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E L E C T R O P HO R E S I S B L O T T I NG A N T I B OD Y D E T E C T I ON ウェスタンブロッティング 攻略ガイド ECL 実験ノート/ トラブルシューティング /原理 71-3225-01 NAME

DE T E C T I ON AN T I BOD Y BLOT T I NG ......ELECTROPHORE S I S BLOT T I NG AN T I BOD Y DE T E C T I ON 掲載されている製品は試験研究用以外には使用しないでください。掲載されている内容は予告なく変更される場合があり

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E L E C T R O P H O R E S I S

B L O T T I N G

A N T I B O D Y

D E T E C T I O N

掲載されている製品は試験研究用以外には使用しないでください。掲載されている内容は予告なく変更される場合がありますのであらかじめご了承ください。掲載されている社名や製品名は、各社の商標または登録商標です。

GEヘルスケア

バイオサイエンス

ウェスタンブロッティング

攻略ガイド

取扱店

09.05.300(CGP)

ウェスタンブロッティング 攻略ガイド

ECL実験ノート/トラブルシューティング/原理

71-3225-01

NAME

バイオダイレクトライン(テクニカルのお問合せ)● TEL:03-5331-9336 ウェスタンブロッティング関連のお問合せは応答メッセージの後に ❸ を押してください。

● FAX:03-5331-9370● e-mail:[email protected]

ウェスタンブロッティング Webサイトwww.gelifesciences.co.jp>> ECL 攻略ガイド 検索

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前付 3 前付 4

改善したいポイントは?

実験データ

プロトコールや手順

サンプルや抗体が貴重なので使用量を節約したい

定量性を上げたい

手間を省きたい

露光時間を決定するのが難しい

全体的に黒くてバンドがよく見えないバックグラウンドが高い

現在お使いの検出試薬よりも高感度な検出試薬を用いることで問題が解消される場合もあります。参照 キット変更時のアドバイス・ECL ECL Plus(30ページ)・ECL Plus ECL Advance(29ページ)

至適露光時間が簡単に分かる ImageQuant Imagerがおすすめです(99ページ)。

化学発光から蛍光検出にすることで現像の手間が省けます。ゲル・メンブレン用自動処理装置を導入いただくと省力化が可能です(91ページ)

化学発光から蛍光検出にすることで定量性が上がります(前付 5、109ページ)。

シグナルが弱いバンドが薄い

抗体の濃度が薄い

サンプル添加量が少ない

抗体が濃すぎる

ブロッキング条件

・ 「サンプル添加量を段階希釈して」あるいは「ポジコンを一緒に」泳動します。

ブロッティング効率が低い・ 有色マーカーも一緒に泳動しておき、ブロッティング後にメンブレンにマーカーが移動したかどうか見ることで確認できます。

抗体の力価が下がっている ・ ドットブロット(85ページ)を行います。

検出条件(励起光、フィルター等)が違っている

・プロトコールをご確認ください。  ECL Plus(蛍光検出)のプロトコール(10ページ) ECL Plexのプロトコール(22ページ)

検出試薬が劣化している ・ ブルーライトテスト(36ページ)を行います。

検出試薬の感度が低い

・ 現在お使いの検出試薬よりも高感度な検出試薬を用いることで問題が解消される場合もあります。参照 検出試薬変更時のアドバイス ECL ECL Plus(30ページ) ECL Plus ECL Advance(29ページ)

・ ドットブロット(85ページ)で抗体の至適濃度を検討します。

容器、装置、メンブレンの汚れ

・注意深く洗浄して再度実験を行ってください。・ ディスポーザブルの容器を使用する方法もあります。・メンブレンは手袋、ピンセットで取扱います。

・ ブロッキング条件を変更します(81ページ)。

メンブレン由来のバックグラウンド

・ ECL Plexをご使用の際は Hybond-LFPをお使いください(107ページ)。

・ ドットブロット(85ページ)で抗体の至適濃度を検討します。・ 検出試薬によって至適抗体濃度が異なります。検出試薬変更時にはご注意ください(29ページ)。

あなたは今のウェスタンブロッティングの結果に満足されていますか?

よくあるお問合せ例と主な検討ポイントをあげています。このほかにもさまざまなトラブル例と解決策を「トラブル

シューティング」(33ページ)に記載しています。実際の解決例の写真もありますのであわせてご活用ください。 原因として多いもの

蛍光検出のみ

原因の切り分け方法

蛍光検出のみ

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MEMO

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MEMO ECL Plus ウェスタンブロッティング検出プロトコール・コピーして、実験ノートに貼ってご使用いただくと便利です。

・チェックボックス(□)にチェックを入れながら作業していただくと確実です。

・「 メモ 実験条件メモ」には実験条件を記録していただけます。

必要な装置・試薬

3ページの必要な装置・試薬リストをご参照ください ECL Plus Western Blotting Detection Reagents(RPN2132)

ECL Plus Western Blotting Starter Kit Full II(72-AS00-82)下表がすべて入っており、はじめて行っていただく際に便利です。

ECL Plus(RPN2132) 標識二次抗体 ブロッキング剤 分子量マーカー メンブレン X線フィルム○ ○ ○ ○ ○ ○

コンポーネント詳細

HRP標識二次抗体:Anti-mouse IgG horseradish peroxidase conjugate, 100 µl(NA931-100UL) Anti-rabbit IgG horseradish peroxidase conjugate, 100 µl(NA934-100UL)ブロッキング剤 :ECL Blocking Agent(5 g) ※単品販売もしております(40 g入り、RPN2125)分子量マーカー :ECL DualVue Western Blotting Markers (RPN810)メンブレン :Hybond-P(20× 20 cm、RPN2020F)X線フィルム :Hyperfilm ECL(18× 24 cm、28-9068-36)

実験計画のポイント

1.電気泳動、2.ブロッティングまでは一気に作業を行うので、あらかじめ所要時間や準備を確認しましょう(10× 8 cmのミニゲルでは電気泳動で 4時間、ブロッティングで2時間が目安です)。

抗体の希釈率を検討しておくことで、より確実に結果を得ることができます( 参照 85ページ)。

1. 電気泳動

メモ 実験条件メモ

ゲル濃度 ランニングゲル: % スタッキングゲル: %

泳動バッファー 種類: 組成: 調製日:

泳動 時間: min 電流: mA

SDS-PAGEでタンパク質を分離します。

参照 49~ 58ページ:電気泳動

アプライするタンパク質量が多すぎると余分なバンドが出ることがあります。サンプルの濃度がわからない場合はアプライ量を段階的に分けることをおすすめします。

Rainbow Molecular Weight Markersや ECL DualVue Western Blotting Markersなどの有色マーカー( 参照 52ページ)を同時に泳動すると電気泳動やブロッティング効率の確認ができるため便利です。

ポジティブコントロールやネガティブコントロールを同時に泳動することをおすすめします。複数のバンドが検出されたときにどちらが目的のタンパク質か確認できます。

  …ご注意  …トラブルシュート  …プロトコールを変更できる箇所  …より詳しい情報 

2. ブロッティング

準備

メンブレンの選択( 参照 69ページ)。 ニトロセルロースメンブレンご使用の場合・・・ 10分間ブロッティングバッファーに浸して平衡化します。

PVDFメンブレンご使用の場合・・・ 100%メタノールによる親水化処理を行います( 参照 71ページ)。

ブロッティングバッファーを準備します( 参照 72ページ)。

メモ 実験条件メモ

メンブレン 製品名: ロット:

ブロッティング

バッファー種類: 組成: 調製日:

ブロッティング 時間: min 電流: mA

ECL Plus ウェスタンブロッティング検出プロトコール(1/5) ECL Plus ウェスタンブロッティング検出プロトコール(2/5)

SDS-PAGEによって分離したタンパク質を Hybond-P(または Hybond-ECL)へブロッティングします。

参照 68~ 75ページ:ブロッティング

感度は下がりますが Hybond-C Extra(ニトロセルロースメンブレン)も使用できます。

ブロッティング後のメンブレンはゲルと接していた面(ブロット面)を覚えておく必要があります。メンブレンの右端をカットするなどして目印をつけておいてください。

すぐに検出しないメンブレンは、風乾後、デシケーター中で 2~ 8℃で 3ヶ月まで保存できます。ただし、乾燥させたときの乾燥ムラがバックグラウンドとして検出されることがあります。リプロービングの予定がある場合はメンブレンを乾燥させないでください。

実践編

ECLPlus

ECL

ECLAdvance

ECLPlex

ワンポイント

トラブルシューティング

準備

実践編

ECLPlus

ECL

ECLAdvance

ECLPlex

ワンポイント

トラブルシューティング

準備

  …ご注意  …トラブルシュート  …プロトコールを変更できる箇所  …より詳しい情報 

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33 34

トラブルシューティングガイド

全体的に黒くてバンドが検出されない バンドはあるが一部検出されないシグナルが検出できない

P.34 P.34 P.35

メンブレンの切断部に傷があったために、かなりの非特異的な検出が見られます。P.37 P.37

P.37

P.35 P.36

シグナルが検出できないステップ 原因 解決策

サンプル調製・電気泳動

目的タンパク質の量が少ない

サンプル添加量を増やすゲルやメンブレンを染色して目的タンパク質の量を確認し、検出に十分な量

の目的タンパク質が含まれるようサンプル添加量を調整します。( 参照 ゲルの染色 59ページ、メンブレンの染色 74ページ)

抗原性の低下抗体反応性の確認SDS還元処理などにより、サンプルの抗原性が低下していないかドットブロットで確認します。( 参照 85ページ)

電気泳動でタンパク質が分離していない

有色マーカーで泳動状態を確認するECL DualVue Western Blotting Markers、Rainbow Molecular Weight Markersなどの有色マーカーを一緒に泳動することで転写状態も目視で確認できます。

( 参照 52ページ)

ブロッティング目的タンパク質がメンブレンに転写されていない

有色マーカーで転写状態を確認するECL DualVue Western Blotting Markers、Rainbow Molecular Weight Markersなどの有色マーカーを一緒に泳動することで転写状態を目視で確認できます。

( 参照 52ページ)

転写がうまくいかないときのチェックポイント

・PVDFメンブレンの親水化( 参照 71ページ)・ 電極の向きとゲル・メンブレンを重ねる順番( 参照 67ページ)・ 転写バッファーのメタノール濃度、SDS濃度を検討( 参照 72ページ)

抗体反応

抗体濃度が低い /抗体の力価が低下している

抗体濃度の至適化検出に適した抗体濃度をドットブロット法で検討します。( 参照 85ページ)

抗体にアジ化ナトリウムが含まれている

アジ化ナトリウムは HRPの活性を阻害します。アジ化ナトリウムが入っていない抗体を用いるか、影響しないアジ化ナトリウム濃度まで抗体を希釈します。

検出試薬との反応 検出試薬の劣化検出試薬の活性確認ブルーライトテスト( 参照 36ページ)および HRP標識二次抗体のドットブロット( 参照 85ページ)により検出試薬の活性を確認します。

全体的に黒くて(バックグラウンドが高くて)バンドが検出されないステップ 原因 解決策

サンプル調製・電気泳動装置や器具の汚れによるコンタミネーション

手袋着用・器具の洗浄操作中は手袋を着用し、器具はよく洗浄しておきます。

ブロッティング装置や器具、メンブレンの汚れによるコンタミネーション

手袋着用・器具の洗浄操作中は手袋を着用し、器具はよく洗浄しておきます。

新しい転写バッファーを使用バッファー溶液が古くないか確認します。

抗体反応

抗体濃度が高すぎる抗体濃度の検討検出に適した抗体濃度をドットブロット法で検討します。( 参照 39、85ページ)

ブロッキングが不十分あるいはブロッキング剤が系にあっていない

ブロッキング条件の検討ブロッキング剤、ブロッキング時間、濃度、温度を検討します。( 参照 82ページ)抗体希釈液にブロッキングバッファーを使います。

バッファー洗浄が不十分

洗浄条件の検討洗浄バッファーの量、洗浄回数を検討します。洗浄時間を延長する、バッファーの Tween 20の濃度を上げます。(上げすぎると目的タンパク質までメンブレンからはがれるので注意します。参照 38ページ)

検出

メンブレン上の余分な検出試薬

残存検出試薬の除去メンブレン上の余分な検出試薬をしっかりと除いてください。

検出時間が長すぎる

露光時間を短くする化学発光の場合は露光時間を短くします。

露光時間のワンポイント

X線フィルム検出で露光時間が 5秒以下では露光時間のコントロールが困難なため、再現性が下がります。露光時間が 1分位で検出したときにちょうどよい強度で検出されるようドットブロット法などで条件を至適化します。

バンドが検出できないバンドが検出できない

バンドは検出できるが結果に不満がある

バンド以外に問題がある

P.35

シグナルが強すぎる 非特異のバンドが検出されるシグナルが弱い

バックグラウンドが高い その他の汚れや非特異的な検出不規則でまだらなしみが検出される

P.36

シグナルが白く抜けている

実践編

ECLPlus

ECL

ECLAdvance

ECLPlex

ワンポイント

トラブルシューティング

準備

実践編

ECLPlus

ECL

ECLAdvance

ECLPlex

ワンポイント

トラブルシューティング

準備

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MEMO

基礎編

1電気泳動

2ブロッティング

3抗体反応

4検出

46

MEMO

基礎編

1電気泳動

2ブロッティング

3抗体反応

4検出

ウェスタンブロッティングでの注意点

1)サンプル添加量の調整・ 希釈系列や添加量を変えてサンプルを泳動します。いずれかの条件を最適条件内に入れることが目的です。

2)還元処理による目的タンパク質の変性・ 一次抗体が目的タンパク質の立体構造を認識する場合は、還元処理により立体構造が変わり、抗体が反応しなくなる場合があります。このようなときは非還元処理*を行い

ます。* 泳動前のサンプルの処理時の条件をタンパク質の立体構造を変えない条件に変更すること。DTT、メルカプトエタノールを含まないサンプルバッファーを使用します。また、熱処理も 37℃、30分など平穏な条件にします。温度時間などはサンプルに依存します。

3)有色マーカーの同時泳動・ 有色分子量マーカーをサンプルと一緒に泳動すると、泳動後のゲルやブロッティング後のメンブレン上にマーカーのバンドが目視で確認できるので、泳動状態やメンブレ

ンへのブロッティング効率のチェックに有効です。(有色マーカーはマーカータンパク

質に色素が結合しているので、正確な分子量測定には向きません。分子量の目安とし

て用いてください。)

4)ポジティブコントロールやネガティブコントロールの同時泳動・ 複数のバンドが検出された場合やバンドが全く検出されない場合のトラブルシュートが容易になります。

5)適切なゲル濃度・目的タンパク質が分離ゲルの中央にくるゲル濃度を選択します。

ポリアクリルアミドゲル濃度の選択

分離できる分子量分画範囲はポリアクリルアミドゲルの濃度によって決まります 表 1 。精度

の高い解析を行うには、目的タンパク質のバンドがゲル中央付近に位置するようにゲル濃度

を選択します。ゲルには濃度勾配を持つグラジエントゲルとゲル濃度が均一なホモジニアス

ゲルがあります。サンプルのおおよその分子量分布を調べる場合、もしくは、サンプルのタ

ンパク質の分子量が広範囲にわたる場合は、グラジエントゲルを用います。サンプルの分子

量をできるだけ正確に調べたい場合、あるいは分子量の近いタンパク質を分離したい場合に

は、濃度が均一なホモジニアスゲルを用います 図 3, 4 。グラジエントゲルとホモジニアスゲ

ルを組み合せることでシステマチックにサンプルの分子量分布を解析できます。

ポリアクリルアミドゲルの組成はアクリルアミドの割合(% T)とクロスリンクの割合(%C)の 2つの指標で示されます。クロスリンクの割合は通常 2.6%です。% Tが高くなるとポアサイズが小さくなるのでタンパク質がゲル内で移動しにくくなります。

もっとも一般的なウェスタンブロッティングでは 2種類のゲルを用います。濃縮ゲルと分離ゲルです。濃縮ゲルはホモジニアスなゲルで大きめのポアサイズ(% T=4~ 5%)で作製します。これは分離ゲルに入る前にタンパク質を濃縮する役割を果たし、ゲルの中でのバンド

の分離能を高めます。一方で分離ゲルはより固いゲルにします。ホモジニアスやグラジエン

トゲルどちらでも% Tは 5~ 20%の幅で設定します。

電気泳動原理

タンパク質の電気泳動法としては下記 3つの手法が主流となっています。

❶ SDS-PAGE: 分子量の違いにより分離。❷ 等電点電気泳動:タンパク質の等電点(チャージ)の違いにより分離。❸ 二次元電気泳動:等電点・分子量の 2つのパラメーターの違いにより分離。一次元目に等電点電気泳動を、二次元目には SDS-PAGEを行う。

この中でウェスタンブロッティングでよく用いられているのは SDS-PAGEです。最近は二次元電気泳動で分離したゲルをもとにしたウェスタンブロッティングも多くなってきています。

このハンドブックでは SDS-PAGEを中心にご紹介していきます。

SDS-PAGESDS(Sodium Dodecyl Sulphate)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)は、目的タンパク質の高次構造を変性して分子量の違いにより分離する手法です。ポリアクリルア

ミドゲルは、ゲル中の細孔径が密なため 100~ 200 kDa以下のタンパク質やポリペプチドを分離するのに適しています 図 1 。操作が簡便で再現性が高いので、タンパク質の電気泳動で

は最もよく用いられている手法です。通常は、泳動サンプルの調製時にβ -メルカプトエタノールや DTT(Dithiothreitol)などの還元剤を添加してタンパク質の S-S結合(ジスルフィド結合)を切断します。SDSは、水溶性タンパク質 1 gあたり約 1.4 g結合して SDS-タンパク質複合体を形成します。SDSの結合量によって分子の電荷がほぼ決まるため、電気泳動によりポリペプチド分子を分子量にしたがって分離することができます。 図 2 に IgGを SDSと DTT(還元剤)を含むサンプルバッファーに溶解し、100 ℃で処理した例を示します。還元剤によりジスルフィド結合が切断され、IgGは H鎖と L鎖に分かれます。さらに SDSが吸着し全体が負に帯電することで、立体構造がなくなり、タンパク質は一本鎖となります。

SDS処理により、タンパク質固有の立体構造や表面電荷違いによる影響を受けることなく、分子量での分離が可能になります。電気泳動により、分子量の小さなタンパク質は速く、大

きなタンパク質は遅れて陽極方向に移動します。

SDS-PAGEにおける目的タンパク質の分離能はタンパク質の大きさとゲルの多孔度に依存します。そのため、最適なゲル条件を見つけるために条件検討が必要となります。

SDS-PAGEに必要なもの①電気泳動装置( 参照 49ページ)②ポリアクリルアミドゲル( 参照 50ページ)③サンプルバッファーで処理したサンプル( 参照 51ページ)④分子量マーカー( 参照 52ページ)⑤染色試薬( 参照 59ページ)(ウェスタンブロッティングでは確認用のオプション操作です。)

電気泳動原理

+SDS+DTT

or(メルカプトエタノール)

100℃

IgG

図 2 SDS処理された IgG

分子量範囲(kDa) 分離ゲルの濃度(%)

36~ 205 5 %24~ 205 7.5 %14~ 205 10 %14~ 66* 12.5 %14~ 45* 15 %*分子量の大きなタンパク質はゲルに入りにくい場合があります。

表 1 タンパク質分画に必要なポリアクリルアミドゲル濃度図 1 アクリルアミドゲルの構造