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入浴剤の現状と展望 The current state and prospects of bath additive Satoshi Watanabe, Taichi Ishizawa, Mitsuo Tsunakawa 株式会社バスクリン 製品開発部 Products Development Dept. Bathclin Corporation (受付 2019 12 20 日/受理 2019 12 21 日) 入浴剤は,温泉,薬用植物の二つを主なルーツとし,基本的な効果は,入浴そのものによって得られる温浴効果 (身体を温める,痛みを和らげる,等)と清浄効果(汚れを落とす,皮膚を清浄にする, 等)を高めることであ り,この考え方を基本に,医薬品医療機器等法で効能効果が定められている.主な特長として,炭酸ガス系は血行 促進効果,無機塩類系は保温効果,スキンケア系は皮膚の保湿作用,清涼系は爽快感 等が得られる.香りはリラ ックス感,リフレッシュ感をもたらし,疲労感をやわらげ,睡眠感にも良好にはたらくことが期待されている.本 稿では,入浴剤,入浴に関連する近年のトピックス,先行研究も含めて報告する. キーワード:入浴剤,温泉,薬用植物,血行促進効果,保温効果 Bath additives were originally obtained from two main sources: hot springs and medicinal plants. They enhance the effects of bathing, such as the warm bathing effect (warming the body, alleviating pain, etc.) and the cleansing effect (removing impurities, making the skin clean, etc.). Accordingly, the effects and efficacy of bath additives are defined by the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices. The main benefit of each type of bath additive depends on its effects: the carbon dioxide gas type improves blood flow, the inorganic salts type improves the retention of body heat, the skincare type moisturizes the skin, and the refreshing type leaves the bather feeling refreshed. Fragrances are thought to enhance the bather’s feeling of relaxation and refreshment, thereby alleviating fatigue and improving quality of sleep. This article outlines recent topics and literature related to bath additives and bathing. Keywords: bath additives, hot springs, medicinal plants, blood flow improvement effect, body heat retention effect 1.はじめに 入浴は,日本人にとって汗や汚れを落とし,清潔 さを保つために有用なものである.そもそも,入浴 は江戸時代から,身体をきれいにするものとして, お堂などで行われていたものだが,その後,銭湯な どの公衆浴場となり,1960 年頃の高度経済成長か ら,内風呂が普及し,入浴剤も多くの方に使われる ようになった.入浴剤は,初めは,身体を温め,香 りを楽しむものとして使われていたが,時代と共に 嗜好の変化,パーソナル化,多様化が進んでいる. 渡邊 智,石澤太市,綱川光男 〔日生気誌 56(4) : 1211312020DOI: 10.11227/seikisho.56.121 (Jpn. J. Biometeor. 56(4) : 1211312020) 総 説

The current state and prospects of bath additive

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〔日生気誌 00(0) : 00-00, 0000〕 (Jpn. J. Biometeor. 00(0) : 00-00, 0000)

入浴剤の現状と展望

The current state and prospects of bath additive

渡邊 智,石澤太市,綱川光男

Satoshi Watanabe, Taichi Ishizawa, Mitsuo Tsunakawa

株式会社バスクリン 製品開発部

Products Development Dept. Bathclin Corporation

(受付 2019 年 12 月 20 日/受理 2019 年 12 月 21 日)

入浴剤は,温泉,薬用植物の二つを主なルーツとし,基本的な効果は,入浴そのものによって得られる温浴効果

(身体を温める,痛みを和らげる,等)と清浄効果(汚れを落とす,皮膚を清浄にする, 等)を高めることであ

り,この考え方を基本に,医薬品医療機器等法で効能効果が定められている.主な特長として,炭酸ガス系は血行

促進効果,無機塩類系は保温効果,スキンケア系は皮膚の保湿作用,清涼系は爽快感 等が得られる.香りはリラ

ックス感,リフレッシュ感をもたらし,疲労感をやわらげ,睡眠感にも良好にはたらくことが期待されている.本

稿では,入浴剤,入浴に関連する近年のトピックス,先行研究も含めて報告する.

キーワード:入浴剤,温泉,薬用植物,血行促進効果,保温効果

Bath additives were originally obtained from two main sources: hot springs and medicinal plants. They

enhance the effects of bathing, such as the warm bathing effect (warming the body, alleviating pain, etc.) and the cleansing effect (removing impurities, making the skin clean, etc.). Accordingly, the effects and efficacy of bath additives are defined by the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices. The main benefit of each type of bath additive depends on its effects: the carbon dioxide gas type improves blood flow, the inorganic salts type improves the retention of body heat, the skincare type moisturizes the skin, and the refreshing type leaves the bather feeling refreshed. Fragrances are thought to enhance the bather’s feeling of relaxation and refreshment, thereby alleviating fatigue and improving quality of sleep. This article outlines recent topics and literature related to bath additives and bathing.

Keywords: bath additives, hot springs, medicinal plants, blood flow improvement effect, body heat retention effect

1.はじめに

入浴は,日本人にとって汗や汚れを落とし,清潔

さを保つために有用なものである.そもそも,入浴

は江戸時代から,身体をきれいにするものとして,

お堂などで行われていたものだが,その後,銭湯な

どの公衆浴場となり,1960 年頃の高度経済成長か

ら,内風呂が普及し,入浴剤も多くの方に使われる

ようになった.入浴剤は,初めは,身体を温め,香

りを楽しむものとして使われていたが,時代と共に

嗜好の変化,パーソナル化,多様化が進んでいる.

〔日生気誌 00(0) : 00-00, 0000〕 (Jpn. J. Biometeor. 00(0) : 00-00, 0000)

入浴剤の現状と展望

The current state and prospects of bath additive

渡邊 智,石澤太市,綱川光男

Satoshi Watanabe , Taichi Ishizawa, Mitsuo Tsunakawa

株式会社バスクリン 製品開発部

PRODUCTS DEVELOPMENT DEPT. BATHCLIN CORPORATION

(受付 2019 年 12 月 20 日/受理 2019 年 12 月 21 日)

入浴剤は,温泉,薬用植物の二つを主なルーツとし,基本的な効果は,入浴そのものによって得られる温浴効果

(身体を温める,痛みを和らげる,等)と清浄効果(汚れを落とす,皮膚を清浄にする, 等)を高めることであ

り,この考え方を基本に,医薬品医療機器等法で効能効果が定められている.主な特長として,炭酸ガス系は血行

促進効果,無機塩類系は保温効果,スキンケア系は皮膚の保湿作用,清涼系は爽快感 等が得られる.香りはリラ

ックス感,リフレッシュ感をもたらし,疲労感をやわらげ,睡眠感にも良好にはたらくことが期待されている.本

稿では,入浴剤,入浴に関連する近年のトピックス,先行研究も含めて報告する.

キーワード:入浴剤,温泉,薬用植物,血行促進効果,保温効果

Bath additives were originally obtained from two main sources: hot springs and medicinal plants. They

enhance the effects of bathing, such as the warm bathing effect (warming the body, alleviating pain, etc.) and the cleansing effect (removing impurities, making the skin clean, etc.). Accordingly, the effects and efficacy of bath additives are defined by the Act on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical Devices. The main benefit of each type of bath additive depends on its effects: the carbon dioxide gas type improves blood flow, the inorganic salts type improves the retention of body heat, the skincare type moisturizes the skin, and the refreshing type leaves the bather feeling refreshed. Fragrances are thought to enhance the bather’s feeling of relaxation and refreshment, thereby alleviating fatigue and improving quality of sleep. This article outlines recent topics and literature related to bath additives and bathing.

Keywords: bath additives, hot springs, medicinal plants, blood flow improvement effect, body heat retention effect

1.はじめに

入浴は,日本人にとって汗や汚れを落とし,清潔

さを保つために有用なものである.そもそも,入浴

は江戸時代から,身体をきれいにするものとして,

お堂などで行われていたものだが,その後,銭湯な

どの公衆浴場となり,1960 年頃の高度経済成長か

ら,内風呂が普及し,入浴剤も多くの方に使われる

ようになった.入浴剤は,初めは,身体を温め,香

りを楽しむものとして使われていたが,時代と共に

嗜好の変化,パーソナル化,多様化が進んでいる.

〔日生気誌 56(4) : 121–131,2020〕DOI: 10.11227/seikisho.56.121

(Jpn. J. Biometeor. 56(4) : 121–131,2020)

総 説

本稿では,入浴剤の歴史,概要,近年のトピックス,

展望について概説する.

2.入浴剤の歴史

入浴剤のルーツを見ていくと,大きく温泉由来,

薬用植物由来の二つとなる.温泉由来については,

温泉を乾燥粉末化するなど加工したのが始まりで

ある.薬用植物由来については,端午の節句の菖蒲

湯,冬至のゆず湯などが有名である.入浴剤として

は,明治中期,種々の生薬を配合し,布袋に入れ煎

出して用いる商品が作られたのが初めてである.そ

の後,様々な効果を持つ温泉(子宝の湯・腫れもの

の湯・中気の湯・美人の湯など)を,家庭で簡単に

利用できないかとい

う考え方から,昭和初

期に無機塩類入浴剤

(ノボピン,バスクリ

ン(図 1) 等)が開

発され,発売された.

これらは温泉を構成

している成分のうち

安全性が高く,効能効

果を有し,品質が安定していて,原料としても確保

しやすい基剤が選択され,入浴を楽しく演出するた

めに,色素や香料が配合された.戦前,風呂付の住

宅を持っている家庭はまだ少なく,入浴剤は主に銭

湯など,公衆浴場で使われていた.1960 年以降の

高度成長期のおり,風呂付の公団住宅の建設が増え

始め,自宅にお風呂があることが一般的になってき

た.1980 年代になると炭酸ガス系の入浴剤(バブ

等)が発売され,健康志向の高まりもあり,入浴剤

市場が急速に拡大した.さらに温泉ブームがあり,

多くの温泉タイプの入浴剤(日本の名湯,旅の宿

等 )も発売された.その後,保湿成分でスキンケ

アや美容効果を期待する商品(ソフレ,エモリカ

等)が発売された.2000 年代以降は,香りを楽し

むタイプ(バスクリン アロマスパークリング,ク

ナイプシリーズ 等)など,アソートタイプが増え

ている印象がある.

われわれは,入浴剤を作り始めてから,120 年以

上になる企業として,皆様に安心して喜んで使って

いただける入浴剤を開発してきた.そのルーツにつ

いて,少し説明させていただく.弊社の入浴剤のル

ーツとしては,1897 年(明治 30 年)に銭湯向けに

津村順天堂から発売された『くすり湯 浴剤中将湯』

(図 2)に遡る.1890 年代に津村順天堂の社員が漢

方薬『中将湯』の生産の時に出る生薬の残りカスを

家に持ち帰り風呂に入れたところ,冬はカラダが温

まり,夏は子供のあせもが改善するということで,

社員の間で評

判となった.

この噂を本店

のある日本橋

や工場のある

目黒の銭湯が

伝え聞いて,

販売するよう

になったのが

弊社の入浴剤のルーツである.

3.近年の入浴剤の動向

近年の入浴剤の市場規模は,500~550億前

後(㈱バスクリン,2019)で推移しており,市場の

伸びは微増ではあるが年々増加傾向にある.個包装

タイプ,組合せによるアソートタイプが増加傾向で

あり,消費者の日替わり使用,および嗜好性の多様

化に幅広く対応してきている.たとえば,季節限定

シリーズアソート,温泉シリーズアソート等の企画

品,ワンポーション,ボトルタイプも少量化するな

ど,様々な商品を楽しむことができるようになって

きている.

商品特徴からみると,香りに着目しリラックス効

果など情緒面への影響を期待したもの,温熱系成分

を配合し,より高い満足感を期待するもの,スキン

ケア成分をバランス良く配合したスキンケアタイ

プのものがある.

香りに着目した商品として,特徴のある精油の配

合,香気成分を採取・分析し,再現し,自然な色と

組み合わせることで,自然のなかにいるようなリラ

ックス感を得られるようなものもある.弊社では,

屋久島,小笠原,知床などの世界遺産をテーマとし

た植物香気の配合等を行っており,香りのネーミン

グも含めて各々メーカー独自の賦香など工夫もみ

られる.使用者の選択において,香りは重要な因子

であり,ストレス社会における癒しを追求した商品

開発は,多様性が求められる現代では,質の高いも

( 122 ) 渡邊 智,ほか

のつくりとしてますます求められると思われる.

温熱系成分としては,溶解時に発生する炭酸ガス

は,血行促進などが期待でき,健康センター,銭湯

等でも人工炭酸泉などとしてもよく見かける.入浴

剤の市場としては,炭酸ガス系は約4割を占め,発

泡による視覚的なおもしろさもあり,様々な商品が

ある.近年は,高濃度タイプ,および薬用植物との

組み合わせなど,機能性をより体感できるようなラ

インナップ(きき湯ファインヒート,バブメディキ

ュア)も多い.弊社のきき湯を例に説明すると,ミ

ネラル有効成分と炭酸ガスを中心に処方組みし,腰

痛,肩こり,冷え症,荒れ性などの症状別に対応し

たねらいの商品となっている.血行促進,循環改善,

保湿感など,それぞれの商品に機能をもたせ,使い

手側にも選択する上で参考となる情報として伝え

ている.他に,メントールなどの配合で清涼感,爽

快感が得られるタイプがある.

スキンケア成分をバランス良く配合したタイプ

として,浴湯中で白濁する液体タイプ(ソフレ,ウ

ルモア,エモリカ 等),粉体タイプ(バスクリン

ピュアスキン バスロマンスキンケア 等)がある.

弊社のソフレを例に説明すると,抗炎症効果などで

知られている甘草エキス,使用感もよく皮膚になじ

み保湿効果の高いホホバオイル,ベニフウキ茶エキ

ス,コメぬかオイルなどを配合しており,様々な保

湿系成分と共に,入浴中,入浴後共に使用感触の良

好な商品が多い.近年,エネルギー分野でも活用さ

れている水素は,抗酸化作用が期待され,入浴剤へ

も配合(スパパーフェクション)されてきている.

4.入浴剤の効果

入浴剤は,浴湯に投入して使用する為,入浴の作

用,及び入浴剤の各種成分による作用が期待される.

その作用について説明する.

4-1 入浴の作用

入浴時には,生体は,浴湯水より物理作用,温熱

作用をうける.

[物理作用]

全身水浴では,浮力により体重が約1/9に減じ

る.肩まで浴槽につかると,身体のうける静水圧に

より,胸囲は1~3cm,腹囲は2~5.5cm も減

少(阿岸,2013)する.

[温熱作用]

水温が 36℃前後の不感温度では,生体の諸機能

に与える影響は最小であるが,38℃以上になると心

拍数や心拍出量などが増加(坂田,1998)する.自

律神経系では,高温浴(41℃以上)や冷水浴(25℃

以下)では交感神経の緊張を促し,微温浴や温浴(37

~40℃)では副交感神経系が優位となり鎮静的には

たらく(美和ほか,1997;大中,1997).

4-2 入浴剤の効果

入浴剤の基本的な効果は,入浴の温浴効果と清浄

効果を高めることにある.温浴効果とは,身体を温

める効果,痛みを和らげる効果等であり,清浄効果

とは,汚れを落とし皮膚を清浄にする効果である.

入浴剤の薬機法(旧薬事法)で定められている効能

効果の範囲,使用目的および剤型については,表1,

2のとおりである.

入浴剤の成分として汎用されているものとして

は,無機塩類,炭酸ガス,薬用植物,酵素,清涼剤,

有機酸類,保湿剤,香料,色素である.それぞれの

効果と入浴剤成分の関係から整理してみると,

①皮膚血流促進・保温効果

→ 無機塩類,炭酸ガス,薬用植物

②皮膚清浄効果

→ アルカリ塩類,蛋白分解酵素

③皮膚保湿効果

→ 水溶性・油溶性成分,薬用植物類

( 123 )入浴剤の現状と展望

④皮膚柔軟化効果

→ アルカリ塩類,水溶性・油溶性成分,

薬用植物

⑤抗炎症・抗アレルギー・抗菌効果

→ 薬用植物,グリチルリチン等

である.

入浴剤のメリットとしては,局所に塗布する外用

剤と違って一回の入浴で簡単に体表面全体に成分

をいきわたらせることができることと,入浴によっ

て角質層が水和・膨潤することで外用剤よりも低濃

度で作用するというふたつのメリットがあげられ

る.入浴剤の使用が全身に作用,影響するため,粘

膜部位への接触があり,開発においては安全性に配

慮し,上市する製品は安全性試験を行う等の対応が

必要である.

5. 入浴剤の剤型と有効性に関する報告

5-1 入浴剤の剤型

剤型面から見ると,バスクリン,バスロマン,旅

の宿などの粉体タイプ,きき湯,温包,バブなどの

錠剤タイプ,ソフレ,ウルモア,エモリカなどの液

体タイプに大きく分けられる.

市場的には,粉体タイプ,錠剤タイプが大きく,

この二つで 8割強を占める.さらに,液体タイプも

含めれば,9割近くとなる.他には,薬用植物を主

剤とするもの(くすり湯,バスハーブ 等),岩塩

状のものを主剤とするもの(アーユルタイム,クナ

イプ 等)がある.

次に,それぞれの有効性等に関する報告について,

いくつか紹介する.

5-1-1 粉体タイプ

無機塩類を主剤とするタイプで,香料,色素,安

定化剤等により処方化されている.無機塩類として

は,硫酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,硫酸マ

グネシウム,炭酸ナトリウム,硫酸アルミニウムカ

リウム,塩化カリウム,塩化ナトリウム,炭酸カル

シウム,セスキ炭酸ナトリウム,メタケイ酸ナトリ

ウム等がある.無機塩類には,保温効果,血行促進

効果等とそれにもとづく有効性が報告されている.

伊藤らは,硫酸ナトリウム,塩化ナトリウムの皮膚

血流増加作用,浴後の保温作用(Fig.3)を報告(伊

藤ほか,1982)している.長井らは,硫酸マグネシ

ウムの温熱効果として,皮膚血流増加作用(Fig.4),

浴後の保温作用に加え,循環器への影響として,心

拍出量の増加などについても報告(長井ほか,1992)

している.多施設臨床事例としては,人工塩類泉入

浴効果研究班(全国 6施設共同研究)は,本態性高

血圧患者に対し,就寝前入浴による夜間の深部体温

及び血圧への影響(人工塩類泉入浴効果研究班,

1997)について検討した.入浴の条件は,さら湯

( 124 ) 渡邊 智,ほか

浴,人工温泉浴(芒硝・重曹泉浴剤;バスクリン),

入浴なし(無入浴)の 3条件で,それぞれ別の日に

行った.その結果,深部体温は,無入浴では時間経

過と共に徐々に低下するが,さら湯浴では最大

0.3℃の上昇が 2.5 時間持続し,人工温泉浴におい

ては最大 0.4℃の上昇が 5時間持続した.睡眠時の

収縮期血圧でみると,無入浴では平均 7mmHg,

さら湯浴では平均 15mmHg,人工温泉浴では平

均 21mmHgの低下を認めた(Fig.5).

田中らは,本態性高血圧症者を対象とし,硫酸ナ

トリウムと炭酸水素ナトリウムを混合した入浴剤

を用い,その効果(田中ほか,1987)について検証

している.それによると,単純泉と比較して,入浴

剤浴が高血圧患者で有意に強い降圧作用,深部温の

高値と持続作用,静脈血の浄化作用(鮮紅色化が確

認された.

著者らは,芒硝,食塩を主体とした入浴剤の保温

効果に関して,保温効果(Fig.6)を確認し,抗酸

化防御機構に与える効果を振動障害の患者を対象

とし検討(渡邊ほか,1997)した.振動障害

(Vibration Syndrome:以下,VS)は振動工具を

使用するヒトに認められる職業病であり,末梢循環

障害などに基づく諸症状を呈している.この病態の

背景として血小板機能の活性化が考えられており

(野尻ほか,1980;内海ほか,1984),血小板凝集

能抑制作用を持つ薬剤の有効性が報告されている

(阿岸,1985;阿岸,1992).

一方,糖尿病や虚血性心疾患などの患者では血小

板機能が亢進しており,その原因の一つとして抗酸

化防御能の低下が考えられている(Muruganandam A

et al.,1992; Buczynski A. et al.,1993).したが

って,同様に血小板機能が亢進しているVS患者に

おいても,抗酸化防御能が障害されている可能性が

ある.今回,赤血球の抗酸化防御機構の一つである

SOD活性値をVS患者において測定したところ,

Nebot らの報告値(94.0±1.0(U),Mean±S.E.)の

1/2 以下(Nebot C. et al.,1993)であり,明らかに

減少(Fig.7)していた.本入浴剤を用いた連浴に

よる保温効果などから,末梢循環障害の良好化に寄

与したものと考えられた.

以上の効果については,塩類が皮膚の表面の蛋白

質と結合して膜を形成し,この膜が身体の熱の放散

を防ぐために,入浴後の保温効果が高くなったもの

と考えられている.

宍戸らは,保湿性の面で炭酸水素ナトリウム,デ

キストリン,ホホバ油などの組み合わせによる入浴

に保湿性があると報告(宍戸ほか,1989)した.

森らは,炭酸水素ナトリウムと汗の相互作用と,

物理的な挙動変化について研究し,汗の pH の上昇,

汗の表面張力を上昇させる作用,明礬による皮膚の

臨界表面張力の低下作用について報告(森ほか,

1993)しており,皮膚の濡れ性の低下への寄与と浴

後の湿潤感の軽減を示唆した.

炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウムなどのアル

カリ塩類は,石鹸と同じように皮膚の汚れを乳化す

る事で,清浄効果(渡邊ほか,1993)が期待されて

いる.

香りに関する研究では,われわれは紛体タイプの

入浴剤で,溶解時にフレッシュな香りを揮散する技

術を応用し,自律神経系,脳波からリフレッシュ感,

リラックス感について評価を行い,さら湯との比較,

( 125 )入浴剤の現状と展望

入浴温度による違いを確認(渡邊ほか,2010;渡邊

ほか,2012)した.

5-1-2 錠剤タイプ

炭酸塩と有機酸を配合し,浴湯投入後,炭酸ガス

を発生し,湯中に炭酸ガスが溶存するタイプで,香

料,色素,安定化剤等により処方化されている.炭

酸ガスは,皮膚毛細血管を通じて吸収され,血管拡

張作用で,血流増加が期待できる.さら湯の湯温よ

り,1~2℃温かく感じることができ,少しぬるめで

も,長めに入ることができ,温浴効果をえることが

できる.炭酸ガスによる皮膚血流の増加が,濃度依

存性に生じること,血管拡張により多くの熱量を早

期に体内に入れやすいこと,その反応は入浴開始数

分から生じる事が報告(Maeda et al.,2000; Maeda

et al.,2003)されている.

無機塩含有の炭酸ガス浴の影響について,著者ら

(Watanabe et al.,2006)は,無機塩含有炭酸ガス

入浴中の皮膚血流について,健常者の前腕部部分浴

により検討した結果,濃度依存的に皮膚血流の増加

(Fig.8)がみられ,本入浴剤の血管拡張により,

入浴中,入浴後の末梢循環機能改善を確認した.全

身浴による生体への影響について検討した結果,前

腕内側部皮膚深部温,足背部皮膚表面温(Fig.9),

手掌部皮膚血流は,浴後,さら湯浴と比較して,有

意に高かった.

飯山らは,食塩含有炭酸ガス浴の健常者における

入浴中の皮膚血流増加効果について報告,飯山ほか,

2004)した.下堂薗らは,硫酸マグネシウム含有炭

酸ガス浴の皮膚血流増加効果,浴後の深部体温の保

持,筋硬度の柔軟化について報告(下堂薗ほか,

2011;Megumi s et al.,2012)した.久保らは,普

段シャワーのみの学生を対象に,浴槽入浴をしても

らい,睡眠,気分状態への影響を観察し,入浴が気

分状態の改善に有効で,無機塩含有炭酸ガスタイプ

の入浴剤では,OSA-MA の「起床時眠気」と「疲労

回復」はシャワー浴に比べ有意差を認めたとしてお

り,温まることに加え,香りや色調による疲労軽

減・活力低下予防効果が OSA-MA の主観的評価に影

響を及ぼしたと報告(久保ほか,2017)した.

入浴による熱刺激に対して産生されるタンパク

質である HSP70 は,生体防御作用,免疫向上が期待

されており,40℃20 分入浴の 2 日後に血液生化学

検査での HSP70 が有意に増加したと報告(伊藤ほか,

2008)されている.入浴剤(無機塩炭酸ガス入浴剤

タイプ)による 40℃15 分浴の検討では,さら湯浴

に比較して,より多くの産生(伊藤ほか,2010)が

あり,疲労感の軽減,体力指数の向上など,健康面

での寄与についても期待されている.

著者らは,入浴剤(無機塩炭酸ガス入浴剤タイプ)

とロコモ運動を組合せることで,2週間の連続によ

り,2step index を指標とした安静時の歩行能力が,

さら湯入浴も含め改善し,入浴剤とロコモ運動の組

合せによる効果では,さら湯浴と比較して入浴剤群

で有意に改善(渡邊ほか,2018)し,運動併用によ

る機能改善が示唆された.

5-1-3 液体タイプ

このタイプは,浴湯投入後,白濁するなど,スキ

ンケアタイプが多いが,薬用植物抽出液主剤の液体

タイプによる皮膚血流,皮膚温の増加等,温熱効果

を期待する報告がある.

伊藤は,トウキ,センキュウ,チンピ,ハマボウ

フウ,カミツレ,ハッカからなる生薬抽出液入り液

体浴用剤バスハーブを用い,皮膚温,皮膚血流量の

増加を報告(伊藤,1981)している.センキュウ,

チンピの抽出物を配合した浴用剤の報告として,堀

( 126 ) 渡邊 智,ほか

切らは,健常者の循環動態に与える影響を検討し,

対照としたさら湯群に対し,浴後の舌下温の高値,

皮膚血流の高値,血漿ノルアドレナリンの上昇を報

告(堀切ほか,1998)した.

通常シャワー浴のみの若年健常者を対象とした

研究では,トウキ,チンピ,カミツレ,ショウキョ

ウの抽出液を含む生薬液体入浴剤の 2週間使用で,

POMS の怒り敵意が,平準化(⊿50 値)したと報告

(Takaaki Kubo et al.,2015) し,さら湯では違い

がないが,さら湯後の保温をすることで同様な変化

がみられたことから,入浴剤の血流増加,保温等の

温浴効果,および香り,緑黄色の溶解色がリラック

スなどに影響したものと推察している.

疾患を対象とした臨床報告では,坂田らは,慢性

関節リウマチ(RA)患者を対象とし,ランズバリ

ー指数を指標とした評価及び筋のこわばり等の自

覚症状の緩解について,生薬抽出液入り液体浴用剤

を評価し,良好な結果(坂田ほか,1994)を得た.

田原らも,RA患者を対象とし,ランズバリー指数

を指標とした評価および筋のこわばり等の自覚症

状の緩解について,生薬抽出液入り液体浴用剤をダ

ブルブラインドテストにて評価し,淡水と比べ有意

に良好な結果(田原ほか,1992)を得ている.いず

れの報告も,末梢循環改善による効果が関与してい

ると考えられる.

スキンケアタイプでは,アトピー性皮膚炎を対象

とした入浴剤の使用試験があり,それぞれ皮膚の乾

燥や,かゆみをやわらげることが報告(小野ほか,

1996,村田ほか,1995)されている.渡辺らは,甘

草抽出エキス,ホホバ油配合の入浴剤を用い,乾燥

性皮膚疾患を対象とした使用試験(渡辺ほか,2003)

を行い,全般改善度の軽微改善以上で 89%,総合

判定のやや有用以上で 89%とし,乾燥性皮膚疾患

に対する有用性を報告した.

5-1-4 薬用植物タイプ

薬用植物を水エタノールなどの溶媒で抽出した

もの,エキス末化したものを配合したもの,不織布

などに薬用植物,生薬を入れ,使用時に浴湯で揉み

だすなどして使用するものがある.薬用植物は,セ

ンキュウ,チンピ,トウキ,ショウキョウ,カミツ

レ,ウイキョウ,オウゴン,オウバク,コウボク,

米発酵エキス,ジュウヤク,ショウブ,トウガラシ,

ニンジン,ユズ,ヨモギ,ボウフウ,ハッカ葉,甘

草,ケイヒ,等が配合されている.

薬用植物抽出液による基礎的研究として,李らは,

センキュウ,トウキ,チンピ,トウキ,トウガラシ,

ウイキョウの水エタノール抽出液を用いて,入浴中

及び入浴後の血流促進効果と,その濃度依存的な効

果を確認し報告(李ほか,2007)している.これら

の生薬は,実際に入浴剤の原料として使用されてお

り,本効果はその入浴効果を裏づけるものと考えら

れる.

村上らは,伝統的に用いられる薬湯について生理

効果を測定し,大根葉,菊,根菖蒲,薄荷に,さら

湯との比較で,有意な皮膚血流量の増大がみられた

と報告(村上ほか,2000)している.

保湿作用に関する研究では,関らは,地黄あるい

は当帰には,表皮脂質の合成作用(関ほか,1988)

がある可能性が示唆されるとしている.さらに,地

黄および当帰を用いた入浴剤をアトピー性皮膚炎

の治療に併用したところ,従来から行われている本

症に対する内服,外用療法の補助的効果を臨床的に

確認し,角層水分量あるいは角層水分保持能の改善

を報告(関ほか,1993;関ほか,1995)している.

著者らは,使用時に浴湯中で要時抽出する生薬刻

みタイプ浴用剤に関し,温浴効果について評価を行

った.健常男性を対象とし,刻み生薬浴用剤浴群は,

淡水浴群に比較して,浴後 60 分後に前腕部皮膚深

部温が有意(p<0.05)に高く,前腕部皮膚温,示指部

指尖容積脈波については浴後,高値(渡邊ほか,1998)

を示した.

近年,タンニン酸が,汗抗原に関与し,かゆみに

有効との報告(Fig.10)もあり,保湿に加え,乾燥

に伴うかゆみなどを入浴により緩和できる可能性

が報告(鈴木ほか,2019)されている.温まりが強

すぎると,かゆみが増強する可能性もあるため,ぬ

るめの入浴が望ましいと考えられる.

以上より,入浴剤とは,無機塩類,炭酸ガス,薬

用植物のいずれか,あるいは組み合わせたものと必

要に応じて色素,香料,安定化剤などから構成され

る粉体,液体,錠剤などを剤型とした外用剤である.

入浴剤は,温浴効果,清浄効果などを家庭で手軽に

享受できるというメリットを持つ.

( 127 )入浴剤の現状と展望

6. 関連する近年のトピックス

6-1 健康寿命と入浴

国策として,2013 年 6 月 14 日閣議決定した「日

本再興戦略」に「国民の健康寿命の延伸」がテーマ

として掲げられ,厚生労働省は,2013 年 8 月 30 日

に,同戦略を踏まえて,「国民の健康寿命が延伸す

る社会」に向けた予防・健康管理に関する取組の推

進を発表した.急速な高齢化と共に,介護を受けた

り寝たきりになったりせず日常生活を元気にすご

せるとする健康寿命に関した内容で,健康日本 21

を基本に,健康寿命の延伸と健康格差の縮小を全体

目標として,生活習慣病の発症予防と重症化予防の

徹底による NCD(がん,循環器疾患,糖尿病,慢性

閉塞性肺疾患)の予防,社会生活を営むために必要

な機能の維持及び向上による社会生活に必要な機

能の維持・向上(こころの健康,次世代の健康,高

齢者の健康),健康を支え,守るための社会環境の

整備による地域の絆による社会づくり(地域のつな

がり,健康づくり,健康格差対策),生活習慣及び

社会環境の改善による栄養・食生活,身体活動・運

動,休養,飲酒,喫煙,歯・口腔の健康が掲げられ

た.生活習慣病予防には,入浴は,身体を良く温め,

疲れを取ることができるため,生活の質を高めるた

めにも重要であると考えられる.

6-2 温暖化と入浴

温暖化の影響,都市部のヒートアイランド現象に

よって,熱中症予防対策は健康問題として重要な課

題のひとつとなっている.春秋期の夏日,夏期の冷

夏,猛暑日の増加,日の寒暖差が大きくなってきて

いる.気象状況の変化により,体調を整えるのも大

変になってきている.

熱中症対策としては,水分補給,直射日光を避け

る,冷房を有効に使うなどの対処もあるが,体質を

暑熱適応対応となるような,日ごろの運動,発汗機

能の向上なども効果的である.日本生気象学会では,

熱中症予防として,予防の基本は体温上昇の抑制と

脱水予防をあげている.体温上昇の抑制では,暑熱

順化(暑さに慣れる)により暑さに強い体を作るた

め,「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる運

動をあげている(日本生気象学会,2016).入浴は,

温浴効果から,暑熱に対する反応として発汗機能に

も影響し,熱中症対策としても有効であるものと考

えている.

体温調節機能として,発汗は重要であり,日ごろ

の入浴により,発汗を促す習慣をつけることで,暑

熱環境での耐性が高まる可能性もあるものと考え

られる.運動も発汗機能を高めることに有用である

が,苦手な方もいる.運動が苦手な方でも,入浴す

( 128 ) 渡邊 智,ほか

る事による暑熱適応で発汗機能を高められるので

あれば,日常生活の入浴習慣を少し工夫するだけで,

暑熱に対する耐性がたかまり,有用であると考えら

れる.

6-3 生活習慣,しつけ,教育と入浴

食育,浴育のように,幼少期の教育,体験が,そ

の後のライフスタイル等に影響することが知られ

ている.生活習慣,しつけ,教育と入浴に関して,

何かしら関連があるものとして,我々は調査を行っ

てきた.

著者らは,浴槽入浴者を対象に,幼児,保護者の

其々の入浴嗜好と STAR(幼児の社会性発達)につ

いて,相関解析を行い検討した結果,保護者の入浴

嗜好が高い程,「おもいやる」,「ことば」,「運動」,

「かんがえる」の 4領域で有意な関連を示し,幼児の

入浴嗜好が高い程,「おもいやる」,「ことば」,「か

んがえる」の 3 領域で有意な関連を示した(渡邊ほ

か,2017).

親子の入浴の目的として,「入浴の世話」,「コミ

ュニケーション」,「楽しく入浴」があり,濃厚な親

子のふれあい体験を伴い,家族のスキンシップ,コ

ミュニケーションにとっても重要である(園田ほか,

2017).

浴室での入浴は,滞在時間としても 30 分程度で

はあるが,上記のような関連や実態が明らかになっ

てきており,日本人にとって日常的な習慣ともなっ

ている入浴について,幼少期の体験や習慣がその後

の生活習慣や QOL にどのように影響するか興味深

いところである.

7.今後の展望

入浴剤は,お風呂で楽しむもので,世界的に見れ

ば,温泉の豊富な日本のような地域や,古くから温

泉による治療,休養などで親しまれ活用されてきた

欧州地域など以外では,浴槽入浴を楽しんでいる

人々はそう多くはないと考えられる.近年,SNS 等

の普及により,入浴に関連する情報が容易に拡散し,

海外から日本に入浴,温泉を気軽に利用しに訪れる

ようになってきている.上述したように,入浴,入

浴剤から得られる身心への影響は様々で,日々の健

康増進にも充分寄与できるものと考えている.少子

高齢化が一層進む中,家族団欒の為,身体を清潔に

し,リラックス,リフレッシュし,疲れを取るため,

入浴剤浴を活用していただくことで,日々の生活が

豊かになることを願っている.

今後,さらに研究が進み,健康増進に加えて,予

防医学,代替医療,セルフメディケーションとして

のデイリーケアにますます積極的に活用されるこ

とを期待したい.

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Corresponding Author Address: Satoshi WATANABE Products Development Dept. Bathclin Corporation, 29-9, Higashiarai, Tsukuba-shi, Ibaraki-Prefecture, 305-0033, Japan E-mail:[email protected] 別刷請求先:〒305-0033 茨城県つくば市東新井

29-9

株式会社バスクリン 製品開発部

渡邊 智

( 131 )入浴剤の現状と展望