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スマートフォンによる Pedestrian Dead Reckoning
B4 hiropon 親 karasu
概要 ❑ スマートフォンでの利用を想定したPedestrian Dead Reckoningの提案
背景 ❑ Pedestrian Dead Reckoning(PDR) ❑ 利用者の移動経路を取得 ❑ 位置情報の取得にも応用可能
❑ 加速度センサ等を利用
❑ 近年スマートフォンが急速に普及 ❑ スマートフォン内には多くのセンサが搭載
問題意識 ❑ PDRはセンサの装着場所を固定する必要がある ❑ センサの装着場所によりセンサデータは大きく変化する
関連研究 ❑ 人体にセンサーを固定しないPDRの研究 ❑ ズボンのポケットに入れたセンサから移動経路を取得 ❑ 靴や足下にセンサを装着してPDRを行う ❑ 歩行の頻度から歩幅を推測するPDR ❑ 加速度センサのデータからセンサが体の何処に装着されているかを推測
❑ PDRの経路取得精度を高める研究 ❑ GPS等の他の位置情報取得技術と組み合わせる研究 ❑ Hidden Markovモデルを利用する事で精度を向上させる
目的 ❑ センサの装着場所の制約を解決する ❑ スマートフォンでPDRを容易に利用出来るようにする
アプローチ ❑ センサの装着場所から生じるデータの変化に対応するアルゴリズムを作成する ❑ 歩幅の変化 ❑ ユーザデータとステップ毎にかかる時間を使用
❑ 進行方向のズレ ❑ 3軸加速度から端末と向きとユーザの進行方向のズレを補正
想定アプリケーション ❑ ユーザが以前訪れた場所の情報取得アプリケーション ❑ 移動経路とマップデータからユーザの訪れた場所の情報を取得する ❑ Ex.博物館やイベント会場の展示品
アプリケーションの利用シナリオ ❑ A君は休日を利用して地元の博物館に行った
アプリケーションの利用シナリオ ❑ 博物館内は興味深い展示が多く,A君は時間を忘れ展示物の見物を楽しんだ
アプリケーションの利用シナリオ ❑ 帰宅後興味深かった展示物について調べようとしたが,詳細を忘れてしまった
アプリケーションの利用シナリオ ❑ アプリケーションを利用する事で展示物の詳細を容易に調べる事が出来た ❑ 自分の移動経路と博物館内のMAP情報を利用
隆線文土器
予備実験 ❑ 歩行時の歩幅はステップ検出の際に測定出来る時間と相関性を持つと考えられる ❑ ステップの間隔が短ければ短い程ステップの際の歩幅は長くなると仮定 ❑ 予備実験を行いて検証を行う
実験方法 ❑ スマートフォン10台を様々なポケットにしまい30メートル歩く ❑ サンプリングレート:20Hz ❑ 以下の要素を記録 ❑ 一歩毎の歩幅 ❑ 一歩歩くのにかかる時間
予備実験結果 ❑ 歩行時間は歩幅と比例関係 ❑ 装着場所による影響が少ない ❑ 歩行時間を歩幅算出アルゴリズム利用
250
350
450
550
650
750
55 60 65 70 75 80 85 90 95
胸ポケット(左)
右手
ズボンのポケット(左)
線形近似 (胸ポケット(左))
線形近似 (右手)
線形近似 (ズボンのポケット(左))
歩幅(cm)
一歩歩くのにかかった時間
(ms)
考察 ❑ 分布にばらつきがある ❑ サンプリングレートによりステップ検出のタイミングがずれる ❑ レートを上げる事で収束すると考えられる
❑ 今回実験しなかった装着場所の考慮 ❑ 鞄に入れる,首から下げる等
❑ 実験の被験者数
アルゴリズムの流れ
• 加速度センサの値からステップを検出 ステップ検出
• ユーザの身長とステップの所用時間から歩幅を算出 歩幅算出
• 電子コンパス,3軸加速度センサからユーザの向きを推定 移動方向推定
• 算出した歩幅と移動方向から移動経路を取得 移動経路取得
ステップ検出アルゴリズム1/3 ❑ 止まっている時に検出したスカラー値(基準加速度)を超えた場合ステップとして検出
基準加速度
加速度
ステップ検出
❑ 誤検出補正アルゴリズム ❑ ステップ検出後、一定時間はステップ検出を行わない
一定時間検出を行わない 一定時間検出を行わない
基準加速度
加速度
誤検出 ステップ検出
ステップ検出アルゴリズム2/3
基準加速度
加速度
検出ミス ステップ検出
通常のステップ検出 大幅に時間がかかった 2歩分と判定
ステップ検出アルゴリズム3/3 ❑ 検出漏れ補正アルゴリズム1/2 ❑ ステップ検出時の所要時間が1歩毎の平均所要時間を大幅に上回った場合2歩分と判定
歩幅算出アルゴリズム1/2 ❑ ユーザの身長から歩幅の基準値を算出
身長
歩幅の基準値
Step length = Height × 0.26 + 0.31 出典:身長と歩幅の相関に関する一考察:学生の歩測の事例から
琉球大学農学部学術報告
歩幅算出アルゴリズム2/2 ❑ ステップのタイミングから基準歩幅と実際の歩幅のずれを補正 ❑ 補正係数αは予備実験より算出
ステップ検知の際に直前のステップ検出からの所要時間を計測し,その値がステップの平均所要時間を大幅に上回った場合に二歩分と判定する,検出漏れ補正アルゴリズムを実装し,ステップの検出漏れを低減する.3.2 歩幅算出手法歩幅算出アルゴリズムでは,ステップを検出した際にそのステップにおける歩幅の推定を行う.一般的に人が歩行を行う際の歩幅は本人の身長に大きく左右される.琉球大学農学部学術報告 [3]では,歩幅と身長の関係を以下の一次関数で表している.
StepLength = Height × 0.26 + 0.31
本研究ではこの数式を利用し,ユーザの性別,身長から基準となる歩幅を算出する.歩幅には個人差があり,また同じ人が歩く際も歩幅が常に一定であるとは限らない.例えば同じ身長の青年二人が歩く際に,歩き方の癖などにより二人の歩幅が常に一致するとは限らない.また,急いでいる時とあまり急いでいない時,歩行者の身体的状態や精神的状態などによって,歩行者の歩幅や歩くスピードには大きな違いが生まれる.そこで歩幅算出アルゴリズムでは,基準となる歩幅と実際に歩いた際の歩幅のずれを補正する必要がある.予備実験結果や [2]より,人の歩幅はステップの所要時間と相関関係があると考えられる.そこで歩幅算出手法ではステップ検出手法において計測するステップの所要時間を算出し,実際に歩いた際の歩幅とユーザデータから算出した歩幅の基準値とのずれを補正し誤差を低減する.歩幅の算出には以下の算出式を利用する.補正係数αは予備実験を用いて作成する.
歩幅 =基準歩幅+ステップ所要時間×補正係数α
3.3 移動方向推定手法移動方向推定アルゴリズムでは,歩行時にユーザがどの方向に向かって歩いているかを推定する.ユーザの移動方向の推定にはスマートフォン内の電子コンパスと加速度センサを利用する.加速度センサから重力方向の加速度を減算することで歩行時にスマートフォンにかかる 3軸加速度を取得し,スマートフォンが現在どの方向に移動しているかを取得する.さらに,電子コンパスが観測するスマートフォンの正面方向の向きと組み合わせ,ユーザが現在どの方向を向いているかを推定する.また,スマートフォンがマップデータを得られる状況であるならば,進行方向とマップのデータからユーザが現在移動している方向の補正を行う.3.4 移動経路の推定移動経路推定アルゴリズムでは,先に述べた,ステップ検出アルゴリズム,歩幅算出アルゴリズム,移動方向推定アルゴリズムを組み合わせ,ユーザの移動経路を推定する.
4. 実装4.1 実装環境本研究はスマートフォン SAMUSUNG Galaxy S (An-
droid OS 2.2,CPU:S5PC110/1GHz,RAM:512MB)上で実装を行い,開発言語は Java言語及び AndroidSDK 2.2を利用する.4.2 システム構成図システム構成図を図 1に示す.
図 1: システム構成図
5. 評価方針5.1 評価方法本研究の評価方法として,SFCの学生 20人に本シス
テムを利用してもらった上で,本システムの評価を行う.利用者には任意の場所にスマートフォンを身につけてもらった上で特定のルートを歩いてもらう,5.2 定性的評価定性的評価としては利用者に以下の項目のアンケー
トを実施する.本システムの利用に負担と感じる部分があったか.センサの装着場所に制約がある従来の PDRと比べて利用しやすいか.本システムを利用したサービスを実際に利用したいか.5.3 定量的評価定量的評価として,利用者に実験ルートを歩いてもらっ
た際に,被験者が特定のルートを歩いた際の移動ルートをカメラで撮影し,実際に歩いたルートを取得する.その後,以下の項目の評価を行う.本システムで観測したルートとの精度誤差.装着場所による経路推定の精度.MAPデータを得られない場合での経路推定精度.利用者の移動ルートを推測する際,スマートフォンが
何処にしまわれているかを取得する事で,装着場所に対応したアルゴリズムを利用し,より高い経路取得を行う事が出来ると考えられる.そこで,本システムを利用する際にスマートフォンの装着場所をあらかじめ指定する場合と指定しない場合での経路推測の精度比較を行う.また,既存研究との精度比較として [1]における推定
経路の精度と比較を行う.評価実験における PDRを利用した移動経路取得や位
置観測は,対象が被験者の移動経路の取得精度についての検証なので初期位置はあらかじめ取得出来ている物とする.
参考文献[1] Ulrich Steinhoff and Bernt Schiele. Dead Reckoning from
the Pocket - An Experimental Study. Pervasive Computingand Communications, 2010
[2] S.H.Shin, C.G.Park, J.W.Kim, H.S.Hong and J.M.Lee.Adaputive Step Length Estimation Algorithm Using Low-Cost MEMS Inertial Sensors. Sensor Application Sympo-sium, 2007
[3] 翁長 謙良, 吉永 安俊, 趙 廷寧. 身長と歩幅の相関に関する一考察 : 学生の歩測の事例から. 琉球大学農学部学術報告, 1998
[4] A.R.Jimenez, F.Seco, C.Prieto and J.Guevara. A compari-son of Pedestrian Dead-Reckoning algorithms using a low-cost MEMS IMU. Intelligent Signal Processing, 2009
[5] 一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム, インプレスR&D インターネットメディア総合研究所 2010. ケータイ白書2011, 2011
[6] nike + iPod ”http://www.apple.com/jp/ipod/nike/”
移動方向推定アルゴリズム1/2 ❑ 3軸加速度を計測する方向と,電子コンパスの計測方向からユーザの向きを算出
スマートフォンの正面方向
ユーザの進行方向
スマートフォン
移動方向推定アルゴリズム2/2 ❑ MAPデータが得られる場合は進行方向と組み合わせて移動方向の補正を行う
Guess routeTrue route
revision
移動経路推測アルゴリズム ❑ 取得した歩幅と向きから移動経路を取得
実装 ❑ 実装端末 ❑ SAMSUNG Galaxy S ❑ Android OS 2.2 ❑ CPU:S5PC110/1GHz ❑ RAM:512MB
システム構成図
移動経路
経路推定モジュール
歩幅
ステップ頻度 3軸加速度
端末の向き ステップ検出モジュール
歩幅算出モジュール 移動方向推定モジュール 移動方向
3軸加速度
電子コンパス 3軸加速度センサ Smart phone’s sensors
MAP data 3軸加速度
評価方針 ❑ 被験者 ❑ SFCの学生20人
❑ 実験方法 ❑ 任意の場所にスマートフォンを身につけてもらった上で特定のルートを歩いてもらう
定性的評価 ❑ 以下の項目について5段階評価の アンケートを実施する ❑ 本システムの利用に負担を感じたか ❑ センサの装着場所を指定する従来のPDRと比べて利用しやすいか ❑ 本システムを用いたサービスを実際に利用してみたいか
定量的評価 ❑ 経路推定精度 ❑ 実際のルートとの誤差 ❑ 着場所別の経路取得精度 ❑ MAPデータを利用出来ない場合の推定精度 ❑ システムにスマートフォンの装着場所を明示的に与えた場合との精度比較
❑ 既存のPDRシステムとの精度比較
スケジュール ❑ 8月:予備実験,アルゴリズムの作成 ❑ 9月:実装開始 ❑ 10月:評価用アプリケーションの実装 ❑ 11月:ORFへの出展,卒論執筆開始 ❑ 12月:アルゴリズムの改良 ❑ 1月:評価実験
まとめ ❑ スマートフォンでの利用を想定したPDRを提案した