23
岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程 3年次編入学を 希望の皆様へ Course of Applied Life Science, Faculty of Applied Biological Sciences, Gifu University

3年次編入学を Biological - Gifu University · 物理学Ⅰ 物理学Ⅱ 食品工学* ... 基礎数学 生物統計学 情報処理演習 応用生命科学実習ii 食品生命科学演習

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岐阜大学 応用生物科学部

応用生命科学課程

3年次編入学を

希望の皆様へ

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Bio

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cien

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nive

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岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程

3年次編入学を希望の皆様へ

目 次

1 岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程とは? 1

2 応用生命科学課程3年次編入学の試験について 1

3 3年次編入学入学者の出身校(過去7年間) 2

4 応用生命科学課程カリキュラムの流れ 3

5 編入学後の単位認定と授業時間割の例

高等専門学校出身者 4

短期大学出身者 5

4年制大学出身者 6

6 研究内容・教員紹介

分子生命科学コース 8

食品生命科学コース 13

7 3年次編入学した先輩の声 18

8 学生から見た当課程3年次編入学のセールスポイント 20

9 卒業後の進路 21

1 岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程とは?

食・健康・環境の課題解決に向けて生命科学を活用する

「生命」を知ること、これが応用生命科学課程の原点です。生命についての幅広い

学問を習得することは、「食の安全」「健康の増進」「環境の改善」など人類が直面

している課題の解決に必須です。本課程では、化学と生物学を基礎とする広範囲な

生命科学教育を行い、食品・医薬品・環境・健康などの生物産業(バイオ産業)の

諸分野で活躍できる人材を育成します。

応用生命科学課程には、2つの専門教育コースがあります

生命科学の基礎から応用までを教育する「分子生命科学コース」と、生命科学のう

ち特に食品について教育する「食品生命科学コース」です。両コースとも生命や食

に関する学問を様々な角度から教育することによって、健康と生活環境の向上に貢

献する人材を養成します。

2 応用生命科学課程3年次編入学の試験について

■概要

募集人数は 5名です。例年 6月下旬に入試を行います。募集要項は、例年5月に配

布開始されます。平成 29年度入試は下記の日程で実施されます。

期日 区分 時間 場所

平成 28年 6月 21日(火) 小論文 10時~11時 30分 岐阜大学

応用生物科学部 面接 13時~

■過去の編入学試験の情報

過去の情報については、岐阜大学ホームページの「入試案内」→「編入学試験入試

日程・募集人数」を参考にしてください。ホームページのアドレスは以下です。

http://www.gifu-u.ac.jp/admission/accepted/accepted.html

■小論文の過去問題

小論文の過去問題は、以下の連絡先から取り寄せることが可能です。

郵便番号 501-1193 岐阜市柳戸 1-1 岐阜大学応用生物科学部学務係

電話: E-mail アドレス:

取り寄せの詳細は、募集要項を参考にしてください。

■応用生命科学課程教員への問い合わせ

教員に個別に問い合わせを行いたい時には、学務係(上記)にご連絡下さい。

[email protected] 058-293-3409

1

3 3年次編⼊学⼊学者の出⾝校(過去7年間)

区分 出身校苫小牧工業高等専門学校福島工業高等専門学校富山高等専門学校豊田工業高等専門学校鈴鹿工業高等専門学校神戸市立工業高等専門学校高知工業高等専門学校沖縄工業高等専門学校東京農業大学短期大学部日本大学短期大学部岐阜市立女子短期大学富山大学富山県立大学福井県立大学中京大学名城大学同志社大学香川大学佐賀大学

高等専門学校

短期大学

4年制大学

出身校は北から南に向かって列記しております。過去の入学者数とは関係ありません。

2

前学

期後

学期

前学

期後

学期

前学

期後

学期

前学

期後

学期

有機

化学

概論

*有

機化

学Ⅰ

有機

化学

Ⅱ生

物有

機化

無機

化学

*立

体化

学生

理活

性物

質学

化学

Ⅰ化

学Ⅱ

分析

化学

*機

器分

析学

I機

器分

析学

II

天然

物化

物理

化学

バイ

オマ

ス化

学生

物物

理化

食品

化学

Ⅰ*

食品

化学

Ⅱ*

食品

成分

化学

栄養

化学

I*

栄養

化学

II*

動物

性食

品化

学*

生命

倫理

学免

疫化

生化

学Ⅰ

*生

化学

Ⅱ*

酵素

科学

分子

細胞

生物

生物

学Ⅰ

生物

学Ⅱ

環境

微生

物化

学ゲ

ノム

生物

学植

物栄

養学

基礎

微生

物学

*微

生物

機能

学微

生物

遺伝

学環

境微

生物

工学

食品

安全

性学

*食

品微

生物

学*

食品

衛生

学*

公衆

衛生

学*

食品

関連

法規

*

食品

保蔵

学*

物理

学Ⅰ

物理

学Ⅱ

食品

工学

*食

品物

理化

食品

加工

学応

用生

命科

学概

論地

 学

食品

流通

シス

テム

科学

*

食品

政策

科学

食品

マー

ケティン

グ科

基礎

科学

英語

基礎

科学

英語

専門

科学

英語

専門

科学

英語

基礎

数学

生物

統計

情報

処理

演習

応用

生命

科学

実習

II食

品生

命科

学演

習応

用生

命科

学実

習I

応用

生命

科学

演習

食品

生命

科学

実験

*

分子

生命

科学

演習

応用

生命

科学

実験

*分

子生

命科

学実

験*

初年

次セ

ミナ

 注

: 

全学

共通

科目

は「教

養教

育推

進セ

ンタ

ー」で

実施

され

る科

目群

です

卒業

研究

4 

応用

生命

科学

課程

カリ

キュ

ラム

の流

れ1

年生

2年

生3

年生

4年

化 学 関 連 科 目

生 物 学 関 連 科

そ の 他 の 科 目 卒 業 研 究

実 験 ・ 演 習 ・ 全 学 共 通 科 目

人文

科学

社会

科学

自然

科学

複合

領域

外国

語科

人文

科学

社会

科学

自然

科学

複合

領域

外国

語科

人文

科学

社会

科学

自然

科学

複合

領域

外国

語科

3

5 編⼊学後の単位認定と授業時間割の例高等専門学校出身者食品生命科学コースに編入後、学士を修了し、現在、大学院(応用生命科学専攻)で研鑽中。

単位認定

単位数 認定結果 単位数 未認定科目名 単位数2 認定1 認定 2

11

1 認定2 認定 22 認定 22 認定 22 認定 22 認定 22 認定 2

2+2 認定1+1 *2+2 *2 未認定 生物化学 22 認定 22 認定 21 認定2 認定 22 該当なし2 認定 22 認定 22 該当なし2 該当なし

学生が申請した科目内容を担当教員が調査・判断して、単位認定の可否を決めます。*「応用生命科学実験」の一部の実験項目に対し個別に認定が行われている。「応用生命科学演習」は同実験と連動して履修する。

時間割

前期 1限目 2限目 3限目月 栄養化学Ⅱ 食品生命科学演習

火 微生物遺伝学 食品流通システム科学

水 食品工学 食品マーケティング科学 専門科学英語木 専門科学英語 応用生命科学演習

金 酵素科学 食品化学Ⅰ

前期 1限目 2限目 3限目月 食品微生物学 食品生命科学演習

火 動物性食品化学 食品成分化学水 栄養化学Ⅰ 食品関連法規 専門科学英語木 専門科学英語 応用生命科学演習

金 免疫化学 食品保蔵学

前期 1限目 2限目 3限目月火 環境微生物化学水 バイオマス化学

木 植物栄養学金 食品安全性学

前期 1限目 2限目 3限目月火水 食品物理化学木金

4年生の時間割の空白の時間帯は、所属する研究室で「卒業研究」を行います。

応用生命科学演習応用生命科学実験

4限目

認定単位(応用生命)

認定2

科目名 認定科目名一括認定情報処理 I

化学化学 II

申請

応用生命科学概論情報処理演習

有機化学概論

応用生命科学実習生化学 I

一括認定

食品化学 I無機化学

分析化学物理化学

基礎微生物学有機化学 I基礎統計学

基礎科学英語

生物化学分析化学物理化学 I微生物学 I

応用数学 I

栄養化学 I有機化学 II生化学 II

応用生命科学実習 II機器分析学 I

有機化学(2年)

一括認定­­

有機化学(3年)分子生物学

­

一括認定機器分析化学

無機化学微生物学 I

­

­

­

3年生 前学期

微生物機能学食品化学 II

4限目食品生命科学実験食品生命科学実験

食品衛生学

食品生命科学実験食品生命科学実験

3年生 後学期4限目

応用生命科学実験/卒論*

4年生 後学期4限目

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

4年生 前学期

*単位認定に従い「応用生命科学実験」の実験項目を受講。実験が無いときには卒業研究を行う。

4

5 編⼊学後の単位認定と授業時間割の例短期大学出身者食品生命科学コースに編入後、学士を修了し、現在、大学院(応用生命科学専攻)で研鑽中。

単位認定

単位数 認定結果 単位数 未認定科目名 単位数2 認定 21 認定 2

1 認定2 認定 22 該当なし2 未認定 物理の世界 22 認定 22 該当なし2 該当なし

2+2 認定1+1 *2+2 *2 認定 22 該当なし2 未認定 生化学 II 21 認定2 該当なし2 認定 22 認定 22 該当なし2 該当なし2 認定 2

学生が申請した科目内容を担当教員が調査・判断して、単位認定の可否を決めます。*「応用生命科学実験」の一部の実験項目に対し個別に認定が行われている。「応用生命科学演習」は同実験と連動して履修する。

時間割

前期 1限目 2限目 3限目月 物理化学 食品生命科学演習

火 有機化学Ⅰ 分析化学水 基礎統計学 食品マーケティング科学 専門科学英語木 専門科学英語 応用生命科学演習

金 酵素科学 食品化学Ⅰ

前期 1限目 2限目 3限目月 微生物機能学 食品生命科学演習

火 有機化学Ⅱ 機器分析学Ⅰ水 食品物理化学 食品関連法規 専門科学英語木 専門科学英語 応用生命科学演習

金 免疫化学 食品化学Ⅱ

前期 1限目 2限目 3限目月 栄養化学Ⅱ火 微生物遺伝学 食品流通システム科学

水 食品工学木 食品衛生学 基礎微生物学金 食品安全性学

前期 1限目 2限目 3限目月 食品微生物学 食料政策科学火 動物性食品化学 食品成分化学水木 食品加工学 公衆衛生学金 食品保蔵学

4年生の時間割の空白の時間帯は、所属する研究室で「卒業研究」を行います。

認定単位(応用生命)科目名 認定科目名

応用生命科学概論 一括認定

申請

情報処理演習 情報処理 I

有機化学概論 2 該当なし ­

応用生命科学実習 一括認定生化学 I 生化学 I分析化学 ­物理化学 ­

基礎微生物学 食品微生物学有機化学 I ­基礎統計学 ­

基礎科学英語 一括認定応用生命科学演習 ­応用生命科学実験 ­

栄養化学 I 基礎栄養学有機化学 II ­生化学 II ­

応用生命科学実習 II 一括認定機器分析学 I ­食品化学 I 食品学無機化学 基礎実験化学

微生物機能学 ­

4限目

食品化学 II ­食品衛生学 食品衛生学

3年生 前学期4限目

食品生命科学実験食品生命科学実験

食品生命科学実験食品生命科学実験

3年生 後学期

4限目

4年生 後学期4限目

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

4年生 前学期

*単位認定に従い「応用生命科学実験」の実験項目を受講。実験が無いときには卒業研究を行う。

5

5 編⼊学後の単位認定と授業時間割の例4年制大学出身者 例1食品生命科学コースに編入し、現在、学部3年生として勉学中。

単位認定

単位数 認定結果 単位数 未認定科目名 単位数2 認定

11

1.51.5

1 認定22

2 認定 22 認定 22 認定 22 認定 22 該当なし

2+2 認定1+1 *2+2 *2 認定 22 該当なし

22

1 認定2 認定 22 未認定 食品科学概論 22 認定 22 認定 22 未認定 細胞工学 22 認定 2

学生が申請した科目内容を担当教員が調査・判断して、単位認定の可否を決めます。*「応用生命科学実験」の一部の実験項目に対し個別に認定が行われている。「応用生命科学演習」は同実験と連動して履修する。

時間割

前期 1限目 2限目 3限目月 栄養化学Ⅱ 食品生命科学演習

火 微生物遺伝学 食品流通システム科学

水 基礎統計学 食品マーケティング科学 専門科学英語木 専門科学英語 食品生命科学演習

金 酵素科学 食品安全性学

前期 1限目 2限目 3限目月 食品微生物学 食品成分化学火 有機化学Ⅱ 動物性食品化学水 食品物理化学 食品関連法規 専門科学英語木 専門科学英語 食品加工学金 免疫化学 食品保蔵学

1 認定

認定

申請

情報環境演習1情報環境演習2

認定単位(応用生命)科目名 認定科目名

応用生命科学概論 一括認定

情報処理演習

生化学1生化学 I 2

応用生命科学実習

3年生 後学期4限目

*単位認定に従い「応用生命科学実験」の実験項目を受講。実験が無いときには卒業研究を行う。

食品化学 I ­無機化学 化学Ⅰ

微生物機能学 応用微生物学

応用生命科学実験/卒論*

食品化学 II ­食品衛生学 微生物学2

3年生 前学期4限目

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

食品生命科学実験食品生命科学実験

食品生命科学実験食品生命科学実験

分子生物学1

応用生命科学実習 II 一括認定機器分析学 I 機器分析化学

生化学 II 2 認定分子生物学2

応用生命科学実験 ­栄養化学 I 栄養化学有機化学 II ­

基礎統計学 ­基礎科学英語 一括認定

応用生命科学演習 ­

物理化学 生物物理化学1基礎微生物学 微生物学1

有機化学 I 有機化学3

一括認定

生化学2分析化学 化学Ⅱ

有機化学概論 2 認定有機化学及び演習1

有機化学及び演習2

6

5 編⼊学後の単位認定と授業時間割の例4年制大学出身者 例2分子生命科学コースに編入し、現在、学部3年生として勉学中。

単位認定

単位数 認定結果 単位数 未認定科目名 単位数2 認定1 認定 22 該当なし1 認定2 該当なし2 該当なし2 該当なし2 該当なし2 該当なし

22

2+2 認定1+1 *2+2 *2 該当なし2 認定2 認定1 認定2 該当なし2 該当なし2 該当なし2 認定2 該当なし2 該当なし

学生が申請した科目内容を担当教員が調査・判断して、単位認定の可否を決めます。*「応用生命科学実験」の一部の実験項目に対し個別に認定が行われている。「応用生命科学演習」は同実験と連動して履修する。

時間割

前期 1限目 2限目 3限目月 生化学Ⅰ 分子生命科学演習

火 有機化学Ⅰ 食品化学Ⅰ水 バイオマス化学 機器分析学Ⅱ 専門科学英語木 物理化学 応用生命科学演習

金 免疫化学 分析化学

前期 1限目 2限目 3限目月 食品微生物学 分子生命科学演習

火 生理活性物質学 機器分析学Ⅰ水 栄養化学Ⅰ 分子細胞生物学 専門科学英語木 応用生命科学演習

金 環境微生物工学 食品化学Ⅱ

有機化学概論 ­

統計工学基礎統計学 2 認定

確率統計

応用生命科学実習 一括認定生化学 I ­分析化学 ­

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

応用生命科学実験/卒論*

*単位認定に従い「応用生命科学実験」の実験項目を受講。実験が無いときには卒業研究を行う。

4限目

食品化学 II ­食品衛生学 ­

3年生 前学期4限目

分子生命科学実験分子生命科学実験

分子生命科学実験分子生命科学実験

3年生 後学期

食品化学 I ­無機化学 ­

微生物機能学 聴講済

生化学 II 聴講済応用生命科学実習 II 一括認定

機器分析学 I ­

応用生命科学実験 ­栄養化学 I ­有機化学 II 聴講済

基礎科学英語 一括認定応用生命科学演習 ­

物理化学 ­基礎微生物学 ­

有機化学 I ­

情報処理演習 情報技術の基礎

認定単位(応用生命) 申請科目名 認定科目名

応用生命科学概論 一括認定

7

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程 岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻 分子生命科学コース

研究内容・教員紹介

石田 秀治 教授 Hideharu ISHIDA

専門分野

主な研究テーマ

生体分子化学

生理活性複合糖質の化学生物学的研究

研究のキーワードは、生理活性物質、複合糖質、化学生物学です。この3

つをつなげると、以下のようなストーリーになります。ガンや免疫、感染

など種々の生命現象に関与する物質(広い意味の生理活性物質)のうち、

特に糖鎖とタンパク質の複合体や糖鎖と脂質の複合体(複合糖質)に注目

し、それらを化学的に再構築したり、類似の構造の物質を設計したりして、

複合糖質の生物機能の解明を行います(化学生物学)。その結果が病気の

発症機序の解明や診断、治療などに応用できれば最高です。

タミフルは、生理活性複合糖質の化学生物学的研究から生まれました。

安藤 弘宗 准教授 Hiromune ANDO

専門分野

主な研究テーマ

分子創製応用科学

生理活性糖鎖の化学合成と機能応用

研究のキーワードは、糖鎖と有機合成化学です。糖鎖の機能は主に細胞膜

の細胞外側で発揮されており、細胞間の情報伝達や病原体の感染などに重

要な関与を示します。しかし、分子レベルでの機能理解はまだまだ不十分

で、糖鎖の潜在機能の開拓には大いなる可能性が秘められています。有機

合成化学には自然の産物である分子を構築するばかりでなく、分子に様々

な機能(光る、くっ付くなど)を加えて有用な分子ツールを作り出す力が

あります。有機合成化学と分子生物学との融合で糖鎖のポテンシャルを開

拓するのが、研究の狙いです。(左図:京都大・楠見研究室との共同研究) 細胞膜中の糖鎖の1分子イメージング

今村 彰宏 准教授 Akihiro IMAMURA

専門分野

主な研究テーマ

応用糖質化学

生理活性糖質分子の有機合成と機能解明

自然界に存在する糖質分子には様々な生理活性機能があることが知られて

います。我々はその機能解明を有機化学の力を借りて行おうとしています。

糖質分子の有機合成は一言で言えば“分子レベルのものづくり”です。今

まで世界で誰も作った事のない分子を作り上げたり、その分子で誰も知ら

なかった生理現象を突き止めたり、有機合成の可能性は無限にあると思い

ます。我々の研究室では、糖鎖の有機合成を中心とした基礎的研究から糖

鎖生物学を指向した応用研究まで幅広い研究テーマを推進しています。

「岐阜から世界へ発信する!」を合言葉に日々研究に励んでいます。 分子を自在に作り上げる!

8

分子生命科学コース

岩間 智徳 准教授 Tomonori IWAMA

専門分野

主な研究テーマ

微生物機能学

細菌化学感覚レセプターの構造と機能

研究テーマは「細菌化学感覚レセプターの構造と機能」です。生き物は

様々な刺激を感覚受容し、それに対応した行動をとります。肉眼では見え

ない微小な生き物である細菌も液体中を泳ぎ回り、周囲の刺激物質を感覚

受容し、より良い環境に移動する走化性を示すことができます。この走化

性応答の最初の過程では、化学感覚レセプターが刺激物質を感覚受容する

ために働いています。このレセプター分子がどのように働いているのか、

そのメカニズムを解明することを目指しています。 化学感覚レセプターに よる感覚受容の仕組み

上野 義仁 教授 Yoshihito UENO

専門分野

主な研究テーマ

核酸有機化学

核酸医薬開発、遺伝子プローブ開発

皆さんが良く知っているアスピリンは解熱鎮痛剤ですが、DNAがアスピリン

と同じように薬になる、と聞くと少し驚きませんか?欧米そして日本を中

心として、今日、高分子医薬というものが注目されています。DNAあるいは

そのコピーであるRNAは構造が大きく分子量も大きいので高分子医薬 (核

酸医薬)と呼ばれています。DNAもRNAも有機化合物なので、これらは有機

化学的に合成することができます。核酸医薬はがんやウイルス感染などこ

れまで治癒が困難であった様々な疾患に対する新しい治療薬になるものと

期待されています。私たちの研究室でも、新しい核酸医薬の開発を目指し

研究を進めています。 機能性分子を含む人工 RNAの構造

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程 岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻

岩橋 均 教授 Hitoshi IWAHASHI

専門分野

主な研究テーマ

応用微生物学

環境ストレス応答の網羅的解析

微生物を始めとした各種生物を指標として、環境ストレス・ストレス応答

の網羅的解析を行う事で、環境の理解や生物応答の理解を目指しています。

このため、環境化学物質、工業ナノ粒子、放射線、静水圧等を生物に暴露

し、その応答をゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクスなどの手法

を用いて解析しています。また、環境試料中生物痕については、次世代

シーケンサーを用いて解析、環境中に存在する生物ストレスの解析も行っ

ています。また、これらの成果を利用した、環境保全や産業への利用を目

指しています。

環境ストレス応答の 網羅的解析

9

分子生命科学コース

鈴木 徹 教授 Tohru SUZUKI

専門分野

主な研究テーマ

ゲノム微生物学

ビフィズス菌と腸内細菌の研究、遺伝子破壊

ヒトの腸内には、1000種類以上、100兆個の細菌が共生しています。これは、

ヒトの細胞数60兆個を凌駕しており、腸内細菌と腸管との相互作用を無視

しては、ヒトの健康を理解することは出来ません。近年DNA配列の解析技術

が高度に発展したため、これらの腸内細菌のゲノム塩基配列を解析するこ

とは容易になりましたが、その機能は殆どが、大腸菌等の相同遺伝子から

推定されているに過ぎません。当研究室では、ゲノム配列に基づく革新的

な遺伝子操作技術を開発し、ビフィズス菌を初めとした腸内細菌の未知の

遺伝子機能の解明を目指しています。

Bifidobacterium adolescentis の 電子顕微鏡写真

海老原 章郎 准教授 Akio EBIHARA

専門分野

主な研究テーマ

酵素科学

血圧調節機構の構造生物学とその応用研究

血圧は常に一定の範囲に制御されており、血液を全身に送り届けています。

私達は,血管収縮ペプチド・アンジオテンシンを産生する機構に着目して

います。興味深い点は,この機構に関わる酵素・タンパク質が,①正常血

圧の維持に必須であるのみならず血管新生や癌の進行にも関与している点,

②高血圧症や糖尿病合併症,癌などのバイオマーカーとして期待できる点

です。私達は,構造生物学的手法を用いて多機能性の基礎となる構造変化

と機能スイッチを解明し,創薬シーズの発掘を目指しています。さらに,

疾病予見に有用なバイオマーカーの測定法を新たに開発します。

酵素レニン(右)と基質タンパク質(左)との複合体の立体構造

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程 岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻

寺本 好邦 准教授 Yoshikuni TERAMOTO

専門分野

主な研究テーマ

バイオマス材料化学

バイオマス構成分子の機能材料化

木材とその成分(セルロース、リグニン等)をはじめ、多糖、タンパク、

脂質などの各種生物素材(バイオマス)を対象に、それらを次世代型機能

材料の構築ベースとして発展させるための研究を推進します。具体的には、

環境・生体に適合する異種素材(ポリマー・オリゴマー・無機物)との複

合化手法を駆使しつつ、バイオマスを熱/光/電磁気刺激応答材料や環境・

生体適合材料等へ導きます。複合化のスケールは、マクロな材からμmオー

ダーの繊維・粒子の表界面修飾、さらにはnmオーダーの分子集合体設計や

分子修飾まで広範囲に及びます。

未分解未分解未分解未分解分解分解2020日後日後分解分解2020日後日後

200 nm

ナノ ファ イバーナノ ファ イバー

200 nm

ナノ クリ スタルナノ クリ スタル

セルロース由来の制御分解型ポリマー

セルロースナノ構造体

10

分子生命科学コース

中村 浩平 准教授 Kohei NAKAMURA

専門分野

主な研究テーマ

微生物分子生態学

メタン発酵共生系と鉄還元菌生態系の解明と応用

酸素を生育に必要としない、嫌気性の微生物群が地球上の物質循環に大き

な役割を担っています。そのような微生物群の代表であるメタン発酵共生

系は、様々な細菌とメタン発酵菌との共生によって、有機物がメタンに変

換されるシステムです。我々はこのメタン発酵共生系の生態学とその応用

展開を研究しています。その一つにメタン発酵による油田からの未回収原

油の回収技術があり、この技術の確立には原油分解メタン発酵共生系の解

明が急務とされています。更にバイオ電気生産技術の要となる鉄還元菌の

生態と応用についても研究を行っています。

メタン発酵菌(左上)と

鉄還元菌(右下)

中川 寅 准教授 Tsutomu NAKAGAWA

専門分野

主な研究テーマ

分子細胞生物学

受容体を取り巻く分子ネットワークの機能解明

高血圧、糖尿病、高脂血症に代表される生活習慣病は、臓器障害の発症リ

スクを増大させます。私たちは、臓器障害の発症と進展に関わる分子とし

て近年、医学・生理学の領域で注目されている(プロ)レニン受容体につい

て研究しています。組換えDNA技術により構築した改変型受容体をヒト培養

細胞で発現させ、細胞の表現型や標的蛋白質の細胞内分布、分子間相互作

用を詳細に解析し、この受容体を取り巻く分子ネットワークの機能を解明

しようとしています。生命現象の仕組みを分子レベルで明らかにし、新薬

創製の基礎研究を通して健康で豊かな社会に貢献します。

共焦点顕微鏡で見た標的蛋白質の細胞内分布

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程 岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻

光永 徹 教授 Tohru MITSUNAGA

専門分野

主な研究テーマ

研究のキーワードは、天然物化学と健康科学です。研究のコンセプトは、

植物(日本に限らず熱帯地域に生育する植物を含む)が持つ生理機能成分、

例えば植物自身の生体組織や色・形に影響する生理活性成分や他の生物に

対し薬や毒として作用したりする生物活性成分を単離し構造解析すること

と、その活性成分がどのようなメカニズムで機能するかを分子レベルで解

明することです。さらに、それらの機能を動物や細胞あるいは生体分子を

用いて、ヒトの健康や美容に及ぼす科学を追求します。

天然物機能化学

植物成分の生理機能開発

植物香気成分の健康増進を切り口とする医薬アロマセラピーへの応用探索

エッセンシャルオイル

11

分子生命科学コース

葭谷 耕三 准教授 Kouzou YOSHITANI

専門分野

主な研究テーマ

分子認識化学

未利用バイオマスの水環境汚染物質の吸着特性

人類が作り出した史上最悪の毒といえばダイオキシンであるということが

知られています。ダイオキシンのような発がん性や催奇形性を持つ物質と

して多環芳香族炭化水素があります。代表としてベンゾ[a]ピレンの構造を

図に示しました。このような環境汚染物質を水環境から取り除いてくれる

物質として,木材の主要成分であるリグニンや植物のクチクラの成分であ

るクチンがあります。これらを含むおが屑や籾殻といった未利用バイオマ

スを吸着担体として用いて,多環芳香族炭化水素や染料などの有害物質の

水環境中での吸着特性を調べています。 リグニンの芳香環が疎水性物質の吸着に関わる

柳瀬 笑子 准教授 Emiko YANASE

専門分野

主な研究テーマ

生物有機化学

植物由来機能性成分の有機化学的研究

本研究室では独自の分離精製技術、機器分析、有機合成反応等を利用した

構造決定技術をいかして、身近な食品や和漢薬、植物等から、ポリフェ

ノール類を中心とした機能性物質の単離・構造決定とその大量分離法の確

立を行っています。また、機能性物質の化学反応性は生理活性発現機構の

解明のための良いメディエーターであると考え、作用機構に関する研究を

行なっています。分離精製して得られた物質をもとに、化学反応に伴う構

造の変化や反応メカニズムについて追及しており、新たな化粧品・医薬品

素材の開発への応用を目指しています。 紅茶・烏龍茶色素の生成メカニズム

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程 岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻

12

岩本悟志 准教授 Satoshi IWAMOTO

専門分野

主な研究テーマ

食品素材工学

微細水滴での水の過冷却現象、食品のガラス転移

研究のキーワードは、食品の微細構造です。食品の「おいしさ」には、味

のみならず、食品の微細構造が大きく関わっています。研究のコンセプト

は、食品の「おいしさ」を決める「かたち」すなわち微細構造を探ること

です。また食品の「おいしさ」を損なわない保存方法を提案も目指してい

ます。氷結晶が生成しにくい微細な水滴での過冷却状態の応用に着目し、

液滴径の揃った油中水滴型エマルションを用いて、微細水滴の凍結挙動を

熱分析と画像解析から研究しています。さらに食品のガラス転移を応用し

た新しい保存方法の検討も行っています。微細水滴の凍結の様子

15°C

-5°C

-20°C

-20°C

食品生命科学コース

荒幡 克己 教授 Katsumi ARAHATA

専門分野

主な研究テーマ

経済学

アメリカ農政、世界食料貿易政策、日本の米政策

当研究室では、食品を巡る社会経済について、経済学や政治学の観

点から研究しています。食品の生産、貿易、消費はもちろんのこと、

政策及びその政治過程に至るまで研究対象としています。最近の研

究課題としては、例えばアメリカ農政では、酪農、小麦等の主産地

である北部を支持基盤とする共和党と、綿花、落花生の主産地であ

る南部を支持基盤とする民主党との間で、議会多数派の掌握、大統

領と行政上層部の猟官制による占有等に関する争いが、作物別保護

政策の度合いにどう影響したか等を分析しています。

アメリカ小麦減反率の推移

アメリカ小麦減反率の推移(単位: %)

0

20

40

60

80

100

1961

1962

1963

1964

1965

1966

1967

1968

1969

1970

1971

1972

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1975

1976

1977

1978

1979

1980

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

参加最低条件減反率 追加的自由選択減反率

(単位:%)

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻

稲垣瑞穂 助教 Mizuho INAGAKI

専門分野

主な研究テーマ

食品素材化学

食品によるウイルス感染防御

牛乳タンパク質を用いたロタウイルス感染の予防について取り組んでいま

す。実験を重ねていくことで、細胞機能のハイジャックを企むウイルスに

対して、細胞の恒常性維持に働く牛乳成分を見つけました。ウイルス感染

を細胞の機能不全と捉え、その危機的状況に対してミルクがどのような働

きをしているのかを細胞や仔マウスを使って調べています。ミルクには、

きっと遺伝子と同じくらい、命を受け継ぐための謎や仕組みが秘められて

いるでしょう。学生さんと一緒にミルクを学び、命を育むことの難しさや

素晴らしさを伝えていきたいです。

母親マウスと出生5日目の仔マウス: 授乳中

13

勝野 那嘉子 助教 Nakako KATSUNO

専門分野

主な研究テーマ

食品加工学

濃厚粒子分散系食品の保存安定性

加工方法の異なるゴマペースト中の粒子

[email protected]

食品の加工では、原料が生物由来であるために加工中に酵素反応などの生

化学的反応や化学反応、物理的変化が生じます。これらは製品のおいしさ

や保存性などの品質に影響を与えています。食品の加工や保存中に生じる

変化を成分分析や画像解析、機器分析手法を用いて解析し、品質のコント

ロールや高付加価値化につながるような研究を行います。例えばゴマペー

ストのように粒子が液体中に浮遊しているような粒子分散系食品では時間

とともに固形分が沈降し硬化してしまいます。このような現象が生じるメ

カニズムの解明と沈降を抑制する方法の開発を行います。

島田昌也 准教授 Masaya SHIMADA

専門分野

主な研究テーマ

機能性食品科学

食品成分による生活習慣病予防・改善機構の解明

食品成分による生活習慣病予防・改善効果

[email protected]

私たちの食品分子機能学研究室では、食品成分の動脈硬化や高コレステ

ロール血症の予防改善機能、抗肥満作用、抗糖尿病作用などについて研究

しています。生化学的手法、分子生物学的手法、分子遺伝学的手法などを

活用し、食品成分(ペプチド、ポリフェノール、オリゴ糖など)の生活習

慣病予防・改善機構を実験動物ならびに培養細胞を用いて解明し、食品科

学を基盤とした健康の維持増進へ貢献することを目指しています。

北口 公司 助教 Kohji KITAGUCHI

専門分野

主な研究テーマ

食成分機能化学

食品成分による免疫調節機能の解明

未感作(赤)および活性化(緑)B細胞の蛍光顕微鏡画像

[email protected]

食品にはヒトの生理機能を調節することで健康維持に役立つ成分が含まれ

ています。とりわけ食品が消化・吸収される腸管は、多くの免疫担当細胞

が配備され、人体最大の免疫器官であることが知られています。私たちの

研究室では、食品成分と免疫担当細胞との関わりを分子レベルで明らかに

し、食品アレルギーや肥満などの予防に貢献することを目標にしています。

培養細胞や実験動物を材料にして、生理学・免疫学・分子細胞生物学的手

法を用いて、上記の課題に挑戦しています。

食品生命科学コース岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程

岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻

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タンマウォン・マナスィカン 助教

専門分野

主な研究テーマ

ポストハーベスト生理学

青果物の品質変化メカニズム解明と品質保持技術開発

消費者に高品質な青果物を安定的に提供するためには、収穫から消費に至

るまで、適切な管理を行い、品質劣化を防止する必要があります。青果物

は、収穫、ハンドリング、輸送などの流通過程で、温度、外力、損傷など

種々のストレスを受けることで、細胞のストレス応答や代謝変化によって

品質が低下します。こうした青果物のストレス反応をシステムバイオロ

ジーに基づき解析して品質変化メカニズムを理解することを通じて、品質

保持のための前処理・包装・貯蔵・輸送の適正条件の解明と、その実現手

法の開発を行います。

システムバイオロジーに基づく青果物の品質保持理論の構築

代謝変化成分変動

収穫・取扱・流通

遺伝子発現酵素活性

鮮度バイオマーカー

高鮮度

ManasikanTHAMMAWONG

中川 智行 教授 Tomoyuki NAKAGAWA

専門分野

主な研究テーマ

食品微生物学

酵母の細胞機能制御、微生物C1代謝、産業酵素

食品微生物学分野では、酵母を真核生物の生命の仕組みを解明するための

モデル系として用い、その細胞応答、オルガネラの制御などの細胞機能を

遺伝子レベル・分子レベルで解析し、得られた知見を創薬や産業微生物の

分子育種に応用することを目指しています。また、低環境負荷型エネル

ギーであるメタノールを利用できるC1微生物の代謝制御と細胞機能の有効

活用、さらにはC1細菌の植物生育促進技術への応用などを目指しています。

一方、未知の微生物の持つ新規機能を酵素、遺伝子レベルで解析し、その

新規微生物機能および有用酵素を様々な産業に応用します。

酵母を用いた細胞機能の解明から、生命の仕組みを解き明かす.

長岡利 シニア教授・教授 Satoshi NAGAOKA

専門分野

主な研究テーマ

食品分子機能学

食品機能の分子レベルでの解明と健康科学への応用

私たちの食品分子機能学研究室では、食品成分の動脈硬化や高コレステロール

血症の予防改善機能、抗肥満・糖尿病作用などについて研究しています。代表

的研究成果は世界初のコレステロール低減化ペプチド(IIAEK:ラクトスタチ

ン)の発見や、ヒト臨床試験で効果が認められた特定保健用食品コレステブ

ロック(リン脂質結合大豆ペプチド)、緑でサラナ(含硫アミノ酸)の開発な

どです。研究室では動物実験はもちろん、先端的な遺伝子工学・分子生物学的

研究手法などを活用して食品科学と生命科学の立場から研究を遂行し、健康科

学の新しい世界の開拓を目指しています。世界初のコレステロール低減化ペプチド発見

食品生命科学コース岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程

岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻

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中野 浩平 教授 Kohei NAKANO

専門分野

主な研究テーマ

ポストハーベスト工学

数理モデルによる食品の品質判定と保持技術開発

生鮮食品にとって“鮮度”は最も重要な品質要素であるため、鮮度を正し

く評価したり保持するための技術開発は、高付加価値化やポストハーベス

トロスの低減に大きく貢献します。本研究室では、細胞膜脂質の過酸化な

どの生鮮食品の鮮度変化に関連する生物現象を工学的・数理的なアプロー

チから理解した上で、フードサプライチェーンにおける品質管理の高度化

に繋がる新規な貯蔵技術、包装技術、鮮度判別技術、鮮度予測モデル等の

開発を行います。グリーン流通を実現するバルクMAコンテナ

西津 貴久 教授 Takahisa NISHIZU

専門分野

主な研究テーマ

食品製造工学

食品の感覚機能と食品物性の関係

食品をおいしいと感じるのは、食品の二次機能である感覚機能によるもの

です。食品の物性は、この機能に大きく影響していることが知られていま

す。また食品の物性はおいしさだけでなく、高齢者向けの介護食・嚥下食

の開発や安全性評価にも深く関わりがあります。食品の成分や構造が食品

物性の発現に果たす役割の解明や食品の感覚機能評価に関する研究の成果

を、新しいテクスチャーを持つ安全で高品質な食品の開発に活かして、高

齢化社会を迎えるこれからの時代に役立てたいと考えています。

嚥下造影と咀嚼実験

早川享志 教授 Takashi HAYAKAWA

専門分野

主な研究テーマ

食品栄養学

食物繊維、レジスタントスターチ、ビタミンB6

「健康は食事から」をモットーに、栄養素や他の成分などを食事として摂

取した場合に生体が受ける健康効果についてラットを用いた動物試験によ

り研究を進めています。主な研究:1.レジスタントスターチや食物繊維

などのルミナコイド摂取による大腸内環境の改善効果とその機構について

解析を進めています。オリゴ糖類によるカルシウム吸収促進作用について

は、新規の素材について共同研究として研究を進めています。2.ビタミ

ンB6欠乏により引き起こされるメチオニン代謝異常や脂肪肝の軽減策とそ

の機構について研究を進めています。

ルミナコイドによる大腸内環境改善

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻食品生命科学コース

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前澤重禮 教授 Shigenori MAEZAWA

専門分野

主な研究テーマ

食品流通科学

食品流通の仕組み解析

食品流通の「仕組み」を調査研究しています。高度な技術を駆使して機能

性や栄養特性を高めた食品でも、販売できなければ廃棄物になってしまい

ます。食品流通科学研究室では、食品をどのような「仕組み」で流通させ

ればいいのか、という課題に取り組んでいます。そのため食品流通の現場

に出向き、流通の構造と機能を調査分析しています。当研究室では、卒論

生個人の実状に合わせながら、3年生までの化学実験とは異なる社会科学的

研究を体験することができるので、卒業後の実社会では幅広い視点を持っ

た人材として活躍することができるでしょう。

流通は「仕組み」で決まる

矢部 富雄 教授 Tomio YABE

専門分野

主な研究テーマ

食品成分化学

食品成分による生理機能解明

非栄養素食品成分である食物繊維が、ヒトの健康にどのように関与してい

るのかについて、構造と機能との相関を中心に分子レベルで明らかにする

ことを目標として、日夜研究をしています。例えば、水溶性食物繊維であ

るペクチンを摂取することによって小腸絨毛の形態が変化するメカニズム

とその意義について、ペクチンを認識する分子の探索やペクチンによって

発現が誘導される遺伝子の同定などを通して、議論を深めていきます。ヒ

トの健康を維持するために必要な食品成分を一緒に明らかにしませんか。仮説:腸管上皮細胞

に食物繊維を認識する分子が存在する

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程岐阜大学大学院 応用生物科学研究科 応用生命科学専攻食品生命科学コース

17

7 3年次編⼊学した先輩の声

【A さん、工学系の高等専門学校出身】

・3年次編入学した理由

大学へ編入するにあたり、自分の最も興味のある分野が「食」でした。そのため、「食」

に関連した研究を重点的に行える応用生物科学部, 食品生命科学課程(現・応用生命科

学課程)に編入しました。

・3年次編入学をして良かったこと、大変だったこと

全体的に規模が高専に比べて大きい。総合大学なので学生数が多く、敷地も広い。

そのため、部活動やサークルも幅広く存在している。また、各研究室の規模も大きい

ので、人数も多く、設備も充実している。

一方、編入時に認められる単位数が工学部よりも少なく、1 年生からの在学生や工学

部の編入生に比べて多くの単位を取る必要がある。それでも、ほとんどの単位は 3 年

生で取り終えることができます。

・3年次編入学後の学生生活

私は遠方からの編入学であったこともあり、当初は、岐阜県内はもちろん、東海地

方に全く知り合いのいない状況でした。そのため、友人を得るためにも入学後すぐに

硬式庭球部に入部し活動しました。現在も OB として活動しています。また、応用生

命科学科課程には、春と秋に課程の 3 年生以上の学生と教員がみんな参加して行なう

ソフトボール大会があります。そのため、課程の人たちともソフトボール大会を通じ

て打ち解けることができました。

3 年生の時は、午前中はほぼ全て授業があり、月・火曜の午後には 3 年生の学生実

験が、木・金曜の午後には 2 年生の学生実験(単位変換が認められなかった実験テー

マのみ)がありました。水曜の午後は、基本的に授業がありませんでした。

・まとめ

他大学に比べて食品を重点的に研究できると思い、編入学しました。本課程は、単

位変換が工学部に比べて厳しいですが、単位はほぼ 3 年生で取り終わり、4 年生では研

究に集中することができます。各研究室の人数も多く、設備も充実しているため、よ

り高度な研究を行うことができます 編入学は学年の途中からの入学であり、単位面、

学生生活面などで不安があるかと思います。積極的にサークルや部活動などに参加し、

交友の輪を広げることで、そのような不安のほとんどは解消できると思います。

18

【B さん、短期大学出身】

私が岐阜大学に編入しようと思った決め手は、多くの視点から食品について勉強できる

と思ったからです。また、将来は食品会社に勤めたいと思っていたので、食品会社の就職

率が高かったのも決め手の一つでした。現在、大学院に進学し研究室で頼もしい先生方と

仲間に囲まれながら夢に向かって毎日実験に勤しんでおります。

【C さん、4年制大学出身者】

岐阜大学に3年次編入生として入学し、早いもので7年が経とうとしています。

大学に入学し食料生産や食生活などを学び、食のあり方について学問として捉え、次第に

「食」が人の体にどのように影響するのか興味を抱くようになりました。それが現在の学

科に編入しようと決意したきっかけだったと思います。編入後は多くの先生、友人に支え

てもらい大学生活も楽しむことができました。現在、腸内細菌の研究に携わっており、研

究の難しさを体当たりで経験しています。知りたい、ということだけが原動力です。編入

するにあたり、大学選びや志望動機などを考えると思うのですが、実際に大学で何を学び

たいのかを改めて考える良い機会だと思います。

19

8 学⽣から⾒た当課程3年次編⼊学のセールスポイント

3年次編入制度で入学した応用生命科学課程および修士課程に在籍する学生と懇談

した際、学生が挙げた当課程の3年次編入学のセールスポイントを列記いたします。

① 3年次編入時に希望するコースを選べる

応用生命科学課程には、生命科学の基礎を幅広く学ぶ「分子生命科学コース」と

食品に関係する学問を系統的に学ぶ「食品生命科学コース」があります。入学後、

3年次編入生は希望するコースを選ぶことができます。

② 研究室を選べる

応用生命科学課程では学生は研究室に配属し、卒業研究を行います。3年次編入

生は、編入生間での話し合いを踏まえ、卒業研究を行う研究室を選ぶことができ

ます。

③ 3年次編入生の先輩とのネットワークがあります

応用生命科学課程に3年次編入生で入学した学生間で情報交換をするネットワー

クがあります。このネットワークは学生が自主的に作っているものですが、3年

次編入制度を経験した先輩ならでは助言がもらえるのではと思います。

④ 3年次編入学試験は、大学入試とは独立しています

3年次編入生とお話すると、「大学入試で岐阜大学の応用生命科学課程を受験した

が合格できなかったので、同じ応用生命科学課程の3年次編入学を受験してはい

けないと思っていた」という意見が挙がりました。そんなことはありません。応

用生命科学課程に入学を希望する学生は3年次編入学を利用して下さい。

(注意点)

上記①と②は、教育カリキュラムの変更等によって変更されることがあります。

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大学院進学

52%

企業

(製造業)

22%

企業

(製造業以外)

12%

官公庁

5%

農業団体

1%

教員

5%

その他

3%

9 卒業後の進路

私達の暮らしを支える食品や医薬品、バイオテクノロジー関連産業等に多くの学生

が就職しています。また、約半数の学生が大学院へ進学して専門性を究める道を選

択しています。大学院を修了後は、主に研究開発に携わる職種に就職します。

主な就職先(課程および大学院修了の過去5年間、五十音順)

食品製造

アサヒビール、秋田屋本店、アピ、伊藤忠製糖、イチビキ、内堀醸造、エースコッ

ク、キッコーマンソイフーズ、クノール、コモ、敷島製パン、真誠、太陽化学、名

古屋製酪、日本コーンスターチ、フジパン、不二家、マルハニチロ、明治、森永乳

業、山崎製パン、ヤマミ醸造、ヤマモリ、ユタカフーズ

医薬品等

アース製薬、クラシエ、小林薬品工業、三和化学研究所、塩野義製薬、シミック、

第一工業製薬、大鵬薬品、大洋薬品、日本新薬、日本メナード化粧品、ホーユー

化学等

イビデン、オリザ油化、花王、三洋化成工業、竹本油脂、ツキオカ、フタムラ化学

官公庁等

愛知県県庁、岐阜県警科学捜査研究所、京都府警察一般職員(化学)、厚生労働省、

名古屋大学職員、日本食品分析センター、JA あいち経済連、JA ぎふ、JA にしみの

高校教員 愛知県立高校(理科)、岐阜県立高校(理科)、静岡県立高校(理科)

その他 大垣共立銀行、東京海上日動火災保険、東海旅客鉄道、丸八証券

進学先

岐阜大学大学院、岐阜大学大学院連合農学研究科、大阪大学大学院、京都大学大学

院、名古屋大学大学院、奈良先端科学技術大学大学院

平成 25 年度卒業生就職状況より

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