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CHOP INTEND 実施の手引き Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders These materials were developed as part of a collaborative effort between the Pediatric Neuromuscular Clinical Research Network (PNCRN) and the International Spinal Muscular Atrophy Consortium (iSMAc) and reproduced with permission for the purpose of training healthcare professionals in these assessment tools developed for spinal muscular atrophy (SMA) patients. 東京女子医科大学 臨床ゲノムセンター 所長・特任教授/ 東京女子医科大学 遺伝子医療センター ゲノム診療科 特任教授 齋藤 加代子 先生 監修 東京女子医科大学 リハビリテーション科 教授 猪飼 哲夫 先生 監修 東京女子医科大学病院 リハビリテーション部 理学療法士 主任 長谷川 三希子 先生 監修 2018年9月作成 SPI-JPN-0567 SPI057MA01

CHOP INTEND - TOGETHER IN SMA€¦ · 認するために、テストを3回繰り返すことができる。対側の腕についてもテストを実施する。 月齢の高い児には、握りやすい玩具の使用や言葉による励ましを与える。

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CHOP INTEND実施の手引きChildren’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders

These materials were developed as part of a collaborative effort betweenthe Pediatric Neuromuscular Clinical Research Network (PNCRN) and theInternational Spinal Muscular Atrophy Consortium (iSMAc) and reproducedwith permission for the purpose of training healthcare professionals inthese assessment tools developed for spinal muscular atrophy (SMA)patients.

東京女子医科大学 臨床ゲノムセンター 所長・特任教授/東京女子医科大学 遺伝子医療センター ゲノム診療科 特任教授

齋藤 加代子 先生監修

東京女子医科大学 リハビリテーション科 教授

猪飼 哲夫 先生監修

東京女子医科大学病院 リハビリテーション部 理学療法士 主任

長谷川 三希子 先生監修

2018年9月作成SPI-JPN-0567SPI057MA01

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●● 理想的には、食欲が満たされ意識がはっきりしているが、ぐずってはいない食後約1時間で、午前中真っ先に、あるいは毎回同じ時間帯(時刻)に、まとめてテストを行うことが望ましい。

●● テストは硬めのマットの上で行う。

●● 衣類はおむつのみとする。ただし、児が寒そうなときは、袖なしのカバーオールを着せることができる。

●● 児のテストへの参加を促すために、必要であれば年齢に合った玩具を用いてテストを行う。

●● ステート4または5(定義は下記参照)を維持するために必要な場合に限り、おしゃぶりの使用が認められる。

●● 親の立会いは可能で、特に、児の機嫌が悪いときは落ち着かせるための休憩時間を与える。●休憩を挟まずに全テストを完了することを目指す。

●● 児の認知レベルおよび月齢に依存するが、すべての項目が自発運動または自動運動に基づいて採点可能である。

●● 最高のパフォーマンスを引き出すために、言葉による励まし、あるいは玩具を用いて最大で3回適切にテストを行う。適切とは、適正な姿勢、児の十分な関与および適正なテスト環境が整えられていることを意味する。

●● 断りのない限り、各テスト項目を順番に実施する。

●● 項目の実施または採点についてコメントがあれば、欄外に記録する。

●● 採点に迷うときは、低い方の点数をつけること。

各テスト項目につき、ブラゼルトン行動評価法で評定した行動状態(ステート)を記載する。テストに最適な状態はステート4および5である。ステートが不適切なため、ある項目をテストできない場合は、ゼロ(0点)ではなく、「CNT」(can●not●test:テスト不可能)と判定する。

以下は、各ステートの説明をブラゼルトンの『新生児行動評価』から引用したものである。(Brazelton TB. Neonatal Behavioral Assessment Scale, 2nd ed.,1984)

テストの環境

テストの実施と採点行動状態

ステート1 深い眠りの状態

ステート2 浅い眠りの状態

ステート3 眠そうなまたは半居眠りの状態

●● 目は開くこともあるが、鈍く重たいまぶたをしているか、閉じてまぶたがぴくぴく動いている。情報を処理しておらず、呼びかけにすぐに反応しないときのぼうっとした様子をしている。

●● 活動レベルは変化しやすく、散発的な軽度の驚愕反応が時折みられる。感覚刺激への反応性があるが、反応は遅延することが多い。刺激後のステートの変化がしばしば認められる。動作は通常滑らかである。

ステート4 覚醒状態、機嫌がよい状態

●● 吸啜対象、視覚もしくは聴覚刺激などの刺激源に注意を集中するように見受けられる。感覚刺激による反応が誘起されるが、やや遅延する。

●● 運動の活動性は最低水準である。

●● とろんとした様子がみられるが、このステートでは容易に解除しうる。

ステート5 目を開けて活発な運動がみられる状態

●● 相当な運動の活動性があり、四肢を突き出す動作、さらには2、3の自発的驚愕運動がみられる。

●● 外的刺激への反応性があり、驚愕運動または運動の活動性が増加するが、全般的に活動的レベルにあるため個々の反応を見分けることは難しい。

●● 短くぐずる状態がこのステートで生じる。

ステート6 啼泣状態

●● 刺激によって解除しがたい激しい啼泣を特徴とする。

●● 運動の活動性は高い。

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採点基準4 点 肩が床から離れるまで握りを維持する(図5)3 点 肩は床についているが、肘が床から離れるまで握りを維持する(図4)2 点 肘は床についているが、前腕が床から離れるまで握りを維持する(図3)1 点 牽引していない状態でのみ握れる(図2)0 点 握れない、ガラガラやペンを握れない(図1)

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

第3項目 把握開始姿勢 背臥位で、上腕および前腕をマット(床)に置き、前腕は回内、手関節は伸展させる。

手順 検者の「小指」(または把握反射を欠く場合、「握りやすい玩具」)を児の手掌に入れ(図1)、把握反応が得られたことを確かめた後(図2)、腕および手をゆっくり持ち上げ(図3)、腕が支持面に対して90度となるように牽引し(図4)、さらに肩がマット(床)から離れるまで持ち上げる(図5)。児が握りを緩めるときの点数を記録する。児の最善の努力が達成されたことを確認するために、テストを3回繰り返すことができる。対側の腕についてもテストを実施する。月齢の高い児には、握りやすい玩具の使用や言葉による励ましを与える。

第1項目 自発運動(上肢)開始姿勢 本項目はテスト全体を通じて観察ができ、姿勢を問わず観察が可能である。

児が覚醒している鋭敏な状態で、最初の背臥位での観察時間を完了することが望ましい。

手順 検者は、腕を支持して、床との摩擦がない状態で手を観察してもよい。 何も観察されない場合、検者は、反応を誘起するために手をさすってもよい。

採点基準4 点 肩関節の抗重力運動(背臥位で肘が床から離れる)3 点 自発的な肘関節の抗重力運動(背臥位で手および前腕が床から離れる)2 点 自発的な手関節の運動1 点 独立した手指の運動0 点 上肢の運動なし

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

採点基準4 点 股関節の抗重力運動(背臥位で足および膝が床から離れる)3 点 自発的で抗重力的な股関節内転/内旋(背臥位で膝が床から離れる状態が、

関節可動域制限だけのために保持されている場合は該当しない)2 点 下肢の重みを除去した場合の自発的な膝関節/股関節の運動

(外転および外旋における伸展および屈曲)1 点 独立した足関節の運動0 点 下肢の運動なし

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

第2項目 自発運動(下肢)開始姿勢 本項目はテスト全体を通じて観察ができ、姿勢を問わず観察が可能である。

児が覚醒している鋭敏な状態で、最初の背臥位での観察時間を完了することが望ましい。

手順 検者は、脚を支持して、床との摩擦がない状態で足を観察してもよい。何も観察されない場合、検者は、反応を誘起するために足をさすってもよい。

図1

図4

図3図2

図5

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採点基準4 点 膝を床から5秒より長く離せる、または足を床から離せる2 点 膝を床から1から5秒の間離せる0 点 膝を床から離れた状態に保持できない

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。 注)内転を保持することのほか、外転し膝が床についた後、内転した位置に戻し、それを所定の時間保持する場合も得点対象となる。

第5項目 股関節屈曲内転開始姿勢 背臥位、股関節45度屈曲位、膝関節90度屈曲位で、両足の幅は腰幅とし、おむつは外す。

滑らないようにするため、足の下に敷いているシートまたは紙を外してもよい。

手順 両大腿が平行となる位置で下肢を保持(図8)した後、手を離して下肢の反応を観察する(図9、10、11)。動きを促すために下方向への刺激を加えてもよい。両膝を押し合わせないこと。

第4項目 視覚刺激による頭部の正中復帰開始姿勢 背臥位で頭部を正中位に置く。

手順 玩具による視覚刺激を正中線上で与える(図6)。頭部が正中位で5秒間保持できた場合は、頭部を右に90度回旋させ、正中位へ戻せるかどうかを確認するため視覚刺激を与える。さらに、左に回旋させ(図7)、テストを行う。

採点基準4 点 頭部を最大回旋位(60度以上の回旋位)から完全に正中位に戻す3 点 頭部を自発的に、最大回旋位(60度以上の回旋位)から正中位の方に途中まで戻す2 点 5秒より長く頭部を正中位から15度以内に保持する1 点 5秒以下、頭部を正中位から15度以内に保持する0 点 頭部は側方に回旋し、正中位に復帰させる試みはない

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。 この項目は頸部の拘縮のために児の頭部が正中から60度以上回旋できない場合、3点、4点は得点できない。

図6 図7

図8

図11

図10図9

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採点基準4 点 側方の頭部立ち直りを示し、腹臥位に寝返る

(児は頭部を支持面から側方に挙上し、腹臥位への寝返りを完成する)3 点 腹臥位に寝返るが、側方の頭部立ち直りは示さない

(体重のかかっている上肢を完全に引き抜いて寝返りを終える)2 点 側臥位になる(下肢が追随して内転し、骨盤が垂直になる)1 点 頭部が横向きになり、肩および体幹が床から持ち上がる0 点 頭部が横向きになるが、体幹はそのまま動かない、

または肩が受動的に持ち上がるにとどまり、自発的な関与は認められない両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

第7項目 寝返り:上肢からの誘発開始姿勢 背臥位で両上肢を体側に置く。

手順 児の片側の肘を把持し、対側の肩の方に正中線を越えて動かして寝返りを促す。両肩が床に対して垂直となるところで停止し、上肢の牽引を維持したまま(図13)、児が寝返りを行うに任せる。両肩が床と垂直になるところで止まり、体幹が捻り返り、下肢および骨盤が垂直になるのを待つ。腹臥位の方まで他動的に引っ張ることはしない。上肢へ寝返る力をかけ続け(図14)、頭部のコントロールと、上肢を完全に引き抜いて腹臥位への寝返りを終えるのを観察する。

第6項目 寝返り:下肢からの誘発開始姿勢 背臥位で両上肢を体側に置く。

手順 児の片側の下腿を把持し、股関節および膝関節を屈曲させ、体幹の正中線を越えて内転させることで寝返りを促す。骨盤が床に対して90度となる位置で止めて、固定された下腿に対して児が体をより回旋しようと試みるのに任せ、児がそれを行う間、寝返る力を下肢へかけ続ける(図12)。

児が側方向に回旋したならば、引き続き体幹に対して45度斜めに牽引をかけて寝返る力を下肢へかけ続ける。腹臥位の方まで他動的に引っ張ることはせず、骨盤が垂直となるところで固定した下肢に対する体幹の自発的な回旋を観察する。次に、児が腹臥位に寝返り、上肢を自由にし、上肢が頭部を越える際の頭部コントロールと、体重がかかっている上肢を引き抜く能力を観察する。

採点基準4 点 牽引をかけていると最後に、側方の頭部立ち直りを示し、腹臥位に寝返る

(児は頭部を支持面から側方に挙上し、腹臥位への寝返りを完成する)3 点 側臥位を介して腹臥位に寝返るが、側方の頭部立ち直りは示さない

(体重のかかっている上肢を完全に引き抜いて寝返りを終える)2 点 骨盤、体幹および上肢が支持面から持ち上がり、頭部は側面が下になる

(上肢が体の前までくる)1 点 骨盤および体幹が支持面から持ち上がり、頭部が横向きになる

上肢は体幹の背側に残っている0 点 骨盤が受動的に支持面から持ち上がるにとどまり、自発的な関与は認められない

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

図12

図13 図14

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採点基準4 点 肩関節を60度まで外転または屈曲する3 点 肩関節を30度まで外転または屈曲する2 点 少しでも肩関節を外転または屈曲する1 点 肘関節を屈曲するのみ0 点 上肢を持ち上げようとしない

意図的かどうかを問わず、自発運動であれば採点対象となる。 両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

第9項目 肩関節屈曲と肘関節屈曲開始姿勢 親または検者以外のスタッフの膝上に児をまたがって座らせ、体幹および頭部を支持し、約

20度の角度で少し後ろに寄りかからせる(図18、19)。上肢は体側に下垂させる(図18)。児を支えている人は邪魔にならないようにする。

手順 正中線上、肩の高さで玩具を提示する(図18、19)(運動を誘発するために、玩具で児の手に触れてもよい)。

第8項目 肩関節屈曲水平伸展(外転)と肘関節屈曲開始姿勢 側臥位で、上側の上肢を肩関節30度伸展位、肘関節30度屈曲位で体にのせる(図15)。

必要に応じて下側の上肢を体幹に沿わせておさえる。

手順 肩の高さで手の届くところに玩具を提示して、リーチ動作を促す(図16、17)(下側の手を出さないように、必要に応じて下側の上肢をおさえる)。動作を促すために、玩具で児の手に触れてもよい。自発的な上肢の運動すべてを採点対象とする。意図的かどうかは問わない。

採点基準4 点 リーチ動作の間に、手を体から離せる(抗重力的な水平伸展/外転が多少でもみられる)

(図17)3 点 肩関節を45度まで屈曲できる(重力的負荷を軽減した場合に肩関節屈曲を示す)2 点 上肢が体から離れた後、肘関節を屈曲する1 点 上肢を体から離せる0 点 上肢を持ち上げようとしない

意図的かどうかを問わず、自発運動であれば採点対象となる。 両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

図15 図17図16図18 図19

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採点基準4 点 股関節または膝関節を30度以上屈曲する3 点 少しでも股関節または膝関節を屈曲する2 点 足関節の背屈のみ観察される0 点 股関節、膝関節または足関節の運動がみられない

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

第11項目 股関節屈曲と足関節背屈開始姿勢 このテストの開始姿勢を確保するには、まず背臥位をとらせ、親または検者以外のスタッフの

非利き手で児の顎の下を支え、手の上で児を腹臥位に回旋させる。次いで、利き手を児の腹部に差し入れ、前にかがみ、胸に向かって児を持ち上げる。児の背中を親または検者以外のスタッフの方に向けるようにして、児の腹部を利き手で支え、両下肢は支えないで下垂させる。児の足をくすぐり、反応を観察する(図21)。

手順 足をなでる、または足指をつまむ。

第12項目 頭部コントロール開始姿勢 検者と対面したあぐら座位で児を座らせ、検者が両手で児の肩の前後面を支える。体幹を直

立させ、肩関節および体幹を中間位にする。頭部を直立した姿勢をとらせるよう試みる。多くの児は頭部のコントロールが弱く、coneofstability(安定性の円錐)がごく限られているため、場合によっては姿勢をとり直させる必要がある。

手順 児が頭部を直立した姿勢をとれないときは、頭部を前傾させ、検者の親指で顎を支えながら、児の頭部コントロール可動域の範囲内で、児の顎ができるだけ胸から離れるようにする。

採点基準4 点 少なくとも1回頭部を屈曲位から直立まで持ち上げ、頭部をコントロールして自由に動かす3 点 15秒以上頭部を直立に保持できる(頭部が前後に揺れる場合は2点)2 点 頭部を直立、または屈曲/伸展30度までの傾きで5秒以上保持する1 点 15秒以内に2回、頭部を自発的に挙上または回旋する(呼吸努力に伴う頭部の動きのみで

は得点対象とならない)0 点 反応なし、頭部が垂れている

児が落ち着かない場合、採点はテストの最後まで延期できる。

第10項目 膝関節伸展開始姿勢 親または検者以外のスタッフの膝上に児をまたがって座らせ、体幹および頭部を支持し、約

20度の角度で少し後ろに寄りかからせる。大腿は床と水平で、下腿は垂直に位置するようにし、足の裏がどこにも接触していないこと(図20)。

手順 足裏をくすぐる、または足指を優しくつまむ。

採点基準4 点 膝関節を45度より大きく伸展する

伸展の原因が、検者が姿勢をとり直したことによる下肢の受動的な揺れではないことを確認する

2 点 膝関節を15から45度まで伸展する1 点 少しでも膝関節を伸展する0 点 膝関節の伸展がみられない

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

図20 図21

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採点基準4 点 頭部を水平面まで、またはそれより高く伸展する2 点 水平には至らないが、頭部をある程度は伸展する0 点 自発的に頭部を伸展しない

第15項目 頭/頸部伸展(ランドウ反射)開始姿勢 腹臥位懸垂:腹臥位で、検者の片手で上腹部/下部胸郭を支える(図23)。大きな児の場合、

必要であれば、頭部および膝を床についてよい。

手順 頸部から仙骨にかけて脊柱沿いに、傍脊柱筋群を両側性にさする。 頭部と体幹が床に平行=0度(水平)

第16項目 背反射(ギャラン反射)開始姿勢 腹臥位懸垂:腹臥位で、検者の片手で上腹部/下部胸郭を支える(図23)。大きな児の場合、

必要であれば、頭部および膝を床についてよい。

手順 仙骨から胸中部のレベルまで、右側、次いで左側の胸・腰部傍脊柱筋群を検者の母指爪でさする(ギャラン反射)。月齢の進んだ児に対しては、体幹を傾斜させて立ち直り反応を促すか、体側もしくは足をくすぐるか、または児に臀部を振り動かすように伝える。10kgを超える児の場合、膝および頭を床についてよい。

採点基準4 点 刺激された側で、体軸から離れる方へ骨盤を捻る2 点 傍脊柱筋群の収縮が確認できる0 点 反応なし

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

採点基準4 点 自発的に肘関節を屈曲する2 点 上腕二頭筋の収縮が確認できるが、肘関節の屈曲は伴わない0 点 上腕二頭筋の収縮がみられない

両側を採点し、どちらか高い方の点数をベストスコアとして採用する。

第13項目 肘関節屈曲(第14項目と併せて採点)開始姿勢 背臥位

手順 引き起こし反応:前腕を把持し、肩関節45度屈曲位で「座位への引き起こし」を開始し、両肩が床から持ち上がり、頭部が床から持ち上がる直前まで引き起こす(図22)。

第14項目 頸部屈曲(第13項目と併せて採点)開始姿勢 背臥位

手順 引き起こし反応:前腕を把持し、肩関節45度屈曲位で「座位への引き起こし」を開始し、両肩が床から持ち上がり、頭部が床から持ち上がる直前まで引き起こす(図22)。

採点基準4 点 頭部を床から挙上する2 点 胸鎖乳突筋の収縮が確認できる0 点 胸鎖乳突筋の収縮がみられない

図22

図23