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2014 年 9 年 8 年年年 年 535 CONTENTS 年年年年年年年年年年年年年年年年年...........................................................2 年年年年年年 8.25-9.7............................................................3 年年年年年年年年年年年年年年年年..........................................................8 年年年年 2014 15 ..........................................................32 年年年年年年年年年年年年年年.............................................................40 【】.........................................................................44 1

京大東アジアセンターニュースレター · Web view2014年9月8日発行 第535号 CONTENTS アジア自動車シンポジウムのお知らせ2 中国ニュース 8.25-9.73

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2014 年 9 月 8 日発行 第535 号

CONTENTS

アジア自動車シンポジウムのお知らせ.........................................................................................2中国ニュース 8.25-9.7............................................................................................................3世界の貧困と格差の解消策を求めて④.........................................................................................8読後雑感 : 2014年 第15回........................................................................................32カザフスタンで考える民族問題................................................................................................40【中国経済最新統計】.............................................................................................................44

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

アジア自動車シンポジウムのお知らせ

主催

京都大学東アジア経済研究センター

共催東京大学社会科学研究所現代中国研究拠点

東京大学ものづくり経営研究センター

後援

京都大学東アジア経済研究センター支援会(予定)

アジア自動車シンポジウム

アセアン統合にいかに備えるか―日系メーカーが取り組むべき課題を検討する―

■京都会場  2014年 11月 8日(土) 13時京都大学法経東館 2階三番教室

■東京会場  2014年 11月 10日(月) 13時京都大学東京オフィス(品川インターシティA棟 27 階)

2010 年代後半にはアセアン統合が全面的に進展する中 ,東南アジア自動車市場が急速に拡大することが予

想されている 中国の人口のおよそ半分の。 6 億人を有するアセアン諸国は,年間販売台数が 2000 万台に達し

た中国自動車市場のほぼ半分の 1000 万台を一つの目標として,自動車の生産能力と流通経路を構築してい

る。 日中関係の不安定性が消えない中,それを補うものとして日系自動車メーカーは東南アジアに磐石の基盤を

構築しようとしている 本年のアジア自動車シンポジウムは アセアン統合にいかに備えるか-日系メーカー。 「が取り組むべき課題を検討する- とのテーマの下にアセアン各国の課題を分析する」 。総合司会

13:00-13:10

挨拶 京都大学大学院経済学研究科長 岩本武和

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

13:10-14:00

京都大学大学院経済学研究科 教授 塩地 洋  アセアン統合に日系企業はいかに備えるか (仮題 以下同)

14:00-14:30

東京都市大学都市生活学部 教授 井上 隆一郎  勝ち組タイはアジアのデトロイトになれるか

14:45-15:15

鹿児島県立短期大学 教授 野村 俊郎   低価格環境車は新顧客層を創出するか-インドネシア

15:15-15:45

城西大学経済学部 准教授 小林 哲也   フィリピン-販売拡大続くが,撤退するメーカーも

15:45-16:15

未定     輸入車増大し,現地生産は存続の危機-ベトナム

16:15-16:30

閉会挨拶

16:45-17:45

懇親会 参加費 2000円(協力会会員は無料) シンポジウムは無料

参加の御申込は塩地 [email protected] に会場名,氏名 所属・ ,懇親会出欠を御連絡くだ

さい 東京会場は定員。 100名,京都会場 200名です お早めにお申し込みください。 。中国ニュース 8.25-9.7

HEADLINES

中国人民銀行100億元現先取引実施、入札利率3.70%同等 PwC:中国民営企業海外M&A上半期 218.6%成長 中国石油化工:上半期予想通りの業績

火力発電、発電価格 9 月以降0.93 分値下げ、産業年利潤 390 億元下落予測

前7ヶ月全国財政収入 8.73 万億元を記録、前年同期に比べ 8.5%増加

アルミニウム価格 25 年最低を記録、中国アルミニウム株式会社上半期 41.23 億元損失

外貨管理局:総額319 億元の QFII と RQFII を承認し、人民元普通株(A株)を支援

中国鉄路会社上半期負債3.4万億元、53億元損失 予算法実施20 年初めて修正

8 月 PMI終値51.1 に下落、景気低迷圧力と回復機会並存

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

中国人民銀行100億元現先取引実施、入札利率3.70%同等【経済日報 8 月 26 日】中国人民銀行が 8 月 26 日よりオープンマーケット

に対し、総額 100 億元 14 日間の現先取引を行うと公表した。本日迄 350 億

元現先取引が満期となるため、今回のオープンマーケットオペレーションは

実質 250 億元相当の資金を市場に放出することになるという。

 中国人民銀行のデータによると、今週中総額 650 億元の現先取引が満期と

なり、共に期間満了の買い現先及び中央銀行手形が存在しないという。また、

財政部の公告によると、8 月 28 日に「2014 年中央国庫現金管理商業銀行預

金オペレーション」(2014 年第 9 期)を行い、預金期限 3ヶ月、総額 600億の預金を実施する予定である。今月満期国庫現金預金が存在しないため、

28 日のオペレーションは全額資金純放出を実現するという。

PwC:中国民営企業海外M&A上半期218.6%成長【21 世紀経済報道 8 月 27 日】8 月 26 日、プライスウォーターハウスクー

パース株式会社(以下 PwC と略)が上海にて『2014 年上半期中国企業

M&A 市場レビュー及びプレビュー』報告を公表した。報告では、2014 年上

半期中国大陸企業の海外M&A件数は昨年下半期の高い水準に接近するが、

新高値は記録できなかったと指摘した。また、今年度下半期には民営企業主

導の海外M&A 取引における活躍が期待されるという。

 中国における民営企業は新しい成長市場に焦点を当て、海外 M&A 市場に

おいて重要な役割を果たし続けており、その成長は国有企業の海外 M&A成長を上回ると、PwC 関係者は語った。報告のデータによると、2014 年上半

期開示された大陸民営企業の海外 M&A 取引総額は 137 億ドルであり、

2013 年下半期の 43 億ドルに比べ 218.6%増加したが、反面、開示された大

陸国有企業 M&A 取引総量の増加は 5.03%であった。

中国石油化工:上半期予想通りの業績

【新華社 8 月 27 日】中国石油化工(シノペック)が、中国国有石油大手 3社の中で最初に中間決算を発表した。発表によると、同社の上半期の売上高

は前年同期比 4.2%減の 1兆 3561 億元であり、株主に帰属する純利益は

6.8%増の 314 億 3000 万元を記録した。役員会は同時に、中間配当として

1株当たり 0.09元を分配するよう提案した。

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

業界関係者は、「中国石油化工の業績は基本的に予想通りであるが、企業

改革の面で予想以上の進展がありうる」と指摘した。中国石油化工販売会社

がどの提携先を選択するかについては、今週末に開かれる中間決算報告会で

明らかになるという。

火力発電、発電価格 9 月以降0.93 分値下げ、産業年利潤 390 億元下落予測

【経済参考報 8 月 27 日】国家発展改革委員会が 26 日「環境保護電気代矛

盾問題緩和に関する通知」を発行し、9 月 1 日以降電気料金不変の基で全国

火力発電平均発電価格に対してキロワット時毎 0.93 分(0.0093元)値下げ

を行うと公表した。

 今回の値下げにより、火力発電大手 5社の下半期損失が 50 億元を超え、

火力発電産業の年間利潤は 390 億元減少するが、さらに 70%の企業が赤字

に陥っている石炭産業に影響が及ぶと予測されている。

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

前7ヶ月全国財政収入 8.73 万億元を記録、前年同期に比べ 8.5%増加

【経済参考報 8 月 28 日】8 月 27 日、国務院に委託され、財政部部長楼継

偉が第十二回全国人民代表大会常務委員会第十次会議に今年度の予算執行状

況を報告した。報告によると、7 月までに全国財政収入は 8.73兆元を記録

し、予算の六割を超えたが、同期間における増加率 8.5%は 2012 年の

12.9%と 2013 年の 10.2%に比べて低い。一方、全国財政支出は 7.94兆元を記録、年予算の 51.9%を執行し、前年同期に比べ 15%増加したという。

 また、1 月から 6 月までの全国社会保険基金収入は 1.98 万億元、14.8%の増加を実現し、支出は 1.7 万億元、18.8%増加したと指摘された。6 月末

までに、4.93兆元の累積黒字を記録したという。

アルミニウム価格 25 年最低を記録、中国アルミニウム株式会社上半期 41.23 億元損失

【証券日報 8 月 29 日】8 月 29 日、中国アルミニウム株式会社が 2014 年

上半期財務諸表を公開した。同社は上半期営業利益 701 億元を実現し、

41.23 億元の損失を記録したが、この大手会社の莫大な損失の背後には暴落

したアルミニウム価格が原因になったという。データによると今年度第 1四半期においてアルミニウム価格は 12635元/トンと、25 年前と同等の水準

まで暴落した。その後第 2四半期では 13442元/トンまで上昇したが、前年

同期比では 10%下落している。

外貨管理局:総額319 億元の QFII と RQFII を承認し、人民元普通株(A株)を支援

【証券日報 8 月 29 日】8 月 28 日、国家外貨管理局が公表したデータによ

ると、8 月 26 日までに、総計 254QFII(適格国外機関投資家)が 596.74 億

ドルの投資を承認され、8 月には新規 17.76 億ドル相当の QFII が承認され

たという。一方、RQFII(人民元適格域外機関投資家)の方は 8 月末までに

総額 2786 億ドル、8 月は新規 210 億ドルが承認されたという。業界の分析

によると、一連のデータから合計 319 億元の資金が人民元普通株(A株)市

場を支援することになるという。

 また、現在 A株市場において QFII資金が市場総市価に占める割合は他の国

の先進市場に比べて低く、今後 QFII資金の加入規模は拡大する傾向を示して

いるという。

 スイス銀行証券の公表によると、現在 QFII 全体における投資可能規模は実

際 4000 億―4200 億元に達し、その内 2000 億元が利用されているが、今

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

後 QFII が占める割合は 80%、あるいはそれ以上になるという。RQFII の投

資可能金額は 2500 億元であるが、その内 600 億元だけが株式市場に投資さ

れているという。もし「沪港通(上海・香港間相互株式投資)」の 3000 億

元を計算に入れて概算すれば、2015 年末までに株式市場の QFII の割合が

80%を占め、RQFII が全額利用されるようになると、外国投資者保有株式の

市価は 8500 億―9000 億元水準に達するという。

中国鉄路総公司上半期負債3.4万億元、53億元損失【中国新聞網 9 月 2 日】9 月 1 日、中央国債登記決済有限責任会社はホー

ムページに『中国鉄路総公司 2014 年上半期監査報告』を登載した。監査報

告によると、2014 年上半期中国鉄路会社の負債は合計 3.4兆元であり、税

引損失 53.56 億元を記録した。

 中国鉄路総公司(China Railway Corporation)は中国国務院の批准によ

り設立された中央管理下の国有独資企業である。2013 年設立の際、会社の

登録資本金は 1兆 360 億元であり、元中国鉄道部の資産・負債・人員が帰属

され、元鉄道部に所属の 18 の鉄路局(広州鉄路グループ、青蔵鉄路会社を

含む)と 3 つの専門運送会社における株主資本を会社の国有資本とした。

 中国鉄路総公司が先立って公表したデータによると、今年 1 月から 6 月ま

でに会社が実行した累積固定資産投資は 2351.95 億元を上回り、前年同期に

比べ 8.9%増加した。その内、基本建設投資は 1996.27 億元であり、前年同

期より 6.8%増加したという。

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

予算法実施20 年初めて修正

【新華社 8 月 31 日】四回の審議を通じ、「経済憲法」と言われる予算法は

施行して 20 年が経過するが、このほど初めて修正された。8 月 31 日午後、

十二期全国人民代表大会常務委員会第十次会議で予算法修正議案が可決され、

国家主席習近平が第 12 号主席令に署名し、公表した。

 予算法修正に関する決案は 2015 年 1 月 1 日に施行されるが、本決案によ

り対応項目の修正、条目順序の調整を経て再公布するという。

8 月 PMI終値51.1 に下落、景気低迷圧力と回復機会並存

【経済参考報 9 月 2 日】8 月における中国製造業の PMI は 51.1 で、7 月よ

り 0.6 ポイント、2 月から 8 月までの間で初めて下落したと中国物流及び調

達聯合会と国家統計局サービス業調査中心が 9 月 1 日に公表した。

 12 の項目別指数のうち、生産指数、受注指数、調達量指数及び原材料購入

価格指数は 1%を超える下落幅を記録した。企業規模についてみると、大企

業 PMI は 51.9 に下落したにもかかわらず今年度第二の高値を記録し、中型

企業は 49.9 で景気拡大と景気後退の境界線である 50 を下回り、小企業 PMIは 49.1 で前月より 1%下落し、景気後退区間に戻った。

 同日公表された 8 月における HSBCPMI の終値は 50.2 で初期値 50.3 より

低く、6 月から 8 月までの 3ヶ月間で最低値を記録した。一般的に、市場に

おいて HSBCPMI は製造業中小企業の状況をより正確に反映すると言われる。

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

第 532 号より始まりました元東アジア経済研究センター協力会会長である大森經德氏による

「世界の貧困と格差の解消策を求めて」と題する連載の第 4 回をお届けします。この連載は大森

氏が東アジア経済研究センターニュースレターをはじめ各所に寄稿した諸論文を構成し直しつつ

再掲するものです。

(文責 京大東アジア経済研究センター 矢野剛)

世界の貧困と格差の解消策を求めて④

2014 年 9 月 8 日

                  京都大学大学院経済学研究科・経済学部名誉フェロー

                  元京都大学東アジア経済研究センター協力会会長

                                    大森經德

連載第3回、第4回分への連載前言の追加説明

(長くなりますので、連載前言は省略します。第 532 号、第 533 号掲載

分を参照して下さい。)

 京大東アジアセンターニュースレター第 532 号と第 533 号で、これまで

私が 2005 年 5 月、2006 年 11 月、2008 年 5 月と3回にわたり、中国で

行って来た講演「中国の貧富の格差解消の為の各種税制改革(大森私案)の

提言」についての『激動するアジアを往く』での収録分を中心に報告して来

ました。

そこで第3回目は、元京大経済学部同窓会副会長であられた板東慧先生が

会長をしておられる公益社団法人国際経済労働研究所の機関誌『 Int’lecowk 国際経済労働研究』(通巻 1031 号 2013 年 7 月刊)に寄稿した同じ主題の

巻頭記事に若干補足説明をつけ加えて終る予定でしたところへ、8 月 27 日

発売の季刊文藝春秋 2014秋号に「緊急寄稿エマニュエル・トッドが読み解

く『21 世紀の資本論』」が発売されました。この雑誌にはもう1本、ト

マ・ピケティ教授のこの本に関する週刊エコノミストよりも更に詳細な解説

記事「オバマも注目『21 世紀の資本論』が米国で 40 万部も売れた理由」

(大阪外大フランス語科卒のジャーナリスト広岡裕児氏著)が掲載されてお

り、すぐに購入して通読したところ、本論は誠に立派でクルーグマンのみな

らず、もう1人のアメリカの有名なノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・

E・スティグリッツ、コロンビア大学教授も称賛しているそうですが、一方、

「資本主義市場経済はそれ自体が富と所得の格差の拡大を内在している」と

して、「では、その格差解消策乃至格差縮小策は?」という点についてのピ

ケティ教授の提案、提言は、「世界レベルでの資産への累進課税の実施で、

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

たとえば、年間に 100 万ユーロ未満の資産については免税、100 万~500万ユーロには1%、500 万ユーロ超には2%等」だそうであるが、この筆者

広岡氏は、「たしかに正論ではある。だが、その実現はまず不可能だ。」と

して、その理由を述べておられる(理由省略)。確かにこれは、正確・公平

な資産把握や税逃れのタックスヘイブンへの資金移動等問題が多すぎる。こ

れに対し、大森提案は日本並みの所得税の累進強化に加え、相続税への累進

課税の適用であるから、この方式なら世界各国ほぼ共通なので十分徴税可能

である。(但し、中国ではまだ、相続税法、贈与税法は出来ていないが。)

更に筆者は、「これまでの綿密な考察と比べこの処方箋の部分は、まるで別

人が書いているような錯覚さえ受けた。しかし、これも仕方ないことだろう。

ピケティ教授はあくまで基礎研究者なのだから 。」として「これらの解・・・決策は、次に続く者が更に議論、研究を深めて行けばいいのだから」として

いる。

実はこの約 10 年間、この貧富の格差解消策を主に考えて来た私にとって

は、ピケティ教授の解決案に大いに期待していただけに、この点ではやや

がっかりもしたが、逆にそうであれば、本件対策について、日本の実例を参

考にしながら、主に中国次にアメリカ、更にはプーチンロシア等の格差の実

態とその問題点、解決策についてこれまで、考え、調査し、種々提言もして

来ているので、それらを、このチャンスにより広く公表し、識者のご批判も

頂きながら、少しでも早く世界の貧富の格差が縮小、解消に向うことを願っ

て、もう1本、5年前の 2009 年 9 月に、前述の『国際経済労働研究』通巻

993 号へ寄稿した、やや詳しく書いた巻頭記事も掲載させて頂いた方が皆様

のご参考になる、と考え4回の連載とさせて頂きました。

同時にこの資本主義の矛盾、問題点「米国企業の最高経営責任者(CE

O)の巨額報酬と米国社会の貧富の格差の大きすぎること」に怒りを表明し、

最近の米国では、この資本主義の矛盾解消策の必要を説くコンシャス・キャ

ピタリズム(意識の高い資本主義)という言葉が流行り出していると書かれ、

その解決策として目下、「資本主義の再考と解決策」という本を執筆中の米

国・ノースウエスタン大学のマーケティング学者、フィリップ・コトラー教

授の著作の一日も早い出版を期待したい、と思います(2013 年 12 月に日経

の私の履歴書で表明されていた)。

この連載第3回、第4回への連載前言の追加説明をここに記しておきまし

たので、ご参考として頂き、連載③、④をお読み頂ければ幸いです。

 最後に、この 8 月 27 日発売の『季刊文藝春秋 2014秋』号のご購読をお

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

勧め致します。

連載第4回分への連載前言の追加説明の補足説明

上記の追加説明で説明済の 2013 年7月刊「国際経済労働研究」通巻

1031 号の巻頭記事「世界の貧困と格差の解消策を求めて」を掲載いたしま

す。ここでは、今迄の連載①~③までの集大成的総まとめの報告で、初めて、

プーチンロシアの個人所得税率は 2001 年から 13%一本のフラット税率に

変更されたまま今日に至っている事や、2006 年に平和裡に貧困撲滅を目指

す「ソーシャル・ビジネス」という考え方の実践でノーベル平和賞を受賞さ

れたバングラデシュのグラミン銀行創業者ムハマド・ユヌス博士についても

触れておきました。

 この有名なユヌス博士については、京大東アジアセンター協力会と社団法

人大阪能率協会アジア・中国事業支援室の共編で 2013 年 3 月に出版した

『激動するアジアを往く~中国リスクの分散先を求めて~』の中に「グラミ

ン銀行訪問記録」(桃山学院大学経済学部中国ビジネスキャリアコースアド

バイザー伊藤彰一氏記)として 2011 年 8 月にこの有名なユヌス博士に単独

インタビューをされた伊藤彰一氏の報告に詳述されているほか、月刊誌

「Voice2014 年 9 月号」の巻頭には「貧困を救う企業システム」という

2014 年 7 月 16 日にユヌス博士が「東京での公開シンポジウム」で行われ

た講演を編集した記事が掲載されています。一方、8 月 18 日付京大東アジ

アセンターN ews L etter 第 532 号では、京大東アジアセンター外部研究

員(元京大東アジアセンター協力会副会長)の小島正憲氏が、3 年以上前か

ら脱中国の縫製工場をバングラデシュのダッカ郊外に立ち上げられ、立派に

黒字経営しておられる現地経験から、このユヌス博士のグラミン銀行は高金

利で有名であり、そのためこの社会実験はまだ成功したとは言えない状態で

ユヌス博士は「貧しい人にも幸せを与える」という理想に向かって日々努力

中という段階の様です。この為、小島正憲氏は、自社のこの縫製業経営を通

して「多くの女性をより幸せにする社会実験に自分も挑戦中である」と書い

ておられる。この様に「世界の貧困と格差の解消策を求めて」は、何も大学

者や政治家ばかりの専権事項ではなく、我々の身近にもこの様に多くの善良、

誠実な心ある方々が夫々ご自分の出来る範囲内で努力を続けておられる、と

いうことも併せ報告しておきます。

 

 以上でこのテーマに関し私なりに、この 10 年種々考え、提言としても何

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

度か発表してきた諸論文を、その後の状況も加え、再構成し、4 回に分け連

載させていただきました。

その内、2008 年 5 月に西安交通大学で講演し、2008 年 10 月に「中国西

部大開発 10 年研究論文集」に優秀論文として 27編が選ばれ、中国語で出

版・市販されましたが、最後に、この中国語版の私の講演原稿の原本抜き刷

りを資料(一部日本語訳付)として添付しておきます。ご参考としていただ

ければ幸いです。

尚、このシリーズを発表させて頂く発端となりましたトマ・ピケティ教授

の『21 世紀の資本論』の分析には、中国、ロシアの分析までは入っていま

せんので、私の関連報告の「『アラブの春』の中国・ロシアへの波及はある

か」(『中国の近代化』《社団法人日本図書館協会より全国優良選定図書に

選定された市販本》・桜美林大学北東アジア総合研究所刊、2012 年 8 月 1日)を次週に第 5 回として掲載させていただき、このシリーズの報告を終わ

りたいと考えています。予定より更にもう 1 回増えますが、重要な関連報告

ですのでご了承の上、夫々ご参考としていただければ幸いです。

世界の貧困と格差の解消策を求めて                     

京都大学大学院経済学研究科・経済学部名誉フェロー

京都大学東アジア経済研究センター協力会 副会長

 社団法人大阪能率協会副会長、アジア・中国事業支援室最高顧問

                       大森 經德

英国で産業革命が始まって以来、200 年以上が経過した現在でも、世界の

主たる経済・政治問題,課題は、「貧困」と「格差」と「失業」である。

 その問題指摘と解決策の為に、カール・マルクスが「資本論」を書き、マ

ルクス主義、共産主義が生まれた。その後、ロシアと中国はその貧富の格差

を解消すべく、究極の方策たる共産革命、暴力革命まで行った。が、その後

数十年が経過したが、結果はロシアも中国も、資本主義の最先端を走ってい

る筈の米国の経済社会も、それぞれ理想からは、極端に乖離しており、私の

見るところ、今やこの三大国が、共に世界の三大格差大国になっていると

言っても過言ではない。

 片や米国では、1%の富裕層が富を独占し、99%の庶民を苦しめている、

という「反ウオール街デモ」が起こり全世界へ拡大しつつある。一方ロシア

と中国では、この貧富の格差拡大に農民や一般庶民が不満を募らせ、中国で

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は年間何万件もの抗議集会やデモが発生したり、ロシアでは「反プーチンデ

モ」が吹き荒れたりしている。今年 5 月 5 日のNHKニュースによると、ロ

シアの世論調査で「次の大統領は誰がよいと思うか」という問いに対し、ロ

シア国民の答えは、プーチン 22%、メドベージェフ 8%、2人以外の別の人

47%、分らない 22%であった。大統領当選後様々な強権、強圧政治で反対派や国民

を抑え込み、一見反プーチンデモは鎮静化したかに見えていたが、国民の

プーチンに対する厳しい見方は依然として変わっていない。

 貧しい労働者、農民を助けるとして、暴力革命まで行った国が、革命後わ

ずか 60 年(中国)か 90 年(ロシア)しか経過していないのに、この様な

状態である。しかも今や支配階級になって、大金持になっているのは、その

共産革命を実行した革命家の子女であったり、孫であったり、縁戚者であっ

たりである。何よりも共産党員に大金持が一番多い、といわれている事実は、

大矛盾ではなかろうか。しかも両国共汚職、賄賂は想像を絶する規模で横行

している、という話があちこちで出ている。これら、今の支配階級の人々は、

この事実に対する自己反省はないのだろうか、恥ずかしくはないのだろうか。

共産党員は、その立党精神から言っても大金持になってはいけません。

 鄧小平の“先富論”には、重要な歯止めがかかっていたことを忘れてはなら

ない。鄧小平は先に豊かになった者の所得を税制等で調整し(累進課税の強

化等・筆者注)貧しい者を助ける=共同富裕論を主張していた。今回の習近

平総書記も総書記就任時の挨拶で共富論を強調し、つい最近では国有企業の

社長報酬上限制限案を検討中等の記事も出だした。真に格差縮小の為努力し,

成果が挙がることを期待したい。と同時に、中国も、ロシアも革命を起こし

た時の初心に帰れ!と声を大にして言いたい。そして、大金持を作るな!国

民を大事にせよ!と言いたい。

 この貧富の格差解消の為には、共産主義・暴力革命をしても結局、中国も

ロシアも格差は解消しなかったので、残された平和裡に格差を解消する唯一

の方法は、累進課税(相続税も含め)の強化しかない。しかも今や昨年末の

アメリカの財政の崖問題も家族年収 45 万ドル(約 3,900 万円)以上の者に

対し個人所得税の最高税率を 35%(地方税込 42~43%)→39.6%(地方税

込 46.6~47.6%)に引き上げることで一応決着した。日本でもこの率を収

入 4,000 万円以上の者に対し 40%(地方税込 50%)→45%(地方税込

55%、相続税も 50%→55%へ)に引き上げ案が、2013 年1月 24 日自民・

公明の与党「税制改正大綱」に盛り込まれた。フランスでは、オランド社会

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党政権に代って、現在 50%の最高税率(地方税込)を 75%へ大幅引き上げ

案が提案されている状態で、今後中国も含め各国でこの引上げ問題が議題に

上がってくるものと思われ、私の西安交通大学他での 5 年前からのこの個人

所得税の最高税率引上げ提言は、今や世界的に、益々現実性を増して来た、

と言えよう。

 この結果、今や遂に中国が主要国の中で個人所得税最高税率(地方税込

45%)が世界で最も低い国となった。これが革命まで行った特色ある社会主

義の国のすることか? これは、その立国精神から見ても、明らかに大矛盾

であり、中国でも早晩、米国、日本、フランス、と相前後して、課税最高税

率は+5%=50%程度にまで引き上げられよう。実際には、特色ある社会主

義中国は今回のフランス並みに 75%位まで引き上げるべきである。この他

中国では、個人の総所得の把握は極めて困難という累進課税適用以前の根本

的脱税の横行があるようである。従って、国家税収の約 70%は間接税の付

加価値税であるといわれている。この点をきっちりさせるためには、中国は

国税局職員を多数日本の国税局へ派遣し、世界に冠たる日本マルサの技術を

学ばせるべきである。

一応こう結論付けたが、実は同じく共産革命までやったプーチン・ロシア

はもっともっと酷い。2001 年に従来からの累進課税率 10%、20%、30%を廃止し、個人所得税率は 13%一本のフラット税率にして現在に至ってい

る。暴力共産革命までやった国が、恐らく全世界どこにもないと思われる貧

富の格差拡大を助長するような制度に改悪するとは、これまた驚きである。

更に驚くべきことは、このフラット税制の方が、結局総税収は増加したので、

これでよい、とのこと。何故か? 脱税が減ったからと言われているがそれ

でこの 13%一本のフラット税率が正しい、とは世界中の識者は誰も認めな

いであろう。ましてやこの国もまた貧しい者を助け、資本家を無くす、とし

て暴力共産革命まで行った元祖共産主義の国の筈であるから。脱税がひどい

のなら、共産主義の理想の社会正義を守るため、その脱税を徹底的に排除、

防止する諸施策も併せ講ずべきで、こういう点から言えば、例のキプロスの

タックスヘイブン預金の大半がロシアからの脱税資金だと言われているので、

これなどを守る必要は全くなく、EU側の主張をあっさり認め、この際善良

な一般のロシア国民に対する背任行為でもあるこの資金に天誅を加えてこそ、

さすが共産革命元祖のロシア、と世界から称賛されること間違いなし、と考

える。万一このキプロス預金の中に、ロシアの支配階級の人々の預金も入っ

ているとしたら、これは全く言語道断である。今、ドイツをはじめEU諸国

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は、このタックスヘイブン資金の絶滅を期し、強く努力中でもあることを世

界の皆様も見習うべきである。財政危機で増税と税の公平性がより強く話題

となっている時にこの様な税逃れの横行は今や決して許されない時代に入っ

て来たと言えよう。本件については私は既に 2008 年 5 月に西安交通大学で

講演した際、この点にも注意を喚起し、自由競争の資本主義国ならいざ知ら

ず、1党独裁の特色ある社会主義市場経済の中国では、私企業経営者の低税

率の香港への住民票移転等は、納税義務を逃れようとする国家への背信とも

いえる行為で、共産党独裁政権であれば国家権力で禁止できるはずであり、

そうすべきであると提言してきた。累進課税の引上げと共に、このタックス

ヘイブン政策も今や世界的潮流となって来たと言えよう。このEUやドイツ、

英国等の方針は大賛成である。アメリカでもアップル、グーグル等のこの動

きに対し議会が強く追及し出したことは結構なことであると思う。

 これらに対し、もっと画期的な考え方で、この世の中で貧困を撲滅しよう

としておられる方がいる。それは、ノーベル平和賞を 2006 年に受賞された

バングラデシュのグラミン銀行創業者ユヌス博士である。同博士のソーシャ

ル・ビジネスという考え方は、画期的なもので、貧困の撲滅を目指し、ロシ

ア革命でも中国の共産革命でも解消に成功しなかった貧困を、平和裡に撲滅

しよう、というもので、あらゆる個人は、全て起業家になりうる、という考

え方で、最終的には、この世の中から、労働者も資本家もなくし、平和裡に

貧困を撲滅しよう、という画期的な思想であり、そこへ向けて日々努力して

おられる、ということである。累進課税の強化と共に、今後、世界の大きな

潮流となる可能性のある素晴らしい考え方である。これが成功すれば、ユヌ

ス博士は2度目のノーベル賞として、ノーベル経済学賞を受賞されることは

間違いない。

 これに関連して、この項の提言は、一人っ子政策の継続により、日本に次

いで、または将来的には日本以上の早さで少子高齢化が進む一方、年金、医

療保険その他の社会保障制度及びその必要財源の積立不足のまま、極端な高

齢化社会の到来が予測されている中国に対しても十分役立つ重要提言なので、

ロシアと共に今の中国に対しても同時に提言しておきたい。

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以下次号

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読後雑感 : 2014年 第15回5.SEP.14

アジア・アパレルものづくりネットワーク代表理事

株式会社小島衣料オーナー 

東アジアセンター外部研究員

 

小島正憲

1.「東アジアの危機」    2.「転変する東アジアのなかの日本」  

3.「追憶のカンボジア」    4.「消去」    5.「ぶらりあるき ビルマ見たまま」

1.「東アジアの危機」  一色清・姜尚中編  集英社新書  2014年7月22日

副題 : 「“本と新聞の大学”講義録」  帯の言葉 : 「岐路に立たされた日本、進むべき道

は?」

この本は、「本と新聞の大学」の講義録であり、講師として一色清・姜尚

中・藤原帰一・保坂正康・金子勝・吉岡桂子の6氏が登場している。各氏と

も「東アジアの危機」をテーマにして論じているが、そのベースにはあいま

いな「中国脅威」意識があり、それが結局、各氏の主張を不鮮明にしている。

中国経済が崩壊寸前だということを前提とした「東アジアの危機」こそが、

現在、論じられるべきなのである。

第1回:「東北アジアと日本の将来を考える」 姜尚中

姜尚中氏は政治学者であるが、本文中では表題について、明快な主張を展

開しているわけではない。中国についても、「中国は東アジアを支配したい

と考えているのでしょうか」と問いを発し、「私は中国について、明確な意

見が述べられません。とはいえ、今のところ、中国は経済的にはさほど盤石

ではないと考えています。中国の本音は、もう少し成長率を上げて、この地

域の中で国力を身につけたいということではないかと思います。ですから、

尖閣諸島の問題についても、一応日本の実効支配があるわけだから、それを

中国に認めさせることを大前提にすれば、なんとか日中間の交渉は成り立つ

のではないかとうのが私の考えです」と書いている。この姜氏の分析は誤り

ではないが、姜氏に中国経済が崩壊寸前であり、民衆の共産党離れが加速度

的に進みつつあることへの認識がまったくないことに驚く。

第2回:「アジアの軍縮・軍備管理と日本」 藤原帰一

藤原氏は、「中国の話をするならば、中国の軍事力増強が意味するところ

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には防衛的・攻撃的どちらの可能性もあります。どちらの可能性を重視して、

われわれは戦略を決定すべきなのでしょうか。軍事的に考えれば、中国が攻

撃的であるという可能性を前提として政策をつくることが合理的な決定で

す」と書いている。

第3回:「世界における歴史認識と日本」 保坂正康

保坂氏は、「史実として見て行くならば、日本が行ったことは侵略です」、

自虐史観という言葉に対して、私は自省史観という言葉を使っています。誰

でも自分自身のことを反省することはあると思いますが、来たし方の自分を

省みてやはりここは反省しなければならないという歴史観が自省史観です」

と書いている。

第4回:「世界経済と日本」 金子勝

金子氏は、「資本主義は1980年代、90年代、2000年代と、アメ

リカのグローバル化で、大きく変わりました。景気循環の中身が大きく転換

したのです。僕は、それを“バブル循環”という呼び方をしてきました。80

年代は不動産バブル、日本でも土地バブルが起きた。90年代は ITバブル、株バブルです。それから2000年代は住宅バブルが起きるわけです。アメ

リカの金融バブルで景気がよくなって、バブルが崩壊して景気が悪くなると

いう、この循環の繰り返しが世界経済を主導するようになります」と書いて

いる。現在、中国のバブルが崩壊寸前である。崩壊後、世界経済はどうなる

のか、次なるバブル循環先、つまりバブル転がし先はどこなのか、それらに

ついて金子氏は本書ではまったく触れていない。

第5回:「“中国環境脅威論?”-隣人と向き合う」 吉岡桂子

吉岡氏は、「(米国のアジア研究者のエリザベス・エコノミーさんによれ

ば)独裁下の専制国家では、環境問題はうまく解決しないそうです。ただ、

中国のようにここまで経済が成長を遂げ国家がお金を手にした専制国家がか

つてあったかというと、なかった。一方、自らの命や健康という最大の“財

産”を侵される公害に対して、人々が声を上げたり、連帯することで、政治体

制が少しずつ変わっていく、“民主”の幅が広がっていく可能性もあると思い

ます。今まで見てきた物差しが中国に当てはまるのかどうかということも含

めて、今後、政治体制と環境の問題は、中国の政治の行方と相まって、さら

に注目を集めていくのではないかと考えています」と書いている。結局、吉

岡氏は、今後の中国について明快な予測を避けている。

第6回:「メディア激変は民主主義の味方か敵か」

一色清氏はメディアという言葉を、「今は、メディアと言ったときは、

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ニュースを伝える媒介、具体的には、新聞やテレビ、ラジオ、雑誌、本、そ

れからネットといったものを示すと考えてください」と定義し、「ネットは

1990年代半ばから出てきた新しいメディアであり、それ以外のメディア

はオールドメディアと呼びたい」と書き、「今のネット社会の進展は、おそ

らく第3次の産業革命であり、動力革命の第1次、電気の普及による第2次

より、もっと大きな社会の変化を生む変革になる可能性もある」と主張して

いる。

さらに一色氏は、グーテンベルクの活版印刷の登場が、聖書を一般民衆の

目に触れさせることを可能にし、その結果宗教革命を誘発したように、ネッ

トによる情報量の飛躍的拡大が社会を大きく変化させると予測している。な

お、一色氏は、ネットの持つ優位性に関して、「双方向性、即時性、随時性、

無限性、保存性、検索性、表現性、携帯性、無料性」の9つを上げている。

確かにこの分析は正しい。しかしこれを逆に考えると、ネットの劣位性が

はっきりと分かってくる。私はネットの優位性を多いに利用しながら、同時

にその劣位性を超克していき、新たな思想や媒体を作っていきたいと考えて

いる。

一色氏は、「自前で取材した記事をサイトに掲載するだけのニュース専用

サイトでは、それに見合うコストを調達できないということです。ジャーナ

リストを養う基盤がどんどん弱くなっていった場合、何が問題になるので

しょうか。まず、第1次情報を誰が取材するのかということです」、「職業

ジャーナリストの衰退が起こってくると思います」、「公共性と信頼性のあ

る情報が喪失する可能性です」、「ジャーナリズムの仕事にかかるコストを

どのように調達するか」、「やはり将来的にはお布施ではないですか」など

と書き、ジャーナリストの今後を憂いている。私は一色氏ほど悲観的ではな

い。第1次情報はネットユーザーが無料で発信してくれる。オールドメディ

アはその場所を提供すればよい。それらの第1次情報の真偽について、「公

共性と信頼性」などと悩む必要はない。現在でも、オールドメディアの発信

する情報は、かなり誤報が多く、「公共性と信頼性」を保持しているとは言

い難いからである。オールドメディアは第1次情報の検証にその任務を特化

すればよい。ただしそのような力量のあるジャーナリストが存在するかどう

かの方が問題であろうと、私は考える。薄給で食えないということを前提に、

その職業に挑むような、情熱を持った若者はおそらく今の日本にいないだろ

う。したがってそれは、一色氏を含む、リタイアして生活の心配のない老人

たちに課せられた任務となると、私は考える。

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2.「転変する東アジアのなかの日本」  荒井利明著  日中出版  2014年7月31日

副題 : 「私たちはいかなる道を選ぶのか」

帯の言葉 : 「中国とインドが台頭する東アジア・周辺地域で日本はどのような存在であれば

よいのか」

荒井氏は「はじめに」で、「“ジャパン・アズ・ナンバーワン”と言われた

時代から30余年、今では“チャイナ・アズ・ナンバーワン”と言われるよう

に、中国が台頭して日本をしのぐ経済大国となっている」と書き、「私たち

はどのような道を歩むべきか」と問いを発し、「敗戦以来の対米従属体制か

ら抜け出し、新しい東アジアの中でより自立的に歩むこと、それが日本及び

日本人に求められている。そして東アジア共同体の構築にむけて、中国およ

びインドとともに競争的協調をすべきだと考えている」、「私たちは方向転

換すべきである。私は方向転換が早急に行われることを強く願っている」と

結んでいる。私はこれについてコメントするには能力不足であり、ここでは

論じない。しかし荒井氏の論述は、「中国は経済大国である」という認識か

ら出発しており、この点で根本から間違っている。

荒井氏はかつて日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」として評価され

ていた理由を、エズラ・ヴォーゲルの言葉を借りて、「日本は GNP の点で

は世界一ではないし、現在、政治の面でも文化の面でも、世界の指導的立場

に立つ国とはなりえてはいないことは確かだが、しかしながら、日本の成功

をいろいろな分野において子細に観察してみると、この国はその少ない資源

にもかかわらず、世界のどの国よりも脱工業化社会の直面する基本的問題の

多くを、最も巧みに処理してきたという確信をもつにいたった。私が日本に

対して世界一という言葉を使うのは、実にこの意味においてなのである」と

書いている。そして「日本がめざすべきは高齢化のモデル国であり、高齢者、

そして乳幼児や障害者ら弱き者に“やさしい日本”である。それこそが今世紀

における一級国家としてのありようだろう。経済力はともあれ、軍事力で一

流を誇ることなど、時代錯誤である。高齢化のモデル国になったとき、世界

の人々は“ジャパン・アズ・ナンバーワン”として賞賛の声をあげるだろう」

と書いている。私は、日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれる

ようになった理由について、荒井氏の説を否定はしないが、これだけでは説

明不足であり、もっと大きな他の理由があると考えている。高齢化社会対応

に成功することが日本を、再び国際社会の主役にするという主張には、大賛

成である。しかし荒井氏はそのための手段について、本書ではなにも語って

いない。おそらくアイディアが欠如しているのだろう。

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荒井氏は中国が「チャイナ・アズ・ナンバーワン」と呼ばれるようになっ

た根拠を、関志雄氏の同名の著書を引用して論じているが、肝心の関氏自身

が「中国経済の実力」を見誤っている。私がなんども指摘しているように、

中国経済は外資の進出という土台の上に立った「砂上の楼閣」であり、その

外資が撤退すればその「楼閣」は即座に崩壊する。中国は、形を変えた植民

地経済の状態にあると言っても過言ではない。中国の GDPや外貨準備の半

分は、外資に属するものであって、本来、中国にカウントされるべきもので

はないのである。その意味で中国は特異な国なのである。

3.「追憶のカンボジア」  チュット・カイ著 岡田知子訳  東京外国語大学出版会  2014

年6月30日

この本の帯には、「記憶の再建と希望の物語…1980年代に難民として

フランスへわたったカンボジア作家が、植民地時代からクメール・ルージュ

の時代の故郷を舞台に、メコン河流域の豊かな自然のなかで紡がれた幼少時

代の情景をユーモアとアイロニーと愛惜を込めて描く」と書いてある。本書

はこの帯の言葉通りの物語である。ことにカイ氏のコンポンチャム州での体

験が中心となって書かれているため、当時のカンボジアの田舎の様子がよく

わかり、貴重な資料にもなっている。偶然に私は、このコンポンチャム州の

SEZ をなんども訪ねており、この本に出てくる地名や景色にもなじみがあり、

本書をより深く理解することができた。本書は物語ではあるが、随所に、教

訓的な文章が書き込まれている。以下に、それを列挙しておく。

・これがカンボジア人の性格だ。根に持つし融通が利かない。そっちは新し

い仏法、こっちは古い仏法、だからお前と俺は敵同士。こっちはサンクム、

お前は民主、だから俺とお前は生死を争う敵同士。お前がクメール・ルー

ジュじゃないのなら、俺の方が権力があるってことになるわけで、お前を殺

してもいいわけだ。カンボジア人、カンボジア社会っていうのは、こんなふ

うだから国はどんどん小さくなり、人もどんどん減っていくのだ。

・ああ、なんて不幸なカンボジア人たち。昔から今にいたるまで、団結した

ことが一度もない。俗人は俗人同士、出家者は出家者同士、犬は犬同士、対

立する。

・南西部管区の連中が東部管区の「同士たち」を粛清したのは、1977年

4月から、ベトナム人が入ってきた1978年12月までだ。東部管区の兵

士の一部はジャングルやベトナムに逃げ込んだ。南西部管区のやつらに騙さ

れて車ごとやられたのもいる。これこそ「血は叫び、皮は呼ぶ」だ。なんて

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ことだ! カンボジア人がカンボジア人を殺すなんて!

・南西部管区の軍が崩壊したとき、東部管区の人々は南西部管区のやつらを

大勢殺した。ああ、カンボジア人がカンボジア人を殺す! 暗黒の時代が不

運なカンボジアの国を覆う。復讐は愚かなことだ。このまま続いていけば、

早々と民族は消滅してしまうだろう。

・1979年の半ばごろになって、泥棒が出るようになった。牛、水牛から

衣服、ナイフ、鉈、肉切り包丁、貴金属、籾米、米、魚の塩辛、燻し魚、レ

モングラスにいたるまでなくなった。

・妻も体調を崩し、母と子が向かい合って寝込むことになった。夜、妻はう

なされ続けた。悪霊が憑いたのだ。他の人ではなくて、私たちの家族にだけ

憑くなんて。やっと鉄筋の家に落ち着けたと思ったら、悪霊のせいで病気に

なるなんて。あとになってわかったことだが、その家は幽霊屋敷だったの

だ!

・(訳者解説から)

この作品では、カンボジアの代表手会なお化け、精霊、幽霊たちが登場す

る。村、森、山などを守っているさまざまなネアク・ター(神さま)、アレ

アク(守護神)、アクロック、プラエト(餓鬼)、コントン・キアウ(死

霊)などである。カンボジアのお化けや幽霊の典型的な姿かたちは、目が異

常に大きく、髪は地につくほど長く、体が巨大化する、というものである。

お化けに対する対処の仕方もさまざまである。人は19個の魂を持っており、

体調がすぐれないのは魂の一つが欠けてしまったからであり、魂を呼び戻す

儀式を執り行わなければならない、とか、悪霊が憑いた場合には、呪術師に

お祓いをしてもらわなければならない、供え物にはバナナと酒が欠かせない、

など。魑魅魍魎から身を守る護呪経や、霊を追いやるため、供え物を載せて

川に流す精霊棚も出てくる。

4.「消去」リティ・パニュ、クリストフ・バタイユ著 中村富美子訳 現代企画室 2014年7月5日

副題 : 「虐殺を逃れた映画作家が語るクメール・ルージュの記憶と真実」

帯の言葉 : 「リティ・パニュ監督“消えた画”原作

ポル・ポト体制のカンボジアを奇跡的に生き延び、クメール・ルージュの体験を映像化する仕事で世界的な

名声を得た映画作家が、初めて自らの小年時代の記憶を語る。1万数千人を殺害した政治犯元収容所元所長

の言葉に触発されて甦る、家族や生活5のすべてを失った苦難の記憶。人間の消去に立ち向かい、歴史はい

かにして“真実”を紡ぐのか 」

この本は、リティ・パニュの個人史と、パニュと S 21で多くの人を拷問

し処刑場に送ったドッチとの対話が交互に配置され、二つの物語が同時進行

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

するという体裁を取っている。したがってわかりづらく、あの暗黒の時代の

記憶と真実を、多くの人に知らしめるには、いささか無理があるような気が

する。パニュの体験が貴重なだけに、もったいないような思いがする。パ

ニュも当初、この著作の映画化は考えていなかったという。それはこの本の

短所を、パニュがよく理解していたからではないだろうか。結果として、パ

ニュは映画化するに当たって、個人史の登場人物をすべて土人形にし、ドッ

チとの対話を過去の映像を利用してバックに流すことによって、同時進行を

分かりやすくするという手法に行き着いたのだろう。

本文中でパニュは、「クメール・ルージュの体制が悪の権化であり、それ

を補ういかなる長所もないというドグマ、また、国を占領した一握りの悪魔

的な人間が人民を虐殺し飢えさせたというドグマが、西洋では語られるに

至った。どのように“中央の9人”がこの計画を実現できたのか。あるいはな

ぜ、彼らは“自民族大虐殺”という不可解な道を選択したのか。そうした問題

が滅多に掘り下げられることがない」と書いている。確かに、国際社会では

現在に至るも、ポル・ポト問題の解明はできていない。「誰の中にも残虐性

はある」とか、「なぜ彼らのようなインテリがあのような行動を?」とかい

う文言が語られるだけで、そこからまったく進展していない。

またパニュは、「私はよくフランス革命と恐怖政治について考える。恐怖

政治は、革命と切り離された出来事だろうか。それとも革命の暴走だろうか。

あるいは避けがたい一つの結果だろうか。私は歴史を作る仕事場について考

える。予見不可能なことについて考える。あり得ない比較を考える。ルイ1

6世の裁判で、ただの市民でも子どもでもなかったサン・ジュストが使った

言葉について考える。“ルイは殺されるべきだ。裁かれるのではなく”。まず

殺す、ということ」と書き、本書でスターリンや毛沢東にも言及している。

映画「消えた画」の映像の中で、私の脳裏にくっきりと焼き付いている場

面ある。それは、息子に食べさせようとマンゴーを木から掴みとった母親を、

その息子がクメール・ルージュに密告するシーンである。その結果、母親は

処刑され、息子はわずかばかりの食糧にありつく。この場面は、本書にも詳

しく書き込まれている。私はこの部分を読みながら、中国の文化大革命のと

きの知人の体験を思い出した。中国の私の知人は、文化大革命時、小学生で

あった。小学校の校庭で父親の批判集会が開かれたとき、知人は率先して父

親を糾弾したという。その後、父親は自殺し、母親は精神を煩ってしまった。

知人は現在、そのときの自分の行為に苛まされ続けている。その意味で、ポ

ル・ポト時代と文化大革命は、通底しているのである。実際に、映画「消え

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

た画」には、ポル・ポトと文革の中心人物である張春橋が握手をするシーン

が背景に出てくる。

訳者はあとがきで、「消去」という題名について、「タイトルの“消去”に

は様々な含意がある。なによりも他者を排除し、生命を奪い、その死の痕跡

さえ消し去る意味で、ジェノサイドの定義そのものにつながるだろう。人間

という存在を、指先ひとつで簡単に“削除”するイメージも浮かぶ。クメー

ル・ルージュ体制によって名を消され、個を消され、集団に溶解させられ、

つまりは考える主体としての人間性を消された、その“非人間化”を示してい

る。“生きるということより、生きている状態であり続けることで生き延び

た”著者の悲痛な声が“消去”という乾いた語の裏には響いている」と書いてい

る。

5.「ぶらりあるき ビルマ見たまま」 ウイリアム春美著  芙蓉書房出版  2014年7月30

帯の言葉 : 「“ビルマの竪琴”の舞台を見てみたい、金の岩を間近で拝みたい、10年前と現在を

対比させてビルマ(ミャンマー)を歩く」

著者のウイリアム春美氏は、イギリス人と結婚し、米国に長く滞在した日

本人女性である。だから私は、この本から、生粋の日本人とは違う角度から

のミャンマー観を学べるのではないかと、期待した。しかしウイリアム氏は、

この本に一般の観光ガイド本以上のことは、何も書き込んでいなかった。ウ

イリアム氏は、なぜこのような中途半端な本を世に出したのだろうか。私に

は、この本がたくさん売れ、ウイリアム氏に印税が入るとはとても思えない。

さりとて、この本の内容には、自費出版で売り出すほどの価値はない。

以上

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

カザフスタンで考える民族問題

慶應義塾大学教授、京都大学名誉教授大西広

中国新疆ウイグル自治区とカザフスタン

この夏、中国新疆ウイグル自治区とカザフスタンに民族調査に行ってきた。

新疆ウイグル自治区では、2009 年の暴動以降に改善された面と悪化した面

があり、その後者が特に南新疆地区で集中的に表れている様を見たが、そう

した状況とカザフスタンの状況とが国境ひとつを隔てて極めて対照的であっ

た。

そのひとつは、両者の「宗教色」の違いである。新疆ウイグル自治区では

スカーフやあごひげなど「民族的」ないし「イスラム的」な風俗が明らかに

強まっている一方で、カザフスタンでは一週間に亘りアルマトイ、カラガン

ダ、アスタナの三都市を訪問したが、そこでモスクを見たのはアスタナの 4か所にすぎなかった。私のある友人(ウイグル族)は最近のウイグル族の「イ

スラム化」を「アラブ化」だといって批判的に論じていたが、少なくとも以

前からモスクの重要性ははっきりしていた。新疆ウイグル自治区では田舎の

小集落ではどこに行っても必ずモスクがある。それに対し、カザフでは特別

な人々しかモスクに通っていないということになる1。 

しかし、もっと驚いたのは、使われている言語である。Wikipedia でも

「憲法ではカザフ語が国家語、カザフ語とロシア語が公用語と定められてい

る。現在、カザフスタンにおいてカザフ語を話すことができるのは全人口の

64.4%である。一方、ロシア語は 95%の住民が使用しており、とりわけ都

市部においては、ロシア語を母語とし、カザフ語を全く話せないカザフ人も

多い。」と書かれているが、このことをアスタナ中心部に位置するカザフス

タン社会科学院の受講者リストでも確認することができた。この学院では科

目ごとの受講者リストを「主要言語」とともに示しているが、掲示してあっ

た 10 科目 179 人の受講者のうちの 148 人までがロシア語を「主要言語」と

していたからである。この 179 人の名前はすべてカザフ人の名前であった

1 中央アジアに拡がるトルコ系諸民族の分布域は、パミール高原を境に東方の「東トルキスタン」(現在の新疆ウイグル自治区)と西方の「西トルキスタン」に分かれるが、ウイグル族の住む東トルキスタンは西トルキスタンよりイスラム化が大幅に遅れている。その典型が交河故城を形成した当時のウイグル族であり、敬虔な仏教徒であった。しかし、今は「東トルキスタン」の方がイスラム色が強く、「西トルキスタン」ではイスラム色が弱い。興味深い逆転である。

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

から2、これはカザフ語を主要言語とするカザフ人学生がいかに少ないかを

示している。現地の方と交流した際にも、あるカザフ人はこうした現象を

憂っておられた。 

Wikipedia によると、この問題への対処のためにロシア映画のカザフ語へ

の吹き替えを義務付ける法案が審議中とのことであるが、このような国家規

制も市場経済化の荒波は無視して進行することになろう。アルマトイの市内

で配られていた広告チラシはすべてロシア語で書かれていた。アルマトイは

カザフの中でもロシア人の比率がかなり低いにも関わらず、である。

こうした状況のもと、民族間の矛盾をほとんど感じることはなかった。特

にその点で印象的であったのは、カザフ人とロシア人が友達風に話しあいな

がら一緒に街中を歩いている姿である。中国新疆ウイグル自治区ではそのよ

うな姿を見ることはほぼ皆無である。仕事上、民族を超えた会話があるのは

当然であるが、たとえば、新疆大学のキャンパスなどでは必ず民族ごとに分

かれて歩いている。この点がまったく違うのである。

が、私が思うに、こうした「民族融和」は上述の宗教/言語状況の反映では

なく、逆に「民族融和」状況の反映である。多くの場合、世間では逆に理解

されているが、たとえば、現在の新疆ウイグル自治区の「イスラム化」は漢

族への反発から生じていると見た方がよい。「我々は彼らとは違う」「別の

民族だ」と思いたくなる状況の産物なのであって逆ではないと思うのである。

カザフスタンとウクライナ

 ところで、カザフスタンの主要な民族はカザフ人とロシア人で、それぞれ

63%と 24%を占めている。ので、この数字からすぐ思い出してしまうのは

ウクライナにおける民族比率である。ほとんど同じであるからである。また、

よく似ているなと感じた点は、こうした民族分布が地域的に偏りがあり、ロ

シア国境に近くなるほどロシア人の比率が増えることである。私はほぼ南端

にある最大都市アルマトイから陸路をカラガンダ、アスタナへと北上したが、

カラガンダ市ではロシア人が人口の過半を占め、市内ではほとんどカザフ語

を聞くことがなかった。また、そのさらに北に位置するアスタナはナザルバ

エフ大統領がロシア人による「分離」を恐れてカザフ人の移住を促進する目

的で首都としたといわれている。ので、やはりここも遷都前はもっと「ロシ

ア人都市」の様相を呈していたものである(ロシア人+ウクライナ人の人口比

2 ここにロシア人がゼロというのも問題である可能性がある。人口の 1/5 はロシア人であるからである。ただし、詳細は不明である。

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は当時 2/3 を占めた)。ちなみに、カザフスタン全土でも 1991 年の独立前

はそもそもロシア人の方が多かったようである。それが独立後に大量にロシ

ア領内に移住したということである。現在の「カザフ」が「カザフ」として

あり得ているのには、こうした民族比率の「改善」も寄与していると言えそ

うである。

 しかし、それでも、ウクライナに比べて「ロシア人への配慮」もありそう

である。ウクライナでは親欧派政権が旧ソ連圏諸国家の国家連合である独立

国家共同体CIS からの脱退を決め、さらに NATOへの加盟へと進もうとして

いる。ので、このような状況がもしカザフにおいて生じたとしたらどのよう

になるかを想像してみたい。そのような場合、NATO はそもそも「対露軍事

同盟」なのであるから、人口の 24%を占めるロシア人の心は穏やかでなく

なるだろう。少数の隣国はアメリカのアフガニスタン侵攻の際、アメリカに

軍事基地を提供するようなことをしたが、カザフスタンはしていない。そう

した「ロシアへの配慮」も重要であると感じた。ともかく、人口の 24%まではロシア人であり、彼らがある特定地域に集住しているのだから、やはり

「配慮」は必要になる。

 ただし、それでも、ひとつ気になることがある。それは、上に引用した

Wikipedia が述べているように、広まりすぎているロシア語を行政的に制限

しようとの動きがあるからである。上述のようなことで、たとえばもしロシ

アの映画をカザフ語でしか見られなくなった場合、当地のロシア人が反発す

ることは間違いない。この意味で、言語の問題、煎じ詰めればカザフ語の弱

体化への対処を誤るとウクライナと同様の民族対立が起こる可能性もある。

この点ではやはり要注意である。

過去の強制移住 

 以上、現在のカザフスタンの民族状況を論ずるのは、同じくチュルク系住

民である新疆ウイグル自治区のウイグル族や同じく旧ソ連から独立したウク

ライナでの「民族問題」を考えるうえで有意義なことがわかる。が、ここカ

ザフスタンには、それ以外にも過去の「民族問題」を振返る数多くの歴史的

事件が詰まっている。そのひとつは、ここに戦後、多くの元日本兵が強制連

行されていたという事実である。「シベリア抑留」と言われているものの一

部は実は中央アジアに対するものであり、総数約 50 万人のうちの約 1割は

カザフスタンに送られていた。そして、実際、たとえばアルマトイに送られ

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ていた日本人は当地の水力発電所や化学アカデミーの建物などの建設に当

たっている。彼らの墓地は現在もアルマトイに残っている。また、彼らは

「強制収容所」で働かされていたというから、カラガンダ郊外に今も残る強

制収容所跡(収容所博物館となっている)にも一部の日本人が入れられていた

かも知れない。この収容所は時間を作って今回訪問することができた。

 それにしても、こうして無理やり労働力がここに集められるのには、過酷

な自然環境にありつつも、地下資源が豊富で、それが旧ソ連の国家建設には

どうしても必要だったという事情があろう。上述のカラガンダ郊外の強制収

容所は主に石炭採掘の動員のためのもののようであった。そして、石炭採掘

のための町ができると、そこへの生活物資や生産資材の輸送のための施設が

また必要となり、人が住むと行政機関や学校なども必要となり、このカラガ

ンダ市は現在カザフスタン第 4 の都市となっている。カザフスタンは本来遊

牧民の国家であって、ここには誰一人として住んではいなかったのにも関わ

らず、一躍都市ができあがる。となると、そこに新たに住む住民もカザフ人

である必要はないから民族分布に偏りが生ずる。現在もなお、カラガンダ市

民の過半数がロシア人となっているのにはそうした事情が背景にあると見な

ければならない。

 ただし、実のところ、このカラガンダはもともとはドイツ人の町であった。

というのは、ヒトラーのソ連侵攻に先立って、スターリンがボルガ地域に住

んでいたドイツ人をごっそりここに移住させてできた町だからである。旧ソ

連の崩壊後は彼らの多くがドイツに逃れたため、現在のドイツ人は極めて少

ないが、戦争と強制移住が深くかかわっていることを再度確認しておきたい。

 実際、実のところ、旧ソ連が戦時に対峙した国としては我が国日本もあり、

その場合には、沿海州に住んでいた朝鮮人が「日本人」扱いでやはりこの地

に強制移住されられている。同様の例は、アメリカにおける日本人の収容所

にも見られたが、ここ旧ソ連も同じであった。ウズベキスタンに約 20 万人、

ロシアとカザフには 10 万人余りが強制移住させられている。そして、実際、

彼らの生き残りにも数多くこの地で会った。街中で、アルマトイの中央バ

ザールで(朝鮮食材を売っていた)、そして、長距離バスの同乗者として、で

ある。現在もたとえば、カラガンダ市人口の 1.57%は彼らによって占めら

れている。

 こうして、朝鮮人までがひどい目に遭っていたことを知ると日本は彼らに

本当にひどいことをしたものだと思ってしまう。各国が自国の民を収奪して

強蓄積をするのであればまだしも、各国のために他国の国民を強収奪した。

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

そして、その場合、朝鮮人は何と、自分の国を奪った国のために、また他国

で収奪されているのである。さらに加えて、我々日本人は彼らを日本の鉱山

でも強制労働させている。「強制労働」は従軍慰安婦だけではない。旧ソ連

の強制収容所を見て思い至ったのは、まさしく自国日本のやったことであっ

た。

カザフスタンはさまざまな「民族問題」を考えさせてくれる国であった。 

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

【中国経済最新統計】①

実 質

GDP

増加率

(%)

工業付加価値増加率(%)

消費財小売総額増加率(%)

消費者物価指数上昇率(%)

都市固定資産投資増加 率(%)

貿易収

(億㌦)

輸 出

増加率

(%)

輸 入

増加率

(%)

外国直

接投資

件数の

増加率

(%)

外国直接投資金額増加率(%)

貨幣供給量増加 率M2(%)

人民元貸出残高増加率(%)

2005

10.4 12.9 1.8 27.2 1020 28.4 17.6 0.8 ▲0.5 17.6 9.3

2006

11.6 13.7 1.5 24.3 1775 27.2 19.9 ▲5.7 4.5 15.7 15.7

2007

13.0 18.5 16.8 4.8 25.8 2618 25.7 20.8 ▲8.7 18.7 16.7 16.1

2008

9.0 12.9 21.6 5.9 26.1 2955 17.2 18.5 ▲

27.4

23.6 17.8 15.9

2009

9.1 11.0 15.5 -0.7 31.0 1961 ▲15.9 ▲

11.3

▲14.

9

▲16.

9

27.6 31.7

2010

10.3 15.7 18.4 3.3 24.5 1831 31.3 38.7 16.9 17.4 19.7 19.8

2011

9.2 13.9 5.4 1549 20.3 24.9

2012 年 7.7 10.0 2.7 2303 7.9 4.3

1 月 4.5 25.3 273 -0.5 -15.0 4.6 10.8 16.6 14.8

2 月 21.3 3.2 - -315 18.3 40.3 38.7 -0.9 17.8 15.0

3 月 8.1 11.9 15.2 3.6 21.1 53 8.8 5.4 -6.5 -6.1 18.1 15.7

4 月 9.3 14.1 3.4 19.2 184 4.9 0.4 -26.1 -0.7 17,5 15.4

5 月 9.6 13.8 3.0 21.0 187 15.3 12.7 -6.1 0.0 17.9 15.7

6 月 7.6 9.5 13.7 2.2 21.8 317 11.3 6.3 -16.3 -6.9 18.5 16.0

7 月 9.2 13.1 1.8 20.6 251 1.0 5.7 -7.8 -8.6 18.9 16.0

8 月 8.9 13.2 2.0 19.4 267 2.7 -2.7 -12.7 -1.4 18.4 16.1

9 月 7.4 9.2 14.2 1.9 23.1 277 9.8 2.3 -6.4 -6.8 19.8 16.2

10 月 9.6 14.5 1.7 22.4 320 11.5 2.2 1.8 -0.2 14.6 15.9

11 月 10.1 14.9 2.0 20.0 196 2.8 -0.1 -8.7 -5.4 14.5 15.7

12 月 7.9 10.3 15.2 2.5 18.8 316 14.0 6.0 -7.8 -4.5 14.4 15.0

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京大東アジアセンターニュースレター 2014/9/8No.535

2013

7.7 9.7 2.6

1 月 2.0 20.8 291 25.0 29.0 -12.4 -3.4 15.9 15.4

2 月 3.2 153 21.7 -14.9 -35.6 6.3 15.2 15.1

3 月 7.7 8.9 12.6 2.1 21.5 -9 10.0 14.2 -19.7 5.7 15.7 14.9

4 月 9.3 12.8 2.4 19.8 182 14.6 16.6 13.9 0.4 16.1 14.9

5 月 9.2 12.9 2.1 19.7 204 0.9 -0.1 -14.4 0.3 15.8 14.5

6 月 7.5 8.9 13.3 2.7 19.9 271 -3.3 -0.9 -17.3 20.1 14.0 14.1

7 月 9.7 13.2 2.7 20.2 178 5.1 10.8 1.2 24.1 14.5 14.3

8 月 10.4 13.4 2.6 21.4 285 7.1 7.1 -11.7 0.6 14.7 14.1

9 月 7.8 10.2 13.3 3.1 19.6 152 -0.4 7.4 -16.8 4.9 14.2 14.3

10 月 10.3 13.3 3.2 19.2 311 5.6 7.5 -8.2 1.2 14.3 14.1

11 月 10.0 13.7 3.0 17.6 338 12.7 5.4 -9.3 2.3 14.2 14.2

12 月 7.7 9.7 13.6 2.5 17.2 256 4.3 8.6 -3.4 -42.6 13.6 14.1

2014

1 月 2.5 19.8 319 10.5 10.8 -8.6 -4.5 13.2 14.3

2 月 2.0 -230 -18.1 10.4 1.3 4.0 13.3 14.2

3 月 7.4 8.8 12.2 2.4 17.3 77 -6.6 -11.3 6.1 -1.5 12.1 13.9

4 月 8.7 11.9 1.8 16.6 185 0.8 0.7 0.5 3.4 13.2 13.7

5 月 8.8 12.5 2.5 16.9 359 7.0 -1.7 8.4 -6.6 13.4 13.9

6 月 7.5 9.2 12.4 2.3 17.9 316 7.2 5.5 10.3 0.2 14.7 14.0

7 月 9.0 12.2 2.3 15.6 473 14.5 -1.5 14.0 -17.0 13.5 13.4

注:1.①「実質GDP 増加率」は前年同期(四半期)比、その他の増加率はいずれも前年同月比である。

2.中国では、旧正月休みは年によって月が変わるため、1月と 2 月の前年同月比は比較できない場合があるので注

されたい。また、(  )内の数字は 1 月から当該月までの合計の前年同期に対する増加率を示している。

  3. ③「消費財小売総額」は中国における「社会消費財小売総額」、④「消費者物価指数」は「住民消費価格指数」

に対応している。⑤「都市固定資産投資」は全国総投資額の 86%(2007 年)を占めている。⑥―⑧はいずれも

モノの貿易である。⑨と⑩は実施ベースである。

出所:①―⑤は国家統計局統計、⑥⑦⑧は海関統計、⑨⑩は商務部統計、⑪⑫は中国人民銀行統計による。

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