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日本語初玚レベルのグルヌプオンラむン授業での教宀掻動に関する研究

―担圓教垫ぞのむンタビュヌを䞭心にヌ 藀本かおる*

A Qualitative Study of Challenges Faced by Japanese language Teachers in

Conducting Online Classes for Groups of Students -Focusing mainly on interviews with the teachers in charge -

Kaoru Fujimoto *

This study explored the challenges faced by Japanese language teachers in conducting online classes for

groups of students at the beginner level. Unstructured interviews with three Japanese language

teachers were conducted to examine this issue. An analysis of the data collected from the interviews

revealed certain factors causing teachers’ dissatisfaction with overall class management in online classes,

such as in handling practices that they normally provide in a face-to-face class, structuring the learning

environment, or understanding the motivation of individual leaners, as they cannot watch over all

students. The teachers expressed that simply getting accustomed to conducting online classes for groups

of students could reduce their dissatisfaction, but felt that this may be akin to giving up. They also

voiced that technological support offered by IT specialists, such as changing the Internet network or the

online communication system, could offer limited solutions

Keywords: web meeting system, online class room, Beginner's group online class Japanese language

education, distance education

1研究の目的ず意矩

1.1 研究の目的

本皿では察面コミュニケヌションができるりェブコミュニケヌションシステムを䜿い同じ時間に

むンタヌネットでアクセスし教垫ず孊習者が画面越しに顔を合わせお行う授業をオンラむン授業ずす

るオンラむン授業は教垫ず孊習者が察で行うプラむベヌト授業ず耇数の孊習者が参加するグル

ヌプ授業がありグルヌプ授業は2−人皋床の少人数から倧教宀に集たった孊習者に向けお講矩を行

うものや亀流型などレベルや授業圢匏にバリ゚ヌションがある

筆者はこれたで様々なレベルの孊習者を察象にした日本語オンラむン授業を行なっお来たその䞭

で特に初玚レベルの孊習者のグルヌプ授業においお他のレベルを教える際には感じない「やりにく

さ」を感じたが同じ初玚レベルの孊習者でもオンラむンプラむベヌト授業ではこのような「やりに

くさ」はあたり感じなかった䞀方ミネルバ倧孊やNTT ドコモが離島の孊校ず協力し行っおいる授

業などからみるずディスカッションのような亀流型授業では通垞の察面授業ずほずんど倉わらない授

業が行えるように思われる

珟圚日本語教育においおは教垫䞀人に察しお耇数の孊習者が孊ぶ圢匏のオンラむン察面授業は盛

んに行われおいるわけではないが介護関係の技胜実習生の増加などによりニヌズは増えるず予想さ

れるそこで本研究では初玚レベルのオンラむン授業に関しお研究する前段階ずしお前述したよう

な「やりにくさ」が実際にあるのかあるずした堎合それはどのようなもので原因は䜕なのかを探るこ

ずを目的ずしお初玚レベルのオンラむン授業においおグルヌプ授業を担圓したこずのある教垫ぞむン

タビュヌを行いむンタビュヌ結果を分析する

1.2 日本語教育におけるオンラむン授業ず研究の意矩

珟圚日本では少子高霢化による劎働者䞍足が問題になっおおり囜際競争力向䞊の意味からも䌁業

のグロヌバル人財1雇甚が進み぀぀ある犏岡ほか 2013*1グロヌバル採甚ナビ 2018*2海倖で盎接雇

1 「人材」の衚蚘が䞀般的であるが日本語教育の䞭ではビゞネス日本語研究䌚http://business-japanese.net/などで「人財」

*歊蔵野倧孊グロヌバル孊郚日本語コミュニケヌション孊科

Musashino University Faculty of Global Studies

Department of Japanese Communication

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JeLA孊䌚誌 Vol.19 2019 2019.7.2 採録

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甚された倖囜籍新入瀟員の堎合日本語孊習経隓のない者も倚くe ラヌニングずオンラむンプラむベヌ

トレッスンを組み合わせたブレンディッドラヌニングでの来日前日本語研修を行っおいる䌁業もある

倚様化する孊習者ず求められる倖囜籍人材ぞの察応ずしお倖囜人瀟員雇甚の拡倧や技胜実習生制床2の

拡倧が芋蟌たれ特に人材確保が急務ずされる介護分野等では来日前に䞀定レベルの日本語胜力を身

に付けるこずが来日条件ずなっおいる3しかし介護人材を䞖界に倚く茩出しおいるフィリピンなどの

東南アゞアでは日本語教育が党土で行われおいるずは蚀えない囜際亀流基金 2017*3

英語のオンラむンプラむベヌトレッスン隆盛の圱響もあり日本語でも skype を䜿ったオンラむンレ

ッスンが増加しおいるが珟圚は英語同様にプラむベヌトが䞻流であるこれたでの日本語のオンラ

むンでのレッスンは日本語教育専門家によるプラむベヌトが䞭心であり英語レッスンのように安䟡で

は受けられないそのため最近では䞊蚘のように珟地で適切な日本語教垫が芋぀けられない受け入れ

機関からオンラむン察面授業に぀いおのアドバむスを求められるこずが増えおいるこのこずから

初玚グルヌプオンラむン授業には朜圚的なニヌズがあるず考えるたた珟地での日本語孊習の機䌚

を増やすこずはこれから日本に就劎にくる倖囜籍瀟員や技胜実習生の生掻の質や仕事及び研修成果

を高めるこずに寄䞎できるず考える

䞀方日本囜内でも郜垂郚から離れた工堎などでの日本語教育の芁請が増えおおりオンラむン察面

授業は教育的な怜蚌をする前にすでに取り入れられ始めおいるしかし䌁業偎のオンラむン䌚議の

実瞟を元に授業を䟝頌するケヌスが倚く結果ずしお効果が䜎いずされ通垞の察面授業に倉曎になるケ

ヌスもあるe ラヌニングが導入され始めた折には教育方法や効果を怜蚌する前に導入が始たり結

果ずしお「e ラヌニングは効果が薄い」ずいうようなマむナスな颚朮が生たれたがこのたたではオン

ラむン察面授業も同じような颚朮が生たれるこずを危惧するそこで珟段階でオンラむン授業の授業

掻動を怜蚌するこずは今埌増えおいくず予想される利甚に察しおより効果的な孊びを瀺唆するこず

ができるず考える

2先行研究

倖囜語教育では日本語教育に限らずりェブコミュケヌションシステムを䜿った授業の先行研究が

2000 幎代䞭頃から芋られるその倚くは教宀で孊んだ倖囜語のアりトプットのための亀流型の授業や

囜際理解や異文化コミュニケヌション授業などの実践報告である廣瀬 2006*4束田他 2008*5小林 2014*6

匵 2018*7重束他2008*8では䞭囜語・フランス語・ドむツ語・日本語の授業で぀のシステム

を甚いた授業を行ったりェブコミュケヌションシステムこの発衚では TV 䌚議システムの取り入

れ方はそれぞれの倖囜語クラスで倚少違うが孊生ぞのアンケヌト結果ではTV 䌚議システムは「ナ

マのコミュニケヌションを倉圢するのではないかずいう䞍安はあるが䞀方で距離を超えたリアルタむ

ムコミュニケヌションぞの期埅感は倧きいずいう結果ずなった」重束他 2008*8

日本語教育での先行研究では䞭䞊玚レベルでの亀流授業などの実践が芋られるが初玚のグルヌプ

授業での事䟋はあたり芋られない䞭䞊玚レベルの事䟋では䜐野2009*9はアメリカず日本の倧

å­Šã‚’ Web 掲瀺板・TV 䌚議システムで぀なぎ授業実践の䞭で珟れた「蚀い蚳」に焊点を圓お遠隔の

リ゜ヌスで日本語孊習者にどのような孊びがあったのかに぀いお焊点をあお考察しおいるたた尹

2009*10ではりェブコミュニケヌションシステムを぀の遠隔接觊堎面ずしその䞭で日本語母語

話者ず非母語話者のむンタヌアクションに぀いお詳现に分析しおいる尹 (2003*112004a*122004b*13

においおは遠隔接觊堎面での蚀語管理やコミュニケヌション・ストラテゞヌturn-taking などに泚

目し分析しおいるYoshida 他2017*14ではオンラむン協同孊習掻動の授業実斜の前段階ずしお

参加予定の日韓の倧孊生の自己効力感やオンラむン協同孊習に察する䞍安を明らかにするこずを目的

に調査を行なったその結果韓囜の孊生は孊習のためにコンピュヌタを䜿甚するこずにかなり自信

がありオンラむン孊習の成果や日本人孊生ずのコミュニケヌションにはそれほど心配をしおいないこ

の字を䜿甚するため本皿ではこれを甚いる

2 「技術又は知識以䞋「技胜等」ずいうの開発途䞊地域等ぞの移転を図り圓該開発途䞊地域等の経枈発展を担う『人づくり』に

寄䞎するずいう囜際協力の掚進」JITCO https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/index.htmlずされおいるが単玔劎働での受け

入れも倚く賃金未払いや劎働環境の悪さなどが床々ニュヌスになるなど倚くの問題を抱えおいる 3 第号技胜実習幎目は「日本語胜力詊隓の N4に合栌しおいる者その他これず同等以䞊の胜力を有するず認められる者」第 2

号技胜実習2幎目には「日本語胜力詊隓の N3に合栌しおいる者その他これず同等以䞊の胜力を有するず認められる者であるこず」

が求められるhttps://www.jitco.or.jp/ja/regulation/care.html

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ずが瀺唆されたが日本の孊生はコンピュヌタの䜿甚に䞍安がありその成果に぀いおは意芋が曖昧

であったこの結果からYoshida 他はオンラむン協調孊習の質を高めるためには特定の孊習者の

䞍安を軜枛し自己効力感を促進するオンラむンの円滑化スキルを開発する必芁があるずしおいる

日本語教育においお初玚のグルヌプオンラむン授業の先行研究は西郡他2007*15が日本−ベト

ナム間で行ったものや台湟やむンドず東京を぀ないで授業を行った事䟋がある藀本 2008*162011*17

西郡他2007*15や藀本2008*16は初玚のグルヌプオンラむン授業の実践報告が䞭心だが藀本2011*17

では初玚のグルヌプオンラむン授業での教宀掻動に泚目し察面授業ずオンラむン察面授業の授業掻

動を語孊授業芳察法で分析したその結果教垫および孊習者の発話や掻動においおいく぀かの点で

察面授業ずオンラむン察面授業で差が芋られた䟋えば教垫が孊習者を指名しお掻動や発話を促す際

の指名に぀いお察面授業では教垫は芖線や手ぶりで孊生を指名するこずも倚く孊習者の名前を呌ぶ

こずはさほど倚くないたた孊生も教垫からの指名に返答しないこずも倚かったそれに察しおグル

ヌプオンラむン授業では「教垫の孊習者ぞの指名は必ず呌びかけを䌎い孊習者も毎回その呌びかけ

に返答しおいる」藀本 2011*17

珟圚日本語教育においおもプラむベヌトでのオンラむンレッスンが広く行われるようになったそ

のようなレッスンに特化したオンラむンスクヌルもあるが営利目的であるため研究ずしお成果を発衚

しおいないたた囜際亀流基金は独自の教材である『たるごず日本語』をベヌスにした e ラヌニン

グサむト「みなず」https://minato-jf.jp/を開蚭しそのコンテンツを利甚した教垫支揎付きコヌス

では本皿のオンラむン察面授業にあたるりェブコミュニケヌションシステムを利甚したラむブレッス

ンも行われおいる千葉他 2017*182018*19千葉他2018*19ではコヌスの運営においおラむブ

レッスンずグルヌプ運営に課題があるずしおいるラむブレッスンに関しおは教垫や他の孊習者ず話

せる点などが孊習者から評䟡されたがその反面コヌス党䜓で孊習者の継続率が高くなくその結果ラ

むブレッスンがグルヌプレッスンにならなかった点を問題ずしおいる千葉他2018*19はこのこずは

ラむブレッスンの問題ずしおいるが実際はコヌス党䜓の継続率が問題の根底にありラむブレッスン

での授業掻動に関する考察はない以䞊から日本語の初玚グルヌプオンラむン授業の先行研究の倚く

はただ実践報告に留たっおいるず蚀える

次に工孊分野での先行研究だが珟圚のテレビ䌚議システムや web 䌚議システムには技術やシステ

ムの制限があり教垫ず孊習者の芖線が䞀臎しないためお互いにどこを芋おいるかわからずノンバヌ

バルコミュニケヌションが䌝わりにくいこずが明らかになっおいるそしおこの点が授業掻動の劚げに

なるずされ工孊分野ではそれを解消するようなシステム開発や改良に関する先行研究が倚い村田

他 2017*20谷田貝・坂井 2006*21森川・山䞋他 2001*22山本・氞岡他 2017*23そしお開発したシス

テムの評䟡のための実践授業が行われ孊習者特性に着目した研究も行われおいるが䞭山・山本

2009*24語孊授業掻動の分析などはただあたり行われおいない

その他ビデオを通したコミュニケヌションに泚目した研究もおこなわれおいるビデオを通したコ

ミュニケヌションは Video-mediated CommunicationVMCず呌ばれるがこの堎合のビデオは録画し

たものではなく双方が同時にアクセスしおいるものを指すVMC の研究では通信の遅延や芖点の

䞍䞀臎など解決されおいない技術的な問題が耇数ありVMC は Face to Face(以䞋 FTF)に比べ埮劙な感

情の手がかりを芋倱いやすく動きや䜍眮を制限するため心理的距離を枬る遞択肢が少なく文字や

聎芚でのコミュニケヌションよりも芪密性は䜎くなりそれらのこずがコミュニケヌションに圱響す

るずされおいる䟋えば同調や関䞎床が FTF より䞊手く働かない感情の䌝わり方なども FTF ずは

異なる点が芋られるKappas 他 2011Chapter 5 Parkinson and Lea*25

倖囜語教育においおは単に実践を報告するだけでなくりェブコミュニケヌションシステムを䜿っ

た授業の䞭のある぀の事象に泚目し研究しおいる先行研究もあるたた日本語教育や倖囜語教育の

先行研究の倚くは䞭䞊玚レベルの孊習者が察象であり孊んだ蚀語を䜿った亀流の堎合が倚くこれは

倖囜語孊習においお応甚緎習や文脈化に圓たるしかし初玚のオンラむン察面授業に泚目した研究

はただ倚くない そしお工孊分野ではシステム開発にかかる研究が倚く授業掻動に蚀及しおいる

研究は少ない以䞊から日本語教育の初玚のグルヌプ授業を研究察象にするこずは日本語教育だけ

でなくりェブコミュニケヌションシステムを利甚した倖囜語孊習の研究においお新芏性があるず考え

る

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3教垫ぞむンタビュヌ調査

3.1 予備調査

初玚グルヌプオンラむン授業でやりにくさを感じおいるのは筆者だけなのかを確認するために授業

の印象などの実態を確認のための予備的な調査ずしおこれたで初玚グルヌプオンラむン授業の経隓が

ある日本語教垫 2 名に聞き取り調査を行った2 名からの聞き取りから珟圚の日本語初玚レベルのグ

ルヌプオンラむン授業は通垞の察面授業をオンラむンに焌き盎しおいる堎合が倚くKappas 他2011*25

のいうような VMC のプロセスを理解した䞊で授業に生かせおおらずそのため教垫がやりにくさを感

じるこずがあるのではないかず考えた

3.2 グルヌプオンラむン授業担圓の教垫ぞのむンタビュヌ調査

予備調査を受けお䞊蚘 2名を含むオンラむン察面授業の経隓のある教垫 3名にグルヌプオンラむン

授業の担圓教垫は実際にやりづらさを感じおいおいるのかその原因は䜕に起因するのかを明確にする

こずを目的に非構造化むンタビュヌを行ったむンタビュヌはむンタヌネットのチャット機胜を䜿

ったテキストむンタビュヌもしくは察面で行い各自 1 時間皋床である

珟圚プラむベヌトでの初玚オンラむンレッスンを担圓しおいる日本語教垫は倚いがグルヌプ授業

を䜓隓しおいる者はさほど倚くないず思われる今回話を聞いた 3 名のうち A は日本の私倧の非垞

勀講垫ずしおアゞア各囜ずのコン゜ヌシアムでのプロゞェクトの初玚グルヌプオンラむン授業を 5 幎

に枡り担圓したたた B はプラむベヌトでのオンラむンレッスンのベテランであり日本語教垫向

けにオンラむンプラむベヌトレッスンをするための講座の講垫なども担圓しおいるがグルヌプでのレ

ッスンは初䞭玚に察するレッスンコヌスのみであるC は教員ず同じ郚屋に孊習者がおり同様に

倚地点からオンラむンで授業に参加する孊習者もいるいわゆるハむブリット授業で初玚䞭玚のレベ

ルが混圚するクラスを担圓した各教垫が担圓した授業の詳现は以䞋の通りである

è¡š 1 授業の詳现

オンラむン察面授業の圢匏 孊習者数回 孊習者レベル 備考

A 䞀箇所に耇数人数のいる拠点を

耇数箇所結ぶ

授業は,所謂初玚の授業で,å­Šç¿’

項目を導入し,緎習たで行う

1拠点に5人皋床で5

拠点皋床䞻に東南

アゞア

未習者初玚

孊習者は工孊

系の倧孊生

IT 技術者によるサポヌ

トあり倧孊コン゜ヌ

シアムでの連携授業を

幎間担圓

B 東京ず那須の工堎を぀ないだ

各自の PC からアクセスした

3 名䞭囜人技術者 初玚埌半〜初

侭箚

日本語教垫向けにオン

ラむンプラむベヌトレ

ッスンをするための講

座の講垫なども担圓

C 東京本瀟ず広島支瀟を぀なぐ

東京支瀟で受講する孊習者は察

面,広島からはオンラむン察面ず

なる

東京ず広島にそれぞ

れ数名ベトナム人

初玚埌半〜初

侭箚

オンラむンでのプラむ

ベヌトレッスン経隓あ

りこの授業は初めお

のグルヌプレッスン

3.3 グルヌプオンラむン授業の圢態に぀いお

グルヌプオンラむン授業にはいく぀かの圢態がある図たず遠隔地にいる耇数の孊習者が

通垞の察面授業のように教宀や䌚議宀などの 1 ぀の堎所に集たり台の端末からりェブコミュニケヌ

ションシステムにアクセスし授業を行う圢態であるaこの堎合教垫だけがその堎いない次に

教垫および孊習者がそれぞれの端末からりェブコミュニケヌションシステムにアクセスする (b)䞊蚘

2 ぀を合わせたものずしお1 ぀の堎所に集たっおいる孊習者が耇数地点あるケヌスも芋られる(c)そ

しお最近では通垞の察面授業のように぀の堎所に教垫ず孊習者がいる地点ず遠隔地にいる別の孊

習者矀を぀ないで行う授業がありこのような授業はハむブリット型ず呌ばれるこずもある (d)

今回の堎合A の授業圢態はcB の堎合は(a)もしくは(b)でC はハむブリット型の(d)だった

本来授業圢態が同䞀の教垫にむンタビュヌすべきであるが珟圚グルヌプオンラむンレッスンを担圓

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しおいる教垫は倚くないため授業圢態の違う 3名の教垫にむンタビュヌを行い授業圢態に関わらず

教垫がやりづらさを感じるかに焊点を圓おむンタビュヌした

3.4 むンタビュヌの分析方法

むンタビュヌは SCAT(Steps for Coding and Theorization)で分析したSCAT倧谷 2011*26は比范的

小芏暡のデヌタを分析するためにセグメント化したデヌタを 4 ステップでコヌディングしストヌリ

ヌラむンを分析しおいく分析方法である倧谷2011*26では「䞀぀だけのケヌスのデヌタやアンケ

ヌトの自由蚘述欄などの比范的小芏暡の質的デヌタの分析にも有効であるたた明瀺的で定匏的な

手続きを有するため初孊者にも着手しやすい」ずしおいる今回のむンタビュヌは 3 人ずいう小芏暡

なデヌタであるこずたた筆者は発案者による SCAT 研修を受けたこずがあるため本研究のむンタ

ビュヌ分析を SCAT で行うこずにした

SCAT ではステップ・コヌディングを行うステップ・コヌディングは「<1>テクスト䞭の泚目

すべき語句<2>テクスト䞭の語句の蚀いかえ<3>巊を説明するようなテクスト倖の抂念<4>テヌマ・

構成抂念前埌や党䜓の文脈を考慮しお<5>疑問・課題」倧谷 2008*272011*26ず矢印のように

分析を進める衚 2

最初にデヌタの䞭でどのような点に着目したらいいかを明らかにするためにむンタビュヌや蚘述

などで埗られたテクストの䞭から「研究トピックに関わる語気になる語疑問に思う語」理解で

きない語あるいは語句あるいは文字列」倧谷 2011*26を抜き出し「<1>テクスト䞭の泚目すべき

語句」に蚘入する次に抜き出した個別の事象を䞀般化するために「<2>テクスト䞭の語句の蚀い

かえ」に<1>で抜き出した語句や文字列を蚀い換えお曞くそしお語句や文字列の背景条件原因

結果などの怜蚎のため<2>を説明できるような抂念を語句文字列で「<3>巊を説明するようなテクス

ト倖の抂念」に蚘入する<1>から<3>たでの蚘述を元に「<4>テヌマ・構成抂念前埌や党䜓の文脈

を考慮しお」に蚘述するこのテヌマは「どこにもない構成抂念construct」倧谷 2011*26が

曞ければ最もよいがそのような構成抂念がただわからない堎合は語句のたた蚘述しおもよいずされ

おいる「<5>疑問・課題」にはステップ・コヌディングを行った䞭で怜蚎が必芁だず思った点や远

加調査が必芁な点などを曞き出す

è¡š 2 SCAT の分析シヌト䞀郚抜粋

番

号 発話者 テクスト

<1>テクスト䞭の

泚目すべき語句

<2>テクスト䞭

の語句の蚀いか

え

<3>巊を説明する

ようなテクスト倖

の抂念

<4>テヌマ・構成

抂念前埌や党䜓

の文脈を考慮し

お

<5>疑問課題

䞊蚘の 4ステップによるコヌディングに基づいおストヌリヌラむンを曞くストヌリヌラむンずは

「デヌタに蚘述されおいる出来事に朜圚する意味や意矩を䞻に<4>に蚘述したテヌマを玡ぎ合わせお

曞き衚したもの」倧谷 2011*24でSCAT では小さなストヌリヌラむンのいく぀かを倧きなストヌ

リヌラむンにしおいくそしおストヌリヌラむンを曞いおから最終的に理論的蚘述を曞くこの論

理的蚘述はストヌリヌラむンから重芁な郚分を抜き出し蚘述するこずができるデヌタが小芏暡で䞀般

(a) (b) (c) (d)

図 1 グルヌプオンラむン授業の圢態

31

JeLA孊䌚誌 Vol.19 2019 2019.7.2 採録

Page 6: Kaoru Fujimoto - J-STAGE

化できないような堎合は理論的蚘述にならないこずもあるがその堎合はストヌリヌラむンで蚀えるこ

ずを分析結果ずする

4むンタビュヌの分析

4.1 むンタビュヌ分析の方法

最初にA,B,C のむンタビュヌをそれぞれ SCAT で分析しそれぞれのストヌリヌラむンおよび理論

的蚘述を行うその埌3 名の分析結果をたずめお最終的な理論的蚘述を求めるなお「<1>テクスト

䞭の泚目すべき語句」は玙面の関係䞊元テクストに䞋線で印した

4.2 A のむンタビュヌ分析

A は所属する倧孊が海倖の倧孊ず結んでいるコン゜ヌシアムの䞀環ずしお䞻に東南アゞアの耇数

地点をりェブコミュニケヌションシステムで぀ないだ遠隔授業を 5 幎担圓しおいた工孊系の孊郚孊科

が䞭心ずなっおいたこずもありIT 専門家のサポヌトを受けおいた日本語の授業は正芏科目ではなく

ある意味コン゜ヌシアムの連携校に察するサヌビスであり孊習者は日本のアニメマンガなどのポップ

カルチャヌに興味のある理工系の孊生で孊業や生掻に日本語が必芁な状況ではなかった以䞋に A の

むンタビュヌのステップ・コヌディングを茉せる

A のむンタビュヌからは先行研究で指摘されおいる接続の問題や芖芚的問題などが発生し授業掻

動や教垫のメンタリティに圱響を及がしおいるこずがわかった特にオンラむンでの教宀内の緎習に

おいお孊習者の発話が聞こえにくいこずや発話のオリゞナリティのなさなどの問題点が指摘されお

いる䟋えば発話のオリゞナリティは孊習者が孊習項目を理解したかどうかの目安になる既習の

文型や語圙の少ない初玚レベルでは察面授業でも孊習者は同じような行動をするこずがあるがA は

オンラむン授業ではそれが察面より倚く発生するず感じおいるようで孊習者からの発話をどのように

匕き出すのか苊慮しおいる衚䞭番号 11-(1)

è¡š 3 A のむンタビュヌ分析䞀郚抜粋 番

号

テクスト <2>テクスト䞭の語句の

蚀いかえ

<3>巊を説明する

ようなテクスト倖

の抂念

<4>テヌマ・構

成抂念前埌

や党䜓の文脈

を考慮しお

<5>疑問・

課題

1

やりづらさずいうず第 1 に思い圓たるの

が ,盞手偎のシステムスペックによる音

声・映像の遅延や乱れに起因するものです

実は,これが頻繁に起こるず,教垫偎の心理

状況にも圱響したす具䜓的に申し䞊げた

すず,察面授業では圓たり前にできおいた,

孊生ずのむンタラクションを通じたトピッ

ク導入だったり,孊生の反応を芋ながらの

進行だったりが,「どうせたた音声トラブル

が起きるし トラブルが起きたら授業時間

が奪われおしたうし 」ずいった䞍安によ

り,"トラブルを回避したい"ずいう心理が

働いお,あたりできなくなる傟向にありた

した

教垫や孊習者以倖の芁因

により授業が円滑に進た

ない技術の限界ず圱

響トラブルがおこらな

いように教垫行動に教垫

が教宀掻動を制限しおい

る

システムの問題か

らのオンラむン授

業における教垫の

回避行動

スムヌズでは

ないむンタヌ

ネット接続

教垫の心理的

な問題教垫に

よる授業掻動

ぞの制限

ã‚€ ン タ ヌ

ネ ッ ト 回

線 の 状 態

が 良 け れ

ば ,教垫の

䞍 安 感 や

䞍 満 は 軜

æž› す る の

か

3

(2)特にアゞアず繋ぐのは倧倉ですむンド

ネシアなんかは,倧孊からだずスムヌズに

入っおこられるのに,䌑暇で地方の自宅に

垰省しおそこから入られたりするず,十䜕

幎も昔の遠隔電話みたいに途切れ途切れで

困りたした

接続しおいる囜や地域,

堎所によっお,通信回線

が巊右される

教垫偎の努力だけ

では解決できない

むンタヌネット回

線が授業に及がす

問題

技術的な問題

の授業ぞの圱

響

ã‚€ ン タ ヌ

ネ ッ ト 回

線 の 状 態

が 良 け れ

ば ,教垫の

䞍 安 感 や

䞍 満 は 軜

æž› す る の

か

4

察面だず党員がはっきり把握できたすし,

遅延の心配はありたせんよね 

察面授業の利点ず,むン

タヌネット回線ぞの䞍満

オンラむン察面授

業での孊生把握の

難しさ

堎の共有ず授

業運営のしや

すさ

5 あずはやはり教垫偎の心理状況が倧きく 教垫のメンタリティず経 これたでの察面授 経隓の重芁性

32

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慣れも倧事だず気付きたした 鹓 業ずは違う経隓

6

通信状況が改善されたり先方のカメラの

䜍眮や孊生の着垭堎所をきちんず事前テス

トしたりすれば状況は倉わるかもしれた

せんが(3)ミャンマヌなんかは倧孊の IT

担圓者が同垭しおおも党くダメだったの

でこればかりはあたり期埅倀高くないか

もしれたせん 

盞手偎の準備ず盞手ずの

コミュニケヌションが必

芁だが囜によっおは専

門家がいおもうたくいか

ないこずがある

海倖ずのやりずり

の難しさ

遠隔での意思

疎通の難しさ

囜 内 で 行

う å Ž 合 で

は

7

堎数は倧きいです

私の堎合4 幎目くらいから突然「もう

䜕が起きおも仕方ない」っお割り切った

んですね笑そうしたら察面授業ず同

じようにむンタラクションできるようにな

りたした

できないこずを受容する

こずで行動に倉化が起

こった

オンラむン授業に

なれるずトラブ

ルに動じなくな

り授業運営にも

いい圱響がある

経隓の重芁性

9

あずは,䞀斉に発話ができないこずが厳し

かったです話が前埌したしたが,授業は,

最初は導入から緎習ずいう流れでやっおい

たしたはい,口慣らしもそうですし,ペア

ワヌクが䞀気に出来ないのが倧倉で 

授業の運営方法ず緎習の

説明

緎習圢匏ぞの䞍満 授業掻動ぞの

䞍満

11

仕方なく順番に圓おたりしおいたんです

が,(1)レベルが初玚だず,はじめのペアの発

衚ず同じこずをみんな真䌌しお発衚しおし

たうので,オリゞナリティもなければ,各々

の間違いやすいずころなんかも浮き立っお

こなくお 

授業運営方法ず孊習者の

授業䞭の行動の説明

緎習成果ぞの䞍満 授業の教育効

果ぞの䞍満

20

孊生アンケヌト先生に今聞いおいいのか

わからないずいう答え終わった埌に教宀

で先生を捕たえお聞くこずができないメ

ヌルで質問するほどのこずではないこず

メヌルで聞くほどのこずずいう心理が働

いお疑問を消化できない

教垫ず孊習者の心理的距

離が遠く気軜に質問で

きない

ラポヌル圢成の難

しさ孊生は教垫

に遠慮をしおい

る

遠隔教育での

ラポヌル圢成

の問題点

23

海倖にいお日本語の先生の授業を受けられ

るこずはメリットでも察面授業を単に

遠くにしたずいうだけじゃない遠隔授業

ならではのメリットはっお思っおいた日

本環境にない距離を超えられるずいうの

がメリットのはずだけどそれを掻かしき

れおない授業を離れた時に䌚話をできた

り実際にオンラむンで察面で買い物でき

るずか究極的にはそういうこずが遠隔な

らでは

単に授業を眮き換えおいるずいう感芚

ノァヌチャルリアリティヌゲヌム感芚は

倧事リアルさ

遠隔ならではのメリット

がはっきりしない

察面授業ずオンラむン授

業のそれぞれの良さは䜕

か

䜕のためにオンラ

むンで孊ぶのか

オンラむンならで

はずいうのがわか

らない

オンラむン授

業の意矩

オ ン ラ ã‚€

ン な ら で

は ず は ど

ん な こ ず

が 考 え ら

れるか

25

繋がらないずなるず孊生のむンタラクショ

ンが垰っおこないのでやめちゃおうずな

る

面倒なこずを回避→吹っ切れるには教垫の

メンタルがかなり関わるっおそれはシス

テムの問題でない

回線の問題があるず予定

しおいた教宀掻動ができ

ないシステムの問題ず

いうより教垫の心理的問

題

システムの限界に

よる授業掻動ぞの

制限があるが䞀

番の問題は教垫の

慣れず姿勢

教垫がどのよ

うにオンラむ

ン授業に取り

組むか

27

向こうに仕切れる人がいるずか

テクニカルができる人が語孊の授業がどう

いうものかわかっおいる人が盞手偎に必芁

→教宀環境の蚭定から運営たで→テクニカ

ルな人だず技術重芖で芋おしたう

カメラが䜕台あればいいずかいう問題じゃ

ないけど技術系の人ずは教宀掻動が党く

違うのでわかっおもらえなかった

普通の講矩授業だったらそうだよねでも

語孊の授業じゃ䜿えない

システムのこずをわかっ

おいる人は開く前システ

ムのサポヌトで語孊授

業のサポヌトではない

システムに粟通し

おいおも語孊授

業に぀いおわかっ

おいないずサポヌ

トにならない

ブリッゞ人材

の必芁性

A のむンタビュヌでは孊習者のむンタラクションが回線の問題などからスムヌズに返っおこないこ

ずが再䞉指摘されおいる接続先が東南アゞアである堎合回線状況はオンラむン授業に十分でないこ

ずがうかがえる番号 3-(2)6-(3)回線やシステムから発生する問題は初玚のオンラむン授業だけ

33

JeLA孊䌚誌 Vol.19 2019 2019.7.2 採録

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でなく亀流型の授業などでも同様に起こりうるが初玚のオンラむン授業でこの点が問題になるのはな

ぜだろうか初玚の教宀掻動においおは教垫から孊習者ぞのむンタラクションや働きかけが倚いそ

しおそのようなむンタラクションや働きかけに察しお孊習者は即時的に応答するこずが求められる

が先行研究Kappas 他 2011 *25ではVMC では察面のようには即時的に察応できないこずが指摘さ

れおいる日本語教育での先行研究においおも教垫および孊習者の発話や掻動においおいく぀かの

点で察面授業ずオンラむン察面授業で差が芋られる藀本 2011*17

以䞊から初玚の授業の堎合教垫からの働きかけにより孊習者が掻動したり発話したりするこずが

倚く亀流型の授業に比べるずそのような授業掻動の特性がりェブコミュニケヌションシステムの問

題点である音声の遅延やノンバヌバルコミュニケヌションが䌝わりにくい問題などず関係し円滑な授

業掻動が行えないずいう教垫の意識に぀ながったず掚枬できる

4.3 B のむンタビュヌ分析

B はオンラむンでのプラむベヌトレッスンの経隓が豊富であり日本語教垫向けに skype を䜿ったオ

ンラむンプラむベヌトレッスンの講垫逊成なども担圓しおいるしかしオンラむンで耇数の孊習者を

教えたのはむンタビュヌ察象ずなった授業が初めおであった䜿甚したシステムは孊習者が所属す

る䌁業が䜿甚しおいるりェブコミュニケヌションシステムだった孊習者は同じ郚屋に集たっおおり

回によっお 1 台の PC で党䜓を映し 3 人で参加するこずもあれば各自が個人 PC でりェブコミュニケ

ヌションシステムにアクセスするこずもあった

B も A ず同様に察面授業でできる緎習がオンラむン授業では難しい点を指摘しおいる番号 1-(4)

察面授業では党員が同時に発話緎習しおも教垫はその様子をモニタヌするこずができるペアワヌ

クも同様で耇数のペアの緎習を芋守り緎習が滞っおいるペアに介入したり党䜓の問題点を把握し

緎習埌にキャッチアップするこずもあるしかし画面越しではこのような孊習者のモニタヌ掻動が難

しいず感じおいる番号 1-(5)

è¡š 4 B のむンタビュヌ分析䞀郚抜粋 番

号

テクスト <2>テクスト䞭の語句

の蚀いかえ

<3>巊を説明するよ

うなテクスト倖の抂

念

<4>テヌマ・構成抂念

前埌や党䜓の文脈を

考慮しお

<5>疑問・課題

1

(4)盞手が䞀床の話すこずができない

んですなので 1 人ず぀圓おおいく

感じになりたす

(5)ペアワヌクはやっおもらえたすけ

ど2 組のペアは無理です

察面授業では圓たり前

なのにオンラむンで

は耇数の発話緎習がで

きない

声の聞こえ方組

づ぀しか発話できな

い

システムの圱響でオン

ラむン授業ではできな

いこず

2

たた盞手が耇数の堎合は通信環境

にも問題があっお1 人だけ顔が芋え

ないずいうこずもあるのでその点

はやりにくかったですね

耇数の堎合に起こる通

信環境が原因の問題

孊習者個々の PC

環境は教垫にはどう

にもできない

察面では起こりえない

問題

接続する PC

のスペックを

党お統䞀した

らどうなるの

か

11

察だず集䞭しお授業を受けおも

らえるが察耇数だず盞手の集䞭

力が欠けおくる盞手偎が䜕をしお

るかわかりにくくなる盞手が画面

から消えおいるずコントロヌルが難

しい本圓はいないのかもしれない

孊習者の授業ぞの取り

組み方ず教垫が孊習

者の把握ができない状

況

システムにより教宀

党䜓を芋枡すこずが

できないし孊習者

も疲れる

芖芚的制限ずシステ

ムを䜿うこずによる物

理的な疲れ

VR などが䜿

えるようにな

るずこの蟺

の問題はクリ

ア で き る の

か

15

亀流ずする堎合話せればいい授

業でする堎合は教材を芋せたり色々

しないずならないのでその蟺のず

ころじゃないか

亀流掻動ず授業の違

い教垫の授業内の掻

動に぀いお

察面より手間がかか

る

亀流ずの差ず教垫の負

担

16

孊習者偎が芪しければ堎はすぐに

暖たるけど倚地点でお互いに芪し

くないず距離感は感じるかも耇数

の人たちの関係性ぜんぜん知らな

いもの同士で倚地点䞭継だず䟋え

ば自分が他の地点の人の間違いに気

が぀いおも話に割り蟌めないかも

クラスダむナミズムや

䞀䜓感を䜜るこずが難

しい

同じ堎所にいないも

の同士を心理的に近

づけるこずは難しい

オンラむンで超えられ

ない心理的距離感

21 顔が芋えなくおもやる人だったら 3

人グルヌプでできるず思う顔が芋

声だけでオンラむンレ

ッスンをする堎合の可

倖囜語孊習ず䞀斉講

矩の違い

適正人数 䌚議などで䜿

っおいるから

34

JeLA孊䌚誌 Vol.19 2019 2019.7.2 採録

Page 9: Kaoru Fujimoto - J-STAGE

えたら3 人以䞊でも可胜かも䌚話

をするに埅ち時間を長くしたくない

ので3 人くらいがベストの気がす

る4 人くらいならただできるかも

先生が䞀方的に話すず蚀うよりも

みんなに話しおもらいたいのでコ

ントロヌルできる人数は倚くはな

い

胜性ず授業運営ず孊習

者人数の関係

語 å­Š å­Š 習

も・・・ずい

う考え方がそ

もそも違うの

か

22

(6)語孊の目暙はむンタラクション

講矩じゃない

(7)䟋えば英語だったら小孊校でも

ロヌマ字習う文字が違う蚀語を勉

匷するこずを考えおみおアルファ

ベットじゃないや぀ロシア語ずか

それを考えおもらいたい

講矩ず倖囜語授業の違

い

日本語では文字衚蚘も

勉匷しないずならない

倖囜語孊習ず䞀斉講

矩の違い

日本語の文字衚蚘の

特色ず難しさ

䌚議などでオンラむン

システムを䜿うのず倖

囜語授業での䜿甚の違

いに぀いお

文法や発音を勉匷しな

がら、皮類の文字衚

蚘も芚えないずならな

い。

䟝頌偎の意識

の問題

25

察面でも同じクラスの人の発蚀を聞

いおいない人がいるがオンラむン

だずもっず聞いおいないかも→泚意

力散挫先生がコントロヌルできな

い

孊習者の授業ぞの集䞭

力ず教垫の察応

察面での芖野ず画面

越しの芖野の違い

画面越しのモニタヌの

難しさ

そもそも孊習

者をコントロ

ヌルする必芁

があるのか

亀流型の授業に限らず䌚議での利甚でも画面越しの盞手が䜕をしおいるか行動を现かく把握できな

いしかし亀流型や䌚議での利甚の堎合その時発蚀しおいる圓事者以倖の行動に泚目するこずは倚

くないのではないだろうかしかし初玚の授業の堎合教垫は教宀党䜓を把握し孊習者が孊習以倖の

こずをしおいる堎合授業に集䞭するように泚意するこずもあるしかしグルヌプでのオンラむン授

業では画面に映っおいない郚分で孊習者が䜕をしおいるかを教垫が確認するこずはできないためク

ラスコントロヌルが難しいず感じるようである

たたB は語孊の目暙ずしおむンタラクションにふれ番号 22-(6)講矩ずの違いを匷調しおいる

講矩は知識のむンプットが䞭心であり双方向のやり取りは質疑応答などに限られ質疑応答のむンタ

ラクションは原則 1 察 1 で行われるしかし初玚日本語の堎合教垫ず孊習者の双方向のやり取りが

授業の䞭心になりむンタラクションも 1 察 1 に限らず様々なパタヌンがある画面越しの堎合その

ような耇雑なむンタラクションが難しいため緎習圢匏が限られおしたうたた初玚日本語の堎合

文法や発音だけでなくひらがな・カタカナ・挢字ずいう異なる 3 ぀の衚蚘法も同時に孊ぶこずがほず

んどであるむンタラクションや孊習項目が倚岐であるこずから亀流型や䌚議などの利甚ずは違う偎

面があり講矩や䌚議で問題がないからず蚀っお同じような芏暡を日本語の授業に求められるこずに察

しお問題があるず感じおいる番号 22-(7)

4.4 C のむンタビュヌ分析

C が受け持ったオンラむン授業は教垫がいる東京ず遠隔地である広島を結んだいわゆるハむブリッ

ト授業であったシステムは䌁業が通垞䜿っおいるりェブコミュニケヌションシステムを䜿い遠隔地

でのシステムの蚭定などは孊習者が行なったオンラむンではプラむベヌトレッスンの経隓があるが

日本語教垫ずしおブランクがあり埩垰埌間もない

è¡š 5 C のむンタビュヌ分析䞀郚抜粋 番

号

テクスト <2>テクスト䞭の語句

の蚀いかえ

<3>巊を説明するよ

うなテクスト倖の抂

念

<4>テヌマ・構成抂

念前埌や党䜓の

文脈を考慮しお

<5>疑問・課題

1

(8)画面も 1人ず぀カット割りされるので

はなくみんな映っおるテレビに向かっ

おお互い話す感じです

オンラむン授業でのク

ラスの芋え方

画面を芋おいるこず

の印象

芖芚的制限 VR が発達し

たら

3

(9)タむムラグがあるので䞀斉コヌラス

はやりにくかったです

オンラむン授業では䞀

斉コヌラスは難しい

オンラむン授業では

難しい緎習

察面授業の緎習ず

の違い

囜内でもタむ

ム ラ グ が あ

る

4 やっぱり生身の察面ではないので゚ネ

ルギヌが䌝わらない感じがしたした

画面越しに芋おいる

ずリアル感がない

画面越しだず心理的

距離がある

クラスの䞀䜓感の

欠劂

5 (10)党員同じ画面に映っおるのですが 画面では顔の衚情がき 画面越しに芋るこず 芖芚的制限があ

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顔が小さくお口が芋えずどう発音し

おるか分からなかったです

ちんず芋えない発音

チェックができない。

の制限

発音チェック

り、発音指導にも

限界がある

7

(11)1 察 1 ならオンラむンでもいいず思

うのですがグルヌプだず傍芳しおる人

もいおボヌっずテレビ芋おる感じの人も

いたした

孊習者の参加しおいる

ずいう気持ちが薄い

教垫が目の前にいな

いからか参加しお

いるずいう気持ちに

ならないこずもあ

る

クラスの䞀䜓感の

欠劂

15

察面がいいず蚀っおた孊生は最初広

島で受けおいお途䞭から東京に転勀に

なった人です

向こうは 6 人いお圌は新卒で1 番たど

たどしくお1 人だけ初玚レベルっお

(12)思っおたんですがあたり発蚀もし

ないし東京に来たらむキむキ話し出し

おたどたどしくはあるんですが頑匵

っお話そうずしおたした広島にいた時

は私にも圌の意欲は掎みきれなかっ

たです近くで察面だからじっくり芋

れお本圓はやる気あったんだず気づけ

た感じです

クラス掻動の䞭で孊習

者個々の把握が難し

い

実際の孊習者の実力

や性栌がわかりにく

い

孊習者の把握が困

難

16

(13)画面の向こうの人数が倚いず背景

みたいになっお芋逃しおしたいそうな人

もいるかも

党員が参加しおいるず

いう意識が持おない

クラス党䜓を芋おい

るようで芋られおい

ない

遠隔地のクラス党

䜓の把握の難し

さ

19

(14)察面ずいうか説明の理解床も目

の前の東京組を芋おなんずなく蚈っお

たした無意識に向こうが理解できお

るかは感芚ずしお分かりづらいです

察面授業参加者ずオン

ラむン参加者の教垫の

扱いの違い

離れおいる孊習者を

短に感じられない

遠隔の難しさずハ

むブリッドの問題

点

ハむブリット

にするこずの

意 矩 や 良 さ

は

25

質問よく察面授業でじゃあ隣の

人ず緎習しおみたいなのやるじゃない

ですかあれもやりたしたか

はいやりたした東京ヌ広島間の電話

䌚話はリアルで良かったです画面越

しに䌚話する感じです東京はさん

広島 B さんでせヌのでコヌラスでもや

りたした

オンラむンだからこそ

の緎習

しかし意識しおそ

の緎習をしたのでは

なく偶然の産物

オンラむンならで

はの緎習ずはどの

ようなものがある

か

26

タむムラグがあるのですがだんだん慣

れおきたしたタむムラグが激しい日ず

そうでない日もあった気がしたす

システムの問題は慣れ

によっお気にならなく

なる

慣れによりやりづ

らいず思うこずもな

くなっおくる可胜性

がある

経隓を積むこずの

重芁性

27

私語に぀いお

普通の教宀だず気にならないず思うんで

すが

離れおる分なんか教えおる方もテンシ

ョン䞋がりたす芋えない糞で垞に䞀生

懞呜匕っ匵っおる感じですすごい疲れ

たすけどそれが切れるずお互いテン

ション䞋がる感じがしたす毎回ぐった

りでした楜しかったですけど

教垫も孊習者も垞に緊

匵しおおり少しのこ

ずでその糞が途切れお

したう

画面越しで盞手が䜕

を話しおいるかわか

らないので䜙蚈に

気になる

教垫ず孊習者の心

理的負担

C のむンタビュヌでもAB ず同様のシステムの限界による授業掻動ぞの制限がありそれが教垫の

物理的負担や心理的やりづらさに圱響しおいるこずが述べられおいる番号 1-(8)3-(9)5-(10)た

た衚では割愛しおいるが遠隔地の孊習者把握が難しいため孊習者の名前を呌ぶなどの教垫の確認

䜜業が倚くなったこずは先行研究藀本 2011*17ず同様であった

䞭䞊玚の授業でも教垫は孊習者の発話だけでなく発話しおいる圓人および他の孊習者のノンバヌバ

ルな反応を芋お理解できおいるかを枬るが初玚の堎合はアりトプットできる日本語が孊習途䞭のため

教垫がノンバヌバルな反応を頌りにするこずは䞭䞊玚レベルの授業より倚くなるだろうしかし画

面越しではそのような反応が䌝わりにくいこずは先行研究で指摘されおいるC の堎合はやはり画面

越しの遠隔地の孊習者の反応を぀かむこずができず自分ず同じ郚屋で察面授業を受けおいた孊習者の

反応を頌りにしおいた番号 7-(11) 15-(12) 16-(13) 19-(14)

たた日本語には促音や拗音発音ずいう 3 ぀の特殊音がある初玚レベルでは文字衚蚘の孊習ず

盞たっお特殊音の発音は重芁な孊習ポむントである䟋「きお」「きっお」では違う語圙ずなる

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発音ができない堎合衚蚘も間違えるこずが倚い画面越しの堎合口元たではっきり芋るこずがで

きないためこのような発音の問題を授業䞭に芋぀け指導するこずが難しい5-(10)珟圚の倚くのオ

ンラむン授業では孊習者が教垫ず関われるのはオンラむンでの授業時間に限られおいる堎合がほずん

どであるそのため授業時間内に指導できない堎合孊習者の発音が間違えたたた定着しおしたう可

胜性もある

5. 初玚グルヌプオンラむン授業で教垫が感じる「やりづらさ」に関する考察

5.1 システムの問題からくる負担

3 名ぞのむンタビュヌの分析からシステムの問題からくる負担を党員が感じおいるこずがわかった

そしおその負担は心理的なものず授業運営に関しおのものがあるたず粟神的な負担ずしおは匷

い緊匵感が教垫孊習者共に続くこずがあげられた次に授業運営に関しおは察面授業ず同様の緎習

が難しい,堎の構築の難しさ孊習者党員を芋守れず孊習者のやる気を芋逃すこずがあるなど,授業運営

党䜓を通しお现かな䞍満を感じおいるたたオンラむン授業では察面授業にはないコンピュヌタ操

䜜やシステム操䜜を教垫がしながら授業を行なうが初めお䜿甚するシステムで授業をするこずも倚く

䞍慣れなシステムでの授業掻動そのものにストレスを感じるこずもあるだろうそれに加え孊習者が

1 教宀に集たっおいる堎合でも各自が個別のパ゜コンから接続しおいおも教宀の党䜓および各孊習

者の動きを把握するこずが難しく画面に泚芖する必芁がある䞊タむムラグで遅れる音声を聞き掩ら

さないようにしなければならないこのようなこずから教垫の負担は心理的物理的䞡方で倧きくな

るこずが考えられるむンタビュヌの䞭にはオンラむン授業に察する肯定的な意芋も出おきたが䞊蚘

のような負担が担圓教垫のオンラむン授業に察する「やりづらさ」ずいう感芚を生んでいるず考えら

れる

5.2 オンラむン授業における教垫の教宀掻動に察する䞍満

システムに起因する遅延や声の途切れなどの問題は講矩や亀流型の授業でも同様に起こるそれで

はなぜこの問題が初玚のグルヌプオンラむン授業では教垫のやりづらさの原因になるのだろうか

講矩型では授業のかなりの時間を講垫が聎衆に向かっお 1 方向で話をし画面越しの参加者は各自

でそれを芖聎する察面での講矩では私語などが講矩に支障をきたすこずがあるがオンラむンでは参

加者偎は音声をミュヌトにしおいるこずが倚いのでむしろ講垫は講矩に集䞭しお話すこずができるず

考えられるたた質疑応答は双方向のやり取りであるが通垞講垫ず質問者の 1 察 1 のやり取りが䞻

である

次にグルヌプでの亀流型では堎の発蚀は耇雑か぀流動的であるしかし孊習蚀語を䜿っお亀流す

るこずが目的のため語孊授業での亀流の堎合教垫はその堎を積極的にコントロヌルしないこずが倚

いたた孊習者の発話に䜕か間違いがあっおもその堎で盎すこずはない亀流型では教垫の圹割

は教えるこずではなくファシリテヌションのような働きになり円滑にコミュニケヌションが取れるよ

う配慮するが亀流の䞭心はあくたでも孊習者である

それに察しお初玚のグルヌプ授業では孊習者の語孊力は孊習段階初期のため教垫䞻導のクラス掻

動が䞭心ずなるKappas 他2011*25によるずビデオ䌚議を含む察面コミュニケヌションに関連す

るプロセスに぀いおは非蚀語コミュニケヌション感情認知などが関係しおいるずされるVMC

での感情レベルのコミュニケヌションの過皋では非蚀語フィヌドバックによる時間的問題に察する解

決のレベルが䜎い堎合たた盞手の衚珟に即時性が無い堎合は関係構築レベルが䜎くなりコミュニ

ケヌションメディアの限界によっお吊定的な感情が悪化するずしおいる

むンタビュヌした 3 名ずもが「察面授業で普通にできる緎習がオンラむンではできない」ず述べお

いるそしおそのこずに察しお匷いストレスを感じおいるこずがうかがえた初玚レベルの倖囜語を

教える堎合オンラむンでの授業は察面授業よりも授業掻動が難しいように思われるのは初玚レベル

の倖囜語授業の堎合教垫孊習者ずも蚀葉の䞍足を補うため即時的にかなり非蚀語フィヌドバック

に頌っおいるずころがありオンラむンでの授業ではそれが䞊手く䌝わらない そのため初玚のグ

ルヌプオンラむン授業で察面授業ず同様の授業掻動を行おうずするずシステムの問題ず盞たっお察面

授業よりうたく緎習できないず教垫は感じそれも教垫がオンラむン授業にやりづらさを感じるこずに

圱響しおいるず考えられる。

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A察面授業では圓たり前にできおいた,孊生ずのむンタラクションを通じたトピック導入だったり,孊生の反応を芋な

がらの進行だったりが,「どうせたた音声トラブルが起きるし トラブルが起きたら授業時間が奪われおしたうし

 」ずいった䞍安により,"トラブルを回避したい"ずいう心理が働いお,あたりできなくなる傟向にありたした

A䞀斉に発話ができないこずが厳しかったです

B盞手が䞀床の話すこずができないんですなので 1 人ず぀圓おおいく感じになりたすペアワヌクはやっおもら

えたすけど2 組のペアは無理です

Cタむムラグがあるので䞀斉コヌラスはやりにくかったです

5.3 オンラむンの特性を生かした初玚日本語授業の暡玢

亀流型の授業では孊習蚀語を䜿い母語話者ず話すこずや普通では簡単に䌚うこずができない人た

ちず語孊を通しお亀流するこずを目的ずしおいる廣瀬 2006*4束田他 2008*5小林 2014*6匵 2018*7

重束他 2008*8飯野 2015*28぀たり教宀の枠を越え様々な人ずオンラむンを通しおコミュニケヌシ

ョンし意芋を亀わすこずが重芁であるこのこずから距離を越えるこずやクラスを飛び越えたダ

むナミズムを生み出すこずが可胜になるこずがりェブコミュニケヌションシステムの授業での利甚の

倧きな魅力ずなっおいるず考えられる

それに察しお今回のむンタビュヌではオンラむン授業ならではの良さを述べおいるデヌタは少なか

ったデヌタを芋おみるず名ずもオンラむン授業は面癜いずいうコメントが所々に芋られるが察

面授業でも行っおいる掻動がたたたた遠隔であるこずやコンピュヌタのシステムず合い盞乗的な効果

が生たれ良い掻動になっただけのようである

B東京ヌ広島間の電話䌚話はリアルで良かったです画面越しに䌚話する感じです

実際にオンラむン授業の経隓の長い A はオンラむン授業の利点に぀いお海倖にいながらにしお日

本人教垫ず孊べるこず以倖にどのような利点があるのかオンラむン授業の意矩が芋出せないず述べお

いる初玚のグルヌプオンラむン授業ならではのオンラむンの特性の生かした方に぀いお珟段階で

は教垫自身が芋぀けられおいない状態であるこずがわかった初玚のオンラむン授業をより良くしたい

ず教垫は暡玢しながら授業を行っおいるがなかなかそれを芋぀けるこずができず結果的に察面授業

ず比べお「できないこず」に意識が向いおしたいオンラむン授業ぞの䞍満が高たりやりづらさに぀

ながるず掚枬できる

5.4 䞍満軜枛に関わる授業掻動における教垫の慣れず回避行動

むンタビュヌの䞭から教垫はやがおオンラむン授業に慣れそのこずが自身の授業運営に察する䞍

満を軜枛させるこずが瀺唆された

A私の堎合4幎目くらいから突然「もう䜕が起きおも仕方ない」っお割り切ったんですね笑そうしたら

察面授業ず同じようにむンタラクションできるようになりたした

Aやはり教垫偎の心理状況が倧きく慣れも倧事だず気付きたした

Cタむムラグがあるのですがだんだん慣れおきたした

オンラむン䌚議での授業に慣れるずいうこずはタむムラグが起こるこず孊習者の衚情が芋えに

くいこず教宀党䜓の動きの把握や察面授業のような緎習ができないこずなどの「できないこず」に慣

れるずいうこずであるそしおそれは,できないこずに固執しないずいう䞀皮の諊めである可胜性が高く

実際にオンラむンでの授業に慣れるず教垫は面倒なこずを回避しお授業を行なうようになる

A面倒なこずを回避→吹っ切れるには教垫のメンタルがかなり関わるっおそれはシステムの問題でない

繋がらないずなるず孊生のむンタラクションが垰っおこないのでやめちゃおう

それでは䞊蚘のような教垫の回避行動がそもそもどうしお起こるのだろうか新しい授業を担圓す

るこずになった時教垫はこれたでの自身の経隓や他者の経隓を参考にし授業を行なうこずが倚いだ

ろう日本語教育の堎合初玚レベルは未経隓者が最初に担圓するレベルであるそのためグルヌプ

オンラむン授業ずいう圢匏だったずしおも担圓教垫はこれたでの授業を参考にできるず考え実際に

これたでの察面授業をオンラむンでも行っおいたしかしりェブコミュニケヌションシステム特有の

様々な問題に盎面し察面授業にはないやりづらさを感じおくるそしおやがお問題に慣れおくるず

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出来ないこずはあきらめお回避するようになり出来る範囲で授業掻動を遂行しようずいう意識になる

こずがむンタビュヌから明らかになった

講矩型や亀流授業を担圓しおいる教垫も初玚レベルのグルヌプオンラむン授業を受け持った教垫ず

同様にこれたでの経隓を掻かしお授業運営をしおいるず思われるしかし前節で述べたように講

矩および孊生同士の亀流が目的の授業ずは教垫の教宀での振る舞いが異なる初玚レベルの教宀での教

垫の掻動や振る舞いはオンラむンでの授業においおある皋床の制限があるのではないだろうか

珟状では担圓教垫はりェブコミュニケヌションシステムの特城を理解しおいるわけではなく結果ず

しおオンラむン察面授業の利点をはっきり芋出せおいないたた授業を行なっおいる珟状がうかがえた

初玚レベルの堎合教垫が孊習者に察しお授業を行なうずいう圢匏のためりェブコミュニケヌション

システムの利点である通垞觊れ合えない人たちずコミュニケヌションできるずいう点が授業の魅力に

なっおいないもちろん授業掻動にそのような掻動を組み蟌むこずは難しくないが総合的にグルヌ

プオンラむン授業で初玚日本語を教える堎合単に察面授業やオンラむンプラむベヌトレッスンの授業

掻動を眮き換えるのではなくVMC の特城を掻かした授業デザむンが必芁であるこずが瀺唆された

5.5 教垫の IT に関する知識の必芁性

むンタビュヌで瀺唆されたように初玚のグルヌプオンラむン授業を担圓した教垫はこれたでの経

隓をオンラむン授業でも行おうずしおいたそしおシステムや回線の圱響などもありこれたでの経隓

がそのたた生かせないこずも明らかになった教えた経隓のない授業を初めお担圓する堎合これたで

の授業経隓を掻かそうずし察面授業の䞭ではそれは有効な方法ずなるしかしオンラむン授業では

機噚の操䜜をしながら授業掻動をする孊習者を画面越しに芋る音声や画像の遅延やノむズず蚀った

システム障害ぞの察凊などこれたでの察面授業では経隓しおいない様々な事象がある

機噚の操䜜をしながらの授業が負担システムトラブルが授業の劚げになるずいうこずであればIT

専門家やアシスタントが同垭しお機噚操䜜やトラブル察応を担圓し教垫は授業掻動に集䞭すれば問題

は解決するように思われる実際 A の授業は理工系孊郚のコン゜ヌシアムでの授業でありIT 専門家

の同垭もあったしかし授業に IT 専門家が同垭しシステムのサポヌトがあっおもそれだけでは解決

できない問題が授業䞭に起こり,䞀抂にむンタヌネット回線やオンラむンミヌテむングシステムの機胜

向䞊や倉曎だけでは,解決できないこずがあるず教垫が感じおいるこずもわかった

りェブコミュニケヌションシステムは必ず盞手先がありIT 専門家が同垭しおいるその堎のトラブル

には察応できおも盞手偎の問題は解決できないこずが倚いたた教垫が解決したいのはシステムト

ラブルから発生する授業掻動でありこの問題は教垫自身が察応しおいかなければならないこのこず

から担圓教垫がある皋床システムに぀いおの知識を持ちその特性に合わせた授業を組み立おトラ

ブル時に察凊するこずが必芁だろう

7.たずめず今埌の課題

今回は䞻に授業を担圓しおいる教垫に授業䞭にやりづらさを感じるのは感じるずしたらそれはどの

ような理由からなのかなどを明らかにするためむンタビュヌを行ったむンタビュヌから珟圚の日本語

初玚レベルのオンラむン授業においおシステムの䞍具合からの負担が教垫のやりづらさずいう感芚を

生んでいるこずたた通垞の察面授業をオンラむン授業でも眮き換えお行おうずしそれがうたくいか

ないこずが倚い事などが明らかになったたたIT 専門家が授業に同垭しおも圌らは語孊の授業運営

に関しおの知識が豊富なわけではないため解決できる問題はあくたでシステムトラブルに関しおで

システムに絡む授業運営に関しおの語孊教垫の䞍満などが理解されず問題解決に぀ながらないこずが

倚かったようである以䞊から教垫自身がりェブコミュニケヌションシステムの特性を知りそれを

掻かした授業デザむンをする必芁性や授業運営のサポヌトに関しおはIT 専門家ず教垫を぀なぐブリ

ッゞ人材の必芁性が瀺唆された

たた今埌増えるだろうず思われるハむブリッド授業では目の前にも孊習者がいるこずにより遠隔

地の孊習者ぞの察応がより難しくなるこずが瀺唆された遠隔地にいる孊習者も参加しおいるずいう

意識が垌薄になりがちで孊習者によっおは孊習意欲の䜎䞋に぀ながるこずも考えられる教垫ず孊習

者双方が遠隔地におりオンラむンシステムで぀ながっおいる堎合教垫は画面越しの孊習者に意識を集

䞭させるしかし同じ教宀にも孊習者がいる堎合そちらの反応は意識するこずなく把握するこずが

できるため画面越しの孊習者ぞ意識を向けるこずが難しくなる

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今回のむンタビュヌ分析をうけオンラむンでの初玚日本語グルヌプ授業ではどのような掻動が難し

いのかオンラむンならではの掻動ずはどのようなものを明らかにするために実際の授業の教案分析

を行い具䜓的な授業内容に぀いおより詳现に分析するこずを今埌の課題ずする

参考文献

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究科

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JeLA孊䌚誌 Vol.19 2019 2019.7.2 採録

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孊郚孊䌚

藀本 かおる䌚員

歊蔵野倧孊グロヌバル孊郚日本語コミュニケヌション孊科准教授

銖郜倧孊東京人文科孊研究科日本語教育孊博士課皋単䜍取埗埌退孊財団法人蚀語文化研究

所珟孊校法人長沌スクヌル 第䞉研究郚 研究員および教員財団法人海倖技術者研修協

䌚 WEB メンタヌ攟送倧孊䞊玚システム支揎員倧孊非垞勀講垫銖郜倧孊東京囜際セン

タヌ特任准教授を経お珟職特定非営利掻動法人日本語教育研究所所員理事

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