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C · ¨ R W - ec-net.jpiprint.ec-net.jp/j_miyagi/images/490.pdf媚な「奥松島」を抱え,変化に富んだ自然が織 りなす美しい景観を有する市です。2011年(平成23年)3月11日に発生した東日

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公衆衛生情報みやぎ№490

1.はじめに

茨 市の概要

東松島市は,宮城県東部に位置し,市域の東

部は肥沃な田園が広がる平坦な地形,中央部に

は四方を一望できる桜の名所「滝山」を中心と

する丘陵地。西部は,一級河川鳴瀬川・吉田川

が太平洋にそそぐとともに,南西部には風光明

媚な「奥松島」を抱え,変化に富んだ自然が織

りなす美しい景観を有する市です。

2011年(平成23年)3月11日に発生した東日

本大震災では,本市も甚大な被害を受け,特に

人的被害では,死者1,109人,行方不明者24人

(平成30年3月1日現在)と大変大きな被害を

受けました。

そのため,震災後の人口変動は大きく,人口

42,903人(平成22年国政調査)に対して,震災

後の平成27年の国政調査では,39,503人とな

り,震災前と比較し3,400人と大きく減少しま

した。その後復興とともに人口は微増し,現在

は直近値で40,127人と大幅な減少はくい止めら

れている状況です。

このような状況のなか,本市では,「こども,

若者,高齢者の全世代の住みよいまちづくり」

を目指して,創造的復興を市一丸となって進め

ているところです。

芋 食環境整備に関する事業着手の経緯

私たち行政栄養士も震災を経験し,被災者支

援を行いながら,市民の栄養状態や食生活に関

する現状分析を通じて課題を検討し,栄養・食

生活・食育の観点から必要なこと,求められて

いることについて考えました。

見えてきたことを抜粋したものが以下のとお

りです。

【本市の課題】

・男性の2人に一人がメタボ該当・予備群であ

る現状を何とかしなくては。

・大人のメタボの問題が児童生徒の肥満の問題

にもリンクしており,家庭を含めた親子の問

題となっているのではないか。

・生活習慣病重症化予防等をすすめていく中で,

病気になってからの生活改善はご本人にとっ

てとても苦しく難しい。

・人口減少をくい止めなければ,市の未来が危

ぶまれる。

【課題を踏まえた対策の方向性】

・「地元の魅力である食材を市民が食べて健康

になろう」という循環型の発想は,生産者と

消費者双方の関心を高め,好循環につながる

のではないか。

・食や栄養は,心の復興に欠かせないものでは

ないか。

・若い世代へのアプローチが,どの施策にも求

められている。

・本人が意図せずとも,おのずと健康な食生活

を営める環境づくりを行う方が健康な人を増

やすことにつながるのではないか。

・より効果的,効率的な事業展開とするため,

関係機関や団体,企業の支援や協力,協働の

形で事業を行わないと復興期を乗り越えられ

ない。

被災者として,改めて感じた食べることの大

切さ,地元の食材の恵みへの感謝,という要素

を盛り込んだ東松島市ならではの食育推進・食

を通じた健康づくり活動に各方面から賛同を得

られたため,第2期東松島市食育推進計画の推

進を期に,大きく舵を切ることとなりました。

「東松島市による食環境整備」

~若い世代をメインターゲットとした行政栄養士の挑戦~

土井しのぶ*,高橋 麻美*,阿部 綾佳*

星 由香里*,鶴飼その子

*,神山 修子

*東松島市保健福祉部健康推進課健康推進班

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哀哀哀哀

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健康づくり特集

公衆衛生情報みやぎ№490

-2-

2.事業内容

事業イメージは図1のとおりです。

茨 SNSを活用した食育啓発事業

このような過程を経て,若い世代をメイン

ターゲットとしたSNSによる情報発信に関す

る取り組みをスタートさせました。

紹介する料理は,地元の旬の農作物や魚介類

を使ったヘルシーな料理。紹介するのは,市管

理栄養士考案レシピのみならず,市内の病院や

福祉施設,学校給食の管理栄養士や地元主婦が

作る日常の食事のレシピまで多岐にわたるもの

です。

毎月1回,調理過程から撮影を行い,料理の

完成写真とともに料理WEBサイトで高い人気

を誇るクックパッド内の「東松島食べる通信の

キッチン」のページに掲載しています。

また,赤ちゃんが初めて食べる食事の「離乳

食」も,地元産で元気に健やかに! という願

いを込めて掲載しています。

開始から3年を迎えようとしている現在,閲

覧数は右肩上がりに伸び続け,市民にとどまら

ず,多くの方々に閲覧していただいている状況

です。

図1

図2

-3-

公衆衛生情報みやぎ№490

芋 地産地消で健康な食事実践事業

そして,次に着手した取り組みが「地元野菜

で健康生活キャンペーン」でした。

この取り組みの目的は,市民が野菜の摂取目

標量350gを理解し,実践することで,肥満や生

活習慣病の予防につなげることを目的としてい

ます。(平成30年度の厚生労働省の食生活改善

普及運動の先進事例に選出。図3)

この取り組みは,毎月19日の食育の日に,直

売所で販売している野菜にPR用シールを貼付

し,その野菜とレシピをセットで消費者が手に

することで,家庭での消費につなげるというも

のです。

レシピについては,前段で紹介しましたクッ

クパッドにアップしているものを活用し,ご自

身で検索できる方は検索に誘導し,紙媒体で欲

しい方用にもプリントし無料配付しています。

また,このキャンペーンをさらに強化するた

め,「ひがまつヘルスベジまつり」という企画

も行っています。これは,野菜に貼付してある

シールを消費者の皆さんに集めていただき,イ

ンセンティブを付与するというものです。プレ

ゼントは,“もっと野菜が食べたくなる各種

グッズ”としています。具体的には,地元企業

の商品である「ぽん酢」や「もろみ味噌」,ホ

タテ貝を原料とした「エコ割り箸」,「地元産旬

の野菜セット」などを用意しプレゼントも市内

循環となる工夫をしています。応募先を食育イ

ベントにすることで,イベントの集客にもつな

げ,応募に最低限のアンケートを加えること

で,実際にターゲットとしている市民への浸透

度も評価できると見込んでいます。

実際の途中経過としては,市民の皆様が食材

を購入する際に健康情報に触れる機会を増やす

図3

公衆衛生情報みやぎ№490

-4-

ことができる仕組みが構築できつつある点や,

この取り組みで生産者さんとつながることがで

きたことがよかった点として挙げられます。ま

た,店舗では新規のお客さんが増え,売り上げ

が伸びているなどの成果もあるとの報告もあ

り,野菜の消費量の増加も予想しています。

さらに,新聞やテレビで取り上げてもらうこ

とによって,市内外にも取り組みが知られるこ

とで市の魅力として情報発信ができており,実

施主体の市,協力者にとって,よい方向で進ん

でいます。

鰯 ICTによる食育推進事業

市民の皆様(特に子育て世代)が“いつでも,

どこでも,手軽に東松島市の食育情報に触れら

れる環境づくり”の一環として,石巻専修大学

と市の協働事業として「東松島食育アプリ」を

制作しました。

具体的な内容は,市の特産品にまつわるクイ

ズや食事マナーに関するもの,地元でとれた野

菜が緑黄色野菜か淡色野菜かを仕分けるゲーム

などのコンテンツがあります。

このアプリは制作の側面で特色があります。

それは,アプリ内のクイズやゲームの内容は市

管理栄養士が考え,プログラミングは石巻専修

大学経営学部准教授舛井道晴先生とそのゼミ生

さんが行い,食事マナークイズのイラストを東

松島市立矢本第一中学校美術部の生徒さんが描

いたという点です。制作の段階から様々な方を

巻き込むことで,多くの人の関心や愛着から郷

土愛にまでつながるなど,食育への関心と少し

違う点で関心を高められるのではないかと期待

しています。

スタートして1か月で100人余りの方にダウ

ンロードしていただいている状況です。現在は

Android版のみの配信ですが,今年度中にiOS

版を配信する計画となっているので,より多く

の方に体験していただける環境となる予定で

す。さらに今後は,アプリの更新作業等を行い

ながら,さらにコンテンツを追加する計画と

なっています。

3.結果及び成果

現状で把握している評価指標の一部は以下の

とおりです。

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公衆衛生情報みやぎ№490

4.今後に向けて

私たち東松島市の栄養士が他機関と協働です

すめる食環境整備の目指すところは,「赤ちゃ

んから高齢者までの皆様が,地元の食材を食べ

て心ゆたかに過ごす市内循環型の食の営みの実

現」にあります。

その実現のための手段として,従来の「栄養

の指導」に加え,東松島市ならではの取り組み

を様々な関係者様の力をお借りし展開している

ところです。今後も様々な機関と連携協働のス

タイルで実施し,関わった人すべての心の復興

にもつなげられるようにしていきたいと思って

います。また,本取組の先には,健康づくりの

みならず,「東松島市で子育てしたい!」など

の市民の定住にもつなげ,人口増加にも貢献で

きる行政栄養士業務に発展させていきたいと考

えています。

公衆衛生情報みやぎ№490

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1.はじめに

食事の形態には,自宅で家族が素材から調理

し,自宅で喫食する内食,お惣菜や持ち帰り弁

当など家族以外の人が調理したものを家庭や家

庭外で喫食する中食(なかしょく),飲食店での

食事のように家族以外の人が調理し,その飲食

店内で喫食する外食という大きく分けて3つの

食事形態に分類される。

その中でも外食や中食は,今や消費者のライ

フスタイルの変化に伴い,食の中でも重要な地

位を占めている。

外食産業の市場規模は,2017年には25兆

6,561億円注1)と2012年以降,6年連続前年実

績を上回っており,百貨店とスーパーの年間販

売額の19兆6,025億円注2)を上回り,大きなマー

ケットを形成している。また,2017年の中食

(商品)のマーケットは,10兆556億円注3)で消

費者の多様な食スタイルにフィットし急速に拡

大している。

このように,消費者はますます,食を外部に

依存していく傾向となっている。

以上のような食の状況の中で,本稿では,外

食産業についての食材調達の状況とメニューに

ついて論じていくことにする。

2.外食産業の食材調達

茨 食材調達の原則

外食産業,特にチェーン展開している企業で

は,どの店舗に行っても同じ味,同じ価格,同

じサービスを提供している。

これは,チェースストア理論に基づいて,効

率化,合理化を目指し,生産性を向上し売上高

の増加を図ることを目的としているからである。

このため,外食産業の食材調達は,①欠品を

極力なくすための量の確保,②メニュー価格の

変動を押さえるための仕入れ価格の安定,③味

の均一化を図るための年間を通して仕入食材の

質の均一化という仕入れの原則がある。

外食産業の成長期は,この3つの仕入原則が

功を奏したが,最近では,外食が日常化され,

成熟していく中,全国流通する食材が多く使用

されることで,どこの外食企業もメニューに変

化がなくなってきているのが現状である。

これらのことから外食企業の中には全国流通

していない食材を仕入れ,期間限定メニューや

売り切れ御免メニューとして提供している企業

も出てきている。

近年では,前述した3つの原則以外に,消費

者の安全・安心・健康志向に対応するため,④

安全で安心な食材の仕入ということがいわれて

おり,外食産業の食材仕入では最も重要なもの

となっている。

また,外食企業が食材を仕入れるに当たって

食材によっては年間を通して同じ産地から仕入

れることができないことから,いわゆる産地連

携をしながら食材を仕入れることになる。その

ため産地と外食企業の橋渡しをするコーディ

ネーター役が必要となってきている。

芋 食材率と食材仕入額推計

食材率とは売上高に占める食材仕入額の割合

のことをいい,一般的には売上高原価のことを

さす。

この食材率は,経験則的に飲食店では平均

30%~35%の範囲で収めることになっている。

すなわち,1,000円のメニューを注文すると,原

価が300円~350円であるということになる。食

材率が30%以下になるとコストが圧縮される

が,食材の質が悪くなり客数が減少し,売上高

の減少を招く。逆に食材率が35%以上になると

食材の質が良くなる一方でコストが増加し,利

益が出ない状況となる。ただ,サービスのウエ

イトが低いファーストフードや中食では食材率

が35%以上になることがあり,中食の持ち帰り

弁当などでは45%~50%が食材率となってい

る。

外食産業の食材調達とメニュー

堀 田 宗 徳*

*宮城大学食産業学群

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食特集

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公衆衛生情報みやぎ№490

外食産業の売上高営業利益率が,業種・業態

で異なるが,平均5%前後であることから考え

ると,食材率の範囲を頭に入れて食材を仕入れ

る必要があるが,最近では仕入価格が高止まり

状態になっており収益を圧迫している企業も多

く見受けられる。

ちなみに,飲食店のマネジメントでは食材率

(Food)と売上高人件費比率(Labor)の和を

FLコストというが,飲食店ではこのFLコスト

を60%前後に納めることが理想とされている。

しかし,最近では,前述したように仕入価格

の高止まりのほかに人手不足で人件費が高騰

し,FLコストを60%で押さえることが難しく

なっている。

次に,この食材率を30%と仮定した上で,外

食産業全体の食材仕入額を推計すると,外食産

業全体の売上高は外食産業市場規模であること

から,2017年の外食産業全体の食材仕入額は,

最低限,約7兆7千億円(25兆6,561億円×0.3)

と大きな仕入額となり,外食産業を取り巻く企

業にとっては魅力的なマーケットになってい

る。

さらに,この外食産業全体の食材仕入額か

ら,コメ,野菜,畜産物,水産物の主要食材の

仕入額を農林水産省の外食産業原材料需要構造

調査での食材費の品目構成比(食材率を100と

した場合の割合)を利用して推計すると,コメ・

その加工品(構成比9.1%)は約7千億円,野

菜・その加工品は約9千億円(同11.7%),畜産

物・その加工品は約1兆6千億円(同21.4%),

水産物・その加工品は約1兆7千億円(同

22.6%)という仕入額になる。

品目別の仕入額をみても各品目で大きなマー

ケットを形成していることがわかり,外食産業

関連企業が外食産業と取引したい要因の一つと

なっている。

3.外食産業のメニュー

外食企業では,売上高増加対策の一つとして

メニュー改訂を基本的には年4回程度実施す

る。四季に合わせて改訂するのが一般的であ

る。その意味では,メニューは飲食店の顔であ

り,その企業のコンセプトが明確にわかること

になる。

外食企業では,業種・業態により異なるが,

差し込みメニューなどにより,顧客に飽きさせ

ない工夫や来店頻度を増加させる工夫を行うこ

とが一般的である。

メニュー開発の手順としては,①消費者がど

のようなニーズがあるのか把握(商品企画)し,

②それに基づいてメニューの試作(商品開発)

を行い,③必要であれば特定のエリアで新作の

図1 外食企業の食材仕入条件

資料:筆者が作成

公衆衛生情報みやぎ№490

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メニューを実験的に販売(エリアマーケティン

グ)した実績を基に,どのようなターゲットに,

どのくらいの価格で何時,どれくらいの数量を

販売するか試算する(外食産業のマーチャンダ

イジング)。

この数量が決まった段階から前述した食材調

達が始まることになる。

外食企業の調理手法は,従来,中小飲食店や

オーナーシェフの店舗などで見られる食材を自

ら仕入れてきて店舗内で前処理過程を行い,主

調理,盛り付け等のそれぞれの過程を同一空間

で行ってきた。

しかし,飲食店のチェーン化が進むと,セン

トセラルキッチン等で食材等を一括仕入れし,

それを前処理し,高加工度まで調理(主調理過

程)した上で,店舗に配送し,店舗内では簡単

な調理(湯煎,レンジアップなど)や盛り合わ

せを行い,メニューとして消費者に提供する手

法がとられるようになってきた。すなわち,調

理する空間が時間の経過とともに異なる調理手

法である。

岩渕注4)は,前者を同一空間で食材仕入,主

調理,盛り付け,サービスを行うことから自己

完結型調理技術体系とし,後者を時間的進行の

中で食材仕入,主調理,盛り付けが異なる空間

で行われていることから開放型調理技術体系と

呼んだが,現在,大部分の外食企業が,自己完

結型調理技術体系から開放型調理技術体系へと

移行しており,外食企業が調理を店舗外で行っ

ていることから調理の外部化が進展していっ

た。

開放型調理技術体系では,時間とともに調理

や提供場所が異なることから調理の連携や調理

を行う人のコミュニケーションが今後,重要と

なってくる。

図2 自己完結型調理技術体型と開放型調理技術体系

資料:岩渕道生著「外食産業論」

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公衆衛生情報みやぎ№490

4.まとめ

外食産業の食材調達とメニュー開発,調理手

法について見てきたが,当然,食材調達とメ

ニュー開発,調理手法には密接な関係がある。

食材仕入のマーケットは大きく,産地,食品

メーカー,食品卸などから注目を浴びている

が,食材調達ありきではなく,まずは消費者の

ニーズを把握する商品企画や商品開発が重要と

なっている。

消費者にとって最高のメニューは,自分の好

みに合ったメニューであることは言うまでも無

いが,一人一人に合ったメニューを提供するこ

とは不可能であり,一般的には消費者ニーズを

把握した上で,そのニーズの最大公約数の味を

提供することになる。そこからどれだけ個々の

消費者の味に近づけるかが,各企業の裁量とな

る。

最近の外食企業のメニューの傾向としては消

費者の健康志向に対応したメニューを提供する

企業が注目されている。

具体的には,糖質抑制メニューである。従来

外食産業界の健康対応メニューというとサラダ

バーに代表される野菜が多いメニューなどの提

供であった。言い換えると健康への間接的なア

プローチメニューであったが,最近では健康に

直接影響する要因を除去しようとするメニュー

提供が拡大しているように思われる。

今後,消費者ニーズに対応した様々なメ

ニュー企画や開発が行われ,それに伴った食材

を調達することになるが,現在,外食産業での

国産食材の使用率は平均で半分程度である。そ

の割合を高める,国産食材の利用拡大も視野に

入れた食材調達,メニュー開発を外食産業が行

うことで,国内産地の活性化に寄与することも

必要になってくると考えられる。

参考文献

注1)(公財)食の安全安心財団付属機関外食産

業総合調査研究センター「平成29年外食産業

市場規模推計値」

注2)経済産業省「商業動態統計調査」

注3)(一社)日本惣菜協会「2018年版惣菜白

書」pp74-77

注4)岩渕道生著「外食産業論」農林統計協会

1996年 pp25-41

公衆衛生情報みやぎ№490

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産業廃棄物処理の透明性を高めることを目的

に,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和

45年法律第137号。以下「法」という。)及び廃

棄物の処理及び清掃に関する法律施行細則(昭

和53年宮城県規則第7号。以下「県規則」とい

う。)において,産業廃棄物の排出事業者や処

理業者に対し,産業廃棄物の排出や処理の状況

について報告するよう定めています。

本稿では,宮城県で開発した産業廃棄物関連

の電子報告システムである「みやぎ産廃報告

ネット」について解説します。

1.「みやぎ産廃報告ネット」について

法,県規則等において,表1に示すような産

業廃棄物に関する各種報告等の提出が規定され

ています。

産業廃棄物処理実績報告書,運搬実績報告書

及び処分実績報告書(以下「産業廃棄物処理実

績報告書等」という。)は,産業廃棄物処理の透

明性を高め,排出事業者による適正な処理業者

選定の一助とするため,産業廃棄物処理業者等

に対し,処理委託量等について報告を求め,集

計結果を毎年度県ホームページで公表している

ものです。

平成25年度までは,産業廃棄物処理実績報告

書等について,事業者が紙の各種報告書を県に

提出し,県は紙の書類を基にデータ入力と集計

作業を外部業務委託し,県ホームページで公表

していました。県では,事業者の負担軽減と事

務処理の効率化を図るため,平成25年度に産業

廃棄物処理実績報告書等を事業者がインター

ネットを介して直接データ入力・報告できる電

リサイクル特集

みやぎの循環型社会構築に向けて

~「みやぎ産廃報告ネット」の構築と活用~

遠 藤 美砂子*

*宮城県環境生活部循環型社会推進課

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行政等からの情報

表1 産業廃棄物に関する各種報告等

概 要根拠法令等報告名称

産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業者が,一年間の処理実績について報告するもの

県規則第6条の2第1項

産業廃棄物処理実績報告書

産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の収集運搬業者が,一年間の運搬実績(運搬受託量等)について報告するもの

県規則第6条の2第2項

産業廃棄物・特別管理産業廃棄物運搬実績報告書(運搬実績報告書)

産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の処分業者が,一年間の処分実績(処分受託量等)について報告するもの

県規則第6条の2第3項

産業廃棄物・特別管理産業廃棄物処分実績報告書(処分実績報告書)

産業廃棄物の発生量が1,000トン以上である事業場又は特別管理産業廃棄物の発生量が50トン以上である事業場を設置している事業者(多量排出事業者)が,産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画及び計画の実施状況(排出量等)について報告するもの

法第12条第9,10項,第12条の2第10,11項

多量排出事業者処理計画書等(多量排出事業者報告)

産業廃棄物管理票交付者(排出事業者)が,一年間の産業廃棄物処理委託量等を報告するもの

法第12条の3第7項産業廃棄物管理票交付等状況報告書(マニフェスト報告)

法第4条第5項の目的を達成するため,産業廃棄物排出事業者に対して行う任意の調査(排出量,処理委託量等)

産業廃棄物排出・処理実態調査指針

産業廃棄物実態調査(実態調査アンケート)

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公衆衛生情報みやぎ№490

「みやぎ産廃報告ネット」の構築(平成25年度開発)による業務の改善

図1-1

子報告システム「みやぎ産廃報告ネット」を開

発し,平成26年度から運用を開始しました(図

1)。この「みやぎ産廃報告ネット」は,類似

のシステムが他県で導入された例はなく,先例

のないシステムとなっています。

「みやぎ産廃報告ネット」は,産業廃棄物処

理実績報告書等の他,法で提出が義務付けられ

ている多量排出事業者報告及びマニフェスト報

告についても,PDF化した報告書をインター

ネットを介してアップロードできる機能を備え

ており,排出事業者が行う報告についても利便

性の向上を図りました。平成30年度(平成29年

度実績分)の「みやぎ産廃報告ネット」による

報告の割合は表2のようにそれぞれ高い率を示

しており,一定の効果を上げているものと認め

られます。

公衆衛生情報みやぎ№490

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「みやぎ産廃報告ネット」のメニュー画面

図1-2

「みやぎ産廃報告ネット」の入力画面の例(運搬実績報告書)

表2 「みやぎ産廃ネット」による報告率(平成30年度速報値)

「みやぎ産廃ネット」による報告率

報告総数(平成31年1月現在)※

報告名称

90.5%21産業廃棄物処理実績報告書※

88.4%2,819運搬実績報告書(仙台市を含む)※

87.4%247処分実績報告書※

79.3%400多量排出事業者報告(仙台市を含む)

52.1%5,047マニフェスト報告(仙台市を除く)

※報告総数は,報告義務者数(許可件数)のうち,未報告者を除く。

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公衆衛生情報みやぎ№490

2.産業廃棄物実態調査での活用

産業廃棄物実態調査は,宮城県循環型社会形

成推進計画(以下「循環計画」という。)の進

行管理や産業廃棄物関連施策の効果検証,新た

な施策の立案に必要な情報の収集を目的とし

て,毎年度実施しているものです。5年に1

度は大規模調査として,県内の約10,000の事業

所(全事業所の約10%)に産業廃棄物の排出状

況等に関するアンケートを行い,それ以外の年

度は,多量排出事業者の一部(約400事業者のう

ち半数)を対象にアンケートした結果により更

新し,宮城県全体の産業廃棄物の排出や処理の

状況を推計しています。

平成29年度までの産業廃棄物実態調査は,

「みやぎ産廃報告ネット」において多量排出事

業者報告(報告期限は毎年6月末まで)がなさ

れた事業者の排出量上位半数に対して,10月頃

に産業廃棄物実態調査アンケートを送付し,紙

面での回答を求めていました。

この産業廃棄物実態調査アンケートと多量排

出事業者報告は内容が重複する部分が多く,多

量排出事業者にとって負担が大きいことから,

また,産業廃棄物実態調査については,法の義

務もないため,アンケートの回収率は低く,十

分なデータ精度が得られないといった問題があ

りました。

そこで,平成30年度に「みやぎ産廃報告ネッ

ト」を改修し,多量排出事業者は,インター

ネットを介して産業廃棄物実態調査アンケート

に回答することで,法の義務である多量排出事

業者報告の提出を完了できるようにしました。

これにより,多量排出事業者の報告の手間を軽

減し,県によるデータ入力作業を省力化すると

ともに,アンケート回収率とデータ精度の向上

を実現することができました(図2)。

3.ゼロ・エミッションの取組を評価する新た

な仕組みの検討

産業廃棄物実態調査や処分実績報告書のデー

タを利用して,平成28年3月に策定した第2期

循環計画の管理指標として設定している産業廃

棄物排出量・リサイクル率・最終処分率を毎年

度集計し,計画の進行管理を行っています。し

かし,リサイクル率は,減量化された場合には,

その量が反映されず,例えば,脱水により大幅

に減量化される汚泥等はリサイクル率が低く表

示されてしまうことが指摘されていました。そ

こで,第2期循環計画の中で,次期循環計画の

策定までに,最終的に廃棄物の排出量をゼロに

しようとする試み「ゼロ・エミッション」の取

組や環境にやさしいリサイクル工程を評価でき

る新たな仕組み「みやぎの評価手法」を検討す

ることとしています。(図3)。

平成30年度から産業廃棄物実態調査データを

「みやぎ産廃報告ネット」で一元的に管理でき

るようになったことから,現在,当該データを

活用し,廃棄物の運搬距離・処分方法・再生利

用の方法から燃料使用量・電気使用量・化石燃

料代替量を定量的に把握し,二酸化炭素排出量

を自動計算するための自動変換ツールを開発し

ています。

4.まとめ

宮城県では,平成25年度から全国に先駆け

て,産業廃棄物の排出や処理の状況をデータ

ベース化するシステム「みやぎ産廃報告ネッ

ト」を開発し,産業廃棄物処理業者等からの報

告を自動で受付・集計・公表しています。さら

に平成30年度からは多量排出事業者の報告を産

業廃棄物実態調査アンケートと統合して運用し

ています。

また,平成27年度からは,「産業廃棄物処理業

者等管理システム」を導入し,産業廃棄物処理

業者等の許可事務の省力化を図っています。さ

らに平成30年度には,「産業廃棄物処理業者等

管理システム」に使用済自動車の再資源化等に

関する法律(自動車リサイクル法)の登録許可

業者や廃棄物再生事業者の管理機能を追加し,

平成31年度からの運用を目指しています。

「みやぎ産廃報告ネット」と「産業廃棄物処

理業者等管理システム」は,オンライン接続は

されていませんが,相互にデータを共有するこ

とで,業務の効率化を図っています(図4)。な

お,これらのシステムは産業廃棄物税を活用し

て開発しています。

今後も構築したデータベースを有効に活用

し,事業者の利便性の向上,事務効率の改善,

迅速な情報の公開を行うことで,廃棄物の適正

処理の向上に努めて参ります。

公衆衛生情報みやぎ№490

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「みやぎ産廃報告ネット」と産業廃棄物実態調査の統合(平成30年度改修)

<概要>事業者による産業廃棄物実態調査アンケートを入力する機能を追加し,アンケート内容から「多量排出事業者処理計画等」を自動作成し,報告を完了させる。

図2

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公衆衛生情報みやぎ№490

図4

図3

産業廃棄物関連システム(循環型社会推進課所管)の全体像

公衆衛生情報みやぎ№490

-16-

平成30年11月11日(日)にイオンモール利府

で開催したはつらつ健康利府プラン推進事業

「まちかど保健室」を紹介します。

1.事業実施の経緯

利府町では,平成29年3月,はつらつ健康利

府プラン(第3期健康日本21利府町計画及び食

育推進計画)を策定しました。

本計画は,「第2期健康日本21利府町計画」

と「第2期利府町食育推進計画」の2つの計画

を統合し,本町における健康づくりと食育推進

の方向性を定めたものです。

「こころがかよい,健康とやさしさをはぐく

むまち」を基本理念とし,「健康寿命の延伸」・

「一次予防の重視」・「健全な食生活の実践」の

3つを基本方針に掲げ,乳幼児期から高齢期ま

で,生涯にわたる健康づくりを推進し,町民の

健康寿命の延伸を目指しています。そして,そ

の達成のため,健康に関する7つの分野別に基

本目標と目標項目を設定し,健康づくり・食育

の支援に取り組んでおります。

計画策定初年度は,利府町保健福祉センター

を会場に,「はつらつ健康利府プラン」の策定を

周知するため,町制施行50周年記念事業「健康

利府フェスタ2017」を開催しました。

計画2年目である今年度は,重点取組に掲げ

た「生活習慣病対策」と「がん」を推進するた

め,関係機関等と協働し,生活習慣病の予防・

平成30年度はつらつ健康利府プラン推進事業

「まちかど保健室」を実施して

小 原 晶 子*

*利府町保健福祉課健康づくり班

娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃

娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃

哀哀哀哀

哀哀哀哀

地域からの発信

-17-

公衆衛生情報みやぎ№490

個人にあった健康づくりの実践を身近にサポー

トできるように,健康チェックや健康相談の実

施,健康情報の提供を大型商業施設であるイオ

ンモール利府で開催しました。

2.事業実施内容について

イオンモール利府,イオン利府店(イオン薬

局),宮城県塩釜保健所,宮城県国民健康保険団

体連合会,公益財団法人宮城県対がん協会,東

北福祉大学の協力のもと,子どもから大人ま

で,皆さんが買い物のついでに,気軽に・楽し

く・無料で参加できる内容とし,健康づくりに

関する知識を伝え,自身の生活習慣を振り返る

きっかけづくりとなるもの,そして,すぐにで

も取り入れてもらうことができる,生活習慣の

改善に役立ててもらえるような内容としまし

た。(下記ちらし参照)

【各コーナーの内容】

〇ミニ講座「薬剤師による,くすりのきほん」

イオン薬局の薬剤師による,正しい薬の飲み

方についての講話。

〇ミニ講座「がん予防クイズ(全問正解で景品

GET!!)」

対がん協会の看護師による,がん予防に役立

つクイズ形式での講話。

〇ウォーキングレッスン(2回)

健康運動指導士による,効果的なウォーキン

グについてのお話とイオンモールウォーキン

グコースを実際にウォーキング。

〇骨密度測定・血管年齢測定

骨密度測定器,血管年齢測定器を使って健康

チェックや必要に応じて健康・栄養アドバイ

スを実施。

〇血圧測定と健康相談会

血圧測定と健康に関する個別相談を実施。

〇がん予防体験コーナー

胃カメラの操作や乳がん予防の自己触診体験

等を実施。

〇ベジプラス100&塩エコキャンペーン

野菜350gを当てようクイズ,1階の食品売場

と同時開催での減塩商品や減塩フードモデル

の展示,おすすめレシピの配布を実施。

公衆衛生情報みやぎ№490

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3.事業の成果

大型商業施設での健康づくり事業の実施は初

めてでしたが,町民・町外の方を含め延べ560

人の参加がありました。

参加者から「1日にこんなに野菜が必要だと

思わなかった,野菜を食べるようにしたい」,

「減塩していきたい,麺類の汁にこんなに塩分

が入っていると思わなかった,汁は飲まないよ

うにしたい」,「町の健康ウォーキング教室の申

し込みを忘れてしまい参加できなかったので,

今日,ウォーキングレッスンに参加できてよ

かった。」「教えてもらった効果的なウォーキン

グを続けたい」,「がん検診を受診したい」,「来

年度も開催してほしい」等,多くの生活習慣の

行動変容に繋がる声と町の健康づくり事業への

要望等を直接聴くことができました。

4.まとめ

「まちかど保健室」を通して,地域に出向き,

企業,大学,保健所等関係機関等と協働で健康

づくり事業を実施することで,より多くの町民

と地域の方々に,町の健康づくり事業の取り組

みの周知,そして,気軽に楽しみながら個人に

あった健康づくりの支援ができると実感しまし

た。

事業実施初年度ということもあり,ミニ講座

になかなか人が集まらないなど周知方法等に課

題がありましたが,関係機関等と企画から話し

合う中で,互いに健康づくりに関する得意分野

が分かり,連携していくことで相乗効果が高ま

り,充実した内容の事業ができました。

今後も,「まちかど保健室」を継続的に実施

し,町民や地域の方々の健康づくり,町の健康

づくりで直接支援が難しい,子育て・働き盛り

世代への健康づくり支援の充実に繋げていきた

いと考えています。

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公衆衛生情報みやぎ№490

宮城県感染症発生動向調査情報

(平成30年12月31日~平成31年2月3日,第1週~第5週)

宮城県結核・感染症情報センター*

宮城県結核・感染症情報センターでは,「感染症法」に基づき,県内の医療機関の協力を得て,感染症の患者発生報告と病原体の検出報告を行っています。ここでは月間の動向を提供します。

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哀哀哀哀

哀哀哀哀

感染症情報

*宮城県保健環境センター微生物部HP:http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/hokans//kansen-center.html

4.トピックインフルエンザ患者数は大幅に増加し,全国的に感染

が拡大しています。第2週には3保健所管内で,定点医療機関当たりの患者報告数が警報発令基準の30人を超えたことから,県では1月17日に「インフルエンザ警報」を発令し注意喚起を行いました。第4週には,県内の患者報告数は6,600人となり,全ての管内で警報レベルを超え,本格的な流行が続いています。今後も,帰宅時の手洗いの徹底,マスクの着用,加湿器の使用など感染予防対策に努めましょう。

1.全数届出対象疾患届出状況

一類感染症2019年累計12月31日~2月3日期間・地域

疾患名 県全域県全域仙台市宮城県届 出 な し

二類感染症2019年累計12月31日~2月3日期間・地域

疾患名 県全域県全域仙台市宮城県37372017結核

三類感染症2019年累計12月31日~2月3日期間・地域

疾患名 県全域県全域仙台市宮城県00コレラ00細菌性赤痢3312腸管出血性大腸菌感染症00腸チフス00パラチフス

四類感染症2019年累計12月31日~2月3日期間・地域

疾患名 県全域県全域仙台市宮城県111E型肝炎333A型肝炎00つつが虫病00デング熱00日本紅斑熱00ブルセラ症00ボツリヌス症00マラリア00ライム病3321レジオネラ症00レプトスピラ症

五類感染症2019年累計12月31日~2月3日期間・地域

疾患名 県全域県全域仙台市宮城県222アメーバ赤痢444ウイルス性肝炎111カルバペネム耐性腸内細菌感染症111急性脳炎00クリプトスポリジウム症00クロイツフェルト・ヤコブ病00劇症型溶血性レンサ球菌感染症222後天性免疫不全症候群00ジアルジア症111侵襲性インフルエンザ菌感染症00侵襲性髄膜炎菌感染症9936侵襲性肺炎球菌感染症111水痘(入院例)4431梅毒00播種性クリプトコックス症00破傷風00バンコマイシン耐性腸球菌感染症1313103百日咳00風しん00麻しん

*累計は登録取り消し・追加等により集計の変更あり

2.定点把握疾患報告状況【インフルエンザ】仙南,気仙沼管内では第1週から第5週まで,塩釜,大崎,栗原,登米,石巻,仙台管内は第2週から第5週まで流行が継続しました。【伝染性紅斑】仙南,塩釜,気仙沼,仙台管内では第1週から第5週まで,大崎,石巻管内では第2週から第5週まで流行が継続しました。【咽頭結膜熱】栗原管内では第1週から第2週まで流行がみられま

した。【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎】仙南管内では第2週から第5週まで,石巻管内では第3週から第5週まで流行が継続しました。【水痘】栗原,石巻,仙台管内では第1週から第2週まで流行がみられ,石巻,大崎管内では第4週に流行がみられました。

3.病原体検出状況(保健環境センター検出分)2019年累計月検出件数*病 原 体

0A(H1)型インフルエンザウイルス

22AH1pdm091212A(H3)型0B型0エンテロウイルス0コクサッキーウイルス0エコーウイルス0アデノウイルス0風しんウイルス0麻しんウイルス0ヒトパルボウイルスB190GⅠ群

ノロウイルス 77GⅡ群0GⅠ群及びGⅡ群0ロタウイルス0サポウイルス0アストロウイルス0ライノウイルス0A型肝炎ウイルス0RSウイルス0O157

腸管出血性大腸菌

0O260その他0腸管毒素原性大腸菌0腸管侵入性大腸菌0腸管病原性大腸菌0腸管凝集付着性大腸菌0他の下痢原性大腸菌0サルモネラ0C.jejuniカンピロ

バクター 0C.coli0黄色ブドウ球菌(毒素産生性)0Yersiniaenterocolitica0A群溶血性レンサ球菌0Legionellapneumophila

*12月31日~2月3日の検出日で集計

公衆衛生情報みやぎ№490

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仙台市感染症発生動向調査情報

<平成30年12月31日~平成31年2月3日>

仙台市衛生研究所微生物課

集計(感染症法*に基づく全数報告件数)

・結核肺結核:7例肺結核及びその他の結核:1例その他の結核:2例無症状病原体保有者:10例

・腸管出血性大腸菌感染症O血清群不明VT型不明:1例

・レジオネラ症 肺炎型:2例

・アメーバ赤痢 腸管アメーバ症:2例

・ウイルス性肝炎 B型:3例,C型:1例

・カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症Enterobacteraerogenes:1例

・後天性免疫不全症候群無症状病原体保有者:2例

・梅毒早期顕症Ⅱ期:2例無症状病原体保有者:1例

第1~5週合計

第5週第4週第3週第2週第1週疾患名

2013574結核

100100腸管出血性大腸菌感染症

100010E型肝炎

300210A型肝炎

200011レジオネラ症

202000アメーバ赤痢

402110ウイルス性肝炎

110000カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症

210010後天性免疫不全症候群

312000侵襲性肺炎球菌感染症

100010水痘(入院例)

302100梅毒

1013231百日咳

000000風しん

000000麻しん

*感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

コメント

[RSウイルス感染症]第1週以降,増加傾向。

[A群溶血性レンサ球菌咽頭炎]第2週に増加し,第3週は減少。第4週は横ばいで,第5週に増加。

[感染性胃腸炎(小児科)]第2週に増加し,第3週は減少。第4週は横ばいで,第5週に増加。

[水痘]第2週に増加し,第3週は減少。第4週は増加し,第5週は減少。第2週は例年同時期と比較してかなり多い。第1週及び第4週は例年同時期と比較してやや多い。

[伝染性紅斑]第2週に増加し,第3週以降は減少傾向。仙台市全体(第36週~),青葉区(第36週~),宮城野区(第37週~),若林区(第36週~),太白区(第38週~)で警報レベルを継続中。第5週に泉区で警報終息基準値1を下回った。第1週から第5週は例年同時期と比較してかなり多い。

[インフルエンザ]第2週から第4週に増加し,第5週は減少。第2週に若林区及び太白区で,第3週に仙台市全体,青葉区,宮城野区及び泉区で警報開始基準値30を上回った。第2週及び第3週は例年同時期と比較してやや多い。第4週及び第5週は例年同時期と比較してかなり多い。

集計(患者数*)

第1~5週合計

第5週第4週第3週第2週第1週週報定点把握対象感染症名

842418191310RSウイルス感染症

35106595咽頭結膜熱

2215946475316A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

71419415915817132感染性胃腸炎(小児科)

115132184132水痘

371021744手足口病

589819514518385伝染性紅斑

38689132突発性発しん

000000ヘルパンギーナ

711212流行性耳下腺炎

9,6282,9273,2501,9741,278199インフルエンザ

100001急性出血性結膜炎

320010流行性角結膜炎

110000感染性胃腸炎(ロタウイルス)

000000クラミジア肺炎(オウム病を除く)

000000細菌性髄膜炎

200200マイコプラズマ肺炎

000000無菌性髄膜炎

921411マイコプラズマ肺炎(小児科)

502030川崎病

1923563不明発しん症

*感染症発生動向調査における患者定点医療機関から報告された患者数

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公衆衛生情報みやぎ№490

仙台市内病院病原体検出情報

<2018年12月31日~2019年2月3日>

独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター

ウイルス分離状況

第5週(中間)第4週(中間)第3週(中間)第2週(最終)第1週(最終)2018年・2019年

1月28日~2月3日1月21日~1月27日1月14日~1月20日1月7日~1月13日12月31日~1月6日

87681インフルエンザウイルスA(H1)型pdm09

9151540A(H3)型

00000B型(山形系統)

00000B型(ビクトリア系統)

00000C型

11000解析中

20110RSウイルス

00000ヒトメタニューモウイルス

00000ムンプスウイルス

02020アデノウイルス

00000エンテロウイルス

00000ライノウイルス

00000単純ヘルペスウイルス

00000サイトメガロウイルス

00000パラインフルエンザウイルス 1型

000002型

000003型

000004型

10100解析中

00000未 同 定

21/4625/4423/4015/331/15分離総数/検体総数

抗原検出状況

第5週第4週第3週第2週第1週2018年・2019年

1月28日~2月3日1月21日~1月27日1月14日~1月20日1月7日~1月13日12月31日~1月6日

3936371412インフルエンザウイルス

3936371412A型

00000B型

20211RSウイルス

13000ヒトメタニューモウイルス

11000アデノ(呼吸器)

00120※溶連菌

00000アデノ(眼科)

01010アデノ(便中)

03201ノロウイルス

01000ロタウイルス

00000単純ヘルペス

01100水痘帯状疱疹

43/22946/23043/17218/14314/115陽性数/検体総数

※院内から提出される検体につきまして,同一患者から複数の検体が提出される場合がありますので,分離数と実質患者数が異なる場合,「分離数(実質患者数)」の順に記載しています。なお,これらの成績は主に以下の医療機関から定期的に送られてくる検体を解析したものです。*永井小児科医院,庄司内科小児科医院,仙台医療センター

コメント:今シーズンのインフルエンザウイルスA(H3)型につきましては,血球凝集性が非常に低く,赤血球凝集抑制試験による型同定が難しい状況です。一方,A(H1)pdm09型では血球凝集性はすべて確認できております。そのためA(H3)型につきましては,第2週の検体より,免疫学的にA型が確認され,かつ血球凝集が陰性の検体を,暫定的にA(H3)型として報告させていただきます。

公衆衛生情報みやぎ№490

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報告事項

茨 平成30年度スマートみやぎ県民会議(代表

者会議)について【健康推進課】

芋 循環器病対策基本法について【健康推進

課】

鰯 平成30年度国民健康保険料等の動向につい

て【国保医療課】

允 在宅酸素療法(HOT)患者の支援体制の構

築について【保健福祉総務課】

* * * * * * * * * *

「循環器病対策基本法」について

第197国会(平成30年12月10日)にて成立した

議員立法で,正式名称は「健康寿命の延伸等を

図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に

係る対策に関する基本法」となります。これま

での議論の経緯を踏まえ,「脳卒中・循環器病

対策基本法」と略されることもあります。

心疾患および脳卒中を含む脳血管疾患は我が

国の死因原因の上位を占めており,これらに関

する医療費も増加しています。両疾患群に回復

期での社会復帰の経過や医療ニーズに違いはあ

りますが,急性期に適切な医療を提供すること

でその後の生活予後が大きく改善する点が共通

することより,両疾患群を包括的に扱う本基本

法が制定されました。具体的な取り組みとし

て,脳卒中と循環器病に対する予防および発症

時の対応に関する啓発,迅速対応可能な救急医

療およびリハビリテーションを提供できる医療

体制の整備,後遺症を有する方への福祉サービ

ス,専門的研究の推進が含まれます。政府が策

定する「循環器病対策推進基本計画」をもとに,

都道府県も地域的特徴を踏まえた基本計画を策

定することとなります。

(文責:宮城県石巻保健所長・登米保健所長

鈴木 陽)

平成30年度第10回保健福祉事務所長等会議保健・医療専門部会 会議録

平成31年1月11日(金)

娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃

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哀哀哀哀

哀哀哀哀

保健所からの便り

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公衆衛生情報みやぎ№490

ウエルシュ菌食中毒について

1.はじめに

平成30年6月26日,若林区内にある矯正施設

で252名が発症する大規模なウエルシュ菌食中

毒が発生しました。矯正施設という特殊な環境

下において発生した今回の食中毒事件の概要

と,ウエルシュ菌食中毒について説明します。

2.食中毒事件の概要

平成30年6月26日夕方,矯正施設から若林区

保健福祉センターに,入所者複数名が朝から胃

腸炎症状を呈している旨の連絡が入りました。

直ちに衛生課で調査を行ったところ,866名中

252名が下痢,腹痛等の症状を訴えていること,

発症者に共通の食事は当該矯正施設で調理した

もののみであることなどから,食中毒と断定し

ました。

発症者の検便結果から,原因菌はウエルシュ

菌とわかりました。潜伏時間を考慮すると,前

日25日の昼食か夕食が疑われましたが,施設の

ふき取りや調理直後に取り分けられた保存食の

検査からは何も出なかったことなどから,原因

食品は特定されませんでした。

この施設では調理場内のエアコンは20℃に設

定していますが,25日は仙台市の最高気温が

28.5℃(気象庁データより)という暑い日であ

り,調理場内はかなりの高温状態であったと考

えられました。加えて,調理品は食缶に入れら

れたまま喫食までの間は常温で保管されていた

ことから,菌の発育至適温度帯が長く続いたこ

とが想定されました。以上のことから,調理品

の温度管理と喫食までの時間管理に問題があっ

たと考えられました。

なお,施設の特殊性から,入所者に対して発

症状況や喫食状況を直接調査できなかったこ

と,調理担当の入所者に対しても直接聞き取り

や衛生指導を行えなかったこと,またアルコー

ル消毒剤は飲用されるおそれがあるため使用で

きないなどの状況があり,衛生管理を指導する

立場としては,一般の施設にはない様々な制

約・課題が浮き彫りになった事件でした。

3.ウエルシュ菌食中毒について

ウエルシュ菌は偏性嫌気性の芽胞形成菌であ

り,ヒトや動物の腸管内,土壌,食品など自然

界に広く分布しています。ウエルシュ菌食中毒

はウエルシュ菌が腸管内で増殖し,芽胞を形成

する時に産生されるエンテロトキシンが原因と

なり,6~18時間(平均10時間)の潜伏期間の

後,主に腹痛や下痢などの症状を起こします。

ほとんどの場合,1~2日で回復します。

原因食品としては,カレーやシチューなど食

肉や魚介・野菜類を使用した煮物や大量調理食

品が多くみられます。加熱調理をした後でもそ

のまま放置することによって,生き残った耐熱

性の芽胞が発芽して菌が大量に増殖し,それを

食べることによって発症します。上記事例のよ

うに大量調理を行う施設で発生することが多

く,1件当たりの発症者数が多いという特徴が

あります。

予防方法として,調理したら早く食べるこ

と,小分けをして速やかに放冷し,冷蔵庫で保

存すること,再加熱の際は鍋の底までかき混ぜ

ながら十分に加熱を行うことが挙げられます。

最近ではニュースなどに「2日目のカレーはお

いしいけど危険?」というタイトルでウエル

シュ菌食中毒が紹介され,少しずつ認知されて

きているようです。皆さんも2日目のカレーを

食べる時はよくかき混ぜながら全体を十分に加

熱し,おいしく召し上がってください。

(文責:若林区保健福祉センター衛生課

戸井田幸代)

仙台市保健所・保健所支所からの「保健所便り」

公衆衛生情報みやぎ№490

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3月になり,段々と暖かくなって心も軽やかになってくる季節ですね。私の勤務している宮城県県民の森でも,草木の芽吹きや野鳥たちのさえずりで,春の訪れが感じられるようになってきました。今回は春によく見かけられる,身近な野鳥たちの様子について,少しご紹介したいと思います。野鳥たちにとって,春は恋の季節です。オス

はメスの気を引くために,ライバルに負けないよう一生懸命に美声を奏でます。この時の鳴き声を「さえずり」と言い,このさえずりを人の言葉に例えて表現したものを「聞きなし」と言います。例えばウグイスのさえずりは「法,法華経(ほう,ほけきょう)」,カッコウの仲間のホトトギスのさえずりは「特許許可局(とっきょきょかきょく)」などと聞きなされます。メジロは,その名の通り目の周りが白く,き

れいな緑色で,花の蜜や果物など甘いものが大好きな野鳥です。メジロのさえずりは,とても早口で賑やかで「長兵衛・忠兵衛・長忠兵衛」と聞きなされます。お花見の時期には,サクラの蜜を吸いに来ている姿がよく見かけられ,住宅地では庭にもやってくることが多いので,サクラの木や庭の花々に,すばしこくてにぎやかな緑色の鳥がやって来たら,よく耳をすまして,どんな風に鳴いているか聞いてみて下さい。ホオジロは,こちらもその名の通り頬が白く,スズメに良く似ているので山のスズメとも呼ばれます。ホオジロのさえずりは,「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」「源平つつじ,白つつじ」などと聞きなされます。野山を散策する機会があれば,この声が聞こえて来た時に,木の一番上を見上げてみて下さい。ホオジロが一生懸命にさえずっている姿を見つけられるかもしれません。

さて,ここで一息,クイズです。多くの野鳥は一夫一妻制ですが,次の野鳥の中で一夫多妻制なのはどの野鳥でしょう?

正解は,③のウグイスです。ウグイスは,繁殖期にはホーホケキョと一日

中さえずって,自分の縄張りにメスを誘い込み,次々とつがいになります。しかもウグイスのオスは,子育てを一切手伝わないというからひどい話です! ちなみに日本の国鳥のキジも,一夫多妻制でオスは子育てを一切しません。メジロは,一夫一妻のつがい関係を何年も続

けます。ハクチョウやヤマガラなども,何年も同じ相手と連れ添います。オシドリは,おしどり夫婦などという言葉も

あり,一見仲睦まじいイメージですが,実は繁殖が終わるごとに,毎年相手を変えているそうです! なんだかショックですね(笑)。

宮城県県民の森では,「野鳥クラブ」という野鳥の観察会を行っており,初心者の方から上級者の方まで和気あいあいと観察を楽しんでおります。4月は今回ご紹介した,メジロやホオジロなどが観察できることと思います。少しでも野鳥に興味を持たれた方は,ぜひ一緒に野鳥の観察を楽しんでみませんか? 皆様のご参加をお待ちしております。なお,詳細は宮城県県民の森のホームページ(http://mifi.main.jp/kenminmori.htm)をご覧下さい。

娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃

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哀哀哀哀

哀哀哀哀

ちょっとひと息

春の身近な野鳥たち

文・入岡知美

宮城県森林インストラクター協会

(宮城県県民の森 職員)

①メジロ ②オシドリ

③ウグイス

-25-

公衆衛生情報みやぎ№490

娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃

娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃娃

哀哀哀哀

哀哀哀哀

エコ・パークだより

1.はじめに

平成20年度に特定健診・特定保健指導が始ま

りました。当時,本県の健康課題は,「みやぎ21

健康プラン」等で,脳血管疾患の死亡率が全国

上位であることが重要課題としてあげられてい

ました。しかし,特定健診の結果が公表され,

本県はメタボリックシンドローム(以下「メタ

ボ」という。)該当者及び予備群を合わせた割

合が高く,全国上位であるということが分か

り,新たに重要課題に加わりました。

本県のメタボ該当者及び予備群の割合は,平

成20年度から平成25年度まで6年連続で全国2

位,平成26年度から平成28年度まで全国3位と

高い状況が続いています。メタボは,脳血管疾

患など動脈硬化性疾患のハイリスクであること

から,より実効性の高いメタボ対策が求められ

ています。

成果の見える対策を行うには,地域の優先す

べき健康課題の明確化や,要因の特定に取り組

み,県,市町村,医療保険者等が連携して,地

域の課題解決に向けた対策をPDCAサイクルに

基づき推進していくことが重要です。

そこで,特定健診の結果など,県民の保健,

医療,介護等に関するデータを継続的に集約・

分析し,圏域別,市町村別の特徴の把握や優先

的な健康課題の明確化を目的に,平成29年度か

ら本事業を開始しました。

今回は,特定健診結果の圏域別・市町村別見

える化を中心に紹介させていただきます。

2.事業内容

茨 検討会議の開催(2回)

有識者や医療保険者,行政関係者による検討

会議を開催し,県民の健康課題の明確化のため

に収集・分析が必要なデータの範囲等について

検討しました。

芋 データの収集・分析及びデータ集「デー

タからみたみやぎの健康」の作成

保健・医療・介護に関するデータ(主に平成

24年度から平成27年度)を収集し,全県データ

は,全国との比較や推移を見ました。圏域別,

市町村別データについては,比較できるように

標準化該当比を算出し,図やマップで見える化

しました。なお,圏域は,仙台市と県保健所(支

所)を単位としました。

結果は,「データからみたみやぎの健康」と題

し,データ集及び概要版を発行するとともに,

ホームページに掲載しました。

(http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kenske

/data-health-h29.html)

鰯 説明会の開催

平成30年2月に市町村,保険者等関係者を対

象に結果説明会を開催しました。

3.特定健診結果の見える化について

茨 使用したデータ

宮城県内の市町村国保及び全国健康保険協会

宮城県支部(以下「協会けんぽ」という。)の

加入者のデータを使用しました。データは,加

入者の住所地別,年代別の集計値で提供され,

みやぎのデータヘルス推進事業

~特定健診結果を圏域別,市町村別に見える化~

宮城県保健福祉部健康推進課

平成30年度一般財団法人宮城県公衆衛生協会研修会

-事例1-

公衆衛生情報みやぎ№490

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個人情報保護の観点から10人未満となる区分に

は秘匿処理が施されました。協会けんぽのデー

タは70歳以上が少なく,ほとんどの市町村別

データに秘匿処理がなされていたため,40~69

歳約28万人(市町村国保12万人,協会けんぽ16

万人)のデータを用いました。

使用したデータの保険者別,年代別人数は図

1のとおりです。

平成27年度の宮城県の40~69歳の特定健診受

診者数(全保険者)が約50万人※であることか

ら,今回用いたデータは,受診した県民のおよ

そ6割のデータとなります。市町村国保分につ

いては,各市町村の同意を得て,宮城県国民健

康保険団体連合会を通して提供を受けました。

※厚生労働省「第3回NDBオープンデータ」

芋 結果の見える化

圏域別,市町村別に見える化をするため,特

定健診の有所見者や質問票の回答者の標準化該

当比※を算出しました。

算出した標準化該当比を,圏域別は棒グラフ

で高い順に並べ(図2),市町村別は表1の区

分により,高い地域,低い地域が一目で分かる

ようにマップに色分けしました。(図3,4)

また,市町村毎に健診有所見者や生活習慣の

特徴がわかるようレーダーチャートを作成し,

掲載しました。(図5)

図1 保険者・年代別人数

※標準化該当比…年齢構成による差を取り除き,市町村

間比較をするために基準集団(県)を

100として相対値で表したもの。

表1 色分けの区分

「標準化該当比<100」かつ「信頼区間の上限<100」

有意に低い

「標準化該当比<100」かつ「信頼区間の上限≧100」

低いが有意でない

「標準化該当比>100」かつ「信頼区間の下限≦100」

高いが有意でない

「標準化該当比>100」かつ「信頼区間の下限>100」

有意に高い

図2 メタボリックシンドローム該当者及び予備群(40~69歳)

図3 メタボリックシンドローム該当者及び予備群(40~69歳)

図4 20歳の時から体重が10kg以上増加している(40~69歳)

図5 市町村別の特徴(標準化該当比)

【圏域別】

【市町村別】

【市町村別】

【A市男性】

-27-

公衆衛生情報みやぎ№490

鰯 見える化した項目

見える化した項目は表2,表3のとおりです。

健診結果及び質問票から主な項目を選定しまし

た。

4.その他の見える化

3において,特定健診結果の見える化につい

て記載しましたが,そのほかにも健康寿命や

がん・心疾患・脳血管疾患の標準化死亡比

(EBSMR)などを圏域別,市町村別に算出し,

同様にグラフやマップで見える化し,掲載して

います。

5.分析データの活用について

データ集に掲載したデータについては,県,

市町村,保険者等が,PDCAサイクルにより科

学的根拠に基づいた実効性ある施策の検討・評

価に用いるものです。

全県的には,スマートみやぎ健民会議を核と

して,県全体の課題を,県民及び企業,保険者,

教育機関等関係者と共有し,課題解決に向け,

産官学連携のもと,県民運動として一体となっ

た健康づくりの取組を行います。

また,地域ごとの健康課題については,保健

所を中心に,市町村,関係者により,課題の共

有と明確化を進め,連携して地域の課題解決に

取り組む「保健所健康づくり事業」を推進しま

す。

さらに,第2次みやぎ21健康プラン,第3期

宮城県食育推進プランの進行管理等施策の評価

を行います。

そのほか,県民への見える化ということで,

宮城県の健康課題をわかりやすく伝え,健康意

識の醸成を図るため,県政だより等の広報誌や

新聞等を通じて情報を発信します。

6.おわりに

特定健診が始まり,宮城県はメタボ該当者及

び予備群の割合が全国ワースト2位と公表さ

れ,県民も健康づくり関係者も宮城県民の健康

状態に危機感を持つようになりました。このこ

とにより,健康づくりの重要性が広く認識さ

れ,メタボ対策も強化されてきています。

今後,より実効性のある対策を行うには,本

県の特徴的な健康課題を分析,特定し,科学的

根拠に基づいた対策をPDCAサイクルで展開し

ていくことが重要です。これまでは,全データ

の約3割に当たる市町村国保のデータのみで地

域の特徴を見ていましたが,今回,協会けんぽ

のデータも合わせて分析することで,約6割を

カバーできるようになり,また,働き盛り世代

のデータが加わり,より精度の高いデータを提

供できるようになりました。今年度はさらに他

の医療保険者に依頼をし,データ数の増加を目

指しています。

一方で,地域の特徴は明確になりましたが,

要因分析までには至らず,データを十分に活用

できていないと感じています

県には,市町村ごとの健康状態や生活習慣の

状況の差の把握に努める役割があります。

各市町村や医療保険者がデータを有効に使え

るよう,今後もデータ提供や情報共有,連携強

化に努め,より実効のある生活習慣病対策を市

町村,医療保険者,企業,関係者と協働で推進

していきたいと思います。

表2 健診結果

項 目

・メタボリックシンドローム該当者

・メタボリックシンドローム該当者及び予備群

・腹囲

・肥満(BMI25以上)

・血圧130/85mmHg以上

・HbA1c5.6%以上6.4%以下

・中性脂肪150mg/dl以上

・LDLコレステロール140mg/dl以上

※HbA1cは6.5%以上は秘匿処理が多いため除いた。

表3 質問票

項 目

・20歳の時の体重から10kg以上増加している

・夕食後に間食をとることが週に3回以上ある

・就寝前2時間以内に夕食をとることが週に3

回以上ある

・朝食を抜くことが週に3回以上ある

・1回30分以上の汗をかく運動を週2回以上,

1年以上実施している

・睡眠で休養が十分にとれている

・現在,たばこを習慣的に吸っている

・お酒を毎日飲む

公衆衛生情報みやぎ№490

-28-

1.はじめに

登米市は,ご存知のとおり9つの町が合併し

ている市です。

健診の受診率については,合併前から高く経

過しており,現在は特定健診の受診率60%を超

えています。このように,自分の健康状態を確

かめている人は多いのですが,メタボリックシ

ンドローム該当者及び予備群に該当する率も高

く,さらなる生活習慣改善の啓発が重要である

と認識していました。

そこで,今回特定健診時に尿ナトリウム・カ

リウム比の測定を行い,生活習慣の改善のため

に食支援の視点を変え,行動の変容を促す取り

組みを実施したので紹介します。

2.背景と取り組みの考え方

〇登米市の健康課題…H27年度特定健診結果

・メタボ該当者 圏域ごと順位

男性 ワースト2位・女性 ワースト1位

・血圧項目 要医療者 約3割

〇東北メディカル・メガバンク機構地域住民コ

ホート調査による尿中ナトリウム・カリウム

の値の平均値が,他の県内市町村と比べ高い

状況

そこで・・

新たに生活習慣の一部を数字で示すことによ

り,市民と共通の理解で適塩推進を図ることに

挑戦することとしました。

3.目 的

〇気づく

・自分のナトリウムとカリウムの摂取バランス

を知る。

・自分の適正な塩分摂取量や野菜摂取量を知る。

〇学ぶ

・生活習慣病のリスクについて学ぶ。

・生活習慣病を予防するための食生活について

学ぶ。

〇変わる

・適塩,野菜摂取を意識した食生活ができる。

・家族で健全な食生活に取組む。

4.内 容

東北大学 東北メディカル・メガバンク機構

と連携協定を結び,協力を得て実施しています。

〇実施期間

・平成29年度~31年度(3年間)

・対象

特定健診受診者または健康教室受講者で本事

業の趣旨を理解し承諾したもの

・方法

尿ナトカリ計で測定し結果はその場で返す。

(OMRONナトカリ計HEU-001F使用)

市民への食支援の視点を変える

~特定健診尿ナトカリ比測定の試みから~

佐々木 秀 美*,須 藤 庸 子*

平成30年度 一般財団法人 宮城県公衆衛生協会研修会

-事例2-

*登米市市民生活部健康推進課

〈宮城県内尿ナトカリ比平均値〉

女性男性地区

3.634.00登米市

3.253.58他の市町村

(2013~2015年)

-29-

公衆衛生情報みやぎ№490

〇具体的取り組み

茨 特定健診会場で測定

市内9総合支所単位全20会場 86日間実施

・東北大学・健診団体・市の三者契約で実施

・登米市医師会には,3年間の研究事業とし

て実施ということで了解あり

<告示>

<測定>

<情報提供>

芋 講演会(報告会)…H29.11.10実施

講師は,東北メディカル・メガバンク機構

寳澤 篤 教授にお願いしています。

〇健診従事者報告会

<対象>…実務に携わった者

測定従事者・保健師・栄養士等 21人参加

*従事者の多くは退職後の先輩専門職

<参加者の声>

・地区活動から見えていたことと,高血圧の地

区分布が一致し,納得できた。

・「ナトカリ」の認知度をあげたい。

等意欲的な声が聴かれました。

〇食育フォーラム…H30.2.20実施

テーマ「活かそう! 登米の野菜の力」

<対象>

登米市地産地消推進店・食育関係者・一般

85人参加

<参加者評価>…5段階評価

① 血圧と尿ナトカリ比関係の理解 4.2

② 野菜に対する関心度 4.5

③ 講話の内容の伝達意識 4.3

④ フォーラムの満足度 4.3

改めて血圧を考える機会となると共に,地域

への伝達意欲の向上につながったと考えられま

す。

鰯 結果及び考察

① 特定健診に導入し,結果をまとめるこ

とができた。(平成29年度,30年度2年間)

・実施率 99.9%

(実施者数/健診受診者数)

・全体集計

② 収縮期血圧値に及ぼす要因について

年齢が高いほど・BMIが高いほど・ナトカリ

比が高いほど・飲酒量が多いほど,収縮期血圧

値が有意に高くなることが示された。

③ 集計について

市の啓発活動の基本単位である総合支所単位

での分布集計も得られ,市民,スタッフ共に生

活習慣改善意欲の向上につながりやすくなった。

④ 市民の反応

・測定従事者として,先輩保健師,栄養士,看

護師の協力が得られ,地域の生活背景と尿ナ

トカリの結果を結びつける情報が得られた。

・何度も言葉では聴きなれている減塩について

数値化して提示することにより,対象者個人

〈尿ナトカリ比値全体集計(平均値)〉

女 性男 性実施年度(実施者数)

4.725.00H29 (15,341人)

4.404.65H30 (15,071人)

*結果については,全く同じ集団を追いかけていないため,直接比較はできないので要注意

公衆衛生情報みやぎ№490

-30-

の反応に変化がみられ,新たな関心を引き出

すきっかけになると考えられる。

允 まとめ

地域のキーパーソンとのネットワークを活か

し,「減塩=マイナス」から「野菜を食べよう

=プラス」の視点にイメージの転換をし,市民

の具体的生活習慣に向けた食支援を展開してい

きたいと考えます。今,体に起きている現象,

肥満,高血圧がどうしていけないのか,塩分が

高いとなぜいけないのかという啓発が不十分で

あったことを反省しています。さらに,ベース

となるポピュレーションアプローチを基本に,

地域の力をいかして共に啓発していくことの重

要性を再認識しています。

今後も,登米市の財産である「人のつなが

り」「豊かな土壌」を活かし健康なまちづくりに

取組んでいきたいと考えております。

-31-

公衆衛生情報みやぎ№490

角田市は,平成29年度に人口が3万人を下回

り,高齢化率は31.5%と県全体と比べて高い現

状にあります。

「スマートかくだチャレンジ事業」は平成29

年度からスタートした事業で,平成25年度より

実施していました「健康ポイント事業」を拡

大・効率化した事業です。

1.健康ポイント事業(平成25度~平成28年度)

茨 実施の背景

事業を検討するうえで,まずは健康課題を分

析しました。その結果,メタボリックシンド

ロームの該当者及び予備群の割合が県内でも高

く,平均歩行数も全国・県全体と比べて2,000

歩ほど少ないという現状でした。そこで,その

ような課題を改善するべく,「楽しみながら元

気になれる方法は」と検討し,実施し始めたの

が『健康ポイント事業』です。

芋 事業内容

メタボリックシンドロームが多くなる40歳以

上を対象として,ウォーキングや運動事業に参

加するごと「健康ポイント」が貯まるという事

業です。健康ポイントは,紙カードにスタンプ

を押すことでポイントを付与し,貯まった健康

ポイントは角田スタンプ会で実施している「た

めトクポイント」に交換し,商店街で利用する

ことができます。

鰯 事業の成果

健康ポイント事業を始めた平成25年度からは

ウォーキング事業への参加者数が急増し,健康

ポイント数についても増加傾向にあり事業の定

着が伺えました。角田スタンプ会で実施してい

た既存のポイントシステムと連携できたこと

が,成果につながったと考えています。

允 見直し

年齢階層別にウォーキング事業参加者と平均

ポイント数を分析したところ,働き世代の参加

が少なく60代の参加者が多いことが分かりまし

た。70~80代のポイント数が多いのは,サーク

ル活動へのポイント付与によるものであり,参

加者の固定化も見られました。

健康の課題を解決するべく,事業を再検討

し,平成29年度から「スマートかくだチャレン

ジ事業」として強化しました。

スマートかくだチャレンジ事業

佐 藤 大 地*

平成30年度 一般財団法人 宮城県公衆衛生協会研修会

-事例3-

*角田市市民福祉部健康推進課成人保健係

栄養士

ウォーキング事業参加者数・健康ポイント総数(年次推移)

年代別ウォーキング事業参加者数・健康ポイント平均数(平成28年度)

公衆衛生情報みやぎ№490

-32-

2.スマートかくだチャレンジ事業(平成29年

度~)

茨 事業内容

健康(幸)長寿社会に向け,下記の3つのス

マートを柱に事業を実施しています。

① 健康ポイント事業のスマート

ア 紙のポイントカードを「電子カード

化」

→ポイント付与,参加者の分析の効率化が図れ

ています。

イ 対象事業の拡大

→これまでウォーキング事業や運動教室だけで

あった対象を,①身体を知る「各種健(検)

診」,②健康づくり運動を知る「運動体験」,

③健康づくり運動を継続する「登録・加入」

の一連の流れにポイントを付与することにし

ました。各種健診は特定健診やがん検診など

を対象にしており,市で行っているものに限

定せず会社等で受けたものも対象にしていま

す。また運動教室の入会については,民間の

ジムやフィットネス,スポーツ関連の部署と

連携することで対象の幅を広げました。

ウ 対象年齢を拡大

→40歳以上から20歳以上にしました。

※その他「スマか」の活用

→市内3か所に体組成計と血圧計を常設し,市

民の方が自分自身で気軽に健康チェックをで

きるようにしました。「スマか」を活用する

ことで,測定の際に必要な情報の入力を2回

目以降省略できるほか,前回のデータを端末

で確認し比較することができます。さらにス

マートフォンやパソコンと連動することで,

いつでも簡単に測定結果や健康ポイントを確

認することもできます。

② 活動量計を活用したスマート事業

ウォーキング事業への参加が難しい方や一人

でコツコツ健康づくりに取り組みたい人向けに

行っているもので,自分の活動量を確認しつ

つ,目標に向かって努力してもらう事業です。

申込みいただいた方は,初めに体組成測定と

専門職との個別面談を行います。面談では現在

の身体の状態を確認し,自分にあった体重減少

や歩数の目標を立てます。その後,90日間活動

量計を付け,意識しながら生活します。そして

最終日に,再度体組成測定と面談を行い,90日

間の振り返りを行います。また,日々の頑張り

や90日後の身体の変化等の成果に応じて健康ポ

イントを付与しています。

活動量計の種類は,気軽に始めることのでき

る「ポケット型」と機能を充実させた「ウエア

ラブル型」を用意し,対象者に合ったものを提

供しています。

③ 生活習慣病対策によるスマート事業

対象者をKDBやレセプトデータから分析・選

定を行い,受診勧奨や訪問面接による保健指導

等の支援を行っています。

④ 体成分相談(サポート事業)

スマートかくだチャレンジ事業のサポート事

業として月に1回実施しています。予約不要で

個人の都合に合わせて参加でき,メニューも自

分の希望に合わせて利用可能なため,初めての

方でも参加しやすいのが特徴です。内容は,体

成分測定のレクチャーや測定結果に基づく専門

スマートかくだチャレンジカード通称「スマか」

-33-

公衆衛生情報みやぎ№490

職による個別相談,運動の講話・体験などを

行っています。

芋 事業結果(平成29年度)

① 健康ポイント事業

「スマか」交付者数は,4,374人(17.5%)に

のぼり,健康意識が高まっていると感じていま

す。しかし,従来からの健康ポイント事業と同

様に働き世代の交付率が低いことや,交換率や

ブースの利用が少ないことから,「スマか」を十

分に活用できている人がまだ少ないことが分か

りました。

そこで今年度は,対象の多い総合健診の会場

でポイント交換を行うことで,事業に参加し健

康づくりを行うことでのメリットを実感しても

らうようにしました。また,働き世代の健康づ

くりに関しては,スポーツ関連の部署との連携

を密にし,事業の検討や仕組みづくりを行って

います。

② 活動量計事業

他の事業と異なり,男性の参加が多く,参加

者全体の9割に良い結果が出ています。また,

活動量以外に食生活などにも改善意欲が見られ

ました。しかし,まだまだ参加者数が少なく,

参加者の5割が60代と周知方法等に課題が残る

結果でもありました。

③ 生活習慣病対策事業

医療機関未受診者へ,通知や電話による受診

勧奨や,訪問・面接による保健指導を実施しま

した。当市は,糖尿病罹患者割合が高いことも

課題であり,糖尿病性腎症重症化予防への取り

組みも進めていく予定です。

3.最後に

より良い事業になるよう事業評価・分析を行

いながら,市民の方々と共に,健康づくりに取

り組んでいきたいと思います。

公衆衛生情報みやぎ№490

-34-

暦の上では,立春も過ぎ春も近づいてきまし

た。読者の皆様におかれましてはいかがお過ご

しでしょうか。

今年はインフルエンザが全国的に大流行し,

当協会におきましても感染した職員もおりまし

た。今後もうがい,手洗い等の予防を行いま

しょう。

さて,3月号から昨年11月に開催いたしまし

た「特定検診10年を振り返って ~その成果と

課題~の事例発表の内容を掲載しております。

研修会に参加された方,参加できなった方々に

もご参考になればと思っております。

今後も読者の皆様からのご意見・情報をお待

ちしております。

(事務局:[email protected]

あ と が き