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Page 1: CiRA Newsletter Vol.1 (Japanese)

CiRAサ む ラ

Contents特集むンタビュヌ 山䞭䌞匥所長 1iPS现胞研究所を解剖する 2新研究棟を探怜する 4

ランドスケヌプ  6CiRAで働く人々  6iPS现胞 䜕でもQA  7CiRAアップデヌト  8iPS现胞研究基金ご支揎のお願い 8線集埌蚘 8

Vol.12010幎4月22日号

研究所長ずしお抱負をお聞かせください。 䞖界で初めおiPS现胞研究に特化したこの研究所の䜿呜は、䞀日も早くiPS现胞を臚床応甚に぀なげ、患者さんの圹に立぀こず、そしお䞖界最高のiPS现胞研究拠点を圢成するこずだず考えおいたす。そのために、所属するすべおの研究グルヌプが心を合わせお䞀぀になっお、囜内倖の研究機関ず連携しながら、研究を掚進しお行きたいず思いたす。たた、囜内でiPS现胞を䜿ったこずのない研究者がこの技術を䜿えるように、技術指導も含めたむンフラ敎備をするこずも私たちの課題の䞀぀です。

新しい研究棟が完成したしたが特城は䜕ですか 埓来の倧孊の実隓宀は、各研究宀毎に実隓宀が分かれおいお閉塞感がありたした。この新棟では、暪ず瞊の壁を取り払ったオヌプンラボを採甚しおいたす。これにより、研究に関する情報や成果を共有でき、研究者同士の意芋亀換も行われ易くなり、効率的に研究が進むこずが期埅できたす。たた、同じ建物に動物実隓斜蚭や现胞調補斜蚭があるので、基瀎から前臚床、臚床研究たでシヌムレスな研究が可胜になる構造になっおいたす。

今埌、囜際協力ず連携はどのように進めおいきたすか 今たでも海倖の倧孊や䌁業ず連携しおきたので、これからもしっかり進めたいず思いたす。ただ、党お協力ずいうわけにはいかないので、日本独自で知的財産もしっかり確保しおいきたす。

研究所になり、患者さんのiPS现胞研究の進展や技術の実甚化ぞの期埅も高たりたす。 iPS现胞技術を甚いた画期的な治療法の実珟に向かっお、珟圚CiRAで玄120人の研究者や研究支揎スタッフが努力しおいたす。ただ、ただただ倚くの課題があり、い぀頃実珟するかは予想できたせん。早くなる可胜性もあるし、予期せぬ問題が出お遅れるかもしれたせんが、

倧勢の研究者が頑匵っおいたすので、垌望を持っおいたす。

iPS现胞研究基金にも倚数の方々からご支揎をいただいおいたす。 これから日本でどんどん研究を進め、知的財産をしっかり確保しおいくには、十分な研究費が䞍可欠です。文郚科孊省を始め、囜からたくさんのご支揎をいただいおいたすが、米囜ず比べるず、ただただ十分でないずいうのが珟状です。ですから、民間の方々からのご寄附は本圓に貎重な資金ですので、有効に掻甚したいず思いたす。たた、ご寄附をいただくこずが、それほど期埅しおいただいおいるずいう蚌でもありたすので、それに応えるように頑匵りたいず思っおいたす。

CiRAには、䞭高生からの問い合わせもありたすが、科孊の面癜さずは䜕でしょうか 科孊、研究ずいうのは、真っ癜なキャンバスに絵を描くような䜜業です。非垞に自由で、絵具ずキャンバスさえあればできたす。iPS现胞もそうでしたが、思いもよらない技術が生たれるこずもありたす。日本のように倩然資源の少ない囜でも、知的財産ずいう玠晎らしい資源をどんどん䜜り出すこずができたす。自由に䜕床でもトラむできる仕事であるず同時に、その成果が人の圹に立぀こずも倚いですので、たくさんの人々に研究者を目指しおもらいたいず思いたす。

「䞖界最高のiPS现胞研究拠点」を目指しお

ニュヌスレタヌ

京郜倧孊 iPS现胞研究所Center for iPS Cell Research and Application [CiRA]

iPS现胞研究所の初代所長に就任した山䞭教授が抱負や新棟などに぀いお語りたした。P.2-P.5たで研究所特集ですので合わせおお読みください。

iPS现胞研究には、囜から倚倧なご支揎をいただいおおり、教職員䞀同心より感謝申し䞊げたす。日本発の画期的な技術であるiPS现胞に関する研究を掚進し、䞀日も早い医療応甚を実珟するためには、優秀な人材の確保ず共に、研究所の安定的な運営が必芁です。みなさたのご支揎をお願い申し䞊げたす。ご寄附のお申し蟌みは、䞋蚘にご連絡をいただくか、ホヌムペヌゞをご芧ください。

iPS现胞研究基金事務局 TEL.  FAX.7023 〒606-8507 京郜垂巊京区聖護院川原町

京郜倧孊ホヌムペヌゞ http://www.kikin.kyoto-u.ac.jp/forwhat.htmlホヌムペヌゞ http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/about/fund.html

ç·š 集 埌 蚘

 サむラが発行する初めおのニュヌスレタヌはいかがでしたかむンタヌネットから情報を埗るより玙媒䜓が奜きずいう方々もおられるのではないかず思い、䞀般の方々を察象ずしお䌁画したした。 今埌は3カ月に1回のペヌスで発行したす。ご意芋、ご感想をお聞かせいただければ幞いです。

iPS现胞研究基金ぞのご支揎のお願い

発 行

2010幎4月22日発行 第号発行・線集 京郜倧孊iPS现胞研究所CiRA  〒606-8507 京郜垂巊京区聖護院川原町 TEL. FAX.7024 メヌル [email protected] http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/

Printed in Japan本誌の蚘事・写真・むラストの転茉を犁じたす

山䞭䌞匥所長むンタビュヌ

©

2010/4/1新たに䞻任研究者1名、客員教授 1名が加わりたした。朚村貎文前倧阪府赀十字血液センタヌ研究郚副郚長が芏制科孊郚門の䞻任研究者ずしお教授に着任し、现胞調補斜蚭長に任呜されたした。たた、鳥居隆䞉滋賀医科倧孊教授が客員教授に就任したした。

2010/3/12 日本孊士院が山䞭所長に恩賜賞・日本孊士院賞を莈るず発衚したした。この賞は、孊術䞊特に優れた論文、著者その他の研究業瞟に察しお莈られたす。授賞理由は、iPS现胞の䜜補に成功し、再生医療のみでなく、今埌の医孊の発展に倧きく貢献したこずが評䟡されたした。

2010/3/5 iPS现胞研究所の蚭立決定に関する蚘者䌚芋が開催されたした。

束本玘総長や山䞭所長らが蚘者やカメラマンら、玄30名に研究所に぀いお説明したした。

2010/3/1堀田秋接前オンタリオ・ヒトiPS现胞研究所研究員が、CiRAの特定拠点助教に就任したした。初期化機構研究郚門の䞻任研究者ずしお、安党なiPS现胞の遞別法の開発などを目指した研究を行いたす。

2010/1/26英囜゚ゞンバラ倧孊医孊研究評議䌚MRC再生医療センタヌCRM

のむアン・りィルマット教授らが京倧を蚪れ、山䞭教授らず情報亀換を行いたした。りィルマット教授らのグルヌプは、䞖界で初めおクロヌン矊を誕生させるこずに成功し、1997幎に報告したした。

2010/1/26CiRAホヌムペヌゞの動画コヌナヌに、昚幎10月17日に開催した䞀般の方察象シンポゞりム「iPS现胞のいたその可胜性ず研究掻動」の講挔ビデオず質疑応答の芁玄テキストを掲茉したした。

CiRAアップデト

山䞭䌞匥所長

CiRAホヌムペヌゞ

䌚芋に出垭する束本玘総長巊ず山䞭䌞匥所長

Page 2: CiRA Newsletter Vol.1 (Japanese)

 䞖界初のiPS现胞人工倚胜性幹现胞P.7参照に特化した研究機関ずしお、iPS现胞研究所が4月1日付けで京郜倧孊に蚭立されたした。研究所長は、䞖界に先駆けおiPS现胞の䜜補に成功した山䞭䌞匥教授です。若手からベテランたでの研究者が぀の研究郚門P.3参照に分かれお、この画期的な技術を医療ずしお患者さんに届けるべく、iPS现胞を甚いお病気の原因を探る、新しい治療法を開発する、现胞移怍に関する研究を行うなどの目暙に向かっお研究を進めおいたす。

 研究所が蚭立される前は、物質

现胞統合システム拠点iCeMSずいう京倧の぀の研究機関内の組織、iPS现胞研究センタヌずしお、2008幎1月22日から研究掻動を始めおいたした。圓時は少芏暡でスタヌトしたしたが、珟圚では、䞻任研究者、研究員、技術者、研究を支揎する事務郚門研究戊略本郚ず事務郚の職員合わせお玄120人の倧所垯です。今幎2月には、新しい研究棟が吉田キャンパスの病院構内に完成し、教職員䞀同がこの研究棟で働いおいたす。

 研究所の2010幎床の幎間予算は、20億円以䞊を予定しおいたす。この予算は、運営費亀付金、競争的資

金ずいう公的資金や個人や䌁業からの寄附金により確保されたす。競争的資金には、内閣府「最先端研究開発支揎プログラム」から配分される今埌4幎間で合蚈50億円ずいう資金も含たれたす。研究が進む2012幎床頃には玄200人の構成員が必芁で、予算芏暡も拡倧するず予想しおいたす。

 iPS现胞研究所の通称は、CiRAサむラです。これは、研究所の英語衚蚘であるCenter for iPS Cell Research and Applicationの頭文字を合わせたものです。

研究者ず研究郚門玹介

02 京郜倧孊 iPS现胞研究所 03京郜倧孊 iPS现胞研究所2010幎4月22日号2010幎4月22日号

iPS现胞研究所を解剖する

郚門長 山䞭䌞匥教授

研究内容iPS现胞は、人間の皮膚などの䜓现胞に遺䌝子、タンパク質あるいは化合物を導入しお䜜補する倚胜性幹现胞です。さたざたな皮類の现胞に分化する胜力ず、ほが無限に増殖する胜力を持っおいたす。分化した䜓现胞が未分化の倚胜性幹现胞に戻る珟象は、「初期化」ず呌ばれたす。この郚門では、现胞が初期化される仕組みを遺䌝子レベルで解明し、安党で有効なiPS现胞を䜜補する方法の開発を目指したす。

芏制科孊郚門

初期化機構研究郚門 増殖分化機構研究郚門

臚床応甚研究郚門

郚門長 䞭畑韍俊教授

研究内容さたざたな遺䌝的疟患を持぀患者さんから䜓现胞を提䟛しおいただきiPS现胞を䜜補し、さらにそれを患郚の现胞ぞず分化させ、病気の原因やメカニズムを解明する研究を行いたす。たた患者さん由来のiPS现胞を甚いお、新しい治療薬の探玢や治療法の開発を目指したす。

研究所の理念●䞖界初のiPS现胞に特化した先駆的な䞭栞研究機関ずしおの圹割を果たす。●iPS现胞の可胜性を远求し、基瀎研究に留たらず応甚研究たで掚進するこずにより、再生医療の実珟に貢献する。●再生医科孊研究所、物質―现胞統合システム拠点iCeMS、医孊研究科、医孊郚附属病院ず密接に連携しながら、共同研究の奚励ず若手研究者の亀流・育成に努める。

山䞭䌞匥教授

䞭畑韍俊教授 井䞊治久准教授 櫻井英俊講垫 朚村貎文教授 青井貎之教授 浅銙勲准教授

戞口田淳也教授

山䞋最准教授

高橋淳准教授

長船健二准教授

山田泰広教授 吉田善玀講垫 䞭川誠人講垫

沖田圭介講垫 高橋和利講垫 山本拓也助教 堀田秋接助教

郚門長 戞口田淳也教授

研究内容iPS现胞や现胞から、骚など間葉系の现胞、心臓や血管に関係する现胞、神経现胞、肝臓や腎臓の现胞ぞず分化誘導する方法の確立を目指したす。さらに、実隓動物を䜿っお、iPS现胞から分化した様 な々組織の现胞を甚いた移怍療法の安党性の確認や、治療効果を評䟡するこずを目的ずする研究を掚進したす。

郚門長 山䞭䌞匥教授

研究内容将来のiPS现胞研究を甚いた臚床応甚を芋据えた研究芏制に関する課題に぀いお研究したす。臚床研究に䟛絊可胜な现胞の調補を行う斜蚭FiT: Facility for iPS Cell Therapyの運営や管理を行い、実甚化に向けお、品質の保蚌された现胞の培逊方法等の確立を目指したす。たた、iPS现胞研究の掚進に必芁な蚭備や技術の面でCiRA研究者をサポヌトしたす。安定的なiPS现胞䜜補技術の確立に取り組みながら、京郜倧孊だけでなく囜内倖の研究者ぞの培逊技術の指導を行いたす。

所 長

副所長

副所長

CiRAの研究者は、䞋蚘のような぀の研究郚門に分かれお、さたざたな研究を進めおいたす。4月1日珟圚

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 䞖界初のiPS现胞人工倚胜性幹现胞P.7参照に特化した研究機関ずしお、iPS现胞研究所が4月1日付けで京郜倧孊に蚭立されたした。研究所長は、䞖界に先駆けおiPS现胞の䜜補に成功した山䞭䌞匥教授です。若手からベテランたでの研究者が぀の研究郚門P.3参照に分かれお、この画期的な技術を医療ずしお患者さんに届けるべく、iPS现胞を甚いお病気の原因を探る、新しい治療法を開発する、现胞移怍に関する研究を行うなどの目暙に向かっお研究を進めおいたす。

 研究所が蚭立される前は、物質

现胞統合システム拠点iCeMSずいう京倧の぀の研究機関内の組織、iPS现胞研究センタヌずしお、2008幎1月22日から研究掻動を始めおいたした。圓時は少芏暡でスタヌトしたしたが、珟圚では、䞻任研究者、研究員、技術者、研究を支揎する事務郚門研究戊略本郚ず事務郚の職員合わせお玄120人の倧所垯です。今幎2月には、新しい研究棟が吉田キャンパスの病院構内に完成し、教職員䞀同がこの研究棟で働いおいたす。

 研究所の2010幎床の幎間予算は、20億円以䞊を予定しおいたす。この予算は、運営費亀付金、競争的資

金ずいう公的資金や個人や䌁業からの寄附金により確保されたす。競争的資金には、内閣府「最先端研究開発支揎プログラム」から配分される今埌4幎間で合蚈50億円ずいう資金も含たれたす。研究が進む2012幎床頃には玄200人の構成員が必芁で、予算芏暡も拡倧するず予想しおいたす。

 iPS现胞研究所の通称は、CiRAサむラです。これは、研究所の英語衚蚘であるCenter for iPS Cell Research and Applicationの頭文字を合わせたものです。

研究者ず研究郚門玹介

02 京郜倧孊 iPS现胞研究所 03京郜倧孊 iPS现胞研究所2010幎4月22日号2010幎4月22日号

iPS现胞研究所を解剖する

郚門長 山䞭䌞匥教授

研究内容iPS现胞は、人間の皮膚などの䜓现胞に遺䌝子、タンパク質あるいは化合物を導入しお䜜補する倚胜性幹现胞です。さたざたな皮類の现胞に分化する胜力ず、ほが無限に増殖する胜力を持っおいたす。分化した䜓现胞が未分化の倚胜性幹现胞に戻る珟象は、「初期化」ず呌ばれたす。この郚門では、现胞が初期化される仕組みを遺䌝子レベルで解明し、安党で有効なiPS现胞を䜜補する方法の開発を目指したす。

芏制科孊郚門

初期化機構研究郚門 増殖分化機構研究郚門

臚床応甚研究郚門

郚門長 䞭畑韍俊教授

研究内容さたざたな遺䌝的疟患を持぀患者さんから䜓现胞を提䟛しおいただきiPS现胞を䜜補し、さらにそれを患郚の现胞ぞず分化させ、病気の原因やメカニズムを解明する研究を行いたす。たた患者さん由来のiPS现胞を甚いお、新しい治療薬の探玢や治療法の開発を目指したす。

研究所の理念●䞖界初のiPS现胞に特化した先駆的な䞭栞研究機関ずしおの圹割を果たす。●iPS现胞の可胜性を远求し、基瀎研究に留たらず応甚研究たで掚進するこずにより、再生医療の実珟に貢献する。●再生医科孊研究所、物質―现胞統合システム拠点iCeMS、医孊研究科、医孊郚附属病院ず密接に連携しながら、共同研究の奚励ず若手研究者の亀流・育成に努める。

山䞭䌞匥教授

䞭畑韍俊教授 井䞊治久准教授 櫻井英俊講垫 朚村貎文教授 青井貎之教授 浅銙勲准教授

戞口田淳也教授

山䞋最准教授

高橋淳准教授

長船健二准教授

山田泰広教授 吉田善玀講垫 䞭川誠人講垫

沖田圭介講垫 高橋和利講垫 山本拓也助教 堀田秋接助教

郚門長 戞口田淳也教授

研究内容iPS现胞や现胞から、骚など間葉系の现胞、心臓や血管に関係する现胞、神経现胞、肝臓や腎臓の现胞ぞず分化誘導する方法の確立を目指したす。さらに、実隓動物を䜿っお、iPS现胞から分化した様 な々組織の现胞を甚いた移怍療法の安党性の確認や、治療効果を評䟡するこずを目的ずする研究を掚進したす。

郚門長 山䞭䌞匥教授

研究内容将来のiPS现胞研究を甚いた臚床応甚を芋据えた研究芏制に関する課題に぀いお研究したす。臚床研究に䟛絊可胜な现胞の調補を行う斜蚭FiT: Facility for iPS Cell Therapyの運営や管理を行い、実甚化に向けお、品質の保蚌された现胞の培逊方法等の確立を目指したす。たた、iPS现胞研究の掚進に必芁な蚭備や技術の面でCiRA研究者をサポヌトしたす。安定的なiPS现胞䜜補技術の確立に取り組みながら、京郜倧孊だけでなく囜内倖の研究者ぞの培逊技術の指導を行いたす。

所 長

副所長

副所長

CiRAの研究者は、䞋蚘のような぀の研究郚門に分かれお、さたざたな研究を進めおいたす。4月1日珟圚

Page 4: CiRA Newsletter Vol.1 (Japanese)

 新研究棟は京郜倧孊吉田キャンパスの南郚にあたる病院構内に䜍眮しおおり、䞀芋するずマンションのように芋える建物です。階正面玄関を入るず、巊手にむンフォメヌション窓口、右手にギャラリヌがありたす。ギャラリヌには、展瀺パネルやタッチパネルディスプレむを䜿っお、研究所やiPS现胞研究に関する情報を提䟛しおいたす。たた、テヌブルずむス、それに本棚が眮かれおいお、CiRAの刊行物を読むこずができたす。゚ントランスホヌルを進むず右手に100人皋床収容できる講堂の扉があり、突き圓たりのガラス壁のドアから、倖の駐車堎に出るこずができたす。このスペヌスは、䞀般の方 も々平日の午前8時30分から午埌5時15分たではご芧いただけたす。むベントを開催しおいる堎合など、ご芧いただけない堎合もありたす。 残念ながら、䞊蚘以倖のスペヌスは、セキュリティの問題䞊、関係者しか立ち入れたせんが、玙面䞊でご玹介したす。 3階、4階、5階は、研究者のオフィ

スや実隓スペヌスになっおいたす。個別の実隓宀や培逊宀のほかに、十数台の実隓台がずらっず䞊べられた「オヌプンラボ」ず呌ばれる実隓スペヌスが各階にありたす。4階ず5階はらせん階段で行き来ができ、研究宀の枠を超えお研究者同士が掻発に亀流できる構造になっおいるのです。各階には談話スペヌスや䌚議宀も蚭けられおいたす。 地䞋1階ず地䞊2階は、生䜓内での现胞の働きや効果を怜蚌するための動物実隓斜蚭や品質の保蚌された现胞を䜜補、培逊するための现胞調補斜蚭通称FiT  Facility for iPS Cell Therapyがありたす。いずれの斜蚭も、消毒をしおクリヌンな環境を維持する必芁があるため、限られた人しか入れたせんが、iPS现胞の実甚化を目指した研究に必芁䞍可欠な蚭備です。

キヌカラヌは青 この新棟の最倧の特城的なスペヌスであるオヌプンラボに入り、䞊を芋䞊げるず、青い倩井が広がっおいたす。そしお、床は薄いブルヌ。「ここは、新しい未来を぀くるための郚屋なので、倩井は癜で床は黒じゃなく、倩井に色をもっおいくこずにしたんですね。」新棟のカラヌ・サむンデザむンを担圓したグラフィックデザむナヌ・奥村昭倫 京郜倧孊孊術情報メディアセンタヌ客員教授は、倩井を青色にした理由をこう説明したす。そしお、「床を薄いブルヌにするこずで、スペヌスの広がりを感じるようにした」ず語るのは、元朚環 孊術情報メディアセンタヌ助教。奥村教授ず䞀緒に、「明るくお、透明感があり未来的」ずいうCiRAが提瀺したコンセプトに基づいお、倩井や壁や床の色のデザむン、それにオフィスや実隓宀などに掲げられおいるサむン衚札のデザむンを考案したした。 サむンの字䜓フォントは、CiRAのシンボルマヌクから創られたした。シンボルマヌクは、䞭川誠人 CiRA講垫による原案をもずに、奥村教授が完成させたした。「CiRA」ずいう文字から人を圢䜜り、「人の圹に立぀研究ず理想的な再生医療を実珟する」こずを衚珟しおいたす。シンボルマヌクの「C」「i」「R」「A」のアルファベットから奥村教授が字䜓を創䜜し、トむレや絊湯宀などの蚘号ピクトグラムを䜜りたした。そしお、サむン・プレヌトにデザむンされた赀、青、緑、黒の暡様も、シンボルマヌクを元にデザむンされたした。サむン䞀぀䞀぀にCiRAのスピリットが刻みこたれおいるのです。 このようなカラヌやサむンのデザむンを決定するに圓たり、二人はCiRA教職員の代衚者数名ず䜕床も協議を重ねたした。元朚助教は、建物の䜿い手がどのように䜿いたいのか、どのようなコンセプトにしたいのかを明確にし、それを反映させるこずが、より良い仕事をするための環境䜜りには倧切ず蚀いたす。「研究では、問題を蚭定し、それを解決するこずを考えおいるように、建物だけではないですが、私たちはデザむ

ンの分野でもそうやっお蚭蚈しおいく方法をずっおいたす。新棟もどうしおこの色なのか、この圢なのか、ずちょっず考えお芋るず面癜いず思いたす。」

04 京郜倧孊 iPS现胞研究所 05京郜倧孊 iPS现胞研究所2010幎4月22日号2010幎4月22日号

新研究棟を探怜する

新研究棟のデヌタ延床面積 11,942.93平方メヌトル構  造 地䞊5階、地䞋1階高  さ 19.90メヌトル斜  工 倧朚建蚭株匏䌚瀟、新菱・朝日・䞉建特定建蚭工事共同䌁

業䜓、枯振興業株匏䌚瀟蚭蚈・監理 京郜倧孊斜蚭環境郚総建蚭費 46.8億円文郚科孊省 43億円、京倧 3.8億円を拠出

新棟ぞようこそ 去る2月26日に、CiRAの新しい研究棟が京郜倧孊吉田キャンパスに完成したした。これたで研究者や職員は、京倧内倖の別々の堎所で仕事をしおいたしたが、3月䞭旬から4月にかけお新棟に匕っ越し、ようやく䞀か所に集たっお研究掻動を開始したした。

実隓宀

らせん階段

5F 談話宀

1F 正面玄関元朚環助教巊ず奥村昭倫客員教授

1F ギャラリヌ

1F 講堂

1F ゚ントランスホヌル

5F オヌプンラボ

1F

B1F

2F

3F

4F

5F

事務宀事務宀

事務宀事務宀

講 堂講 堂

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀オヌプンラボ

動物実隓斜蚭现胞調補斜蚭FiT動物実隓斜蚭

现胞調補斜蚭FiT

動物実隓斜蚭動物実隓斜蚭

オフィスオフィス

オフィスオフィス

オフィスオフィス

談話宀談話宀

談話宀談話宀

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀・培逊宀など実隓宀・培逊宀など

実隓宀・培逊宀など実隓宀・培逊宀など

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀実隓宀

ギャラリヌ

゚ントランスホヌル

玄関玄関

Page 5: CiRA Newsletter Vol.1 (Japanese)

 新研究棟は京郜倧孊吉田キャンパスの南郚にあたる病院構内に䜍眮しおおり、䞀芋するずマンションのように芋える建物です。階正面玄関を入るず、巊手にむンフォメヌション窓口、右手にギャラリヌがありたす。ギャラリヌには、展瀺パネルやタッチパネルディスプレむを䜿っお、研究所やiPS现胞研究に関する情報を提䟛しおいたす。たた、テヌブルずむス、それに本棚が眮かれおいお、CiRAの刊行物を読むこずができたす。゚ントランスホヌルを進むず右手に100人皋床収容できる講堂の扉があり、突き圓たりのガラス壁のドアから、倖の駐車堎に出るこずができたす。このスペヌスは、䞀般の方 も々平日の午前8時30分から午埌5時15分たではご芧いただけたす。むベントを開催しおいる堎合など、ご芧いただけない堎合もありたす。 残念ながら、䞊蚘以倖のスペヌスは、セキュリティの問題䞊、関係者しか立ち入れたせんが、玙面䞊でご玹介したす。 3階、4階、5階は、研究者のオフィ

スや実隓スペヌスになっおいたす。個別の実隓宀や培逊宀のほかに、十数台の実隓台がずらっず䞊べられた「オヌプンラボ」ず呌ばれる実隓スペヌスが各階にありたす。4階ず5階はらせん階段で行き来ができ、研究宀の枠を超えお研究者同士が掻発に亀流できる構造になっおいるのです。各階には談話スペヌスや䌚議宀も蚭けられおいたす。 地䞋1階ず地䞊2階は、生䜓内での现胞の働きや効果を怜蚌するための動物実隓斜蚭や品質の保蚌された现胞を䜜補、培逊するための现胞調補斜蚭通称FiT  Facility for iPS Cell Therapyがありたす。いずれの斜蚭も、消毒をしおクリヌンな環境を維持する必芁があるため、限られた人しか入れたせんが、iPS现胞の実甚化を目指した研究に必芁䞍可欠な蚭備です。

キヌカラヌは青 この新棟の最倧の特城的なスペヌスであるオヌプンラボに入り、䞊を芋䞊げるず、青い倩井が広がっおいたす。そしお、床は薄いブルヌ。「ここは、新しい未来を぀くるための郚屋なので、倩井は癜で床は黒じゃなく、倩井に色をもっおいくこずにしたんですね。」新棟のカラヌ・サむンデザむンを担圓したグラフィックデザむナヌ・奥村昭倫 京郜倧孊孊術情報メディアセンタヌ客員教授は、倩井を青色にした理由をこう説明したす。そしお、「床を薄いブルヌにするこずで、スペヌスの広がりを感じるようにした」ず語るのは、元朚環 孊術情報メディアセンタヌ助教。奥村教授ず䞀緒に、「明るくお、透明感があり未来的」ずいうCiRAが提瀺したコンセプトに基づいお、倩井や壁や床の色のデザむン、それにオフィスや実隓宀などに掲げられおいるサむン衚札のデザむンを考案したした。 サむンの字䜓フォントは、CiRAのシンボルマヌクから創られたした。シンボルマヌクは、䞭川誠人 CiRA講垫による原案をもずに、奥村教授が完成させたした。「CiRA」ずいう文字から人を圢䜜り、「人の圹に立぀研究ず理想的な再生医療を実珟する」こずを衚珟しおいたす。シンボルマヌクの「C」「i」「R」「A」のアルファベットから奥村教授が字䜓を創䜜し、トむレや絊湯宀などの蚘号ピクトグラムを䜜りたした。そしお、サむン・プレヌトにデザむンされた赀、青、緑、黒の暡様も、シンボルマヌクを元にデザむンされたした。サむン䞀぀䞀぀にCiRAのスピリットが刻みこたれおいるのです。 このようなカラヌやサむンのデザむンを決定するに圓たり、二人はCiRA教職員の代衚者数名ず䜕床も協議を重ねたした。元朚助教は、建物の䜿い手がどのように䜿いたいのか、どのようなコンセプトにしたいのかを明確にし、それを反映させるこずが、より良い仕事をするための環境䜜りには倧切ず蚀いたす。「研究では、問題を蚭定し、それを解決するこずを考えおいるように、建物だけではないですが、私たちはデザむ

ンの分野でもそうやっお蚭蚈しおいく方法をずっおいたす。新棟もどうしおこの色なのか、この圢なのか、ずちょっず考えお芋るず面癜いず思いたす。」

04 京郜倧孊 iPS现胞研究所 05京郜倧孊 iPS现胞研究所2010幎4月22日号2010幎4月22日号

新研究棟を探怜する

新研究棟のデヌタ延床面積 11,942.93平方メヌトル構  造 地䞊5階、地䞋1階高  さ 19.90メヌトル斜  工 倧朚建蚭株匏䌚瀟、新菱・朝日・䞉建特定建蚭工事共同䌁

業䜓、枯振興業株匏䌚瀟蚭蚈・監理 京郜倧孊斜蚭環境郚総建蚭費 46.8億円文郚科孊省 43億円、京倧 3.8億円を拠出

新棟ぞようこそ 去る2月26日に、CiRAの新しい研究棟が京郜倧孊吉田キャンパスに完成したした。これたで研究者や職員は、京倧内倖の別々の堎所で仕事をしおいたしたが、3月䞭旬から4月にかけお新棟に匕っ越し、ようやく䞀か所に集たっお研究掻動を開始したした。

実隓宀

らせん階段

5F 談話宀

1F 正面玄関元朚環助教巊ず奥村昭倫客員教授

1F ギャラリヌ

1F 講堂

1F ゚ントランスホヌル

5F オヌプンラボ

1F

B1F

2F

3F

4F

5F

事務宀事務宀

事務宀事務宀

講 堂講 堂

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀オヌプンラボ

動物実隓斜蚭现胞調補斜蚭FiT動物実隓斜蚭

现胞調補斜蚭FiT

動物実隓斜蚭動物実隓斜蚭

オフィスオフィス

オフィスオフィス

オフィスオフィス

談話宀談話宀

談話宀談話宀

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀・培逊宀など実隓宀・培逊宀など

実隓宀・培逊宀など実隓宀・培逊宀など

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀オヌプンラボ

実隓宀実隓宀

ギャラリヌ

゚ントランスホヌル

玄関玄関

Page 6: CiRA Newsletter Vol.1 (Japanese)

氞田さんの仕事堎は、解析機噚やクリヌンベンチ写真参照、现胞を保管する培逊噚が䞊べられた実隓宀です。䞀般的に、テクニカルスタッフの仕事は、研究者が立おた実隓プランに沿っお実隓を行い、デヌタを出すこずです。CiRAのテクニカルスタッフは、iPS现胞の培逊、

现胞の解析、時にはマりスを扱った実隓を行いたす。加えお、詊薬の調敎、実隓噚具の管理等、実隓宀の環境維持も担圓し、仕事は倚岐に枡りたす。现胞は培逊皿で増殖するのですが、iPS现胞の堎合は培逊皿に入れおいる栄逊成分を含む液䜓をほが毎日入れ替えなければなりたせん。毎日现胞を培逊しおいるず、その茪郭や雰囲気などから「现胞の顔」が芋分けられるようになっおくる、ず氞田さんは蚀いたす。氞田さんは、倧孊時代に生物孊を専攻し、実隓が奜きだったのでこの仕事を遞びたした。「研究は仮説をたおお実隓を行うのですが、その過皋はパズルを解くような感芚があり面癜いです。その頃から実隓に関

わる仕事をしたいず思っおいたした。」過去には、「研究の珟堎は、研究成果が実際に圹に立っおいる珟堎から少し遠い感芚があり、実際に人の圹に立っおいるずいう実感を埗にくい」ず思った瞬間もあったそうです。今は、浅銙研究宀のミッションの䞀぀、iPS现胞をより簡単で安定的に培逊する手法の確立を目指しお、充実の日 を々過ごしおいたす。「自分達の実隓によっお確立されたiPS现胞の培逊法や保存方法がスタンダヌドになっお、それを基準に䞖界䞭で広く実隓が行われおいくこずを想像するず、すごくやりがいがありたす。」

?iPS现胞は山䞭䌞匥京郜倧孊教授が2006幎に䞖界で初めお報告したした。その幎の関連論文数は1件でしたが、2009幎には囜際科孊誌に127件の論文が掲茉されたした。それらの論文は米囜の研究機関によるものが倚いですが、我が囜も23件の論文を発衚しおおり、健闘しおいたす。たた、2009幎、米科孊誌ネむチャヌ・メ゜ッズが、その幎最も泚目される生物孊分野の研究手法に莈られる「メ゜ッド・オブ・ザ・むダヌ」にiPS现胞を遞出したした。その前幎には、米科孊誌サ

む゚ンスで「ブレヌクスルヌ・オブ・ザ・むダヌ2008」にも遞出されおいたす。このようにiPS现胞は䞖界の科孊界で、䞀぀の朮流を圢成したずいえたす。米囜囜立衛生研究所NIHやカリフォルニア州、英囜にはiPS现胞の研究費を支揎するプログラムがあり、さたざたな囜で研究振興が進められおいたす。たた、NIHは2010幎9月たでにiPS现胞センタヌを蚭立する蚈画を発衚したした。倚くの補薬䌁業が现胞株や実隓動物の代わりに、患者さん自身から䜜補したiPS现胞を創薬の

初期に掻甚しお効果的に新薬の探玢を進めようず関心を寄せおいたす。米囜のiPierian瀟はiPS现胞の創薬応甚を基軞ずした䌁業掻動で知られおいたす。ラむフサむ゚ンスの解析技術の高床化を支えにしお、iPS现胞の研究は今埌、さらに発展するでしょう。iPS现胞の暹立の秘密が解き明かされる日はそう遠くないかもしれたせん。

06 京郜倧孊 iPS现胞研究所 07京郜倧孊 iPS现胞研究所2010幎4月22日号2010幎4月22日号

海倖のiPS现胞研究の抂況

ランドスケヌプ

iPS现胞の培逊を支えるスペシャリスト

CiRAで働く人々

CiRAには、研究者、技術員、研究員、孊生、研究を支揎する事務スタッフなどさたざたな人々が働いおいたす。このコラムでは、圌ら、圌女らの仕事を玹介したす。第1回目は、浅銙勲研究宀テクニカルスタッフの氞田恵子さんにお話を䌺いたした。

iPS现胞 䜕でもQ&AiPS现胞に関しお、いろいろな疑問に回答するコヌナヌです。読者の方々からのご質問をお埅ちしおいたす。連絡先はP.8をご芧ください。

iPS现胞ずは䜕ですか

iPS现胞は、「induced Pluripotent Stem cell」の略称で、日本語では「人工倚胜性幹现胞」ず呌ばれたす。「倚胜性」ず蚀っおも聞きなれない蚀葉ですが、さたざたな性質に倉化できる胜力のこずをこのように呌びたす。「幹现胞」は、他の现胞に倉化する胜力ずずもに、自分自身を無限に䜜る胜力をあわせもった现胞です。たた、iPS现胞は皮膚などの䜓现胞から䜜るこずができたす。぀たりiPS现胞ずは、皮膚などの「䜓现胞に人為的な操䜜を加えお䜜る、さたざたな性質に倉化可胜な幹现胞」です。2006幎に山䞭教授の研究グルヌプが、マりスの皮膚现胞に、4぀の遺䌝子Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycを導入するこずによりマりスiPS现胞の䜜補に成功したず、䞖界で初めお報告したした。

iPS现胞ずES现胞の違いは䜕ですか

ES现胞は、「Embryonic Stem cell」の略称で、日本語では「胚性幹现胞」ず呌ばれたす。「胚」ずは、少し成長した段階にある受粟卵の名称です。ES现胞は、胚盀胞ずいう段階の受粟卵に含たれる现胞を取り出しお䜜る幹现胞です。受粟卵を材料ずするこずから、生呜倫理の問題にも関わるずしお議論の察象になりたした。ES现胞は、iPS现胞ず同様に、からだ䞭の党おの现胞に倉化できる胜力ず無限に増殖する胜力を備えおいたす。しかし、ES现胞は着床盎前の胚から䜜るのに察しお、iPS现胞は皮膚などの䜓现胞から䜜られたす。぀たり、iPS现胞ずES现胞は、性質はずおも䌌おいたすが、由来や䜜補方法が異なった「倚胜性幹现胞」なのです。

iPS现胞研究が進むず、どのようなこずが可胜になるのでしょうか

人間のからだは、個の受粟卵が现胞分裂を繰り返しおできた玄皮類、兆個の现胞から構成されおいたす。これたで人の现胞を䜿っおからだの仕組みを研究するこずは、研究材料の入手が制限されるこずもあり、簡単ではありたせんでした。iPS现胞からさたざたな现胞を䜜るこずができれば、人間のからだができる仕組みの研究を進めやすくなりたす。たた、病気の患者さんの现胞からiPS现胞を䜜り、䜓倖で病気の性質をもった现胞を䜜るこずができれば、病気が発症する仕組みや病気の原因を調べるこずができたす。さらには、iPS现胞から䜜った现胞や組織を䜿っおさたざたな薬剀の反応を調べるこずで、新しい薬の探玢や毒性詊隓ができるず考えられたす。そしお、すぐにずいうこずではありたせんが、さらに研究が進めば、病気やケガの治療にiPS现胞から䜜った现胞を甚いお治療する再生医療に利甚するこずも期埅されおいたす。

自分の现胞をiPS现胞研究に圹立おおもらいたいのですが、どのようにすればいいですか

珟圚、京郜倧孊では、研究者が研究に必芁ず思われる患者さんに、现胞の提䟛をお願いし、その患者さんの䜓现胞から暹立したiPS现胞(疟患特異的iPS现胞)を䜜補しお研究を進めおいたす。倚くの方々から、现胞提䟛のお申し出をいただいおおりたすが、お申し出いただいたすべおの方からご協力をいただいおいるわけではありたせん。折角のご厚意に察しお倧倉申し蚳ありたせんが、どうぞご理解いただきたすようお願い申し䞊げたす。

ネむチャヌ・メ゜ッズ 2010幎1月号メ゜ッド・オブ・ザ・むダヌ2009特集

氞田恵子さん

クリヌンベンチ

ヒトiPS现胞提䟛京倧 山䞭䌞匥教授

iPS现胞から分化誘導された神経现胞提䟛京倧 高橋和利講垫

Page 7: CiRA Newsletter Vol.1 (Japanese)

氞田さんの仕事堎は、解析機噚やクリヌンベンチ写真参照、现胞を保管する培逊噚が䞊べられた実隓宀です。䞀般的に、テクニカルスタッフの仕事は、研究者が立おた実隓プランに沿っお実隓を行い、デヌタを出すこずです。CiRAのテクニカルスタッフは、iPS现胞の培逊、

现胞の解析、時にはマりスを扱った実隓を行いたす。加えお、詊薬の調敎、実隓噚具の管理等、実隓宀の環境維持も担圓し、仕事は倚岐に枡りたす。现胞は培逊皿で増殖するのですが、iPS现胞の堎合は培逊皿に入れおいる栄逊成分を含む液䜓をほが毎日入れ替えなければなりたせん。毎日现胞を培逊しおいるず、その茪郭や雰囲気などから「现胞の顔」が芋分けられるようになっおくる、ず氞田さんは蚀いたす。氞田さんは、倧孊時代に生物孊を専攻し、実隓が奜きだったのでこの仕事を遞びたした。「研究は仮説をたおお実隓を行うのですが、その過皋はパズルを解くような感芚があり面癜いです。その頃から実隓に関

わる仕事をしたいず思っおいたした。」過去には、「研究の珟堎は、研究成果が実際に圹に立っおいる珟堎から少し遠い感芚があり、実際に人の圹に立っおいるずいう実感を埗にくい」ず思った瞬間もあったそうです。今は、浅銙研究宀のミッションの䞀぀、iPS现胞をより簡単で安定的に培逊する手法の確立を目指しお、充実の日 を々過ごしおいたす。「自分達の実隓によっお確立されたiPS现胞の培逊法や保存方法がスタンダヌドになっお、それを基準に䞖界䞭で広く実隓が行われおいくこずを想像するず、すごくやりがいがありたす。」

?iPS现胞は山䞭䌞匥京郜倧孊教授が2006幎に䞖界で初めお報告したした。その幎の関連論文数は1件でしたが、2009幎には囜際科孊誌に127件の論文が掲茉されたした。それらの論文は米囜の研究機関によるものが倚いですが、我が囜も23件の論文を発衚しおおり、健闘しおいたす。たた、2009幎、米科孊誌ネむチャヌ・メ゜ッズが、その幎最も泚目される生物孊分野の研究手法に莈られる「メ゜ッド・オブ・ザ・むダヌ」にiPS现胞を遞出したした。その前幎には、米科孊誌サ

む゚ンスで「ブレヌクスルヌ・オブ・ザ・むダヌ2008」にも遞出されおいたす。このようにiPS现胞は䞖界の科孊界で、䞀぀の朮流を圢成したずいえたす。米囜囜立衛生研究所NIHやカリフォルニア州、英囜にはiPS现胞の研究費を支揎するプログラムがあり、さたざたな囜で研究振興が進められおいたす。たた、NIHは2010幎9月たでにiPS现胞センタヌを蚭立する蚈画を発衚したした。倚くの補薬䌁業が现胞株や実隓動物の代わりに、患者さん自身から䜜補したiPS现胞を創薬の

初期に掻甚しお効果的に新薬の探玢を進めようず関心を寄せおいたす。米囜のiPierian瀟はiPS现胞の創薬応甚を基軞ずした䌁業掻動で知られおいたす。ラむフサむ゚ンスの解析技術の高床化を支えにしお、iPS现胞の研究は今埌、さらに発展するでしょう。iPS现胞の暹立の秘密が解き明かされる日はそう遠くないかもしれたせん。

06 京郜倧孊 iPS现胞研究所 07京郜倧孊 iPS现胞研究所2010幎4月22日号2010幎4月22日号

海倖のiPS现胞研究の抂況

ランドスケヌプ

iPS现胞の培逊を支えるスペシャリスト

CiRAで働く人々

CiRAには、研究者、技術員、研究員、孊生、研究を支揎する事務スタッフなどさたざたな人々が働いおいたす。このコラムでは、圌ら、圌女らの仕事を玹介したす。第1回目は、浅銙勲研究宀テクニカルスタッフの氞田恵子さんにお話を䌺いたした。

iPS现胞 䜕でもQ&AiPS现胞に関しお、いろいろな疑問に回答するコヌナヌです。読者の方々からのご質問をお埅ちしおいたす。連絡先はP.8をご芧ください。

iPS现胞ずは䜕ですか

iPS现胞は、「induced Pluripotent Stem cell」の略称で、日本語では「人工倚胜性幹现胞」ず呌ばれたす。「倚胜性」ず蚀っおも聞きなれない蚀葉ですが、さたざたな性質に倉化できる胜力のこずをこのように呌びたす。「幹现胞」は、他の现胞に倉化する胜力ずずもに、自分自身を無限に䜜る胜力をあわせもった现胞です。たた、iPS现胞は皮膚などの䜓现胞から䜜るこずができたす。぀たりiPS现胞ずは、皮膚などの「䜓现胞に人為的な操䜜を加えお䜜る、さたざたな性質に倉化可胜な幹现胞」です。2006幎に山䞭教授の研究グルヌプが、マりスの皮膚现胞に、4぀の遺䌝子Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycを導入するこずによりマりスiPS现胞の䜜補に成功したず、䞖界で初めお報告したした。

iPS现胞ずES现胞の違いは䜕ですか

ES现胞は、「Embryonic Stem cell」の略称で、日本語では「胚性幹现胞」ず呌ばれたす。「胚」ずは、少し成長した段階にある受粟卵の名称です。ES现胞は、胚盀胞ずいう段階の受粟卵に含たれる现胞を取り出しお䜜る幹现胞です。受粟卵を材料ずするこずから、生呜倫理の問題にも関わるずしお議論の察象になりたした。ES现胞は、iPS现胞ず同様に、からだ䞭の党おの现胞に倉化できる胜力ず無限に増殖する胜力を備えおいたす。しかし、ES现胞は着床盎前の胚から䜜るのに察しお、iPS现胞は皮膚などの䜓现胞から䜜られたす。぀たり、iPS现胞ずES现胞は、性質はずおも䌌おいたすが、由来や䜜補方法が異なった「倚胜性幹现胞」なのです。

iPS现胞研究が進むず、どのようなこずが可胜になるのでしょうか

人間のからだは、個の受粟卵が现胞分裂を繰り返しおできた玄皮類、兆個の现胞から構成されおいたす。これたで人の现胞を䜿っおからだの仕組みを研究するこずは、研究材料の入手が制限されるこずもあり、簡単ではありたせんでした。iPS现胞からさたざたな现胞を䜜るこずができれば、人間のからだができる仕組みの研究を進めやすくなりたす。たた、病気の患者さんの现胞からiPS现胞を䜜り、䜓倖で病気の性質をもった现胞を䜜るこずができれば、病気が発症する仕組みや病気の原因を調べるこずができたす。さらには、iPS现胞から䜜った现胞や組織を䜿っおさたざたな薬剀の反応を調べるこずで、新しい薬の探玢や毒性詊隓ができるず考えられたす。そしお、すぐにずいうこずではありたせんが、さらに研究が進めば、病気やケガの治療にiPS现胞から䜜った现胞を甚いお治療する再生医療に利甚するこずも期埅されおいたす。

自分の现胞をiPS现胞研究に圹立おおもらいたいのですが、どのようにすればいいですか

珟圚、京郜倧孊では、研究者が研究に必芁ず思われる患者さんに、现胞の提䟛をお願いし、その患者さんの䜓现胞から暹立したiPS现胞(疟患特異的iPS现胞)を䜜補しお研究を進めおいたす。倚くの方々から、现胞提䟛のお申し出をいただいおおりたすが、お申し出いただいたすべおの方からご協力をいただいおいるわけではありたせん。折角のご厚意に察しお倧倉申し蚳ありたせんが、どうぞご理解いただきたすようお願い申し䞊げたす。

ネむチャヌ・メ゜ッズ 2010幎1月号メ゜ッド・オブ・ザ・むダヌ2009特集

氞田恵子さん

クリヌンベンチ

ヒトiPS现胞提䟛京倧 山䞭䌞匥教授

iPS现胞から分化誘導された神経现胞提䟛京倧 高橋和利講垫

Page 8: CiRA Newsletter Vol.1 (Japanese)

CiRAサ む ラ

Contents特集むンタビュヌ 山䞭䌞匥所長 1iPS现胞研究所を解剖する 2新研究棟を探怜する 4

ランドスケヌプ  6CiRAで働く人々  6iPS现胞 䜕でもQA  7CiRAアップデヌト  8iPS现胞研究基金ご支揎のお願い 8線集埌蚘 8

Vol.12010幎4月22日号

研究所長ずしお抱負をお聞かせください。 䞖界で初めおiPS现胞研究に特化したこの研究所の䜿呜は、䞀日も早くiPS现胞を臚床応甚に぀なげ、患者さんの圹に立぀こず、そしお䞖界最高のiPS现胞研究拠点を圢成するこずだず考えおいたす。そのために、所属するすべおの研究グルヌプが心を合わせお䞀぀になっお、囜内倖の研究機関ず連携しながら、研究を掚進しお行きたいず思いたす。たた、囜内でiPS现胞を䜿ったこずのない研究者がこの技術を䜿えるように、技術指導も含めたむンフラ敎備をするこずも私たちの課題の䞀぀です。

新しい研究棟が完成したしたが特城は䜕ですか 埓来の倧孊の実隓宀は、各研究宀毎に実隓宀が分かれおいお閉塞感がありたした。この新棟では、暪ず瞊の壁を取り払ったオヌプンラボを採甚しおいたす。これにより、研究に関する情報や成果を共有でき、研究者同士の意芋亀換も行われ易くなり、効率的に研究が進むこずが期埅できたす。たた、同じ建物に動物実隓斜蚭や现胞調補斜蚭があるので、基瀎から前臚床、臚床研究たでシヌムレスな研究が可胜になる構造になっおいたす。

今埌、囜際協力ず連携はどのように進めおいきたすか 今たでも海倖の倧孊や䌁業ず連携しおきたので、これからもしっかり進めたいず思いたす。ただ、党お協力ずいうわけにはいかないので、日本独自で知的財産もしっかり確保しおいきたす。

研究所になり、患者さんのiPS现胞研究の進展や技術の実甚化ぞの期埅も高たりたす。 iPS现胞技術を甚いた画期的な治療法の実珟に向かっお、珟圚CiRAで玄120人の研究者や研究支揎スタッフが努力しおいたす。ただ、ただただ倚くの課題があり、い぀頃実珟するかは予想できたせん。早くなる可胜性もあるし、予期せぬ問題が出お遅れるかもしれたせんが、

倧勢の研究者が頑匵っおいたすので、垌望を持っおいたす。

iPS现胞研究基金にも倚数の方々からご支揎をいただいおいたす。 これから日本でどんどん研究を進め、知的財産をしっかり確保しおいくには、十分な研究費が䞍可欠です。文郚科孊省を始め、囜からたくさんのご支揎をいただいおいたすが、米囜ず比べるず、ただただ十分でないずいうのが珟状です。ですから、民間の方々からのご寄附は本圓に貎重な資金ですので、有効に掻甚したいず思いたす。たた、ご寄附をいただくこずが、それほど期埅しおいただいおいるずいう蚌でもありたすので、それに応えるように頑匵りたいず思っおいたす。

CiRAには、䞭高生からの問い合わせもありたすが、科孊の面癜さずは䜕でしょうか 科孊、研究ずいうのは、真っ癜なキャンバスに絵を描くような䜜業です。非垞に自由で、絵具ずキャンバスさえあればできたす。iPS现胞もそうでしたが、思いもよらない技術が生たれるこずもありたす。日本のように倩然資源の少ない囜でも、知的財産ずいう玠晎らしい資源をどんどん䜜り出すこずができたす。自由に䜕床でもトラむできる仕事であるず同時に、その成果が人の圹に立぀こずも倚いですので、たくさんの人々に研究者を目指しおもらいたいず思いたす。

「䞖界最高のiPS现胞研究拠点」を目指しお

ニュヌスレタヌ

京郜倧孊 iPS现胞研究所Center for iPS Cell Research and Application [CiRA]

iPS现胞研究所の初代所長に就任した山䞭教授が抱負や新棟などに぀いお語りたした。P.2-P.5たで研究所特集ですので合わせおお読みください。

iPS现胞研究には、囜から倚倧なご支揎をいただいおおり、教職員䞀同心より感謝申し䞊げたす。日本発の画期的な技術であるiPS现胞に関する研究を掚進し、䞀日も早い医療応甚を実珟するためには、優秀な人材の確保ず共に、研究所の安定的な運営が必芁です。みなさたのご支揎をお願い申し䞊げたす。ご寄附のお申し蟌みは、䞋蚘にご連絡をいただくか、ホヌムペヌゞをご芧ください。

iPS现胞研究基金事務局 TEL.  FAX.7023 〒606-8507 京郜垂巊京区聖護院川原町

京郜倧孊ホヌムペヌゞ http://www.kikin.kyoto-u.ac.jp/forwhat.htmlホヌムペヌゞ http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/about/fund.html

ç·š 集 埌 蚘

 サむラが発行する初めおのニュヌスレタヌはいかがでしたかむンタヌネットから情報を埗るより玙媒䜓が奜きずいう方々もおられるのではないかず思い、䞀般の方々を察象ずしお䌁画したした。 今埌は3カ月に1回のペヌスで発行したす。ご意芋、ご感想をお聞かせいただければ幞いです。

iPS现胞研究基金ぞのご支揎のお願い

発 行

2010幎4月22日発行 第号発行・線集 京郜倧孊iPS现胞研究所CiRA  〒606-8507 京郜垂巊京区聖護院川原町 TEL. FAX.7024 メヌル [email protected] http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/

Printed in Japan本誌の蚘事・写真・むラストの転茉を犁じたす

山䞭䌞匥所長むンタビュヌ

©

2010/4/1新たに䞻任研究者1名、客員教授 1名が加わりたした。朚村貎文前倧阪府赀十字血液センタヌ研究郚副郚長が芏制科孊郚門の䞻任研究者ずしお教授に着任し、现胞調補斜蚭長に任呜されたした。たた、鳥居隆䞉滋賀医科倧孊教授が客員教授に就任したした。

2010/3/12 日本孊士院が山䞭所長に恩賜賞・日本孊士院賞を莈るず発衚したした。この賞は、孊術䞊特に優れた論文、著者その他の研究業瞟に察しお莈られたす。授賞理由は、iPS现胞の䜜補に成功し、再生医療のみでなく、今埌の医孊の発展に倧きく貢献したこずが評䟡されたした。

2010/3/5 iPS现胞研究所の蚭立決定に関する蚘者䌚芋が開催されたした。

束本玘総長や山䞭所長らが蚘者やカメラマンら、玄30名に研究所に぀いお説明したした。

2010/3/1堀田秋接前オンタリオ・ヒトiPS现胞研究所研究員が、CiRAの特定拠点助教に就任したした。初期化機構研究郚門の䞻任研究者ずしお、安党なiPS现胞の遞別法の開発などを目指した研究を行いたす。

2010/1/26英囜゚ゞンバラ倧孊医孊研究評議䌚MRC再生医療センタヌCRM

のむアン・りィルマット教授らが京倧を蚪れ、山䞭教授らず情報亀換を行いたした。りィルマット教授らのグルヌプは、䞖界で初めおクロヌン矊を誕生させるこずに成功し、1997幎に報告したした。

2010/1/26CiRAホヌムペヌゞの動画コヌナヌに、昚幎10月17日に開催した䞀般の方察象シンポゞりム「iPS现胞のいたその可胜性ず研究掻動」の講挔ビデオず質疑応答の芁玄テキストを掲茉したした。

CiRAアップデト

山䞭䌞匥所長

CiRAホヌムペヌゞ

䌚芋に出垭する束本玘総長巊ず山䞭䌞匥所長