Transcript
  • みなさんは、ストレングストレーニングと聞いてどのような想像をしますか?強さやパワフルさでしょうか?簡単に説明すると、「ストレングス」とは、筋力・パワー・持久力・スピードなど

    の筋機能がかかわるすべての体力要素に不可欠な能力です。つまり、ストレングストレーニングはそれらのトレーニングを指しています。近年の女子アスリートの活躍は、テレビなどでもご存知の通りです。映像で映

    し出されるトップアスリートは、年間を通じてストレングストレーニングを計画的に行っており、競技練習と合わせて行うことで、傷害予防・競技力向上を可能にしています。人のカラダは、成長期を境に、性差が大きく現れます。女性は骨盤が広くなり、

    これにより股関節・膝関節・足関節の位置関係が変化します。また、男性に比べて筋肉や骨の量も少なく、関節がルーズで大きく動いてしまう傾向にあります。これらも影響し、膝の前十字靭帯の損傷は、女子アスリートに多く見られる傷害の一つになっています。次のページからは、女性の筋量不足や膝の傷害予防のための4つのベーシック

    エクササイズをご紹介します。是非一度試してみてください。まずは、正しいトレーニングフォームの習得を行いましょう。ケガの発生を未然

    に防ぐことができ、選手生命が伸びます。また、競技力向上も夢ではありません。フォーム習得後は、トレーニングで適切に負荷をかけることで、筋・骨量がUP

    し、関節の安定性が増します。つまり、正しいトレーニングは、競技スポーツを行う上で、メリットがたくさんあります。

    「トレーニングの基本はスクワット」と言って良いほど、重要なエクササイズです。スクワットは姿勢を保持した状態での股関節・膝関節・足関節の曲げ伸ばし運動になります。スポーツ動作で考えると、スクワットはジャンプ動作・走動作・方向転換動作の基本となります。つまり、スポーツ時に必要な動作は正しいスクワットフォームを習得することで向上します。また、それらの動作による傷害も、正しいスクワットの習得で、未然に防ぐことができますよ。

    鈴木 真代

    札幌国際大学 スポーツ人間学部 非常勤講師

    女子アスリートにおけるストレングストレーニングの必要性

    すずき・まよMayo Suzuki

    SportyLife 32SportyLife 33

    全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリト:CSCS認定パーソナルトレーナー:NSCA-CPT ストレングス&コンディショニングコーチとして、高校・大学の部活動のトレーニング指導を担当

    スタート姿勢

    ・足幅は肩幅程度、目線は正面 ・手を頭の後ろで組み、左右の肩甲骨を引き寄せる

    ・膝が足のつま先より出てしまっている・床から踵が浮いてしまう

    多くの選手は、お尻(股関節)がうまく使えず、膝で動作をする傾向にあります。後ろに椅子があると想定し、そこに座るイメージで動作を行いましょう。そうすると、股関節をうまく使えて効率よく力を発揮できます。

    動作

    バリエーション

    ・太ももが床と平行になる程度までしゃがみこむ・膝とつま先の方向を合わせる(膝をつま先の延長線上に置く)・動作中、目線は正面

    手を前に(難度⤵)まずはこのバリエーションからやってみよう!

    シャフトを持つ(難度⤴)シャフトの重さ15~20kgからスタート!!

    ・動作コントロールを行い、スタート姿勢に戻る

    ダンベルを持つ(難度⤴)ダンベルやペットボトルに水を入れた重りで行うのもGOOD!

    【筋トレプログラム】

    1

    2

    4挙上動作3

    ・下降動作中、上体だけが前へ傾いてしまう

    柔軟性が低い選手にみられます。股関節や足首、背中周りのストレッチをしっかり行いましょう。

    ・膝が足先の方向より内側に位置している

    女子選手は、内股になるケースが多いので、「膝とつま先は同方向」を意識しましょう。

    不適切な姿勢BAD

    不適切な姿勢BAD

    不適切な姿勢BAD

    注意ポイント

    スクワットS

    ルーマニアン・デッドリフト

    ダンベル・プレス

    omanian Deadlift

    umbbell Press

    ワンハンドロウnehand Rowing

    イラストレーション:ベニー・サトー

    quat

    スクワットS quat

    R

    D

    O

    women athlete

    注意ポイント

    注意ポイント

    GOOD

  • 女性の読者のみなさんで腕立て伏せが 15 回連続できる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。また、そのフォームは正しいでしょうか。今から紹介するダンベル・プレスも腕立て伏せも、主に胸の筋肉(大胸筋)を用います。 女性は上半身の筋肉が男性よりもかなり劣ります。特に、

    オーバーヘッド動作を行う選手はこのトレーニングが必要になってきます。現在、腕立て伏せが正しくできない、もしくは1回もできない方でも、ダンベルは自分の筋力に合わせて重さが選べます。幸い、トレーニングは努力を裏切りませんので、まずはダンベル・プレスから始めてみてくださいね。

    SportyLife 34SportyLife 35

    スタート姿勢

    ・後頭部・肩・臀部はベンチに、右足・左足は床に接地させる・膝の角度は90度

    ベンチ台の作りが大きいため、女子選手のほとんどは踵が床から離れ、腰が反ってしまう可能性があります。このような場合には、安定した台の上に足を乗せることで無理のない適切な姿勢をとることができます。

    下降動作

    挙上動作

    ・1/4円を描くようにダンベルを乳頭のラインまで下ろす

    ・動作コントロールを行い、ダンベルの重さを感じながらスタート姿勢に戻る

    1

    2

    3

    ・踵が床から離れ、腰が反る

    ・ベンチ台の真ん中に、真っ直ぐ仰向けになれない

    台を使って適切な姿勢に

    ・下降時、ダンベルが小指側に傾く

    ・下降時、ダンベルが左右に傾く

    下降時にダンベルが肘の位置からずれてしまう場合、肘の真上にダンベルがくるようにしましょう。

    不適切な姿勢BAD不適切な姿勢BAD

    不適切な姿勢BAD

    不適切な姿勢BAD

    注意ポイント

    ルーマニアン・デッドリフトダンベル・プレスomanian Deadliftumbbell PressD

    women athlete

    注意ポイント

    主に股関節を曲げることで太ももの裏(ハムストリングス)の強化を行います。また、動作中、膝が内側に入るのを防ぐために働くお尻の筋肉(大臀筋)も使います。まさに、前十字靭帯損傷予防に直結します。このエクササイズでハムストリングスと大臀筋を刺激することは、スクワットにも大変良い結果をもたらします。合わせて実施してみてください。ポイントは、背筋を伸ばし、太ももの後ろにストレッチ感(伸び)を感じながら行うことです。    このエクササイズが上手になったら、片脚バージョンにも挑戦してみてくださいね。

    スタート姿勢

    ・足幅は腰幅~肩幅に・つま先はやや外向き

    ・胸を張り、背筋を伸ばす・骨盤はニュートラル~やや前傾

    ・顔は下を向き、猫背になる左右の肩甲骨を引き寄せ、しっかり胸を張ろう!

    ・背中を丸めないように動作コントロールを行い、スタート姿勢に戻る

    バーベルを下げる動作

    バリエーション

    ・膝を軽く(15度程度)曲げ、股関節から上体を曲げていく・股関節を曲げる角度は、選手の太ももの後ろの柔軟性による。背中が丸まらないところまで曲げていく

    シングル ルーマニアン・デッドリフト(難度⤴⤴)

    1

    2

    4

    挙上動作3

    不適切な姿勢BAD

    ・背中が丸まっている左右の肩甲骨を引き寄せ、しっかり胸を張ろう!

    ・外反膝(X脚)

    不適切な姿勢BAD

    R

    女子選手は、バーベルを下げていくにつれ、内股になる傾向にあります。ここでも、つま先と膝の向きを揃えましょう!力の伝達がスムーズになり、効率の良い動作が行えます。

    注意ポイント

  • sportylife@女子トレ01_3@女子トレ02_3@女子トレ03_3

    sportylife-3


Recommended