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43 Best Practices Collection 2018 43 Best Practices Collection 2018 便宿ダイバーシティ経営の背景とねらい ニードルローラーベアリングに特化した製造・販売を 50 年以上続け、さ らなる海外売上高向上を目指す 能瀬精工(以下、「同社」)は、1964 年の設立からベアリングの製造及 び販売を主たる業務としている。特に、ニッチな分野であるニードルロー ラーベアリング(産業機械や工作機械等機械の回転時の摩擦を減らすため の軸受部品の一種)に特化し、50 年以上にわたり安定した経営を続けて きた。 設立当初は国内を中心に製造・販売を行ってきたが、円高の時期に国内 製造だけでは難しいと感じ、海外にも販路を拡大する必要性から、1982 年に海外進出をスタートした。当時常務であった現社長が、カタログを持っ て世界を一周しながら、世界各国のベアリング販売店に対して直接売り込 みをかけていくという営業戦略で取引先国数を増やしていった。アメリカ 等市場の大きい国はあえて避け、当時商社を介した販売を行っていない 国々に直接販売することで、仲介手数料がかからない価格の安さと納期の 短さにより、各国で同社製品が飛ぶように売れた。 現在の取引先は 66 か国まで広がっており、現在は国内と海外の売上規 模が 73 程であるが、さらに海外の販売を伸ばし 55 程の比率にする ことを目指している。 英語ができる理系学生の採用と女性社員のさらなる活躍が課題 しかし、近年は中国勢の攻勢もあり、自社で新商品を開発できるように なること、またさらなる生産効率向上のための自動化装置の開発が、大き な経営課題となっている。 同社の経営理念である『より良い製品はより良い人から』に基づき、人 材採用においては、その時点で必要な能力を持つ人材を単に採用するので はなく、周辺分野への対応力を含めできる限り優秀な人材を採用する方針 である。 新商品開発には、海外を含む競合他社の情報を技術面・言語面双方から 理解できる人材の確保が必要である。しかし、このような人材(英語がで きる理系学生)の国内での採用は困難な状況であった。知名度の低い中小 企業にとって、日本国内に限定した採用は困難であり、結果的に、優秀な 学生の採用に至らないことは他社も同様と考えられる。周辺分野への対応 力を含めた優秀な人材の採用となると、さらに困難であった。 また同社では、非常に精密な機器の検査・組立が必要な部品を取り扱う ことから、繊細な感覚を必要としている。女性社員がこういった緻密な作 業が得意であったため、ベアリング業界では異例の高い女性社員比率 53.5%)であり、かつ、性別・年齢・国籍問わずすべて正社員となって いた。そのため、女性社員のさらなる活躍が同社の成長に不可欠であった。 なお、全て正社員というのは、人を活かす、育てるには安心出来る環境が 必要という創業者の考えから同社で長年守られてきた人材方針である。 ダイバーシティ経営推進のための具体的取組 日本語を不問とする採用基準と外国人社員の出身大学への直接採用活動 優秀な外国人理系学生確保の取組の一環として、2011 年の大手人材会 社による、企業の海外での採用活動企画を韓国にて実施する際、日本のトッ プ企業の中に唯一中小企業として参加した。日本のトップ企業が採用面接 のため韓国に出向き、当時の円高ウオン安から待遇面も好条件となり、韓 国のトップ 3 大学から多くの優秀な学生の応募があった。韓国では、理系 でも英語が話せるのが一般的であり、さらに日本語も話せる学生もトップ 層にはいる。 その中で、当初は日本語を採用条件としていたため心配はあったが、英 語は話せるが日本語の出来ない学生に合格を出した。日本語が全く出来な い状態での海外採用者であったが、英語が堪能な営業社員たちが毎日終業 後、日本語を教えたことで、8ヶ月で日本語が話せるようになり驚かされ た。この経験から、翌年以降は採用条件から日本語を外して英語が話せれ ばよいとし、香港・台湾・中国にて海外採用を毎年継続している。人材採 用の最も重要な点は、多くの人材の中から選ばれた優秀な人材を獲得する ことであり、海外採用ではこれが出来る。その結果、アジアランク 5 位の 大学から合計 3 名採用できた(東京大学は 7 位)。京都大学レベルの海外 大学からは、 6 名採用している。また、ここ数年の韓国や台湾のジョブフェ アでは、同社ブースに数多くの志望者が集まり、多くの優秀な人材の中か ら採用が可能となっている。 また就職セミナーの他に、同社で採用した社員が出身大学に対して直接 採用活動を行うようにしている。例えば、香港大学の学生に対し、香港大 学を卒業した同社社員が企業紹介をしている。社員が自身の学校に行って、 自身の言葉で働く環境や同僚、生活環境について説明することは、情報の 信頼性や安心感から他企業に比べ圧倒的に有利だと考えている。こういっ ・ニードルローラーベアリングに特化した製造・販売を 50 年以上続け、 さらなる海外売上高向上を目指す ・海外勢との競争が激化する中、新商品開発及び生産効率向上のため、 英語ができる理系学生の採用と精密機械の検査・組立を得意とする繊 細な感覚を持った女性社員のさらなる活躍が課題 ・日本語を不問とする採用基準と外国人社員の出身大学への直接採用活動 ・女性社員の技能向上と多能工化の推進(各種技能検定受検費用の会社 負担、実技講習会等の開催) ・中央技術研究所の設立と研究開発・生産技術エンジニアの一体化促進 による生産効率向上 ・新商品開発及び生産効率向上により 5 年間で 25% の売上向上を実現 ・急な受注に対応できる生産体制の整備によって、製品の在庫量の減少を実現 企業概要 会社設立年 1964 資本金 96 百万円 本社所在地 柏原市円明町 16-4 事業概要 ベアリングの製造・販売並びにそれに付帯する事業 売上高 2,469 百万円(2017 4 月期) 従業員の状況 総従業員数 9999)人 女性 5353)人 外国人 1111)人 チャレンジド 11)人 高齢者 11)人 平均勤続年数 11.6 男性 12.5 年 女性 10.5 ※( )内は正規従業員数 ダイバーシティ経営推進のストーリー 能瀬精工株式会社 大阪府 ベアリングの製造・販売において海外勢との競争が激化する中、英語ができる外国人理系 学生の採用及び検査・組立に必要となる繊細な感覚を持った女性社員のさらなる活躍のた めの取組を行い、新商品開発と生産効率向上により 5 年間で 25% の売上増加を実現 女性 外国人 障がい者 高齢者 キャリア・スキル・経験 限定なし その他 役員層の 多様化 経営会議等への 社員参画 柔軟な働き方 の整備 評価・報酬・登用 基準の明確化 管理職の行動・ 意識改革 研修やスキル取得 環境の整備 キャリア形成意識 の醸成 資金調達や人材確保 のための情報発信 中小企業

能瀬精工株式会社 - METIBest Practices Collection 2018 44 た方針で採用活動を行うのは、日本の大手企業にも内定をもらっていたが 同社へ入社を決めた外国籍社員が、その主な理由として、働く場所や同僚、

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Page 1: 能瀬精工株式会社 - METIBest Practices Collection 2018 44 た方針で採用活動を行うのは、日本の大手企業にも内定をもらっていたが 同社へ入社を決めた外国籍社員が、その主な理由として、働く場所や同僚、

43 Best Practices Collection 201843 Best Practices Collection 2018

建設業

製造業

情報通信業

運輸業・郵便業

卸売業・小売業

金融業・保険業

教育・学校支援業

宿泊業・

飲食サービス業

製造業

ダイバーシティ経営の背景とねらい

ニードルローラーベアリングに特化した製造・販売を 50年以上続け、さらなる海外売上高向上を目指す能瀬精工(以下、「同社」)は、1964年の設立からベアリングの製造及び販売を主たる業務としている。特に、ニッチな分野であるニードルローラーベアリング(産業機械や工作機械等機械の回転時の摩擦を減らすための軸受部品の一種)に特化し、50年以上にわたり安定した経営を続けてきた。設立当初は国内を中心に製造・販売を行ってきたが、円高の時期に国内製造だけでは難しいと感じ、海外にも販路を拡大する必要性から、1982年に海外進出をスタートした。当時常務であった現社長が、カタログを持って世界を一周しながら、世界各国のベアリング販売店に対して直接売り込みをかけていくという営業戦略で取引先国数を増やしていった。アメリカ等市場の大きい国はあえて避け、当時商社を介した販売を行っていない国々に直接販売することで、仲介手数料がかからない価格の安さと納期の短さにより、各国で同社製品が飛ぶように売れた。現在の取引先は 66か国まで広がっており、現在は国内と海外の売上規模が 7:3程であるが、さらに海外の販売を伸ばし 5:5程の比率にすることを目指している。

英語ができる理系学生の採用と女性社員のさらなる活躍が課題しかし、近年は中国勢の攻勢もあり、自社で新商品を開発できるようになること、またさらなる生産効率向上のための自動化装置の開発が、大きな経営課題となっている。同社の経営理念である『より良い製品はより良い人から』に基づき、人材採用においては、その時点で必要な能力を持つ人材を単に採用するのではなく、周辺分野への対応力を含めできる限り優秀な人材を採用する方針である。新商品開発には、海外を含む競合他社の情報を技術面・言語面双方から理解できる人材の確保が必要である。しかし、このような人材(英語ができる理系学生)の国内での採用は困難な状況であった。知名度の低い中小企業にとって、日本国内に限定した採用は困難であり、結果的に、優秀な学生の採用に至らないことは他社も同様と考えられる。周辺分野への対応力を含めた優秀な人材の採用となると、さらに困難であった。

また同社では、非常に精密な機器の検査・組立が必要な部品を取り扱うことから、繊細な感覚を必要としている。女性社員がこういった緻密な作業が得意であったため、ベアリング業界では異例の高い女性社員比率(53.5%)であり、かつ、性別・年齢・国籍問わずすべて正社員となっていた。そのため、女性社員のさらなる活躍が同社の成長に不可欠であった。なお、全て正社員というのは、人を活かす、育てるには安心出来る環境が必要という創業者の考えから同社で長年守られてきた人材方針である。

ダイバーシティ経営推進のための具体的取組

日本語を不問とする採用基準と外国人社員の出身大学への直接採用活動優秀な外国人理系学生確保の取組の一環として、2011年の大手人材会社による、企業の海外での採用活動企画を韓国にて実施する際、日本のトップ企業の中に唯一中小企業として参加した。日本のトップ企業が採用面接のため韓国に出向き、当時の円高ウオン安から待遇面も好条件となり、韓国のトップ 3大学から多くの優秀な学生の応募があった。韓国では、理系でも英語が話せるのが一般的であり、さらに日本語も話せる学生もトップ層にはいる。その中で、当初は日本語を採用条件としていたため心配はあったが、英語は話せるが日本語の出来ない学生に合格を出した。日本語が全く出来ない状態での海外採用者であったが、英語が堪能な営業社員たちが毎日終業後、日本語を教えたことで、8ヶ月で日本語が話せるようになり驚かされた。この経験から、翌年以降は採用条件から日本語を外して英語が話せればよいとし、香港・台湾・中国にて海外採用を毎年継続している。人材採用の最も重要な点は、多くの人材の中から選ばれた優秀な人材を獲得することであり、海外採用ではこれが出来る。その結果、アジアランク 5位の大学から合計 3名採用できた(東京大学は 7位)。京都大学レベルの海外大学からは、6名採用している。また、ここ数年の韓国や台湾のジョブフェアでは、同社ブースに数多くの志望者が集まり、多くの優秀な人材の中から採用が可能となっている。また就職セミナーの他に、同社で採用した社員が出身大学に対して直接採用活動を行うようにしている。例えば、香港大学の学生に対し、香港大学を卒業した同社社員が企業紹介をしている。社員が自身の学校に行って、自身の言葉で働く環境や同僚、生活環境について説明することは、情報の信頼性や安心感から他企業に比べ圧倒的に有利だと考えている。こういっ

背 景

・ニードルローラーベアリングに特化した製造・販売を 50年以上続け、さらなる海外売上高向上を目指す・海外勢との競争が激化する中、新商品開発及び生産効率向上のため、英語ができる理系学生の採用と精密機械の検査・組立を得意とする繊細な感覚を持った女性社員のさらなる活躍が課題

取 組

・日本語を不問とする採用基準と外国人社員の出身大学への直接採用活動・女性社員の技能向上と多能工化の推進(各種技能検定受検費用の会社負担、実技講習会等の開催)・中央技術研究所の設立と研究開発・生産技術エンジニアの一体化促進による生産効率向上

成 果

・新商品開発及び生産効率向上により 5年間で 25%の売上向上を実現・急な受注に対応できる生産体制の整備によって、製品の在庫量の減少を実現

企業概要会社設立年 1964年資本金 96百万円本社所在地 柏原市円明町 16-4事業概要 ベアリングの製造・販売並びにそれに付帯する事業売上高 2,469百万円(2017年 4月期)

従業員の状況総従業員数 99(99)人女性 53(53)人外国人 11(11)人チャレンジド 1(1)人高齢者 1(1)人平均勤続年数 11.6 年

男性 12.5年 女性 10.5 年

※( )内は正規従業員数

ダイバーシティ経営推進のストーリー

能瀬精工株式会社 大阪府ベアリングの製造・販売において海外勢との競争が激化する中、英語ができる外国人理系学生の採用及び検査・組立に必要となる繊細な感覚を持った女性社員のさらなる活躍のための取組を行い、新商品開発と生産効率向上により 5年間で 25%の売上増加を実現

対 象

女性 外国人 障がい者 高齢者

キャリア・スキル・経験 限定なし その他

取 組

役員層の多様化

経営会議等への社員参画

柔軟な働き方の整備

評価・報酬・登用基準の明確化

管理職の行動・意識改革

研修やスキル取得環境の整備

キャリア形成意識の醸成

資金調達や人材確保のための情報発信

中小企業

Page 2: 能瀬精工株式会社 - METIBest Practices Collection 2018 44 た方針で採用活動を行うのは、日本の大手企業にも内定をもらっていたが 同社へ入社を決めた外国籍社員が、その主な理由として、働く場所や同僚、

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た方針で採用活動を行うのは、日本の大手企業にも内定をもらっていたが同社へ入社を決めた外国籍社員が、その主な理由として、働く場所や同僚、生活環境についてしっかり説明を受けることで入社後の環境がイメージ出来、生活への不安が払拭されたからと聞いたためであった。大手企業の場合、人事部の担当者との面談のみで、誰とどこで働き、どのような生活を送るかわからないことが海外から来る学生にとっては非常に不安であるとのことであった。

▲ 同社で採用した外国籍社員が、出身大学のおいて採用活動を行っており、労働環境や生活環境について生の声を伝えている

新商品創出を可能とする技能向上と多能工化の推進のため各種技能検定への全社的なバックアップ新商品開発に伴う高度な製造技能の取得についても取り組んでいる。同社では、技術技能維持向上の観点から、長期間にわたり継続して働いてもらうことが重要と考えている。同社で大きな割合を占める女性社員については産休育休があるが、復帰後は椅子に座った業務への配置や重い荷物を持たせない等の配慮により育児休暇後の復帰率は 100%である。2012年より力を入れている資格取得への全社的なバックアップにより、各種技能検定への取り組みも増え、有資格者が女性では 54%(2012年は 5%)となり、新商品である超小型ベアリングの組立作業にもその技術技能が活かされている。具体的には、資格取得のための受験費用に関して、同社が全面的に負担する他、製造現場メンバーだけでなくエンジニアも資格取得し、技術検定に合格した社員が講師となって他の社員に教える、もしくは職業能力開発協会マスター制度の講師派遣を活用するなど、週に 3日程度、定時後に勉強会や実技講習会を行っており、技能検定の合格率が 80%と非常に高い。ワークの加工作業や自動機の保守など、従来は男性のみが行っていた作業についても、女性の参画が増えてきた。技能検定の取得を通じて職種間の流動性が高まったことに伴い、多能工化の推進を開始した。資格取得数の増加を背景とし、新しいことに取り組む意欲が全社的に高まり始めている。多能工化については、現場主導で教育計画を作成し、今年度より 3か年計画で推進中である。

中央技術研究所の設立と研究開発・生産技術エンジニアの一体化促進による生産効率向上2016年には新社屋を建設し、中央技術研究所を新設した。新社屋は、身障者のために全面バリアフリー環境とし、さらに多様な人材が活躍できるようにムスリム社員のための祈祷室、LGBTや身障者対応のトイレを設置した。トイレについては新社屋以外の生産現場でも新社屋と同様の最新式のトイレに入れ替えることで、どの拠点でも同じ環境を整えた。中央技術研究所では、生産効率向上のために、これまで別々の拠点にいた研究開発エンジニア(外国人若手社員中心)と生産技術エンジニア(日本人中堅社員中心)を集結させた。そして、各エンジニアの業務範囲を研究開発と生産技術の各領域に閉じないよう、例えば研究開発と生産技術の業務を 8:2に配分する等によって、エンジニア同士が連携しやすいようにした。また、事務エリアと作業エリアをオープンに近接させたオープンラボ環境とし、コミュニケーションを取りやすくしている。これらの取組により全自動組立機の開発やオリジナル試験機の開発などの素早い立ち上げが可能となった。全自動組立機の開発では、外国人若手社員の大学での設計環境に合わせて、これまでの 2Dではなく 3D設計環

境をベースにして行うなどの変化も生まれた。3D設計環境になり、ユニット単位での設計検証が可視化されることで、設計妥当性の議論が具体的かつ円滑になり、設計の効率も向上した。また、新商品開発による固形化潤滑剤においては、研究開発と同時に量産化の検討を進めるなど、開発プロセスの効率化が図られている。

▲ 中央技術研究所では、研究開発エンジニアと生産技術エンジニアが同じ職場で働いており、スピード感のある開発が可能となっている

ダイバーシティ経営の成果

新商品開発及び生産効率の向上により売上増加を実現優秀な人材の確保・定着により 2015年に IoT技術の導入および2017年に自動化装置開発に成功し、生産効率は 2017年に 5%向上、売上は取組を開始した 2012年からの過去 5年間で 25%向上している。2016年に自社開発した超小型ベアリング、固形化潤滑剤といった新商品により、今後のさらなる売上増も期待できる。また、外国人理系学生採用の成果として、母国語での営業サポートも技術面に踏み込んだ議論ができるようになったこと、2017年 4月に開催された世界三大見本市の一つであるハノーバーメッセで企画から出展まで担当して新規顧客開拓したことなどが挙げられる。能力のある人材は、母国だけでなく、どの国で働いても通用することは間違い無く、短期間で成果を上げることは可能ということが証明されている。中小企業が必要な人材をピンポイントで採用することは困難であるが、近い分野まで広げれば優秀な人材を採用することは努力次第で出来るので、優秀な人材に何が出来るかを考えて可能性を引き出し伸ばしていくことが、成果への近道と考えている。逆に、今まで必要で無かったことが、出来るのであればやってみようと考え方が大きく変化していけるようになったのは、この海外採用による大きな変化である。上記の各取組により、過去最高であった直近 1年間の売上の中身においてもこれまでと変化が見られた。これまでは、景気低迷時に積んでおいた在庫を好況時に販売し取り戻す形であったが、今回は在庫販売の割合が大きく低下し、随時生産品の売上寄与が大きくなった。急速な受注の伸びに対して、以前であれば断らざるを得なかったものを、生産対応きたのは、上記の各取組の効果の表れと考えられる。

ダイバーシティ経営の今後の展望

より一層環境整備して優秀な人材確保につなげる優秀な人材の獲得はこれからも課題だと考えており、優秀な人材の獲得のためには、今後も待遇面、環境面を、他社よりも良くすることが必要と考えている。ただし、今のやり方は 5年前では通用したが、現在では通用しないと考えている。そのため、人材確保において、新たな採用先の開拓等新しい手法を必ず取り入れるようにしている。中小企業と大手企業の差は、やはり人材だと感じているため、同社では国を問わず優秀な人材を採用できるよう今後も取組を進めていく方針である。