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歯科の「新しい診療様式」 歯科医療機関における 新型コロナウイルス感染症への対応指針 Ver.5(別冊) 令和2年5月26日現在 公益社団法人神奈川県歯科医師会 新型コロナウイルス感染症対応室

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歯科の「新しい診療様式」

歯科医療機関における 新型コロナウイルス感染症への対応指針

Ver.5(別冊)

令和2年5月26日現在

公益社団法人神奈川県歯科医師会新型コロナウイルス感染症対応室

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神奈川県は、1月16日の新型コロナウイルス感染症第一号の陽性患者の確認以来、2月

3日のダイヤモンド・プリンセス号の横浜港入港を端緒に、多くの陽性患者を県内病院

で受け入れ、全国からその動向が注目される地となりました。

神奈川県歯科医師会は横浜港に近いこともあり、不測の事態に備えるため2月20日に緊

急対策会議を開催、翌2月21日に「新型コロナウイルス感染症対応室(コロナ対応

室)」を設置して、情報収集・事態対処策の策定などを初期の段階から行ってまいりま

した。

未知の感染症への対応は想像を超えるものでしたが、コロナ対応室から逐次発出する情

報により、会員の不安を低減することができたものと思います。

緊急事態宣言が一部解除されたことにより徐々に収束の雰囲気となっていますが、県民

の公衆衛生の維持・向上のためには、油断することなく、可能性を指摘されている第2

波、第3波に備えた「負担が少なく現実的」な感染予防策の策定が急務となります。

そこで今回のVer.5では、現在確認のとれる範囲の知見を基に、「歯科の新しい診療様

式」を提案させていただくこととしました。本会が示す一つの目安として、今後の意思

決定や診療体制の整備にご活用ください。

新型コロナウイルス感染症の「終息」まで、大きな混乱を生じることなく、会員諸氏が

地域医療に貢献できることを切に願います。

新型コロナウイルス感染症対応室

はじめに

この対応指針Ver.5は、令和2年5月7日に発行したVer.4以降の新たな情報をもとに、令和2年5月26日時点でとりまとめ作成しました。今後の知見や通知に応じて、内容が改められる場合があります。本会ホームページ会員の広場「新型コロナウイルス感染症対応室」から常に最新の情報を得るようにしてください。

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0. 厚労省の示す 新しい生活様式

  神奈川県歯科医師会の示す 歯科の「新しい診療様式」

1. 一人ひとりの基本的感染対策

①感染防止の3つの基本

②歯科医療従事者の行動指針

③歯科受診における患者の行動変容

2. 歯科診療を行う上での基本的診療様式

①スタンダードプリコーション

②「3密」の回避(密集・密接・密閉)

③感染防止のための診療環境(標準的な医療設備)

3. 歯科診療の各場面の診療様式

①感染リスクの評価(人・場所・場面)

②健康チェック(問診によるトリアージ)

③診療内容に応じた感染防止策(適切な防護具の選定)

④感染拡大防止のための歯科診療制限

⑤自主的な就業制限並びに施設の使用制限

4. 働き方の新しいスタイル

①時差出勤・時差休憩

②体調管理・自宅療養

③会議・研修会などの開催方法

5. 県民へのメッセージ

神奈川県歯科医師会からの7つのおねがい

13

14

17

21

19

23

24

23

25

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Contents

Page 4: 歯科の「新しい診療様式」 - dent-kng.or.jp...歯科の「新しい診療様式」 歯科医療機関における 新型コロナウイルス感染症への対応指針 Ver.5(別冊)

厚生労働省の示す「新しい生活様式」   

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歯科の「新しい診療様式」(1)一人ひとりの基本的感染対策

①感染防止の3つの基本・マスクの着用・手洗い・身体的距離の確保

(2)歯科診療を行う上での基本的診療様式

(3)歯科診療の各場面の診療様式

(4)働き方の新しいスタイル

②歯科医療従事者の行動指針

①スタンダードプリコーション

②「3密」の回避(密集・密接・密閉)

①時差出勤・時差休憩

②体調管理・自宅療養

②健康チェック(問診によるトリアージ)

①感染リスクの評価(人・場所・場面)

③感染防止のための診療環境(標準的な医院設備)

③診療内容に応じた感染防止策(適切な防護具の選定)

④感染拡大防止のための歯科診療制限

③歯科受診における患者の行動変容

③会議・研修会などの開催方法

神奈川県歯科医師会の示す

⑤自主的な就業制限並びに施設の使用制限

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感染防止の3つの基本①マスクの着用 ②手洗い ③身体的距離の確保

(1)一人ひとりの基本的感染対策

患者

職員

待合室では、マスクを着用してください。

「他人からうつされない」と同時に「他人にうつさない」ことを大切にしてください。

診療中だけでなく、通勤中の人が密集する場面や、休憩中も人と近距離で接する時は、マスクを着用してください。

患者

職員

感染予防の基本は手を洗うことです。

診療前後だけでなく、共用スペースのもの(マウス・キーボード・トイレなど)に触れたらこまめに手指の消毒をしてください。

待合室から診療室に入る時は必ず手を洗ってください。 歯科医院から出る時にも必ず手を洗ってください。

手を洗ってください

マスクをしてください1

2

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歯科医学的防護距離・・・歯科診療においては、身体的距離を保つことは不可能なため、それに代わる感染防止策として、個人防護衣、エアロゾル除去装置などによる、医学的距離を保つこと。

距離を保ってください

患者 待合室では、身体的距離を保ってください予約時間、通院時間の分散にご協力ください

職員 接触機会と感染機会は明確に違います。

医療では物理的な距離が近いので、歯科医学的な感染防護距離を保ってください。

患者の医学的距離を遠ざける手段

自身が医学的距離を確保する手段

手洗い・うがい・歯みがきなどにより、患者から発せられるウイルスを出来る限り少なくする。

口腔外バキュームなどにより、患者から発せられるウイルスを出来る限り除去し少なくする。

・個人防護具(マスク・グローブ・ゴーグル・フェイスシールド・ガウンなど)により、体内への侵入を防ぐ。

詳しくは後述する。

問診などにより、患者が陽性か、陰性か、疑い濃厚か、未確認かをトリアージして感染リスクを把握する。

3

さいごう

てつろう

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② 歯科医療従事者の行動指針院内感染防止のための歯科医療従事者の行動指針(Ver.2 6ページ2-1-1)

院内感染防止において最も重要なことは、スタッフ間での感染防止と、外からウイルスを院内に持ち込まないことです。気心の知れたスタッフ間では油断から感染防止の意識が薄れるため、細心の注意が必要です。一人のスタッフの油断から、院内スタッフが全員感染する恐れがあります。

1)  睡眠時間を十分に取り、手洗いを始め正しい生活習慣と規則正しい生活を心がけること。

2)  満員電車や人混みではマスクを装着し、不用意に物に触れないよう心がけること。

3)  全ての職員は出勤時に検温し、体調不良の者は自主的に出勤を控えること。

4)  発熱や上気道症状等の症状が発現した場合は、自主的に出勤を控えること。

5)  スタッフルーム等、バックヤードであっても職員同士の濃厚接触は避けること。

6)  休憩時間、就業前後などマスクを装着していない時は、他の職員との接触は避けること。

7)  換気が悪く人が密に集まって過ごすような空間や、不特定多数の人が密に接触する場所で開催されるイベント等には、極力参加しないこと。

8)  新規採用者の就業開始にあたり、最近の海外渡航の有無を必ず確認し、渡航先や体調等について問い合わせ、必要に応じて自宅待機や検査を受けること 等を指示すること。

(1)一人ひとりの基本的感染対策

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③ 歯科受診における患者の行動変容

(1)一人ひとりの基本的感染対策

院内感染防止のための患者の行動変容の目的(Ver.4 1ページ2-1-2) 

院内感染防止において最も重要なことは、外からウイルスを院内に持ち込まないことです。 患者が歯科医院を受診する際は、自分自身が新型コロナウイルスに感染しているかもしれないという意識を持って、他人に感染させないよう心がけることが大切です。

1) 自宅から医療機関までの道中は、なるべく人と接する機会を避け、手洗い、うがいをしてから受診してください。

2) 自宅から医療機関まで公共機関を利用するときは、マスクを装着し、不用意にものに触れないよう心がけてください。

3) 医療機関を受診する際は、ご自宅で検温し、発熱や体調不良の場合は自主的に受診を控えてください。判断に迷われたら、お電話にてお問い合わせください。

  4)  咳、くしゃみ、上気道症状等の不調な症状が発現した場合は、自主的に受診を控え

てください。判断に迷われたら、電話にてお問い合わせください。

5)  医療機関の待合室に入室するときは、手洗いと手指の消毒を行い、マスクの着用をしてください。

6)  医療機関で行う受診当日問診票には正確に回答してください。 また、問診票に記載のない事項であっても、感染の疑いが持たれるような症状があったら、自己申告してください。

7)  診療室内であっても、治療時以外はマスクを着用してください。特に会話をするときはお互いにマスクを必ず着用してください。

8)  お会計の際は、なるべく釣り銭のないようにお願いいたします。

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新型コロナウイルスの感染経路はいまだに解明されていない部分が多く、通常のスタンダードプリコーションに加え、さらなる感染防止対策を講じる必要がある。

(1) 接触感染の防止 ①術者・スタッフの接触感染防止 診療室では通常のスタンダードプリコーションの徹底により感染は防ぐことができる。マウス、扉の取手、筆記用具など素手で接触するものは使用後速やかに消毒し、目、鼻、口などは触らないよう注意する。 ②患者の接触感染防止 診療室では、患者が触れる部分は限られているので容易に感染を防ぐことができる。待合室では、患者が触れる部分は定期的に消毒する。患者同士の接触はしないよう配慮する。雑誌等、不特定の患者が触れるものは撤去する。通常のスタンダードプリコーションの徹底により感染は防ぐことができる。

(2) 飛沫感染(エアロゾル感染)の防止 ①術者・スタッフの飛沫感染防止 歯科診療では通常のスタンダードプリコーションに加え、さらなる感染防止対策を講じる必要がある。処置内容による感染リスクに応じて、防護具などを選定する。詳しくは後述する。 ②患者の飛沫感染防止 歯科診療では、他の患者の飛沫を浴びないよう細心の注意を払う。患者間の距離を開け、換気する。エアロゾルの発生する治療は個室を使用し、治療中以外はマスクの着用、咳などがある場合は治療の延期を考慮する。

感染防止対策において最も重要なことは、ウイルスを院内に持ち込まないことです。

①スタンダードプリコーション(2)歯科診療を行う上での基本的診療様式

診療における感染防止対策(Ver.2 14ページ 2-8-1)

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(4) 感染経路の同定 患者がのちに陽性と判明した場合などに備え、術者、介助者、受付者などがわかるようにしておく。職員がのちに陽性と判明した場合も2週間の接触者を把握しておく必要がある。濃厚接触者と判定された者は就業制限の対象となる。濃厚接触者の限定が困難な場合には、職員全員が就業制限の対象となる可能性がある。

(5) PPE(個人防護具)の使用について 飛沫感染対策として、エアロゾルが発生する治療を行う際は、マスク、グローブに加えゴーグルやフェイスシールドを着用し、口腔外バキュームを使用すること。新型コロナウイルス感染者あるいは感染が強く疑われる患者の治療を行う際には、さらなる感染防護策としてN95マスク、ガウン、帽子などを着用し、診療後は速やかに廃棄することが望ましい。現在の医療物資の供給体制からみて、全ての歯科治療でPPEを消費することは適切とは言えない。治療内容に応じた感染防護具の使用(消費)を行うべきである。(神奈川県歯科医師会の考え方)

(6) 口腔外バキュームの有効性 歯科診療で発生するエアロゾルを除去する装置として口腔外バキュームは有効である。適切な方法で口腔内バキュームと併用することにより、細菌の検出を90%以上減少できるとされている。

⑻ ポビドンヨード含嗽液(商品名:イソジンガーグル液 7%)添付文書には新型コロナウイルスに類似したSARSウイルスに対して15倍希釈液(0.47%)を60秒作用させると99.9%以上のウイルス不活化率である。

⑺ ラバーダムの使用  特に高速ハンドピースと歯科用超音波装置を使用する場合に、唾液および血液で汚染されたエアロゾルまたは飛沫の発生を最小限に抑えることができる。ラバーダムを使用する場合、通常のバキューム(吸引)とともに口腔外バキューム(エアロゾルと飛沫の大量吸引)を使用すると高い効果がある。

(3) バックヤード感染の防止 スタッフ間での感染防止で最も大切なことは、外からウイルスを院内に持ち込まないこと。気心の知れたスタッフ間では油断から感染防止の意識が薄れるため、細心の注意が必要。マスクを外した状態で同一空間にいると、感染のリスクが高まるため、休憩時間、出勤・退勤時間をずらすなど、濃厚接触とならないよう努めること。

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②「3密」の回避(密集・密接・密閉)

患者の動線に沿った感染対策 第2版(Ver.2 9ページ 2-4)

(2)歯科診療を行う上での基本的診療様式

歯科医院での3密回避

換気が悪い密閉空間

人が密集している

近距離での会話

→窓を開ける、口腔外バキューム

→時差診療、個室診療、隔離診療

→受付マスク、待合室マスク

近距離での診療

→歯科医学的防護距離の確保

患者 職員 診療室

密閉 休憩室では、十分に換気を行なってください

診療室は、十分に換気を行なってください

密集 予約時間、通院時間の分散にご協力ください

出勤時間、休憩時間の分散にご協力ください

近接したユニットの使用は避け、診療の分散にご協力ください

密接 待合室では、身体的距離を保ってください

休憩室では、身体的距離を保ってください

歯科診療では物理的な距離が近いので、歯科医学的な感染防護距離を保ってください

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③感染防止のための診療環境(標準的な医院設備)

(2)歯科診療を行う上での基本的診療様式

蔓延期では厳重な感染防止策が必要とされて来ましたが、安定期

では「過度な負担なく現実的」な感染防止策の策定が急務となっ

ています。

神奈川県歯科医師会の示す感染防止策を参考に、各歯科医療機関

にて、第2波、第3波に備えた感染防止策を策定してください。

院内のエリア分け

医療スタッフの 清潔エリア

患者待機の 公共エリア

通常診療後の 汚染エリア

医療スタッフの プライベートエリア

受付待合室

ユニット

ユニット

ユニット

消毒室・ 洗い場

休憩室診療室

①出入口 ・ドアノブ、手すり、下駄箱など、手が触れる部分の消毒を徹底してください。

②受付・待合室・トイレ ・保険証、診察券、本、椅子、ドアノブ、おもちゃなど、消毒の徹底をしてください。 ・頻繁に換気を行い、空気清浄機等があれば使用してください。 ・患者さんへ、手洗い、うがいへのご協力のお願いをしましょう。

③診察室 ・ユニット等の消毒を通常の感染対策と同様の方法で徹底してください。 ・頻繁に換気を行い、空気清浄機・口腔外バキューム等を使用してください。

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(ア)待合室

(イ)受付

手指用消毒剤の設置

窓がないところは空気清浄機の設置

受付ではパーテーションを使用

手洗い場に手指用消毒剤の設置 次亜塩素酸による、空間除菌

手などの皮膚の消毒を行う場合には、消毒用アルコール(70%)を、物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効であることが分かっています。また、医療器具の消毒にはグルタラール、フタラール、過酢酸も有効です。この場合は、使用時の留意事項を遵守してください。

医療機関は診療室と公共エリアに効果的かつ厳格な消毒措置を取る必要があります。公共エリア(待合室)の設備は頻繁に洗浄および消毒する必要があります。

器具の滅菌パックの使用

(ウ)器具の滅菌・消毒室/洗い場

超音波洗浄機の設置クラスB滅菌

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患者ごとに、ユニットの清拭 ドアノブなどの清拭

フェイスシールドの着用

(エ)診療室

口腔外バキュームにより、エアロゾルの飛散を防止常に窓を開け、換気

(オ)個人防護具

エプロンコップ等は使い捨てられるもは使い捨てる

患者ごとにハンドピースの滅菌 ブラケットテーブルの清拭

sPPE: 標準予防策に基づくPPE

サージカルマスク 手袋 眼鏡等

E-PPE: sPPE に眼の保護(E)を加えた PPE

サージカルマスク 手袋 フェースシールド

EB-PPE: sPPE に眼の保護(E),身体の保護(B)を加えた PPE

サージカルマスク 手袋 フェースシールド ガウン

Full-PPE: 陽性・疑い濃厚患者のエアロゾル感染に対応した予防策 N95 マスク、 帽子、 手袋二重、 フェースシールド±ゴーグル、 不 浸 透 性 長 袖 ガウン

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①感染リスクの評価(人・場所・場面)歯科診療における感染リスク評価(Ver.2 13ページ 2-7) 

(3)歯科診療の各場面の診療様式

①人 ②場所 ③場面

歯科診療・感染リスクの3要素

問診票・問診 設備と装備 処置内容 リスク評価総合的な

高リスク

中リスク

低リスク健康  

基礎疾患

コロナ陽性患者

コロナ濃厚接触者

発熱

味覚・臭覚異常

海外渡航歴

せき・喉の痛み

換気環境がない

滅菌機がない

口腔外バキュームがない

隔離環境がない

マスク・ゴーグルがない

PPE個人防護衣がない

標準予防策が徹底されていない

全てが揃っている   何もしない  

投薬のみ  

血液エアロゾル治療

唾液エアロゾル治療

観血治療

粉塵発生治療

非接触治療

接触治療

歯科診療における感染リスク評価

①人 ②場所 ③場面感染リスク評価総合的な X X=

①人              問診トリアージによって、感染陽性者、または疑い濃厚者を判定

②場所 設備と装備を整えることにより、感染リスクを抑える

③場面 処置内容を制限することにより、感染リスクを抑える

設備と装備が整っていない環境下では、処置内容でリスクをコントロールする

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②健康チェック(問診によるトリアージ)来院時の問診によるスクリーニングの重要性(Ver.2 11ページ 2-6)

      感染拡大防止のための受診当日問診票Ver.2(Ver.2 10ページ 2-5-1)

令和2年4月6日付 厚生労働省医政局歯科保健課からの事務連絡「歯科医療機関における新型コロナウイルスの感染拡大防止のための院内感染対策について」2の(1)よ

り歯科診療の実施前には患者の状態について確認することの重要性が示されており、その際、新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合については、速やかに「帰国者・接触者相談センター」にご相談いただくよう、患者に伝えることが求められています。自院で診療が行えると判断したときは、診療室の定期的な換気を実施するとともに、診療の内容に応じて、感染リスクを減らすための対策を適切に行うこととされています。なお、歯科医師の判断により、応急処置に留めることや、緊急性がないと考えられる治療については延期することなども考慮してください。

・問診票については、一つの例であり、ご自身で随時必要な項目を加えてください。

・感染症疑いの基準  (発熱・咳・息苦しさ、味・におい・渡航歴) ・濃厚接触

問診 (感染拡大防止のための受診当日問診票Ver.2を参照)

感染の疑いがないと思われる場合

感染の疑いがある と思われる場合

・スタンダードプリコーション(標準的予防策)に基づく通常診療 日歯雑誌2018Vol.71より院内感染対策を参照

・診療中止・延期の検討 ・行政の相談窓口の紹介 新型コロナウイルス 感染症に対する「帰国者・接触者相談センター」の設置について参照

*スタンダードプリコーションについてはこちらもご参照ください。 「新型インフルエンザ等発生時に初期対応を行う「検疫所」「医療機関」「保健所」における感染対策に関する手引き」(平成27年3月 暫定1.0版)」 【三重大学医学部付属病院感染制御部HP】https://www.medic.mie-u.ac.jp/kansen-seigyo/research/images/2015.6%20influenza_kansentaisaku.pdf  【厚生労働省】 https://www.mhlw.go.jp/content/000501120.pdf

*新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について 【厚生労働省】https://www.mhlw.go.jp/content/000607654.pdf 

(3)歯科診療の各場面の診療様式

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感染拡大防止のための受診当日問診票

今般のCOVID-19感染症が世界的に拡がり、専門家の議論を経ても全く先が見通せない状況です。歯科医院においても、今まで以上に感染予防に注意が必要な状況となってきました。この状況に対応するために、当院では全ての患者様に以下の問診票にご協力いただき、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めたいと思います。これを機に更なる安心、安全な歯科医療の提供を行ってまいります。何卒、ご理解ご協力のほど宜しくお願い致します。

問診事項 回答欄

1 基礎疾患・免疫疾患がある はい いいえ

2 37.5度以上の熱がある はい いいえ

3 喉の症状や喉の痛みがある はい いいえ

4 最近、味やにおいが判らなくなった はい いいえ

5 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある はい いいえ

6 2週間以内に海外への渡航歴がある はい いいえ

7 新型コロナウイルス感染者、またはその疑いがある者との接触がある はい いいえ

8 COVID-19感染症陽性と診断されたことがある はい いいえ

上記の記載に間違いございません。年    月   日  

ご署名:                 

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診療当日問診票

プレチェックトリアージ

感染予防対策

タービン使用 (エアロゾル発生)

スケーラー使用 (エアロゾル発生)

診療内容に応じた 感染防止策

コロナの疑いなし 健常者

通常通り

コロナの疑いなし 有病者

感染厳重注意

個室(隔離)で 診療

コロナの疑い 未確認

感染厳重注意

コロナの疑い 濃厚・陽性確定

通常診療不可

電話診療 投薬のみ

PCRセンターへ 紹介

口腔外バキューム (個室推奨)

隔離診療 (パーテーション)

時間差診療 (同時刻1患者)

NOエアロゾル診療 (キュレットなど)

体温測定

お薬手帳など

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時限的な神奈川県歯科医師会の考え方

◆本指針で用いる用語の解説 1. 感染状況による地域区分 各地域の感染状況によって、3つに区分し、対応することとする。 ・ 非流行地域:コロナウイルス感染症の非流行地域 ・ 流行地域:コロナウイルス感染症の流行発生地域 ・ 蔓延地域:コロナウイルス感染症の蔓延地域

※口腔外バキュームを有効に併用できる場合は、医療物資の供給量に応じて<EB PPE>と<E PPE>を選択する※

確定・疑い 未確認 陰性・回復者

AGPあり AGPなし AGPあり AGPなし AGPあり AGPなし

非流行地域 Full PPE 口腔外バキューム

EB PPE 口腔外バキューム

E PPE 口腔外バキューム

E PPE E PPE s PPE

流行地域 Full PPE 口腔外バキューム

EB PPE 口腔外バキューム

※EB PPE 口腔外バキューム

E PPE E PPE 口腔外バキューム

E PPE

蔓延地域 Full PPE 口腔外バキューム

EB PPE 口腔外バキューム

※EB PPE 口腔外バキューム

E PPE E PPE 口腔外バキューム

E PPE

感染予防策の選定は処置による感染リスクに応じてなされるべきである。 本提言では,歯科診療における PPE を目的に応じて以下のように表記する。 また合わせて適宜、口腔外バキュームの併用を推奨する。

現在の医療物資の供給体制からみて、全ての歯科治療でFull PPEを消費することは適切とは言えない。治療内容に応じた感染防護具の使用(消費)を行うべきである。

(3)歯科診療の各場面の診療様式③診療内容に応じた感染防止策(適切な防護具の選定)

歯科診療における適切な感染予防策の選定(Ver.4 4ページ 2-8-3)

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3.AGP:エアロゾルが発生する手技 (Aerosol generating procedures)について 新型コロナウイルスは接触感染が主であるが、エアロゾル(5 マイクロメートル以下の粒子) に吸着することで長時間空間を浮遊し感染リスクが高まる可能性が示唆されている。歯科診療においてエアロゾルを発生する手技として、タービン、超音波スケーラー、3WAYシリンジなどが挙げられる。

4. 個人防護具(PPE)について 本提言では,歯科診療における PPE を目的に応じて以下のように表記する。

Full-PPE:陽性・疑い濃厚患者のエアロゾル感染に対応した予防策 「N95 マスク、 帽子、 手袋二重、フェースシールド±ゴーグル、 不 浸 透 性 長 袖 ガウン」     ・鼻腔・口腔保護:N95 マスクまたは電動ファン付呼吸用保護具(PAPR)     ・眼球保護:フェースシールド+ゴーグル     ・身体の保護:不浸透性長袖ガウン     ・頭部の露出保護:手術用帽子を装着.装着後も頭髪の露出に注意する

5.口腔外バキュームについて 歯科診療で発生するエアロゾルを除去する装置として口腔外バキュームは有効である。適切な方法で口腔内バキュームと併用することにより、細菌の検出を90%以上減少できるとされている。

2. 新型コロナウイルス感染確認状況による区分 確定・疑い:新型コロナウイルス感染と診断あるいは疑い例(臨床症状ありあるいは感染者との濃厚 接触あり)

未確認:新型コロナウイルス感染未確認例(臨床症状なし) 陰性・回復者:新型コロナウイルス感染陰性、あるいは陽性と診断されたがその後、PCR 陰性確認後2週間経過した例

sPPE:標準予防策に基づく PPE(standard PPE) 「サージカルマスク、手袋、眼鏡等」

E-PPE:sPPE に眼の保護(E)を加えた PPE 「サージカルマスク、手袋、フェースシールド or ゴーグル」

EB-PPE:sPPE に眼の保護(E),身体の保護(B)を加えた PPE 「サージカルマスク、手袋、フェースシールド or ゴーグル、 ガウン or エプロン」 (エプロンの使用後は 上肢露出部皮膚を洗浄のこと)

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④感染拡大防止のための歯科診療制限(3)歯科診療の各場面の診療様式

行動抑制・診療制限による感染拡大防止の考え方(Ver.3 1ページ2-9) 安全な診療継続のための診療制限の目安(Ver.3 4ページ 2-10)

   歯科医療機関の自主的な就業制限並びに施設の使用制限に関する 神奈川県歯科医師会の考え方(Ver.2 4ページ 1-2)

新型コロナウイルス感染症陽性者が発生した場合の就業制限の目安(Ver.2 5ページ 1-3)

感染発病者数

感染増加率

社会経済の回復を図る期間

終息宣言

収束の開始 (増加率が減少に転じた時) 回復の開始

(感染者数が減少に転じた時)

回復期

収束期

緊急事態宣言

医療崩壊危機 医療回復

徐々に経済制限が 解除されてくる

図5

感染増加率

社会経済の回復を図る期間

終息宣言

回復期

収束期

医療崩壊危機 医療回復

ステージ1

ステージ2

ステージ3

ステージ4

ステージ0

ステージ1

ステージ2

ステージ3

ステージ0

図6

感染発病者数

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安全な診療継続のための診療制限の目安

ステージ1

ステージ2

ステージ3

ステージ4

ステージ0 平常診療

感染防止の強化

エアロゾル発生診療の自粛

エアロゾル発生診療の禁止

全ての診療の禁止

感染防止の厳戒態勢

感染防止の厳戒態勢

歯科医療機関の感染防止策診療制限の ステージ

感染拡大を最小限に抑え 歯科医療崩壊も 最小限に抑える

歯科診療制限の ステージ

感染リスクに応じてステージを上げる

ステージ0→1→2→3→4

回復期には徐々に制限ステージを下げる

ステージ4→3→2→1→0

感染防止の強化

診療の禁止

エアロゾル自粛

エアロゾル禁止

歯科診療の制限

制限なし

歯科医療提供制限と感染拡大抑制効果

ステージ1

ステージ2

ステージ3

ステージ4

ステージ0

感染リスク 診療制限による

感染拡大防止効果

感染拡大防止医療崩壊

歯科医療の破綻

ステージごとの歯科医療機関の感染防止策を事前に策定しておくこと。

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歯科医療機関の自主的な就業制限並びに施設の使用制限に関する 神奈川県歯科医師会の考え方(R2.4.7 第38報) 【第1版】Ver1

令和2年4月2日  神奈川県歯科医師会新型コロナウイルス感染症対応室 

1 令和2年3月11日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部からの連絡通知「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について」並びに一般社団法人日本環境感染学会「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2版ver2.1」を準用して考える。

2 原則として、すべての患者の診療において標準予防策(スタンダードプリコーション)に基づいている場合は、診察した患者並びに当該医療機関従事者が事後的に新型コロナウイルス感染症陽性者と判明した場合でも、「濃厚接触に該当しない(濃厚接触は発生しなかった)」とされることから、自主的な就業制限並びに施設の使用制限を行う必要はない。 ただし、新型コロナウイルス感染症陽性者の診療に携わった当該医療機関の職員は、濃厚接触者に該当するか否かにかかわらず、毎日検温を実施し、自身の健康管理を強化する。

3 標準予防策(スタンダードプリコーション)の励行が徹底されていないと判断される場合(注1)は、保健所などの指導に従い施設の消毒などを行うとともに、濃厚接触者とされた当該医療従事者については必要があれば検査を行い、当該医療機関管理者(開設者)は当該職員に対し、一定期間就業しないように求める。その期間は概ね14日間とする。

4 医療機関において患者並びに医療従事者の新型コロナウイルス感染症陽性者が発生した場合は、保健所などの下で消毒など行うまでは施設の使用を自主的に制限すべきだが、その消毒の範囲は必ずしも施設全体ではなく、陽性者の動線上にない、また十分に消毒され感染リスクが低いものと当該医療機関管理者(開設者)が判断した部分については、この使用を継続できる。

注1:標準予防策(スタンダードプリコーション)の励行が徹底されているかどうかの判断は、客観性を持って行うこと。 *「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2版ver2.1」を準用したが、一般社団法人日本環境感染学会が示したひとつの目安であり、それぞれの施設の対応を制限するものではない。 参考:「医療機関における院内感染対策について」(平成26年12月19日付医政地発1219第1号)、「中小病院/診療所を対象にした医療関連感染制御策指針(マニュアル)2013年度案 2014年3月改訂」・「小規模病院/有床診療所施設内指針(マニュアル)2013年度案 2014年3月改訂」・「無床診療所施設内指針(マニュアル)2013年度案 2014年3月改訂」(「院内感染対策のための指針案の送付について」(平成27年1月5日付厚生労働省医政局地域医療計画課事務連絡より))、院内感染防止対策のスタンダードVol.45 NO.664(デンタルダイヤモンド社)

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 新型コロナウイルス感染症陽性者が発生した場合の就業制限の目安

感染する場面においては、濃厚接触がある可能性が高い 診療において濃厚接触とならない施策が必要 スタッフ間においても濃厚接触とならない注意が必要 スタッフルームでは3密要件が揃うと濃厚接触となる

患者陽性 診療術者濃厚接触

スタッフ陽性 患者

術者以外の スタッフ

スタッフ

就業制限 本人のみ2週間

院内全員2週間

院内全員2週間

濃厚接触者のみ2週間

感染経路(濃厚接触者)の同定 就業制限の目安

就業制限

就業制限

就業制限

濃厚接触

濃厚接触

濃厚接触スタッフ陽性

患者陽性

患者陽性

スタッフ陽性濃厚接触なし なし

新型コロナウイルス感染症陽性者が発生した場合の就業制限の目安(Ver.2 5ページ 1-3)

(3)歯科診療の各場面の診療様式⑤自主的な就業制限並びに施設の使用制限

就業制限患者

スタッフ

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①時差出勤・時差休憩②体調管理・自宅療養

(4)働き方の新しいスタイル

新型コロナウイルス感染症という未知の病の拡大により、我々の生活様式が一変してしまったのは周知のとおりです。今回の感染症拡大につきましては収束傾向にありますが、中国の武漢、韓国あるいは本国北海道に見られたように第2、第3の感染拡大の波が、押し寄せてくることも懸念されております。 そこで本会新型コロナウイルス感染症対応室では、感染症蔓延下でのスタッフを含めた各診療室における望ましいと思われる新たな働き方と本会事業の開催方法等について提言して参ります。(西郷)

③会議・研修会などの開催方法

①時差出勤・時差休憩1. 時差出勤、時差退勤、時差休憩、ローテーション勤務を導入しましょう。 2.スタッフルームにおいての食事時間を各人ずらすなどの工夫も必要です。食事中は会話を控え、会話をするときはマスクをするように心がけましょう。 3. 職員が診療室から休憩時間に外出する時は、個々にしましょう。

②体調管理・自宅療養新型コロナウイルスは弱った体に入ります。 体調を整え、無理をしないようにいたしましょう。 1.毎日体温を測るなどの体調のチェックをしましょう。 2.免疫が高まるような規則正しい食事を心がけましょう。 3.軽い運動を取り入れてストレスの発散を促しましょう。 4.体調が悪化した際は、休息・休暇をとりましょう。 5.睡眠をよくとってください。 6.家族の体調も常に気にしていただき、手洗い、うがい、マスクの習慣を家族内でも実践してください。 新しい生活様式の基礎になるような規則正しい日常を過ごし万全の体調で勤務してください。 【その他】 1. 医療関係者の白衣に対する視線は以前とは異なります。いわゆる白衣とわかる服装での外出は控えるようにしてください。 2. 整理整頓に努め、ウイルスの付着を避ける行動を促しましょう。職員の持ち物をできるだけ少なくしていただきましょう。 3. 不特定多数の方が触れるような新聞・雑誌類は極力避けましょう。 4. こまめなユニホームの洗濯、ゴミの回収を心がけましょう。

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③会議・研修会などの開催方法 会議、研修会等の開催にあたっては、下記の感染予防策を講じ、併せてWebの活用も検討いたします。 【感染防止対策】 ・三つの密(密集・密接・密閉)を回避できること ・近接した距離での会話は行わないこと ・手指消毒設備を設置すること ・マスクを着用すること ・会議室内を換気すること ・室内での飲食を原則禁止すること ・会議の前後、休憩時間等の交流を極力控えること

 会務全般(理事会、地域会長会議、委員会、部会等)に関しては、Web会議も活用し、感染防止対策を講じながら開催します。 【会議開催方法】 1. Web会議の開催:Web会議を導入することで、出席者人数を減少させ3密を回避する。 2. 会議室の選択:Web会議の環境が不十分な場合や多くの出席者が見込まれる場合に は、十分な広さの会議室を準備する。 参考)十分な広さ:出席者の人数が会議室の定員の50%を超えないこと。 3. 二元使用:2つの会議室を同時使用し双方の模様をビデオ中継にて視聴する。 4. 貸し会議室:出席者が多く予定された会議室が十分な広さを満たさない場合には外部施設を検討する。

以下に通常開催とWebの活用との比較表を列挙します。

通常開催 Webの活用

時間 集まる時間を設定する時間さえ合えば、どこにいても開催ができる

場所 決められた場所 ネット環境にあれば、場所は選ばない

準備 会議室の確保とセッティングパソコン、モバイルデバイス、インターネット回線

資料 配布資料の印刷またはプロジェクターなど

資料共有、画面共有機能

メリット相手の表情や態度で理解度や納得具合を確かめられ、会議を円滑に進めやすい

移動時間、交通費の削減、遠距離でも可、紙資料の節約、場所を問わない

デメリット 会議室の確保、スケジュール調整遠方からの移動時間とコスト

音声品質が十分でないと、音声トラブルが発生し会議の進行を妨げることがある

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神歯発第 130 号 令和2年5月26日

会 員 各 位

公益社団法人神奈川県歯科医師会   会長 松 井 克 之  

(公印省略)  

『神奈川県歯科医師会からの7つのおねがい』新聞広告掲載 (令和2年5月29日)について

日頃より、本会には格別なるご協力を賜り、御礼申し上げます。 さて、神奈川県においては、収束の兆しが見えつつも緊急事態宣言がなかなか解除されず、不安な日々をお過ごしのことと思います。 緊急事態宣言中は、歯科医師の判断による治療の延期、患者の外出の自粛による歯科治療の自粛、行政の判断による学校歯科検診の延期などにより、歯科医療の多くは停滞していました。 長期にわたる歯科医療の停滞により、県民の口腔衛生の低下が心配されるところです。 そこで、県民の口腔衛生の回復を図るために、神奈川県歯科医師会からの「7つのおねがい」を作成いたしました。 すでにポスター版(A3用)配布版(A4用)がホームページからダウンロードすることができますので、ご利用いただけると幸いです。また、5月29日には「読売新聞」「神奈川新聞」「産経新聞」の神奈川県版に全面広告を掲載いたします。 つきましては、裏面(案)の内容をご確認の上、この主旨をご理解いただきますようお願い申し上げます。 また、併せて「歯科医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応指針Ver.5」として『歯科の新しい診療様式』を策定いたしました。 緊急事態宣言が一部解除されたことにより徐々に収束の雰囲気となっていますが、県民の公衆衛生の維持・向上のためには、油断することなく、可能性を指摘されている第2波、第3波に備えた「負担が少なく現実的」な感染予防策の策定が急務となります。 5月26日以降、ホームページからダウンロードできますので、本会が示す一つの目安として、今後の意思決定や診療体制の整備にご活用ください。 県民の皆様には「新しい生活様式」をお願いすると共に、歯科医院では「歯科の新しい診療様式」を実施していただき、日々の診療にご精励くださいますようお願いいたします。

神奈川県歯科医師会から県民へのメッセージ

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発行日 令和2年5月26日 編集者 公益社団法人神奈川県歯科医師会    新型コロナウイルス感染症対応室

・なお、掲載されている学会等からの知見等の掲載は、本書の発行の主旨に基づき、承諾を得ています。 ・無断転載を禁止します。 ・本書についてのお問合せは、神奈川県歯科医師会(電話045-681-2172)までお願いいたします。

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