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52 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 53 ムチップのバグを限りなくゼロにしたいという 思いが込められています」(松本氏)。 他社製品と比較して 非常にコンパクトな筐体 ZeBuは、ザイリンクスのFPGAであるVirtex を搭載した論理エミュレータである。対応規 模 数 に 応 じ た 最 新 版 と し て、ZeBu-Server(5- slot ユニット版/2-slot ユニット版)やZeBu- Blade2 などがラインアップされている。 ZeBu-Server は、Virtex-5 LX330 を搭載し、最 大10億ASICゲートの非常に大規模なマルチコ アASICおよびSoCのハード・ソフト協調検証 向けに開発されたもので、スケーラブルな拡張 性およびマルチユーザ機能を備えている(動作 クロック30MHz)。幅と奥行きは50cmであり、 5-slot ユニット版でも高さ 50cm、2-slot ユニッ ト版では高さ23cmである。他社製品と比較し て非常にコンパクトな筐体に収まっている。 ZeBu-Blade2は、ZeBuシリーズの7世代目 となる製品だ。シングルユニットのみである が、小型軽量でデスクトップでも使用できる。 先 端 の Virtex-6 LX760 を 搭 載 し、 最 大 3200 万 ASIC ゲートの ASIC および SoC のハード・ソフト 協調検証向けに開発されたデスクトップサイズ の高速エミュレータである(動作クロックは同 じく30MHz)。消費電力は200W以下であり使 い勝手が高い。ちなみに、ZeBu-Blade2の対応 容量は、日本イヴの顧客におけるチップ開発全 体の 60%をカバーしている。 ハード・ソフト協調検証環境は、FPGAプロト タイプを用いても実現できる。「しかし、FPGA プ ロトタイプではFPGA の深い知識が必要であり、 完全に動作するまでに時間がかかってしまいま す」(井芹氏)。さらに、「ゲートサイズが 2,000 万を超えるような大規模なものは、技術的にさ らに難しいのが現状です」(バラン氏)という。 あらゆる抽象度レベルの ARM モデルに対応 ハード・ソフト協調検証には論理シミュレー タが用いられることもあるが、速度が充分で はない。一般に、論理エミュレータは、論理 シミュレータの100~1,000倍以上の速度で動 作させることができる。「論理エミュレータは、 全メモリやレジスタを 任意のタイミングで観 測できるなど、サイク ル精度の完全な制御性 や観測性を備えていま す」(松本氏)という。 ZeBuには、フルデ バッグ用の HDP と実行 専用のSDPの2つのタ イ プ が あ る。「HDPも SDPも製品自体は同じ な の で す が、SDP は 波 形が取れないなどの制 限があります。その代わり、価格が半額となっ ています」(松本氏)。コストメリットのある SDP を複数導入してハードウェア検証のレグレッ ションを並行で行っているユーザもいるという。 ZeBuは、ESLからRTLまであらゆる抽象度レ ベルのARMモデルに対応している。ESLモデル しかないような最先端のARMコアでも、ZeBu なら状況と目的に応じてあらゆる抽象度の ARM モデルと混在することもできる。これらの ARM モデルにはARM RealViewなどのソフトウェア 技術者が使い慣れたソフトウェア・デバッガを 接続可能であり、効率的にデバッグできる。 論理シミュレータによるESLとRTLの協調シ ミュレーションは速度の低下を招いてしまうが、 ZeBuは「ESL コ・エミュレーション」環境を構 築することでこの課題を解決している。ZeBu コンパイラは、デザインの大きさや複雑度に関 係なくRTLブロックを取り込み、ESL向けアダ プタを追加することで、RTLそのものをESLモ デルとして利用できるようにする。ZeBuの高性 能トランザクション・レベル・モデリングによ り、1秒間に数100万トランザクションを処理 できる。 ZeBu は、 図 1 の よ う な「OSCI TLM-2.0 ベ ー Success STORIES 日本イヴ株式会社 Success STORIES 日本イヴ株式会社 いち早いソフトウェア検証を実現する ハード・ソフト協調検証環境の ZeBu (ゼブ) 充分な速度を持った 論理エミュレータ ASIC や SoC などのカスタムチップの現状につ いて井芹氏は、「設計数自体は減っているので すが、その分個々の設計規模が大きくなってい ます。小規模なものはFPGAに流れていますが、 FPGAでは消費電力や規模の点で課題が残りま す」という。 「一般的なSoC開発は、ある程度工程が進ん だ段階で致命的なバグが発見されると大きな手 戻りが発生しかねません。それが、製品出荷時 期を遅らせる要因にもなるのです」(松本氏)。 仏 EVE 社 の「ZeBu( ゼ ブ )」は、 充 分 な 速 度 を持った論理エミュレータである。ハードウェ アとソフトウェアに加え、さらにユーザ・イン タフェースまでも統合した仮想プロトタイピン グ環境を構築でき、最終製品に直結した開発環 境を実現できる。 仏EVE社は、2000年に設立されたメーカであ り、現在、アメリカやヨーロッパ、アジアの各 拠点で約 140 名の従業員を抱えている。日本イ ヴは、仏EVE社の日本法人として2004年に設 立された。 EVE社の主力製品が、論理エミュレータの ZeBuである。「ZeBuとは、『Zero Bug(ゼロバ グ)』から取った名前であり、文字通りカスタ 従来、ASICやSoCはアプリケーションごとや製品クラスごとに開発していたが、現在はプラットフォームを共通化しソフトウェア で機能を変えるようになってきた。その背景として、微細化による開発コストの高騰、プロセッサの高性能化、マルチコア化など がある。そこでポイントとなるのが検証環境である。いち早くソフトウェアを検証するため、ハード・ソフトの協調検証の重要度 が増すなか、協調検証環境には、充分な速度でソフトウェアを実行できる性能、ハードウェアの優れたデバッグ力が求められる。 日本イヴは、高速のハード・ソフトの協調検証環境である「ZeBu(ゼブ)」を提供している。ここでは、ZeBuの魅力を聞いた。 日本イヴ株式会社 代表取締役 井芹 弘幸 PC / Linux ZeBu ARM コア モデル RVデバッガ OSCI TLM-2.0 環境 ZeBu TLM-2.0 Adapter Generic Payload DSP DDR3 UART Timer バス ブリッジ 外部 IP コント ローラ 図1:OSCI TLM-2.0ベースのESL 環境。SystemC ベースの仮想環境とのインテグレーションが可能 となり、SystemCとRTLを組み合わせた「高性能ハイブリッド仮想プラットフォーム」が実現できる。

Success STORIES 日本イヴ株式会社Success STORIES 日本イヴ株式会社 いち早いソフトウェア検証を実現する ハード・ソフト協調検証環境の ZeBu

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Page 1: Success STORIES 日本イヴ株式会社Success STORIES 日本イヴ株式会社 いち早いソフトウェア検証を実現する ハード・ソフト協調検証環境の ZeBu

52 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 53

ムチップのバグを限りなくゼロにしたいという

思いが込められています」(松本氏)。

他社製品と比較して非常にコンパクトな筐体

ZeBu は、ザイリンクスの FPGA である Virtex

を搭載した論理エミュレータである。対応規

模 数 に 応 じ た 最 新 版 と し て、ZeBu-Server(5-

slot ユニット版/ 2-slot ユニット版)や ZeBu-

Blade2 などがラインアップされている。

ZeBu-Server は、Virtex-5 LX330 を搭載し、最

大 10 億 ASIC ゲートの非常に大規模なマルチコ

ア ASIC および SoC のハード・ソフト協調検証

向けに開発されたもので、スケーラブルな拡張

性およびマルチユーザ機能を備えている(動作

クロック 30MHz)。幅と奥行きは 50cm であり、

5-slot ユニット版でも高さ 50cm、2-slot ユニッ

ト版では高さ 23cm である。他社製品と比較し

て非常にコンパクトな筐体に収まっている。

ZeBu-Blade2 は、ZeBu シリーズの 7 世代目

となる製品だ。シングルユニットのみである

が、小型軽量でデスクトップでも使用できる。

先 端 の Virtex-6 LX760 を 搭 載 し、 最 大 3200 万

ASIC ゲートの ASIC および SoC のハード・ソフト

協調検証向けに開発されたデスクトップサイズ

の高速エミュレータである( 動作クロックは同

じく 30MHz)。消費電力は 200W 以下であり使

い勝手が高い。ちなみに、ZeBu-Blade2 の対応

容量は、日本イヴの顧客におけるチップ開発全

体の 60%をカバーしている。

ハード・ソフト協調検証環境は、FPGA プロト

タイプを用いても実現できる。「しかし、FPGAプ

ロトタイプではFPGA の深い知識が必要であり、

完全に動作するまでに時間がかかってしまいま

す」(井芹氏)。さらに、「ゲートサイズが2,000

万を超えるような大規模なものは、技術的にさ

らに難しいのが現状です」(バラン氏)という。

あらゆる抽象度レベルのARMモデルに対応

ハード・ソフト協調検証には論理シミュレー

タが用いられることもあるが、速度が充分で

はない。一般に、論理エミュレータは、論理

シミュレータの 100 ~ 1,000 倍以上の速度で動

作させることができる。「論理エミュレータは、

全メモリやレジスタを

任意のタイミングで観

測できるなど、サイク

ル精度の完全な制御性

や観測性を備えていま

す」(松本氏)という。

ZeBu には、フルデ

バッグ用のHDP と実行

専用のSDP の2つのタ

イ プ が あ る。「HDP も

SDP も製品自体は同じ

なのですが、SDP は波

形が取れないなどの制

限があります。その代わり、価格が半額となっ

ています」(松本氏)。コストメリットのあるSDP

を複数導入してハードウェア検証のレグレッ

ションを並行で行っているユーザもいるという。

ZeBu は、ESL から RTL まであらゆる抽象度レ

ベルの ARM モデルに対応している。ESL モデル

しかないような最先端の ARM コアでも、ZeBu

なら状況と目的に応じてあらゆる抽象度のARM

モデルと混在することもできる。これらのARM

モデルには ARM RealView などのソフトウェア

技術者が使い慣れたソフトウェア・デバッガを

接続可能であり、効率的にデバッグできる。

論理シミュレータによる ESL と RTL の協調シ

ミュレーションは速度の低下を招いてしまうが、

ZeBu は「ESL コ・エミュレーション」環境を構

築することでこの課題を解決している。ZeBu

コンパイラは、デザインの大きさや複雑度に関

係なく RTL ブロックを取り込み、ESL 向けアダ

プタを追加することで、RTL そのものを ESL モ

デルとして利用できるようにする。ZeBu の高性

能トランザクション・レベル・モデリングによ

り、1 秒間に数 100 万トランザクションを処理

できる。

ZeBu は、 図 1 の よ う な「OSCI TLM-2.0 ベ ー

Success STORIES日本イヴ株式会社

Success STORIES日本イヴ株式会社

いち早いソフトウェア検証を実現するハード・ソフト協調検証環境のZeBu (ゼブ)

充分な速度を持った論理エミュレータ

ASIC や SoC などのカスタムチップの現状につ

いて井芹氏は、「設計数自体は減っているので

すが、その分個々の設計規模が大きくなってい

ます。小規模なものは FPGA に流れていますが、

FPGA では消費電力や規模の点で課題が残りま

す」という。

「一般的な SoC 開発は、ある程度工程が進ん

だ段階で致命的なバグが発見されると大きな手

戻りが発生しかねません。それが、製品出荷時

期を遅らせる要因にもなるのです」(松本氏)。

仏 EVE 社の「ZeBu(ゼブ)」は、充分な速度

を持った論理エミュレータである。ハードウェ

アとソフトウェアに加え、さらにユーザ・イン

タフェースまでも統合した仮想プロトタイピン

グ環境を構築でき、最終製品に直結した開発環

境を実現できる。

仏 EVE 社は、2000 年に設立されたメーカであ

り、現在、アメリカやヨーロッパ、アジアの各

拠点で約 140 名の従業員を抱えている。日本イ

ヴは、仏 EVE 社の日本法人として 2004 年に設

立された。

EVE 社の主力製品が、論理エミュレータの

ZeBu である。「ZeBu とは、『Zero Bug(ゼロバ

グ)』から取った名前であり、文字通りカスタ

従来、ASIC や SoC はアプリケーションごとや製品クラスごとに開発していたが、現在はプラットフォームを共通化しソフトウェア

で機能を変えるようになってきた。その背景として、微細化による開発コストの高騰、プロセッサの高性能化、マルチコア化など

がある。そこでポイントとなるのが検証環境である。いち早くソフトウェアを検証するため、ハード・ソフトの協調検証の重要度

が増すなか、協調検証環境には、充分な速度でソフトウェアを実行できる性能、ハードウェアの優れたデバッグ力が求められる。

日本イヴは、高速のハード・ソフトの協調検証環境である「ZeBu(ゼブ)」を提供している。ここでは、ZeBu の魅力を聞いた。

日本イヴ株式会社代表取締役

井芹 弘幸 氏

PC / Linux ZeBu

ARMコアモデル

RVデバッガ

OSCITLM-2.0環境

ZeBuTLM-2.0Adapter

GenericPayload

DSP

DDR3

UART

Timer

バスブリッジ

外部IP

コントローラ

図1:OSCI TLM-2.0ベースのESL環境。SystemCベースの仮想環境とのインテグレーションが可能となり、SystemCとRTLを組み合わせた「高性能ハイブリッド仮想プラットフォーム」が実現できる。

Page 2: Success STORIES 日本イヴ株式会社Success STORIES 日本イヴ株式会社 いち早いソフトウェア検証を実現する ハード・ソフト協調検証環境の ZeBu

54 ARM PARTNERS SUCCESS ARM PARTNERS SUCCESS 55

ZeBu ARM Processor Implementation with ARM VSTR EAM

図2:ARM VSTREAMによるフル仮想開発環境の一例

Complete HW/SW SOC Co-verifi cation environment with ZeBu-Server

図1:HWデバッグ機能とSW開発環境の融合

“完全無欠”の制御性と観測性最速かつ最高精度のハード・ソフト協調検証

◆ 従来のハード・ソフト協調検証の問題点

ARMコアSoCのハードウェア・ソフトウェア(HW/SW)協調検証では、

性能検証などで高い精度が必要な場合、DSMを用いたHDLシミュレー

ションが一般的です。しかし、実行速度が十分ではないため、より高速

なアプローチが求められています。

◆ ZeBuによるハード・ソフト協調検証の特徴

業界最高速のZeBu論理エミュレータをベースにしたHW/SW協調検

証プラットフォームは、サイクル精度の完全な制御性と観測性、そして

メガヘルツの性能を両立した、"見える" HW/SW協調検証を実現します。

ZeBuベースHW/SW協調検証環境では、ハードウェア部の全てのメモ

リとレジスタの内容を、自由にダンプまたはトレースできるだけでなく、

いつでも書き換えられます。

ソフトウェア部については、RealViewなどの使い慣れたソフトウェア

デバッガで縦横無尽にデバッグできます。さらにUARTを介した仮想

ターミナル接続を使って、ハードウェアと容易に交信できます。

◆ ESLからRTLまであらゆるARMモデルに対応

例えば、最先端ARMコアの場合には、ESLモデルしかない状況でプロ

ジェクトを開始せざるをえないこともありえます。

ZeBuなら、状況と目的に応じて最適な、あらゆる抽象度のARMモデ

ルに対応可能です。

ZeBu論理エミュレータの特徴

◆ コンパクトかつ軽量な筐体

ZeBu論理エミュレータの大きな特徴は、設置場所を選ばないコンパク

トかつ軽量な筐体です。約60cm四方のスペースがあれば設置可能で

す。さらに非常に軽量ですので簡単・自由に移設できます。

◆ デザイン・サイズに応じたスケーラビリティ

ZeBu-Blade2では1800万ゲートまたは3200万ゲート、ZeBu-

Serverでは最小1000万ゲートから最大10億ゲートまで、デザイン・

サイズに応じてゲート容量をスケーラブルに選択可能です。

◆ 豊富な検証IPを提供

高度な検証エコシステムを効率的に構築するための検証IPが豊富に

用意されています。代表的なものとしては、DDR3やFlashなどのメ

モリモデル、PCI-Express、USBやAMBAバスなどのトランザクタ、

ESL環境と接続するアダプタなどがあります。

先進のハード・ソフト協調検証環境を実現する

ZeBu論理エミュレータ

お問い合わせ先

日本イヴ株式会社〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜 2-7-17 KAKiYAビル 4F

TEL:045-470-7811 FAX:045-473-7814Web:www.eve-japan.co.jp email:[email protected]

ス の ESL 環 境 」も 構 築 で き る。EVE 社 製 品 の

「TLM-2.0 トランザクタ・アダプタ」を用いる

ことで SystemC モデルと ZeBu の高度な連携を

実現する。この技術によって SystemC ベースの

仮想環境とのインテグレーションが可能となり、

SystemC と RTL を組み合わせた「高性能ハイブ

リッド仮想プラットフォーム」が実現できる。

この高性能ハイブリッド仮想プラットフォー

ムは最近国内でも導入され、GPU のドライバ開

発や OS ブートなどで活躍している。

ZeBu-Serverを用いて約7分でAndroid OSをブート

さらに、ZeBu の実力が見事に発揮された事例

として、テキサス・インスツルメンツ( TI )社

の OMAP5 プラットフォームの開発がある。

OMAP5 プラットフォームは、ARM のデュ

アルコア「Cortex-A15 MP」を搭載した同社最

新のモバイルプロセッサである。この開発に

ZeBu-Server が活用された。

適用されたのは、OMAP5430 プロセッサであ

る。「OMAP5430 プロセッサを ZeBu-Server に

マッピングしたところ、約 7 分で Android OS

をブートできました。これは他社製品と比較し

て 30 倍以上も高速でした」(井芹氏)。ちなみに、

他社製品では、ブートまで 3 時間 44 分もかかっ

たという。

「すべてソフトウェアで組めるのが TI 様に

と っ て 大 き な メ リ ッ ト と な り ま し た。ZeBu-

Server を利用することで、TI 様は OMAP5430 プ

ロセッサの組込みソフトウェアの開発期間を 6

~ 9 ヶ月短縮できたとのことです」(井芹氏)。

「 TI 様はわれわれの初期からのお客様で、今

後もOMAPの開発にZeBuが使われる予定です」

(バラン氏)。

ZeBu では、最先端の ASIC や SoC の高度な検

証エコシステムを効率的に構築するための検

証 IP が豊富に用意されている。その中で、ハー

ド・ソフト協調検証向けには UARTトランザク

タや JTAGトランザクタがよく用いられており、

また USB と Ethernet については実機と容易に接

続可能な仮想モデルも用意されている。

高速動作など汎用FPGAならではのメリットを持つ

他社の論理エミュレータは、専用の FPGA を

採用しているが、EVE 社の ZeBu はザイリンクス

社の汎用 FPGA を搭載している。

これにはメリットとデメリットがある。メリッ

トとしては、動作が速い、低価格、高い堅牢性

などがある。高速性は、汎用FPGA採用による。

「専用FPGAを搭載している他社製品は、電

源を落とすだけでも勇気が要ることもあります。

ちなみに、ZeBu-Serverは、2年半前の国内導入以

来、数十台にわたって、製品ハードウェアには1

度の不具合も起きていません」(松本氏)という。

「他社製品では、納入されてわずか数週間で

壊れてしまったこともある、と聞いたことがあ

ります」(井芹氏)とのことだ。さらに、Virtex

は常に新しいものが数年ごとに出てくることも

汎用品の良いところである。

デメリットとしては、専用FPGA と比べてコン

パイル時間がかかることであるが、並列処理

の強化やZeBu に特化した高速論理合成ツール

z FAST の開発などにより飛躍的に改善されてい

る。ちなみに、論理合成ツールにzFAST を用い

た場合、300万ゲートで28分、700万ゲートで1

時間22分、1800万ゲートで1時間55分のコンパ

イル(論理合成からFPGA ビットストリーム生

成まで)時間がかかっている(2011年のデータ)。

「ZeBu は、コンパイル時間の長さをすぐに取

り返せるほど実行速度が速く、低コストかつ非

常に頑丈といえます」(井芹氏)。

さらに、サポート面も高く評価されている。

「ZeBuはたいへん壊れにくいのですが、万が一

壊れたときでも直ぐに代替機を用意できるように

しています。こうしたフットワークの良さは、多

くのお客様に認めていただいています」(井芹氏)。

電力面でも有利だ。「他社製品は動作や冷却

に多くの電力を必要としますが、ZeBu は同程度

の規模のものでも他社の 1/10 程度の電力しか

消費しません」(バラン氏)という。

日本が元気になるような製品をいち早く開発して欲しい

今後も ZeBu は、Virtex の新しいバージョンへ

の継続的な対応を予定している。これが汎用

FPGA を搭載している良い点であり、常に最新

のテクノロジを反映していける。

「開発期間の短縮やパフォーマンス向上を求

めていらっしゃるお客様に、ぜひ ZeBu を活用

していただきたいですね。日本が元気になる

ような製品をいち早く開発していただきたい

です」(井芹氏)。

松本氏も「日本ではハードウェアとソフト

ウェアの部門間に " 壁 " があるケースが多いよ

うです。ZeBu をソフトウェア技術者の方に活用

していただくことで、ハードウェア開発部門の

方々ともっと仲良くなって欲しいと思います」

と語った。

最後にバラン氏は、「最近は、アジア各国の

動きは速いのですが、日本は停滞感を感じます。

ZeBu を活用することで、輝きを取り戻して欲

しいですね。『日本ガンバレ!』」と結んだ。

日本イヴ株式会社AE Manager

松本 光寛 氏

仏EVE社VP Worldwide Operations

クリストフ バラン 氏

テクニカル・ノート

Technical NOTESuccess STORIES日本イヴ株式会社