14
世界経済の潮流2018年Ⅱ 中国輸出の高度化と米中貿易摩擦~ 平成31年3月 内閣府 政策統括官(経済財政分析担当) 概要

世界経済の潮流2018年Ⅱ - Cabinet Office3.R&D支出の対GDP比は、シンガポールは2014年、ニュージーランド・ 南アフリカ共和国・スイスは2015年、中国は1995~2016年、その他の

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世界経済の潮流2018年Ⅱ~中国輸出の高度化と米中貿易摩擦~

平成31年3月内閣府 政策統括官(経済財政分析担当)

ー 概要 ー

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目次

■第1章 米中貿易摩擦と高付加価値化が進む中国経済・・・・P2第1節 米中貿易摩擦の背景と経緯第2節 米中貿易摩擦の影響第3節 中国輸出の高付加価値化

■第2章 主要地域の経済動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P9第1節 世界経済第2節 アメリカ経済第3節 アジア経済第4節 ヨーロッパ経済

「世界経済の潮流」について世界経済の動向について調査・分析を行い、平成14年から毎年2回公表している報告書であり、今回で34回目。

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■第1章 米中貿易摩擦と高付加価値化が進む中国経済①

1.中国経済の量的な拡大(1)世界のGDPに占める主要国・地域のシェア (2)アメリカの輸入に占める国・地域のシェア

2.中国経済の質の向上に向けた取組(3)主要国・地域のR&D支出額 (4)主要国・地域のR&D支出と一人当たりGDPの関係

中国のR&D支出額は増加を続け、アメリカに迫る勢い。

中国のシェアはWTO加盟後に急速に拡大。現在、米中両国で世界の約4割。 中国のシェアは80年代半ばの日本と同程度まで拡大。

アメリカ

10.6兆ドル

31%

中国

1.3兆ドル

4%日本

4.3兆ドル

13%

EU9.0兆ドル

27%

新興国

(中国除く)

5.7兆ドル

17%

その他

2.6兆ドル

8%アメリカ

19.5兆ドル

24%

中国

12.0兆ドル

15%日本

4.9兆ドル

6%

EU17.3兆ドル

22%

新興国

(中国除く)

19.7兆ドル

25%

その他

6.6兆ドル

8%

2001年(中国WTO加盟年)世界のGDP 34兆ドル

2017年世界のGDP 80兆ドル

(備考)IMF "World Economic Outlook, October 2018"より作成。

0

5

10

15

20

25

1980 85 90 95 2000 05 10 15 17

(%)

(年)

(備考)アメリカ商務省より作成。

中国

EU

日本

日本のシェア最高値1986年 22.4%

約4割

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

1995 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15 16

アメリカ

日本

EU

中国

(億ドル)

(備考)OECD Stat.より作成。(年)

ドイツ

中国は一人当たりGDPの伸びを上回る速さでR&D支出を拡大。

中国

アメリカドイツ台湾 日本

韓国

0

1

2

3

4

5

0 18,000 36,000 54,000 72,000 90,000 108,000(一人当たりGDP、ドル)

(R&D支出の対GDP比、%)

(備考)1.IMF “World Economic Outlook Database October 2018”、OECD Stat.より作成。2.OECD加盟国、中国、台湾、シンガポール、ロシア、アルゼンチン、ルーマニア、南アフリカの値。

3.R&D支出の対GDP比は、シンガポールは2014年、ニュージーランド・南アフリカ共和国・スイスは2015年、中国は1995~2016年、その他の国・地域は2016年の値。

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■第1章 米中貿易摩擦と高付加価値化が進む中国経済②

3.米中貿易摩擦の経緯と現状(1)アメリカと中国の追加関税措置 (2)米中通商協議の状況

4.米中貿易摩擦の規模感(3)アメリカと中国の輸出がGDPに占める割合

輸出への影響は相対的に中国で大きい。 輸入への影響は相対的にアメリカで大きい。

(4)アメリカと中国の輸入がGDPに占める割合

アメリカGDP 19.5兆ドル

輸出 2.3兆ドル(対GDP比 18.8%)

中国GDP 12.0兆ドル

うち対米輸出(斜線)4,331億ドル

(対GDP比 3.6%)

輸出 1.5兆ドル(対GDP比 7.9%)

うち対中輸出(斜線)1,299億ドル

(対GDP比 0.7%)

(備考)アメリカ商務省、中国国家統計局、中国海関総署より作成。

輸入 2.3兆ドル(対GDP比 12.0%)

アメリカGDP 19.5兆ドル

うち対中輸入(斜線)5,055億ドル

(対GDP比 2.6%)

輸入 1.8兆ドル(対GDP比 15.3%)

中国GDP 12.0兆ドル

うち対米輸入(斜線)1,552億ドル

(対GDP比 1.3%)

(備考)アメリカ商務省、中国国家統計局、中国海関総署より作成。

関税賦課開始日(最終版リスト公表日)

内容(対中国)

対象項目の具体例関税賦課開始日

(最終版リスト公表日)内容

(対アメリカ)対象項目の具体例

18年7月6日(18年6月15日)

340億ドル相当25%追加関税

産業機械電子部品

18年7月6日(18年6月16日)

340億ドル相当25%追加関税

大豆等の農産物、自動車、水産品

18年8月23日(18年8月7日)

160億ドル相当25%追加関税

プラスチック製品集積回路

18年8月23日(18年8月8日)

160億ドル相当25%追加関税

化学工業製品、医療設備、エネルギー製品、自動車

18年9月24日(18年9月18日)

2,000億ドル相当10%追加関税(※)

食料品家具

18年9月24日(18年8月3日)

600億ドル相当5~10%追加関税

液化天然ガス、食料品・飲料、電気製品

時期未定2,570億ドル相当

25%追加関税(※※)-

18年12月1日 米中首脳会談・アメリカは2,000億ドル相当(第3弾)の追加関税措置について、税率を19年1月1日以降も10%に据置き

・両政府は90日以内に協議を妥結させるよう努力することに合意

・合意に達しない場合、アメリカは第3弾の税率を25%に引上げ

19年1月 次官級及び閣僚級協議を開催

2月 次官級及び閣僚級協議を開催(備考)1.※ 9月24日時点では19年1月1日から25%に引き上げられる予定であった。18年12月1日の米中首脳会談の結果、税率引上げは

19年3月1日まで延期されたが、その後の通商協議の進展状況を踏まえてさらに延期された(3月1日現在、期限は未公表)。2.※※9月18日にトランプ大統領が、中国が対抗措置を講じた場合に2,570億ドル相当へ25%の追加関税を賦課する旨を言及したもの。

(アメリカ) (中国)

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■第1章 米中貿易摩擦と高付加価値化が進む中国経済③

5.中国の金融資本市場への影響(1)人民元 (2)外貨準備

6.世界の企業マインドへの影響(3)世界の製造業景況感 (4)世界の製造業新規輸出受注

18年初めより先進国・新興国とも低下傾向。 米中貿易摩擦の高まりを受けて急速に低下。先進国・新興国とも分岐点の50を割り込む。

米中双方の追加関税措置の実施をきっかけに18年半ばに大幅に下落。

46

48

50

52

54

56

58

1

2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(備考)マークイットより作成。

(月)(年)

(D.I.)

先進国

新興国

世界

46

48

50

52

54

56

58

1

2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(備考)マークイットより作成。

(月)(年)

(D.I.)

先進国

新興国 世界

2.5

2.7

2.9

3.1

3.3

3.5

3.7

3.9

1

2015 16 17 18 19

(月)

(年)

(兆ドル)

(備考)中国人民銀行より作成。

2015年の株価下落時には大幅な減少がみられたが、今回の局面では安定的に推移。

5.8

6.0

6.2

6.4

6.6

6.8

7.0

7.2

7.4

2015 16 17 18 19

元高

元安

(元/米ドル、逆目盛)

(月)

(年)

15年10月15日 人民元売り外貨買い予約取引を行う金融機関

に対し、準備金(外貨リスク準備金)の預入れを要求

17年9月11日

準備金の預入れ要求を停止18年8月6日

準備金の預入

れを再度要求

18年8月24日

「逆周期因子」再導入

18年1月

「逆周期因子」停止

15年8月11-13日

人民元取引基準値

を引下げ

17年5月

「逆周期因子」導入

(備考)1.ブルームバーグより作成。2.「逆周期因子」は、取引基準値の算出方法への追加項目。為替レートがファンダメンタルズからかい離し過度に変動することを防ぐことを目的とするとされる。

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-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

Q4 7 8 9 10 11 12 1

2015 16 17 18 18 19

アメリカ

EU

日本

香港・韓国・台湾・ASEAN

その他

(前年比、%)

(月次)

■第1章 米中貿易摩擦と高付加価値化が進む中国経済④

7.アメリカの生産者・消費者の負担増(1)アメリカの対中国輸出(品目別) (2)アメリカの関税収入増加額

(3)中国の相手先別輸出 (4)中国の相手先別輸入

中国からの輸入品に対する追加関税措置が関税収入の増加に相当程度影響。

0

10

20

30

40

3 4 5 6 7 8 9 10 11

2018

(億ドル)

(月)

(年)

対中国輸入品への追加関税による関税収入増加額

鉄鋼・アルミニウムへの追加関税による関税収入増加額

(参考)関税収入全体の前年同月差

(備考)1.アメリカ財務省、商務省より作成。2.追加関税による関税収入増加額は、追加関税対象項目として指定・公表されている統計品目番号に基づき、貿易統計から内閣府が試算した値。

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

Q4 7 8 9 10 11 12 1

2015 16 17 18 18 19

アメリカ

EU

日本

系列5

その他

(期/月)

(年)

(前年比、%) (月次)

香港・韓国・台湾・ASEAN

(期/月)

(年)

18年11月以降、対米輸出を中心に全般的に伸びが低下。

-40

-30

-20

-10

0

10

20

Q3 7 8 9 10 11

2015 16 17 18

(前年比、%)

(備考)1.アメリカ商務省より作成。2.通関ベース、名目・未季節調整値。

(期/月)

(年)

航空機等

鉱物性燃料等

光学機器等

自動車等

大豆等

その他

財輸出前年比(折れ線)

(月次)

中国による追加関税措置の対象となった大豆や自動車を中心に大幅に伸びが低下。

8.米中貿易摩擦が中国の輸出入に与えた影響

18年11月以降、対米輸入を中心に全般的に伸びが低下。

(備考)中国海関総署より作成。(備考)中国海関総署より作成。

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■第1章 米中貿易摩擦と高付加価値化が進む中国経済⑤

9.中国輸出入構造の変化(1)中国の生産段階別輸出 (2)中国の生産段階別輸入

10.中国輸出の高付加価値化①(3)世界の総輸出と付加価値輸出の動向 (4)総輸出に占める付加価値輸出の割合(国別)

グローバル・バリュー・チェーン(GVC)の進展は世界金融危機後に停滞。 中国では世界金融危機後に、輸出品に占める自国の付加価値の割合が上昇(輸出品生産における海外輸入への依存度が低下)。

消費財のシェアが低下する一方、中間財や資本財のシェアが上昇。

消費財や原材料のシェアが上昇する一方、中間財や資本財のシェアが低下。

0

10

20

30

40

50

2000 05 10 15 16

(備考)経済産業研究所「RIETI-TID 2016」より作成。(年)

(シェア、%)

原材料

中間財消費財

資本財

20

25

30

35

40

45

50

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

1990 95 2000 05 10 15 1718

総輸出

付加価値輸出

差(%、目盛右)

(億ドル)

(備考)1.UNCTAD-Eora GVC Databaseより作成。2・16年以降の値は、UNCTADのナウキャストによる推計値。3.差(%)は、付加価値輸出額と総輸出額の差の付加価値

輸出額に対する割合。

(%)

(年)

60

65

70

75

80

85

90

95

100

1990 95 2000 05 10 15 1718

日本 中国 アメリカ ドイツ

(%)

(備考)1.UNCTAD-Eora GVC Database より作成。2.16年以降の値は、UNCTADのナウキャストによる推計値。

(年)

0

10

20

30

40

50

60

70

2000 05 10 15 16(年)

(シェア、%)

(備考)経済産業研究所「RIETI-TID 2016」より作成。

原材料

資本財

中間財

消費財

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■第1章 米中貿易摩擦と高付加価値化が進む中国経済⑥

11.中国輸出の高付加価値化②(1)アメリカ・中国の輸出品に占める自国の付加価値割合 (2)アメリカ・中国の輸出の所得弾性値

12.中国輸出の高付加価値化③(3)アメリカのGVC参加率

「前方への参加」が中心であったが、「後方への参加」も徐々に増えている。

輸出品に占める自国の付加価値の割合の高まりとともに「前方への参加」も拡大。

(4)中国のGVC参加率

0

10

20

30

40

50

60

70

1995 2000 05 10 18

後方への参加 前方への参加

(%)

(備考)1.UNCTAD-Eora GVC Databaseより作成。2.18年の値は、UNCTADのナウキャストによる推計値。

(年)0

10

20

30

40

50

60

70

1995 2000 05 10 18

後方への参加

前方への参加

(%)

(備考)1.UNCTAD-Eora GVC Database より作成。2.18年の値は、UNCTADのナウキャストによる推計値。

(年)

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

(年)

(備考)世界銀行、BIS、中国国家統計局より作成。

所得弾性値(中国)

所得弾性値(アメリカ)

(アメリカ) (中国)

中国の輸出の所得弾性値は高付加価値化を反映して上昇傾向。アメリカに比べて外需の低迷の影響をより受けやすい輸出構造。

アメリカの自動車・半導体等輸出における自国の付加価値の割合は低下傾向。中国のコンピュータ輸出における自国の付加価値の割合は上昇傾向。

(GVC参加率イメージ図)

(下流)

(上流)

B国の後方への参加率

A国輸出:aA国付加価値輸出:a

:a

a+b

B国輸出:a+bB国付加価値輸出:b

B国の前方への参加率

:b

a+b

C国輸出:a+b+cC国付加価値輸出:c

30

40

50

60

70

80

90

100

2000 05 10 15 (年)

衣服コンピュータ

(備考)UNCTAD-Eora GVC Database より作成。

(%)

70

75

80

85

90

95

2000 05 10 15(年)(備考)UNCTAD-Eora GVC Database より作成。

(%)

半導体等自動車

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■第1章 米中貿易摩擦と高付加価値化が進む中国経済⑦

13.サプライチェーンを通じた影響➀

(3)アメリカから輸出される半導体等の国別付加価値比率

14.サプライチェーンを通じた影響②

(1)アメリカの輸出に占める海外の付加価値:国・地域別シェア

中国からの輸入への依存度を高めている。 先進国からの輸入への依存度は低下。ASEANとのGVC上の結びつきを強めている。

アメリカの半導体等輸出に占める中国の付加価値の割合は上昇傾向。

(2)中国の輸出に占める海外の付加価値:国・地域別シェア

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2000年 05年 10年 15年

中国

日本

ドイツ

(備考)UNCTAD-Eora GVC Database より作成。

(%)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

2000年 05年 10年 15年

アメリカ

ドイツ

日本

(備考)UNCTAD-Eora GVC Database より作成。

(%)

(4)中国から輸出されるコンピュータの国別付加価値比率

中国のコンピュータ輸出に占めるアメリカの付加価値の割合は低下傾向。

0

20

40

60

80

100

1995 2000 05 10 15 18

日本 EU28 カナダ メキシコ 中国

韓国 台湾 インド ASEAN その他(%)

(備考)1.UNCTAD-Eora GVC Database より作成。2.2018年の値は、UNCTADのナウキャストによる推計値。

(年)

EU・日本

カナダ・メキシコ(NAFTA)

アジア主要国・地域

その他

0

20

40

60

80

100

1995 2000 05 10 15 18

アメリカ 日本 EU28 韓国

台湾 インド ASEAN その他(%)

(年)(備考)1.UNCTAD-Eora GVC Databaseより作成。

2.2018年の値は、UNCTADのナウキャストによる推計値。

アメリカ・EU・日本

アジア主要国・

地域

その他

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■第2章 主要地域の経済動向【世界経済】

世界経済は、全体としては緩やかに回復。経済政策に関する不確実性が高まる中、19年の成長のペースは18年よりもやや緩やかになる見込み。原油価格は、18年に大きく下落した後、協調減産等を背景に19年に入って上昇傾向。

1.現在の景気局面の特徴(1)世界の実質経済成長率

2.世界経済の見通しと原油価格(4)原油価格

(2)世界の鉱工業生産と経済政策不確実性指数

鉱工業生産の伸びは2018年初にピークアウト。経済政策不確実性指数は歴史的高水準。

40

45

50

55

60

65

70

75

80

2018 19

(ドル/バレル)

(備考) 1.ブルームバーグより作成。2.原油価格はWTI先物価格。

(月)

(年)

7/1 OPEC加盟国・非加盟国による協調減産緩和(6/23合意)

8/7 アメリカ政府、イラン経済制裁の一部再開

11/5 イラン経済制裁の全面再開

1/1 OPEC加盟国・非加盟国による協調減産拡大(12/7合意)

0

50

100

150

200

250

300

350

-15

-10

-5

0

5

10

15

(年)

(前年比、%)

(備考)1.世界銀行、Economic Policy Uncertaintyより作成。2.実質財輸出及び鉱工業生産の長期平均は、それぞれ1997年

1月から2018年11月、1997年1月から2018年12月の値の平均。

鉱工業生産(指数)

経済政策不確実性指数(目盛右)

鉱工業生産(長期平均)

(備考)1.IMF “World Economic Outlook Database, October 2018”より作成。2.先進国 (39か国)、新興国・途上国(155か国)は、IMFに従って分類。3.各国・地域の寄与度は、前年の名目GDPに占めるウェイトに基づいた試算値。

3.7

2.9

6.6

1.8

0.9

3.5

2.5

6.2

1.61.1

3.6

1.8

6.2

1.7

0.5

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

世界 アメリカ 中国 ユーロ圏 日本

2020年

(%)

2019年

(備考)IMF “World Economic Outlook update, January 2019”より作成。2018年、2019年、2020年すべて予測値。

2018年

19年の世界経済の成長率は18年からやや低下する見込み。

18年の回復は17年との比較ではより緩やかなものに。

(3)世界経済見通し

18年秋に大幅に下落。19年は協調減産等を背景に上昇傾向。

-2

-1

0

1

2

3

4

5

6

2000 05 10 15 18 (年)

(%)

アメリカ

中国

先進国(アメリカ除く)

新興国・途上国(中国除く)

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■第2章 主要地域の経済動向【アメリカ経済】

10

アメリカ経済は、改善が続く雇用情勢の下で、世界金融危機以降、9年半を超える長期にわたり景気回復が継続。FRBは18年に政策金利を計4回引上げ。政府機関の一部閉鎖が経済に与える影響は19年通年でみれば限定的。

1.アメリカ経済の現状(1)実質経済成長率

2.アメリカにおける政策の動向(4)政府機関の一部閉鎖の実質経済成長率への影響

(2)労働市場

(3)政策金利

-4

-2

0

2

4

6

Q3

2015 16 17 18

(前期比年率、%)実質経済成長率

(期)

(年)

純輸出

在庫投資

民間設備投資

個人消費

政府支出

(備考)アメリカ商務省より作成。

住宅投資

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

Q4 Q1 Q2 Q3 Q4

2018 19

政府機関の一部閉鎖による影響を考慮しない成長率見通し(ベースライン予測)

(期)

(年)

(前期比年率、%)

政府機関の一部閉鎖による影響を考慮した成長率見通し

19年通年で実質GDPに与える影響は▲0.02%。

(備考)1.議会予算局(CBO)“The Budget and Economic Outlook: 2019 to 2029(19年1月28日)”及び“The Effects of the Partial Shutdown Ending in January 2019(19年1月28日)”より作成。

2.政府機関の一部閉鎖の期間は18年12月22日から19年1月25日までの35日間。3.政府機関の一部閉鎖による影響には、連邦政府による財・サービスの購入に関する歳出の遅れ等が含まれているが、事業者が連邦政府の許認可を得られなかったこと等による間接的な影響は含まれていない。

0

1

2

3

4

5

6

2004 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 1819

(備考)1.FRBより作成。2.政策金利は、FF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標。

08年12月以降は、0.25%ポイントの幅をもって示されている。3.1月FOMCでは、別途バランスシート正常化に関し、見直しを行うとした声明が併せて公表された。

(月)

(年)

(%)

2018年12月20日~FFレート誘導目標

(上限2.50%)

3

4

5

6

7

8

9

10

11

-90

-60

-30

0

30

60

(年)

失業率(目盛右)19年1月 4.0%

雇用者数前月差

19年1月 30.4万人

(前月差、万人)

(備考)1.アメリカ労働省より作成。2.雇用者数は非農業部門。

(%)

雇用者数は増加失業率は低下傾向。

堅調な個人消費や民間設備投資に支えられ、高い伸び。

1月FOMCの声明では、将来の政策金利の調整に忍耐強くなる旨言及。

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0

5

10

15

2015 16 17 18

(前年比、%)

(月)(年)

名目

実質

(備考)1. 中国国家統計局より作成。2. 2017年3月、2018年1-2月、2018年12月の実質値は未公表。

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1

2015 16 17 18 19

(前年比、%)

台湾

韓国

(月)

(年)

タイ

(備考)中国国家統計局より作成。

0

5

10

15

20

25

30

12

2015 16 17 18

(年初来累計前年比、%)

(月)

(年)

固定資産投資全体

製造業投資

不動産開発投資

インフラ関連投資

(2)固定資産投資

■第2章 主要地域の経済動向【アジア経済】

11

中国経済は、緩やかに減速。この背景には、債務削減に向けた取組の影響によるインフラ投資の伸びの低下があり、消費の伸びも18年秋以降、やや低下。中国経済の減速を背景に、アジア各国で中国向け輸出の伸びが低下。

(1)中国の実質経済成長率

(3)消費 (4)韓国・台湾・タイの中国向け輸出

1.中国経済の減速

2.中国経済の減速と波及

18年の成長率は徐々に低下。

消費の伸びは低下傾向。

中国経済の減速がアジア各国に波及。

18年に入り大きく低下していたインフラ関連投資の伸びは秋頃から下げ止まり。

-2

0

2

4

6

8

10

201516 17 18 Q4

2015 16 17 18

(四半期系列)

(期)

(年)

(前年比、%)

(年)

資本形成

最終消費

純輸出

実質経済成長率

(備考)中国国家統計局より作成。

(備考)1.韓国関税庁、台湾財政部、タイ商務省より作成。2.ドルベース、3か月移動平均値、香港向けを含む。

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2

4

6

8

10

12

14

2008 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18

ドイツ12月 3.3%

(%)

フランス12月 9.1%

英国12月 4.0%

イタリア12月 10.3%

ユーロ圏12月 7.9%

(月)

(年)(備考)ユーロスタットより作成。

■第2章 主要地域の経済動向【ヨーロッパ経済①】

12

ユーロ圏経済は外需の拡大ペースの鈍化やWLTP導入等一時的な要因により、年後半以降ドイツの景気が足踏み状態となるなど成長率が低下。英国はEU離脱に係る不確実性が投資を抑制し続けており、弱い回復に。

(1)ヨーロッパ主要国の実質経済成長率 (2)ヨーロッパ主要国の失業率

(4)英国の民間設備投資

1.ヨーロッパ経済の動向

2.ドイツと英国の弱さEU離脱に係る不確実性により4四半期連続でマイナス。

ユーロ圏はドイツなど一部に弱さがみられものの、緩やかに回復。英国は弱い回復。

13年以降、総じて低下傾向に。

(3)ドイツの製造業生産18年後半に道路運送車両等を中心に生産が落ち込んだものの、このところ改善の兆し。

-4-3-2-101234

2017 18

(月)

(年)

(備考)1.ドイツ連邦統計局より作成。2.WLTP(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)は、より実走行に近い条件で

CO2排出量や燃費を測定することを目的とした国際統一基準に基づく試験法。3.製造業に占める道路運送車両等の割合は17.7%(2015年)。4.3か月移動平均値。

(前月比、%) 道路運送車両等生産

製造業生産

WLTP全面施行

-1

0

1

2

3

4

5

Q4

2015 16 17 18

ユーロ圏10~12月期 0.8%※

ドイツ10~12月期 0.1%※

英国10~12月期 0.7%※

(前期比年率、%)

(期)

(年)(備考)ユーロスタット、ドイツ連邦統計局、英国統計局より作成。

-12

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

Q4

2015 16 17 18

民間設備投資

(前期比年率、%)

政府投資

民間住宅投資

総固定資本形成

その他

(期)

(年)(備考)英国統計局より作成。

Page 14: 世界経済の潮流2018年Ⅱ - Cabinet Office3.R&D支出の対GDP比は、シンガポールは2014年、ニュージーランド・ 南アフリカ共和国・スイスは2015年、中国は1995~2016年、その他の

0.75

0.80

0.85

0.901.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

2

2018 19

(%)

(月)

(年)

ドル/ユーロレート(目盛右)

イタリアとドイツの国債利回り格差

ユーロ増価

ユーロ減価

(ドル/ユーロ、逆目盛)

(備考)1.ブルームバーグより作成。2.イタリアとドイツの国債利回り格差は、イタリア10年国債利回り-ドイツ10年国債利回り。

9/27経済財政文書閣僚合意

6/6伊新政権発足

3/4伊総選挙

11/21欧州委、

伊予算案に意見

12/19EUと伊政府が合意

■第2章 主要地域の経済動向【ヨーロッパ経済②】

13

ドイツや英国では、労働需給のひっ迫が続く中、移民が増加。イタリアでは拡張的な予算案をめぐりEUと対立が続くなど政治的・政策的不確実性の高まりにより資金調達環境が悪化、景気後退入りしたとみられる。

(1)ドイツの生産年齢人口と移民 (2)英国への純移民流入数

(3)イタリアの実質経済成長率 (4)イタリアの財政リスクプレミアム

3.ドイツと英国の移民活用

4.イタリアの弱さ

労働力人口の減少を移民就業者が一部相殺。

2四半期連続マイナス成長。

16年6月のEU離脱を問う国民投票を契機にEUからの移民が減少。

財政運営への懸念から18年6月以降拡大。

0

10

20

30

40

6 6

2010 11 12 13 14 15 16 17 18

(万人)

EU

(月)

(年)

EU域外

全体

-6

-4

-2

0

2

4

Q4

200708 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18

純輸出

在庫・誤差脱漏

総固定資本形成

政府消費

個人消費

実質経済成長率

(前年比、%)

(備考)イタリア国立統計研究所より作成。

(期)

(年)

(四半期)

(前期比年率、%)

(備考)1.英国統計局より作成。2.2018年の値は暫定値。3.公表時点(四半期ごと)までの過去1年間の純増数。4.移民は、国連の定義(1年以上にわたり居住国を変更した者)による。

(備考)1.世界銀行、ドイツ連邦統計局より作成。2.生産年齢人口は15歳から64歳までの人口。3.左軸1%ptは約82.7万人、右軸2%ptは約88.3万人。4.移民は、1949年以降に現在のドイツ連邦共和国の領土に移住した者等(詳細は本文参照)。

15

17

19

21

23

25

65

66

67

68

69

70

1992 95 98 01 04 07 10 13 1617

生産年齢人口の総人口に占める割合

移民就業者の全就業者に占める割合

(目盛右)

(%)

(年)

(%)

16.1

21.1