とになり、脳神経外科の立

ち上げに携わりました。

市：環境も変わったところ

でご苦労も多かったでしょ

うね。

院：私は東京出身ですが、

父親から地元に戻ってほし

いと言われたので、平成元

年に埼玉医大へ戻りまし

た。その後、平成5年から

アメリカへ2年間留学しま

した。帰国してから埼玉医

大で救急部を立ち上げると

いうことになって、脳外科

医として救急部に赴任しま

した。そこでは外傷や脳卒

中を専門に診ることが続き

ました。その後、埼玉医大

の救急部から川越の総合医

療センター高度救命救急セ

ンターに移り、その後は高

度救命救急センター長にな

りました。

市：センター長として救急

部門を引っ張ってこられた

のですね。

院：平成31年の3月で定年

退職になり、市民病院にお

世話になることになりまし

た。これが私の経歴です。

東松山市長東松山市長

森田光一森田光一東松山市立市民病院 院長東松山市立市民病院 院長

杉山聡杉山聡

びました。

市：それで脳外科医になっ

たのですね。

院：脳外科を選択するにあ

たって、一番アクティビ

ティの高いところで研修が

したいと考えて入局先を探

したところ、東北大学の脳

外科が良いという話を聞

き、卒業と同時に東北大学

の脳神経外科に入局しまし

た。実際に行ってみると、

非常に厳しいところでした

（笑）。

市：なるほど。

院：まず入局して医局長に

「お前たち何時間寝たいん

だ」と聞かれまして「5、6

時間寝たいです」と言った

ら「一日2、3時間も寝たら

十分だ」と言い返され、実際

本当に3時間程度の睡眠し

か取れませんでした。

市：それは大変でしたね。

院：一年間で自分のアパー

トに帰って寝たのは3日間

だけです。ほとんど病院内

で生活していました。東北

大学での研修が5年たった

頃私のオーベン（研修医を

指導する医師）の方につい

て、大分医科大学に行くこ

　東松山市立市民病院の杉

山院長にお話を伺いまし

た。

森田市長（以下、市）：杉山

院長、本日は大変お忙しい

中、新春対談にお時間をい

ただき本当にありがとうご

ざいます。

杉山院長（以下、院）：どう

ぞよろしくお願いいたしま

す。

市：平成31年4月に当市民

病院に着任以来、ご苦労も

多かったと思いますが、今

までの先生の医師としての

ご経歴をお話しください。

院：私は埼玉医科大学の第

一期生で、昭和47年に入学

して、昭和53年に卒業しま

した。専門課程に入って大

学病院ができて、勉強をし

ていくうちに二つの医療分

野に興味を持ちました。自

分が好きだったのが神経系

で、非常に面白くて興味が

あり、更にもう一つは心臓

です。多くの先生方にご相

談し、最終的に脳外科を選

医師としての経歴

市：今後、市民病院の果た

すべき役割というのは、二

次医療圏の中核病院として

急性期から慢性期まで地域

の医療を支えていかなけれ

ばならないと考えていま

す。先生のお考えはいかが

でしょうか。

院：市長のおっしゃるとお

りだと考えています。東松

山市内、そして比企地域に

中核病院がないと着任当時

から何度も言ってきまし

た。私が考える中核病院と

は二次救急（※１）又は二．

五次救急の救急患者さんを

受け入れて、しっかりとし

た診断から治療までできる

ことです。ただし、市民病

院で診断・治療ができない

ケースでは三次救急（※２）

の大学病院に紹介すること

になります。それともう一

つは、回復期や慢性期の患

者さんも受け入れるという

ことです。介護施設などに

入所している患者さんの具

合が悪くなったときに受け

入れて、治療をして、また

自宅や施設に戻してあげる

ということです。それらの

機能を果たす病院が中核病

院であり、この地域に必要

だと思います。しかし、今

の市民病院は規模が小さす

ぎる。ベッド数や医師の数

が足りず、そこまで手を回

杉山聡（すぎやまさとる）

昭和26年東京都足立区生まれ　現在69歳昭和53年埼玉医科大学卒、医師免許取得平成19年埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター教授平成24年埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター長平成31年東松山市立市民病院　病院事業管理者兼院長

市民病院の果たすべき

役割

新春対談　東松山市長 森田光一　東松山市立市民病院 院長 杉山聡

3 令和3（令和3（20212021）年）年▪▪1月1月 令和3（令和3（20212021）年）年▪▪1月1月 2

新春対談　東松山市長 森田光一　東松山市立市民病院 院長 杉山聡

境は厚生労働省の意向など

いろいろあって全体に医療

機関は縮小していく、病床

を減らしていく傾向にあり

ます。そこで病院の再編・

統合についてどう考えてい

ますか。

院：再編・統合は、国の医

療費の予算削減の方向性か

らすると言い出さざるを得

ない状況だったのかなと思

います。特に当院のような

１００床程度のベッド数し

かなく、特色が少ない病院

ですと、近隣に同じような

規模の病院があれば統合し

て再編して1つの病院にし

て、という方向性を打ち出

していくというのは国の施

策としては仕方がないとは

思います。ただし、この地

区で市民病院がなくなると

いうのは考えられないです

ね。

市：そうですね。

院：しかし、今のこの規模

でずっと続けていくのは難

しい面があると思います。

　再編統合ありきではなく

て、市民病院をこの地区の

中核病院として機能させ、

ベッド数ももっと増やし

院：当院は第二種感染症指

定医療機関として、入院、

外来でそれぞれ新型コロナ

ウイルス感染症の患者さん

に対応しています。内科医

の先生方には帰国者・接触

者外来、発熱外来の担当を

お願いし、眼科、整形外科、

泌尿器科、外科、脳外科の

先生方には入院の主治医に

なっていただき、内科の先

生にはしっかりそのバック

アップをお願いしていま

す。院内の感染防止対策は

しっかりやっていますので

安心してください。感染症

病床は30年以上前に建設し

たものなので、老朽化して

いましたが、施設の改善を

しつつ、対応したいと考え

ています。

市：市民病院も第二種感染

症指定医療機関としての役

割を果たすため、先生方の

努力には本当に頭が下がり

ます。看護師さんも含めて

皆さん本当によくやってく

れていると感じています。

市：今、病院を取り巻く環

せるような余裕がないとい

うのが現状です。

市：かつて２１２床、医師

の数も30人以上いたのです

が、研修医制度の問題等も

あって、医師が十数人にな

り、併せて病床数を減らし

ました。１１０床の病院で

はなかなか中核病院として

の役割は果たせないと私も

考えています。しかし、市

内に市民病院があるという

ことは、最終的なセーフ

ティーネットというイメー

ジを持っていただけること

ができると思います。市民

病院の存在は市民にとって

誇りであり、大いに期待し

ていると思います。

市：ここにきて新型コロナ

ウイルス感染症という事態

が起きています。市民病院

は第二種感染症指定医療機

関（※３）に指定されていま

すが、今後、新型コロナウ

イルスをはじめ新興感染症

に対し、市民病院としてど

う対応していけばよいと考

えていますか。

第二種感染症指定医療

機関としての役割

市民病院が実施して

いる主な新型コロナ

ウイルス感染症対策

◀消毒の実施外来待合フロアの椅子や車椅子、廊下や階段の手すりなどを、毎日消毒しています。

◀検温の実施全ての来院者が、カメラの前を通過するだけで自動的に体温を測ることができるサーモグラフィーを設置しています。

◀各窓口にビニールシートを設置総合受付や診療科ごとの受付、会計窓口に飛沫防止のビニールシートを設置しています。

※1 入院や手術を必要とする重症の救急患者に対応するもの

※2 生命の危機が切迫している重篤患者に対応するもの

※3 結核、新型インフルエンザ等の感染症患者に対応する医療機関

て、３００～４００床くら

いの規模の病院にしてここ

を機能させていくというの

が私の理想です。

市：院長のお考えは理解で

きます。

院：内科医を増やし、充実

させて、ほとんどの内科疾

患をここで治療ができて、

退院させることができると

いうことを第一にやってい

こうと考えています。そし

て急性疾患、例えば、心筋

梗塞や脳卒中、くも膜下出

血も市民病院で治療できる

ようにする。外傷では特に

当院は整形外科が充実して

いるので、四肢の骨折、脳

外科の頭部外傷の治療にも

対応できるようにしたいと

考えています。くも膜下出

血や心筋梗塞も将来的には

対応できる体制にしたいと

考えています。医師を増や

すためには魅力のある病院

にしなければなりません。

あそこの病院にいって自分

も働きたいと思える病院に

したいと思っています。

市：大変厳しい医療環境で

すが、将来的な方向性を

もって事業管理者としてそ

の目標に向かっていく姿勢

を世間に打ち出していただ

ければと思います。そうす

ることによって市民病院に

対する市民の期待感が高ま

ると思っています。

院：今の市民病院は医師不

足や新型コロナウイルスの

問題などで厳しい状況で

す。市長にもこの状況をご

理解いただき、地域医療向

上のためにご尽力いただき

たいと思います。

市：今後も杉山院長の強い

リーダーシップに期待して

います。市民の期待に応え

られる市民病院を作ってい

ただければと思います。よ

ろしくお願いします。

　本日はありがとうござい

ました。

院：こちらこそありがとう

ございました。

病院の再編・統合

これからの市民病院が

目指す道

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