と孔径,板厚および液粘度の関係をみると

    Fig.1-9に不すようになる。グリセリン水溶液およびメタノール水溶液

    のデータの誤差が大きいが,これらの液ではFig.1-5の(b)および(c)に示

    す流れ方が比較的多いのでτ∫の決定が困難なためであろう。したがって

    Cases lおよび2のκ1に対する式として

         Kl=5.73×10-11de-Y3te-o・2(μL/μm)2・o      (1-2)

    一32一

  • がえられる。また同様にしてCase 3に対しては

         K1= 4.44 × 10-10d∫ 5f3 tiO.2 (lt L/μor)ze (1-3)

    がえられる。10’6

    2)液停滞の始まる気液流速

      トレイ上に液が停滞し泡    5

    沫層が形成される現象につ              §

    享㌶;1巖㌫ミ るとトレイ下部の圧力が上  吉 .7

                   t10昇し,液の流下が困難にな  y

     ってトレイ上に停滞するよ                 5 うになる現象である。

      トレイの孔を通る気液に    3                 0002着目して考察する。トレイ

    上下のガスの圧力差はつぎ

    のように表現される。      Fig.1-9

        PlテLζっ辮撒

    孔から流出する液流に対して

        P - P    1     2

         9

    0005  0.01

     d● 〔m〕

    Correlation of K1

           (1-4)

    O.04

                        2                   UlhρL          ( h -F ’e ) ρL 一ζ1                            (1-5)                   2θτ了

    がえられ,Eqs.(1-4)および(1-5)より

       K2(h+te)・雨轟+ζ・z寡…L (1-・)

    となる。ここでζdおよびζ~はそれぞれガス,液の孔通過の抵抗係数で

    ある。用いたトレイは多孔板であり,孔問の相互干渉などがあると考えら

    れるので,Eq.(1-6)の左辺に係数K2を置いている○

     液停滞の始まる気液流速をEq.(1-6)を用いて表現するためには1-

    4-1に述べた・sのほか,トレイ上の液深(h)を知ることが必要である。

    一33一

  • hの測定はCases 1および2について行なっているが,例としてCase 1

    の実測値を示すとFig.1一二10になる。 hは気液流速の影響を受けず,孔径,

    板厚および液の表面張力によって変化し,次式で表現される。

       〃二〇.0030(te/d,)一…(・/・m)%    (1-7)

    Case 2におけるhも同じくEq.(1-7)で表現される。

        001

    n ε〕 0005

    翠_

    磐工

    0001

     003  0.05    α1      0.5   1t。/d. 〔一〕

    5

    Fig・1-10  Correlation of l iquid depth on model tray

     しかしながらEq.(1-7)で表現されるhはFig.1-5に示す孔と孔の

    中間で測定されたものであり,液の流下している孔の上方では同図の(a)に

    点線で示したように液面にくぼみが生じる。このくぼみは孔径が大きくな

    ると深くなるoまた孔間の相互干渉などの影響もあるので,これらを補正

    するための係数(Eq.(1-6)のK2)を実測値より求めるとFig・1-11

    に示すように孔径のみの関数となる。ここでζd としてHuntら1-2)の式

    すなわち次式を用いて求めた値を使用した。

    ζ・・一・1・1・4〔{1-i’(1-・・)}2+・・{1・25一晋(1-・・)壇(1-・)

    またζ1としては高橋ら1-8)の報告している相関式を用いた

         3・55・104(・ごα75-27.5)(・-3.72・10・)μ、%ρご2 ζ1= 2・2十                              (1-9)             (Ul h/τs)2

    一 34一

  • []

    N

    3

    1

    0.5

    0.3

    0CO2

    Fig.1-11

    15

    01

    5

    0.005   α01

    de [m〕

    Co rrelation

    005

    of K2 0f model tray

       0

        0         5         10        15

                      (UGH)cat   〔m/sec]

    Fig.1-12 Comparison between measured and

        calculated gas velocities(model tray)

    一35一

  • Fig.1-11よりκ2は次式で表現される。

       K、一・.・4 2 ・,’el3       (1-1・)

    以上よりCase lの液停滞の始まる気液流速はEqs.(1-1),(1-2),(1-

    6),(1-7)および(1-lo)で表現される。計算値と実測値の比較をFig.

    1-12に示しているがよく一致しているといえよう。

     1-4-2多孔板 Fig.1-8に示したように多孔

    板における液停滞の始まるガス流

    速(Uah)はCase 3のモデルト

    レイのそれとほぼ一致する。Case

    lとCase 3におけるUahの差異

    はτsの変化によると考えられる

    ので,τsとしてEq.(1-3)を用

    いると多孔板のUahがEq.(1-6)

    によって表現されると思われる。

    そこでEqs.(1-1),(1-3),(1

    -7),(1-8)および(1-9)を用

    いてEq.(1-6)のκ2を求めると

    2

    〔 1

    ] ㏄禽

    α20.OO2

    Fig.1-13

     0」005    α01    0.02

      de〔m〕

    Correlation of K20f

    sieve tray

    Fig.1-13に示すようにCase 1と同様に孔径のみの関数となり,これより

    de≦0.006mのトレイに対して

         κ2ニ7.62×10-4de-L273               (1-11)

    またde>0.006mのトレイに対して

         K2= 9.34 × 10H3de『o・783                      (1-12)

    がえられる。Fig.1-8に示す曲線は相関式(Eqs.(1-6)および(1-11)あ

    るいは(1-12))を表している。また実測値との対応をFig.1-14に示している

    が満足すべき相関といえよう。

    一36一

  • 5

    4

    3

    〔8ψ\E]

    2

    1

    00

    Aqueous  glycerin

      S-5

    」μL・15・48

    「   45.00

    @   1

    @   i      △

    ⇔留

    伶θ   o

    Water

    nS-1?@ 2ウ  3ウ   4

    O  5?@ 6X  7怐@ 8怐@ 9

    。鯉

    1    2    3    4

     (UGH)cat 〔m!sec]

    Fig.1-14  Comparison between measured and

       1-4-3 ターボ

       グリッドトレイ

       Figs. 1-3およbS’

      1-8に示しているよ

      うに,ターボグリッド

      トレイのZ匂は多孔板

      のそれと比較的類似し

      ているので多孔板と同

      様にEq.(1-6)で相

      関することを試みる。

      ζdとして7-2-2で5述べるS。li。の式1-・)

      に基づいた次式を用い

      る。

    calculated gas velocities of incipient

    liquid stagnation (sieve tray)

         ζd-…{・・3 ・ ・・V・ 一 -ili’i(1-・・)}2 (1-13)

    また,ターボグリッドトレイのζ∠,hおよびκ、は実測していないが流動特性の

    類似性によって多孔板に対するものを用いる。液停滞の始まる気液流速の実測

    値を用いて,Eq.(1--6)のκ2を求めるとFig.1-15に示すように孔径のみの

    関数となる。deの小さい場合のデータが少なく不充分であるが多孔板に対する

    K2と同ff deの大小によってつぎの二つの式となる。 de≦0.006mのトレイ

    に対して     κ、=3.34×1・O’‘ de-1’37°       (1-14)

    またde>0.006mのトレイに対して

         κ、二L21×1・O’2 d,一゜’67°       (1-15)

    となる。Eqs.(1-1),(1-3),(1-6),(1-7),(1-9),(1 -13)および

    一37一

  • (1-14)あるいは(1-

    15)を用いて求めたUah

    を実測値と比較したもの

    をFig.1-16に不してい

    る。ほぼ満足できる結果

    といえよう。

    1

     ⊥…

    N

    0.1

     0.001

    OWater

    怩`que◎us

    nAque◎us

    glycerin

    高?狽?≠獅盾

    0.005  001

    de [m]

    0.03

    Fig.1-15 Correlation of K20f

    turbogrid tray

    6

    5

    1、

    3

    2

    1

    0

     ●

    WWat●rnTG-1?@  2

    O   3

    怐@  4

    O   5

    O   6

    O   7

    o o

    ウロ

    Φ ▲

    も~《品♂  i

    ウ   

     e口ニ▲/^▲ △

    △Φ :@ ;  .

    あ7

     レ@I`qu●ous

    №撃凾モ?窒奄氏

    @14.04」 32.76

    」 69.84

        TG-3

    `queous methanol △

    @  ひ@ ロ 3.9810

    o 1  2    3    4

    (UGH)cat   〔m/sec]

    5

    Fig.1-16  Comparison between measured and

      calculated gas velocities of incipient

       liquid stagnation (turbogrid tray)

    6

    一38一

  •  結    言

     向流型段塔のトレイ上に液が停滞し始める気液流速について,液の流入法の

    影響の検討を含めて実験的に考察し以下の知見をえた。

    (1)液停滞の始まる気液流速はトレイへの液の流入法によって顕著に異なる。

     この差異は1-2で述べたように液の流下に用いられる孔数の全孔数に対す

     る比(τs)が液の流入法によって変化することによると考えられる。

    ② 液を周囲より静かに流入させた場合および十字流型段塔に見られる十字流の

     場合のτsはEqs.(1-1)および(1-2)で表され,液が上段より分散流下

     する場合のτ∫はEqs.(1-1)および(1-3)で表される。

    (3)液停滞の始まる直前のガス流速におけるトレイ上の液深はEq.(1-7)で表

     現される。

    (4)液停滞の始まるガス流速はEq.(1-6)で表現され,補正係数κ、はモデル

     トレイではEq.(1-10),向流型多孔板ではEqs.(1-11)あるいは(1-

     12),ターボグリッドトレイではEqs.(1-14)あるいは(1-15)で表現さ

     れる。

    Literature  cited

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