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Fate/Fairy Tail

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Fate/Fairy Tail 錬鉄の英雄

たい焼き

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【注意事項】

 このPDFファイルは「ハーメルン」で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので

す。

 小説の作者、「ハーメルン」の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を

超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。

  【あらすじ】

 「────答えは得た。大丈夫だよ遠坂。俺もこれから・・・頑張っていくから───

─」

 答えを得た英霊は、その答えを示せと言わんばかりの条件を世界に用意され、再び召

喚される。

 英霊は生前得ることが出来なかった物『周りの幸福』と『自分自身の幸福』を得るた

めに今日も生きる。

  

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 追記 2015/08/11

 『ここはこうだと思うから設定変えて』や『これについて納得出来ない』等、設定変更

の強要やご自身の意見との食い違いに対する解説の要求に当たる感想やDM等は、明ら

かにこちらのミスと思われる物を除いて全て返答致しません。

 それをご了承の上で閲覧、感想を書いてください。

 予めタグに『独自解釈』や『キャラ崩壊に準ずる物』等表示してありますので、それ

らを確認の上で閲覧することを推奨します。

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  目   次  

設定

────────────

 設定 

1

本編

─────────

 プロローグ 

9

─────────

 妖精の尻尾 

18

─────────

 錬鉄の英雄 

30

───────────

 鉄の森 

38

──────────

 妖精女王 

53

─────────

 人間対英霊 

63

────────────

 呪歌 

80

─────────

 守護者 前 

95

─────────

 守護者 後 

112

───

 番外編:王道を歩んだ王 

126

────────

 幽鬼の支配者 

153

────────

 束の間の休息 

168

─────────

 鉄を打つ者 

180

────

 支配する者、される者 

192

──

 戦い終わって・・・ (1) 

206

──

 戦い終わって・・・ (2) 

214

─────────

 新たな騒動 

224

─────

 人の祈りを喰らって 

235

────────

 未来へ・・・ 

251

──────

 番外編2:騎士姫 

265

 バトル・オブ・フェアリーテイル 

──────────────────────

290

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───────

 セブンス・ワン 

307

───

 究極の一と無限を担う者 

321

 星に届いた男と手を取った女 

339

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設定

設定

  主人公

 クラス:アーチャー

 真名:エミヤシロウ

 マスター:???(ネタバレ阻止のため)

 属性:中立・中庸(誤差程度だがやや混沌・善より)

 身長:187cm/体重:78kg

 パラメータ

 筋力:D

 耐久:C

 敏捷:C

 魔力:B

 幸運:E

 宝具:?

1 設定

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 クラス別能力

 対魔力:D

シングルアクション

 

による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

 単独行動:EX+(EX+はこの小説オリジナル)

 マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。アースランドから魔

力を摂取しているため、完全に独立しての行動が可能。宝具の使用などの大量の魔力を

使用する場合でも問題無い。

 保持スキル

 千里眼:C

 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。さらに高いランクでは、透視・未

来視さえ可能とする。

 魔術:C─

 基礎的な魔術を一通り修得していることを表す。特に道具の本質を一時的に増幅す

る『強化』物質の構造を把握し、一時的に複製する『投影』を得意とする。

 心眼(真):B

 修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握

し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。数え切れない程の場数を踏んできた彼

2

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ならば、常に最善の手を打ち続け勝利を掴むことも容易い。

 宝具

アンリミテッドブレイドワークス

 固有結界

リアリティ・マーブル

空想具現化

マーブル・ファンタズム

 

の亜種。術者の心象風景で現実世界を塗りつぶし、内部の世

界そのものを変えてしまう結界のこと。

 欠点は術者のただ一つの内面を形にするだけであり、それを術者の意志によって手を

加えて自由にはできない。故に空想具現化のように思うままに世界を変えることは出

来ず、必ずワンパターンになる。

 燃え盛る炎と無数の剣が大地に突き立つ一面の荒野が広がり、空には回転する巨大な

歯車が存在する。

 燃え盛る炎は始めて死を経験した冬木の大火災を、無数の剣が突き立つ一面の荒野は

彼自身の投影魔術と目指した理想の果てを、空の回転する巨大な歯車達は抑止の守護者

として利用され機械的な感情の元に生きた人生を表す。(ココは主の推測)

 結界内には、あらゆる剣を形成する要素が満たされており、目視した刀剣を結界内に

登録し複製、荒野に突き立つ無数の剣の一振りとして貯蔵する。ただし、複製品の能力

は本来のものよりランクが一つ落ちる。一度この心象世界に複製され記録された武器

は、固有結界を起動せずとも投影魔術で作り出すことが可能。

3 設定

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 結界内に記憶されている武具の数は千を越えているとされる。

 『剣』に特化した能力ではあるが、剣であっても神造兵装の類は複製不可とされる。だ

がそれと同じような能力を持った型落ち品ならば生成可能。

 さらにただ複製するだけでなく、自分好みにアレンジを加えたり、形状を変えるなど

いった独自の改造を加えることも可能。

 物品としての刀剣を魔術で作り出しているのに止まらず、長年使用された刀剣には意

思が宿り、その意思と共に刀剣に宿る『使い手の経験・記憶』ごと解析・複製している。

このため、仮に初見の武器の複製であっても、オリジナルの英霊ほどではないがある程

度扱いこなすことが可能。本来の使い手の剣技を必要であれば再現し、『真名解放』や

『壊れた幻想』といった技能もアーチャーの力が及ぶ範囲内なら使いこなせる。だがそ

れを極限まで使いこなす本来の担い手には遠く及ばない。

 非常に癖の強い宝具であることは間違いない。

   クラス:セイバー

 真名:アルトリア・ペンドラゴン(アーサー王)

 マスター:無し↓???

4

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 属性:秩序・善 

 カテゴリ:地

 地域:イギリス

 スリーサイズ:B73/W53/H76

 性別:女性

 イメージカラー:青

 特技:器械運動、密かに賭け事全般に強い

 好きな物:きめ細かい食事、ぬいぐるみ 

 苦手な物:大雑把な食事、装飾過多

 天敵:ギルガメッシュ、マーリン

 パラメータ

 筋力:A

 耐久:B

 敏捷:B

 魔力:A

 幸運:A+

 宝具:A++

5 設定

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 保有スキル

 直感:A

 魔力放出:A

 カリスマ:A

 騎乗:B

 対魔力:A

 宝具

 約束された勝利の剣

 ランク:A++

 他にも色々持ち込んでいるかも?

 詳細:剣士のサーヴァント

 今作ではとある者の手で召喚、もといアヴァロンで寝てた所を叩き起こされて無理や

り召喚された。

 召喚された土地がたまたまニルヴァーナに近かったせいか、中途半端に反転し、オル

タ化していた。

 そこで六魔将軍とたまたま鉢合わせて、ご飯をご馳走になり、代わりに一つだけ手を

貸すという決め事の元行動していた。

6

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           アースランド

 現在の地球を表す名称であり、アーチャーが召喚されている世界の名でもあり、アー

チャーがまだ衛宮士郎だった頃よりも更に遠い未来の世界の名。

 聖杯は既に遠坂凛やロード・エルメロイ二世の手によって破壊されており、受け皿が

無くなったことで中の魔力が行き場を失って世界中に広がり、神代の頃の魔力が溢れ

返っていた世界に逆戻りした。

 文明が一度リセットされたが、伝承や言い伝えと言った文化は失われておらず、キリ

7 設定

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スト教やイスラム教といった昔からの宗教も少数派となったが存在している。

 過去の英雄達もエミヤシロウを除いて昔と変わらず人の憧れの対象となっている。

 

8

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本編

プロローグ

  ───酷い話だ。

 古い鏡を見せられている。だがオレは古ぼけたそれを、美しいと感じていた。

 そこでオレは思い出した。後悔と絶望に押し潰され、心を塗り替えられながらも心の

片隅から消えはしなかったオレを理想を。

 ああ、そうだったな。こういう男が居たんだったな・・・。

        

9 プロローグ

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    いつからだったのだろうか。『正義の味方になる。』という夢物語を追いかけたのは。

 子供の頃、誰もが憧れる夢の一つだ。だがそれを実現することは出来はしない。

 正義の味方とは秩序を示す者であり、全体の救いと個人の救いは決して両立しない物

だから。

 その事実に気付いてしまったのは皮肉にも、最後まで理想を追い求め続けたオレ自身

だった。

 摩耗した記憶の果て。己の死後を売り渡して世界の駒に、正義の味方からただの殺し

屋に成り下がったオレが得てしまった望まぬ答え。

 自己矛盾に食いつぶされたオレは、やがて自己の救いを一つの可能性に賭けるように

なる。

 『自分殺し』

 それを遂行しろと言わんばかりに運命がオレの味方をした。第五次聖杯戦争。そこ

こそがオレの望みを叶えられる唯一の機会。

 復讐に囚われたオレはかつての相棒に剣を向け、己のマスターであり遠い昔に片想い

10

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し憧れていた女性を裏切りながらも願望を叶えようとした。

 そして迎えた運命の分かれ道。願望を唯一叶えられる機会でオレは、かつての自分と

剣を交えた。

 無限の剣が墓標のように佇む荒野に空に浮かんだ歯車が機械的に回り続ける世界。

オレに残った心象風景であり、オレが辿り着いた理想の果て。

 ここで過去と未来のオレの剣戟が繰り広げられている。

 勝てるどころか勝負にすらならないと思っていた。何も知らない雛鳥が、成長しきっ

た成鳥に敵うかどうか問われれば考えるまでもないだろう。

 オレは終始圧倒していた。負けずに食らいつく雛を常に後手に回し、致命傷を与え続

けた。

 だが腹を貫かれようが、血を大量に流そうが奴の心は折れなかった。

 幾ら彼女の鞘による加護があったとしても、精神は別だ。

 心を折り続ければいずれ、抱いた理想の過ちに気付くだろうと思っていた。

 だが奴は倒れはしない。これが最後を何度も見せつけられた。

 オレが抱き始めた苛立ちは怒りに変わり、思考を単調にする。

 決着を急いだオレに対し、奴の剣が遂にオレを捉えた。

 一刻と近づく決着。そこでオレは気付かされた。

11 プロローグ

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 ───オレの理想は正しかった。偽りだったのは理想を貫き通せなかったオレの心

その物。

 始めは養父が見せた顔が、衛宮切嗣が抱いた理想が綺麗だったから憧れただけだった

し、それが紛い物だったと最初から気付いていた。

 だがそれでもエミヤシロウという男は理想を追いかけ続けた。

 その理想が偽物でも、誰かのために成りたいという願いは間違いではなかったのだ。

理想を追い求めるその過程は、歩んだ道は紛れもない本物だったのだ。

 オレは負けた。幾ら力が勝ろうが魔術に分があろうが、心で負けていれば勝てるわけ

がない。

 オレに残ったのはもう何もない。魔力も願望も全て霧散してしまった。

 「ならば現界できる残り全ての時間。サポートにまわるとしよう。」

      

12

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     聖杯戦争は終わった。聖杯が破壊されたことでそこからのバックアップは消滅。

サーヴァントである私は消えるしか道がなくなった。

 死に体となった私が最後に立っているのは柳洞寺裏にある草原。奇しくもそこは、生

前の聖杯戦争を共にした相棒との別れとなった場所。

 「皮肉だな。」

 最強の聖剣の輝きと夜明けに差し込む光によって出来た黄金の丘でオレは自嘲する。

 ───シロウ、貴方を、愛している。

 外道に堕ちた今でも鮮明に思い返すことが出来るほどに焼きついた記憶。今となっ

ては本当に懐かしい。

 「アーチャー!!」

 後ろからこれまた懐かしい声が聞こえる。振り返らなくとも声の主は分かる。彼女

もまた、オレにとって大切な人だったのだから。

 遠坂凛は今にも泣き崩れそうな顔であった。そんな顔は彼女には似合わない。

13 プロローグ

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 「参ったな・・・。この世に未練なんてなかったんだが・・・」

 この先、彼女が二度とこんな顔をすることがないように一つ、課題を与えることにす

る。

 「凛、私を頼む。知っての通り頼りないヤツだからな。 ───君が、支えてやってく

れ。」

 「うん、わかってる。わたし、頑張るから。アンタみたいに捻くれたヤツにならないよ

う頑張るから。」

 彼女の顔は私には勿体無い程の眩しい笑顔に変わる。やはり遠坂凛はこうでなくて

は遠坂凛ではない。

 「────答えは得た。」

 安心した。これでもう、衛宮士郎としての未練はない。私はオレとして未来を歩め

る。

 「大丈夫だよ遠坂。俺もこれから・・・頑張っていくから────」

 聖杯では決して叶えられない報酬を貰った。心に刻まれたあの顔は摩耗して消える

ことはない。いや、消し去ってはならない。

 こうして私、いやオレの、エミヤシロウの物語は終幕を迎えた。

 

14

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          オレの意識が覚醒する。辺りを見渡しても自分の体以外は真っ暗の闇に染められて

いる。

 「ここは・・・聖杯の中か?」

 不思議と理解出来た。聖杯戦争に参加したサーヴァントが座に戻る時に聖杯を通し

て座に戻るということは聞いていた。

 喪失感の無さに違和感を抱いているということも無い。通常ならば座に戻るまでの

意識は奪われるはずなのにそれも無い。はっきり言えば異例だった。

 この感覚は召喚される直前に似ていた。

15 プロローグ

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 「だが何だこの違和感は。私の記録では呼び出されるのは第五次聖杯戦争と並行世界

の月での聖杯戦争モドキだけのはずだが。」

 それら二つでの感覚は覚えている。だが今回のこれはどちらにも当てはまらない。

 「エラーか?全く。粗悪品にも程があ・・・ッ!?」

 前触れもなくそれは起こる。人の脳では焼き切れそうな程の膨大な記憶・記録といっ

た類の物がオレの中に流れ込んで来ているのだ。

 「ア、グッ・・・これは・・・聖杯の記録か・・・?」

 オレの中で再生されるのは過去の聖杯戦争の記録や英霊として祀られている先人達

の体験や宝具、抱いた感情の全て。その中には養父である衛宮切嗣が参加した第四時聖

杯戦争の物も含まれている。

 「初めて見たが・・・グゥ・・・中々に惨たらしい物だな。」

 それは聖杯を手に入れるためにどんな手段も使う魔術師達の残酷な血の流し合い。

自分が参加した聖杯戦争がどれだけ異常だったのかということが良く分かる。

 そこに先程感じた違和感が再び襲い掛かる。これは紛れも無く召喚の前兆だ。

 「ハァ・・・まさか、座の私の記録の代わりに聖杯の中の記録が流し込まれたというの

か?」

 霊体としての体が再構築され、魔力も与えられる。

16

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 「答えを得た直後にこれか。いいだろう。少々遅いが、これから頑張っていくとしよ

う。」

 黒一色の世界が光で溢れ、オレの体が聖杯の中から転送される。

 現界が終わり、オレのマスターであろう人がオレを迎える。

 「サーヴァント、アーチャー。召喚に従い参上した。ふむ、今の気分は重畳と言ったと

ころか。君も私も運がいい。」

 少々歪な世界だが、オレが過ごすにはこれ以上はないだろうな。

17 プロローグ

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妖精の尻尾

  この世界に召喚されてからかなりの時が流れた。

 自身で調べたことと聖杯からの知識によってこの世界の実情が大体だが把握出来た。

 まずはこの魔法に満ちた世界は別次元でも並行世界でも無く、オレが生きていた世界

の延長線、要するにオレが生きていた西暦の時代の未来というわけだ。

 それに加えてこの時代には既に聖杯は存在していなかった。正しくは破壊されたよ

うである。

 まあ犯人は大体予測出来ている。汚染された聖杯の危険性を理解している者は聖杯

戦争に参加した者の生き残りしかいない。遠坂や第四次聖杯戦争にライダーを召喚し

たロード・エルメロイ二世辺りであろう。

 それと同時に起きた紛争・反乱・戦争等の戦乱によって、人類の文明は一度著しく衰

退したようだ。

 それによって人間の叡智であり唯一の功績とも言うべき科学技術は軒並み廃れて行

き、やがて消滅することになった。

 通常ならば人類の守護精霊であり、最高位の人を守る力でもあり、滅びの要因を排除

18

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抑止の守護者

カウンター・ガーディアン

する殲滅兵器『

』であるオレが召喚され、戦争の原因となった者達全てを

抹殺するはずなのだが、オレは、いや世界は動かなかった。

 これだけは幾ら調べようと分からなかった。元々人の手が及ばない故にその実を知

る術がないからだろうが、文献自体が存在しなかった。だが掃除屋としての仕事をしな

くて済んだ点で言えば幸運と言える。

 これによって人間、ここでは旧人類と表すが、それらはほぼ死に絶えた。

 戦乱が起きた辺りである21世紀の五分の一が過ぎた辺りからの歴史は全て抹消さ

れており、探しても見つからなかった。

 だが受け継がれた物もあった。それは伝承。過去の英雄達の伝記や記録は残されて

いた。

 おそらく希望に縋りたい難民や戦争を引き起こし後悔した愚か者達が、信仰の対象と

して崇めた結果、現代の文明が廃れても本として言葉として人の記憶の中に残り続けた

のだろう。

 今オレが二度目の生を謳歌している時代は、歴史が止まった時代からおよそ700年

後。

 オレが生きていた当時は秘匿とされていた魔術は、聖杯が破壊され中身の膨大な魔力

が溢れ出たことにより秘匿が不可能となった。苦肉の策であろうが魔術協会の手に

19 妖精の尻尾

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よって残された人々の中の素質がある者に魔術その物を、知識は全ての者に受け継が

れ、人々の努力によって昇華。魔法となって科学の代わりに人々の生活になくてはなら

ない物となった。

 魔法が存在することすら驚きだが、魔法が普通に売り買いされているのは、オレが生

きていた頃から見れば有り得ないことだ。

 だがそれが存在している以上、人の可能性と努力の結果には賞賛せざるを得ないだろ

う。

 さて、歴史の語り部はここまでにして、オレ自身の話をしようか。

 今のオレはギルドと呼ばれる一種の組合に所属している。オレが所属しているのは

その中でも魔法を扱う者達である『魔導師』が集う魔導師ギルド。

妖精の尻尾

フェアリーテイル

 その中でもより強大な力と数々の問題児を抱えたギルド『

』に所属してい

る。

 その昔、妖精の尻尾が創立された当初に生まれた疑問『妖精に尻尾はあるのか無いの

か?』答えの無い問いは永遠の謎故に永遠の冒険を生むために付けられた名だ。オレも

この名は気に入っている。

 オレと契約したマスターとはとある事情によって離れ、現状は単独で行動している。

 マスターと離れることで繋がりが薄れ、魔力不足による霊体の維持が困難になると思

20

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われていた。

 だがサーヴァントであるオレにとっての死活問題である魔力供給に問題は無かった。

 聖杯からの魔力供給によるバックアップはこの時代では無く、オレをこの時代に飛ば

した過去の破壊される前の聖杯から行われているようだ。

 それにアースランドの空気に含まれる膨大な魔力。聖杯から溢れた魔力が浄化され

た物であるそれは、サーヴァントであるオレの現界に必要な最低限の魔力を常に供給し

ていた。

 これによりマスター不在による魔力供給は問題無くなり、安定することになる。

 オレもこれで二度目の生を堪能出来るという物だ。実際にマスターはかなり手が掛

かったから世話から解放されたのは素直に喜ぼう。

 む、何処からか殺気が・・・気のせいだといいが、マスターをあまり怒らせるべきで

はないな。どこぞのうっかりのように絶対服従命令を下されるわけにもいかん。

 このまま話し続けるのも構わないのだが、そろそろ視点を精神から現世に戻してもい

い頃合いだ。

 もうすぐギルド一の問題児が帰ってくるようだしな。やれやれ、今回も厄介な場所に

召喚されたが、不思議と後悔はしていない。むしろ充実していると言えるのが救い

か・・・

21 妖精の尻尾

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            私の名前はルーシィ。今はハルジオンの街で出会った少年『ナツ』に連れられて憧れ

の魔導師ギルド『妖精の尻尾』のギルドに向かっているところ。

 本拠地にあるマグノリアの街中で一際目立つギルド名が刻まれた看板と大きな門に

迎え入れられる。

 「ようこそ妖精の尻尾へ」

 ナツと一緒に着いてきた猫のような何かである『ハッピー』の声が聞こえる。

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 誘われるままに門をくぐった先には、憧れていたギルドの内面が広がっていた。

 「ミラちゃーん!!こっちビールみっつお願い!!」

 「はいはーい」

 「ミラちゃん、今度デートしてよ。」

 「あ!ズリィ。抜け駆けすんなよ!」

 「もぉ・・・。貴方、奥さんいるでしょ?」

 「どわーっ!!うちの嫁なんかに変身するなよォ!!」

 活気付いた酒場のような広間の真ん中で忙しなく動き回る女性は、銀髪に何処かで見

テイクオーバー

たような整った顔。そして、瞬時にほかの人の顔に形を変える魔法

 「ただいまー!!」

 私がギルドに見惚れている内に、ナツは酒場の中に入って行き・・・

サラマンダー

 「てめぇ!!

の情報嘘じゃねぇか!!」

 ナツがギルドで酒を飲んでいるメンバーに蹴りを入れ、それが火種となってギルド中

に浸透していき、いつの間にか乱闘になっていた。

 「な・・・なによコレ・・・まともな人が一人もいないじゃ・・・「あらぁ?新入りさ

ん?」」

 私が巻き添えを怖れて遠巻きに眺めているところに歩いて来た女性。先ほどまで忙

23 妖精の尻尾

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しなく動いていた『ミラジェーン』だった。

 「は、はい。なんとかですけど。」

 「うふふ・・・まずは自己紹介といきたいところだけど、先にちょっと静かなところに

行きましょうか。」

 ミラジェーンさんが指差して示した場所。厨房とカウンターがひとつになったバー

のような一角。そこだけ被害が一切なかった。まるでそこを傷付けるのを怖れるよう

に皆が避けていた。

 「ふむ。それは正しい判断だミラ。新入りの子にこれは些か騒がし過ぎる。」

 そこで料理を作っていた人。ナツは燃え盛る熱い炎のような心を素で見せていたけ

ど、この人は冷静で冷たい雰囲気を見せているけど、その奥ではナツ以上に熱い何かを

隠している気を直感だけど感じる。

 「私はエミヤ・シロウと言う。エミヤでもシロウでも好きに呼びたまえ。」

     

24

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      「は、はい!!私はルーシィと言います!!」

 ふむ。相当緊張しているように見える。

 「そんなに畏まらなくていいさ。気持ちを楽にしたまえ。」

 「えと・・・はっ、ア・・・アレ止めなくていいんですか?」

 「いつもの事だからぁ、放っておけばいいのよ。」

 「あれだけの騒ぎを止めるには労力を使うからな。自然消滅するならそれが一番だ。」

 「あららら・・・」

 幸いこの辺りにまで被害は来ない。止めるのは魔法を使い始めてからで遅くない。

 と言っていると騒ぎに腹を立てていた酒豪のカナが魔法を使い始める。それがきっ

かけとなり続々と魔法を使い出そうとする者が現れる。

 「あらあら、これは少し、」「マズいな。」

 オレも投影の準備を始めようとする。この時代ではすっかり廃れてしまった魔術。

25 妖精の尻尾

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失われた魔法

ジッ

だがそれでも

の一端だ。

 あまり使いたくはないが手持ちがない故仕方がない。

 投影を開始しようとしていたその時だった・・・

 「やめんかバカタレ!!」

総長マスター

 一喝で騒ぎが全て収まる。流石は我らが

マカロフ。やはり気迫が違う。

 「む、新入りかね?」

 最後まで調子に乗っていたナツが踏み潰される。

 「は、はい。」

 巨人サイズであったマスターはルーシィに近づくと風船のように萎んでゆき、最後に

は小人サイズにまで縮んだ老人の姿になる。

 「よろしくネ。ミラよ。ギルドの紋章をルーシィに。」

 「え!?試験とかそういうのは無いんですか?」

 「ルーシィ。このギルドにそんな物はない。正しい信念と理想を持っている者を求め

ているのだからな。」

 「そうじゃ。ナツが連れてきたというのなら間違いはないじゃろう。」

 マスターが二階の手すりに飛び乗る。頭をぶつけて悶絶するというトラブルもあっ

たが・・・

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 「ま〜たやってくれたのう貴様等。見よこの評議会からの苦情の束を。ワシはまた裁

判所に行かんといかんぞ。」

 (またか。今も昔も変わらないマスターの悩みだな。)

 「まずはグレイ。密輸組織を検挙したまではいいが・・・その後街を素っ裸でふらつき、

挙句の果てに干してある下着を盗んで逃走。」

 「いや、だって裸じゃマズいだろ。」

 たわけ。まずは裸にならない努力をしろ。

 「エルフマン!!貴様は要人護衛の任務中に要人に暴行。」

 「『男は学歴よ』なんて言うからつい・・・」

 気持ちは分からなくもないが、要人への怒りを抑えるのも仕事の内だ。

 「次っ!!・・・」

 最終的にミラ以外の全員がお叱りを受けることになる。

 そして最後に、ナツが一番多いお叱りと苦情をもらっていた。ナツよ。お前はもう少

し、理性のコントロールを覚えるべきだ。

 「貴様らァ、ワシは評議会に怒られてばかりじゃぞぉ・・・」

 マスターは怒りに体を震わせている。

 「だが、評議会なんぞクソくらえじゃ。理を超える力はすべて理の中より生まれる、魔

27 妖精の尻尾

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法は奇跡の力ではない。我々の内にある〞気〞の流れと、自然界に流れる〞気〞の波長

があわさり、はじめて具現化されるのじゃ。それは精神力と集中力を使う。いや、己が

魂すべてを注ぎ込むことが魔法なのじゃ、上から覗いてる目ェ玉気にしていたら魔道は

進めん、評議員のバカどもを怖れるな。」

 そうだ。これが妖精の尻尾が妖精の尻尾である唯一無二の信念。妖精の尻尾をここ

まで強くしたマスターの信念。

 『自分の信じた道を進めェい!!それが妖精の尻尾の魔道士じゃ!!』

 そして湧き上がるのは喝采。これがこのギルドの在り方だ。

 「さてルーシィ。今ならまだ引き返せるぞ。ナツに認められる君ならば、他のギルド

でも充分な結果を出せるだろう。ここのようなろくでなしも少ないだろう。それでも

なお、このギルドに入ろうと思うかね?」

 「えっと・・・それは・・・」

 しばらくの静寂の後、ルーシィはゆっくり口を開く。

 「例えそれでも、私が憧れたギルドということに間違いないから。」

 「ふむ、いい目だ。ミラ。ギルドの紋章を与えてやれ。」

 「分かったわ。」

 「さて、私はこの破壊された酒場を直さねばな。」

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 床や壁には穴が空き、机や椅子はバラバラに壊され、柱の幾つかも歪んでいる。

 「やれやれ。もう少し自重という者を覚えて貰いたいところだがな。」

 オレは右手にトンカチ、左手に鋸を持ち、作業着に着替えて酒場に立つ。

 「まぁ良い。私を満足させたくばこの3倍は持ってくるがいい!」

 その後、修繕をものの数分で完璧に修繕したオレはなんとも言えない達成感に満たさ

れた。

29 妖精の尻尾

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錬鉄の英雄

  ルーシィがギルドに加入してからしばらく経った。

 相変わらずナツに振り回されているようだが、本人もそれなりに楽しんでいるよう

だ。

 彼女の成長のためにもナツは必要だろうし、いい機会であろう。

 「聞いてくださいよミラさん、エミヤさん!ナツったら金髪なら誰でもいいって理由

で私をチームに引き込んだんですよ!!酷いと思いません!?」

 ルーシィが拳に不満やストレスを目一杯込めて机を叩く。

 「ルーシィ。あまり机を叩かないでくれ。バカ騒ぎ以外で備品を壊されると経費が幾

らあっても足りん。」

 「う・・・すみません。」

 まあ分からないこともない。オレも昔は唐変木だの朴念仁だの散々言われたからな。

客観的に見ると自分がどれだけ間抜けだったかよく分かってしまう。

 「そうねぇ。でも、ナツのことだからそれだけでルーシィを誘ったんじゃないと思う

わよ。」

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 「ナツは単純で純粋だから好感をもった人にしか懐かない。ルーシィの事を気に入っ

ているからこその事だろう。」

 「うぅ・・・確かにそんなこと言ってましたけど〜」

 「ナツも悪い奴では無い事は間違いないさ。それより、何か食べるか?」

 「じゃあショートケーキを一つ。」

 「分かった。少し待っていてくれ。」

           「そういえば、エミヤさんってここの魔導師なんですよね?」

31 錬鉄の英雄

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 ふと気になった疑問をミラさんに尋ねる。

 「うん、かなりの古株よ。」

 「でも私が見ている限りクエストに行っている所を見たことないんですよね。」

 何度かクエストでギルドを離れているけど、一度でもここから離れた痕跡もクエスト

ボードを訪れた事も無いのよね。

 「今じゃ妖精の尻尾非公認の料理長をやってるもの。そんな暇が無いのよ。」

 「確かにエミヤさんの料理ってそこらの店じゃ食べられないくらい美味しいですけ

ど、魔導師なのにクエストを受けなくてもいいのかなって思いまして。」

 非公認って事は正式に雇われているわけでもないから給料とか出ているということ

も無いはずだし、不自然なのよね。

 「そんなことはないぞルーシィ。確かに私も魔導師の端くれだが、クエスト以外にも

やることは山ほどある。バカ達の喧嘩の仲裁にその後片付け、この酒場の掃除や備品・

消耗品の補充、事務処理だって立派な仕事だ。」

 エミヤさんが美味しそうなケーキを持ってカウンターに戻ってくる。

 「あ、えっとその・・・何かすみません。」

 「皆もう少し君みたいに大人しくてお淑やかになってくれれば私も前線に立てるのだ

がね。君みたいな娘は久し振りさ。」

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 遠くでナツとグレイが喧嘩しているのを眺めながらため息をついている。本当に申

し訳ありません。あっそういえば・・・

 「そういえば、エバルーの屋敷にあった本で一つ気になって持ってきた本があったん

ですよ。」

 「何?君もついに盗みを働いたのか?」

 「人聞きの悪いこと言わないでください!!」

 「まあまあ。確かに悪いことだけど、ルーシィが気になったってことは本当に何かあ

るって事よね?」

 「えっ?ああそうです。古過ぎるし東洋の方の言葉で書かれてたから読めなかったで

すけど・・・」

 だけど何か不思議と惹かれる物がある。読んでも理解できなかったけど、見ただけで

理解できるような、何とも言えない感情がいつの間にか胸に存在していた。

 「ちょっと貸して・・・う〜ん確かにこれは何というか、不思議な感じがするわね。」

 「せめてタイトルだけでも分かれば「『錬鉄の英雄』・・・か」・・・え?」

 エミヤさんが見ただけで解読した。というよりこの文字を知っていたみたい。

 「エミヤ、貴方これ読めるの?」

 「ああ、これは極東の地で使われている文字だ。以前居たことがある。」

33 錬鉄の英雄

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 「じゃあここ読めます!?多分作者だと思うんですけど。」

 「どれ。」

 エミヤさんに本を渡す。エミヤさんは無言でしばらく眺めていたが、やがて小さく

笑ったように見えた。

 「あいつらしい。ルーシィ、しばらくこの本を預かってもいいか?なに、タダで借りよ

うとは思わん。新しい紙に翻訳しておこう。」

 「あ、ありがとうございます!!」

 やった!!これであの本が読める!!しばらく時間が掛かりそうだけど、読める事に越し

たことはないしね。でもそれより、エミヤさんが言ってた『あいつ』って誰なんだろう

? そんな疑問もすぐに心の隅に押しやられる。

 広間の扉が勢いよく開かれ、ギルドのメンバーのうちの一人であるロキが入ってきか

らだ。

 彼氏にしたい魔導士ランク上位ランカーのくせに女癖が悪くて私の中じゃ一気に最

下位行きなのよね。

 「ナツ!!グレイ!!マズいぞ!!エルザが帰って来た!!」

 ロキの放った言葉は、酒場にいる他のメンバーをも激震させるには十分なものだっ

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た。

           「ふむ。」

 厨房の奥で一人、オレはルーシィが持ち帰った本を眺める。

 錬鉄の英雄。そう記された本は始めて見るにも関わらず、見る前から内容は全て理解

出来ていた。

 何故ならコレは、オレ自身の事が書かれた伝記のような物なのだから。

 おそらく世界に一つしか無いだろう。文字は作者の直筆のみだからだ。当時なら本

35 錬鉄の英雄

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の複製技術もあったからな。

 作者は私もよく知るあの紅が良く似合う女性。遠坂凛その人だ。

 「全く。この時代で遠坂の名を見るとはな。」

 ひと通り読んだが、仕掛けの類は無かった。科学的な物は。だが魔術的な物は別だ。

 オレは解析の魔術を本に掛ける。すると本の中に隠された仕掛けの存在を確認した。

 それはただの鍵の役目を果たす魔術だったが、鍵穴が見当たらない。つまり鍵を破戒

すれば解かれるということだ。

投影、開始

レー

ス・オ

 ───

 創り出したのはナイフサイズの剣。おおよそ剣と呼びがたいそれは、かつての戦いで

目撃した宝具の一つ。

 裏切りの魔女と呼ばれ、その肩書を押し付けられた悲しい女。その生き様を概念とし

て宿した剣は、魔力で作られた契約を裏切るように破戒し初期化する。

破戒すべき全ての符

ルー

カー

  真名を紡ぐ。宝具の力が始めて十全に発揮され、本にかけられていた鍵は破戒され、

中に収められていた物がオレの手の内に収まる。

 一つは彼女の父親の形見であり、オレが二度目に死んだ時、一命を取り留めるために

使われた紅い宝石のペンダントであり、オレを召喚するために必要な物でもある。

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 もう一つはオレのかつての相棒の宝具の一つであり、最強の聖剣の鞘。聖杯戦争で最

弱のマスターだったオレを守り抜いた彼女の鞘。

 真名解放によってあらゆる攻撃・交信を遮断するこの世界最強の守りとなるそれの名

全て遠き理想郷

ヴァ

は『

 オレと彼女を繋ぐ物でもある。

 「これは、少しばかり豪華過ぎる土産だな。」

 ふと、こんな声が聞こえた気がした。

 ───こんだけ手を貸してあげたんだから、絶対に幸せになりなさいよ!!

 「ふ、相変わらずだな遠坂は。」

 酒場の方に耳を傾ければ、また騒がしい声が聞こえてくる。オレは全て遠き理想郷を

体の中に埋め込み、ペンダントをポケットの中にしまう。

 「遠坂、オレはもう既に結構幸せだよ。」

 厨房の奥に置いた本にそう語りかけながら、オレはまたカウンターの方へ引き返して

行った。

37 錬鉄の英雄

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鉄の森

 

総長マスター

 「今戻った。

はおられるか?」

 捻れた巨大な魔物の角を片手で担いで妖精の尻尾の門を潜った女性の名は『エルザ・

スカーレット』

 妖精の尻尾最強の女魔導師として名高い騎士である。当然実力も折り紙付きで、外部

からも内部からもその名を二つ名と共に知られている。

 「お帰り!!総長は定例会よ。」

 「そうか・・・」

 エルザの帰還の挨拶にミラジェーンの返事が返って来る。その後に土産代わりに

持ってきた角を床に下ろす。ズドッっという重い音と共に埃が舞う。よく床が抜けな

いと思う。

 「エ・・・エルザさん・・・そ・・・その・・・バカでかいの何ですかい?」

 「ん?これか?」

 ギルドのメンバーの一人が恐る恐る聞く。エルザは頼りになる仲間であると同時に、

恐ろしく強く厳格で規律を重んじる性格のため、畏敬の念を持っている者も多い。

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 「討伐した魔物の角に、地元の者が飾りを施してくれてな・・・綺麗だったのでここへ

の土産にしようと思ってな・・・迷惑か?」

 「い・・・いえ滅相もない。」

 周りからは驚きも声が上がっている。

 「それよりお前たち、また問題ばかり起こしているようだな。総長が許しても私は許

さんぞ。」

   ルーシィはこの時確信した。総長が居ない状況でのボスは間違いなくエルザだ・・・

と。

 「カナ・・・なんという格好で飲んでいる。ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸

依頼板

クエストボード

い殻が落ちているぞ、ナブ・・・相変わらず

の前をウロウロしているのか?仕事

をしろ。・・・まあ今日のところはこの辺りにしておこう。」

 随分色々言ってませんでしたか!?これ完璧に委員長ね。それも風紀委員長と来た。

 かれこれ小一時間は説教をしていたのではないか?驚きつつもそれ以上に気になっ

ていたケーキを一口頬張る。

 「口の中に風味が広がる上に程よい甘み。何これ美味しい!!」

39 鉄の森

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 付け合わせに乗せられているのはいちごのみだが、それに合うように生クリームを調

整しているみたいで、かなり相性良く仕上がっている。

 「ついでに砂糖も控えめにしている。だからあまり気にせず食べてくれ。」

 わお、女性の味方ですね。ちょっぴり嬉しいです。

 食べ終えたところでエルザと呼ばれている女性の方を向く。なんというか、口答えし

てはいけないオーラが漂っている。

 「ところで、ナツとグレイはいるか?」

 「あい。」

 ハッピーが頭を下げて道を譲っている。やっぱり怖いのね。

 「「や・・・やあエルザ・・・オレたち今日も仲良し・・・よく・・・や・・・やって

るぜぃ。」あ゛い」

 ナツがハッピーみたいになった!?いつも暴れているナツがここまで萎れて大人しく

なるのも珍しいわね。

 「ナツもグレイもエルザが怖いのよ。」

 「ええっ!?」

 ミラさんが分かりやすく?図で説明してくれる。申し訳ないけど下手です。

 「ちなみにナツは喧嘩を仕掛けて、グレイは裸で歩いているところを見つかってボコ

40

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ボコにされている。」

 「あらら・・・」

 それよりグレイはよくわからないけど、ナツまでボコボコにされるなんて一体どんだ

け強いの!?

 「二人とも仲が良さそうでよかった。」

 逆らう気が起こらない程ボコボコにしちゃえばそうなるわよね。

 「実は二人に頼みたい事がある。二人の力を貸してほしい。ついてきてくれるな?」

 エルザさんが放った言葉は皆を驚愕させるほどのことらしい。エルザさんからの頼

みは二人からしても驚きだったみたいだが、それ以上に納得出来なかったらしく、エル

ザさんに食って掛かった。

 「詳しくは移動中に話す。明日までに準備しておけ。」

 エルザさんはナツ達に有無も言わさずに依頼の約束を決めてしまった。眼力だけで

も怖いのに、実際の実力ってどんな物なの!?

 「ああ。それと忘れていたが、エミヤ!!」

 「・・・何かね?」

 私のいるカウンターの方に歩み寄ってくるエルザさん。エミヤさんは何もやってな

いはずなのに、何かあるのだろうか?

41 鉄の森

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 「ん?君は・・・見ない顔だな。」

 「わ、私は新人のルーシィといいます。よろしくお願いしますエルザさん。」

 「私はエルザだ。それに私のことはエルザでいい。」

 「自己紹介は大切だな。それで、私に何か用かね?」

 「ああそうだった・・・実は・・・」

 何!?一体何が口から出てくるっていうの!?

 「しばらく依頼で街を離れていたからな。久し振りに甘い物が食べたいと思ってな。」

 ・・・へ?

 「ふむ。確かに君が依頼に出てからしばらく経つな。携帯食料では味に乏しいだろ

う。何がいい?」

 「そうだな。隣のルーシィと一緒のショートケーキを二つ頼む。」

 「分かった。ついでに紅茶もつけておこう。何がいい?」

 「アールグレイで頼む。」

 餌付けした上に飼い馴らしてる!?初対面で怖いというイメージが私の中で定着して

しまったエルザが、主人に餌を求める飼い犬のように見える!?

 「了解だ。二つでいいんだな?糖分の摂り過ぎは体に良くないが。」

 「しばらく食べてないからな。今日くらいいいと思ってな。」

42

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 「ふっ、君らしい。そういえば甘い物が好きだったな。」

 完全に二人の世界に入っていってるよあれ。ギルドの皆が怖れるエルザをああも簡

単に飼い慣らすなんて、エミヤさんって一体何者!?

 「ああそうだ、ルーシィ。ナツ達の仲裁役としてエルザに着いて行ってくれないか?

私も同行しようと思うが、二人も面倒は見れん。」

 え!?私が同行!?狂犬達の中に生まれたての子犬を放り込むようなものでしょ!?・・・私

生きて帰れるかな・・・?

 ちなみにこの時は気が付かなかった。エミヤさんが参加すると宣言した時、エルザが

帰ってきた時以上のざわめきが起きていたことに。

        

43 鉄の森

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   翌日 マグノリア駅ホーム

  早速修羅場になっていた。

 ナツとグレイは互いに殴り合いの喧嘩を始め、周りの迷惑を考えずに暴れる。辺りに

積み込み待ちの荷物等があったが、そんなものはお構いなしである。

 「お前一人で行けよ!!オレは行きたくねぇ!!」

 「じゃあ来んなよ!!後でエルザに殺されちまえ!!」

 「迷惑だからやめなさいっ!!」

 これがエミヤさんが言っていた理由なのね・・・ナツとグレイの仲の悪さは話以上だ。

これをハッピーだけで止められるわけがない。

 むしろハッピーは煽って楽しむ立場だもん。

 その上殴り合いの喧嘩を止めても、何かといちゃもんをつけ合っているため、収まる

気はしない。

 「あ、そうだ。」

 私はいい策を思い付いた。

44

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 「あ!!エルザさん!!」

 「よし今日も仲良くいってみよー。」

 「あいさー。」

 バカ面になりながら肩を組んで誤魔化そうとするが、当然エルザがいるわけがない。

私が喧嘩を止めるためについた嘘だから。

 「「騙したなテメェ!!」」

 「あんたら本当は仲良いんじゃないの?」

 ここぞとばかりに叫んだ言葉は見事に同じタイミングだった。

 「何をしている?あまり周りの者に迷惑を掛けるな。」

 エルザさんの前に来たのはおそらく依頼時用の服装を纏ったエミヤさんだった。

 「あれ?エミヤさん、その格好は・・・?」

 紅い燕尾服を纏った姿から、戦闘用と思われる服装に変わっている。

 黒いボディアーマーを着込み、その上に紅いマントのような物を着ており、周囲から

浮いてしまいよく目立つ。

 「む、これかね?これは私の仕事着のような物だ。それとも、あのまま戦闘を行うと

思ったかね?」

 「そういうわけではないんですけど、珍しいなと思いまして。」

45 鉄の森

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 「普段から着ていても、この外套は邪魔になるだけだからな。それより、エルザも来た

ようだ。」

 エミヤさんの言葉に続いて私も含めてナツ達も振り返る。

 そこには明らかに余計な物もあるであろう荷物を載せた台車を引きずって来ている

エルザが居た。

 「すまない。待たせたか?」

 「いや、私は今来たところだ。ナツ達は待ちくたびれているようだがね。」

 ナツが不機嫌なのは多分それだけじゃないと思うけどね。

 「フン。何の用事か知らねぇが今回は条件つきでついてってやる。」

 「条件?言ってみろ。」

 「帰って来たらオレと勝負しろ。あの時とは違うんだ。」

 多分だけどナツは強くありたいんだ。その上戦闘狂だから自分よりも強い人と戦い

たいんだと思う。

 「・・・すまないナツ。その条件は多分受けられない。」

 「何でだよ!?自信がねぇのか!?」

 「違うさ。実は私もこの件が片付いたら戦いたいと思っている人が居てな。・・・エミ

ヤ。」

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 「む?」

 柱に持たれながら腕を組んで様子を伺っていたエミヤさんが目をエルザの方へ向け

る。

 「帰って来たら私と戦ってくれ。あの時の雪辱を果たしたい。」

 「・・・君も成長した。だが私は些か自信がない。それでもいいというのなら、相手に

なろう。」

 エルザさん程の人が苦い思いをするなんて・・・やっぱりエミヤさんって強いの?

 「どういうことだ?」

 「なに。君程の才能の持ち主ならば、まともな才能を持たぬ私のような者を目標にす

るべきではないと思っているのさ。」

 エミヤさんはあんなこと言ってるけど、結局エミヤさんって強いの?弱いの?

 間もなく来た電車に乗り込み、目的地に着くまでお互いのことについて話ながら過ご

した。ナツがいつもの様に酔った所をエルザが鳩尾に重い一撃を打ち込んで沈めたく

らいだ。

 「エルザはどんな魔法を使うの?」

 「エルザの魔法はキレイだよ。血がいっぱい出るんだ。相手の。」

 「妙な誤解を与えないでくれハッピー。それより私はグレイの魔法の方が綺麗だと思

47 鉄の森

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うぞ。」

 グレイが構えると冷気が吹き上がり、氷で出来た妖精の尻尾の紋章が手の平に現れて

いた。

 「氷の魔法さ。」

 もしかしてナツとグレイの仲が悪いのって、お互いの魔法が反発しあうから?

 「エミヤさんのはどんな物なんですか?」

 「私か?」

 「そういえば私もエミヤの魔法は見たことがないな。」

 「オレもだ。」

 同じギルドにいるのに知られてないなんて、理解できない超魔法とか!?

 「私はそんな上等な物は使えないんだ。精々換装魔法くらいだ。」

 才能がないって言ってたけど、それなのに一時期エルザに勝ってたってことは才能が

あるってことなんじゃ・・・

 「それよりエルザ、そろそろ本題に入ろう。一体何事なんだ?」

 「そうだな。話しておこう。あれは前の仕事の帰りだ。オニバスで魔導師が集まる酒

場に寄った時、少々気になる連中が居てな。」

 エルザが話していた状況を纏めると、酒場に居たガラの悪い連中がララバイと呼ばれ

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る物の発見して、それの封印を解いて何か起こそうという物だった。

鉄の森

アイゼンヴァルト

 「そこで聞いたエリゴールという名。そいつは魔導師ギルド『

』のエースで死

神の異名を持つ男で、暗殺系の依頼ばかりを遂行してきた結果、ギルドごと闇ギルドと

なったらしい。」

 恐ろしい通り名だ。暗殺ギルドは闇ギルドの中でも極めて厄介なため、かなり危ない

仕事になりそう。

 帰ろうかな?電車から降りてからそう思ったため、もう遅いけど。

 「確かにギルド丸ごとひとつだと流石にエルザ一人じゃキツイか。」

 「そういうことだ。・・・鉄の森に乗り込むぞ。」

 「面白そうだな。」

 「あのー、お二人さん。楽しそうなところ悪いんだけど・・・ナツがいません・・・」

 「「!?」・・・しまった・・・置いてきてしまった・・・」

 「何をしている?忘れ物だぞ。」

 「エミヤ!?」

 後から遅れてエミヤさんが駅から出てきた。気絶していたナツを小脇に抱えて。頼

りになります。

 「それと先ほどの電車にその鉄の森らしき魔導師が一人居てな。泳がしておいたら目

49 鉄の森

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的地について言っていたぞ。」

 それに仕事が早い!?優秀過ぎませんか!?

 「エルザ。魔導四輪車を借りて来てくれ。目的地はクヌギ駅だ。」

 「分かった。」

 エルザが車を借りに言っている間にナツの意識が覚醒する。

 「完全復活!!」

 「災難だったな。」

 まあこれから乗り物に乗るんだけどね。

         

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  「それでエミヤ。そいつの特徴は?」

 運転手はエルザ。魔導四輪車は運転手の魔力を燃料として動くため、魔力が多い者が

操れば必然的に速度も上がる。

 「そうだな。見た目は好青年といった所だが、魔力は闇ギルドらしく黒ずんでいた

な。」

 「それだけではよく分からねぇな。他に何か特徴はあったか?」

 「そうだな・・・持ち物の影に三つ目のドクロがある笛があったな。」

 「何だそりゃ。趣味悪ぃ奴だな。」

 「見た目だけなら良かったんだがな・・・ルーシィは気付いたか。」

 「はい。もしもそれが呪歌だとしたら・・・」

 作り話で一つあるのだ。笛の音色を聞いた者全てを呪い殺す魔法の話が。

子守唄

 「

、そこから繋がるのは眠り、そして死。」

呪歌ララバイ

 「その笛がララバイよ。

、『死』を司る魔法!!」

 禁止されている魔法の一つに呪殺という物がある。その名の通り、対象者を呪って死

を与える黒魔法。呪歌はその上位とされている。

 「ふむ。奴らの目的はクヌギ駅周辺の住民を対象としたテロと行った所か。」

51 鉄の森

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 「だったら急がないと!!」

 「そうだな。エルザ、運転を頼む。私は上にいる。」

 弓を展開して魔導四輪車の屋根に乗る。ここなら弓を引くのに邪魔になる物はない。

 だが何か気になる。テロを起こした所で得る物など快感くらいしかない。呪歌程の

呪文を手に入れずとも出来ることだ。

 考えても頭に引っ掛かったそれが取れることはなく、居心地が悪いままクヌギ駅へと

急ぐことにした。

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妖精女王

  オシバナ駅

 クヌギ駅の次の駅の停車駅であるここは、現在厳戒態勢が駅員と軍の手によって敷か

れていた。

 「遅かったか。」

 既に駅や軍の関係者と野次馬によって道が塞がれ、さらに様々な情報が出回り過ぎて

状況が把握しづらい。

 だが負傷者は出ていても死者は出ていないらしい。

 「すまない。駅内の様子は?」

 「な、何だね君・・・ウボッ!?」

 いや、負傷者の大半はエルザが現在量産している。即答出来る者以外は要らないとい

うわけだ。

 「妖精の尻尾の者だ。私達が追っている者達が犯人なんだ。入ってもいいか?」

 「おお、妖精の尻尾の方か!!できればそうしてください。」

 「すまんな。適切な判断に感謝しよう。行くぞ。」

53 妖精女王

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 すんなり通してくれた駅員はかなり賢い人物と見た。より鎮圧する可能性の高い方

を選んだのだからな。

 「何故だ・・・エミヤと私とのこの差は・・・」

 「良識があるかどうかの差じゃねぇの?」

 「ナツ、お前ぇだけには言われたくねぇよ。」

 「あんたにもよ、グレイ。」

 「無駄口を叩く暇は無い、行くぞ。」

 如何せん妖精の尻尾のメンバーは個が強過ぎる上に緊張感という物が足りない。

 「この先にいるぞ。各自、戦闘準備。」

 階段を上がり切った先、電車があるであろうホームから聞こえてくるのは、殺気を含

んだ不気味な声。

妖精ハ

 「よう

共。」

 鎌を持った男が、エルザの言うエリゴールという奴だろう。中々の魔力を持ってい

る。

 「貴様等の目的は何だ?返答次第ではただでは帰さんぞ。」

 まともな返答をしてもただで帰すつもりもないのによく言う。殺気が駄々漏れだぞ。

 「遊びたいんだよ、仕事もないもんでね。」

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 その言葉に続いて鉄の森メンバーが高笑いを上げ、エルザの表情は怒りに染まる。

 「まだ分かんねぇのか?駅には何がある?」

 風の魔法で風を纏い、空中に浮かび上がり拡張器を示すように拳で叩く。

 「呪歌を放送するつもりか!?」

 「そうさ。この駅には何百、何千という野次馬が集まっている。そこで死のメロディ

を流せばどうなるか・・・」

 「大量無差別殺人だと!?」

 「これは粛清なのだ。権利を奪われた者の存在を知らず、権利を掲げ生活を保全して

いる愚か者どもへのな。この不公平な世界を知らずに生きるのは罪だ。よって死神が

罰を与えに来た。」

 エリゴールは空を飛んでどんどんオレ達から離れて行く。やはり何かおかしい。

 「『死』という名の罰をな!!」

 「そんな事したって権利は戻ってこないわよ!!」

 その通りだルーシィ。報復に返されるのはより大きな報復のみだ。そしてそれは積

み重なるごとにより強大になっていく。

 「ここまで来たらほしいのは『権利』じゃない。『権力』だ。権力があれば全ての過去

を流し、未来を支配する事だって出来る。」

55 妖精女王

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 「アンタバッカじゃないのっ!?」

 「ああ、そうだな。妖精の尻尾のメンバーも馬鹿ばかりだが、ここまでたわけた奴らは

中々に珍しい。」

 後ろでずっと睨みを効かせるのもいいが、少しばかり怒りを覚えていたからな。ここ

で少々言いたいことを言っても問題ないだろう。

 「全く、今ある平穏で満足していればいいものを・・・欲を出せば痛い目に見るのは必

然だというのにな。」

 「何だとテメェ!?」

 「そんな先の見えない未来に縋るようでは貴様らの格もたかが知れていよう。」

 「言わせておけばテメェ・・・お前ら!!蝿共を殺せ!!皆殺しだ!!」

 エリゴールの命令に賛同し、オレ達目掛けて攻撃を開始する。

 敵は仮にも魔導師達だ。オレはともかく他は気を抜けばダメージは避けられない。

 切り込み隊長として敵の内の一人がルーシィに自身の影を使って攻撃を仕掛ける。

 だがこれは乗り物酔いから復活したナツの魔法によって防がれる。

 「後は任せたぞ。オレは笛を吹きに行く。」

 エリゴールが飛び上がってオレ達の攻撃が届かないであろう位置まで移動する。窓

を割って隣のブロックに逃げ込むつもりだろうが、オレには大した問題ではない。

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 何故なら、オレの本分は・・・弓だからだ。

 ───投影、開始

 誰にも聞こえない声量で呪文を紡ぐ。

 借り物の黒塗りの弓と剣から変化させた矢を数本投影、一発はエリゴール本体へ。他

はエリゴールの逃げ道の先に放つ。

 「ッ!?」

 だがエリゴールも一筋縄ではないようだ。迫る敵意に反応したのか体を翻して狙っ

た本体の矢を弾く。

 「テメェ・・・どこまでも邪魔しやがって・・・」

 「そうそう好きにはさせないさ。それに気を抜く暇は無いぞ。次の矢は特別製だ。」

 オレはそう言い終える前には矢を既に構えていた。漆黒の幾つかの刃が細い芯に螺

旋を描いて巻きつき、そのままやや外側に反り出したような外観を持ったそれは、北欧

の英雄ベオウルフが振るった剣の劣化改造品。

赤原猟犬

フルンディング

 「喰らいつけ、

 魔力は大した量を込めていないが、それでも人を貫くには充分。

 黒塗りの矢から放たれた黒い矢は空気を切り裂き標的まで最短距離を選んで駆ける。

暴風衣

ストームメイル

 「!?

57 妖精女王

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 慌てて繰り出した魔法は、自らの周辺に風を纏わせて攻撃と防御を兼ねた衣を作り出

す魔法。

 それはギリギリ赤原猟犬を弾いた。だが衣には綻びが目立つようになったのが見え

た。

 「危ねぇ・・・なんて威力の矢だ。だがこれでテメェの攻撃は効かねぇぞ。」

 「フ、浅はかだな。」

 「何・・・ッ!?」

 驚いただろうな。その矢は躾は悪いが優秀な猟犬だ。オレが健在である限り標的を

捉えて離さない。

 壁に埋もれようが、地面に突き刺さろうが、どこまでも食らいついて行く。一撃では

貫けなかろうが、叩く数を重ねれば鎧は次第に劣化していく物だ。

 「これはマズい!!」

 追い詰められたエリゴールが取った行動は逃走。当初の予定通りに窓ガラスを割っ

て外に逃げ出す。

 「逃げるか・・・。ナツとグレイは放送室を確保しろ。エルザとルーシィはそいつらを

頼む。」

 駅を任せてオレもエリゴールの後に続いて外に飛び出る。

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           「任されたぞ!!」

 ナツは口から炎を出して鉄の森のメンバーを蹴散らす。その隙にナツとグレイは駅

のホームから姿を消した。

 「二人逃げたぞ。」

 ナツ達を追うために鉄の森からも二人追手で別れた。指から影を出す男と自らの影

の形を変えて攻撃する男だ。

 「あらあら、レイユールとカゲは好戦的だのう。あんなの放っておいてお姉ちゃんと

59 妖精女王

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遊んだほうが楽しいだろうに。」

 「作戦の為だよ。お前よりずぅーっとエライ。」

 それでも鉄の森にはまだ戦力は残っている。これをエルザとルーシィで倒すのだ。

 それに残った連中は所謂下品な者ばかり。数で圧倒的に勝ってるために余裕なのだ

ろう。品の無い事ばかり考えているようだ。

 「下劣な・・・これ以上妖精の尻尾を侮辱してみろ。貴様等の明日は約束できんぞ。」

 掲げた手には一本の魔法剣。だがそれ以上でも無い普通の市販されているような物

だ。

 「珍しくもねぇ。こっちにも魔法剣士はぞろぞろいるぜぇ!!」

 魔法剣士の数人が前衛として突撃する。だがそれよりも早く動いたのはエルザだ。

魔法剣士の実力は剣だけでは決まらない。担い手の実力が顕著に出るのだ。

 エルザは目にも留まらぬ素早さと華麗な動き、それに無駄のない剣捌きで敵を次々と

切り倒して行く。

 「それなら飛び道具でッ!?」

 魔法を放とうとした時にはエルザは既に剣から間合いの広い槍に持ち替えていた。

 他にも双剣、斧、大剣と、その場の状況に合わせて武器を変えて攻撃に転じる。

 見惚れていた。とルーシィは後に語った。武器によって得意不得意が目立たないの

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は、どの武器も使いこなしている証拠だし、換装にラグも見られない。

 「エルザの凄いところはこれだけじゃないよ。」

 エルザは武器だけでなく鎧まで換装し始めた。通常は換装に時間が掛かり過ぎるた

めに無防備になる時間ができるため、リスクが大き過ぎて誰もやらない。

 だがエルザの換装魔法は、類稀なる才能によってこれを可能にし、鎧の付加効果に

よって戦略の幅が更に広まる。

 彼女固有とも言える換装技術は、畏敬の念を込められてこう呼ばれる。

騎士

ザ・ナイト

  「舞え、剣達よ。」

循環の剣

サークルソード

  展開された剣の群れがエルザの意思に呼応して動き、鉄の森のメンバー達を切り裂

く。

 鉄の森はあっという間に数を減らし、指で数えられる程度にまで減ってしまった。

 「こんのヤロォ!!オレ様が相手じゃあ!!」

 不意を付く攻撃も叫び声を上げては意味がない。相手に居場所を教えているような

物だ。エルザは反応に遅れはしたものの、振り向きざまの一閃で確実に仕留める。

妖精女王

ティターニア

 「まさかコイツ!?

のエルザか!?」

61 妖精女王

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 それは妖精の尻尾最強の女魔導師であるエルザを指す二つ名であり、正規ギルド含め

て多くの者に恐れられている名だ。

 瀕死の傷を負い、抵抗する手段を無くし戦意を喪失した鉄の森のメンバー達。現状を

捨てて大きな賭けに出た彼らに残されたのは独房での貧しく惨めな生活のみとなった。

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人間対英霊

  「いい加減しつけぇんだよ!!」

 妖精女王が敵を蹂躙している頃、少し離れたホームの中でエリゴールとエミヤの戦い

が繰り広げられていた。

 状況はエミヤの攻勢。飛来するエミヤの矢にエリゴールは対応しきれていない。原

因はエミヤが持つ多種多様な効果を持つ矢である。

 古の宝具を矢として番えた弓から放たれる矢は驚異的だ。その上弓本体も借り物で

はあるが宝具に近い力を持つ武具である。

 そこから放たれる矢は音速に近いスピードでエリゴールの命目掛けて喰らい付く。

 エリゴールもなんとか躱し続けるが、エミヤは回避先を持ち前の心眼で数歩先を読み

その先に矢を置いて行く。

 エリゴールの暴風衣もかなり薄れて来ており、後数発耐えるかどうかという所だ。

 「貴様等を野放しにしておくわけにはいかなくてね。猛犬には首輪を掛けるものだろ

う?」

 「うるせぇ!!とことんイライラさせやがるハエだなぁ!!」

63 人間対英霊

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 怒りと苛立ちによってエリゴールの風の魔力が溢れ出る。それは駅の窓ガラスを

片っ端から割った上に建物その物を鈍く揺らす。

 腐ってもかなりの魔導師ということは間違いない。

 そのうえ強烈な風がエリゴールを中心に吹いており、矢の威力を削がれてしまってい

るのが現状だ。

 まるで一つの台風のようだ。

 だが対処方法がないわけではない。風とはいえ魔法に基いて作られているのなら魔

力殺しの赤い槍が有効であろう。

ストームブリンガー

 「

 エリゴールから発せられた風は、万物を切り裂く竜巻のように渦巻きながら迫る。

 オレはそれをジャンプで飛び越える。当たっても薄皮を切られる程度だが、躱すこと

に越したことはない。単調な攻撃故に回避することも簡単だ。

 「かかったな!!」

 エリゴールは魔法で風を操作し、オレの周りに乱気流を発生させ、擬似的な拘束具を

作る。

 「む?」

 「宙に浮いてしまえば貴様といえども回避は出来ないだろ弓兵!?」

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 勝ち誇ったような台詞を吐きながらもう一度先程の魔法を放つ。先程よりも威力は

増しているが、その技には既に対策を用意している。

 ───投影、開始

グラデーション・エア

 この世に一時の幻想を映し出す魔術、『

』それがオレが使う事を許された数少

ない魔術。武具の類であれば、解析に時間を掛けずとも見ただけで複製出来る。

 通常は効率が悪いため敬遠されがちだが、オレだけは違った。オレは真作に限りなく

近い贋作をこの世に投影し続けることが出来たのだ。

 それを使って呼び出すのは、オレが参加した聖杯戦争の前に起きた聖杯戦争。オレが

生まれる原因となったそこで振るわれた二対の槍の内の一振り。

 直接は見てないが、その槍の全貌はオレの脳内に存在している。

 魔力に破滅をもたらす紅槍。その名は・・・

破魔の紅薔薇

イ・

ジャ

  真名を解放された紅い槍は、刃に触れた魔力の効果を打ち消す。

 数発の刺突を竜巻に向けて放った破魔の紅薔薇は、切っ先に触れた竜巻の威力を打ち

消し元の空気へと霧散する。

 かの騎士王の魔力の鎧や最強の聖剣の擬似的な鞘である風の結界をも打ち消した効

果は折り紙付きだ。

65 人間対英霊

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 「な、なんだその槍は!?」

 「ケルト神話に登場するフィアナ騎士団の一人、『輝く貌のディルムッド・オディナ』の

所有物の一つ。破魔の紅薔薇といえば分かるかね?」

 「なんでそんな物をテメェが持ってる!?」

 余裕の表情で誤魔化しているが、オレにしてみればこれは危ない賭けのような物だっ

た。

 オレの投影は基本的に魔力を元に再現されている。それで魔力を打ち消す効果を持

つこれを投影すれば、自身の存在と能力の矛盾によって自滅してしまうのではないか、

と。

 最も破戒すべき全ての符が自滅しなかった点を見れば幾らか安心出来たが、それでも

確実ではなかったと言っておこう。

 「さて、そろそろ決着を付けさせてもらおうか。」

 ディルムッドが槍は一本だけではない。破魔の紅薔薇と同時に振るわれる相方が存

在する。

 付けた傷が自然に治ることは決してなく、毒のように人の体を蝕んでいく黄色の槍。

必滅の黄薔薇

イ・

  本来これは長期戦に大きな効果を表す物だが、短期戦でも傷が癒えないということは

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厄介だ。

 塞がらない傷から流れた血によって逃亡しても道標を残す上に、失血状態にしてから

意識を奪えば捕縛も容易だからだ。

 「安心しろ。私はこれの担い手ではない。だが人並み程度には使えると言っておこ

う。・・・さて、覚悟は出来たかね?」

 「ぬかせ!!弓でなければ飛び上がれば攻撃は届かねぇよ!!」

 「どうかな?弓でなければ届かないという道理はないぞ。」

 エリゴールが空高く浮かび上がる。オレもそれに続いて強化の魔術を掛けた足を

使って跳ぶ。

 「わざわざこっちの舞台に上がってくるとはな!!」

 エリゴールの周辺は既に乱気流の空間が生まれていた。強烈な横風がオレからバラ

ンス感覚を奪う。

 「死ねッ!!」

 エリゴールが再び魔法をオレを落とす為に放つ。

 「芸がないな。それに空中で身動きが取れない、とオレは一言も言ってないぞ。」

 風と重力によって落下を始めたオレは、足元に一本の剣を投影、足場代わりにして更

に跳ぶ。

67 人間対英霊

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 ついでにエリゴールの攻撃を破魔の紅薔薇で無効化して接近する。

 「何だと!?」

 「些か慢心が過ぎるな。」

 案外容易に接近出来た。やはり暗殺を得意としている分戦闘経験が乏しいのだろう

か。

 ディルムッドのように二本の槍を振るってはいるが、あのような常識から逸脱した戦

法は彼にしか出来ないだろう。

 彼に比べればオレの猿真似は子供のお遊戯以下だ。だが本物に近づくことは出来る。

 子供の遊び程度の槍とはいえ、常人から見れば異常とも見えるだろう。当たれば確実

に敵を滅する黄槍は、エリゴールの足の腱や靭帯を斬り割く。

 「あがぁ!?」

 これにはエリゴールも効いたらしく、魔力のコントロールが乱れて落下を始める。

 「貴様の足をもがせて貰った。この黄槍がある限り歩くことすらままならんだろう

な。」

 これでエリゴールは這うことでしか移動が出来なくなった。後は評議員に引き渡せ

ば今回の事件も未遂で終わらせられる。

 だが足をもがれ、満身創痍にほど近いにも関わらず、エリゴールは笑っていた。

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 「・・・おい、なんだか風が強くねぇか?」

 僅かに開かれた口から出た声に力は殆ど感じなかったが、不気味に感じた。

 そういえば先程よりも風が強い。それに挙動も不可解だ。まるで何かの周りに纏っ

ているみたい・・・ッ!?

 意図に気付き理解したオレは、後ろに目を向ける。

 そこには駅を中心として吹き荒れる竜巻があった。何かを留める籠のように中の物

を閉じ込めるための物だろう。

 名付けるなら魔風壁とでも言うべきか。

 「・・・なるほど、貴様の目的はここではないな?」

 「今更気付いたところで遅せぇよ。テメェはオレが殺さねぇと気が済まねぇが、目的

の方が優先なんでな。」

 風の魔法を衝撃波のようにして発動、オレはそれを受けて仰け反り、魔風壁の中に押

し込まれる。

 この魔法は外側からの侵入は容易いが、内側からの脱出には極めて強い効果を発揮す

るらしく、外に出ようとしたオレの腕も弾いた。

 「やめておけ、この魔風壁は外からの一方通行だ。中から出ようとすれば体を切り刻

む。鳥籠ならぬ妖精籠ってところか。」

69 人間対英霊

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 ここにオレ達を留めておき、その隙にエリゴールは目的地に向かうといったところ

か。

 「テメェ等のせいで大分時間を無駄にしちまった。テメェには重症を負わされたが、

無駄な時間はもう無ぇ。オレはここで失礼させてもらうよ。」

 エリゴールは整えた魔力で風の魔法を発動、目的地に向けて真っ直ぐ飛んでいく。

 足が使えなくても魔法で飛べば問題ない。引き渡すことだけ考えていたから見落と

していた。

 「だが体力と魔力を消費したせいか、速度は落ちているぞ。」

 黒塗りの弓に番えたのは、赤原猟犬すらも上回る程の魔力を内包させて創り出された

捻れた剣。転

輪する勝利の剣

エクスカリバー・ガラティーン

 それは

の原型とされ、アルスター伝説の名剣カラドボルグ、それに

オレが改造を施した物だ。

I am the bone of my sword.

 ───

偽・螺旋剣

カラドボルグⅡ

 ───

!!

 真名を解放された矢は空間すら捩じ切る貫通力を発揮する。ただ風の壁など紙切れ

以下に等しい。

 勢いを落とすことなく容易く貫通した矢は既の所で感づいたエリゴールに回避され

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たが、空間ごと捩じ切る程の威力を持つ矢は、完全に躱したところでダメージは免れま

い。

 既に負傷していたエリゴールは、更なる追い打ちを受けて意識を放しかけたがなんと

か踏み留まる。

 「・・・何者だあいつは・・・恐ろしい奴だ・・・」

 ふとそんな言葉が聞こえたように感じる。

 だがエリゴールに与えた傷は充分エリゴールを蝕んでいる。目的地に着く前に力尽

きるか、着いた先で捕縛されるかのどちらかだろう。

 奴が持っていたであろう呪歌を回収出来なかったが、悪用されるよりマシだ。

 問題はここからの脱出方法だ。これは簡単に言えば圧縮空気の檻だ。人間が触れば

素手なら弾かれズタズタになるだろう。よっぽどの業物の剣や宝具ならば触れても無

傷だろうが、切り裂くには程遠い。

 貫通するなら偽・螺旋剣クラスの威力の物でいいが、街中故に範囲が広い物は避けた

方がいい。

 だが先程の一撃を見れば分かるがこの魔風壁、再生速度がそこそこ速い。

 偽・螺旋剣や他に貯蔵している低範囲高威力の宝具では人一人通れる隙間を作るのが

やっとであろう。

71 人間対英霊

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 それを解決出来る策もあるが、実行出来ない。

壊れた幻想

ブロークン・ファンタズム

  宝具に内蔵されている魔力を火薬代わりにして起爆、周囲に被害をもたらす英霊の最

終攻撃手段。

 どんな英霊でも使えるが、誰もそれをやろうとはしない。

 宝具とは所有者にとって半身であり、生前使い続けた己の象徴。そんな宝具を使い捨

てる英霊は存在しない。後に続かない上に彼らの誇りを傷付けるからだ。

 真っ当な英霊は勿論、この世全ての財宝を収めた蔵を持っているかの英雄王ですら使

わない。

 だがオレは真っ当な英霊ではないし、ただ一つを除いて宝具に愛着なんて持っていな

い。

 事実上オレだけに許された奥の手とも言えよう。

 しかしこれも候補から外す。理由は至極簡単で、魔力による爆発が魔風壁どころか駅

その物にも被害を与えるからだ。

 オレは問題ないにしても、駅の中にはナツ達や鉄の森のメンバーが多くいる。それら

を巻き添えには出来ない。

破戒すべき全ての符

ルー

カー

 残る手段は

による魔風壁その物の初期化かオレ自身の霊体化く

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らいであろう。

 (・・・破戒すべき全ての符を使うべきだな。)

 霊体化でオレだけ抜け出せても他の皆が出れる保証が無いため、最悪置き去りにして

孤立することになる。

 今なら単独行動の危険性は低いが避けるべきだ。

 オレが破戒すべき全ての符を投影しようとした時、少し離れた位置から声が聞こえて

来た。

 「この声は・・・ナツ達か?」

 ここは合流した方が得策であろう。投影を一旦やめてそちらに向かうとしよう。

        

73 人間対英霊

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   「エリゴールの狙いは定例会なの!?」

 「ああ・・・だけどこの魔風壁をどうにかしねぇと駅の外には出れねぇ。」

 「それは本当か?グレイ。」

 皆が居る場所にはナツ達妖精の尻尾の他に鉄の森メンバーらしき男が一人居た。

 「エミヤ!?無事だったか。」

 「私は何ともない。だがそっちの男は危険域だな。何故ここまで連れて来た?」

解除魔導師

ディ

ラー

 「こいつは、カゲは

らしい。魔風壁も解けると思っていたんだが・・・」

 オレはその男、カゲの方に目をやる。処置はされているが、いつまで保つかは奴次第

だな。

 ボロボロになっている体から微かに見える痣はナツによる物だろうが、背中の包帯か

ら滲んでいる血は刺し傷だな。

 エルザが負傷している奴に致命傷を与えるとは思えないから、仲間の誰かによる解除

封じだろう。

 「カゲ・・・頼む、力を貸してくれ。」

 近くでナツが魔風壁を強引に出ようと突撃を繰り返しているが、全て弾かれている。

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 「ギャッ!!」

 「バカヤロウ、力じゃどうにもなんねぇんだよ。」

 「ふむ。グレイ、凍らせることは出来ないんだな。」

 「できたらとっくにやってるよ。」

 八方塞がりか。仕方ない、投影するか。

 「ところでエミヤ・・・両手に持ってるその槍は何だ?」

 武具マニアのエルザが微かに目を輝かせて尋ねてくる。幾らオレの武器が市販され

ていないレア物でも、そんな場合ではないだろう。

 「オレの武器の内の一端だ。黄色の短槍は半永久的に治癒不可能の傷を与え、紅の長

槍は刃に触れた魔力を打ち消す。」

 「ん・・・?その槍を使えば魔風壁を消せるんじゃないか?」

 「残念だがら無理だ。よく見ていてくれ。」

 オレは破魔の紅薔薇の刃を魔風壁に突き刺し接触させる。まるで豆腐に包丁を入れ

たように魔風壁の風は刃を避けるがそれだけだ。そこから横に動かした途端に切り裂

かれた壁は穴を埋めてしまう。

 「この槍が打ち消せるのは刃の触れた部分だけ。魔法その物を初期化は出来ないし、

開けられても人一人やっと通れる程度の隙間を僅かな間だけ開けられるくらいだ。解

75 人間対英霊

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決出来る程の能力を秘めてはいない。」

 だがナツの咆哮を掻き分けながら突っ込むくらいは可能だがね。

 「他に何か手はないのか?」

 「魔風壁自体を貫通する程度ならば、私が持つ武器に候補は大量にあるが、どれも貫通

力の代わりに範囲が狭い物か、魔風壁の中を丸ごと吹き飛ばす派手な物しかない。中の

我々や街への被害を考えるなら避けるべきだ。」

 「そうか・・・ところで、その武器なんだが・・・幾つかわけてくれないか・・・?無

論何の対価も無しで貰えるとは思っていないが、こう、珍しい武器を見ると欲しいとい

う衝動に駆られてな。」

 「はぁ・・・難儀な性質だな。別に構わんよ。あまり出来のいい物ではないんだがね。」

 などと言っている内に痺れを切らしたナツが強引に突破しようと行動に移している。

それを見たルーシィが無理矢理ナツを引き剥がす。

 「そういえば、ルーシィこれバルゴ本人から。」

 そういってハッピーが鞄から取り出したのは星霊を呼び出す鍵、それも黄道十二門の

内の一つである処女宮の鍵。

 どうやらエバルーが犯罪を犯して捕まったため、契約が解除になったため、ルーシィ

に契約してもらおうとハッピーに託したらしい。

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 「バルゴは地面に潜れるし、魔風壁の下を通って出られるかなって思って。」

 「そっか。そういえばそうだったわ。でもなー・・・うーん、まあ契約しちゃおう。」

 何か気味の悪い物を思い浮かべたのか、ルーシィの表情が歪むが、ルーシィは星霊と

の契約の際、始めに星霊を呼び出すための呪文を唱える。

門ゲート

 「我、星霊界との道をつなぐもの。汝…その呼びかけに応じるなら応え、

をくぐれ。

開け!!処女宮の扉『バルゴ』!!」

 召喚に応じそこに舞い降りるはピンク色の髪にメイド服の少女。碧眼の瞳には光は

宿ってないが、確固とした意志を秘めている。

 「これが星霊か。初めて見たな。」

 明らかに人外を思わせるその存在感。それも世界に十二しかない黄道十二門の内の

一つとなれば、格で言えばオレのような英霊に次ぐ程であろう。

 「痩せたな。」

 「その節はどうもご迷惑をおかけしました。」

 「痩せたっていうか別人なんですけど!?」

 「私は御主人様の忠実なる星霊。御主人様の望む姿にて仕事をさせていただきます。」

 「前の方が迫力があって強そうだったぞ。」

 「では、」

77 人間対英霊

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 「余計な事言わないの!!」

 何があったか知らないが、やるなら早くしてほしい物だ。

 「とにかく今は時間がないの!!契約後回しでいい?」

 「かしこまりました御主人様。」

 「てか御主人様はやめてよ!!」

 ふとバルゴの視線がルーシィの腰の辺り、ちょうど護身用であろう鞭がある位置を見

つめ・・・

 「・・・では女王様と」

 「却下!!」

 妥協して『お嬢様』辺りでいいんじゃないか?うん。

 「では『姫』と・・・」

 「そんなトコかしらね。」

 「そんなトコなんだ!?」

 「すまないが時間がない。漫才は後でやってくれ。」

 痺れを切らしたオレはバルゴとルーシィの会話を遮る。

 「バルゴ。ここから外までの穴を掘ってちょうだい。」

 「はい。かしこまりました。」

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 バルゴは地面に潜ることが出来る魔法の使い手らしい。あっという間に外までの穴

を掘ってしまった。

 「よし!!あの穴を通って行くぞ。」

 グレイが真っ先に穴に飛び込む。エルザがルーシィを褒めようと抱きしめているが、

エルザが今着ているのは鎧だ。鈍い音が響き、ルーシィが悶絶仕掛ける。

 その後ろではナツがカゲを抱えて居た。

 「何してんだナツ!!」

 「オレと戦った後に死なれちゃ後味悪ぃんだよ。」

 「フッ・・・ナツらしいな。」

 皆が穴に飛び込んで行く中、オレは一人取り残されていた。

 理由は簡単。穴がオレにとって小さ過ぎるため、途中で支えてしまうのだ。

 「全く・・・これでは当初と変わらないではないか。」

 外界から干渉されない霊体になり、ナツ達の元へ急いだ。

79 人間対英霊

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呪歌

  駅を穴の中を通って出てきたルーシィ達は駅の外の光景に驚いて居た。

 魔風壁の余波によって街中の軽い物は全て飛ばされていたからだ。ゴミの類も飛ば

されているため、結果的には綺麗になっているのだが。

 「うわっ、すごい風。」

 気を抜けば飛ばされしまいそうな程の強風は、まるで台風を思わせる。

 それによってスカートがめくれ、中の下着が見えそうになる。

 「姫!!下着が見えそうです。」

 「・・・自分の隠せば?」

 バルゴは主のスカートを隠そうとするが、逆にバルゴのスカートがめくれ、下着が見

えてしまう。

 そこに追いついたオレは下着を見て顔を赤らめているグレイに実体化して拳骨を食

らわせる。

 「呆けている場合か?戯け。」

 「ぐえ・・・すまねぇエミヤ。」

80

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 「その辺りにして早く乗れ!!」

 エルザは魔導四輪車を用意して既に待機していた。だがオレ達が借りた物と細部が

異なっている。

 「エルザ。この車はどうした?」

 「そこで借りて来た。」

 昔有名だった漫画作品の中に似たような物が摩耗した記憶の片隅にあった気がする。

確か『ジャイアニズム』だったか?

 「それは盗むっていうんじゃないの?」

 気を失っていたカゲがいつの間にやら目を覚ましていた。幸い峠は超えたようで、こ

こから更に傷を負わない限りは命を落とすことはないだろう。

 「借りただけだ。問題ない。」

 「自信有りげな顔をしようが罪は消せんぞ。非常時だから致し方無いが。」

 魔導四輪車に乗り込む。後から三人が続いて乗り込み、最後にカゲを放り込んで出発

する。

 「そういえばナツはどうした?」

 「あれ?ハッピーも居ないぞ。」

 「どうやら先に行ったようだな。」

81 呪歌

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 だがナツを一人で行かせたくなかったというのが本音だ。

 弱らせてあるとはいえ、ナツの炎はエリゴールの風と相性が悪い。追い風が吹けば炎

は流されて届かないからな。

 「今は先に行くことを優先しよう。エルザ、魔力がキツイなら変わるぞ。」

 「いやいい。まだいける。」

 だがエルザも限界近い。今の状態ではまともに前が見えているかも怪しいところだ。

それでも魔導四輪車をここまでの速度を出して走らせることが出来るとは・・・成長し

ているな。

 「だが無理はするな。私の負担が増えるからな。」

 「ああ、元よりそんなつもりはない。」

 だが魔導四輪車の速度は更に上る。口では冷静を装っているが、実質かなり余裕が無

いように見える。

 「・・・なぜ僕を連れて行く?」

 カゲが力無い声で問う。もう彼に抵抗する力も無い。今の所は抵抗する気も無いら

しい。

 「しょうがないじゃない。街に誰も人が居ないんだから。クローバーのお医者さんに

連れて行ってあげるって行ってんのよ。感謝しなさいよ。」

82

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 「何で助ける!?敵だぞ。そうか、僕を人質にエリゴールさんを止めようと・・・」

 「死にてぇなら殺してやろうか?」

 「なっ!?」

 静かに聞き入っていたグレイが口を開く。

 「生き死にだけが決着の全てじゃねぇだろ?もう少し、前を向いて生きろよお前等全

員さ・・・」

 グレイはナツ達の世代では一番古くから妖精の尻尾に居る。年はエルザよりも一つ

小さいが、現在の主要メンバーの中では纏め役になることも多い。だからこその意見で

あろう。

 服を脱ぐ悪癖さえ無ければ頼りになる存在だ。

 「私達妖精の尻尾のメンバーは皆、意味の無い殺生が苦手なんだ。だから君も罪を

償って第二の人生を楽しむといい。」

 「・・・」

 鉄の森と妖精の尻尾。二つの対極とも呼べるギルドの空気が、カゲの心を揺さぶり動

かしていた。

  

83 呪歌

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         大分進んだはずなのだが、ナツはまだ見えてこない。オシバナ駅からクローバーへ進

んだ途中にある峡谷に辿り着いた。

 ここは切り立った崖が多数存在しており、汽車は崖の間を縫うように高架橋を建てて

通されている。

 そのため崖の間は風が強く、汽車自体もかなり不安定の中走っている。だがこの鉄道

が無ければクローバーの街は物流の輪から外れ孤立してしまうため、かなり重要な交通

機関と言える。

 現在線路を道路の代わりとして走っている魔導四輪車が一台。妖精の尻尾一行とお

まけ一人を乗せて暴走気味で走行中だ。

84

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 やがてやけに気温が高い場所に辿り着いた。

 自然の現象では有り得ない程の気温の上昇。それに有り得ない場所に出来た上昇気

流。これを可能に出来るのは、感情によって火力を上げるナツの魔法くらいであろう。

 「ナツ!!」

 「お、遅かったじゃねぇか。もう終わったぞ。」

 足元には大の字になってボロボロになったエリゴールが転がっていた。

 「流石だな。」

 「ケッ」

 一方ナツに大した傷は見当たらなかった。おそらく初撃で決着が着いたのだろう。

 「こんなの相手に手間取りやがって。妖精の尻尾の格が下がるぜ。」

 「どこが!?圧勝だよ。な?ハッピー?」

 「元々ボロボロだったから微妙なトコです。」

 何はともあれ、これで鉄の森の計画も阻止された。後は呪歌を封印か破壊すれば完了

だ。

 だがナツ達はエリゴールを打ち負かしたことでとあることを失念していた。まだ行

動可能な鉄の森が居たことを。

 操縦者を失った魔導四輪車がひとりでに動き出す。カゲがエルザの代わりに魔導四

85 呪歌

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輪車を操ってナツ達を仰け反らせ、自身の魔法で呪歌を回収したのだ。

 「油断したな妖精ども。笛は・・・呪歌はここで!!ざまあみろ!!」

 「あ、あんのヤロォォォ!!」

四人と一匹

・・・・・

 取り残された

は急いで追いかけるが、車と人の足では出せる速度に差が大

き過ぎる。あっという間に距離を離され、取り残される。

 だが周りを確認したエルザは本来そこに居るはずの男が居ないことに気付く。

 「・・・エミヤはどこだ?」

 一行の中でも特に目立っていた紅い外套の男の代わりに縄で拘束されたエリゴール

しか見当たらなかった。

        

86

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   クローバーの町 定例会会場

 日が沈む一歩手前の頃、人々が本日の夕食の献立を楽しみにしているであろう時、魔

導四輪車を走らせて定例会会場となっている屋敷に辿り着いたカゲが居た。

 計画の完遂という報酬が、ボロボロだった上に魔導四輪車を走らせて魔力が尽きかけ

ているカゲを動かしている。

 (よし、定例会はまだ終わってないみたいだな。この距離なら十分音色が届く。)

 無意識に笑いが込み上げてくるのを抑えながら笛を握る手の力を強める。

 (ふふふ・・・ついにこの時が来たんだ・・・)

 「ほう?そんなに楽しみか?」

 ショックでカゲの心臓が止まりかける。誰も乗っていないはずである後ろの魔導四

輪車から声が聞こえて来たのだから無理もない。

 おそるおそる後ろを振り向く。

 そこには、鉄の森屈指の実力を誇っていたエリゴールを無傷で倒した男、エミヤが腰

をかけていたからだ。

 肘を座席の背に掛け、片足を組んでくつろいでいるが、中身は油断や隙といった雑念

87 呪歌

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は淘汰され、鷹の目に似た威圧感をカゲに向けている。

 「テ、テメェ・・・どうしてこんなに早く・・・乗って居たとしても姿は無かったはず

だ。」

 「さてな。その笛と君達の計画とやらに思考を割いていた分、私を認識出来なかった

だけかもしれぬぞ。」

 実際はカゲが笛を回収したのを確認した瞬間に魔導四輪車に飛び乗りつつ霊体化を

行って潜んでいただけであるが、そんなことは全く知らないカゲが結論に辿り着くこと

はない。

 「いくらテメェと云えども笛の音を聴けば死は免れないはずだ!!」

 笛に構えて吹く準備をするが、そこにエミヤが待ったを掛ける。

 「待ち給え。笛の音を聴くのが私一人と言うのは些か寂しかろう。ギャラリーは多い

に越したことはないのではないかね?」

 「だったらどうした!?」

 「その笛を聴きたがっている人が他にもいるということだ。」

 その言葉の後で肩を叩かれる。同じく振り返ると指で頬を指される。

 「なっ!?」

 「ふひゃひゃひゃ!!」

88

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 カゲをからかったのはやたらと背の低い老人。妖精の尻尾の総長である。

 「いかんいかん。こんなことしてる場合じゃなかった。急いであの三人の行き先を調

べねば・・・おまえさんもはよォ帰れ、病院に。」

 この世の終わりを見たような顔をしながらその場を立ち去ろうとするマカロフ。

 (マカロフ・・・!!こいつ妖精の尻尾のマカロフだ!!)

 憎き妖精の尻尾の親に驚きながらも、標的の一人であるマカロフを呪殺するべく言葉

回しを考え始める。

 「あ、あの・・・」

 「ん?」

 「一曲・・・聴いていきませんか?病院は楽器が禁止されているもので・・・誰かに聴

いて欲しいんです。」

プレッシャー

 おそうおそる口を開く。ここから先一歩でも誤れば死ぬのは自分だ、という

耐えながら罠を張る。

 「むう?エミヤ。此奴は?」

 「ちょっとした私の知人です。この町に怪我の見舞いに立ち寄りました。」

 「ほう・・・気持ち悪い笛じゃのう。」

 「見た目はともかくいい音が出るんですよ。」

89 呪歌

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 「彼は笛が得意でね。期待していいぞ総長。」

 「・・・急いどるんじゃ一曲だけじゃぞ。」

 「ええ。よぉく聴いててくださいね。」

 (勝った。)

 笛を吹けば勝ちという条件を満たすための口実を作り出し、今真に笛を吹くために口

を掛けようとしている。

 だがカゲはそれを吹くことが出来ずにいる。

 今までカゲは鉄の森の一員として今まで行動してきた。自分達から権利と仕事を

奪った魔法界に復讐することを目的として来た。

 だがカゲには復讐に身を染めるだけの覚悟が足りなかった。正規ギルドを憎んで来

たのは周りの影響を受け流されたのが大きいとも言えた。

 だからこそ今、妖精の尻尾の仲間を想う心に触れ、己の今までの行いとの矛盾に心が

潰されそうになっているのだ。

 一体どっちが正しいのか、その答えを出すことが一人では出来ないのだ。

 「どうした?早くせんか。」

 マカロフの威圧が更に増す。それは先程のエミヤが見せた自分を認識させるためだ

けの威圧とは比べ物にならない程巨大な物だった。

90

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 このままでは潰される。そう感じ取ったカゲが覚悟を決める。

 (吹けば・・・吹けばいいだけだ。それで、全てが変わる!!)

 「何も変わらんよ。」

 更に重圧が増す。

 「弱い人間はいつまで経っても弱いまま。しかし弱さの全てが悪ではない。もともと

人間なんて弱い生き物じゃ。一人じゃ不安だからギルドがある。仲間がいる。」

 その言葉はカゲの心に深く染みるが、それはカゲだけではない。後ろで様子を伺って

いたエミヤの心にも浸透していた。

 (年を取ればそれだけ人間は熟すというわけか。)

 ただひたすら駆けた生前。エミヤは一人だった。カゲとの違いは確固たる理想を

持っていたことだ。だがエミヤも不安が無かったわけではない。本当は誰かについて

来て欲しかった。

 親しかった彼女達と共に歩めば、もっと多くの人を救えたかもしれない。

 だがエミヤという男は弱かった。彼女達を巻き込むことを恐れた。衛宮士郎に存在

した心の弱さが理想を貫き通すことから目を逸らし、世界との契約の後に英霊エミヤが

生まれたのだ。

 「強く生きる為に寄り添いあって歩いていく。不器用な者は人より多くの壁にぶつか

91 呪歌

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るし、遠回りをするかもしれん。」

 「しかし明日を信じて踏み出せば、自ずと力は湧いてくる。強く生きようと笑ってい

ける。」

 マカロフの説法を聞いているのはカゲ達だけではない。追いついたナツ達も、突撃し

青い天馬

ブルーペガサス

四つ首の猟犬

クワトロケルベロス

ようとしたナツを止めた

の総長、定例会に参加しているその他

総長達も聞き入っていた。

 「そんな笛に頼らなくても、な。」

 (!?すべてお見通しだったか・・・)

 そう、マカロフは始めから気付いていた。気付いていたからこそ、やじろ兵衛のよう

に揺れ動くカゲの心を正しい方へ向けるために説いたのだ。

 「流石だ総長。思わず聞き入ってしまっていたよ。」

 「お主なんと危険な真似させるんじゃ・・・あまり年寄りをからかうでない。」

 「だが私が居なくてもそうしていたのであろう?」

 「フッ、相変わらずじゃのう。」

 そして森の方からマカロフのストレスの時限爆弾であるナツ達もマカロフの方へ駆

け寄ってくる。

 感激したナツ達は思い思いの行動に走る。

92

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 ナツはマカロフの頭をペシペシ叩き、エルザは鎧を着ていることを忘れて抱き寄せマ

カロフの顔に打撃を与える。

 一件落着と思ったのも束の間。まだ諸悪の根源の処置が終わっていない。

 「カカカ・・・どいつもこいつも根性のねぇ魔導師どもだ。」

 「もう我慢できん。ワシが自ら喰ってやろう。」

 呪歌はドクロの口からどす黒い煙を吹き出す。邪悪に満ちた魔力の煙は怪物の形を

作り出して行く。

 「貴様等の魂をな・・・」

 「な!?怪物!?」

呪歌ララバイ

 現れた怪物の名は

。魔法界の歴史上最も凶悪だった黒魔導師ゼレフが作り出し

た負の遺産。

 魔法その物が生きた怪物であるそれは、ただ自身の能力に従って行動する。

 「腹が減ってたまらん。貴様等の魂を喰わせてもらうぞ。」

 「やれやれ。怪物殺しは慣れているが、志願したくはないな・・・」

 皆が慌てる中、一人だけ落ち着いている者が居る。

 紅い外套を身に纏い、皆の前に立ち、皆に見せる背中が眩しい男が居る。

 「ゼレフ書の悪魔よ。丑三つ時はまだ先だ。貴様の髑髏は、己が墓標に掲げるがい

93 呪歌

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い。」

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守護者 前

  「貴様のその有り得ない程濃い魂・・・人間ではないな。」

 「何を言うかと思えば・・・貴様のような人外が言えた物ではあるまい。」

 いつの間にか黒と白の短剣を構えたエミヤが呪歌と対峙していた。

 「貴様・・・まさか英霊、いや現界しているということはサーヴァントか?」

 「む・・・骨董品とは云えども油断は出来んな。遠い過去の知識も会得しているという

のは長い時を生き、知識を集めた証拠だ。」

 マカロフを除いて周囲の者は話にすらついて行けない。知らない語句を並べられれ

ばこうもなろう。

 「それと、私と彼らを同等視するな。彼らの格が下がる。」

抑止の守護者

カウンター・ガーディアン

 「そうか分かったぞ。貴様、

だな?英霊の下に位置する中でここまで強

大な力を持つ者と言えば一つしかない。」

 「知った所で貴様の敗北は変わらんぞ。」

 「フン、全員分まとめて魂を喰らえば結果は変わるまい。」

 『いかん!!呪歌じゃ!!』

95 守護者 前

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 ゼレフの悪魔と聞いた途端に怖気づいた総長達は怖れて撤退を始めるが、それと正反

対の方向、呪歌の怪物目掛けて突撃を始める影が四つあった。

干将

かんしょう

莫耶ばくや

 エミヤが黒と白の夫婦剣である

を呪歌に向けて投げて胸の辺りに斬撃を

与えて仰け反らせる。

天輪の鎧

てんりんのよろい

 エルザは鎧を換装、

を纏って接近、足に斬撃を与えてバランスを奪う。

 ナツは動きを止めた足から呪歌の顔面へとよじ登り、炎を纏った足蹴りを加える。

 「小癪な!!」

 呪歌は呪歌のような溜め動作が不要な魔力弾を口から連射するが、ナツは身を翻しこ

れを回避、流れ弾はグレイや他のギルドマスター達の元へ吸い込まれる。

盾シールド

 「アイスメイク・・・『

』」

 総長達が間に合うまいと思っていた防御壁はグレイの一瞬の造形魔法によって防が

れる。

槍騎兵

 「アイスメイク『

』」

 「ゴォア!!」

 返す刀の代わりにグレイが氷の矢を斉射、呪歌の脇腹を抉る。

 「今だ!!」

黒羽の鎧

くれはのよろい

 一撃の破壊力を増加させる『

』に換装を終えたエルザが飛び出す。

96

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 同時に両手の拳に炎を纏わせたナツもハンマーナックルを顔面目掛けて振り下ろす。

火竜の煌炎

かりゅうのこうえん

 「

!!」

 轟音と斬撃が響き、呪歌から魔力と肉体を削ぎ落とす。

 「バ、バカな・・・だが、このままでは終わらんぞ。」

 呪歌が最後の力を振り絞って呪歌を唱えようと残った魔力を口に集める。

 だが三人は大技を放った反動で動けない。

 怪物から死の魔法が放たれようとされていたが、その口が二度と言葉を発することは

なかった。

現在い

 「過去の亡霊ごときが

を引っ掻き回すべきではないよ。」

 その手に担っているのはまるで山を切り裂けるのではないか?と思える程に長い刀

身を持つ剣。それはメソポタミア神話に登場する、戦いの女神ザババが持つ『翠の刃』で

あり、『斬山剣』という異名も持つ剣。

虚・千山斬り拓く翠の地平

  れっきとした神造兵器ではあるが、エミヤはこれを使えるのには理由がある。

 かの英雄王の貯蔵庫の中から射出されたそれを通常よりも長い時間を掛けてなんと

か解析、それを投影出来るレベルにまで型落ちさせた物としてなら投影出来るようなっ

たのだ。

97 守護者 前

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 そのため本物程の神秘も破壊力も持たないが、丘程度の巨人を斬るには十分過ぎる程

の切れ味と刀身を持った剣となったのだ。

 「ふむ。名付けるなら『斬怪剣』とでも言うべきか。」

 呪歌は虚・千山斬り拓く翠の地平を唐竹割りで振り落とされた結果、真っ二つになっ

てその場に崩れ落ち、やがて残った残骸も霧散し、元の笛の形に戻った。

 「ゼレフの悪魔がこうもあっさり・・・」

 「こ・・・こりゃたまげたわい。」

 「かーかっかっかっかっ!!」

 「す・・・すごい・・・」

 マカロフはギルドの仲間の活躍を誇り。定例会に参加していた総長達は各々驚嘆の

言葉を言い、カゲは自分たちが喧嘩を売った相手に恐怖していた。

 こ、これが、妖精の尻尾最強チーム!!

 ゼレフが創り出した最悪の悪魔の内の一体を容易く葬り去ったその実力は、どれほど

の物かは再び調べるまでもない。

 世界中探しても、これ程の力を持った魔導師はそう多くはないだろう。

 「いやあ経緯はよくわからんが妖精の尻尾には借りができちまったなぁ。」

 「なんのなんのー!!ふひゃひゃひゃひゃ!!」

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 マカロフの高笑いがクローバーの町に響き渡るが仕方の無いことだろう。ギルドの

メンバーを自分の子のように大切に想っているマカロフとって最高の賞賛であろう。

 だがそれも長くは続かない。

 途中でぎこちない動作でその場から立ち去ろうとし始める。

 遅れて妖精の尻尾最強チームのメンバー、定例会参加者がマカロフの視線があった方

向へ目を向ける。そこには呪歌が倒れていた元定例会会場。

 あった建物は呪歌が倒れた衝撃で粉々になってはいなかったが、最後に呪歌に止めを

差した時、エミヤの宝具の斬撃によって真っ二つに切り裂かれており、見るも無残な残

骸に変わり果てていた。

 「ははっ!!見事に真っ二つになっちまったなぁ!!」

 ナツだけが面白おかしく笑っているが、既に妖精の尻尾の者達は退散を始めている。

 「エミヤ!!エミヤは何処だ!!」

 マカロフはこんな惨状を引き起こしたエミヤを呼び立てるが、返事は返ってこない。

 代わりにマカロフの前に一通の手紙が落ちて来る。エミヤからの物だ。

 『急用を思い出したため先に帰らせてもらう。定例会場は見ての通りだが大した事は

ないだろう。子が起こした問題の責任は親が取る物だからな?』

 「エミヤッ!!」

99 守護者 前

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 視線が自分から離れた隙に霊体化してその場を離れたのだ。ご丁寧にカゲが乗って

きた魔道四輪車に乗って帰ったため、帰りの手段は徒歩に頼らざるを得ない。

 「捕まえろーっ!!」

 「総長・・・顔を潰してしまって申し訳ありません。」

 「いーのいーの。どうせもう呼ばれないだろうし。」

 マカロフの当面の問題はエルザ達が出した損害の弁償であることは間違いない。マ

カロフのストレスは貯まる一方であることが非常に悔やまれるが、一行にとって然程大

きな問題ではないであろう。

         

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  鉄の森によるギルドマスターの定例会を狙ったテロ事件は一躍大ニュースとなり、国

中に知れ渡った。

 カゲを含め、鉄の森のメンバーの大半は逮捕され、牢獄入りが確定している。

 少しは改心してから出て来ることを祈っておこう。

 なお、エリゴールだけは捕まっていないらしい。行方不明とのことだ。

 まあ不治の傷を付けられた奴がこれ以上何か出来るとは思えないが、復讐心が更に増

強されないか懸念されるが。

 まあ、終わってしまった過去はただの現実だ。過去を振り返ってばかりでは前には進

めない。

 それに今日はあの約束の日だ。

 エルザを含め、妖精の尻尾のメンバーはより一層強くなった。オレも鍛錬を怠ればす

ぐに腕が錆びついて抜かれてしまうだろう。

 だがまだ負けるつもりはない。少なくともオレが現界している内は負ける訳にはい

かないからな。

 何故ならオレは『妖精の尻尾のサーヴァント』であり、妖精の尻尾最強の盾であり向

かい来る敵意を打ち倒す剣で在り続けなければならないからな。

101 守護者 前

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           「さてエルザ。準備は出来たか?」

 「無論だ。私が持てる最強の鎧達を持って来た。」

 ギルドの前は野次馬で溢れかえっていた。大半がギルドのメンバーであり、半ばお祭

り騒ぎとなっており、賭け事も行われているようだ。元締めはカナがやっている。

 「ところでカナ。賭けで儲けた金は全て没収する。君がクエスト中に出した酒代の返

済に充てさせてもらうからな。」

 その言葉の後には血の気が引いたカナの姿があった。もっとも、賭けの儲けだけで返

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済しきれる額ではないが。

 「エミヤ。あの時の雪辱を晴らさせてもらうぞ。」

 「ふむ、良かろう。ならば恐れずしてかかってこい。」

 エミヤが始めに構えたのは彼を象徴する剣であり、彼がもっとも愛用している二振り

の陰陽剣『干将・莫邪』

 一方エルザも一番体に馴染む基本の鎧を纏う。

 両者共にまずは小手調べを行うつもりであり、もっとも相手に知られた武具での相対

は、手の内の探り合いを表す。

 「あんなに強いエルザの雪辱って一体・・・」

 ここでエルザが受けた雪辱について全く知らないルーシィが恐る恐る尋ねる。鉄の

森のギルドメンバーの大半を相手に、あれ程圧倒的な強さを見せつけたエルザが恥を受

けるとは思えないのだ。

 「・・・これは聞いた話なんだが・・・。エルザがS級昇格試験を受けた時の話だ。あ

の試験でエルザの相手を務めたのがエミヤだったらしいんだが、その時あいつはあの手

に持ってる白黒の双剣だけで当時のエルザの全てを切り払ったらしい。」

 「俺はエルザに一度も攻撃させなかったって聞いたぞ。」

 人によって持っている情報に誤差があるが、エルザがエミヤに惨敗したというのだけ

103 守護者 前

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は間違いない。

 その噂が真か偽かは当人達しか知らないが、賭けでは若干エミヤの方に人気が傾いて

いる。

 「あのエルザが負けたなんて・・・」

 エルザの強さは間近で見れば見る程よく分かる。少なくともルーシィはエルザ以上

の魔導師を見たことは無いと断言出来る。

 だがエミヤの強さも十分過ぎる程理解出来る。死神の異名で怖れられたエリゴール

をほぼ無傷で倒した上に、ゼレフの悪魔を真っ二つにしたあの剣の真髄は追求するまで

もない。

 「やはりその剣を選んで来たか。」

 「そう言う君もそうではないか。その鎧は普段からの愛用品だろう?」

 「エミヤこそ、その剣が一番の愛用なのだろう?」

 「一番と言うわけではないが・・・一番自分に馴染むというのなら間違いないよ。」

 「でなければあの時の戦いは私への侮辱になるからな。」

 「魔法を使わなかったとはいえ、容赦はしなかったさ。」

 「ああ、そうだな。」

 両者の準備は既に終わっている。後はマカロフから開始の合図を受けるだけ。

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 「・・・始めぃ!!」

 先手を打ったのはエルザだ。鋭い横薙ぎがエミヤの首元を襲うが、エミヤは干将をエ

ルザの斬撃の通り道に置いて防御する。

 返しの刃で振るわれた左斜め下からの切り上げは右手の莫耶で弾く。

 剣戟は更に続き、鉄と鉄が打ち合い火花が散る。

 試合はエルザが圧倒しているように見えるが、どうも様子がおかしい。

 先手を打ち続けているにも関わらず、エルザは攻め切れていないのだ。

 (やはりおかしい。まさかこれは、打たされている!?)

 エミヤは防御を主にして立ち回っているが詰めが甘く、度々隙が出来る。

 だがその隙をどれだけ付いても、必ずそこには剣が待っている。そこからのカウン

ターで前回は負けたのだ。

 ここまで打ち合えば誰でも分かるだろう。

 エミヤの戦術の基本は防御であり、堅実な立ち回りで敵を消耗させ、勝負を急がせた

相手に作られた隙を打たせ、必殺の一撃を必殺の一撃で相手に返す。

 この戦い方は英霊エミヤを英霊とたらしめるエミヤ唯一の物だ。

 この戦い方でエミヤは、生前の聖杯戦争や各地で起こった紛争を生き抜き、死後守護

者になってからは自分よりも格上の英霊に対して五分に近い戦いを挑むことが出来た。

105 守護者 前

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 かのクランの猛犬の獣の如き猛攻を防ぎ切り、狂気に狂ったギリシャ神話最強の大英

霊に互角に張り合い、12の命の内の6つを殺した。

 それは自分が足手まといにならないために、かの騎士王の隣に並ぶために編み出され

た剣術なのだ。誰かを守るための戦術が弱いわけがない。

 一旦距離を取るためにエルザが後ろに跳ぶ。だがエミヤはそれを追いかけない。

 エルザが跳躍中に態勢を整え、迎撃のために剣を構えているのが見えたからだ。

 両者が距離を取ってしばらく睨み合う。

 「エミヤ、やはりわざと打たせているな?」

 「ああ、元来超常的な直感や才能の持ち主相手に私は才能で負けているのでね。なら

ば自分で自分が有利な状況を作ることでしか勝ちが拾えないという結論に至ったから

な。」

 「謙遜だな。だが手品も種が分かってしまえば対処はし易い。」

 エルザが武器をより長いロングソードに変え、再びエミヤに接近する。

 ショートソードよりも長く質量が増えたことで間合いが伸び、一撃の威力は増す。

 それだけ一撃毎の隙も増えるが、エルザの一閃は速度が落ちたかどうか分からない程

度にしか変わらない。

 その上一撃の重さが増えたことによってエミヤは反撃に転じることが難しくなり、受

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け流しても剣を弾かれてしまい、エルザの次の攻撃の前の隙を付くことが出来ない。

 「はああぁッ!!」

 エルザの剣閃は更に速く鋭くなり、やがてそれは一時的とは言え英霊のそれを凌駕す

る。

 今のエルザを突き動かしているのは、エミヤに勝ちたいと思う執念だ。

 妖精の尻尾に入った頃から面倒を見てくれた男であり、憧れだった男でもある。

 剣術の基礎を教えてくれたのも彼だ。

 (だからこそ、私はエミヤを超えたいッ!!)

 エルザの剣閃がついにエミヤを捉える。ようやく届いた一撃は、惜しくも両手の干将

と莫邪で防がれるが、双剣は共に宙を舞う。

 「貰った!!」

 徒手の状態のエミヤにエルザの剣を防御する手段は残されていない。エルザの剣の

速度なら換装で武器を取り出す前に決着を付けられる。

 これまで一度も勝てなかった相手にエルザが勝利を確信した。エルザの剣がエミヤ

の首元へ向かって敷かれた勝利へのレールを辿る。

 皆、エルザの勝利が確定したと思い込んだ。エルザに賭けた者もただ純粋に応援して

いた者も見たこともない戦いを見れた者もただ喜びに溢れる。

107 守護者 前

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 だがそう簡単にはエミヤも負けられない。

 格が劣るとはいえ、エミヤは英霊の一端なのだ。決して実現し得ない理想を追い求め

続け、生きてる間ただの一度もそれを諦めなかった男が英雄となった存在。

 英霊とは生前の英雄が一番力に満ちていた時を具現化した存在。故に素手になった

からとはいえ慢心していい相手ではないのだ。

 「・・・フッ!!」

 エルザが突き出した剣を横に半歩引いて空振りさせ、剣を持つ手を掴んで一本背負い

を決める。

 「なっ!?」

 それだけで終わるエルザではない。咄嗟であっても受け身はしっかりと取り、余計な

ダメージを避ける。

 そして顔を上げた先に待っていたのは、絶好の隙を付いて放たれたエミヤの蹴りだ。

 それも剣の腹で防御する辺り、エルザもかなり実戦慣れしているということだ。

 エルザが後ろに吹き飛び、両者の間にまたも距離が生まれる。

 宙に打ち上げられた干将と莫邪も落下し地面に刺さるが、そこはエルザがいる地点で

あり、エミヤからは程遠い場所である。

 「・・・まさか徒手もいけるのか?」

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 「徒手だけではない。剣に槍、弓・・・他にも出来る物は何でも修めた。秀でた才能が

無いからこそ、常人よりも多くの技能を己の限界まで伸ばそうとしたのさ。」

 一つの才能が究極の域に至らないのなら、出来る物全てを磨いて対抗出来るだけの力

にしようとした結果だ。

 「ところでエルザ。敗北が怖いなら今すぐにその場から離れるのだな。」

 エミヤはそれから口を開き、ゆっくりと誰にも聞こえない程の声で何かを呟く。

壊れた幻想

ブロークンファンタズム

  「何を言って・・・ッ!?」

 エルザの近くに突き刺さった干将莫邪が突如爆発を起こし、言葉を遮るようにエルザ

を爆煙で包み込む。

 爆発は規模こそ大きかったが、エルザはなんとかこれを回避していた。

 「莫迦な!?自分の武器を自爆させるだと!?」

 武器に内包された魔力を使っての爆発だということは分かったが、それが信じられな

かった。

 大抵の場合、戦士が自分の武器を捨て駒扱いで自爆させることはしない。武器は戦士

にとって相棒に近い存在であり、攻撃にも防御にも必須である。

 つまり仮にその手段を持っていたとしても、愛用している武器を自爆させることは、

109 守護者 前

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プライドや誇りといった物を傷付けるため、精神的な苦痛を味わうことになる。

 換装を使う魔導師ならその場凌ぎで替えの武器を用意出来るが、壊した武器が帰って

来るわけではない。

 そのため武器を爆弾代わりに使う者は存在しないといってもいい。

 「それはお前の愛用の武器ではなかったのか!?」

 故にエミヤが取った行動の真意が分からなかった。何故そこまで容易く武器を破棄

出来るのか、と。

 「愛用とは違うな。私はアレに特別な感情を抱いているわけではない。」

 「ッ、だ、だが隙だらけだ!!」

 本能的に危険を察知したエルザが剣を振りかぶって速度と共に重さを乗せた唐竹割

りで勝負を急ぐ。だがそれはエミヤの手のひらの上に足を突っ込むことに等しい。

 「・・・甘いな。」

 響く剣戟の乾いた音。エルザが放った唐竹割りはエミヤが持つ黒と白の双剣に防が

れる。

 「なっ!?それはさっき爆破した剣!?」

 それは先程エミヤ自身が爆破したはずの双剣だった。これにはエルザだけでなく周

りのギャラリー達も驚いた。

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 「二振り持ってたのか?いやだがひと目見ただけでこの世に二つとない名剣と分かる

ぞ。さっきのは爆弾を仕込んだ偽物でこっちが本物なのか?」

 「いや、先程の物もこれも偽物だ。」

 「何?・・・まさかエミヤ、お前の魔法は!?」

 「気付いたかね?」

 一度破壊された剣と寸分違わぬ剣。そしてエミヤが放った偽物という言葉。

 「エミヤ、お前の魔法は『武器を複製する魔法』なのか?」

 「大体だが正解だ。君達でいう私の魔法は、『武器の類ならば、一度見ただけで複製し

グラデーション・エア

貯蔵する』という物だ。名を

という。」

 「武器を複製・・・つまり今まで見せた剣は全て偽物ということか?」

 「だが安心するなよエルザ。例え偽物だとしても、それらが本物に敵わないという道

理は無いぞ。」

 エミヤの頭上に剣が出現する。おそらく投影品であろうが、だからとはいえ油断は出

来ない。偽物だとしても切れ味や能力は本物と同じなのだから。

 「これより君が挑むのは無限の剣。さあ、臆せずかかってこい!!」

111 守護者 前

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守護者 後

  「くっ・・・!?」

 頭上に出現した剣の殆どが歴史に名を残す名剣・聖剣・魔剣、その複製品である。

 だがそれらは全て本物に勝るとも劣らない逸品だ。

 それら全ての相手をするという試練を前に、エルザは顔を歪ませる。

 「どうしたエルザ。様子を伺っているのか?」

 不敵な笑みを浮かべてエルザに切っ先を向けるのは、紅い外套を羽織った男、エミヤ

である。

 「伺わざるを得ないんだ。相手の魔法を観察して対策を講じるのは魔導師の鉄則だ。」

 「ああ、そうだな。だが棒立ちで観察させるわけがあるまい。」

 剣が一斉にエルザの方へ向く。

 「ハッタリか・・・?担い手の居ない武器に何が出来る?」

 「愚問だな。真っ直ぐ飛ぶだけなら担い手が居なくとも可能だ。」

 エミヤが合図代わりに腕を振り下ろす。空中に漂っていた剣達が真っ直ぐにエルザ

に降り注ぐ。

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 空気を切り裂き、敷かれたレールの上を走る汽車のように突き進む。おおよそ人が捌

けるとは思えない程の剣をエルザはなんとか回避または剣で弾いて凌いでいる。

 「くっ・・・!!」

 だが一本弾く度に剣にヒビが入る。最低でも一級品以上の大業物達を質が良いとは

いえ市販の物で受け続ければこうもなる。

 エルザは剣が砕かれる度に換装魔法で新品の剣を取り出して取り繕う。

 だがエミヤの投影のように新しく創り出せるわけではなく、いずれ剣の在庫が尽きて

しまう。

 「このままでは・・・ッ!!」

 なんとかせねば武器が尽き、その先の敗北に足が届いてしまう。

 打開策はある。あるがそこまで魔力と武器が持つかどうか。

 やれない可能性の方が圧倒的に高い。だがやらねばまた負ける。

 ここからは頭をフル回転させ、魔力も体力も削られた体に鞭を打って無理矢理動か

し、限りなく低い可能性を手繰り寄せる、限界に挑戦する戦いだ。

 水晶体が徐々に澄んでいき、周りの時間の流れが遅く感じる程に意識を目の前の剣に

集中させる。

 エルザがエミヤに向かって駆け出す。どの道接近しなければまともな決定打を与え

113 守護者 後

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られない。

 たが近づくということはそれだけ敵に警戒心を与え、対策されるという物だ。事実、

エミヤから撃ち出されるの投影宝具は数を更に増す。

 「はっ!!」

 剣で剣を叩き落とす。こんなやり取りを何度繰り返したか。始めの一本目がやたら

と遠い過去のように感じる。

 剣の性能も本人の力量のどちらもエルザは負けている。ならば作戦と無理で勝つし

かない。

 打ち勝てないなら逸らせばいい。剣を持つ腕が二本で足りないなら足を使えばいい。

 無骨でも確実に、エルザは剣の雨をいなしていく。

 突き進むこと数分。エルザの剣がついにエミヤの前に辿り着く。

 「捉えた!!」

 エルザの剣がエミヤの干将と莫邪と交じり合い、火花を散らせる。

 「ようやく、届いた・・・!!」

 「ああ、見事だ。あれを躱し切るとはな。」

 鉄と鉄とが互いの優劣を競い合い、擦り合ってギチギチと不気味な音色を奏でる。呪

歌よりはマシであろうが。

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 「やはり堅いか・・・だが手数はこちらが一歩上!!」

 足の指で剣を掴んで持っているエルザは、簡単に言えば腕が四つになっているような

物。必然的に二本しか腕を持たないエミヤより手数は上になる。

 両足の腕を突き出しガードしているエミヤは防ぐ腕がない。ガラ空きの腹部に剣が

突き刺さる。

 「たわけ。安心するのは勝負が着いてからだ。」

 エルザはこの時勝利を確信してしまっていた。自分も剣の雨に巻き込まれるのを怖

れて投影を行わないと。それ故にエミヤが見せたあの技を忘れていた。

 「何・・・!?」

 「・・・壊れろ。」

 直後、エルザが弾いて落としていた宝剣が爆発、爆風と瓦礫の破片がエルザに飛来し、

宙に身を任せていたエルザのバランスを奪う。

 「っまた!?」

 その隙にエミヤはエルザの剣を弾き飛ばし、エルザは宙に浮かせ無防備になる。エル

ザがバランスを崩している間、エルザは隙だらけとなる。

 「────投影、開始。」

 投影するのは今まで投影した中で最も劣るただ長いだけの日本刀。性能だけで言え

115 守護者 後

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ばエミヤが持つ宝具の贋作の中でも最低クラスに入るだろう。

 だがそれの本来の持ち主は別だ。雅を愛し、ただひたすら剣術を鍛え、剣術だけで魔

法の域に至った天才の物だ。

 エミヤが無防備のエルザに向けて刀を構える。一歩引いて背を向け、振りかぶった刀

を振り抜けば振りかぶった分だけ速度も出しやすい。

 「チェックメイトだ・・・!!」

偽・燕返し

  剣技だけで魔法や宝具の域に至ったこれの持ち主は、実在するとされていた『佐々木

小次郎』という英霊を創造する上で最も条件の当て嵌まる無名の剣士の亡霊。

 本来の燕返しの正体は、並列世界から呼び込まれる3つの異なる剣筋、つまり全く同

時の時間に急所に襲い掛かる斬撃達。

 生前彼がツバメを斬ろうとした際、空気の流れを読まれてことごとく避けられたた

め、打ち落とそうとして編み出された秘剣。

 文字通りの天才の技だが、エミヤが彼の刀を持ち、彼の記録を憑依し共感しても、彼

の燕返しには遠く及ばず、言ってしまえばほぼ同時の三連撃程度にしかならない。

 だがそれでも、一つ一つの太刀筋は佐々木小次郎のそれとなんら変わりない。

 見事な太刀筋と急所を確実に狙う正確さは間違いなく彼の物である。

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 故に必殺。

 「がっ!?」

 全て峰打ちだったが、エルザの残りの体力を削るには十分だった。

 「この技。よく覚えておくといい。」

 燕返しを受け、意識の大半を奪われたエルザが地に落ちる。

 「敵わんな・・・貴方には・・・」

 霞む視界の中でハッキリとエルザに映ったのは、その背中に己の生き様を背負った紅

い男の姿だった。

         

117 守護者 後

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  「なぁエミヤ〜。守護者って何だよ?」

 自分だけ戦えなかったからか、ナツがやけに不機嫌になり、さっきからオレに粘着し

てくる。

 正直言って仕事に集中出来ないため、かなり邪魔なわけだが・・・適当に流しておく

か。

 「あーなんだナツ。忙しいから後にして欲しいんだが。」

 「いいじゃねぇか少しくらいよぉ。」

 こうなってしまったナツは絶対に諦めない。質の悪いセールスマンのように粘着し

続ける。

 「・・・守護者というのは集合無意識によって作られた、世界の安全装置のことだ。」

 「なんだよ・・・結局話すんじゃねぇか。」

 周りで様子を伺っていた者達も便乗して寄って来る。具体的に言えば、エルザ・グレ

イ・ルーシィと、あの場での直に聞いていた者達だ。

 「話すまで離れんだろう・・・そして守護者は大きくわけて二種類存在する。」

 一つは『英霊を英霊たらしめている信仰心が薄い英霊』つまり知名度の低い英霊。も

う一つはオレのような『生前に世界と契約を交わし、死後の自身を売り渡した元人間』

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だ。

 契約したした者は人の限界を超えた奇跡を実現出来る程の力を世界から与えられ、死

後は世界の歯車の一部として使役される。

 「そして世界と契約を交わすには、生きている内に自分の無力さを嘆き自分以上の力

を求めること、そして人類の継続に役に立つ者であることが必要だ。」

 「ふむ・・・それでエミヤは何を望んだんだ?」

 そこが一番気になるであろうことは分かっている。オレの願い、理想の追い求め続け

走り続けたオレが、どうしても超えられない限界の壁の先に居る百人を救いたいという

他人のための願い。

 例えそれが間違いではなかったとしても、他人が聞けば絶対に理解出来ない願いだろ

う。

 「さて、どうだったかな。守護者として働き過ぎて記憶が摩耗してしまったみたい

だ。」

 「そうですか・・・でもエミヤさんが望んだ願いならきっと、正しい願いだと思います。」

 「そうだったらいいんだがね・・・」

 ああ、それは正しい物だったさ。例え誰からも一度も理解されなくても、それが正し

い物だったというのは間違いない。

119 守護者 後

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 「すげぇ!!つまり世界と契約すれば最強ってことだろ!?」

 「最強ではないな。いくら力を与えられても本当の天才やそれこそ歴史に名高い英霊

達には劣る。それに契約には必ずしっぺ返しも存在するんだ。」

 守護者としての感想は一言でいうなら『体のいい掃除屋』だ。担う役目は『人類の自

滅』が起きるときに現界し、『その場にいる全ての人間を殺戮し尽くす』ことで人類すべ

安全装置

トッ

パー

ての破滅という結果を回避させる

 おまけに自由意志を持たず、単純な『力』として世界に使役される存在。

 意識が戻るのは全てを終えてから座に帰るまでの一時のみ。その一時に自分が始末

した存在の死体や残骸を見せられ続けるのだ。

 ただの人間が耐え切ることが出来るわけがなく、オレもとうの昔に心が壊れてしまっ

た。

 「例えそんな事態になってしまっても、私は絶対に薦めはしない。というより、私のよ

うな存在はこれ以上生まれない方がいい。」

 その言葉には、無意識の内に戒めの意が組み込まれていた。

 まるで自分の罪を反芻し、忘れさせないように自分に言い聞かせているみたいに。

 「難しい言葉は分からねぇが、要するに自分の力で強くなれってことだろ?そのつも

りだぜ。」

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 「・・・まあその認識で差し支えはない。」

 ナツが純粋で助かった。例え悪魔の誘惑があっても落ちないであろうという予感は

あったが。

 「ところで皆、眠気は感じないか?」

 話の最中に気がついた気配。それが放つ魔力はエルザのようなS級魔道士と互角以

上であろう。

 「ッ・・・!?これは!!」

 唐突に襲ってくる睡魔。妖精の尻尾のメンバーはこれを何度も経験したことがある。

 この睡魔の正体は魔法。広範囲・大人数の人間を術にはめるそれを使ったのは、彼ら

と同じく妖精の尻尾のメンバー、その中のS級魔道士である。

 皆が睡魔に倒れ意識を手放した後、彼はギルドの門から姿を表した。

 はっきり言ってしまえば、彼はかなり異質な存在だった。

 全身を暗い色の布で覆っているため、彼の表情や容姿といった情報は分からない。

 何を考えているか分からないと言ってしまえばそれまでだが、少なくとも害意を持っ

て妖精の尻尾に居るわけではない。

 「ミストガンか。」

 ミストガンは今この場で起きているオレと総長に一瞥し、その足でクエストボードま

121 守護者 後

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で歩いて行く。そしてそこに貼られた物の中から適当に依頼書を一枚破る。

 「行ってくる。」

 「これっ!!眠りの魔法を解かんかっ!!」

 ミストガンは総長に背を向け、入り口へと向かう。

 「ミストガン。これを持っていけ。」

 オレが差し出したのはナツに食われないように隠しておいた弁当だ。町から遠く離

れた地でのクエストが多いミストガンは、どうしてもこういった料理の味を口にする機

会が少なくなるからな。

 「いつもすまない。」

 「構わんよ。」

 言葉を交わしたのはそれだけだ。ミストガンは魔法を解きながらギルドを発った。

 皆が目を覚ますころには既に彼の姿はなかった。

     

122

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      その後、総長の孫であるラクサス・ドレアーが火種となり一悶着あったが、被害はナ

ツの怪我だけで済んだ。

 喧嘩に繋がらなかったのはナツがS級魔道士ではないからであろう。

 妖精の尻尾ではS級魔道士にならなければS級の依頼が貼られた二階に上がること

が出来ない。ラクサスが終始二階に居たおかげで喧嘩に繋がらなかったのだ。

 また無駄に酒場を修理することは無くなったのはありがたいが、一つ気になったこと

が起きた。

 二階のクエストボードからS級クエストの依頼書が一枚消えていた。その場に居合

わせていたであろうラクサスに聞いたが、『羽の生えたどろぼう猫がちぎっていったの

を見た。』らしい。

 その一枚は既にここにはないが、内容は覚えている。

 悪魔の島とも呪われた島とも言われるガルナ島。そこの呪いの解呪。

123 守護者 後

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 これはギルド内でも大きな騒ぎを起こしていた。一方その一部始終を見ていたラク

サスは・・・

 「これは重大なルール違反だ。じじい!!奴等は帰り次第『破門』・・・だよな?」

 あの程度の実力でS級に挑んだら帰ってこれないだろうな、と付け加える。

 「知ってて何で止めなかったの!?ラクサスも、エミヤも!!」

 「オレにはどろぼう猫が紙キレ咥えて逃げてった風にしか見えなかったんだよ。まさ

かあれがハッピーでナツがS級に行っちまったなんて思いにもよらなかったなァ。」

 瞬間、ミラの体から彼女のお淑やかなイメージに合わぬ膨大な魔力が溢れ、普段なら

ば絶対に見せない顔でラクサスを威圧する。もっとも、ラクサスはそれを見て面白がっ

ているようにしか見えないが。

 「ミラ・・・念の為に言っておくが、私はその場に居合わせてなかったからな。今回の

案件も今始めて知ったさ。」

 「ええ、でも貴方なら今から追いかければあっという間に追いつけるでしょ?」

 確かに強化の魔術で脚部を限界まで強化して走れば並の交通手段ならば凌駕できる

であろうが、今から追いかける気にはなれない。

 「それを差し引いたとしても、私は追わんぞ。それにナツ達ならあのクエストをクリ

ア出来る予感はある。」

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 依頼の内容はあくまで解呪。そこに戦闘が含まれているとは限らないからだ。

 「何か根拠があるのかしら?」

 「フッ。当てに出来ない直感の類さ。」

 だが直感と云えども蔑ろに出来ない一面もある。オレ自身の直感に対する期待値は

宝くじの上位狙い程度だが、失敗することはないという確信を持っている。だからこそ

今回の騒動に関与する気は一切ない。

 「まあ安心したまえ。ドンと構えて結果を待っていればいい。」

 「案外薄情だな。もっとお人好しな奴だと思ってたが。」

 「なに、余計な手助け程無駄なことはなかろう?私も久し振りに依頼を受けたのでね。

今日はこの辺りで失礼させてもらうよ。」

 オレはそう言い残しギルドの酒場を離れる。後から聞いた話だと、まずはグレイ、次

ナツ達の物語

にエルザがナツ達を追ったらしいが、関係無い。なぜならそれは

であって

私の物語

ではないから。

125 守護者 後

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番外編:王道を歩んだ王

  マグノリアの町

 王国東方にある街で、人口は6万人程。古くから魔法も盛んな商業都市であり、賑わ

いもそれ相応である。

 街の中心にはシンボルとも言える『カルディア大聖堂』が建っており、更にかの有名

な魔道士ギルド『妖精の尻尾』の本拠地でもある。

 特に市場周りは人の往来が激しく、生活用品や食品等大抵の物はこの町から出なくて

も揃う分、店の数もほぼ飽和状態だ。

 商人達にとっては店の競争率の高い場所だが、一度は出店を夢見る目標地点らしい。

 そんなマグノリアの町民や商人達に溶け込めていない人影が一つあった。

 黒のボディアーマーを着込み紅い外套を身に纏うその姿は、マグノリアにそこそこ縁

のある者達から見れば見慣れてしまった姿であった。

 「おっエミヤの旦那!!寄ってかねぇか?いい魚が入ってるぞ。」

 「エミヤさん。こっちも見てきませんか?新鮮な野菜もありますよ。」

 エミヤと呼ばれた男はこの市場の常連客の一人だ。この市場で商いをする商人達の

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中で知らない者は居ないだろう。

 「・・・ああ、すまない・・・先を・・・急いでいる。今日の所は・・・遠慮しておこ

う・・・」

 そう言い残し、彼は真っ直ぐ妖精の尻尾のギルド目掛けて歩いて行った。

 だがその足取りは何だか重く体もふらついていた。目も焦点が合っていないようで、

時折道端の箱や塀に体を預けながら前に進んでいるという印象もあった。

 「珍しいな・・・旦那が脇目も振らずに通り過ぎるなんて。」

 いつもの彼ならば一度は足を止め、食材を吟味して買って行くはずなのだ。

 「ですね・・・いつもとは様子も違いましたし・・・」

 彼らはエミヤの不自然な仕草を気にしたが、それ以上に追求せずにただの思い過ごし

と判断した。

 故に見逃してしまったのだ。エミヤの体から滴り落ちていた紅い液体の存在に。

     

127 番外編:王道を歩んだ王

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      今日もいつも通り日常が妖精の尻尾ギルド内で流れていく。

 飯を食い、酒を飲み、喧嘩という名のじゃれ合いを繰り返す。

 食器や椅子どころか酒樽や机なども飛び交い、軽い戦争地帯のようになってしまって

いる。

 仲裁役の居ないギルドの酒場はいつもこうなり、それを片付けるのはいつも決まって

争いに関係のない者達である。

 だが今のオレにそんなお人好しな気持ちは沸いてこない。

 「あっエミヤ。おかえりなさい。」

 普段から聞き慣れた声が気がした。それは近くで聞こえてきているはずなのにどこ

か遠い場所から語りかけてくるような、そんな感じがした。

 「・・・」

 故に返事を返す事を忘れてしまった。同時に襲い掛かって来る虚無感と脱力感に身

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体中で張っていた力が抜ける。

 「えっ、ちょっと!?」

 先程声を掛けて来た女性、ミラジェーンにもたれ掛かってしまった。少し顔が赤く

なっているが気のせいだろうか?

 「・・・済まないミラ、少々疲れてしまってな・・・身体を預けてしまうが、済まない。」

 「・・・え?」

 振り絞っていた残りの力が枯渇した。皮膚と筋肉が栓の役目を果たせなくなり傷口

から紅い血が大量に流れ出す。

 朦朧としていた意識を完全に手放し、オレは闇の中に溺れて行った。

 絶えず聞こえて来る仲間が叫ぶオレの名も、耳から入っても心まで到達しなかった。

       

129 番外編:王道を歩んだ王

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   次にオレの意識が覚醒したのは見知った天井の下。

 頭が働き出したオレはまずは自分の腕を、その次に全身に目をやる。

 不器用だが包帯が全身に巻かれており、血は完全に止まっていた。

 浅黒い肌も鉄が混じったような白髪も白い包帯で覆われており、今の状況を知らぬ者

が見ればベッドの上にミイラが置かれているようにしか見えないだろう。

 遅れて状況を飲み込み始める。

 どうやら誰かが治療してくれたらしい。 

 ベッドの横には赤い染料を入れたようになった水が入った洗面器とタオル。これは

血に濡れたオレの体を拭いた証拠だ。

 ここで得られる情報は粗方集まった。次は酒場に出よう。

 酒場へ続く扉の取手に手を掛けた時、向こう側の声が聞こえてきた。

 曰く、山脈地帯の森が山ごと抉られたらしいと

 曰く、この世の物とは思えない紅蓮の光の奔流を見た奴がいると

 曰く、鮮やかな花がそれを受け止め混ざり合ったと

 皮肉にもそれらは全て知っている内容だった。

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 「というより、当事者側ではないか。」

 これは始末書物だなと、オレは深い溜息をついた。実際に書くのは総長だがな。

 まあ説明するにもオレが出なければ話が推測の域を出ないだろう。

 霊体化し、怪我の状態を一度リセットする。そのまま酒場に向かって壁をすり抜けて

行った。

           「それで、修復はどうなっておる?」

 「自然に任せれば数百年単位。自然の魔法を使っても僅かに早めるのがやっとかと。」

131 番外編:王道を歩んだ王

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 総長であるマカロフとエルザがなにやら話し合っていた。

 話題はつい先日起きた森林の大規模破壊について。

 突如大爆発が起き、一帯の森林は全滅。山も抉られて平面になったらしい。残ったの

は炭となった木々の残骸のみという大災害だ。

 周辺の集落からは大分離れていたようで、軽い地震による負傷者が数人といっただけ

というのが救いだ。

 だが森の消滅による生態系の変化と森から取れる山菜や薬草の欠乏は見逃せる物で

はない。

 実際に周辺住民からの苦情も多く、評議院は対応に忙しいそうだ。

 これを起こせるのは評議院が所有する超絶時空破壊魔法の『エーテリオン』だけだ。

 だがエーテリオンがそれほどの威力を持っていても、使うことは出来ない。

 使用するには条件があり、基本は存在するだけで危機感を与える『抑止力』だからだ。

ついでに威力も範囲も及ばないらしい。

 だとしたら一体何が起きたのか。情報が足りない評議院は全魔導士ギルドに調査を

クエストという形で出した。

 特に妖精の尻尾は当時依頼を受けて近くに出向いていたエミヤがいるため、有力な情

報が期待されている。

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 「とにかくエミヤが起きない限りは動けんのぅ。」

 「ですがあの怪我です。数日は目を覚ませないと思いますが。」

 「エミヤ程の魔導士があんなにボロボロになるなんて信じられないけどね。」

 エミヤの治療をしたエルザとミラは怪我の具合を見ているからこそ言動だ。

 身体中に刺傷、裂傷、骨は折れていない物の方が少なく、筋肉は神経ごと断裂してお

り、内臓にも被害がいっているようにも見えた。

 むしろ生きていることの方が奇跡であり、命に別状がない彼は一種の人外とも言え

る。

 「それじゃあワシは一息入れるとするかのう。」

 目を覚ましたらまた集まってくれぃと言い残し、 マカロフは退出する。

 「それより、あれだけ慌てていたエルザを見たのは久々ね。」

 「うっ。もう過ぎたことじゃないか。あまり掘り起こさないでくれ。」

 「うふふ。もう一回見たいなぁ。」

 ナツとグレイが居たら確実にこのネタで一週間は弄られていただろう。

 (時期はナツがS級クエストに行って後、エルザが追いかけるまでの間)

 そう胸を撫で下ろしてホッと一息付く。

 「もうちょっと自分の気持ちに素直になってもいいんじゃない?」

133 番外編:王道を歩んだ王

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 「・・・どういう意味だ?」

 確かにエルザはエミヤに仲間以上の想いを抱いていると気づいているがあくまで憧

れが強い物であり、異性に向ける愛とは違う・・・と自負している。

 「起きたらどんな反応をするか今から気になるんじゃないかしら?」

 「別に礼を期待して処置した訳じゃないぞ。大体あんな雑じゃ喜ばれるどころか、文

句の一つが飛んできそうじゃないか。」

 どんどん顔が赤くなっていくエルザを面白可笑しく見るのが最近のミラの楽しみら

しい。

「さぁね。彼結構な皮肉屋だけど根は真っ直ぐだから案外素直に喜ぶんじゃないかしら

?」

 「そうか?」

 「そうだな。おかげで幾分か楽になったさ。」

 年頃の女性からは決して発せられない低い声。彼女達二人しか居ない筈の部屋から

それが聞こえる。

 「きゃ!?エミヤ!驚かせないでくれ。」

 「フ。それは済まないな。」

 そこにはいつもと変わらない笑みを浮かべた男が皮肉混じりの言動で二人に礼を言

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いながら近くの椅子に腰を掛けて座っていた。

 「おかしいわね。こんな短時間で治る傷じゃなかったはずよ。」

 見た限りでは傷は一つ残らず治ってしまっている。ただ治りきっていないというの

は事実らしく、笑みで傷みを堪えて隠しているようだ。

 「それは殆どのサーヴァントが保有している霊体化、それの利点の一つを利用した結

果だ。」

 「霊体化?」

 「その名の通り体を霊体にすることで透明化して実体するあらゆる事象からの干渉を

無効化する。本来は英霊の所持を他人から隠したり、魔力の消費を抑えたりする物だ

が、再び実体化する時に魔力で体を再構築するから、例え元から所持していた服装が破

れていようが、多数の傷を負っていようが、腕をズタズタにされようが、五体満足で実

体化できるというわけだ。・・・流石にダメージや減った魔力までは消せないがね。」

 暫くは箸すら持てんかもな。と続ける。

 「そ、そうか。なら仕方ない。わ、私が看病してやろうじゃないか。」

 「いやそもそもサーヴァントには食事も睡眠も不要なのだが。」

 (あっ、ちょっとだけ勇気だしたわね。)

 噛み噛みだったが必死な様子は伝わって来る。ナツ達がいない分大胆になってきて

135 番外編:王道を歩んだ王

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いる。

 「さて、話せる位には回復してきたからな。総長を呼んだら一部始終を説明しよう。」

 「エミヤ、やっぱり貴方が関わってるの?」

 「まあ、そうなるな。彼処で起きたのは・・・」

 一瞬の間を開け、事の重大性を浮き立たせる。

 ーーー古の英霊同士の剣戟と云えば、分かりやすいかね?

          あれは依頼主に挨拶をを兼ねて依頼内容の確認に行った時のことだ。

 「既に依頼が達成されている?」

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 依頼主は街の代表。腕っぷしはさっぱりみたいらしいが、誠実な言動が評価されてい

るのだろう。実際対応もしっかりしていた。

 「はい。そちらから受注の報告が入って数十分後に一人の鎧を着込んだ方が現れ、

あっという間に討伐対象の魔物を狩り終えました。我々は依頼を受けた魔導士の方だ

と思い、報酬をお渡ししようしましたが、自分は違うと言ってお受け取りになりません

でした。せめておもてなししようとしましたが、あっという間に去ってしまいましたの

でお礼も言いそびれてしまいました。」

 仮にもS級クエストとして討伐に出されている魔物だ。あっさり狩れる物でもある

まい。

 「そうか。とにかく討伐は完了したんだ。おめでとうと言葉しか掛けられないが、済

まないな。」

 「いえっ、此方も大変感謝しております。心残りがあるとすれば、報酬を払えていない

ことです。よろしければ旅費の代わりに受け取って頂けないでしょうか?」

 「悪いが受け取れないさ。その方に払うべき報酬だからな。受け取らなかったという

ことはそちらで使えということだろう。受けた被害の復旧の予算に加えておくとい

い。」

 「何から何まで申し訳ありません。」

137 番外編:王道を歩んだ王

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 「礼を受ける程の事ではあるまい。まあ代わりにその人の特徴を教えて貰えないか?

感謝の心を伝えておくよ。」 

 「それはありがたいです。」

 それから特徴を聞いたオレだったが、心当たりはなかった。

 その戦闘力を聞く限り並大抵の実力者を凌駕しているだろう。

 だが現界している間全ての記憶を引き出しても一致する者はいない。

 飛龍を模した群蒼色の甲冑を身に纏い、枝分かれした棘のような物がついている黒槍

を武器とする騎士の情報はない。

 実力者であることは間違いないが、少なくとも現存する騎士や魔導士の中に該当する

人物はいない。

 声に関しても兜のせいで籠って聞こえていたため、男か女ということも推測が難し

く、ハッキリ言ってお手上げ状態だ。

 そのため現在はその騎士が去った方へ向けて歩いている。

 何故か心に引っ掛かったからだ。

 限りなく低い可能性であるが、『現界したサーヴァント』ではないか?という直感で感

じたからだ。

 どこからそんな妄想に辿り着いたかオレにも分からないが、不思議と間違っている気

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はしなかった。

 暫く歩いている内に大分集落や街から離れていた。

 森の中らしく薄暗く、魔力を宿した草やキノコ、薬草等から魔力の微粒子が出て漂っ

ている。

 常人が吸い込めば体になんらかの不都合が起きるだろうが、サーヴァントとしての抗

魔力のスキルが役立っているようだ。

 そして先程から此方を伺っている視線が多数。何れも此れも敵意と殺意に満ちた物

であるため、恐らくオレを喰おうとする魔物の物だろう。

 仕掛けてこれば追い払うが、害がないなら放っておいてもいいレベルだ。

 「流石に引き返したか?」

 常に真っ直ぐ進んでいたため何処かで進行方向を変えれば見失ってしまうだろうか

ら仕方ないだろう。

 「取り越し苦労か。まあいい帰るとしようか。」

 縁があれば会えるだろうと捜索を諦めた瞬間だった。

 「ッ!?」

 先程の魔物達のそれとは次元が違う圧倒的な威圧感。オレでさえ反射的に獲物を投

影し、冷や汗が頬を蔦っていた。

139 番外編:王道を歩んだ王

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 周りの生物は小動物や鳥はおろか、魔物でさえその殺気に驚き本能に従って一瞬で逃

げ去ってしまった。

 「誰だ!?」

 この全ての生物を凌駕する存在感は、間違いなく英霊のそれだ。それも並の英霊では

ない。

 例えるならクランの猛犬やギリシャの大英雄や征服王のような最高位の英霊クラス

の物だ。

 オレとは決して釣り合わない格の持ち主の気配にオレは体が硬直しかけていた。

 本能的に怯えてしまったオレの体は心と本能で活を入れ無理矢理動かす。

 だがその殺気にほんの僅かだが疑惑の念が混ざっていた。それにこの気は以前感じ

た事がある気がする。

 「ほう。私をつけて来る勇敢な者がいると思えば、貴様も英霊か。」

 「やはり君も英霊だったか。」

 疑問が確信に変わるとはこのことだろう。実際に会って見れば分かるが、やはり人間

とは格が違う。言葉に含まれるカリスマも親から受け継いで成っただけの王のそれと

は比べ物にならない。

 「それで、私に何の用だ?こんな偏狭の奥地まで追って来るとは中々私に御執心と見

140

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えるが?」

 「いや、そういう疚しい気はないがね。街の者からの感謝の意を伝えに来ただけさ。」

 「そういう事か。感謝される程の事ではない。食糧調達のついでに民を救ったまで。

王として成さねばならぬ義務だ。」

 「人はそういった救世主を崇める物だ。もっと誇りに思うといい。」

 「王として誇れる程の事をしていないからこそ、義務として行ったまでだ。かつて滅

ぼした民への贖罪としてな。」

 数手言葉を交わしてみたが、害意や悪意は見当たらない。つまり泳がしておいても問

題ないということだ。

 「私は要件が済んだのでな。この辺りで帰らせていただくよ。」

 「待て。」

 背中を見せようとした時、謎の英霊に呼び止められる。

 「英霊が相対した時、やるべき事があるではないか。」

 「・・・聖杯戦争はとうの昔に終幕を迎えた。むしろ我々二人は背中合わせで離れるべ

きだと思うがね。」

 「つれない事を言うな。私が興味を抱いたのだ。少々付き合え。」

 そうして霊体化させていた槍を実体化させ、構えを取る。

141 番外編:王道を歩んだ王

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 「実はな、私はお前のような男に覚えがある。掠れているが眩しくな。」

 「奇遇だが私もだ。君に似た少女をよく知っている。」

 無意識に干将と莫耶を剣を投影し構えていた。

 「行くぞ・・・」

 「お手柔らかに頼むよ。」

 鳥が飛び立つ羽ばたきの音が始まりの合図となる。

 先手は相手側。黒染めの魔槍で突く。オレはそれをいつも通り受ける。

 速く、重く、急所を狙う鋭い一撃。かつて幾度も戦いを繰り返した青い槍兵に次ぐ物

がある。

 だが小手調べの域を出ていない。この程度捌けねば英霊としてかの者達の横に立て

るものか。

 だがオレの意思は強硬でも剣の耐久は意思で強力になることはない。

 弾かれ、叩き落とされ、砕かれる。

 普通はこれで無手だが、オレはこの面だけは普通ではない。イメージさえ失わなけれ

ば燃料次第で無限に生み出せる。

 「む?」

 素手となったオレを守ったのは、両手に握られた二振りの夫婦剣。先程と寸分違わぬ

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ものだ。

 突然の出来事を考察するためか、一旦距離を取った。

 「刀匠の英霊とでも言うのか?鍛治職人がこれ程の剣技を持つとはな。だが才による

物ではないな。凡才が努力を積み重ねた果て。だが極地であることは変わらん。」

 「ご名答と言うべきか。大した洞察力だ。確かに私に与えられた才能は剣を創ること

だけだ。剣そのものは死線をくぐり抜けた報酬とでも言うべきか。尤も、その原点はと

ある女性との鍛錬だったが。」

 「貴様程の凡人を創った要素の一つだ。余程素晴らしい女性なのだろうな。」

 「ああ。私如きが手を触れる事すらおごましい。高潔で、勇猛と可憐を合わせ持って

いて、そして・・・その在り方は本当に君によく似ている。」

 暫く静寂が生まれる。互いに互いの言葉を頭の中で何度も反芻し再生しているから

だ。

 それを破ったのは、甲冑が地に落ちる金属音。全身を覆っていた鎧から姿を見せたの

は・・・

 「・・・私はやはり貴方を知っている。その全てを背負った傷だらけの背中を・・・」

 「私も君に心当たりがある。君のように王の責務に縛られた少女をな。」

 特徴的なのは色褪せた金髪と碧眼。露出が多い分胸の谷間がよく目立つが、スタイル

143 番外編:王道を歩んだ王

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は抜群と言えるだろう。

 「お喋りはこの辺りにしておこう。鎧を脱いだ分、速度が上がるが、ついて来れるか

?」

 「ついて来れなければ、その時が私の死に際だ。」

 「そうだな。」

 前から聞こえていた声が後ろから聞こえて来る。直感と反射で彼女の一突きを回避

する。体からは魔力が硝煙が立ち上るように漏れている。

 「魔力放出のスキル・・・それもAランク相当ッ!?」

 「分析する前に体を動かせ。」

 またもや背後に周り込まれる。振り向いた時に残されているのは放出された魔力と

槍が付けた刺傷。

 「どうした?まだまだ上げるぞ。」

 「があッ!?」

 直後にオレの全身から血が噴き出す。それが一瞬で付けられた傷による物だと推察

するのに時間はいらない。

 元々ランサークラスに選ばれる英霊は最高位の敏捷を持ち合わせている者が多い。

それが魔力放出による推進材を使ってるのだ。瞬発力は並のランサーを軽々凌駕する。

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 勿論オレが追えるような物ではない。先読みに先読みを重ねれば対応できないこと

はないが、一歩踏み外せば致命傷だ。

 「ハッ!!」

 オレは体中に剣を投影し、即席の鎧を作る。鎧とはいえ針鼠のような物だから近寄れ

ばダメージを受けるのは敵側だ。代わりにオレの体を切り裂く諸刃の剣でもあるが。

 「愚かな。切り返すためだけに自分で自分を傷付けるとはな。」

 「生憎だが慣れた物だ。実際結果は出している・・・無駄ではあるまい。それにこの距

離は、私の間合いだ。」

 瞬時に弓と矢を投影し、つがえる。

 「侮っていたのは私か。だが甘いな。もしもこの槍がその間合いを埋めてしまえるも

のならどうする?」

 「・・・」

 ハッタリでないといえことは分かりきっている。騎士は自分を有利にするために嘘

を吐く人種ではないからだ。

 魔力を集中させ、黒槍の真名が解放される。

最果てにて輝ける槍

  それはアーサー王が所有する宝具の一つで、かの聖剣に次ぐ槍。

145 番外編:王道を歩んだ王

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 アーサー王はこの槍を用いて自らの子供であるモードレッドの命を奪っている。

 「そうか・・・やっぱり君は・・・」

 「受けてみよ。この一撃を!!」

 放たれたのは紅蓮の閃光。魔力の奔流がオレを飲み込まんとするべく、荒れ狂い襲い

掛かる。

 「何故避けようとしない?」

 「騎士の必殺を避けるなど、君の誇りが許さないだろうに。それに勝ちを確信するの

盾アイアス

はいいが、その一撃、私の

を貫けるかな?」

───I am the bone of my sword.

る。

 熾天覆う七つの円環

ロー・

  現存魔力を限界まで込めて創るのは、仄かに輝く七つの花弁を模した盾。

 元はトロイアで使われた英雄アイアスの盾の内の『あらゆる投擲武器の攻撃を防ぐ』

という概念のみを抽出したオレの最高の守り。

 展開した瞬間、紅蓮の光とぶつかり合い、辺りを閃光で覆い尽くした。

   

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        後に残ったのは無傷の彼女と満身創痍の傷を負ったオレのみ。

 覆い繁っていた自然は全て燃え尽き灰になっていた。

 結果だけで言えばアイアスはロンゴミニアドの解放された魔力を受けきった。

 だが盾以前にオレ本体の体力がもたなかった。魔力の余波に晒されただけでこの有

り様だ。

 「一ついいか?」

 「・・・」

 殺気と警戒心が消えた。オレを脅威と認識しなくなった結果だろう。

 「貴様、何故本気でやらない?」

 「・・・何のことかね?」

147 番外編:王道を歩んだ王

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 苛立ちが限界を越えたのか、彼女はオレの胸ぐらを掴み引き寄せてロンゴミニアドの

切っ先を喉元に突き立てる。

 「惚けるな!!今思えば最初からおかしかった。貴様はただの一度も攻勢に転じなかっ

た!!機会などいつでも作れたはずなのにな!!弓を構えた時も威嚇だけ。結局貴様は一

度たりとも手を上げなかった!!貴様は私を、騎士王を愚弄する気で受けたのか!?」

 「違うな。いいか?既に君が担っていたブリテンは存在しない。遠く離れたこの時代

に現れた君は既に故人だ。騎士でも王でもなくただのアルトリアなのだよ。」

 「まさか私がただの女というだけで手を上げなかったというつもりか?」

 「正義の味方が女性に手を上げたらおしまいだろう?」

 「・・・心も論戦でも私の負けか。」

 「勝ちも負けも存在しないよ。答えを得た者が勝者だ。」

 「そうだな、シロウ。」

 彼女の手がオレから離れ、決着が着いた。勝者も敗者も居ないが、少なくともオレは

満足している。

 物理的な危機から救うだけが正義の味方ではないのではと最近思うところがあった。

 こえした頑固者に違う道を諭すのもまた違う正義の在り方ではないのだろうかと。

 その証拠に彼女は微かに笑っていた。

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          オレは今までの出来事を大まかにだけ説明した。

 アルトリアの事は伏せ、ただ宝具同士のぶつかり合いによる被害とだけ伝えた。

 アルトリアの事が漏れてしまえば、重要参考人として拘束ないし処刑される可能性も

出て来る。

 捕まることはないにしても、確実に肩身の狭い思いをするはずだからな。

 歩ける程度にまで魔力が回復したオレは、自宅への帰路についていた。

 「それにしても、彼女は一体・・・」

 少なくとも、私が知っているアルトリアはあそこまで成長していなかったし、あんな

149 番外編:王道を歩んだ王

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胸も大きくなかった。

 推測では『こうなっていたらこうなる』というもしもが反映された存在というもの。

 「まあ置いてきた今となっては確かめる事もできないが。」

 そりゃ流石に『お前を私の婿にするっ!!』なんてどこかの黒兎のような事を言われれ

ば身の危険を感じずにはいられないだろう。

 こういう時は逃げた者が勝ちというのは古今東西変わらぬ事実であろう。

 町の郊外の一角にオレの家は建っている。

 建築屋に無理を言って作って貰った和風の家、というよりオレが衛宮士郎だった頃を

過ごした家と瓜二つだ。

 オレの記憶が確かな分だが、内部構造は勿論土蔵も再現済みである。

 当然電気やガス、水道と言った類の物は当時の物は使えないが、それら全て魔法で補

えるため、公害等の自然汚染に気にしないで使えるのはプラスだ。

 敷地の中に入ると、暗いはずの部屋に明かりがついていた。

 「・・・なんだろう。セイバーではないのに嫌な事が起きると直感が囁いている・・・」

 意を決して玄関の引き戸を引いて開ける。

 「お帰りシロウ。ご飯にするか?お風呂にするか?それとも・・・」

 「いや待て。何故君がここに居る?」

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 何故か玄関で待機している騎士王ことアルトリア。ご丁寧に正座をしてエプロンを

付けることで如何にも良妻だという雰囲気を醸し出している。

 「何故も何もない。シロウの気配を辿ってきただけだ。」

 「一体どこで選択肢を誤った?」

 流石の幸運ステータスを恨むしかなかった。

 「そうかそうか。つまり私を選ぶということだな。」

 「待て待て。どこをどう解釈すればそうなる?」

 よく見れば今の彼女の柔肌を隠しているのは白いエプロンただ一つ。所謂裸エプロ

ンと言われる物だ。

 「そうだ今やろう。ここでやろう。すぐやろう。」

 明らかに危ない目をした騎士王が、その異様な威圧感に仰け反り壁際まで追い詰めら

れたオレに這い寄って来る。

 「な、何をするだァーッ!」

 「何とは何だ。愛し合う男と女の夜の営みという物であろう。」

 騎士王という責務から解き放たれた結果がこれというわけか。欲望に忠実になり過

ぎておられる。

 あの高潔で気高き騎士王が、匠の手により御覧の有り様に。誰だよその匠は・・・オ

151 番外編:王道を歩んだ王

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レなのか?

 「フッフッフ・・・貴様に私の全てを注ぎ込んでやろう。肉体的にも精神的にも・・・

性的にもな・・・」

 「オイィ!?」

 だが盛大に何も始まらない。

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幽鬼の支配者

  現在依頼を終え、帰路に着いている途中だ。

 S級クエストの魔物を狩り、その報酬を受け取るという簡単な仕事だった。

 アルトリア?何故ここで彼女の名前が出てくる?

 彼女と最後に会ったのは第五次聖杯戦争のはずだが?

 しばらく会っていないから会いたいという気はあるが、彼女をこの世に拘束するとも

言える召喚をしてまで会いたいとは思わない。

 まあ彼女も向こうで元気でやっているだろう。そう信じることにした。

 見慣れた街道を通り抜け、見慣れた市場を通り過ぎ、見慣れたギルドの酒場に『ただ

いま』を告げる・・・ことは出来なかった。

 オレの記憶にあったギルドの酒場は既にそこに無く、代わりにそこにあったのは、見

るも無残に破壊されたギルドの残骸だった。

 「・・・また面倒事の予感がするな・・・」

 回避する事も可能だろうが、そんな回答は不思議だが出てこない。

 これから起きるであろう騒動に溜息を吐きながら進路を塞ぐ瓦礫を退け、オレは人の

153 幽鬼の支配者

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気配がする地下へと足を踏み入れた。

           妖精の尻尾のギルドには二階もあるが、地下にも集会場がある。普段は使われていな

いが、こういった緊急時の集会や余った食品や金品の貯蔵等に重宝している。

 こんな襲撃があったからか遠くにクエストに出ていたメンバーも集まっている。

 酒場の中心部、カウンターの一角に我らがギルドの総長であるマカロフはジョッキを

片手にドンと腰を掛けて座って居た。

 そしてとある男が総長に怒鳴り立てていた。自分の意見が通らないのが納得いかな

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いらしい。

 「喧しいぞナツ。」

 オレは対暴徒宝具『虎竹刀』を投影し、ナツの頭の頂点部から叩き落とす。

 虎の咆哮如き一撃は、ナツの意識を刈り取り無理矢理黙らせる。

 「おおエミヤか。丁度いい所に来た。」

 ギルドを破壊されたにも関わらず相変わらずマイペースな総長だ。

 「お主からも何か言ってやってくれ。放っておけとな。」

 「・・・そもそも私はたった今帰って来たばかりで状況も判断できていないのです

が・・・」

幽鬼

ファントム

 「夜中、誰も居ない間にやられたの。

に・・・」

 説明してくれたミラからはいつもの笑みが消えていた。皆の拠り所であるギルドの

酒場が無残にも破壊されて悲しかったのだろう。

亡霊

ファントム

 「そうか・・・

か・・・」

 幽鬼の支配者

 確か総長と同じ聖十大魔道の一人である『ジョゼ・ポーラ』が率いている魔道士ギル

ドの名だ。

 妖精の尻尾がここまでの力を得るまでこの国を代表する魔道士ギルドだった物で、現

155 幽鬼の支配者

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在は妖精の尻尾と拮抗した力を持っていると言われている。

 向こうの総長は相当こちらのギルドが嫌いらしく、ちょっかいや小競り合いは今まで

に多々あったが、こうも表立っての攻撃は始めてだったはず。

 「エミヤからも総長に進言してくれないか?」

 ナツ達は亡霊共への報復を望んでいるが、総長はそれを拒んでいるようだ。確かに家

を壊されて泣き寝入りするのは頂けないが、ギルド同士の抗争は評議会で禁止されてい

る。 

 巨大な力を持った魔道士達はかつて戦争にも使われていた。そんな魔道士達を法で

縛って過剰な力を使えなくしてはいるが、集まって激突すれば話は別だ。

 魔道士達の戦いで滅んだ国は過去数え切れない程あり、散った命はもはや数えるまで

も無く多い。

 「・・・悪いが断る。奴らには手を出さない。」

 「何でだよエミヤ!!」

 意識を手放したナツがいつにも増した形相で食いかかって来る。回復が早かった事

には流石に驚いたが、狼狽える訳にはいかない。

 「何でもだ。一時の感情に任せて仕掛けていい相手ではないんだ。なら冷静になって

耐え忍ぶしかない。」

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 「だがよぉ・・・」

 「分かっている。納得しなくていいが理解はしてくれ。悔しいのは誰だって一緒だ。」

 そこまで言われたら引き下がるしかないと、ナツは渋々納得しているようだ。

 「他の者も今は大人しくしていて欲しい。ファントムには今は手を出さないでくれ。」

 なんとか収めたが今は無理矢理怒りを抑え込んでいるだけにすぎない。いずれ爆発

する時が来てしまうだろう。

 そんな不安を抱えつつ、オレはギルドの仲間と別れて行動を開始する事にした。

          

157 幽鬼の支配者

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 目的地はフィオーレ王国の北東、マグノリアの北西に位置するオークの街。幽鬼の支

配者がギルドを置く街である。

 目的は斥候。独断での行動だが、この際気にしない。妖精の怒りを知らぬ亡霊共は成

仏させなければ気が済まない。

 (どうやらオレも人並みに怒りを感じているようだ。)

 世界という端末からオレという機械にインプットされた仕事を淡々とこなす意思を

持たない人形だった頃のオレと比べると随分柔らかくなったと感じる。というより、衛

宮士郎よりも前、一度目の死を経験する前の○○士郎の方が近い気がする。

 (まあそれでもオレはエミヤシロウだがな。)

 オレは情報が集まりそうな場所の中から適当に酒場を選んで店の中に入る。

 給仕の女性に酒とそれに合う肴を適当に注文し、標的が来るのを待ち構える。

 ここなら幽鬼の支配者の連中が入って来ると見ての行動だ。

 ギルドの中にも酒場はあるだろうが、街の外から依頼で帰って来る奴らの中には先に

一杯やろうと言い出す者も居るはず。

 今回の襲撃は恐らく餌だ。ギルドを破壊して此方を誘き寄せるためのな。

 ならば戦力を集めるために散って居た仲間を招集を掛けるのは至極当然の事。

魔水晶

 霊体化して直接乗り込むという手もあるが、持ってきた通信用の

を手放さねば

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ならないため控えている。

 昔活躍されていたとされる伝説の傭兵のように潜入してもいいが、彼程の潜入スキル

を持ちあわせてもいない。

 今後の方針を頭に浮かべていると、如何にも悪漢と呼べるような柄の悪い男達が入っ

て来る。体には妖精に喧嘩を売った亡霊の紋章。接触は出来たようだ。

 奴らはオレから少し離れた席に座る。このままでは話が聞こえないであろう距離だ。

だがオレにはそんな距離など関係無い。耳を強化の魔術で強化し、音を拾える範囲を人

間の域を超えさせる。

 やがて奴らの話し声が聞こえてきた。

  そういえば総長が言ってた標的って誰だったか?

 オイオイ忘れたのかよ。ルーシィ・ハートフィリアってお嬢様だよ。手を出すなって

言ってたろ?

 そうだったな。危うく全員殺っちまうとこだったぜ。

 気をつけろよ。もし手を出したら殺されるのはこっちだぜ。

 違いねぇな。

 

159 幽鬼の支配者

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 強化していなくても聞こえてくる程の大声で笑いが聞こえてくる。礼儀も品も無い

連中だ。

 (まあ大概予想通りだったか。)

 ギルド襲撃は誘き寄せるための布石。本当の狙いは手薄になったギルドからルー

シィを誘拐する事。

 以前苗字を明かさないルーシィが気になって素性を調べた事があった。

 ハートフィリア財閥と呼ばれる大資産家の令嬢が家出したという情報は此方でも耳

にしていた。恐らくハートフィリアの人間が幽鬼の支配者にルーシィを連れ戻せと依

頼を出し、妖精の尻尾に居たルーシィを誘拐するついでに目障りなギルドを潰してしま

おうという魂胆だろう。

 ルーシィは単独での戦闘能力は高くない。孤立したルーシィに実力者を向ければ誘

拐するのは簡単だ。

 (だが甘いな。資産家の娘であると気付いた時には既にルーシィにはあの仕掛けを施

しておいた。)

 不器用なオレ特製のプロテクトだ。少なくともAランク以上の宝具の真名解放で無

ければ突破は出来ない程の強度はある。

 後は念の為にこの情報を総長達に伝えておこう。

160

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 勘定を払って店を後にする。幽鬼の支配者のメンバーによって店の中の空気は最悪

になっていたから丁度いい。

 通信用の魔水晶を起動する。通信相手は総長だ。

 『誰じゃ?今儂は気が立っている。手短に頼む。』

 「私です総長。」

 『エミヤか!?』

 総長の不機嫌な気は飛んでいた。魔水晶の向こう側が騒がしくなる。相当の人数が

向こう側に集まっているらしい。

 『お主今まで何をしておった?こんな大事な時に。』

 「独断ですが偵察を。それで、大事な時とはどのような事で?」

 『幽鬼を潰すんじゃ!!彼奴らボロ酒場だけじゃなくレビィ達にまで手を掛けよって

!!』

 やはりまだ餌を撒いていたか。ギルドを破壊しただけでは決めてに掛けると踏んで

の行動か。

 「やはりですか。」

 『お主気付いておったのか!?』

 「奴らの目的から推測すれば妥当かと。奴らは目的を遂行するためにどうしても我々

161 幽鬼の支配者

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を自分達のギルドに引き付ける必要がありました。」

 『して、その目的は?』

 「誘拐です。ハートフィリア財閥のご令嬢であるルーシィ・ハートフィリアの。」

 『何じゃと!?』

 更に向こう側が騒がしくなる。

 『マズいぞ。既にギルドを出てしまっておる。』

 「あー。やはり仲間を傷付けられて我慢出来ませんでしたか。」

 『全員もうオークの街に着く所じゃ。エレメント4が来たらルーシィが持たん。』

 「既にルーシィには策を打っておりますが、不安でしょうか?」

 『流石に仕事が早いのう。じゃがやはり打てる手は打っておいた方がいい。』

 ふむ。全員離れているとなると恐らくレビィ達負傷組と今は戦えなくなってしまっ

たミラくらいしかいない。

 いや、奴がいる。

 「ロキに向かわせましょう。奴なら依頼でそこに居ないでしょう。」

 『そうじゃな。後は頼むぞ。』

 そう言い残し魔水晶の輝きを失う。

 「次はロキか。」

162

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 布石を打てるだけ打つ。下準備はしっかりと行わなければ何事も良い結果は生まれ

ない。

 再び魔水晶は輝きを取り戻した。

           幽鬼の支配者のギルドでは王国で一、二を争うギルドが激突していた。

 妖精が幽鬼を奇襲する形で始まったこの戦いは、奇襲した分妖精が押していた。

サラマンダー

 「で?それが本気か?

。」

 「安心しろよ。ただの挨拶だ。竜のケンカの前のな。」

163 幽鬼の支配者

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 そしてその中心で火の竜と鉄の竜が周りの人間達を置いてけぼりにしながら前哨戦

を繰り広げていた。

 それを遮るように現れたのは天変地異を誘発する程の魔力を溢れさせる老人、マカロ

フの怒りだった。

 だがその怒りが爆発する事はなかった。

 マスター・ジョゼは思念体。それを囮にして気配を消したエレメント4のアリアがマ

カロフの魔力を空中に霧散させ無力化する。

 それによって妖精側のメンバーの士気の低下。幽鬼側が押し返し始める。

 「撤退だ!!全員、ギルドへ戻れ!!」

 マカロフにその場を任されていたエルザが撤退の指示を出す。マカロフ無しでは

ジョゼには勝てないからだ。

 勿論妖精の尻尾のメンバーは撤退指示を聞かず、まだ戦おうとするがエルザが必死で

説得し、なんとか撤退を開始する。

 「逃がすか!!」

 今までの仕返しをするために追い打ちを開始する幽鬼の支配者。怪我人が多い分妖

精の尻尾は撤退速度が遅いため、いずれ追い返される。

 「くっ、ここは私が!!」

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 エルザは一人残って殿を引き受けようとする。

  その前に後ろに跳べエルザ。

  ふと低い男の声が聞こえて来る。どこか安心するその声に疑問を持つことなく後ろ

に跳ぶ。

 その直後に無数の剣が降り注ぎ、妖精の尻尾の退路を確保し幽鬼の支配者の進路を塞

ぐ。

 「エミヤか!?」

 「ああ、少々遅刻してしまったみたいだな。」

 こういった場面で必ずと言っていい程確実に遅れて来る男、エミヤシロウは己が放っ

た剣の壁の上に立つ。

 「何モンだテメェ?」

 鉄の滅竜魔導士『ガジル・レッドフォックス』がいきなり現れた未知の男に問い掛け

る。少なくとも自分が調べた妖精の尻尾の魔道士の中にこんな魔法を使う者はエルザ

を置いて他に居なかったからだ。

 「何、ただのしがない弓兵さ。」

165 幽鬼の支配者

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 「弓兵が剣を扱う滑稽な話があるかよ!!」

 挨拶代わりに己の腕を鉄の槌に変え、エミヤに殴り掛かる。

 「躾がなってないな。投影、開始。」

 槌に対抗するのに剣や槍は向いていない。もっと強度のある物。例えば対象を割る

事に特化した斧とかマサカリなどだ。

黄金喰い

ゴールデンイーター

  正式名称はこれではないが、何故これで解放出来るのか。誠に遺憾であるが持ち主は

真っ当な英霊である。

 日本では桃太郎や浦島太郎に並んで有名な英霊である坂田金時、金太郎の名で知られ

ている英霊が愛用した宝具だ。

 それを投影、槌に真っ向勝負を挑む。

 叩き潰す物と叩き割る物。両者がぶつかり合った時、より強度の高い物が勝つ。

 「ガァッ!?」

 先に悲鳴を上げたのはガジルの方。己の腕を変えていた分、痛みを感じやすかったよ

うだ。

 「テメェ・・・」

 腕からは血が滴っている。あの腕はもう使えまい。

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 「こちらにも役目があるのでね。しばらく付き合ってもらうぞ。」

 金太郎の斧を消し、いつもの使い慣れた黒と白の夫婦剣を両手に持ち、剣の壁から幽

鬼の支配者達がいる側へ降り立つ。

 雑兵達が怖れて一歩下がる。

 「多対一だが、数で押し切れば勝てると思うなよ?」

 剣を構えて前に一歩出る。それに伴って幽鬼の支配者は一歩下がる。

 「精々気張れ。気を抜けば貴様等の命が飛ぶと思え。」

槍兵ランサー

 (

程ではないが、しぶとく時間を稼がせてもらうぞ。)

 かつて出会った腐れ縁の青い槍兵の技を一部だけ再現し、戦闘続行スキル無しで無様

に足掻き続ける。

 何十分でも、何時間でも。

167 幽鬼の支配者

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束の間の休息

  マグノリアの東の森の奥に一軒家が建っているのは知っているだろうか?

 そこには一人の治癒魔道士が一人でひっそりと暮らしている。

 名を『ポーリュシカ』

 森の奥で一人で住んでいるのは人間嫌いだかららしいが、それなのに妖精の尻尾の顧

問薬剤師を引き受けていたり、今こうして魔力を抜かれたマカロフの治療をしている辺

り、欲望や傲慢といった負の一面を嫌っているようにも見える。

 マカロフを運んできたギルドの二人を追い出す形で帰した彼女はマカロフが寝かさ

れているベットに視線を落とす。

 「昔から世話のかかる男ね・・・」

 二人はかなり昔からの知り合いらしく、思い出もそれなりにあるようである。

 「魔道士にとって魔力とは生命の源にも等しい。魔力が強大な者ほどあの呪文は苦痛

を伴う。あんた・・・がんばらないとこのまま死ぬ事もあるんだよ。」

 本当に悲しみが溢れた目になっていた。

 そんな静寂を破るように家のドアが開かれる。

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 「!?アンタは・・・」

            妖精の尻尾はギルドもメンバーもボロボロだった。

 大小様々なれど怪我を負った者は多く、体力も魔力も消耗が激しかったが、彼らを消

耗させた物は他の何でもない。彼らの希望である総長が戦闘不能になったことである。

 魔力で張っていた彼の肉体はそれが抜けて抜け殻のように弱々しくなってしまった。

 象徴を失った組織は脆い。だが彼らの闘志は折れていなかった。

169 束の間の休息

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 態勢を整え、再起の機会を伺いつつ反撃の牙を磨いていた。

 前哨戦は終わりを告げ、ここからは両者による総力戦だ。出し惜しみをした方が負け

る。

 魔道士の総合的な質は互角と言っていいが、兵器の数や魔道士の数は幽鬼の支配者の

方が上なのだ。

 現状の最大戦力であろうS級魔道士は妖精の尻尾に6人、依頼でギルドから離れてい

る者や居場所が分からず連絡が取れない者、引退し戦えない者を除いた場合、その3分

の1の2人しかいない。

 妖精女王の異名を持つ若き女魔導師『エルザ・スカーレット』と最近になって活動を

再開した『エミヤ・シロウ』である。

 エミヤは幽鬼の追撃を一人で食い止めている最中でこの場におらず、安否も確認出来

ていない。

 よって現状はエルザ一人と言って過言はない。この状況を覆すのは困難であろう。

 だが誰一人諦めていなかった。

 そして、せっせとメンバー達が反撃の準備をしている中、酒場の隅で座って自責の念

に震えていた少女がいる。

 今回の幽鬼が大規模襲撃を行った目的であり、お互いの最優先目標である『ルーシィ・

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ハートフィリア』だ。

 事の発端は幽鬼の支配者に出された一つの依頼。国を代表する資産家である彼女の

家から彼女を連れて来いという依頼。それによって大義名分を得た幽鬼の支配者が数

と勢いに任せて仕掛けてきたという物だ。

 自分のせいで皆に怪我を負わせたと、そんな風な負の感情に怯えていた。

 実際他のメンバーが出払った後に彼女は誘拐されかけた。

 幽鬼の支配者におけるS級魔道士であるエレメント4の内の二人が魔法でルーシィ

を拘束しかけた。

 だがそこで誤算が生じる。

 彼女の背中に施された魔法陣。それはエミヤが予め仕掛けておいた防御用の魔術の

発動の鍵。

 施された者が瀕死の傷を負ったり、意識を失った場合に自動で発動。

 エミヤの魔力を媒介にして彼の丘の聖剣達を投影。対象を何重にも重ねた剣の檻で

守るという物だ。

 彼の計算上ならば魔導収束砲も評議院の最終兵器も耐えうる概念を持たせたゆりか

ごだ。

力屠る祝福の剣

無毀なる湖光

 使われた宝具も

等を筆頭に、優れた守りや耐久性の伝

171 束の間の休息

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説を持つ物ばかりだ。そうそう破られる事はない。 

 彼は彼女が狙われるということにも気付いていたらしく、それだけ彼女を重要視して

いる。

 だがルーシィはどうしても解せない事があった。敵の目的が自分の身柄だというこ

とに気付いていたら、私を切り捨てて幽鬼の支配者に引き渡せば犠牲は最小限に抑えら

れるし、多くの被害を出す事もなかった。そんな考えを抱いた証拠も無ければ思いたく

もない妄想だが、次々と湧き上がる不安から生じた負の感情がルーシィにまとわり付い

ていた。

 そんな負の連鎖を断ち切るきっかけを作った者達が居た。特に彼女と親しい者達だ。

 「どーした?まだ不安か?」

 「ううん。そういうのじゃないんだ・・・なんか・・・ごめん。」

 だがそれでも興味を惹いただけ。完全に拭き取るには程遠い。

 元々は自分が身勝手な行動をしてしまったために招いた騒動であるため、その罪から

逃げるように堅い殻に自分の感情を押し込んでしまっているのだ。

 「つーか。『お嬢様』ってのも似合わねぇ響きだよな。」

 転機をもたらしたのはルーシィが妖精の尻尾で一番最初に出会った男であるナツ

だった。

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 「この汚ねー酒場で笑ってさ・・・騒ぎながら冒険してるルーシィって感じだ。」

 それは妖精の尻尾の本質でもある。つまりそれを正せばルーシィはもう妖精の尻尾

のメンバーであり家族であるという事。

 「ここにいたいって言ったよな?戻りたくねえ場所に戻って何があんの?」

 その通りだ。周囲に流されていては本当の幸せなど掴めるわけがない。

 「妖精の尻尾のルーシィだろ?ここがおまえの帰る場所だ。」

 そう言葉を発したナツには一変の曇りも下心も無い。そういった純粋な心が人を救

うのだ。

 だがそれでは敵は止まらない。実際人手が心許ない状態は続いており、怪我人も疲弊

といったダメージは馬鹿にならない。

 何より他より頭一つ飛び抜けたS級魔道士の数が負けている事が一番深刻な問題だ。

 現状戦いに参加出来るS級魔道士はエルザ一人のみ。

 そのエルザも一時的とはいえ休息を取れる状況であるため、今はシャワーを浴びて体

を休めている。

 (マスターは倒れ、ラクサスもミストガンも不在。エミヤもどうなったか分からな

い・・・結局、私はあそこで何をしていた・・・)

 そんな過去も今となっては変えられぬ事実だ。出来ることといえば代わりに物に感

173 束の間の休息

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情をぶつけることのみ。エルザがバスルームの壁に拳骨をぶつける。血が滲んだ拳は

彼女にどれだけの自責の念を与えてるかは明白であろう。

 妖精の尻尾内でそれぞれの感情が行き交う中、突然の地響きが襲い掛かる。

 地震ではない。何かの足音のような物が刻一刻とギルドに迫っている。

 「外だ!!」

 魔法銃の使い手であるアルザックが皆に危険を知らせる。

 外に出た皆が見た物を容易く信じる事は出来なかった。

 巨大な城が自らの足で歩いて迫って来ていたからだ。機械仕掛けのギルドその物が

幽鬼の支配者の切り札。

 それは妖精の尻尾のギルドに対面する位置で止まり、腰を下ろす。

 「魔導収束砲"ジュピター"用意。」

 マスタージョゼが部下に指示を送る。膨大な魔力を収束して撃ち出すそれの威力は

兵器の名に恥じぬ強力な一撃であり、人間個人で防ぐのはほぼ不可能。

 「消せ。」

 無慈悲にも放たれた膨大な魔力が全てを飲み込みながら襲い掛かる。巻き込まれた

物は血の一滴すら残らない。

 「全員伏せろォォォ!!」

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 真っ先に駆け出したエルザは皆よりも前に出て換装を行い、超防御力を誇る『金剛の

鎧』を纏い防御態勢を取る。

 金剛とはダイヤモンドの和訳。この星の天然物質の中で一位を誇る硬さは伊達では

ないが、それでも受け止められる保証はないし、第一に中身が先に焼かれる可能性もあ

る。

 ナツが心配してエルザを止めようとするが、それはグレイによって引き止められる。

 エルザがそれを受け止めたジュピターは魔力が球体となり、触れた物全てを粉塵にま

で粉々にする。

 「ぐああああっ!!」

 時間が進むごとに砕けていく金剛の鎧。ジュピターはその中身のエルザを喰らおう

という意思を持っているのか、力を衰える様子を見せない。エルザにも貫通し大きなダ

メージを与える。

 そんなエルザを心配する声も上がるが、彼らは何も出来ずただ悔しさに息を飲む。

 鎧の部分がほぼ砕けた所でエルザに限界が訪れる。ここで堪えなければ後ろのギル

ドや仲間と共に飲まれる。

 エルザ一人では助かる可能性は限りなく低い。ただし、エルザ一人の場合ならばだ。

───体は剣で出来ている

───I am the bone of my sword.

 

175 束の間の休息

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 何処からか聞こえる聞き慣れた呪文。それはとある男を表す一文であり、これを言葉

にする男は古今東西を探しても一人しかいない。

熾天覆う七つの円環

ロー・

  エルザとジュピターを左右に分けたそれは例えるなら七つの花弁。仄かに紅い盾は、

エルザが削ったジュピターを容易く受け止めた。

 「な・・・何が・・・」

 今まで受けていた苦痛はどこかへと消え、代わりに自分を支えてくれる温かさを感じ

る。

 「全く君は・・・いつもそうやって無茶をしようとする。」

 エルザを抱え、右腕を突き出してアイアスを展開するエミヤの姿はとても頼もしかっ

た。

 アイアスという障壁を破る事は出来ず、ジュピターの収束魔力が霧散する。妖精の尻

尾のギルドはまだ健在していた。

 『貴様・・・我々の邪魔をしてくれやがったガキめ・・・何処までも目障りな・・・』

 拡声器を通して聞こえて来るその声には苛立ちに近い怒りが含まれている。

 『たった一人増えた所で何も変わりはしねぇ。ルーシィ・ハートフィリアを渡せ。今

すぐだ。』

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 それが幽鬼の支配者が満身創痍の妖精を見逃す唯一の条件。逆らえば総力戦となる。

 周りからそれに対して反抗する声が上がるが、ジョゼの要求は変わらない。ついに

ルーシィの心が折れそうになったその時、一倍大きな声が上がった。

 「仲間を売るくらいなら死んだ方がマシだっ!!」

 「オレたちの答えは何があっても変わらねえっ!!おまえ等をぶっ潰してやる!!」

 満身創痍だったエルザが、仲間を傷付けられて怒りに燃えるナツが叫んだ。それに比

例して妖精達の士気も回復していく。

 「ならば、さらに特大のジュピターを喰らわせてやる!!装填までの15分、恐怖の中で

あがけ!!」

幽兵シェイド

 次弾を撃つと宣言し、更に自らの魔法『

』を使って追い詰めていく。

 「貴様こそ何も分かっていないな。どうやら慢心すると周りが見えなくなるらしい。」

 いつもの様に気障で皮肉を交えた言動を交えながらそうエミヤは言い放った。

 「仲間の危機が迫れば迫る程、妖精は力を増すということだ。貴様は脅しているよう

だが逆に闘志を燃え上がらせているだけだぞ。最も、自らの首を締めたいというのなら

喜んで手を貸すがね。」

 「舐めた口を・・・ならばまず貴様から死ね!!」

 軽く百を超える幽兵をエミヤ一人に向かわせる。百対一の場合、当然百の方が有利

177 束の間の休息

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だ。幾ら一が一つ一つよりも強力な力を持っていても、数の有利を覆すのは厳しい。

 だからこそ古来より戦争は数をより多く集めた方が主導権を握れたのだ。

 だがもしも一の力で百に匹敵する数を集められるなら、その常識は覆る。

────工程完了。全投影、待機

 

 

 

 

ロー

 

レッ

 

  エミヤの背後に次々と刀剣が現れる。それらの役目はただ真っ直ぐ飛ぶこと。切っ

先が彼の意思の元に敵の兵に向く。

 ───停止解凍、全投影連続層写

 ただの剣とはいえ、それが音速を超えて射出されれば弾丸と変わらない。むしろ質量

が鉛球よりも重いため威力は此方が上であろう。

 障害物がない平地で剣の雨に晒された幽兵は為す術なく散っていく。

 幽兵が埋め尽くしていた場所は役目を終えた剣の残骸が突き刺さるのみとなった。

 「貴様・・・」

 「所詮は意思なき亡霊。この程度だろう。さてマスタージョゼ。貴様は魔道士ギルド

同士の戦争を望んでいたな?」

 彼はいつの間にか漆黒の洋弓と捻れた剣が変形した矢を既に射る準備を整えていた。

 「貴様が戦争を望むのであればそうしようと言うのだ。さあ、始めようか。魔道士ギ

ルド同士によるとんでもない戦争ってヤツをな。」

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 番えられたカラドボルグが放たれ、それが開戦の狼煙代わりとなった。

179 束の間の休息

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鉄を打つ者

  エミヤから放たれたカラドボルクが幽鬼の支配者のギルドに直撃する。

 それは周りの空気すらも捩じ切り、ギルドの外壁に大穴を開けた上に更に貫通した。

 「なっ!?」

 それが誰があげた声かなんて些細な事だ。そんな事よりも彼が放った矢の方に注目

が集まる。

 魔導兵器が放つ収束砲と比較しても見劣りしないどころか上回っているのではない

かとも思える程の一撃。大凡人が放てる物ではない。その場合は放った者もタダでは

すまないだろう。

 肩を脱臼するか、最悪反動で腕がもげる可能性もある。

 だがそれは人間が放った場合の話だ。その弓矢の担い手はもはや人間の枠を逸脱し

てしまっている。

 「ふむ・・・内部で起爆するつもりだったが・・・魔力を込め過ぎたからか、それか想

像よりも幾分か脆かったようだな。」

 他人よりも優れた才能を何一つ持たなかった男が厳しい修練や戦いに耐え抜き、よう

180

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やく英霊の域に至った男の成れの果て。それが彼であり、妖精の尻尾のサーヴァント。

 「これが英霊・・・人間を超える域に至った者達の力か・・・」

 エルザの視界は既に暗転仕掛けているが、その目には背中越しでも分かる憧れの男の

勇姿、手を伸ばせば届きそうだが、その背中は遥か遠くの物の蜃気楼のように遠く感じ

た。

 「エルザ。君はしばらく休みたまえ。少しでも体力と魔力を回復しておくといい」

 「まだいける、と言いたい所だが流石に辛い。甘えさせてもらおう」

 エミヤの力は良くわかった。彼に任せれば安心だと理解するのは容易い。だからこ

そ安心して意識を手放せた。

 「誰かエルザを治療してやってくれ。致命傷は負っていないから止血程度で十分だ」

 「後ろの守りはそちらに任せる。幽兵の半分程度は私が引き受けよう」

 エミヤが一つ指示を発すれば、それに応えるように妖精の尻尾のメンバーが覇気の

篭った返事と共に動く。マスター不在の中、一人現れたイレギュラーによって不足して

いた士気が回復していった。

 「ナツ!!あの砲身の中から潜って内部からジュピターを破壊してこい!!」

 「応ッ!!行くぞハッピー!!」

 「あいさー!!」

181 鉄を打つ者

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 そしてついに妖精の尻尾側が攻勢に転じる。翼を魔法で作れるハッピーはナツを抱

えて飛ぶ事で幽兵を無視してギルドに張り付く事が出来た。

 「グレイとエルフマン!!お前達も加勢に行ってやれ!!」

 「ああ、分かってる!!」

 「おっしゃっ!!」

 それに続いて二人もギルドの中に入って行った。しばらくは彼らに任せておける。

 「さて、これで陽動の役目を果たせれば楽なのだがね・・・」

 初手での派手な行動は敵の目を引き付けるのに最も効果的だろう。あえてそれを行

えば自分への戦力以外は薄くなる。

 だがそれは自分への負担が増える事も表している。ついでに今の彼も万全の状態で

はなかった。

 「存外魔導兵器の威力が高かったようだな・・・躱しきれなければこんな物か」

 外套が紅いためよく見なければ分からないが、所々に深みが違う紅が混ざっている。

俗にいう血であるが、これは決して返り血ではない。彼の体から滲み出た彼自身の血で

あった。

 彼が幽鬼の支配者達の足止めを行っている最中に奇襲として放たれた収束砲をエミ

ヤは躱しきれなかったのだ。

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 ギルドの仲間が必死で攻撃を仕掛けている中、それを放ったジョゼに対して正気を疑

わざるを得なかった。不意打ちとしては上物だが、事前に察知出来ていたため決して躱

せない一撃ではなかった。

 だが彼は自分より真っ先に逃げ遅れた幽鬼の支配者のメンバーを助けた。そこだけ

は彼が幼い時に受けた呪いのような約束のせいであるため仕方ないが、おかげで中々手

痛いダメージを貰ってしまった。

 本人の体力を考慮せず、ダメージその物だけで考えればエルザが受けたダメージより

も大きい。

 「くっ、ランサー・・・クー・フーリンはあの英雄王と対峙して半日持たせたらしいが、

私にそこまでできるか?」

 大量の幽兵を英雄王の宝具達と捉えれば、皮肉にも置かれた状況は似ているように見

える。

 「だが、やらねば成るまい。精々醜く足掻かせて貰うとしようか」

 休みなく攻め続ける幽兵達。戦いはまだ小一時間と経っていない。

   

183 鉄を打つ者

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        15分とは長いようで案外短い時間である。作業に没頭している最中にふと時計を

見てみると15分経ってしまっているということは無いだろうか?

 もしも自らの生死が決まってしまうような戦いの中で、15分というタイムリミット

が課せられた時、それを長いと感じるだろうか?それとも短いと感じるだろうか?

 その答えは人それぞれであろう。

 幽鬼の支配者の中から響いて来る爆音と建物が崩壊する時の地響きに似た音。ナツ

がジュピターの内部装置を破壊したのだ。

 「次はお前たちを潰す番だ。ファントム!!」

 相対した敵が炎を制御下に置けるタイプの魔道士であったため苦戦はしたが、ナツは

成し遂げた。むしろ打てた反撃の一手が引き金となって更に闘志を燃やす。

184

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 「ようやくか・・・」

 現在無数の幽兵を手負いの状態で迎え討っているエミヤはかなり危険な状態であっ

た。

 一体毎の戦闘力は魔道士ならば問題無く対処出来る程度だが、数の優位は偉大であっ

た。

 例え一騎で国一つの相手が出来るサーヴァントであろうとも、一を倒す作業には一を

使う。

 千の力を持っていても、それを一ずつ千に振り分ければ余力は無くなり次第に消耗し

始める。

 体力に加えて魔力の消費を考えれば尚の事。そこに出血し続けている状況であれば

言うまでもない。

 敵もあくまで抑える事を重視した持久戦を挑んで来ているのがまたキツイ。

 「だがこれで多少は押し込めるはずだ」

 そう思っていたが、それも水泡となって消える。

 幽鬼のギルドは建物その物が兵器であり、ただ歩くだけでなかった。変形を開始した

それはやがて巨大な機械兵に変わる。

 超魔導巨人ファントムMkⅡ

185 鉄を打つ者

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 それが巨人の名であり、幽鬼の支配者の最強兵器。

 巨体に見合うだけの手足を得たそれは、やろうと思えば人一人握り潰せるだろう。

 だが巨人はただの機械兵ではなかった。

 巨人は得た指で器用にも魔法陣を描き始める。発動しようとしている魔法の名は

煉獄砕破

アビスブレイク

 禁忌魔法の一つであるそれを、巨大な魔道士が発動すればサイズも比例し大きくな

り、範囲と威力も増す。このサイズならば街の中心に位置するカルディア大聖堂まで暗

黒の波動で消滅するであろう。

 「チィ、このタイミングで厄介な物を・・・」

 現在数の暴力による優位を身を持って教え込まれているエミヤは思わず舌打ちして

しまう。

 発動を止める方法は至ってシンプル。魔力を供給しているものを排除するか、魔法陣

を描く腕、もしくは魔道士本体を無力化するかだ。

 「腕一つ切り落とす程度わけないが・・・これではな・・・」

 もはや再現無く湧き出る幽兵の顔を見飽きて来たが、解放しては貰えないらしい。

 自身の攻撃手段に数の暴力で押す手段がある分、その戦略を今痛感している最中だ。

 正面とその左右から同時に迫る幽兵を迎撃する。まずは左右の手に握られた干将莫

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耶で受け止め、残る正面の敵には正面に投影した剣の柄の底を蹴り押す。

 刺突のように突き進んだ切っ先に貫かれた幽兵が消滅したのを確認し、受けていた幽

兵の剣を弾きつつ返す刃で切り裂く。

 だがこれは将棋やチェスで例えれば一試合の内のたった一手の出来事。次々に襲い

掛かる幽兵を避けるべくエミヤは真上に跳躍する。

 それに気付いて見上げた時には既に遅い。持っていた干将莫邪を真下に投擲し、ちょ

うどその場に居た幽兵の額に突き刺さる。

 それから内部の魔力を起爆すれば一掃は完了する。そうして生まれた一瞬の間がエ

ミヤにとっての大きなチャンスとなる。

 いつもの黒染めの弓と共に歪な形をした短剣を投影し、それを引き伸ばして番える。

 魔術に対して絶対の破戒効果を持つ宝具は、この時代の魔法にも効果は変わらず発揮

される。

 「クッ・・・」

 だが敵もやすやすと行動させる気はないらしい。何体か混じっていた魔法を撃つ幽

兵の魔法がエミヤを襲う。

 エミヤは焦らず足場代わりの大剣を投影し、それを使って後ろに跳んで避ける。

 元々一歩きりの足場として投影された大剣は魔法の攻撃を待たずに消滅する。

187 鉄を打つ者

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 「おおおお・・・ッ!!」

 再び大量の剣の雨を降らし、幽兵を薙ぎ払って行くがハッキリ言ってキリがない。

 着地すると同時についに片膝を着いてしまった。魔術回路は酷使した結果焼き切れ

るセーフティラインギリギリ。吐血を繰り返し回路の付加と出血も加えて目も霞んで

来ている。

 「・・・ッ、何度繰り返せば、終わらせられる・・・ッ!?」

 再び手に干将莫耶を投影した瞬間、幽兵の動きが止まる。いつの間にか魔法陣は消え

失せ、敵のギルドも一部崩壊していた。

 同時に辺りに響くジョゼの不快な声。

 『妖精の尻尾の皆さん。我々はルーシィを捕獲しました』

 エミヤからしてみれば驚きの一言。一度は完璧に守り抜いた剣の防壁を突破した者

が居るということだからだ。

 それは妖精の尻尾のメンバーも一緒の事であり、ざわめきが波紋のように広がる。

 証拠代わりに響いてくるルーシィの悲鳴。これで幽鬼の支配者の目的の一つが達成

されてしまった。

 幽兵の戦闘力が前と比べ物にならない程に上がった。つまり妖精の尻尾を殲滅する

意思の現れだ。

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 それに対応出来ずに、次々と妖精たちが倒れていく。唯一エミヤを除いて。

 「クッ・・・皆大丈夫か!?」

 もはや自分一人で手一杯であり、援護に回せる体力も魔力も無い。

 手数は変わらないのに一撃毎の速度と威力が上がれば対応も難しい。これがアルト

リアやランスロットと言った白兵戦のプロフェッショナルならば捌くのも容易かろう

が、そうとは到底言えない。

アレ・・

 (こうなれば、

を使うしかないか)

 それを使えばこの状況をもひっくり返すことは容易いだろう。問題はエミヤ自身が

持つかどうか。だがその思考を遮った者がいた。

 「エミヤ!!こっちはいい!!ルーシィを助けてやってくれ!!」

 先程まで指揮を取っていたカナ・アルベローナの声が聞こえてきた。

 明らかに虚言である事は明白だが、ここでその意思に反すれば皆の想いを無駄にして

しまうだろう。

 「ッ・・・すまない。保たせてくれ」

 皆に背を向け、代わりに鋼鉄の巨人に向き直る。

────同調、開始

 

 

 

 

レー

ス・

  強化の魔術を身体に掛け、ただひたすら戦場を駆ける。途中の敵は全て無視し、どん

189 鉄を打つ者

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どん速度を上げ、遂には水上すらもその足で走り抜ける。

 目標が居る位置に乗り込むにはこれが一番の近道だからだ。

 ほぼ垂直の機械兵の外壁を駆け上り、ルーシィの魔力を感じる階層辺りの壁に辿り着

いたエミヤは一振りの剣を投影する。

 その剣は決して折れず、決して刃毀れせず、岩に叩きつけても岩を両断したという逸

話を残した不滅の刃。

絶世の名剣

デュ

  エミヤはそれを担いで振り下ろす。鋼鉄の壁は砕ける事無く、まるで豆腐のように左

右に切り裂かれ道を作った。

 中へと続く道はまだ続いていたが、目的地までそう遠くない。

 「・・・」

 エミヤの今の目を見た物はそれをある物のようだと必ず答えるであろう。

 剣のようだ、と。

 その目には光は一切宿っておらず、冷えきった鋭い様はその通り剣と例えられても何

もおかしくない。

 冷徹で一切の感情を捨て去った今のエミヤはまさに守護者として使役されている時

と同じだ。

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 ただ目標に向けて一歩、また一歩と歩み続け、ギルドの奥の闇と一体化するように消

えていった。

191 鉄を打つ者

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支配する者、される者

  戦争も終結に向けて工程を踏んでいた。

 圧倒的な兵力に加えて質をより良い幽兵に変えて押し込んだ幽鬼の支配者が妖精の

尻尾を壊滅させかけていた。

 大半の魔道士が倒れ、ギルドの建物に接敵した幽兵は丸太を攻城兵器のように使って

破壊を試みている最中だ。妖精達の心を折るために。

 幽鬼のギルドの内部も決して妖精の尻尾が優勢とは言えない。

 エレメント4を全て倒してもまだ『鉄竜のガジル』が居る。それに加えてギルドマス

ターのジョゼも未だ健在である。

 エレメント4を倒したとはいえ決して余裕で勝利したわけではない。全員手痛いダ

メージを負った状況で更なる強敵が現れればひとたまりもない。

 ジョゼにとってのそれは弱った獲物を狩り取るだけの楽な仕事であろう。

 「な・・・何だこの感じは!?」

 エレメント4をそれぞれ一人づつ下したグレイとエルフマン、そこに巻き込まれたミ

ラジェーンは寒気を感じる程の禍々しい魔力と対面していた。

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 聖十大魔道の一人として名を馳せる彼は紛れも無く別格。抵抗としたグレイとエル

フマンの二人をたった一度の魔法で戦闘不能にまで追い込んだ。

 エルザも更にダメージを重ねた体では長くは保たないだろう。

 「仲間が私の心を強くする。愛する者達の為ならこの体などいらぬわ」

 「強くて気丈で美しい・・・なんて殺しがいのある娘でしょう・・・」

 実力者同士の戦いは熾烈を極めゆく。

          一方でそこから離れた一室では捕まったルーシィが磔られ、的代わりとして鉄の苦無

の脅威に晒されていた。

193 支配する者、される者

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 暇を持て余したガジル・レッドフォックスが遊んでいる中、周りの幽鬼の支配者のメ

ンバーがオロオロしながら眺めていた。

 彼にとって依頼の詳細などどうでもよく、依頼の過程でルーシィが死んでしまって構

わないらしい。

 「クス・・・」

 「何か言ったか?女ァ」

 「アンタたちってホントバカね。可哀想で涙が出てくるって言ったのよ」

 「へぇ・・・この状況で虚勢をはれるとは大したタマだ」

 虚勢ではない。怖いと言えば嘘になる。しかしルーシィは怯える必要は無いと根拠

が無くても確信していた。

 「世界で一番恐ろしいギルドの影に毎日脅える事になるわ。一生ね」

 その顔はいつものような頼りなく怯えた顔ではなかった。ルーシィが今の状況で見

せられる最高の強がりであろう。

 「そいつは面白そうだな。ちと試してみるか?」

 今まではガジルも故意に外していたが、今度はそんな気は一切ない。手から放たれた

苦無は一直線にルーシィの額に迫り刺さる事はなかった。

 金属同士がぶつかり合う甲高い音。ガジルが放った苦無は突如として飛来した黒塗

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りの短刀によって撃ち落とされる。

 「テメェは・・・」

 「エミヤ・・・さん?」

 ガジルにとって忘れられる訳がない男。攻め込む前まで自分達の足止めをすると言

い放って圧倒的な物量を前にして、殿として見事に立ち回って見せたあの男を。あの時

と同じように紅い外套と黒いボディアーマーがよく目に残る。強いて言えば手に持っ

ている獲物が違う。

 逆にルーシィから見ればいつもと違う彼に戸惑いを隠せなかった。皮肉を含んだ言

葉も無ければ、何処か安心させる優しさも感じないからだ。

 「・・・」

 雰囲気に若干差はあれど、あれは間違いなく現時点で一番の脅威。逆に言えば始末し

てしまえば幽鬼の支配者の勝ちは確定する。

 「あの時も今も匂いが全く無い・・・テメェ一体何者だ?」

 「・・・ルーシィ、大丈夫か?今解放しよう」

 現れて早々彼はガジル達敵の前を素通りし、ルーシィの前に向かった。

 「テメェ、無視してんじゃねぇ!!」

 怒りに任せてガジルが突撃する。腕を鉄の剣に変えて斬り掛かるが、彼の持っていた

195 支配する者、される者

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剣で往なされ、返しの刃で体勢を崩され蹴り飛ばされ元の位置まで戻される。エミヤは

それをガジルに視線を向けずに行った。まるで慣れ過ぎた作業のように。

 「エミヤさん・・・」

 エミヤはその声に言葉を返さなかった。最小限の動作で目的を果たそうとするその

姿勢は機械その物だ。

 手が自由になってようやく楽に出来るようになったルーシィは、エミヤが一息抜く仕

草をしたのを確認した。

 「・・・これでよし・・・さて、そこの鉄の君」

 「あ?何だよ?」

 「一つ聞きたい。彼女にはそれ相応の防御魔術を仕組んでいたはずなのだが・・・どう

破った?」

滅竜魔導士

ドラゴンスレイヤー

 「オレは鉄の

だぜ?滅竜魔導士はそれぞれの属性に合う物を食える。後は

分かるな?」

 「宝具の刀剣を食ったか・・・」

 ガジルは鉄を食える。幾ら宝具とはいえ、大半の剣は鉄を打って作られている。偽物

が本物に勝てない道理が無いように、巨大な神秘を内包しているとはいえ、それで食え

ないという道理もないのだ。

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 「あの剣は極上だったぜ。あそこで全部食っちまうのは勿体無いと思えるくらいに

な。おかげ様で今はすこぶる調子がいいぜ」

 「・・・ところで剣を食った時の得た魔力はまだ体に残ってるな?」

 「だったら何だよ?」

 質問は一つじゃなかったのかという疑問は置いておくとして、ガジルはそれに『はい』

と変わりない答えを出した。

 「ちょうどいい。そこに転がっている短刀が見えるな?」

 「あ?」

 全員の視線がそこに向かう。エミヤがルーシィを助けるために放った短刀『ダーク』

だ。

 「ならばよく見ておけ」

 全員がその剣に意識を集中する。するとその剣が突如として爆発を起こし、跡形も無

く消える。

 「これがどういう意味か分からない程バカではないだろう?」

 「テメェ・・・」

 ガジルとルーシィはすぐに意味を理解した。

 エミヤが投影を行う際、対象の構成物質を全て魔力で補う。純粋な魔力で出来たそれ

197 支配する者、される者

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を燃料に発動する魔術として『壊れた幻想』がある。

 食べて取り込んだとはいえ、それはエミヤの魔力である事は変わりない。食べた剣の

破片でも残っていれば火種としては十分。

 つまり今のガジルはエミヤの指示で爆発する爆弾と化しているのだ。

 「ならその前にテメェを倒せば問題ねぇ!!」

 「全くだ。だが貴様を倒すのは私の役目ではない」

 その言葉の後すぐに床が突き破られ、一頭の竜が、ナツが姿を現した。

 燃え盛る炎を纏った竜は、下手をすれば融点1538℃と言われる鉄も溶かせるだろ

う。

 「エミヤ、譲れ。こいつはオレがブン殴らなきゃ気がすまねぇ」

 ナツも我慢の限界だったのだろう。

 「元よりそのつもりだ。私が行くべき場所が他にある。任せるぞ」

 エミヤはそう言い残し、霊体化してその場を後にした。

 二人の滅竜魔導士、もとい二頭の竜が激突するその場はまさに激戦区と言えるだろ

う。

  

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        それからしばらく時間が経った。途中に妖精の尻尾のギルドが倒壊する等もあった

が、あの後ナツは苦戦はすれども見事ガジル・レッドフォックスを下し、勝利を収めた。

 その影響で幽鬼の支配者のギルドが倒壊寸前だとなっていた。

 エルザとジョゼの戦いはジョゼが圧倒的に優勢だった。エルザは体力と魔力がほぼ

枯渇した状態で頂点に近い魔道士と戦っているからだ。

 ジョゼ率いる幽鬼の支配者が引き起こした今回の戦争はのそもそものきっかけは幽

鬼の支配者への依頼だが、ここまで広がってしまったのはジョゼが妖精の尻尾に抱いた

嫉妬による物だった。

 幽鬼の支配者が一番で無ければ気が済まない。そんな子供が抱く妄想の延長のよう

な理由によって多くの魔道士が傷ついた。

199 支配する者、される者

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 やがてジョゼの魔法によってエルザが拘束される。ジョゼがそれに魔力を込める度

に締め付ける力が増し、エルザが負った傷から血が流れ出す。

 これを続ければ確実にエルザが死ぬだろう。だがそれに反してエルザは魔法を解く

ために力を込めて無理矢理破ろうとするが、その度に魔法が強まっていく。

 だが突然魔法が切り裂かれ、エルザが解放される。エルザでもジョゼでもない第三者

の手によって。

 ではその第三者とは誰か?

 「彼女は解放させてもらうぞ・・・貴様如きが弄んでいいような女ではない」

 「貴様は・・・!!」

 「エミヤ・・・」

 ジョゼにとっては魔導収束砲で消し去ったと確信していた男であり、エルザ達妖精の

尻尾にとっては総長に次ぐ信頼を集めている守護者。

 この男が動いただけで事態は一気に終息へと加速する。

 「貴様等亡霊の業によって多くの者達が傷付き、涙を流した。私に貴様等を裁く資格

はないが、報復くらいはさせて頂こう」

 私達二人がな、と言葉を続けた。一瞬遅れてジョゼと同等の魔力の奔流が皆にその存

在を認識させる。

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 「そうじゃな。後始末は大人の仕事じゃ」

 その魔力を放っているのは既に全盛期を過ぎたのではないかと思わせる老人。彼こ

そ国一番を誇る妖精の尻尾の総長であるマカロフ・ドレアー。

 「全員この場を離れろ」

 エミヤは負傷した者達に撤退を促す。確実に邪魔になるからだ。

 「でもよぉ、お前はどうすんだ?」

 「そうだ。幾らエミヤでも二人の戦いの中じゃ邪魔になるんじゃねぇのか・・・?」

 「心配はするな。エミヤなら己と相手の実力の差くらい計れるさ」

 「フッ・・・真っ先に脱落しなければいいですがねぇ」

 等々、それぞれの心中が伺えるが、それらは全て意味の無い物だ。

仲間かぞく

 「何を言う。私は妖精の尻尾の

だろう?それが最強でない筈がない」

 エミヤが少し見せた顔には笑みが浮かんでいた。見誤っていることもなければ虚勢

を張ってるわけでもない。

 「早く行きたまえ。あまり総長に心配をかけるな」

 「・・・すまない。後は任せた」

 エルザ達がその場を後にしたのを確認し、前に向き直る。

 半壊したギルドの中心には常識から逸脱した魔道士が三人。これから始まる決戦は

201 支配する者、される者

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常識で計れる物ではなかろう。

 「お主には色々と迷惑をかけたのう。お主も休んでいてはどうかな?」

 「いやいや、そちらも病み上がりの上に本調子ではないでしょう。そちらこそ隅で見

物していてはどうかね?」

 方や魔力をゼロにされて今の今まで寝込んでいたご老体。もう片方は先程まで孤軍

奮闘の状態で無限に近いジョゼの幽兵を抑え続けていてボロボロ。

 どちらが戦っても大差はない。

 「ならばここはやっぱりアレかのう・・・」

 「ええ、アレが悔恨も残らないでしょう」

 今度はマカロフとエミヤが向き合ってお互いに拳を相手に突き出す。そこにとある

呪文を唱えれば優劣が決まる。

 『最初はグー、じゃんけんポン!!』

 これだけは太古の昔から恨み一つ残さず平和に優劣を決められる遊戯のひとつであ

ろう。

 「フッ、私の勝ちのようだ」

 「ぬぅ・・・お主確か幸運ステータスDだったはずじゃが・・・」

 「さて、もうよろしいですかな?」

202

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 待ちに待たされ、いい加減苛立ちが頂点に達しかけていたジョゼ。

 「ああ、まあどちらにしても結果は変わらないだろうがね」

 「大した自信だな。雑兵風情が」

 ジョゼからの殺気と共に漏れだす魔力も上がる。

 「勘違いするな。雑兵が大将の首を取れないという道理など無いだろう?」

 言葉を言い終えた刹那、地は揺れ海は荒れ、空が裂ける。天変地異という物が発生し

た。

 自然に発生する物を除いた場合に起きる原因として『常識を逸脱する程の魔力がぶつ

かり合う』という物が存在する。

 それの発生はつまり、エミヤが発した魔力がジョゼと同等以上であるということを現

す。

 「ッ!?」

 ジョゼが気付いた時には既にエミヤの剣がジョゼの喉を捉えていた。なんとか躱す

がそれこそ後コンマ単位で遅かったら命を手放していた程だ。

 不意打ち紛いの一撃では終わらない。二の太刀に続けて攻め立てる。

 二人の速度は既に常人の肉眼では捉えられない程の物になっていた。

 「貴様・・・ッ!!その魔力と戦闘技術・・・聖十大魔道のそれを超えて・・・ッ!!」

203 支配する者、される者

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 「人間のそんな称号など当てはまらんからな」

 ジョゼも切り返すために魔法を放つが、全て躱されるか叩き斬られる。

 「今の攻防で仕留めるつもりだったが、存外しぶといな」

 「もう許さん!!最大火力の魔法で貴様を消滅させてやる!!」

 更に高まるジョゼの魔力。だがエミヤは表情を崩さない。

 「そちらが切り札を見せるのならば、此方も出さねばならないな」

 エミヤも距離を取って構えを取り、詠唱を開始する。

 ───── 体は剣で出来ている。

    I am the bone of my sword.

  他ならぬエミヤシロウという男の生涯を表す呪文だが、これには更に続きがある。全

て読んだ時、エミヤシロウという正義の体現者が歩んだ生涯を自他共に理解させられる

のだ。

 

子。

Steel is my body, and fire is my blood.

  「一つだけ言い忘れていたジョゼ・ポーラ。貴様がしでかした今回の事件。私も酒場

程度までならば手出しせずに見逃すつもりだったが、仲間に手を出されたそういう訳に

もいかない。私、いやオレも久方ぶりに怒っているのだよ。それこそオレの手で貴様等

を裁かねば気が済まないくらいにな。」

その体は、きっと剣で出来ていた。

So as I pray, unlimited blade works.

 

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 「さらばだジョゼ・ボーラ。貴様は支配する側ではない。その逆だったのだよ。自分

の抑えきれない嫉妬や傲慢さにな。故にそのツケは貯まりに貯まり、たった今返済期限

を迎えたのだ」

 エミヤの切り札は炉に火を灯し、周りを巻き込みエミヤの内から外へと展開された。

 「その溢れ出る傲慢さを償え」

 一面に広がる荒野。そこは剣の墓場であった。

205 支配する者、される者

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戦い終わって・・・ (1)

  なんなんだこれは。

 幻覚ではない。突如として荒野が現れたと思ったらそこには確かに質量を持った剣。

 空には巨大な鉄の歯車が絶え間なく回転を刻み続ける、そんなこの世と思えない光

景。

 「なんなんだこれは!!」

 幾ら自分に問いを繰り返しても、本人が知らなければ答えなど返って来ない。

 「知る必要はない」

 不意に後ろに殺気を感じて振り返る。そこには数多の剣を背後に引き連れた男が

立っていた。

 「いや違うな。知ることすら叶わない」

 剣の切っ先が全て此方に向く。それで全てを察してしまった。

 これから始まるのは戦いではない。ただの蹂躙だ。そして私はそれを受ける側なの

だ。

 「さらばだ。自分の業全て償ってから出直して来い」

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 剣の群れが雨となって一斉に此方に向かって来る。死が確実に迫って来るようだ。

 体の内から湧き上がる恐れとそれによって生じた絶叫により、私は意識を手放した。

           戦場が著しい変化を遂げたのは何もエミヤ達の周りだけではない。

 倒壊した両者のギルドの側で繰り広げられていた戦いにも変化が生じていた。

 「何だこいつら・・・急に動かなくなったぞ・・・」

 暴れていた幽兵達が操り糸が切れたかのように動かなくなった。

 それの前に膨大な魔力による異常気象の発生したが、三つの魔力が消えたことで収

207 戦い終わって・・・ (1)

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まっていた。

 しばらくの休息が生まれた今、立っていられる者は少なかった。

 極度の魔力欠乏による疲労と怪我による物だ。

 倒壊しかけて危険な状況になった幽鬼の支配者のギルドからナツ達とエルザ達が脱

出して来る。

 「一体何があったんだ!?」

 「オレらも何が何だか・・・!!」

 情報が右方左方へと錯綜しており、誰一人状況を把握出来ていない。

 「今総長とエミヤがジョゼと戦っている」

 「二人が!?なら加勢に・・・」

 「行くんじゃねぇ、邪魔になるだけだ」

 退却しながらも感じた膨大な魔力。あの場所からそれらを三つも感じたということ

は、少なくともエミヤが自分達が及ばない遠い領域に辿り着いている証明だ。

 「エミヤは強い。この中の誰よりも」

 「ナツ・・・?」

 以外にも真っ先に突撃して行きそうなナツが一番冷静であった。

 「どうしたよナツ。らしくねぇじゃねぇか」

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 「なんでだよ。エミヤが任せろって言ってるんだ。なら安心じゃねぇか」

 「・・・確かに、そうだな」

 混乱が静まって静寂が訪れる。並大抵の信頼関係では決して起こりえないだろう。

 「しっかしこのギルドも見るも無残になっちまったなぁ・・・」

 とはいえ、もはや建物の形一つ残ってはいないが。

 「俺達の居場所が・・・」

 中には帰る家を失って嘆く者もいた。妖精の尻尾に居る者の中には帰るべき家や家

族や居場所を失う出自を持つ者も多いからだ。

 「勘違いするな。所詮建物は物だ。原因が幾つかあるとしてもいつかは壊れる運命

だ」

 皆が驚いた表情を隠せなかった。声がした方に振り向いた先にその声の主が立って

いた。

 「エミヤ!!・・・勝ったんだな?」

 「ああ、あの程度の障害、乗り越えねば顔向け出来ん」

 直後、皆の感情が爆発する。主に歓喜によって生じた物だ。幸い敵味方含めて誰一人

死者が居なかったようだ。

 (まあ今一時だけは感動に浸ってもよかろう。やらねばならぬ事は山積みなのは変わ

209 戦い終わって・・・ (1)

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りないが、些か疲れたからな)

           あれから一週間程度経った。ギルドの建物は総長の書いた大凡設計図とは言えない

設計図を元に再建が進められている。後で大分加筆修正したのは総長には秘密だ。

 何処で嗅ぎつけたのかあの後すぐに評議会の傘下である『ルーンナイト』が派遣され、

オレ達は個別で事情聴取を受けさせられた。

 面倒事にはその碌でもない物が詰まっている腰を中々上げないが、こういう評議会の

手腕を知らしめられる出来事には餌をぶら下げられた犬のように寄って来る。はっき

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り言って面倒だ。

 次いでハートフィリアの家とその父親についての調べも進めなければならない。大

方娘を心配してのことだろうが、それが親としての物か大企業としての物かは対応の仕

方ではっきりしている。

 話を現場に戻す。メンバーが一眼となって作業に取り組んでいるが、ナツ達はこうい

う場でも張り合いを欠かさずやってくれる。

 今もどちらがより多くの角材を一度に運べるかと勝負している所だ。大事なのは一

度により多く運ぶかではなく、結果的により多く運べるかだ。

 それに先程からグレイの周りでウロウロしている人影を何度か見かけるが、あれは確

か幽鬼の魔導士だったはずだが・・・

 おっと、少し目を話した隙にナツ達が居なくなっていた。それに加えて今まで何処に

行っていたか分からなかったロキが姿を見せていた。

 「やあエミヤ、この前は随分と活躍したそうだね」

 「お互いにな」

 給仕を務めていたオレがいるカウンターに座ったロキは水を一杯注文した。周りに

誰も居ない事を確認し、お互いに小声で話し出す。

 「・・・調子はどうかね?」

211 戦い終わって・・・ (1)

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 「いやダメだね。もう限界も間近だ。魔力すら殆ど残っていない」

 「そうか・・・やはり私でも星霊界にアクセスする手段は見つけられなかった」

 「それはそうさ。そうでなければ星霊の鍵なんて存在してないさ」

 「すまない。私は君を見殺しにするしかなくなって来た」

 「いいんだ。追放されてからこうなることは覚悟していたさ」

 「・・・せめて魔力だけでも回復しておけ」

 オレが回復用に用意した魔水晶を砕く。すると気化した魔力がロキの体に吸い込ま

れる。

 「僕よりも君の消耗した魔力の方が膨大だと思うけどね」

 「・・・出来の良いマスターのおかげでな。おかげで随分と快適に過ごさせて貰ってい

る」

 「違いないね」

 事情を知ってる分、罪悪感が大きく出てしまう。ロキを救うためにはおそらく星霊魔

導士が必要だ。だがロキがそれを拒んでいる以上打てる策がない。

 もっとも、ロキを救う鍵は身近に居るのだが。

 「そうだ、お礼の代わりにコレをあげるよ」

 そう言って差し出されたのはとあるリゾート施設のチケット。それも超が付くほど

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の豪華なホテルの物だ。

 「あー、なんだロキ。こんなに高価な物を対価無しでは受け取れない」

 「いいんだ。直に僕には不要になる。使ってくれ」

 よろけながら立ったロキが覚束ない足取りでその場を離れて行った。

 「忘れたか?ここがどういうギルドなのかを・・・」

 そんなオレの呟きは誰の耳にも届かないまま虚空へと消えていった。

213 戦い終わって・・・ (1)

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戦い終わって・・・ (2)

  フィオーレ王国を代表する二つの魔導士ギルドが正面からぶつかり合う抗争があっ

たが、それももう過去の話。

 多大な被害を出した戦争は妖精の尻尾が幽鬼の支配者を下して勝利を得た。

 終了直後に介入した評議員によると、襲撃を受けた妖精の尻尾にはお咎め無し、侵攻

した側の幽鬼の支配者はギルドそのものを解体し、マスターであるジョゼの聖十大魔導

の称号剥奪の罰が下った。

 元はといえば、幽鬼の支配者に一つの依頼が発火原因となった。

 それが『ルーシィ・ハートフィリアの拉致』であり、依頼主は彼女の実の父親であっ

た。

 元々家出という形で家を離れてギルドに所属していたため、親としてはまあ当然な事

だが、幽鬼の支配者はその依頼を利用し、妖精の尻尾へ攻撃を仕掛ける口実を獲得した

上で戦争を仕掛けた。

 結果は世論の通りに妖精の尻尾が勝利したが、もしもその逆の結果だった場合、妖精

の尻尾の崩壊に加え、ルーシィ本人は人質とされてハートフィリア財閥の資金を根こそ

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ぎ奪われるという最悪の形になっていた。

 だがそれも杞憂に終わり、ギルドの建物はまだ修復出来ていないものの、依頼は山の

ように飛び込んで来るために忙しく騒がしいのはいつも通りだ。

 多少の怪我はあったものの、今回の件の中心となったルーシィ・ハートフィリアだが、

早速彼女に災難が降り掛かっていた。

 「お金がー・・・」

 大企業のお嬢様らしからぬ発言だが、悲しい事に事実である。

 直前に受けた依頼も正式な物でなかったために報酬金は貰えず、幽鬼の支配者との騒

動のせいで仕事に行く事すら出来なかったため、今月の家賃すら払えない有様であっ

た。

 ならばチームを組んでいるナツや他のメンバーよりも交友が深いグレイやエルザと

一緒に行けばいいのでは?という疑問も出てくるが、彼女は今回だけは避けている。

 何故なら彼らと一緒に仕事を行けば彼らがあちらこちらで騒動を起こすからだ。必

要以上に暴れて建物や施設を破壊して報酬金から罰金を払わされるまでが彼らの依頼

なのだ。

 そのためクエストボードとにらめっこし、可能な限り報酬が良くて可能な限り安全で

楽な仕事を探すのだが、当然そんなものは無い。仮にあったとしても、そんなものは脱

215 戦い終わって・・・ (2)

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兎の如き速度で他の者に取られてしまう。

 日が沈みかけたので渋々家に戻ったのだが、妙に迫力があって逆らえない大家さんに

門前払いされ、家の前で途方に暮れているのが現状である。それでも契約を破棄しない

のは大家さんのせめてもの恩情であろう。

 「ど、どうしよう・・・」

 ギルドに残っていたのは盗賊の捕縛や危険なモンスターの討伐等の血生臭い物ばか

りだった。当然彼女一人では達成出来る可能性が低い。

 このままでは仲の良い友人の誰かの家にお邪魔するか、最悪野宿するしかない。比較

的治安は良い方であるマグノリアだが、若い女性一人での野宿は危険的にもモラル的に

も避けた方がいい。

 幾ら嘆いていても行動を起こさねば何も始まらないのが普通だが、今回に限っては

きっかけが他所から歩いて来た。

 「・・・そこで何をしている?」

 ルーシィは俯いた顔をあげると、目の前に見知った男が食材の入った紙袋を持って

立っていた。

  

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         「懐は相変わらずのようだな、ルーシィ」

 「す、すみません・・・お邪魔します・・・」

 いつも通りギルドで給仕の仕事を終えたエミヤは、取る必要は無い自身の食事の買い

物を終えて街を歩いていたが、帰りに寝る場所が無いというルーシィを連れて帰路に帰

ることになった。

 「今度ナツ達にも注意しておこう。あまり効果は期待出来んがね」

 エミヤの家は街の郊外の一角に建っている。道はあまり整備されていないが、そもそ

も彼の家自体が街の風景から浮いてしまっているため、むしろこちらの方が好都合なの

だ。

217 戦い終わって・・・ (2)

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 東洋建築の一つである武家屋敷をモチーフにした一軒家だからだ。

 「ここがエミヤさんの家・・・ですか?」

 ルーシィは始めて見る形式の家を眺めながら言った。マグノリアに対して東洋建築

は珍しいからだ。

 「広いだけだがね。私以外に誰も住んでいないから安心してくれたまえ」

 それが虚言でないと、玄関を上がれば確かに感じる。明かり一つない上に、人の気配

もしないからだ。

 エミヤが数ある部屋の一室の障子を開けて部屋に上がったので、ルーシィも後に続い

て部屋に上がる。

 「適当に腰を掛けておいてくれ。夕食の準備をしよう」

 「あっ、手伝いますよ」

 「気持ちだけ受け取っておこう。客人に手伝いをさせるわけにもいかないのでね」

 壁で分けられていない隣接したキッチンに向かうエミヤに対してルーシィは手伝う

意思があることを示すが、彼はそれにそう返した。

 申し訳ないの気持ちを抱いたまま机に戻ったルーシィは、改めてエミヤの方を見て彼

の動きを観察する。

 彼の家事の腕は並の主婦達を遥かに凌駕しており、下手をすれば専門の家政婦をも超

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えているかもしれない。

 それほどまでに洗練されており、同時に女性達から見ればこれ以上とない見本であろ

う。

 以前とある女性が『何故ここまで家事が得意なのか?』と彼に尋ねた事があったのを

ルーシィはふと思い出した。確かエミヤはあの時こう答えたのだ。

 「こんな物はただ趣味と義務の延長だ。昔から自炊しなければならない立場だったの

でね」

 彼が今を生きる人間ではないという事を知らぬ者はギルド内では居ないが、彼がどん

な人生を歩み、どんな伝承を残したのかは誰も知らない。

 いつも適当に逸らすように、他ならぬ彼が話したがらないからだ。過去を掘り返す事

はあまり良くない事だが、ルーシィはこの機会を利用して聞いてみる事にした。

 「別に語れるような武勇伝など持ち合わせていない」

 結果はいつもと変わらなかった。ただ・・・

 「そうだな・・・たまには良いかもしれん」

 その先があった。この機会に聞いておきたいことがある。

 「何を成したかか。私はただ、救いを求めていた人々を救おうとしただけだ」

 強きを挫いて弱きを救う。それはまるで、正義の味方とも言える存在ではないだろう

219 戦い終わって・・・ (2)

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か?

 「正義の味方か・・・そんな上等な物じゃない。私は大しか救えていないのだからな」

 一体何の差があるのだろう?人を救う者が正義の味方で無いはずがない。

 「その過程に問題があるのだ。何人救うのに何人切り捨てたかがね」

 世の中は確かにより多くの人間の救済を要求する。だがどうしても救いきれずに零

れ落ちる者も存在する。

 それに人間は欲張りだ。一が出来れば次は二を。その次は三を欲しがる。

 更に加え救いきれなかった人間に関係する人間は『どうしてあいつを救えなかった』

と怨嗟の声をあげる。

 それらが積み重なって英雄と呼ばれた人間はやがて同じ人間に殺されていく。

 百年戦争で有名なオルレアンの聖処女『ジャンヌ・ダルク』は、フランスを救った聖

女であり、同時に貶められて悲劇的な結末を迎えた。

 一般の人間には英雄という存在がどうしても同じ人間に見えないのだ。敬意を払い

つつも何処かで恐れを抱いている。 

 エミヤもその中の一人なのだとルーシィは察した。できたての料理も妙に冷たく感

じる。

 「気分を悪くしてしまったのならすまない。せめてゆっくり休めるように席を外そ

220

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う。風呂と部屋は適当に使ってくれ」

 エミヤはそう言い残して背景に溶けこむように消えた。

             あの後食事を終え、皿洗い等の雑務を終えた後に床についたが、やはりどうしても寝

付けない。頭の中で何度も先程の問答が再生されているのだ。

 確かに歴史の中では大昔からごく最近まで合わせても、幸福のまま死んだ者より悲劇

221 戦い終わって・・・ (2)

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的な結末を迎えた者の方が圧倒的に多いと言えるだろう。

 客観的な立場から見ているからかもしれないが、どうしてもルーシィはそんな英雄達

が全ての悪だとは思えない。

 むしろ彼らによって救われた命の方が圧倒的に多いのだから。

 きっと間違ってなんかいない。上手く言えないけどこれだけは言える。

 多分エミヤという英雄もそれに気付いている。

 全ては救えない。だからこそ目の前の人だけでも救おうと全力を尽くす。それこそ

本当の英雄ではないだろうか。

 いや違う。それを言ってしまえば妖精の尻尾のメンバー全員が英雄なのだ。それに

家族を大切にする彼らは間違いなくエミヤシロウという男の性質を受け継いでいる。

 頭を回すとやはり寝付けない。外の空気を吸おうと表に出たルーシィは、屋根の上で

腰を掛けているエミヤを見かけた。

 その目は何処か遠くを見つめて離さない。ここから見える街などではなくもっと遠

い、決して届かない世界の果てに置いてきてしまった物に向けているようだった。

 「ん?どうしたかね?」

 「あ、いえ。少し眠れなかったので」

 「ふむ、そうか・・・」

222

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 一声かけ、一瞥した後、エミヤは再び同じ方角に顔を向けた。ただ人が空を見上げて

いるだけの何ともない光景の一つであるはずなのに、不思議と人を惹きつける魅力があ

るというか、何故か無性に興味を持たせる。

 「そうだ。預かっていた本の翻訳が先程終わった。時間がかかってしまってすまな

い」

 「いえいえそんな・・・」

 古かった本は翻訳するにあたって新しい本に書き写されていた。

 「錬鉄の英雄・・・英雄は読んで字の如く英雄って意味だけど・・・なら錬鉄は?直訳

なら炭素が少ない鉄の事だけど・・・」

 思考の海に身体を埋めていき、徐々に意識もそちらに傾ける。

 「あー、出来れば部屋で読んでもらいたいのだがね。風邪を引くぞ」

 もっとも、人間とは自分に都合のいいように物事を捉える性質があるため、一度何か

集中してしまった者を別の対象に興味を持たせるのは難しいだろう。

 「もう手遅れ・・・か」

 エミヤはせめて邪魔にならないようにと静かに霊体化して消えた。

 翌朝、ルーシィはほんの少し体の調子を崩したそうだ。

223 戦い終わって・・・ (2)

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新たな騒動

  あれから数日の内にロキは妖精の尻尾から姿を消した。

 姿を消してから間もなく一つの事実が浮き彫りになった。ロキが人間ではないこと

である。

 彼は星霊の一人である『獅子宮のレオ』だったのだ。

 通常人間は人間界でしか、星霊は星霊界でしか生きていけない。居続けた場合徐々に

生命力と魔力を奪われ、やがて死に至る。

 レオも例外ではないが、レオは帰れなかった。間接的とはいえ己の主人を殺してし

まったため、その罪を償わされるのだ。

 例えそれが他人のために始めた事で、かつ偶然が重なって起きた事故だったとして

も、彼が主人を殺した事に変わりないのだ。

 三年間彼は素性を隠して妖精の尻尾に在籍していたが、自身の限界が今訪れていた。

限界を超えれば彼は遺体すら残さず人間界からも星霊界からも消滅し消え去る。

 だがこれも回避する方法はある。

 要は星霊界に帰れればいいのだ。星霊魔導士の力を借りて扉を開いて貰えばいい。

224

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 だが身近に該当者が居るにも関わらず、ロキはそれを拒んだ。

 契約者を殺した自分が更に他の星霊魔導士を傷付ける事を避けたかったからだ。

 いち早く彼の正体に気付いた星霊魔導士のルーシィはこれを押し切って強制的に門

を開こうとした。

 一歩間違えればロキと同化して自身も消滅したにも関わらず。

 結果的に彼女の心に感化された星霊の王がロキの罪を無かった事にし、ロキは生命力

を回復することに成功した。

 彼はその後、助けられた恩を返すためにルーシィの星霊として契約したそうだ。

 これがオレが聞いたロキに纏わる話の全容だ。これからはそこから明らかでない未

来へと繋がる。

       

225 新たな騒動

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    「星霊だぁ!?」

 「んーまぁそーゆー事」

 まだ屋根も無い妖精の尻尾のギルド建設予定地。案の定ロキの話題で溢れていた。

彼は殆ど人間と変わらない姿をしているため、気付かなくても無理はない。

 「ホント、気が付かなかったなぁ・・・」

 「無理もないよ。気付いてたのは多分エミヤくらいだと思うよ。星霊よりも数段格上

だしね」

 「そうなの?」

 「んーそうだね。昔の人は偉大だってことだよ」

 実際はエミヤは英霊の亜種であり、古の英霊達と比べれば格は劣るのだが。

 「そうだ・・・君達にこれを渡しておくよ。もう僕には必要ないしね」

 そう言って渡されたのは高級ホテルの宿泊券。有名なリゾートの物だが、それがナツ

達チーム全員分。

 「もうエミヤとエルザには渡してあるから、楽しんでおいで」

226

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 彼らは持ち前の暴れっぷりのせいで報酬金を減らされているため、これ程高級なホテ

ルに泊まれる機会は中々訪れないため、皆思いがけなかった幸運に喜んでいる。

 「貴様等、何をもたもたしている。置いて行くぞ」

 振り返ればそこには既に台車に何段にも積み上げた荷物を載せ、自身に麦わら帽と浮

き輪を装備した夏用装備のエルザが居た。

 気が早過ぎると皆は思ったであろう。

 「全く・・・楽しみなのは分かるが、もう少し落ち着かなければ当日疲れて倒れてしま

うぞ」

 「なら貴方も人の事を言えないはねエミヤ」

 カウンターでグラスを磨いていたエミヤだったが、彼の手には当然グラスは無く、代

わりに如何にも高級そうな釣り竿をコレでもかと言える程丹念に磨いていた。ちなみ

にミラジェーンにこれを指摘されるまで全く気付いていなかったのは余談である。

 「む、私も年甲斐も無くはしゃいでしまっていたようだ」

 「あ、アレは過去に存在されたとされる技術を活かして作られた高性能とされる釣り

竿じゃないか・・・」

 辺りにざわめきが生じるが当然だ。完全に再現されていないために試作品どころか

失敗作すら出まわっておらず、釣り師にとっては喉から手が出る程欲しい一品であろ

227 新たな騒動

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う。

 「ちなみにそれに値段を付けるとしたらおいくらですか?」

 大企業の家を出て、現状金に苦しんでいるルーシィは大分金に敏感になっている。

 「ああこれか。昔なら二十万とんで三千ってところだが、今はその数倍で効くだろう

か」

 同時に周りからざわめきが起こる。

 危険な仕事も多いために大抵の職業よりも収入が多くなりやすい魔導士だが、それで

も一部を除けば手の届きにくい場所にあるからだ。

 「まあ私の場合はこうやって複製できるのでね」

 手入れを終えた竿を置いたエミヤは、空いた片手を使ってお得意の投影で同じ竿を幾

つも作って見せる。

 実物を手に入れてなくても解析すればそれだけで複製が可能になる彼の魔術はこう

いった娯楽品にも使える。

 「パチモンかよ!!」

 「だが、その偽物が本物に劣るなんて道理は無い」

 拍子抜けしたギルドメンバー達が声をあげる中、一人ドヤ顔を決める歴戦の英雄エミ

ヤ。

228

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 バカンス前で心が浮かれているのは火を見るよりも明らかだろう。

 まさかナツ達を差し置いて、一番冷静な男が一番だはしゃぐなんて、この時はまだ誰

も予想出来なかった。

           青い空、透き通った海、程よく照り付ける太陽、バカンスに必要な条件を満たしたこ

のアカネビーチと呼ばれるリゾートはまさに天国とも言えるだろう。

 カップルから家族連れまで色々な者達が休日に思い出を作るためにやってくる。

 ロキのチケットによって機会を得た妖精の尻尾御一行も例外ではない。

229 新たな騒動

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 水着に着替えて海を泳いだり水遊びにスイカ割り。ビーチボールも浜辺での遊びの

代表格だろう。

 変わらないのは皆が笑顔であることだ。

 なお普段の外套とアーマーを脱ぎ捨て、ジャケットと帽子を紅に染めて単色に揃えた

英雄が『フィィィッッシュ!!イィィヤッホォォォーーー!!』などとほざきながら殆ど入

れ食い状態の釣りを満喫していたのを彼らは他人の振りをして凌いでいた。

 唯一ハッピーだけはご馳走が増える事に喜んでいたが。

          

230

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 楽しい時間という物はどうにも早く感じるらしく、あっという間に日が沈み、皆ホテ

ルの中に戻っていた。

 意識出来ない疲れはいつの間にか眠りを呼び、夢へと誘う。

 と同時に思い出してしまった。楽しかった今日とは正反対の幼少期の記憶。

 エルザはギルドに入る前はごく普通の生活をしていた。貧しかったらしいが家族と

共に過ごした当時の彼女は間違いなく幸せだっただろう。

 とある魔法教団が考案した死者を蘇らせる塔を建設する為に囚わていた奴隷であっ

た。

 食事もごく僅かしか与えられず、休日も存在しない劣悪な環境。同じ奴隷仲間達の悲

鳴や涙は間違いなくトラウマとして根付いていた。

 意識が覚醒し、エルザは目覚める。汗まみれの肌がそれが現実だと思い知らしめる。

 気分を入れ替えるためにいつもの鎧に換装する。

 「私という女はつくづく仕方がないな」

 だが、今だけは忘れていいはず。たとえそれが仮初の自由だとしても。

   

231 新たな騒動

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        「何かが起こるか・・・」

 直感に似た何かで悪意を感じたエミヤ。ホテルの屋上に陣取って腰を掛けている。

 「それにしても、エルザはやはりまだ過去を・・・」

 何があったか知らないが、何かがあったという事だけは知っている。他ならぬエルザ

自身が話さない上に、人の過去を掘り返す気もないからだ。

 「思えばあの時のエルザは荒れ果てていた」

 気分を入れ替えるために思考の海に意識を潜らせる。

 彼とエルザが出会ったのは約8年前。ボロボロになったエルザをそこに偶然通りか

かったエミヤが拾い上げた事が始まりだった。

 依頼を達成した後の帰り道に偶然浜辺に寄った時に発見した。

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 状態はとにかく酷かったの一言だ。痣に擦り傷に切り傷、鞭で叩かれてうっ血した後

もあった。

 服は勿論特徴的な紅い髪も手入れをしていないのかボサボサで泥や埃で汚れていた。

 服どころか靴一つすら履いておらず、はっきり言って死にかけだった。

 放っては置けず、生前からの性質を受け継いでしまっているオレは彼女を抱き上げ

た。

 最低限の衣服を買い与え、充分な食事と睡眠を与えてから妖精の尻尾に連れて行った

結果、最終的にエルザもそこに落ち着いた。

 最初の内は周りに馴染めずに暗い表情をしていたが、時と共に少しずつ笑顔を取り戻

していったようだ。

 「十中八九エルザの過去が絡んでいるだろうな」

 今回の事件はタダ事では無さそうだ。事実奴らはエルザだけを狙っていたようであ

り、ハッピーはおまけだろう。

 「Rシステム・・・楽園の塔・・・か」

 聞き覚えのある言葉と情報を照らし合わせる。

 「やれやれ、正義の味方に休息はないということか・・・」

 霊体化してエルザが乗せられた船へと潜り込むためにそれを目指す。

233 新たな騒動

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 「今回は隠密に徹底させてもらおう。8年間も隠し通した奴らの実力は警戒せねば成

るまい」

 何が待ち受けていても彼らならば何とか出来るだろうと高をくくっているだけだが。

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人の祈りを喰らって

  Rシステム、またの名を楽園の塔というそれは、伝説の黒魔道士『ゼレフ』の復活を

目指していた。

 最高峰の黒魔道士の力を借りて今いる人間や権力者達を皆殺しにし、より良い世界を

作るために世界毎作り変える事が、この計画の立案者である『ジェラール』と名乗る男

の目的だった。

 エルザが連れ去られてからしばらくしてナツ達もそれを追って楽園の塔を目指した。

 それ相応の警備もあったし、暗殺ギルドからも刺客が何人か送られていたにも関わら

ず、彼らはそれらを全て下し、現在はジェラール本人との一騎打ちをエルザが行ってい

た。

 戦況はエルザが優勢のように見える。これ以前に彼女を超える剣技を持つ暗殺ギル

ドの刺客と交戦して多大な消耗を受けているエルザだったが、それを物ともせず果敢に

攻め続けてジェラールを追い込んでいく。

 ジェラールも躱し続けるが、ジェラールの魔法はエルザには届かない。

 魔法を切り裂き、遂にエルザがジェラールに肉薄する距離まで接近し、押し倒して首

235 人の祈りを喰らって

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筋に切っ先を向ける。

 後は刀を突き刺す工程を踏めばジェラールの命は消える。だがエルザはそれをしよ

うとしない。

衛星魔法陣

サテライトスクエア

 評議院が保有する

、『エーテリオン』と呼ばれる最悪級の大量破壊兵器が楽

園の塔と呼ばれるここに落ちる事が決定しているからだ。

 個人では到底到達出来ない領域の魔力を使った純粋な魔導砲。高ランクの対軍宝具

以上の宝具を除けば匹敵する魔法は存在しないため、抑止力として使えばこれ以上の物

は早々無い。

 勿論防ぐ事など出来ず、裁き光と言っても差し支えないそれは晒されただけでその身

を蒸発させ無と化す。

 エルザは本心からジェラールを倒す気など無く、ジェラールと戦ってケジメを付けた

かった。

 幼い頃に、まだジェラールが友だった頃に彼を救えなかった事をずっと後悔してい

た。

 空に魔法陣が展開され、発動まで秒読みの段階になり、塔の全て光で覆われた。

 エルザはどこまでいっても優しかった。倒すべき敵となった友を切れず、見捨てな

かった。そんな慈愛の心とも言えるような優しさを─────

236

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 ────利用された

           エーテリオンは間違い無く落ちた。なのに何故五体満足で生き残っている?

 辺りを見渡すと、柱や装飾品の類は全て吹き飛び、代わりに魔力を蓄えた魔水晶が

あった。

 否、塔が魔水晶に成り代わったと言った方が近い。

 「何故、私はまだ・・・」

 エーテリオンが落ちたにも関わらずまだこの世に体が存在しているという矛盾が生

237 人の祈りを喰らって

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まれる。

 目の前の現実に脳が追い付いていない所に、邪悪さを孕んだジェラールの冷笑が聞こ

てくる。

 「くくっ・・・あははははっ!!」

 冷笑はやがて高笑いへと変貌し、ゆっくりと立ち上がる。

 この場での勝者は最後まで他を騙し続けたこの男だ。

 「エルザ。お前は言ったよな?確かにRシステムの起動に必要は27億イデアの魔力

まだ・・

欠乏している。だがあくまでまだなんだよ」

 「まさか・・・ジェラール・・・」

 「そうだ。そのまさかだ!!この塔はエーテリオンを吸収する事でRシステムとして完

成したのだ!!」

 騙していたのだ。ジェラールの野心は、その傲慢さは欠片も消えていなかった。全て

は時間を稼ぐための芝居。嘘で塗り固めた偽りの仮面をエルザは見せられていた。

 「始めから騙していたのか」

 「それは違うぞエルザ」

 「ジェラールも本来の力を発揮できなかった。だから騙すしかなかったのさ」

 ジェラールと全く同じ声をジェラール以外の者が発する。

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 会話に割り込んできた男はエーテリオンを落とす事を最初に提案した男、評議院であ

り聖十大魔道の一人のジークレインで、ジェラールの双子だと名乗る男だ。

 「なぜ貴様がここに!?始めから結託していたのか?」

 「結託?それは少し違うぞ、エルザ」

 「「俺達ははじめから一人だった」ただそれだけだ」

 ジークレインの姿が少しずつブレ始め、やがては薄くなってジェラールと一つにな

る。

 「思念体!?」

 つまりは評議院に潜り込んでエーテリオンを落としたのは自分自身だったのだ。聖

十大魔道になったのも名を上げるためと評議院の上層部になるために都合が良かった

からだけのことだった。

 「貴様は一体・・・どれだけの人間を欺いて生きて来たんだ!!」

 怒りに身を任せ、剣を取り出してジェラールに斬りかかろうとする。だが彼女の体は

ピクリとも動かなかった。原因は彼女の体を刺青のように這いまわる魔法の蛇。

 「何だこれは!?」

拘束の蛇

バインドスネーク

 「

。先程仕込ませてもらった」

 体が動かず、抵抗も出来なくなったエルザをジェラールは魔水晶の中に押し付ける。

239 人の祈りを喰らって

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 後は魔水晶が生け贄を求めて勝手にエルザを取り込んでRシステムとして起動する。

────はずだった。

 「む?何故発動しない?」

 条件は揃っているはず。術式の他に膨大な魔力と復活対象のゼレフに相応しいであ

ろう上質な肉体もこの場に存在している。だが何故か一向にRシステムは作動しない。

 「そんなのは簡単な事だ。条件が欠けているからだ」

 「ッ!?誰だ!?」

 振り向くとそこにはジェラールにとっては想定外の男が居た。

 「エ・・・エミヤ・・・?」

 「貴様は・・・ッ!!今までどこに隠れていた!?」

 無論ジェラールはエミヤを警戒していなかったわけではない。むしろイレギュラー

故に最大限の対策を用意していたのだが、全くと言って干渉してこなかったためにいつ

の間にか頭の中から抜け落ちていたのだ。

 一方でエルザは彼を見て涙を流していた。義眼となった右目からは相変わらず流れ

ていなかったが、もう片方の目からはエルザに似合わない程の涙が目から溢れるように

流れていた。

 「エミヤ・・・腕が・・・」

240

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 エミヤの今の体には、右腕が肩ごと抉れたように消えていた。傷口からは止血しては

いたが、膨大な量の血が流れた痕があり、彼の体を形成する魔力の粒子は未だ留まる事

を知らずに流出を続けている。

 「ああこれか。全く、エーテリオンを受け止めるなんて考えるまでもなく無謀だと理

解はしていたのだがね・・・体が勝手に動いてしまっていたよ」

 投下された瞬間に熾天覆う七つの円環を投影してその大部分の阻止に成功し、半分程

度の魔力を霧散させる事が出来た。だがそれでも完璧ではなく、腕は消し飛び、半分程

度は魔水晶に吸収されてしまった。

 「馬鹿な!!27億イデアだぞ!!そんな出力の魔導砲など止められるわけがない!!」

 エーテリオンが脅威なのは防ぐことが出来ないからだ。だからこそ悪行を抑制する

ための抑止力として選ばれる。

 「普通ならそうなのだろうな。だがこの身は仮にも英霊の末端に席を置かされた身。

ならば不可能の一つや二つ程度、凌駕しなければならないのだよ」

 とはいえエミヤは既に満身創痍だ。簡単に言えばただの魔力とはいえ、その膨大な魔

力はサーヴァントの対魔力や耐久値を超えてダメージを与えた。

 出血も酷く目は霞み、立っているだけでも精一杯という状態だ。

 「もういいエミヤ、早くここから逃げてくれ」

241 人の祈りを喰らって

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 誰が見ても戦える状態ではないと答えるだろう。だからエルザはエミヤを逃がすた

めの行動に出る。

正義の味方

 「これが、君の抱えていた闇なんだな・・・?もういいんだ。後は

に任せて

休んでいてくれ」

 「だがその体では・・・」

 「これでも受けてそこで見ていろ」

 突然宙に短剣が浮かび、エミヤの言葉に呼応してエルザに向かって飛来し、エルザの

体を縛る蛇に刺さって蛇と共に消え去る。

 それとほぼ同時だった。ジェラール目掛けて巨大な炎を塊が飛来する。だがそれが

当たる事はなく、ジェラールは息をするように躱す。

 「遅かったなナツ」

 「おおエミヤ・・・ってなんか腕ねぇし」

 「気にしなくていい」

 これでジェラールの敵は二人になった。だがジェラールの余裕は消えない。

 「英霊だかなんだか知らんが、滅竜魔導士の力には興味がある。消してしまう前に二

人まとめてかかってこい」

 威圧感が増す。向けられた威圧は人の恐怖を煽る。エミヤは兎も角ナツは僅かなが

242

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ら影響を受ける。

 だがナツ・ドラグニルという男はそんな恐怖を常に己の象徴である炎で焼きつくして

前に進んできた。今更そんなもので立ち止まるような男ではない。

 だがエミヤはそれよりも前に立っていた。強風のように吹き付ける威圧を前に当然

のように立って向こう側へと行こうとしている。

 〝────ついて来れるか〞

 地色と血で紅く染まった外套の背中でそう語るかのようにナツは感じた。

 気付けばとっくに両手は握りこぶしになっていた。

 「へっ!!そっちこそオレについて来やがれ!!」

 ナツはいつもと変わらず勢いよく飛び出して行った。

       

243 人の祈りを喰らって

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    あれだけの余裕を見せるだけあって、ジェラールの力は圧倒的だった。ナツが全力で

打ち込んだ技はジェラールの上着を燃やす程度であり、逆にジェラールが使う天体魔法

による加速はナツが捉えられない程の速度を出し、ナツを追い込んでいく。

 エミヤであれば捉えられるが、既に無理出来ない所までダメージが蓄積した体では攻

めに転じる事ができず、飛来したジェラールの攻撃を捌くことで限界だった。そこから

カウンターの一つでも打ち込めれば良いのだが、決定打が与えられないと知ったジェ

ラールの一撃離脱の戦法がそれを許さない。

 「とどめだ。七つの星に裁かれよ」

七星剣

グランシャリオ

 ジェラールの魔法の一つ、

は彼が言うに隕石の衝突に匹敵する威力があると

いう。

 それを瞬時に二つ作り出し、それぞれを二人に差し向ける。

 彼の言う通り、隕石に相当するであろう二つの巨星が同時に落ちる。凄まじい衝撃と

巻き上がった砂煙が視界を遮る。

 砂煙が晴れた時、そこには無傷でその場に立つナツが居た。そしてその前には紅く綺

244

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麗な七つの花弁がナツを守るように存在していた。

 それがエミヤが投影した盾の宝具である熾天覆う七つの円環である事を察すること

は容易い。

 だがナツの前に宝具が展開されているということは、逆に考えれば防御をナツに回し

たエミヤはどうなっているのか?

 「ぐ・・・あッ・・・」

 遮る物は何もなく、直撃を受けて膝を着くエミヤの姿がそこにあった。

 「・・・何やってんだ・・・?」

 二人は理解が追いつかなかった。自分を犠牲にしてまで他人を救う男を見たことが

ないからだ。

 「フハハハハ!!こいつは傑作だな!!礼代わりにまずは貴様からとどめを刺してやる

!!」

 連続して魔法を放つ準備を始めるジェラール。先程の比ではない魔力が集中する。

 「気持ち悪りぃ魔力だ」

 凝縮された魔力は黒いというより暗い。その暗い球体は光を求めるブラックホール

のように渦巻いて光と共に希望を吸い込んでいるようだ。天体魔法だろうが天体とい

うよりは宇宙そのもの。

245 人の祈りを喰らって

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 エミヤが再び熾天覆う七つの円環を投影しようとするが、魔力不足なのか、それとも

蓄積したダメージで魔術回路が焼き切れようとしているかは定かではないが、投影され

集まった魔力は形になる前に霧散する。

 「ぐ・・・回路が焼ける・・・」

 「自慢の手品は種切れか?」

 優勢に事を進めているジェラールはまさに勝ちを確信しているのだろう。

 「やめろジェラール!!貴様に私が殺せるか!!」

 彼女は飛び出してしまった。あの魔法を防ぐ手立ても無ければその身で受けて死な

ない保証も無い。

 「生け贄には私が必要なのだろう!?」

 「エルザ・・・それは違うぞ。失策だ」

 「ああ。おおよその条件は聖十大魔道に匹敵する魔力を有する魔導士。だが今となっ

ては別にお前である必要も無い。魔力もそこの男が頑張ったおかげで足りないから

な。」

 そもそもRシステムに必要な条件全てを防いだ今では計画は延期せざるを得ないの

だ。それにジェラールも本気だ。仮に魔力が足りていたとしてもエルザもろともエミ

ヤを消すつもりでいる。

246

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 「させるか!!」

 体力を残していたナツがこの隙を着いて攻撃を仕掛ける。

 「邪魔だ!!貴様も逝け!!」

 思った以上に冷静で周りの気配に気を配っていたのか、ナツの我武者羅な突撃は防が

れる。

 突っ込んだ勢いを利用されて蹴りを腹部の深くまで打ち込まれ、そのまま蹴り飛ばさ

れエミヤ達の元まで飛ばされる。

 「ナツ!!」

 「これで仲良く逝けるな!!」

 球体は更にドス黒く、気味の悪い魔法に変わる。三人を確実に仕留められるくらいま

で。

 「エルザ!!どけ!!」

 ナツの声が虚しく響く。変わらずエルザは動く気はない。

 「お前は心配するな。私が守ってやる」

 「ああ。お前達はオレが守る」

 いつの間にかエルザの前にはエミヤが立っていた。残った腕に魔力を纏わせ形だけ

でもアイアスの機能を保たせる。

247 人の祈りを喰らって

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 「やめろお前ら!!」

暗黒の楽園

 「

 考えなくても威力は分かってしまう。触れたら待っているのは死だ。

 絶対に受けてはならない一撃は、無慈悲にも着弾する。

 ─────三人ではない何者かに。

           「シモン・・・?」

 ナツやエルザだけではない。魔法を放ったジェラールでさえも一瞬無になっていた。

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 「エ・・・ルザ・・・」

 力尽きてその場に倒れる。彼もその身に受ければ死は免れないと分かっていたはず

だ。だが飛び出して来て、その身を捧げた。

 それは昔の思い出だった。かつて憧れて惚れた女の子の役にたちたかったという願

いだった。

 それが結果としてエルザ達の命を救い、シモンという男は命を捨てた。

 魂が死んだ肉体はもう二度と目を覚まさない。人は一般的にそれを死と認識する。

 「イヤァァァァ!!」

 エルザが滅多に出さない悲鳴。それが引き金となって一頭の竜が動いた。

 「くだらん!!実にくだらんなぁ!!そういうのを無駄死って言うんだぜ!!」

 「黙れ!!」

 ナツの拳はジェラールに今までで一番のダメージを与えた。

 「ごはァ」

 吐血し、確実にダメージを負っている。

 「お前・・・何を・・・」

 ナツの手から腕をつたって血が流れていた。それの更に上、両手に握りしめられて砕

けているのは一対の中華刀。エミヤが担う干将莫耶の刀身だ。

249 人の祈りを喰らって

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 「ナツ・・・まさかお前・・・」

 これにはエミヤも驚きを隠せない。何故ならナツが今行っている行為は通常ならば

ありえないことだからだ。

 (宝具の、いや英霊の魔力を喰っているのか!?)

 一頭の小さき竜は今この一瞬だけ英霊をも凌駕する。

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未来へ・・・

  エミヤが作り出した干将莫耶が内包している魔力を喰らった事でナツの魔力が桁違

いに跳ね上がる。

貴い幻想

ノウブル・ファンタズム

 宝具とは

と呼ばれる英霊達の切り札である。

 神話や御伽話に登場する剣や槍、弓に盾と言った武具の類であったり、身に付けてい

た衣服や装飾品もあれば、英霊が生きていた時に生み出した伝説が後天的に宝具になっ

た概念的な物等、様々な宝具が存在するが、総じて彼らが生前に築き上げた伝説の象徴。

伝説を形にした『物質化した奇跡』である。

 武器の宝具であれば本体を器として膨大な魔力と神秘が内包されている。

 ナツはそれを砕いて内容物を飲み込んだ。ここから先に起こる出来事は誰にも予想

出来ない未知の領域だ。

 彼の意識は既に飛んでいる。ただジェラールという敵を倒すためだけに膨大な魔力

を喰らい、竜の咆哮が周りに響く。

 無意識になりながらも更に力を得るために本能的に宝具達から漏れる神秘を食い尽

くす。

251 未来へ・・・

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 余りにも膨大で濃い魔力を許容量を超えて取り込み続けた結果、それらが体の中で溢

れ始め、ナツを内側から壊し始める。

 しばらくして苦しみから自制が効かなくなったナツが暴走を開始した。その時点で

魔水晶の塔に叩きつけた拳が一撃で地割れを起こす程の威力を既に得ていた。

 痛みが体を締め付けているにも関わらず、なおも魔力の吸収を続ける。

 「エミヤ、大丈夫か?」

 エルザが動けないエミヤに肩を貸し、体を持ち上げる。

 「オレはいい。それよりもナツが・・・」

 「ああ。何てバカな事をしたんだ・・・」

 自分のために苦しんでいるナツの姿がとても痛々しい。

 「違う、そうじゃないんだ」

 「えっ?」

 「宝具っていうのはただ強力な武器じゃない。言うなればその時代の奇跡の具現化、

人々の願いが形を得た英霊の切り札だ。場合によっては不可能を可能にできる程のな」

 エルザも何度と見てきた。自分がボロボロになって受け止めるのがやっとだった魔

導砲の一撃を容易く受け止めた熾天覆う七つの円環は記憶の中にこびりついているし、

エミヤが作る宝具の贋作ですら戦況を好転させるのは容易い物なのだ。

252

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 「故に宝具が持っている神秘と魔力は、誰もが使える魔力とは質その物が桁違いなん

だ。」

 善き物が担えば世界を平和に導き英雄になれるし、悪しき物が掲げれば国一つは簡単

に滅びる。宝具とはそういう絶対的な物だ。

 「だからその神秘を体内に取り込んだナツは見れば分かる通りに拒否反応やその他

諸々で苦しんでいるが、もしそれを克服した時は・・・」

 それこそ英雄の領域に到達するだろう。

 清姫という英霊がいる。安珍清姫伝説に登場するただの少女であるため召喚された

際のステータスも最低ランクのEランクが殆どだ。

 何の武勇も持たないただの少女であるが、彼女は珍しく『宝具に特化した英霊』であっ

た。

 彼女は己の身を炎を吐く大蛇、つまり竜に変化する事に特化した英霊だ。彼女は思い

込みだけで最強の幻想種である竜種の領域に到達した。

 その宝具だけで一騎当千の英霊達と同等の戦力となり得る。それだけ竜種の力は絶

対的なのである。

 英霊の魔力をきっかけにして、ナツの中で眠る滅竜魔法の最終形態を叩き起こす。

 「オオオオオ!!」

253 未来へ・・・

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 一倍大きな咆哮と共に、ナツの滅竜魔法の炎が竜の形を得て燃え上がる。

 その体はより竜に近づいていた。皮膚の一部が鱗になり、魔力上昇によって戦闘力も

跳ね上がる。

 既にジェラールの反応速度を超えての攻撃も可能になったナツがジェラールに飛び

膝蹴りを食らわせ、その体を魔水晶に叩きつけて魔水晶の塔を砕いて崩して行く。

 「お前が居るからァァ!!」

 勢いは止まる事無く魔水晶で出来た塔を粉砕する勢いで攻撃を重ねていく。

 「エルザは涙を流すんだ!!」

 「こざかしい!!」

流星

ミーティア

 天体魔法の一つ『

』を発動し、自身の機動力を常人が捉えられる域まで上昇させ、

ナツの攻撃から抜け出すと共に距離を離す。

 だがドラゴンフォースと化した事によって極限まで竜に近づいたナツは人間を超え

た速度や反応速度、それらに加えて常識を逸脱した直感に似た何かも備わっている。か

つて世界の頂点に立っていたドラゴンが何世代もかけて積み重ねた戦闘経験がそうさ

せるのか。

 「がはぁっ!?」

 ジェラールの逃走経路の先をピンポイントで撃ち抜き大ダメージを与える。

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 もはや戦いではなくなっていた。圧倒的強者が弱者を倒す。自然界でいう食物連鎖

が再現されている。

 「ふざけるな!!」

 ジェラールも必死だ。目前にまで迫っていた願望を、立ちはだかった男ただ一人のせ

いで取りこぼす事実を受け入れるわけにはいかないからだ。

 「自由の国を創る。オレは真の自由国家を創るのだ!!」

 「それは人の自由を奪って創る物なのかァ!?」

 最後の魔力を全て込め、楽園の塔を丸ごと粉砕出来るであろう魔法の発動準備に入

る。幽鬼の支配者が使おうとした禁忌の魔法だ。

 ジェラールがここまで自由に固執する理由はただ願いを叶えたいだけ。幼い頃に束

縛された生き地獄を味わったために、周りにいる皆が自由に暮らせればいいなと子供で

も夢見る理想。

 それがジェラールをここまで導いてきた。ただほんの少しだけ悪意が混じっただけ

だ。

 「拷問を受けた際にゼレフがオレに囁いた。そうさ。ゼレフはオレにしか感じられな

い。オレはゼレフの亡霊と共に自由の国を創る!!」

 願いが歪みきった結果がこれだ。だからこそ歪みを解けば元に戻れる。

255 未来へ・・・

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 「フッ・・・亡霊に、そんな真似が出来るものか」

 「・・・なん・・・だと・・・?」

 一つ一つの欠片を一つに組み合わせてようやく真実に辿り着いた。

 エミヤの消えるような声は確かにジェラールに届いた。

 「そうさ。死人は何も語らない。亡霊なんて物は善悪含めて自分で無意識に創り出し

た幻想の類だ。貴様の自由という理想は骨組みしか作られていない」

 エミヤの言葉が確かにジェラールの動きを止める。加えてエルザが与えた刀の傷。

どちらも浅くはない。

 「お前は何かしらの暗示にかかっていただけなんだ。それが自己暗示か他人の細工か

は知らんがな」

 何かが崩れ去っていく。何年という短くない期間の全てをそれのために積み上げて

来た。それが崩れれば後は脆く倒れて塵に帰るだけだ。

 そしてジェラールは歪み崩れた禍々しい物の中にかつての大切な物を幻視する。

 「見えたか?それがお前の忘れていた物だ。自由に憧れ、誰よりも自由を欲しいとい

う願いだ」

 「くっ!?」

 理想と現実の激しい矛盾による酷い頭痛に襲われる。それを解放する力を持った者

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が迫る。炎の翼で羽撃いて突撃してくる一頭の竜だ。

 「自分を解放しろ!!ジェラァァァァァァァル!!」

 ナツの拳は確かにジェラールの亡霊を粉々に打ち砕いた。

           激戦が終わったにも関わらず、止む気配を見せない揺れ。

 吸収した膨大な魔力が留まりきらず、行き場を失って暴走しているのだ。

 器から解放されればその魔力は吸収される前の姿を取り戻す。すなわちエーテリオ

ンとなって今この場と付近に居る避難した仲間も巻き込んで大爆発を起こす。

257 未来へ・・・

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 魔水晶が歪み始め、足場すら安定しなくなってきた。それが想像を超えた破壊力を秘

めた魔力だという事を想像するのは難しくない。

 崩壊と暴走を続ける塔の中、一人動けるエルザが倒れた二人を抱えて脱出しようと必

死に藻掻く。

 だが気付いてしまう。例え外に出れても爆発に巻き込まれ命を落とすと。

 一つだけ皆が助かる方法がある。

 誰かが人柱となってエーテリオンの魔力と同化し、それを無害になるように空へと流

す事だ。

 だがそれをやってしまえば同化した自分諸共空に流れて消え去る。

 肉体も血の一滴も髪の毛一本足りとも残らず、魔力となって霧散する。

 それでも仲間を救えるのならと、エルザは己の身を差し出す。

 だがそれをナツは良しとしない。目を覚ましたらエルザが魔水晶と融合していたの

を目撃し、なんとか踏み留まらせようと奮闘するが、遅かった。膨張が限界を超えた。

間もなく爆発を起こす。

 「私が皆を救えるのなら、何も迷う事はない。この体など・・・くれてやる!!」

 「エルザーー!!」

 ナツの叫びが魔水晶の暴走する音よりも大きく響いた。

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 自身の体が記憶や心と共に溶けていく感覚に襲われながらもエルザは半ば安心に近

い表情を浮かべていた。

 これで皆を助けられると。幼少時代を過ごした仲間やギルドに入ってからの仲間達

の顔が浮かび上がる。

 皆が笑うその中にエルザは存在しない。既に体と魔力の境界線が無くなりかけてい

た。目を閉じ、魔力を空へというイメージに全てを割く。

 故に何かに引き寄せられる感覚に気が付かなかった。

          

259 未来へ・・・

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 夢を見た。

 エルザはそこでは空に浮いていた。見下ろした先には守ろうとした仲間が、ギルドの

親しい仲間達が揃っていた。奇しくも皆が泣いていた。

 それは自身の葬式を行っている最中の夢だった。

 そこには誰も笑っていない。

 あるのは悲しむ仲間達と彼らが流す涙。生まれるのは現実を見せられて生じた後悔

と絶望のみ。

 (そうだ。私はこんな未来を見るために犠牲になったのではない・・・)

 エルザが拒んでもその未来は呪いのようにエルザにまとわりつく。やがてエルザは

それに耐えられなくなり、後悔の果てに体を壊して消えていった。

 (それが貴様の選んだ未来の果てだと理解したか?)

 だがその瞬間にエルザを踏み留まらせたのは良く親しんだ男の声だ。だがいつも以

上に冷たさと鋭さを含んだ物だ。まるで剣のような声はエルザの心を直接抉り曝け出

させる。

 「・・・エミヤ・・・なのか・・・?」

 ようやく目が戻って視認出来るようになった時、場所が変わっていた。

 何処までも果てしなく続く荒野。無数の剣が突き刺さったそこに当然覚えはない。

260

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 「いつかやりかねないとは思っていたが・・・オレ並の馬鹿だな君は」

 荒野を背にしてエミヤがいつもと変わらない姿を見せ、大地を背にして座っていた。

大きく姿勢を崩して皮肉を含めた言動は少し気になったが、もはや慣れた物だ。

 「それで、どうだった?君の選択は満足の行く物だったか?」

 「いや、全くだ」

 「それは良かった。味をしめていたらオレが君を叩き直さねばならない所だった」

 「どういう事だ?」

 エミヤの言葉は何故か説得力があった。まるで本人が何度となく経験した物のよう

な確信があった。

 「気付いていなかったか?君の行いは人間の行いではないのだよ」

 剣となった言葉を更に容赦無くをエルザの心に突き立てる。

 「自分よりも他人が大切だという考えはあってはならない間違いだ。誰かを救いたい

という願いは自分が救われているからこそ生まれる感情だ。それを省いて人助けが出

来る者は既に心が破綻している」

 エミヤの後ろにはまだ道があった。だがその先は彼にも分からない。

 「別にそれでも前に進み続ける事が出来る覚悟を持っているのなら私は構わん。むし

ろ軽蔑しながら歓迎しよう。だが無いのならそのまま後ろを向いて引き返し給え。今

261 未来へ・・・

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なら失敗で皆許してくれるだろうさ」

 エルザは後ろを向いた。だがすぐには歩き出さない。

 「お前はこっちにこないのか?」

 その問いに錬鉄の英霊はこう答え続けるだろう。

 「オレは前に進み続けるさ」

 ────正義の味方として

           エルザが次に目を覚ましたのは海上。そしてすぐに自らの名前を呼ぶ声が幾つも届

262

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いた。

 先に塔を離れていた仲間達は、塔に残ったエルザが心配だった。

 魔力になりかけたエルザはナツが見つけ出した。魔力の渦の中で奇跡的に見つけ出

し、引っ張りだしたのだ。

 「同じだ・・・妖精の尻尾無しで生きていけないのはオレたちだって同じなんだ・・・

だからもうこんな事はしないでくれ」

 ナツが震えていた。涙を流していた。それだけで彼の意思を察するのは簡単だ。

 「分かった・・・」

 そうだ。仲間のために死ぬのではない。仲間のために生きるのだ。

 両目から流れるようになった涙。それをきっかけに己の生き方を改めて定める。

 「そうだ。それが幸せな未来に繋がる一本道だ」

 エルザ達の後ろから現れたエミヤは誰よりも酷い有様だった。

 右半身は肺の一歩手前から消滅しており、逆立った髪は普段とは違って降りていた。

 更に異質なのは彼の体から生えた剣。それも一本二本の話ではなかった。急所にな

り得る部位を避けていたのが救いだ。

 「エミヤ・・・酷い怪我を・・・」

 「だが生きている・・・生きていれば歩ける、だろう?」

263 未来へ・・・

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 「ああ、そうだな」

 エルザはそこで泣くのをやめた。代わりに精一杯の笑顔を見せてやった。

 それがエミヤシロウの原動力となるのだ。

264

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番外編2:騎士姫

  マグノリアの町

 商業に特化したこの街は、年間を通して多くの人が訪れる。街の住民達はこの街から

一歩も外に出なくても大抵の品が揃うし、何らかの目的があって訪れる旅人が必要な物

資を補充したり宿泊施設を探す拠点となったり、国中から集まる観光客はそこで資金を

消費しより物資を循環させる。

 品揃えは勿論大変豊富である。食料品は食材から調味料、保存食や甘味を出す店も多

い上に、レストランや酒場といった飲食店も多数存在している。

 宿も手頃な物から高級な物まで幅広く存在し、またこの町を気に入って定住したいと

もの者も資金さえあればそう困る事はない。アパート等も空き家が多く探す手間もそ

うはかからない。

 今や生活に欠かせなくなった魔法道具の充実しており、勿論その種類も豊富に揃って

いる。

 故に商人達は商売競争に日夜励み、商売敵よりもより多く売り上げようと工夫を凝ら

して奮闘する様子が見て取れる。

265 番外編2:騎士姫

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 良く探せばより質が良い物をより安い値段で販売している店が見つかるだろう。

 大きな店を構えている大手よりも規模の小さな露店の方が質が良いというのもしば

しば。

 快晴で過ごしやすい今日、そんな商店が立ち並ぶ街道を歩いているのはこの町では多

少名のある男である『エミヤシロウ』だ。

 皮肉が混じった言動は少々目立つが、それ以上にお人好しで人の良い彼に困っていた

所を助けられた人も多く、むしろそんな皮肉な言動が彼に程よいスパイスを加えている

とも思える。

 さて何故こんなガタイの良い男が一人で街道を見て回っているかというと・・・もち

ろん彼の目的はマグノリアに集まる質の良い商品、今回の場合は食材だ。

執事バトラー

 家事が特技だとか

と呼べなどと平気で公言する彼は密かに主夫と呼ばれつつあ

るなど知らぬが、言われても何の違和感も無いのがこの男だ。

 今日の彼の狙いは安売りされている鶏卵だ。お一人様10個までで81Jと破格の

値段という餌に釣られて町の主婦達に紛れて目的地を目指す。

 通常こういう安売りには非常に多くの人が集まる。甘い考えで向かったら既に手遅

れだったというのは何も珍しい事ではない。

 故に彼は安売りが始まる一時間前に目的地に着くようにギルドを出た。それでも並

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んでいる者はいるだろうが、買えないということはないだろう。

 いつもと変わらぬ平和な日常。人で賑わう街道はいつもと何も変わらない。そんな

いつもと変わらない世界で、いつもとは違った白とすれ違った。

 ほんの一瞬だけ視界に入っただけだが、何よりも目の奥深くまで焼き付いた眩しすぎ

る姿。それは磨り減って消えかけた彼の僅かな記憶の中にある一つの光景に映った女

性の姿によく似ていた。

 急いで振り向いてもその少女の姿はどこにもなかった。

 だが記憶に焼き付いたその女性が青を基調としたバトルドレスを身に纏っていたの

に対し、通り過ぎたのは白を基調としたやや露出の多い短めのドレスを身に纏ってい

た。

 また髪型もポニーテールに結えていたような気がする。余談だが頭には一際目立っ

たアホ毛が見えた気がする。

 「・・・まさかな」

 視線を安売りが始まる前の店舗に戻す。だがもしそれがまさかでなく、見間違いでな

かったら・・・その時自分はもう一度彼女に面を向かえる事が出来るのだろうか。

 「何を弱気になっているんだ私は・・・平和な空気に当たり過ぎたか?」

 そんな己を戒めながらエミヤはこれから始まるであろう戦場へと足を進めた。

267 番外編2:騎士姫

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           一方エミヤが主婦または主夫達の戦場へと赴いているころ、少し離れた街道に軽い人

だかりが出来ていた。

 白を基調としたドレスを身に纏い、眩しく輝く金髪と希望に満ちた碧眼を併せ持ち、

露出している背中や腋も含めて一片の汚れもない。例えるなら愛らしい百合の花だろ

うか。

 異性として見惚れる者も多ければ、ただ単純に目立つ故に振り向いてしまうものも多

い。人を惹き付けるのは容姿だけのおかげではないようだが、とにかくその少女は市場

268

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に置いて人の好奇の中心となっていた。

 「うわ〜、美味しそう・・・」

 露店にて現在も調理され続けて、香ばしい匂いと程よい焦げ具合によって滴る肉汁が

トレードマークである串焼きが少女の食欲を掻き立てる。

 みっともなく鳴りそうになったお腹を根性と羞恥心で抑えこみ、食欲によって生じた

煩悩を焼き払う。

 「こんなところで足止めをされるとは・・・恐るべし美味しいご飯」

 彼女の出身国はメシマズで有名な某国である。

 水も土壌も良質な食材を生産する環境に恵まれず、良い調理法の発展が遅れた故に、

焼く・茹でる・揚げるの三点セットで見た目をなんとかして調味料を適当にかけて味を

誤魔化してなんとか食べられるようにしたというからこその物だ。

 ただし朝食と菓子に関してはその限りではない。朝食を一日三回食べよとはよく

言ったものだ。

 とにかく彼女は丁寧で美味しい料理に飢えていた。

 マグノリアに来る前は武者修行中の身であり、携帯可能な保存食を僅かに持ち歩き、

それ以上に必要な分は現地調達、もとい狩り等で凌いでいる身にしてみれば仕方ないだ

ろう。

269 番外編2:騎士姫

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 そのためどうしても大雑把に成りがちになり、海辺に近い場所でなければ塩すら貴重

品になった。

 それもこれも彼女が修行を最優先として資金調達のための日雇いバイト等を避けて

いたからであるが。

 「うぅ・・・我慢我慢・・・」

 実際にはお腹が空いたわけではなく、余りに食欲を刺激する匂いであったために空腹

に似た感覚に襲われただけではあるが、苦痛には変わりなく自然に見えるようにその場

から立ち去り、当初の目的地を目指す。

 マグノリアは商業都市として栄えてきたが、実は魔法も盛んであり、このフィオーレ

王国最強の魔導士ギルドとして有名である。

 また所属する魔導士達の実力も高いのだが、その性格はそれ以上にぶっ飛んでおり、

彼方此方で問題を起こすために最恐の間違いではないかと疑いたくなる程だ。

 市場を離れて少し歩けば少々古い酒場が見えてくる。それが王国最強の魔導士ギル

ド『妖精の尻尾』の本拠地だ。

 中に入らなくとも少々派手で賑やかな声が聞こえて来る。それに混じって大きな物

音や物が壊れる音が響いてくる辺り、乱闘騒ぎでも起きているのだろうか?

 そんなギルドの門を開き、中の様子を伺う。

270

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 酒と食べ物が宙を舞い、それに混じって人も投げ出されている。

 勢い良く殴られて人が水平に飛ばされるのも、机や椅子ごと人に殴りかかって壁や床

を巻き込んで壊すのもここでは珍しくもない。

 丁度少女に向かって男が一人殴り飛ばされて少女に迫る。それをか細い腕で難なく

受け止める。

 「だ、大丈夫ですか!?」

 いきなりの自体に驚きながらも、冷静さを取り戻して飛ばされた男に駆け寄る。どう

やら気絶しているだけのようだ。

 「大変、止めないと」

 少女は自身が担う剣を虚空から取り出そうとするが、傷付ける事が目的ではないとそ

こで踏み留まる。

 仕方なく代わりに持ち歩いている安物の木刀を取り出し、魔力を流して並の真剣と同

等程度の性能にまで強化する。

 「行きます!!」

 覚悟を決めて前に向き直ったその瞬間、目の前に迫る回避不能な距離まで迫った人の

頭。

 衝突、それに続いて頭を走る鈍痛。不意を付いた衝撃で目の前が真っ暗になり、その

271 番外編2:騎士姫

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先に星が幾つも見えた。少女はそこで意識を手放した。

            「すみません!!まさかただじゃれ合っているだけとは思わなくって!!」

 全部が全部自分が悪いわけではないが、謝って頭を下げる。

 「お願い謝らないで・・・こっちが完全に悪いんだから」

 ルーシィがそう言いながら未だに馬鹿騒ぎしながら酒を浴びるように飲んでいるカ

ナとか一回収まってもまだ騒ぎ出そうとするナツ達を遠い目で見ている。

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 「いえ、気にしないでください。それにこんな賑やかな空気は好きなので」

 「うん、なんというか・・・ごめん」

 笑顔が眩し過ぎて見てるだけのルーシィの方が痛くなる。

 「と、ところで、貴方はどうしてここに来たの?ギルドに入りたいってわけじゃなさそ

うだけど・・・」

 「あっと、そうでした」

 少女は大事なそれを思い出したかのように慌てて言葉を整理する。

 「ここを訪れた理由は修行の一貫です。とある目的のために、一日でも早く一人前に

なって理想に辿り着けるように日々修練を重ねています。そこで王国一と名高い妖精

の尻尾さんの魔導士さん達と手合わせをして頂きたくて・・・」

 ニコニコと笑顔を振りまく人形のような容姿とは正反対で、己に厳しく努力を怠ら

ず、一歩一歩前に進もうとするその姿は紛うことなき騎士のそれであった。

 もっとも、ここは騒ぎたい連中が揃っているため相手には困らないだろう。

 「そういうことならオレが相手になってやるよ!!」

 待ってましたと言わんばかりにナツが名乗りを上げた。

 「おう!!オレもやるぜ!!」

 次々と名乗りが上がる。修行の相手は余る程集まった。

273 番外編2:騎士姫

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 「皆さん、よろしくお願いします!!」

          ギルドの前で二人の少年と一人の少女が向かい合う。

 「よっしゃ!!やろうぜ!!」

  「久々にギルドの連中以外の魔導士と戦えるんだ。俺も熱くなってきた!!」

  闘志を燃え上がらせて気合いを込めたナツと既に上着を脱いで魔力を練り上げて

いるグレイの前に立つのはまだ幼い一面を残した白い少女だ。

  「国中に名を広めている魔導士ギルドの方々の実力、参考にさせて頂きます」

  少女の戦い方は剣を使っての近接戦闘が主であるが、少女の手に握られているの

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は、王国でも騎士の訓練等で使われている木刀が一刀だけだ。

  「おいおい、そんな燃えやすそうな木刀一つでいいのか?」

  ナツの拳が炎で燃えている。彼は失われた魔法の一つ『滅竜魔法』その中の火竜の

滅竜魔法の使い手だ。

  普通なら触れる前に乾いた木に引火してしまうだろう。

  「いえ、これでいいのです。私の本来の剣では死人が出てしまいます」

  「なら意地でも抜かせてやるぜ」

  「どうぞ。ですが簡単に私の剣は抜かせませんよ」

  先程まで無風だったマグノリアだが、急に風が出てきた。

  「ほんじゃ、はじめぃ」

  酒を片手に妖精の尻尾の総長であるマカロフが始めの宣言をする。

  同時に少女が町を駆ける。人間の限界を越えて相手へて迫る。

剣ソード

  「アイスメイク『

』」 

  目には目を、歯には歯を、剣には剣を。木の剣と氷の剣が激突する。

  「うおっ!?重っ!!」

  とても少女の腕力で振るえる剣圧ではない。一撃受けただけで手が痺れて剣を手

放しそうになる。

275 番外編2:騎士姫

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  「はあぁぁぁぁぁ!!」

  「っぉぉおおおお!!」

  豪快ながらも決して隙を晒さない。そんな繊細さも兼ねた剣術は確実にグレイか

ら体力を奪い、追い込んでいく。

  「ちっ、速ぇし重ぇ。技量もエルザと同等以上じゃねえか」

  純真で無垢でどこか抜けた少女はとんでもなく強かった。このままではジリ貧の

末に負ける。

  「だからこそ燃えてきた」

  グレイは更に気合いを入れる。そしてそれ以上の戦闘狂が乱入しない訳がなかっ

た。

 「火竜の鉄拳!!」

  炎を纏った拳を少女の真上から叩きつけるべくナツが上から強襲する。

  「来ましたね」

  読んでいたかの如く少女が拳を剣で防ぐ。ジジジと僅かに焦げる音が低く響く。

  「今だ!!」

  剣戟の嵐を耐え抜いたグレイがボロボロの氷の剣で一閃する。新しい作る暇はな

い。

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  「おっと」

  それを防ぐために一旦ナツを弾き飛ばして迎え撃つ。

  「火竜の鉤爪!!」

  ナツが更にその隙をついて攻撃を加える。これに少女は仕切り直しのために一旦

距離を取る。

  二人相手でも捌けるだろうが、あのままでは後手に回り続けることになるからだ。

  跳躍で離れて着地する。だが着地した先には先程までグレイが持っていた剣が風

を裂いて向かって来ていた。ここで初めて少女は驚くが、一瞬で切り替えて剣で弾く。

  明後日の方角に飛ばされた氷の塊は砕けて霧散し水に戻る。

  「アイスメイク『槍騎兵』連射だァ!!」

  十、二十と数を増やした氷の槍の群れが少女に迫る。

  それらを全て剣で叩き落としながら少女は次に備えて得物に魔力を込める。

  「火竜の咆哮!!」

  視界を全て遮って炎が少女に迫る。

  「風よ…」

  炎が少女を飲み込む。だが直後に炎が割れた。

  「なに!?」

277 番外編2:騎士姫

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  「おいおいマジか」

  割れた炎の先に少女が立っていた。木刀は炎の熱に耐えきれずに灰の一欠片も残

さず燃え尽きたようだが、少女は無傷だった。

  「危なかったですよ。魔力を放出して切断しなければ、剣だけでは済みませんでし

た」

  少女は魔力を風として放出することができる。剣に纏わせれば射程の延長や切れ

味等の性能強化を、その身に纏えば本人を守る鎧となる。

  「よく言うぜ。汗一つかいてねぇくせに」

  残りの体力や魔力の総量は少女の方に軍旗が上がる。

  「だがオレは勝ったぞ」

  「あン?」

 少女の木刀に罅が入り、そのまま音を立てながら砕けた。

  「木刀は壊れたしな。これで抜くんだろ?剣」

  「そうですね。これでは剣を抜かざるを得ませんか」

    少女が腕を前にかざす。魔力が集まっていき、最終的には剣の形になった。

 それは光輝く黄金の剣だった。並の物を寄せ付けぬ程に輝く光は見る者を魅了する。

 だが人々が見惚れる剣の輝きはある者に向けられた物の余波でしかない。

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 その剣は王を選定するために存在する剣であり、その力は所有者に向けられる。

 所有者が王として正しく完成した時、黄金の剣は聖剣として相応しい物になる。

 その剣の名は─────

勝利すべき黄金の剣

バー

 「

!!」

 光が溢れ出す。その光はまさに王者が担うに相応しい栄光の光。

 「うおっ!?」

 「なんだっ、こりゃぁ!?」

 相対していた二人はあまりに巨大な魔力の奔流によって視界が光で埋め尽くされる。

それがただの光ではない事など見ただけで分かる。

 「受けなさい!!この剣の一撃を!!」

 風が吹き荒れる。少女の膨大な魔力に呼応して周りの空間ごと揺れ動く。

 同時にナツもグレイもより強大な力の前に、怯むどころか闘争本能を燃え上がらせ

る。

  「「上等!!」」

  ナツは滅竜魔法の奥義を、グレイは氷の造形魔法の自身が使える中の最強の魔法で

迎え撃つ。

  「滅竜奥義、紅蓮爆炎刃!!」

279 番外編2:騎士姫

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  「氷欠泉!!」

  爆炎を伴った螺旋状の炎が、大量に出現した氷の間欠泉が王の光を飲み込むべく突

き進む。

  両者が正面から衝突した瞬間、光が弾けた。

  『うわあぁぁぁぁ!?』

  観戦していた周りの者達にも被害が出る程の衝撃が襲う。

  「なんという威力の魔力放出なんだ・・・!?」

 誰かが口から零した言葉の通り、それは常識を逸脱していた。

 巻き上がった砂や埃が視界を塞ぐが、時間と共にそれらが晴れてくる。

 「・・・全く、これは一体何の騒ぎなのかね?」

熾天覆う七つの円環

ロー・

 右腕に

を纏い、左腕に買い物袋を抱えて後ろでボロ雑巾の如くボ

ロボロになった二人を庇っていた。

 皮肉な口調でため息を零しながらも、見慣れない存在に対しての警戒は忘れていな

い。

 『エミヤ(さん)!!』

 たまたま帰り時が宝具の真名解放と重なり、アイアスを投影して庇った。

何だ・・

 「それで・・・君は一体

?」

280

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 アイアスを消し、持ち替えた白黒の夫婦剣の切っ先を少女に向ける。

 「・・・一体何なのでしょう。」

 「・・・何?」

 どこか悲しげな暗い表情を見せつつも、少女は言葉を続ける。

 「そもそも私には過去の記憶が何一つないのです。何処で生きていたのかも、親や兄

弟姉妹が居たのかも、自分の名前すらも持っていない。私が持っているのは誰の物かも

分からない理想だけ。その理想を叶えるためだけに私は生かされている、そんな気がし

ます」

 「・・・」

 奇しくも少女はエミヤによく似ていた。彼もまた生前とある転機を迎えた後は、憧れ

た理想を借りて走り続けた者だ。

 故にエミヤなりに少女に思う所があった。

 「剣を取れ。斬り合えば自ずと答えが見えて来る」

 「それは・・・はい、分かりました」

 再び黄金の剣を正眼で構え、顔だけは張り詰めて外見を繕う。だが内面に秘めた迷い

は切り捨てられていない。

 「ふむ・・・総長、これを持っていてくれ」

281 番外編2:騎士姫

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 エミヤは買い出しで買ってきた荷物を総長に預ける。万が一被害が大きくなったと

して、これを守れるのはおそらく彼だけだ。

 「どうしたんじゃエミヤ?お主が他人にこう突っかかるのは珍しいのう」

  「いえ、私にも少々思うところがありますので」

  荷物を渡し、再び少女に向き合う。

  「さて、では始めようか」

  「行きますっ!!」

  両者が神速で駆け出した。

         白百合と紅が混ざり合い、黄金の剣と黒白の夫婦剣がその身を己の主と共に競い合

う。

282

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  神速で振るわれる剣筋は残像となってそれぞれの色を光として放つ。

  ぶつかるのは何も剣だけではない。

  二人は己の曲げられない意地を貫くために斬り合うのだ。

  だが少女が自分の理想を他人の理想と思って信じられないうちは勝ち目はない。

  「どうした?その剣に君が負けているぞ」

  「くっ」

  少女は負けじと剣を振るう。その一撃一閃をエミヤは丁寧に捌く。

  迷いのある剣戟は相手に真っ直ぐ届かず、結果的に少女の疲弊に繋がる。

  それはエミヤも同じなのか、エミヤが隙を晒した。

  「っ、やあっ!!」

  そこにだけ真っ直ぐ少女の剣が届かされる。そこはエミヤが虚をつくために作っ

た隙だ。エミヤは既に剣の通り道よりも上に跳んでいた。

  「え?」

  空を切った剣の後に投擲された夫婦剣が少女に迫る。

  「この!!」 

  身体を捻った無理矢理な動きで剣を弾くが、それはエミヤの剣戟の一手に過ぎな

い。

283 番外編2:騎士姫

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  「山を抜き、水を割り、なお墜ちることなきその両翼」

   更に追加されて三対となった黒と白の鶴翼。それは相手から回避と反撃の選択

肢を奪い、防御を強いる剣の結界。

  事実少女は剣を捌くだけの余裕しかなくなった。

  「すごい。これがエミヤの実力か」

  まだ遠い高みに立つエミヤにエルザやラクサスといった妖精の尻尾の強者達は魅

入っていた。

  「ところで、君は与えられた理想をどう思っている?」

  手に魔力が集まり形を創っている間のほんの一瞬。それを使ってエミヤは少女に

投げ掛ける。

  「っ、そんなの、決まってるじゃないですか」

  少女は覆っていた夫婦剣を砕いて叩き落とした。ここ一番の見事な剣閃だ。続く

翼は風の魔力放出で吹き飛ばす。

  「人を救うための偉大な理想。格好良いに決まっています!!」

  「そんな理想に私は憧れていたんです。でも私がここで折れたらその理想も折れて

嘘になってしまいます。それだけは絶対にさせたくない!!」

  魔術回路にを火を灯し、燃料を得たエンジンのように燃え上がり魔力を生成する。

284

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  少女が生まれつき持っている竜の心臓が空気を魔力に変換し、少女の魔力が更に膨

れ上がる。

  「そうだ。でなければ君は嘘だ」

  魔力が形になり、エミヤは一振りの剣を担う。それは少女が持っている剣と同じ剣

だった。

  「ッ!?それは!?」

  「君の剣、いやその贋作だ。だが贋作とはいえ君の剣、そしていずれ君が超えねばな

らない壁だ」

  振りかぶられたお互いの剣に魔力が宿る。魔力の質は同等だ。全く同じ輝きを

放っているのが証拠だ。

  「行きます」

  両者に緊張が走る。

勝利すべき黄金の剣

バー

  「「

!!」」

  先程以上の衝撃と閃光が周りの人全てに降りかかる。

  『うおぉぉぉぉぉッ!?』

  二人が放った光が周りの被害を抑えるために一点集中であったため怪我人は居な

い。

285 番外編2:騎士姫

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  真正面からぶつかり合った剣は、一方を残して跡形もなく砕ける。

  「見事だ。君の名はきっと後世にも語り継がれるだろう」

  己が昔夢見た幻想が本物の幻想の前に砕け散ったのだが、彼は満足していた。

  「ですが、私には名前が…」

  「…セイバー・リリィ」

  「え?」

  「白百合の剣士という意味で付けた名だ。君に良く似合っているとは思わんかね

?」

  「…ええ、そうですね。その名前、有り難く頂戴します」

  名前すら持たなかった少女が人としての存在意義を持った瞬間だった。

        「はむッ、はふはふ、本当に美味しいですね!!」

286

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  「おかわりもデザートもある。慌てず食べなさい」

  先程の激闘の熱も冷め、ギルドの一角で微笑ましい光景が広がっていた。

  初対面であるにも関わらずエミヤはリリィの手綱を握っており、端から見れば兄妹

や親子のような親密な関係なようにも見えるだろう。

  「リリィちゃんか…いいな」

  「ああ、かわいい」

  また別の一角では、マカオやワカバ達親父組が微笑ましくはないが共通の話題で盛

り上がっていた。

  「お前やっぱすげぇ強ぇな、だが次は絶対勝つからな!!」

  「そうだな。次があれば私も手合わせ願いたい」

  リリィは妖精の尻尾の者達にも受け入れられていた。元々彼らが難しい人物達で

はないこともあるだろう。

 本人は何も語っていないが、リリィにとってこの瞬間が最も充実していたことは間違

いない。

 だがそんな時間も終わりを告げ、再び旅立たねばならない時が来た。騒ぎ疲れたギル

ドの前でエミヤとリリィが最後に出会う。

 「もう行くのか?」

287 番外編2:騎士姫

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 「はい!まだまだ未熟と理解しましたので」

 「また迷いが生まれたら来るといい。君ならもう迷わないと思うがね」

 「ありがとうございます!!それと、一つお願いがあるんです」

 「何かね?」

 「私はいつか立派な王になります。それで、その・・・その時になったら私の騎士になっ

てくれませんか?」

 月明かりが二人を照らす夜の下、汚れなき純白の頬をほんのり紅く染めた少女は男に

対して純粋な想いを伝える。

 「・・・そうだな。君の理想が叶ったら、私は喜んで君の下へ行こう」

 その一言でリリィはここ一番の笑顔を浮かべた。

 「はい!!私、絶対立派になって戻って来ます。待っててください!!」

 リリィはそう言い残して夜の街から旅立って行った。暗闇の中でも少女は人一倍輝

いており、暫くは目から離れなかった。

 リリィが見えなくなると、エミヤは懐から煙草を一本取り出し、火を付けた。滅多に

煙草を吸わないエミヤだが、彼が煙草を吸う時は決まって一人で感傷に浸る時だ。

 「リリィ、いや『アレ』は何らかの原因で生じたバグのようなモノ。騎士王アルトリア

をモデルにして生み出された幻想。世界の気まぐれで与えられた使命を存在意義とさ

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せられ、それを成し遂げたら消滅する存在・・・か」

 リリィのモデルとなった騎士王は『アルトリア・ペンドラゴン』として既に完成され

ている。故にリリィが騎士王になることはなく、世界は同じ存在を許さない。

 「だがその使命を成さねば消える事はない。だからせめて他の楽しみを与えようと

思っての行動だったが・・・やはり幼くても君は君のようだな・・・」

 大切な者が出来てそれを失いたくないと願えば自ずと消滅から遠ざかるだろうが、そ

れも有り得ない話になりそうだった。

 灰皿に吸い殻を捨て、エミヤはギルドの屋根の一番上で腰を掛けて夜空を見上げる。

 「忘れかけていたが、君はそうやって後悔しても前に進もうとしたんだったな」

 思い浮かぶはエミヤシロウが衛宮士郎だったころ、何よりも輝いていた女性が最後に

見せた輝き。

贋作レプリカ

真作

オリジナル

 「ならばせめて、後悔をせずに生きろ。そうすれば

になれるさ」

 やがて夜に溶け込む紅も夜の闇に消え、今日という日もゆっくりと穏やかに終わりを

告げた。

289 番外編2:騎士姫

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バトル・オブ・フェアリーテイル

  「・・・ここは?」

 妙に気だるさを感じながら男が意識を取り戻す。

 薬品の匂いが鼻の中から刺激を与え、男の朧げな意識をより早く現実に戻していく。

 部屋の隅々にまで染み付いてしまった薬品の成分が空気中に溶け込んでいるせいか、

男が全身に負っている傷に滲みて僅かだが痛みを与え続けている。

同調開始

トレースオン

 「

 まだ意識が朦朧としてはいるが、現在置かれている状況を理解するには充分だった。

 全身を包帯でグルグル巻きにされて傷の処置がされていることから、ここは医療関係

の施設でエミヤはそこで傷の手当をされて安静にさせられているのであろう。

 「しくじったか・・・」

 霊体を再構成して体中の傷を全快状態に回復させる。だがそれでは蓄積したダメー

ジまでは回復しない。

 魔術回路も霊核もかなり傷ついており、しばらく無理は出来ないだろう。

 それらが回復しなければ戦闘行為はおろか、日常生活にも支障が出るかもしれない。

290

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 巻いてあった包帯を強引に剥ぎ取り、いつもと変わらぬ赤い外套の装束に姿を変え

る。

 「ふむ、このまま体を休めておけばすぐに復帰できそうだな・・・」

 おそらく明日になれば誰か見舞いに来るだろう。その時に詳しい事情を聞けばいい。

それまでは大人しくしておくしかないようだ。

 と思っていたが、どうやらそんな悠長な時間は無さそうだ。

 どうも良くない事が起こってるのではないかと胸騒ぎを感じた。幾多の経験から導

き出された勘の類だが、こういう物に助けられた事は多い。

 勘だけではない。街の中の魔力がかき混ぜられたように不安定になっている。かな

りの規模で魔法が行使されている証拠だ。

 「一番魔力が集まっているのは・・・これは神鳴殿が起動しているのか?」

 閉められていた窓を開けると、光と共にマグノリアの街に無数の球体が浮かんでいる

のが確認できた。

魔水晶

 「馬鹿な!?あれは強力な雷の魔力を持った

だぞ!?まさかアレを街に落とす気か

!?誰だそんな馬鹿げた事を仕出かした奴は!!」

 もはや安静などと言っている場合ではなくなった。アレの雷が落ちれば街は間違い

なく消し炭。マグノリアに住む人々が生き残れる保証は何処にもない。

291 バトル・オブ・フェアリーテイル

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 「チッ・・・起動させた奴はどこだ・・・?そいつを見つけ出さない限りはどうにもな

らん・・・」

 強化の魔術を惜しみなく発動、全身に付与して身体能力を向上させる。代わりに魔術

回路が焼き切れそうな悲鳴を上げてオーバーヒートを起こし、エミヤの全身から血が微

量だが吹き出す。

 「グッ・・・保ってくれよ・・・」

 屋根から屋根へと跳び移りながら残像しか残さないくらい速く街を駆ける。その軌

跡に紅の雫を零しながら。

         

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  街の中心部に位置するカルディア大聖堂はマグノリアを代表する観光名所の一つだ。

 たった今、そこで繰り広げられている大激戦を除けば多くの人々が集まっていただろ

う。

 「ぐあッ!?」

 「ぐッ・・・!?」

 雷を纏い広い大聖堂内部を駆け回っているのはラクサス・ドレアー。現妖精の尻尾の

総長であるマカロフ・ドレアーの実の孫であり、今回の騒動をバトル・オブ・フェアリー

テイルと名付けて神鳴殿を起動させた張本人である。

 黒ずくめの服を着た男の名はミストガン。何かと謎多い男だ。

 だがこの二人は最強と名高い妖精の尻尾の中でもトップクラスの実力者である。

 今回の騒動の発端はラクサスの暴走が原因である。なにかと注目を集める妖精の尻

尾はよく事件や事故を起こし、その度に雑誌や記事に取り上げられる。そしてそれが大

衆の目に止まり、馬鹿にされる。

 ラクサスにとってそれが何事よりも耐え難い屈辱なのだ。

 だからそれを変える。自身が総長になって妖精の尻尾をより強く、より厳格な組織に

変えることが彼の目的だ。

293 バトル・オブ・フェアリーテイル

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 「ラクサス!!」

 そこにナツとエルザの二人が乱入し、それに気を取られたミストガンが手痛い一撃を

受ける。

 だがそれ以上にナツとエルザに走った衝撃の方が大きかった。

 顔を隠したミストガンの顔が、先日戦ったジェラールと瓜二つだったからだ。それに

よってミストガンが戦線を離脱、エルザも神鳴殿の対処に向かい、残ったナツがラクサ

スと戦うことになった。

 エルザは天輪の鎧を装着し、空中に大量の剣を浮かべて魔水晶の破壊準備をする。剣

の数は二百に達するが、魔水晶の数はそれを上回る。やがてエルザ自身の魔力が底に尽

きかけ、剣の出現が止まる。剣の出し入れにも制御にも多大な魔力を使うからだ。

 「くっ・・・同時に破壊するにはまだ足りんか・・・」

 魔力の消費と共に焦りが生じる。一つでも破壊し損ねれば街に雷が落ち、多大な被害

が出る。それだけは避けなければならないからだ。

 「あと百本、それさえあれば・・・」

 今のエルザでは残り百の手段を用意することはできなかった。エルザだけでは。

 ─────諦めるな、エルザ。

 ハッと顔を上げるとそこには今もっとも頼りにしたい男がいた。

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 「力み過ぎだぞ。それではできる物もできなくなる」

 「馬鹿な・・・!?お前怪我がまだ治ってないはずじゃ・・・」

 楽園の塔の事件によって重症を負い、病院で絶対安静の状態だったはずだ。

 だがそんな様子は見られず、いつもの紅い外套の姿でエルザの前に現れた。

 「事情は大体だが把握している。空の神鳴殿の魔水晶を破壊すればいいんだろう?」

 「知ってるならやめてくれ!!あれには生体リンク魔法がかかって・・・」

 「知っているさ。だが手が足りないんだろう?」

 苦虫を噛み潰したような顔とはこういうことを言うんだろう。できると意気込んで

ナツに送り出されたのに結局はエミヤの力を借りることになる。

 「いいかね?まず剣を扱うのではない。それはできて当たり前だと思い込むんだ」

投影、開始

レー

ス・オ

 ─────

 悲鳴を上げる魔術回路に更に無理を打って魔力を流す。この程度の無茶など生前に

幾らでも乗り越えてきた壁だ。

工程完了。全投影、待機

ロールアウト。オールバレット、クリア

 「────憑依経験、共感終了。

 次々と現れる無銘の剣達。飾りもなく無骨なデザインの物が多いが、これら全てが歴

史に己の偉業や名声を書き込んだ英雄達の物だ。

 やがてそれらは百どころか軽々と三百を突破する。

295 バトル・オブ・フェアリーテイル

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 「す、すごい・・・」

 「いいか?君はこれすらも通過点だと思え」

 神鳴殿を完全に破壊準備が整った所でウォーレンの念波の魔法が届いた。そこから

今までダウンしていた妖精の尻尾の魔導士達が復活して上空の魔水晶目掛けて魔法を

放つと言い出した。

 「北の二百個は私がやる!!お前達は南の残り百個に集中、エミヤは無理するなよ?見

ていてくれ!!」

 エルザの剣と様々な魔法達が空の魔水晶目掛けて殺到する。

 「フッ・・・悪いが、了承できんな」

 それら全てを打ち砕きながら空へと登る剣の群れがあった。エミヤがエルザに見せ

た剣達だ。エルザの剣を弾き、皆の魔法を無力化してもなお魔水晶を破壊しきれる数が

あった。エミヤがあの後も投影し続けた結果だ。

 やがてエミヤの剣が魔水晶を全て破壊する。術式のアラートには『エミヤ 三百個』

と確実に表示されていた。

 それはつまりエミヤに人間三百人を殺傷できる魔法が集中するということだ。

 「グッ、オォォォォォッ!?」

 雷三百発が全てエミヤに殺到したのと同じ衝撃だ。常人ならば即死どころかオー

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バーキルだ。

 「エミヤ!!」

 そばにいた無傷のエルザが駆け寄って来る。

 「お前、一体何であんな無茶を!?馬鹿なのか!?」

 「ああそうだな・・・たまには馬鹿になってみるのも悪くないぞ」

 「こんな時にふざけてる場合か!!」

 『おい!!一体どうなってるんだ!?そっちはどうなってる!?』

 などと言い合っていると、ウォーレンの念波から様々な声が流れてくる。

  「エミヤが生体リンク魔法の反撃を全部庇った!!おかげでエミヤが黒焦げになって

いる。今すぐ治療の用意をしてくれ!!」

 『なんだって!?分かった、すぐやる!!』

 それを聞いたと同時にエミヤの意識は途切れていた。

     

297 バトル・オブ・フェアリーテイル

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       大きな騒ぎがギルドを中心にして起こったが、収穫祭は問題なく行われた。怪我人ば

かりであったこと以外は例年通りに行われ終了した。

 バトル・オブ・フェアリーテイルと呼ばれたラクサスのクーデターはラクサスと雷神

衆の敗北という形で幕を閉じた。

 それによってラクサスはマスター・マカロフによって破門を通告された。雷神衆がお

咎めなしの理由はラクサスが全ての責任を取ったからである。

 魔法の花火が夜空を彩り、ギルドの魔導士達がパレードの中心で己の才を用いて街の

人々に歓喜の渦に巻き込んで共に騒ぐ。

 雷神衆と妖精の尻尾という家族に見守られながら、ラクサスは己に出来た分岐路を歩

んで行くのだろう。そして今度こそは正しい方向に進むであろう。

 街の騒ぎが聞こえなくなる程度に離れたとある街道。月と星だけが前を照らしてい

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るこの場所でラクサスはふと歩みを止めた。前が見えなくなったわけではない。会わ

ねばならない男と鉢合わせしたからだ。

 「ラクサス・・・」

 「そういえばアンタには何も言ってなかったな、エミヤ。神鳴殿の雷を全部受けて倒

れたって聞いていたんだが・・・」

 覚えている限りでは黒焦げになっていた全身を包帯でグルグル巻きに拘束され、指一

本動かせないようにされて安静状態になっていたはずだった。

 「いやなに、折角の旅立ちだ。見送りの一つくらいはしておかなければ次の目覚めも

悪いのでね」

 「そうか・・・アンタにはたくさん迷惑を掛けたな」

 「構わんさ。それより君ももう飲める歳になってたな?」

      

299 バトル・オブ・フェアリーテイル

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       「アンタこんないい家持ってたのか・・・」

 エミヤの家はこの辺りでは珍しい東洋風の一軒家だ。それもかなり広い敷地に建て

られた武家屋敷という物だ。

 実際に本人を除いても十数人は生活できるスペースはあるだろう。

 「確かにコレを建てたのは私だが、モデルは私が以前住んでいた家でね。それは養父

が購入した物だよ」

 居間に置かれた少し広めのテーブル。そこにラクサスとエミヤの二人分の席と食器

が置かれている。

 「以前というよりは生前だがね。微かに残った記憶を頼りに設計した」

 「・・・アンタは既に一回死んでるって聞いたが本当なんだな」

 「そこからとある物好きが私を召喚して、こうしてここにいるわけだ」

300

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 机の上に土鍋と酒瓶が置かれる。どちらもラクサスにとっては珍しい。

 「酒は私の故郷の物に近い物を取り寄せた物だ。鍋の中身は寄せ鍋といって作る人や

土地によって個性が出るが味は保証するよ」

 香ばしい匂いが漂う鍋の中に入った出汁には野菜類や大豆を使った加工品に練り物

や海鮮類などが浮かんでいた。

 それらから適当な具材を取り分け口に運ぶ。出汁が染み込んで柔らかくなった具材

は温かくて体に染み渡る味をして妙に安心する。

 酒も少し酒気と苦味が強いが悪くはないし、癖になりそうな不思議な味だ。

 「・・・美味い」

 「だろう?私の祖国はこういう味が美味い国だったからな」

 「アンタの国ってどんな国だったんだ?」

 そうだな、と少し思考を巡らせる。

 「歴史はそこそこ長いが時代が動く度に文化が様変わりしてな、あれほど周りに合わ

せるのが上手い国もそうはないよ。もっとも、二十歳になるころには既に国を出ていた

がね」

 何があったんだ?と尋ねるラクサス。それがエミヤの根底に関わることになると

知ってだ。

301 バトル・オブ・フェアリーテイル

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 「私は英霊としては格が低い。世界と契約しなければ座に登録されることもなかった

無名達の代表者でね。とある願いを叶えてもらう代わりに人類が絶えるまで守護を

担っているんだ」

 「アンタほどの強者でも叶えられない願いがあるのか?」

 「もちろんだとも。仮に一騎当千の実力を持っていようが、巨大化して圧倒的な力を

手にしようが、人間一人の力は世界にとってはちっぽけな物だ。一人では世界を変えら

れないってことは忘れてはいけない」

 自傷気味に言葉を続ける。

 「ならアンタの願いって一体なんだ?圧倒的な力ってわけでもなさそうだが」

 「・・・それは私の起源に関わる話だが、今は割愛するぞ。」

 酒を一杯口に運ぶ。お互いにいい具合に顔が赤くなってきていた。

 「私はな、正義の味方って奴になりたかったんだ。ほらよく子供向けの話があるだろ

う?弱きを助け強きを挫くってありふれた物語。あれにいい年になっても本気でなり

たかったんだ」

 「なれなかったのか?」

 「そうだな。少なくとも私一人ではどれだけ歩み続けても、どれだけ己を売っても成

し遂げられないだろうな」

302

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 でなければ今頃病死や事故死以外での人死には無くなっているだろうさ、とエミヤは

言った。

 「─────私は国を出る時に多くのものを切り捨てた。姉のような人も、慕ってく

れた後輩も、大恩を返していない師匠も、たった一人残された姉も、交友のあった友人

オレ・・

達や知人達も、そして、こんな

を愛していると言ってくれた女性さえもな」

 「そして得られたのが・・・オレを象徴する力と人殺しが上手いという事実に切り捨て

た小数の命、いや多くの血によって染められた手だけだったよ」

 止まったかのような静寂な時。家の中の明かりとまだ温かさを保つ鍋から出た湯気

だけが時間の流れを示している。

 「・・・だからか、アンタは昔からよく言っていたよな。仲間や家族は決して手放すな、

と」

 「オレみたいなろくでなしは一人で十分だろう?」

 「過激だと思うがな」

 「奇遇だな。悪くはないと思うがね」

 お互いにキュッと最後の酒を飲み干す。

 「分かったよ。もう間違えない」

 「そうだな。今のお前ならそうだろうな」

303 バトル・オブ・フェアリーテイル

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 ラクサスが立ち上がる。その目はより一層輝いていた。

 「あとひとつ、ちょっとした情報だがな・・・お前の父親、イワンには近づくな。アレ

の妖精の尻尾に対する憎悪は並ではない」

 「・・・」

 「あの男は使える物はなんでも使って妖精の尻尾を潰しに掛かってくるだろう。お前

の中の魔水晶はいい軍資金になるだろう」

 「・・・分かった。世話になった。アンタも達者でな」

 少しずつだが負の方向へ運命が進んでいることははっきりと分かっている。最近バ

ラム同盟の六魔将軍の動きが活発なのもそれの前哨戦だろう。

 「あとこれ、弁当だ。旅先で食べるといい」

 「アンタのそういうオカン気質は抜けねーな」

執事バトラー

 「せめて

と言ってくれ」

 これはラクサスにとっての通過点だ。彼はきっと今よりもっと強くなる。そう妖精

の尻尾の全員が信じていた。

   

304

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          遠い荒野と森の境目付近

 世間で六魔将軍と呼ばれる者達がそこに集結していた。

 「間もなくです。間もなく我らが悲願は叶います。それはきっと王も気に入ることで

しょう」

 メンバーの頭脳役として知られるブレインという男が上下関係のほぼ無いこのギル

ドではありえない臣下の礼を取っていた。

 「くだらん。興味も沸かんが、貴様らが臣下として礼儀を尽くす以上、相応の報奨はや

らねばなるまい」

305 バトル・オブ・フェアリーテイル

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 「勿体なきお言葉です」

 「貴様らが探しているというニルヴァーナとかいうものを探し出し、貴様らが手に入

れるまでは貴様らに力を貸そう。そこからは知らんがな」

 王と呼ばれた者は興が冷めたのか、すぐにその場から消え失せた。

 その溢れ出る魔力は個人で圧倒的な力を持つとされる六魔将軍の一人一人を軽く超

えていた。ブレインの内側に潜むもう一人のものさえも。

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セブンス・ワン

  最近、六魔将軍と呼ばれる闇ギルドの活動が活発であるという情報が出回っている。

 他の追随を許さないその危険性故に、正規ギルド達は連合軍を結成。妖精の尻尾、青

い天馬、蛇姫の鱗、化け猫の宿の四つのギルドから実力者を数人選び出しての少数精鋭

部隊での攻略が主な作戦である。

 妖精の尻尾からはS級魔導士のエルザを筆頭としてナツ、ハッピー、ルーシィ、グレ

イといつもの最強チームが、青い天馬からはホステスのような格好をしているヒビキ、

イヴ、レンと色物枠の一夜の四人が、蛇姫の鱗からはかつてナツ達が敵対したグレイの

兄弟子であるリオンとシェリーにマカロフと同じ聖十大魔導の一人であるジュラが、化

け猫の宿からはか弱い少女、ウェンディとハッピーと同じ猫のシャルルが参加した。

 連合の魔導士達の作戦がほぼ全員を囮として六魔将軍を一箇所にまとめ、魔導砲を搭

載した魔導爆撃艇『クリスティーナ』で跡形もなく消し去るというものだ。

 過剰かもしれないが奇襲としての効果は高く、逃しにくい点では群を抜いているだろ

う。

 だがその作戦は失敗した。というより筒抜けになって先手を打たれた。

307 セブンス・ワン

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 六魔のメンバーの中に人あらゆるものをコピーして姿形から記憶や性格まで写し取

る魔法の使い手がおり、それによって一夜がすり替えられ、作戦を敵に知らされ、更に

ジュラが深手の傷を負った。

 作戦の要であったクリスティーナが無残な姿に変わり果てて落ちていく姿を見なが

ら悪が姿を表した。

 毒蛇を使う毒の魔導士『コブラ』速さを操る魔導士『レーサー』天眼の異名を持つ『ホッ

トアイ』心を覗けるという情報がある『エンジェル』情報が少ないが『ミッドナイト』と

呼ばれている男、そして六魔将軍の司令塔である『ブレイン』

 この六人だけで闇ギルド界の頂点の一つを担っているというのは紛れもない事実で

あり、実際に奇襲に近い形だが現在進行系でナツ達連合軍を相手にして圧倒している。

 唯一冷静に対処しながら戦えているエルザ六魔を複数人相手にするのは厳し過ぎた。

やがて押され始め、コブラの毒を受けて戦闘不能にまで陥る。

 「ここまでだな。まとめて消えるがいい」

 流石は闇ギルドの頂点の司令塔。少なくとも置物ではない。ナツ達も感じたことの

ないくらい巨大で邪悪な魔法によってナツ達を消し去ろうとする。

 が、既の所でそれを止めた。

 「・・・ウェンディ?」

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 「え?」

 後に判明するのだが、ウェンディはナツと同じ滅竜魔導士で天空を司っている。今回

の作戦に参加したのもナツに会えるかもしれないからというものだった。

 そして天空の滅竜魔導士は失われた魔法である治癒に特化している。それがあれば

六魔が重要視しているある男を治療できるからだ。

 「これはいい拾い物をした。来い」

 ブレインの魔法でウェンディと助けようとしたハッピーが捕らえられる。そしてブ

レインが魔力を集中させる。今のナツ達ならば容易く戦闘不能にできるほどの魔力だ。

 これに対して今のナツ達には対抗手段はない。それが放たれようとした瞬間だった。

 『おい。いつまで遊んでいる?』

 ブレインの魔法が止まった。貯められた魔力が霧散し消える。

 「お、王よ!!今しばらくお待ち下さい!!もう終わります!!」

 突然ブレインが跪いた。残りの六魔も、寝ていたミッドナイトも起きてそれに従う。

 『ならば私にやらせろ。それで終わりにしてやろう』

 ブレインの魔力なぞ比較にもならないほど黒く暴力的な魔力が森の奥から溢れ出し

て来る。それに当てられただけで並の人間は失神してしまいそうだ。実際に六魔のメ

ンバーですら震えている。

309 セブンス・ワン

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 「ですが王よ!!わざわざ貴方様の手を煩わせる程ではございません!!」

 『くどいぞブレイン。私は一宿一飯の恩を返すためだけにここにいる。貴様がそれさ

えいらないというのであれば、貴様らから真っ先に切り捨てる。私も暇ではないから

な』

 「ッ・・・!?」

 魔力による重圧、それだけでブレインは口を閉じた。

 「なんだこの魔力は!?」

 深手を負ってなおも立ち上がって来たジュラと一夜が後から合流するが、すぐにあの

魔力に飲まれてしまった。

 「・・・貴様らの始末は我らが王が自ら行うとお決めになられた。そこを動くなよ」

 動けない。怪我やダメージの問題ではない。あまりの存在感によって金縛りのよう

なものになっているからだ。

 「・・・ほう。面白い力を持った子がいるな」

 魔力の持ち主が姿を表した。背丈で言えばナツやルーシィと同等以下と小柄だが、そ

の存在感は明らかに人の上に立つ王そのものだ。

 黒いバイザーのような物で顔を隠し、黒く染まった甲冑が溢れ出る魔力とよく合う。

声から判断すれば女性であるとわかる。

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 「貴様らがブレインの言う光側の存在か。なるほど、こいつらとは大違いだな」

 「なんでだよ・・・なんでお前から竜の匂いがするんだよ!?」

 力を振り絞って立ち上がったのはナツだった。それにグレイやリオン達が続く。

 「わかるのか?簡単なことだ。私の心臓が竜種のもの。ただそれだけのことだ」

 「何訳のわからんことを!!」

 グレイが得意の氷の魔法を放つ。リオンがそれに続き、それが周りに伝わり、次々と

魔法が打ち込まれて行く。

 撃ち切って巻き上がっていた砂煙が晴れる。だがそこには全くの無傷で立つ王の姿

があった。

 「嘘・・・全部当たってたはずよ!?」

 その光景を見ていたルーシィが驚愕の言葉を零した。砂煙で見えなくなったとして

も始めのうちは確実に当っていた。

 「もう終わりか?一時の抵抗は許した。では消えるがいい」

 王が漆黒に染まった剣を振りかぶる。それに魔力が集中し始めるが・・・。

 「火竜の咆哮!!」

 ナツが渾身の力でブレスを放つ。

 「むっ」

311 セブンス・ワン

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 不意の一撃で炎に飲まれる王。

 「どうだ!?」

 「悪くはないが、惜しかったな」

 炎が消えた後にはやはり無事な様子で立ち塞がる王がいた。だが甲冑がほんの少し

だけ焦げているのがわかる。

 「なんでだ?なんで効かねぇんだ!?」

 「そうか・・・その圧倒的な魔力、そして存在感。サーヴァントか!?」

 「ほう、それを知っている輩がまだ居たか」

 「サーヴァント?それって何処かで聞いたような・・・」

 「ジュラさん、何なんですかそれは?」

 一旦仕切り直しを図るべくお互いに距離が取られる。

 「以前ワシが世話になった人から聞いた者達のことだ。その人もそれに当たるが。過

去の有名な英雄達を使い魔として召喚された規格外だ」

 「そうだ。私は確かにサーヴァントだ。もっとも、ブレインの奴をマスターとしてい

るわけではないがな」

 「ついでにサーヴァントにはクラスがある。私はセイバーのクラスで召喚され、その

スキルの中に対魔力というものがある。それのランク以下の魔術や魔法の類は私に触

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れた瞬間に無力化されるし、それ以上でも軽減できるというものだ」

 「じゃあなんでナツの咆哮は通ったんだよ?」

 「それは相性だろうな。滅竜魔導士なんだろう?そこの小僧は。先程も言ったが私は

竜の因子を持っているからな」

 魔導士達は皆黙る。今のままでは絶対に勝てないと本能的に察してしまう。

 「さて、話過ぎたな。これで終わりにしよう。貴様らの健闘に敬意を示そう。運が良

ければ生き残れるであろうな」

 再度漆黒の剣に魔力が吹き込まれる。それを振り抜くと魔導兵器にも匹敵する魔力

放出がナツ達を襲う。

 「岩鉄壁!!」

 それに対して比較的ダメージの軽いジュラが魔法で防ぐ。大地そのものを固くした

壁はあと一歩の所まで追い詰められるが防ぎ切る。

 「ほう、防ぐか。だが二撃目はどうする?」

 再び振り抜かれた剣。そこから放たれたのは先程よりも明らかに強力な魔力放出。

下手をしたらジュピターすら軽々と超えるかもしれない。

 「ぬ、オォォォォ!!」

 限界を迎えていた壁が破壊寸前にまで追い詰められる。

313 セブンス・ワン

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 「くっ・・・万事休すか」

 膨大な魔力が爆発し、辺りが閃光で埋め尽くされた。

             光が収まる。辺り一面が更地になっているが、ナツ達も六魔も無事であった。

 「一体何が・・・王?」

 黒い魔力が通った道、それは大地を抉ったが、それを遮るようにボロボロになった剣

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が地面に突き刺さっていた。

 それは魔力の粒子になってすぐに消えたが、それが誰の行いかはその人物を知ってい

る人ならばすぐに察せた。

 遥か上空、そこから飛来する数本の剣が王のいる場所に殺到する。

 それを持ち合わせている直感スキルで気付いてすぐに六魔の方に引いた。

 そして何かが地面に着地し、砂埃が巻き上がる。

 「・・・そんな・・・どうして貴方が・・・いや、奴はこれを知っていた?」

 意外にも一番同様していたのは王であった。

 「この魔力は!!」

 「クソ・・・やっぱアンタはかっけーよ」

 「流石にタイミングが良すぎるぞ・・・」

 妖精の尻尾を中心に湧き上がってくる希望。それの体現者が現れた。

 砂煙の中で紅い外套を翻し、敵と守るべきものの間に立ち塞がった。

 「エミヤだ!!」

 「・・・」

 「・・・」

 王と正義の味方。二人のサーヴァントがお互いに向き合う。

315 セブンス・ワン

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 「おいブレイン。貴様らは邪魔だ。とっととここから消えろ」

 「・・・はい、仰せのままに」

 それに呼応して六魔将軍は姿を消した。

 「ナツ、それに他の皆、今すぐここから立ち去るんだ。ついでに六魔を追え」

 「でもエミヤ!!アイツつえーんだから皆でやった方がいいだろ?」

 「だといいがね・・・はっきり言おう。ここにいる奴は全員邪魔だ。聖十のジュラも含

めてな」

 全員が驚く。いきなり戦力外通告をされればそれはそうなる。しかし反論の言葉を

エミヤが許さない。

 「彼女の正体を知りたいか?かの英霊は生前は見た通りの王でね。治めた土地はブリ

テン島。それも神秘が残っている最後の時代と呼ばれた五世紀後半から六世紀前半の

ことだ。そして彼女が担った剣は最強の聖剣と名高い・・・」

 エミヤが振り返る。そしてその先の言葉で皆が驚愕する。

 「聖剣エクスカリバー・・・持ち主はアーサー・ペンドラゴンだ」

 王ことアーサー王がバイザーを外す。色の抜けた冷たい髪と目があった。

 「久しいなアーチャー」

 「どういうわけか、私が知っている彼女とは反転しているがね」

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 エミヤの頬から一筋の汗が流れる。

 「皆、一旦引こう」

 ジュラがまずそう言った。ここでは語られていないがジュラは過去に一度エミヤと

試合をしたことがあったからだ。サーヴァントの実力というものを一番理解している。

 「ワシは昔エミヤ殿と戦ったが、手も足も出なかった。ここに居ても邪魔になるだけ

であろう。エルザ殿の件もある」

 「うちの馬鹿達を頼んだぞジュラ。」

 手痛いダメージをもらっているからか、ナツも意外に素直だった。

 「エミヤ!!絶対に無事で帰って来いよ!!」

 ナツがエミヤに向けて拳を突き出す。

 「ああ、私に敗北は無い」

 エミヤがそれに合わせた。結束を示す願掛けのようなものだ。

 エルザを抱えて皆が離脱していったのを見届けたエミヤは再び前を向く。

 「ようやく二人になれたな、シロウ」

 「そうだな、セイバー」

 セイバーにとっても、エミヤにとっても、お互いは深い縁で結ばれた相手だ。

 思い返せば第五次聖杯戦争の後から一度も彼らは会うことがなかった。

317 セブンス・ワン

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 「そういえば、君は反転しているのか?にしては随分と大人しいな」

 「ああこれか?最初は普通だったんだがな。現界した瞬間あのニルヴァーナとかいう

ものの影響を多少は受けたのかもしれん。性質はあの青い方だが精神的にはオルタに

寄ってるのかもな。あの魔女の短剣で刺せば元の青いのに戻るだろうな」

 「そんないい加減な・・・」

 なら戦わなくてもいいんじゃないか?という考えが一瞬横切った。

 「まあそんな些細なことはどうでもいい。重要なのは私が悪でシロウが善というこ

と。貴方がまだ正義の味方であるのなら、やることは変わらんだろう?」

 「フッ・・・なら私がよくある英雄譚の世界の命運を担った勇者で、君が悪の魔王って

ところか?」

 「囚われの王女に決まっているだろう馬鹿者」

 「・・・なんでさ・・・」

 干将・莫耶を投影する。この剣はかの聖剣に比べれば何ランクも見劣りするが、決し

て敵わないものではないと自負できる。

 「シロウ・・・この際ハッキリ言っておこう」

 「なんだね突然?」

 「アルトリア・ペンドラゴンがあの時衛宮士郎に言った言葉を覚えているな?」

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 忘れるはずがない。あの言葉はセイバーと出会った時と同じく摩耗した守護者生活

の中でも決して忘れなかった言葉だ。

 「シロウ、私はお前が欲しい。他には何もいらないと誓える」

 魔力の放出で更地になっていた土地に巨大な黒い柱ができる。

 「私と一緒に来い。私が貴様を幸せにしよう」

 差し出された手は黒い甲冑で染まっていたが、それは甘美な誘惑のようでつい手を

取ってしまいそうになる。以前の私ならば迷うことなくこれを受け入れただろう。だ

が。

 「・・・セイバー。オレ、今妖精の尻尾ってギルドに居るんだ。毎日うるさくて手を焼

いているけど、楽しいんだ。あの時と同じくらいに。」

 「ああ、見ていれば分かる」

 「だからさ、お前に着いて行くことはできないよ、セイバー」

 「だろうな、ならば勝って力尽くで連れていくまでだ」

 「・・・フッ!!」

 エミヤも戦闘態勢に入る。かのアーサー王にも決して見劣りしない程巨大で透明な

魔力が溢れ、黒い柱の隣に同じ巨大な柱を作り出す。

 「ならオレが勝ったら君を貰おう、セイバー!!」

319 セブンス・ワン

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 「来なさい、シロウ!!」

 漆黒の聖剣と黒白の夫婦剣、常勝の騎士王と錬鉄の魔術師の剣戟が始まった。

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究極の一と無限を担う者

  グレイが蛇姫の鱗のリオンとシェリーと共に六魔のレーサーを下した。

 レーサーの圧倒的な速度で終始苦戦を強いられたが、リヨンがレーサーの魔法が自身

の速度を上げる物ではなく、他者の体感速度を下げる魔法だといち早く気づき、グレイ

を自分たちから引き離した所をグレイに狙撃させて勝利を収めた。

 ルーシィとヒビキが六魔のエンジェルを倒した。

 エンジェルの所有する星霊の『ジェミニ』『スコーピオン』『アリエス』がルーシィの

主力の星霊達を完封し掛けていたが、二人の星霊を愛する心はルーシィの方が上だった

らしく、ジェミニがルーシィへの攻撃命令を拒否、その隙をヒビキから貰った魔法『ウ

ラノ・メトリア』を発動してエンジェルを倒した。

 六魔のホットアイが寝返った。

 ジュラと交戦していたホットアイが六魔を裏切った。起動したニルヴァーナという

魔法の効果は『光と闇を入れ替える』つまり善は悪に、悪は善に入れ替えられる。それ

には心も含まれ、金に固執していた本当の理由を思い出し、ジュラと和解した。

 だがニルヴァーナは復活してしまった。唯一隠し場所を知っている男であり、かつて

321 究極の一と無限を担う者

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己の願望を叶える過程でナツ達と死闘を繰り広げたジェラールが封印を解いたのだ。

 それと同時に自立崩壊魔法陣をニルヴァーナと自分に仕掛けた。記憶を失った自分

が罪を犯していたと薄々感じていて、それを償うという意味を込めてのことだった。

 だがその魔法陣はブレインによって無効化されてしまった。そもそも自立崩壊魔法

陣はブレインが開発した魔法の一つであり、それらを都合の悪いように使われた時のた

めにマスターキーかなにかを設けていたのだろう。

 それによってニルヴァーナは完全にブレインの支配下となった。

 ニルヴァーナとは超大型の移動兵器であり、これを開発したニルビット族が築いた古

代都市そのものでもあった。

 ニルヴァーナは起動する際に光と闇の狭間にいるもの、つまりその境界線で揺れ動い

ている物を無差別に入れ替える。

 その直前にリオンが死んだと勘違いしたシェリーや弟を探す資金のために六魔で行

動していたホットアイが入れ替わった。

 シェリーはその後に追いついて来たリオンの姿を確認したことで元に戻ったが、どち

らにせよニルヴァーナという魔法をこのまま放って置くことは出来ない。

 完全に起動したニルヴァーナはタコのような足が六本あり、それが地面に接続される

ことで魔力を吸い上げ、兵器の動力源を動かしている。

322

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 それを離れた位置で確認したエミヤとセイバーが剣戟を止めて仕切り直しを図った。

 セイバーに大きな傷は無いが、鎧の至る所に細かい傷があり、魔力放出を攻撃や防御

に回したことで魔力も消耗していた。

 一方エミヤはかなり限界が近かった。元々ステータスで大きな差があり、相手の魔力

放出や直感スキルや磨き上げられた剣の技量など、常勝を誇ったとされているセイバー

相手に苦戦を強いられている。干将と莫邪再投影も二十を超えた。

 ここまでエミヤが致命傷を負っていないのは己の保有スキルである心眼(真)の存在

が大きい。これは後天的に身についた本物の心眼と呼ばれる物。幾度の戦場を乗り越

えて会得した経験則による予想で相手の動きを先読みするものだ。

 エミヤの剣の技術は干将莫邪に合わせた己独自の物だが、その根底には在りし日に己

のサーヴァントとして共に歩んだセイバー本人の物がある。誰よりも近くで魅せられ

たその剣は確かにエミヤの中にある。

 「セイバー、あれがニルヴァーナか?」

 「らしいな。よくない物を感じる」

 セイバーが魔力を放出して接近し、エミヤがそれを干将で受ける。放出された魔力に

よるブーストですぐに支えきれなくなり莫耶も合わせる。

 「フッ!!」

323 究極の一と無限を担う者

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 そのまま振り抜かれて弾き飛ばされる。がそれすらも攻めの手段に変えてみせる。

でなければここに至る前に火力で押し切られている。

 「ハッ!!」

 エミヤは吹き飛ばされながらも両手の干将・莫邪を投げつける。綺麗な弧を描いて飛

んでいく様は夫婦剣の名に恥じてない。空いた手にすぐに弓を投影し、番えた剣の矢を

一呼吸の間に三度打ち出す。

 「軽いぞ」

 干将莫邪が左右から、三発の矢が正面から迫り、それらが重なる瞬間はほぼ同時。だ

がセイバーそれすら神速の剣捌きで弾き切ってしまう。弾かれて後ろに逸れた剣達が

着弾しその衝撃だけで地面を砕いた。

 「チィ・・・」

 「まだまだ行くぞ」

 セイバーが再び接近。再度の投影が間に合った干将莫邪で受けて流す。元々エミヤ

の剣術は防御に重きを置いた立ち回りをして、隙を見せた相手に重いカウンターを当て

るのが基本だ。その防御はケルト神話の最強やギリシャ神話の最強と謳われる大英雄

である『クー・フーリン』や『ヘラクレス』ですら容易く突破できるものではない。

 接近して離されてそのタイミングで遠距離攻撃を仕掛ける。それを何度繰り返した

324

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かも過去の彼方に消え去り、此度の打ち合いもこれで三十は超えたか。

 「相変わらず見る度に腕を上げるな、シロウは」

 「伊達に長い間現界させられてはいないさ。」

 例えば換装の魔法。エルザが得意とする魔法だが、それ自体は簡単で基礎的な魔法だ

ろう。それで投影済みの宝具を取り出すのと一から投影したのでどちらが早いかと聞

かれたら、答えるまでもない。あれによってエミヤの戦術の幅は更に広がった。

 「例えば、こんなのはどうだ?」

 「ッ!?」

 剣戟の合間。エミヤの両手の二撃以外に飛んでくる剣がある。セイバーの死角から

飛んでくるそれは換装の魔法によって取り出されて発射された宝具だ。エミヤ本人が

射線上に被らないように飛んでいき、また回収される。意識外から放たれたこれによっ

て作られた隙は数多いし、そこを付かれて決定打を入れられかけたのも数知れない。

 直感スキルによる先読みでその企みを全て潰せているが、それがなければセイバーは

とっくに負けている。

 「クッ、上手い分忌々しい英雄王よりも質が悪い」

 「そう言われて光栄だよ」

 ようやく攻めに転じれた。できればこのままの勢いで攻め切りたい。だがふと流れ

325 究極の一と無限を担う者

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た汗と悪い予感でとっさに仰け反る。エミヤが居た位置を通り過ぎる真名開放並の魔

力放出。当たれば間違いなく致命傷レベルのそれは、今まで出し損ねていた聖剣に貯め

られた魔力を上に振り上げる勢いで放ったものだろう。事実切られて宙に舞った数本

の髪が一瞬で蒸発した。

 「しまった!?」

 瞬間に体中に鈍い痛みが走った。腹の辺りを思いっきり蹴られて体が水平に飛んで

いった。近くにあった大岩に激突した。

 そこをセイバーがここ一番の速度で接近してくる。聖剣にはありったけの魔力を込

め、上から袈裟斬りを仕掛けた。

 剣自体を叩きつけた衝撃と魔力の放出によって生じた爆発で大地は抉れたし、エミヤ

が居た位置の大岩は小石すら残さず爆散した。

 「居ない?」

 直後に走る嫌な予感。振り向く時間すら惜しく、剣を嫌な気配のする方に向ける。直

後に走る金属同士がぶつかる音がする。エミヤは爆発する直前に離脱しており、剣を振

りかぶって退避した上空から落ちてきていたのだ。

 「ッ、オォォォォォオ!!」

 「グッゥゥ!?」

326

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 ここまでにエミヤが放った物の中で一番重い一撃。剣もいつもの干将莫邪ではなく

絶世の名剣

デュ

』、かのシャルルマーニュ伝説に登場する英雄が所有する、決して折れず、刃

毀れもしなかったという伝説を持った名剣だ。

勝利すべき黄金の剣

バー

 アーサー王が所有していた

と同じく儀礼的な意味合いが強い剣

だが、そこらの剣を寄せ付けない切れ味を誇った剣だ。

 落下した勢いに加え、強化の魔術で剣と身体能力を可能な域まで強化し叩きつけた。

剣の硬度や切れ味、振り抜いた時の膂力は一時的とはいえ魔力放出時のセイバーのそれ

を上回った。

 受けたセイバーの体勢は良くなく、不動のままではいられず今度はセイバーが水平に

飛ばされる。というより魔力放出での緊急離脱の方が近いが、これで直撃だけは避け

た。

 「フッ、ふぅ・・・」

 乱れていた呼吸を整える。決定打には至っていないと察していたが、自分の限界が近

い以上、どうしても焦ってしまう。

 ドゴンと大きな音と共に魔力が吹き上がり周りの地形が平らに均される。頭から軽

く血が流れている程度しか負傷が見られないセイバーがエミヤとの差をこれでもかと

示している。

327 究極の一と無限を担う者

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 「・・・様子見はこれくらいでいいでしょう」

 「クッ・・・言ってくれる・・・」

 聖剣エクスカリバーが今まで以上に膨大な魔力を周りから吸い上げているのが分か

る。より漆黒により不気味に、輝きを増していく。

 「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!!」

投影、開始

レー

ス・オ

 「ッ!?

!!」

 あの暴風を防げる一手を手繰り寄せる。だがアレは反転していてもこの星の神々が

最強の幻想

ラスト・ファンタズム

作り出した最強の聖剣。人の希望が込められた

である。

 「─────憑依経験、共感終了」

 何重にも並べられる過去の英雄達が担った名剣、聖剣、魔剣達。最強の神造兵器に対

抗するには幾人もの宝具を重ねるしかない。

投影、装填

ガー・オ

虹霓剣

カラドボルグ

赤原猟犬

フルンディング

刺し穿つ死棘の槍

イ・

アエストゥス・エストゥス

 「─────

ッ、

転輪する勝利の剣

エクスカリバー・ガラティーン

!!」

 それらは生前も死後も守護者としても含めてエミヤが今まで視認して己の心象風景

に貯蔵してきた武器達。どれもが後世に伝説として語り継がれている武器だ。

 これらはエミヤが創り出した贋作だが、エミヤもセイバーもそれが真作に劣るなどと

欠片も思っていない。

328

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約束された勝利の剣

バー・モ

 「

!!」

 聖剣から絶望が放たれる。軌道上のものを有機質も無機質も魔術的要素も全て飲み

込んで蒸発させながらエミヤに迫る。

 「ッ全て持っていけ!!」

 号令と共に放たれた武器達は現状でエミヤが一度に投影し制御できる限界数と同等。

数に表せば千を軽々と超える。

 それらをエクスカリバーの真名開放に向かわせる。それを究極の一と称するならば、

エミヤのそれは文字通り無限である。次々と黒い閃光にぶつかって欠け始める剣達。

壊れた、幻想

ブロークン、ファンタズム

 「

!!」

 まず先陣を切ったカラドボルグに着火した。次にそれに続いたフルンディングが連

鎖した。内包された神秘が次々と連鎖爆発を起こし、真作のエクスカリバーの真名開放

を爆風で飲み込んでいく。

 これによってエクスカリバーの魔力を幾らか減衰、可能ならば相殺して押し切るつも

りだ。

 だがそこまで甘くはない。拡散した爆発では相殺はできなかった。だが確実に勢い

は弱まった。

熾天覆う七つの円環

ロー・

 「

!!」

329 究極の一と無限を担う者

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 突き出された右手に魔力が集中し、瞬時に七枚の花弁が展開されエミヤを守る七つの

盾となる。

 エクスカリバーとアイアス。二つの宝具が激突する。余波で互いの視界全てが黒と

紅の魔力で覆い尽くされる。

 片方は世界九大偉人の一人と言われた男の史上一の候補に挙げられるであろう槍の

投擲を防ぎきった盾だ。使い手から離れた物に対しては絶対的な防御力を誇る。

 だがもう片方は人々の希望を担った最強の聖剣だ。減衰していてもその逸話に偽り

無し。

 まず一枚目の盾。これが数秒で割れた。エミヤの顔が苦い物に変わる。

 続く二から四枚目の盾。これは拮抗すらできず押し切られた。エミヤが再度盾に魔

力を込める。

 五と六枚目の盾。最後の一枚に全てを託したエミヤはこれを切り捨てた。

 最後の七枚目の盾。ここで防がなければ敗北、即ち死であろう。七枚目に今の己の全

てを込める。この盾が守るのは自分だけではない。エミヤを信じてくれたナツ達や、ギ

ルドで待っている妖精の尻尾のメンバー全員、それに己のマスターのためにここで倒れ

るわけにはいかない。

 「ハアァァァ!!」

330

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 黒の魔力が消滅する。エミヤの盾が最強の聖剣に勝ったのだ。

 「流石だシロウ。だがな・・・」

 再度聖剣に魔力が集まる。エミヤの脳裏に絶望に近いものが浮かぶ。

 「今の私は後二回、宝具を真名を開放できる。その全てを防げるか?」

 「くっ・・・どこまでも規格外だな君は・・・」

 エミヤの中にはもう余力なんて無い。後二回の聖剣を封じきれる自信なんて無い。

だがここでの降伏は絶対に許されない。

 何故なら、それがセイバーへの、自分を信じて待っている者達の、そしてなにより、己

そのモノへの裏切りになるからだ。そんな姿をセイバーも見たくないだろう。

 「オレは幾度の戦場を越えて不敗を貫き通し、この身にただの一度の敗走もない。だ

ろう?」

 「ふ、聞くまでもなかったな。では受けよ」

 二度目の約束された勝利の剣が放たれた。ならば次は己が見た最強に賭ける。

投影、開始

レー

ス・オ

 「

・・・」

 己の全てを掛けてあの最強の幻想を打ち砕く。

 創造の理念を鑑定する。脳裏に浮かぶのは今目の前にある最強の聖剣。それがエミ

ヤシロウの憧れた人が持つ最強だ。

331 究極の一と無限を担う者

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 基本となる骨子を想定する。構成された材質を複製する。製作に及ぶ技術を模倣す

る。

 元々エミヤに与えられた解析魔術では骨子も材質も技術も理解するには程遠い物。

それが神の手によって作られた物ならば致し方ない。だがそれでも何度も何度も憧れ

て目に焼き付けたその剣については己の固有結界のおかげでなんとか解析出来た。

 成長に至る経験に共感する。蓄積された年月を再現する。

 己の身にそれらを憑依させるということは、それを担ったアーサー王の生涯をなぞる

ということだ。何度も何度も反芻するように体に馴染ませる。これで外殻は投影した。

だが魔力が枯渇しかけ、魔術回路が悲鳴を上げて熱を帯びる。だがまだ足りない。魔力

をかき集める。体中の魔力を絞り出し、周りの魔力すら吸い上げて己の糧とする。今の

この身を肉体ではなく、剣その物とする。

 「あらゆる工程を凌駕し尽くし、ここに、幻想を結び剣と成す!!」

 完成した。漆黒の刀身ではなく、黄金色に輝く美しい刀身。溢れ出る魔力は黒ではな

く希望に満ち溢れた輝ける光。最強の幻想は今ここに形となった。

 「見事ですね。シロウ」

 「行くぞ、セイバー!!禁じ手の中の禁じ手だ・・・!この投影、受け切れるか!?」

 「貴方の最強で私を超えて行きなさい!!シロウ!!」

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 お互いが表裏一体の二つの聖剣を振りかぶる。二つの最強に魔力が集中し、地震とい

う自然災害すら引き起こす。

約束された勝利の剣

バー・モ

 「束ねるは星の息吹、輝ける命の本流。受けるがいい、

!!」

 再び漆黒の聖剣が開放された。先程のそれすら上回った勢いを見せ、エミヤに迫る。

最強すべて

 「これはこの光は永久に届かぬ王の剣、いや、これは我が

を持って超えるべき

最強モ

・・・」

 魔術回路が限界を叫ぶ。

 (まだだ。この程度で根を上げていては、セイバーの隣に立てない!!)

永久に遥か黄金の剣

バー・イ

マー

ジュ

 「

!!」

 漆黒と黄金。二つの同質の魔力が激突する。両者は拮抗しあい、混ざり合って上空に

魔力の柱となって伸びていく。それはもう大気圏すら貫いて宇宙にまで達する。

 次いで大爆発が起きる。樹海そのものすら消し飛ばす勢いで起きたそれは、エミヤに

もセイバーにも大ダメージを与えた。

 セイバーの甲冑は見るも無残な姿になって壊れていた。元々魔力で編まれていたも

のだが、これでは使い物にならない。ダメージもしっかりと蓄積されていたようで、全

身埃と傷だらけで血も流している。

 だがエミヤのそれはセイバーの比ではない。ダメージも傷もセイバー以上に受けて

333 究極の一と無限を担う者

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おり、進行形で流し続ける血はあと一歩で危険域に陥るだろう。加えて魔術回路が殆ど

オーバーヒートしていた。切れてはいなくてもすぐに安静にするべきだ。

 「・・・見事ですシロウ。貴方は確かに私に追いついてくれました」

 「ッ・・・」

 視界がぼやける。立ち上がることすらできないレベルも近い。

 「ですが残念です。まだ私には一度の真名開放ができる余裕がある」

 再び聖剣に集まる魔力。甲冑は魔力に変換され、美しい黒のドレスとハイヒールに変

わる。

 「見る限り貴方はもう限界。ですが、貴方はこれすら防いでみせるのでしょうね」

 「・・・どう、だかな・・・」

 もう手はない。さっきのエクスカリバーで余力はすべて使い果たした。

 「これで最後です。シロウ」

 万事休すか・・・?と諦めかけたその時、己の中から希望と可能性が湧き上がってく

るのを感じた。

 (これは・・・オレの中から?)

 セイバーは気付いていない。かつて騎士王が謀略で失った聖剣の鞘の今の持ち主が

誰なのかを。

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 「約束された勝利の剣!!」

 三度放たれた聖剣の魔力は寸分の狂いなくエミヤに迫る。

 「賭けるしかない・・・か。投影、開始・・・」

 内に秘めたる最後の希望を引きずり出す。それは展開すればあらゆる災厄から騎士

王を守るとされた聖剣の鞘。

 「真名、偽装登録ッ!!」

 それから溢れる魔力の光は黒でも黄金でもなく七つの色で出来た虹色。持ち主に不

老不死と無限の治癒力を与えるそれは、確かにエミヤの傷を和らげた。

 「其は、何れ我が至らなければならない場所。我はその時まで己を剣とし鍛え続ける。

未だ我を待ち続ける人にこれを捧げよう」

 それは展開すればこの世全ての災厄から所有者を守る盾となる。

全てを賭けて目指す理想郷

ヴァ

 「

!!」

 アヴァロンとは役目を終えた騎士王が眠るとされる理想郷のこと。それの内側に所

有者を入れて守る盾だ。

 これはたとえ最強の聖剣や世界最古の乖離剣ですら突破出来ない規格外クラスの最

強の守りだ。

 「まさか・・・貴方がその鞘を持ち続けていたのですか!?」

335 究極の一と無限を担う者

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 これにはセイバーも驚きを隠せなかった。

 三度の聖剣の真名開放を、無銘の英霊は確かに防ぎきった。未だ誰も至っていない偉

業となるだろう。

 「・・・セイ、バー・・・」

 干将と莫邪が投影される。それをエミヤは投擲する。

 「ッ!?」

 セイバーは投擲された二つの剣を弾く。だが間髪入れずに第二第三の干将莫邪が投

擲される。

 「これは・・・!?」

鶴翼、欠落ヲ不ラズ

しんぎ、むけつにしてばんじゃく

 ─────

 「くっ・・・」心

技、泰山ニ至リ

ら、

 ─────

 セイバーはこれを知っていた。直接体験した訳ではないが、己が負けた技だからだ。

心技 黄河ヲ渡ル

ぎ、み

 ─────

 とある並行世界の記録であった。そこでかつてのマスターが繰り出した技。これが

アーチャーの記憶から得た物だとしたら。

唯名 別天ニ納メ

せいめい、りきゅうにとどめき

 ─────

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 それが今のエミヤに使えない理由はない。

両雄、共ニ命ヲ別ツ

われら、ともにてんをいだかず

 ─────

 無駄だと悟りつつもセイバーは何重にも投影された干将莫邪を弾き続ける。それが

少しずつ己の行動範囲を削っていく布石だとしても。

 一際大きな、巨大な鶴の翼をイメージさせる白と黒の強化改造された干将莫邪。それ

を携えてエミヤが迫る。

 「ですが甘いですよ。そこッ!!」

 全体への魔力放出で一時的に干将莫邪を同時に弾き飛ばし、迫るエミヤに必殺の一閃

を与える。

 ガキンと、金属を叩きつけたような音がした。

 「何!?」

 よく見れば先程までエミヤが持っていた干将莫邪だった。セイバーにはそれがエミ

ヤに見えていたのだ。

 それが現界したエミヤが独自で開発した人に対してではなく、己の固有結界を応用し

て編み出した、世界そのものに働きかける幻術だと知る由もない。

 「セイバー!!」

 エミヤはセイバーの後ろに居た。既に防御も回避も間に合わない距離にまで近づい

337 究極の一と無限を担う者

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ていた。

鶴翼ッ三連

かくよく、さんれん

 「

!!」

 エミヤの剣が、セイバーの体を切り裂いた。

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星に届いた男と手を取った女

  二騎のサーヴァントの死闘は、広大な樹海から自然を根こそぎ奪い去った。

 膨大な魔力を持った爆発や光に何度も焼き払われた自然が大きなダメージを受けか

らだ。この先百年単位でこのまま荒野の状態が続くであろう。

 ニルヴァーナに大したダメージが入っていないのが幸か不幸か。六魔将軍は兎も角、

ナツ達に被害が出ていないのならば幸いだろう。

 だがあくまでも英霊同士の戦闘でダメージが入っていないだけだ。ニルヴァーナで

もある古代人の遺跡や内部の動力源の一画では激しい戦闘が行われており、ダメージを

受けていた。

 光と闇を反転させてあらゆるモノの性質を反転させるニルヴァーナを止める方法は

存在する。

 それは地中の魔力を吸い上げている魔水晶を全く同じタイミングに全て破壊するこ

とだ。魔水晶が一つでも残っていれば残った魔水晶の魔力を使って自己修復してしま

う。

 それを達成するべく魔導士達は己の限界を超えて体のダメージを顧みずに己の最善

339 星に届いた男と手を取った女

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を尽くし続ける。

 放たれかけたニルヴァーナの第一射は辛うじて修復された青い天馬の爆撃魔導艇『ク

リスティーナ』によって標的を逸らされた。

 だがその一撃で蛇姫の鱗のリオンとシェリーが、青い天馬のヒビキとレンとイヴがリ

タイアとなった。

 ニルヴァーナの六本の足の魔水晶の破壊に必要な六人が集まり、内の一人のナツは地

図を頼りに目的地、残ったマスター・ゼロがいる足に辿り着いた。

 戦闘を開始した二人であったが、ナツは今までの戦いで蓄積したダメージがあり、残

る魔力も万全には程遠いうえにゼロとの実力差もあった。

 ナツの攻撃は届かないうえにゼロは容赦なくナツを破壊していく。ナツは確実に追

い詰められていき、最早意地だけで立っているような状態であった。

 だがその窮地を救ったのは、かつてエルザと楽園の塔を巡って敵対したジェラール

だった。

 記憶を無くして今まで己の犯してしまった罪に苦しみ葛藤するなか、その罪を償うた

めにナツに協力した。

 自身の全魔力を炎に変えた『咎の炎』を食べたナツは楽園の塔の時と同じくドラゴン

フォースに覚醒した。

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 自身をドラゴンと同じ戦闘能力まで引き上げて昇華させるそれによってゼロすら凌

ぐ戦闘能力を得たナツがゼロを追い込んで行く。

 だが使い慣れていない力を扱いきれずに互角の域は抜け出せなかった。

 ナツはドラゴンフォースに自身のゼロに対する激情と仲間達の想いを背負ってゼロ

の最強の魔法を迎え討つ。

 「紅蓮爆炎刃!!」

 「ジェネシス・ゼロ!!」

 ゼロが放った死者の魂を呼んで相手の全てを喰らい尽くす魔法がナツを飲み込むが、

ナツの金の炎はその魔法すら燃やし尽くし、ゼロ本人に迫る。

 「滅竜奥義『不知火型』!!紅蓮鳳凰剣!!」

 派生して発動した奥義がゼロごとニルヴァーナを何階層もブチ抜いて魔水晶ごと破

壊した。

 それと同時に残り五つの魔水晶が破壊される。

 支えも魔力供給も失って、ニルヴァーナは重力に従って崩壊していった。

   

341 星に届いた男と手を取った女

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        更地になって森が全て消え去った樹海のとある一画。騎士王は上半身から腹部にか

けて二つの斬撃による傷を受けて倒れ伏していた。

 「終わったようだな。まさかゼロを倒すとは思わなかった」

 決して浅くない傷から大量の血と魔力の粒子が漏れ出しており、何の処置もしなけれ

ばこのまま現世から消え去るのみだろう。

 そこにセイバー以上のダメージを受けた男が寄って来る。目の焦点も定まっておら

ず、セイバー以上に血と魔力を消耗した彼の体は、現在進行形で修復と補給が進んでい

た。急激な消耗に対応出来なくても、時間さえあれば体内にある聖剣の鞘が彼を癒や

す。勿論騎士王本人が近くに居ればこその回復力ではあるが。

 「どうだ?存外今の魔導士達も見下ろせる者ばかりではないだろう?」

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 「やはり貴方も真作を持っていたのですね」

 「第五次とは違うぞ。どこぞのお人好しのあかいあくまからの贈り物だ」

 「そうですか・・・。さあ、早くトドメを。どの道私は余り長く保たない」

 「・・・そうか・・・」

歪な刃の短刀

・・・・・・

 セイバーのすぐ横で膝をつき、投影した

を軽く突き刺した。

 「!?それはキャスターの・・・」

 「・・・投影、開始・・・」

 セイバーとマスターを結ぶ魔力の契約が初期化され、繋がりが絶たれる。次いでエミ

ヤは己の体内にある鞘の取り出しを開始する。厳密には投影ではなく、ただ取り出すく

するための暗示のような物だ。

全て尊き理想郷

ヴァ

 「

 ただ埋め込まれた鞘を取り出しただけだが、そこで鞘の加護を失ったエミヤの回復は

止まる。

 代わりに鞘を返還されたセイバーの体は本来の持ち主の元に戻ったことにより瞬く

間に体が全快近くにまで回復する。だがあくまでサーヴァントとしての外殻のみだ。

内面の霊核や霊基はまだ損傷が残っている。

 「なぜですかシロウ!?そんなことすれば貴方の方が!!」

343 星に届いた男と手を取った女

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 初期化の短剣は反転させられたセイバーの性質を本来の物に戻した。色素が抜けた

金髪と目が本来の鮮やかな金髪と碧眼に、同じく真っ白に変色した肌は生気を取り戻し

たように見覚えのある色に戻り、黒のドレスは青と白のドレスになり、ようやく本来の

アルトリア・ペンドラゴンを取り戻したような感覚を覚える。

 そこでエミヤの体は態勢を崩してセイバーの隣に横たわる。

 「シロウ!?」

 「あまり叫ばないでくれよセイバー。傷に響くじゃないか」

 致死量一歩手前まで迫ったエミヤに死神の手が肉薄するように消滅が近づく。

 「何故貴方はいつもそうなのですか!?他人を救うだけ救って自分だけその中から除外

するんですか!?」

 「それがオレなんだよ・・・。全てと自分を秤にかけたら躊躇なく自分を捨てるように、

結局は借り物の理想を貫き通すことしか取り柄のない男だ」

 「ッ、貴方はリンに言われたのではないのですか!?貴方自身も幸せになれと言われた

のではないのですか!?」

 「ッ・・・。ああそうだよ。確かにオレは自分も他人も幸せにしろと言われたさ。だが

な、正直オレにはどうすればいいのかサッパリ分からなかった。無駄に現界し続けたに

も関わらず、結局人を救っている時が一番幸福なんだよ。オレは。それにそれが間違っ

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ているとも思わない。それがオレが得た答えなんだからな。君もそうだったろう?」

 「・・・貴方はあの時から何も変わっていないのですね。初めて私と貴方が出会った時

から、今の今まで、悠久の時を存在し続けていても、貴方は正義の味方であり続けるの

ですね」

 今度はセイバーがエミヤの隣で膝を着く。

君を救うことが出来なかった

・・・・・・・・・・・・・

 「貴方はかつて言いましたね。

と。それは違います。貴

方は確かに私が抱いた望みが間違っていると否定してくれました。その時点で私は救

われているのですよ。むしろ取りこぼしたのは私の方です。貴方のその理想を曲げる

ことが出来なかったのは私の罪でしょう」

 「何を言って・・・!?」

 「今は眠りなさい。貴方はもう暫くは休んで良い」

 エミヤの意識が急速に離れていく。セイバーは生前からあまり強力な魔術を使えな

いが、ここまで弱りきった相手を眠らせる程度の魔術ならばあのいたずら好きの老人か

ら習っていた。

 「さて、全て尊き理想郷よ」

 セイバーは返還された鞘を再びエミヤの体の中に埋め込んだ。今それが必要なのは

自分と彼とどちらなのかは考えるまでもないからだ。

345 星に届いた男と手を取った女

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 「ようやく、ようやく会えました。貴方が私に会いに来てくれたことが本当に、本当に

嬉しい」

 微かに赤みを帯びた顔が消耗しきって深く眠りに落ちているエミヤを見下ろしてい

る。

 「ですが、まだ終わっていないのでしたね」

 セイバーはエミヤを抱え上げ、目的地を見定めて歩き出した。

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