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四国4国立大学研究者等と連携した地域の 実態把握調査(地域住民の生活や意識) ~地域の姿“生の声” &政策改善 “気づき” の提供~ 財務省四国財務局 (平成2912月)

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四国4国立大学研究者等と連携した地域の実態把握調査(地域住民の生活や意識)

~地域の姿“生の声”&政策改善 “気づき”の提供~

財務省四国財務局(平成29年12月)

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四国財務局

地元大学研究者等と連携した地域の実態把握調査(地域住民の生活や意識)

徳島大学(大学院社会産業

理工学研究部:石田和之教授、田口太郎准教授)

高知大学(地域協働学部:中澤純治准教授)

愛媛大学(社会連携推進機構:坂本世津夫教授)

香川大学(経済学部:原直行教授)

(地域連携戦略室:鈴木健大特命准教授)

協力先市町村(8市6町2村)

地 域 住 民

○ 四国4国立大学の研究者等と連携したフィールドワーク(ヒアリング調査)

①調査内容の決定

②調査依頼

④回答の集計・分析

⑤調査結果還元

各省庁地方出先機関

・四国4国立大学の研究者と連携し、地域の創生が喫緊の課題となっている自治体の協力も得て、地域住民の生活や意識を調査。・調査結果(地域の実態)を国の出先機関にも還元し、国の施策に関する “気づき”を提供。

③調査実施(約1,100人)

⑥国の施策に関する“気づき”の提供

〈若手職員同士の意見交換会〉⇒施策改善への一助

〈意見交換〉

1

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〈調査の概要〉

I. 地域の実態把握の調査結果(地域住民の生活や意識) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P4~46

-多くの地域住民が社会的活動や仕事を通じて多幸感あり。

-“買い物難民”対策など生活基盤への不安・要望が多い。国の地方創生施策は地域住民へ十分伝わっておらず。

• 調査対象となった地域住民(18歳以上)の約7割が、各地域で何らかの社会的活動に参加しており、その大半が社会活動に生きがいを感じている。

• 高齢化が進む中、60歳以上の半数が仕事をしており、最も多いのは農林漁業の従事者。これらの就業者の収入に対する満足度は低いものの、仕事の内容・やりがいについての満足度は高い。

• 市町村の行政への期待については、生活基盤に関する意見が最も多く、次いで、健康福祉、雇用に関する意見となっている。生活基盤に関しては、特に、高齢化に伴う不安から“買い物難民”への対応を求める声や、コミュニティの場の提供を求める意見が多く聞かれた。

• 国の地方創生に関する施策への意見については、地方の実態をもっと把握すべき、住民に対し地方創生で何をしているかをもっと説明すべき、他の自治体の成功例をまねた施策がまん延している、といった意見が多い。

II. 地元大学研究者からの地域の実態に関する意見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P47~56

-急速な少子高齢化が進む中、それに見合った自助・公助・共助のあり方と役割分担を整理することが必要。

• 各自治体が移住促進策を掲げる中、移住促進が、即、地域活性化につながっていない。移住民が地域の社会活動に取り組もうとしない場合、このような移住者に行政が空き家や補助金等を提供しても、地元住民からは「なぜ、そのような者に税金をつぎ込むのか」といった不満が出てしまうだけとなる。結果、8割の住人は、「1割の楽しそうに田舎暮らしをしている人達」を冷ややかに見ており、気持ちの格差が生まれている。

• 四国4県で見た場合、高知県の「生きがいを十分に感じている」割合が高いのは、やはり県民性と、生活環境、自然環境、高知県庁の政策運営(知事)、「高知家」というイメージ戦略にあると思う。

• かつて地域活動の担い手の中心だった60歳代が、次第に70歳代となり活動に辛さを感じている中、後継者がいなくなっていることや、一部のやる気のある住民だけによる活動になりがちといった担い手不足の問題があるため、活動の見直しや協働しやすい参加のデザインなどの工夫が必要。

• 高齢者の地域活動は、彼らに生きがいをもたらしているが、負担の増加や参加のあり方に疑問も見られる。高齢化と人口減少が急速に進む中、それに見合った自助・公助・共助のあり方と役割分担を整理することが必要。

2

四国財務局は、地域の実態を把握し現状を正しく認識するため、四国4国立大学の研究者と連携し、地域の創生が喫緊の課題となっている自治体の協力も得て(協力先(8市6町2村))、地域住民の生活や意識について調査を実施。地域住民計1,154人(18歳以上)から得た回答を集計・分析し、研究者の意見を聴取するとともに、関係する国の出先機関の若手職員同士の意見交換も実施。これらの概要は、以下のとおり。

(次頁に続く)

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• 地方創生において、3~5年間程度でのKPIのみでは地域は近視眼的にならざるを得ず、地方創生を真に実現させていくためには、同時に10年~20年程度のKPIを設けるべきで、そうでないとその地域を支える産業は育たない。

• 現在の地方創生事業が、真に地方の実態にあった、地方創生に資する事業になっているかどうか疑問。改善すべき方向として、事業の計画や実施に関して地方の自由度を高めることで地方が真に必要を感じる事業に資金を充てる、といったことが考えられる。

• 今後、地方において、例えば、農林漁業の中身を転換させるイノベーションや、まちづくりとセットにした観光業を実現するためには、人材の育成・確保が必要。また、人手が不足している地方でこそICTの活用が、今後、ますます重要。

III. 協力先自治体職員からの調査結果に関する意見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P57~58

-行政と住民の意見交換の場の構築が必要。また、事業の『選択と集中』には、民間へのアウトソーシングも必要。

• 住民と行政との意識の差が大きい。行政は「やってあげている」、住民は「行政が勝手にやっている」という考え方。意思疎通し、協働するためには行政と住民の意見交換の場(ワークショップ、地域懇談会など)の構築が必要。

• 行政ができることは「あれもこれも」から「あれかこれか」へとシフトせざるを得ず、住民が出来ることは自分たちでやる必要があるという考えを住民に理解してもらうように努力しなければならない。

• 行政側もある程度、民間にアウトソーシングすることで、これからは事業の『選択と集中』が必要と感じる。• 地域住民が社会活動について生きがいを感じている理由について、特に人との交流を拡大し、自身が地域の中で役立っていることを認識すれば、幸福度が上がることから、住民は自身が活躍できる場や、自身が社会に関わる場を求めていることが分かった。

III. 国の地方出先機関若手職員の“気づき”等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P59~62

-縦割りにならない国の機関同士の連携の重要性に “気づき”。

• 今回の意見交換が、勉強の機会、気づきを得る機会となり良かった。施策を遂行する上で、他省庁の施策に参考にできる視点があるということを感じたので、今後の業務において活かしていきたい。

• 今回の調査を含め、地方創生というテーマは、農林水産業に関係するものが多いと考えていたが、このような意見交換をすることで、実際には各機関が関わり連携しながらやっていくことが重要であると気づかされた。

• 調査結果から、生活基盤を筆頭に健康福祉や雇用などが喫緊の課題であることがわかった。この課題解決のための政策には、国の各機関が関与しており、縦割りとならないよう省庁横断的に連携を取っていく必要性を感じた。そのためにも、まずは自分が他省庁の政策や施策を知ることが重要と気づいた。

• 地域の若年層同士の横のつながりをもてる場が不足している。そのような場をつくる必要がある。

3※上記の意見は、あくまで個人の見解であり、その所属先の公式見解を表明したものではない。

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Ⅰ.地域の実態把握の調査結果(地域住民の生活や意識)

4

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調査対象先等

5

・四国4県内において本調査への協力自治体は16団体(8市6町2村)。・協力自治体の地域住民のうち、合計1,154人から回答。・調査期間は、2017年9月中旬~10月中旬。

○ 調査協力市町村、市町村別回答者数 (単位:人)

香川県内 徳島県内 愛媛県内 高知県内

観音寺市 127 吉野川市 47 八幡浜市 144 須崎市 44

東かがわ市 181 佐那河内村 65 大洲市 54 馬路村 47

土庄町 56 那賀町 99 伊予市 51 梼原町 31

藍住町 39 西予市 64

砥部町 51

伊方町 54

香川県3団体計 364 徳島県4団体計 250 愛媛県6団体計 418 高知県3団体計 122

四国4県合計 1,154

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○ 回答者の属性(問1~問2)

総回答者数 男性 女性 回答なし

1,154人(100%) 622人(53.9%) 521人(45.1%) 11人(1.0%)

問1 回答者の性別

問2 回答者の年齢別

総回答者数 60歳未満 60歳以上 回答なし

1,154人(100%) 471人(40.8%) 674人(58.4%) 9人(0.8%)

〈年齢別内訳〉18~19歳: 7人(0.6%) 40~49歳:136人(11.8%) 65~69歳:208人(18.0%)20~29歳:66人(5.7%) 50~59歳:176人(15.3%) 70~74歳:157人(13.6%)30~39歳:86人(7.5%) 60~64歳:145人(12.6%) 75歳以上:164人(14.2%)

無回答 : 9人(0.8%)

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○ 60歳以上の就業状況(問3)

1 仕事をしている

50.0%

2 仕事をしていない49.3%

無回答0.7%

60歳以上の就業状況

1 仕事をしている 337人 50.0%

2 仕事をしていない 332人 49.3%

無回答 5人 0.7%

計 674人 100.0%

7

問3 60歳以上の者の仕事の有無

(参考)内閣府「平成25年度 高齢者の地域社会への参加に関する意識調査結果」仕事をしている:34.9% 仕事をしていない:65.1%

60歳以上の者のうち、5割が「仕事をしている」と回答。

( n = 674 )

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○ 60歳以上の就業状況(問4)

問4 60歳以上就業者の職業の内容(1)

161

57

29

78

17

4

18

60 20 40 60 80 100 120 140 160 180

1 農林漁業

2 自営業・個人事業主・フリーランス

3 正規の社員・職員

4 パート・アルバイト

5 会社または団体の役員

6 家庭内の賃仕事(内職)

7 その他

8 無回答

60歳以上就業者の職業の内容 (複数回答)

60歳以上就業者の職業の内容(複数回答)をみると、回答者数337人のうち、161人が農林漁業に従事。次いでパート・アルバイト78人、自営業・個人事業主・フリーランス57人となっており、比較的自由度の高い職業に従事していることがわかる。

( n = 337 )

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○ 60歳以上の就業状況(問4)

1 農林漁業, 40.4%

2 自営業・個人事業主・フリーラ

ンス, 15.7%

3 正規の社員・職員, 7.7%

4 パート・アルバイト, 19.0%

5 会社または団体の役員, 4.2%

6 家庭内の賃仕事(内職), 1.2%

7 その他, 3.9% 不特定, 8.0%

60歳以上の就業状況(最も収入の多い職業)

9

問4 60歳以上就業者の職業の内容(2) →問6関連(最も収入の多い職業)

※「不特定」:複数の仕事に就いている者で、最も収入の多い仕事を特定しなかった者。

60歳以上就業者の職業について、最も収入の多い職業で分類すると、農林漁業が40.4%と最も多い。次いでパート・アルバイト19.0%、自営業・個人事業主・フリーランス15.7%の順。

( n = 337 )

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○ 60歳以上の就業状況(問5)

問5 60歳以上就業者の1週間の労働日数

週1日4% 週2日

7%

週3日15%

週4日9%

週5日36%

週6日以上24%

無回答5%

1週間の労働日数(60歳以上)

週1日週2日週3日週4日週5日週6日以上無回答

( n = 337 )

60歳以上就業者の1週間の労働日数は、週5日以上が合計60%を占めており、多くの者が日々働いていることがわかる。

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○ 60歳以上の就業状況(問6)

問6 60歳以上就業者の仕事への満足度

仕事(複数の仕事をしている場合は収入が最も多い仕事)に対する満足度(満足+まあ満足、以下同じ)を下記の①~④の項目でみると、③収入に対する満足度は5割に満たない一方、①仕事の内容と②やりがいに対する満足度は約8割(①80.4%、②78.3%)と高い。

11

27.6%

25.5%

10.4%

18.1%

52.8%

52.8%

35.9%

46.3%

6.2%

6.2%

26.1%

16.0%

2.4%

2.7%

11.6%

3.0%

11.0%

12.8%

16.0%

16.6%

①仕事の内容

②やりがい

③収入

④労働時間

仕事に対する満足度(60歳以上)満足 まあ満足 やや不満 不満 無回答

( n = 337 )

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12

○ 60歳以上の就業状況(問6)

(参考1)県別にみた60歳以上就業者の仕事への満足度

23.2%

24.4%

12.2%

20.7%

46.3%

41.5%

31.7%

32.9%

6.1%

7.3%

17.1%

15.9%

3.7%

4.9%

12.2%

3.7%

20.7%

22.0%

26.8%

26.8%

①仕事の内容

②やりがい

③収入

④労働時間

仕事に対する満足度(60歳以上)満足 まあ満足 やや不満 不満 無回答

26.1%

21.7%

6.5%

14.1%

53.3%

59.8%

38.0%

46.7%

10.9%

8.7%

33.7%

23.9%

3.3%

2.2%

13.0%

4.3%

6.5%

7.6%

8.7%

10.9%

①仕事の内容

②やりがい

③収入

④労働時間

仕事に対する満足度(60歳以上)満足 まあ満足 やや不満 不満 無回答

28.9%

26.6%

10.2%

18.0%

54.7%

53.1%

35.2%

51.6%

4.7%

5.5%

27.3%

12.5%

1.6%

2.3%

10.9%

2.3%

10.2%

12.5%

16.4%

15.6%

①仕事の内容

②やりがい

③収入

④労働時間

仕事に対する満足度(60歳以上)満足 まあ満足 やや不満 不満 無回答

37.1%

34.3%

17.1%

22.9%

60.0%

60.0%

42.9%

57.1%

0.0%

0.0%

22.9%

8.6%

0.0%

0.0%

8.6%

0.0%

2.9%

5.7%

8.6%

11.4%

①仕事の内容

②やりがい

③収入

④労働時間

仕事に対する満足度(60歳以上)満足 まあ満足 やや不満 不満 無回答

香川県

( n = 82 )徳島県

( n = 92 )

愛媛県

( n = 128 )高知県

( n = 35 )

4県とも、全体集計(前頁)と同様の傾向の中、高知県が、どの項目でも満足度が最も高い。なお、徳島県では③収入に対する不満(やや不満+不満、以下同じ)が46.7%と、他県に比べ顕著。

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28.3%

26.7%

11.0%

20.4%

50.8%

48.2%

35.1%

42.9%

3.7%

4.7%

21.5%

13.1%

2.1%

3.1%

9.9%

2.1%

15.2%

17.3%

22.5%

21.5%

①仕事の内容

②やりがい

③収入

④労働時間

仕事に対する満足度(60歳以上)満足 まあ満足 やや不満 不満 無回答

13

○ 60歳以上の就業状況(問6)

(参考2)市・町村の区分別でみた60歳以上就業者の仕事への満足度

( n = 191 )

26.7%

24.0%

9.6%

15.1%

55.5%

58.9%

37.0%

50.7%

9.6%

8.2%

32.2%

19.9%

2.7%

2.1%

13.7%

4.1%

5.5%

6.8%

7.5%

10.3%

①仕事の内容

②やりがい

③収入

④労働時間

仕事に対する満足度(60歳以上)満足 まあ満足 やや不満 不満 無回答

町村

( n = 146 )

市と町村に分けて満足度をみても、全体集計と同じ傾向(①仕事の内容・②やりがいに対する満足度は高く、③収入に対する満足度は低い)であり、大きな差異はない。なお、③収入に対する不満が、市に比べ、町村の方が顕著(市:31.4%、町村:45.9%)。

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14

○ 60歳以上の就業状況(問6)

(参考3)職業別での収入に対する満足度(60歳以上)

職業別での収入に対する満足度をみると、会社または団体の役員の満足度が7割超と高い。一方、不満については、正規の社員・職員の不満が最も高く(53.8%)、次いで農林漁業者が47.1%と、他の職業に比べ高くなっている。

( n = 337 )

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15

○ 60歳以上の就業状況(問7)

問7 60歳以上就業者が仕事の内容・やりがいについて、満足・まあ満足とする理由

回答者170人の理由178件を当方で下記の①~⑦に要約・区分。その結果、「自身の仕事に対する達成感」に属する回答が43件と最も多く、次いで「自身の適性・能力・経験等に合致」42件、「時間・方法への自由度が高い」41件となっている。以上から、仕事の労働条件が整い達成感が得られることで、満足感・やりがいを感じている高齢者が多いことが伺える。

仕事の内容・やりがいについて、「満足」「まあ満足」と回答した者の理由 【複数回答可】

( n = 170 )

17 41

18 42

43 11

6

①地域社会等への貢献

②時間・方法への自由度が高い

③健康に良い、体力に合致

④自身の適正・能力・経験等に合致

⑤自身の仕事に対する達成感

⑥人間関係の良さ

⑦その他

四国計

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16

○ 60歳以上の就業状況(問8)

問8 60歳以上就業者が仕事の内容・やりがいについて、不満・やや不満とする理由

回答者23人の理由24件を当方で下記の①~⑥に要約・区分。その結果、待遇・評価への不満・やや不満が9件と最も多い。

仕事の内容・やりがいについて、「やや不満」「不満」と回答した者の理由 【複数回答可】

( n = 23 )

9

3

5

3

2

2

①待遇・評価への不満

②人間関係・職場環境の悪さ

③後継者不足

④従事者不足

⑤仕事自体への不安

⑥その他

四国計

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17

○ 60歳以上の就業状況(問8)

(参考)仕事の内容・やりがいについて、不満・やや不満とする理由の中には、待遇・評価への不満が多い中、次のような意見もあった。

⑥ その他

限られた地域での仕事には内容はともかく限度があります。自分がやりたい仕事が見つからず場所もないので、今している仕事も仕方なくしている次第です(那賀町、女性、60~64歳)。

③ 後継者不足

一人又一人と耕作者が減っていくことと、一人で何十枚も耕作すると仕事が雑になって雑草ばかりが目立つようになっている(西予市、男性、70歳~74歳)。

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18

○ 地域住民の社会的活動状況(問9)

問9 地域住民の社会的活動の実施状況(1)

地域住民(18歳以上)の社会的活動の実施状況では、約7割が何らかの社会的活動に参加。

( n = 1,154 )

6.8%

23.7%

7.6%

8.1%

19.8%

11.8%

15.3%

12.3%

12.5%

49.8%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%

無回答

特に活動はしていない

その他

PTA・子ども会

趣味やスポーツを通じた

ボランティア・社会奉仕

環境活動

防犯・防災活動

福祉活動

文化活動

地域活動

現在、行っている社会的な活動(複数回答)

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54.0%

14.4%

17.8%

16.9%

12.8%

24.6%

1.6%

10.4%

17.8%

8.9%0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%

地域活動

文化活動

福祉活動

防犯・防災活動

環境活動

趣味やスポーツを通じた

ボランティア・社会奉仕

PTA・子ども会

その他

特に活動はしていない

無回答

現在、行っている社会的な活動(60歳以上・複数回答)

19

○ 地域住民の社会的活動状況(問9)

60歳以上の地域住民が現在、行っている社会的な活動を全年代の結果と比較すると、「PTA・子ども会」を除く活動で、1~5%高くなっている。また、「特に活動はしていない」との回答は17.8%にとどまるなど、高齢者の多くが社会的活動を行っている。

( n = 674 )

(参考) 問9 地域住民の社会的活動の実施状況(1) 60歳以上

(参考)内閣府「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果」自治会等の自治組織の活動:18.9%、特に活動はしていない:69.9%

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20

○ 地域住民の社会的活動状況(問9)

問9 地域住民の社会的活動の実施状況(2)(最も時間をかけている社会的活動→問10関連)

地域住民が行っている社会的活動のうち、日常生活で最も時間をかけている社会的活動では、コミュニティ・自治会等の地域活動が約4割(38%)と最も高い。

地域活動38%

文化活動3%

福祉活動5%

防犯・防災活動4%

環境活動2%

趣味やスポーツを通じた

ボランティア・社会奉仕9%

PTA・子ども会6%

その他6%

無回答27%

日常生活で最も時間をかけている社会的活動地域活動

文化活動

福祉活動

防犯・防災活動

環境活動

趣味やスポーツを通じた

ボランティア・社会奉仕

PTA・子ども会

その他

無回答

( n = 805 )

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○ 社会的活動状況(問10)

日常生活で最も時間をかけている社会的活動に対する生きがいについては、約3割(27.7%)の回答者が「十分感じている」としており、「多少感じている」との回答を合わせると7割超(72.9%)。

1 十分感じている27.7%

2 多少感じている45.2%

3 あまり感じていない14.7%

4 まったく感じていない2.4%

無回答10.1%

日常で最も時間をかけている社会的活動に、生きがいを感じているか

( n = 805 )

21

問10 社会的活動に感じる生きがい(喜びや楽しみ)の程度

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22

○ 社会的活動状況(問10)

(参考1)県別にみた社会的活動に感じる生きがいの程度

1 十分感じている30.5%

2 多少感じている39.1%

3 あまり感じていない

14.6%

4 まったく感じていない

3.4%

無回答12.4% 1 十分感じ

ている24.0%

2 多少感じている49.1%

3 あまり感じていない

14.4%

4 まったく感じていない

1.8%

無回答10.8%

1 十分感じている25.6%

2 多少感じている48.1%

3 あまり感じていない

15.1%

4 まったく感じていない

1.3%

無回答9.9%

1 十分感じている34.4%

2 多少感じている44.1%

3 あまり感じていない

14.0%

4 まったく感じていない

4.3%

無回答3.2%

香川県

( n = 233 )徳島県

( n = 167 )

愛媛県

( n = 312 )高知県

( n = 93 )

1+269.6%

県別に、日常生活で最も時間をかけている社会的活動に対する生きがいについて、「十分感じている」、「多少感じている」を合わせた回答をみると、高知県が約8割(78.5%)と最も高い。

1+273.7%

1+278.5%

1+273.1%

社会的活動を行っている場合に、それらに生きがいを感じているか

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23

○ 社会的活動状況(問10)

(参考2)市・町村の区分別でみた社会的活動に感じる生きがいの程度

1 十分感じている30.1%

2 多少感じている43.0%

3 あまり感じていない14.4%

4 まったく感じていない1.9%

無回答10.6%

1 十分感じている24.2%

2 多少感じている48.5%

3 あまり感じていない

15.0%

4 まったく感じていない3.1%

無回答9.2%

( n = 479 )町村

( n = 326 )

市と町村に分けて満足度をみても、全体集計と同じ傾向であり、大きな差異はない。

1+273.1%

1+272.7%

社会的活動を行っている場合に、それらに生きがいを感じているか

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24

○ 社会的活動状況(問11)

問11 地域住民が社会的活動について、生きがいを感じている理由

社会的活動について生きがいを「十分感じている」「多少感じている」と回答した者の理由 【複数回答可】

( n = 399 )

社会的活動に対して生きがいを感じている理由について、回答者399人の理由441件を下記の①~⑧に要約・区分。その結果、人との交流の拡大・一体感形成が118件と最も多く、次いで地域社会・住民への貢献が113件。以上から、自身の社会的活動を通じて、人との交流を拡大し、地域を支えていくという気持ちを持てることが出来れば幸福度も上がっていくことが考えられる。

113 70

12 118

13 5

95 15

①地域社会・住民への貢献

②周囲から感謝される喜び

③健康維持

④人との交流の拡大・一体感形成

⑤地元の文化芸能への貢献

⑥地域の課題等の把握

⑦自身の知識能力の向上・充実感

⑧その他

四国計

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25

○ 社会的活動状況(問12)

問12 地域住民が社会的活動について、生きがいを感じていない理由

社会的活動について生きがいを「あまり感じていない」「まったく感じていない」と回答した者の理由 【複数回答可】

( n = 83 )

社会的活動に対して生きがいを感じていない理由について、回答者83人の理由83件を当方で下記の①~⑤に要約・区分。その結果、義務・強制的参加が37件と最も多い。

37

14

11

6

15

①義務・強制的参加

②自身の体力・時間的な負担増

③周囲が無理解・無関心

④活動時間が不十分

⑤その他

四国計

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26

○ 社会的活動状況(問12)

(参考)社会的活動に対して生きがいを感じていない理由について、義務・強制的参加が大宗を占める中、次のような意見もあった。

⑤ その他

社会構造や地域コミュニティの変化の中でも、(社会的活動は)重要なことだと思うが、(そのやり方は)やはり現代の時代に合っていないと思う(観音寺市、男性、40~49歳)。

⑤ その他

地域コミュニティにおいて若い人がおらず後継者がいない。地域活動をしているメンバーがここ10年間同じメンバーである(八幡浜市、男性、50~59歳)。

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27

○ 日常生活(問13)

問13 平均的な1日(平日)の時間の過ごし方(全体)

活動時間の合計が24時間となった回答者643人の平均時間を算出

( n = 643 )

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28

○ 日常生活(問13)

問13 平均的な1日(平日)の時間の過ごし方(60歳以上)

( n = 298 )

活動時間の合計が24時間となった60歳以上の回答者298人の平均時間を算出

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29

○ 日常生活(問13)

問13 平均的な1日(平日)の時間の過ごし方(60歳以上の就業者・無業者別)

( n = 172 )

( n = 126 )

就業者

無業者

活動時間の合計が24時間となった60歳以上の回答者172人(就業者)、126人(無業者)の平均時間を算出

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30

1.住んでもらいたい38%

2.どちらかと言えば、住んでもらいたい37%

3.どちらかと言えば、住んでもらい

たいと思わない6%

4.住んでもらいたいと思わない5%

5.わからない(その他)14%

今暮らしている市町村に子供や孫に住んでもらいたいか

○ 日常生活(問14)

今暮らしている市町村に、子供や孫に住んでもらいたいかどうかについては、回答者の約4割(38%)が「住んでもらいたい」と回答。「どちらかと言えば、住んでもらいたい」を合わせると75%。

問14 自分が今暮らしている市町村に、子供や孫に住んでもらいたいかどうか

( n = 748 )

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31

○ 社会的活動状況(問14)

問14 自分が今暮らしている市町村に、子供や孫に住んでもらいたいと思う理由

119

88

53

6

7

38

①家族の絆・助け合い・家系維持

②地域への愛着・住みやすさ

③地域の発展活性化のため

④地域が安全

⑤子育て環境が良い

⑥その他

四国計

今暮らしている町に子供や孫に「住んでもらいたい」理由【複数回答可】

( n = 305 )

回答者の理由311件を当方で下記の①~⑥に要約・区分。その結果、家族の絆・助け合い・家系維持が119件と最も多く、近親者がいることによる安心感を求めていることが伺われる。次いで地域への愛着・住みやすさが88件。

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32

○ 社会的活動状況(問14)

問14 自分が今暮らしている市町村に、子供や孫に住んでもらいたいと思わない理由

16

8

5

2

2

12

15

6

①雇用への不安

②交通の不便

③買い物等日常生活への不安

④子育て・教育環境への不安

⑤地域での人間関係への不安

⑥地域への不安、地域の衰退懸念

⑦子供・孫の意思尊重

⑧その他

四国計

今暮らしている町に子供や孫に「住んでもらいたくない」理由【複数回答可】

( n = 57 )

回答者57人の理由66件を当方で下記の①~⑧に要約・区分。その結果、雇用への不安が16件、次いで子供・孫の意思尊重が15件。また、交通の不便8件・買い物等日常生活への不安5件と生活の利便性に関わる不安も計13件と比較的多く、さらに地域への不安・地域への衰退懸念が12件あることから、地域の現状及び将来を心配していることが伺われる。

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33

○ 社会的活動状況(問14)

問14 自分が今暮らしている市町村に、子供や孫に住んでもらいたいかどうかについて、「わからない」とする理由

「分からない」理由 【複数回答可】

( n = 63 )

回答者の理由65件を当方で下記の①~⑥に要約・区分。その結果、子供・孫の意思尊重が31件と最も多い。

7

2

31

13

5

7

①雇用への不安

②買い物等日常生活への不安

③子供・孫の意思尊重

④子供・孫がいない

⑤自分の出身地ではない

⑥その他

四国計

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34

○ 社会的活動状況(問14)

(参考)自分が今暮らしている市町村に、子供や孫に住んでもらいたいかどうかについて、「わからない」とした理由の中には、子供・孫の意思尊重が大宗を占める中、次のような意見があった。

○ その他

20年30年後にどのような島、町になっているかわからないから(土庄町、女性、30~39歳)。

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35

○ 市町村の行政への期待(問15)

回答者558人の意見693件を当方で下記の①~⑭に要約・区分。その結果、生活基盤に関する意見が113件と最も多く、生活の利便性の向上を求める声が多いことが伺われる。次いで健康福祉に関する意見97件、雇用に関する意見が83件。

地域行政に求めること 【複数回答可】

( n = 558 )

1397

2843

83113

3214

7442

3280

1329

①地方創生全般

②健康福祉

③教育文化

④産業振興

⑤雇用

⑥生活基盤

⑦防災防犯

⑧自然環境保護

⑨行財政運営

⑩人口減少・少子高齢化

⑪子育て支援

⑫住みやすいまちづくり

⑬住民の意識改革

⑭その他

四国計

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36

(参考)市町村の行政に関する主な意見

意 見 同類意見

・一部の場所ばかりに投資しないで、地域全体にも目を配ってほしい(観音寺市、男性)。

・区のことを考える専門職の地域活動センターへの派遣。応援隊では意味がない(梼原町、男性)。

・国の地方創生を大いに利用して生活が成り立つような事業を考えるべきではないか。住民本意に(那賀町、男性)。

① 地方創生全般

② 健康福祉:「福祉の充実」、「医療の充実」、「介護の充実」等の総論的な意見が大宗を占める中、具体的な意見は下記のとおり。

意 見 同類意見

(医療の充実に関する意見)・病気になった時に、安心して任せられる医者の確保を維持してほしい(土庄町、女性)。

・病院、老人ホームの充実、すぐ他の病院で検査になるのでいい医者を求めます(観音寺市、女性)。

ほか14件

(介護の充実に関する意見)

・いずれ介護施設にお世話になるかと思うが、現施設の数で入所が可能なのであろうか?団塊の世代対象年齢のため非常に気になる部分です。利用者定員に限界があり入所待ちの方のお話しをよく耳にします。介護施設の充実・及び独居高齢者対象の24時間訪問診療(医療機関)等の拡充等が今後の課題かと思います(八幡浜市、男性)。

ほか3件

(高齢者の活動に関する意見)

・今後高齢者が集うことのできるカルチャースクールのような場所の提供や、ボランティア活動に参加しやすいネットワーク作りがあるとよいかもしれない(西予市、女性)。

ほか2件

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37

(参考)市町村の行政に関する主な意見

③ 教育

意 見 同類意見

・高齢少子化に伴う自治体の消滅が具体化していることに対して西予市として地元の高校への生徒の確保について中学校との連携を深め地元に残る高校生の育成を研究してほしい(西予市、男性)。

・自然・文化豊かな地域で子育てをしてもらい、心豊かな人間に成長してほしい(観音寺市、男性)

・幼稚園・保育園に外国の先生を一人置くようにして毎日英語を聞いていたら聞く耳が出来、英語を話せる子供達が育つのではないか。日本語を話すように覚えるのではないかと思う(西予市、女性)。

④ 産業振興:具体的な分野としては、農業振興、企業誘致、観光振興に関する意見が多い。

意 見 同類意見

(農業振興に関する意見)

・高齢化や人口減少で地域内の田畑が荒廃していく。機械化や共同経営などへの支援を望む(梼原町、男性)。・自然の中で活力ある未来が築けるよう、第一次産業の振興に力を入れてほしい(伊予市、女性)。

ほか10件

(企業誘致に関する意見)・若い人が生活できるように企業を誘致してほしい(東かがわ市、男性)。

ほか12件

(観光振興に関する意見)

・自然豊かな地域資源を活かして山の持つ魅力を発信し、観光事業を積極的に進めてほしい(梼原町、男性)。

ほか4件

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38

(参考)市町村の行政に関する主な意見

⑤ 雇用:協力先16自治体中14の自治体の住民より雇用確保(特に、若者の雇用確保)を求める意見が多く聞かれた。このほか、女性の雇用に関する要望もあり。

意 見 同類意見

(若者の雇用確保に関する意見)

・若い人達が定住できるように仕事が出来る環境があればと思う。仕事場さえあれば過疎化にも歯止めができるのではないでしょうか(土庄町、女性)。

・子供達が安定した生活が送れる職場があれば、将来的にも住み続けてもらえると思います(伊予市、女性)。

ほか29件

(女性の雇用確保に関する意見)・女性が家事、育児と両立して働ける仕事が欲しい(伊方町、女性)。・子持ちでも働きに行ける環境づくり(観音寺市、女性)。

ほか2件

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39

(参考)市町村の行政に関する主な意見

意見 同類意見

(地域公共交通の充実を求める意見)

・今は車の運転ができるのでどこにでも行けるが、年齢とともに買物・病院と車の運転ができなくなると不便になることへの不安(土庄町、女性)。

・自動車運転ができなくなった場合の買物、通院などの足代わりになる対策を希望(大洲市、女性)。

・高齢化により車の運転が出来なくなった場合、買い物ができるようにコミュニティバスなどの充実化(砥部町、男性)。

ほか28件

(「生活用品等を購入できる店」を求める意見)・食品(生鮮)が買える店があれば日々の生活が改善できる(八幡浜市、女性)。

・村外に行かなくても村内で食料から日用品、衣料品まで低価格で揃えられること(馬路村、女性)。

ほか6件

(コミュニティの場の提供を求める意見)

・若い人も子供も、全世代がコミュニケーションをとれるような場所があればよいと思う(佐那河内村、女性)。

・近所付き合いできるよう村外から引っ越してきた人、お年寄りから子供まで交流できる場所があること(馬路村、女性)。

ほか17件

(道路整備を求める意見)

・山間僻地で居住する者にとっては社会資本設備、とりわけ道路網の改良整備促進が最重要課題であり、早期実現に向けて取り組んでほしい(梼原町、男性)。

ほか12件

⑥ 生活基盤における主な意見:協力先16自治体中14の自治体の住民より、いわゆる“買物難民(買物弱者)”になることや運転免許返納後の不安から、コミュニティバス等地域公共交通の充実や生活用品等を購入できる店を求める意見が多く聞かれた。また、半数以上の自治体の住民から地域住民が集まりコミュニケーションをとるための場所を求める意見や、山間部・農村部の住民を中心に地域の道路整備を求める意見があった。

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40

(参考)市町村の行政に関する主な意見

⑨行財政運営

意 見 同類意見

(住民との協働、住民の意見反映を求める意見)

・市民と行政が同じ方向を向いて、協働で新しいことにチャレンジしようという雰囲気の醸成(観音寺市、男性)。

ほか11件

・高齢者への政策も大事だとは思うが、そろそろ若者に特化した政策を打ち出していかないと市の将来はないと思う(観音寺市、男性)。

・誰に対しても平等であってほしい。高齢者に対する補助金制度が多いように感じます(土庄町、女性)。

・社会的弱者の目線に立ち気持ちに寄り添える行政。不公平感のない行政。ふるさと納税の推進(土庄町、男性)。

・期待ではなく自ら変えていく。まずは他と同じではないONLY ONEの施策を出したい(東かがわ市、男性)。

・行政の方々もお忙しいと思いますが私達が一生懸命やったことが、係の方が代わる毎に元に戻るようでその都度説明がいり行政の方々の引継ぎを十分に行って欲しいと思います(八幡浜市、男性)。

(情報開示・発信を求める意見)・何をやっているか分かりやすく見える行政(伊方町、男性)。

ほか7件

(財政再建、「無駄な経費削減を求める意見)・将来安心して住めるための財政再建を期待します(伊予市、男性)。・無駄な経費の削減に努めて欲しい(那賀町、男性)。

ほか11件

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41

意 見 同類意見

・共働き夫婦の子育て負担減。平日に保育所・学校から発熱等体調不良で帰宅が必要な時共働き夫婦はどちらかが休まなければならないが業務上休めない場面もあるので地域で一旦預かりができれば地域コミュニティの活性化や見守り者も子供から生きがいを得ることができるのでは?(馬路村、男性)。

・子どもが下校後遊べる場所が少ない(観音寺市、女性)。

⑪ 子育て支援

(参考)市町村の行政に関する主な意見

意 見 同類意見

・高齢化、少子化、農林業の低迷の中で中山間の地区では今後益々人口減少になり集落が成立しなくなります。現在でも空家が増加しており独居老人が多く特に家の周辺の畑や果樹の管理も出来ず草木が繁茂し防災や地区の環境にも悪影響を来しており若者が喜んで住めることは不可能です。一般的に10年後どうなるという悲壮感が乏しく地区の10年先を見透かす実態調査をして地区ごとに論議をし地区の現状と将来どうなるのかを認識し進んでほしいと思います(西予市、女性)。

・高齢、現役(中年・若者)、子供達との年代間のつながりを維持していける運動(活動)を住民と共に実践していくよう期待したい(東かがわ市、男性)。

・高齢者の活躍できる場を作ってほしい。元気な高齢者が多い(吉野川市、女性)。

⑩ 人口減少・少子高齢化

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42

(参考)市町村の行政に関する主な意見

意 見 同類意見

(⑦ 防災防犯)・災害時・緊急時の地域(地区)の連携態勢の強化(馬路村、男性)。

(⑧ 自然環境保護)・良い田舎感を保ってほしい(大洲市、男性)。

(⑫ 住みやすいまちづくり)・小豆島の魅力を発信し全国から住みたいと思われる島、町にしてほしい(土庄町、男性)。

・若い人が喜んで帰ってこれるような事とか、町外の人達が訪れる観光的な場所の確保とか、那賀町独自の料理を創意工夫をするといいと思います(那賀町、女性)。

(⑬ 住民の意識改革)

・町民の意識改革、地区によっては何もかも町がしてくれるものと思っているようであり、町に頼り過ぎている。(例えば、水路の清掃など、自分もそうだったが地区の消防団員で清掃活動など実施していた)(伊方町、男性)。

(⑭ その他)

・地域全体の高齢化に伴い地区自治会役員も高齢者が受けざるを得ない状況にあり広域に活動する事に体力の限界を感じる事が多々あり身体に自信が持てないのが自身の現状です。ちなみに現在自治会役員(任期2年)の選出は65才以上75才未満の男子が年齢順に役員を決めているのが現状です。今後行政に相談対応していただく機会が増えるかと思います。自治会の崩壊等が懸念されます(八幡浜市、男性)。

・私達が何かのボランティア活動をしたことに対して役所が何かの意見を頂ければ私達のとった行動に対して良かったのか悪かったのか等の判断意識等が付きやすい(八幡浜市、男性)。

その他(⑦防災防犯、⑧自然環境保護、⑫住みやすいまちづくり、⑬住民の意識改革、⑭その他)

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43

○ 国の地方創生に関する施策への意見(問16)

回答者231人の意見256件を当方で下記の①~⑭に要約・区分。地方創生全般に関する要望・意見(44件)が最も多い。その内容をみると、地方の実態把握をもっと把握すべき、住民に対して地方創生が何をしているかをもっと説明すべき、他の自治体の成功例をまねた施策がまん延している、といった意見が多い(次頁参照)。

国に求めること 【複数回答可】

( n = 231 )

4428

1017

1317

181

4110

111

1926

①地方創生全般

②健康福祉

③教育文化

④産業振興

⑤雇用

⑥生活基盤

⑦防災防犯

⑧自然環境保護

⑨行財政運営

⑩人口減少・少子高齢化

⑪子育て支援

⑫住みやすいまちづくり

⑬東京一極集中の是正

⑭その他

四国計

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44

○(参考)国の地方創生に関する施策への主な意見

意 見 同類意見

(住民への説明を求める意見)・地方創生が何をしているか、村民に伝わってこない(佐那河内村、男性)。

・主役であるべき地域住民が、どのような施策か、また、自分たちの町がどのような取り組みをしているのか理解している方が少ないのではないかと感じます(伊方町、男性)。

ほか2件

・お金になるところばかりによくして不自由なところには回ってこない(東かがわ市、男性)。

・国が関与しすぎるあまり地域の独自性や特色ある取り組みにブレーキがかかり他の自治体の成功例をまねた施策が全国にまん延しているイメージがある。自治体に補助するよりも企業や研究機関に補助して新たな産業の創出を図ってはどうか(伊方町、男性)。

・地方には、都市部にない良さ(自然や人とのつながり)があるので、産業、仕事があれば人口減少を緩和できるのではないか。産業の活性化を!(佐那河内村、女性)

・地方が定住促進や子育ての支援を充実させるためには、独自に企業誘致や産物のブランド化をして、大学に行ってもふるさとで就職できるようにならないと、人口は流出する(観音寺市、女性)。

・地方自治体が取り組む政策のために大手のコンサルに委託したりと結局都市に本社を置く会社へお金が投入され、地方に入っていない体制を是正すべきである(観音寺市、女性)。

・地域の実態に見合った自由度の高い国の支援体制づくりをお願いしたい(大洲市、男性)。

(地域の実態把握を求める意見)・施策立案者は実際の現場を訪問、数日滞在してみること(那賀町、男性)。

ほか3件

・国内木材の利用を高め、林業家の生計が成り立つ施策を作ってほしい。日本の第一次産業をどうしたいのかわからない(梼原町、男性)。

・地方分権を進めるのであれば、積極的に国等の施設・機関等を地方へ分散すれば、少なからず人口は地方へ分散するのではないか(伊方町、男性)。

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<参考:調査項目>

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Ⅱ.地元大学研究者からの地域の実態に関する意見

各ページの各研究者からの意見は、以下のマークで標記。( )内は、各研究者の専門分野。

◇:原直行 香川大学経済学部教授(グリーン・ツーリズム、エコツーリズム、地域活性化論)

◆:鈴木健大 香川大学地域連携戦略室特命准教授(地域政策)

▽:石田和之 徳島大学大学院社会産業理工学研究部教授(財政学)

▼:田口太郎 徳島大学大学院社会産業理工学研究部准教授(地域計画)

☆:坂本世津夫 愛媛大学社会連携推進機構教授(地域連携コーディネーター・地域情報学)

★:中澤純治 高知大学地域協働学部准教授(地域経済論、産業連関分析)

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○ 研究者からの地域の実態に関する意見

意 見

▼ 地方創生については、そもそも何が「地方創生」に関連して行われている事業なのかという理解が十分に広報されていない現状がある。故に、地域住民の中でどのような取り組みが「地方創生に関する施策」として行われているのか、がわかってもらえていないと思われる。

▼ と言いつつも(今回の調査結果の)全体を見ると日常生活に近いところの要望が多く、(他施策も含めて)そこに訴求しきれていない行政への不満(生活の中での実感がない)が多く見受けられる。

▼ これは、住民へのサービスというのはどうしても目新しさがなく、新規性もないことからお金や注目が集まりにくく、結果的に注目されやすいようなキャッチーな施策(都市的価値観に基づくような都市住民誘導的な施策)にお金がついていることが理由と考えられる。

▼ 予算の面では、一時のバブル期のようにハードにもたくさん付いている。中身のないハードを作ると、後にランニングコストの問題が出るのではないかと心配している。また、(新設ではなく)改修などの条件が付けられているため、無理やり改修(こじ付け的な取り組み)も見受けられる。自治体は、これまで予算が付かなかった過去や厳しい財政事情があるため多めに予算要求し、それが全部付い

て、さらに単年度予算で新たな企画をどんどん立ち上げているが、地元住人がついていけていない。また、地域住民に対して、何のために、新たな施設ができるのかが説明もされていない。お金が付いている時に何ができるかも重要ではあるが、今の状況では取組が地域に定着しないし、住民の意思とは違ったレベルで進められているため、後に遺恨を残すのではないかと非常に危惧している。

▼ 行政への要望が多く、それに素直に答えきれることは難しいため、実際には行政の限界を示した上で、住民と行政が協働するような意見交換が必要である。住民に「要望」を聞くとこれまでと同様にどんどん行政への依存が高まっていく。しかし、行政には依存されるほどの体力は既になく、それを住民に対して表明した上で、住民が出来ること/行政がやるべきことの役割分担を丁寧に検討する必要がある。

▼ 現在の行政の業務課題や住民の行政依存(要望が多い)の体質は、これまで陳情/対応型の住民対応を積極的にやってきた結果でもあり、行財政が苦しくなったので住民主体の街づくりが必要、というロジックとなってしまっている。故に住民からすれば虫の良い話として取られてしまう。第三者が住民と行政の間に入って、対立構図にならないような仕掛けが必要だろう。

▼ 地域での生活は、お金を稼ぐだけではなく、それを不採算部門に回す「地域自治」の仕組みが必要。また、住民出資で地域の生活環境を向上させる取組も必要。

○ 地方行政全般

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○ 移住促進

○ 地方での生きがい・幸福度

意 見

☆ 四国4県で見た場合、高知県の「生きがいを十分に感じている」割合が高いのは、やはり県民性と、生活環境、自然環境、高知県庁の政策運営(知事)、「高知家」というイメージ戦略にあると思う。その他の3県は、県庁のイメージが少し堅いように感じる。

★ 高知県がどの項目でも満足度が最も高いのは、相対的に現役世代の所得が低いため、退職後とのギャップが最も出にくいこと、経済的に厳しい状況なので制度的なセーフティーネットよりも社会的なつながりや地域活動の方が身近にあることが要因と考えられる。

◇ 若者も、地方で、自分がのんびりと平和に暮らしていければ良いという価値観を持ち始めているのではないか?同時に、自身の活動を通じて、地域を支えているという気持ちを持てることが出来れば、幸福度も上がっていく。

意 見

▼ 各自治体の総合戦略の中で、各地域の人口増加、そのための移住促進策を掲げているが、移住促進が即、地域活性化につながっていない。

移住民は、本来、移住地域の担い手となるべきである(地域での生活は、福祉とか消防団とかといったものが下支えして初めて可能)。しかし、いわゆる“ファッション移住”(ローカルライフを楽しむだけの自己満足の移住)を目的として移住者が来ても、その地域の社会活動(草刈り、水源管理等)には関心がなく、取り組もうとしない。このような移住者に、行政が空き家や補助金等を提供しても、地元住民からは「なぜ、そのような者に税金をつぎ込むのか」といった不満が出てしまうだけである。

結果、8割の住人は、「1割の楽しそうに田舎暮らしをしている人達」を冷ややかに見ており、気持ちの格差が生まれている。

○ 研究者からの地域の実態に関する意見

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意 見

▼ 地方には、近代化に伴い都市部を追い続けてきた歴史が価値観を作り出しているため、地元の人は何も無いと言う。しかし、自然資源がある。傍から見ればポテンシャルは非常にあると思う。

★ 地方では、地方にあるもので都市にないものを補完し、都会にはない地方の資源を活用していくことが必要。しかし、地元住民は、その地域にあるどのような資源に価値があるのか気づかないことがあるので、これらを発見できる部外者の視点が重要になってくる。

簡単な例でいえば、黒潮町のある地区では河川プール(無料)を作ることで、大阪などの大都市圏から来る子供たちに喜ばれている。川で泳ぐことは、地元では当たり前のことで大した喜びとは感じないものの、都会の人からみれば、驚きと喜びがあるといった具合。なお、黒潮町の観光動向を分析すると、同じ高知県でも都市部にあたる高知市から多くの人がカツオを食べるために、高知県の地方部である黒潮町を訪れ、更に四万十市や土佐清水市にも行こうとしている。

また、最近のアジアからの観光客は、「体験型」の観光を好む傾向があり、昔の日本の風景や体験できることが(ホエールウォッチング、白砂松原など)、観光地としての高評価となっている。このように、外国になくて高知にある資源を、外国人に届けることも重要。

このほか、高知市内で開催される「日曜市」は、流通面が発達していなかったというデメリットから、現在も昔ながらの形で残っている。こういう個性を際立させると人を呼べるので、各町村も個性を生かしていくことが大事である。

○ 地域の資源活用

○ 地域での生活に対する不安

意 見

★ (今回調査の中で)自分が今暮らしている市町村に、子供や孫に住んでもらいたいと思わない理由から、地域に対して将来が見いだせない状況がよく分かる。雇用・教育・医療が揃わないとまずは暮らしていけない。地域に出ていてよく聞くが、(地域での暮らしは)自分の代だけで終わりにして子供たちは自由にしてほしい、という思いが相当数ある。

○ 研究者からの地域の実態に関する意見

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意 見

◆ (今回の調査結果によれば、)60歳以上高齢者における50%にのぼる就業者は、収入については不満がみられるものの、内容ややりがいの面で充足していることが見てとれるが、業態が農林漁業等、一部に偏っている。また、高齢者の地域活動は、彼らに生きがいをもたらしているが、負担の増加や参加のあり方に疑問も見られる。高齢化と人口減少が急速に進む中、それに見合った自助・公助・共助のあり方と役割分担を整理することが必要ではないだろうか。

☆ 60歳以上の就業状況については、都市では、サービス産業(第3次産業)が中心となり、労働生産性が高い(収入が大きい)ので、毎日働かなくても生活を維持することが可能であるが、地方では、1次産業および6次産業の労働生産性が非常に低いため、毎日働いても、十分な収入が得られず、60歳以上でも仕事をしている割合が高いし、労働日数も多い状況と思われる。反面、やりがいの面からみると、都会よりも地方の方が、やりがいがあると感じる(生きていることが実感できるため)。60歳以上就業者の仕事への満足度は、都会と比べると「やりがい」があり、良いと思うが、ただ、それだけでは収入に対する不満は改善できない。要は、やりがいと収入を両立させる施策が必要(施策のあり方を考える必要がある)。仕事の内容にやりがいがあり、収入的にも満足できる形態を構築する必要がある。当面は、自立的にそれらを実現させるには難しく(地方単独では難しく)、財政的な支援、施策が必要と思われる。

☆ 60歳以上就業者の仕事のやりがいについては、「待遇・評価への不満」というものがあるが、「評価する側の意識」も変えなければ、悪循環すると思われる。また、後継者不足は、システム的に検討し、解決する必要がある(事業承継など)。事業承継は、形式的にはやっていても、まるで機能していないと思われる。自治体も金融機関も本腰を入れる必要がある。

○ 地域での高齢者の就業・事業承継

○ 研究者からの地域の実態に関する意見

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意 見

◇ 東かがわ市で地域おこしのリーダー層曰く、「今、地域おこしに取り組んでいるのは、若い時の青年団活動の経験があったから」とのこと。青年団活動などは、評価が難しいが、地域おこしの基になる昔ながらの地域活動の仕組みが必要ではないか。

★ 高知県内の中山間部においては、社会活動の中心となる役割(区長等)が、特定の人に集中する傾向がある。総じて人がいなくなってきている地域で、元気のある高齢者は“すでに“頑張っている。しかし、高齢者でも皆ができるわけではないので、できる人がやらざるを得ないのが現状。

現実の問題としては、高知県内においてもこれまで集落センターなどを積極的に設置してきている町村もあるが、その活動の担い手となると、設置当初は60歳代で元気に活動していた者が、次第に70歳代となり、活動していくことに辛さを感じているようである(中山間部では、60歳代は若手の位置づけ)。後の世代につなげていこうにも、後継者がいなくなってしまっている。同様に、農村部では、地元の文化活動・祭りなどの地域行事を、引き継いでやってくれる年代層がいなくなっており、様々な事業の継承が出来なくなっている。

つまり、中山間部においては、団塊の世代の次を引き継ぐ層がいなくなっており、今後、都会からの移住を促進しようとしても、働く場所もなく、また、子供の教育、医療環境が不十分といった問題がある(高齢化の進展→若年層不在→移住促進も困難という悪いスパイラル)。移住を受け入れる側が、雇用・医療・教育の問題を克服していく必要がある。

☆ 地域住民の社会的活動状況については、押しつけられている(と感じる)活動であれば、だれもやりたがらなく、さらに交代者もいなく、課題がある。仕事の内容が評価される仕組み、一部の人材に偏らない仕組みが必要。

☆ 都会では気ままに生活できるが(自治会も、都会と田舎では、機能が大きく違う)、田舎では、少ない人口の中(高齢者ばかりである)、役割を押しつけられている感がある。役割を果たすという、意義の共有をどう構築させるのかが課題と思われる(ある面では、手当も必要である)。現状は、自主的ではなく、地域から割り当てられている、その面に、生きがいと感じられない部分があると思わ

れる。地域の自治活動の見直しも必要ではないかと思われる。☆ 住民の社会的活動の意義、意味を共有する仕組みが必要。

○ 地域での社会活動(1)

○ 研究者からの地域の実態に関する意見

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意 見

★ (今回の調査によれば、地域住民が行っている社会的な活動のうち地域活動が49.8%と最も高いことについて)地方では約5割の地域住民が地域活動に参加しなければ地域社会が維持できないというふうにも解釈できるかと思う。

★ 地域住民が社会活動について、生きがいを感じていない理由について、一部のやる気のある住民だけによる活動になりがちなこと等から、結局のところ活動の担い手不足の問題に行き着き、どうやって協働をデザインするかがポイントになる。また、60歳未満の有職者が地域活動に関われるようなライフスタイルになく、退職者が中心となって活動し、10年間、活動したころで振り返ると後継者がいないというパターンになる。活動の仕方や協働しやすい参加のデザインなどを工夫する必要がある。

★ (今回の調査から)地域活動に一生懸命取り組んでおられる姿には本当に頭が下がる思いだが、活動の結果、目に見えて地域の状況が改善するでもなく、多くの人に活動が理解され、活動の輪が広がるでもなく、地域の課題を背負い込んでいる姿が垣間見られるような結果であった。

○ 地域での社会活動(2)

○ 買い物難民(買物弱者)対策

意 見

▼ 小さなスーパーなど実際に物が売れず需要がないため無くなっていくが、車が運転できなくなった時、みんな買い物が出来なくなる。自動運転を導入すると言っても、過疎地の道路は細く、白線が無いあるいは落ち葉で隠れている。テクノロジーの進歩はあるだろうが、自動運転でスーパーに行けるようになるまでに無くなってしまう集落がたくさんある。

▼ その意味では、国交省の「小さな拠点づくり」は良い取組で、さらなる強化や啓蒙が必要。▼ 対馬の過疎の集落で生活している方が、1週間前に欲しいものを注文すれば、ほぼなんでも手に入ると言ってい

たことが強く印象に残っている。物流が良くなっており、「今すぐ」や「翌日」にこだわらなければ物はどこでも届くので、インターネットが使えない高齢者に代わって誰かが代行して注文するような仕組みが出来れば良いのではないか。つまり、過疎地で食料はじめ日用品の「仕入れ機能」があれば、需要に応えることが可能であるが、地元商店が無くなると「仕入れ」の主体が無くなるため、何らかの方策を考える必要がある。

○ 研究者からの地域の実態に関する意見

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○ 今後の農林業

意 見

☆ 地方に必要なものは、雇用環境(仕事、産業)、収入。その為には、新たな産業、新たなビジネスを地方で起こす必要がある。例えば、林業、農業が主体であった自治体は、「新たな産業を」と考えているが、それぞれの産業の中でイノベーションを起こすことにより課題は解決できると思われる。

林業の場合、木材の新たな用途の開発、製品化が必要である(角材、丸太ではなく)。北欧などでは、そのような取り組みが展開されている。農業も、農産物の新たな用途と、新たな加工食品、新たな食材へと変える必要性があるが、農協も、銀行も、自

治体も、そのようなアドバイスは十分に出来ていないのが実情。例えば農作物を作るにしても、世界のどこに流通させるかに加え、付加価値を付けることが重要である(しっかり

とした目標、ターゲットが必要)。しかし、問題は、こうしたことができる「人材」が地方にいないことや、日本では製品化までの試験期間に5~6年くらいかけないと評価されない(スピードが非常に遅い、意志決定も遅い)ことなどが課題。

意 見

◇ 今後の例えば観光業による地域創生を実現するためには、まちづくりとセットで行わざるを得ず、そのためには人材育成から時間をかけて行う必要がある。今後大学が自治体等と連携して、地域の観光を担える人材育成、まちづくりのための社会人向け教育プログラムを開発すべきだと考えている。

○ 今後の観光業

○ 研究者からの地域の実態に関する意見

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○ ICTの活用

意 見

◇ 人手が不足している地方でこそ、コストダウンのためには、最近技術進歩が著しいICT(情報通信技術)の活用が、今後、ますます重要。

☆ 地方の主産業である農林漁業では、やはり環境(自然環境・労働環境)を維持するためにも、労働日数が多くなり、多くの労働者(人手)が必要になると思われる(効率化、機械化、ICT利活用も必要)。

○ 教育

意 見

☆ 教育の情報化を進め、どこでも教育が受けられる環境を整備する必要があるが、日本の教育情報化は十分には進展していない。仮に今のままのように、子供の自主性・判断に任せると、子供が地方から都市部の学校へ流出してしまい、結果的にますます地方は空洞化すると思う。

▼ 地域での教育も、偏差値教育ではなく、自然教育・人間教育が重要。東大生を呼んで授業をやったり、あるいは英語学習に重点をおいたり、都市部と同様の価値軸の中でも勝負しようという取り組みが(話題作りも含めて)行われ、アピールされているが、私自身は賛成できない。地域に根ざした価値観に基づく教育が必要だと思う。佐那河内村の小学校では、特定の登校日に川に行って、児童がアユを獲るとか飛び込みの練習をしている。

川は、深さ・水温の変化がありちょっとした危険があるので、これらにどう対応するかを、身をもって学ぶことが、子供にとって大切だと思っている。

○ その他

意 見

★ 国の地域振興策に関して申し上げると、かつての公共事業は、地域に雇用者所得が生じ、地元住民の所得向上にもつながっていた。これに対して、例えば、最近のプレミアム商品券は、確かに売り上げのマージンは地域に残るが、製品などが地域外で作られたものがほとんどのため、地域の生産活動には寄与していない。

また、高知県各地にある道の駅で販売されている製品も、ほとんどが高知市内で製造されたものであり、高知市以外の各地域の付加価値向上や経済発展につながっていないのが現状。もっと、各地域の産品(資源)を買ってもらうようにして、各地域の付加価値向上につなげていくことが必要。

○ 研究者からの地域の実態に関する意見

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○ 国のこれまでの地方創生の取組みに対する総括

意 見

▼ 政府の地方創生のスピードが速すぎる。過疎地では、高齢者が多く、これまでの生活スタイルがあるので、自治体は急にギアを上げられても、地元住人は対応できない。地域のスピード感と連動しなくては、一時的な取り組みで終わってしまう。

地方創生の取組みは、非居住者がやっても定着しないので、助走して加速度をつけて、地元住人を引っ張り出さなければならない。◇ 3~5年程度の期間でのKPIのみでは地域は近視眼的にならざるを得ず、地方創生を真に実現させていくためには、同時に10年~20年程度のKPIを設けるべきで、そうでないとその地域を支える産業は育たないと考える。事実、徳島県上勝町の葉っぱビジネス(注)も10年以上かかり、ようやく実を結んだ。短期の結果を求めすぎないようにしなければならない。

(注)中山間地域で高齢化率の高い過疎地にありながら、葉っぱという地域資源を活かし、地域住民の活気が取り戻された過疎地域活性化の代表的事例。高齢者や女性でも担える仕事として、もみじや南天等の葉っぱを、日本料理用の演出用「つまもの」として、生産・集荷。

▼ KPIは、あくまでも基準であり数値目標ではない。しかし、自治体には「これが目標で、達成しないと国からの補助金等がもらえなくなる」といった誤った考えを持った者が多い。

▽ 地方創生に関して、「地方創生全般に関する要望・意見」が多く、その内容として「地方の実態把握」や「地方創生事業等の説明」を求める声が多いという結果から、現在実施されている地方創生事業に対して、以下のような疑問が生じる。

・現在実施されている地方創生事業は、真に地方の実態にあった、地方創生に資する事業になっているであろうか?・東京(大都会)で、現場を見ずに、データのみに頼ってプランした事業になっていないだろうか?

改善すべき方向として、事業の計画や実施に関して地方の自由度を高めることで地方が真に必要を感じる事業に資金を充てる、といったことが考えられる。

☆ 都市(都会)と地方(田舎)では、生活環境や住民意識が違うので、全国一律(同一)の施策(地方創生戦略)では、効果が出にくい。

地方では、やはり農林漁業が重要(中心)であり、それ(産業の中身)を転換させる(イノベーションさせる)必要がある。

○ 研究者からの地域の実態に関する意見

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Ⅲ.協力先自治体職員からの調査結果に関する意見

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※次頁にある協力先自治体職員の意見はすべて、各職員の個人的な見解であり、協力先自治体の公式見解を示すものではない。

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意 見

○ 地方行政全般・ 住民と行政との意識の差が大きい。行政は「やってあげている」、住民は「行政が勝手にやっている」という考え方。その延長線上に「やりっぱなしの行政」「頼りっぱなしの住民」という結果が残る。意思疎通し、協働するためには行政と住民の意見交換の場(ワークショップ、地域懇談会など)の構築が必要。〔愛媛県内自治体職員〕

・ 住みやすい市にするためにも、市民と行政の「協働」によるまちづくりが大切になると感じた。市民と行政が話し合う場として、市政懇談会、ミニ懇談会をはじめとする様々な機会の場があるので、広く市民に周知をし、まずは制度を分かってもらうことが必要であると考える。〔愛媛県内自治体職員〕

・ 人の交流等を介した活性化や、キーワードとなる「役割分担」や「協働」であり、その中でも、やはり「人づくり」が急務であり、最も重要なことと考えている。〔徳島県内自治体職員〕

・ 住民はいつまでも行政主導を期待してはいけない。人口減少や高齢化に伴う財政状況の悪化から、かつてのように行政があれもこれも行い、問題を解決できる時代は終わっている。行政ができることは「あれもこれも」から「あれかこれか」へとシフトせざるを得ず、住民が出来ることは自分たちでやる必要があるという考えを住民に理解してもらうように努力しなければならない。〔愛媛県内自治体職員〕

・ 地方創生に関する施策について、地域の課題解決に向けた地に足の付いた施策よりも、地域活性化などの派手で見栄えの良い施策がもてはやされているように感じている。各自治体の総合戦略の人口などの目標値と、実際に実施している施策との相関性に疑問を感じる。〔香川県内自治体職員〕・ 行政側もある程度、民間にアウトソーシングすることで、これからは事業の『選択と集中』が必要と感じる。

ただ、それには住民への提示と住民の理解が必要だが、行政への依存度が高い地方でそれがうまくいくかは多くの不安が残る。〔香川県内自治体職員〕

○ 地方での生きがい・幸福度・ 地域住民が社会活動について生きがいを感じている理由について、特に人との交流を拡大し、自身が地域の中で役立っていることを認識すれば、幸福度が上がることから、住民は自身が活躍できる場や、自身が社会に関わる場を求めていることが分かった。〔愛媛県内自治体職員〕

・ 生きがいを感じているとした方々は、社会活動においてリーダー的な活動をされている。そう感じていない方々は、義務的・強制的でやらされ感のある方々が多い。だから、行事やイベントをやっても大体同じ方が参加されている。高齢者が多くなってきている現状を打破できないといった、負のスパイラルに陥っている。行政として、全ての市民が生きがいを感じられるものを探し求める必要があると改めて感じた。〔高知県内自治体職員〕

○ 協力先自治体職員からの調査結果に関する主な意見

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Ⅳ.国の出先機関の若手職員による意見交換会の結果

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意見交換を行った国の出先機関

・四国森林管理局(20代女性3名、20代男性2名、30代男性1名)・四国地方整備局(30代男性2名、40代男性2名)・四国経済産業局(30代女性1名、30代男性1名、40代男性1名)・四国運輸局(30代男性2名、40代男性1名)・中国四国農政局(40代男性2名)・香川労働局(40代男性2名)・四国財務局(20代女性1名、20代男性1名、30代男性1名)

※60~62頁にある国の出先機関の職員の意見はすべて、各職員の個人的な見解であり、その所属機関の公式見解を示すものではない。

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意 見

○ 調査結果(含む研究者の意見)に対する意見・感想・ (今回の調査結果では地域公共交通の充実を求める意見が多い中)、各自治体では、それぞれの抱える公共交通の現状や課題を踏まえて、一体的な地域公共交通ネットワークを作っていこうということで、協議会等を設けるなど取り組みを進めているところ。協議会等には自治体を中心に交通事業者、道路管理者、福祉関係者や住民代表、さらには運輸支局等も参画し、合意形成を進めているところだが、国の施策が縦割りになっている中、自治体によっては公共交通に係る施策に携わった経験の少ない方もおられ、様々な省庁の施策を理解して取り組まないといけない自治体の負担は高まっているのではないかと思う。〔四国運輸局職員〕・ 60歳以上の農林漁業者は、収入に対する満足度が約3割と低いものの、60歳以上就業者全体における「仕事の内容」と「やりがい」に対する満足度は約8割と高いことから、新規就農に対する支援には、これらを踏まえた農林業の魅力を上手く伝えることが重要と思われる。最近では、田園回帰の流れに乗りUJIターンにつなげている取り組みもあるが、元々の住民と地域外から新しく来た人との付き合いが、うまくいく場合とそうでない場合がある。繋ぎ役として自治体が上手くフォローが出来ている例もあれば、そうでないケースもある。管内での取組事例も多いことから、今後も優良事例の情報提供などの横展開やPRを行っていくことが重要だと感じる。〔中国四国農政局職員〕

・ 佐那河内村は移住促進に積極的に取り組む等、地方創生に対する取組が非常に熱心で、全国的にも注目されている村であるにも関わらず、今回の調査結果によると、このことが村民に十分伝わっていない部分が見受けられる。これは、どうしても行政が立てた計画と、住民の考え方の擦り合わせが出来ていないという実情を示しているのではないか。〔四国経済産業局職員〕・ 地方創生に関して、地方版総合戦略を立案するにあたりKPIの設定が求められるが、過剰な(バラ色な)目標設定をした結果、それに近づけるために四苦八苦している状況を垣間見ることもあり、KPIに縛られるのはナンセンスでないかと担当ベースでは思うこともある。大きなグランドビジョンを立てて計画に沿ってやっているのなら、5年程度のKPIはあくまで目標ということで考えてもよいのではないか。〔四国経済産業局職員〕

・ 収入を増やすことも大事だとは思うが、最近の若者は収入以外の部分(休みが取れるなど)を重要視する傾向もあり、職場環境を企業に改善してもらうことが大切。〔香川労働局職員〕

・ 様々な組織の協働の下、地域の特色を活かした建築物(地元産の木材を用いた駅・橋の建設、統一的な景観のまちづくり等)を造ることで、一体感や地域への愛着、誇りの醸成に繋がり、それがきっかけとなり、地域の方がまちづくり(地方創生)に対しての意識を高め、持続的で活力ある地域づくりに繋がっている。これは住民の方を対象にした今回調査でも確認できている。今後もこのような施策は一つの手段として有効。〔四国森林管理局職員〕

・ 少しでも地域の特色、個性を活かすことが大切だと思う。(ブランド化)。今回の調査結果からも地方創生を行う上で農林漁業の重要性が高いことが分かるが、販売においては、普通に売るだけでなく、ストーリーや背景を知れば、より買いたくなると思う。〔四国森林管理局職員〕

○ 国の出先機関の若手職員からの主な意見

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意 見

・ 長期にわたって、地域と連携し、企画・実行などを行う必要がある中で、職員の異動が三年毎に行われ、広域化している国の行政機関の人事異動は、地域との連携を難しくしているのではないか。地域と同じ目標と気持ちを持った国の職員が、長期的に行政の立場から関わっていくことが重要ではないか。〔四国森林管理局職員〕・ 地域の若年層同士の横のつながりをもてる場が不足している。そのような場をつくる必要がある。〔四国森林管理局職員〕

・ 調査結果から、生活基盤を筆頭に健康福祉や雇用などが喫緊の課題であることがわかった。この課題解決のための政策には、国の各機関が関与しており、縦割りとならないよう省庁横断的に連携を取っていく必要性を感じた。そのためにも、まずは自分が他省庁の政策や施策を知ることが重要と気づいた。〔四国財務局職員〕

・ 地方創生について住民への説明を求める意見や、地域の実態把握を求める意見があった。国の地方出先機関は、地方創生政策の執行や広報を担っているが、日々の執行に追われ広報が不十分だったのでは、との気づきを得た。また、地域の実態を本省庁に伝達するという、出先機関の役割を果たすべく、地域の姿を的確に把握するための取り組みを推進する必要性を感じた。〔四国財務局職員〕

・ 今回の意見交換が、勉強の機会、気づきを得る機会となり良かった。施策を遂行する上で、他省庁の施策に参考にできる視点があるということを感じたので、今後の業務において活かしていきたい。〔四国経済産業局職員〕

・ 今回の調査を含め、地方創生というテーマは、農林水産業に関係するものが多いと考えていたが、このような意見交換をすることで、実際には各機関が関わり連携しながらやっていくことが重要であると気づかされた。〔中国四国農政局職員〕

○ 地域の産業・農業振興・ICTの活用・ ある程度の所得が得られて暮らしが安定するような収入が得られる産業、あるいは農業などの基盤(仕事)がないことには地方に人が回帰するのは難しいのではないか。そのためには、成長が見込める産業または農業の所得を上げるためにどのような支援を行うべきかを考えていくのかが我々の役割。一人ひとりへの支援は難しいが、地域課題解決に繋げる支援機関の育成・支援というものは今後ますます重要になってくるのではないかと思う。〔四国経済産業局職員〕・ 今回の調査結果をみると、所得に対する不満を持つ人もいる様に感じた。愛媛県では8の字ネットワークとしての高速道路延伸により、愛媛県産真鯛の全国シェアが伸びたり、水産卸売業の取引先数が増えたりするなど良い効果が確認されている地域もある。今後さらに産業の基礎となるインフラ整備を進め、生産性の向上や物流コストの削減などを通じて、地方創生に貢献する必要があると感じた。〔四国地方整備局職員〕

・ 農業の6次産業化を進めているが、今は行き詰っていると感じている。農業者は作ることは得意だが、売ることや加工するスキルはあまり高くなく、結果、儲けることができていないと感じる。この点をアドバイスすることが必要であり、サポートセンターという機関を設置し推進しているが、プランナーが不足している。販売や加工などを含め、連携できる他分野においても、そのような人材に関する情報を提供していただければありがたい。〔中国四国農政局職員〕

○ 国の出先機関の若手職員からの主な意見

Page 63: 財務省四国財務局shikoku.mof.go.jp › content › 000186454.pdf · • 各自治体が移住促進策を掲げる中、移住促進が、即、地域活性化につながっていない。

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意 見

・ 各県、各自治体の農政部局からは、地域特有の課題もあり、国の事業が使いづらいなど改善の要望も多い。このため、各県に農政局の拠点を置き、事業制度等の見直し・改善に資する意見・要望を把握しているところ。〔中国四国農政局職員〕・ 農業部門のICTの活用は、最近でこそ色々なメーカーで開発されるようになったが、やっとスマホなどでの水管理や、ドローンによる農薬、肥料散布など活用され始めたところ。個々人の農業者による活用はまだこれからという感じがする。〔中国四国農政局職員〕

○ 地域の観光振興

・ 観光庁でも日本版DMOの形成、確立の施策を進めており、四国の中でも組織が徐々に立ち上がってきている。地域の多様な関係者を巻き込み、民間の経営手法を取り入れたDMOが中心になってまちづくりをしていく。DMO自体は必ずしも儲ける必要はないが、目的としては地域で稼ぐ、地域が稼ぐということにしているので、そこはまちづくりとセットと考えられると思う。しかし、DMOを行政が主導しすぎると形だけのDMOとなり、動きが悪く、考え方が硬いというのが出てくる。また、支援制度もあるが、支援してもらうことを目的に行政が作るのであれば意味が薄れてしまう。〔四国運輸局職員〕・ 今後の観光業に対する研究者のご意見にある「観光業(まちづくり)の人材育成」という点で、大学が産業界と連携して、旅館宿泊業等観光サービス産業で働く次世代を担うような方を対象とした教育プログラムを開発することに対する支援制度がある。産業界がどういう人材を求めているか現場の声を聞いて、それをカリキュラムに反映することが重要。また、サービス産業等の生産性向上を図るため、IT導入に対する補助制度等についても活用いただけるよう、引き続き周知に努めたい。〔四国経済産業局職員〕・ 最近、徳島県三好市で自動運転の社会実験を行っており、地域の観光を支援しているが、自動運転ができれば、道の駅を拠点としたバス路線の確立や、山間部に住まわれている方が病院などへ行く際に支援ができるのではないかと考える。〔四国地方整備局職員〕・ 旅館宿泊業については、人材不足という声が多い。一方で、女性が働きにくい、続けにくいという声があるため、例えば、周辺一帯の事業所複数社で、事業所内保育を進めることを支援できる制度が必要と感じている。〔四国経済産業局職員〕

○ 国の出先機関の若手職員からの主な意見

Page 64: 財務省四国財務局shikoku.mof.go.jp › content › 000186454.pdf · • 各自治体が移住促進策を掲げる中、移住促進が、即、地域活性化につながっていない。

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四国財務局財務広報相談室(松浦)

TEL(087)811-7780(内線:260)四国財務局総務部(井上)

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