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背景　冠血管内皮機能と動脈スティフネスは心血管事故の独立した規定因子である。

目的　脈波伝播速度（pulse wave velocity；PWV）を用いて動脈スティフネスを評価し、冠血管内皮および平滑筋機能との関連を検討した。

方法・対象　胸痛あるいは心電図異常の精査のために心臓カテーテ

ル検査を施行し、冠動脈に有意狭窄を認めない患者65例（男性47例、女性18例、平均年齢61.0歳）。内皮依存性冠拡張物質であるブラジキニン（bradykinin［BK］：0.2、 0.6、2.0μg /min）とパパベリン（papaverine［Pa］12mg）およびニトログリセリン（nitroglycerin［NTG］250mg）を左冠動脈に投与し、定量的冠動脈造影法とドプラーガイドワイヤー法により左冠動脈前下行枝近位部の冠動脈径

（coronary artery diameter；CoD）と冠血流量（coronary blood flow；CBF）を算出した。PWVはオムロンヘルスケア社製form PWV/ABIにて測定した上腕－足首間PWVを用いた。

松本鉄也（論文執筆時：滋賀医科大学循環器内科、現所属：大阪教育大学健康生活科学講座）吉野知秀／中江一郎／三ツ浪健一／堀江　稔

脈波伝播速度は冠血管の内皮および平滑筋機能を反映する

Yoshino T, Nakae I, Matsumoto T, Mitsunami K, Horie M.Clin Exp Pharmacol Physiol 2011; 38: 34-41. PMID: 21039754

Association between brachial-ankle pulse wave velocity and endothelium-dependent and -independent coronary vasomotor function.

英文原著論文紹介 ⑥心血管

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Δ％CoD（BK 0.2μg/min）

2,000baPWV（cm/sec）

r＝－0.32 p＜0.05

1,7501,5001,2501,000

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Δ％CoD（BK 0.6μg/min）

2,000baPWV（cm/sec）

r＝－0.37 p＜0.01

1,7501,5001,2501,000

50

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Δ％CoD（BK 2.0μg/min）

2,000baPWV（cm/sec）

r＝－0.34p＜0.01

1,7501,5001,2501,000

図1 ● ブラジキニン投与による冠動脈径の変化率（心外膜冠動脈の内皮依存性拡張作用）とbaPWVの関係

Δ％ CoD：冠動脈径の変化率、BK：ブラジキニン。

この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちらClick "Arterial Stiffness" web site for more articles.

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結果　PWVはBKによる冠動脈径変化率と逆相関を認めた。PWVはBKによる冠血流量増加率と逆相関を認めた。PWVはPaによるCBF増加率やNTGによるCoD増加率とそれぞれ逆相関を認めた。糖尿病の独立した規定因子はPWV、BKの冠動脈作用、冠血流予備能であった。

考察 　PWVが心血管事故の有用な推測因子である理由としてPWVが冠血管機能を反映する可能性が示唆される。

結論　冠動脈の有意狭窄を認めない患者において、PWVは冠血管の内皮および平滑筋機能の障害を反映する可能性が示唆された。

英文原著論文紹介⑥

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Δ％CoD（BK 0.2μg/min）

2,000baPWV（cm/sec）

r＝－0.37p＜0.01

1,7501,5001,2501,000

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Δ％CBF（BK 0.6μg/min）

2,000baPWV（cm/sec）

r＝－0.37p＜0.01

1,7501,5001,2501,000

600

500

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300

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0

Δ％CBF（BK 2.0μg/min）

2,000baPWV（cm/sec）

r＝－0.40 p＜0.01

1,7501,5001,2501,000

図2 ● ブラジキニン投与による冠血流量の変化率（冠抵抗血管の内皮依存性拡張作用）とbaPWVの関係

Δ％ CBF：冠血流量の変化率、BK：ブラジキニン。

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