宇宙と素粒子

＠東大・駒場（201０.0５.２5）

諸井健夫（東大・素粒子理論）

素粒子・原子核分野教員

・素粒子理論：柳田、諸井、浜口、松尾

・素粒子実験：駒宮、箕輪、相原、浅井、横山

・原子核理論：大塚、初田、平野

・原子核実験：酒井、早野、小沢

様々なスケール

「宇宙と素粒子」

・素粒子物理学：ミクロの世界

・宇宙物理学：マクロの世界

⇒ この二つの分野がどうつながるのか？

⇒ その分野の最近の話題・将来の期待

昔の宇宙を想像してみる

宇宙論の基礎：宇宙は膨張している

昔の宇宙は高温・高密度

宇宙の質量はほとんど未知の物質

暗黒物質：相互作用が弱く、重い物質

暗黒エネルギー：宇宙が膨張しても密度が不変

暗黒物質の証拠：銀河クラスターの衝突

・光る物質（星間ガス）は衝突してそこに留まる

赤：Ｘ線

青：重力レンズ

・大部分の質量（暗黒物質）はすり抜ける

宇宙進化を巡る、様々な疑問

・暗黒物質とは何なのか？

・‥‥

・宇宙に反物質が無いのはなぜなのか？

・暗黒エネルギーとは何なのか？

⇒ 初期宇宙（高温）を理解する必要あり

⇒ 指導原理：素粒子・原子核物理学

素粒子物理学

素粒子物理学：より微細な構造へ

素粒子論の現状：素粒子標準模型の成功

ほとんどの実験結果は「標準模型」の予言と一致

素粒子標準模型の大問題

電弱対称性の破れ（質量）の起源

ヒッグス粒子

・ヒッグス場の量子的振動：ヒッグス粒子

・標準模型で唯一未発見の粒子

標準模型は究極の理論？：恐らくＮｏ

ヒッグス（ボソン）は何故「軽い」のか？

・理論の基本的スケール程度の質量が自然

標準模型では宇宙の進化が理解できない

・暗黒物質の候補が存在しない

・宇宙に反物質が存在しない理由が分からない

・‥‥

超対称模型：新物理の有力な候補

超対称粒子の中には暗黒物質の候補が存在

・ 光子、Ｚ、ヒッグス粒子等の超対称粒子

・ 重力子の超対称粒子

ＬＨＣ

素粒子模型の実験的検証：ＬＨＣ

・陽子-陽子型円形加速器

・エネルギー：１４ＴｅＶ（現在７ＴｅＶ）

・ヒッグス粒子や超対称粒子を探す

ＡＴＬＡＳ検出器

ついに動き出したＬＨＣ実験！

Fig1.png

First min-bias event

Ｗボソンも既に生成

Fig1.png

宇宙と素粒子

超対称模型＠ＬＨＣ

超対称粒子：ＬＨＣの重要なターゲット

シグナル：横方向運動量の欠損

⇒ 暗黒物質が運動量を持ち逃げする！

ＬＨＣと宇宙（特に暗黒物質の研究）

・暗黒物質の候補が見つかれば、質量や

相互作用の強さなども測定できる

⇒ 加速器を使って宇宙進化を理解する

・その粒子が本当に暗黒物質となるのに

適当な性質を持っているかを議論

まとめ

まとめ

素粒子・原子核物理と宇宙論は密接に関連

ＬＨＣによる今後の大きな発展に期待

⇒ 高温、高密度ではどのような粒子が生成

されているのか？

⇒ 新たな粒子の発見

⇒ 宇宙進化の理解のための新たな情報