12
─ 1 ─ 序論 私は日本倚囜籍䌁業研究グルヌプ・アフ リカチヌムJMNESG-AFの䞀員ずしお、 2009幎床は垝京平成倧孊の研究資金の共同研 究者の立堎で、たた20010幎 2012幎床は文 郚科孊省から研究分担者ずしお研究助成金を 受け、アフリカ倧陞(以䞋、アフリカ)内の䌁 業研究を継続しおきた。2009幎床の研究課題 は「アフリカの日本型生産システムの受容可 胜性」であり、匕き続く2010幎床からの3幎 間の研究目的は、「アフリカにおける日本䌁業 を䞭心ずした倚囜籍䌁業による珟地掻動の実 態調査を通じお、日本型経営生産システムが、 この䞖界経枈の最埌発地域にどのように受容 可胜であるかを究明するこずである。この地 域の自立的経枈発展に経営サむドから貢献で きる方策を求めお、われわれ日本倚囜籍䌁業 研究グルヌプ(JMNESG)が開発した『適甚ず適 応のハむブリッドモデル』の適甚を䞭心ずし た調査・分析を行う」、 1 であった。 JMNESG-AFずしおその研究成果の䞀郚 2009幎ず2010幎床研究は既に電子ゞャヌナ ルの『赀門マネゞメント・レビュヌ (AMR)』 2) に掲茉した。曎に埌半の二幎間の成果を加え た芁玄を䞊梓予定であるので、ここでは割愛 する。JMNESG-AF党䜓ずしおは10 ヶ囜の蚪 問であるが、私は6か囜、27䌁業ず4組織を蚪 問した。それらを䞀芧衚衚1にたずめた。 本研究は自動車産業ず瞫補産業に焊点をあ お、私が蚪問した䌁業を取り巻く経営環境ず その環境䞋における経営手法を分析するもの である。具䜓的にはアフリカ54 ヶ囜の䞭で、 北アフリカ諞囜゚ゞプト,チュニゞア,モロッ コ䞊びに南アフリカ共和囜、同囜ず経枈的 に関係が深いスワゞランドずゞンバブ゚以 埌、南アグルヌプず称するにある日系䌁業 での蚪問蚘録に基づき、ヶ囜の経枈や産業 構造ずの関係を考える。理論的分析枠組みず しおはJMNESGが確立した適甚ず適応のハむ ブリッドモデル 3) ずポヌタヌの囜家優䜍の動 態分析における菱圢図を参考にする。 4 アフリカを経枈孊・瀟䌚孊的芳点で分類す る際には、二分類北アフリカ諞囜ずサブサ ハラ諞囜ず䞉分類サブサハラ諞囜の内、 南アフリカ共和囜を別栌ずする分類がある が、本皿では埌者ずする。たた自動車産業ず アフリカ倧陞における自動車産業ず瞫補産業 The automobile industry and sewing industry in Africa å±± ïš‘ 克 雄 序論 第Ⅰ章 アフリカ倧陞の経営環境 第Ⅱ章 自動車産業ず瞫補産業の珟状に関しお 第Ⅲ章 二産業における日系䌁業の経営比范 第Ⅳ章 結論 1) 「平成22幎床科孊研究費補助金亀付申請曞」代 衚者安保哲倫、平成22幎4月14日 2) http://www.gbrc.jp/journal/amr/で怜玢の埌「バッ クナンバヌ」で入手可胜。AMR11å·»9号 12号 ずAMR12å·»2号における「ものづくり玀行」シ リヌズで掲茉党お無料、たた論文「アフリ カの日本的ハむブリッド工堎―䞭間的なたず め」AMR12å·»12号有料がある。 3) 日本的芁玠の移転床合いを枬るための評䟡基準 が定められおおり、5点尺床の評䟡が行われる。 点数が高いほど日本的芁玠がより倚く含たれお いるこず適甚を意味し、逆に点数が䜎いほ ど日本的芁玠が珟地に合わせお修正されるか、 䜕らかの珟地の芁玠で代替されおいるこず適 応を意味する。最新の評䟡基準は䞭南米調査 の出版本である、山克雄、銭䜑錫、安保哲倫 監蚳『ラテンアメリカにおける日本䌁業の経営』 䞭倮経枈瀟, 2009幎、8  19ペヌゞを参照され たし。 4) Michael Porter, The Competitive Advantage of Nations, The Free Press, New York, pp132-147 CORE Metadata, citation and similar papers at core.ac.uk

The automobile industry and sewing industry in Africa

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Page 1: The automobile industry and sewing industry in Africa

─ 1 ─

序論 私は日本倚囜籍䌁業研究グルヌプ・アフ

リカチヌムJMNESG-AFの䞀員ずしお、

2009幎床は垝京平成倧孊の研究資金の共同研

究者の立堎で、たた20010幎 2012幎床は文

郚科孊省から研究分担者ずしお研究助成金を

受け、アフリカ倧陞(以䞋、アフリカ)内の䌁

業研究を継続しおきた。2009幎床の研究課題

は「アフリカの日本型生産システムの受容可

胜性」であり、匕き続く2010幎床からの3幎

間の研究目的は、「アフリカにおける日本䌁業

を䞭心ずした倚囜籍䌁業による珟地掻動の実

態調査を通じお、日本型経営生産システムが、

この䞖界経枈の最埌発地域にどのように受容

可胜であるかを究明するこずである。この地

域の自立的経枈発展に経営サむドから貢献で

きる方策を求めお、われわれ日本倚囜籍䌁業

研究グルヌプ(JMNESG)が開発した『適甚ず適

応のハむブリッドモデル』の適甚を䞭心ずし

た調査・分析を行う」、1であった。

 JMNESG-AFずしおその研究成果の䞀郚

2009幎ず2010幎床研究は既に電子ゞャヌナ

ルの『赀門マネゞメント・レビュヌ (AMR)』2)

に掲茉した。曎に埌半の二幎間の成果を加え

た芁玄を䞊梓予定であるので、ここでは割愛

する。JMNESG-AF党䜓ずしおは10 ヶ囜の蚪

問であるが、私は6か囜、27䌁業ず4組織を蚪

問した。それらを䞀芧衚衚1にたずめた。

本研究は自動車産業ず瞫補産業に焊点をあ

お、私が蚪問した䌁業を取り巻く経営環境ず

その環境䞋における経営手法を分析するもの

である。具䜓的にはアフリカ54 ヶ囜の䞭で、

北アフリカ諞囜゚ゞプト,チュニゞア,モロッ

コ䞊びに南アフリカ共和囜、同囜ず経枈的

に関係が深いスワゞランドずゞンバブ゚以

埌、南アグルヌプず称するにある日系䌁業

での蚪問蚘録に基づき、ヶ囜の経枈や産業

構造ずの関係を考える。理論的分析枠組みず

しおはJMNESGが確立した適甚ず適応のハむ

ブリッドモデル3) ずポヌタヌの囜家優䜍の動

態分析における菱圢図を参考にする。4

 アフリカを経枈孊・瀟䌚孊的芳点で分類す

る際には、二分類北アフリカ諞囜ずサブサ

ハラ諞囜ず䞉分類サブサハラ諞囜の内、

南アフリカ共和囜を別栌ずする分類がある

が、本皿では埌者ずする。たた自動車産業ず

アフリカ倧陞における自動車産業ず瞫補産業

The automobile industry and sewing industry in Africa

山  克 雄

序論

第Ⅰ章 アフリカ倧陞の経営環境

第Ⅱ章 自動車産業ず瞫補産業の珟状に関しお

第Ⅲ章 二産業における日系䌁業の経営比范

第Ⅳ章 結論

1) 「平成22幎床科孊研究費補助金亀付申請曞」代

衚者安保哲倫、平成22幎4月14日2) http://www.gbrc.jp/journal/amr/で怜玢の埌「バッ

クナンバヌ」で入手可胜。AMR11å·»9号 12号

ずAMR12å·»2号における「ものづくり玀行」シ

リヌズで掲茉党お無料、たた論文「アフリ

カの日本的ハむブリッド工堎―䞭間的なたず

め」AMR12å·»12号有料がある。

3) 日本的芁玠の移転床合いを枬るための評䟡基準

が定められおおり、5点尺床の評䟡が行われる。

点数が高いほど日本的芁玠がより倚く含たれお

いるこず適甚を意味し、逆に点数が䜎いほ

ど日本的芁玠が珟地に合わせお修正されるか、

䜕らかの珟地の芁玠で代替されおいるこず適

応を意味する。最新の評䟡基準は䞭南米調査

の出版本である、山克雄、銭䜑錫、安保哲倫

監蚳『ラテンアメリカにおける日本䌁業の経営』

䞭倮経枈瀟, 2009幎、8  19ペヌゞを参照され

たし。4) Michael Porter, The Competitive Advantage of

Nations, The Free Press, New York, pp132-147

CORE Metadata, citation and similar papers at core.ac.uk

Page 2: The automobile industry and sewing industry in Africa

─ 2 ─

環境ず経営 第20巻 第号2014幎

è¡š1 2009幎 2012幎に蚪問した䌁業および組織の䞀芧衚

山克雄 䜜成 2014幎3月

蚪問幎 囜名 䌁業 ・ 組織名 日本の関連䌁業 事業目的 ・ 補品 ・ サヌビス

2009幎10瀟

゚ゞプト

YKK EGYPT YKK 瞫補ファスナヌ 䞀貫生産

Toyoda Trading (Egypt) 豊田通商 総合商瀟掻動

EPEDECO ゚ゞプト石油開発䌚瀟

囜際石油開発垝石 石油開発 ・ 採掘

General Motors Egypt S.A.E いすゞGM関連2車皮、 いすゞ関連2車皮他

JETRO Egypt Office JETRO 情報収集 ・ 䌁業支揎掻動

KAIZEN Productivity and Quality Improvement Center

(゚ゞプト通産省傘䞋)

JAICA支揎による生産性向䞊掚進

Nissan Motor Egypt S.A.E. 日産自動車 サニヌ他2車皮

Egypt Otsuka 倧塚補薬 錠剀ずアンプの医薬品

モロッコ

YKK MAROC S.A.R.L. YKK 瞫補ファスナヌ

Yazaki Morocco S.A 矢厎総業 ワむダヌハヌネス

Makita Africa (Morocco) 株匏䌚瀟マキタ 電動工具の倉庫 ・ 販売業務

Cali Maroc (モロッコ䌁業 蟲薬販売

2010幎10瀟

スワゞランドYKK Southern Africa (PTY) Ltd., Swaziland Branch

YKK 瞫補ファスナヌ

南アフリカ共和囜

JETRO South Africa Office JETRO 情報収集 ・ 䌁業支揎掻動

Sojiz Corp.  South Africa 双日 総合商瀟掻動

Hisense South Africa 海信/䞭囜䌁業 倧型液晶テレビの䞀郚生産

Hernic Ferrochrome (Pty), Ltd.

䞉菱商事 鉱採掘及び粟錬

Samancor Chrome Ltd. 南ア䌁業 鉱採掘及び粟錬

Nissan South Africa (PTY) LTD, Rosslyn Plant

日産自動車 3車皮生産

KOMATSU Sothern Africa (Pty) Ltd

コマツマヌケティングずテクニカルサポヌト

H a n w a C o . L t d . Johannesburg Office

阪和興業 金属品の貿易業務窓口

Productivity S.A. 南ア䌁業 珟地䌁業の生産性向䞊支揎

ゞンバブ゚Willowvale Mazda Motor Industries (Pvt.) Ltd.

マツダ 倧型ピックアップトラック

2011幎5瀟

チュニゞア

YKK TRADING TUNISIA SARL

YKK 瞫補ファスナヌ

F o r e i g n I n v e s t m e n t Promotion Agency(FIPA)

(チュニゞア組織) 倖資䌁業の呌び蟌み窓口

CPC 侾箅 火力発電所

Siemense (ドむツ䌁業 シヌメンス補品の連絡窓口

Paradigm Precision Tunis Operations. (Eurocast)

(米囜䌁業 航空機甚郚品

Telnet Technocentre チュニゞア䌁業 ゚ンゞニアリングサヌビス

2012幎2瀟

チュニゞア

Yazaki, Tunisia 矢厎総業 ワむダヌハヌネス

SEBN, (Sumitomo Electric Bordnetze), TN

䜏友電工 ワむダヌハヌネス

Page 3: The automobile industry and sewing industry in Africa

アフリカ倧陞における自動車産業ず瞫補産業

─ 3 ─

瞫補産業に絞り蟌んだのは二぀理由からであ

る。1倩然資源のモノカルチャヌ囜以倖で

の埌発経枈発展モデルにおいおは、瞫補産業

の果たす圹割は倧きい。曎に自動車産業は第

段階の倧量消費時代5に芜生える産業であ

る。アフリカの囜々は第3、第4、および第5

段階に䜍眮するず考えられる。2衚1の劂く、

27䌁業を蚪問したが、分析察象ずなる日系䌁

業は20䌁業であり、自動車産業自動車郚品

産業を含むが7瀟、瞫補産業で4瀟䜆し党

おYKKの関連䌚瀟が蚪問䞊䜍産業である。

第Ⅰ章 アフリカ倧陞の経営環境第節 アフリカ経枈の䞀般事情

 アフリカは最倧面積で圧倒しおいた旧スヌ

ダンが2011幎に分断され、スヌダンず南スヌ

ダンが誕生しお54 ヶ囜より構成される。日

本をずした時、面積は玄80倍、人口7.5倍、

GDPは0.25倍の芏暡である。このGDPの䜎さ

はアフリカ経枈孊者の䞭では成長阻害芁因に

起因するず考えられおいる。6それらは(1)瀟

䌚の分断(2)䞍適圓な政策をあげるこずがで

き、二者は盞互関係もある。民族ず蚀語の倚

様性は瀟䌚の分断にも繋がるし、さらに瀟䌚

分断は成長促進的な経枈政策を政府に採択さ

せない。その結果所埗栌差が倧きい囜や民族

間の緊匵床が高い囜ほど、所有暩や契玄の履

行に぀いお䞍確実性が高くなり、経枈成長率

が䜎くなった。たた怍民地時代の統治䜓制が

途䞊囜の珟圚の制床に圱響し成長を劚げおい

るずも蚀われおいる。アフリカ経枈は域内総

生産高の40以䞊を南アフリカ共和囜以䞋、

南アが占める構図になっおおり、序論で述

べた䞉分類を採甚する最倧の理由である。長

期間継続されたアパルトヘむトが廃止され、

民䞻化が加速され、人口の80を占める黒人

に教育機䌚が䞎えられ、曎なる工業化が進ん

だ。解攟埌の英雄で初代倧統領ずなったマン

デ゚ラ氏が2013幎12月に逝去したが、南ア経

枈には圱響はないず思われる。南アスワゞ

ランド、レ゜トを含むは英語が公甚語の䞀

぀になっおおり、キリスト教がメむンである。

たた初期に欧州から南アに入怍したアフリ

カヌナず呌ばれる癜人玄20ず11皮族以

䞊の黒人(箄80 )が混圚するのに察しお、南

アを陀くサブサハラ・アフリカ諞囜は倧倚数

が黒人であり、宗教ずしおむスラム教、キリ

スト教および原始教(各囜で宗掟比率は倧い

に異なる)を信じ、公甚語はスワヒリ語、ア

ラビア語、フランス語、ポルトガル語、英語

などである。䞀方で北アフリカ諞囜ぱゞプ

ト、リビア、チュニゞア、アルゞェリア、モ

ロッコ、(西サハラは宗教がむスラム教で

公甚語ずしおアラビア語を採甚しおおり、欧

州経枈ずの関係が深いのが特色である。これ

らの事実関係も䞉分類の劥圓性である。

 2005幎頃たでは、治氎、灌挑、蟲業および

その他のむンフラを䞭心ずした有償・無償の

揎助による開発経枈孊の芖点のアフリカ研究

が䞭心であったが、珟圚ではグロヌバルビゞ

ネスのフロンティアずしおの研究に倉化し぀

぀ある。その理由ずしおは、(1)人口の2050幎

たでの䌞び率が高い(2)1日の消費額が4ドル以

䞊の䞭間局が増倧しおいる(3)実質GDP成長率

が䞖界平均を䞊回る氎準で安定的に掚移する

芋通しである(4)グロヌバル・マヌケティング

の芖点で盞察的な地䜍向䞊、などが挙げられ

る。玙面の制限があるため、各項目に関しお

芁点のみを远加説明する。(1)に関しおは人口

増加が成長の阻害芁因ずしお考えられおきた

が、今䞖玀に入り資源䟡栌の高隰を背景に人

口の急激な増加にも拘わらず䞀人圓たりGDP

の成長を実珟しおいる。(2)に぀いおアフリカ

開発銀行のデヌタに埓うず、2010幎たでの10

幎間でその䞭間局は1.3億人増え、2020幎た

での10幎間で曎に0.8億人が増加し、4.3億人

になる芋通しである。(3)に関しお囜際通貚

基金(IMF)の䞖界経枈芋通しによれば、2017

幎たで䞖界平均を䞊回る氎準で安定的に掚

移する。特に南アを含むサブサハラ・アフリ

カは、幎率6近い成長率が芋蟌たれおいる。

(4)に関しおは次の぀のデヌタから読み取れ

る。囜際連合発衚の“National Accounts Main

5 W. W. Rostow, The Stages of Economic Growth, Cambridge University Press, Cambridge, M.A., U.S.A.1960, pp4-16

6) 平野克己線『アフリカ経枈孊宣蚀』アゞア経枈

研究所、2003幎、44  50ペヌゞ

Page 4: The automobile industry and sewing industry in Africa

─ 4 ─

環境ず経営 第20巻 第号2014幎

Aggregate Database”によれば、アフリカ党䜓

の個人消費の経枈成長寄䞎床は56.6%で、む

ンド、䞭囜はもずより䞖界平均を䞊回っおい

る。たた“UN COMTRADE”から日䞭韓米

欧の察アフリカ貿易の著しい倉化が2011幎た

での10幎間であった。茞入に関しおは䞭囜が

資源燃料の茞入額を16倍にし、突出しおいる

他、韓囜の2倍から英囜や日本の5倍たで各囜

ずも䌞長しおいる。鉱石などの資源は䞭囜が

31倍ずし、アフリカ䟝存床を極端に高めた。

日本ずドむツが4倍で倚いが他囜は2倍皋床で

あった。䞀方茞出に関しおは䞻芁品目の比率

に10幎間で顕著な倉化が芋られた。䞭囜は繊

維補品がトップ商品であったが、2011幎には

モヌタヌサむクルがアフリカ向け茞出総額の

30.3%ず飛びぬけおいる。鉄道・自動車等の

茞送関連補品に関し各囜ずも、金額で2倍か

ら6倍増加させおいる。その内の「乗甚自動車・

その他の自動車」ず「貚物自動車」の2項目

で韓囜が茞出総額の85%、以䞋英囜, 75%、日本,

70%、米囜, 65%、ドむツ, 58%、フランス, 53%、

䞭囜, 25%であった。7)

第節 日本䌁業のアフリカぞの倖囜投資

 『海倖進出䌁業総芧【囜別線】2013』によ

るず、日本䌁業の4,510瀟が党䞖界に25,204

法人を蚭立しおいる。その倧半はアゞアで

15,582瀟(62%)が掻動しおおり、欧州, 3,837瀟

(15%)、北米, 3,679瀟(14%)、䞭南米, 1,161瀟(5%)、

オセアニア, 620瀟(2%)、䞭近東, 181瀟ず続き、

アフリカは144瀟ず最も少ない。アフリカの

䞭では前述の䞉分類で芋るず、北アフリカ諞

囜に29瀟(26瀟)、南アを陀くサブサハラ諞囜

に53瀟(54瀟)、南アに62瀟(56瀟)が法人登録さ

れおいる。( )内の数倀は日本からの進出䌁

業数である。8)

 JMNESGは海倖調査を開始する際にこの総

芧を基本参考曞ずしお䜿甚しおきたが、掲茉

瀟数が実際よりかなり少ないこずを経隓しお

いる。今回のアフリカ調査に関しおも、他の

機関によるデヌタも参考にした。その䞀぀に

日本貿易振興機構(以䞋、JETRO)の調査デヌ

タがある。JETROは2012幎に333瀟のアフリ

カ進出日本䌁業に察しおアンケヌトを送付

し、たた2007幎には227瀟に察しお同様の調

査を行っおいる。5幎間で玄47%増加したこず

になる。特に増加率が高い囜は、モロッコ、

゚ゞプトおよび南アであった。返华された回

答によるず、日本䌁業は進出理由ずしお(1)経

枈共同䜓ずの関連で拠点䜜りに腐心(2)珟地の

優秀なパヌトナヌ䌁業の必芁性を痛感(3)珟地

法人の蚭立による販売拡倧(4)M&Aによる拠点

の確立も詊みおいる。アフリカ内の経枈共同

䜓に぀いおは第4章で觊れる。曎に日本䌁業

が盎面する課題ずしおは、次の事項が挙げら

れおいる。(1)珟地情報の䞍足(2)治安問題(3)

芏制・制床ぞの察応ず予期せぬ政策倉曎のリ

スク(4)各皮手続きの察応の遅さ(5)物流網の未

æ•Žå‚™(6)人材9)

 JMNESG-AFによる蚪問時にも珟地責任者

から同様の話を聎取しおいるが、倚くの䌁業

がこれらの課題を乗り越えお珟地操業を進め

おいた。その䞀方法に珟地での日本人䌚組織

があり、情報亀換の堎ずなり、問題解決に圹

立っおいる。尚、治安問題は日本䌁業の海倖

進出の共通の課題ずなっおおり、特に発展途

䞊囜ぞの倖囜投資決定の際には、最倧の考慮

ポむントである。2010幎調査の蚪問予定囜で

あったモザンビヌクで動乱が起き、䞀時空枯

閉鎖ずなったため、既に南アに滞圚しおいた

が、珟地䌁業のアドバむスにより蚪問を䞭止

した。たた2011幎にチュニゞアで起きた反政

府デモを契機に「アラブの春」はモロッコを

陀く北アフリカ諞囜を襲った。このようなリ

スクは公的・私的保険である皋床はカバヌで

きるが、党おは䞍可胜である。

 䞊蚘課題の(1)  (4)に関係するこずであ

るが、投資囜のビゞネス文化の環境ずし

お、背埳行為報告曞(原文名“Corruption 7) 経枈産業省貿易経枈協力局通商金融・経枈協

力課線『アフリカビゞネス』経枈産業調査䌚、

2013幎、8  23ペヌゞに掲茉されおいる数倀を

二次デヌタずしお䜿甚した。8) 東掋経枈新報瀟線『海倖進出䌁業総芧【囜別線】

2013』東掋経枈新報瀟、2013幎

9) 経枈産業省貿易経枈協力局通商金融・経枈協力

課線、前掲曞、64  79ペヌゞ

Page 5: The automobile industry and sewing industry in Africa

アフリカ倧陞における自動車産業ず瞫補産業

─ 5 ─

Report”) も参考ずなる。これはTransparency

International, NGOが、腐敗の皋床を䞀般の

人々がどのように感じおいるかをたずめたも

のである。10)

 調査方法各囜3名から10名に問い合わせ

及び統蚈解析法最倧倀ず最小倀を衚瀺し、

それらをはずした数倀の平均は䞀般公開さ

れおいる。アフリカ諞囜のスコアず順䜍を衚

ずしおたずめた。しかし質問内容、回答者

の遞出方法、解析のプロセスに関しおは掲茉

されおいないので、信憑性を論じるこずはで

きないが、ある皋床の目安ずはなろう。たた

定期的に発衚されるので経幎倉化は参考にな

る。

 曎に他の機関が発衚しおいるデヌタずし

お、アフリカ開発銀行(以䞋、AfDB)の「アフ

リカビゞネスに関わる日本䌁業リスト日本

語版」がある。11)リストは33業皮に分類さ

れた日本䌁業の事業実斜囜が蚘茉されおいる

が、事業圢態ずしお、A:珟地法人、B:駐圚員

事務所・支店、C:取匕関係、D:その他の党お

が含たれおいる。埓っお前述した東掋経枈新

報瀟ならびにJETROのデヌタずの敎合性をず

るために、Aのみずし、B,C,Dの事業拠点は陀

去した。その結果珟地法人数は292瀟、進出

日本䌁業数は299瀟であった。同銀行の資料

䜜成方法は䞍明であるが、事業圢態、事業内

容の詳现説明及び䌁業URLず参考URLの蚘茉

があり、信頌性は高い。JETROの堎合、333

瀟ぞの送付に察しお回収率に関しお觊れおい

ないし、事務所・支店やプロゞェクト事務所

も含たれおいる可胜性もあり、AfDBのデヌ

タが䞀番、珟実に近いず掚察し、以埌の考察

資料ずする。進出䞊䜍10業皮に関しお衚ず

10) Transparency International, “Corruption Perceptions Index 2013,” http://www.transparency.org/cpi2013/results# 

1/10/2014 怜玢11) アフリカ開発銀行アゞア代衚事務所・アフリカビゞネスパヌトナヌズ線「アフリカビゞネスに関わる日本䌁

業リスト日本語版」2014幎1月

è¡š2 背埳行為報告曞

囜 名 評䟡点 䞖界順䜍 囜 名 評䟡点 䞖界順䜍

ボツワナ 64 30 参考

ルワンダ 53 49 日本 74 18

ナミビア 48 57 米囜 73 19

セヌシェル 54 47 台湟 61 36

南ア 42 72 韓囜 55 46

セネガル 41 77 ã‚¿ã‚€ 35 102

チュニゞア 41 77 むンドネシア 32 114

ザンビア 38 83 ベトナム 31 116

モロッコ 37 91 ロシア 28 127

アルゞェリア 36 94 北朝鮮 8 175

ベニン 36 94

ニゞェヌル 34 106

゚ゞプト 32 114

ケニダ 27 136

ゞンバブ゚ 21 157

゜マリダ 8 175

泚スワゞランドは衚瀺されおいない。Transparency International, “Corruption Perceptions Index 2013,” をもずに筆者䜜成

Page 6: The automobile industry and sewing industry in Africa

─ 6 ─

環境ず経営 第20巻 第号2014幎

しおたずめた。トップは「自動車・茞送甚機

噚、同関連郚品」で36法人27䌁業であり、

2䜍は「電気・電子・情報機噚、同関連郚品」

の32法人(25䌁業)であった。本論文が察象ず

しおいる瞫補産業は分類ずしおなく、それ

に近い項目ずしお「繊維・衣料」があるが、

YKK瀟は含たれおいない。同瀟は「鉄鋌・金属・

非鉄金属」に包含されおおり、ヵ囜に珟

地法人ず蚘されおいた。これは同瀟の二倧事

業の䞀぀に、アルミサッシ事業があるためず

掚量できる。䜆しアフリカの堎合は党おファ

スナヌ事業である。

第Ⅱ章 自動車産業ず瞫補産業の珟状に関しお第節 自動車産業の珟状

 先ず日本の自動車組立䌁業の投資囜に぀い

お述べる。公衚されおいるデヌタずしおは

日本自動車工業䌚発刊の『日本自動車工業

2013』12)があり、その抜粋を纏めたのが、衚

である。本衚ではカヌメヌカヌ名は蚘され

おおらず、たた珟地䌁業ぞの委蚗生産も包含

されおいる。第1章で述べたAfDBの進出日本

䌁業リストを参考に䞀郚メヌカヌからの聞き

取り情報から掚察するず、自瀟の生産技術ず

資本を投入しおいるメヌカヌは次のようにな

る。(1)日産自動車(以䞋日産)が゚ゞプトず南

アで生産(2)トペタ自動車以䞋トペタが南

アで生産(3)本田技研工業(以䞋ホンダ)がナむ

ゞェリアで自動二茪車を生産(4) 䞉菱自動車

以䞋䞉菱がケニアで生産 (5)マツダがゞン

バブ゚で生産マむナヌ資本(6) いすゞ自

動車以䞋いすゞが゚ゞプトず南アでGM

ず合匁(マむナヌ資本)で生産ずいうこずにな

る。

è¡š4 日本のカヌメヌカヌの海倖生産

䌁業数

囜 名 四茪車 二茪車

゚ゞプト 4

ケニア 3

モロッコ 1

ナむゞェリア - 2

南ア 6

チュニゞア 1

ゞンバブ゚ 1

アフリカ蚈 16 2

出所『日本の自動車工業2013』P54より抜粋

 次に海倖メヌカヌの状況をフォヌむンの資

料13)からたずめたのが衚5である。12) 日本自動車工業䌚線『日本自動車工業2013』日

本自動車工業䌚、2013幎

è¡š3 業皮別進出䌁業数 䞊䜍10業皮/33業皮

業皮分類 珟地法人数 進出䌁業数

1 自動車・茞送甚機噚、同関連郚品 36 27

2 電気・電子・情報機噚、同関連郚品 32 25

3 総合商瀟 28 7

4 情報・通信、同関連゜フト 24 6

5 䞀般機械 22 36

6 粟密機械 15 8

6 鉄鋌・金属・非鉄金属 15 10

8 化孊 12 12

9 食品・飲料 10 5

10 資源 9 11

出所「アフリカビゞネスに関わる日本䌁業リスト日本語版」2014幎1月   により筆者䜜成

Page 7: The automobile industry and sewing industry in Africa

アフリカ倧陞における自動車産業ず瞫補産業

─ 7 ─

 この衚は䌁業の発衚した情報を集玄したも

のであるので、かなりの委蚗生産が含たれお

いる暡様である。その事実は日産の南ア瀟

(Nissan South Africa (PTY) LTD, Rosslyn Plant)

から公衚了解を埗た資料(図1)より掚察でき

る。

 衚4、衚5及び図からアフリカにおいおは

南アが自動車生産の拠点ずなっおおり、マヌ

ケティング戊略の䞊でも草刈り堎ず化しおい

るこずが理解できる。

 たた委蚗生産しおいる海倖組立メヌカヌは

倚いが、受蚗しおいる珟地䌁業は少ないこ

ずがJMNESGの調査研究から掚察できる。䟋

えばケニアに関しお蚀及するず衚4から日本

䞉瀟の生産報告があるが、Associated Vehicle

Assemblers Ltd. (AVA)ずいう珟地䌁業が䞀手

に生産しおいる。同瀟はトペタ、ホンダ、䞉

菱車ののみならずGMやKahnya(ブラゞル資本)

瀟の車皮生産をしおいる。AVA瀟は䞉菱が

50%出資する子䌚瀟であった(1985幎頃)が、日

系資本は珟圚皆無で、Toyota East Africa Ltd.

所属の技術者の支揎を受けおいる。同様に

南アに぀いお考察するず、衚4より4䌁業、た

た衚5より5䌁業が自瀟生産しおいないので、

AVAに類するような「自動車生産コンシェル

ゞュ」1  2瀟が受蚗しおいるず掚察でき

る。曎に同様の掚察から゚ゞプトでも1瀟は

あるず考える。

 組立生産は北アフリカ諞囜の堎合ノック

ダりン(KD)方匏であり、゚ゞプトの日産゚

ゞプト瀟やGMを陀くず完璧なKDComplete

Knock Down生産を実斜しおいる。即ち完成

図1 南アフリカ共和囜で生産しおいる自動車メヌカヌ

提䟛Nissan South Africa (PTY) LTD, Rosslyn Plant

è¡š5 海倖メヌカヌのアフリカ生産

特蚘事項 投資囜

米 囜

GM ゚ゞプト、南ア

Ford 南ア

ChryslerFiatGr ゚ゞプト

Navistar トラック、バス 南ア

欧 州

VW 南ア

Daimler 南ア、゚ゞプト

BMW 南ア

Renault 南アヶ所

PSA モロッコ

SEATVW Gr. スペむン 南ア

ScaniaVW Gr.) スりェヌデン商甚車 南ア

䞭 囜

䞭囜䞀汜 同囜2䜍メヌカヌ ゚ゞプト

東颚汜車 同囜3䜍メヌカヌ タンザニア、゚チオピア

奇端汜車 民族系小型車メヌカヌ 南ア

むンド Mahindra & M. 南ア

出所フォヌむン『䞖界の自動車生産』より筆者䜜成

Page 8: The automobile industry and sewing industry in Africa

─ 8 ─

環境ず経営 第20巻 第号2014幎

車ブランドメヌカヌからセット化されたキッ

ト郚品を賌入しおいる。埓っお囜内需芁に合

わせた少品皮少量生産が珟地資本ず劎働力に

より実斜されおいるこずになり、自動車産業

が囜家の競争優䜍にたでは成長しおいない。

䞀方、南アに関しおポヌタヌの理論を適甚し

お分析する。  でその項目を蚘す。図

の劂く日欧米7瀟の関連子䌚瀟による本栌

的な生産䜓制がずられおいるので、競争状態

が保たれおいる。日産においおは瀟長が販瀟

の責任者を兌務し売れ筋に目を光らせおいる

戊略、組織、競争盞手。各瀟ずも南ア囜内

需芁のほか南ア呚蟺囜向けの茞出にも取り組

み、特にドむツ系カヌメヌカヌにおいおは、

右ハンドルの需芁囜向け茞出車の生産がなさ

れおいる需芁条件。劎働力の点では熟緎

技胜劎働者、孊卒゚ンゞニア、管理者局は十

分ずはいえないが、瀟内及び瀟倖の蚓緎セン

タヌにおける教育䜓制が敎っおいる芁玠条

件。各瀟ずも生産高の䞊昇に䌎い、本囜で

の取匕関係がある郚品䌁業の南ア進出を誘匕

しお、埐々にそれらの関連䌚瀟より賌入する

こずで珟地調達率を高めおいる関連/支揎

の産業。総合的な刀断ずしお自動車組立産

業が囜家の競争優䜍たで高揚しおいるず考え

られる。

 自動車郚品メヌカヌに目を向けるず、北ア

フリカ諞囜においおは、組立メヌカヌの集積

が゚ゞプト、モロッコ、チュニゞア以倖には

なく支える産業もさほど成長しおいない。し

かし、ワむダヌハヌネスは䟋倖で、チュニゞ

アでは日系二瀟を含む6瀟、モロッコでも日

系䞉瀟を含む5瀟が生産しおおり、欧州にあ

る日欧の組立メヌカヌに䟛絊されおいる。特

にモロッコの堎合は保皎特区内での生産が倧

半であるがゆえに党量茞出されおいる。日産

゚ゞプト瀟の堎合、30瀟皋床の珟地業者より

賌入しおいるが、珟地調達率は45%皋床であ

り、郚品䞀点ごずに䞀瀟しかおらず耇数賌買

はできない経枈環境䞋にある。

 南アの自動車郚品産業が自動車組立産業を

支える産業ずしお生育し぀぀あるが、途䞊段

階である。ある郚品、䟋えばワむダヌハヌネ

スに぀いお北アフリカ諞囜補品を南アに持ち

蟌むこずも可胜であるが、同䞀倧陞内でも茞

送距離はむンドず南ア間に匹敵するので容易

ではない。たた北アフリカ諞囜ず関皎同盟や

経枈同盟が締結されおいないので、欧州やむ

ンドから茞入するのずコスト差はほずんどな

い。欧州組立メヌカヌずトペタは本囜での取

匕のある䌁業の珟地䌚瀟ならびに茞入が䞭心

であるのに察しお、米囜組立メヌカヌず日産

は珟地郚品メヌカヌ品ず茞入品ず割り切っお

いるようである。日産の堎合はむンドにある

日産グロヌバル調達郚品センタヌから䞀括茞

入しおいる。

第節 瞫補産業の珟状

 瞫補産業は、瞫補業者を頂点に生地、糞、

ボタンスナップ及びファスナヌの玍入業

者より構成される。前述のAfDBの資料では

「繊維・衣料」が該圓し、フェニックス・ロ

ゞスティクス瀟りガンダで1965幎よりオヌ

ガニックコットン品の生産、東レ、第䞀玡瞟、

コナカ他4瀟の瀟名があがっおいるが、法人

化䌁業を擁するのはフェニックス・ロゞス

ティクス瀟ずYKKの二瀟である。YKK瀟は4ヵ

囜゚ゞプト、モロッコ、チュニゞア、スワ

ゞランドで生産掻動をしおおり、JMNESG

の䞀連のアフリカ調査により、党瀟を蚪問し

た。13)YKKのファスナヌ郚門(もう䞀぀の柱に

アルミサッシ事業がある)は䞖界を極䜓制

(30 ヵ囜,50瀟超)で経営する䌁業でファスナヌ

のシェアは50%を超えるが、特に高玚瞫補品

での同瀟品の䜿甚率は90%以䞊ず蚀われおい

る。

 南アを含むサブサハラ諞囜における瞫補産

業に関しおは、犏西隆匘著「アフリカにおけ

る瞫補産業の珟状ず将来性」14)が有益な資料

であるが、玙面の制限で玹介は割愛する。以

䞋に蚪問囜に関しお自動車産業ず同様、ポヌ

タヌの理論を適甚する。瞫補業者は北アフリ

カ諞囜においおは珟地資本ず欧州資本が混圚

13) 前掲電子ゞャヌナル、拙著『AMR』11å·»10号,「YKK

のアフリカ戊略」を参照されたし。14) 犏西隆匘「アフリカにおける瞫補産業の珟状ず

将来性」、『繊維トレンド』、株匏䌚瀟東レ経営研

究所、2011幎・6月号

Page 9: The automobile industry and sewing industry in Africa

アフリカ倧陞における自動車産業ず瞫補産業

─ 9 ─

しおおり、完成品は䞻にペヌロッパぞ、䞀郚

は米囜に茞出されおいる。南アグルヌプの内、

南アは北アフリカグルヌプず同様に地元ず台

湟資本による経営である。スワゞランドには

台湟ず南ア資本が投資しおいる。泚目すべき

はレ゜トであり、䞭囜、台湟、南ア資本が

混圚し、米囜ぞの茞出総額は2009幎には2億

9000䞇ドルずなった。この額は南アグルヌプ

の茞出総額の72%、サブサハラ諞囜の30%にあ

たり、高い集積床である。YKKファスナヌ品

の販売先及び同品を䜿甚した瞫補品の茞出先

を䞀芧衚衚6にした。

 埓っお䞡グルヌプ内の䌁業は、的確なマヌ

ケッティング戊略をもち、倚くの競争盞手の

いる状態で経営がなされおいる戊略、組織、

競争盞手。需芁の面では䞡グルヌプずも自

囜の需芁ず欧州及び北米の需芁に察応しおお

り、近幎の所埗向䞊に䌎い䌞長する産業に成

長しおいる。レ゜トにおける䞭囜資本による

生産品は、広くサブサハラ諞囜に茞出されお

いる暡様である需芁条件。北アフリカ諞

囜グルヌプは南アグルヌプより人件費は高い

がより良質である。埌者は米囜政府が斜行

したアフリカ成長機䌚法African Growth and

Opportunity Act:AGOAの恩恵を受けおいる。

玡瞟や織垃の䌁業が少ないサブサハラ諞囜で

も、瞫補工皋だけの投資で優遇凊眮がある。

レ゜トの堎合、近隣のマダガスカルず䜎賃金

のアゞア諞囜バングラデシュやカンボゞア

より賃金は高いが、AGOAのおかげでアゞア

諞囜ずは互角の競争が可胜である芁玠条件。

瞫補の生地は珟地の商瀟より適正品が調達で

きる点では同䞀条件であるが、ファスナヌに

関しお、䞡グルヌプの䞭で゚ゞプトが37瀟あ

り、突出しおいる関連/支揎の産業。15)

第Ⅲ章 二産業における日系䌁業の経営比范 本章での議論は私が蚪問した日系䌁業の経

営比范である。JMNESG開発のハむブリッド

評点評䟡を行うが、どちらかずいうならば定

性的な分析である。たず衚に埓っお分析察

象䌁業を抜き出し列挙する。自動車組立䌁業

では日産の゚ゞプトず南アにある関連䌚瀟、

いすゞが関䞎しおいるGMの゚ゞプト瀟及び

マツダが関係するゞンバブ゚䌁業の5瀟であ

る。自動車郚品産業では矢厎総業のモロッコ

ずチュニゞアで掻動する䌁業䞊びに䜏友電

工のチュニゞア関連䌁業の3瀟である。䞀方、

瞫補産業はYKKの䞀瀟であるがヵ囜の関連

䌚瀟に関する分析ずなっおいる。前述の劂く

YKKのチュニゞアを陀く3瀟に関しおは、電

子ゞャヌナルの『AMR』11å·»10号に発衚しお

いる。その他の䌁業では、JMNESG-AFの研

究員により日産の二瀟、矢厎のモロッコ瀟、

マツダのゞンバブ゚瀟に関しおAMRに詳现説

明がなされおいるので参照願いたい。16)

15) JETROラむブラリヌ所蔵のKompass, “Connects business to business”CD資料から抜粋した。16) 『赀門マネゞメント・レビュヌ (AMR)』の「ものづくり玀行」(第62回第79回) においお、ケヌス分析の圢で

掲茉されおいる。

è¡š6 YKKの顧客所圚地ず瞫補品仕向け地

補造䌚瀟 䞻な販売先顧客所圚地 䞻な瞫補品仕向地

YKK゚ゞプト ゚ゞプト 米囜、欧州

YKKモロッコ モロッコ 欧州䞻にスペむン

スワゞランド䌚瀟 南ア(レ゜ト 䞻に米囜。䞀郚欧州

YKKチュニゞア チュニゞア 欧州䞻にフランス

出所蚪問時の筆者蚘録ずYKK本瀟の情報よりたずめた。泚スワゞランド瀟は南アにある販売䌚瀟の子䌚瀟にあたるので、党量が南ア本瀟売

䞊ずなり、倧半がレ゜トの顧客にわたる。

Page 10: The automobile industry and sewing industry in Africa

─ 10 ─

環境ず経営 第20巻 第号2014幎

 自動車郚品を含む自動車産業に属する8瀟

以䞋Aず瞫補産業4瀟(以䞋B)の経営様匏を

適甚ず適応のハむブリッドモデルの適甚を䞭

心ずした分析結果を蚘述する。この際既に

AMRで公衚されおいる2009幎ず2010幎に蚪

問した日系䌁業の工堎(N=13、以䞋Cず呌ぶ)

を参考にし぀぀論述する。17)日本的経営方匏

の特城は評䟡23項目の内、第Ⅰグルヌプ(䜜

業組織ずその管理運営)の6項目で顕著に衚れ

る。個別䌁業の項目評䟡はからたでの敎

数であり、平均倀のみ小数点第1䜍たでを有

効数倀ずしおいる。

 たず「職務区分」であるが、BがAに比し

かなり高めの評点であり、Aはどちらかずい

うずC評点3.6、以䞋同様の衚瀺ずするに

近い。即ちBが最も職務区分が少なく、䜜業

者はほが䞀括りになっおいるので日本の芪䌚

瀟に近い方匏である。この項目は次の「倚胜

工化」ず密接に関係する。BずAは0.7ポむン

トの差があり、C3.2はどちらかず蚀えば

Aに近い。職務区分が少ない方が倚胜工化は

掚進が容易である。Bの堎合班を越えおの倚

胜工化の取組みが䞀郚に芋られた。「教育・

蚓緎」に関しおもBはAよりも高いが、その

差は小さく、C(3.2)が䞭間に䜍眮する。OJT

を重芖するのが日本的経営ずしおいる。この

考えを日本の芪䌚瀟を絡たせた手法を採甚す

るず高くなるが、䞀様にそこたではしおいな

かった。「賃金䜓系」は職務絊ず人事考課の

導入床合ず関係する。

 AずBの開きはあり、C(2.7)がその間に䜍眮

する点に倉わりはない。Bでは党囜レベルの

協玄賃金をベヌスずしそれに䌁業内付加絊

付がある。䌁業内加絊には人事考課があるよ

うだ。「昇進」に関しおは内郚昇進を原則ず

する日本型経営がどのレベルたで貫いおいる

かである。高い順にBAC(3.2)ずいう結果

であったが、䞉グルヌプ間の差はきわめお少

ない。埓っお日系䌁業における経営のスタン

ダヌドずしお、䜜業長クラスの昇進でもモ

ラヌルに配慮し぀぀内郚昇進を䞀般的なルヌ

ルずするも倖郚からのヘッドハンティング

もある。「䜜業長」項目のポむントはその守

備範囲であり、日本では生産のかなめ的存圚

ずなっおいる。AずBは党く同じ評点ずなり

C(3.4)が若干䜎い結果であり、䜜業チヌムの

運営や工皋の技術的管理 が䞭心で劎務管理

たで行っおいるケヌスはたれであった。最埌

に第Ⅰグルヌプ党䜓で抂芳するならば、B

C(3.2)Aずいう結果であり、瞫補産業は補

品が现かく日本ず同様の品質氎準を確保する

ため、生産珟堎の組織や運営管理たで日本に

近い方匏を远求しおいるようである。自動車

産業に関し日系䌁業の進出は遅く、欧米䌁業

が持ち蟌んだ管理方匏を南アの事情に修正し

たのがベヌスにあるように考える。CN-13

の3.2ずいう結果に関しお、前掲曞の研究ノヌ

トでは「13工堎の内3工堎がCKD工堎であり、

党䜓的に比范的単玔な䜜業を比范的少人数の

䜜業員が遂行する工堎が倚いこずがその䞻た

る原因であるず考えられる。」ずの蚘述があ

るこずを付蚀しおおく。

第Ⅳ章 結論 日本では自動車産業のGDP盞圓額玄8兆

円は、玄450兆円のGDPに察しお玄1.77%2010

幎である。䞀方、瞫補産業ずいう括りで

はGDP盞圓額がないので、YKKのファスナヌ

の売䞊高が蚈䞊されるコヌド番号50291「他

の衣服・身の回り品(卞売)」で掚量するず、

幎間商品販売額は2,371,474癟䞇円であった。

埓っお経枈芏暡GDP比ずしおは0.53皋

床であろう。

 同䞀の調査により二産業の集積床を定量的

に把握すべく詊みたが、珟地デヌタが間に合

わず、今埌の課題ずする。定性的には自動車

産業においおは南アず゚ゞプトに集積が進ん

でいた。南アの瞫補産業は他のサブサハラ諞

囜に比し賃金が高いがゆえに、二産業の状況

は日本に近いのではないかず掚察しおいる。

瞫補産業では北アフリカ諞囜、特にチュニゞ

アは衣料品の欧米垂堎向け茞出ずしおは30幎

を超す歎史がある。最近では日本も同囜より

31億円(2013幎)の衣料茞入があり品目別茞入

額では第4䜍である。

 瞫補産業が醞成されるためには、倧量のお17) 前掲曞〔研究ノヌト〕12å·»12号(2013幎12月)

Page 11: The automobile industry and sewing industry in Africa

アフリカ倧陞における自動車産業ず瞫補産業

─ 11 ─

針子瞫補者をかかえる必芁がある。2013

幎のJ.P.グ゚ガンずゞョン・メむの人口孊者

の調査によるず、アフリカはグルヌプに分

類される。北アフリカ諞囜ず南アグルヌプは

出生率が4以䞋ずアフリカの䞭では最も䜎い

グルヌプに入る。䞀方、フェニックス・ロゞ

スティクス瀟が進出しおいるりガンダは、倧

陞の䞭で最も高いグルヌプ6.1以䞊に属

する。その他䞭間のグルヌプは4.1-5.0グ

ルヌプず5.16.0であり、倫々に゚チオピア

ずタンザニアが含たれる。18)今埌のアフリカ

における瞫補産業は南アグルヌプを陀くサブ

サハラ諞囜が䞭心の展開ずなろう。

 二産業の経営様匏に関しお、「䜜業組織ずそ

の管理運営」の項目に関しお比范した。顧

客が芁求する品質氎準の高さや䞖界シェアが

倧きいこずが、結果ずしお日本的方法の適甚

床が高くなるようである。残りの17項目の評

点を加えた総合評点の平均倀は瞫補産業が

3.3に察しお自動車産業は2.8であった。今埌

JMNESG-AFの研究成果が公衚され、暙本数

が増えおいく過皋で再床比范分析する。

 䞀連の日系䌁業蚪問時に、責任者より経枈

同盟が実際の珟堎で機胜しおいないずの説明

を聎取した。アフリカには経枈共同䜓が存

圚する。19)この䞭では東アフリカ共同䜓East

African Community :EACが成功事䟋ずしお

挙げられおいる。ケニア、タンザニア、りガ

ンダの䞉囜で出発し、珟圚はルワンダずブル

ンゞが加盟し、5カ囜による1.4億人芏暡の経

枈ずなっおいる。西アフリカ諞囜経枈共同䜓

ECOWASには15 ヵ囜加盟しおおり、日本

政府は同事務局に察しお毎幎䞇 10䞇㌊

を拠出しおいる。たた前述の瞫補産業の南ア

グルヌプは、南郚アフリカ関皎同盟SACU

を締結しおおり、ボツワナ、レ゜ト、ナミビ

ア、スワゞランド及び南アのヵ囜から構成

される。その他の経枈共同䜓は加盟囜

ヵ囜に政治的な問題を抱えおいるため

に調敎できおいないようである。アフリカの

䞀局の発展はこの経枈共同䜓運営にもかかっ

おいるようである。

18) “The dividend is delayed,” The Economist, March 8th-14th, 2014, pp43-44

19) 経枈産業省貿易経枈協力局通商金融・経枈協

力課線『アフリカビゞネス』経枈産業調査䌚、

2013幎、27  31ペヌゞ

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