言いたいことを言えよ。

日本の反逆児たちへ。

長谷川耕造の考え方

株式会社グローバルダイニング〒107-0062 東京都港区南青山7-1-5 コラム南青山１F TEL.03-3407-0561

私の名前は長谷川耕造。横浜生まれの48歳。早稲田大学を２年で中退し、ヨーロッパを放浪して日本に帰ってきて、まず高田馬場に喫茶店をつくったことが私の事業のはじまりです。現在、国内に23店舗、ロサンゼルスに２店舗のレストランを経営しています。会社づくりに関しての考え方は、この私自身が、こんな会社なら働いてもいいかなと思える会社をつくること。これがすべての基準になっています。

まず、すべての情報を社員全員に公開することにしました。経営状況、社員全員の給料明細、会議の内容など、知りたければ誰でも見ることができます。そうでなければ、正しい話し合いなど行なわれません。新しい事業について、経営について、対等に討論しあえる人間だけが仲間になってくれればよいと考えています。

昨年の私の給料は4800 万円でした。

私たちの給料の高さは業界では有名です。それほどの仕事をしてもらってるわけですから、会

社としてはなんの問題もありません。給料の上限はありません。業績をあげた人間が、その業

績に見合った給料を手にする、これ当然のことです。最近の若い奴らは根性がない、とかいろ

いろ言う人がいますが冗談じゃない、うちの若い奴らはけっこうすごい。

石田聡　31歳955万円

恵比寿ゼスト店長

竹本幹也　32歳802万円

飯倉ゼスト店長

皆川徹　49歳1108万円

本部食品管理責任者

袴田寿　35歳927万円

代官山モンスーンカフェチーフ

鴨井茂　31歳1269万円

南青山モンスーンカフェ店長 久保信二　39歳

1698万円

代官山モンスーンカフェユニットリーダー

植木将仁　31歳846万円

白金ステラートチーフ

伊藤雅樹　34歳918万円

原宿ラ・ボエム店長

岡田好幸　35歳971万円

渋谷ゼスト店長

宮本健　32歳976万円

本部　店長

清水武彦　38歳1124万円

白金ラ・ボエムグランドシェフ

阿部健夫　35歳846万円

西麻布モンスーンカフェチーフ

相澤光茂　27歳847万円

世田谷ラ・ボエム店長

桜沢亮　36歳1298万円

恵比寿ゼストグランドシェフ

新川義弘　35歳1983万円

代官山タブローズユニットリーダー中川克司　45歳

1656万円

本部ユニットリーダー

渡辺明　33歳1404万円

代官山タブローズグランドシェフ

大田浩紀　34歳1221万円

白金ラ・ボエム店長

長谷川耕造　48歳4800万円

代表取締役

高梨民雄　52歳1674万円

本部監査役

古里太　27歳1304万円

白金ステラート店長

厚木弘　37歳842万円

代官山ラ・ボエム店長

渡辺桂司　34歳969万円

銀座ラ・ボエム店長

平尾健治　33歳1190万円

代官山タブローズ副店長　

店長も３回連続マイナスしたら降格だ。完全な実力主義です。そして売上など客観的な数字でしか評価しません。頑張ってるんですがなかなか数字が伸びないんですよ、なんて言う奴は頑張ってないと判断します。できる人間にはメンバーもお客さんもついてきます。たったひとりの人間が変わっただけで店の売上は２割も３割もアップするんです。店長には店のほぼ全権を委譲します。誰もじゃましに行く人間などいません。どうぞ自分のやり方でどれだけ売上を伸ばせるか、楽しんでください。ただし半期ごとの売上高が前年比３回連続マイナスしたら店長も降格です。昔、実力があったかどうかではなく、今、実力があるかどうか。年功序列なんてふざけんな、です。

社長の私の１票も、23歳の店長の１票も、同じ１票。すべては投票により多数決で決定します。完全な民主主義です。毎月第２、４水曜日に店長会議を行ないます。店長以上の計27名が出席。新しいメニューを提案したり、今後の新規店舗展開をどうするかについて、あるいは、勉強のための他のレストランでの飲食代については領収書精算できるようにしようといったこと、○○君を昇格させるかどうか、社長を誰にするか、ということさえこの会議で決定します。社長の１票も、23歳の店長の1票も同じ1票。つまり、私の提案でも過半数が反対すれば廃案です。

昇給、昇格、そして店舗の異動もまずは自己申告制です。本人から申告があってはじめて会社として検討します。あいつは最近よくやってるから昇給させてやろうよなんて、おせっかいはしません。昇給とか昇格は会社の問題ではなく、本人の問題ですから。申告のない人間は、まだ自分に自信がないのだろうと考えます。新しい店をオープンするときはその情報を全店にＦＡＸします。希望者は自分で手をあげること。その後店長会議にてまず店長を決定し、その店長がメンバーを選びます。通常の人事異動に関しては、希望先の店長がＯＫだと言えば、いつでもその店に異動することができます。

自分で言いださなきゃ、昇給も昇格もできない。

味がよければ人がくる。味がまずけりゃ二度とその店にいかない。いっぽうで、どんなにうまい料理を提供しつづけても、たった一回のだめなサービスで、二度とお客さんは来なくなってしまう。まずは、全員に厨房に入ってもらいます。そうすれば、ホールやってる人間と、料理作ってる人間が、ちゃんと喧嘩できるようにもなれるじゃないですか。

厨房わかんない奴に店長はやらせない。

うまいワインがすぐになくなるように。うまい料理は、すぐになくなる。うまければうまいほど、すぐになくなる。まずいものは、なくならない。すごく、わかりやすいです。料理を覚えるのが早い奴ほど、ほんとうのアタマのいい奴なんじゃないかと思います。寿司屋などでは８年、10年の修業が必要だといいます。そんなことはない。努力すれば、１年で覚えてしまう。だけど昔から、若い奴らに稼がれたら困るんで、徒弟制度にしているだけのこと。年功序列といっしょなんですよ。◯◯という有名ホテルで10年いました、って自慢したがる奴に限って、10年修業してきたくせに、教えられたことしかできない。基本の理論を、いろんなものに応用していくのが料理じゃないのか。料理なんて、そんなにむずかしいものじゃないですよ、アタマのいい奴にしてみれば。それに、教えられた料理より、過去の料理より、うまいものを作ってやろうとは思わないか。

どんなに有名な料理人が作っても、なくならないものはまずい。

自分たちの店で、その場所を繁華街にしてやろう。最初から繁華街に店をつくるのではなく、自分たちの店で繁華街をつくっていきたい。私たちの店の多くは、メイン通りから少しはずれたところにあります。私たちの店が、人々を集めるのです。世田谷の三宿など、私たちの店がきっかけで真夜中までにぎやかなトレンドタウンになった場所がいくつかあります。思想のない店はつまらない。そして、店を出した以上「死ぬまでやめない」という覚悟があります。どんなに嵐や大雪の日でも、私たちは店を開きます。ちなみに23店舗のうち赤字店はひとつもありません。

上司のほうを向いて仕事してる奴がいたら、叩きのめしてやる。上司にサービスしてどうすんだ。上司にサービスしている暇があったら、お客さんを喜ばせろ、です。それが俺たちの仕事だろ。それになんども言うようですが、私たちの会社は年功序列ではないんですから。

40歳50歳になって振り返ってみたときつまんない人生だったな、なんて思いたくないじゃない。たった一回きりの限られた人生のなかで、自分がどんだけの事業ができるのか。そのことにものすごく興味があります。日本だけで勝負するつもりは最初からありませんでした。1996年の年末、ロサンゼルスに２軒目のレストランをオープンさせました。客席数299席、スタッフ数75名。外装、内装の奇抜さといい、天井の高さといい、「こんな店はみたことない」とロサンゼルスの人々も驚いてくれました。とんでもない店を作る日本人だと思われているようです。アメリカはＹＥＳ、ＮＯがはっきりしています。ケンカするならまずはアメリカだと思っていました。レストランというのは、世界中どこに行っても同じ土俵で勝負できるんです。しかも、どちらかというと日本以外の国のほうがエンターテイメントとして認められているようです。

THAT'S ALL FOLKS.

あわないと思ったら来ないでくれ。もし、私たちの会社がどうも自分にあわないと感じたなら、入社しないほうがいい。それぞれの会社には思想があります。その思想を受け入れられないのならば、入社するべきではないと思うのです。入社した後でそう感じたのならば、１秒でも早くやめていったほうがいい。日本では、入社させた人間は最後まで面倒をみるべきだという声が多いかも知れませんが、私たちはそうは考えません。終身雇用くそくらえです。欲のある奴。ナンバー１にならないと気が済まない奴。牙があって、自分の人生のために生きている奴、こうと決めたらあきらめない奴、言いたいことは言わずにはいられない奴、仕事は最高のゲームだと思っている奴、そういう奴らとだけずっと仕事をしていきたい。

ただこれまでの話はあくまでも仕事の上での話。人間の価値は、仕事ができるとか、金や地位できまるものじゃない、そうでしょ。