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安全管理検査制度の見直しの方向性について 平成28年4月22日 商務流通保安グループ 電力安全課 発電用火力設備に係る安全管理検査 制度見直し検討会(第1回)資料2

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安全管理検査制度の見直しの方向性について

平成28年4月22日 商務流通保安グループ

電力安全課

発電用火力設備に係る安全管理検査制度見直し検討会(第1回)資料2

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○ 電気事業法第3弾改正に伴い、現行の溶接安全管理審査は廃止。 改正法施行後(平成29年12月までに施行)は、使用前・定期安全管理審査において、設置者が行う溶接事業者検査の適切性を事後審査していく方針。

○ この見直しの検討にあわせ、火力発電設備に係る安全管理検査制度全般についても必要な見直しを検討すべきではないか。

特に、定期安全管理検査制度については、震災特例の適用により検査を延伸した設備においても、適切な保守管理を行うことにより重大な事故が生じなかったことを踏まえ、事業者の保守管理状況に応じた柔軟な制度への見直しを検討すべきではないか。

自主検査の実施と記録保存を法律で義務づけ(法定自主検査)

国(又は登録安全管理審査機関(以下「登録機関」)という。)は設置者等の品質管理状況(電気工作物の技術基準適合性維持・確認の実施状況等)を審査

溶接安全管理審査(廃止)

使用前安全管理審査

定期安全管理審査

評定

国が最終的に評定

事業者検査

安全管理検査制度

安全管理審査

溶接事業者検査 (ボイラー、タービン等)

使用前自主検査 (全般)

定期事業者検査 (ボイラー、タービン等)

製造者と設置者による

設置者による

設置者による

火力発電設備に係る安全管理検査制度について

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(参考1)民間自主保安への過渡的制度としての安全管理検査制度

国の直接検査 事業者検査+ 国の検査体制審査

事業者検査+ 国が認める民間企業※

による検査体制審査

民間企業による 第三者チェックを活用した民間自主保安の実現

将来像

※登録機関

平成11年以前

溶接 (全火力)

使用前・定期 (火力15万kW未満)

使用前・定期 (火力15万kW以上) +

現状

電力安全問題検討合同小委員会報告書(平成11年1月) 「将来的には、設置者等が自らの責任により民間の第三者を活用し、技術基準適合性の確認や品質管理状況の評価を受けたり、自主保安の状況について、迅速かつ効果的に、設置者等が自ら説明・報告を行うといった状況になってきた場合には、それに応じて、安全管理調査を、縮小・廃止していくこととすべきである。」

平成11年当時想定されていた

・使用前検査 ・定期検査

・溶接検査

火力

○ 現行制度は、「国による直接検査」から「(国が介在しない)民間自主保安」に移行する上での過渡的な制度として措置されたもの。制度創設以降約20年が経過し、事故が減少しているものについては、更なる民間自主保安への移行を検討することが必要ではないか。

特に、民間企業が全ての審査を行っている溶接安全管理検査制度は、あり方を検討すべき。(第7回電力安全小委委員会で審議)

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※1:運転時間8000時間又は起動回数240回まで ※2:非常用など使用形態が多岐にわたることから運転時間6000時

間又は起動回数1000回を上限に細かく条件を規定 ※3:運転時間4000時間又は起動回数120回まで ※4:ボイラーの延長承認同様、適切な保守管理を行うこと等を要件 3

○ 火力設備が①低稼働の場合、又は②設備診断により十分な余寿命があることを確認しており、また設置者による適切な保守管理がなされる見込みがある場合及び③災害時に、

一定期間、法定定期検査の繰延べを可能としている。 電気事業法 第五十五条 特定電気工作物を設置する者は、主務省

令で定めるところにより、定期に、(中略)事業者検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

電気事業法施行規則 第九十四条の二 定期事業者検査は、次に掲げる時期に行うものとする。

一 蒸気タービン本体及びその附属設備についての定期事業者検査にあっては、運転が開始された日又は定期事業者検査が終了した日以降四年を超えない時期

二~四 (略) 2 次に掲げる場合にあっては、第一項の規定にかか

わらず、産業保安監督部長が定める時期に定期事業者検査を行うものとする。

一 使用の状況から第一項に規定する時期に定期事業者検査を行う必要がないと認めて、監督部長が定期事業者検査を行うべき時期を定めて承認したとき。

二 災害その他非常の場合において、(後略、第一号に同じ)

検査周期

延長承認 使用状況 震災特例※4

蒸気 タービン 4年 【低稼働時】※1

+4年(複数回適用可) +2年

小型ガス タービン 3年 【低稼働時】※2

+3年(複数回適用可) +2年

大型ガスタービン 2年 【低稼働時】※3

+2年(複数回適用可) +2年

ボイラー 2年

【低稼働時】※3 +2年(複数回適用可) 【余寿命診断+保守管理】 +2年(1回限り)

+2年

【定期検査時期の延伸(主要なもの)】

(参考2)法定定期検査時期の延伸について

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○ 東日本大震災後の需給逼迫を受け、法定定期検査(定期安全管理検査)を繰り延べる特例(震災特例)を措置。

○ これにより6年近くにわたり定期安全管理検査を実施せずに稼働している発電設備もあるが、報告対象事故の件数・発生率(発電電力量当たりの件数)は減少傾向。

また、軽微な故障等に伴う計画外停止の件数も有意な差はない。

0

5

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H24夏 H24冬 H25夏 H25冬 H26夏 H26冬 H27夏 H27冬

停止件数(総数) 停止件数(特例適用) 停止件数(通常延長) 停止件数(経年火力)

【計画外停止(注2)の推移(沖縄電力除く一般電気9社)】 (件)

(注1)停止件数:電気関係報告規則第3条第1項第4号・第5号(主要電気工作物の損壊事故)に基づき報告された事故のうち火力発電所に係る件数。 停止率:(停止件数)/(発電電力量) (注2)日々の点検で認知した欠陥を十分な供給予備力を有するタイミング(主に夜間・休日)で計画的に補修したようなケースは含めず、夏季(7~9月)

及び冬季(12~2月)において故障・トラブルの発生によりユニットを系統より切り離す必要のあったものに限って産業保安監督部への報告対象として集計。一方、総合資源エネルギー調査会電力需給検証小委員会の報告書では、このような予防保全等を目的とした停止も含め、電気事業法に基づく供給計画で予定されていなかった火力発電設備の停止を全て集計したものであり、件数が異なる。

(参考3)震災後5年間の計画外停止の状況について

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H16fy H17fy H18fy H19fy H20fy H21fy H22fy H23fy H24fy H25fy H26fy

停止件数 停止率

【報告対象事故(注1)の推移(一般電気10社+電源開発)】 (件) (件/10億kWh)

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Ⅰ.溶接事業者検査の取扱いについて ① 事後審査を前提とした検査・審査のあり方 ② 審査手数料の取扱い ③ 制度移行時の取扱い

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○ 安全管理検査制度は、「適切な検査を実施できる者」が検査を行うことを担保する仕組み。電気事業法では、設置者が検査義務を負い(設置者責任)、設置者の検査品質を登録機関が担保。

○ なお、高い専門性(特殊工程)を有する「溶接」については、実態上、製造者や検査会社が実質的な検査を担うのが主流。

その際、設置者は、検査者の検査品質を確保するべく、検査能力の確認や検査工程の管理などを行うこととなるが、これについて「民間製品認証制度」の活用も開始されたところ。

1.現行の溶接安全管理検査の考え方

電気事業法(設置者責任) (参考) 米国(製造者責任) 第二者検査 第一者/第三者検査 民間製品認証

検査実務者 設置者 製造者(検査部門) or 検査会社

製造者 (検査部門) - 製造者(検査部門)

検査品質の確認主体 設置者 設置者

(設置者の監督・責任の下で検査を実施)

認証機関 - 認証機関(AIA)

設備安全の責任主体 (技術基準適合性

の確認主体) 設置者 設置者 - 設置者 -(製造者)

検査体制の第三者保証 登録機関 登録機関 認定機関 (JAB) 登録機関 認定機関(ASME)

(※)検査体制の種類として、設置者が自ら行う「第二者検査」、製造者に委託する「第一者検査」、製造者以外の者に委託する「第三者検査」がある。

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ケガキ・刻印

材料受入

開先合わせ

開先加工

曲げ加工

材料検査

製造工程

溶接作業

開先検査

溶接作業

中検査

溶接後熱

処理検査

非破壊

検査

機械検査

溶接後

熱処理

組立

耐圧検査

引渡し

外観検査

完成

施工・検査

体制の構築

溶接技能

の確認

技術基準

適合性確認

検査品質の確保

検査工程

・溶接方法の確認

・溶接士資格の確認

・突合せ溶接時の継

手面/母材厚さの

確認

・開先形状の確認

:ホールドポイント(設置者の確認経ない限り、次工程に進まないポイント)

・品質目標などの要求事項の作成 ・検査計画書の作成 ・検査装置の管理要領書/校正記録の提出

・教育訓練履歴の提出

・自己評価の作成 ・製造者の選定評価記録の作成

・材料性状(化学成分

/温度・圧力特性

等)の確認

・溶接方法、・溶接設

備、溶接士の作業

範囲等の適切性確

・仕上げ面等の確認

・過去実施した同種の溶接方法での検査記録(検査要領書、工程管理記録、検査結果など)の提出

・溶接技能の確認結果の記録作成

・工程毎に、検査要領書、工程管理記録、検査結果、不適合品管理記録などを作成

・ホールドポイントにおける確認結果の記録作成

(場合によっては、製造ラインを止めることが必要)

・溶接事業者検査記録の作成、BT主任技術者による確認、記録保管

・上記検査記録の保管 ・検査終了表示記録、検査終了表示管理台帳の作成

紫:製造者(溶接施工業者) 赤:設置者

・放射線透過試験の

要否判断の妥当性、

撮影方法の確認

・継手の仕上げ確認

・熱処理の妥当性(範

囲、厚さ、温度、時

間、熱電対取付位

置など)の確認

・試験片の妥当性(形

状、採取位置、加

工公差等)の確認

・試験機器・治具確

認 ・試験圧力などの確

・試験困難な場合の

代替措置の妥当性

確認

・溶接部・継手面の状

態確認

・各検査の実施、基準適合性確認

・検査記録の確認

・検査記録の確認

安管審

・資格の有無の確認等

安管審 安管審

(ホールドポイントでの立会審査) ・登録機関への説明対応 ・登録機関への説明対応

・登録機関への説明対応 ・登録機関への説明対応

(立会/記録) (立会/記録)

(参考)溶接安全管理検査の内容

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○ 溶接事業者検査において、製造者等が行う実質的な検査は引き続き極めて重要。 ○ 他方、製造者検査の確認方法については、①「民間製品認証」を活用する場合や②輸入品が含まれる場合などで、異なる運用となっている面もある。

このような点について、ASME検査等も参考としつつ、あらためて整合化を図っていくべきではないか。 ※なお、現在の検査内容は米国ASME等に比べて過剰との指摘もあり、技術基準の性能規定化の検討も踏まえ

つつ、中長期的には見直しを検討していく必要。

2.①溶接事業者検査のあり方について

製造者の 評価・選定

検査計画 の確認

溶接士の 技能確認 工程中検査の確認 耐圧試験の確認 外観検査

【溶接事業者検査の工程(製造者検査を確認するケース)】

設置者自らが 確認

・記録確認(全数)

・記録確認(全数) ・記録確認(全数) ・記録確認(全数)

・立会確認(任意)

・記録確認(全数) ・立会確認(任意)

輸入品の確認

・記録確認 (全数)

・記録確認(全数) ・記録確認(全数) ・記録確認(全数)

・記録確認(全数) ・立会確認(任意)

民間認証を活 用して 確認

・記録確認 (全数)

事前の工場認証で包括確認

・記録確認(一部) ・立会確認(非破壊試験の一部) ※いずれも同一施工法毎に1箇所以上

・立会確認(全数) ・記録確認(全数) ・立会確認(一部)

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○ 電気事業法第3弾改正では、溶接施工品質の向上を受け、溶接製品単位で詳細な適切性審査を行う溶接安全管理審査は廃止し、電気工作物全体としての使用前/定期安全管理審査の中で、溶接事業者検査が適切に行われたことを確認することとしたところ。

○ 具体的には、①設置者の責任・監督の下で検査が行われ、②技術基準適合性が確認されていることが必要であり、これを満たす合理的な事後審査のあり方を検討する必要があるのではないか。

○ その際、将来的な更なる民間自主保安化も視野に入れ、民間製品認証の活用を促す制度としていく必要があるのではないか。

2.②事後審査を前提とした審査のあり方について

設置者は、①検査計画や②各検査項目に関する取組内容、③技術基準適合性確認結果、④検査記録の参照リストなどをまとめた“総括資料”を作成することとし、この溶接事業者検査記録に基づき登録機関にて審査を行うこととしてはどうか。

そのうえで、登録機関は、検査の適切性に疑義がある場合など必要に応じ、事業所に保管されている検査記録を確認することとしてはどうか。

なお、溶接施工工場が民間製品認証を取得している場合、検査対象溶接部に限っては、基本的には、設置者は、自らの責任の下、認証機関の評価によって技術基準適合性が確認されたと判断することができることとしてはどうか。

(設置者自ら検査記録の全数確認を行っていなくても、溶接事業者検査が適切に行われていると審査上取り扱えるのではないか。)

見直し方針(案)

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○ 現状の審査手数料については、国は省令、登録機関は業務規程の中でそれぞれ料金を規定。溶接審査を使用前審査・定期審査に統合することに伴い、審査工数の増加が見込まれることから、これが適切に審査手数料に反映できるよう審査工数の把握など検討する必要ではないか。

※登録機関の審査手数料は、国の算定した標準工数を参考にしつつ、自らの判断で設定。

3.審査手数料の取扱いについて

審査手数料算定にあたっての標準工数については、現行の溶接審査は、溶接事業者検査1単位の標準的な溶接工数(=溶接士の人数)を踏まえて設定されているが、使用前審査・定期審査はユニット毎に設定。

したがって、①溶接事業者検査1単位に必要な「事後」審査工数、②設備の設置時や定期検査時にユニット毎に必要となる溶接事業者検査の標準的な単位数について、製造者、設置者及び登録機関で検討の上、手数料の根拠となる標準審査工数及び国の審査手数料を設定する。

見直し方針(案)

使用前(汽力発電所) 定期(蒸気タービン) ~3万kW 836,100円 163,800円

3万~90万kW 1,045,100円 209,000円 90万kW~ 1,673,800円 361,700円

(参考)安全管理審査の手数料(電気事業法関係手数料規則 抜粋) 溶接

~10人 1,391,700円 10~30人 2,624,900円 ・・・ ・・・

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使用前自主検査 ・安管審

火力発電設備 (最終工作物)

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ボイラー

溶接事業者検査・安管審 蒸気 ドラム

管寄せA

配管A

溶接部の数

20箇所

200箇所

10箇所

タービン

給水 加熱器

配管C

50箇所

10箇所

120単位

30単位

検査単位数

溶接事業者検査・安管審

溶接事業者検査・安管審

溶接事業者検査・安管審

溶接事業者検査・安管審

※溶接安全管理審査の審査申請そのものは工事時期が近い複数の検査・審査単位をまとめて行うが、工程中の立会審査などはそれぞれ実施

検査単位

合計約1.5万箇所

配管B 3箇所 溶接事業者検査・安管審

(参考)溶接事業者検査の概要(50万kW級コンバインドサイクル新設の例)

○ 火力発電設備の設置に際しては、合計1.5万箇所にも及ぶ溶接部について、容器・配管等の部品単位毎に溶接事業者検査及び安全管理審査を実施。

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○ 現行の溶接審査については、改正法の施行をもって廃止となることから、施行時に審査中の案件や審査記録等の取扱いについて整理することが必要ではないか。

※改正法施行後は溶接時点での審査は不要との判断であり、仕掛かり中の溶接審査・評定を費用をかけて継続・完了させる合理的理由がない。このため、法律上の経過措置は設けられていない。

○ 加えて、改正法施行前に行った溶接検査及び溶接審査についての、改正法施行後の使用前審査・定期審査での取扱いについても明確化することが必要ではないか。

4.①制度移行時の取扱いについて

溶接事業者検査(個別)

現在 改正法施行

溶接事業者検査(個別)

申請 審査終了

評定

申請 審査終了

評定

審査終了

評定

審査終了

評定 溶接事業者検査

申請

申請

【溶接安全管理審査制度移行時の課題事例】

溶接事業者検査(個別)

【インセンティブが付与されている事業者(3年分の検査案件を一括事後審査)】

溶接事業者検査

使用前審査・定期審査での取扱い

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4.②制度移行時の取扱いについて

従前の溶接審査を実施した案件については、その審査結果通知書や評定結果通知書を、使用前・定期の検査・審査に溶接審査結果をエビデンスとして活用できることとすることが適切ではないか。

このため基本的には、改正法施行時に溶接審査が完了できる見込みがない案件については、改正法施行後の使用前審査・定期審査で取り扱うこととし、改正法施行の3ヶ月前を目途に、①新規の申請受付を終了するとともに、②インセンティブが付与されている事業者については解消審査を行うこととすることが適切ではないか。

なお、やむをえず審査途上となった案件については、その区切りのよい時点までの審査結果を暫定的に登録機関から設置者に通知することによって、改正法施行後の審査で活用できるよう取り扱うことが適切ではないか。

移行時の審査の取扱い:見直し方針(案)

登録機関には審査結果等に係る帳簿を10年間保存することを義務づけ。これは後日、事故等が生じた際に溶接検査が適切であったかをトレースするためのものであり、溶接審査が廃止となったからといってこれまでの審査記録は不要となるものではない。

他方、溶接審査の廃止に伴い保存義務を課す主体(溶接に係る登録機関)が存在しなくなることから、帳簿については国(本省)に移管することが必要。(ただし、溶接に係る登録機関が事業者として存続する以上、過去の審査行為に対する責任は生ずるため、登録機関側でも帳簿等の関係書類を保管することが望ましい)

なお、改正法施行後の使用前審査・定期審査で活用される可能性がある案件の審査書類については、これら審査の一環として、登録機関内で一定期間(3年間)保管する必要があるのではないか。

審査記録の保管:見直し方針(案)

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Ⅱ.安全管理検査制度の見直しについて ① 定期安全管理検査制度のあり方 ② 使用前・定期安全管理審査に係る権限委任

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○ 民間の登録機関が、法定定期検査の適切性審査のみならず、「事業者の保安力」を評価し、これに応じ、法定定期検査時期を延伸する実効的なインセンティブ措置を講ずる仕組みを検討。(平成28年3月22日電力安全小委員会)

法定定期検査

国 or 登録機関

審査

<制度的インセンティブ> 3年分の審査を一括化

(受審に伴う事務負担の軽減)

法定定期検査

登録機関

巡視・点検・IoTによる 予兆把握などの 日々の保安の取組

審査

<制度的インセンティブ> 定期検査の時期の延伸(例えば、最長6年) (オペレーション・コストへの直接的な影響)

事業者

事業者

【現行制度】 【今後】 【評価項目例】 ・日常的な巡視・点検の実施状況 ・保安規程に基づく保守管理の実施状況 ・設備の余寿命診断等の実施状況 ・構造上の安全尤度やフェールセーフ機構の有無 ・センサ等による網羅的な状態監視の実施 ・異常箇所に対する適切な措置の有無 など

<説明> 現行の定期安全管理審査は、法定定期検査の適切な実施を担保する仕組みとして機能してきたが、限定的なインセンティブ措置を含め、事業者が主体的に自主保安水準を高める仕組みとは必ずしもなっていない。

このため、法定定期検査の適切性審査のみならず、日常的な保守・点検や設備安全性(安全尤度やIoT等による常時監視・予兆把握技術の導入など)といった「事業者の保安力」そのものを評価する仕組みとすることが適切ではないか。

このような「保安力」評価を民間主体で進めることで(国による登録機関の監督と審査結果の評定により、制度の適切性を担保)、将来的な民間自主保安に向け、民間認証機能を育成・充実していくことが重要ではないか。

1.定期安全管理検査の更なる効果的運用について

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○ 現行の定期審査は、法定定期検査の適切な実施を担保する仕組みとしては十分に機能。 ○ 他方、事業者が主体的に自主保安水準を高める仕組みとして、法定検査を適切に実施する体制が継続的にとられている事業者には3年分の検査案件を一括事後審査するインセンティブを付与しているが、これを活用した審査(システム審査)は低調。審査の一括化によるメリットは事務コストの低減にとどまっており、検査体制を構築・維持するコストに見合った優遇措置とはなっていない。

○ また、法定定期検査の周期が保守的であり、また設備毎にも周期が異なるため、設備管理上の大きな制約要因となっている(例:コンバインドサイクル)。

検査周期

延長承認 使用状況 震災特例

蒸気 タービン 4年 【低稼働時】

+4年(複数回適用可) +2年

小型ガス タービン 3年 【低稼働時】

+3年(複数回適用可) +2年

大型ガス タービン 2年 【低稼働時】

+2年(複数回適用可) +2年

ボイラー 2年

【低稼働時】 +2年(複数回適用可) 【余寿命診断+保守管理】 +2年(1回限り)

+2年

【定期検査時期の延伸(主要なもの)】

2.定期安全管理検査制度のあり方について①

※登録機関が実施した定期安全管理審査件数を集計

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レベル3: 定期検査を含めた 保守管理を 高度に実施できる 「保安力」を構築

3年分の 審査一括化

6年上限に 検査時期延伸

特例措置: 安全管理審査 で評定された 検査時期を更に延伸 (国が個別承認) 2年上限に 追加延伸

現行の定期安全管理検査制度 レベル1: 個別の定期検査 を適切に実施

レベル2: 定期検査 を適切に実施できる 体制を継続的に構築

17

震災特例による実績を踏まえれば、適切な保守管理を行う場合には、6年間まで検査時期を延伸することは可能ではないか。米国では開放検査の5~10年程度の周期での開放検査が一般的であり、更なる延伸の可能性も追求していく。

現行制度では、国が個別に検査時期の延伸を承認しているが(安全管理審査と異なる制度)、安全管理審査において、日常的な保守・点検や設備安全性(安全尤度やIoT等による常時監視・予兆把握技術の導入など)といった「事業者の保安力」そのものを評価し、これに応じて検査時期を延伸する仕組みを基本とする。

見直し方針(案)

新たな定期安全管理検査制度(案) 国の承認による延伸制度も上乗せとして維持

2.定期安全管理検査制度のあり方について②

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定検延長内規(ボイラー) における承認要件

高度な運転管理 に関する追加的要件 +

「事業者の保安力」の審査項目(案)

【設備的対策】 ・ 前回定期検査で異常が認められた箇所に適切な措置が講じられていること

・ 累積運転時間が10万時間を超える場合には余寿命診断を行い、評価余寿命までに次回検査を行うこと

・ ボイラーのエロ-ジョン対策、腐食対策がなされていること 等

【保守管理上の対応】 ・ 内規で定める設備部位毎に「運転管理」基準(水位・圧力・温度などの管理パラメータ)を定め、これに従い管理されること

・内規で定める設備部位毎に「日常点検」方法を定め、1日に1回以上の頻度で点検を行うこと

・ 内規で定める「保守管理」体制(組織・権限・緊急時対応・保全基準・文書管理・教育訓練など)が確立されていること

・ 定格圧力・定格温度を超えた運転時間が一定以下であること 等

【異常兆候を早期に発見・把握する態勢】 ・ 遠隔監視用計測器から得られる運転状態値に対し、自動で警報発信する等の機器運転状態の遠隔・自動監視 <IoT等の活用>

・ これらの運転状態値等のデータを蓄積し、これを分析・評価すること等により、異常兆候を発見・把握するための取組 <BD・AI等の活用>

(具体例) ・ ボイラー補給水量の管理によるチューブリークの検知 ・ ガスタービン空気圧縮機効率の管理による圧縮機内部異常の検知

・ 蒸気タービン主要弁振動管理による弁内部異常の検知 等

【運転中検査】 ・ 定期検査で実施する4/4出力での負荷試験を運転中に実施し、前回定期検査時と同等の健全性を維持していることを確認。

※労働安全衛生法では平成8年より活用(平成20年には最大8年まで開放検査を延伸可としている)

2.定期安全管理検査制度のあり方について③

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○ 現行制度では、溶接審査は全て登録機関に委任する一方、使用前審査・定期審査については登録審査機関による審査範囲を出力15万kW未満の設備に限定。

○ 他方、現行制度発足以降約20年が経過し、登録機関は充分な審査実績を有しており、また審査方法は出力規模に関わらず同一であることから、更なる権限委任範囲の拡大について検討すべきではないか。

【直近3年間の安全管理審査件数の推移】[単位:件数]

24FY 25FY 26FY 国 登録機関 国 登録機関 国 登録機関

使用前 23 73 19 73 24 111 溶接 - 200 - 252 - 219 定期 41 792 44 828 62 847

(出典)本省、産業保安監督部及び登録機関(7社)集計

(注) 品質管理体制が十分に構築されていると評価された事業者について、過去3年分の複数の法定事業者検査をまとめて1件の審査として申請する仕組みが導入されており、実際の法定事業者検査の件数はこれより多い。

火力発電設備(※)に係る審査については、全て登録機関に委ねることが可能ではないか。これにより、将来的な民間自主保安に向け、民間認証機能を充実していくことが重要ではないか。

その際、国による登録機関の監督と審査結果の評定により、制度の適切性を担保していくことが重要。このため、国が必要に応じ、事業者の取組状況を確認していくことも必要。

見直し方針(案)

(※)燃料電池設備を含む。なお、直近3年間で燃料電池設備に係る国の使用前・定期安全管理審査の審査実績はない。

3.安全管理審査の権限委任について

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(参考)制度見直しに伴い改正を要する省令等

溶接安全管理審査実施要領(火力設備) 溶接安全管理審査実施の手引き(火力設備) 民間製品認証制度を活用した溶接安全管理審査の合理化について

廃止

電気事業法施行令 電気事業法施行規則 原子力発電工作物の保安に関する命令 電気事業法関係手数料規則 電気事業法施行規則第73条の6第1号の2、第83条の2第2号及び第94条の5第1号の2に規定する使用前安全管理審査、溶接安全管理審査及び定期安全管理審査を受ける必要がある組織として経済産業大臣が定める件

電気事業法第52条に基づく火力設備に対する溶接事業者検査ガイドについて 安全管理審査評定委員会設置要綱(内規) 安全管理審査評定委員会運営要領(内規) 使用前・定期安全管理審査実施要領(内規)

改訂