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Don Quijote Co., Ltd. 12/13/2011 1 株式会社ドン・キホーテ Analyst Report 早稲田大学商学部 4 年広田真一ゼミナール 溝上瑛里 対象企業: 株式会社ドン・キホーテ 証券コード: 7532 基準株価(2011/10/6 現在)2,834 目標株価: 3,380 投資推奨: BUY ハイライト 投資判断 株式会社ドン・キホーテ(以下同社)に対しディスカウント・キャッシュフロー法により目標 株価を算出した結果、3,380 円であった。現在株価 2,834 円は 16.2%割安水準にあるため、 投資推奨を“BUY”とする。今後の成長戦略の一つである「MEGA ドン・キホーテの強化」 の成功により、「ドン・キホーテ」に依存した現況の事業体制が改善され、さらにデイマー ケットの拡大と幅広い顧客層の取り込みが達成されると考えられる。これにより今後の収 益拡大が期待できることから、投資推奨を BUY と判断した。 業界動向 国内小売業界は人口の減少や景気悪化による消費の低迷の影響により、その規模は逓減傾 向にある。ディスカウントストア業態にとっては、景気低迷による低価格志向は追い風と なっているものの、他業態の低価格戦略の進行もあり競争は激化している。そのような環 境の中で、同社は独自のコンセプトにより他のディスカウントストア、ひいては他のあら ゆる小売業態店舗との差別化に成功しており、安定的に収益の成長を達成している。 事業戦略 同社は設立以来「ドン・キホーテ」の店舗を中心として、積極的に新規出店を進めること で業績を拡大してきた。今後の事業戦略として、これまで関東が大半を占めていた「ドン・ キホーテ」の全国的な出店拡大を進めること、及び 2008 年に開設した「MEGA ドン・キ ホーテ」という新たな業態を、「ドン・キホーテ」と並ぶ同社の支柱とすべく強化していく こと、の 2 点が主に挙げられる。 業績見通し 同社は後述する独自の店舗経営コンセプトにより他店との差別化に成功し、売上高、営業 利益ともに高い水準で推移。今後展開を加速する「MEGA ドン・キホーテ」業態において も、その独自のノウハウを活かした経営コンセプトによって他社に対する競争優位性を保 ち、収益の拡大を達成することが期待できる。

株式会社ドン・キホーテ Analyst Report...株式会社ドン・キホーテ(以下同社)に対しディスカウント・キャッシュフロー法により目標 株価を算出した結果、3,380

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Don Quijote Co., Ltd. 12/13/2011

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株式会社ドン・キホーテ Analyst Report

早稲田大学商学部 4年広田真一ゼミナール 溝上瑛里

対象企業: 株式会社ドン・キホーテ

証券コード: 7532

基準株価(2011/10/6現在): 2,834円

目標株価: 3,380円

投資推奨: BUY

ハイライト

投資判断

株式会社ドン・キホーテ(以下同社)に対しディスカウント・キャッシュフロー法により目標

株価を算出した結果、3,380 円であった。現在株価 2,834 円は 16.2%割安水準にあるため、

投資推奨を“BUY”とする。今後の成長戦略の一つである「MEGA ドン・キホーテの強化」

の成功により、「ドン・キホーテ」に依存した現況の事業体制が改善され、さらにデイマー

ケットの拡大と幅広い顧客層の取り込みが達成されると考えられる。これにより今後の収

益拡大が期待できることから、投資推奨を BUY と判断した。

業界動向

国内小売業界は人口の減少や景気悪化による消費の低迷の影響により、その規模は逓減傾

向にある。ディスカウントストア業態にとっては、景気低迷による低価格志向は追い風と

なっているものの、他業態の低価格戦略の進行もあり競争は激化している。そのような環

境の中で、同社は独自のコンセプトにより他のディスカウントストア、ひいては他のあら

ゆる小売業態店舗との差別化に成功しており、安定的に収益の成長を達成している。

事業戦略

同社は設立以来「ドン・キホーテ」の店舗を中心として、積極的に新規出店を進めること

で業績を拡大してきた。今後の事業戦略として、これまで関東が大半を占めていた「ドン・

キホーテ」の全国的な出店拡大を進めること、及び 2008 年に開設した「MEGA ドン・キ

ホーテ」という新たな業態を、「ドン・キホーテ」と並ぶ同社の支柱とすべく強化していく

こと、の 2 点が主に挙げられる。

業績見通し

同社は後述する独自の店舗経営コンセプトにより他店との差別化に成功し、売上高、営業

利益ともに高い水準で推移。今後展開を加速する「MEGA ドン・キホーテ」業態において

も、その独自のノウハウを活かした経営コンセプトによって他社に対する競争優位性を保

ち、収益の拡大を達成することが期待できる。

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事業内容

企業概要

株式会社ドン・キホーテ(Exhibit1)は、幅広い商品を扱う総合ディスカウントストアを長時

間・深夜営業で運営する小売企業である。

同社は 1980 年に株式会社ジャストとして設立され、日用雑貨品などの卸売および小売販売

により事業を拡大し、1989 年に現在の主たる店舗形態であるドン・キホーテを開設した。

以来卸売業から撤退し小売業に注力して事業規模を拡大、株式会社長崎屋やドイト株式会

社などを子会社として取得するなどしてドン・キホーテグループを確立してきた。

同社の店舗は、独自の運営コンセプトとそれを支える人材育成手法により、他社の小売業

態との明確な差別化に成功している。その結果、ディスカウントストア業界では他社を圧

倒する売上高で最大手に位置し (Exhibit2)、小売業を主軸とするようになってから今期に

至るまで 21 期連続で増収・増益を遂げている(Exhibit3,4)。以下で、同社の営む事業につ

いて、より詳細に記述する。

事業概要

リテール事業:家電製品、日用雑貨品、衣料、食品、住居関連商品、ファッション用品、

スポーツ・レジャー用品などの販売を行う総合ディスカウントストアを主たる業態として、

チェーン展開による小売業を営んでいる。店舗は首都圏を中心に積極的に出店拡大してい

る(Exhibit5)。

テナント賃貸事業:リテール事業を営む複合型商業施設の一部をテナントに賃貸すること

により、テナント賃貸事業を営んでいる。また、当該テナントの管理も営んでいる。

業績ドライバーの選定

同社の主な事業は上述した 2 つである。しかし、同社の売上高および営業利益における事

業構成比率を見ると(Exhibit6,7)リテール事業が圧倒的に大部分を占めており、今後の同社

の業績においてもリテール事業が大きく影響を与えると考えられる。リテール事業におけ

る店舗の中でも、直近の店舗数の割合(Exhibit8)を見ると「ドン・キホーテ」と「MEGA

ドン・キホーテ」が大半を占めている。さらに、同社は今後の経営戦略として「ドン・キ

ホーテの全国出店の拡大」、「MEGA ドン・キホーテの強化」を掲げているため、リテール

事業の中でも特に「ドン・キホーテ」と「MEGA ドン・キホーテ」の 2 つの業態が同社の

成長戦略を大きく左右していくと判断した。

リテール事業における独自性

業績ドライバーであるリテール事業について、特筆すべき経営コンセプトについて記述す

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る。同社は“Discount(安さ)”、“Convenience(便利さ)”、そして“Amusement(楽しさ)”

という 3 つのコンセプトを追求する戦略により、時間を消費するための場としての店舗を

展開し、差別化を行っている(Exhibit9)。

これらのコンセプトをどのように店舗運営に反映させているかを述べる。まず Discountの

追求として、同社はプライベートブランド商品の充実や倒産品の積極的な仕入れなどによ

り低価格戦略を実現している。次に Convenience の追求として、ほぼ全ての店舗で 24 時間

または深夜まで営業している。同社は自らが先駆者として開拓してきたナイトマーケット

(夜間市場)に強みを持っており、実際に同社の中核を担う「ドン・キホーテ」業態では、20

時から深夜の閉店までの、ナイトタイムと呼ばれる時間帯の売上高が全体の 50%以上を占

めている。さらに、他の小売店との一番の差別化要素として、Amusement の戦略に特に注

力している。具体的には、常に目新しい商品を提供するため店舗内の 4 割は期間限定商品

として流動的な品揃えを実現したり、ナショナルブランドでない商品を店舗ごとに独自に

仕入れるなどして、個性的な商品施策を行っている。また、足元から天井までぎっしりと

商品を積んだ“圧縮陳列”という陳列方法により、店舗内を一見どこに何があるか分から

ないジャングルのような状態に演出し、消費者へ宝探しに似た期待感を提供している。

このような独特な商品施策や店舗運営方法により、同社は時間消費型小売ビジネスという

独自のビジネスモデルを構築しており、他の小売業態との差別化を実現している。

競争上の位置付け

業界動向

国内小売業界全体の動向としては、人口の減少や景気悪化による消費の低迷の影響により、

その規模は逓減傾向にある(Exhibit10)。さらに、市場は飽和状態と言え、スーパーマーケ

ットやコンビニエンスストアをはじめ、ドラッグストア、ホームセンターなどあらゆる業

態の小売店舗が存在し、競争環境は熾烈を極めている。小売業界の中でも価格訴求をコン

セプトとする同社のようなディスカウントストア業態にとっては、景気低迷による低価格

志向は追い風となっているものの、他業態の低価格戦略の進行や、ディスカウントストア

業態への転換もあり競争は激化している。

SWOT 分析

SWOT 分析により全社の強みや弱みを明らかにし、市場における同社の優位性について考

察する。

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総評:有利

前述のように同社は深夜営業、個性的な品揃え、圧縮陳列などを特徴とする戦略によって

独自のビジネスモデルを確立している。このような他の小売業態と一線を画した店舗施策

が功を奏し、消費低迷の傾向にある小売業界においても業績を拡大し続けている。「ドン・

キホーテ」のターゲット顧客である若年層人口の減少や、他社の同業態への新規参入とい

う脅威は考えられるものの、独自の店舗運営が強みとなって今後も市場の低迷傾向の影響

を大きく受けづらいといえる。以上より有利と判断した。

強み(Strengths)

―他企業にない独自のビジネスモデル:深夜営業や圧縮陳列など、同社の差別化戦略は、

設立当初から創業者である安田隆夫氏が考案・確立してきたノウハウによって成功してお

り、他社にとって簡単には真似し得ない戦略である。同社が構築した時間消費型小売ビジ

ネスという独自のビジネスモデルは他社に対する大きな強みであると言える。

―人材育成のノウハウ:同社は現場社員への徹底的な権限委譲を実行している。新入社員

であっても各店舗のスタッフ一人ひとりに商品の選定から仕入れや価格設定、陳列に至る

まで幅広い裁量を与えることで、効率的に人材を育成することに成功している。こうした

大胆な権限委譲による人材育成ノウハウは他企業にとって真似し難く、同社独自の強みと

なっている。

弱み(Weaknesses)

―ドン・キホーテに依存した事業体制:同社のメイン事業であるリテール事業では、「ドン・

キホーテ」をはじめとして「MEGA ドン・キホーテ」や「ドイト」など、複数の店舗業態

を運営している。しかし売上高に占める各店舗業態の割合、また営業利益に占める割合を

見ると(Exhibit11,12)、そのほとんどを「ドン・キホーテ」からの収益でまかなっており、

同社の業績は現時点では「ドン・キホーテ」業態に依存した体制である。

機会(Opportunity)

―消費者の低価格志向の継続および拡大:上述したように、同社の基本的な事業コンセプ

機会

若年層人口の減少

独自のビジネスモデル

人材育成のノウハウ「ドン・キホーテ」に依存した経営体制

ターゲット層の狭さ

低価格志向の拡大・継続他社の新規参入

内部要因

外部要因

強み

脅威

弱み

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トの一つに、低価格を追求するという方針がある。今後も小売市場において消費者の低価

格志向が維持されること、またはさらに拡大していくことは、「激安の殿堂」と銘打つ同社

に対する需要拡大の好機会となる。

脅威(Threats)

―他社の新規参入:現時点では同社に類似したコンセプトである業態は存在しないと言え

る。同社独自の経営ノウハウが成功要因となっているため参入障壁は高いと考えられるも

のの、今後他の小売企業が類似業態へ新たに参入する可能性も否定はできない。

―ドン・キホーテのターゲット層である若者人口の減少:同社の成長の柱となってきた「ド

ン・キホーテ」業態がターゲットとする顧客層は、20~30 代の未婚者である。しかし、近

年の国内の年代別人口推移をみると、この若者層は減少傾向にあり(Exhibit13)、今後もこ

の傾向は継続すると見られる。これまで、この減少傾向に伴い同社の売上高が影響を受け、

減少するという相関は見られていないものの、今後若年層人口の低下が顧客の減少を招く

可能性も否定できない。

5forces 分析

5forces 分析を通して同社のリテール事業のポジションを確認し、業界内における競争優位

性について考察する。

総評:有利

業界内には多数の同業他社が存在するものの、強みの経営戦略を活かした差別化によって、

敵対関係は弱く、新規参入の脅威も大きくないと考えられることから、同社のリテール事

業における競争優位性は有利と判断した。

業界内敵対関係:弱い

小売業を営む他社は非常に多く存在するものの、同社の掲げる“時間消費型店舗”は他の

多数のディスカウントストアが存在するも店舗業態の差別化に成功

同社独自のノウハウが他社に対する同業態への参入障壁に

多数の供給企業の存在供給企業にメリットのある同社の仕入れ方法

消費者の価格感応度の高さ他店での購入が可能

多岐にわたる商品を自社でカバー

売り手の交渉力【やや弱い】

買い手の交渉力【強い】

代替品の脅威【中立】

業界内敵対関係【弱い】

新規参入の脅威【やや弱い】

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ディスカウントストア企業はもちろん、小売業全体で見ても明確な差別化に成功した業態

であるといえる。したがって、他社と棲み分けが為されており敵対関係は弱いと判断した。

新規参入の脅威:やや弱い

他の多数の小売業態にとってディスカウントストア業態へ転換可能であることなどを考慮

すると、業界への参入障壁は高くないといえる。しかし前述してきたように、同社の店舗

戦略においては、独自の経営ノウハウや人材育成手法が成功要因として不可欠である。そ

のため、そのノウハウの欠落が他社にとって参入障壁となっており、「ドン・キホーテ」の

開設から 22 年経ったいまだに、同コンセプトをもった他社の台頭は見られない。今後も同

業態への新規参入の脅威は強くないと考えられる。

売り手の交渉力:やや弱い

同社は仕入れコストを低く抑えるために、現金による完全買い取り制度でメーカーからの

仕入れを行っている。また、財務上の困難に陥っているメーカーからの在庫品や倒産品も

現金での即払い、完全買い取りによって積極的に仕入れている。卸元であるメーカーは同

社の現金払い、完全買い取り制度といった仕入方法によって在庫処理の面で恩恵を受けて

いる。また、同社は幅広い商品を流動的に扱っており、供給企業は多数存在している。以

上より、売り手の価格交渉力は比較的弱いと言える。

買い手の交渉力:強い

同社の提供する商品は、店舗内における 6 割が定番商品とよばれ、一般的に他の小売店舗

でも購入できる商品である。また、日用品が多く消費者の価格感応度は高いと言える。し

たがって他店での価格の方が安ければ、消費者は他店での商品購入が可能であり、買い手

の価格交渉力は強いと判断した。

代替品の脅威:中立

「ドン・キホーテ」および「MEGA ドン・キホーテ」は総合ディスカウントストア業態で

あり、商品の種類は非常に多岐にわたる。平均的なディスカウントストアの 3~4 倍である

4 万点というアイテム数を誇り、大抵の商品は自社店舗でカバーしているため、代替品の脅

威は強くない。ただし商品の多くは他店の商品で代替可能ということも言え、スイッチン

グコストもかからないことから、代替品の脅威に対しては中立と判断した。

投資サマリー

投資判断

現在株価 2,834 円は、ディスカウント・キャッシュフロー法(以下 DCF 法)により算出した

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目標株価 3,380 円に対し約 16.2%割安水準にあるため、投資推奨を“BUY”とする。

以下に投資判断のポイントを述べる。

―「MEGA ドン・キホーテ」への期待

同社は今後の成長戦略として、2008 年に展開を始めた新たな業態「MEGA ドン・キホーテ」

を強化し、「ドン・キホーテ」業態に並ぶ 2 つめの支柱として確立していくことを掲げてい

る。「ドン・キホーテ」のターゲットは 20 代から 30 代独身であったが、「MEGA ドン・キ

ホーテ」は主婦・ファミリー層をメインターゲットとしており、生活必需品の品揃えに重

点を置いた店舗である。他のショッピングセンターや GMS 等と競争環境におかれることが

予想されるが、「MEGA ドン・キホーテ」においても深夜まで営業する便利さや、Amusement

性というコンセプトは保持しており、それに加え低価格と豊富な品揃えを武器に展開して

いることから、十分な差別化が可能である。

―「ドン・キホーテ」へ依存した事業体制からの脱却

同社の業績は現在「ドン・キホーテ」に完全に依存しているが、今後「MEGA ドン・キホー

テ」への注力という戦略が成功することでその依存体制から脱却し、事業内でのポートフ

ォリオ強化が期待できる。また、「ドン・キホーテ」でターゲットとしていなかった顧客層

の取り込みや、ナイトタイムだけでなくデイタイムでも売上の強化が可能になる。「ドン・

キホーテ」と顧客層や売上時間帯を補完し合い、幅広いターゲット層とマーケットの開拓

に成功することが期待できる。

以上より、同社の成長戦略の見通しは明るいと判断した。

バリュエーション

DCF 法による目標株価算出(Exhibit28~32)

まず、同社の業績ドライバーであるリテール事業、中でも成長戦略の要となる「ドン・キ

ホーテ」と「MEGA ドン・キホーテ」について、各将来店舗数と売上高を予測し、2012 年

度以降 10 年間にわたる全社の売上高を予測した。それにより算出した営業フリーキャッシ

ュフローと 10 年後時点での同社の継続価値を加重平均資本コスト(WACC)で割り引き、目

標株価 3,380 円を算出した。

株価算出にあたって用いた主な指標の算出方法は、以下の通りである。

売上高:リテール事業で営む店舗業態について、業態ごとに店舗数を算出後、売上高を予

測し、他事業の売上高予測と合計することで全社の売上高を予測。

営業費用:全社の視点で予測。

みなし税:同社の 2011 年 3 月 31 日付の法定実効税率、40.70%を採用。

設備投資額:全社の視点で、有形固定資産増加額の予測推移から算出。

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マーケット・リスクプレミアム:1972~2010 年の配当込み TOPIX の年次収益率から同期

間の 10 年物国債利回りを控除し、算術平均によって算出(Exhibit14)。

リスクフリーレート:2011 年 7 月 5 日付の 10 年物国債金利を採用。

β:2011 年 12 月 2 日付で Bloombergより取得。

永久成長率:同社の海外展開は現時点でハワイへの 3 店舗のみであり、今後中国展開を見

据えているものの急激な国外出店拡大は予測できないことから、当分は国内での展開が同

社の業績を左右すると判断。国内における小売市場規模の成長は期待できないことから、

永久成長率は 0%を採用。

財務諸表分析

類似企業との比較を通して同社の財務状況について考察する。ディスカウント業界に属す

る企業から売上高で同社以外の上位4社を選出し(Mr.MAX、大黒天物産、PLANT、セリア)、

4 社の財務指標の平均値と、同社の財務指標を比較した。

収益性及び効率性の比較

同社は商品の仕入れにおいて、現金による一括完全買い取り制度の採用や、在庫品・倒産

品などの製品の積極的な仕入れにより、仕入れコストを低く抑えることに成功している。

また、圧縮陳列により在庫品を極力生まない販売方法をとっている。これにより、同社の

営業利益率は他 4 社平均に対し極めて高い水準で推移している(Exhibit15)。効率性を示す

総資産回転率(Exhibit16)、株主資本回転率(Exhibit17)を見ても他社平均に比べ非常に高く、

効率のよい経営を実行しているといえる。ROA(Exhibit18)で比較を行うと、他社平均を若

干下回るものの、直近の ROA は 7.42%と一般的に見て比較的高い水準を達成している。

安全性の比較

急速な出店拡大を戦略としてきた同社は、その設備投資資金に充当するため外部資金調達

を積極的に行っており、他社より有利子負債は多く推移している。それにより安全性の指

標である DE レシオ(Exhibit19)や、インタレスト・カバレッジ・レシオ(Exhibit20)を比較

すると他社より低い水準になっている。

以上はディスカウントストア業界での比較であるが、「時間消費型店舗」である同社と、以

上で比較した他の 4 社の店舗とは、その業態が大きく異なっていると言え、売上高の規模

を見ると大幅に差がある。そこで、売上高に大差がなく(Exhibit21)、同社の代表的な店舗

「ドン・キホーテ」と比較するに相応しいと考えられる店舗業態として「マツモトキヨシ」

を選出し、上記に加えて株式会社マツモトキヨシホールディングスとの財務指標比較も行

った。その結果、収益性および効率性(Exhibit22,23)においてはやはり同社は高い水準であ

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ると言え、安全性については必ずしも優れているとはいえないことが考察できた

(Exhibit24,25)。

業績見通し

売上高予測

リテール事業:業績ドライバーであるリテール事業に関しては、店舗業態ごとに店舗数

(Exhibit26)、売上高(Exhibit27)を予測し、それらを合算するという方法をとった。

―「ドン・キホーテ」

同社は今後の成長戦略として、「ドン・キホーテ」の全国出店拡大を掲げており、店舗は増

設傾向が続くと考えられる。そこで、2012 年度以降最初の 2 年間においては、同社の出店

計画をもとに予測し、以降徐々に新規出店数が逓減していくと予測した。この予測店舗数

に、直近の全社の売上高と「ドン・キホーテ」店舗数が全社に占める割合により算出した、

店舗当たり年間平均売上高を乗じて、「ドン・キホーテ」業態の総売上高を予測した。

―「MEGA ドン・キホーテ」

同社は成長戦略として、「MEGA ドン・キホーテ」の展開を強化、ひいては「ドン・キホー

テ」と並ぶ同社の支柱とすることを掲げている。そこで出店は、過去の「ドン・キホーテ」

出店と同じように増加傾向が続き、年度を追うごとにその新規出店数は逓減していくとし

て、店舗数を予測した。「ドン・キホーテ」の売上高予測と同様、予測店舗数に「MEGA ド

ン・キホーテ」の店舗当たりの年間平均売上高を乗じ、総売上高を算出した。

―その他店舗

上記 2 業態以外に関しては店舗数が非常に少なく、今後出店拡大の計画もないため、その

影響は小さいと考え、店舗数は一定とした上で上記 2 業態と同様に店舗当たり平均売上高

を乗じて予測した。

以上の売上高予測を合算し、2021 年度における同社のリテール事業における売上高は

655,913 百万円と算出された。

テナント賃貸事業及びその他事業:前述したように、テナント事業とその他事業に関して

は、リテール事業と比べ圧倒的に同社の業績に占める割合が小さいこと、また、同社の今

後の経営戦略としても特に言及されていないことから、同社の成長に大きな影響を及ぼさ

ないと判断し、直近(2011 年 6 月期決算)の売上高を採用し一定に推移するとした。

以上の各事業の予測売上高を合算し、最終的な全社売上高を算出した結果、2021 年度時点

で約 675,699 百万円であった。

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リスク要因

為替の変動

同社は製品の一部を海外から直接輸入しており、間接輸入も含めれば多くの輸入製品を扱

っている。円高の状況下では仕入価格は逓減し、円安傾向になれば仕入価格が逓増するた

め、同社の売上総利益率は為替相場の変動が大きく影響を与える。

キーパーソンの離脱

同社は設立以来、創業者である安田隆夫氏が一貫して CEO を務めており、その独特な店舗

運営方法、経営戦略等は安田氏によって考案・確立されてきたものである。したがって、

同社のこれまでの順調な業績拡大は同氏の手腕に因るところが大きいと考えられ、今後同

氏が経営から離れれば同社の成長に影響する懸念がある。

同業態への新規参入

同社は「深夜営業」、「圧縮陳列」などの手法により差別化された店舗づくりに成功してお

り、現時点で同社と競合する小売企業は存在しない。今後も同業態へ新規参入が起こる可

能性は低いと考えられるものの、その可能性は否定できず、同業態が台頭すれば同社の業

績を左右する要因となる。

法律の改定

同社の競争優位性には、深夜営業という特徴が大きく貢献しているが、今後店舗運営に関

する法律が改定される可能性は否定できない。現行の大規模小売店舗立地法など、各種法

律の改定に伴い大型店を運営する同社の深夜営業が規制されることなどがあれば、同社の

成長戦略に影響を与えると考えられる。

地域環境との摩擦

同社はその深夜営業という特徴から、出店の際や店舗運営にあたって地域住民との対立が

幾度となく生じている。1999 年には小金井公園店と地域住民の摩擦が、メディアにも大き

く取り沙汰され、同店舗は午後 11 時閉店を余儀なくされた。今後も地域住民との共生に困

難が生じ、深夜運営が実現できない店舗例が増えれば、同社の業績に影響を及ぼす要因と

なり得る。

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【Appendix】

Exhibit1: 株式会社ドン・キホーテ月次株価推移

(Yahoo! ファイナンスより作成)

Exhibit2: ディスカウントストア業界上位 5 社売上高(2011 年度実績)

(Kumonos web サイトより作成)

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Exhibit3: 売上高推移 Exhibit4: 営業利益推移

(同社 web サイトより作成)

Exhibit5: 総店舗数の推移

(同社 web サイトより作成)

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Exhibit6: 売上高に占める各事業の割合 Exhibit7: 営業利益に占める各事業の割合

Exhibit: 営業利益に占める各事業の割合

Exhibit8: 業態別店舗数の割合

(同社 web サイトより作成)

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Exhibit9: 店舗経営コンセプト

(同社 web サイトより作成)

Exhibit10: 小売業年間商品販売額推移

(総務省統計局 web サイトより作成)

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Exhibit11: 各店舗業態の売上高割合 Exhibit12: 各店舗業態の営業利益割合

(同社 web サイトより作成)

Exhibit13: 20 代~30 代前半人口推移

(総務省統計局 web サイトより作成)

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Exhibit14: マーケット・リスクプレミアム

年 TOPIX 国債 リスクプレミアム

1972 72.1 6.91 65.191973 30.3 6.99 23.311974 -11.4 8.12 -19.521975 5.9 8.36 -2.461976 16.1 8.23 7.871977 11.7 7.43 4.271978 15 6.31 8.691979 10.8 7.25 3.551980 8.4 8.44 -0.041981 21 8.18 12.821982 2.1 8.03 -5.931983 23 7.83 15.171984 29.4 7.39 22.011985 27 6.65 20.351986 40.1 5.49 34.611987 46.2 4.87 41.331988 14.6 4.97 9.631989 22.4 5.01 17.391990 -15.9 6.75 -22.651991 -11.3 6.32 -17.621992 -24.8 5.27 -30.071993 13.7 4.29 9.411994 7.3 4.22 3.081995 -13.1 3.47 -16.571996 17.7 3.13 14.571997 -9.4 2.36 -11.761998 -10.2 1.52 -11.721999 23.1 1.73 21.372000 19.5 1.71 17.792001 -15.1 1.29 -16.392002 -14.3 1.28 -15.582003 -2.5 0.99 -3.492004 27.4 1.5 25.92005 17.1 1.36 15.742006 30.5 1.75 28.752007 4.5 1.7 2.82008 -26.2 1.52 -27.722009 -20.8 1.36 -22.162010 4.4 1.19 3.21

平均 5.26

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Exhibit15: 営業利益率 Exhibit16: 総資産回転率

Exhibit17: 株主資本回転率 Exhibit18: ROA

(各社有価証券報告書より作成)

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Exhibit19: DE レシオ Exhibit20: インタレスト・カバレッジ・レシオ

(各社有価証券報告書より作成)

Exhibit21: 売上高比較(マツモトキヨシホールディングス)

(各社有価証券報告書より作成)

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Exhibit22: 総資産回転率 Exhibit23: 営業利益率

Exhibit24: DE レシオ Exhibit25: インタレスト・カバレッジ・レシオ

(各社有価証券報告書より作成)

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Exhibit26: 予測店舗数推移

Exhibit27: 予測総売上高推移

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Exhibit28: 貸借対照表

連結BS (百万円) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

資産の部

現金及び預金 38,164 38,381 42,563 41,734 35,031 37,347 39,868 41,533 43,197 44,195 45,194 45,718 46,243 46,435 46,626余剰資金 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0受取手形及び売掛金(純額) 3,296 4,397 4,612 4,045 4,585 4,888 5,218 5,436 5,654 5,784 5,915 5,984 6,052 6,078 6,103在庫 50,962 67,411 70,651 74,452 88,369 95,606 102,061 106,321 110,581 113,137 115,693 117,036 118,379 118,870 119,361その他流動資産 4,729 6,391 5,976 7,967 6,530 6,962 7,432 7,742 8,052 8,238 8,424 8,522 8,620 8,656 8,691

流動資産合計 97,151 116,580 123,802 128,198 134,515 144,803 154,580 161,032 167,484 171,355 175,226 177,260 179,295 180,038 180,782有形固定資産合計 74,738 102,551 114,378 123,734 154,870 165,108 176,256 183,613 190,970 195,384 199,798 202,117 204,437 205,285 206,133無形固定資産合計 2,514 3,284 2,960 2,721 6,461 6,888 7,353 7,660 7,967 8,151 8,335 8,432 8,529 8,564 8,600

のれん 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0その他無形固定資産 2,514 3,284 2,960 2,721 6,461 6,888 7,353 7,660 7,967 8,151 8,335 8,432 8,529 8,564 8,600

投資その他の資産 35,462 53,873 56,387 47,376 45,454 45,454 45,454 45,454 45,454 45,454 45,454 45,454 45,454 45,454 45,454投資有価証券 9,180 9,703 12,055 6,297 4,362 4,362 4,362 4,362 4,362 4,362 4,362 4,362 4,362 4,362 4,362長期貸付金 870 935 1,251 1,311 1,332 1,332 1,332 1,332 1,332 1,332 1,332 1,332 1,332 1,332 1,332

固定資産合計 112,714 159,708 173,725 173,831 206,785 217,450 229,063 236,727 244,391 248,989 253,587 256,003 258,420 259,303 260,186資産合計 209,865 276,288 297,527 302,029 341,300 362,253 383,643 397,759 411,875 420,344 428,814 433,264 437,714 439,341 440,968

負債の部支払手形及び買掛金 28,684 39,172 41,062 42,670 42,430 45,905 49,004 51,050 53,095 54,322 55,550 56,194 56,839 57,075 57,311短期借入金 0 1,400 11,000 698 14,935 14,935 14,935 14,935 14,935 14,935 14,935 14,935 14,935 14,935 14,9351年以内返済予定長期借入金 5,131 8,284 9,696 10,834 11,774 11,774 11,774 11,774 11,774 11,774 11,774 11,774 11,774 11,774 11,774未払法人税等 6,390 2,610 3,354 4,014 4,434 4,434 4,434 4,434 4,434 4,434 4,434 4,434 4,434 4,434 4,434その他流動負債 32,928 21,509 45,771 63,789 32,498 32,498 32,498 32,498 32,498 32,498 32,498 32,498 32,498 32,498 32,498

流動負債合計 73,133 72,975 110,883 122,005 106,071 109,546 112,645 114,691 116,736 117,963 119,191 119,835 120,480 120,716 120,952社債 38,439 81,609 62,588 34,201 58,379 58,379 58,379 58,379 58,379 58,379 58,379 58,379 58,379 58,379 58,379長期借入金 8,029 15,153 13,575 20,379 35,570 35,570 35,570 35,570 35,570 35,570 35,570 35,570 35,570 35,570 35,570新規借入 27,207 41,881 49,934 57,689 60,254 62,630 61,330 59,913 55,931 51,884その他固定負債 7,794 21,926 20,509 18,684 16,038 16,038 16,038 16,038 16,038 16,038 16,038 16,038 16,038 16,038 16,038

固定負債合計 54,262 118,688 96,672 73,264 109,987 137,194 151,868 159,921 167,676 170,241 172,617 171,317 169,900 165,918 161,871負債合計 127,395 191,663 207,555 195,269 216,058 246,740 264,513 274,611 284,412 288,204 291,808 291,152 290,381 286,634 282,823

純資産の部資本金 14,819 14,977 14,977 15,049 19,561 19,561 19,561 19,561 19,561 19,561 19,561 19,561 19,561 19,561 19,561資本剰余金 16,130 16,289 16,289 17,856 22,364 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0利益剰余金 50,911 58,777 65,806 74,503 85,165 97,800 101,416 105,434 109,749 114,427 119,293 124,399 129,621 134,994 140,433自己株式 -143 -5,144 -4,976 -1 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3その他株主資本 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

株主資本合計 81,717 84,899 92,096 107,407 127,087 117,358 120,974 124,992 129,307 133,985 138,851 143,957 149,179 154,552 159,991その他包括利益累計額 534 -1,962 -3,256 -2,090 -3,482 -3,482 -3,482 -3,482 -3,482 -3,482 -3,482 -3,482 -3,482 -3,482 -3,482少数株主持分 219 1,688 1,132 1,443 1,637 1,637 1,637 1,637 1,637 1,637 1,637 1,637 1,637 1,637 1,637

純資産合計 82,470 84,625 89,972 106,760 125,242 115,513 119,129 123,147 127,462 132,140 137,006 142,112 147,334 152,707 158,146負債純資産合計 209,865 276,288 297,527 302,029 341,300 362,253 383,643 397,759 411,875 420,344 428,814 433,264 437,714 439,341 440,968

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Exhibit29: 損益計算書

連結PL (百万円) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

売上高 300,660 404,924 480,856 487,571 507,661 541,222 577,764 601,879 625,995 640,465 654,934 662,537 670,140 672,920 675,699売上高成長率 15.29% 34.68% 18.75% 1.40% 4.12% 6.61% 6.75% 4.17% 4.01% 2.31% 2.26% 1.16% 1.15% 0.41% 0.41%

売上原価 227,537 296,215 353,616 364,065 378,587 409,592 437,247 455,497 473,748 484,698 495,649 501,402 507,156 509,260 511,364売上総利益 73,123 108,709 127,240 123,506 129,074 131,630 140,517 146,382 152,247 155,766 159,285 161,134 162,984 163,660 164,336

売上総利益率 24.32% 26.85% 26.46% 25.33% 25.43% 24.32% 24.32% 24.32% 24.32% 24.32% 24.32% 24.32% 24.32% 24.32% 24.32%販売費及び一般管理費 59,537 92,728 110,068 102,439 103,738 114,591 122,328 127,434 132,540 135,603 138,667 140,276 141,886 142,475 143,063

減価償却費 5,395 7,398 8,898 9,823 9,908 12,069 12,884 13,422 13,959 14,282 14,605 14,774 14,944 15,006 15,068人件費 20,621 32,305 37,968 35,064 35,060 39,867 42,558 44,335 46,111 47,177 48,243 48,803 49,363 49,568 49,772その他販売費及び一般管理費 33,521 53,025 63,202 57,552 58,770 62,655 66,886 69,677 72,469 74,144 75,819 76,699 77,580 77,901 78,223

販管比率 19.80% 22.90% 22.89% 21.01% 20.43% 21.17% 21.17% 21.17% 21.17% 21.17% 21.17% 21.17% 21.17% 21.17% 21.17%営業利益 13,586 15,981 17,172 21,067 25,336 17,039 18,189 18,948 19,708 20,163 20,619 20,858 21,097 21,185 21,272

営業利益率 4.52% 3.95% 3.57% 4.32% 4.99% 3.15% 3.15% 3.15% 3.15% 3.15% 3.15% 3.15% 3.15% 3.15% 3.15%営業外収益 2,861 2,749 2,682 2,900 2,699 2,719 2,741 2,756 2,771 2,779 2,788 2,793 2,797 2,799 2,801

受取利息 261 596 404 429 346 366 388 403 418 426 435 440 444 446 448受取利息配当金 124 36 177 188 151 151 151 151 151 151 151 151 151 151 151その他営業外収益 2,476 2,117 2,101 2,283 2,202 2,202 2,202 2,202 2,202 2,202 2,202 2,202 2,202 2,202 2,202

営業外費用合計 673 1,526 3,865 2,858 2,897 3,217 3,668 3,911 4,045 4,173 4,216 4,255 4,234 4,210 4,144支払利息(社債利息含む) 466 1,358 1,278 1,678 1,681 2,001 2,452 2,695 2,829 2,957 3,000 3,039 3,018 2,994 2,928その他営業外費用 207 168 2,587 1,180 1,216 1,216 1,216 1,216 1,216 1,216 1,216 1,216 1,216 1,216 1,216

経常利益 15,774 17,204 15,989 21,109 25,138 11,103 11,780 12,281 12,892 13,210 13,615 13,810 14,066 14,176 14,328経常利益率 5.25% 4.25% 3.33% 4.33% 4.95% 2.05% 2.04% 2.04% 2.06% 2.06% 2.08% 2.08% 2.10% 2.11% 2.12%特別利益 3,471 2,310 2,207 892 1,388 1,388 1,388 1,388 1,388 1,388 1,388 1,388 1,388 1,388 1,388特別損失 428 2,874 3,982 5,156 5,379 5,379 5,379 5,379 5,379 5,379 5,379 5,379 5,379 5,379 5,379

税金等調整前当期純利益 18,817 16,640 14,214 16,845 21,147 7,112 7,789 8,290 8,901 9,219 9,624 9,819 10,075 10,185 10,337法人税等合計 8,148 7,172 5,344 6,307 7,911 2,895 3,170 3,374 3,623 3,752 3,917 3,996 4,101 4,145 4,207

少数株主損益調整前当期純利益 10,669 9,468 8,870 10,538 13,236 4,217 4,619 4,916 5,278 5,467 5,707 5,823 5,975 6,040 6,130少数株主利益 31 165 316 300 573 573 573 573 573 573 573 573 573 573 573

当期純利益 10,638 9,303 8,554 10,238 12,663 3,644 4,046 4,343 4,705 4,894 5,134 5,250 5,402 5,467 5,557当期純利益率 3.54% 2.30% 1.78% 2.10% 2.49% 0.67% 0.70% 0.72% 0.75% 0.76% 0.78% 0.79% 0.81% 0.81% 0.82%

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Exhibit30: キャッシュフロー計算書

CF計算書 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

当期純利益 10,638 9,303 8,554 10,238 12,663 3,644 4,046 4,343 4,705 4,894 5,134 5,250 5,402 5,467 5,557

減価償却 5,395 7,398 8,898 9,823 9,908 12,069 12,884 13,422 13,959 14,282 14,605 14,774 14,944 15,006 15,068のれん償却額 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0売上債権の増減額 -679 -1,101 -215 567 -540 -303 -330 -218 -218 -131 -131 -69 -69 -25 -25たな卸資産の増減額 -6,562 -16,449 -3,240 -3,801 -13,917 -7,237 -6,455 -4,260 -4,260 -2,556 -2,556 -1,343 -1,343 -491 -491仕入債務の増減額 2,487 10,488 1,890 1,608 -240 3,475 3,099 2,045 2,045 1,227 1,227 645 645 236 236

その他営業活動 3,891 -6,212 1,483 -1,092 -1,883 -859 -935 -617 -617 -370 -370 -195 -195 -71 -71営業CF 15,170 3,427 17,370 17,343 5,991 10,789 12,309 14,715 15,615 17,346 17,909 19,062 19,384 20,121 20,273

有形固定資産の増分 -21,366 -35,211 -20,725 -19,179 -41,044 -22,307 -24,031 -20,778 -21,316 -18,696 -19,019 -17,094 -17,263 -15,854 -15,916投資その他の資産 -8,897 -18,411 -2,514 9,011 1,922 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0その他投資活動

投資CF -30,263 -53,622 -23,239 -10,168 -39,122 -22,307 -24,031 -20,778 -21,316 -18,696 -19,019 -17,094 -17,263 -15,854 -15,916FCF -15,093 -50,195 -5,869 7,175 -33,131 -11,518 -11,723 -6,063 -5,701 -1,350 -1,110 1,969 2,121 4,267 4,357

短期借入金の増減額(△は減少) -1,108 4,553 11,012 -9,164 15,177 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0長期借入金の増減額(△は減少) -391 7,124 -1,578 6,804 15,191 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

株主資本の増減額 -935 -6,101 -1,335 5,096 7,042 -13,345 -402 -297 -362 -189 -240 -116 -152 -65 -90配当金の支払額 -50 -20 -22 -23 -25 -28 -28 -28 -28 -28 -28 -28 -28 -28 -28その他財務活動 27,949 44,856 1,974 -10,717 -10,957 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

財務CF 25,465 50,412 10,051 -8,004 26,428 -13,373 -430 -325 -390 -217 -268 -144 -180 -93 -118現金同等物の増減 10,372 217 4,182 -829 -6,703 -27,207 -14,674 -8,053 -7,755 -2,565 -2,376 1,300 1,416 3,982 4,047

期首現金 27,792 38,164 38,381 42,563 41,734 35,031 37,347 39,868 41,533 43,197 44,195 45,194 45,718 46,243 46,435期末現金 38,164 38,381 42,563 41,734 35,031 37,347 39,868 41,533 43,197 44,195 45,194 45,718 46,243 46,435 46,626

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Exhibit31: DCF 法

2,012 2,013 2,014 2,015 2,016 2,017 2,018 2,019 2,020 2,021

売上合計 541,222 577,764 601,879 625,995 640,465 654,934 662,537 670,140 672,920 675,699

売上原価 409,592 437,247 455,497 473,748 484,698 495,649 501,402 507,156 509,260 511,364販売費及び一般管理費 114,591 122,328 127,434 132,540 135,603 138,667 140,276 141,886 142,475 143,063EBITA 17,039 18,189 18,948 19,708 20,163 20,619 20,858 21,097 21,185 21,272

みなし税 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70%

NOPLAT 10,104 10,786 11,236 11,687 11,957 12,227 12,369 12,511 12,563 12,615

減価償却費 12,069 12,884 13,422 13,959 14,282 14,605 14,774 14,944 15,006 15,068グロスキャッシュフロー 22,173 23,670 24,658 25,646 26,239 26,831 27,143 27,454 27,568 27,682

運転資金の増加 4,065 3,686 2,432 2,432 1,459 1,459 767 767 280 280設備投資 22,307 24,031 20,778 21,316 18,696 19,019 17,094 17,263 15,854 15,916総投資額 26,373 27,717 23,211 23,749 20,155 20,478 17,860 18,030 16,134 16,196営業FCF (4,200) (4,047) 1,447 1,897 6,083 6,353 9,283 9,425 11,434 11,486

割引率 1.03 1.06 1.09 1.12 1.15 1.18 1.22 1.25 1.29 1.32現在価値 (4,084) (3,828) 1,331 1,697 5,291 5,374 7,636 7,539 8,895 8,690

現在価値合計 38,542

永久成長率 0.00%割引率 1.36継続価値 298,727

事業価値 337,269

非事業用資産 45,454企業価値 382,723

有利子負債 120,658少数株主持分 1,637株主資本価値 260,428

発行済株式数 77,055,380理論株価 3,380

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Exhibit32: WACC

国債金利 1.17%

リスクプレミアム 5.26%

β 0.56rE 4.10%

rD 2.54%

税率 40.70%有利子負債(百万) 120,658

純資産(百万) 125,242

税引き後WACC 2.83%割引率 1.028

発行済み株式数 77,055,380