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2 1 Chapter 写真:小平 寛 1 Chapter Development of the New Small Clean Diesel Engine providing New Value

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2

1Chapter

写真:小平 寛

1Chapter

マツダ(株)

小型

SKYACTIV︲Dの

理想の燃焼は

マツダは新しい燃焼理論に基づくSKYACTIV‐Dを

小型車に展開しようとしていた︒

実用燃費で同クラスのガソリンハイブリッド車と同等の

燃費性能を目標とする野心的な試みだった︒

しかし開発に立ちふさがったのは小排気量化によって

相対的に増える冷却損失の問題だった︒

物理現象の定石を踏んで解決するしかないとしたマツダは︑

理想の噴霧を求めて新しいインジェクタの採用に踏み切った︒

すでに新型車は量産開発に移っていたころだった︒

Developm

ent of the New

Small C

lean Diesel E

ngine providing N

ew Value

新しい価値を提供する新小型

クリーンディーゼルエンジンの開発

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3 AUTO TECHNOLOGY 2018

1.5Lディーゼルエンジンで

小型車にもSKYACTIV‐Dを

 

マツダは、SKYACTIV(スカイアクティブ)の

内燃機関開発において、理想の燃焼に向けたロードマッ

プを作成し、究極はガソリンエンジンもディーゼルエン

ジンも燃焼は同じという考えのもと、SKYACTIV

︲G(ガソリン)と、SKYACTIV︲D(ディーゼル)

を世に送り出した。実用燃費においては、ハイブリッド

車と遜色ない環境性能を市場に提供している。このうち、

SKYACTIV︲Dについては、2012年のCX︲

5というSUVに搭載しはじめたのをきっかけに、車種

展開を広げ、経済産業省のクリーンディーゼル車普及目

標、2020年に5%を、5年前倒しする実績づくりに

貢献している。

 

今回の開発は、排気量2.2Lで市場導入したSKYAC

TIV︲Dに次いで、1.5Lへ小排気量化したエンジンの

実現へ向けた取り組みである。

 

小排気量化へ向けた技術課題について、マツダのパ

ワートレイン開発本部エンジン性能開発部第1エンジン

性能開発グループで主幹エンジニアを務める森永真一は、

「開発の目標としては、超低圧縮と高過給で実現した2.2

LのSKYACTIV︲Dでお客様に提供した価値︱︱

すなわち高回転まで滑らかに加速する/クラストップ水

準の燃費を実現する/クリーンな排ガスのディーゼルで

あることを、1.5Lの排気量でも同じように実現すること

です。

 

しかし一方で、排気量が小さくなることにより、エン

ジン燃焼室の表面積に比べ容量が小さくなることによる

冷却損失の増大、小型車に搭載するため寸法的に小さく

すること、また同じように、小型車に搭載するため原価

を見合うように仕立てるという課題を突破することが使

命でした」と説明する。

 

その実現のために投入した技術が、着火の改善/

ディーゼル特有のノック音を低減するナチュラルサウン

ドスムーザーと段付きピストンの採用(図1)/冷却損

失改善/機械抵抗の改善/冷却水を早く暖めるウォー

タージャケットスペーサーと水流制御バルブの採用(図

2)/シングルターボチャージャによる小型化(図3)

/水冷インタークーラ(図4)の採用などである。

小型SKYACTIV‐Dの理想の燃焼は―マツダ(株)―

マツダは新しい燃焼理論に基づくSKYACTIV‐Dを

小型車に展開しようとしていた︒

実用燃費で同クラスのガソリンハイブリッド車と同等の

燃費性能を目標とする野心的な試みだった︒

しかし開発に立ちふさがったのは小排気量化によって

相対的に増える冷却損失の問題だった︒

物理現象の定石を踏んで解決するしかないとしたマツダは︑

理想の噴霧を求めて新しいインジェクタの採用に踏み切った︒

すでに新型車は量産開発に移っていたころだった︒

図 1 ノック音を低減するナチュラルサウンドスムーザーと燃焼室

図 2 冷却水を早く暖めるウォータージャケットスペーサーと水流制御バルブ

図 3 小型シングルターボチャージャ

図 4 小型水冷インタークーラ

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4

1Chapter

2.2Lエンジン技術を持ってきても

1.5Lでは目標に達しない

 

なかでも、小排気量化で重要なのは燃焼の改善と冷却

損失の低減と言えるだろう(図5)。先行開発を担った

パワートレイン開発本部エンジン性能開発部第1エンジ

ン性能開発グループ 主幹エンジニアであり工学博士の

志茂大輔は、

「2012年に2.2LのSKYACTIV︲Dを世に出し、

その技術をそのまま1.5Lに移植しても、目標性能に達し

なかったところに苦労がありました。また、2.2Lは6年

の歳月をかけて開発しましたが、1.5Lは4年しか開発の

猶予がなく、開発時間の短さも苦労と言えました。それ

から原価を常に考えながらどう解決するかが、悩みどこ

ろでした。

 

小排気量化における冷却損失の課題は重く、しかし、

解決は物理現象の定石を踏んでいくしかありません。解

決策は、噴霧した燃料が燃焼室の壁にあたる面積を小さ

くすることと、壁面に当たる燃料によって起こる空気の

流れを小さくすることです。その実現には、ふわっとし

た噴霧と、燃焼室に段差を設けスキッシュの強さを抑え

ることが、原理原則に従った答えになります」と解説する。

 

理路整然とした話ではあるが、ものづくりの難しさは、

それを現実の形として成立させるところにある。設計を

担当したパワートレイン開発本部エンジン設計部第1エ

ンジン設計グループのアシスタントマネージャーである

平林千典は、

「これまでは物理の原則を形にできなかったから、実現

できていなかったわけで、そこをいかに形にするかにつ

いて、志茂と、〝2.2Lエンジンのころから理想の噴霧と

は〟をずっと語ってきた経緯があります。そして1.5Lの

開発で、ふわっとした噴霧に志茂が飛びついたわけです

が、すでに量産開発が始まっている途中で燃焼室と噴霧

を変更しようというのですから、並大抵ではありません。

開発全体を管理する高松や、量産開発をする森永に、本

当に今から新たな技術を開発していいのかと聞いて回り

ました。その答えは、いずれも理想を追求するためにや

ろうということでした」と、経緯を語る。

 

志茂も、「最終的には役員の人見がやれと言ってくれ

ました」と振り返る。

 

しかしこのことは、マツダ社内はもちろん、部品供給

メーカーにとっても寝耳に水であった。

 

パワートレイン開発本部

で当時は第1エンジン性能

開発グループ所属で、現在はエンジン性能開発部の部長

である高松宏志は、次のように話す。

「当然ながら、量産へ向けた成功のシナリオを描いた上

で、部品メーカーの量産ラインの設計をもマツダが一緒

に考えながら了解してもらいました」

冷却損失低減のための噴霧方式を

量産開発後に採用した

 

ふわっとした噴射とは、どのような燃料噴射のさせ方

なのか。低負荷領域において、インジェクタから勢いよ

く燃料が噴き出すのではなく、より広範囲に、まさに霧

状に広がるような噴射のさせ方である。一方、高負荷領

域では、力強い噴射を実現する。

 

森永は、

「ふわっとした噴射は、インジェクタの燃料が通る孔の

距離が短く、座ぐりの形状、噴射回数で実現します」と

説明する(図6)。

 

設計の平林は、

「ただし、その部分については理論的な解明はまだなく、

世界中の大学の先生がそれを研究課題にしているくらい

の内容です。したがって、実現するためには試行錯誤を

していくしかありません」と言う。

 

そして、志茂は、

「先行開発の段階では、ある一つの運転条件で実証がで

きていましたが、量産開発ではお客様が実際に自動車を

お使いになる走行条件で、いつでもふわっとした噴射を

実現しなければならないところに苦労があったと思いま

す。なおかつ、量産開発が始まってからの追加性能でし

たので、作り込みの時間が圧縮され、大変だったと思い

ます」と、量産開発の労をねぎらう。

Heatbalance

Exhaustloss

Coolingloss

Pumpingloss

Mechanicalloss

Effectivework

Controlfactors

Compressionratio

Specificheat ratio

Combustionperiod

Combustiontiming

Heat transferto wall

Pressure diff. Btw IN. & EX.

Mechanicalfriction

Far Distance to ideal Close

Gasoline engine Diesel engine

previous previouscurrent currentfuture future

WorldhighestCR

MillercycleFrictionreduction

1st step SKYACTIV-G

1st step SKYACTIV-D

HigherCR

LeanHCCI

LeanHCCI

Heatinsulation

Furtherreduction

Furtherreduction

2nd step

2nd step

3rd step = Goal More

homo-geneous

Heat insulation

1.5L 2.2L

14.8World lowest CR

14

2 Stage TC

HP EGR

Partially PCI

TDCcombustion

Low temperaturecombustion

Low Pmax

VG TC w/ rev. sensor

Coolant controlsystem

Short LengthHole nozzle

Stepped Egg bowl─ ─

LP/HP EGR

図 5 内燃機関の各種損失と制御因子および究極の内燃機関へのロードマップ

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5 AUTO TECHNOLOGY 2018

 

それを実際に担ったのが、パワートレイン開発本部エ

ンジン性能開発部第1エンジン性能開発グループの大西

毅である。

「市場でのエンジンの実用範囲は実に広く、外気温で

いえば零下から高温まで、標高でいえば1000〜

3000mまでは使えるように考えておかなければなり

ません。限られた日程の中で、あらゆる環境下での性能

と品質を保証することに苦労しました。その中で、この

開発ではあらゆる開発部門が一つのグループとして仕事

をしていたので、走行データを見ながら頻繁に関係者と

顔を合わせ、密接な情報交換をすることによって短期間

にこなすことができたと思っています。

 

かつて、マツダのディーゼルエンジンは欧州を中心と

した市場導入で車種も少なく、1機種あたり開発にかか

わる人数が多かったですが、いまは国内も含め展開する

車種が増え、一つのプロジェクトにかかわれる人数に制

約がありますので、周りの人たちの協力なしにはできな

い開発でした」と、共同作業の成果を語る。

 

その開発の様子を、高松は、

「SKYACTIVの開発になってから、基本的に設計

と開発が定期的に情報交換や情報の共有をしていますが、

とくにSKYACTIV︲Dの1.5Lエンジン開発におい

ては、人員が限られ、開発期間も短かったので、インジェ

クタなど重要な領域については担当者同士の関係を持つ

ことが大切でした。理想的な燃焼の実現と、NVH(ノ

イズ・バイブレーション・ハーシュネス)、ドライバビ

リティ、信頼性などの関係は、1.5Lとなって冷却損失が

多くなると不安定になりがちなので、技術シナリオを机

上実研で作り、それに沿った開発検証を、台上や実車試

験で確認し改善するという、P(プラン)︲D(ドゥ)

︲C(チェック)を早く回す必要がありましたから、開

発グループの中でさらに密接な協力関係を持つことが大

切でした。

 

各設計および機能開発の担当がO

ne Mazda

で開発す

ることによって、たとえば朝に会議をしようと言えばす

ぐ集まれる状態で、その場で即決し、シナリオを描き、

台上や実車での試験に回すといったことができました。

 

目指すゴールは、走る歓びと優れた環境性能を実現す

る、いいクルマを作るためのいいエンジンシステムとな

るような開発の取り組み方です」と説明する。

性能を出す

燃料噴射制御モデル

 

いいエンジンシステムとして完成させるためには、

ハードウェアだけでなくソフトウェアも重要な位置づけ

にある。志茂は、

「インジェクタと、頭頂部に段差を設けたピストンの

ハードウェアが決まっても、それを使って性能を出すの

は森永らが行う燃料噴射制御モデルです」と語る。

 

高松も、

「クルマとしての燃費や排ガス浄化、ノック音の低減な

ど、ありたい燃焼コンセプトを具現化し、作り込むのは

燃料噴射制御モデルで、最も時間と労力を掛けた技術で

す」と言葉を添える。

 

そして森永は、

「ディーゼルエンジンを決めるのは、燃焼です。多段噴

射によってどのように燃やすかを定義し、そのためにど

のように噴射するかに取り組みました。究極は、燃費、

小型SKYACTIV‐Dの理想の燃焼は―マツダ(株)―

LP EGR Cooler

LP EGR Valve

Exhaust Shutter Valve

Stepped Egg-Shaped Piston

Short Hole

Length Nozzle

Coolant Control Valve

Water Jacket Spacer

Natural Sound Smoother

Hexagonal Cell DOC

Variable Geometry

Turbocharger w/

speed sensor

Aspirator

System

HP EGR

ValveWater-Cooled Intercooler

 ハイブリッド車を持たなかったマツダは、内燃機関で燃費を追求し、気候変動をもたらす温室効果ガスの削減にWell to Wheelで取り組んでいる。内燃機関の効率を高めるため、原理原則に従った開発のロードマップを策定し、それに沿ってディーゼルエンジンの開発を行うことで SKYACTIV‐D2.2を市場導入した。その次の段階として、排気量を1.5Lとする小型車用ディーゼルエンジンの開発に着手した。小排気量化で大きな課題の一つとなる冷却損失を改善するため、燃料噴射とピストンの改良により、壁面へ逃げる熱損失を抑えたのが今回の技術である。それに際しては、小型車に搭載するうえでの原価低減を視野に入れながら、顧客への提供価値は 2.2L エンジンと同等とする開発努力が必要であった。ハードウェアとソフトウェアの両面からの開発は、短期間で行われたが、部品メーカーと一体となった開発により、さらに次へつながる冷却損失の低減を実現した。

SKYACTIV技術による小型ディーゼルの課題解決

図 6 ふわっとした噴射を可能にした新開発インジェクタ

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6

1Chapter

騒音、煙の背反がある中で、適合の幅が狭いところをい

かにうまくすり抜けるかにかかっています。そこでカギ

を握るのが、噴射量の精度を高める技術です。何段噴射

でも、狙い通りにきちんと燃料を噴けるかです。その正

確性はマツダがもっとも厳しい要求を部品メーカーに求

めているところで、部品メーカーも苦労をしたと思いま

す。部品メーカーと一緒に会議で調整していき、噴射を

乱す機構的要因を探り、改善するには何をすべきかをマ

ツダからも提案しました」と、その多難さを語る。

 

平林は、より具体的に現場の様子を話す。

「2.2Lエンジンには、ピエゾインジェクタを使っていま

す。ピエゾインジェクタは正確ですが、価格が高くなり

ます。1.5Lエンジンには、ソレノイドインジェクタを使っ

ています。こちらは、原価を下げられる一方で、噴射精

度が我々の求める水準になかなか達しません。

 

ふわっとした噴射を行うには、多段で燃料を噴く際の

1段当たり1〜2㎣

/str(キュービック/ストローク)

の燃料を噴射したいのですが、実走行における使用条件

の違いによって、噴射量が多かったり少なかったりバラ

ツキます。そこで、インジェクタの機構を自分でも勉強

し、森永や大西と一緒に機構と制御の両面から、こうす

ればいいのではないかという提案を、1〜2㎣/strの燃

料噴射の必要性の説明と合わせて、部品メーカーへ提案

しました」

 

志茂は、

「多段で3〜4回燃料を噴射する際、最初に噴射すると

ころで噴射量が安定すると、燃焼も安定するようになり

ます。また、ターボチャージャによる過給や、EGR導

入による酸素量の違いに対しても、燃え方から逆算して

噴射量を決める技術を作り、燃費、騒音、煙の三つを良

くしてすべてを成り立たせるように自動計算し、ソレノ

イドインジェクタの能力を最大に活かす工夫をしました。

 

モデルベース開発を使い、制御ソフトウェアをECU

に入れていったのです」と開発手順を紹介する。

 

モデルベース開発とは、マツダがSKYACTIVに

取り組む際に行った、コンピュータ制御の改革である。

コモンアーキテクチャー(基本骨格の共通化)を制御に

も当てはめ、追加プログラムの導入を容易にした。

小型ディーゼルから

大型エンジンへの応用へ

 

こうして、開発の狙いである、高回転まで滑らかに加

出典:各社カタログ

40

35

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SKYACTIV-D 1.5L

SKYACTIV-D 1.5L

SKYACTIV-D 1.5L

マツダ・デミオ1.5Lディーゼル6MT

マツダ・デミオ1.5Lディーゼル6AT

他社 A1.5LガソリンHEV

他社 B1.5LガソリンHEV

マツダ・デミオ1.5Lディーゼル6MT

マツダ・デミオ1.5Lディーゼル6AT

他社 A1.5LガソリンHEV

他社 B1.5LガソリンHEV

マツダ・デミオ1.5Lディーゼル6MT

マツダ・デミオ1.5Lディーゼル6AT

他社 A1.5LガソリンHEV

他社 B1.5LガソリンHEV

グレード違い グレード違い0.30

0.25

0.20

0.15

軽油 100 円 /Lガソリン 120円 /L で換算

出典:株式会社イード・e燃費   「車種別実用燃費データ」   (2016.9 時点年間平均)

JCO8カタログ燃費〔㎞╱L〕

実用燃費〔㎞╱L〕

単位価格当たり実用燃費〔㎞╱円〕

図 7 SKYACTIV-D 1.5L 搭載車と競合車のカタログ燃費および実用燃費の比較

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7 AUTO TECHNOLOGY 2018

速する/クラストップ水準の燃費を実現する/クリーン

な排ガスを実現したSKYACTIV︲D1.5は、実用燃

費において同クラスのガソリンハイブリッド車と同等の

燃費性能を実現した(図7)。

 

今回の開発がもたらす将来への期待はどこにあるのだ

ろうか。

 

高松は、

「実走行の使用状況に応じて、システムの装置を上手に

機能させることができるようになったという点で、1.5L

エンジンは先端にあると思います」と評価する。

 

また、志茂は、

「1.5Lの小排気量でも、ふわっと燃料を噴射する技術と、

頂部に段差のあるピストンを用いた燃焼室によって、2.2

Lエンジンがお客様に提供した価値に近づけたと思いま

す。そして1.5Lエンジンで使った技術を2.2Lエンジンへ

応用していくことにより、2.2Lエンジンの冷却損失をさ

らに改善し、燃費向上につなげていくことができると思

います。その改善は既にCX︲8に織り込んでいます」

と、停滞することのないディーゼルエンジン開発の継続

性、連続性を語るのである。

 

その背景にあるのは、ガソリンエンジンとディーゼル

エンジンの両面から同じ理想の燃焼の実現を目指したS

KYACTIVのロードマップである。

小型SKYACTIV‐Dの理想の燃焼は―マツダ(株)―

森永 真一 Shinichi MORINAGA

マツダ株式会社パワートレイン開発本部エンジン性能開発部第1エンジン性能開発グループ主幹エンジニア

「賞を頂戴し、有り難うございます。多望なときにも支えてくれた家族が喜んでくれたのが嬉しかったです。また、大学時代から燃焼に取り組んできたので、授賞式で久し振りに恩師の教授に会うこともでき、エンジン開発のモチベーションのよいきっかけになりました」

大西 毅 Tsuyoshi ONISHI

マツダ株式会社パワートレイン開発本部エンジン性能開発部第1エンジン性能開発グループ

「入社以来 10 年ちょっとディーゼルエンジンにかかわってきて、入社当時は欧州だけしかディーゼルエンジンを市販していませんでしたが、2.2L の SKYACTIV− D の開発にかかわって、国内にも販売されるようになり、ディーゼルエンジンがより身近になった上、今回は 1.5Lの小排気量での開発で受賞することもでき、ディーゼルエンジンをずっと頑張ってきてよかったと思います。ほかの会社の方や、恩師からもディーゼルへの期待を耳にし、この先も賞を戴けるような仕事を頑張りたいと思います。驚きを持ったエンジンを出せたらいいと思っています」

平林 千典 Kazunori HIRABAYASHI

マツダ株式会社パワートレイン開発本部エンジン設計部第1エンジン設計グループ

「賞を戴くことができ、有り難うございます。妻は、よかったねと言ってくれ、息子には私の仕事を理解してもらうことができ、将来自動車会社を作ると夢を語ってくれたのが嬉しかったです。開発の仲間や部品メーカーと共に一歩踏み込んで仕事をすることの大切さを感じる開発ができました。それによって大きな技術で世の中に貢献できることを実感しました。一緒に開発をしてきた後輩が現在はメキシコに駐在していますが、彼にも報告をすることができました」

志茂 大輔 Daisuke SHIMO

マツダ株式会社パワートレイン開発本部エンジン性能開発部第1エンジン性能開発グループ主幹エンジニア 工学博士

「小型ディーゼルエンジンの開発にかかわりたくて 1999 年に入社しましたが、ちょうど東京都のディーゼル NO 作戦があって、マツダは国内のディーゼルエンジンから撤退することになり、開発体制も縮小されました。そのような過去を乗り越えての受賞なので、感無量です。残業が続く中、応援してくれた家族に感謝しています。先行開発の立場なので、すでにこれは過去の技術ですが、今取り組んでいる次の開発でも気が引き締まります」

高松 宏志 Hiroshi TAKAMATSU

マツダ株式会社パワートレイン開発本部エンジン性能開発部部長

「光栄な賞を戴くことができ、有り難うございます。授賞式で戴いた楯や、祝賀パーティが凄く豪華で、改めて立派な賞を戴いたのだと実感しました。このメンバーの中では一番年上であり、若い技術者たちと一緒に開発業務に携わり、同じ賞を受賞することができ、自分のこれからのモチベーションにつながっています」