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Forex Monthly ~4月の為替相場展望~
2019年 3月 28日作成 マーケット金融ビジネスユニット 為替セールスチーム
<お問い合わせ先>本レポートについてのご照会は、弊社営業担当者までお申し付けください。
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3/1 3/5 3/7 3/11 3/13 3/15 3/19 3/21 3/25 3/27
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3/1 3/5 3/7 3/11 3/13 3/15 3/19 3/21 3/25 3/27
【3 月の振り返り】月初、ドル/円は 111 円台半ばでスタート。大幅減税等の景気対策が打ち出された中国全人代や好調な米
経済指標を受けて、一時年初来高値となる 112.13円まで上昇するも、すぐに反落し 111円台後半での揉み合いとなった。その
後、ECBの年内利上げ断念と TLTROの導入、そして 2019年の成長見通しの引き下げといったハト派な姿勢を受けてユーロ/円は
下落し、また世界経済減速への警戒感の強まりにより円が買われたことで、ドル/円は 110円台後半まで下落した。3月末の No
deal Brexit が回避されたことでポンド/円は 3 円近く上昇し、つられてドル/円も 111 円台後半まで値を戻した。しかし FOMC
では、年内の想定利上げ回数が 2回から 0回に引き下げられ、バランスシート縮小を早期に終了するハト派な方針が示されると
ドルの上値が抑えられた。また Brexit関連で再び不透明感が燻る展開となるとポンド/円は上げ幅を失い、ドル/円は 110円台
半ばまで下落。月末に、市場予想を下回る米経済指標が公表されると、米金利の低下とともに、ドル/円は 109.70円の安値をつ
けたものの、その後 110円台前半に値を戻し、月末を迎えている。(レートは 3/27まで)
3月 EUR/USD 1.1177-1.1449
3月 USD/JPY 109.70-112.13
3/25:109.70
3/5:112.13
④ ⑤
⑦
3/20:1.1449
3/1:127.50
②
3/22:123.83
⑥
③
【ドル/円相場変動要因】 ① 3/5:中 全人代、「今年は雇用を一段と優先す
る」「2019年は経済のレバレッジを基本的に安定
維持へ」
米 2月 ISM非製造業指数 59.7(予 57.4、前
56.7)/12月新築住宅販売件数 621k(予 600k、
前 657k→599k)→ドル買い
② 3/6:世 OECD、2019年の世界経済成長率予測引
き下げ-3.5%から 3.3%に
米 ベージュブック、景気判断を下方修正-政
府機関の閉鎖が影響→円買い
③ 3/8:米 2月非農業部門雇用者数変化 20K(予
180k、前 304k→311k) / 同失業率 3.8%(予
3.9%、前 4.0%)→ドル売り
④ 3/13:英 英議会、No deal Brexit を退ける→
円売り
⑤ 3/14:英 英議会、EU 離脱期限を延長する動議
を可決
⑥ 3/15:日 日銀、「景気の情勢判断を下方修正」
長短金利操作・資産買い入れ方針ともに現状維
持、政策金利を-0.1%に据え置き」
⑦ 3/20:米 FOMC、「FF金利誘導目標を 2.25-2.50%
に据え置き」「2019年の利上げ回数予想をゼロに
引き下げ」「バランスシート縮小ペースを 5月に
鈍化し 9 月に停止する方針表明」「GDP 成長は
2019年も堅調な見通しも、2018年よりは鈍化す
る見込み」→ドル売り
⑧ 3/22:米 3 月マークイット米国製造業 PMI
52.5(予 53.5、前 53.0)→株売り、円買い
⑨ 3/25:エバンス・シカゴ連銀総裁、「経済活動が
予想より軟化すれば金融緩和の必要性もある」
/ ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、「今
年の利上げはあっても 1回」
【ユーロ変動要因】
(1) 3/7:欧 ECB:「新たな TLTROを発表、期間 2年
の TLTROは 9月に開始」「金利は少なくとも 2019
年末まで据え置き」「2019年の成長見通しを 1.7%
→1.1%に引き下げ」→ユーロ売り
(2) 3/22:独 3 月マークイット BME ドイツ製造業
PMI 44.7(予 48.0、前 47.6)/欧 3月マー
クイットユーロ圏製造業 PMI 47.6(予 49.5、
前 49.3)→ユーロ売り
3月 EUR/JPY 123.83-127.50
⑧
(1)
(1)
⑨
3/7:1.1177
(2)
①
(2)
⑧ ④
2
■ 4月の予想レンジ
USD/JPY 108.50~111.30
EUR/USD 1.1100~1.1340
EUR/JPY 122.00~126.00
4月の相場見通し ドル見通し
ユーロ見通し
4月のドル/円は上値の重い展開を予想。
3月の FOMCにおいて、年内の想定利上げ回数が昨年 12月時点の 2回から 0回に引き下げら
れ、またバランスシート縮小を早期に終了する方針が示された。FOMC のハト派な結果を受け、米
10年債利回りは 2.59%近辺から足元 2.33%台まで低下している。一段の金利低下は起こりくいと見て
いるものの、年内利下げの織り込みが進んでいることから、米金利が反転上昇する展開は想定しづ
らく、ドル買いの動きは限定的となろう。また、米国のファンダメンタルズに目を向けると、2 月 ISM 非
製造業指数や 12月新築住宅販売件数等が強い結果となった一方で、2月 ISM製造業指数や 2月
非農業部門雇用者数等は弱い結果となっており、米経済指標はまちまちな結果となっている。ただ
し、米国では長短金利の逆転が発生していることに加え、ユーロ圏や中国の経済指標も軟調な結果
が続いている。来月発表される各国の経済指標も弱含む可能性が高く、世界経済への減速懸念を
背景に、リスク回避の円買いが一層進みやすいだろう。
一方で、Fed の緩和的なスタンスは、株式市場のサポートとなるが、世界経済減速懸念が根強く
残る中では、一方向の上昇とはなりにくく、頭の重い展開となろう。加えて GWの 10連休を前にポジ
ション調整から、日本株は軟調地合いになりやすいと見ており、株価の下落を受けた円買いも入りや
すいと考えることから、ドル/円の上昇も限定的となりそうだ。
4月 24・25日に開催される日銀金融政策決定会合にも注目が集まる。日本国内においては、3月
の月例経済報告で景気判断が約 3 年ぶりに下方修正され、4 月 1 日に公表される日銀短観でも景
気判断の悪化が予想されている。世界経済減速を背景に主要国が緩和方向に舵を切った結果、日
本との金利差が縮小し、円高圧力がかかっているため、日銀による ETF 買入額の増加等追加緩和
策への期待も高まっている。今回、具体的な政策変更の可能性は低いと見ているが、将来の追加
緩和を示唆するメッセージが出れば、円売り材料として意識されそうだ。
Brexit については、3 月 29 日までに英国議会で離脱案が可決され、合意ありの Brexit へと終着
する展開もあり得るが、離脱案が否決され No Deal Brexitへの警戒感が継続する可能性が高いと考
えている。いずれにせよ EU および英国内で最終的な合意形成が図られるまでは、同問題を巡るヘ
ッドラインを受け、ポンド主導でドル/円が上下に大きく振られる展開に注意しておきたい。
米中通商問題においては、4月中の合意を目指し、3月末から4月初めにかけて閣僚級協議が実
施される予定である。しかし、トランプ米大統領は対中追加関税の据え置きを示唆しており、交渉合
意による関税撤廃を求める中国と主張が対立しているため、速やかな合意成立に至るのは難しいと
考えており、結果として相場への影響は限定的になると予想する。
ドル/円は、上サイドでは、FOMC 後に回復できていない 111 円台で売り優勢になると見ている。
一方、下サイドでは、110 円割れの水準では本邦輸入勢によるドル買いフローに支えられようが、週
足一目均衡表の雲下限(109.65円)を割り込んだ場合、1月 31日安値(108.49円)を目指し下落す
る場面もあるだろう。
(文責:平岡)
4月のユーロ/ドルは軟調推移を予想。
ユーロ圏のファンダメンタルズをみると、3 月に発表された経済指標は軟調な結果が目立った。3
月ユーロ圏製造業 PMIは 47.6と景気後退を示唆する 50を前月に続いて割り込む結果。また、ユー
ロ圏最大の経済規模であるドイツについても、3 月マークイット/BME ドイツ製造業 PMI が 44.7 と市
場予想(同 48.0)を大幅に下回り、2012 年以来となる低水準となった。足元のユーロ圏の経済状況
を受け、3月の ECB理事会では 2019年ユーロ圏成長率予想を 1.7%から 1.1%へと大幅に下方修正
し、政策金利のフォワードガイダンスでは少なくとも 2019 年末まで政策金利は現行水準を維持する
としている。また、TLTRO の再開をアナウンスしており、債券購入プログラム終了から 3 ヶ月で緩和
方向へと舵を切ったことで、ユーロ/ドルの下落を招いた。このように ECBがハト派姿勢を強めている
状況下、4 月の ECB 理事会でユーロ買いの材料が出るとは考えにくく、また 4 月に発表される経済
指標からユーロ圏の経済停滞が目立つ展開となりやすいと予想するため、ユーロは軟調な展開とな
ると見る。
また、混迷を極めている Brexit については、EU は英国に最終通告とも言える内容を通知した。
EU 離脱期限について EU 側は、①離脱協定が 3 月 29 日までに英議会で承認されるなら 5 月 22
日まで離脱期限を延長、②離脱協定が英議会で 3月 29日までに承認されない場合は 4月 12日ま
で離脱期限を延長するが、それまでに No deal Brexit、離脱期限の長期延長、離脱撤回などの最終
決断を示すよう求めた。メイ英首相は自身の離脱案に英議会の支持が得られれば退陣すると発言し
ているものの、現状では二度否決されたメイ首相の離脱協定が英議会で承認される可能性は低いと
予想しており、4月 12日から更なる期限の延長または No deal Brexitが英国側の取れる選択肢にな
ると想定している。No deal Brexitに至る決断が英議会でされる公算は低いものの、離脱協定の織り
合いが全くつかず見通しが極めて不透明になっている状況下、離脱期限がさらに延長されたとして
3
もユーロが買われる展開とはなりにくく、むしろ先行き不透明感の高まりからユーロの下落要因となる
だろう。
上記の通りユーロ売りが強まると予想しているが、他方で米国は 3 月の FOMC において 2019 年
の想定利上げ回数を 0 回とするなど、ハト派色が強まってドル売りも入りやすい環境にあることから、
ユーロ/ドルの下値は限定的と見る。
テクニカル面で見ると、上方向では 200週移動平均が1.1340ドル近辺にあり、当面同水準の上抜
けは難しいと予想する。一方、下方向では年初来安値(1.1177 ドル)が意識されるが、同水準を下抜
けた場合では 2017年 6月安値の 1.1100 ドル近辺まで下落余地があると見る。
ユーロ/円は軟調な展開を予想。Brexit交渉の混乱に加え、米国・欧州・中国の経済指標も弱
い数字が目立っており、世界経済の減速懸念が燻る中でリスク回避の円買いが進みやすく、上記ユ
ーロ売り要因と合わせてユーロ/円は軟調な推移となるだろう。
(文責:澤田)
■ 想定されるドル/円のリスク要因
【 ドル安/円高 要因 】
トランプ政権の保護主義的な貿易政策による貿易戦争の激化(リスク資産の下落)(円高)
米中間選挙の結果をうけて上下院議会のねじれ発生による政策停滞懸念(ドル安・円高)
FRB政策スタンスの一段のハト化(ドル安・円高)
サイクル的に見た米景気後退期突入観測の高まり(ドル安)
【 ドル高/円安 要因 】
相対的に高い債券利回りを背景とした米金融資産の魅力度上昇による資金流入の増加(ドル高)
ボラティリティ低位推移に伴うキャリー取引優勢地合いの継続(円安)
日銀追加緩和に対する期待の高まり(円安)企業の M&A 等の直接投資や、年金・生保等の外物投資に伴う円売り需要(円安)
日本の構造改革後退への失望感や政府債務膨張に対する警戒感の高まり(円安)
4
【Weekly】ドル/円チャート(週足)
(出所:Bloomberg)
【Monthly】ドル/円チャート(月足)
(出所:Bloomberg)
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RSI
RSI
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【Weekly】ユーロ/ドルチャート(週足)
(出所:Bloomberg)
【Monthly】ユーロ/ドルチャート(月足)
(出所:Bloomberg)
1.1876
1.6040
1.3995
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1.4940 1.5145
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1.1640 1.2042
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RSI
1.2556
1.3995
1.0457
1.1715 1.1616
1.0340
RSI
1.1216
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【Weekly】ユーロ/円チャート(週足)
(出所:Bloomberg)
【Monthly】ユーロ/円チャート(月足)
(出所:Bloomberg)
169.97
139.26 145.67
112.08
126.08
149.79
114.86
94.12
149.79
RSI
109.30
109.30
RSI
136.62
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【Weekly】ドルインデックスチャート(週足)
(出所:Bloomberg)
【Monthly】ドルインデックスチャート(月足)
(出所:Bloomberg)
本資料は当マーケット金融ビジネスユニット 為替セールスチームの見解を記したものであり、当社としての
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するものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断で
なさるようにお願い申し上げます。
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