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ISCNの設立の背景と現況について 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN) 2020年10月26日 第17回 核不拡散・核セキュリティ作業部会 資料2-1 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 原子力科学技術委員会 核不拡散・核セキュリティ作業部会(第17回) R2.10.26

ISCNの設立の背景と現況について...2020/12/04  · 0.004 Energy[Ch.] C o u n t s [a. u.] 7 3 3 2. 4 k e V 7 0 6 3. 5 k e V 8 3. 3 5 k e V 5 0. 6 k e V 6 1. 2 k e V X = +8

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  • ISCNの設立の背景と現況について

    国立研究開発法人日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)

    2020年10月26日

    第17回 核不拡散・核セキュリティ作業部会

    資料2-1

    科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会原子力科学技術委員会

    核不拡散・核セキュリティ作業部会(第17回)R2.10.26

  • ISCN

    2010/12 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター設置

    第1回核セキュリティ・サミットでの我が国のコミットメント(2010/4 米国ワシントンD.C)『アジア諸国を始めとする各国の核セキュリティ強化に貢献するためのセンター(「アジア核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(仮称)」)を日本原子力研究開発機構(JAEA)に設置。人材育成支援及び正確で厳格な核物質の検知・鑑識技術を確立し、国際社会に貢献』

    1. ISCN設置の背景

    2

    現在、ISCNが入るJAEA本部

    2020年12月に設立10周年を迎える。これを記念して 「 第1回 核セキュリティ・サミットから10年~ISCNが刻む「未来へのMilestone」~ と題した核不拡散・核セキュリティ係る国際フォーラムをweb onlineにて12/9に開催予定。

  • ISCNISCN2. 人材育成支援事業

    3

    目的・概要• 核不拡散・核セキュリティの国際的な共通枠組み及びIAEAガイドラ

    イン等を考慮しつつ、日本が原子力平和利用を進めるなかで培った経験、地域や各国の特徴を生かした人材育成支援に取り組む。

    • 対象国の管理監督層及びトレーナー育成に重点を置いたトレーニングを実施して本分野での能力向上を図るとともに、アジア地域における自立的な能力維持向上の仕組み構築につなげる。

    • 支援対象国の様々なニーズに対し、地域に共通する重要項目に優先順位をつけて効率的に実施するとともに、個別ニーズに応えるために、当該国を往訪し現地で開催するトレーニングも行う。

    期待される成果• 多様な研究施設を有する当機構の核不拡散・核物質防護実施に

    係る知見を国際展開することにより、以下のような点の実現を通じて核不拡散、核セキュリティ強化に貢献する。

    • 本事業を受講した参加者が、対象国の核不拡散・核セキュリティ分野における体制整備強化に重要な役割を果たす。

    • アジア地域における関係者の人的ネットワークを構築する。

    これまでの成果の概要• 国内外に183のトレーニングコースを提供し、99か国、6国際機関

    から4,642名が参加(2011年~2020年9月までの実績)。• 参加者の中から選別して数年後に追跡調査を行いトレーニングの

    効果を確認している。

    令和2年度の活動状況• 新型コロナウィルス感染症対応の影響により国際的な対面のト

    レーニングは延期となっているが、オンライントレーニングの開発を進めると同時に国内向けのワークショップについてもオンラインでの実施準備を進めており、10月以降オンラインでの提供を開始する予定。

    • 国内向けトレーニングについては感染防止対策を徹底の上、対面式で実施。

    コーストピック 海外及び日本からの参加者数 コースタイプ

    ISCN設立(2010年12月)~2020年9月の実績

  • ISCNISCN3. 核セキュリティ分野の人材育成支援

    アジア地域/国内向けコース核物質防護システムの設計及び評価手法、RIセキュリティ、核物質防護侵入検知システムの性能評価試験、シナリオ開発、図上演習、核セキュリティ文化、国内政府機関向け核物質防護(初級~上級)、IAEAコースを年2回程度開催

    二国間コース核物質防護基礎・応用、核セキュリティ計画評価、国境管理における核セキュリティ、核セキュリティ文化、放射性物質セキュリティ

    核セキュリティ文化の醸成(令和2年度)

    トレーニングツール(VR・実習フィールド)を用いたトレーニング

    核物質防護(PP)に係るトレーニングコース• 核鑑識上級コース(延期)• 核物質及び原子力施設の物理的防護(PP)に係

    るトレーニングコース(国内は対面で実施済/アジア各国向けは10月にオンラインで提供予定)

    • 国内関係者向けPPトレーニングコース(海保、大学は実施済、規制庁、警察は今後実施予定)

    IAEAと共催で実施するトレーニングコース等• 規制管理外核物質等のセキュリティ対応(延期)• 核セキュリティ文化に関わるワークショップ(延期)• 輸送セキュリティ(今後判断)• 発電炉の核セキュリティ検査コース(今後判断)二国間のトレーニングコース• (インドネシアはオンライン実施済、フィリピン、カンボジアで

    のコースは延期、ラオスは今後判断)

    トレーニングコース(令和2年度)• 国内電力会社・事業者向け核セキュリティ文化講演

    (要請があればオンライン開催予定)• 国内向け、核セキュリティ文化醸成に係る自己評価ワー

    クショップ(オンライン開催予定)

    ワークショップ/セミナー(令和2年度)• ISCN-WINSワークショップ(オンライン開催予

    定)• ISCN-DOE人材育成に係るワークショップ(オン

    ライン開催検討中)

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  • ISCNISCN

    国際コース国内計量管理制度(SSAC)、非破壊分析(NDA)、少量議定書(SQP)

    IAEA査察官向けコース再処理施設の保障措置、DCVDによる使用済燃料検認、統合保障措置訓練

    派遣コース(二国間協力、主に対象国で開催)追加議定書(AP)申告に関するワークショップ、保障措置・SSAC基礎、計量管理基礎

    4. 保障措置分野の人材育成支援とCOE連携等

    国際コース• SSAC地域トレーニング(11/9-20 オンラ

    イン開催予定)• 非破壊分析に関するSSACフォローアップ

    コース(1月末:今後判断)• AP-CITワークショップ(オンライン開催予

    定)IAEA査察官向けコース• 再処理施設保障措置に係るトレーニング

    (今後判断)

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    トレーニングコース(令和2年度)

    〇ASEAN+3エネルギー関係会議への参加• ASEAN Centre for Energy 原子力エネルギ-協力

    に係る会議(6/26)• ASEAN+3エネルギー関係府省シニア会合(8/26)• ASEAN+3エネルギーセキュリティフォーラム(9/30)(いずれもオンライン開催)

    〇国連・IAEA共催の国際会議への参加• NPT再検討会議関連ウェビナー “21世紀のIAEA保

    障措置” へのパネリスト参加(7/27)〇IAEA NSSCネットワーク関連会議• WG Aの副議長をISCNより選出 Web会議4回参加

    〇アジア地域におけるCOE連携Asia Regional Network (ARN+1)

    (2020年9月15-17日)• 日中韓の3COEで持ち回りで開催しているARN

    +IAEA調整会合をISCNがホストしてWeb開催• これまでの協力(スケジュール共有、講師相互派

    遣等)を超えて、コロナ対応の良好事例共有、トレーニング教材の改善・講師育成、他COE支援分野への協力拡大等を確認

    ARN+1: ISCN(日本)、INSA(韓国)、SNSTC(中国)+IAEA

  • ISCN5. 核共鳴蛍光による核物質の非破壊検知測定技術開発

    6500 7000 7500

    0

    0.001

    0.002

    0.003

    0.004

    Energy [Ch.]

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    332.

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    7063

    .5 k

    eV70

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    keV

    6505

    .6 k

    eV65

    15.2

    keV

    X = +8 mm

    X = 0 mm

    コンテナを模擬した鉄製容器の中に、模擬試料(Pb-208)を入れLCSガンマ線を照射して、NRF散乱ガンマ線を容器横のGe検出器で測定する模擬核検知実証実験を実施。

    Ge検出器で測定された模擬核物質(Pb-208)からのNRF散乱γ線のピーク(7332.4keV他)を検知。

    入射ガンマ線ビーム

    鉄製容器

    隠蔽された核物質の検知(概念図) 核物質の検知に係る実証試験(2020年1月)

    加速器で加速された電子ととレーザービームの衝突でレーザコンプトン散乱(LCS)を起こし、それにより高強度の準単色のγ線を発生させ、それをプローブに核物質を検知。

    目的・概要• 輸送コンテナの中の遮蔽容器に隠匿された核物物質の非破壊分

    析(NDA)での検知を目的に、ニュースバル放射光施設で準単色ガンマ線(数MeV級)を利用した核共鳴蛍光NDA技術の実証試験を実施。

    • 核共鳴蛍光(NRF)反応シミュレーションコード(JAEA-NRF Geant4)の拡張改良を、Duke大学ガンマ線源施設でのベンチマーク実験を行いつつ実施。

    EC/JRC,ANSTO、STUK)と共有するとともに評価を得た。• 遮蔽物に隠蔽された模擬試料をNRFで検知できることを実証試験で

    示した• 専門家からは「核セキュリティ及び核不拡散分野における独創的な非

    破壊測定技術として注目に値する。目標と課題を達成したのみならず核データや基礎科学やその理解に有用なアプローチを提供した。」との高い評価。

    • 欧州原子核研究機構(CERN)が中心となって開発しているGeant-4に、開発した光弾性散乱コードが採用された。

    • 軽水炉使用済燃料、溶融燃料、先進的原子炉使用済燃料、高レベル廃棄物中核物質あるいはその他核種の高精度定量非破壊測定への適用の可能性を示した。

    実施期間 平成27年度~令和元年度これまでの成果の概要

    • ニュースバル施設においてワークショップを開催(2020年1月24、25日)し、成果を国内外の専門家(産総研、IAEA、DOE、

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  • ISCN6. アクティブ中性子非破壊測定技術開発

    統合試験装置 遅発ガンマ線分析試験装置

    PGA測定部DDA測定部

    NRTA測定部

    測定試料 DT中性子発生管 NRTA試料台

    目的・概要• 低線量率から高線量率環境下での核物質の非破壊測定技術の開発

    を目指して、中性子源を用いた4つのアクティブ中性子非破壊測定技術(*)について、基礎技術開発を実施。

    (*)ダイアウェイ時間差分析(DDA)法、即発ガンマ線分析(PGA)法、中性子共鳴透過分析(NRTA)法、遅発ガンマ線分析(DGA)法

    • 高強度D-T小型中性子発生管を導入し、DDA、PGA、NRTA測定ができる統合基礎試験装置を開発し、それを用いた実証研究を実施。

    • DT中性子源に替えて、DD中性子源や、Cf-252密封線源を用い、実装に容易な、小型DGA装置の開発を実施。

    • NRTA測定の高精度化のため、短パルス中性子源としてレーザー駆動中性子源を利用したシステムの可能性を検討。

    実施期間• 平成27~29年度は低線量試料を用いた基礎技術開発• 平成30~令和3年度は高線量試料測定技術の技術開発

    期待される成果• 低線量核物質から高線量核物質まで使用できる汎用非破壊測定法の共通

    基盤技術が確立される。• 今後想定される核燃料サイクルや廃止措置などにおける計量管理技術や、核

    検知などに適用できる基礎技術が確立される。これまでの成果の概要• DDAでは、高い中性子線を発生する試料中でも、少量(20 mg) のPu-

    239を測定できることを確認• 遅発ガンマ線分析法(DGA)では、Cf-252を中性子源とした小型装置の開

    発を行い再処理施設等への適用の可能性を確認令和2年度の活動状況• 最終年(令和3年度)に実施する総合試験に向け、各要素技術の試験を行

    いつつ、NUCEFの統合装置の製作を継続して進める。

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  • ISCN7. 核鑑識技術開発

    RNテロ初動対応を支援するハイブリッド小型放射線検出器の開発

    カザフスタン産ウラン精鉱国際共同試料分析

    (X2000)

    粒子形状観察結果(産地の異なる試料)

    目的・概要• 核物質等の不法取引や核テロ行為の際に押収又は採取さ

    れることが想定される核物質の起源等を特定する分析技術の確立。

    • AIなどを活用した解析技術開発やテロ事象発生後の核鑑識技術開発など高精度分析技術の確立及び核物質及び放射性物質に関する情報基盤(核鑑識ライブラリ)の整備

    • 警備当局との連携とニーズに基づく初動対応検出器等の開発

    実施期間• 基本的な技術開発を平成23年度~平成25年度に実施• 高度化技術開発:平成26年度~令和5年度• 核テロ事象発生後の核鑑識技術開発:平成30年度~令

    和5年度期待される成果

    • 核鑑識分析で法執行機関への貢献• 開発した成果の国際社会への共有による貢献

    これまでの成果の概要• 基本的な分析技術の確立• ウラン年代測定法を改良し、分析時間を従来法より大幅に短縮するとと

    もに核鑑識分析の迅速化を実現• 警視庁からの依頼による押収物質の分析に協力• 警察のニーズに基づく初動対応ハイブリッド型検出器開発• 国際共同試料分析への参加を通じた国際貢献• 令和2年度の活動状況• AIを利用したシグネチャ解析に関するプログラム開発、DOEとの共同研究

    を通じた粒子画像解析等革新的技術開発。• 使用済燃料の重要シグネチャに関する研究に着手する。• オートラジオグラフィの核鑑識分析への応用について検討を進める。• 科学警察研究所等からの意見を聴取するなど警察との連携を深めつつ、

    核、放射線テロの初動対応に寄与する放射線測定技術を進める。

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  • ISCN8. 核セキュリティ事象に係る魅力度評価に関する研究

    研究対象の脅威(違法行為) 研究対象の施設・核物質

    目的・概要• 核セキュリティ事象*に対する核物質等の脆弱性*評価法

    を向上させ、核セキュリティ措置の最適化へ反映。• 日米政府の協力枠組みである日米核セキュリティ作業部

    会(NSWG)の下で、核燃料サイクル施設に対する核セキュリティ上の3つの脅威である、核起爆装置(NED)及び放射性物質の飛散装置(RDD)の製造を目的とした盗取、原子力施設の妨害破壊行為(サボタージュ)に対し、包括的な核物質・放射性物質の魅力度評価手法を日米共同で開発。

    • 評価手法の開発に加えて、魅力度を削減する概念と技術を開発。

    期待される成果• 魅力度評価手法等の開発により、核物質等の脆弱性評価のレベルを向上

    させ、核物質等の核セキュリティ対策の最適化に貢献これまでの成果の概要

    • DOEとの技術会合を2回開催(令和元年9月、令和2年2月)• 魅力度評価指標の分析、サボタージュの評価手法の検討• 魅力度を削減する概念・技術検討• ICONS(IAEA核セキュリティ国際会議)2020での発表

    令和2年度の活動状況• オンライン会議を概ね月に1回開催して研究進め、研究範囲を拡張して評

    価手法と指標の開発とともに開発した手法を用いて核・放射性物質の評価を行っている。

    • 爆発による物質の変性等を確認する実験を行い、成果を魅力度評価研究に反映させる計画で試験準備中。

    実施期間• 平成29年度予備検討を実施し平成30年度から開始

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  • ISCN9. 放射線イメージングを用いた広域かつ迅速な核・放射性物質検知技術開発

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    広域放射性物質探査用ガンマカメラの開発(2020年度~)

    多核種対応・高感度ガンマカメラ

    大規模イベントや大型商業施設等における核物質や放射性物質の検知能力の向上

    核物質探査用中性子カメラの開発(2021年度~)

    より危険度の高い、中性子線源や核物質の検知のための中性子カメラを開発する

    RDDへの使用が想定される種々のガンマ線源のイメージングを行う RDD(Radiological Dispersal Device):放射

    性物質をまき散らす爆弾や散布装置など。

    ドローンや自走式ロボット(掃除機)に搭載する

    目的・概要• 放射線イメージング等を用いた広域の核・放射性物質検

    知技術開発により大規模イベント等の核セキュリティ強化• 放射線イメージング及び遠隔モニタリング技術に関しては、

    多くの知見・技術を有しているJAEA廃炉国際共同研究センター(CLADS)と連携して実施。また、国外の研究機関との協力も検討。

    • 核物質検知のため、中性子モニタ技術開発も並行して進める。

    実施期間• 令和2~5年度に実施

    期待される成果• 核セキュリティ対策技術の高度化に寄与するとともに、大

    規模イベント等における放射線・核物質テロへの抑止力となる。

    令和2年度の活動状況• ガンマ線カメラの開発• 放射線イメージング技術の検討• 中性子検出器の要素技術開発

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  • ISCN

    Thank you for your attention.

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