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デル仮想化 リファレンスアーキテクチャ 参照用構成のご紹介と解説 作成: Dell Inc. 仮想化ソリューション エンジニアリング 20078

デル仮想化 リファレンスアーキテクチャ - Dell · デル株式会社 1 1 要旨 本書では、Dell|VMware仮想化インフラストラクチャの検証済み構成を3種類ご紹介してしています。このような参

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デル仮想化 リファレンスアーキテクチャ

参照用構成のご紹介と解説

作成: Dell Inc.

仮想化ソリューション エンジニアリング

2007年8月

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目次

1 要旨.......................................................................................................................................... 1

2 本書の概要と取り扱い範囲.......................................................................................................... 1

3 テスト方法.................................................................................................................................. 1

4 VMware|Dell リファレンスアーキテクチャの各構成............................................................................ 3

5 各構成の使用例 ........................................................................................................................ 9

6 用語説明................................................................................................................................. 15

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デル株式会社 1

1 要旨

本書では、Dell|VMware仮想化インフラストラクチャの検証済み構成を3種類ご紹介してしています。このような参照用構成を「仮想化リファレンスアーキテクチャ(RA)」と呼びます。これらの仮想化RAをご提示し、それぞれの選択基準や性能上の留意点にも触れているため、お客様は、固有のニーズに合わせて構成を検討、評価することができ、ひいては、最適なデル仮想化ソリューション構成がお選びいただけます。 2 本書の概要と取り扱い範囲 今日の市場では、様々な仮想インフラストラクチャ ソリューションが提供されているために、お客様が仮想化の導入計画を立てようとしても、選択肢が溢れている状態です。何を処理し、どんな機能を求めるのかによっても、選ぶサ

ーバ、ストレージ、ソフトウェア構成が変わってくるため、本書では、3種類の検証済み構成をご提示することにしました。筆頭に挙げるのは、「スモール構成」と呼ばれる最も簡素なもので、最小限のハードウェアしか必要としません。

シンプル第一を念頭に設計しており、機能性を紹介することが主な目的です。したがって、性能評価を意図した構

成ではありません。次に挙げるのが、「ミディアム構成」です。この構成はチューンナップ可能で、低コストなSANやバックアップオプションなど、中小企業の業務運用に対応できる設計となっています。最後は「ラージ構成」です。

VMware、冗長性、管理の各種アドバンスト機能を活用するフル装備の仮想化ソリューションで、性能重視の設計となっています。本書では、構成ごとに機能、メリット、性能特性(3種類のワークロードを使用)をご紹介していきます。本書の目的は、次のとおりです。

• Dell|VMware構成アーキテクチャをお客様にご紹介します。 • それぞれの仮想化環境を用途別に評価し、どのような点に留意すべきか解説します。 • お客様が適切な構成を選べるよう、選択基準をわかりやすく明確にアドバイスします。

本書では、Dell|VMware仮想化ソリューションのみを取り扱っており、デルサーバ、ストレージ、ネットワークコンポーネントに限定した構成をご紹介しています。したがって、実際にはワークステーションやVMware社提供の無償製品を使った、さらに小規模な仮想化インフラも構成可能なのですが、本書では触れていません。Microsoft® やXen™ プラットフォームなどのソフトウェアコンポーネントを使った特別対応のカスタム構成では、サードパーティ製のハードウェ

アを使う場合があり、これらについても本書の範囲外となります。

本書の構成は、以下のようになります: セクション2では、本書の概要と取り扱い範囲を、セクション3では、評価に使用したテスト方法を、セクション4では、各構成のアーキテクチャを、セクション5では、用途別の留意点を、セクション6では、仮想化の簡単な概念を、それぞれ説明しています。 3 テスト方法 RA構成は、3種類の標準ワークロードを使用してテストしました。これらのワークロードから、4つの主要リソース ― CPU、メモリ、ディスク、ネットワーク ― に負荷(ストレス)がかけられます。使用した3種類のワークロードは、それぞれ、ファイルサーバ処理、Webサーバ処理、一般的なテスト/開発処理です。各ワークロードで、基準となる仮想マシンを定義し、そこからクローンVMを複数作成することで、各テストに使用しました。 テストの目的は次のとおりです。

• 各RA構成でサポートできる推奨VM数を確認します。このとき、ファイルサーバ処理、Webサーバ処理、一般的なテスト/開発処理負荷がかかった状態で、妥当なパフォーマンスとQoS(サービス品質)を維持す

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デル株式会社 2

ることが条件となります。 • パフォーマンスとQoSは、テスト中の応答時間、スループット、リソース利用率、VMのユーザビリティを測定

し、これが、許容範囲内に収まるか否かで評価します。 RA構成に負荷をかける「ワークロードジェネレータ」には、エラー検査&対応メカニズムが備わっているため、システム負荷が過剰になるとエラーが表示され、そこでテスト終了となります。テスト中、VM数を増やしていくときは、このエラー検査と、定められたQoS基準を組み合わせることで、システムの安定性を確認しました。 テストに使用したベンチマークの詳細は、後ほど説明します。本テストは、パフォーマンス比較を目的としたベンチマー

クテストではありません。したがって、各構成とも、検証に最低限必要なメモリとCPUタイプしか搭載していません。メモリ量を追加し、強力なCPUに変えれば、安定稼動を維持するVM数が増やせます。実際の性能測定値は、多くの要因が重なった結果によるもので、状況に応じても変わってきます。従って、以降に示す性能データは、あくまでも

一般的なガイドラインとしてご参照ください。

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4 VMware | Dell リファレンスアーキテクチャの各構成 以降に、スモール、ミディアム、ラージと名付けた3種類の構成内容について述べます。これらの構成は、ソリューションの規模と容量に合わせた一般的な導入例であるため、ターゲットとなるアプリケーションには依存しません。細かな仕

様は、お客様のニーズによって変わる可能性があるため、推奨事項はハードウェア容量とソフトウェア機能だけに絞り、

特定のサーバモデルやチップセットなどには言及していません。 下表は、各構成の推奨コンポーネントを示しています。この表に引き続き、各構成の詳細を説明しています。

表1. 基準構成のハードウェアとソフトウェア スモール ミディアム ラージ

説明 シンプルな エントリーレベル構成

中小企業向けの設計 大企業の環境

サーバ構成

サーバ PE1950 PE2950 PE2970 PE2900

PE1955 PE2950 PE2970 PE2900

PE1955 PE2950 PE2970 PE2900 PE6850 PE6950

ユーザ数 1~2 8~16 16ユーザ以上

メモリ 8GB 16GB 16~64GB CPU 2ソケット

デュアルコア 2ソケット クアッドコア

2ソケット クアッドコア または、 4ソケット

デュアル/クアッドコア

最小NIC数

LOM x 2 と デュアルポートの アドインNIC x 1

LOM x 2 と デュアルポートの アドインNIC x 2

LOM x 2 と デュアルポートの アドインNIC x 2

DRAC オプション 搭載 搭載

ローカル ストレージ

73GB x 5 (PE1950は、73GB x 2)

または、 146GB x 5

73G x 2

73G x 2

コントローラ/ RAID

PERC 5/i (RAID 1、5)

PERC 5/i (RAID 1、5)

PERC 5/i (RAID 1、5)

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ストレージ構成

ストレージ ファブリック

ローカル ネットワークベースのiSCSI ファイバチャネルまたは iSCSIストレージ

ストレージ デバイス

ローカルストレージ、

AX150i、オプションのDell|EMC SAN

NX1950 CX3-10c、CX3-20/40/80 (iSCSI/

ファイバチャネルSAN)

ストレージ エンクロージャ

最大12台の 250G SATAドライブ

最大15台の 73G/146Gドライブ

DAEあたり、最大15台の146Gドライブ

バックアップ

バックアップサーバ 適用外 PE2900 PE2900

バックアップ ソフトウェア

適用外 Backup Exec 11D Backup Exec 11D

バックアップ デバイス

適用外 PowerVault TL4000

PowerVault ML6000

ソフトウェア構成 VMware Infrastructure のエディション

スタンダード エンタープライズ

エンタープライズ

VMware VMotion

適用外 搭載 搭載

VMware DRS(分散型リソース

スケジューリング)

適用外 搭載 搭載

VMware HA(ハイアベイラ ビリティ)

適用外 搭載 搭載

管理 VirtualCenter 適用外 搭載 搭載 ITA 適用外 801

Windows 2003 801

Windows 2003

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4.1 スモール構成 スモール構成は、シンプルなエントリーレベル構成を想定して設計しました。この構成から、アプリケーションが仮想化

環境でどう動作するのか、概念をつかむことができます。スモール構成では、ESX Standardエディションを実行する1台~2台のサーバを使用します。本構成の最小推奨メモリは、8 GBです。ストレージ需要はそれほど増えないものと予想されるため、環境によってはローカルストレージだけで要件が満たせる場合もありますが、推奨するのは、大容

量ストレージのAX150iをストレージバックエンドとして採用する方法です。

図1. スモール構成のシステム図: 容易な導入とシンプルな機能が特徴 各コンポーネントの説明:

サーバ: 1U/2Uのラックサーバとタワー型サーバを使用します。このタワー型サーバは、5Uのラック型サーバとしてラックに搭載することもできます。1Uのラックサーバは、ローカルストレージ容量が小さいため、オプションのSANを併用すると良いでしょう。ローカルストレージを活用するのであれば、2Uのサーバをお勧めします。 CPU: サーバの最小CPU構成は、2基のデュアルコアプロセッサーです。これを選んだのは、後ほど、演算量の高まりに応じて、オプションのクアッドコアプロセッサーにアップグレードすることができるからです。 メモリ: 8GBのRAMを搭載しておけば、仮想マシンをスムーズに導入していくことができます。 ネットワーク: 2個のオンボードNICと、1枚のアドインカード(デュアルポートのGigabit NIC)を搭載すれば、iSCSIターゲットとネットワークトラフィックをサポートするのに十分なバンド幅が得られますし、残りすべてのPCIeスロットを他の周辺機器に活用することができます。サービスコンソールと管理は、1つのNICを共有します。ストレージトラフィックを切り離したければ、図1に示したとおり、iSCSIデバイスのアクセス用に別途Ethernetスイッチを設置するようお勧めします。 ディスク: ローカルストレージは、数台のVMをオンライン稼動させるのに十分な容量を提供します。ニーズの高まりに応じて、AX150iなどのiSCSIターゲットを追加すると、その後の需要増大にも備えることができます。より高速なディスクを採用したり、ディスク数を増やすことで、性能を向上することができます。

Virtual Infrastructureクライアント

PE 1950

PE 2950/PE 2970

PE 2900

AX 150i

オプションのDell|EMC SAN

プライマリデータネットワーク

VMware StandardまたはESX Serverを

1~2台のDell PowerEdgeサーバで実行

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4.2 ミディアム構成 ミディアム構成は、中小企業のお客様を想定しており、それぞれESX Enterprise Serverを実行する2~8台のサーバから形成されます。各サーバでクアッドコア プロセッサーを使用し、少なくとも16 GBのRAMを搭載します。この構成は経済的ながら、SANを利用するためカスタマイズも可能ですし、オプションでバックアップストレージネットワークも利用できます。このオプションを通して、VMware VirtualCenterやESXのアドバンスト機能などが利用できるようになり、そのために性能が犠牲になることもありません。

図2. ミディアム構成: ミディアム構成は、HA(ハイアベイラビリティ)、DRS(分散型リソーススケジューリング)、VMotionなど、ESXの拡張機能が利用可能 各コンポーネントの説明:

サーバ: 1U/2U/4Uのラックサーバ、タワー型サーバ、7Uのブレードシャーシを使用します。このタワー型サーバは、5Uのラック型サーバとしてラックに搭載することもできます。サーバのフォームファクタ(形状)を決めるときは、ラックのスペース、期待する性能、将来の拡張性、電源装置/ファンの容量などが主な選択基準となります。 CPU: それぞれの2ソケットサーバに、クアッドコア プロセッサーを搭載しており、1サーバあたり最大8基のコアを稼動することで、演算ニーズに応えます。 メモリ: 16GBのRAMを搭載することで、1台の物理サーバあたり複数のVMを運用し、必要に応じてこのVMファームを拡張していく柔軟性が生まれます。

オプションのバックアップ

Dell|EMC SAN

クライアント

プライマリデータネットワーク

管理&Vmotionネットワーク

VMware Standard、または、ESX Serverを

4~8台のDell PowerEdgeサーバで実行

プライマリストレージネットワーク

Windowsテープバックアップ

サーバ

バックアップストレージネットワーク

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ネットワーク: 2個のオンボードGigabitポートにアドインGigabit NICのポートを追加することで、iSCSIターゲット、HAフェールオーバー、DRS、VMotion、ネットワークトラフィックをサポートするのに十分なバンド幅が得られますし、残りのPCIeスロットは他の周辺機器に活用することができます。 ディスク: PowerVault NX1950が、VMの拡張に必要な柔軟性とパフォーマンスを提供します。15,000回転のSASドライブは、AX150iが使用する7,200回転のSATAドライブより高性能です。高速ドライブを使用すると、I/Oの待ち時間が短縮され、レイテンシが低減し、スループットが向上します。さらに、使用ドライブ数を増やすことで、全体のパフォーマンスも上がります。

4.3 ラージ構成 ラージ構成は、大企業向けにフル装備した仮想化ソリューションとなっています。16台以上のサーバから形成され、各サーバでESX Enterprise Serverを実行します。VMotionを活用することで効率性が上がり、動的なリソース供給も可能になるため、負荷がピークに達してもスムーズに対応でき、サーバの定期メンテナンス時も稼動を続けること

ができます。バックアップには、VMware Consolidated Backup(VCB)を利用します。リソース利用率と性能の監視機能がESX仮想サーバに組み込まれており、利用状況の追跡や将来のキャパシティプランニング(容量計画)に役立ちます。レイテンシが低く、バンド幅が広いファイバチャネル(FC)SANは、高性能なストレージシステムとなります。

図3. ラージ構成のシステム図: ラージ構成は、HA、DRS、VMotionなど、ESXの拡張機能が利用できるほか、ファイバチャネルのバックエンドも装備

クライアント

プライマリデータネットワーク

管理&Vmotionネットワーク

VMware Standard、または、ESX Serverを

16台以上のDell PowerEdgeサーバで実行

プライマリストレージネットワーク

バックアップサーバ

アプリケーション

バックアップストレージネットワーク

VCBフレームワーク

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各コンポーネントの説明: サーバ: 1U/2U/4Uのラックサーバ、タワー型サーバ、7Uのブレードシャーシを使用します。このタワー型サーバは、5Uのラック型サーバとしてラックに搭載することもできます。サーバのフォームファクタ(形状)を決めるときは、ラックのスペース、期待する性能、将来の拡張性、電源装置/ファンの容量などが主な選択基準となります。 CPU: 2ソケットサーバにはクアッドコア プロセッサーを、また、4ソケットサーバにはデュアル/クワッドコア プロセッサーを搭載しています。1サーバあたり最大8基のコアを稼動することで、演算ニーズに応えます。 メモリ: 初期構成では16GBのRAMを搭載しますが、後ほどVM数を増やす必要性が出てきた場合、64GBまで拡張可能です。VM数が増えるにつれ、利用できるメモリ量が減ってきます。したがって、性能指標のうち、利用可能なメモリ量を参照すれば、メモリ増設の必要があるか否かがすぐに判断できます。また、1秒当たりのメモリページ数(ページング処理の発生頻度)が一貫して増え続け、下がる気配がないときも、メモリ増設を検討します。 ネットワーク: 2個のオンボードGigabit NICにアドインGigabit NICのポートを追加すれば、高性能なネットワーク基盤が築けます。FC HBA(ホストバスアダプタ)などの周辺機器を追加する際は、PCIeスロットが利用可能です。 ディスク: FC SANを基盤としたストレージバックエンドは、ストレージの対応能力を強化します。たとえば、FC SANに搭載されたストレージプロセッサとキャッシュを通じて性能が向上しますし、接続するホスト数や共有するストレージ量が増え、管理能力も向上します。

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5 各構成の使用例 このセクションでは、データセンタのサイジングを行うとき、評価基準となり得る3種類のワークロードを取り上げています。お客様のニーズに最も合ったRA構成を選ぶには、以降のセクションを入念にご検討ください。本書で取り上げたワークロードによって、仮想化データセンタの一般的な用途が網羅されますが、データベースやメールサーバなどの際

立った高負荷アプリケーションは対象外となっています。これらのワークロードに関する詳細は、先にご紹介した参考

資料をご覧ください。今後、その他の業界標準ワークロードを分析、報告することも検討中です。

5.1 ファイルサーバワークロード ファイルサーバ環境では、サーバとストレージがネットワークを通してファイルを提供します。ファイルサーバに接続したク

ライアントは、ファイルにアクセスし、操作することができます。一般にファイルサーバ環境の場合、CPUおよびメモリ利用率はそれほど増えませんが、ディスクとネットワークサブシステムの負荷が高くなります。 ファイルにアクセスするユーザ接続数が少ないうちは、ファイルサーバVMのCPU利用率が抑えられています。その後、ユーザ数、または、ファイルの要求数が増えるに従い、CPU利用率が増加していきます。メモリは、アクセス頻度の高いファイルを入れておくデータキャッシュとして使われますが、提供ファイル数が増え続けると、最終的にVMのキャッシュが飽和するため、ユーザからの要求を満たすには、ディスクにアクセスしなければなりません。さらに、ファイルサーバVMから提供されるコンテンツが増えるにつれ、NICとネットワークスタックを通したI/O数も増えてきます。その結果、これらのI/O要求を処理するために、プロセッサーでは1秒あたりの割り込み数が増加してしまいます。以上のように、ファイルサーバVMでは、これらの相関関係を考慮したうえで、QoSレベルを維持するのに必要なリソース量を判断してください。 ファイルサーバワークロードのシミュレーションには、「dbench」と呼ばれるベンチマークを使用しました。テスト中、測定した指標は、(1) ホストのCPU利用率、(2) ディスクおよびネットワークのI/Oスループットです。dbench ワークロードは、ユーザがスレッド数と実行時間を指定することができます。このワークロードから、事前設定されたファイセットに対

してI/O要求が出されるため、それがCPU、メモリ、ディスク、ネットワークサブシステムへの負荷となります。このファイルセットには、小さいものから大きなものまで、様々なサイズのファイルが含まれています。 詳細は http://samba.org/ftp/tridge/dbench/READMEをご覧ください。

5.1.1 スモール構成における留意点

CPU: ファイルサーバの場合、1秒あたりのディスクおよびネットワークI/O数が高くない限り、CPUの利用率が問題になることはありません。本書で実行した処理は、大容量ファイルの提供、マルチメディアのストリーミング、多くの小さなファイルの同時アクセスです。CPU利用率がボトルネックになる場合は、より演算能力の高いCPUを追加すると解決します。たとえば、デュアルコア プロセッサーをクアッドコアにアップグレードします。 メモリ: ファイルサーバの場合、メモリは、アクセス頻度の高いファイルをキャッシュしたり、I/Oをバッファに入れたりするときに使います。つまり、一般にファイルサーバVMの場合、「割り当てられたメモリは消費される」ことになります。さらに、ESX Serviceコンソールも、各VMの管理にメモリが必要です。したがってVMを追加していくときは、メモリ量を監視し、各VMが順調に稼動していることを確認してください。注意していただきたいのは、CPU利用率が低いときにVMの活動が停滞する、という症状です。 ディスク: スモール構成の場合、ディスクはローカルストレージか、AX150iを使用します。ローカルストレージは、ディスクおよびネットワークI/O数が1秒あたり数百件に収まる場合、妥当な応答時間を達成します。ディスクへの負荷が過剰になってくると、ファイルのアクセス時間に遅れが出てくるため、たとえば、ディスクやネットワークのデータ転送が終わるまで、カーソルがただ回るだけ、といった症状が出てきます。

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AX150iを利用すれば、ファイルサーバ負荷をより多くのドライブ間に分散させることができ、性能向上と容量拡張の両方が果たせます。 ネットワーク: 必要に応じて(たとえば、2個のオンボードNIC上で、Gigabitポートのバンド幅が飽和してしまった場合など)、NICを追加することができます。

5.1.2 ミディアム構成における留意点

CPU: 現在出荷中の製品では、2ソケットサーバにクアッドコア プロセッサーを搭載した構成が最大構成となります。したがって、演算リソースが足りなくなった場合は、サーバ本体を追加してください。 メモリ: ミディアム構成では、16GBを推奨します。このメモリ量を搭載しておけば、柔軟にVMを追加して、サービスコンソール要件やVM要求を満たすことができます。 ディスク: 1秒あたりのディスクI/O数や、バンド幅要件がNX1950の能力を超える場合、CX3-X0 FC SANにアップグレードします。SANを追加すれば、現在のGbpsリンクをすぐに4 Gbpsリンクに拡張できますし、高い拡張性や管理機能など、SANならではのメリットも得られます。 ネットワーク: ミディアム構成では、4個のNICポートが推奨されます。これによりユーザは、VMware Infrastructure Enterprise Editionに含まれる全機能を利用することができます。

5.1.3 ラージ構成における留意点

CPU: 現在出荷中の製品では、2ソケットサーバにクアッドコア プロセッサーを搭載するか、4ソケットサーバにデュアルコアプロセッサーを搭載した構成が最大構成となります。CPU負荷が増え、演算リソースに事前設定していた「しきい値(スレッショルド)」を超過してしまった場合、サーバ本体を追加することが唯一の選択肢となります。 メモリ: メモリを追加すれば(最大64GB)、稼動VM数を増やすことができます。メモリの追加は、コスト効果に優れた方法ですし、メモリを増やした分、CPU、ディスク、ネットワークサブシステムへの負荷が軽減されることもあります。メモリの増設コストと、新しいシステムを追加するコストを比べれば、メモリのコスト効果が高いのは明らかです。メモリを追加すれば、キャッシュできるデータ量も増え、その結果、ディスクアクセス数も減らすことができます。 ディスク: FC SANを導入すると、ディスク数が増やせ、容量の拡張とI/Oの分散に役立ちます。高速回転ドライブにSANのストレージプロセッサ、オンボードキャッシュ、4 Gbpsリンクを組み合わせることで、ディスクサブシステムの性能が向上します。さらに、FC SANなら、接続するサーバ数(ストレージサブシステムに接続して、そのリソースを利用するホストサーバ数)も増やすことができます。 ネットワーク: ラージ構成では、4個のNICポートが推奨されます。これにより、ユーザは、VMware Infrastructure Enterprise Editionに含まれる全機能を利用することができます。PCIeスロットにまだ空きがあるため、アドインNICを加えれば、負荷分散やフェールオーバー強化も果たせます。

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5.2 テスト&開発ワークロード テスト&開発環境とは、サーバが一定時間内に、一連の演算処理とメモリ集中型のタスクを完了するような環境で

す。テスト&開発環境の場合、処理がCPUとメモリに集中し、ディスクとネットワークサブシステムにはあまり負荷がかかりません。 テスト&開発用VMは、その性質上、突発的に負荷が増える傾向があります。つまり、業務が開発工程、コンパイル段階、テスト工程に入ると、それぞれのタスクでCPUとメモリ利用率が急増します。しかし、一旦、タスクが終わってしまえば、利用率が激減し、VMはまるでアイドル状態のようになります。このように突発的な増減があるため、たとえ、アイドル状態に近い時期があるにせよ、VMには、ピーク時に十分対応できるリソースを確保する必要があります。これは、常に一定レベルのQoSを提供するための備えでもあります。テスト&開発環境は、ディスクやネットワークよりも、CPUやメモリサブシステムに対する処理が多くなります。しかし、テストや開発工程中、ディスクやネットワークサブシステムにも多大な負荷を与える環境の場合、ディスクおよびネットワーク要件も適切に見積もる必要があります。 一般的なテスト&開発ワークロードは、SPECcpu 2000 INTを使ってシミュレーションしており、同ワークロードの評価に使用した主な性能指標は、(1) ホストのCPU利用率、(2) 一定時間に完了できたジョブ数です。SPECcpu 2000ワークロードは、一連のテストを通して、主にCPUとメモリサブシステムに負荷をかけます。このベンチマークは、定められた実行条件を満たしながら一定時間内に完了できたジョブ数を測定します。 本ベンチマークの詳細は、www.spec.org/cpu2000 をご参照ください。

5.2.1 スモール構成における留意点

CPU: テスト&開発環境で特に注意したいのは、CPU利用率です。開発作業、コンパイル処理、様々なテストバイナリの実行は、CPUリソースを大量に消費します。CPUリソースが不足してきたら、スモール構成で採用しているデュアルコア プロセッサーをクアッドコア プロセッサーにアップグレードしても良いですし、デュアルコアの4ソケットサーバに替えるという手段もあります。 メモリ: テスト&開発環境は、メモリページを効率的に共有できない、という傾向があります。したがって、テスト&開発VMに割り当てるメモリは、その容量を問わず、割当先のVMがすべて消費する、と考えるべきです。スモール構成のメモリ量(8GB)に対する利用率が飽和状態に近づいている場合、ミディアムやラージ構成へのアップグレードを検討します。 ディスク: スモール構成の場合、ディスクはローカルストレージか、AX150iを使用します。ローカルストレージは、ディスクおよびネットワークI/O数が1秒あたり数百件に収まる場合、妥当な応答時間を達成します。AX150iを利用すれば、テスト&開発負荷をより多くのドライブ間に分散させることができるため、性能向上と容量拡張の両方が果たせます。 ネットワーク: 必要に応じて(たとえば、2個のオンボードGigabit NICのバンド幅が飽和してしまった場合など)、NICを追加することができます。

5.2.2 ミディアム構成における留意点

CPU: 現在出荷中の製品では、2ソケットサーバにクアッドコア プロセッサーを搭載するか、4ソケットサーバにデュアルコアプロセッサーを搭載した構成が最大構成となります。したがって、演算リソースが足りなくなった場合は、サーバ本体を追加してください。 メモリ: ミディアム構成では、16GBを推奨します。このメモリ量を搭載しておけば、柔軟にVMを追加して、サービスコンソール要件やVM要求を満たすことができます。 ディスク: 1秒あたりのディスクI/O数や、バンド幅要件がNX1950の能力を超える場合、CX10/20/30

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FC SANにアップグレードします。SANを追加すれば、現在のGbpsリンクをすぐに4 Gbpsリンクに拡張できますし、高い拡張性や管理機能など、SANならではのメリットも得られます。 ネットワーク: ミディアム構成では、4個のNICポートが推奨されます。これにより、ユーザは、VMware Infrastructure Enterprise Editionに含まれる全機能を利用することができます。

5.2.3 ラージ構成における留意点

CPU: 現在出荷中の製品では、2ソケットサーバにクアッドコア プロセッサーを搭載するか、4ソケットサーバにデュアルコアプロセッサーを搭載した構成が最大構成となります。CPU負荷が増え、演算リソースに事前設定していた「しきい値(スレッショルド)」を超過してしまった場合、サーバ本体を追加することが唯一の選択肢となります。 メモリ: メモリを追加すれば(最大64GB)、より多くのVMを稼動することができます。メモリの追加は、テスト&開発環境にとって特に重要です。これは、同環境がメモリリソースを効率的に共有できない傾向があるためです。メモリの共有が期待できないため、ホストサーバからVMに割り当てるメモリの合計量は、実際の搭載メモリ量を超えることができず、追加できるVM数が制限されます。 ディスク: FC SANを導入すると、ディスク数が増やせ、容量の拡張とI/Oの分散に役立ちます。高速回転ドライブにSANのストレージプロセッサ、オンボードキャッシュ、4 Gbpsリンクを組み合わせることで、ディスクサブシステムの性能が向上します。さらに、FC SANなら、接続するサーバ数(ストレージサブシステムに接続して、そのリソースを利用するホストサーバ数)も増やすことができます。 ネットワーク: ラージ構成では、4個のNICポートが推奨されます。これにより、ユーザは、VMware Infrastructure Enterprise Editionに含まれる全機能を利用することができます。PCIeスロットにまだ空きがあるため、アドインNICを追加しても構いません。

5.3 Web サーバワークロード 典型的なWebサーバ環境では、CPU、メモリ、ディスク、ネットワークのいずれもボトルネックの発生源になり得ますが、特に注意すべきなのが、ネットワークサブシステムです。十分なバンド幅や接続ポート数が確保できているか確認し

てください。しかし、他のサブシステムも無視できません。接続数、動的なスクリプト、I/O要求によっては、CPUとメモリリソースに負荷がかかりますし、配信および更新するコンテンツはディスクサブシステムにストレスを与えます。 WebサーバVMは、ファイルサーバVMと挙動が似ており、接続ユーザ数と提供コンテンツ量が増えるにつれ、CPU、メモリ、ディスク、ネットワークサブシステムの利用率も増えていきます。しかし、ファイルサーバVMと異なり、WebサーバVMのコンテンツは、動的に処理されることもあるため、これがCPU、メモリ、ディスクサブシステムにさらなる負荷をかけます。また、WebサーバVMは、同時接続数がファイルサーバVMより突出して増えることがあり、その接続を維持、管理するのもVMの仕事となります。ファイルサーバVMに比べると、接続の持続時間は短いものの、接続頻度は増える傾向があります。以上をまとめると、WebサーバVMは、4つの主要サブシステムすべてにストレスがかかり、適切なQoSレベルを保つには、適切なリソース供給が必要です。 Webサーバワークロードは、SPECweb 2005を使ってシミュレーションしており、評価に使用した主な性能指標は、(1) ホストのCPU利用率、(2) ディスクおよびネットワークI/Oスループット (3) 同時接続数です。SPECweb 2005ワークロードの場合、クライアントシステムを稼動して、Webサーバに対するWebリクエストを生成するため、4つの主要サブシステムに負荷がかかります。このベンチマークは、定められた実行条件を満たしながら維持できる同時

接続数を測定します。本ベンチマークやWebサーバワークロードの詳細については、http://www.spec.org/web2005 をご参照ください。

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5.3.1 スモール構成における留意点 CPU: ワークロードの性質にもよりますが、Webサーバ環境ではCPU利用率が増え、飽和してしまう可能性があります。CPUリソースが飽和すると、1秒あたりのWebリクエスト処理数が下がり始め、応答時間が増えてきます。この場合、本構成で採用しているデュアルコア プロセッサーをクアッドコア プロセッサーにアップグレードしても良いですし、デュアルコアの4ソケットサーバに替えるという手段もあります。 メモリ: スモール構成のメモリ(8 MB)に対する利用率が飽和状態に近づいている場合、ミディアムやラージ構成へのアップグレードを検討します。 ディスク: スモール構成の場合、ディスクはローカルストレージか、AX150iを使用します。ローカルストレージは、ディスクおよびネットワークI/O数が1秒あたり数百件に収まる場合、妥当な応答時間を達成します。AX150iを利用すれば、Webサーバの負荷を、より多くのドライブ間に分散させることができるため、性能向上と容量拡張の両方が果たせます。 ネットワーク: 必要に応じて(たとえば、2個のオンボードGigabit NIC上でバンド幅が飽和してしまった場合など)、NICを追加することができます。

5.3.2 ミディアム構成における留意点 CPU: 現在出荷中の製品では、2ソケットサーバにクアッドコア プロセッサーを搭載するか、4ソケットサーバにデュアルコアプロセッサーを搭載した構成が最大構成となります。したがって、演算リソースが足りなくなった場合は、サーバ本体を追加してください。 メモリ: ミディアム構成では、16GBを推奨します。このメモリ量を搭載しておけば、柔軟にVMを追加して、サービスコンソール要件やVM要求を満たすことができます。 ディスク: 1秒あたりのディスクI/O数や、バンド幅要件がNX1950の能力を超える場合、CX3-x0 FC SANにアップグレードします。SANを追加すれば、現在のGbpsリンクをすぐに4 Gbpsリンクに拡張できますし、高い拡張性や管理機能など、SANならではのメリットも得られます。 ネットワーク: ミディアム構成では、4個のNICポートが推奨されます。これにより、ユーザは、VMware Infrastructure Enterprise Editionに含まれる全機能を利用することができます。

5.3.3 ラージ構成における留意点

CPU: 現在出荷中の製品では、2ソケットサーバにクアッドコア プロセッサーを搭載するか、4ソケットサーバにデュアルコアプロセッサーを搭載した構成が最大構成となります。CPU負荷が増え、演算リソースに事前設定していた「しきい値(スレッショルド)」を超過してしまった場合、サーバ本体を追加することが唯一の選択肢となります。 メモリ: メモリを追加すれば(最大64GB)、より多くのVMを稼動することができます。さらに、Webサーバ環境では、要求頻度の高いWebページをキャッシュに入れることができるため、十分なメモリ量があれば、トランザクション処理時間も短縮されます。つまり、メモリを増やせば、ディスクサブシステムの負荷が減らせることになります。 ディスク: FC SANを導入すると、ディスク数が増やせ、容量の拡張とI/Oの分散に役立ちます。高速回転ドライブにSANのストレージプロセッサ、オンボードキャッシュ、4 Gbpsリンクを組み合わせることで、ディスクサブシステムの性能が向上します。さらに、FC SANなら、接続するサーバ数(ストレージサブシステムに接続して、そのリソースを利用するホストサーバ数)も増やすことができます。

ネットワーク: ラージ構成では、4個のNICポートが推奨されます。これにより、ユーザは、VMware Infrastructure Enterprise Editionに含まれる全機能を利用することができます。PCIeスロットにまだ空きがあるため、アドインNICを加えれば、Webサーバ環境のバンド幅と柔軟性が向上します。

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表2に、テスト結果を示します。この表は、安定稼動が確認された、サーバあたりの仮想マシン数を、構成別、ワークロード別に示したものです(VMあたりのメモリ割り当て量を控え目にした例)。「VM数/サーバ」(サーバあたりのVM数 ) は 、表 1 に示 し た い ずれ の サ ーバ に も当 ては ま り ま す 。 た と え ば 、 ス モ ー ル構成のサ ーバ(PE1950/PE2950/PE2970/PE2900)はいずれも、ファイルサーバワークロードで16台のVM稼働を維持することができます。表3も同様に、各ワークロードにおける「サーバあたりのVM数」を示していますが、こちらは、VMあたりのメモリを多目に割り当てた構成となっています。

表2. 用途別に示した、サーバあたりのVM数、および、コアあたりのVM数 (ミディアム&ラージ構成では、2ソケット、クアッドコアCPU、16 GB RAMを使用)

測定結果 ワークロード

VM数/サーバ VM数/コア

スモール

ファイルサーバVM*:仮想CPU x 1、256MB RAM 16 4

テスト&開発VM*: 仮想CPU x 1、512MB RAM 12 3

WebサーバVM*: 仮想CPU x 1、512MB RAM 12 3

ミディアム&ラージ

ファイルサーバVM*:仮想CPU x 1、256MB RAM 24 3

テスト&開発VM*: 仮想CPU x 1、512MB RAM 24 3

WebサーバVM*: 仮想CPU x 1、512MB RAM 24 3

表3. メモリ集中型の環境で用途別に示した、サーバあたりのVM数、および、コアあたりのVM数 (ミディアム&ラージ構成では、2ソケット、クアッドコアCPU、16 GB RAMを使用)

測定結果 ワークロード

VM数/サーバ VM数/コア

スモール

ファイルサーバVM*:仮想CPU x 1、512MB RAM 12 3

テスト&開発VM*: 仮想CPU x 1、512MB RAM 12 3

WebサーバVM*: 仮想CPU x 1、512MB RAM 12 3

ミディアム&ラージ

ファイルサーバVM*:仮想CPU x 1、1GB RAM 12 1~2

テスト&開発VM*: 仮想CPU x 1、1GB RAM 12 1~2

WebサーバVM*: 仮想CPU x 1、1GB RAM 12 1~2

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6 用語説明 6.1 VMotion VMotionとは、ある物理サーバ上にある仮想マシンを、他の物理サーバ上にスムーズに移動できる機能です。本機能を利用するには、VirtualCenterを使用して、同類のサーバを複数集めたリソースプールを作成する必要があります。同じVMotionプールにサーバおよびプロセッサーを含めるときは、特定の条件を満たすプロセッサータイプを選ばなければなりません。したがって、お客様、セールス担当者、サービス担当者がソリューションを設計する際は、本件を

忘れずに考慮し、後ほどVMotion機能やVMotionプールを拡張することになったとき、スムーズにサーバが追加できるようにしてください。VMotionは、VMotion互換サーバ上でしか機能しないため、注意が必要です。互換性を調べるには、次のマトリックスをご参照ください。 http://www.dell.com/downloads/global/solutions/vmotion_compatiblity_matix.pdf 6.2 ESX エディション

表4. VMware ESXが提供する機能

機能 VMware Infrastructure – Enterprise

ESX Server ○ VirtualCenterエージェント ○ SANへの接続 ○ Virtual SMP ○ VMotion ○ DRS ○ VMware HA(ハイアベイラビリティ) ○ Consolidated Backup(統合バックアップ) ○ 物理CPU単位のライセンス 2 CPUソケット、または、4 CPUソケット

デルからの提供手段 OEMとS&P ソフトウェアの自動送付サービス 1年または3年

6.3 DRS(分散型リソーススケジューリング) VMware DRSは、全リソースプールの利用率を継続的に監視しながら、ビジネスニーズや優先順位の変化に合わせてユーザが事前設定したルールに従い、利用できるリソースを仮想マシン間にインテリジェントに割り当てていきます。

このようにDRSには、負荷分散機能が組み込まれているため、自己管理体制が整い、高度に最適化された効率的なIT環境が構築できます。

6.4 HA(ハイアベイラビリティ) 仮想マシンの自動再起動を提供するVMware HAは、使いやすく経済的なフェールオーバーソリューションとなります。VMware HAは、VMの障害を検出し、冗長ハードウェアのアプリケーションとVMを自動的に再開します。HAとDRSを組み合わせることで、サービスの可用性が上がり、リソースを動的に分散する堅牢なシステムが実現します。

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6.5 VCB(VMware Consolidated Backup) VCB(VMware Consolidated Backup)は、VMwareのスナップショット技術とサードパーティ製のバックアップソフトウェアを活用することで、専用の物理ホスト(VCBbackupプロキシ)からバックアップを取得する機能です。VCBは、ほとんどの主要バックアップ アプリケーションを統合しており、仮想マシン内のデータを素早く効率的にバックアップすることができます。 本ホワイトペーパは、情報提供のみを目的に執筆されており、誤字脱字や技術上の誤りには責任を負いません。本書の内容は執筆時現在のものであり、明示的ま

たは暗黙的を問わず、いかなる内容も保証いたしません。 Dell、PowerEdge、PowerVaultは、Dell Inc.の商標です。Microsoftは、Microsoft Corporationの登録商標です。VMware、Virtual Center、VMware Infrastructure 3は、VMware, Inc.の登録商標です。Xenは、Xensource, Inc.の商標です。本書では、マークや名前を届け出た実在のもの、もしくは、その製品のいずれかを参照するため、その他の商標、商号を使用している可能性があります。デルは、その他のマークや名称について、商標上の利権に対する要求に一切に

応じません。 ©Copyright 2007 Dell Inc. ©2007 デル株式会社 All rights reserved.(版権所有) Dell Inc. から書面による許可を得ずに本書を複製、転載することは、いかなる場合も禁止します。詳細は、デルにお問い合わせください。 本書の内容は予告なく変更されることがあります。