22
三次電池の実現に向けた 材料開発 筑波大学数理物質系 エネルギー物質科学研究セ 守友 2020/7/29 4TIAかけはし 成果報告会 1

TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

三次電池の実現に向けた材料開発

筑波大学数理物質系エネルギー物質科学研究セ

守友 浩2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 1

Page 2: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

三次電池の提案

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 2

Page 3: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

電池と社会

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 3

IT equipment Electric vehicle

一次電池使い捨て

二次電池電力で充電

2019, Novel Prize

IT社会(現在)

三次電池環境熱で充電

IoT社会(未来)

IoT社会の基盤技術である自立分散電源

Page 4: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

① 守友 浩、小林航、特開2018-073569「熱発電素子」筑波大学、2016/10/28

② 守友 浩、柴田恭幸、特願2018-234227「熱発電素子」筑波大学、群馬高専、2018/12/14

Vcell(T+ΔT)=Vcell(T)+αcellΔT

電池の起電力Vcellの展開

三次電池のコンセプト

α α0

正極 負極

電池セル

αcell=α-α0

α: 電位の温度係数動作の実証

温度変化を充電できる蓄電デバイス 環境エネルギーで発電し設置場所を

選ばない自律分散電源 IoT社会を不可欠な基盤技術 二次電池技術の転用が可能

「三次電池」特徴

熱効率2.3%(カルノ効率の26%)

290 300 310 3200

10

20

30

40

50

Tcell / K

Vce

ll /

mV

(a) heating

1st

0.1 0.2

10

20

30

40

50

0

Charge / e/NCF90

Vce

ll /

mV

(b) discharge

1st

290 300 310 320-50

-40

-30

-20

-10

0

Tcell / K

Vce

ll /

mV

(c) cooling

0 0.1 0.2-50

-40

-30

-20

-10

0

Charge / e/NCF90

Vce

ll /

mV

(d) discharge

熱による充電 放電

Y. Fukuzumi, et al., Energy Technology, 6, 1-7 (2018).

三次電池とは

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 4

Page 5: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

5

分散性 製造コスト 量産性 起電力

熱電変換(既存技術)

×熱源に接触

△今後の課題

△今後の課題

0.1mV/K以下

三次電池(本技術)

◎ ◎二次電池技術の転用

◎二次電池技術の転用

1mV/K以上

表1:既存技術と本技術の比較

温度差

起電力

電極電位

正極 負極

低温

正極 負極

高温

起電力

三次電池(本技術)温度変化を起電力に変換する

熱電変換(既存技術)温度差を起電力に変換する

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会

本技術の優位性

Page 6: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

6

三次電池を組み込んだセンサー

電地管理・交換不要土中水分モニター 登山ルート 侵入防止

無数のセンサーを広範囲に分散

波及効果

① (経済的波及効果)付加価値の高い「三次電池」組み込んだセンサーが、市場で高いシェアを占める

② (社会的波及効果)「三次電池」の普及により、ゼロエミッション社会への近づく③ (学術的波及効果)電位の温度効果の活用により、使いにくい熱エネルギを高

効率で電力に変換

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会

活用例

Page 7: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

開発の現状

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 7

Page 8: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

酸化還元電位の温度係数

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 8

280 290 3003180

3190

3200

Tcathode (K)

V (

mV

vs.

Na

+/N

a)

(a) NCF71 x = 0.51

SEC = 0.53 mV/KTannode = 295.3 K

280 290 3003290

3300

3310

Tcathode (K)

V (

mV

vs.

Na

+/N

a)

(b) NCF90 x = 0.71

SEC = 1.32 meV/KTannode = 295.3 K

Low-α High-α

electrolyte: 1 mol/L NaClO4 in PC

0.53 mV/K 1.32 mV/K

TL TH

V

NCF90 Vcell

NCF71

正極と負極のαの差を活用

Page 9: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 9

三次電池のデモ

T

Vcell

10 mol/l NaClO4 in water

Anode: NCF71α=+ 0.7 mV/K

Cathode:NCF90α=+ 1.4 mV/K

300 310 3200

10

20

30

40

50

T (K)

Vce

ll (

mV

)

(a) heating

dV/dT = 0.96 mV/K

TL = 295 K

TH = 323 K

0.1

10

20

30

40

50

0

Charge (e/NCF90)

Vce

ll (

mV

)

(b) discharge

TH = 323 KI = 2.9 A

T. Shibata, Y. Fukuzumi, W. Kobayashi & Y. Moritomo, Appl. Phys. Express 11, 017101 (2018).

TL =295 K / TH =323 K

電力の取り出し27 mV

熱的に充電

熱効率1.0、カルノー効率の11%

Page 10: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 10

熱サイクル

熱サイクルの模式図

充電

充電

NNF68/NCF90三次電池

① heating: 起電力の発生② discharge:電力の取り出し③ cooling: 起電力の発生④ discharge:電力の取り出し 280 290 300 310 320 330

0

10

20

30

40

50

T (K)

Vce

ll (

mV

)

(a) warming

TH = 323 KTL = 283 K

5 10 15 20 25 30

10

20

30

40

50

0

q (mAh/g)

Vce

ll (

mV

)

(b) discharge at TH1st5th10th

280 290 300 310 320 330-60

-50

-40

-30

-20

-10

0

T (K)

Vce

ll (

mV

)

(c) cooling

0 5 10 15 20 25 30-60

-50

-40

-30

-20

-10

0

q (mAh/g)

Vce

ll (

mV

)

(d) discharge at TL

1st5th10th

I. Takahara, T. Shibata, Y. Fukuzumi and Y. Moritomo, ChemistrySelect4, 8558 – 8563 (2019)

Page 11: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

NMF83/NCF90三次電池

T

Vcell

1 mol/l NaClO4 in PC

Anode: NMF83α=- 0.3 mV/K

Cathode:NCF90α=+ 1.4 mV/K

TL =286 K / TH =313 K

39 mV

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 11

290 300 310 3200

10

20

30

40

50

Tcell / K

Vce

ll /

mV

(a) heating

1st

0.1 0.2

10

20

30

40

50

0

Charge / e/NCF90

Vce

ll /

mV

(b) discharge

1st

290 300 310 320-50

-40

-30

-20

-10

0

Tcell / K

Vce

ll /

mV

(c) cooling

0 0.1 0.2-50

-40

-30

-20

-10

0

Charge / e/NCF90

Vce

ll /

mV

(d) discharge

Y. Fukuzumi, K. Amaha, W. Kobayashi, H. Niwa & Y. Moritomo, Energy Technol. 66 (2018) 1865 -1870.熱効率2.3%、カルノー効率の26%

Page 12: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

材料開発

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 12

Page 13: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

三次電池の熱起電力を決定

還元状態のエントロピーSre

電位の温度係数α

α=(Sre-Sox)/e

酸化状態のエントロピーSox

3d電子エントロピー振動エントロピー

Na配置エントロピー溶媒配置エントロピー

・・・

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 13

Page 14: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 14

PTB7

P3HT

F8T2

プルシャンブルー類似体0.7 mV/K (NCF71)0.3 ~ 1.4 mV/K (NCF90)-0.3 ~ 1.2 mV/K (NMF83)3d電子エントロピー

Y. Fukuzumi, et al., Energy Technol. 6, 1865 (2018).

LiFePO40.9 mV/K二相分離

Y. Fukuzumi, et al., AIP Adv. 8, 065021 (2018).

NaCoO20 ~ 0.9 mV/KNa配置エントロピー

高分子材料

Y. Fukuzumi, et al. JJAP 58, 065501 (2019).

αの大きな材料を求めて

物質系が広い

Page 15: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 15

研究体制

安田 剛

高分子選定

守友 浩

D1 岩泉 滉樹

電気化学測定

下位 幸弘

分子軌道計算

Page 16: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

チオフェン

・ポリチオフェン

P3HT

チオフェンとアリール基

F8TBT

F8T2 PFB

TFB

・フルオレン系高分子

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 16

試料

・キャスト法でITO基板上に製膜・2極ビーカーセルで起電力の温度変化を測定・αLi=0.76mV/K

Y. Fukuzumi, et al., J. Phys.Soc. Jpn. 87, 055001 (2018)

Page 17: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

αP3HT=0.76 mV/K+ Δα=1.08 mV/K

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 17

結果の例:P3HT

LUMO

HOMO

Page 18: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

P3HT F8TBT F8T2 PFB TFB

αpolymer 1.08mV/K 0.42mV/K 0.38mV/K 0.27mV/K 0.19mV/K

αThiophen > αAryl

チオフェンチオフェンとアリール基 アリール基

P3HT F8TBT

F8T2PFB

TFB

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 18

結果のまとめ

Page 19: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

チオフェンとベンゼンは6個のπ電子をもつ

還元状態 中性状態状態数

W=2×2 W=1×1

酸化状態

W=2×2

チオフェン

ベンゼン

αThiophen > αAryl を説明できない。

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 19

π電子配置エントロピー

Page 20: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

計算レベル:B3LYP/6-311G(d,p)

酸化↓

フォノンエネルギー↓↓

フォノン数↑↓

振動エントロピー↑

500

1000

5000

C4SH4

C4SH4+

Fre

quen

cy (

cm-1

)

A1 A2 B1 B2

中性状態

酸化状態

500

1000

5000

Fre

quen

cy (

cm-1

)

Ag AuB1g B1uB2g B3g B2u B3u

C6H6

C6H6+

中性状態

酸化状態

D6hの規約表現はD2hの規約表現に相関させた。

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 20

Gaussianによる振動解析

Page 21: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

中性状態

酸化状態

ベンゼン

0.191 meV/K

0.320 meV/K

チオフェン

0.150 meV/K

0.188 meV/K

α=1

e∆𝑺 -0.129 mV/K-0.038 mV/K>

𝑆vib = 𝑘B

𝑖

3𝑁−6 ℎω𝑖𝑐𝑘𝐵𝑇

𝑒−ℎω𝑖𝑐𝑘𝐵𝑇

1 − 𝑒−ℎω𝑖𝑐𝑘𝐵𝑇

− 𝑙𝑛 1 − 𝑒−ℎω𝑖𝑐𝑘𝐵𝑇

kB :ボルツマン定数

T :温度(298.15K)

c :光速

ω𝑖:振動波数h :プランク定数

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21

振動エントロピー

αThiophen > αAryl と整合

H. Iwaizumi, et al., Jpn. J. Appl. Phys. 58, 097004 (2019)

Page 22: TIA - 三次電池の実現に向けた 材料開発2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 21 振動エントロピー α Thiophen > α Aryl と整合 H. Iwaizumi, et al.,

1. 5種類の導電性高分子におけるαを決定した。αの大きさは、主鎖のチオフェンの割合にスケールした。

2. αThiophen >αArylの傾向を振動エントロピーで説明した。

3. 今後は、さらに主鎖骨格の異なる高分子に対してαを決定し、αと振動エントロピーとの相関を調べる。

2020/7/29 第4回TIAかけはし 成果報告会 22

まとめ