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どうなっているの 日本の地域と途上国 相互依存度調査[新潟県版] 世界 新潟 NIIGATA

NIIGATA - JICAどうなっているの 日本の地域と途上国 相互依存度調査[新潟県版] 世界 新潟? と NIIGATA だし(鰹節) 輸入率 9.7 % そば(実)

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  • どうなっているの●日本の地域と途上国 相互依存度調査[新潟県版]

    ?世界 新潟と NIIGATA

  • だし(鰹節)輸入率

    9.7%

    そば(実)輸入率

    97.3%

    エビ輸入率

    45.1%

    ベトナム21.2%

    インドネシア21.2%

    インド11.2%

    タイ11.2%

    タイ11.2%

    中国6.9%

    中国63.8%

    その他24.1%

    中国35.0%

    インドネシア17.4%

    タイ10.8%

    ブラジル9.4%

    ペルー7.6%

    香港5.7%

    ベトナム4.5%

    ミャンマー4.4%

    その他5.2%

    アメリカ30.8%

    カナダ4.5%その他0.9%

    開発途上国からの具材輸入割合は、70%超

    = 開発途上国

    開発途上国の分布図

     私たちは、グローバル社会に暮らしているといわれていますが、それはいったいどういうことを意味しているのでしょうか。 国際協力機構(JICA)では、日本人の日常生活がどのように開発途上国に依存しており、相互の連関がどれほど深いかを、具体的・客観的・定量的に分析し、整理することを目的として、2009年に「日本・途上国相互依存度調査」を実施しました。 そして、日本と途上国の関係のみならず、新潟県と途上国の関係を解き明かすため、新潟県知事政策局国際課および県内関係者のご協力を得ながら2011年1月から3月にかけて、「日本の地域と途上国相互依存度調査(新潟県)」を実施しました。本リーフレットは、この調査結果をもとに、産業面・人材交流面など様々な観点から途上国と新潟県の緊密な相互依存関係をわかりやすくまとめたものです。

     2011年3月11日に発生した東日本大震災は、社会の様々な側面に多大な影響を及ぼしています。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地や避難先で、困難な状況の中、復興に向けて日々努力されている皆様に、心から敬意を表し、お見舞いを申し上げます。 本調査は同震災発生前に行ったため、震災が及ぼす影響を調査結果に含めておりません。しかしながら、震災発生直後から、各国・国際機関の緊急援助チームが派遣されるとともに、150を超える国や地域から、義捐金や物資による支援の申し出がありました。それらの国の中には、途上国としてこれまで日本が支援をしてきた国も多く含まれています。 支援する側とされる側、その両方に日本が立っている現在、ますます世界とのつながりの中で日本が生きていることを、意識する必要があるのかもしれません。

    はじめに

    JICA地球ひろば  所長 貝原 孝雄

     世界には195の国があり、そのうち約150ヶ国が、まだ産業や技術の発達が遅れた開発途上国です。  世界の人口68億人のうち、約8割の56億人が開発途上国に住んでおり、さらにそのうちの15億人が1日1.25ドル以下で生活しています。

    貧困に苦しみ、十分な食料や飲み水を得ることができず、学校や病院に行くこともできない人々が多くいます。

    ※ 本調査では、1人あたりの国民総所得(GNI)が11,455ドル以下の国および地域として、経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)の援助対象国リスト(2008 〜 2010年)に掲載されている国および地域を「開発途上国」としました。

    開発途上国とは

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  • だし(鰹節)輸入率

    9.7%

    そば(実)輸入率

    97.3%

    エビ輸入率

    45.1%

    ベトナム21.2%

    インドネシア21.2%

    インド11.2%

    タイ11.2%

    タイ11.2%

    中国6.9%

    中国63.8%

    その他24.1%

    中国35.0%

    インドネシア17.4%

    タイ10.8%

    ブラジル9.4%

    ペルー7.6%

    香港5.7%

    ベトナム4.5%

    ミャンマー4.4%

    その他5.2%

    アメリカ30.8%

    カナダ4.5%その他0.9%

    開発途上国からの具材輸入割合は、70%超

    = 開発途上国

    開発途上国の分布図

     開発途上国と日本の相互依存の関係を、日本の家計消費からみると、全体の17%が途上国からの輸入に頼っており、しかも

    年々、依存の度合いは高まっています。

      たとえば、そばといえば典型的 な 和 食 の イメージですが、実はそばをつく る の に 必 要

    な具材の多くは輸入に頼っていま

    す。小麦はアメリカやカナダからの輸入がメ

    インですが、そばの実は中国、エビはベトナムやインドネシア、だし(鰹節)は中国やインドネシア、タイというように、開発途上国からの輸入が多いことが分かります。 ‘80年代後半には、エビの輸入は、インドやインドネシア、タイからが中心でしたが、近年では、ベトナムや中国のシェアが上昇しています。

     新潟県は、日本海に面し、信濃川をはじめ多くの河川に育まれた肥沃な平野を擁し、米の産出額は国内1位を誇るほか、豊富な食材だけでなく、花木の生産も特徴です。また、ものづく

    りに欠かせない基盤技術が高度に集積し、オンリーワン技術をもつ企業が多数あります。 では、そんな新潟県と開発途上国との関係はどうなっているのでしょうか。

    日本と途上国の

    相互依存てんぷらそばもたとえば、

    次ページから、具体例を見ていきましょう

    新潟と開発途上国つながりの私たちのふるさと

    新潟県で生産される金属洋食器や米は、原材料の輸入や、将来性のある輸出先として、途上国に大きく期待を寄せています。また、日本海側の中央にあるといった地理的優位性などのメリットから、途上国に海外事業所を設ける企業もあり、多くの側面において、さらにつながりを深めつつあるといえるでしょう。

    新潟県内の外国人登録者数は増加傾向にあります。なかでも、途上国出身者が占める割合は高く、県内ではフィリピン人が介護人材として活躍しているケースもあります。

    モノ編

    ヒト編

    どうなっているの? 世界と新潟   3

  • モノ編新潟と途上国のつながり

    新潟の産業も途上国とつながっています

     新潟県の燕市は、金属洋食器の製造で全国的に知られています。同地域で生産されるカトラリー(例:ナイフ、フォーク、スプーンなど)や金属ハウスウェアは欧米にも輸出され、なかにはノーベル賞受賞記念晩餐会公式カトラリーとして認められているメーカーもあるほど、国内外で高く評価されています。また、最近の傾向として、中国や東南アジアを含めた新興国を市場として捉える動きもあります。 一方で、新潟県産の金属洋食器ではありますが、その材料は一般にステンレス(銅、クロム、ニッケルの合金)、洋銀(銅、ニッケル、亜鉛の合金)、銀で、いずれの鉱石も途上国からの輸入が過半を占めています。 つまり、途上国からの安定した原材料の調達が、県の代表的産業を支えているのです。

     新潟県内の農業産出額の60%は米であり、その産出額1,669億円(2008年)は全国で1位です。しかし、米の国内消費量は長期的な減少傾向にあり、そうしたなか、海外への輸出においては、まだ規模は小さいものの、輸出量・金額とも増加しており、2005年の634トンと比較して2010年の1,898トンへと3倍に増えています。主な輸出先は、香港・台湾・シンガポールなどのアジア諸国ですが、近年は、市場として可能性のある中国への輸出促進に力を入れています。新潟県では、中国の卸や小売バイヤーなどを対象としたPRイベントなども行っており、新潟米の国外での消費に、期待が寄せられるところです。

    例1

    例2

    新潟県の代表的産業を支える途上国

    新潟米を途上国へ輸出

    新潟県 途上国

    つながるメリット

    ・希少な原材料を入手できる・販路の拡大とそれに伴う

    雇用の安定・増加

    ・新たな産業と雇用が生まれる・新潟県の製品で生活が豊かに

    途上国へも新潟米が輸出されている

    洋銀の原材料の途上国依存度銅鉱

    出典:財務省「貿易統計」より作成

    途上国80.5%

    先進国19.5%

    亜鉛鉱

    途上国53.8%

    先進国46.2%

    ニッケル鉱

    途上国72.3%

    先進国27.7%

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  •  新潟県南魚沼市に本社がある株式会社雪国まいたけは、きのこ類の栽培やきのこを使った加工食品の製造販売、もやしやカット野菜の販売を行っています。 2010年、同社は、もやしの種子である緑豆をバングラデシュで栽培し、日本に輸入する事業を始めることを発表しました。緑豆の栽培は現地の農家に委託され、バングラデシュのグラミングループ※と雪国まいたけとの合弁企業が、それらの契約農家から買い取ります。市場より高めの価格で買うことにより、農家の収入が増えるとともに、緑豆の選別作業にも人手が必要なことから雇用も創出されます。さらに、合弁企業が出す利潤は、現地の福祉や奨学金に還元される予定です。 一方、日本では緑豆はほぼ100%を輸入しており、特に中国からの輸入に依存し、近年価格が急騰しています。雪国まいたけにとっては、バングラデシュから一定の価格で安定して緑豆を確保できることが大きなメリットです。また、同社が土壌汚染・農薬のチェックを行い、消費者には安心・安全が確保されます。

     新潟県「新潟県輸出入海外進出状況調査」によると、平成21年3月現在、県内に本社を置く企業で、海外事業所を持っている企業は91社あり、うち65社が製造業です。これらの企業が有する海外事業所は159カ所あり、そのうち77%が途上国に設置されています。進出理由としては、「進出地域の市場開拓」、「生産コストの削減」の順となっており、途上国には市場として、そして生産地としての魅力があるといえます。一方、途上国側にも、雇用の拡大・若手人材の技術力習得の機会増大などのメリットがあります。県内の企業が海外へ進出する傾向は、今後もつづくものと見られます。

     本事業は、アジア最貧国のバングラデシュと日本の双方のためになる新しいビジネスモデルとして注目されています。

    例3 途上国とともに成長する企業

    バングラデシュの緑豆生産農家(写真:雪国まいたけ提供)

    column増加する途上国でのビジネス展開

    出典:新潟県「新潟県輸出入海外進出状況調査」より作成

    その他地域23.3%

    途上国76.7%

    県内企業の海外事業所の比率

    ※グラミングループとはグラミングループはグラミン銀行を中核とする企業グループ。グラミン銀行は、通常の銀行からは融資を受けられない貧困層、特に女性に対するマイクロクレジット(少額融資)を1980年代から行っており、彼女たちが貧困から抜け出す手助けをしている。無担保の代わりに互助グループを形成する等の工夫により返済率が高く、その成功により、今では多くの途上国で同様の仕組みが導入されている。その功績により、同銀行と設立者のムハンマド・ユヌス氏は2006年ノーベル平和賞が授与されている。

    どうなっているの? 世界と新潟   5

  • ヒト編新潟と途上国のつながり

    新潟の人と途上国の人もつながっています

     2009年における新潟県の外国人登録者数は14,411人で、これは県人口の0.6%にあたります。全国の1.7%に比べると低い比率ですが、2000年からの10年の間に、登録者数は17%増えました。注目すべきは、途上国出身者の割合が77%と非常に多く、しかも、先進国出身者がほぼ横ばいなのに比べて、途上国出身者は約3割も増えていることです。特に中国籍が最も多く、全外国人登録者の4割を示しています。 一方で、2010年、新潟県の高齢化率は約26%で全国平均約23%を上回り、さらに2035年までには37%に達すると予測されています。これは、生産活動の担い手が著しく減少し、現在以上に介護人材が不足することを意味しています。そうしたなか、新潟県内企業が在日フィリピン人を介護人材として発掘していますが、利用者や施設側からの評価は、総じて「明るい」「積極的」とい

     2010年の県内の外国人留学生数1,401人のうち、途上国出身者は89%と非常に高く、全国水準76%を大きく上回っています。例えば、長岡技術科学大学では、世界各国から留学生を受け入れており、上位5カ国はベトナム・マレーシア・中国・タイ・メキシコで、東南アジアが多いのが特徴となっています。留学生のうち約95%以上は途上国出身者となっています。 新潟県と途上国との関係は、年々深まっているといえるでしょう。

    うもので、「利用者に元気を与える」などのポジティブな意見が多く聞かれました。

    ・地域交流の活性化・人材不足の解消

    ・日本の研究・技術・学問を習得・日本企業への就職の可能性

    例1

    例2

    深化する途上国との関係

    外国人留学生も途上国から

    新潟県 途上国

    つながるメリット

    2000

    16,000(人)

    14,000

    12,000

    10,000

    8,000

    6,000

    4,000

    2,000

    200120022003200420052006200720082009

    途上国 その他国・地域

    新潟県における国籍別外国人登録者数推移

    出典:新潟県統計年鑑・法務省「登録外国人統計」より作成

    外国人留学生に占める途上国出身者の割合(2010年)

    出典:新潟県「国際交流概要」、日本学生支援機構「外国人留学生在籍調査結果」より作成

    中国46.1%

    その他の途上国42.5%

    先進国等11.4%

    中国60.8%

    その他の途上国15.1%

    先進国等24.1%

    全国新潟県

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  •  越後平野を潤し、日本海へとそそぐ日本一の大河、信濃川。しかし昔は、川の氾濫により田畑・人家が長期間にわたる浸水にさらされ、日本一の米どころとはかけ離れた世界でした。洪水になる前に増水した水を川の途中で海へと流し、越後平野を水害から守っているのが、全長約10kmの大河津分水です。 1922年に完成した大河津分水の堰は、完成後わずか5年で、想定外の勢いある水量が原因で陥没してしまいました。大規模な補修工事が必要となった際、指揮をとったのが青山士(あおやまあきら)という人物です。青山は、1903年から7年間、当時の世界的大事業であったパナマ運河の建設工事に唯一の日本人として参加し、測量・設計技師として、閘門の一つであるガトゥン閘門の設計等を手がけました。青山は、そのときに学んだ技術を持ち帰り、内務省の技官として荒川改修工事等の国内主要河川工事に尽力するなか、大河津分水の補修工事にも、新潟土木出張所長として携わったので

    す。竣工記念碑に刻まれた青山の碑文「萬象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ 人類ノ為メ國ノ為メ」は、今なお多くの人々に感動を与えています。 世紀の大事業を経て日本一の米どころとして発展を遂げた歴史と、その歴史の一端が世界とつながっているという事実は、「国際協力」を考える際、大きな示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

    世界と新潟の歴史的なつながり 〜災いを恵みへ〜

    左奥の水路が大河津分水路。信濃川本流は右手前に流れ、越後平野に至る(写真:信濃川河川事務所提供)

    詳しくはこちらへ

    「日本・途上国 相互依存度調査」Find the Link~日本と世界のつながりを知る~http://www.jica.go.jp/world/interdependence/日本・途上国相互依存度調査の報告書本体を掲載しているほか、書籍「ひとりじゃ生きられないニッポン」の一部紹介、小中高生向けムービーやパンフレット、データブックなどを掲載しており、相互依存度についての理解を深めていただけます。

    なんとかしなきゃプロジェクトhttp://nantokashinakya.jp/なんとかしなきゃ!プロジェクトは、まず世界の今を知り、あなたと世界がつながっていることを感じ、あなたにできる国際協力を見つけていただくための活動です。著名人メンバーからのメッセージ動画や、全国各地のイベント情報が閲覧できます。

    ■ データ参照先 IndexP2.開発途上国とは外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/world.html ODA 白書     http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo.html 世界子供白書 2011 http://www.unicef.or.jp/library/library_wdb.html

    P3.日本と途上国の相互依存財務省 貿易統計(2008)、 総務省 産業連関表(2005)

    P3.私たちのふるさと新潟と開発途上国のつながり「新潟県の概要」 農林水産省「平成 20 年生産農業所得統計」

    P4.例1財務省 貿易統計(2008)

    P4.例 2農林水産省「平成 20 年生産農業所得統計」 農林水産省「米輸出関連ホームページ」 http://www.maff.go.jp/j/soushoku/boueki/kome_yusyutu/kanren.html

    P5.例 3雪国まいたけホームページ上のプレスリリース及びヒアリング

    P5.コラム新潟県「新潟県輸出入海外進出状況調査」

    P6.例1新潟県統計年鑑 法務省「登録外国人統計」

    P6.例 2新潟県「国際交流概要」 日本学生支援機構「外国人留学生在籍調査結果」

    P7.信濃川大河津資料館

    ※ 上記に特に記載がない場合、「日本の地域と途上国相互依存度調査(新潟県)」の一環としてのヒアリング調査や試算等に基づく。

    どうなっているの? 世界と新潟   7

  • JICA新潟デスク(新潟県国際協力推進員)

    地域の皆様との連携を推進するパイプ役として、国際協力推進員が JICA 新潟デスクに配置されています。国際協力について知りたい方、実践してみたい方、JICAと共に活動したい方、どうぞお気軽にご相談ください!

    〒 950-0078 新潟県新潟市中央区万代島 5-1 万代島ビル 2F (財)新潟県国際交流協会内電話番号:025-290-5650ファックス:025-249-8122 E-mail:[email protected]

    独立行政行政法人 国際協力機構 広尾センターJICA地球ひろば〒150-0012 東京都渋谷区広尾 4-2-24電話番号 : 03-3400-7717(代表)ファックス : 03-3400-7394 URL : http://www.jica.go.jp/hiroba/

    2011年10月

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