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倧孊生による垂販絵本を掻甚した小孊校家庭科「家族」の授業づくり

Class Making of Elementary School Home Economics "family" Using Commercial Picture Book by University Students

鈎 朚 千 春  氞 田 智 子 SUZUKI Chiharu NAGATA Tomoko

 本皿は小孊校家庭科の「家族」の授業に調査甚絵本『おんぶはこりごり』がどのように掻甚できるかを倧孊生に調査したものである。倧孊生が考案した授業を分析した結果「Ⅰ絵本の䞭の家族」を扱った項目が 7぀「Ⅱ自分の家族」を扱った項目が 4぀ありその組み合わせから8組 54 タむプの授業に分類できた。孊習内容は明確に瀺されおいるものが倚かったが孊習掻動においおはその方法が曖昧であるこずが分かった。そのため曞いたり考えたりする孊習掻動の具䜓的な方法を提案するこずが課題ずなった。倧孊生の蚘述では党䜓の 55.7が絵本を掻甚した授業を考えるこずができおいた。䞀方で絵本掻甚は「感想」のみ26.3や「読む」だけ14.7にずどたっおいるこずも分かった。たた「Ⅱ自分の家族」に぀いお「⑩家族の䞀員ずしお」の圚り方を授業に盛り蟌みたいずする孊生が倚いこずが分かった66.7。この点は小孊校家庭科の目暙を理解しおいるものず捉えるこずができる。しかし授業の倧半を「Ⅱ自分の家族」に泚目しお行うこずになるためプラむバシヌの保護の芳点などから絵本掻甚の利点や有効性に぀いおたた共通の家族で授業を行う方法に぀いお提案する必芁性があるこずが分かった。

キヌワヌド絵本掻甚小孊校家庭科家族授業づくり

兵庫教育倧孊孊校教育孊研究, 2019, 第32å·», pp.199-205

1 研究の背景ず目的 今次の孊習指導芁領の改蚂に䌎いこれたでの小孊校家庭科「A 家庭生掻ず家族」の孊習は「A 家族・家庭生掻」ず内容名が倉わった。その内容を瀺す孊習項目は「自分の成長ず家族」が「自分の成長ず家族・家庭生掻」に

「家庭生掻ず仕事」は倉わらず「家族や近隣の人々ずのかかわり」は「家族や地域の人々ずの関わり」の 3 ぀からなり倧きな倉曎は芋られない文郚科孊省 2017。 家族や家庭生掻を取り䞊げた授業は様々に行われ蓄積されおきた䌊深 2016が同時に指導の困難さも指摘されおいる。䞭でも児童のプラむバシヌに觊れる点や「実習」を䌎う孊習に比べるず児童の意欲が䜎䞋する点教垫もたた「実習」のようなこれずいった具䜓的な授業方法が芋出せないなどの指摘がある

鳥井 1998鈎朚 2004片田江 2010。これらの指摘に察応した教材の開発が急務であるこずから鈎朚・氞田

2018は家族や家庭生掻を描いた垂販絵本に着目し孊習内容を含んだ 9 冊の垂販絵本を遞定した。さらに授業者偎教員逊成課皋に属する倧孊生ず孊習者偎6幎生児童に遞定した絵本の読み取り調査を行い䞡者の間で読み取りが䞀臎した授業実践に掻甚可胜であろう絵本を瀺すず共に垂販絵本の遞定のポむントを明らかにした。しかしどのように授業で掻甚できるのか遞定した垂販絵本の評䟡に぀いおは課題が残った。 以䞊を螏たえ本研究では鈎朚・氞田2018によっお瀺された垂販絵本を掻甚し授業実践を通しお評䟡するための前段階ずしお授業の䞭でどのように掻甚でき

るのかに぀いお倧孊生が考える授業づくりを調査するこずを目的ずする。

2 研究の方法 本研究では鈎朚・氞田2018が遞定した 2 冊の垂販絵本の内『おんぶはおりごり』アン゜ニヌブラりン䜜絵・藀本朝巳蚳 2005を調査甚の絵本ずしお䜿甚する衚。なお本研究を進めるにあたっおは

『おんぶはこりごり』の䜿甚目的䜿甚方法に぀いお出版瀟の承諟を埗お行った。 調査甚絵本『おんぶはこりごり』の登堎人物はパパず 2 人の息子ずママである。仕事ず家事を忙しくこなし続けるママずは反察にパパず 2 人の息子は倧きな声でご飯を催促したりだらしなく゜ファヌに座っお時間を぀ぶしたりたりず䜕もしようずしない。家庭の仕事は党おママに任せおいる状態である。ある日ママは「ぶたさんたちの おせわは もう こりごり」ず蚀う眮手玙をしお家出をした。家の䞭は汚れたお皿や服がたたりごみが散乱しお豚小屋のようになった。そしおずうずう食べるものもなくなったある晩ママは垰っおきた。䜕もしようずしなかったパパず 2 人の息子は掃陀食事アむロンがけなど家事の倧倉さに気づき家庭の仕事を分担し合うようになる。そしおママは幞せを感じるようになった。この絵本に描かれおいる内容は小孊校家庭科の内容文郚科孊省 2008であるずころの「自分の成長を自芚するこずを通しお家庭生掻ず家族の倧切さに気付くこず」「家庭には自分や家族の生掻を支え

199

倧和倧孊 教育孊郚  什和元幎月10日受理兵庫教育倧孊倧孊院人間発達教育専攻生掻・健康・情報系教育コヌス 教授

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孊校教育孊研究, 2019, 第32å·»

る仕事があるこずが分かり自分の分担する仕事ができるこず」に該圓するこずが鈎朚・氞田2018によっお明らかにされおいる。 授業者偎は小孊校家庭科の目的や内容を履修した教員逊成課皋に属する倧孊生 95 名である。倧孊生には倧型スクリヌンに絵本を映しお読み聞かせを行いあらすじず含たれおいる孊習内容を確認できるようにした。絵本ずワヌクシヌトを配垃し6 幎生を想定した授業の展開を考えるよう指瀺をした。授業の䞭で絵本を掻甚する堎合は堎面や方法がわかるように蚘述するこずを口頭で䌝えた。調査は 2017 幎 12 月に実斜した。 分析は倧孊生が蚘述した孊習内容を「Ⅰ絵本の䞭の家族」を扱う項目ず「Ⅱ自分の家族」を扱う項目ずに分類しその件数を瀺した。たた孊習掻動を瀺す項目ずの組み合わせから類型を䜜りその件数も瀺した。

3 結果ず考察3.1 孊習内容に関する蚘述「絵本の䞭の家族」 6 幎生の家族の孊習に調査甚絵本を掻甚する堎合にどのような堎面や内容を授業に盛り蟌むか぀たり孊習内容に぀いお倧孊生の蚘述内容から分類した。分類結果は衚の倧孊生の孊習内容ずしお瀺した。 「①絵本党䜓の内容に぀いお」たずは児童が自分で読んだり教垫が読み聞かせをしたりする孊習掻動があった。その他を省く党おの倧孊生100.0が蚘述しおいた。「②感想に぀いお」は①を受けおどのような絵本であるかを確認する意味も含め感想を発衚したり曞いたりたた話し合ったりする孊習掻動の蚘述があった。「③登堎人物の行動や気持ちの違いに぀いお」ではたずめたり発衚したりする孊習掻動が芋られた。②をより具䜓的な堎面に絞っお考えさせるこずができる蚘述内容であった。「④パパず息子の日垞の行動パパず息子の行動の倉化に぀いお」は絵本のどの堎面に特に焊点を圓おお授業を展開するのかにかかっおくる蚘述であり登堎人物のパパず息子に着目した蚘述内容である。パパず息子の行動を取り䞊げ考えお曞いたり

蚎論したり発衚したりする孊習掻動が芋られた。「⑀ママの日垞の行動ママの家出ママの気持ちの倉化に぀いお」は④ず同様に登堎人物であるママに着目しおママの立堎から家族を芋る蚘述である。ママの行動や気持ちを考えお曞いたり蚎論したり発衚したりする孊習掻動であった。「⑥家庭やママの仕事が分かる堎面に぀いお」は絵本に描かれおいる家庭やママの仕事を発衚するこずで孊習内容の「家庭には自分や家族の生掻を支える仕事がある」こずを認識できるずした蚘述内容であった。「⑊絵本の䞭の家族の䞀員になった堎合に぀いお」ではこれたでの孊習を螏たえ自分ならどうするかず蚀った問いに向かっお考えたり曞いたりたた発衚したりする孊習掻動であった。 ④⑥の蚘述内容は特に倧孊生が小孊校家庭科の孊習内容である「自分の成長を自芚するこずを通しお家庭生掻ず家族の倧切さに気付くこず」「家庭には自分や家族の生掻を支える仕事があるこずが分かり自分の分担する仕事ができるこず」を螏たえたうえで絵本を掻甚しようずする蚘述内容であったこずが分かった。 さらに⑊に぀いおは小孊校家庭科の目暙である

「家庭生掻を倧切にする心情を育み家族や地域の人々ずの関わりを考え家族の䞀員ずしお生掻をよりよくしようず工倫する実践的な態床を逊う」文郚科孊省 2017こずをも螏たえお孊習を進めようず考えられおいるこずが分かった。 たた家族を孊ぶにあたり絵本の䞭の家族をベヌスに授業を展開するこずはプラむバシヌの保護の芳点からも有効である。そのため⑊は絵本を掻甚する最倧のポむントずしお配慮した蚘述内容であるず蚀える。これら④⑊の蚘述内容を授業に盛り蟌み家族に぀いおの孊習を展開しようずする孊生の蚘述に調査甚絵本を掻甚する䞀定の成果があるものず考える。 䞀方で孊習掻動の蚘述にはどのように曞かせたり考えさせたりするのか぀いお具䜓的に瀺した蚘述はほずんど芋圓たらなかった。そのため授業実践では授業の進め方や掻動のさせ方に曖昧さが生じる可胜性があ

挿入する衚に぀いお

・挿入しおいただきたい衚は è¡š 1 衚 の 2点です。

・挿入個所は論文䞭に明蚘しおいたす。

・指定個所に入りにくい堎合は、挿入堎所を動かしおください。

衚 『おんぶはこりごり』基本情報ず孊習内容

題名

『おんぶはこりごり』 平凡瀟2005 幎

小孊校家庭科の内容

「自分の成長を自芚するこずを通しお家庭

生掻ず家族の倧切さに気付くこず」「家庭に

は自分や家族の生掻を支える仕事があるこ

ずが分かり自分の分担する仕事ができるこ

ず」

衚玙絵

アン゜ニヌ.ブラりン䜜絵

藀本朝巳蚳

あらすじ

仕事ず家事を忙しくこなし続けたママがあ

る日家出をするこずによっお䜕もしようず

しなかったパパず 2人の息子が掃陀食事

アむロンがけなど家事の倧倉さに気づき

家庭の仕事を分担し合うようになる。

è¡š 2 絵本掻甚に関する組み合わせ類型N95

å­Š

習

内

容

Ⅰ 絵本の䞭の家族➀⑊ 絵本掻甚あり Ⅱ 自分の家族⑧⑪ 絵本掻甚なし

件数 合蚈

(%)

①絵本党䜓の内容に぀いお。

②絵本の感想に぀いお。

③登堎人物の行動や気持ちの違いに

぀いお。

④パパず息子の日垞の行動パパず

息子の行動の倉化に぀いお。

⑀ママの日垞の行動ママの家出

ママの気持ちの倉化に぀いお。

⑥家庭やママの仕事が分かる堎面に

぀いお。

⑊絵本の䞭の家族の䞀員になった堎

合に぀いお。

⑧家庭の仕事や圹割に぀いお。

⑚自分や家族が行っおいる仕事や行

動に぀いお。

⑩家族の䞀員ずしお自分にできるこ

ずや改善できるこず分担できるこ

ずに぀いお。

⑪家庭での実践に぀いお。

孊習掻動

類型

読む。読み聞かせ。

発衚する。曞く。話し合

う。

たずめる。発衚する。

考える。曞く。蚎論する。

発衚する。

考える。曞く。蚎論する。

発衚する。

発衚する。

自分ならどうするか

考える。曞く。発衚する。

考える。

発衚する。

考える。曞く。発衚する。

確認する。仕事を宿題に

する。

A

1 〇 〇 〇 1

4

4.2

2 〇 〇 〇 〇 1

3 〇 〇 〇 〇 1

4 〇 〇 〇 〇 1

B 5 〇 〇 3 18

18.9 6 〇 〇 〇 1

è¡š 1 『おんぶはこりごり』基本情報ず孊習内容

200

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倧孊生による垂販絵本を掻甚した小孊校家庭科「家族」の授業づくり

る。぀たり児童が回答する方法を迷うこずに぀ながるのではないかず考えられる。 以䞊孊生の蚘述から孊習掻動に぀いおは課題が残るものの絵本を掻甚する堎合の孊習内容ずしお䞊蚘の①⑊を「Ⅰ絵本の䞭の家族」を扱った項目ずした。

3.2 孊習内容に関する蚘述「自分の家族」 孊生の蚘述内容は「Ⅰ絵本の䞭の家族」を取り䞊げお授業を぀くる堎合ず児童自身の家族を瀺す「Ⅱ自分の家族」を取り䞊げお授業を぀くる堎合に分かれるこずが分かった。ここでは衚 2 の絵本を掻甚せずに「Ⅱ自分の家族」に぀いお授業を行う堎合の蚘述の分析結果を述べる。 「⑧家族の仕事や圹割に぀いお」では䞀般的に家庭にはどのような仕事がありそれがどのような圹割をしおいるのかを自分の家族を思い出しながら考える蚘述内容である。「⑚自分や家族が行っおいる仕事や行動に぀いお」は自分の家族の䞭で誰がどのような仕事をしおいるのかたたしおいないのかを発衚するず共に家庭で自分はどのように過ごしおいるのか仕事に協力ができおいるのかなどの行動に぀いお発衚する孊習掻動があった。「⑩家族の䞀員ずしお自分にできるこず改善できるこず分担できるこずに぀いお」は盎接自分の家族を取り䞊げ個々に違う課題に぀いお考えを曞いたり発衚したりする蚘述が芋られた。⑚及び⑩においお特に発衚するずした蚘述に぀いおは児童の家庭の状況を暎露させる堎面に぀ながる恐れがあるず考える。

「⑩家庭での実践に぀いお」は授業の終わりに家庭での実践を教垫が促し自分が䜕をするのかを確認させる内容が蚘述されおいた。たた家庭での実践を次時たでの宿題ずする内容も含たれおいる。 ⑧⑩の蚘述内容は④⑥ず同様に孊生が小孊校家庭科の孊習内容を螏たえおいるこずがわかった。さらに⑊ず同様に小孊校家庭科の目暙をも螏たえお授業を展開しようず考えられおいるこずが分かった。しかしここでは絵本を掻甚せずに自分の家庭を教材ずしおいるためプラむバシヌの保護が困難であるこずが懞念される。たた個々に違う家庭では課題も様々であるこずから他者の意芋や自分の意芋が互いに反映されるずは蚀い難い。 孊習掻動の蚘述では3.1 でも述べたようにどのように曞かせたり考えさせたりするのか぀いお具䜓的に瀺した蚘述はほずんど芋圓たらなかった。そのため授業実践時には児童が迷わず掻動できる方法を具䜓的に瀺す必芁があるず考える。 以䞊倧孊生の蚘述から孊習掻動に぀いおは課題が残るものの絵本を掻甚しない内容ずしお䞊蚘の⑧⑪を「Ⅱ自分の家族」を扱った項目ずした。

3.3ᅵ孊習内容ず孊習方法の組み合わせによる類型化 倧孊生の蚘述を孊習内容ず孊習方法の組み合わせから絵本を掻甚した授業づくりを類型化し分析した。な

おその他を省く党おの倧孊生が「①絵本党䜓の内容に぀いお」読んだり読み聞かせをしたりするために絵本を掻甚するず蚘述しおいたこずから①は掻甚の前提ずしお①以倖の掻甚を䞭心に枠組みを怜蚎した。類型の結果は衚 2 の類型欄に組み合わせの結果は〇印によっお瀺した。 A 組 1  4 は「④パパず息子の日垞の行動パパず息子の行動の倉化に぀いお」絵本を掻甚するタむプである。4 人が蚘述した4.2。組み合わせずしおはⅡ自分の家族に目を向けお䞻に⑚に぀いお孊習をするが 3件あった。⑪の家庭での実践に぀いおも組み合わせおいた。A 組は絵本の䞭のパパや息子の日垞の様子を読み取るこずによっお珟圚の自分や家族の圚り方を想起しやすいのではないかず考えられる。 B 組 5  14 は「⑀ママの日垞の行動ママの家出ママの気持ちの倉化に぀いお」絵本を掻甚するタむプである。18 人が蚘述した18.9。組み合わせずしおはⅡ自分の家族に目を向けお⑚や⑩を孊習するタむプが 15 件あった。A 組ず同様に⑪の家庭での実践に぀いおも組み合わせおいた。B 組は絵本の䞭のママの行動や気持ちを䞻に孊習するこずになる。忙しく家族のために働くママの描写を読み取るず珟圚の自分や家族の圚り方ず比べやすいためではないかず考える。たたママの様子や気持ちに気付くず家族の䞀員ずしお珟圚の生掻を改善できる⑩の孊習にも結び付けやすいず考えたのではないかず掚枬した。 C 組 15  17 は④ず⑀の䞡方を授業に盛り蟌むタむプである。4 人が蚘述した4.2。組み合わせは家庭の仕事を党おこなすママず任せっきりにしおいるパパず息子の行動や気持ちに぀いお時間をかけお孊習した埌Ⅱ自分の家族に目を向け改善すべき点や家族の䞀員ずしおの有り方など⑩に぀いお孊習するタむプが 3件あった。内 1 件は⑪の家庭での実践に觊れる蚘述があった。C 組は登堎人物の党おの立堎から孊習するこずになるため他の組み合わせは時間的にも難しい。しかし孊んだこずを実践に぀なげるため自分の家族に眮き換えお考えさせる⑩を組み合わせたものず考えられる。 D 組 18  24 は「⑥家庭やママの仕事が分かる堎面に぀いお」絵本を掻甚するタむプである。7 人が蚘述した7.4。組み合わせはⅡ自分の家族に焊点をあおお仕事や圹割に぀いお孊習する⑧ず珟圚行っおいる仕事や行動に぀いお孊習する⑚さらには家族の䞀員ずしお改善や分担など自分にできるこずに぀いお扱う⑩のタむプがあった。内 3 件は⑪の家庭での実践をも組み合わせおいた。D 組は家庭にはどのような仕事があるのかを絵本の描写から知るこずができる点に泚目しおいる。それらの仕事を実際に誰がしおいるのかたたしおいないのかこのたたで良いのかず蚀ったこずに觊れるこずで家族の䞀員ずしおの自芚を促し改善や分担に぀いお孊習しようずする組み合わせになっおいるず考えられる。

201

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孊校教育孊研究, 2019, 第32å·»

è¡š 2 絵本掻甚に関する組み合わせ類型N95

å­Š

習

内

容

Ⅰ 絵本の䞭の家族➀⑊ 絵本掻甚あり Ⅱ 自分の家族⑧⑪ 絵本掻甚なし

件数 合蚈

(%)

①絵本党䜓の内容に぀いお。

②絵本の感想に぀いお。

③登堎人物の行動や気持ちの違いに

぀いお。

④パパず息子の日垞の行動パパず

息子の行動の倉化に぀いお。

⑀ママの日垞の行動ママの家出

ママの気持ちの倉化に぀いお。

⑥家庭やママの仕事が分かる堎面に

぀いお。

⑊絵本の䞭の家族の䞀員になった堎

合に぀いお。

⑧家庭の仕事や圹割に぀いお。

⑚自分や家族が行っおいる仕事や行

動に぀いお。

⑩家族の䞀員ずしお自分にできるこ

ずや改善できるこず分担できるこ

ずに぀いお。

⑪家庭での実践に぀いお。

孊習掻動

類型

読む。読み聞かせ。

発衚する。曞く。話し合

う。

たずめる。発衚する。

考える。曞く。蚎論する。

発衚する。

考える。曞く。蚎論する。

発衚する。

発衚する。

自分ならどうするか

考える。曞く。発衚する。

考える。

発衚する。

考える。曞く。発衚する。

確認する。仕事を宿題に

する。

A

1 〇 〇 〇 1

4

4.2

2 〇 〇 〇 〇 1

3 〇 〇 〇 〇 1

4 〇 〇 〇 〇 1

B 5 〇 〇 3

18

18.9

6 〇 〇 〇 1

7 〇 〇 〇 6

8 〇 〇 〇 〇 1

9 〇 〇 〇 〇 〇 1

10 〇 〇 〇 〇 〇 2

11 〇 〇 〇 〇 1

12 〇 〇 〇 〇 1

13 〇 〇 〇 〇 〇 〇 1

14 〇 〇 〇 〇 1

C 15 〇 〇 〇 1 4

4.2 16 〇 〇 〇 〇 2

17 〇 〇 〇 〇 〇 1

D 18 〇 〇 〇 〇 〇 1

7

7.4

19 〇 〇 〇 〇 1

20 〇 〇 〇 〇 1

21 〇 〇 〇 〇 〇 1

22 〇 〇 〇 〇 〇 〇 1

23 〇 〇 〇 〇 1

24 〇 〇 〇 〇 〇 〇 1

E 25 〇 〇 〇 2

8

8.4

26 〇 〇 〇 〇 1

27 〇 〇 〇 〇 1

28 〇 〇 〇 〇 1

29 〇 〇 〇 〇 3

F 30 〇 〇 〇 1

12

12.6

31 〇 〇 〇 〇 2

32 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 1

33 〇 〇 〇 1

34 〇 〇 〇 〇 〇 1

35 〇 〇 〇 〇 〇 2

36 〇 〇 〇 2

è¡š 2 絵本掻甚に関する組み合わせ類型N 95

202202

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倧孊生による垂販絵本を掻甚した小孊校家庭科「家族」の授業づくり

 E 組 25  29 は「⑊絵本の䞭の家族の䞀員になった堎合に぀いお」自分ならどうするのかを絵本党䜓を䜿っお授業を行うタむプである。8 人が蚘述した8.4。組み合わせずしおはⅡ自分の家族に目を向け⑚や⑩を盛り蟌むタむプが 6 件あった。E 組は自分が絵本の䞭の家族の䞀員であるず蚭定するため実際の家族の䞀員ずしお考えるプレずしお問題点を芋぀けたり改善策を考えたりするこずができる。たた孊習者が授業の倧半を共通の家族を通しお孊ぶこずができる点においおプラむバシヌの保護が可胜ずなり絵本を掻甚する利点が掻かされおいるものず考える。 F 組 30  37 は「②感想に぀いお」を含めお「③登堎人物の行動や気持ちの違いに぀いお」絵本を掻甚するタむプである。12 人が蚘述した12.6。組み合わせ

はⅡ自分の家族に泚目し家族の䞀員ずしおどのように取り組むべきかに぀いお孊習する⑩が 11 件で倚かった。たた実践に぀なげおいく⑪の組み合わせも6件あった。F 組は絵本の堎面を限定せずに登堎人物の特性から絵本党䜓の印象を問うために絵本を掻甚しおいる。家族に぀いおの孊習はⅡ自分の家族の⑩の䞭で具䜓的に孊習するように考えられおいた。 G 組 38  47 は「①絵本党䜓の内容に぀いお」読んだり読み聞かせをしたりした埌「②感想に぀いお」発衚したり曞いたりたた話し合ったりするのみに絵本を掻甚するタむプである。25 人が蚘述した26.3。組み合わせは⑧⑩のいずれか又は耇数を盛り蟌むタむプが 21 件あった。内 6 件は⑪も組み合わせおいた。G 組は登堎人物や堎面などを限定せずに自由な感想

24 〇 〇 〇 〇 〇 〇 1

E 25 〇 〇 〇 2

8

8.4

26 〇 〇 〇 〇 1

27 〇 〇 〇 〇 1

28 〇 〇 〇 〇 1

29 〇 〇 〇 〇 3

F 30 〇 〇 〇 1

12

12.6

31 〇 〇 〇 〇 2

32 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 1

33 〇 〇 〇 1

34 〇 〇 〇 〇 〇 1

35 〇 〇 〇 〇 〇 2

36 〇 〇 〇 2

37 〇 〇 〇 〇 2

G 38 〇 〇 4

25

26.3

39 〇 〇 〇 3

40 〇 〇 〇 〇 5

41 〇 〇 〇 3

42 〇 〇 〇 〇 1

43 〇 〇 〇 1

44 〇 〇 〇 〇 〇 3

45 〇 〇 〇 〇 1

46 〇 〇 〇 〇 〇 〇 2

47 〇 〇 〇 〇 〇 2

H 48 〇 〇 〇 〇 1

14

14.7

49 〇 〇 〇 1

50 〇 〇 2

51 〇 〇 〇 2

52 〇 〇 〇 4

53 〇 〇 〇 〇 3

54 〇 〇 〇 〇 〇 1

その他 3 3.2

件数 54 28 14 8 13 7 7 16 23 36 21

割合

(%) 100.0 51.9 25.9 14.8 24.1 13.0 13.0 29.6 42.6 66.7 38.9

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孊校教育孊研究, 2019, 第32å·»

のみに絵本を掻甚しおいるため授業のメむンはⅡ自分の家族に向けられおいるこずが分かった。そのため授業の倧半は個々に自分の家庭ず向き合うこずずなる。G 組には絵本がどのように掻甚できるのかに぀いお耇数の方法があるこずを瀺す必芁がある。 H 組 48  54 は「①絵本党䜓の内容に぀いお」読んだり読み聞かせをしたりするのみに絵本を掻甚するタむプである。14 人が蚘述した14.7。組み合わせはⅡ自分の家族の⑧⑩のいずれか又は耇数を盛り蟌むタむプが党おであった。H 組は絵本掻甚が「読む」のみであるためⅡ自分の家族に泚目した授業がメむンになっおいる。個々に珟状が違う家族を䞀斉授業で取り䞊げるこずは盞手の意芋が自分の家族の状況に自分の意芋が盞手の家族の状況に反映されにくいこずが考えられる。たたプラむバシヌの保護の芳点からもⅠ絵本の䞭の家族を取り扱う利点に぀いお改めお教授する必芁があるず考える。 以䞊のように類型は A  H 組の組があり項目の組み合わせにより 54 タむプの授業に分類するこずができた。A  H 組の䞭で党䜓の 55.7にあたる A F 組は絵本を掻甚した授業を考えるこずができおいた。䞀方でG 組は絵本掻甚が「感想に぀いお」26.3のみであるこずから他の方法もあるこずを促す必芁があるこずが分かった。さらにH 組に関しおは絵本を

「読む」こずのみに利甚する蚘述である14.7。よっお絵本掻甚の利点や有効性に぀いお教材研究のポむントを瀺し教授する必芁がある。 次に 54 タむプの組み合わせの件数に぀いお芋るず

「Ⅰ絵本の䞭の家族」の䞭では①が䞊述の通り54 タむプ100.0党おに蚘述があった。次に②が 28 タむプ51.9③が 14 タむプ25.9⑀が 13 タむプ

24.1で倚かった。「Ⅱ自分の家族」の䞭では⑩が 36 タむプ66.7で倚かった。次に⑚が 23 タむプ

42.6⑪が 21 タむプ38.9ず倚く⑧も 16 タむプ29.6あり授業の䞭では自分の家族に目を向けお孊習したいず考える孊生が倚いこずが分かった。

4 たずめず課題 本研究は垂販絵本を掻甚した小孊校家庭科の家族の授業を怜蚎するこずを目的に鈎朚・氞田2018が遞定した調査甚絵本『おんぶはこりごり』を教員逊成課皋に属する倧孊生に授業の䞭でどのように掻甚するかに぀いお調査したものである。 たず倧孊生の蚘述を分析したずころ3.1 では絵本を掻甚しお「①絵本党䜓の内容に぀いお」「②絵本の感想に぀いお」「③登堎人物の行動や気持ちの違いに぀いお」「④パパず息子の日垞の行動パパず息子の行動の倉化に぀いお」「⑀ママの日垞の行動ママの家出ママの気持ちの倉化に぀いお」「⑥家庭やママの仕事が分かる堎面に぀いお」「⑊絵本の䞭の家族の䞀員になった堎合に぀いお」の 7 項目の孊習内容が明らかになった。これを「Ⅰ絵本の䞭の家族」を扱った項目ずしお分類で

きた。倧孊生の蚘述からは絵本を掻甚する孊習内容は明確に分かるものが倚かった。さらに 3.2 では倧孊生の蚘述には絵本を掻甚しない「Ⅱ自分の家族」を扱った項目「⑧家庭の仕事や圹割に぀いお」「⑚自分や家族が行っおいる仕事や行動に぀いお」「⑩家族の䞀員ずしお自分にできるこずや改善できるこず分担できるこずに぀いお」「⑪家庭での実践に぀いお」の 4 ぀に分類できた。これらの蚘述も孊習内容は明確に瀺されおいるものが倚かった。しかし3.1 ず 3.2 共に曞かせたり考えさせたりする孊習掻動においおは具䜓的な方法が瀺されおいなかった。そのため実際に授業を行う堎合には授業の進め方や掻動のさせ方に曖昧さが生じる可胜性がある。぀たり児童が回答の仕方に迷うであろうこずが分かった。 3.3 では絵本を掻甚した䞻ずなる孊習内容ず孊習掻動の組み合わせから授業を類型化した。その結果A H の 8 組 54 タむプの授業が考案されたこずが明らかになった。8 組䞭 6 組にあたる 55.7が絵本を掻甚した授業を考えるこずができおいた。䞀方で絵本掻甚が「感想に぀いお」のみ利甚するずした授業や「読む」だけの授業にずどたっおいるこずも分かった。組み合わせのタむプでは「Ⅱ自分の家族」に぀いお「⑩家族の䞀員ずしお自分にできるこずや改善できるこず分担できるこずに぀いお」の授業を盛り蟌みたいずする倧孊生が倚いこずが分かった。この点に぀いおは小孊校家庭科の目暙を理解しおいるものず捉えるこずができる。しかし授業の倧半を個々の家族に焊点を圓お発衚する孊習は意芋が盞互に反映できない可胜性がある。たたプラむバシヌの保護の芳点からも課題が残った。 以䞊調査甚絵本を授業で掻甚する堎合は本研究では児童が迷わず曞いたり考えたりするこずができるような具䜓的な孊習掻動を芋出すこずはできなかった。この点に぀いおは今埌の課題ずする。たた家族の䞀員ずしおの圚り方に関する孊習をする堎合に児童自身の家族を取り䞊げたいずする授業が倚かった。぀たりプラむバシヌが保護できにくい授業が倚かった。この点にも工倫が必芁であるため今埌の課題ずする。

参考文献アン゜ニヌブラりン䜜絵・藀本朝巳蚳2005お

んぶはこりごり平凡瀟 .䌊深祥子2016家庭科における家族の授業分析日本

家庭科教育孊䌚誌584:232-239.片田江綟子2010家族に぀いお考えるずいうこず―

家庭科教員の家族教育䜓隓に関する珟象孊的研究―日本家庭科教育孊䌚誌531:22-31

文郚科孊省2008小孊校孊習指導芁領 .文郚科孊省2017小孊校孊習指導芁領 .鈎朚千春氞田智子2018小孊校家庭科「家庭生掻ず

家族」の孊習に適した垂販絵本の蚭定―倧孊生ず小孊生の読み取り調査をもずに―日本教育メディア孊䌚教育メディア研究第 24 巻第 2 号pp.1-12.

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倧孊生による垂販絵本を掻甚した小孊校家庭科「家族」の授業づくり

鈎朚敏子2004「家族」をどうずらえたらいいのだろうか衣食䜏・家族の孊びのリニュヌアル日本家庭科教育孊䌚線明治図曞東京pp.54-59

鳥井葉子1998家族・家庭生掻に関する関心・意欲を育おる授業新しい時代の家庭科教育第巻ニチブン東京pp.119-124.

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