113
山形大学環境保全センター Environmental Preservation Center,Yamagata University lP i C No.21 2018年3月 . 1 蔵王山頂付近のアイスモンスター (昭和8年3月20日) 撮影:長澤壽三(利彦)氏

No - 山形大学医学部 · 2018. 5. 14. · 山形大学環境保全センター Environmental Preservation Center,Yamagata University 山形大学 lP iC No.21 環境保全センター

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山形大学環境保全センターEnvironmental Preservation Center,Yamagata University

山形形大大学l P i C

No.21保保全セセンター学環環境境保保2018年3月

NO.

21

山形大学環境保全センター

蔵王山頂付近のアイスモンスター(昭和8年3月20日)

撮影 : 長澤壽三(利彦)氏

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A

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目 次CONTENTS

巻 頭 言���������������������������������� 1

センター業務報告� ����������������������������� 3

矢野勝俊研究室による蔵王の樹氷観測                安部 博之(山形県教育庁)������������ 19

どこからが樹氷でどこからがアイスモンスターなのか                柳澤 文孝(山形大学学術研究院)��������� 33

1933年から2015年までの蔵王山における月平均気温変化                渡邉 鴻也 (山形大学理学部地球環境学科)� ���� 41

これまでで最も古い大正10年の蔵王の      アイスモンスターの写真が見つかりました                柳澤 文孝(山形大学学術研究院)��������� 47

アジア地域から越境飛来する大気汚染物質                保坂  翼(山形大学大学院理工学研究科)����� 51

戦時中の蔵王で飛行機凍結防止に関する          研究実施を示す資料の発見(序報)                柳澤 文孝(山形大学学術研究院)��������� 57

 蔵王の樹氷と御釜                加々島慎一(山形大学学術研究院)��������� 61

蔵王報告(2014-2018年)                松木兼一郎 ������������������ 67

アイスモンスター(樹氷)の変遷地図(全国版)                柳澤 文孝(山形大学学術研究院)��������� 75

アイスモンスター(樹氷)“Ice�Monster”                柳澤 文孝(山形大学学術研究院)��������� 95

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  巻頭言

環境保全センター長 藤 井   聡  

 私は山形大学に奉職して24年になり、この17年間は山形大学飯田キャンパスで人体機能学を通

年で受け持っています。授業をする際に講義室に至る廊下からは西蔵王と龍山を望むことがで

き、四季の移り変わりを感じています。また、キャンパスから少し離れて南山形から「みはらし

の丘」にいきますと、蔵王連峰の主峰である熊野岳を望むことができ、蔵王が持つスケールの大

きさを感じます。その四季において、夏の暑い日にはオートバイで登ると25分で青い空と白い雲

が広がる蔵王坊平に着き、下界の暑さをしばらく忘れることができます。最近はスキー板を担い

で蔵王の諸ゲレンデに登る機会がなくなりましたが、冬には温泉につかりに行きます。このよう

に、山形市民である私にとり蔵王は切っても切り離せない存在なのです。

 蔵王連峰とは、北の笹谷峠から南の二井宿峠までの奥羽山脈の稜線にある山々を指し、その範

囲の西端は国道13号線で東端は東北自動車道ということです。苅田岳から熊野岳に至る稜線・馬

の背から北西側が「山形蔵王」、南東側が「宮城蔵王」と呼ばれ、私が慣れ親しんでいるのは「山

形蔵王」です。

 今年度の「環境保全」では、「蔵王の自然と環境」をテーマに学内外の多くの先生がたにご寄

稿いただきました。原稿を拝読いたしますと「蔵王の自然と環境」を諸先生方が如何に情熱的に

研究されているかが伺えます。そして、先生がたの研究において「蔵王の自然と環境」を知るこ

とは「日本の自然と環境」を知ることである、との強いメッセージを読み取ることができます。

山形大学は研究と教育を通じて「地域と共生」し、「社会に貢献」しています。山形大学環境保

全センターはこれからも「地域との共生および社会への貢献」を果たすために、積極的に環境情

報を発信してゆく所存です。

飯田キャンパス内から西蔵王および龍山を望む

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 北の笹谷から南の二井宿峠(または金山峠)までの峰々。北東から記載。馬の背★は「蔵王連峰」と交差する稜線。

 ・北端:笹谷峠(山形自動車道・国道286号)       雁 戸 山(1,485m)      名 号 峰(1,491m)      馬 の 背★      船 引 山(1,173m)      二ツ森山(1,269m)      番 城 山(1,323m)      蓬 沢 山(  975m)  ・南端:二井宿峠(国道113号)

 蔵王連峰上の峰々を北西から記載。「中央分水界」と交差する稜線である馬の背★より北西側が「山形蔵王」、南東側が「宮城蔵王」と呼ばれる。

 ・西端:国道13号       瀧  山(1,362m)      鳥 兜 山      横 倉 山      三宝荒神山(1,703m)      地 蔵 山(1,736m)      熊 野 岳(1,841m)      馬の背★      五 色 岳(1,672m)      刈 田 岳(1,758m)      杉 ヶ 峰(1,745m)      屏 風 岳(1,825m)- 宮城県最高峰      不 忘 山(1,705m)      大梁川山(  720m)      花 房 山(  819m)      青 麻 山(  779m) ・東端:東北自動車道

   平成25年11月19日     

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―�3�―

センター業務報告

1.年度別実験廃液発生量の推移

2.平成28年度の部局別廃液発生量

3.平成28年度の廃液の内訳

4.平成28年度の下水道排水水質分析結果

5.第35回大学等環境安全協議会総会・研修会参加報告

6.第33回大学等環境安全協議会技術分科会参加報告

1.年度別実験廃液発生量の推移

 平成元年度から平成28年度までの28年間におけ

る、学内から排出された実験廃液の発生量を「グ

ラフⅠ廃液発生量の推移」に示します。

 有機系廃液の発生量は、平成元年度から4年度

まで、約2,000渥前後とほぼ横ばい状態でしたが、

平成5年度から著しい増加傾向を示し、15年度に

は約22,000渥に達しました。平成16年度から23年度は20,000±約3,000渥で推移しましたが、平成

24年度は約28,000渥に増加しています。平成25年

度以降は漸減傾向にあり、28年度は約23,500渥で

した。今後は23,000渥前後で推移していくものと

思われます。

 無機廃液の発生量は、平成5年度の約7,700渥をピークに、平成7年度から12年度は約3,000渥で推移していました。平成13年度以降は、16、17年度に若干減少したものの約5,000渥となり、

23、24年度には約7,000渥と増加しています。平

成25年度以降は5,000渥前後で推移しています。

グラフ Ⅰ 廃液発生量の推移

センター業務報告

1. 年度別実験廃液発生量の推移

2. 平成 28 年度の部局別廃液発生量

3. 平成 28 年度の廃液の内訳

4. 平成 28 年度の下水道排水水質分析結果

5. 第 35 回大学等環境安全協議会総会・研修会参加報告

6. 第 33 回大学等環境安全協議会技術分科会参加報告

1. 年度別実験廃液発生量の推移

平成元年度から平成 28 年度までの 28 年間における、学内から排出された実験廃液の発生量を

「グラフⅠ廃液発生量の推移」に示します。

有機系廃液の発生量は、平成元年度から 4年度まで、約 2,000 ℓ前後とほぼ横ばい状態でしたが、

平成 5年度から著しい増加傾向を示し、15 年度には約 22,000 ℓに達しました。平成 16 年度から 23

年度は 20,000 ± 約 3,000 ℓで推移しましたが、平成 24 年度は約 28,000 ℓに増加しています。平

成 25 年度以降は漸減傾向にあり、28 年度は約 23,500 ℓでした。今後は 23,000 ℓ前後で推移してい

くものと思われます。

無機廃液の発生量は、平成 5年度の約 7,700 ℓをピークに、平成7年度から 12 年度は約 3,000 ℓ

で推移していました。平成 13 年度以降は、16、17 年度に若干減少したものの約 5,000 ℓとなり、23、

24 年度には約 7,000 ℓと増加しています。平成 25 年度以降は 5,000 ℓ前後で推移しています。

2. 平成 28 年度の部局別廃液発生量

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

H1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

廃液量(L)

年度

無機廃液

有機廃液

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―�4�―

2.平成28年度の部局別廃液発生量

 平成28年度における部局別廃液の発生量を棒グ

ラフにして示します。グラフⅡが「平成28年度無

廃液発生量」、グラフⅢが「平成28年度有機廃液

発生量」です。

 無機廃液の部局別発生量は、全学合計4,575渥の内、工学部が2,536渥(全体の55%)、農学部�1,610渥(35%)、地域教育文化学部144渥(3.1%)、

理学部136渥(3.0%)、医学部126渥(2.8%)、附

属学校23渥(0.5%)でした。

 有機廃液の部局別発生量は、全学合計23,555渥の内、工学部が19,719渥(全体の84%)、農学部

1,282渥(5.4%)、理学部814渥(3.5%)、附属病

院810渥(3.4%)、医学部744渥(3.2%)、地域教

育文化学部186渥(0.8%)でした。

 無機廃液はその大部分が工学部と農学部からの

発生量となっており、有機廃液の大部分は工学部

からの発生量となっています。

平成 28 年度における部局別廃液の発生量を棒グラフにして示します。グラフⅡが「平成 28 年度

無廃液発生量」、グラフⅢが「平成 28 年度 有機廃液発生量」です。

無機廃液の部局別発生量は、全学合計 4,575 ℓの内、工学部が 2,536 ℓ(全体の 55%)、農学部

1,610ℓ(35%)、地域教育文化学部 144 ℓ(3.1%)、理学部 136 ℓ(3.0%)、医学部 126 ℓ(2.8%)、

附属学校 23 ℓ(0.5%)でした。

有機廃液の部局別発生量は、全学合計 23,555 ℓの内、工学部が 19,719 ℓ(全体の 84%)、農学部

1,282 ℓ(5.4%)、理学部 814 ℓ(3.5%)、附属病院 810 ℓ(3.4%)、医学部 744 ℓ(3.2%)、地域

教育文化学部 186 ℓ(0.8%)でした。

無機廃液はその大部分が工学部と農学部からの発生量となっており、有機廃液の大部分は工学部

からの発生量となっています。

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

廃液

量[ℓ]

部 局 名

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

廃液

量[ℓ]

部 局 名

平成 28 年度における部局別廃液の発生量を棒グラフにして示します。グラフⅡが「平成 28 年度

無廃液発生量」、グラフⅢが「平成 28 年度 有機廃液発生量」です。

無機廃液の部局別発生量は、全学合計 4,575 ℓの内、工学部が 2,536 ℓ(全体の 55%)、農学部

1,610ℓ(35%)、地域教育文化学部 144 ℓ(3.1%)、理学部 136 ℓ(3.0%)、医学部 126 ℓ(2.8%)、

附属学校 23 ℓ(0.5%)でした。

有機廃液の部局別発生量は、全学合計 23,555 ℓの内、工学部が 19,719 ℓ(全体の 84%)、農学部

1,282 ℓ(5.4%)、理学部 814 ℓ(3.5%)、附属病院 810 ℓ(3.4%)、医学部 744 ℓ(3.2%)、地域

教育文化学部 186 ℓ(0.8%)でした。

無機廃液はその大部分が工学部と農学部からの発生量となっており、有機廃液の大部分は工学部

からの発生量となっています。

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

廃液

量[ℓ]

部 局 名

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

廃液

量[ℓ]

部 局 名

グラフ Ⅱ 平成28年度 部局別発生量(無機廃液)

グラフ Ⅲ 平成28年度 部局別発生量(有機廃液)

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3.平成28年度の廃液の内訳

 種類別の廃液発生量百分率を円グラフで示しま

す。グラフⅣが「平成28年度�無機廃液の内訳」、

グラフⅤが「平成28年度�有機廃液の内訳」です。

比較するため、平成27年度のグラフをその下に示

しました。

 無機廃液は、発生量の多い順に酸及びアルカリ

廃液40.6%、一般重金属化合物40.0%、ホウ素廃

液12.5%、フッ素廃液2.1%となっています。写

真廃液は、分類変更によりグラフが出ていません

が、現像液・定着液合わせて25渥でした。

 有機廃液は、発生量の多い順に可燃性廃液(炭

化水素系溶剤)39.1%、ハロゲン系有機廃液29.2�%、難燃性廃液23.9%となっています。分類別廃

液発生量の割合はここ10年ほどほぼ同様の傾向が

見られ、平成16年度以降、ハロゲン系有機廃液と

可燃性廃液(炭化水素系溶剤)で全体の3分の2

以上を占めています。

グラフ Ⅳ 平成28年度 無機系廃液の内訳

3. 平成 28年度の廃液の内訳

種類別の廃液発生量百分率を円グラフで示します。グラフⅣが「平成 28 年度 無機廃液の内訳」、

グラフⅤが「平成 28年度 有機廃液の内訳」です。比較するため、平成 27年度のグラフをその下に

示しました。

無機廃液は、発生量の多い順に酸及びアルカリ廃液 40.6%、一般重金属化合物 40.0%、ホウ素廃

液 12.5%、フッ素廃液 2.1%となっています。写真廃液は、分類変更によりグラフが出ていません

が、現像液・定着液合わせて 25 ℓでした。

有機廃液は、発生量の多い順に可燃性廃液(炭化水素系溶剤)39.1%、ハロゲン系有機廃液 29.2%、

難燃性廃液 23.9%となっています。分類別廃液発生量の割合はここ 10年ほどほぼ同様の傾向が見

られ、平成 16年度以降、ハロゲン系有機廃液と可燃性廃液(炭化水素系溶剤)で全体の3分の2以

上を占めています。

酸及びアルカリ廃液

1,859 40.6%

重金属系廃液

1,832 40.0%

ホウ素廃液

572 12.5%

フッ素廃液

96 2.1%

シアン廃液60

1.3%

ヒ素廃液

54 1.2%

リン酸廃液46

1.0%

六価クロム系廃液

43 0.9% 水銀系廃液

13 0.3%難分解シアン廃液

5 0.1%

グラフⅣ 平成28年度 無機廃液の内訳

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グラフ Ⅳ 平成27年度 無機廃液の内訳

グラフⅤ 平成28年度 有機廃液の内訳

酸及びアルカリ廃液1,983 49.8%

重金属系廃液

1,105 27.8%

ホウ素廃液

362 9.1%

ヒ素廃液

180 4.5%

フッ素廃液

132 3.3%

六価クロム系廃液

72 1.8%

リン酸廃液

57 1.4%

シアン廃液

54 1.4% 難分解シアン廃液

34 0.9%

水銀系廃液

1 0.0%

可燃性廃液

9,217 39.1%

ハロゲン系廃液

6,874 29.2%

難燃性廃液

5,629 23.9%

重金属含有有機廃液538

2.3%

含窒素系有機物511 2.2%

廃油

476 2.0%

特殊引火性物質含

有廃液

260 1.1%

含硫黄系有機物

50 0.2%

酸及びアルカリ廃液1,983 49.8%

重金属系廃液

1,105 27.8%

ホウ素廃液

362 9.1%

ヒ素廃液

180 4.5%

フッ素廃液

132 3.3%

六価クロム系廃液

72 1.8%

リン酸廃液

57 1.4%

シアン廃液

54 1.4% 難分解シアン廃液

34 0.9%

水銀系廃液

1 0.0%

可燃性廃液

9,217 39.1%

ハロゲン系廃液

6,874 29.2%

難燃性廃液

5,629 23.9%

重金属含有有機廃液538

2.3%

含窒素系有機物511 2.2%

廃油

476 2.0%

特殊引火性物質含

有廃液

260 1.1%

含硫黄系有機物

50 0.2%

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グラフ Ⅴ 平成27年度 有機廃液の内訳

4. 平成 28年度の下水道排水水質分析結果

飯田キャンパスにおいて BOD、SS、n-ヘキサン抽出物質(動植物油脂類)が複数回排水基準値の 8割を超えたが、全キャンパスを通じ排水基準値を超えた項目は無く、概ね良好な結果であった。

(2.-4 図 2017と、2.-4 データ 2017がはいる。)

5. 第 35回大学等環境安全協議会総会・研修会参加報告(大津 芳)

標記総会・研修会に参加しました。また、前日午後に開催された「大学等における水銀汚染防止法

に関する研修会」および当日午前に開催された「平成29年度実務者連絡会第1回集会」に出席しまし

た。合わせて報告いたします。 大学等における水銀汚染防止法に関する研修会

日時:2017 年 7 月 19 日(水)13:30-15:30 場所:神戸大学 瀧川記念学術交流会館 内容:水銀汚染防止法対応の事例紹介 (コーディネータ:鹿児島大学 濱田 百合子) ・事例紹介(筑波大学、群馬大学、静岡大学、熊本大学、鹿児島大学、琉球大学)

コメント: 約 20名の参加があった。上記各大学における「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」への対

応について紹介がなされた。キャンパス全体で 30 kgを超える水銀または水銀化合物を貯蔵する場合

年 1 回の報告義務があること、水銀の輸出が禁止され廃棄方法もより厳密になることから水銀廃棄物

の処理費用が大幅に上昇すると見込まれることなど、有用な情報が得られた。

ハロゲン系廃液

8,201 34.4%

可燃性廃液

7,980 33.5%

難燃性廃液

5,699 23.9%

含窒素系有機物

590 2.5%

廃油

563 2.4%

重金属含有有機廃液

438 1.8%

含硫黄系有機物

230 1.0% 特殊引火性物質含

有廃液

117 0.5%

グラフⅤ 平成27年度 有機廃液の内訳

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4.平成28年度の下水道排水水質分析結果

 飯田キャンパスにおいてBOD、SS、n-ヘキサ

ン抽出物質(動植物油脂類)が複数回排水基準値

の8割を超えたが、全キャンパスを通じ排水基準

値を超えた項目は無く、概ね良好な結果であっ

た。

飯田キャンパス

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5.0~9.0 7.7 6.7 5.9 6.7 7.0 7.0 7.7 7.6 7.1 6.7 7.4 7.1 7.6600 480 310 280 340 280 200 92 480 190 210 260 280 120600 340 170 190 170 130 130 68 340 110 83 46 98 190

5 0.0 - - - - - - - - - - - -

30 29 21 29 10 15 11 4.0 23 10 25 25 26 7.6

220 16 14 - 10 - 16 14 15 - - 11 - -

0.03 0.00 - - - - - - - - - - - -

1 0 - - - - - - - - - - - -

0.1 0.0 - - - - - - - - - - - -

0.5 0.0 - - - - - - - - - - - -

0.1 0.00 - - - - - - - - - - - -

0.005 0.000 - - - - - - - - - - - -

検出されない 0.000 - - - - - - - - - - - -

0.2 0.0 - - - - - - - - - - - -

0.02 0.00 - - - - - - - - - - - -

0.1 0.0 - - - - - - - - - - - -

5.0~9.0 8.6 7.9 8.2 8.3 7.8 7.5 7.7 8.2 8.2 8.6 8.2 8.3 8.2600 590 350 260 230 590 79 270 270 230 370 200 200 190600 250 250 160 200 160 83 180 150 160 220 190 130 120

5 0.0 - - - - - - - - - - - -

30 15 15 14 13 7.4 4.3 15 15 12 14 15 9.3 15

220 27 27 16 22 13 22 19 12 22 21 11 27 10

5.0~9.0 8.3 7.4 8.3 8.3 7.1 7.9 7.2 7.7 8.0 7.7 8.0 8.2 7.8600 490 84 360 490 77 430 230 110 130 160 140 250 130600 480 61 220 480 57 180 140 120 120 100 130 260 210

5 0 - - - - - - - - - - - -

30 28 2.8 11 18 2.7 16 8.4 9.4 8.2 28 7.1 5.0 17

220 56 10 33 56 - 23 15 11 - - - 39 11

0.03 0.00 - - - - - - - - - - - -

1 0 - - - - - - - - - - - -

0.1 0.0 - - - - - - - - - - - -

0.5 0.0 - - - - - - - - - - - -

0.1 0.00 - - - - - - - - - - - -

0.005 0.000 - - - - - - - - - - - -

検出されない 0.000 - - - - - - - - - - - -

0.2 0.0 - - - - - - - - - - - -0.02 0.00 - - - - - - - - - - - -

0.1 0.0 - - - - - - - - - - - -

5.0~9.0 8.9 7.6 8.3 8.4 7.4 7.5 7.9 7.3 7.7 7.5 7.8 8.9 7.9600 310 20 27 100 63 87 54 110 110 36 1.7 310 61600 92 12 24 48 22 86 63 84 56 7.6 92 44 34

5 0.0 - - - - - - - - - - - -

30 17 - 7.5 4.4 3.9 7.9 3.6 5.8 2.1 3.1 - 17 4.8

220 34 - 12 34 12 - - - - - - 26 -

5.0~9.0 7.2 6.9 6.9 6.9 6.9 7.2 7.2 7.2 6.9 6.9 7.0 7.0 7.1600 7.0 1.6 1.8 4.5 7.0 4.6 2.0 4.6 2.8 - 2.9 3.6 2.8600 12.0 4.2 6.2 4.8 12 3.2 2.0 5.4 7.9 3.7 9.2 5.9 11

5 0.0 - - - - - - - - - - - -

30 4.1 - 1.9 - 4.1 - - 2.1 2.0 3.2 - - 3.8

220 0.0 - - - - - - - - - - - -

:要注意項目:基準値オーバーハイフン(-):検出限界以下

n-ヘキサン抽出物質(鉱油類)

n-ヘキサン抽出物質(動植物油脂類)

よう素消費量

1/12

4/14 5/12 6/9

よう素消費量

カドミウム

シアン

六価クロム

砒素

6/9 7/14

n-ヘキサン抽出物質(動植物油脂類)

よう素消費量

総水銀

アルキル水銀

四塩化炭素

BODSS

n-ヘキサン抽出物質(鉱油類)

2/9 3/9

pH

7/14 8/12 9/8 10/13 11/10 12/8 1/12 2/9 3/9

8/12 9/8 10/13 11/10 12/8

採水日

4/14

6/9 8/12 9/8 10/13 12/8

3/9

11/10 12/8 1/12 2/9 3/96/9 7/14 8/12 9/8 10/13

1/12 2/9 3/9

6/9 7/14 8/12 9/8 10/13 11/10 12/8 1/12

11/107/14

2/95/12

測定項目

排水基準 最高値

4/14

最高値

よう素消費量

カドミウム

シアン

ジクロロメタン

四塩化炭素

ベンゼン

よう素消費量

測定項目

排水基準 最高値

pHBODSS

n-ヘキサン抽出物質(鉱油類)

n-ヘキサン抽出物質(動植物油脂類)

採水場所

pHBODSS

n-ヘキサン抽出物質(鉱油類)

n-ヘキサン抽出物質(動植物油脂類)

ジクロロメタン

ベンゼン

採水場所

測定項目

排水基準

№2 枡

№3 枡

pHBODSS

採水日最高値

採水日

採水日

4/14 5/12

採水日

4/14 5/12

5/12

最高値

№14 枡

№4 枡

H29年度

H29年度

H29年度

H29年度

H29年度

採水場所

採水場所

排水基準

排水基準

測定項目

測定項目

n-ヘキサン抽出物質(鉱油類)

n-ヘキサン抽出物質(動植物油脂類)

pHBODSS

六価クロム

砒素

総水銀

アルキル水銀

№1 枡

採水場所

(mg/ℓ)

(mg/ℓ)

(mg/ℓ)

(mg/ℓ)

(mg/ℓ)

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―�10�―

小白川キャンパス

5.0~9.0 8.9 / 8.9 / / 8.4 / / 8.1 / / 8.9 /600 270 / 230 / / 140 / / 270 / / 150 /600 200 / 180 / / 120 / / 200 / / 140 /

5 0.0 / - / / - / / - / / - /

30 19 / 8.5 / / 4.2 / / 19 / / 9.2 /

220 44 / 44 / / 27 / / 30 / / 26 /77 / 40 / / 77 / / 41 / / 32 /

1.0 / 0.6 / / 0.1 / / 0.6 / / 1.0 /

0.1 0.00 / - / / - / / - / / - /1 0 / - / / - / / - / / - /1 0 / - / / - / / - / / - /

0.1 0.0 / - / / - / / - / / - /0.5 0.0 / - / / - / / - / / - /0.1 0.00 / - / / - / / - / / - /

0.005 0.000 / - / / - / / - / / - /5 0.04 / 0.04 / / - / / - / / - /3 0.02 / 0.02 / / - / / - / / 0.01 /5 0.084 / 0.084 / / 0.073 / / 0.082 / / 0.055 /10 0.23 / 0.23 / / 0.06 / / 0.16 / / 0.05 /10 0.1 / 0.10 / / - / / - / / - /2 0.00 / - / / - / / - / / - /8 0.08 / - / / 0.06 / / 0.08 / / 0.05 /

:要注意項目:基準値オーバー

斜線(/):測定せずハイフン(-):検出限界以下

実験排水系桝

溶解性鉄溶解性マンガン

クロムフッ素

銅亜鉛

H29年度

H29年度

砒素総水銀

フェノール類

カドミウムシアン有機りん

鉛六価クロム

最高値

380

10月 11/25

9月

6月

採水日最高値

採水日

4月 5/19

4月 5/19

採水場所

採水場所

排水基準

排水基準

測定項目

測定項目

n-ヘキサン抽出物質(鉱油類)

n-ヘキサン抽出物質(動植物油脂類)

亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素

pHBODSS

よう素消費量アンモニア性窒素

生活排水系桝

7月 8/18 9月

6月 7月 8/18 3月

12月 1月 2/9 3月

10月 11/25 12月 1月 2/9

(mg/ℓ)

(mg/ℓ)

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―�11�―

米沢キャンパス

5.0~9.0 7.9 7.8 7.0 7.2 6.5 6.6 7.0 7.6 7.1 7.4 7.9 7.4 7.9600 410 190 160 180 170 200 43 190 300 86 410 110 170

600 450 200 180 130 84 78 24 450 130 44 200 110 66

30 23 11 15 13 11 6.8 3.2 15 22 7.2 21 5.1 23

0.005 0.000 - - - - - - - - - - - -

1 0 - - - - - - - - - - - -

0.3 0.0 - - - - - - - - - - - -

0.1 0.00 - - - - - - - - - - - -0.02 0.00 - - - - - - - - - - - -

5.0~9.0 7.9 7.6 7.0 7.3 7.0 7.4 7.0 7.7 7.3 7.5 7.8 7.9 7.9600 220 140 140 100 45 89 110 57 160 100 130 220 42600 280 62 87 86 37 91 21 55 63 100 160 280 12

0.005 0.000 - - - - - - - - - - - -1 0 - - - - - - - - - - - -0.3 0.0 - - - - - - - - - - - -0.1 0.00 - - - - - - - - - - - -0.2 0.11 0.015 0.003 0.005 0.022 0.013 0.007 0.006 0.002 0.003 - 0.11 -0.02 0.00 - - - - - - - - - - - -0.04 0.0000 - - - - - - - - - - - -0.1 0.001 - 0.001 - - - - - - - - - -

:要注意項目:基準値オーバーハイフン(-):検出限界以下

最高値

採水日最高値

採水日

4/13 5/18

4/13 5/18

採水場所

採水場所

排水基準

排水基準

測定項目

測定項目

n-ヘキサン抽出物質

総水銀

pHBOD

SS

テトラクロロエチレン

シアン

トリクロロエチレン

東 排水系枡

9/14

6/15 7/13 8/10 9/14

6/15 7/13 8/10 10/12 11/9 12/14 1/18 2/15

11/9

3/15

12/14 1/18 2/15 3/15

H29年度

H29年度

西 排水系枡

四塩化炭素

phBODSS

総水銀シアン

トリクロロエチレンテトラクロロエチレン

ジクロロメタン四塩化炭素

1,2-ジクロロエタンベンゼン

10/12(mg/ℓ)

(mg/ℓ)

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―�12�―

鶴岡キャンパス

5.0~9.0 7.1 6.1 6.2 6.2 6.6 6.7 6.2 6.1 6.0 7.1 6.6 6.7 6.6

600 300 280 200 180 99 90 220 300 190 99 33 78 79

600 22 9.0 9.7 16 13 6.0 9.3 12 22 3.8 3.0 5.0 4.2

5 3.8 - - 2.5 0.9 - - - - 1.7 2.1 0.9 3.8

30 12 0.8 4.2 0.6 1.6 3.4 3.2 4.6 12 - 0.6 0.5 -

3 0.03 0.01 0.02 0.03 - 0.02 0.01 - 0.02 0.01 0.02 0.02 0.012 0.07 0.04 0.04 0.04 0.03 0.04 0.03 0.02 0.03 0.03 0.07 0.05 0.0210 1.00 0.48 1.0 0.42 0.23 0.35 0.37 0.33 0.44 0.21 0.10 0.23 0.220.1 0.00 - - - - - - - - - - - -0.005 0.000 - - - - - - - - - - - -

検出されない 0.000 - - - - - - - - - - - -0.02 0.0000 - - - - - - - - - - - -220 3.00 / / / / / 3 / / / / / -5 0 / / / / / - / / / / / -10 0.02 / / / / / 0.02 / / / / / 0.012 0 / / / / / - / / / / / -

0.03 0.00 / / / / / - / / / / / -1 0 / / / / / - / / / / / -1 0 / / / / / - / / / / / -

0.5 0.0 / / / / / - / / / / / -0.1 0.0 / / / / / - / / / / / -

0.003 0.000 / / / / / - / / / / / -8 0 / / / / / 0.11 / / / / / -

:要注意項目:基準値オーバーハイフン(-):検出限界以下

斜線(/):測定せず

1/18 2/17 3/157/14 8/25 9/216/16 10/19 11/16 12/154/20 5/19

最高値

フッ素

四塩化炭素

採水場所

排水基準

測定項目

実験排水系枡

PCB

n-ヘキサン抽出物質(鉱油類)

n-ヘキサン抽出物質(動植物油脂類)

pH

BOD

SS

H29年度

シアン有機りん六価クロム

砒素

よう素消費量フェノール類溶解性マンガン

クロムカドミウム

総水銀

銅亜鉛

溶解性鉄

アルキル水銀

採水日

(mg/ℓ)

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―�13�―

5.�第35回大学等環境安全協議会総会・研修会

参加報告(大津 芳)

 標記総会・研修会に参加しました。また、前日

午後に開催された「大学等における水銀汚染防止

法に関する研修会」および当日午前に開催された

「平成29年度実務者連絡会第1回集会」に出席し

ました。合わせて報告いたします。

大学等における水銀汚染防止法に関する研修会

 日 時:2017年7月19日(水)13:30-15:30 場 所:神戸大学 瀧川記念学術交流会館� 内 容:水銀汚染防止法対応の事例紹介

 (コーディネータ:鹿児島大学 濱田 百合子)

 ・事例紹介(�筑波大学、群馬大学、静岡大学、

熊本大学、鹿児島大学、琉球大学)

コメント:

 � 約20名の参加があった。上記各大学における

「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」

への対応について紹介がなされた。キャンパス

全体で30kgを超える水銀または水銀化合物を

貯蔵する場合年1回の報告義務があること、水

銀の輸出が禁止され廃棄方法もより厳密になる

ことから水銀廃棄物の処理費用が大幅に上昇す

ると見込まれることなど、有用な情報が得られ

た。

平成29年度実務者連絡会第1回集会

 日 時:2017年7月20日(木)9:00-12:00 場 所:神戸大学 百年記念館六甲ホール� 議 題:

  1.平成29年度予定について

  2.プロジェクトの応募状況について

  3�.廃棄物部門及び安全衛生部門の現状と課

題について

  4�.現在取り組んでいる問題・課題等(参加

者から)

 

第35回大学等環境安全協議会総会・研修会

 日 時:2017年7月20日(木)13:00-17:30        7月21日(金)9:00-12:00

 場 所:神戸大学 百年記念館六甲ホール

7月20日(木)

 12:00 受付開始

 13:00 挨拶

大学等環境安全協議会 会長 酒井 伸一

 文部科学省大臣官房文教施設企画部

 参事官 笠原  隆

神戸大学 学長 武田  廣

 13:15 大学等環境安全協議会総会

  1.平成28年度事業報告・決算報告

  2.平成29年度事業計画・予算案

  3.協議会賞及び感謝状授与の報告

  4.授賞・授与式

  5.その他

 14:00 実務者連絡会総会

  1.平成28年度事業報告・決算報告

  2.平成29年度事業計画・予算案

  3.その他

 14:00 特別講演

  文部科学省大臣官房文教施設企画部

 参事官 笠原  隆

 14:30 企業ポスターセッション

 15:30 プロジェクト報告

     �「�実験廃液中水銀測定用イムノクロマ

トの開発のための基礎研究」

       ○�有薗 幸司1、石橋 康弘1、

        冨安 卓滋2、久保  隆3、

        田平 泰広3、甲斐 穂高4

       �(�1熊本県立大学、2鹿児島大学、

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3長崎大学、4鈴鹿工業高等専

門学校)

     �「�安全衛生管理における情報管理シス

テムの汎用性向上の検討」

       ○�鈴木 雄二1、三宅 淳巳1、

渡邉 昌俊1、澁谷 忠弘1、

花井 義道1、松浪 有高2、

市川  修3、藤井 邦彦4

       �(�1横浜国立大学、2名古屋大学、3生理学研究所、4筑波大学)

     �「初期消火の啓蒙活動に向けた整備」

        �中村 祐二1、鳥飼 宏之2、

斉藤  直3、尾川 義雄3、

〇辻  佳子4

       �(�1豊橋技術科学大学、2弘前大

学、3消防研究所、4東京大学)

 16:30 特別講演

     �「海洋環境のサテライトモニタリング」

神戸大学海事科学研究科 教授 香西 克俊

 17:30 事務連絡

 18:30 懇親会 会場:神戸酒心館

     �(�〒658-0044 神戸市東灘区御影塚町1-8-17)

 挨 拶 大学等環境安全協議会

 会長 酒井 伸一

     神戸大学 環境担当理事 吉井 一雄

7月21日(金)

 9:00 一般発表

     �「�スマートデバイスを用いたオンサイ

ト環境分析:�CODを例にして」

        �甲斐 穂高1、越後 亜美1、

間中  淳2、石橋 康弘3、

袋布 昌幹2

       �(�1鈴鹿工業高等専門学校、2富

山高等専門学校、3熊本県立大

学)

     �「�鹿児島大学における実験排水管理の

取り組み」

        濱田 百合子 (鹿児島大学)

     �「�ダクトレスフードの有効活用につい

て」

        田中 利明(株式会社ダルトン)

     �「�大学に適した化学物質のリスクアセ

スメント法(健康障害防止)の構築

と導入」

        �橋本 晴男、加藤 博子、石山

千恵美、大天 伸一(東京工業

大学)

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―�15�―

     �「�古典籍に撒かれた殺虫剤(BHC)の除去作業への衛生対策」

        �榊原 洋子1、久永 直見2、

外山 尚紀3、斎藤  勲4、

河合 俊夫5、酒井  潔6、

鈴木 隆佳7、寺尾 柾之1、

中野 博文1、三宅  明1、

榎並 正樹6

     �  (�1愛知教育大学、2愛知学泉大

学、3東京労働安全衛生セン

ター、4東海コープ事業連合、5関西労働衛生技術センター、6名古屋大学、7愛知医科大学)

     �「�熊本地震における化学物質を起因と

した影響と分析」

        �片山 謙吾、青木 隆昌、山口

佳宏(熊本大学)

     �「�京都大学における省エネ効果の部局

別経年推移」

        �矢野 順也1、浅利 美鈴1、

福田 恭三2、酒井 伸一1

       �(1京都大学、2三井物産株式会社)

 11:55 閉会の辞

     大学等環境安全協議会 副会長

[実務者連絡会企画見学会]

 12:45 総会・研修発表会会場前集合

 13:00 出発

 場所:�東水環境センター(神戸市東灘区魚崎南

町2-1-23) 15:00 現地解散

コメント:

 � 東京工業大学橋本晴男先生らによる「大学に

適した化学物質のリスクアセスメント法(健康

障害防止)の構築と導入」の報告が大変参考に

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―�16�―

なった。当キャンパスではまだリスクアセスメ

ントが実施されていないが、実施要請があった

場合には、この報告を参考にして工程表を作成

したい。

 � 熊本大学片山謙吾先生先生らによる「熊本地

震における化学物質を起因とした影響と分析」

は非常に興味を覚える報告であった。トレイや

仕切りによる落下防止策や薬品保管庫の施錠に

より薬品漏えいの確率が下がったこと、チェー

ンによる固定やボンベスタンドの使用が高圧ガ

スボンベの転倒対策として有効であることが示

された。当キャンパスでは現在地震対策を重点

的に進めているが、大変参考になった。

6.�第33回大学等環境安全協議会技術分科会参

加報告(大津 芳)

 標記分科会に参加した。また、前日午後に開催

された「大学等における排水管理に関する研修会

~水濁法対応を中心に~」と当日午前に開催され

た「平成29年度第2回大学等環境安全協議会実務

者連絡会集会」に出席した。合わせて報告したい。

大学等における排水管理に関する研修会

 日 時:2017年11月15日(水)13:30-16:00 場 所:�京都工芸繊維大学松ヶ崎キャンパス 

3号館1階 0312講義室

プログラム:

(コーディネータ:鹿児島大学 濱田百合子)

 1�.埼玉大学の自主分析について ~分析結果

に対する一考察及びトラブル事例紹介~

 埼玉大学 三田 和義

 2�.鹿児島大学における実験排水の管理につい

て        鹿児島大学 濱田百合子

 3�.筑波大学における実験系希薄洗浄廃水の処

理について     筑波大学 藤井 邦彦

 4�.山口大学の排水管理について ~トラブル

事例および業務見直と管理~

 山口大学 藤原  勇

平成29年度第2回実務者連絡会集会

 日時:2017年11月16日(木)9:00-12:00 場所:�京都工芸繊維大学松ヶ崎キャンパス  

1号館2階 0121講義室

 議題:

 1.今後の活動計画・方針について

 2.プロジェクト推進状況について

 3�.廃棄物部門及び安全衛生の現状と課題につ

いて

 4�.現在取り組んでいる問題・課題等(参加者

から)

第33回大学等環境安全協議会技術分科会

 日時:2017年11月16日(木)13:00-17:15       11月17日(金)9:00-12:00 場所:京都工芸繊維大学 大学センターホール

 11月16日(木)

  11:00 受付開始

  13:00 挨拶

大学等環境安全協議会 会長 酒井 伸一

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―�17�―

 文部科学省大臣官房文教施設企画部

 参事官 笠原  隆

     京都工芸繊維大学 学長 古山 正雄

 13:15 特別講演(1)

     �「�大学における環境安全マネジメント

システムと環境安全教育」

     京都工芸繊維大学 教授 山田  悦

 14:00 特別講演(2)

     �「京都の環境・廃棄物政策について」

      �(�一社)京都府産業廃棄物3Rセン

ター センター長  山田 一成

 14:45 企業展示セッション

 15:30 実務者連絡会企画プログラム

     �「�高圧ガス保安法令改正とその対応に

ついて」

大阪大学 准教授 百瀬 英毅

  � 「受動喫煙対策について」

    ・労働安全衛生法との関係

 筑波大学 中村  修

    ・大学での取組み事例1

 岡山大学 秋吉 延崇

    ・大学での取組み事例2

 静岡大学 中山 政勝

 17:15 事務連絡

 18:30 懇親会

  会 場:からすま京都ホテル2F 双そ う ぶ

舞の間

      (〒600-8412       �京都市下京区烏丸通四条下ル二帖

半敷町652)  挨 拶 大学等環境安全協議会

 会長 酒井 伸一

京都工芸繊維大学 副学長 森迫 清貴

 11月17日(金)

  9:00 表彰及び受賞講演

  10:00 プロジェクト報告

     �「�化学物質管理システム運用支援ツー

ルの開発」

        �○澤村 正也1、川上 貴教1、

中村  修2、藤井 邦彦3、

中山 政勝4、榊原 洋子5 

       �(�1北海道大学、2九州工業大学、3筑波大学、4静岡大学、5愛知

教育大学)

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―�18�―

     �「�大学における障害者雇用に伴う事故

防止に向けた取り組みに関する調

査」

       �○林 瑠美子、富田 賢吾、松岡

博、三品 太志、村田 静昭 (名

古屋大学)

     �「�大学における化学物質リスクアセス

メント事例集積」

        �○中村  修1、川上 貴教2、

牧野 育代3、中村  剛3、

木間 富士子4、塙  浩之5、

柏木 保人6、三田 和義7、

橋本 晴男8、石山千恵美8、

加藤 博子8、中山 政勝9、

榊原 洋子10、松浪 有高11、

後藤 光裕11、青木 隆昌12、

秋吉 延崇13 

      �(�1筑波大学、2北海道大学、3東

北大学、4群馬大学、5茨城大学、�6新潟大学、7埼玉大学、8東京工

業大学、9静岡大学、10愛知教育

大学、11名古屋大学、12熊本大学、13岡山大学)

 11:50 事務連絡

 12:00 挨拶 大学等環境安全協議会 副会長

[見学会]

 13:00 バスで出発

 ・旭興産業㈱ 伏見区横大路千両松町60-4

 ・京都環境保全公社 伏見環境保全センター

  伏見区横大路千両松町126

 16:20 京都駅解散

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― 19 ―

矢野勝俊研究室による蔵王の樹氷観測

山形県教育庁 安 部 博 之 

 矢野勝俊先生が2000年4月に亡くなられてから

20年近い年月がたってしまいました。本稿では矢

野研究室による蔵王の樹氷観測について紹介した

いと思います。

矢野先生 1994年2月23日

矢野先生 1999年2月18日(蔵王山頂の雪氷研究所にて)

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― 20 ―

 山形大学理学部物理学科の矢野勝俊教授の研究

室では毎年、冬になると樹氷や積雪の観測を行っ

ていました。蔵王ロープウェイ山頂駅の改修工事

でなくなってしまいましたが、蔵王ロープウェイ

山頂駅の地下の一角に山形大学理学部雪氷研究所

を作られ、そこを拠点に昼夜観測を行っていまし

た。

 矢野先生のご研究の中で大きな成果の一つは、

温暖化による樹氷の衰退を見つけられたことで

す。最初の論文は1994年、に(社)日本雪氷学会

東北支部の「東北の雪と生活 第9号」に掲載さ

れた「山形県蔵王の気象観測(1)」です。

 翌年の1995年には、講談社のブルーバックス

「検証・ヒトが招いた地球の危機(山形大学地球

環境研究会編)」に「蔵王の樹氷が温暖化を語る」

を執筆されています。この中で、矢野先生は、蔵

王山頂では1983年から1993年までの10年間で1.1-1.5℃気温が上昇していること、樹氷の下限高

度が1980年代はじめは1500mであったものが1990年代はじめには1550mにまで50m上昇したことを

示されています。そして、このまま気温の上昇が

続いていくと、樹氷は消えてしまうかもしれない

と言及されていました。

東北の雪と生活 第9号(1994年)の表紙 山形県蔵王の気象観測(1)

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講談社のブルーバックス「検証・ヒトが招いた地球の危機(山形大学地球環境研究会編)」の表紙

蔵王の樹氷が温暖化を語る

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蔵王の樹氷が温暖化を語る(地球は温暖化する)

蔵王の樹氷が温暖化を語る(樹氷が消える)

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― 23 ―

 矢野先生による蔵王の樹氷観測は1996年まで行

われていました。矢野先生が停年された1997年か

らは、日本地下水開発(株)の沼沢喜一さん・山

谷睦さんらに引き継がれて現在に至っています。

*積雪・断面観測93年から95年まで

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― 23 ―

 矢野先生による蔵王の樹氷観測は1996年まで行

われていました。矢野先生が停年された1997年か

らは、日本地下水開発(株)の沼沢喜一さん・山

谷睦さんらに引き継がれて現在に至っています。

*積雪・断面観測93年から95年まで

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― 23 ―

 矢野先生による蔵王の樹氷観測は1996年まで行

われていました。矢野先生が停年された1997年か

らは、日本地下水開発(株)の沼沢喜一さん・山

谷睦さんらに引き継がれて現在に至っています。

*積雪・断面観測93年から95年まで

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*積雪・断面観測1994年3月9日

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*ライトアッフ 1999年2月1日

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どこからが樹氷で どこからがアイスモンスターなのか

山形大学学術研究院 柳 澤 文 孝 

1.はじめに 地球温暖化によって蔵王のアイスモンスター

(樹氷)が衰退(下限高度の上昇・分布域の縮

小・期間の短縮・スリム化)しているといわれて

います。柳澤(2012)は1940年代から現在までの

蔵王のアイスモンスター(樹氷)の変遷地図を作

製しました。蔵王のアイスモンスター(樹氷)の

下限高度は、1940年代は1300-1400m、1970年代

は1500m、1990年代は1550m、2010年は1600mと

なっております。

 その後、他の地域のアイスモンスター(樹氷)

はどうなのか、今後はどうなるのか、桜の開花の

際の標準木のような物はあるのか、どこまでが樹

氷(エビノシッポ)でどこからがアイスモンス

ター(樹氷)なのかなどの問い合わせをいただき

ました。

 「樹氷」と言う言葉は、明治6年の万国気象

会議で定められた用語(Silver Thaw, Glazed Frost)を明治10年頃に日本語に訳したものです。

その後、気象学だけでなく雪氷学・山岳をはじめ

多方面で使われています。例えば、北大の寮歌、

詩歌の季語として使われています。また、鉄鋼で

は樹氷状構造、眼科では樹氷状として使われるこ

とがあります。

 雪氷学や気象学では「樹氷」について定義して

いますが、内容が異なっています。また、山岳で

は雪氷学と気象学の定義を混在して使われていま

す。

 「アイスモンスター」の用語は雪氷学にしかあ

りませんので、ここでは、雪氷学の定義に従って、

どこからが樹氷でどこからがアイスモンスターな

のかについて考えてみたいと思います。

2.アイスモンスターの成因について まず、アイスモンスター・樹氷がどの様にして

できるのかが明らかになっていないといけませ

ん。

 アイスモンスターの成因については、中谷宇吉

郎先生の過冷却水滴説(水が氷った)と安齋徹先

生の雪説(雪が氷となった)があり、昭和10年代

から論争が続けられてきました。昭和11年には田

邊和雄先生により複合体説(雪と過冷却水滴が複

合して氷となった)も出されていました。

 1960年代に芝浦工業大学の小笠原和夫教授を中

心に「蔵王の樹氷(アイスモンスター)の総合研

究」が行われ、樹氷の成長過程の観測や樹氷を切

断して中の構造を観察するなどが行われました。

この結果、樹氷(アイスモンスター)が雪と過冷

却水滴の複合体であり、焼結によって雪と氷が分

かちがたく一体化して氷となった物であることが

明らかとされました。それに続き、1970年代には

山形大学理学部物理学科の阿部正二朗教授のご研

究によって生成条件が求められています。

 以上を踏まえ、2014年に日本雪氷学会編で出版

された「新版・雪氷辞典」においてアイスモンス

ターや樹氷は以下のように説明されています。

○着氷 Ice Accretion

   空気中の水が物体に付着してできる氷および

その現象をいう。大気中の水蒸気が樹枝などの

物体に昇華してできるものを樹霜(霧氷)とい

う。降水や霧が過冷却水滴となって物体に付着

し凍結する場合には、その構造によって雨氷、

粗氷、樹氷に分類される。

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○着雪 Snow Accretion

   雪が物体に付着する現象、あるいは付着した

雪をいう。

○焼結 Sintering

   互いに接触している固体粒子が融点より低い

温度で固結する現象。  注: 氷と雪で書き直すと以下のようになる:互

いに接触している雪や氷が融点(0℃)より少し低い温度で固結する現象。

○昇華 Sublimation

   物体が液体を経ずに固体から気体へ気化、ま

たは気体から固体へ固化する現象。なお、気化

を昇華蒸発、固化を昇華凝結という。

○樹霜 Air Hoar

   空気中の水蒸気が樹木や電線などに、霜の結

晶として昇華凝結したもの。樹脂状、針状、柱

状の結晶をなしている。気温が低く、風が弱い

夜から早朝にかけて起こりやすい。

○霧氷

 ⑴� Air Hoar 樹木や地方の表面に水蒸気が

昇華してできた氷。樹霜。

 ⑵� Rime 過冷却した霧や雲粒が樹木や地物に

付着し凍結した氷。樹氷・アイスモンスター。

○樹氷(エビノシッポ)Rime

   風で運搬されてきた雲粒などの過冷却水滴が

樹木などの物体に衝突して凍結したもの。雲粒

は次から次へと無数に衝突してくるので、樹木

などの風上側に粒子構造の氷が成長する。こ

のようにしてできる着氷は、気温、風速、雲

(霧)水量、雲粒の大きさ、物体の熱伝導率な

どによって形態が異なり、樹氷、粗氷、雨氷の

三つに大別されている。樹氷は形がエビの尻尾

状で、空隙が多く、不透明で白く、たたくと容

易に壊れる。気温が低く、雲水量が小さく、風

が比較的弱いときにできる。

○ アイスモンスター・スノーモンスター Ice

Monster・Snow Monster

   亜高山地帯に植生しているアオモリトドマツ

が着氷と雪片でおおわれて巨大な雪の塊に成長

したものをいう。……着雪も加わっている点

で、過冷却水滴による着氷の一種である樹氷と

は異なる。……モンスターの形成に必要な環

境条件は、平均気温-10~-15℃、風速10~20m/sである。

 以上をまとめると次の表のようになります。即

ち、空気中の水分が物体に付着して氷となる現象

が着氷で、水分が水蒸気の場合は霧氷、過冷却水

滴の場合は樹氷です。また、過冷却水滴だけでで

きている場合がエビノシッポ(樹氷)で、過冷却

水滴と着雪が焼結してできている場合がアイスモ

ンスター(樹氷)です。

 大きさが何センチ以上とか、塊の数や、存在し

ている期間などは決まっておりませんので、アイ

スモンスター(樹氷)については人によって認識

が異なります。例えば、樹木の一部がブロック状

となっている場合、樹木の大部分がブロック状と

なっている場合、樹木全体が1個~数個の塊と

なっている場合、樹木全体が1つの塊となってお

り風上側に淀線ができている場合などです。

 学術的には樹木の一部分~大部分がブロック状

となっている場合からがアイスモンスターの範疇

と考えられます。

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新版・雪氷辞典(日本雪氷学会)

(参考)気象学における樹氷の定義

気象観測の手引き (気象庁)

現象 名称 象事名語英称通 備考霧氷 ー Air Hore 空気中の水蒸気が樹木などに昇華 ー

エビノシッポ Rime風で運ばれてきた過冷却水滴が樹木などに衝突し

て凍結した着氷ー

↓過冷却水滴が凍結した着氷に着雪

↓樹木の一部〜大部分

複数のブロック樹木の全体1〜数個

樹木の全体(淀線)1個

着氷 Ice Accretion空気中の水分が物体に付着して氷となる (水蒸

気は霧氷、過冷却水滴は樹氷)着雪 Snow Accretion 雪が物体に付着する

焼結 Sintering接触している雪や氷が融点(0℃)より少し低い

温度で固結する昇華 Sublimation 気体から液体を経ないで固体へ固化する現象

着氷

新版・雪氷辞典(日本雪氷学会)

過冷却水滴が凍結した着氷に着雪し、両者が焼結して一体化

Ice Monsterアイスモンスター

樹氷

気象観測の手引き�(気象庁)

樹 霜

おもに水蒸気の昇華によって生じた氷の結晶からなり、

針状・板状・コップ状などの結晶形が明らかに認められ

ることが多いが、凍った霧粒が混じってついていること

もある。物体の風上側に成長しやすい。

樹 氷

おもに過冷却した霧粒又は雲粒(山岳域)が、地物に吹

きつけられてできた白色不透明のもろい氷で、うすい針

状、又は尾びれ状の塊が集まってできている。側面に

樹霜ができていることもある。弱い風の下では地物の

全方向に付着する。

粗 氷

樹氷と同じようにしてできる。半透明か又は透明に近い

氷の塊で、霧粒が大きく、気温が -10~ -2℃の間でで

きやすい。また風上方向に発達する。

雨氷

均質で透明な氷層が地物に付着した現象。

過冷却した霧雨又は雨(着氷性の霧雨又は

雨)が0℃以下又は0℃よりわずかに高い温

度(過冷却でない場合は0℃以下)の地面や

地物に当たって凍結したもの。

着氷性の雨・霧雨 0℃より低温の雨・霧雨である。

過冷却の雨・霧雨地面や地物又は飛行中の航空機に当たって着氷(水と

0℃の氷の混在)を起こす。

雲微細な氷の粒や水滴が集まり、空中に浮遊しているもので、地表面に接する場合には雲といわず霧という。

霧 ごく小さな水滴が大気中に浮遊する現象。

霧氷樹木や地物に白色ないし半透明の氷層が付

着したもの。

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3.エビノシッポからアイスモンスターまで エビノシッポからアイスモンスターまでを見ていくことにします。

*着氷 Ice Accretion

 樹木やロープ、杭などに着氷ができはじめまし

た。

 Supercooled water droplets start to icing on needle-like leaves of Abies Mariesii and ropes and piles.

*樹氷(エビノシッポ) tree covered with rime

 過冷却水滴がアオモリトドマツの針状の葉に着

氷します。アオモリトドマツのほとんどの枝葉が

着氷と着雪で覆われますが、木の形はそのまま見

ることができます。

 Supercooled water droplets begin to icing on the needle leaves of Abies Mariesii. Even after most branches and leaves of trees are covered with icing and snow cover, we can see the shape of the tree as it is.

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* アイスモンスター(開始) tree covered with

ice blocks(Ice Monster start, mini monster)

 アオモリトドマツへの着氷と着雪が継続してい

ます。着氷と着雪の焼結によってできた氷塊がア

オモリトドマツの枝葉にできています。

 Ice and snow are accreted continuously on Abies Mariesii. Sintering of ice and snow begins and ice blocks are formed on branches and leaves of the tree.

* アイスモンスター(発達中) Ice Monster in

developing/progressive

 アオモリトドマツの大部分に着氷と着雪の焼結

による氷塊ができています。氷塊は木の全体を

覆っておらず、枝葉が見えるところもあります。

 As a result of sintering of ice and snow, ice blocks are formed in most parts of the tree. Since trees are not completely covered with ice blocks, branches and leaves of the tree can be seen.

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* ア イ ス モ ン ス タ ー( 標 準 ) Ice Monster in

standard

 北西の季節風がアオモリトドマツの反対側まで

回り込みことで、アオモリトドマツ全体が着氷と

着雪の焼結によってできた氷で覆われます。

 As the northwest winter monsoon winds wrap around to the other side of the tree, the whole tree is covered with ice formed by sintering of snow and ice.

* ア イ ス モ ン ス タ ー( 完 成 ) Ice Monster in

completed(Final)

 アオモリトドマツを覆う氷が巨大化すると、風

の淀みによって、風上側に窪んだ線状の構造(淀

線)が形成されます。

When the ice covering the trees grows huge, a recessed structural line (stagnation line) is formed on windward side due to wind stagnation.

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4.山麓から山頂まで 蔵王の樹氷は山麓から山頂まで大きく変化しま

す。おおよそ、下から霧氷・樹氷(エビノシッポ)・

樹氷(アイスモンスター)です。しかし、気象条

件によって成長と衰退が繰り返されており、霧氷

と樹氷(エビノシッポ)、樹氷(エビノシッポ)

と樹氷(アイスモンスター)の境界となる高度も

時間毎に変化します。また、同じ高度でも風の通

り道か否かで樹氷の成長の度合いは異なります。

ここでは、安部博之先生が撮影された写真から高

さによる変化をご紹介します。標高1550mを越え

たあたりから樹氷となっています。

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1933年から2015年までの 蔵王山における月平均気温変化

山形大学理学部地球環境学科 渡 邉 鴻 也 

1.はじめに 冬季、山形には北西のシベリアから冷たく乾い

た季節風が吹く(図1)。その季節風は日本海上

空を渡る際に対馬暖流より多量の水分を供給さ

れ、朝日連峰へ衝突して雪雲を形成する。水分の

大部分は降雪として取り除かれるが、降雪に伴い

雪の核となるべき海塩が消費されてしまい、その

水分の一部は過冷却水滴となる。やがて過冷却水

滴を含んだ季節風は山形盆地を越えて、蔵王山の

斜面を吹き上げられ山頂付近に雪雲を形成する。

過冷却水滴は自生するアオモリトドマツに衝突し

て着氷し、雪雲内で着氷と雪片が一体化する焼結

を経て樹氷(Ice Monster)となる。この樹氷の

形成には、常緑針葉樹の存在(アオモリトドマ

ツ)、北西から西の適度な強風(10~15m/sec)、多量の過冷却水滴(雲量9)、適度な低温(-10~-15℃)、適度な積雪量(2~3m)といった

複数の条件が必要である。

 現在、この樹氷は東北地方の一部山岳地帯でし

か観測されない特異な自然現象である。しかし、

1930年から1950年までの期間には山形県より南に

位置する長野県の志賀高原や菅平にも樹氷が存

在していたことが明らかとなっている(柳澤,

2013)。樹氷の南限は徐々に北上しつつあり、山

形蔵王においては分布域の縮小やスリム化などの

問題が生じてきている(柳澤,2012)(図2)。そ

の原因として、地球温暖化によるものと説明され

ている。柳澤(2010)では山形市の12月~3月の

各月の平均気温について、どの月においても120年間で約2度前後の変化が認められること、樹氷

期間と生成下限はおおむね山形市の気温の変化に

伴って変化していることを明らかとしている(図

3)。特に分布域が広かった1940年代と狭くなっ

ている2010年とを比較すると約3℃の上昇が見ら

れる。だが、都市部の気温の上昇は、都市化にお

ける排熱によるものではないかとの意見があった。

図1.樹氷の形成過程 (柳澤 2012)より図1.樹氷の形成過程 (柳澤 2012)より

1

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• 近年、蔵王の樹氷(ice monster)において、

生成期間の短縮や生成高度の上昇、スリム化の問題が挙がっている

2

(柳澤,2012) より

3

約3℃の上昇

図3.樹氷のできる12-3月における山形市の平均気温(5年間の移動平均)

→気温の上昇は排熱によるものとの意見があった

図2.(柳澤,2012)より

図3.樹氷のできる12-3月における山形市の平均気温(5年間の移動平均)

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― 43 ―

2.目  的 都市化の影響を考慮する必要のない高地での現

在および過去の気温の推移から樹氷の生成高度の

変化の原因を検討する。 3.研究手法  山形大学付属図書館において所蔵が見つかった

山形県気象年報および山岳気象報告の文献に記載

された気象記録を元に⑴現在と⑵過去の気温逓減

率を求め、山形市-山頂間で比較を行う(図4)。  気温逓減率とは、高度によって気温が変化す

る割合をいう。一般的に、標高100m上昇につき

乾燥状態下では約0.9℃、湿潤状態下では0.5~ 0.7℃低下する。また、気象の事典(1988)によ

ると湿潤状態下の気温逓減率は、実測値では約

0.5~0.6℃、理論値では0.65℃とされている。こ

の気温逓減率を用いて過去と現在の山形市-山頂

間の値を比較することで、都市熱の影響を検討す

る。

 ⑴ 現 在 研究対象期間は1997年から2015年までの冬季で

ある。観測地点は山形ロープウェイ蔵王山頂駅

(標高1661m)で、日本地下水開発株式会社が記

録している「山形蔵王に おける雪氷現象の観測」

のデータを用いる。  ⑵ 過 去 研究対象期間は、山岳気象報告で欠測のなかっ

た1943年から1946年とし、現在の地蔵山山頂に位

置していた蔵王山測候所(標高1736m)で観測さ

れた記録を用いる(図4)。

 また、参考として地蔵山山腹に位置する蔵王温

泉(旧高湯)にて観測された「山形気象年報」の

記録の比較も行う。研究対象期間は堀田第三小学

校(図4)観測の1933年から1936年である。標高

は、明確な位置が分かっている堀田第三小学校の

880mを基準とする。  比較対象である山形市は山形地方気象台(旧山

形県山形測候所)は153mを基準としている。

4

山形県気象年報(1933-1936)

山岳気象報告(1943-1946)

4

山形県気象年報(1933-1936)

山岳気象報告(1943-1946)

図4.山形県気象年報、山岳気象報告

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4.結果と考察  4.1 現在  4.1.1 �1997年~2015年冬季 山形

ロープウェイ蔵王山頂駅  山形地方気象台(旧山形県山形測候所)との気

温差は平均9.19±0.93℃で推移していた(図5)。

各気温差と標高差1508mの数値を用いて気温逓減

率を求めたところ平均0.61±0.06℃と湿潤状態下

の範囲内であることが分かった(図5)。もし、

山形市の平均気温が排熱の影響で約3℃上昇して

いたと仮定した場合、排熱分を除いた気温差は

6℃となるため気温逓減率は0.4℃となってしま

う。この値は湿潤状態下の範囲外であるため排熱

の影響は無いか極めて小さいのではないかと推測

できる。また、山形県山形測候所と山形ロープウェ

イ蔵王山頂駅の気温の相関は0.91と良い相関がみ

られている(図5)。

 4.2.過去  4.2.1 �1943年~ 1946年 蔵王山測

候所(地蔵山山頂)

 山形県山形測候所(現山形地方気象台)との気

温差は平均して9.13±0.58℃で推移していた(図

6)。各気温差と標高差1583mの数値を用いて気

温逓減率を求めたところ平均0.59±0.04℃と湿潤

状態下であることが分かった(図6)。気温の相

関は0.99と良い相関を示している(図6)。  気温逓減率が現在値0.61±0.06℃とほとんど差

がなく、気温差の推移にも大きな変化が認められ

ない(図6)ことから、1940年代から2015年にか

けての約70年間に気温逓減率に変化がなかったこ

とが推測される。

 4.2.2 �1933年~1936年 堀田第三小学校(高湯)�

 山形県山形測候所(現山形地方気象台)との気

温差は平均して4.55±0.98℃で推移していた。各

気温差と標高差727mで求めた気温逓減率は平均

0.63±0.13℃と湿潤状態下の範囲内であった(図

7)。

R² = 0.9144

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

-10 -5 0 5 10 15 20 25 30

山頂駅

山形市5

4.研究結果4.1 現在(1997年~2015年:蔵王山頂駅)

山頂駅と山形市の平均気温(沖田ほか)

山形地方気象台

(153m)

山形ロープウェイ蔵王山頂駅

(1661m) 御釜

山 形 市

山頂駅と山形市の気温相関図

(℃)

(℃)

(℃)

-14-12-10

-8-6-4-202468

1997

年12

月 3月19

99年

1月 2月20

00年

12月 3月

2002

年1月 2月

2003

年12

月 3月20

05年

1月 2月20

06年

12月 3月

2008

年1月 2月

2009

年12

月 3月20

11年

1月 2月20

12年

12月 3月

2014

年1月 2月

山頂駅 山形市

【標高差】 1508m

【気温差】 9.19±0.93℃

【気温逓減率】 0.61±0.06℃

図5.山頂駅と山形市の気温相関図

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→1940年代、1997-2015年の逓減率は誤差の範囲内で一致少なくとも70年間の逓減率に変化は認められない

7

気温逓減率(℃)山頂駅 (1997年~2015年) 0.61±0.06蔵王山測候所(1943年~1946年) 0.59±0.04高湯(1933年~1936年) 0.63±0.13

R² = 0.9133

R² = 0.9968

R² = 0.99

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

-10 -5 0 5 10 15 20 25 30

各地点

山形市

山頂駅

蔵王山測候所

高湯

(℃)

(℃)

.測候所と山形市の平均気温(山岳気象報告)

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30 測候所 山形市

R² = 0.9968

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

-10 -5 0 5 10 15 20 25 30

測候所

山形市

(℃)

6.測候所と山形市の気温相関図

蔵王山測候所

(1736m)

山 形 市

山形地方気象台

(153m)

(℃)

(℃)

【標高差】 1583m

【気温差】 9.13±0.58℃

【気温逓減率】 0.59±0.04℃

御釜

図6.測候所と山形市の気温相関図

図7.1940年代、1997-2015年の逓減率は誤差の範囲内で一致少なくとも70年間の逓減率に変化は認められない  

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5.結  論  ⑴� 現在(1997~2015年)における気温逓減率

は0.61±0.06℃と湿潤状態下の範囲内であ

る。  ⑵� 過去(1943~1946年)における気温逓減率

は0.59±0.04℃と湿潤状態下の範囲内であ

り、現在の値とほとんど変わりない。  ⑶� ⑴と⑵より気温上昇において都市化の影響

は無いか極めて小さい。  ⑷� 樹氷生成高度の上昇は温暖化における気温

上昇によるものと判断される。 6.参考文献 沼 澤喜一ほか(2011)山形蔵王の樹氷.東北の雪

と生活-雪氷研究の回顧と展望-,68-74沖 田圭右ほか(2008)山形蔵王における雪氷現象

の観測(平成19年度).東北の雪と生活,23,23-24

沖 田圭右ほか(2009)山形蔵王における雪氷現象

の観測(平成20年度).東北の雪と生活,24,62-63

沖 田圭右ほか(2011)山形蔵王における雪氷現象

の観測(平成22年度).東北の雪と生活,26,72-73

沖 田圭右ほか(2012)山形蔵王における雪氷現象

の観測(平成23年度).東北の雪と生活,27,54-55

沖 田圭右ほか(2013)山形蔵王における雪氷現象

の観測(平成24年度).東北の雪と生活,28,32-33

沖 田圭右ほか(2014)山形蔵王における雪氷現象

の観測(平成25年度),29,46-47 沖 田圭右ほか(2015)山形蔵王における雪氷現象

の観測(平成26年度),30,28-29 中央気象台(1951)山岳気象報告.243-247 山 形県山形測候所(1935)昭和8年 山形県気象

年報.19 山 形県山形測候所(1935)昭和9年 山形県気象

年報.28 山 形県山形測候所(1937)昭和10年 山形県気象

年報.29 山 形県山形測候所(1938)昭和11年 山形県気象

年報.11 山 谷睦ほか(2007)山形蔵王における雪氷現象の

観測(平成9年度~平成18年度).東北の雪と

生活,22,21-24 柳 澤文孝(2010)蔵王の樹氷の変化について.東

北の雪と生活.25,71-7 柳 澤文孝(2012)蔵王の樹氷(ice monster)の

分布域の経年変化.環境保全No15.35-46 柳 澤文孝(2013)樹氷(アイスモンスター)の南

限について.環境保全 No16.25-29

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これまでで最も古い大正10年の蔵王の アイスモンスターの写真が見つかりました

山形大学学術研究院 柳 澤 文 孝 

1.はじめに 大正10年1月の蔵王山厳冬期初踏破の紀行文と

その際に撮影された蔵王の「アイスモンスター」

の写真が慶応大学山岳部「登高行」第3年(大正 10年6月出版)より見つかりました。「アイスモ

ンスター」についてこれまでで最も古い、蔵王の

樹氷が有名になる前の、写真です。

 さて、「樹氷」には二つの種類があります。一

つ目は、「エビノシッポ」ともよばれているもの

で、過冷却水滴の着氷によってできます。明治

6年の第一回万国気象会議で定められた Silver Thawを明治9年頃に和訳したもので、世界の山

岳地帯で見られます。二つ目は、「アイスモンス

ター」ともよばれているもので、アオモリトド

マツ(オオシラビソ)へ付いた着氷と着雪が結

合して氷となることでできます。「アイスモンス

ター」は大正3年2月15日に蔵王冬季初登頂した

神山峯吉らによって発見されました。発見当時は

雪が凍ってできると考えられて「雪の坊」や「雪

瘤」とよばれていました。一方、「エビノシッポ」

についても雪が凍ってできると考えられたことか

ら、「アイスモンスター」は「エビノシッポ」が

アオモリトドマツ全体を覆ったものだと誤解され

て「樹氷」とよばれるようになりました。なお、

「アイスモンスター」が着氷と着雪が結合して氷

となることでできていることが分かったのは1960年代の終わりになってからです。

 「アイスモンスター」は日本でしか見ることが

できません。それは、「アイスモンスター」の生

成に、アオモリトドマツのような常繁の針葉樹が

必要なこと、一定方向の季節風や風速・気温と

いった様々な気象条件が必要なためです。 かつ

ては北海道の羊蹄山などや長野県にある志賀高原

の横手山や菅平の根子岳でも見られていました

が、温暖化に伴い、1970年代以降は東北地方の一

部の山岳地帯(八甲田・八幡平・森吉山・蔵王・

西吾妻)でしか見ることができなくなっています。

2.蔵王冬期初踏破と「樹氷」の写真について これまで、蔵王山厳冬期初踏破は大正10年の慶

応大学山岳部ということはわかっておりました

が、踏破を急いだため「アイスモンスター」には

気がつかなかったとされておりました。その後、

初踏破時にアイスモンスターの写真を撮影したと

の論文(三田幸夫1973山渓)が見つかりました

が、写真の所在についての記述はありませんでし

た。

 一方、「エビノシッポ」は石崎光瑤氏の大正10年(山岳)、「エビノシッポ」と「アイスモンス

ター」と中間的な物は榎谷哲蔵氏の大正13年(山

渓)、「アイスモンスター」は昭和2~3年の鉄道

省などが最も古い写真であると考えておりまし

た。

 その後、慶応大学山岳部の部報である「登高行」

を調査し、蔵王山冬季初踏破の際の紀行文と、そ

の際に撮影された「アイスモンスター」の写真を

見つけることができました。

3.新資料について 大正10年6月発行の慶応大学山岳部年報「登高

行」第3年(図1)に早川種三氏の「冬の蔵王越

え」と題する紀行文(図2・図3)と行程につい

ての記載(図4)があり、鹿子木員信(かのこぎ

かずのぶ)先生と学生7名が大正10年1月8日に

峨々温泉から地蔵嶽を経由して高湯温泉へ踏破し

たことが記されていました。また、初踏破に参加

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図1 図2

図4

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した豊邊國臣氏が撮影した3枚の写真(図5・図

6・図7)も掲載されており、それらには「アイ

スモンスター」が写っておりました。「アイスモ

ンスター」について、これまでで最も古い写真で

す。

 また、紀行文には「夕光のかすかな光が尾根の

樹氷のみを輝しかけた頃に明日来る事を約して

……真暗な森道を木根に躓きながら七時半過ぎ

に(峨々温泉から遠刈田)牧場に帰って来た」、

「神社は銀で作られる而もその銀雪は風の為に一

面に銀の針を描してある様に思はれる」との記載

があります。前者は標高1300mの賽の河原付近か

ら1800mの蔵王山山頂を見上げた際のもので、後

者は目の前にある物についてのものですので、前

者が「アイスモンスター」で後者が「エビノシッ

ポ」と考えることができます。紀行文では「エビ

ノシッポ」を「樹氷」とは考えておらず、「アイ

スモンスター」を「樹氷」とよんでいることにな

りますが、直接よぶような表現とはなっていませ

んでした。また、「三寶荒神山と高湯温泉に続く

尾根は「しらべ(シラビソのこと)」の森林を以

て覆われているのが見える。三寶荒神山と地蔵嶽

の鞍部の森林は全く雪に覆はれて結氷してサンタ

クロースの森の如き感を懐かせるこの大森林は生

きている様に風に吹かれて力強く動いている」と

の記述があります。「樹氷」を「エビノシッポ」

といった一部分ではなく樹木や森林といった群や

塊で見ており、「アイスモンスター」を「樹氷」

とよぶといった名称もまだ充分には確立していな

いことが分かります。また、大正10年当時、「樹氷」

はアオモリトドマツを覆った雪の結氷でできると

考えていたことも分かりました。

 大正10年は、蔵王の「アイスモンスター」が全

国的に有名となる前のことです。大きくて重いカ

メラを持参していることから、記録を目的とし

て、準備をして来ていることはわかりますが、初

踏破前から「アイスモンスター」を知っていたか

どうかまでは判断できませんでした。また、これ

図3 図5

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までいわれてきたように冬季初踏破に集中してい

たため、「アイスモンスター」を見ていなかった

わけではない、ということが分かりました。「登

高行」によって、蔵王の「アイスモンスター」が

広まるきっかけになったと考えられます。

 なお、同誌によれば、同山岳部は蔵王初踏破の

後、五色温泉に移動し、大正10年1月から3月に

かけて、家形山・東大嶺山などにも登頂していま

す。季節から考えますと、そちらでも「アイスモ

ンスター」に遭遇したと考えられますが、記述や

写真はありませんでした。

 また、1957年に出版された「登高行」の15号(図

8)には鹿子木員信による冬季初踏破の回想録が

掲載されていました(図9)。

図6

図7

図8 図9

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アジア地域から越境飛来する大気汚染物質

山形大学大学院理工学研究科 保 坂   翼 

1.これまでの研究 これまでの研究から以下の2点が明らかとなっ

ていた。

 ⑴� 華北平原に蓄積した大気汚染物質(PM2.5、硫酸イオン)が高気圧の移動に伴って越境飛

来している。冬型の時より冬型と冬型の間の

やや暖かい時の方が大気汚染物質の影響が大

きい。

 ⑵� 硫黄同位体を用いることで大気汚染物質の

発生源(華北平原)を特定した。東日本は北

京方面の、西日本は上海方面の影響が強い。

2.2012−2013年冬季の樹氷について 2012年12月から2013年2月の樹氷は、2013-2014年と比べてPM2.5の影響が小さい。これは、

華北平原への大気汚染物資の蓄積が長続きせず、

また、蓄積した物が太平洋に流される傾向が強

かったため、東日本への越境汚染影響が少なかっ

たと考えられる。なお、pHは4以下の酸性であった。

3.非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比 樹氷の酸性化の主原因である非海塩性硫酸イオ

ンの硫黄同位体比を測定した。なお、日本国内で

発生する非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比は -2パーミル前後である。

 測定結果は以下のようになった。+6パーミル

前後のものと、0パーミル前後のものに分けるこ

とができる。冬型と冬型の間のものは+6パーミ

ル前後であり、北京周辺で使用されている化石燃

料(石炭)に含まれている硫黄に近い値であっ

た。一方、冬型の際のものは0パーミル前後であ

り、北京周辺で使用されているものとは異なって

いた。

3.非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比

樹氷の酸性化の主原因である非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比を測定

した。なお、日本国内で発生する非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比はー2

パーミル前後である。

測定結果は以下のようになった。+6パーミル前後のものと、0パーミル

前後のものに分けることができる。冬型と冬型の間のものは+6パーミル前

後であり、北京周辺で使用されている化石燃料(石炭)に含まれている硫黄

に近い値であった。一方、冬型の際のものは0パーミル前後であり、北京周

辺で使用されているものとは異なっていた。

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4�.天気図(気象庁のHPより引用)と樹氷の汚れの程度  4.1 冬型の場合     汚れは顕著ではない。

4.天気図(気象庁のHPより引用)と樹氷の汚れの程度

4.1 冬型の場合

汚れは顕著ではない。

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  4.2 冬型と冬型の間の場合     汚れが顕著である。

4.2 冬型と冬型の間の場合

汚れが顕著である。

5.人工衛星

画像(東北大

工藤純一教

授提供

PM2.5 等の

粒子状汚染

物質を黄色

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5�.人工衛星画像(東北大 工藤純一教授提供 PM2.5等の粒子状汚染物質を黄色く着色している) 5.1 冬型の場合  シベリア方面から飛来している。

2013年1月16日の人工衛星画像

2013年1月17日の人工衛星画像

2013年1月18日の人工衛星画像

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2013年2月26日の人工衛星画像

2013年2月27日の人工衛星画像

2013年2月28日の人工衛星画像

 5.2 冬型と冬型の間の場合  中国の華北平原-中国東北部から飛来している。

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6.結  論 1.nssδ34Sが0‰前後のとき

    冬型の気圧配置により北西(シベリア方

面)からの風が卓越するため日本に飛来する

大気汚染物質の量は少ない。

 2.nssδ34Sが6‰前後のとき

    冬型の気圧配置が崩れ、西からの風が卓越

するため日本に飛来する大気汚染物質の量は

多い。 北京方面の影響が強いと推定される。

 3 .硫黄安定同位体および人工衛星画像を用い

ることで飛来する大気汚染物質の起源を特定

できる。

参考文献本 山玲美・柳澤文孝・小谷卓・川端明子・上田晃

(2000)山形のエアロゾルと湿性降下物に含

まれる非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比., 雪氷,62,3,215-224.

本 山玲美・柳澤文孝・赤田尚史・鈴木祐一郎・金

井豊・小島武・川端明子・上田晃(2002)東ア

ジアで使用されている石炭に含まれる硫黄の同

位体比.,雪氷,64,1,49-58.永 谷泉・柳澤文孝・三浦崇史・工藤純一(2013)

大陸からの越境大気汚染飛来把握のための

MODISデータの利用法., 日本リモートセンシ

ング学会誌,33,4,298-307.気象庁(http://www.jma.go.jp/jma/index.html)

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戦時中の蔵王で飛行機凍結防止に関する 研究実施を示す資料の発見(序報)

山形大学学術研究院 柳 澤 文 孝 

1.はじめに これまで、戦時下の蔵王について次のように伝

わっていました。

 ⑴� 昭和45年に出版されたパンフレット「樹

氷」には以下の様に記載されています。「樹

氷の研究は、戦闘機が凍結して墜落するのを

防ごうと、昭和17年、時の政府と東北帝国大

学の共同で、着氷現象の観測・研究に適した

蔵王地蔵山頂に測候所を建てたのに始まる。

(略)加藤愛雄教授の手で、その成果が発表

されたが、戦後は、蔵王高層気象着氷対策研

究所と名前を変えて、樹氷の研究が進めら

れ、その解明に貢献した。」

    これが、一般的な認識であると思われます

が、なぜ、地震学の加藤先生が着氷研究を行っ

たのか、戦後も研究を継続できたのかなど、

様々な疑問がでてきます。

 ⑵� 北海道帝国大学低温研究所の中谷宇吉郎教

授は、世界で始めて人工雪の製作に成功し、

気象条件(温度・水蒸気過飽和度)と結晶の

形態の関係を明らかにしたことで知られてお

り(中谷ダイヤグラム)、「雪は天からの手紙

である」との名言が残されています。昭和16-17年の予備的研究を経て、昭和18年ニセコ

山頂に着氷研究所を建設し、昭和19年に実機

を用いた飛行機着氷防止に関する研究を行っ

ています(菊地勝弘 2006 など)。

    これまで、中谷教授およびその周辺の文書

からは、蔵王や加藤助教授に関する記述は見

つかっていませんでした。今回、昭和16-17年 陸軍気象部によって、昭和18-20年 北

海道帝国大学の中谷宇吉郎教授らによって、

飛行機凍結防止に関する研究が行われたこと

を示す資料が見つかりました。また、蔵王に

おける研究の経緯やその後の顛末も明らかと

なりました。

 なお、更に新たな資料が見つかっていることか

ら、本稿は「序報」とさせていだき概要をご報告

いたします。なお、資料がまとまった時点で改め

て報告させていただきます。

2.これまでの経緯 秋田工業高等専門学校の吉葉恭行教授の研究よ

り東北帝国大学における戦時科学技術動員の状況

が明らかとされました(2012,2013,2014)。ま

た、その論文中に文部省科研費採択リストに「飛

行機凍結防止に関する研究」についての記述があ

り、東北大学史料館に所蔵されている大久保純三

文書や公文書に原本があることが分かりました。

 そこで、史料館をあたったところ、文部省の緊

急科学研究費・重要研究課題として採択された「飛

行機凍結防止に関する研究(中谷宇吉郎北大教授

を研究代表者、中村左衛門太郎東北大教授を研究

分担者)」にたどりつきました。その後、戦時下

に関する文献(「陸軍気象史 1986」「山形の気象

百年 1992」など)を調査し、蔵王における研究

の経緯や顛末が明らかとなりました。

3.新たに分かったこと 「戦時下における飛行機着氷に関する研究(P

59)」を参照して下さい。

 ⑴� 昭和16年、蔵王山など航路上の山頂観測所

の開設が決定されました。蔵王における気象

観測は、当初、蔵王小屋を接収した陸軍気象

部が担当していました。その後、山形測候所

が職員の訓練のため、蔵王小屋に蔵王山臨時

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― 58 ―

気象観測所を開設して予備観測業務を開始し

ました。昭和18年、蔵王山山頂に測候所が竣

工したことから、業務は蔵王山測候所に移行

しました。蔵王山測候所は、GHQの許可を

得て、昭和22年まで(昭和21年10月から昭和

22年6月まで一時中断)観測を行っていまし

た(山形の気象百年)。

 ⑵� 昭和15年、陸軍気象部により旧制山形高等

学校の安齋徹教授に蔵王の樹氷に関する問

い合わせと、着氷研究のためにコーボルト

ヒュッテ借用の依頼がありました。しかし、

コーボルトヒュッテが手狭であるため、蔵王

小屋で着氷の研究を行うことになりました

(安齋徹 1950)。 ⑶� 昭和16-17年、陸軍気象部により蔵王小屋

に小型風洞と模型翼が持ち込まれて飛行機に

対する着氷の研究が行われました(陸軍気象

史)。

 ⑷� 昭和17年、蔵王小屋に北大低温研の職員が

一時的に滞在していたとの記述がみつかりま

した(山形の気象百年)。研究情報の収集や

今後の研究の打ち合わせのために滞在してい

たと推定されます。

 ⑸� 昭和18年、文部省の緊急科学研究費・重要

研究課題「飛行機凍結防止に関する研究(研

究代表者:中谷宇吉郎北大教授、研究分担者

 中村左衛門太郎東北大教授)が行われまし

た。なお、予算が決まった後、研究分担者を

加藤助教授に交代しています。なお、昭和18年12月25日から28日かけて行われた第一回実

験後、加藤助教授は記者会見で「蔵王の樹氷

は着氷の研究に無限の素材を提供している」

と語っていました(春山行夫 1944)。

 ⑹� 昭和19年、加藤助教授は蔵王小屋を買収し

て蔵王山頂(測候所に隣接して)に移築し、

蔵王高層気象着氷対策研究所として、昭和20年1月から4月まで着氷の研究を行いまし

た。この間、堀修一氏が助勤(コーボルト 

1978)、昭和20年1月1日から2月21日まで

の休日には第二高等学校の生徒も手伝ってい

ました(第二高等学校史 1979)。 ⑺� 昭和20年8月の終戦時、加藤助教授は陸軍

より資料等の破棄を求められましたが、資料

を北大中谷研究室の黒岩助手にあずけ、黒岩

助手は20年近く資料を隠し持っていたとのこ

とです(小笠原和夫1960)。 ⑻� 昭和30年に加藤教授が蔵王の樹氷について

書いた2つの文章の中から、昭和20年に行わ

れた本実験の際の写真がみつかりました。

4.本発見の意義について 今回の資料の発見により、戦時中に蔵王で行わ

れていた飛行機の凍結防止に関する研究の実体・

経緯・顛末が明らかとなりました。戦時中、同研

究は中央気象台・海軍・陸軍・北大・東北大など

で行われていましたが、最終的には中谷教授の所

に集約されたことが分かりました。

 見つかった資料は雪氷学、気象学、戦時史など

多岐にわたっております。ある各分野においては

小さな事柄、常識的な事柄であるのかもしれませ

んが、他分野から見ると新しい大きな情報となり

ます。今後とも、多分野の情報を統合することに

よって、新たな歴史を構築することができると考

えられます。

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― 59 ―

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戦時下における飛行機着氷に関する研究  (柳澤2017)

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蔵 王 の 樹 氷 と 御 釜

山形大学学術研究院 加々島 慎 一 

* 2012年2月22日

エビのしっぽと御釜

御 釜 御釜(空の色濃いめ)

刈田岳から御釜

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御釜遠望

御田あたり

山頂の刈田嶺神社

御田あたり

馬の背

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蔵王山頂駅より 蔵王山頂駅より

蔵王山頂駅より

蔵王山頂駅より

蔵王山頂駅より

* 2011年2月23日

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御田避難小屋近く

馬の背エビのしっぽ

馬の背エビのしっぽ

馬の背エビのしっぽ

御釜

* 2017年3月12日

御釜

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御釜

御釜 馬の背

御釜 刈田岳

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刈田岳サスツルギ刈田岳サスツルギ

御田より上部

御田より上部

刈田岳サスツルギ

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蔵王報告(2014−2018年)

 松 木 兼一郎 

1.2014年2月12日 ご無沙汰です だいぶ遅れましたが、新年おめでとうございま

す。

 今年もお世話になります。宜しくお願い致しま

す。

 昨日、毎年恒例の蔵王登山(坊平→刈田)に

行ってまいりました。

 幾つか写真を紹介します。

 「今年の樹氷は好いらしい」と幾つか声を聞い

ていたのですが、

 僕の感想としては、「例年通りの良くない樹氷」

というところです。

 海老の尻尾は脆く、硬いものは殆ど出会えませ

んでした。

 1500m付近の樹氷は、女性型のそれっぽい樹氷

になってはいますが、

 風下側では、雪がついてないトドマツも多く見

られました。

 葉が落とされて、枝のみのトドマツもあり、

少々心配です。

 市内は終日晴れだったようですが、こちらは、

リフト上駅を通過する頃には、晴れ間見えず、馬

の背?刈田岳方面では、視界不良と強風でした。

冬山の普通の天気、といえば、それまでですが。

 乾雪が結構たっぷり積もっている箇所も多かっ

たです。

 週末の寒気が降らせた雪なのだろうと思われま

す。

 添付の写真とあわせて、ご覧下さい。

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2.2015年1月6日 お年賀 2015 あけましておめでとうございます。

 今年もよろしくお願いいたします。

 クリスマス前後に大雪が降ったためか、「樹氷

がよかったよかった」という声が聞こえてきまし

た。

 このところ、12月にどかっと雪が降る傾向があ

るようですが、実際は、もこもこ・女性型の樹氷

のようです。

 来週か再来週に、今季の樹氷を偵察してこよう

かと思っています。

3.2015年2月12日 蔵王坊平方面の樹氷 おはようございます。

 昨日の祝日、毎年恒例の坊平方面へトレッキン

グに行ってきました。

 簡単にお伝えします。

 1400m付近の樹氷は、一応雪

がまとわりついて樹氷の体をな

しているようでもありますが、

全体的にだらっとしています。

今回連れて行った子が、「ジェ

ラードのようだ」と感想を述べ

ました。まさにそんな感じです。

 1500m付近の樹氷は、完成度

は高いように見えます。興味深

いことに、トドマツの風下側に

もしっかりと雪がついている樹

氷が多く見られました。だらっ

とはしていませんが、全体的にいわゆる女性型と

いうところです。

 目印用のポールや運休中のリフトのロープなど

に付着したエビの尻尾は、これは嘆かわしいこと

ですが、ぽろぽろと簡単に手で落とせるほどで、

まるで、粉がたまたまくっついていたかのようで

す。板チョコのようなカチカチ型のエビの尻尾に

はほとんど出会いませんでした。

 前日、猛烈な吹雪だったそうで、その新雪が

あったのは理解できるのですが、ストックを突き

刺すとどこまでも沈んでしまい、この時季ならあ

るはずの「しまった雪」になってなかったのが、

近年と比較して、おや?と思いました。

 あまりにも視界が悪く、大した写真が今回は撮

れませんでしたが、その中から1枚お届けしま

す。1500m付近の樹氷です。

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3.2016年1月6日 お年賀 2016 あけましておめでとうございます。

 見える蔵王も、山頂から中腹までは白いのです

が、山麓にかけては殆ど雪がない様相です。

 先日、志津へ行きましたら、雪が積もってはい

たのですが、まだ藪が覆われていない状態。

 統計に当たってみましたら、例年の1/3の積雪

量だそうです。

 ここまで雪がない冬は経験がありません。

 いったいどうなるのかと、気を揉んでしまって

います。

 今年もよろしくお願いします。

4.2016年2月2日 蔵王リポート おはようございます。

 おととい、毎冬恒例の蔵王登山に行ってきまし

た。

 正確なデータに触れたわけではないですが、体

感的には「こんなもんかな」という感じの積雪量

でした。

 坊平スキー場上部の雪は粉雪でした。

 刈田駐車場付近の雪は、例年ですと「かりか

り」と固くなっているのですが、踏むとぎゅっと

踏みしめることができるような積雪状況でした。

 当日、山形市内は晴れていたそうですが、蔵王

坊平方面は視界が悪く、パートナーや道標のポー

ルが見えないほどでした。

 樹氷原を歩いているにもかかわらず、樹氷は全

く見えませんでした。

 しかし、正午に近づくにつれ、一瞬だけですが、

視界が広がるときがありました。

 写真は、そのときをとらえたものです。

 急いで撮影したので、構図もばらばらです。

 #626は1500m付近。

 例年通り、樹氷っぽい形にはなっているもの

の、もこもこ型です。

 エビのしっぽもできてはいるのですが、脆いも

のでした。

 #638は1400m付近。リフト上駅の上部です。

 アオモリトドマツが垂れ下がっており、折れる

のではないかと危惧するほどです。

 チャンスがあれば、もう一度登山する予定です。

#626 #638

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5.2016年2月11日 蔵王登山 お晩です。

 本日2/ 11、刈田岳まで登山してきました。

 晴れの予報でしたが、現場では視界不良と強風

に悩まされました。

 #756は1500m付近で撮影したものです。

 #766はリフト上駅付近で撮影したものです。

6.2017年1月2日 お年賀 2017 あけましておめでとうございます。

 年末、月山にスノーシューに行きました。

 例年以上に雪が少なく、まるで11月のような様

相でした。

 今季はまだ蔵王方面に繰り出していませんが、

樹氷がうまくできているのか、気になるところで

す。

 今年もよろしくお願いいたします。

追伸:

 この冬は樹氷のできがあまり良くない上に、視

界不良も重なり、殆ど写真を撮影しておりませ

ん。リフト上駅のすぐそばで撮影した写真が一枚

あります。添付ファイルを参照願います。だらっ

としていて、とても樹氷とは言えません。

#756 #766

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7.2018年1月1日 お年賀 2018 あけまして おめでとうございます。

 今冬はいつもより雪が多いのでしょうか、先日

月山に行きましたら、志津付近ですでに1m以上

の雪がありました。

 今冬も、時機を見て蔵王刈田まで行こうと思い

ます。

 今年も宜しくお願いします。

8.2018年1月5日 Re: お年賀 2018 お晩です。

 予定ではあさって行くつもりですが、なにぶん

天候次第というところもあります。うまく行った

らということで、ご容赦願います。

9. 2018年1月7日 蔵王刈田岳 スノーシュー

 お晩です。

 表題の件、昨日、予定通り刈田へ行ってきまし

た。が、あまりの視界不良のため、刈田岳山頂へ

は取りやめ、刈田駐車場の先で引き返しました。

 予想天気図では高気圧が近付いてきているよう

でしたので、もうすこし視界がきくものと思って

いたのですが、せいぜいはっきり見えていたの

は、1450mくらいまでで、(リフトの上駅付近)

以後は、目印のポールを見失わない様に歩くとい

う感じでした。

 #3634は、1450m付近のアオモリトドマツで

す。ダラっとした感じで、樹氷というには物足り

ない感じです。

 #3636は、1550m付近のアオモリトドマツで

す。このあたりのトドマツは、割としっかりして

おり、往年の立派な樹氷という感じがします。

 もっともこれでも視界がいい方で、この後すぐ

に、目の前の樹氷すら見えなくなりました。

 雪の量は、まずまずといったところです。

 昨冬の同時期は笹の葉が見えるほど小雪だった

のですけど、今冬は、ふかふかの粉のような雪が

積もっていた感じです。

 エビのしっぽは、高度が上がるにつれて固く

なっており、1550m付近では、往年の「板チョコ」

のような固いエビのしっぽでした。

(#3640を参照ください)

 今朝、起きてみると青空。

 山形市西部からは蔵王連峰がはっきり見えまし

たので、行くならきょうだったか…と舌打ちして

おります。

 このところ、なかなか好天候に恵まれておりま

せん。また今冬のどこかで行こうかなと考えてお

ります。

#3636

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#3640

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#3634

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アイスモンスター(樹氷)の変遷地図(全国版)

山形大学学術研究院 柳 澤 文 孝 

1.はじめに 地球温暖化によって蔵王のアイスモンスター

(樹氷)が衰退(下限高度の上昇・分布域の縮小・

期間の短縮・スリム化)しているといわれていま

す。

 最初に温暖化とアイスモンスター(樹氷)の衰

退の関係を指摘したのは山形大学理学部物理学科

の矢野勝俊教授で、1994年、(社)日本雪氷学会

東北支部が発行している「東北の雪と生活 第9号」に「山形県蔵王の気象観測⑴」が掲載されて

います。

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 翌年の1995年には、講談社のブルーバックス

「検証・ヒトが招いた地球の危機(山形大学地球

環境研究会編)」の一章として「蔵王の樹氷が温

暖化を語る」を執筆されています。この中で、矢

野教授は、蔵王山頂では1983年から1993年までの

10年間で1.1-1.5℃気温が上昇していること、樹

氷の下限高度が1980年代はじめは1500mであった

ものが1990年代はじめには1550mにまで50m上昇

したことが示されています。そして、このまま気

温の上昇が続いていくと、樹氷は消えてしまうか

もしれないと言及されていました。

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 柳澤(2012)は1940年代から現在までの蔵王の

アイスモンスター(樹氷)の変遷地図を作製しま

した。蔵王のアイスモンスター(樹氷)の下限高

度は、1940年代は1300-1400m、1970年代は1500m、1990年代は1550m、2010年は1600mとなって

おりました。

5

山形市の樹氷のできる12−3月の平均気温(5年間の移動平均)

(柳澤,2012)より5

山形市の樹氷のできる12−3月の平均気温(5年間の移動平均)

(柳澤,2012)より

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 その後、他の地域のアイスモンスター(樹氷)

はどうなのか、今後はどうなるのか、桜の開花の

際の標準木のような物はあるのか、どこまでが樹

氷(エビノシッポ)でどこからがアイスモンスター

(樹氷)なのかなどの問い合わせをいただきまし

た。今回、これまで集めた資料をもとに全国にあ

る(あった)アイスモンスター(樹氷)の変遷地

図を作製しました。

2.アイスモンスター(樹氷)とは何か アイスモンスター(樹氷)の変遷を知るために

は、アイスモンスター(樹氷)が何であるか知っ

ておく必要があります。

 アイスモンスター(樹氷)の成因については、

雪説(雪が氷となった)と過冷却水滴説(水が氷っ

た)があり、昭和はじめから論争が続けられてき

ました。なお、昭和14年には田邊和雄先生により

複合体説(雪と過冷却水滴が複合して氷となっ

た)も出されています。

 1960年代に芝浦工業大学の小笠原和夫教授を中

心に「蔵王の樹氷(アイスモンスター)の総合研

究」が行われ、アイスモンスター(樹氷)が雪と

過冷却水滴の複合体であり、焼結によって雪と氷

が分かちがたく一体化して氷となった物であるこ

とが明らかとされました。

 また、1970年代には山形大学理学部物理学科の

阿部正二朗教授・矢野勝俊教授らのご研究によっ

て生成条件が求められています。

 これらをもとに、2014年に出版された日本雪氷

学会編の「新版・雪氷辞典」において「アイスモ

ンスターは、亜高山地帯に植生しているアオモリ

トドマツが着氷と雪片でおおわれて巨大な雪の塊

に成長したものをいう。・・・着雪も加わってい

る点で、過冷却水滴による着氷の一種である樹氷

とは異なる。・・・」と説明されています。なお、

大きさが何センチ以上とか、塊の数や生成してい

る期間などは定められてはいません。アイスモン

スター(樹氷)はこの定義で判断することになり

ます。

3.アイスモンスター(樹氷)の分布について アイスモンスター(樹氷)は1914年2月15日に

蔵王冬季初登頂した山形高等学校の神山峯吉教授

らによって発見されました。

蔵王の樹氷の分布域の経年変化 (柳澤,2012) より

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蔵王の樹氷の分布域の経年変化 (柳澤,2012) より

6

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 1921年1月8日には慶応大学山岳部の鹿子木員

信教授らが峨々温泉から高湯温泉へ厳冬期初踏破

しました。この際の紀行文と写真が「登高行」第

3年に掲載され樹氷(アイスモンスター)は全国

的に有名となりました。その後、各地で樹氷(ア

イスモンスター)が見つかりました(アイスモン

スターだと認識された)。山と渓谷社(2005年)

の「日本登山史年表」によりますと、樹氷(アイ

スモンスター)に関連した山の冬季初登頂は大正

後期から昭和はじめかけてとされています。北海

道から長野県までのアイスモンスター(樹氷)は

このころ知られたと推定されます。

 植物学者の田邊和雄先生は、大正11年に北海

道、大正12-13年に蔵王など全国各地にある樹氷

を見ています。なお、田邊先生はアイスモンスター

について「樹氷」ではなく「霧氷」とよぶべきだ

とも主張されています。さて、1936年に執筆され

た「霧氷の話」では「・・・私は度々冬の蔵王山

を訪れましたから、此の山に就いて述べますと、

樹氷らしい樹氷が出来るのは、宮城県側では後見

坂の上からで海抜で云ふならば千四百米辺りから

であります。山形県側では約百米程度その範囲が

下の方まで及びます。即ち清水の少し上或はコー

ボルト・ヒュッテの少し下までであります。・・・

他の山では吾妻連山殊に家形山と西大巓との間

も・・・巻機山直下の地図に針葉樹林の記号を入

れてある小区域では、範囲は極く狭いが却て形の

良い怪物を見ました。・・・日本アルプス方面で

は針葉樹林がかなり高い所まで及んでいる所もあ

り、寒中濃霧が掛かる事もあるくらいですから、

怪物が出来てさうなものですが、霧氷は着く事は

着いても、之が充分に発達したのを見たことは

ありません。又話に聞いたこともありません。」

としています。また、1940年に執筆した「樹氷の

話」の中で「・・・殊に針葉樹の怪物は実に特異

な存在であって、私は今から十数年前北海道の山

で初めて之を見た時の驚嘆を未だに忘れることが

出来ない。・・・次に遭遇した機会は家形山で・・・

もし此の怪物に会見せんと欲するならば、十二月

の末から三月の初めまで位の間に蔵王山に行く事

をお勧めする。・・・蔵王以外にも東北地方には

此の怪物の出来る所は数々ある。即ち吾妻連山で

も八幡平でも八甲田でも之を見ることが出来る。

今少し南に来ると巻機山や菅平の猫岳でも見られ

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るが、発達の程度は段々に落ちてくるようであ

る。・・・翻って北海道に渡っても此の怪物は方々

に有るようであるが、前に私が見たと書いた山は

チセヌブリである。」と記しています。

 以上から1930-1940年代のアイスモンスター

(樹氷)は北海道から長野県まで分布していたこ

とが分かります。なお、巻機山について、現在で

は樹氷(エビノシッポ)があることは分かってい

ますが、昔の写真等が確認できないことから、判

断を保留しています。また、1923年のアルプスの

上ノ岳(北ノ俣岳)2600m付近で「樹氷状凍雪

(しみゆき)」と記載の写真が大阪朝日新聞社発

行の「日本アルプス百景」などに残されています

が、判断できませんでした。

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 1940年代から1950年代はじめまでのモノクロ写

真に志賀高原の横手山や菅平の根子岳などにアイ

スモンスター(樹氷)が写っていますが、1950年

代後半のカラー写真には写っていません。従っ

て、志賀高原・菅平のアイスモンスター(樹氷)

は1950年代後半には消滅したと考えられます。

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 小笠原教授は1969年の論文で「樹氷は蔵王だけ

のものではなく、東北では八幡平や八甲田、北海

道ではニセコアンヌブリ・羊蹄山・ムイネ山な

ど・・・。・・・北アルプスでは見出されない・・・。」

と述べています。

小笠原和夫(1969)蔵王樹氷の総合研究 猛吹雪の樹氷原に挑戦

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 阿部正二朗教授は1979年に出版した「蔵王樹氷

のすべて」で「樹氷(アイスモンスター)の分布

を東北地方の一部の山岳地帯(八甲田・八幡平・

蔵王・西吾妻)」としています。以上から、1970年代になると北海道の樹氷(アイスモンスター)

は消滅したことになります。

 矢野勝俊教授は「検証・ヒトが招いた地球の危

機」の中で「・・・蔵王山頂では1983年から1993年までの10年間で1.1-1.5℃気温が上昇してい

る・・・樹氷の下限高度が1980年代はじめは1500mであったものが1990年代はじめには1550mにま

で50m上昇した・・・」ことを示されています。

4.樹氷(アイスモンスター)の変遷 前項を踏まえ、樹氷(アイスモンスター)の変

遷を作製いたしました。

 1930年代から1950年代初めまでは北海道から長

野(志賀高原・菅平)まで、1960年代に入ると北

海道から山形まで、1970年代以降は東北地方の一

部の山岳地帯(八甲田・八幡平・蔵王・西吾妻)

となったと考えられます。なお、現在のアイスモ

ンスター(樹氷)の下限高度は、八甲田1300m、

八幡平1400m、蔵王1550-1600m、西吾妻1700mです。なお、2011年の厳冬の際は志賀高原・菅平

の2200m以上でアイスモンスター(樹氷)が見ら

れました。

羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王 (1300-1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃) フミタカ21

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羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王 (1300-1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃) フミタカ22

羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃) フミタカ23

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羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃) フミタカ24

羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃) フミタカ25

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羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年) フミタカ26

羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬) フミタカ27

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羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年) フミタカ28

 北海道ではなぜアイスモンスター(樹氷)が無

くなったのでしょうか。もともと北海道のアイス

モンスター(樹氷)は着氷と着雪が焼結しブロッ

ク状に一体化した物でした。これは、気温・湿度

が低いために着氷と着雪の焼結が進みにくかった

と説明されています。また、北海道は気温が低い

ために山の下側は亜高山帯ですが、上側は高山帯

になっています。このため、温暖化でアイスモン

スター(樹氷)の生成高度が上昇するとアイスモ

ンスター(樹氷)ができにくい状況になったと考

えられます。

 一方、アルプスでは、大正期から現在までたく

さんの方々がアイスモンスター(樹氷)をさがさ

れていますが、見つかっていません。アルプスに

アイスモンスター(樹氷)が見つからない原因に

ついて小笠原先生は積雪が多いことが理由である

と指摘されています。先に挙げた上ノ岳(北ノ俣

岳)2600m付近の「樹氷状凍雪(しみゆき)」の

写真を見ましても、雪が多く樹氷となるべき樹木

が埋もれています。

5.樹氷(アイスモンスター)の今後について 樹氷(アイスモンスター)ができる下限高度が

50m上昇した場合(気温が約1℃上昇)は蔵王以

外はかなりきびしい状況になり、100m上昇した

場合(気温が約2℃上昇)場合は蔵王以外は消滅、

150m上昇した場合(気温が約3℃上昇)は全て消

滅となります。

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羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600-1650m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(50m上昇) フミタカ29

羊蹄山、ニセコアンヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1650−1700m)

八幡平

志賀高原(横手山)菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(100m上昇) フミタカ30

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I C E M O N S T E R

アイスモンスター

樹 氷

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 ⑴� 樹氷(ライム):風で運搬されてきた過冷

却水滴が樹木などに衝突して凍結したもの

 明治6年の万国気象会議で定められた用語

(Silver Thaw, Glazed Frost)を元に、明治10年頃に日本語化されたもので「V」という大気現象

マークが与えられています。日本(北海道から屋

久島まで)はもちろん世界中に存在しています。

風上に向かって成長する形から「エビのしっぽ」

と呼ばれています。

 ⑵� 樹氷(アイスモンスター):アオモリトド

マツなどの樹木が着氷と雪片に覆われて巨大

な塊となったもの

 大正3年(1914)2月15日、蔵王高湯温泉から

蔵王山に冬期初登頂した神山峰吉らによって発見

されました。

 大正10年1月、慶応大学山岳部が宮城県側から

山形県側に冬期初踏破した際の紀行文と写真が

「登高行」に掲載されて「樹氷」が初めて紹介さ

れました。大正11-12年宮城県の賽の磧で冬期合

宿を始めた旧制第二高等学校や東北帝国大学の山

岳部の生徒達によって「樹氷」とよばれるように

なり、全国的に有名になっていきます。アイスモ

ンスターが「樹氷」とよばれたのは、樹木に付着

した「エビのしっぽ」を樹氷と呼んでいたことか

ら、アイスモンスターを「エビのしっぽ」が樹木

全体を覆ったものと誤解したためです。

「樹氷」:「ライム」と「アイスモンスター」

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 「樹氷」と言う言葉は、明治6年の万国気象

会議で定められた用語(Silver Thaw, Glazed Frost)を明治10年頃に日本語化したものです。

その後、気象学だけでなく雪氷学・山岳をはじめ

多方面で使われています。例えば、北大の寮歌、

詩歌の季語として使われています。また、鉄鋼で

は樹氷状構造、眼科では樹氷状として使われるこ

とがあります。

 雪氷学と気象学では「樹氷」を以下のように定

義していますが、内容が異なっています。山岳で

は雪氷学と気象学の定義を混在して使われています。

 「アイスモンスター」の用語は雪氷学にしかあ

りませんので、ここでは、雪氷学の定義に従って

行くことにします。

気象観測の手引き (気象庁)

樹 霜

おもに水蒸気の昇華によって生じた氷の結晶からなり、針状・板状・コップ状などの結晶形が明らかに認められることが多いが、凍った霧粒が混じってついていることもある。物体の風上側に成長しやすい。

樹 氷

おもに過冷却した霧粒又は雲粒(山岳域)が、地物に吹きつけられてできた白色不透明のもろい氷で、うすい針状、又は尾びれ状の塊が集まってできている。側面に樹霜ができていることもある。弱い風の下では地物の全方向に付着する。

粗 氷

樹氷と同じようにしてできる。半透明か又は透明に近い氷の塊で、霧粒が大きく、気温が -10~ -2℃の間でできやすい。また風上方向に発達する。

雨氷

均質で透明な氷層が地物に付着した現象。過冷却した霧雨又は雨(着氷性の霧雨又は雨)が0℃以下又は0℃よりわずかに高い温度(過冷却でない場合は0℃以下)の地面や地物に当たって凍結したもの。

着氷性の雨・霧雨 0℃より低温の雨・霧雨である。

過冷却の雨・霧雨地面や地物又は飛行中の航空機に当たって着氷(水と0℃の氷の混在)を起こす。

雲微細な氷の粒や水滴が集まり、空中に浮遊しているもので、地表面に接する場合には雲といわず霧という

霧 ごく小さな水滴が大気中に浮遊する現象。

霧氷樹木や地物に白色ないし半透明の氷層が付着したもの。

現象 名称 象事名語英称通 備考

霧氷 ー Air Hore 空気中の水蒸気が樹木などに昇華 ー

エビノシッポ Rime風で運ばれてきた過冷却水滴が樹木などに衝突

して凍結した着氷ー

↓過冷却水滴が凍結した着氷に着雪

↓樹木の一部〜大部分

複数のブロック樹木の全体1〜数個

樹木の全体(淀線)1個

着氷 Ice Accretion空気中の水分が物体に付着して氷となる (水

蒸気は霧氷、過冷却水滴は樹氷)

着雪 Snow Accretion 雪が物体に付着する

焼結 Sintering接触している雪や氷が融点(0℃)より少し低

い温度で固結する

昇華 Sublimation 気体から液体を経ないで固体へ固化する現象

着氷

新版・雪氷辞典(日本雪氷学会)

過冷却水滴が凍結した着氷に着雪し、   両者が焼結して一体化

Ice Monsterアイスモンスター

樹氷

樹氷の定義(雪氷学)

樹氷の定義(気象学)

「樹 氷」 の 定 義

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樹氷のできかた (1) 冷たく乾いたシベリアからの北西の季節風が日

本海を渡る際に、対馬暖流から多量の水分を供給

されます。季節風が朝日連峰にぶつかった際に雪

雲が形成されます。雪雲の上部には氷点下でも氷

らない過冷却水滴ができます。過冷却水滴は海塩

などを核として氷晶となりますが、周辺にある過

冷却水滴を吸収して成長します。氷晶は落下中に

雲粒と合体し、雪として地上に落ちていきます。

 雪雲内の水分の大部分は降雪として取り除かれ

ます。しかし、降雪に際して雪の核となるべき海

塩粒子が消費されてしまうことから、水分の一部

は降雪となることができずに過冷却水滴として残

ります。過冷却水滴を含んだ季節風は朝日連峰を

越え、山形盆地を通過して、蔵王へ向かいます。

樹氷のできかた (2) 過冷却水滴を含んだ季節風は山形盆地を越え、

蔵王へ向かいます。風速は10-20mで、朝日から

蔵王まで40-50kmですので1-2時間で蔵王に

到達することになります。

樹氷のできかた(1)

冷たく乾いたシベリアからの北西の季節風が日本海を渡る際に、対馬暖流から多量の水分を供給されます。季節風が朝日連峰にぶつかった際に雪雲が形成されます。雪雲の上部には氷点下でも氷らない過冷却水滴ができます。過冷却水滴は海塩などを核として氷晶となりますが、周辺にある過冷却水滴を吸収して成長します。氷晶は落下中に雲粒と合体し、雪として地上に落ちていきます。

雪雲内の水分の大部分は降雪として取り除かれます。しかし、降雪に際して雪の核となるべき海塩粒子が消費されてしまうことから、水分の一部は降雪となることができずに過冷却水滴として残ります。過冷却水滴を含んだ季節風は朝日連峰を越え、山形盆地を通過して、蔵王へ向かいます。

原図 後藤健太

樹氷のできかた(2)

過冷却水滴を含んだ季節風は山形盆地を越え、蔵王へ向かいます。風速は10−20mで、朝日から蔵王まで40-50kmですので1−2時間で蔵王に到達することになります。

原図 後藤健太

樹氷のできかた(1)

冷たく乾いたシベリアからの北西の季節風が日本海を渡る際に、対馬暖流から多量の水分を供給されます。季節風が朝日連峰にぶつかった際に雪雲が形成されます。雪雲の上部には氷点下でも氷らない過冷却水滴ができます。過冷却水滴は海塩などを核として氷晶となりますが、周辺にある過冷却水滴を吸収して成長します。氷晶は落下中に雲粒と合体し、雪として地上に落ちていきます。

雪雲内の水分の大部分は降雪として取り除かれます。しかし、降雪に際して雪の核となるべき海塩粒子が消費されてしまうことから、水分の一部は降雪となることができずに過冷却水滴として残ります。過冷却水滴を含んだ季節風は朝日連峰を越え、山形盆地を通過して、蔵王へ向かいます。

原図 後藤健太

樹氷のできかた(2)

過冷却水滴を含んだ季節風は山形盆地を越え、蔵王へ向かいます。風速は10−20mで、朝日から蔵王まで40-50kmですので1−2時間で蔵王に到達することになります。

原図 後藤健太

樹氷のできかた(1)

冷たく乾いたシベリアからの北西の季節風が日本海を渡る際に、対馬暖流から多量の水分を供給されます。季節風が朝日連峰にぶつかった際に雪雲が形成されます。雪雲の上部には氷点下でも氷らない過冷却水滴ができます。過冷却水滴は海塩などを核として氷晶となりますが、周辺にある過冷却水滴を吸収して成長します。氷晶は落下中に雲粒と合体し、雪として地上に落ちていきます。

雪雲内の水分の大部分は降雪として取り除かれます。しかし、降雪に際して雪の核となるべき海塩粒子が消費されてしまうことから、水分の一部は降雪となることができずに過冷却水滴として残ります。過冷却水滴を含んだ季節風は朝日連峰を越え、山形盆地を通過して、蔵王へ向かいます。

原図 後藤健太

樹氷のできかた(2)

過冷却水滴を含んだ季節風は山形盆地を越え、蔵王へ向かいます。風速は10−20mで、朝日から蔵王まで40-50kmですので1−2時間で蔵王に到達することになります。

原図 後藤健太

樹 氷 の で き か た

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*樹氷(アイスモンスター)ができる条件

 樹氷(アイスモンスター)ができるためには以

下のような条件が必要です。

 ⑴ 常緑の針葉樹の存在(アオモリトドマツ)

 ⑵ 北西~西の適度な強風(10~15m/ sec) ⑶ 多量の過冷却水滴(平均雲量0.9) ⑷ 適度な低温(-10~-15℃)

 ⑸ 適度な積雪量(2~3m)

*樹氷(アイスモンスター)の分布

 樹氷(アイスモンスター)は東北地方の一部の

山岳地帯(八甲田山、八幡平と森吉山、蔵王山、

吾妻山)でしか見ることができません。また、い

ずれも日本海から50-70km内陸にあります。上

に示した条件を満たす場所が限られるためです。

 なお、八甲田(1300m)、八幡平と森吉(1400m)、蔵王(1550-1600m)、吾妻(1700m)と南

に行くほど高地で生成しています。

樹氷のできかた (3)  蔵王に到達した季節風は山頂付近に自生して

いるアオモリトドマツに衝突して着氷となりま

す。蔵王山頂には雪雲があり、雪雲内で着氷と雪

片がアオモリトドマツに繰り返し付着することで

成長します。更に、着氷と雪片が一体化する焼結

を経て樹氷(アイスモンスター)となります。

  ① 着氷  雪雲のなかの「過冷却水滴」が枝や葉にぶつかり凍りつく

  ② 着雪  着氷のすき間に多くの雪がとり込まれる

  ③ 焼結  0℃付近の雪は、互いにくっついて固く絞まる

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*「樹氷」と「アイスモンスター」の歴史

 「樹氷」という言葉は、明治6年の万国気象会議で定められた用語(Silver Thaw, Glazed

Frost)を元に、明治10年頃に日本語に訳されたものです。一方、蔵王の樹氷(アイスモンスター)

は大正3年(1914)2月15日、蔵王高湯温泉から蔵王山に冬期初登頂した神山峰吉らによって発見

されました。なお、以前からマタギの間では「雪の坊」「雪坊主」「雪瘤」「雪姫」などとよばれて

いたようです。

 大正10年1月、慶応大学山岳部が宮城県側から山形県側に冬期初踏破した際の紀行文と写真が「登

高行」に掲載され、「樹氷」というもののあるということが認識されるようになりました。

 大正11-12年宮城県の賽の磧で冬期合宿を始めた旧制第二高等学校や東北帝国大学の山岳部の生

徒達によってアイスモンスターが「樹氷」とよばれるようになり、この名称が定着し全国的に有名

になっていきます。アイスモンスターが「樹氷」とよばれたのは、樹木に付着した「エビのしっぽ」

を樹氷と呼んでいたことから、アイスモンスターを「エビのしっぽ」が樹木全体を覆ったものと誤

解したためです。

 大正13年に賽の磧スキー場が開設され、昭和2年には熟達者向けとして官報でも紹介されていま

す。

 山形県側の樹氷は、昭和4年2月に安齋徹教授によって撮影された写真、昭和6年の山形高等学

校山岳部部長三浦博雅氏によるアルピニズム誌への紀行文、昭和6年の仙台鉄道局による「陸奥

曲(みちのくぶり)」、昭和8年の日本山岳会による冬季写真展、昭和10年の塚本閤治監督による

「MOUNT ZAO」、昭和11年の円谷英二監督による「日本スキー発達史(未公開)」などをへて全

国的に有名になって行きました。

*樹氷の研究

 アイスモンスターの成因については、中谷宇吉郎先生の過冷却水滴説(水が氷った)と安齋徹先

生の雪説(雪が氷となった)があり、昭和はじめから論争が続けられてきました。昭和11年には田

邊和雄先生により複合体説(雪と過冷却水滴が複合して氷となった)も出されていましたが、論議

されることはありませんでした。

 昭和14年に蔵王小屋で理化学研究所の黒田博士が着氷の実験を行いました。ついで、昭和18年-

20年には蔵王山頂で北大の中谷宇吉郎教授を研究代表者、東北帝国大学の加藤愛雄助教授が研究分

担者として着氷の研究が行われ、過冷却水滴説に統合されました。

 1960年代に芝浦工業大学の小笠原和夫教授を中心に「蔵王の樹氷(アイスモンスター)の総合研

究」が行われ、樹氷の成長過程の観測や樹氷を切断して中の構造を観察するなどが行われました。

この結果、樹氷(アイスモンスター)が雪と過冷却水滴の複合体であり、焼結によって雪と氷が分

かちがたく一体化して氷となった複合体であることが明らかとされました。

 1970年代には理学部物理学科の阿部正二朗教授・矢野勝俊教授のご研究によって生成条件が詳し

く求められています。

「アイスモンスター」と「樹氷」の歴史

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― 102 ―

 ⑴� 昭和16年、蔵王山など航路上の山頂観測所

の開設が決定されました。蔵王における気象

観測は、当初、蔵王小屋を接収した陸軍気象

部が担当していました。その後、山形測候所

が職員の訓練のため、蔵王小屋に蔵王山臨時

気象観測所を開設して予備観測業務を開始し

ました。昭和18年、蔵王山山頂に測候所が竣

工したことから、業務は蔵王山測候所に移行

しました。蔵王山測候所は、GHQの許可を

得て、昭和22年まで(昭和21年10月から昭和

22年6月まで一時中断)観測を行っていまし

た(山形の気象百年)。

 ⑵� 昭和15年、陸軍気象部により旧制山形高等

学校の安齋徹教授に蔵王の樹氷に関する問

い合わせと、着氷研究のためにコーボルト

ヒュッテ借用の依頼がありました。しかし、

コーボルトヒュッテが手狭であるため、蔵王

小屋で着氷の研究を行うことになりました

(安齋徹 1950)。

 ⑶� 昭和16-17年、陸軍気象部により蔵王小屋

に小型風洞と模型翼が持ち込まれて飛行機に

対する着氷の研究が行われました(陸軍気象史)。

 ⑷� 昭和17年、蔵王小屋に北大低温研の職員が

一時的に滞在していたとの記述がみつかりま

した(山形の気象百年)。研究情報の収集や

今後の研究の打ち合わせのために滞在してい

たと推定されます。

 ⑸� 昭和18年、文部省の緊急科学研究費・重要

研究課題「飛行機凍結防止に関する研究(研

究代表者:中谷宇吉郎北大教授、研究分担者

 中村左衛門太郎東北大教授)が行われまし

た。また、予算が決まった後、研究分担者を

加藤助教授に交代しています。なお、昭和18年12月25日から28日かけて行われた第一回実

験後、加藤助教授は記者会見で「蔵王の樹氷

は着氷の研究に無限の素材を提供している」

と語っていました(春山行夫 1944)。

昭和 � 富士山・岩手山・伊吹山 � ニセコアンヌブリ � 蔵王山頂 蔵王山頂

年度 日本の動き 中央気象台�氷結防止研究会 中谷宇吉郎 理化学研究所

海軍航空技術廠委託 海軍委託 着氷研究 着氷ゾンデ 着氷研究

13 国家総動員法

14文部省�科学研究

費交付金

着氷研究(黒田

正夫)

15樹氷について山高に

問い合わせ

16 測候所設置決定

17 技術院設置

山頂へ移転⇨

19

科学技術の戦力

化に関する閣議決

定(陸海軍研究の

統合)

着氷実験(実機)

蔵王小屋を買収し測

候所隣に移築(蔵王

高層気象着氷対策

研究所)・本研究�*3

*5

⇦山頂へ移転

実証試験(蔵王

小屋・コーボル

トヒュッテ・山の

家)�*5�*6

20

終戦・資料等の破

棄命令・GHQへ報

告命令

実機破棄・資料

破棄せず

機材撤収・資料を破

棄(一部は中谷研黒

岩大助助手へ)�*4

GHQへ報告GHQ気象観測継

続を許可

21

22

戦後富士山・岩手山・伊吹山の研

究を論文化

ニセコ関係の研

究を論文化

30年の報告に本研

究の写真�*7

気象庁で実用

化へ*7

戦時下における飛行機着氷に関する研究��(柳澤2017)

*5�堀修一助勤・(旧制)第二高等学校の生徒が手伝い

16年北大低温科

学研究所設置 ・

16-17年ニセコ

で予備研究

*2�18年度�研究代表者:中谷宇吉郎北大教授、研究分担者�中村左衛門太郎東北大教授(のちに加藤愛雄東北大助教授に差し替え)

*3�19年度�研究代表者:中谷宇吉郎北大教授、研究分担者:加藤愛雄東北大助教授ほか

蔵王(蔵王小屋:陸軍16年接収・19年春撤収)

蔵王山測候所、気

象観測

蔵王小屋で着氷実

験(小型風洞と模型

翼)、17年冬北大低

温研職員滞在

試験準備

測候所

*4�20年度�研究代表者:中谷宇吉郎北大教授、研究分担者:藤原咲平中央気象台台長・加藤愛雄東北大助教授

*1�飛行機の凍結防止に関する研究

蔵王山臨時気象

観測所開設(山形

測候所職員の訓

練)

陸軍気象部文部省

18

*7�蔵王山測候所・蔵王高層気象着氷対策研究所の建物は40年頃取り壊された

*6�蔵王小屋:山大蔵王山寮付近、コーボルトヒュッテ:トニー・ザイラー碑付近、山の家:ドッコ沼湖畔

着氷実験(風洞・模型機)

気象観測緊急科学研究費・重要研究課題*1

昭和18年9月、蔵

王山測候所竣工、

気象観測(陸軍委

託項目あり)

科学技術動員・研

究者登録制度(技

術院や陸軍による

調査)

ニセコ山頂着氷

研究所竣工

着氷実験(予備研

究・測候所でも実

施?)、加藤助教授

記者発表�*2

戦時下における飛行機着氷に関する研究

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― 103 ―

樹氷(アイスモンスター)の一生(1993-94年頃)(安部博之先生提供)

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― 104 ―

地球温暖化による蔵王の樹氷の分布域の縮小

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― 105 ―

アイスモンスター(樹氷)の変遷地図(全国版)

 1950年代初めまでは北海道から長野(志賀高

原・菅平)まで、1960年代に入ると北海道から山

形まで、1970年代以降は東北地方の一部の山岳地

帯(八甲田・八幡平・蔵王・西吾妻)となったと

考えられます。現在のアイスモンスター(樹氷)

の下限高度は、八甲田1300m、八幡平1400m、蔵

王1550-1600m、西吾妻1700mです。なお、2011年の厳冬の際は志賀高原・菅平の2200m以上でア

イスモンスター(樹氷)が見られました。

18.1.8

1

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年)

18.1.8

1

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年)

18.1.8

1

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年)

18.1.8

1

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年)

18.1.8

1

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年)

18.1.8

1

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年)

18.1.8

1

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年)

18.1.8

1

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1920−30年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1300‐1400m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1940年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1960年代頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1500m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1970年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(1980ー1990年頃)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2010年)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1450m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2011年厳冬)

羊蹄山、ニセコアン

ヌブリ、無意根山

八甲田

上ノ岳(北ノ俣岳)

吾妻山

蔵王(1550−1600m)

八幡平

志賀高原(横手山)

菅平猫岳(根子岳)

森吉山

アイスモンスター分布(2017年)

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― 106 ―

2011年2月1日から7日にかけて蔵王に飛来した汚染物質

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― 107 ―

アジア地域から越境飛来する大気汚染物質

 樹氷は酸性化している。主原因は硫酸である。

2012-2013年の樹氷に含まれている非海塩性硫酸

イオンの硫黄同位体比を測定した。冬型以外では

+6パーミル前後と、冬型では0パーミル前後で

あった。なお、日本国内で発生する物はー2パー

ミル前後である。

1.冬型の場合

汚れは顕著ではない。シベリア・中国東北部から

飛来している。

2.冬型でない場合

汚れが顕著である。華北平原から飛来している。

アジア地域から越境飛来する大気汚染物質

樹氷は酸性化している。主原因は硫酸である。

2012− 2013年の樹氷に含まれている非海塩性硫酸

イオンの硫黄同位体比を測定した。冬型以外では

+6パーミル前後と、冬型では0パーミル前後で

あった。なお、日本国内で発生する物はー2パー

ミル前後である。

1.冬型の場合

汚れは顕著ではない。シベリア・中国東北部から

飛来している。

2013年 1月 16日の人工衛星画像

2013年 1月

17 日の人工衛

星 画像

2013年 1月 18日の人工衛星画像

2.冬型でない場合

汚れが顕著である。華北平原から飛来している。

2013年 2月 26日の人工衛星画像

2013年 2月 27日の人工衛星画像

2013年 2月 28日の人工衛星画像

2013年1月16日の人工衛星画像 2013年2月26日の人工衛星画像

2013年1月17日の人工衛星画像 2013年2月27日の人工衛星画像

2013年1月18日の人工衛星画像 2013年2月28日の人工衛星画像

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― 108 ―

表 紙

 昭和8年3月20日、長澤壽三(利彦)氏撮影

 蔵王の樹氷(アイスモンスター)

詳しくは環境保全をご覧下さい。

15号:http://www.id.yamagata-u.ac.jp/EPC/21kouhou/no15s.pdf16号:http://www.id.yamagata-u.ac.jp/EPC/21kouhou/no16s.pdf17号:http://www.id.yamagata-u.ac.jp/EPC/21kouhou/no17s.pdf21号:http://www.id.yamagata-u.ac.jp/EPC/21kouhou/no21s.pdf

〒990-8560山形県山形市小白川1-4-12山形大学学術研究院

柳澤 文孝

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― 109 ―

編 集 後 記

 山形大学環境保全センターは、山形大学全学における環境安全衛生および医学部キャンパスにおける労

働安全衛生を担保するための中心組織と位置づけられています。センター業務に関連し、昨年8月16日か

ら「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」が施行され、一事業所で貯蔵する水銀等及びその混合物

の最大量が30㎏以上となった場合その貯蔵の状況について定期報告を行うことが必要になりました。この

様な法律等の新設・変更に対応していけるよう、日々情報収集をおこない知識や技術の更新に務めるとと

もに、関連部署に情報を提供して行きたいと思います。

 さて、今年度は、理学部の柳澤文孝先生に寄稿者の選定と取りまとめをお願いしました。柳澤先生は樹

氷の調査研究における世界的な権威であり、マスコミに頻繁に取り上げられていることは皆様よくご存じ

のことと思います。柳澤先生に加え、松木さん、山形県教育庁の安部先生、山形大学学術研究院の加々島

先生、山形大学大学院理工学研究科の保坂さん、山形大学理学部地球環境学科の渡邉さんから、それぞれ

の専門分野に立脚したすばらしい原稿をお寄せいただきました。心より感謝いたします。

 当センターは、山形大学全学を対象とし環境および安全衛生管理に係る数多くの業務を行っています。

実験廃液処理、化学物質管理、作業環境測定などに関し、ご要望や疑問などがございましたらお気軽にご

相談ください。また、医学部キャンパス内において、危険箇所や危険物などを目にしたときはご一報いた

だければ幸いです。速やかに対応いたします。

(大津 芳)

環 境 保 全 No.21

2018年3月

編 集  山形大学環境保全センター

     〒990-9585 山形市飯田西2-2-2

     責 任 者  藤 井   聡(センター長)

印 刷  コロニー印刷(山形福祉工場)

     〒990-2322 山形市桜田南1- 19

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山形大学環境保全センターEnvironmental Preservation Center,Yamagata University

山形形大大学l P i C

No.21保保全セセンター学環環境境保保2018年3月

NO.

21

山形大学環境保全センター

蔵王山頂付近のアイスモンスター(昭和8年3月20日)

撮影 : 長澤壽三(利彦)氏

リサイクル適性この印刷物は、印刷用の紙へ リサイクルできます。

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