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No.573 2014.12.1 24 マエストロの解説 BEPS プロジェクトでは、15 項目の行動計画 を設け、それぞれ期限を決めて議論が進んでい る。このうち、さる9月16日に、7項目の「報 告書」が公表され、10 月 31 日には、行動計画 7 (恒久的施設認定の人為的回避の防止)、11月3 日に行動計画10(移転価格税制−他の租税回 避の可能性が高い取引)についての報告書が公 表された。 報告書概要―行動計画 2 1 BEPS 行 動 計 画 2 は、「 ハ イ ブ リ ッ ド・ ミ ス マッチの効果の無効化」を主題としているが、 その報告書はこれまでの報告書の中でも、最も 複雑かつ長文に及ぶものであり、2015 年に発表 される他の行動計画とも関連する項目が少なく ないことから、来年まで引き続き検討が行われ ることとなっている。なお、本報告書の勧告の 実施指針は来年 9 月を目途に公表される予定で あるが、我が国においてはすでに「外国子会社 配当益金不算入制度」が見直される方向である。 ハイブリッド・ミスマッチとは、特定の金融 商品や事業体に対する税務上の取扱いが、関連 する複数の国において異なることをいう。こう したミスマッチを利用した税負担の軽減が多国 籍企業によって行われているという実態を踏ま え、これらの効果を否定するため、国内法及び モデル租税条約の規定の見直しの勧告を行うこ とが「ハイブリッド・ミスマッチの効果の無効 化」であり、行動計画 2 の目的となっている。 具体的には、国内法の改正に関連して、①ハイ ブリッド金融商品とその譲渡、②ハイブリッド 主体間の支払い、③ミスマッチの輸入及びリ バース・ハイブリッド、の 3 つに分けて議論が 行なわれてきているが、多くの重要な項目に関 して未だ議論が進行中となっている。 # 126 品川克己 税理士法人プライスウォ ーターハウスクーパース (ディレクター) 略歴 89年より大蔵省主税局に勤務。90年7月より同国 際租税課にて国際課税関係の政策立案・立法及 び租税条約交渉等に従事。96年ハーバード・ロー スクールにて客員研究員として日米租税条約につ いて研究。97年より00年までOECD租税委員会 に主任行政官として出向(在フランス)し、「OECD 移転価格ガイドライン」及び「OECDモデル条約」 の改定、及び関連会議の運営に従事。01年9月財 務省を辞職し現職。 BEPSプロジェクト の進捗と税制改正へ の影響② 今週のマエストロ&テーマ 次回のテーマ 経営戦略の1つとして組織再編成税制を活 用できる方法を、同税制等の創設を主導し た筆者が事例形式で解説する。 # 127 経営戦略に応える 企業再編成税制 税理士 朝長英樹 ※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。 [email protected]

05 126...(Hybrid Financial Instrument) 金融商品自体がハイブリッドな仕組みとなっ ているもので、オーストラリアの"MRPS"に代 表されるような出資証券(株式)が該当する。

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  • No.5732014.12.124

    マエストロの解説

     BEPSプロジェクトでは、15項目の行動計画を設け、それぞれ期限を決めて議論が進んでいる。このうち、さる9月16日に、7項目の「報告書」が公表され、10月31日には、行動計画7

    (恒久的施設認定の人為的回避の防止)、11月3日に行動計画10(移転価格税制−他の租税回避の可能性が高い取引)についての報告書が公表された。

    報告書概要―行動計画21 BEPS行動計画2は、「ハイブリッド・ミスマッチの効果の無効化」を主題としているが、その報告書はこれまでの報告書の中でも、最も複雑かつ長文に及ぶものであり、2015年に発表される他の行動計画とも関連する項目が少なくないことから、来年まで引き続き検討が行われることとなっている。なお、本報告書の勧告の実施指針は来年9月を目途に公表される予定であるが、我が国においてはすでに「外国子会社配当益金不算入制度」が見直される方向である。 ハイブリッド・ミスマッチとは、特定の金融商品や事業体に対する税務上の取扱いが、関連する複数の国において異なることをいう。こうしたミスマッチを利用した税負担の軽減が多国籍企業によって行われているという実態を踏まえ、これらの効果を否定するため、国内法及びモデル租税条約の規定の見直しの勧告を行うことが「ハイブリッド・ミスマッチの効果の無効化」であり、行動計画2の目的となっている。具体的には、国内法の改正に関連して、①ハイブリッド金融商品とその譲渡、②ハイブリッド主体間の支払い、③ミスマッチの輸入及びリバース・ハイブリッド、の3つに分けて議論が行なわれてきているが、多くの重要な項目に関して未だ議論が進行中となっている。

    今回のテーマ

    マエストロの解説

    #01

    経営戦略に応える企業再編税制

    #02

    スカウト最新事情㈪ヘッドハンター 佐藤文男

    #03

    「スカウト力」をUPさせるキメ技

    #04

    キャリアシートの書き方

    #05

    スカウト転職に成功した人々

    朝長英樹(税理士法人アクト22代表社員、元財務省主税局)

    業界動向を踏まえた効果的アピール法

    スカウトサービスで効率よくキャリアアップ

    キャリアシートで決まるスカウト転職成功の道

    経営戦略に応える企業再編税制

    #02

    朝長英樹(税理士法人アクト22代表社員、元財務省主税局)

    今から考えておく・遺産取得課税方式で相続税対策はこう変わる

    #02 □□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■

    ~「理解」から「活用」の段階へ~グループ税制の使い方

    #03 □□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■

    今から考えておく・遺産取得課税方式で相続税対策はこう変わる

    #04 □□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■

    国際課税に潜む見落とされがちなリスク

    #05 □□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■

    ”複雑になりすぎた”法人税をもう一度勉強しよう

    #05 □□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■

    ”複雑になりすぎた”法人税をもう一度勉強しよう

    #03 □□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■

    今から考えておく・遺産取得課税方式で相続税対策はこう変わる

    #04 □□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■

    国際課税に潜む見落とされがちなリスク

    #05 □□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■

    ”複雑になりすぎた”法人税をもう一度勉強しよう

    ~「理解」から「活用」の段階へ~グループ税制の使い方

    Maestro&Theme

    #126品川克己税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(ディレクター)

    略歴89年より大蔵省主税局に勤務。90年7月より同国際租税課にて国際課税関係の政策立案・立法及び租税条約交渉等に従事。96年ハーバード・ロースクールにて客員研究員として日米租税条約について研究。97年より00年までOECD租税委員会に主任行政官として出向(在フランス)し、「OECD移転価格ガイドライン」及び「OECDモデル条約」の改定、及び関連会議の運営に従事。01年9月財務省を辞職し現職。

    BEPSプロジェクトの進捗と税制改正への影響②

    #02国際課税に潜む見落とされがちなリスク

    今週のマエストロ&テーマ

    朝長英樹(税理士法人アクト22代表社員、元財務省主税局)

    次回のテーマ

    経営戦略の1つとして組織再編成税制を活用できる方法を、同税制等の創設を主導した筆者が事例形式で解説する。

    #127 経営戦略に応える企業再編成税制税理士朝長英樹

    税務における第一人者〝税務マエストロ〟による税実務講座

    ※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。 [email protected]

  • No.5732014.12.1 25

     本報告書の第1部(国内法関係)では、ハイブリッド・ミスマッチを類型化し、その効果を無効化するための国内法上の措置の勧告を行っている。特に、主要なミスマッチを次の3形態に分類しているイ)支払者損金算入、受取者益金不算入  (D/NI:Deduction/ No Inclusion)ロ)費用の二重控除(DD:Double Deduction)ハ)間接的なD/NI さらに、この3形態のミスマッチについて7つのハイブリッド・ミスマッチの具体例を基に分析し、"Linking rule"の導入を勧告している。"Linking rule"は、主要規定(Primary rule)と防止規定(Defensive rule)に分かれ、ハイブリッド・ミスマッチが生じる場合には主要規定

    (Primary rule)が優先されるような制度となっている。

    主なハイブリッド・ミスマッチ2(1)ハイブリッド金融商品

    (Hybrid Financial Instrument)

     金融商品自体がハイブリッドな仕組みとなっているもので、オーストラリアの"MRPS"に代表されるような出資証券(株式)が該当する。こうした出資では、被投資国では、税務上出資ではなく借入れとして取り扱われるため、支払配当に見合うリターンは支払利息として認識され、損金算入されることとなる。一方、受取国では、受取配当の益金不算入の対象とされれば、結果的に二重非課税が生じると考えられている。 しかしながら、二重非課税か否かは議論のあるところであり、国外への支払利息として源泉課税される点にも配意すべきと考えられる(前回569号参照)。(2)ハイブリッド・トランスファー

    (Hybrid Transfer) レポ取引(Sales and Repurchase arrangement)のように、出資と貸付の両方の性質を有する取決めが該当するとされている。レポ取引は、本質的には、買戻契約付き譲渡と考えることができ、被投資国で出資証券(株式)を担保とする貸付けとして捉えれば、被投資国側では支払配

    【表】ハイブリッド・ミスマッチの類型ミスマッチ 類  型 概  要

    D/NI

    ハイブリッド金融商品(Hybrid Financial Instrument)

    ・金融商品自体が貸付両方の性質を有する (例、オーストラリアのMRPS)

    ハイブリッド・トランスファー(Hybrid Transfer)

    ・資本と貸付両方の性質を有する取決め(例、Sale and repurchase arrangement(“repo” transaction))

    無視される支払い(Disregarded payment)

    ・事業体が法人格とパススルー事業体双方の性質を有する場合に、支払いが受取者において所得として認識されない取決め(例、Delaware GP Structure)リバース・ハイブリッドへの支払い

    (Payments to Reverse Hybrid)

    DD

    ハイブリッド事業体の控除可能な支払い(Hybrid Entity Payments)

    ・事業体が法人格と双方のパススルー事業体の性質を有する場合に、支払いが2カ国で損金算入される取決め

     (例、UK Tower Structure)二重居住者による支払い

    (Deductible Payments by Dual Consolidated Company)

    ・居住者の判定法(例、設立国vs.管理国)の違いを利用して支払いが2カ国で損金算入される取決め

    間接的なD/NI

    ミスマッチの輸入(Imported Mismatches)

    ・直接的なD/NI又はDDミスマッチの効果を第三国へ展開

  • No.5732014.12.126

    当を支払利息として処理し、受取側では受取配当(益金不算入)とされる場合に、二重非課税が生じるというものである。ただし、通常のレポ取引では、買戻しによるキャピタルロスをどのように取扱うのかが論点になるものであり、レポ取引をハイブリッド・ミスマッチとして認識することには違和感を覚える。(3)ハイブリッド事業体の支払い(無視され

    る支払い) 2国間で取扱いの違う事業体を利用したスキームを問題視している。図1にあるように、B国の関連法人が、B国法制上一般法人ではなく、何らかの特殊な事業体(米国LLCやパートナーシップなど)であることから、A国の法制上、法人として認識しない(パススルー事業体であり、A国法人の支店扱いされる)場合、B国におけるB法人の法人税上支払利息として認識される一方、A国では同一法人間の金銭の移転であることから、受取利息として認識せず、税務上影響しないこととなる。

     しかしながら、A国においては、そもそも貸付けそのものも認識していないことから、関連するコストも認識できないこととなる。また、B国法人の利益は支店利益と同様、発生ベースでA国法人の利益として取り込まれるのであり、B国法人からの利息を認識しない(益金不

    算入)場合であっても、B国支店の所得を支払利息控除前で認識することとなろう。果たして二重非課税を生み出すミスマッチといえるかはなはだ疑問である。こうしたミスマッチをことさら問題視する根拠がまったく不明である。(4)リバース・ハイブリッド事業体への支払い ハイブリッド事業体を介した3か国にまたがる取決めが挙げられている。図2にあるように、B国法人がB国においてパススルー事業体となる場合、C国から払われる利子がB国法人の所得として認識されないことを問題視している。しかしながら、このケースでも、B国においてB国法人の所得として認識されないが、A国法人のB国支店の所得として取り扱われることとなろう。事業体そのものはB国に存在しているのであり、支払及び受取そのものが無視されることはないものと考えられる。非常に奇異なケース、取り扱いを想定しているといえよう。

    (5)ハイブリッド事業体の支払(二重控除) ハイブリッド事業体により生じる二重控除

    (損金算入)を問題視している。図3のようにB国法人がA国税制上ハイブリッド事業体(パススルー事業体)とされる場合に、B国法人が

    【図7】 営業権に関する議論は不毛?

    【図表2】□□□□■□□□□■

    【図2】特定医療法人化と本件相続の関係

    B/S

    寄附?

    負 債資 産

    営業権

    (簿価500、時価700)

    負 債資 産

    <債務超過会社のB/S>

    マイナスの利益積立金▲ 500資本金等(100)

    (900)

          (借   方)       (貸   方)(債   務) 430,442,435 (資 本 金) 400,000,000 (資本準備金) 30,400,000 (雑 収 入) 42,435

    【図2】債務者会社の経理処理

    現 行

    譲渡損失

    ×

    対価がA社株式ではないため、現行の税制では課税繰延は認められない。

    国内会社

    業界団体等

    ※ 

    被相続人に係る相続発生

    各省庁(窓口)

    各省の税制担当副大臣

    政府税調

    政府税調

    各省の税制担当副大臣

    各省庁(窓口)

    業界団体等

    持ち分の定めのある医療法人

    ②①債権を1億6200万円で取得

    親会社

    株主株主

    特定医療法人へ移行

    双方の株主総会特別決議が必要であり、友好的に行われる。

    DES

    【図3】本件自己株式の譲渡の概要(平成16年5月期)

    ③債権(3億2470万円)

    ①債権4億6931万0500円

    ②①債権を1億6200万円で取得

    ③自己株式(34万株) 債務者会社

    外国銀行

    債権者会社

    ②①債権を2億5663万2756円で取得、1億4461万0500円の弁済収受

    100%出資

    100%出資

    新設医療法人

    新設医療法人

    A国

    日本企業

    日本

    子会社設立(金銭出資)

    業界団体等 自民党税調

    臨時株主総会

    特定医療法人の承認申請の遂行、

    定款変更の認可の手続を決定

    業界団体等

    商工部会農林部会

    財務金融部会建設部会…etc

    自民党税調

    政府税調

    各省の税制担当副大臣

    各省庁(窓口)

    業界団体等

    〈これまでの税制改正プロセス〉

    〈民主党政権下での税制改正プロセス〉

    自民党政務調査会

    商工部会 財務金融部会

    農林部会 建設部会

    …etc

    【図表2】新旧の税制改正要望プロセス

    業界団体等

    業界団体等

    各省庁(窓口)

    各省の税制担当副大臣

    政府税調

    自民党税調

    自民党税調

    業界団体等

    自民党税調

    〈これまでのプロセス〉 〈民主党政権下でのプロセス〉

    自民党政務調査会

    経済産業部会 財務金融部会

    農林部会 国土交通部会

    …etc.

    【図1】グループ法人単体課税制度の適用範囲と    譲渡損益の繰延べ範囲

    譲渡損益の繰り延べ

    一定資産の譲渡

    100%100%

    内国法人

    内国法人または個人または外国法人

    内国法人

    【図3】改正寄附金税制の適用範囲

    寄附

    100%

    B社

    個人

    A社

    【図】評価範囲の決定方法(見直し案)

    譲 渡譲渡先

    資産

    譲渡元

    減価償却分の譲渡損益実現 減価償却

    繰延べ損益の金額実現 除  却

    寄附

    100%100%

    B社

    内国法人又は外国法人

    A社

    損金算入損金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    B社  損金不算入損金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    【図3】改正寄附金税制の適用範囲

    寄附

    100%100%

    B社

    個人

    A社寄附

    100%100%

    B社

    内国法人または外国法人

    A社

    益金算入益金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    B社  益金不算入益金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    0 30 60 90 120 150

    本社売上¥60

    A支社¥30

    B支社¥20

    その他¥40

    100/150以上

    80/150以上

    (例)A支社が ① 前年度の評価が良好 ② 状況に大きな変化がない ③ 特に重要な事業拠点 (本社)でない

    【当年度】

    【前年度】

    Aは評価対象外

    (出典:金融庁)

    寄 附 金 40 / 土   地 30 譲 渡 益 10譲渡損益調整損 10 / 譲渡損益調整勘定 10

    土   地 40 / 受 贈 益 40 土 地 :+40 利益積立金 40 / S 社 株 式 40 S社株式 :-40(帳簿価額:60) 利益積立金 :±0

    【図1】 

    B/S100% 土地

    P社

    S社

    現  金  70  資本金等  50土  地  30  利益積立金 50

    【仕訳5】

    【仕訳4】

    【図】統括会社の概念図

    【図2】本邦法令に基づく基準所得金額の計算 【図3】受取配当の除外(原則)

    【図2】平成13年度改正における法人税法上の処理

    【図3】平成18年度改正以後の法人税法上の処理

    【会社法上の貸借対照表】

    【図表2】組織再編成における未経過固定資産税     相当額の金銭の位置関係

    【例1】

    【例2】

    【ケース2】 

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%

    100%99%1%

    C社 D社

    【ケース3】 

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%100%

    1% 99%

    C社 D社

    P社

    B/S現    金  70 譲渡損益調整勘定 10 資 本 金 50 利益積立金 10

    利益積立金 30 / 土   地 30

    土   地 30 / 配 当 収 入 30 土 地 :+30  S社株式 :-(帳簿価額:100) 利益積立金 :+30

    【図2】 

    S社

    P社

    B/S現    金  70 資 本 金 等 50 利益積立金 20

    資本金等 15 / 土   地 30利益積立金 15

    土   地 30 / 利益積立金 15 土 地 :+30 資本金等 15 S社株式 30 S社株式 :-30(帳簿価額:70) 利益積立金 :+15 資本金等 :-15

    (*)分割前事業年度の簿価純資産価額を100、分割直前の資本金等の額を50とする。  ・S社の減少する資本金等の額 15=50×30/100(法令8①十五)  ・S社の減少する利益積立金額 15=30-15(法令9①十)

    (*)前提は、上記S社の場合と同様である。  ・P社の増加する資本金等の額 -15=15-(100×30/100)(法令8①六)  ・P社の増加する利益積立金額 15=30-(-15)-(100×30/100)(法令9①三)  ・P社が保有するS社株式の減少額 30=100×30/100(法令119の3⑪、119の8)

    【図3】 

    ※S社

    P社

    B/S現    金  70 資 本 金 等 35 利益積立金 35

    【図表4】ケース1

    A社 B社

    100%甲 乙 丙 丁

    100% 100% 100%

    C社 D社

    【図表5】ケース2

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%

    100% 99%

    C社 D社

    【図表6】ケース3

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%100% 99%

    C社 D社

    1%

    1%

    匿名組合契約匿名組合契約

    反対株主の買

    取請求に基づ

    いて交付され

    る金銭等

    剰余金の配当

    等として交付

    される金銭等

    未経過固定資

    産税相当額の

    金銭

    一株未満の株

    式の代り金

    親法人株式等

    の端数の代り金

    【図表3】未経過固定資産税相当額の金銭の受払い     と取引の関係

    (親法人株式

    等の端数の代

    り金)

    (一株未満の株

    式の代り金)

    株  

    株  

    株  

    未経過固定資

    産税相当額の

    金銭

    寄附B社

    B社

    益金算入益金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    【法人税法上の貸借対照表】

    B社 

    益金不算入益金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    (注)株主における株式の譲渡原価は、『平成22年度 税制改正の解説』の処理例と同等に、300であるものとする。

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注3)株主における株式の帳簿価額の合計額は1,500とし、旧法人税法施行令119条の9第1項(減資等の場合の株式の譲渡原価の額等)に規定する「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割合」は0.15(150÷1,000)とする。

    【図3】平成18年度改正以後の法人税法上の処理

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)法人税法23条1項1号においては、剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うもの・・・を除く」とされており、24条1項3号においては、資本の払戻しに該当する剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うものに限る」とされているため、剰余金の配当の原資に一部でも資本剰余金がある場合には、その剰余金の配当の全てが24条1項3号の適用対象となり、利益積立金額の減少に対応する部分の金額は、全てみなし配当の額とされることとなっている。

      本来、みなし配当は、会社法等において法人税法23条1項の配当等の額とされないものについて、法人税法上、配当等の額とみなすこととするものであり、会社法上の処理において利益剰余金を原資とする部分に関しては、24条1項3号の規定を適用してみなし配当とした上で23条1項の配当等の額としなければならないものであるのか、また、資本剰余金を原資とする部分と利益剰余金を原資とする部分の区分は、本来は、事実認定の問題ではないのか、という疑問が残らざるを得ない。

    (注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。

    ・・・・・

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)法人税法施行令9条1項11号においては、利益積立金の減少額を「第八条第一項第十六号に規定する合計額」に基づいて計算することとされており、この「合計額」は、「当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額」(法令8①十六)とされているが、この括弧書きの「(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)」は、資本の払戻し等が適格現物分配に該当する場合には、疑問の余地なく、働くこととなる。次の処理例においても、同様である。

    (注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。(注3)法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。(注4)法人税法24条1項においては、「適格現物分配」の場合には、みなし配当とする金額の計算に用いる「金銭以外の資

    産の価額」について、「適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額」としている。そして、法人税法24条1項においては、みなし配当とする金額の計算に用いる「当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額」について政令に委任し、「資本の払戻し」に関しては、法人税法施行令23条1項3号において、「直前の資本金等の額・・・にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合・・・を乗じて計算した金額」を基にして計算するものと定め、同号イ及びロにおいて、質問文におけるイ及びロと殆ど同じ文言の定めを設けている。

       すなわち、本件質問は、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を行った法人において減少させることとなる資本金等の額の計算に関する質問であると同時に、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を受けた株主においてみなし配当とする金額の計算に関する質問ともなっているわけである。

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)株主における株式の譲渡原価の額は、法人税法61条の2第17項及び法人税法施行令119条の9第1項において、所有株式の帳簿価額に「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割合」を乗じて計算した金額とされており、この割合は、法人税法施行令8条1項16号ロと同様に、「適格現物分配」の場合の取扱いに関する疑問が存在する状態となっているが、本例では、他の例との比較検討の都合上、300であるものとする。

    (注2)処理例1と同様に、法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。(注3)この法人税法62条の5第4項の「収益の額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」ではないのか、なぜ「収益の

    額」としたのか、23条1項と同様の取扱いとしているにもかかわらず同項の適用対象から除いて62条の5第4項において取扱いを定めることとしたのはなぜか、といった疑問の声が聞かれる。

       法人税法24条1項により、同項3号の金額を23条1項1号の金額とみなす取扱いは、23条1項の規定を適用する場合に止まらず、法人税法の全ての規定を適用する場合に適用されるため、62条の5第4項の規定を適用する場合にも、「資本の払戻し」によって生じた24条1項の「その超える部分の金額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」とみなされることとなる。このため、法人税法62条の5第4項の「収益の額」は、23条1項1号の「剰余金の配当等の額」と同じものであると考えられる。

       この金額を「剰余金の配当等の額」に含めずに「収益の額」とした理由や組織再編成に係る所得の金額の計算(第2編第1章第1節第6款)中の62条の5第4項において取扱いを定めることとしたことに関しては、その理由を明確に説明したものは見受けられないが、「適格現物分配」を資本等取引ではなく組織再編成と位置付けたことに因るものと推測される。

       なお、「現物分配」や「適格現物分配」は、組織再編成ではなく、資本等取引であって、これらに関する税制は、本来、資本等取引税制として整備すべきことについては、拙著『詳解 グループ法人税制』(法令出版)の問103及び鼎談664頁を、また、法人が稼得した「所得」に対する課税を行わないまま「所得の分配」を行うことに関する疑問については、同じく問104を参照されたい。

    【図4】処理例1(法令8①十六ロの括弧書きの置換えが働かないと解釈する場合)

    【図5】処理例2(法令8①十六ロの括弧書きの置換えが働くと解釈する場合)

    子会社等

    製品販売

    香港法人(特定外国子会社等)

    中国側企業体(工 場)

    材料・仕掛品支給

    技術指導

    完成品

    工場財務・管理等

    完成品

    加工賃・賃貸料

    日本親会社

    株式

    株式

    資本等取引

    国外

    国内

    ▶加工、組立業務

    ▶工場所有、賃貸

    ▶工員手配

    ▶福利厚生、庶務

    ▶組  合

    【図1】タックスヘイブン対策税制による合算所得の計算

    本邦法令又は現地法令により計算される所得

    基準所得金額 適用対象金額 課税対象金額

    法人税及び受取配当等の調整

    欠損金及び納付税額等の調整

    持分に応じた金額の計算

    適用対象法人A

    国内関連者等B

    非国内関連者等

    C国内関連者等

    支払利子 受取利子 a100

    受取利子 b80

    受取利子 c20

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1200

    【図2】一定の第三者の範囲

    【図3】控除対象受取利子等合計額への算入を制限する措置

    【図2】行動3 CFC税制の見直し

    (出所:財務省 平成24年度税制改正の解説)

    (出所:財務省 平成24年度税制改正の解説)

    (出所:財務省 平成24年度税制改正の解説)

    調整所得金額の50%

    過大支払利子

    関連者純支払利子等の額

    [米国] [日本]

    X社

    Y社

    Z社

    比較

    100%資本等取引

    関連者

    第三者

    日本本社

    1 第三者を通じた関連者からの 資金供与((a)のケース)

    関連会社(シンガポール)

    商流(販売)

    資金

    50%

    資金

    法人

    関連者

    第三者

    2 関連者の債務保証により第三者が 資金供与((b)のケース)

    債務保証

    50%

    資金

    法人

    第三者

    関連者

    他の

    第三者

    50%

    資金

    債券

    債券債券

    法人

    関連者

    他の

    第三者

    50%

    資金

    債務保証債券

    法人

    3 関連者又は第三者から貸し付けられた債券を他の第三者  へ譲渡し又は貸し付けること等による資金供与((c)のケース)

    受取利子a100>受取利子b80より、受取利子の合計額に含まれる金額は80となる

    関連者

    50%

    法人

    [日本]国税庁②徴収共助要請③徴収④送金

    IRS

    国税庁

    米国納税者

    ①租税債権 ③徴収④送金

    ②徴収共助要請

    米国納税者の財産

    A国支払B国顧客

    【図2】Amazon

    Amazon US

    Amazon EuropeHoldings

    Amazon EU Sari

    各国のAmazon法人

    ①ウェブサイト関連 のIPを保有 (使用料収入)

    ②ウェブサイトの運営、 商品の所有、決済業 務(販売収入)

    ③配送手配、カスタ マーサービス(サー ビスフィー収入)

    米国

    ルクセンブルグ

    ヨーロッパ各国

    A国(CFC税制が厳しい)

    C国(タックスヘイブン)

    B国(CFC税制が緩い)

    Z社所得の合算課税

    合算課税なし

    顧客

    B国にはPEを有せず販売、サービス提供が可能

    【図1】

    A法人

    B法人

    貸付

    利息

    A国

    B国

    顧客

    A国においては、貸付および受取利息が認識されない

    事業流出(BEPS)

    【図3】行動5 有害な税制への対応の強化

    X社

    子会社Z

    子会社Y

    A国 B国(有害税制なし)

    C国(有害税制あり)

    Z社所得の合算課税

    利益圧縮(BEPS)

    事業流出(BEPS)支払

    【図2】

    A法人

    B法人(パススルー)

    C法人

    A国

    B国

    C国

    B法人の受取利息とは認識されない

    B国税制上パススルー

    A国税制上パススルー

    【図3】

    A法人

    B法人

    A国

    B国

    ・B国法人税上、B法人の損金算入・A国法人税上、B国支店(A法人の一部)として損金算入

    貸付

    利息

    【図4】

    A法人

    B法人

    C法人

    A国

    B国

    C国

    貸付

    ハイブリッド金融商品

    損金算入配当

    利息

    コスト支払

    A国税制上パススルー(B国支店となる)

    現 行親会社

    【図3】改正寄附金税制の適用範囲

    寄附

    100%100%

    B社

    個人

    A社寄附

    100%100%

    B社

    内国法人または外国法人

    A社

    益金算入益金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    B社  益金不算入益金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    <原則によるときの処理例> <適格合併の処理例>資産 1,000 / 負債 500 資産 800 / 負債 500現金 40 資本金等の額 240 資本金等の額 500 利益積立金額 100譲渡損 660 合併交付金 200 被合併法人株式 700 被合併法人株式 700 配当 60

    <原則によるときの処理例> <適格合併の処理例>資産 1,000 / 負債 500 資産 800 / 負債 500現金 40 合併交付金 200 資本金等の額 500 利益積立金額 100資本金等の額 420 被合併法人株式 700 被合併法人株式 700 配当 60

    会議費10/現 金10会議費10/現 金10

    ⑩⑤

    会議費10/現 金10

    ① ②~④ ⑥~⑨

    -交際費10/会議費10交際費10/会議費10

    申告省  

    省  

    略 修正

    資産10 負  債5     資本金等5

    資産6 負  債5    資本金等1

    ⑩⑤

    現 金5 資 産10譲渡損5

    ① ②~④ ⑥~⑨

    〈期首〉資本金等4/資産4

    - -

    -資 産4/譲渡損4

    申告

    修正

    A社

    100%

    米国

    出資者出資者

    営業者

    (B)(A)

    日本法人

    オランダ

    出資

    分配金

    営業者日本法人

    資産2,000

    負債  700 <会 社>資産(簿価300、時価600)

    資本金 500

    資本剰余金500

    利益剰余金300

    <株 主>

    剰余金の配当

    含み益

    600300150

    150

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本等の金額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

    (みなし配当)

    ◎ 減資等(300) ○ 資本等の金額の減少額(旧法令9⑨)         300   1,000 ×   = 200         1,500 ○ 利益積立金額の減少額(みなし配当)(旧法法2十八ヲ)   300 - 200 = 100◎ 配当等(300) ○ 利益積立金額の減少額(配当等の額)(旧法法2十八ヌ)   300

    200

    100

    300

    株式の譲渡対価の額(旧法法61の2①一)

    配当等の額(旧法法23①一、旧法法24①三、旧法令23①三)

    200

    100

    300

    資本金等の額 200   資 産 300    資 産 600   株 式 300(注)利益積立金額 400   譲渡益 300    譲渡損 100   配 当 400

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本金等の額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

    (みなし配当)

    ◎ 減資等(300) ○ 資本等の金額の減少額(旧法令9⑨)         300   1,000 ×   = 200         1,500 ○ 利益積立金額の減少額(みなし配当)(旧法法2十八ヲ)   300 - 200 = 100◎ 配当等(300) ○ 利益積立金額の減少額(配当等の額)(旧法法2十八ヌ)   300

    200

    100

    300

    株式の譲渡対価の額(旧法法61の2①一)

    配当等の額(旧法法23①一、旧法法24①三、旧法令23①三)

    200

    100

    300

    資本金等の額 200   資 産 300    資 産 600   株 式 225(注3)利益積立金額 400   譲渡益 300    譲渡損 125   配 当 500

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本金等の額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

     ○ 資本金等の額の減少額(旧法令8①十九)         150   1,000 ×   = 100         1,500  ○ 利益積立金額の減少額(旧法令9①七)   600 - 100 = 500

    100

    500

    株式の譲渡対価の額(旧法法61の2①一)100

    500

    資本金等の額 100   資 産 300    資 産 600   株 式 300(注2)利益積立金額 500   譲渡益 300    譲渡損 200   配 当 500

    みなし配当の額(旧法法24①三、旧法令23①三)(注1)

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本金等の額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

     ○ 資本金等の額の減少額(法令8①十六)         150   1,000 ×   = 100         1,500  ○ 利益積立金額の減少額(法令9①十一)(注1)   300 - 100 = 200

    100

    200

    株式の譲渡対価の額(法法61の2⑯)300

    200

    資本金等の額 100   資 産 300  資 産   300    株 式 300(注2)利益積立金額 200            資本金等の額200(注3)  配 当 200(注4)

    みなし配当の額(法法24①三、法令23①三)

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本金等の額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

     ○ 資本金等の額の減少額(法令8①十六)         300   1,000 ×   = 200         1,500  ○ 利益積立金額の減少額(法令9①十一)   300 - 200 = 100

    200

    100 100

    株式の譲渡対価の額(法法61の2⑯)300

    資本金等の額 200 資 産 300  資 産   300    株 式  300(注1)利益積立金額 100          資本金等の額100(注2)  「収益の額」100 (注3)

    みなし配当の額(法法24①三、法令23①三)

    100%

    寄附

    100%100%

    組織再編成

    資本等取引

    匿名組合契約

    匿名組合契約

    出資者出資者

    (B)

    オランダ

    出資

    出資分配金

    分配金

    国外

    この事業は?株式保有 or サービス業

    製造会社(ベトナム)

    第三者

    日本本社

    関連会社(シンガポール)

    商流(販売)

    販売

    商流(購入)

    製造会社(インドネシア)

    法人税法・措置法により計算される所得

    (措令39の15①一)

    (加算)納付法人所得税(措令39の15①二)

    (減算)還付法人所得税(措令39の15①三)

    (減算)益金不算入配当(措令39の15①四)

    (減算)控除対象配当等(措令39の15③④)

    ・25%以上・6ヶ月以上 所有上記以外

    基準所得金額の計算上減算

    基準所得金額を構成

    配当(他の子会社) (特定外国子会社等)

    配当

    【図7】 営業権に関する議論は不毛?

    【図表2】□□□□■□□□□■

    【図2】特定医療法人化と本件相続の関係

    B/S

    寄附?

    負 債資 産

    営業権

    (簿価500、時価700)

    負 債資 産

    <債務超過会社のB/S>

    マイナスの利益積立金▲ 500資本金等(100)

    (900)

          (借   方)       (貸   方)(債   務) 430,442,435 (資 本 金) 400,000,000 (資本準備金) 30,400,000 (雑 収 入) 42,435

    【図2】債務者会社の経理処理

    現 行

    譲渡損失

    ×

    対価がA社株式ではないため、現行の税制では課税繰延は認められない。

    国内会社

    業界団体等

    ※ 

    被相続人に係る相続発生

    各省庁(窓口)

    各省の税制担当副大臣

    政府税調

    政府税調

    各省の税制担当副大臣

    各省庁(窓口)

    業界団体等

    持ち分の定めのある医療法人

    ②①債権を1億6200万円で取得

    親会社

    株主株主

    特定医療法人へ移行

    双方の株主総会特別決議が必要であり、友好的に行われる。

    DES

    【図3】本件自己株式の譲渡の概要(平成16年5月期)

    ③債権(3億2470万円)

    ①債権4億6931万0500円

    ②①債権を1億6200万円で取得

    ③自己株式(34万株) 債務者会社

    外国銀行

    債権者会社

    ②①債権を2億5663万2756円で取得、1億4461万0500円の弁済収受

    100%出資

    100%出資

    新設医療法人

    新設医療法人

    A国

    日本企業

    日本

    子会社設立(金銭出資)

    業界団体等 自民党税調

    臨時株主総会

    特定医療法人の承認申請の遂行、

    定款変更の認可の手続を決定

    業界団体等

    商工部会農林部会

    財務金融部会建設部会…etc

    自民党税調

    政府税調

    各省の税制担当副大臣

    各省庁(窓口)

    業界団体等

    〈これまでの税制改正プロセス〉

    〈民主党政権下での税制改正プロセス〉

    自民党政務調査会

    商工部会 財務金融部会

    農林部会 建設部会

    …etc

    【図表2】新旧の税制改正要望プロセス

    業界団体等

    業界団体等

    各省庁(窓口)

    各省の税制担当副大臣

    政府税調

    自民党税調

    自民党税調

    業界団体等

    自民党税調

    〈これまでのプロセス〉 〈民主党政権下でのプロセス〉

    自民党政務調査会

    経済産業部会 財務金融部会

    農林部会 国土交通部会

    …etc.

    【図1】グループ法人単体課税制度の適用範囲と    譲渡損益の繰延べ範囲

    譲渡損益の繰り延べ

    一定資産の譲渡

    100%100%

    内国法人

    内国法人または個人または外国法人

    内国法人

    【図3】改正寄附金税制の適用範囲

    寄附

    100%

    B社

    個人

    A社

    【図】評価範囲の決定方法(見直し案)

    譲 渡譲渡先

    資産

    譲渡元

    減価償却分の譲渡損益実現 減価償却

    繰延べ損益の金額実現 除  却

    寄附

    100%100%

    B社

    内国法人又は外国法人

    A社

    損金算入損金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    B社  損金不算入損金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    【図3】改正寄附金税制の適用範囲

    寄附

    100%100%

    B社

    個人

    A社寄附

    100%100%

    B社

    内国法人または外国法人

    A社

    益金算入益金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    B社  益金不算入益金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    0 30 60 90 120 150

    本社売上¥60

    A支社¥30

    B支社¥20

    その他¥40

    100/150以上

    80/150以上

    (例)A支社が ① 前年度の評価が良好 ② 状況に大きな変化がない ③ 特に重要な事業拠点 (本社)でない

    【当年度】

    【前年度】

    Aは評価対象外

    (出典:金融庁)

    寄 附 金 40 / 土   地 30 譲 渡 益 10譲渡損益調整損 10 / 譲渡損益調整勘定 10

    土   地 40 / 受 贈 益 40 土 地 :+40 利益積立金 40 / S 社 株 式 40 S社株式 :-40(帳簿価額:60) 利益積立金 :±0

    【図1】 

    B/S100% 土地

    P社

    S社

    現  金  70  資本金等  50土  地  30  利益積立金 50

    【仕訳5】

    【仕訳4】

    【図】統括会社の概念図

    【図2】本邦法令に基づく基準所得金額の計算 【図3】受取配当の除外(原則)

    【図2】平成13年度改正における法人税法上の処理

    【図3】平成18年度改正以後の法人税法上の処理

    【会社法上の貸借対照表】

    【図表2】組織再編成における未経過固定資産税     相当額の金銭の位置関係

    【例1】

    【例2】

    【ケース2】 

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%

    100%99%1%

    C社 D社

    【ケース3】 

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%100%

    1% 99%

    C社 D社

    P社

    B/S現    金  70 譲渡損益調整勘定 10 資 本 金 50 利益積立金 10

    利益積立金 30 / 土   地 30

    土   地 30 / 配 当 収 入 30 土 地 :+30  S社株式 :-(帳簿価額:100) 利益積立金 :+30

    【図2】 

    S社

    P社

    B/S現    金  70 資 本 金 等 50 利益積立金 20

    資本金等 15 / 土   地 30利益積立金 15

    土   地 30 / 利益積立金 15 土 地 :+30 資本金等 15 S社株式 30 S社株式 :-30(帳簿価額:70) 利益積立金 :+15 資本金等 :-15

    (*)分割前事業年度の簿価純資産価額を100、分割直前の資本金等の額を50とする。  ・S社の減少する資本金等の額 15=50×30/100(法令8①十五)  ・S社の減少する利益積立金額 15=30-15(法令9①十)

    (*)前提は、上記S社の場合と同様である。  ・P社の増加する資本金等の額 -15=15-(100×30/100)(法令8①六)  ・P社の増加する利益積立金額 15=30-(-15)-(100×30/100)(法令9①三)  ・P社が保有するS社株式の減少額 30=100×30/100(法令119の3⑪、119の8)

    【図3】 

    ※S社

    P社

    B/S現    金  70 資 本 金 等 35 利益積立金 35

    【図表4】ケース1

    A社 B社

    100%甲 乙 丙 丁

    100% 100% 100%

    C社 D社

    【図表5】ケース2

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%

    100% 99%

    C社 D社

    【図表6】ケース3

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%100% 99%

    C社 D社

    1%

    1%

    匿名組合契約匿名組合契約

    反対株主の買

    取請求に基づ

    いて交付され

    る金銭等

    剰余金の配当

    等として交付

    される金銭等

    未経過固定資

    産税相当額の

    金銭

    一株未満の株

    式の代り金

    親法人株式等

    の端数の代り金

    【図表3】未経過固定資産税相当額の金銭の受払い     と取引の関係

    (親法人株式

    等の端数の代

    り金)

    (一株未満の株

    式の代り金)

    株  

    株  

    株  

    未経過固定資

    産税相当額の

    金銭

    寄附B社

    B社

    益金算入益金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    【法人税法上の貸借対照表】

    B社 

    益金不算入益金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    (注)株主における株式の譲渡原価は、『平成22年度 税制改正の解説』の処理例と同等に、300であるものとする。

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注3)株主における株式の帳簿価額の合計額は1,500とし、旧法人税法施行令119条の9第1項(減資等の場合の株式の譲渡原価の額等)に規定する「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割合」は0.15(150÷1,000)とする。

    【図3】平成18年度改正以後の法人税法上の処理

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)法人税法23条1項1号においては、剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うもの・・・を除く」とされており、24条1項3号においては、資本の払戻しに該当する剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うものに限る」とされているため、剰余金の配当の原資に一部でも資本剰余金がある場合には、その剰余金の配当の全てが24条1項3号の適用対象となり、利益積立金額の減少に対応する部分の金額は、全てみなし配当の額とされることとなっている。

      本来、みなし配当は、会社法等において法人税法23条1項の配当等の額とされないものについて、法人税法上、配当等の額とみなすこととするものであり、会社法上の処理において利益剰余金を原資とする部分に関しては、24条1項3号の規定を適用してみなし配当とした上で23条1項の配当等の額としなければならないものであるのか、また、資本剰余金を原資とする部分と利益剰余金を原資とする部分の区分は、本来は、事実認定の問題ではないのか、という疑問が残らざるを得ない。

    (注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。

    ・・・・・

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)法人税法施行令9条1項11号においては、利益積立金の減少額を「第八条第一項第十六号に規定する合計額」に基づいて計算することとされており、この「合計額」は、「当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額」(法令8①十六)とされているが、この括弧書きの「(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)」は、資本の払戻し等が適格現物分配に該当する場合には、疑問の余地なく、働くこととなる。次の処理例においても、同様である。

    (注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。(注3)法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。(注4)法人税法24条1項においては、「適格現物分配」の場合には、みなし配当とする金額の計算に用いる「金銭以外の資

    産の価額」について、「適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額」としている。そして、法人税法24条1項においては、みなし配当とする金額の計算に用いる「当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額」について政令に委任し、「資本の払戻し」に関しては、法人税法施行令23条1項3号において、「直前の資本金等の額・・・にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合・・・を乗じて計算した金額」を基にして計算するものと定め、同号イ及びロにおいて、質問文におけるイ及びロと殆ど同じ文言の定めを設けている。

       すなわち、本件質問は、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を行った法人において減少させることとなる資本金等の額の計算に関する質問であると同時に、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を受けた株主においてみなし配当とする金額の計算に関する質問ともなっているわけである。

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)株主における株式の譲渡原価の額は、法人税法61条の2第17項及び法人税法施行令119条の9第1項において、所有株式の帳簿価額に「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割合」を乗じて計算した金額とされており、この割合は、法人税法施行令8条1項16号ロと同様に、「適格現物分配」の場合の取扱いに関する疑問が存在する状態となっているが、本例では、他の例との比較検討の都合上、300であるものとする。

    (注2)処理例1と同様に、法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。(注3)この法人税法62条の5第4項の「収益の額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」ではないのか、なぜ「収益の

    額」としたのか、23条1項と同様の取扱いとしているにもかかわらず同項の適用対象から除いて62条の5第4項において取扱いを定めることとしたのはなぜか、といった疑問の声が聞かれる。

       法人税法24条1項により、同項3号の金額を23条1項1号の金額とみなす取扱いは、23条1項の規定を適用する場合に止まらず、法人税法の全ての規定を適用する場合に適用されるため、62条の5第4項の規定を適用する場合にも、「資本の払戻し」によって生じた24条1項の「その超える部分の金額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」とみなされることとなる。このため、法人税法62条の5第4項の「収益の額」は、23条1項1号の「剰余金の配当等の額」と同じものであると考えられる。

       この金額を「剰余金の配当等の額」に含めずに「収益の額」とした理由や組織再編成に係る所得の金額の計算(第2編第1章第1節第6款)中の62条の5第4項において取扱いを定めることとしたことに関しては、その理由を明確に説明したものは見受けられないが、「適格現物分配」を資本等取引ではなく組織再編成と位置付けたことに因るものと推測される。

       なお、「現物分配」や「適格現物分配」は、組織再編成ではなく、資本等取引であって、これらに関する税制は、本来、資本等取引税制として整備すべきことについては、拙著『詳解 グループ法人税制』(法令出版)の問103及び鼎談664頁を、また、法人が稼得した「所得」に対する課税を行わないまま「所得の分配」を行うことに関する疑問については、同じく問104を参照されたい。

    【図4】処理例1(法令8①十六ロの括弧書きの置換えが働かないと解釈する場合)

    【図5】処理例2(法令8①十六ロの括弧書きの置換えが働くと解釈する場合)

    子会社等

    製品販売

    香港法人(特定外国子会社等)

    中国側企業体(工 場)

    材料・仕掛品支給

    技術指導

    完成品

    工場財務・管理等

    完成品

    加工賃・賃貸料

    日本親会社

    株式

    株式

    資本等取引

    国外

    国内

    ▶加工、組立業務

    ▶工場所有、賃貸

    ▶工員手配

    ▶福利厚生、庶務

    ▶組  合

    【図1】タックスヘイブン対策税制による合算所得の計算

    本邦法令又は現地法令により計算される所得

    基準所得金額 適用対象金額 課税対象金額

    法人税及び受取配当等の調整

    欠損金及び納付税額等の調整

    持分に応じた金額の計算

    適用対象法人A

    国内関連者等B

    非国内関連者等

    C国内関連者等

    支払利子 受取利子 a100

    受取利子 b80

    受取利子 c20

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1200

    【図2】一定の第三者の範囲

    【図3】控除対象受取利子等合計額への算入を制限する措置

    【図2】行動3 CFC税制の見直し

    (出所:財務省 平成24年度税制改正の解説)

    (出所:財務省 平成24年度税制改正の解説)

    (出所:財務省 平成24年度税制改正の解説)

    調整所得金額の50%

    過大支払利子

    関連者純支払利子等の額

    [米国] [日本]

    X社

    Y社

    Z社

    比較

    100%資本等取引

    関連者

    第三者

    日本本社

    1 第三者を通じた関連者からの 資金供与((a)のケース)

    関連会社(シンガポール)

    商流(販売)

    資金

    50%

    資金

    法人

    関連者

    第三者

    2 関連者の債務保証により第三者が 資金供与((b)のケース)

    債務保証

    50%

    資金

    法人

    第三者

    関連者

    他の

    第三者

    50%

    資金

    債券

    債券債券

    法人

    関連者

    他の

    第三者

    50%

    資金

    債務保証債券

    法人

    3 関連者又は第三者から貸し付けられた債券を他の第三者  へ譲渡し又は貸し付けること等による資金供与((c)のケース)

    受取利子a100>受取利子b80より、受取利子の合計額に含まれる金額は80となる

    関連者

    50%

    法人

    [日本]国税庁②徴収共助要請③徴収④送金

    IRS

    国税庁

    米国納税者

    ①租税債権 ③徴収④送金

    ②徴収共助要請

    米国納税者の財産

    A国支払B国顧客

    【図2】Amazon

    Amazon US

    Amazon EuropeHoldings

    Amazon EU Sari

    各国のAmazon法人

    ①ウェブサイト関連 のIPを保有 (使用料収入)

    ②ウェブサイトの運営、 商品の所有、決済業 務(販売収入)

    ③配送手配、カスタ マーサービス(サー ビスフィー収入)

    米国

    ルクセンブルグ

    ヨーロッパ各国

    A国(CFC税制が厳しい)

    C国(タックスヘイブン)

    B国(CFC税制が緩い)

    Z社所得の合算課税

    合算課税なし

    顧客

    B国にはPEを有せず販売、サービス提供が可能

    【図1】

    A法人

    B法人

    貸付

    利息

    A国

    B国

    顧客

    A国においては、貸付および受取利息が認識されない

    事業流出(BEPS)

    【図3】行動5 有害な税制への対応の強化

    X社

    子会社Z

    子会社Y

    A国 B国(有害税制なし)

    C国(有害税制あり)

    Z社所得の合算課税

    利益圧縮(BEPS)

    事業流出(BEPS)支払

    【図2】

    A法人

    B法人(パススルー)

    C法人

    A国

    B国

    C国

    B法人の受取利息とは認識されない

    B国税制上パススルー

    A国税制上パススルー

    【図3】

    A法人

    B法人

    A国

    B国

    ・B国法人税上、B法人の損金算入・A国法人税上、B国支店(A法人の一部)として損金算入

    貸付

    利息

    【図4】

    A法人

    B法人

    C法人

    A国

    B国

    C国

    貸付

    ハイブリッド金融商品

    損金算入配当

    利息

    コスト支払

    A国税制上パススルー(B国支店となる)

    現 行親会社

    【図3】改正寄附金税制の適用範囲

    寄附

    100%100%

    B社

    個人

    A社寄附

    100%100%

    B社

    内国法人または外国法人

    A社

    益金算入益金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    B社  益金不算入益金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    <原則によるときの処理例> <適格合併の処理例>資産 1,000 / 負債 500 資産 800 / 負債 500現金 40 資本金等の額 240 資本金等の額 500 利益積立金額 100譲渡損 660 合併交付金 200 被合併法人株式 700 被合併法人株式 700 配当 60

    <原則によるときの処理例> <適格合併の処理例>資産 1,000 / 負債 500 資産 800 / 負債 500現金 40 合併交付金 200 資本金等の額 500 利益積立金額 100資本金等の額 420 被合併法人株式 700 被合併法人株式 700 配当 60

    会議費10/現 金10会議費10/現 金10

    ⑩⑤

    会議費10/現 金10

    ① ②~④ ⑥~⑨

    -交際費10/会議費10交際費10/会議費10

    申告省  

    省  

    略 修正

    資産10 負  債5     資本金等5

    資産6 負  債5    資本金等1

    ⑩⑤

    現 金5 資 産10譲渡損5

    ① ②~④ ⑥~⑨

    〈期首〉資本金等4/資産4

    - -

    -資 産4/譲渡損4

    申告

    修正

    A社

    100%

    米国

    出資者出資者

    営業者

    (B)(A)

    日本法人

    オランダ

    出資

    分配金

    営業者日本法人

    資産2,000

    負債  700 <会 社>資産(簿価300、時価600)

    資本金 500

    資本剰余金500

    利益剰余金300

    <株 主>

    剰余金の配当

    含み益

    600300150

    150

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本等の金額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

    (みなし配当)

    ◎ 減資等(300) ○ 資本等の金額の減少額(旧法令9⑨)         300   1,000 ×   = 200         1,500 ○ 利益積立金額の減少額(みなし配当)(旧法法2十八ヲ)   300 - 200 = 100◎ 配当等(300) ○ 利益積立金額の減少額(配当等の額)(旧法法2十八ヌ)   300

    200

    100

    300

    株式の譲渡対価の額(旧法法61の2①一)

    配当等の額(旧法法23①一、旧法法24①三、旧法令23①三)

    200

    100

    300

    資本金等の額 200   資 産 300    資 産 600   株 式 300(注)利益積立金額 400   譲渡益 300    譲渡損 100   配 当 400

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本金等の額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

    (みなし配当)

    ◎ 減資等(300) ○ 資本等の金額の減少額(旧法令9⑨)         300   1,000 ×   = 200         1,500 ○ 利益積立金額の減少額(みなし配当)(旧法法2十八ヲ)   300 - 200 = 100◎ 配当等(300) ○ 利益積立金額の減少額(配当等の額)(旧法法2十八ヌ)   300

    200

    100

    300

    株式の譲渡対価の額(旧法法61の2①一)

    配当等の額(旧法法23①一、旧法法24①三、旧法令23①三)

    200

    100

    300

    資本金等の額 200   資 産 300    資 産 600   株 式 225(注3)利益積立金額 400   譲渡益 300    譲渡損 125   配 当 500

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本金等の額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

     ○ 資本金等の額の減少額(旧法令8①十九)         150   1,000 ×   = 100         1,500  ○ 利益積立金額の減少額(旧法令9①七)   600 - 100 = 500

    100

    500

    株式の譲渡対価の額(旧法法61の2①一)100

    500

    資本金等の額 100   資 産 300    資 産 600   株 式 300(注2)利益積立金額 500   譲渡益 300    譲渡損 200   配 当 500

    みなし配当の額(旧法法24①三、旧法令23①三)(注1)

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本金等の額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

     ○ 資本金等の額の減少額(法令8①十六)         150   1,000 ×   = 100         1,500  ○ 利益積立金額の減少額(法令9①十一)(注1)   300 - 100 = 200

    100

    200

    株式の譲渡対価の額(法法61の2⑯)300

    200

    資本金等の額 100   資 産 300  資 産   300    株 式 300(注2)利益積立金額 200            資本金等の額200(注3)  配 当 200(注4)

    みなし配当の額(法法24①三、法令23①三)

    資産2,000

    負債 500

    <法 人>

    資本金等の額の減少額

    利益積立金額の減少額

    (資本金500)資本金等の額1,000

    利益積立金額500

    <株 主>

     ○ 資本金等の額の減少額(法令8①十六)         300   1,000 ×   = 200         1,500  ○ 利益積立金額の減少額(法令9①十一)   300 - 200 = 100

    200

    100 100

    株式の譲渡対価の額(法法61の2⑯)300

    資本金等の額 200 資 産 300  資 産   300    株 式  300(注1)利益積立金額 100          資本金等の額100(注2)  「収益の額」100 (注3)

    みなし配当の額(法法24①三、法令23①三)

    100%

    寄附

    100%100%

    組織再編成

    資本等取引

    匿名組合契約

    匿名組合契約

    出資者出資者

    (B)

    オランダ

    出資

    出資分配金

    分配金

    国外

    この事業は?株式保有 or サービス業

    製造会社(ベトナム)

    第三者

    日本本社

    関連会社(シンガポール)

    商流(販売)

    販売

    商流(購入)

    製造会社(インドネシア)

    法人税法・措置法により計算される所得

    (措令39の15①一)

    (加算)納付法人所得税(措令39の15①二)

    (減算)還付法人所得税(措令39の15①三)

    (減算)益金不算入配当(措令39の15①四)

    (減算)控除対象配当等(措令39の15③④)

    ・25%以上・6ヶ月以上 所有上記以外

    基準所得金額の計算上減算

    基準所得金額を構成

    配当(他の子会社) (特定外国子会社等)

    配当

  • No.5732014.12.1 27

    負担したコスト(たとえば支払利息)は、B国においてB法人の所得計算上損金として認識される。同時に、A国税制上、B国法人はパススルー事業体(つまりA国法人の支店扱い)であるため、自らの負担コストと認識でき、A国におけるA法人の所得計算上損金算入できることとなる。

     しかしながら、二重控除といっても、B国においてB国の法人税の計算上損金算入し、同時にA国の法人税の計算上も損金算入しているのであって、2つの法人税が課されることが前提となる。つまりB国法人はそもそも二重課税の状態におかれており、それぞれの計算上損金とされるのであって、二重非課税との認識は疑問である。(6)二重居住者の支払い 二重居住者となる法人が負担したコストが、二重に損金となることを問題視している。B国は法人居住地の判定に当たって設立地主義を採っており、他方A国では管理支配地主義である場合など、B国法人がA国及びB国の双方

    で居住法人となる場合がある(二重居住者)。この場合、B国法人が負担したコストがA国税制上及びB国税制上も二重に損金となるというものである。 このケースも、そもそも二重居住者となることにより、B国法人は二重課税の状態になるのであって、その状態こそが問題であり、二重非課税という認識はやはり疑問である。(7)ミスマッチの輸入 直接的なミスマッチによる二重非課税を第三国に展開するスキームを指している。図4にあるように、ハイブリッド金融商品によりB国法人がA国法人より資金調達し、その資金をC国法人に貸し付けることにより、B国において支払配当を損金算入できる効果を第三国に及ぼすことができるというものである。 これは、第三国であるC国ではハイブリッド金融商品の制度がない場合に、当該制度を有するB国を介在させることににより、その効果をC国に及ぼすことができることとなる。

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    【図7】 営業権に関する議論は不毛?

    【図表2】□□□□■□□□□■

    【図2】特定医療法人化と本件相続の関係

    B/S

    寄附?

    負 債資 産

    営業権

    (簿価500、時価700)

    負 債資 産

    <債務超過会社のB/S>

    マイナスの利益積立金▲ 500資本金等(100)

    (900)

          (借   方)       (貸   方)(債   務) 430,442,435 (資 本 金) 400,000,000 (資本準備金) 30,400,000 (雑 収 入) 42,435

    【図2】債務者会社の経理処理

    現 行

    譲渡損失

    ×

    対価がA社株式ではないため、現行の税制では課税繰延は認められない。

    国内会社

    業界団体等

    ※ 

    被相続人に係る相続発生

    各省庁(窓口)

    各省の税制担当副大臣

    政府税調

    政府税調

    各省の税制担当副大臣

    各省庁(窓口)

    業界団体等

    持ち分の定めのある医療法人

    ②①債権を1億6200万円で取得

    親会社

    株主株主

    特定医療法人へ移行

    双方の株主総会特別決議が必要であり、友好的に行われる。

    DES

    【図3】本件自己株式の譲渡の概要(平成16年5月期)

    ③債権(3億2470万円)

    ①債権4億6931万0500円

    ②①債権を1億6200万円で取得

    ③自己株式(34万株) 債務者会社

    外国銀行

    債権者会社

    ②①債権を2億5663万2756円で取得、1億4461万0500円の弁済収受

    100%出資

    100%出資

    新設医療法人

    新設医療法人

    A国

    日本企業

    日本

    子会社設立(金銭出資)

    業界団体等 自民党税調

    臨時株主総会

    特定医療法人の承認申請の遂行、

    定款変更の認可の手続を決定

    業界団体等

    商工部会農林部会

    財務金融部会建設部会…etc

    自民党税調

    政府税調

    各省の税制担当副大臣

    各省庁(窓口)

    業界団体等

    〈これまでの税制改正プロセス〉

    〈民主党政権下での税制改正プロセス〉

    自民党政務調査会

    商工部会 財務金融部会

    農林部会 建設部会

    …etc

    【図表2】新旧の税制改正要望プロセス

    業界団体等

    業界団体等

    各省庁(窓口)

    各省の税制担当副大臣

    政府税調

    自民党税調

    自民党税調

    業界団体等

    自民党税調

    〈これまでのプロセス〉 〈民主党政権下でのプロセス〉

    自民党政務調査会

    経済産業部会 財務金融部会

    農林部会 国土交通部会

    …etc.

    【図1】グループ法人単体課税制度の適用範囲と    譲渡損益の繰延べ範囲

    譲渡損益の繰り延べ

    一定資産の譲渡

    100%100%

    内国法人

    内国法人または個人または外国法人

    内国法人

    【図3】改正寄附金税制の適用範囲

    寄附

    100%

    B社

    個人

    A社

    【図】評価範囲の決定方法(見直し案)

    譲 渡譲渡先

    資産

    譲渡元

    減価償却分の譲渡損益実現 減価償却

    繰延べ損益の金額実現 除  却

    寄附

    100%100%

    B社

    内国法人又は外国法人

    A社

    損金算入損金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    B社  損金不算入損金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    【図3】改正寄附金税制の適用範囲

    寄附

    100%100%

    B社

    個人

    A社寄附

    100%100%

    B社

    内国法人または外国法人

    A社

    益金算入益金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    B社  益金不算入益金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    0 30 60 90 120 150

    本社売上¥60

    A支社¥30

    B支社¥20

    その他¥40

    100/150以上

    80/150以上

    (例)A支社が ① 前年度の評価が良好 ② 状況に大きな変化がない ③ 特に重要な事業拠点 (本社)でない

    【当年度】

    【前年度】

    Aは評価対象外

    (出典:金融庁)

    寄 附 金 40 / 土   地 30 譲 渡 益 10譲渡損益調整損 10 / 譲渡損益調整勘定 10

    土   地 40 / 受 贈 益 40 土 地 :+40 利益積立金 40 / S 社 株 式 40 S社株式 :-40(帳簿価額:60) 利益積立金 :±0

    【図1】 

    B/S100% 土地

    P社

    S社

    現  金  70  資本金等  50土  地  30  利益積立金 50

    【仕訳5】

    【仕訳4】

    【図】統括会社の概念図

    【図2】本邦法令に基づく基準所得金額の計算 【図3】受取配当の除外(原則)

    【図2】平成13年度改正における法人税法上の処理

    【図3】平成18年度改正以後の法人税法上の処理

    【会社法上の貸借対照表】

    【図表2】組織再編成における未経過固定資産税     相当額の金銭の位置関係

    【例1】

    【例2】

    【ケース2】 

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%

    100%99%1%

    C社 D社

    【ケース3】 

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%100%

    1% 99%

    C社 D社

    P社

    B/S現    金  70 譲渡損益調整勘定 10 資 本 金 50 利益積立金 10

    利益積立金 30 / 土   地 30

    土   地 30 / 配 当 収 入 30 土 地 :+30  S社株式 :-(帳簿価額:100) 利益積立金 :+30

    【図2】 

    S社

    P社

    B/S現    金  70 資 本 金 等 50 利益積立金 20

    資本金等 15 / 土   地 30利益積立金 15

    土   地 30 / 利益積立金 15 土 地 :+30 資本金等 15 S社株式 30 S社株式 :-30(帳簿価額:70) 利益積立金 :+15 資本金等 :-15

    (*)分割前事業年度の簿価純資産価額を100、分割直前の資本金等の額を50とする。  ・S社の減少する資本金等の額 15=50×30/100(法令8①十五)  ・S社の減少する利益積立金額 15=30-15(法令9①十)

    (*)前提は、上記S社の場合と同様である。  ・P社の増加する資本金等の額 -15=15-(100×30/100)(法令8①六)  ・P社の増加する利益積立金額 15=30-(-15)-(100×30/100)(法令9①三)  ・P社が保有するS社株式の減少額 30=100×30/100(法令119の3⑪、119の8)

    【図3】 

    ※S社

    P社

    B/S現    金  70 資 本 金 等 35 利益積立金 35

    【図表4】ケース1

    A社 B社

    100%甲 乙 丙 丁

    100% 100% 100%

    C社 D社

    【図表5】ケース2

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%

    100% 99%

    C社 D社

    【図表6】ケース3

    A社 B社

    100%

    甲 乙 丙 丁

    100%100% 99%

    C社 D社

    1%

    1%

    匿名組合契約匿名組合契約

    反対株主の買

    取請求に基づ

    いて交付され

    る金銭等

    剰余金の配当

    等として交付

    される金銭等

    未経過固定資

    産税相当額の

    金銭

    一株未満の株

    式の代り金

    親法人株式等

    の端数の代り金

    【図表3】未経過固定資産税相当額の金銭の受払い     と取引の関係

    (親法人株式

    等の端数の代

    り金)

    (一株未満の株

    式の代り金)

    株  

    株  

    株  

    未経過固定資

    産税相当額の

    金銭

    寄附B社

    B社

    益金算入益金算入

    損金算入制限の中で損金算入損金算入制限の中で損金算入A社

    【法人税法上の貸借対照表】

    B社 

    益金不算入益金不算入

    損金不算入損金不算入A社

    B社 

    (注)株主における株式の譲渡原価は、『平成22年度 税制改正の解説』の処理例と同等に、300であるものとする。

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注3)株主における株式の帳簿価額の合計額は1,500とし、旧法人税法施行令119条の9第1項(減資等の場合の株式の譲渡原価の額等)に規定する「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割合」は0.15(150÷1,000)とする。

    【図3】平成18年度改正以後の法人税法上の処理

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)法人税法23条1項1号においては、剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うもの・・・を除く」とされており、24条1項3号においては、資本の払戻しに該当する剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うものに限る」とされているため、剰余金の配当の原資に一部でも資本剰余金がある場合には、その剰余金の配当の全てが24条1項3号の適用対象となり、利益積立金額の減少に対応する部分の金額は、全てみなし配当の額とされることとなっている。

      本来、みなし配当は、会社法等において法人税法23条1項の配当等の額とされないものについて、法人税法上、配当等の額とみなすこととするものであり、会社法上の処理において利益剰余金を原資とする部分に関しては、24条1項3号の規定を適用してみなし配当とした上で23条1項の配当等の額としなければならないものであるのか、また、資本剰余金を原資とする部分と利益剰余金を原資とする部分の区分は、本来は、事実認定の問題ではないのか、という疑問が残らざるを得ない。

    (注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。

    ・・・・・

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)法人税法施行令9条1項11号においては、利益積立金の減少額を「第八条第一項第十六号に規定する合計額」に基づいて計算することとされており、この「合計額」は、「当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額」(法令8①十六)とされているが、この括弧書きの「(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)」は、資本の払戻し等が適格現物分配に該当する場合には、疑問の余地なく、働くこととなる。次の処理例においても、同様である。

    (注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。(注3)法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。(注4)法人税法24条1項においては、「適格現物分配」の場合には、みなし配当とする金額の計算に用いる「金銭以外の資

    産の価額」について、「適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額」としている。そして、法人税法24条1項においては、みなし配当とする金額の計算に用いる「当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額」について政令に委任し、「資本の払戻し」に関しては、法人税法施行令23条1項3号において、「直前の資本金等の額・・・にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合・・・を乗じて計算した金額」を基にして計算するものと定め、同号イ及びロにおいて、質問文におけるイ及びロと殆ど同じ文言の定めを設けている。

       すなわち、本件質問は、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を行った法人において減少させることとなる資本金等の額の計算に関する質問であると同時に、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を受けた株主においてみなし配当とする金額の計算に関する質問ともなっているわけである。

    【法人税法上の貸借対照表】

    (注1)株主における株式の譲渡原価の額は、法人税法61条の2第17項及び法人税法施行令119条の9第1項において、所有株式の帳簿価額に「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割合」を乗じて計算した金額とされており、この割合は、法人税法施行令8条1項16号ロと同様に、「適格現物分配」の場合の取扱いに関する疑問が存在する状態となっているが、本例では、他の例との比較検討の都合上、300であるものとする。

    (注2)処理例1と同様に、法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。(注3)この法人税法62条の5第4項の「収益の額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」ではないのか、なぜ「収益の

    額」としたのか、23条1項と同様の取扱いとしているにもかかわらず同項の適用対象から除いて62条の5第4項において取扱いを定めることとしたのはなぜか、といった疑問の声が聞かれる。

       法人税法24条1項により、同項3号の金額を23条1項1号の金額とみなす取扱いは、23条1項の規定を適用する場合に止まらず、法人税法の全ての規定を適用する場合に適用されるため、62条の5第4項の規定を適用する場合にも、「資本の払戻し」によって生じた24条1項の「その超える部分の金額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」とみなされることとなる。このため、法人税法62条の5第4項の「収益の額」は、23条1項1号の「剰余金の配当等の額」と同じものであると考えられる。

       この金額を「剰余金の配当等の額」に含めずに「収益の額」とした理由や組織再編成に係る所得の金額の計算(第2編第1章第1節第6款)中の62条の5第4項において取扱いを定めることとしたことに関しては、その理由を明確に説明したものは