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12) モデル地域の状況のまとめ

1)~11)より、モデル地域である奥能登地域の状況は、次のようにまとめられる。

表 4-17 奥能登地域での状況のまとめ

項 目 状況 課題

農業・集落 ・ 農家一戸当たりの経営耕地面積では県平均の 60%程度である。

・ 耕作放棄の割合が県平均に比較して高い。

・ 農家戸数の減少が著しく、近い将来、限界集落の増加が危惧され

る。

・ 営農継続、集落機能の

維持による国土の維持管

理の継承

自然災害 ・ 地すべり多発地帯であるが、棚田の維持などにより災害の防止機

能が図られていた。

・ 災害時に孤立する危険性の高い集落もみられ、能登半島地震で

は実際に孤立もみられた。

・ 安否情報の確認などに対して、集落の独自の取り組みが機能した

例もある。

・ 防災面からも、農地の

保全

・ 安全な交通網の整備

・ 集落のコミュニティ機能

の補完・支援

救急医療 ・ 第三次医療機関へ 60 分以上かかる地域も多く存在する。

・ 実際の搬送時間も都市部と比べて、大きな差が生じている。

・ 緊急医療への時間距離

の短縮

交通 ・ 道路に対する不満度が高く「公共交通拠点への移動」や「災害に強

いみちづくり」での不満も高い。

・ 能登鉄道廃止に伴う交通条件の悪化をあげる意見もあり、また復

活を望む声もある。

・ バスは沿岸部を中心、内陸部の路線は少ない。

・ 地域交通網の充実

交通

通信 通信 ・ 情報通信基盤の整備は都市部と比べ遅れている。

・ 能登半島地震時では、携帯電話やインターネットで情報収集した

人が多い。

・通信基盤の充実

集落

活動

・ 農業用施設の維持管理や共同営農は主に集落単位

・ 講や祭りといった伝統的な地域コミュニティも集落単位で営まれて

いる。

・ 集落コミュニティの維持

・ 伝統行事・文化の継承

小学校

区など

・ 小学校は統廃合が進展し、小学校区が旧村単位程度になっている

例が多い。

・ 旧村中心部に、行政機関や生活利便施設等が立地している。

・ 現時点では主要施設への移動時間は比較的短時間である。

・ 老人会などのコミュニティ活動単位の再編もみられる。

・ 日常生活利便性の確保

・ コミュニティ単位の再編

と支援 地 域

活 動

な ど

新たな

主体※

・ NPO や産学共同の取り組みなど、新たな地域活動の担い手が増

えている。

・ これらの担い手により、都市住民との交流による地域活動も始まっ

ている。

・ 新たな担い手の活用

・ 都市住民との連携

※は 4.2.2 より

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4.3.4 関係機関ヒアリングの実施

分科会開催に先立ち、対象地域における現状及び取り組みの把握などの点について関係機関に事

前ヒアリングを行った。

(1) 総務省北陸総合通信局

○ブロードバンド空白地帯解消(情報基盤整備)について ・空白地帯解消は計画よりも前倒しで実現する見込み。全体でも平成 21年には空白地帯の解消が実現する見込み ・地デジ対応も CATVで対応することとしている。 ○ 事業施策について ・「地域情報通信基盤勢威推進交付金」「地域イントラネット基盤施設整備事業」「地域 ICT 利活用モデル構築事業」の3事業が本検討に対応できる事業と考える。 ・奥能登での情報基盤整備は CATVが基本で、これにより、空白地帯も「巻き取る」形で解消する。 ・ただし「地域情報通信基盤整備推進交付金」の目的は情報格差解消が目的であり、CATV 整備が目的ではないことに留意する。 ・「地域イントラネット基盤施設整備事業」は、補助金事業である。敷設した線に余剰があれば、

余剰芯を使って CATVを整備することもできる。初年度イントラネット整備。翌年度余剰芯を使い CATV整備。 ・「地域 ICT 利活用モデル構築事業」は、事業を国から委託される部分と、自治体単独で行う部分がある。南砺市、金沢市が計画。 ・19年度では地域見守りを氷見市が実証実験を行っている。 ○サブモデルについて ・医療に関しては、EHR(Electronic-Health-Record)という考え方が出てきている。複数の医療機関で電子カルテを共有化するもの。 ・防災に関して。IP音声告知端末(有線)で同等のことができる。自治体からの告知を行うもの。 ・福祉に関して。横須賀市では介護と緊急連絡のリンクを図っている。 ○その他 ・道路管理者などが整備している光ケーブルも空きがあれば自治体の借用が可能。イントラネッ

ト形成での部分的利用が考えられる。

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(2) 農林水産省 北陸農政局

○中山間地への取り組みについて ・現在中山間地に特化した事業は行ってはおらず、直接支払い制度が基本である。その他、「農地

水環境保全向上対策」などもある。 ・昨年度成立した農村漁村活性化法に基づき、活性化プロジェクト支援交付金制度がある。農産

物直販店や、廃校を利用した交流施設などの整備が可能。また、区域設定は集落単位あるいは

複数市町村の連携も可能。 ○農山漁村交流の展開について ・宿泊調査を行っている(宿泊実績データ入手)。奥能登での利用動向は、利用増加傾向にはある。

ただし、利用者の農山漁村交流目的であるか否かの仕訳けが難しい。 グリーンツーリズムの利用者は全国では全体観光の 3%程度である。 ・農山漁村コミュニティ再生・活性化支援事業の中で、廃校を改修して農家民宿支援を行ってい

る。今後先進地を視察し、よりよい方法を検討していく。 ・人口減により地域の祭りが途絶えることは問題として大きい。復活することで、転出者が帰り

やすい、ということがある。 ・交流を進めるには、地域のリーダー育成がカギである。また地域の魅力ある資源の発掘も重要

である。 ・ただ地域の人たちだけで頑張っても交流の実現は厳しい。外部の力といかに連携するかが重要

である。その点で、内部での人材育成の他、一旦転出した人に再び帰ってきてもらい、外で身

につけたスキルや人脈などが役立てられるような仕組みづくりも考えられる。 ・人材育成に関しては、金沢大学が「里山マイスター制度」を行い、このなかで佐渡のトキ放鳥

などの計画を話題にしている。 ・定住要件としての農地取得面積要件は市町村により弾力的な運用が可能となっている。 ・定住を促す導入として滞在型のクラインガルデンがある。交流から次第に地元になじんでいき

ながら定住へと促していく。 ・奥能登は大部分が中山間地ではあるが、営農をしっかり行っている地区もある。今後はそのよ

うな地区が「小規模高齢化集落」を支援することも考えている。 ・交流に関する事業としては他に総務省、農水省、文科省による「こども農村漁村交流プロジェ

クト」がある。小学生の農家での長期滞在・農業体験を義務化するもの。学習指導要領に盛り

込む予定としている。

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(3) 林野庁 近畿中国森林管理局

○交流を踏まえた奥能登地区の課題 ・森林管理局が行っている交流事業は都市部近辺の森林に限定されている。奥能登は、近畿圏か

らのアクセスが大きな不利条件である。奥能登で交流を行うならば、北陸圏域内での交流がベ

ースと思う。 ・関西エリアでも森林に関係する NPO はあるが、いずれも身近な森を対象とした活動であり、能登など遠方との交流を行っているグループはないと思う。 ・奥能登は海のイメージが強い。アテなどの特産品があるが、森林では全国的な知名度が低く、

森林単体ではイメージが弱く、海など他の資源との連携が必要。逆に、奥能登まで呼び込むこ

とが出来れば、地区内での移動は問題がなく、他の資源と連携した多様な交流ができるのでは。 ・交流での課題は継続性。特に森林ではリピーターの確保が難しい。 ・森林については農業と違って、成果が1年単位では出ず、数十年を要する。このため森林では

都市住民の交流を持続させることは難しい。 ・京都の美山では茅葺き民家が注目を集め、地域振興に結びついている。奥能登でも魅力ある資

源は探せばあるのではないか。 ・佐渡ではトキの放鳥に合わせて、森林でもこれに対応した森林づくりを行っている。地元独自

の取り組みがあれば、これを支援できる可能性もある。 ・森林の将来像について、トキ放鳥のように共有できる目標ができれば、これに合わせて具体策

が出てくるのではないか。現在はそのような将来像がみえていない状態。 ・森林管理局としても従来型のものではなく、新しい森林像を求めている。これを打ち出せれば

全国に向けた強いメッセージになると思う。 ○森林維持管理について ・地球環境の立場から、間伐の推進が重要となっており、来年度から、間伐推進のための事業が

発足する。 ・外材に押される理由のひとつとして、住宅メーカーの、多量な均一品質材に対する要望に外材

が応じやすいことがある。日本の場合は小規模の所有林が散在しているため、まとまってこれ

に応じられない点がある。国有林などまとまった林地があればこれを核として周辺林地をまと

め、「施業団地」として共通の伐採などが行えるような施策もある。

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○今後の森林施策について ・担い手の確保が第一である。「みどりの雇用」制度により研修費用の補助などを行う予定 ・和歌山県、鳥取県などでは「企業の森」が実施されている。鳥取県ではサントリーが水源地の

かん養活動を行っている。 ・石川県ではイオングループと県の森林管理事務所が植樹祭を行っている。 ・近畿圏でのユニークな取り組みとして、森林体験としてこれまで小学生や、小学校の先生を対

象としたプログラムを実施している。今後大学生を対象としたプログラムを実施する予定。 ・現在、森林では人手不足である。都市住民が移ってきても、森林組合での雇用による生業の確

保は可能である。 ・住宅メーカーと協議したところ、外材の利点は乾燥が進行しており、住宅建設後も狂いがない

ことを挙げていた。価格以外の面でも今後改善の余地がある。 ・今後バイオマスの振興を図っていきたいが、あくまでも住宅用が主である。

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4.4 北陸モデル(案)の検討・立案

4.4.1 目標像案の作成

(1) 地域の目標とする姿

中山間地においては、持続的に居住できる地域の形成を目標に、「安心」「生きがい」「利便性」

の 3要素が確保された地域を形成していく必要がある。これらの3要素の中でも最も基礎的な「安

心」の確保が必要であり、交通や情報・通信は「安心」「生きがい」を支える機能も有する。

また、持続的な居住地域の形成にあたっては、若者世代等の後継者にとっても、持続的な暮ら

しが確保できる地域としていく必要がある。

図 4-28 地域の目標とする姿

(2) 目標像からみた現在の状況

中山間地では、人口の減少、高齢化がコミュニティをはじめとする地域力の低下を招き、住み

続ける上での不安から、人口減少を招くという悪循環に陥っている。

今後とも、高齢化については進展していくことが想定されるため、これらを前提においた上で、

安心して住み続けることのできる地域力の強化が必要である。

(3) 目標像達成課題の抽出

上記のように、これまで地域における継続的な生活を下支えしてきた、地域コミュニティの低

下や、人口減少による規模の効率化の問題が生じてきている。

これらを踏まえて、今後の中山間地での安全・安心な生活の確保を考える上での課題としては

次のようなものがあげられる。

1) 地域コミュニティの活用と補完

地域コミュニティは暮らしの安心の確保とともに、生きがいの面でも地域の暮らしを支える

ものであり、今後とも地域の安全・安心な暮らしを支える主体として考えていく必要がある。

一方、人口減少・高齢化により、地域コミュニティも、旧来のようなきめ細かい対応が困難

な部分もあり、これらの補完が必要になる。特に、補完のツールとしては、情報通信基盤の活

用と、NPO などの新しい担い手の活用が考えられる。

1.安心して住み続ける 2.生きがいを持って住み続ける

3.日常生活の利便性を確保する

1) 防災上の安心 2) 防犯上の安心 3) 医療・福祉面の安心

1) 農業等の生業の継続 2) コミュニティの活性化と参加

1) 買い物 2) 情報・通信 3) 交通

持続的な

居住地域の形成

後継者の定着・定住

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2) 地域による日常的な安心への対応と専門的能力との役割分担

人口減少化で、これまでと同様に全ての機能を行政または民間に期待すると、財政上の理由

からシステムそのものが支えきれない場合の対応が困難になる。

安全・安心を支える機能のうち、地域で対応可能な部分は地域で対応し、専門的な能力が必

要となる部分を行政や専門の組織が行うという役割分担が必要となる。

3) 需要の小ささに応じた機動的な対応

利便性確保のシステムなどについては、これまでと同様のシステムで対応しようとすると、

人口減少化では効率の悪化につながる。このため、少ない需要に対応するために、対象範囲を

広範囲にして広く薄く対応するなど需要が小さくても成立するシステムが必要になる。

一方、この場合は、従来よりサービスの質の低下が否めない点はあるが、サービスシステム

の継続性を優先的に考える必要がある。

4) 都市住民との交流人口の拡大により対応

地域人口が減少するため、新たな地域コミュニティの担い手としては、都市住民を含む交流

人口も含めて考える必要がある。

中山間地等においては、これまで比較的コミュニティが外来者の受入れに慣れていなかった

が、今後は積極的に都市住民をコミュニティの一員として加え、交流人口を増加させることが

必要になる。

5) 広域連携による効率的な対応

人口減少化では、母数を大きくすることにより、限られた資源を有効活用していくことが必

要であり、都市との交流や NPO の育成なども市町村連携によって広域的に取り組むことが必要

である。

さらに、病院間の役割分担や交通システムの供用については、市町村間はもとより、必要に

応じては県の枠組みを越えた広域的な取組が必要である。

(4) 安全・安心な暮らしモデルの推進方向

中山間地においては、これまで通り地域コミュニティが中心になった、安全・安心の確保が望

まれるが、人口減少・高齢化により地域コミュニティによる対応は、旧来と同様のきめ細かい対

応が困難になりつつある。

そこで、これらの地域コミュニティの不足する部分を CATV 等の情報通信基盤の活用と、NPO な

どの新しい担い手の活用などにより補完していく必要があるが、あわせて地域交通による都市と

農山漁村の連携に留意する必要がある。

1) 情報通信基盤の整備と活用

中山間地においては、各種インフラ整備について都市部との格差があるが、情報通信基盤に

ついては格差是正の可能性が高い。特に、平成 23 年の地上デジタル放送移行に向けて、CATV

基盤の整備が想定されていることから、これらによる双方向通信を活用した情報の伝達が期待

できる。広い範囲に早く情報伝達が可能な情報通信網による情報伝達と、特定の地域できめ細

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やかな情報伝達が可能な地域コミュニティとの組み合わせにより、相互補完が可能なものと考

えられる。

2) NPO などの新たな主体の育成と活用

旧来の地域コミュニティは、特定の地域における総合的な対応を行うことが基本であり、NPO

などの新たな主体は特定のテーマに沿った活動を広い範囲で展開することが特徴である。この

ため、地域コミュニティで不足しがちな専門性や広域的な取組を補完する主体としての NPO の

役割が期待される。

また、NPO に対して、組織化の支援、活動場所の提供、必要に応じた資金的支援などにより、

持続的に地域活動を担っていく主体としての育成を図ることが必要である。

3) 都市と農山漁村をつなぐ交通の確保

情報通信網や NPO 等による地域の日常的な安心を確保する上では重要であるが、高度医療等

の対応については、広域的な連携による搬送など、情報通信網だけではカバーできない課題も

残る。このため、都市と農山漁村をつなぐ交通の確保が必要であり、目的を明確にした効率的

な交通の確保により地域の安心を確保する必要がある。

図 4-29 安全・安心な暮らしモデルの推進方向

地域コミュニティの充実地域を支える新たな主体の掘り起こし

・声かけ、見守りなどの制度化、通報システムの確保

・気軽に立ち寄れる場の設置(健康チェック等)

・地区の脆弱度の認識(孤立集落、高齢者マップなど)

・地区魅力の認識→地域活動

・見守りでの既存組織活用

・福祉等地域ボランティアの活用

・高齢者移送、地域医療看護士巡回など地域人材の活用

・農の持続へ向け、都市住民、企業との連携

・地域を担う人材の育成

・福祉活動での通報・介護情報の共有

・医療機関でのデータ共有、遠隔問診

・災害時での安否情報の共有

・安全・安心情報の共有

・交通での適用

情報基盤の活用

安全・安心な暮らしの実現

都市と農山漁村の連携

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4.4.2 サブモデルの作成

(1) サブモデルの区分

4.3.2 で検討した、中山間地の安全・安心な生活を支える項目ごとに、情報通信基盤等の活用

による取組モデル(例)を検討する。

これらの考え方として、概ね以下の5つのサブモデルが考えられる。

安心して住み続ける

生きがいを持って住み続ける

日常生活の利便性を確保する

図 4-30 サブモデルの考え方

○ コミュニティの活性化と参加

○ 日常買い物

防災サブモデル

防犯サブモデル

医療サービスサブモデル

福祉サービスサブモデル

コミュニティの活性化

日常買い物・交通サブモデル

○ 農業等の生業の継続

○ 防災上の安心

○ 治安・防犯上の安心

○ 医療面の安心

○ 福祉面の安心

○ 情 報 情報・通信基盤の整備

都市・農山漁村交流による農

地・林地の保全サブモデル

○ 交 通

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(2) サブモデル1:防災サブモデル

これまで、地域コミュニティが対応していた地域防災を補完するモデルとして考える。

人口が減少し、地域における口頭伝達が低下しつつある中で、ハザードマップと CATV に代表さ

れる情報通信網を活用して、初期避難等に対する情報伝達と安否確認を行うシステムを想定する。

ただし、これらのシステムは最終的には地域コミュニティによる見回りによる安否確認や、避

難勧告時の行政対応を補完。ただし、システムの運用にあたっては、同時に地域における防災体

制の強化が必要である。

主な内容と課題

○ 平常時での対応

・緊急物資の備蓄、避難路の確保等を整備する。

・高齢者マップの整備

・ハザードマップの整備と情報提供

○ 災害発生時の対応

・ 災害発生(避難・危険)情報の伝達(CATV・同報無線)

・ 避難(済)情報の確認と避難所での情報の取得

・ 戸別対応必要家庭の把握と自主防災組織などによる見回り

課題

・高齢者マップ情報の収集(個人情報対応)

・災害時での通信機能の確保

・自主防災組織の充実

・CATV 局との連携

図 4-31 防災安全モデルの構成

危険情報避難勧告

○高齢者マップ

○ハザードマップ・災害危険個所・孤立可能性集落・避難地・避難路情報

○避難地・避難路の整備・備蓄・避難路の確保等

CATV局

避難済情報

支援

定点カメラ

役場消防署等

上位機関

【平常時】

○災害時の準備・自主防災組織の組織化・避難訓練 等

【災害発生時】

情報入手

避難所

自主防災組織など

安否情報

見回り・確認

危険情報避難勧告

○高齢者マップ

○ハザードマップ・災害危険個所・孤立可能性集落・避難地・避難路情報

○避難地・避難路の整備・備蓄・避難路の確保等

CATV局

避難済情報

支援

定点カメラ

役場消防署等

上位機関

【平常時】

○災害時の準備・自主防災組織の組織化・避難訓練 等

【災害発生時】

情報入手

避難所

自主防災組織など

安否情報

見回り・確認

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図 4-32 防災安全モデルの運用方法

異常気象等

避難勧告等の判断

情報入手

避難勧告

IP音声告知端末・広報車など

自主防災組織

(独居高齢者宅などの見回り依頼)

情報伝達

見回り

自主避難段階

CATVによる情報提供

・気象情報

・定点カメラ情報

・ハザードマップ

(避難所・避難路)

自主判断

避難

避難の報告

(CATV/リモコン)

避難所

避難

避難者の把握

勧 告

【市町村】

【家庭】

避難者報告

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(3) サブモデル2:防犯サブモデル

防災における安全・安心モデルの基盤を活用して、防犯上の安全・安心情報の提供を双方向で

行う。

一般的に警察対応となる情報だけでなく、鳥獣被害など、中山間地の暮らしにかかわる情報を

部門横断的に収集・提供することで、住民の安心感を構築する。

主な内容と課題

○ 地域からの情報を役場で精査・一元化

○ リアルタイムで、CATV から注意喚起情報を提示

・ 不審者情報

・ 空巣被害多発など

○ 防犯だけでなく、生活の安全情報を提示

・ 鳥獣害被害発生情報

・ 行方不明者の捜索情報

○ 解決後の解除を行うことで、注意喚起が出ていない状況での安心感の確保(風評の防止)

課題

・情報の掲示に当たっての情報選択のあり方

・解除の判断

図 4-33 防犯安全モデルの構成

CATV 局

警察 役場

○ 安全・安心情報

・事故マップ

・安全情報・呼びかけ

・解決情報の提供

情報共有

○ 地域での見守り

・ 自主防災組織

・ 民生委員

・ 地域住民等

① 連 絡

・不審者情報

・行方不明情報

・鳥獣害情報 等

② 情報提供 ② 情報提供

③ 情報提供 ④ 報告・連絡

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(4) サブモデル3:医療サービスサブモデル

日常医療として、地域のケアステーションの設置、医師・看護師(または NPO)による巡回、

及び情報通信網による広域医療とのネットワークにより、日常的な医療に対する安心システムを

構築する。

住民にとっては、遠距離の大病院に通院しなくとも日常の安心の確保が可能となるとともに、

疾病の症状に応じた医療機関の対応により、効率的な医療サービスが確保できる。

なお、情報通信網の発達によっては、在宅での同様なシステムも想定可能ではあるが、地域住

民が顔を合わす機会の確保という観点からも、徒歩圏におけるケアステーションがより望ましい。

主な内容と課題

○高齢者の日常的な健康チェック体制

・旧小学校単位でケアステーション(仮称)を設置(公民館、旧小校等を利用)

・血圧計、心電図、AED、テレビ電話等を備える。

・看護師が各地区を巡回し、高齢者日常の健康チェックを行い、データを介し、医療機関と医療相

談を行う。

○医療機関での情報連携

・地域内医療機関で画像診断情報などの電子カルテ化により診療情報の共有化を図る。

○救急医療での情報伝達

・搬送中の救急車より患者の容態データを医療機関に送信し、助言、最適経路などを得る。

【課 題】

○ 地域における看護師格保有者等の NPO・ボランティアなどの組織化の支援

○ 医師の参加

○ 医療機関連携の仕組みづくり

○ 広域的な緊急医療体制の連携・協力

○ ICT 診療を可能とする超高速ブロードバンドの整備

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図 4-34 医療サービス安全モデルの構成

図 4-35 医療サービス安心モデルの運用方法

● ケアステーション(公民館・旧小学校など)

高齢者等

・血圧・体温等のチェック

・看護師等との面談

【NPO・ボランティア】

日常データの取得・整理

異常なし

「おばあちゃん、今日も元気でよかったね。」

帰宅

異常・不明

● データの判断

※ 必要に応じて、動画データやTV電話での問診

異常なし 要診断

通院予約

診断

問題なし 治療 高次医療機関への紹介

データの送信

● 地域医療機関

健康づくり指導

(徒歩)

(通院)

開業医との連携・活用

医療に関する仕組みの充実

大学病院、二次・三次救急医療施設

データ

支援・連携

ケアステーション(仮称)

○ 小学校、公民館

・ バイタルセンサー

・ テレビ電話 等

○ 開業医・看護師

・ 巡回診療

・ アドバイス

集落 集落

地域医療機関

地域医療機関

・ 緊急輸送ヘリ

・ 救急車両

地域医療の専門化によ

る役割分担と連携

患者の状態送信

搬送

搬送 広域医療ネットワーク

高次・緊急医療の広域

対応

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(5) サブモデル4:福祉サービスサブモデル

独居高齢者の安否確認など、日常的な住民の安心状況のモニタリングを双方向通信を活用して

行う。ただし、地域の見回り力を効率的に活用するためのものであり、最終的には地域の見守り

が重要になる。

あわせて、介護サービス、日常サービスなどに対する要請を一元管理し、効率的なサービスの

提供を行う。

○ 独居高齢者の日常安否の確認

・独居高齢者が CATV の電源を入れると情報感知→役場に登録

・役場から、情報未確認の宅に対する所在確認を地域コミュニティ・ボランティア等に要請

○ 介護サービス・日常サービス支援

・CATV で介護サービス、日常サービスを要請

・要請状況を役場で一元管理し、登録 NPO・シルバー人材センター等に日常的な支援の情報を提

示。

・派遣者が決定した後に連絡

・CATV の使い方などは、地域コミュニティで支援

課題

・登録 NPO などの地域サービス団体の育成・支援

・CATV(双方向)の利用方法などの情報リテラシーの強化

・個人情報保護との調整

図 4-36 福祉サービスの構成

地域高齢者

特定高齢者(要介護予防)

○ 健康づくり活動

・ 健康教室

○ とじこもり予防

・ 移送サービス・訪問

○ 軽度生活支援

・買い物支援

要支援・要介護者

○ 介護サービス ○ リハビリ ○ とじこもり予防 ○ 生きがいづくり

CATV 局

登録 NPO

シルバー人材センター

○ 介護サービス提供

○ 日常サービス支援

・ 買い物

・ 雪下ろし など

役場・市役所

①登録

②サービス依頼

③情報提供

④サービス実施

○社会資源活用 (インフォーマルサポート) ・ 郵便局 ・ JA ・ 新聞配達 ・ 移送販売店

○ 共助

・ 地域住民

・ 老人クラブ

・ ボランティア

○民生委員

○地域福祉員

日常見守り・声かけ 日常相談

①安否情報

②安否確認要請

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(6) サブモデル5:都市・農山漁村交流による農地・林地の保全サブモデル

都市・農山漁村交流により、農地・林地の保全を行う。

都市住民の参加を促すため、地域資源を活用し、グリーンツーリズム等によるメニューを提供

する。

交流からスタートし、空家バンクの活用などにより、二地域居住・定住へと展開する。

交流の受け皿としての NPO の支援・育成を図るとともに、企業や大学等との連携による交流も

推進する。

また、小中学生の交流では、都市部の児童・生徒に農山漁村体験を提供するだけでなく、地元

の小中学生と一体的に交流活動を行うことで、都市部の小中学生からの評価や実体験により、地

域資源の再認識や地域への愛着を育むことにも留意することが望まれる。

図 4-37 都市・農山漁村交流による農地・林地保全モデル

体験学習・グリーンツーリズム・自然環境体験・雪国文化・ナレッジ・山村留学

個人オーナー制度・共有登記・立木登記・トラスト

・産品の還元

おもてなし・参加認定証・地域全員での感謝の心・地域の旅館サービス

国土保全事業

・棚田稲刈りボランティア

・山林下刈り・間伐

・自然保全事業

間伐材活用による、国土保全施設(ネームプレート)

企業の森・企業による保全・環境保持活動

学校の森・自然体験学習・ボランティア体験学習・地元学生との交流

二地域居住・準住民・空き家バンク・地域イベントへの招待・コミュニティ対応・季節の産品の送付

森林組合・自然保全NPO 等

旅館組合・観光協会

企業・大学・高校等との連携

行政・地域

地域・ボランティア・NPO・行政

都市住民との交流促進による国土保全・景観保全

所有者(市町村有林・地域有林)

企業社員や学生も認

定参加者とみなした

サービス

流域連携(上・下流連携)

地域連携(一体性のある圏域での複数の市町村による連携)

 流域連絡協議会(仮称)の設立

 下流自治体(連合)による、水源の森の取得

 行政間交流に基づく、小中学生の交流

 「おもてなし」区域の拡大

活動支援・一体活動

公共交通等による

交流環境の充実

リピーターから定住へ

グリーンツーリズ

ム観光の強化

連携

連携

連携

連携

グリーンツーリズムから

地域サポーターへ

地域サポーター

から定住へ

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(7) サブモデル6:日常買い物・交通サブモデル

単独集落だけで、存続が困難な商店については範囲を広域化し、移動販売等により徒歩圏での

買い物の機会の確保を図る。

地域交通についても、必ずしも公共交通だけでなく、地域を回る定時性のる交通手段やシルバ

ーボランティア・デマンドタクシーなどを活用し、これらと双方向通信によるデマンド対応を組

み合わせて、効率的な地域の足を確保する。

図 4-38 日常買い物・交通の安心モデルの構成

住民

注文

買い物

CATV

公民館など

移動販売事業者

地域循環

定番+注文品

徒歩

■日常買い物モデル

シルバーボランティア

スクールバス

移動販売・宅配便

乗り合いデマンドタクシー 移動要望

■交通システムモデル

住民

CATV

情報提供・連絡

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(8) サブモデルと持続的な居住継続の関係

サブモデルは、基本的に高齢者等の多い中山間地の実態に対応することを基本に考えているが、

当然のことながら若い世代の生活の向上にも効果的である。

しかしながら、若い世代の定住のためには就業の機会の確保が重要であり、サブモデルによる

中山間地の生活向上とともに、広域的な通勤により「都会で働き、田舎に住まう。」ことを実践で

きる環境整備や情報通信基盤を活用した在宅勤務の仕組みが重要になる。(二地域居住・定住促進

分科会より)

こうした、持続的な定住推進の仕組みについて、整理する。

表 4-18 ライフサイクルに応じたサブモデルの活用

世代またはライ

フサイクル 定住推進の考え方 サブモデル等

豊かな自然と地域の見守りの中で、のびのび学

び、遊ぶ 防災サブモデル 防犯サブモデル

小中学校の統廃合による通学の利便性の確保の

ための定時交通システムと通学以外への活用 日常買物・交通サブモデル ~小中学生

都市部の小中学生等との交流の拡大・共同活動に

よる地域資源の再認識、郷土への愛着の育成 都市・農山漁村交流による農

地・林地の保全サブモデル

地域のNPO等として、交流の受け皿とする 都市・農山漁村交流による農

地・林地の保全サブモデル 高校 ~ 大学 ※この世代の都市部への転出は否定できないが、次の世代のUJIターンによる補

完(小中学生の活動体験をこのための一助)が必要である。 豊かな自然と地域の見守りの中で、のびのびした

子育て環境を確保 防災サブモデル 防犯サブモデル

NPO等の地域活動による生きがいの充実 都市・農山漁村交流による農

地・林地の保全サブモデル 居住環境・コミュニティ・子育て環境を重視した

居住地の選択と、広域通勤による就業地の確保 兼業・週末農業による営農継続と農地の保全

広域交通ネットワークによる広

域通勤システム (二地域居住・定住促進分科会)

地域居住(在宅)による就業機会の向上 情報インフラを活用した在宅勤

務環境の形成(二地域居住・定

住促進分科会)

就労・子育て ・ 継続居住 ・ Uターン ・ Iターン

交流から定住への実践(Iターン) 都市・農山漁村交流による農

地・林地の保全サブモデル 地域コミュニティ、NPOへの参加、営農継続等

による地域への貢献と生きがいの充実 防災・防犯サブモデル 都市・農山漁村交流サブモデル 中高年(1)

(元気なお年

寄り) 病院等の健康面での安心 医療サービスサブモデル 福祉サービスサブモデル

病院等の健康面での安心 医療サービスサブモデル 福祉サービスサブモデル 中高年(2)

(見守りが必

要なお年寄り) 地域コミュニティ・NPOの連携等による見守り 防災サブモデル 防犯サブモデル

サブモデルによる中山間地の安全・安心な暮らしは、多様な世代における中山間地の生活の充実

に寄与するが、若年層の定住による持続的な地域人口の確保を図るためには、あわせて就業環境の

向上が必要である。

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4.4.3 事業パッケージの作成

(1) 事業パッケージの作成

これまで地域の安全を担っていた集落等の地域のコミュニティに加えて、次のような多様な取

り組みを展開し、中山間地における安全・安心な暮らしの確保を図る。

・ 地域資源(人材)の掘り起こしや育成による、日常的な医療や福祉などのケアの充実

・ 地域の対応を補完する情報通信網の活用や防災・防犯面での補完

・ 機動的な取組みによる効率的に持続可能な日常サービスの提供

・ 都市住民との連携による農地・林地の保全と交流の拡大による地域の活性化

・ 広域的な補完・連携による効率的なサービスの提供

図 4-39 安全・安心システムの活動イメージ

情報提供

情報把握

情報提供

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(2) 実現化に向けての展開方針

1) 役割分担の考え方

集落コミュニティの見守り機能を継続して活用しながら、NPO などによる専門サービスや行政

による効率的な情報提供により、集落コミュニティの活動を支援・補完する。

市町村は、NPO などの育成・支援を図り、地域コミュニティを補完する新たな主体の活動を誘

導する。

国・県などは、各部門が連携して市町村を支援するとともに、広域的対応や NPO の広域的連

携・広域的活動を支援する。

図 4-40 安全・安心な暮らしを支える役割分担

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2) 役割分担と活動範囲

集落コミュニティは主に、集落を中心とした範囲での活動となり、これらを市町村が CATV 等

を通して、効率的に運用する。

民間事業者や NPO は市町村を越えた広域的活動を行い、彼らが受け皿となる都市住民との交

流・連携も市町村を越えて取り組む。

国・県は施策支援を行うとともに、防災情報の提供や緊急医療の確保などのより広域的な活

動を行う。

これらを、奥能登地域をイメージして、具体的に図示すると次のように例示できる。

範囲 主な機能 主な主体 集 落

・地域の見守り

(フェーストゥーフェース)

・住民

・地域コミュニティ

市町村

・基礎データの把握

・情報の管理

・防災・防犯情報

・集落連携の支援

・NPO等との連携

・市町村

・CATV

奥能登地域

・利便サービスの循環

・専門サービス(福祉・看護)等の提供

・グリーンツーリズムなどの周遊

・NPO・ボランティア

・企業

広 域

・防災情報の提供

・緊急医療・高次医療

・国・県

・高次医療機関

図 4-41 奥能登地域における展開範囲のイメージ

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4.5 推進施策の展開方針

サブモデルについて、可能な部分から社会実験等による有効性と課題を検証し、導入可能な部

分から実践していく必要がある。

一方、社会実験の成果を北陸圏で共有し、これらの知見に基づいて北陸圏全域でそれぞれの地

域にふさわしいモデルを展開していくことが重要である。このため、社会実験等の実施にあたっ

ては知見を北陸圏で共有できる体制づくりを行った上で、実施することが必要である。

社会実験の実施にあたっては、情報通信網の活用だけでなく、これらを支える社会的な仕組み

や地域交通の運用についても検証が必要である。

社会実験の例

1) 防災・防犯システムの検証とこれらを支える社会的仕組みの検証

・ ハザードマップ等を活用した防災訓練 ・ 高齢者マップの作成や地域の見守りシステムの検証 など

2) 医療・福祉システムの検証とこれらを支える社会的仕組みの検証 ・ ケアステーションの設置と運用の検証 ・ 地域人材を活用した医療支援 NPO等の組織化 ・ 地域医療との連携強化の検討 ・ 広域医療の連携と役割分担の検討 ・ 高次医療等へのアクセス性の向上(救急ヘリ、スマート IC)など

3)都市・農山漁村交流による農地・林地保全

・ グリーンツーリズム等のモニターによる需要と要望の把握 ・ 体験者に対する空き家の斡旋等の定住促進の取組と地域における受入れ体制の構築 ・ NPO等の連携と都市住民に対する共同プロモーションの検証など ・ NPO等のプラットフォームの立ち上げや活動支援計画などの育成支援施策の実施 ・ 都市・農山漁村の小中学生の交流、共同体験、共同環境学習の実施

4)地域の利便性を確保する地域交通等のありかた ・ ICTを活用したデマンド交通の検証 ・ 通学バスなど定時性交通を活用した地域交通の運用検証 ・ 移動販売の運用検証など

サブモデルの実現に向けては、まず、社会実験等により効果及び実施上の課題等について検証すること

が必要である。その上で、これらの成果を北陸圏全域で共有し、それぞれの地域特性に応じたモデルの構

築を図る必要がある。

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4.6 分科会の開催

4.6.1 分科会概要

中山間地の安全・安心な暮らしについて、有識者及び行政から構成する「中山間地の安全・安

心な暮らし分科会」を組織し、中山間地の安全・安心な暮らしについての検討を行った。

(1) 分科会委員

本分科会は以下の 14 名の委員により構成した。

表 4-19 「中山間地の安全・安心な暮らし分科会」委員

所 属 委員氏名

金沢大学大学院 自然科学研究科 教授 高山 純一 (座長)

富山大学大学院 危機管理医学(救急・災害医学) 教授 奥寺 敬

総務省 北陸総合通信局 情報通信部 情報通信振興室 室長 宮山 浩一(※)

北陸信越運輸局 企画観光部 交通企画課 課長 上手 研治

富山県 農林水産部 農村環境課 中山間地域振興班 班長 竹田 淳一

石川県 企画振興部 地域振興課 課長 森田 美恵子

石川県 農林水産部 農業政策課 中山間地域振興室 室長 高 義見

福井県 総合政策部 政策推進課 課長 山田 賢一

福井県 農林水産部 農林水産振興課 課長 牧野 冨仁夫

輪島市 総務部 企画課 課長 坂下 利久

珠洲市 企画財政課 課長 坂 辰重

穴水町 企画情報課 課長 吉間 篤

能登町 企画財政課 課長 高 雅彦

北陸地方整備局 企画部 広域計画課 課長 市村 幸晴

※ 北陸総合通信局 宮前室長は、第 1 回分科会での議論を踏まえて、第 2 回分科会より委嘱

した。

(2) 分科会の開催

分科会は以下の2回開催した。

開催回 開催日時 開催場所 出席委員 主な議題

第1回 平成 8年 1月 22日

10:00~12:00

石川県勤労福

祉文化会館

10 名

(代理出

席含む)

中山間地の現況と課題につ

いて

中山間地の安全・安心な暮

らしの推進方向について

第2回 平成 8年 3月 5日

9:30~12:00

石川県勤労福

祉文化会館

9 名

(代理出

席含む)

中山間地の安全・安心な暮

らしの考え方について

中山間地の安全・安心な暮

らしモデルについて

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4.6.2 第 1 回分科会議事要旨

開催日時:平成 20年 1月 22日(火)10:00~12:00 開催場所:石川県勤労者福祉文化会館2F ホール2 出席者 金沢大学大学院 自然科学研究科 教授 髙山 純一 富山大学大学院 危機管理医学

(救急・災害医学) 教授 奥寺 敬 富山県 農林水産部 農村環境課 石川県 企画振興部 地域振興課 課長 森田 美恵子 福井県 総合政策部 政策推進課 課長 山田 賢一 (代理 竹内 直人) 福井県 農林水産部 農林水産振興課 課長 牧野 冨仁夫 珠洲市 企画財政課 課長 坂 辰重 穴水町 企画情報課 課長 吉間 篤

能登町 企画財政課 課長 高 雅彦 北陸地地方整備局企画部 広域計画課 課長 市村 幸晴 北信越運輸局企画観光部 交通企画課 課長 上手 研治 ■ 分科会での主な意見

中山間地の現状と課題 中山間地の安全・安心な暮らしの考え方

• 安心を与えることが重要なテーマ

• 生命保全→財産保全→身分保全の順序立てに

より考えたらどうか?

• 少子・高齢化というものを視点を変えて、ジェント

ロジー・希望学などで見直す必要がある。

• 活力を取り出し、コミュニティの中に生かすことが

必要。(60 歳前後や前期高齢者)

• S30→H17 で、1.9 万人が 1.05 万人と半減

し、また高齢化の進展も著しい。(穴水町)

• 農業面で特に人口減少、高齢化が顕著で

あり、中山間地の農業従事者は 15 年間で

45%減しており、また基幹的農業従事者の

高齢化率は 75%

• 高齢者にとって、結果や評価が励みになる。

• 住んでいる人を元気にする仕組みづくりが大事

である。

主な意見(1)

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中山間地の現状と課題 中山間地の安全・安心な暮らしの考え方

• 80集落のうち 11集落が高齢化集落(穴水

町)

• 集落高齢化により、祭礼や水路・道路の維

持・修繕も困難になりつつある。

• 奥能登では、限界集落はまだ顕著ではな

いが、この先増加することが危惧される。

• 集落の組織体制の連携強化が必要

• 地域のリーダーが不在なところもある。

• 独居高齢者対策が必要であり、情報入手に課題

があるが、コミュニティでの独居高齢者巡回等に

取り組みたい。

• 中山間地の耕作放棄率は県の約 2倍

• 高齢化が進み、営農の自信がなく、直接

支払いのための営農協定も 100 集落くら

いがとりやめており、支援施策すらも取り

組めない集落が増加

• 鳥獣害により、生産意欲が落ちている。

• 営農継続による国土保全の役割低下を危

惧している。

• 鳥獣害対策での混合林と里山の除間伐モデル

事業

• 団塊世代をターゲットにした就農や市民農園で

家庭菜園も考えられる。

• 農産物も地元で作ったものを地元で流通・消費

する仕組みが必要。

• CATV 網の整備により、インターネットの高

速通信体制は整備しつつある。

• 通信基盤は重要であり、中山間地であろうと、大

原則として通信基盤は全国一律の水準が必要

• 糸魚川市等では、高度医療が困難になり

つつあるなど、医師不足の問題が出てい

るが、地方だけでなく全国的な問題であ

り、医療崩壊の危険性がある。

• 奥能登地域では、総合病院の赤字や医師

の確保難で、診療科目も減少している。

• 奥能登 2 市 2 町の病院での連携に取り組

• 能登半島地震の例では、緊急医療でも、

自家用車・徒歩が多かった。

• 医師を補充するのではなく、全国的な医師不足

という現実を前提に、事業・施策を組み立てる必

要がある。

• 僻地での医師不足や救急医療に対する抜本的

な対策が必要

• 日常生活のうえでの医療や病院への行きやすさ

が問題

主な意見(2)

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中山間地の現状と課題 中山間地の安全・安心な暮らしの考え方

• 道路は比較的整備されてきており、自動

車での時間距離は短縮されている。

• しかし、能登半島地震で道路が寸断され

た等、脆弱な部分もある。

• 生活路線の赤字化

• 高齢者を中心に病院・買い物への公共交

通機関の要望が高い。

• 北陸圏は自動車分担率が高く、需要が低

いため交通事業者の撤退、路線の廃止が

相次ぐ。

• かつては、交通事業者全体の採算性で赤

字路線を支えていたところがあるが、事業

者の経営状況が厳しく、地域の交通を支

えきれない状況になってきている。

• 新幹線駅、空港からの 2次交通が必要

• 交通については、子供とお年寄りがターゲットに

目的等(通学・通院)を絞った展開が必要であ

る。

• 地域住民、NPO が主体で行い、行政、事業者が

支援することが考えられる。

• 施策の融合で知恵を出すことが必要である。

• 石川県では、奥能登ウエルカムプロジェク

トによる地域ブランド、コンソーシアム石

川、地域づくり塾で連携・交流に取り組ん

でいる。

• 奥能登ではコア人材が相対的に少ないこ

とが課題。

• 福井県では、「ふるさと十字軍」の取り組み

(県外からの就農)や、かみなか農学舎の

取り組み(大学生との連携)など市町村が

取り組んでいる。

• 若い人は興味があればどこへでも行くため、 魅

力あるコンテンツが重要である。(北陸圏にきたら

技能が身につくなど)

• NPO などの地域資源を生かした取り組みの活用

を考える。

• 外からの人との交流・連携で地域が変わる。

• 地域づくりを行うコアな人材が重要であり、地域

にいない場合はコア人材の派遣が必要である。

主な意見(3)

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■ 分科会の意見の反映

項目 分科会意見 対 応 該当箇所

• 課題認識はほぼ共通のため、これらの体系化を図った。

4.3.2 課題の構造化(p95)

現況と課題について

• 人口減少・高齢化の進展とこれらに伴う、地域コミュニティの力の低下や営農継続、農地保全等の課題が明らかにされた。

• 同時に、人口減少等により医療・交通等の機能の低下も明らかにされたが、これらについては必ずしも人口減少だけが要因ではないものとされる。

• サブモデルとして、分野別の対応を図ることとし、「防犯・防災」「医療・福祉」「農業・農地保全」「交通・買物」を主なテーマとした。

4.4.2 サブモデルの作成 (p120)

• 中山間地の安全・安心な暮らしについての優先順位づけによる整理が必要。

• 「生きがい」に対する認識が必要。

• 中山間地の安全・安心な暮らしの意義について、体系的にかつ優先順位を考慮して整理した。

• 整理の上では、高齢者等の「生きがい」について位置づけた。

4.4.1 (1)地域の目標とする姿 (p117)

• NPOや外部交流が重要である。

• NPOや外部交流といったものを位置づけた。

4.4 (4) 2)NPOなどの新たな主体の育成と活用(p119)

• 情報通信基盤は整備されつつある。

• 情報通信基盤を活用したモデルを検討した。

4.4.2 サブモデルの作成 (p120)

• 医療は、医師不足を前提とする必要がある。

• 医師不足を前提に、地域が補完するモデルを作成した。

4.4.2 (4)サブモデル 3:医療サービスサブモデル(p124)

今後の中山間地の安全・安心な暮らしのあり方について

• 交通は、まず地域で成立させることが必要である。

• 成立可能なモデルを検討した。

4.4.2 (7)サブモデル 6:日常買い物・交通サ ブ モ デ ル(p128)

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4.6.3 第 2 回分科会議事要旨

開催日時:平成 20年 3月 5日(水)9:30~12:00 開催場所:石川県勤労者福祉文化会館2F ホール 1 出席者: 金沢大学大学院 自然科学研究科 教授 高山純一 富山大学大学院 危機管理医学 教授 奥寺敬 富山県 農林水産部農村環境課 中山間地域振興班 班長 竹田淳一 福井県 総合政策部 政策推進課 課長 山田賢一(代理 竹内直人) 福井県 農林水産部 農林水産振興課 課長 牧野冨仁夫(代理 白崎逸郎) 輪島市 総務部 企画課 課長 坂下利久(代理 平田勝) 総務省 北陸総合通信局 情報通信部 情報通信振興室 室長 宮山浩一 国土交通省 北陸地方整備局 企画部 広域計画課 課長 市村幸晴 国土交通省 北陸信越運輸局 企画観光部 交通企画課 課長 上手研治 ■ 分科会での主な意見

① 富山県の中山間地の状況 (前回追加分)

• 集落がまとまっている区域はなく、周辺部に分散するように配置しており、集落振興の指定は3割と全国平均(5割)に比べ低い。耕作放棄地は中山間地域で9%程度だが、高齢化の進行とともに今

後増加が予想される。

• 活性化支援指針を作成しているが、中山間の施策では県としての決定的な施策は無く、県単でグリーンツーリズム支援などを行っている程度。

• 富山県では合併が進んで基礎自治体の区域が広がったことで集落の存在が薄れ、地域の特色は見えにくくなっている。

• 対象とする集落は、農村、山村と漁村もある。これらの暮らしを考える必要がある。

• その集落に住み続けたい理由なりコミュニティを守ることの価値などについても示す必要があるのではないか。

• 中山間地域では、他人の世話になりたくない(迷惑をかけない)といった価値観が共有されている。その延長線上に「住み続けたい」といった集落に残る理由がある。

• 電脳で有名になった山田村での光ファイバー整備をしようとしたときに、障害となったのは、財政担当だった。中山間地域だからこそこれらの施策が必要との前提の整理が必要

② 中山間地の安全・安心な暮らしの考え方について

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• アンケートの結果からもデマンドバスも利用目的は通院が主であり、医療の重要性が読める。

• 医療経済の面から、患者の少ないところは撤退していく傾向にある。また、大学病院でも、一次、二次医療はやめる方向の議論があるくらい地域医療は疲弊している。

• ドクターヘリは、医師の配置・確保ができず、現実的ではなく、配置すべきは「救急ヘリ」。北陸3県に救急ヘリはなく配置が必要である。

• 各県単位で診療科目を専門化し、相互連携をできるようにするなどの方策も必要となる。

• 係り付けの医者は地元にあったほうがいい。機能分化の話も実際にあるが、住民は近くにあることを望んでいる。機能分化をする場合、高齢者も多く公共交通のケアなども必要となる。

• (奥能登の)4病院で機能分化を図り、患者対応は遠隔医療で対応することも考えられる。そのための特区を申請することも含めて考えていくことが必要。検査などを供用すればスリム化できる。

• 医者に全てを委ねるのではなく、地域住民や家族が一定の知識を有するよう教育をし、一定の判断は地域でできるしシステムを確立することが有効である。実際に効果を発揮している事例もある。

• 考え方として、個別の専門性(専門特化)と遠隔医療については記載が必要。医療の崩壊は既に始まっていることを理解すべき。

• 中山間地域の交通問題では、負担をしてまででも何故存続するのかの議論が必ずある。中山間地域を守ることや公共交通を継続していくことの意義は、都会で暮らすこととの差別化にあるの

ではないか。

• 学校の統廃合では、スクールバスを運行することとなり公共交通との二重投資などの問題などがある。おのおの示されたモデルイメージはさらっと示されているが事業化の背景にある課題は大き

い。

• 日常の買い物・交通の確保モデルでは、採算性を考えた場合、中山間地域では成立しない。ニーズに応じて可能(必要)な負担との視点が必要である。

• 効率化は片方でサービスレベルを低下させるといったトレードオフの関係にあり、病院の扱いも同様と考えられる。サービス機能として急がないもの(審査や検査)など効率化になじむ機能とそうで

ないものは仕分けして扱うことが必要である。

• 医療モデルに関しては、医療の状況が地域ごとで異なるが、町医者を活用する方策が必要。福井県では、係り付け医、副係り付け医のシステムがある。また地域の医師の信頼性を確保するた

めの研修なども必要がある。

• ケアステーションと地域医療機関を重ねる方策が必要。また地域の医療レベルを向上させることも必要。住民が病院へ行く前のシステムを構築する必要がある。

③ 医療サブモデルについて(1)

④ 医療サブモデルについて(2)

⑤ 交通サブモデルについて

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• 通信局の取り組みとして地域の情報化をすすめており、穴水町の平成 20 年度に交付金を受けることとなっており、奥能登地域全体で CATV が可能となる。

• モデル事業では、全国へ広げる事業を掘り起こすことを目的に自治体からの提案を受けている。

• 総務大臣も遠隔医療に関して関心が高く、活用の可能性が高いが厚生労働省との関係整理は必要である。

• 北陸のブロードバンド整備率は、各県とも 95%以上で全国でも高い水準だが、遠隔医療に必要な超高速(30Mbps)光通信は遅れており、総務省では、2010年に90%の整備を目標に整備を進

めている。

• 医療や、独居老人の問題を考えると、誰が何処に住んでいるかの把握も必要となる。こういった情報は、個人情報に該当するなど障壁があり確実な把握が困難となっている。

• 独居老人の安否確認に関して、旧門前地区での組織体系が有効に機能し、それが、近所の状況を確認し民生委員を通し報告されたことによるものである。こうした仕組みを他の地区にも構築する

よう働きかけているものの、田舎では容易に受け入れられるが街中になるとなじみにくい状況。

• コミュニティの維持に関しては、祭りが維持できなくっている。他の地域や学生のアルバイトを募るなどでようやく実施している。

• 資料の中では教育に触れていない。進学すると下宿生活となり、その負担の親が苦労をしている姿を見て、子供たちは田舎に戻ることをあきらめる傾向がある。子供たちが安心して住まうことのでき

るような施策も必要ではないか。

• 需要が小さい中で採算性を考えると事業の成立は困難。機能分化による医療システムの再構築や、まち医者の活用、地域医療レベルの向上のための研修の実施などが必要である。

• 若者、環境、教育のテーマが抜けている。二地域の検討との整合、重ね合わせによる、今後網羅的に整理する。

• 営農では、機能を維持するための後継者確保として、都市との交流の仕組みづくりや公共交通の維持・確保が必要である。

• コミュニティ維持に関しては、輪島市の旧門前地区の仕組みをシステム化する方向。ただしまちなかへの導入に課題がある。

• 通信技術の活用に関しては、継続的な運用の支援が必要である。

⑥ 通信基盤について

⑦ コミュニティ等について

⑧ その他

⑨ 座長総括

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■ 第 2 回分科会意見の反映

項目 分科会意見 対 応 該当箇所

医 療 サブ モ デル に ついて

• 需要が小さい中で採算性を考えると事業の成立は困難。機能分化による医療システムの再構築や、まち医者の活用、地域医療レベルの向上のための研修の実施などが必要である。

• システムの運用とあわせて、医療システムの改善方向を図示。その中で、機能分化や開業医の活用を位置づけた。

4.4.2 (4)サブモデル 3:医療サービスサブモデル (p124)

営農

• 機能を維持するための後継者確保として、都市との交流の仕組みづくりや公共交通の維持・確保が必要である。

• 都市・農山漁村交流の中での仕組みを提案した。その中で、交流を活性化するための公共交通を位置づけた。

4.4.2 (6)サブモデル 5:都市・農山漁村交流による農地・林地の保全サブモデル(p127)

コ ミ ュ ニティ

• 輪島市の旧門前地区の仕組みをシステム化する方向。ただしまちなかへの導入に課題がある。

• システムは、輪島市の旧門前地区の仕組みをICTで補助する仕組みとした。

• 当面は、まちなか導入までもは想定していないが、個人情報については、行政が管理することによる安全性を確保するものとした。

4.4.2 (2)サブモデル 1:防災サブモデル (p121) 4.4.2 (5)サブモデル 4:福祉サービスサブモデル (p126)

通信 • 通信技術の活用に関しては、継続的な運用の支援が必要である。

• 通信技術の活用については、特に運用が重要であるため、今後の展開方針として、社会実験の実施等による運用充実を記載した。

4.5 推進施策の展開方針(p133)

• 安全・安心な暮らしの意義について、持続性維持のため、若者定着の意義も記載した。

4.4.1 (1)地域の目標とする姿 (p117)

若者・教育等

• 若者、環境、教育のテーマが抜けている。二地域の検討との整合、重ね合わせによる、今後網羅的に整理する。

• 若者に限定せず、ライフサイクルの中でのサブモデルの意義を再整理した。

• その上で、若者定住のために不足する機能としての就業支援機能を、二地域居住・定住分科会から追記して整理した。

4.4.2 (8)サブモデルと持続的な居住継続の関係 (p129)

交通

• 交通については、地域存続の必要性からの位置づけが重要である。

• 今回の調査ではシステム提案までは至らないが、情報通信の中でも交通の重要性があることや、広域通勤のための交通の必要性(上述)を示した上で、今後の展開方向として、交通に関する展開を記述する。

4.5 推進施策の展開方針(p133)