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去る12月3日、家畜改良事業団本部(東京都江東区 冬木)において、2010年国産検定済種雄牛生産者の 方々をお招きして感謝状贈呈式を開催しました。この 贈呈式では国産検定済種雄牛を生産頂いた方々に対 し、日頃からの改良努力に敬意を表すとともに、後 代検定事業へのご協力に感謝の意を表して表彰する ものです。 第22回を数える今回は、4組の方々をお招きし、ホ ルスタイン種雄牛4頭に対し当団より感謝状と記念品 を贈呈し、さらに、乳用種雄牛後代検定推進事業に おける計画交配にて作出された1頭については、独立 行政法人家畜改良センターからも表彰状が贈呈され ました。 4組の方々は、栃木県の栃酪黒磯ET研究会の代表菊 地次夫氏と副代表の眞嶋大輔氏、北海道枝幸町の小 椋義則ご夫妻、北海道清水町の高橋徳男ご夫妻、北 海道中札内村の水崎勝秀ご夫妻です。 式では、当団横内理事長と改良センター矢野理事長 よりご出席いただいた方々へのお礼のお言葉に加え、 今後の乳用牛の更なる改良における生産者の皆様の ご協力の重要性をお話しし、引き続きご協力賜りま すようお願い申し上げました。 最後に生産者を代表して、高橋徳男氏にご挨拶い ただきました。高橋氏は、種雄牛を生産するという ことは、牛飼いにとって非常に名誉であるとともに 大きな目標でもある。今回このようなチャンスに巡 り合えたとこは、指導者、農協職員、そして地域の 仲間の協力があっての事で、個人で成し得ることで はありません。関わってくださった関係者の皆様に 御礼を申し上げたい。と喜びを表現されていました。 生産者ならびに種雄牛の紹介 栃酪黒磯ET研究会は、平成17年に開催された第12 回全日本ホルスタイン共進会栃木県大会に向けて栃 木県内産ホルスタインの改良に取り組むために、菊地 次夫代表と眞嶋大輔副代表を中心とした当時青年部 に属していた13名により結成され、北海道やカナダ より導入した優秀な基礎牛から受精卵を採取し、会 員に配布する事業を行っていました。この事業によっ て導入された6頭の基礎牛からは50頭以上の娘牛が生 産され、現在でも管内はもとより栃木県の改良に大 きく貢献しています。 レジスタンスは、2010年2月の乳用牛評価成績にお いて総合指数1,836の第23位で選抜されました。母の レイシー ルドルフは本研究会事業でカナダより生 体で導入され、栃木県那須塩原市の眞嶋牧場で飼養 管理され、4歳時の乳量が16,000kgを超え、決定得点 87点と能力・体型ともに優れた雌牛でした。レイシー ルドルフの曾祖母は、コムスター牧場の繁栄の礎と もいわれるコムスター ローリー シーク ETです。 この世界中に広がるファミリーから誕生したレジス タンスは、代々から受け継ぐ泌乳能力と体型改良力 を備えた種雄牛として広くご利用いただいています。 国内情報 aaaaa aaaaa aaaaa aaaaa 2010年国産検定済種雄牛生産者へ感謝状贈呈 栃酪黒磯ET研究会 (栃木県那須塩原市) JP5H53437 スノーライト TKE レジスタンス 父:コムスター ストーマテイツク ET 母:ジエサンダ レイシー ルドルフ ET (社)家畜改良事業団 横内理事長 (独)家畜改良センター 矢野理事長 31

父:コムスター ストーマテイツク ET 母:ジエサンダ レイ …liaj.lin.gr.jp/japanese/liajnews/liaj12631.pdfaaaaaaaaaa 国内情報 aaaaaaaaaa 2010年国産検定済種雄牛生産者へ感謝状贈呈

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  •  去る12月3日、家畜改良事業団本部(東京都江東区冬木)において、2010年国産検定済種雄牛生産者の方々をお招きして感謝状贈呈式を開催しました。この贈呈式では国産検定済種雄牛を生産頂いた方々に対し、日頃からの改良努力に敬意を表すとともに、後代検定事業へのご協力に感謝の意を表して表彰するものです。 第22回を数える今回は、4組の方々をお招きし、ホルスタイン種雄牛4頭に対し当団より感謝状と記念品を贈呈し、さらに、乳用種雄牛後代検定推進事業における計画交配にて作出された1頭については、独立行政法人家畜改良センターからも表彰状が贈呈されました。 4組の方々は、栃木県の栃酪黒磯ET研究会の代表菊地次夫氏と副代表の眞嶋大輔氏、北海道枝幸町の小椋義則ご夫妻、北海道清水町の高橋徳男ご夫妻、北海道中札内村の水崎勝秀ご夫妻です。 式では、当団横内理事長と改良センター矢野理事長よりご出席いただいた方々へのお礼のお言葉に加え、今後の乳用牛の更なる改良における生産者の皆様のご協力の重要性をお話しし、引き続きご協力賜りますようお願い申し上げました。 最後に生産者を代表して、高橋徳男氏にご挨拶いただきました。高橋氏は、種雄牛を生産するということは、牛飼いにとって非常に名誉であるとともに大きな目標でもある。今回このようなチャンスに巡り合えたとこは、指導者、農協職員、そして地域の仲間の協力があっての事で、個人で成し得ることではありません。関わってくださった関係者の皆様に

    御礼を申し上げたい。と喜びを表現されていました。

    生産者ならびに種雄牛の紹介

     栃酪黒磯ET研究会は、平成17年に開催された第12回全日本ホルスタイン共進会栃木県大会に向けて栃木県内産ホルスタインの改良に取り組むために、菊地次夫代表と眞嶋大輔副代表を中心とした当時青年部に属していた13名により結成され、北海道やカナダより導入した優秀な基礎牛から受精卵を採取し、会員に配布する事業を行っていました。この事業によって導入された6頭の基礎牛からは50頭以上の娘牛が生産され、現在でも管内はもとより栃木県の改良に大きく貢献しています。 レジスタンスは、2010年2月の乳用牛評価成績において総合指数1,836の第23位で選抜されました。母のレイシー ルドルフは本研究会事業でカナダより生体で導入され、栃木県那須塩原市の眞嶋牧場で飼養管理され、4歳時の乳量が16,000kgを超え、決定得点87点と能力・体型ともに優れた雌牛でした。レイシー ルドルフの曾祖母は、コムスター牧場の繁栄の礎ともいわれるコムスター ローリー シーク ETです。この世界中に広がるファミリーから誕生したレジスタンスは、代々から受け継ぐ泌乳能力と体型改良力を備えた種雄牛として広くご利用いただいています。

    国内情報aaaaaaaaaa aaaaa aaaaa2010年国産検定済種雄牛生産者へ感謝状贈呈

    栃酪黒磯ET研究会(栃木県那須塩原市)JP5H53437 スノーライト TKE レジスタンス 父:コムスター ストーマテイツクET 母:ジエサンダ レイシー ルドルフET

    (社)家畜改良事業団横内理事長

    (独)家畜改良センター      矢野理事長

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  •  小椋牧場のある宗谷管内枝幸町の歌登地区は、道内でも特に酪農の盛んな地域で、2010年8月に公表された雌の乳用牛評価報告において、総合指数100位以内に小椋牧場の5頭を含む26頭がランキングされています。 小椋氏は、昭和57年に23歳で公社リース事業を利用して独立し、現在では経産牛70頭、未経産牛60頭を飼養する宗谷管内を代表する酪農家です。これまでに小椋牧場からは、検定済種雄牛が5頭輩出されており、2007年のセルシーに次いで2度目の受賞となります。 パフオーマンスは、2010年2月の乳用牛評価成績において総合指数2,163の第7位で選抜されました。母のスイーテイー マーシヤルは、小椋牧場でも繁栄著しく国内屈指のインデックスファミリーとして知られる「スイートネス」のファミリーから作出されており、3歳時の乳量20,000kgを超える能力の高さに加え、初産での決定得点83点を持つ高能力・好体型の雌牛です。パフオーマンスにはこのような素晴らしい能力が十分に受け継がれています。

     高橋牧場は、日高山脈を背にした十勝管内北部の昔から酪農の盛んな地域として有名な清水町にあります。受賞は、昨年のフロステインに次いで2年連続となります。 高橋氏は、昭和51年に畑作兼業から酪農専業へ経営転換され、現在では経産牛75頭とほぼ同数の育成牛を飼養しています。昭和63年以降20年以上にわたり10,000kg以上の牛群を維持管理しており、現在は牛群平均乳量11,500kgで700t前後の牛乳を出荷しています。このような牛群改良が高く評価され、北海道ホルスタイン農業協同組合において能力・体型ともに優れる牛群に送られる総合優秀牛群に本年を含め6回表彰されておられます。 テレサは、2010年8月の乳用牛評価成績において総合指数2,281の第8位で選抜されました。母のレイザー テレサは、十勝管内の受精卵を活用するモデル事業で導入した受精卵から作出されており、3歳時には乳量16,406kg、決定得点86点を記録している高能力牛です。

     水崎牧場のある中札内村には酪農家が27戸あり、その年間出荷乳量は36,500tにも及びます。水崎牧場は祖父の代に入植され、昭和53年にお父様の代で規模を拡大し畑作2割、酪農8割の兼業経営をされていましたが、勝秀さんがご結婚された昭和61年に酪農専業農家として経営転換をされました。平成17年には搾乳ロ

    左より 眞嶋大輔氏 菊地次夫氏

    高橋徳男氏、由美子夫人

    小椋義則氏、尚美夫人

    小椋義則 牧場(北海道枝幸郡枝幸町)JP5H53480 オムラスイーテイーパフオーマンスET 父:ブレイデール フリーランスET 母:オムラ スイーテイー マーシヤルET

    水崎勝秀 牧場(北海道河西郡中札内村)JP5H53785 ウオータレデイパラダイスリリーET 父:ハートライン タイタニツクET 母:レデイスマナー ギヤルズ パラダイス

    高橋徳男 牧場(北海道上川郡清水町)JP3H53712 セジスビユーテイタイタニツクテレサ 父:ハートライン タイタニツクET 母:セジスビユーテイ レイザー テレサET

    32 − LIAJ News No.126 −

  • ボットと哺乳ロボットを導入し、現在では搾乳牛100頭、育成牛120頭にまで規模を拡大し、牛群平均乳量10,800kg、年間1,170tを出荷しています。45haの飼料畑は、コントラクターを利用してデントコーンとチモシーを収穫し、生産性向上と効率的な省力的経営を実践されています。 勝秀さんは、酪農経営以外にも、コントラクター事業の役員、JAの酪農部長、ヘルパー利用組合の取締役、北海道の指導農業士など、地域の酪農を支える要職を務められています。 パラダイスは、2010年8月に公表された乳用牛評価成績において、総合指数1,914の第27位で選抜されました。母のギャルズ パラダイスは、3歳時の乳量が23,308kg、決定得点が87点という記録を残しており、2001年北海道ナショナルショウにおいても1等賞を獲得しています。このファミリーにいち早く着目し、取

    得した受精卵より生産されたのがパラダイスです。

     受賞された皆様には心より御礼を申し上げるとともに、今後ますますのご活躍をご期待申し上げます。

     (事業部 石濱賢)

    水崎勝秀氏、晶子夫人

    検定員養成研修会 於:北海道立農業大学校(9月27-28日) 21名 於:中国四国酪農大学校(10月25-26日) 14名 於:全酪連教育研修センター(10月28-29日) 12名繁殖台帳Webシステム研修会 於:家畜改良事業団本部(11月16-17日) 18名 於:家畜改良事業団本部(11月18-19日) 19名検定組合パソコン研修会 於:家畜改良事業団本部(11月17-18日) 15名

     この研修会は、検定員の養成とその技術の向上を図ることを目的に全国の検定員と牛群検定担当者を対象に、毎年行なっています。本年度は、例年実施している検定実務を中心とした研修、検定組合パソコンの操作研修に加えて繁殖台帳Webシステムの研修を実施しました。本年度より本格的運用となった繁殖台帳Webシステムは、インターネットで繁殖カレンダーや牛群検定成績、生乳生産予測を見ることができる酪農家待望のシステムです。 全国から集まった研修生は、リアルタイムで見易く表示される本システムの繁殖や検定の情報に驚きの声をあげながらも、牛群検定情報の利活用の促進、普及拡大につながるよう、熱心にパソコンを操作し、技術を習得していただきました。研修の最後には効果確認テストを行い、久し振りのテストに緊張した方もいらっしゃいましたが、全員が高得点で無事研修を終えることができました。

    (電子計算センター 谷本光生)

    牛群検定の検定員養成研修会を開催しました 平成22年度多様な酪農経営実現支援事業に係る検定員養成研修会(繁殖台帳Webシステム、検定組合パソコン)を北海道、福島、東京、岡山の4会場で開催しました。

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