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47筑波倧孊䜓育科孊系玀芁 Bull. Inst. Health & Sport Sci., Univ. of Tsukuba 33 : 47-58, 2010

䜓育専攻倧孊生のキャリアプランニング教育将来の進路に向けお行動化を促す総合挔習の効果

䞉朚ひろみ・䞉波千穂矎

Career planning program for physical education major students at the university of Tsukubaeffects of a program of encouraging students to

move into action for their future job.

MIKI Hiromi, SANNAMI Chihomi

We planned and organized a career-planning program for physical education major students in the course of physical education teacher education. The purpose of the present study was to examine the effects of the pro-gram on the PE students’ job-consciousness and vocational indecision.

The first part of 9 sessions was composed of processes of knowing various jobs and qualities required by the jobs. The second part of 10 sessions was developed to encourage the students to move into action for their future job. Two hundred and thirty three students took the first part and 195 students took the second part. They were divided into 12 classes managed by their classroom teacher and supervised by the authors. During the program the students worked on various tasks and filled in worksheets and wrote reports. Also the students evaluated their vocational indecision on Vocational Indecision Scale Shimoyama, 1986 3 times, before the first part, before the second part, and the end of the second part. The students’ descriptions and self-evaluation were analyzed.

The main results were as follows.1 After collecting various kinds of information and knowing about different jobs, the students came to have

an image of working in the future, but many of them wanted to take much time to know about jobs and themselves and hesitated to decide their future job.

2 It was effective to let the student move into action tentatively for their future job hunting. Participating in the company information session gave the students a clear image of their future job hunting. And the students who conducted a study session for a recruitment test of PE teachers realized that they had to start studying early to get prepared ahead of time and that they could learn a lot from the classes they have taken in the PE department.

3|Through the program the students understood that they had to face to the reality. They came to think about their job-hunting pragmatically and tried to select a future job and plan for preparing themselves for the future job.

In conclusion, our program influenced the PE major students with thinking about their future job seriously and moving into action for their future job. We need to support their actions by providing them with necessary information and also by telling them to appeal their specialties they have acquired in the field of sports, physical education, and sport sciences.

Key words career planning, PE students, job consciousness, vocational indecision

 筑波倧孊 䜓育科孊系 筑波倧孊 図曞通情報孊系

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䞉朚ひろみ・䞉波千穂矎48

1䜓育専門孊矀生の珟状ずキャリア教育平成 10 幎に教育職員免蚱法が改蚂されおか

ら、䞭孊校・高校の教員免蚱取埗のためには、教職に関わる科目ずしお「総合挔習」の単䜍の取埗が必芁ずなっおおり、この授業を通じお、

「生きる力」の育成をねらいずした「総合的な孊習の時間」を指導する力を぀けるこずが求められおいる。「総合挔習Ⅰ・Ⅱ」においお、筑波倧孊䜓育専門孊矀では、将来の進路に぀いお考えるキャリアプランニング孊習を行なっおいる。

孊習指導芁領に瀺されおいるように、「総合的な孊習の時間」では地域や孊校、生埒の特色に応じた課題や掻動を行うこずから、孊習課題や掻動は赎任先の孊校や地域次第である。しかしながら、どのような掻動を行っおも、問題点ずしお指摘されおいるこずは、児童生埒はテヌマに぀いお調べるこずは容易にできおも、課題を解決するために調べるこずや、調べたこずを基にしお課題を解決するたでには至らないこずである文郚科孊省2000䞉朚・岡出2005。そこで、総合挔習では、受講生が、「調べる」「知る」だけでなく、課題を解決する孊習に取り組むよう、倧孊生が解決しなければならない将来の職業遞択や就職するたでの蚈画を立おるキャリアプランニングを課題に取り䞊げた。

たた、総合挔習は教職科目ずはいえ、受講生党員が教職を志望しおいる蚳ではないずいう実情がある。2008 幎床卒業生で就職あるいは進孊した者のうち、教員になった者は 20であり、47は䌁業に就職しおいる筑波倧孊䜓育専門孊矀2009。教職志望以倖の受講生のモティベヌションも高めるこずができ、この機䌚に将来の進路に぀いお考えられるようにするために、課題解決孊習ずしおキャリアプランニングを行なうこずは意味があるず思われる。

2 䜓育専門孊矀におけるキャリア教育プログラムの課題ず本研究の目的

関口2005は、発達段階レベルに合わせたキャリア教育ずしお、①積極的態床の教育、②職業倫理の教育、③自己理解の教育、④職業遞択の教育に重点をおいたキャリア教育から始め、その埌、⑀職業知の教育、⑥職業胜力の教

育、⑊就職技法の教育その職業ぞのスムヌスな就職技法を獲埗するぞ進むこずを提案しおいる。たた、Pettipas ら1997は、スポヌツ遞手のためのキャリアプランニングのプロセスずしお、①自己探求プロセス、②キャリア探求プロセス、③キャリア獲埗プロセスを挙げおいる。䜓育専門孊矀の総合挔習で行っおいるキャリア教育プログラムは、これらに習っお、①自分を知るこず、②職業に぀いお知るこず、③自分の興味関心に基づいお職業を芋るこず、④職業が芁求する胜力や人材の芳点から自分を芋るこず、これらの掻動を繰り返しお、職業を遞択したり、遞択した職業に就くために自分がすべきこずを考えお実行するプロセスが、含たれおいる。

平成17幎床3孊期に行った総合挔習Ⅰ䞉朚・䞉波2007では、職業に関心を持っおいないレベルから、就職察策を立おようずしおいるレベルたで、受講生の職業意識の個人差に察応しおどのレベルからも始めるこずができ、どのレベルたでも進めるこずを意図し、「自分を知る」

「職業に぀いお知る」「自分にあった職業を探玢する」ずいう掻動のサむクルを、各自の課題に応じお繰り返し行えるようにした。しかし、この実践では、将来の職業に぀いお十分怜蚎しおいないにも関わらず先のレベルの課題に取り組む受講生が少なくなかった。䟋えば、就きたいず思っおいる職業を持っおいる受講生の䞭には、それだけで職業遞択の課題が既に解決しおいるず考えお、その職業が本圓に自分の想像しおいる通りの仕事なのか、自分の資質がその職業に合っおいるのか確認しようずしない者がいた。たた、職業に関する情報を延々ず集めおいるだけで、耇数の職業に぀いお調べおも比范や取捚遞択をしない受講生も少なくなかった。将来の職業を遞択したり絞り蟌んだり自分の適性を刀断したりずいった、職業に関する意思決定をするこずを躊躇しおいるず掚枬された。

平成 18 幎床に実斜した総合挔習Ⅱ䞉朚・䞉波2008では、職業を遞択するこずは難しいず思うのはなぜか、職業を遞択するこず、仕事をするこず、仕事をしながら生きおいくずいうこずをどのように捉えたらいいのかに぀いお考える掻動を実斜した。受講生が先の芋通しを描け、自分ず匕き比べお具䜓的な察策が考えら

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䜓育専攻倧孊生のキャリアプランニング教育 49

れるように、仕事で成功しおいる識者の仕事芳や若い䞖代に察するメッセヌゞが具䜓的に述べられおいる意芋蚘事、垂井の人物の人生ず仕事の遍歎を蚘述した半生蚘、教員採甚詊隓に合栌した䜓育専門孊矀の先茩からのアドバむスなどの情報を提䟛し、職業芳や職業遞択、遞択に䌎う䞍安に぀いお考える掻動を行った。たた、就職のための暡擬面接や暡擬集団蚎論を、面接官ず求職者の䞡方の圹割で行い、面接や集団蚎論を䜓隓しお慣れるずいうだけではなく、他の受講生や自分が面接官からどう芋えるか、䜕を求められ評䟡されおいるのかに気づけるようにした。この実践の結果、受講生は、将来の職業に察する意思決定や目暙を明確に持぀こずが重芁だずいうこず、そのためには十分時間をかける必芁があり、早くから準備に取りかからなければならないこずを理解するこずができた。

しかし、理解できたずいうずころたでで授業は終わっおしたい、その埌の具䜓的な蚈画や準備は受講生本人に任された。この実践の 1 幎埌に調査を行ったずころ、職業遞択や就職の準備に䞻䜓的に取り組んでいた孊生は半数に満たなかった䞉朚・䞉波2008。すなわち、キャリアプランニング孊習を行い、なぜ準備をしなければならないかを理解し、早目に準備し始めた方がよいず玍埗し、準備が䞍十分であれば困るこずになるこずを暡擬的に実感したずしお

も、それだけでは実際の行動に移すのは難しいず蚀える。たた、䞀郚ではあるが受講生から、この授業を通しお職業遞択やキャリアに関する問いを䜕床もなげかけられ、識者の意芋や先茩からのアドバむス、人生の先茩の事䟋を読んだこずで説埗されおしたった、ずいう感想が寄せられた。受講生が説埗されおキャリアプランニングの重芁性や必芁性を認めるずいうのではなく、自分自身に必芁なこずだず自芚しお䞻䜓的に行動を起こすような働きかけを工倫しなければならない。

以䞊、これたでの実践ず課題を螏たえお、本研究では、受講生自らキャリアプランニングの重芁性や必芁性を認識しお䞻䜓的に行動を起こすこず、具䜓的な準備掻動を実際に始めるこずを目指した授業を蚈画・実践し、その効果を怜蚎するこずを目的ずした。

3授業蚈画の立案総合挔習Ⅰ1 幎次 3 孊期ず総合挔習Ⅱ2

幎次 1 孊期の授業の抂芁は、衚 1、衚 2 に瀺す通りである。埓来の授業蚈画から倧きく倉曎したのは以䞋の点である。

1「職業に぀いお知る」情報収集掻動の改善総合挔習Ⅰキャリア教育プログラムの前半

では、興味関心を持っおいる職業に぀いお調べ

回 抂芁 受講生の孊習掻動 宿題

1

オリ゚ンテヌション

①総合挔習の趣旚説明。②「職業未決定尺床䞋山1986」に回答。③キャリアトランゞションに぀いお考える。

先茩の調査した結果を基に、興味のある職業を぀遞び、自分ず照らし合わせる。

2

キャリアプランニング掻動の準備

①職業未決定尺床評䟡の結果ず卒業生の進路状況の資料を怜蚎、②キャリアプランニングの方針確認、③調べたい職業ず理由をプレれンする、④調査する職業を決定

調査する職業に぀いお、むンタヌネット・人・曞籍を䜿っお調査し、たずめる。

3職業に぀いお調査結果の報告ず再怜蚎

①グルヌプ内で調査結果を報告、質疑応答。②再怜蚎。 再調査し、結果をたずめる。

4

職業に぀いお自分の理解を確かめる

①調査結果を報告、質疑応答。②職業ず関係する自分の胜力や性栌・資質、掻かし方、仕事で芁求される胜力をたずめる。②調査の必芁なこずに぀いおグルヌプディスカッション

やりがい、぀らさ、仕事内容、職堎環境、圹に立぀胜力や性栌・資質、芁求されるただ身に぀けおいない胜力をたずめる。

5

将来の仕事に察する期埅ず䞍安、準備に぀いお考える

①将来の仕事に察しお感じおいる期埅ず䞍安、これからの準備に぀いお蚘述、②OBOGの座談䌚に参加した3幎生のレポヌトを読み、就職に向けお必芁な準備や掻動をグルヌプで話し合う。

①就職先、就職状況、採甚状況、採甚手順に぀いおたずめる。②就職課を蚪ねる。䌁業や教育委員䌚、就職情報サむトなどを閲芧する。

6就職先・採甚状況に぀いお知る

①就職先、採甚状況、採甚手順に぀いおグルヌプ内で報告、②発衚準備。

発衚原皿の準備





職業に぀いおの調査結果の発衚

①調査結果の発衚ず質疑応答人10分。②発衚を聞いおいる人は、発衚の抂芁ず質問をワヌクシヌトにメモする。

詊隓に持参するこずができるワヌクシヌトや配垃資料、資料の敎理

冬䌑み

è¡š 1 総合挔習Ⅰ1 幎次 3 孊期の授業抂芁

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る掻動を毎幎床行っおいるが、調査掻動から分かるこずに毎幎倧きな違いはなく、前幎床の受講生が調べた内容をそのたた報告・発衚しおいるケヌスも芋受けられた。そこで、職業に぀いお調べる時に圹に立぀情報源をあらかじめ提瀺しお、情報収集自䜓には時間がかからないようにした。職業に関しお基本的な情報はほずんど最初の段階から分かっおおり、そこから自分にはさらにどんな情報が必芁なのかを考えお情報収集するずいう、先の段階に進たなければならないようにした。

たた、前幎床に総合挔習Ⅰ・Ⅱを受講した孊生が、最埌に「自分ず同じ職業に関心を持っおいる人たちぞのメッセヌゞ」ずしおたずめた文曞も提瀺した。様々な職業に぀いお、仕事の内容、その職業に぀いお知っおおくべきこず、圹立぀情報源、調べおいお困ったこず・悩んだこずずその解決策、自分ず同じ職業に就こうず考えおいる人ぞのメッセヌゞが挙げられおいる。これらを最初に瀺された状態で職業に぀いお調べるこずで、本実践の受講生は、最初から問題意識をもっお職業に぀いお調べられるようにした。

2職業遞択の䞀般的な過皋を理解する職業遞択に至るたでには、「職業に぀いお知

る」「自分に぀いお知る」「職業ず自分を照らし合わせる」ずいうプロセスを䜕床も繰り返さなければならないが、このプロセスを繰り返すこずなく安易に結論を䞋したり、延々ず繰り返しお結論を出すこずを匕き延ばす受講生が倚い

䞉朚・䞉波2008。そこで本実践では、授業を通じお将来の職業を絞りこむように方向づけるこずをせず、様々な職業の違いや職業に就くこずを考えお自分を準備するこずが䞀般的にどういうこずなのかを知るこずを目指した。具䜓的には、職業に぀いお調べる掻動を 2 〜 4 人のグルヌプで行い、メンバヌ各自が異なる職業に぀いお怜蚎し情報を共有するこずずした。

3就職準備の暡擬䜓隓総合挔習Ⅰでは、将来の職業を絞りこむ掻動

は行わないが、総合挔習Ⅱでは、進路が決たったず仮定しお、進路を決めたら始めなければならなくなる準備掻動を暡擬䜓隓させた。受講生は、教員・公務員、䌁業、トレヌナヌの 3 ぀の領域から 1 ぀を仮に遞択し、将来の職業ずし

回 抂芁 受講生の孊習掻動 宿題

1

オリ゚ンテヌション

①総合挔習Ⅰをふりかえる。②総合挔習Ⅱの趣旚説明。③掻動の抂芁、評䟡方法の説明。④぀のグルヌプ分け。④職業未決定尺床(䞋山1986)に回答。





就職掻動暡擬䜓隓教宀での授業は行わない

教員グルヌプは名ペアで教員採甚詊隓の勉匷䌚、䌁業グルヌプは各自で䌁業説明䌚、合同説明䌚、OB蚪問などに参加、トレヌナヌグルヌプは、様々な職堎ず専門孊校に぀いお調査。

5

就職掻動暡擬䜓隓の報告

①グルヌプ内で就職掻動暡擬䜓隓を振り返っお報告。②報告ず今埌の掻動方針をたずめ、クラス内で発衚。

自己玹介文を曞く。職業適性、人ず違う個性を感じさせる具䜓䟋を挙げ、盞手にわかっおもらえるように曞く。

6

自分を䌝える、アピヌルするずいうこずはどういうこずか

①先茩が曞いた自己アピヌル文の初皿ず最終皿、②垂職員の぀の゚ントリヌシヌトを読み、面接官ずしお぀を遞び、遞択理由を蚘述。②自己アピヌル文が䞎える印象に぀いおグルヌプ蚎論。

①自己PR文を、仕事に掻かせる自分の資質や特性、どう仕事に掻かしたいかを含めお曞く。②印象や個性を䌝える工倫に぀いお説明する。

7

集団面接の準備 ①自己アピヌルに぀いお振り返り②自己PR文をペアで亀換しお互いにアドバむス③グルヌプ内で発衚しお、良い点、改良すべき点を䌝える。

①アドバむスに埓っお自己文を曞き盎す。②面接官からの質問を想定し、答えを甚意。

8

暡擬面接集団面接自己PR

グルヌプ組で面接官圹ず志願者圹を亀代。①自己PR、②質疑応答、③面接官は志願者の評䟡、印象ずコミュニケヌション力を採点しコメントを付ける。志願者にフィヌドバックする。

集団ディスカションの準備①自分の意芋を曞く。②理由、意芋を支持する情報、䜓隓など、ディスカッションに圹立぀メモを䜜る。

9

暡擬面接グルヌプディスカッション

①グルヌプディスカッションの目的や留意点を理解する。②「なぜ、䜕のために働くのか」25分ディスカッションし、最埌にグルヌプの意芋をたずめる。③面接官圹は志願者の発珟回数を蚘録し、発珟内容、参加態床を採点し、コメントを付けおフィヌドバックする。

新人研修担圓者になった぀もりで、新人に問題解決胜力を身に぀けさせるための方法ず、倧孊生ず倧孊ぞの芁望をワヌクシヌトにたずめる。

10

暡擬面接グルヌプワヌクずプレれンテヌション

①グルヌプワヌク「瀟䌚人幎目の新人の問題解決胜力育成」の発衚準備20分、②暡造玙ず黒板を䜿っおプレれンテヌション10分、③他のグルヌプに察する評䟡10点満点ずコメントを曞く。

詊隓に持参するこずができるワヌクシヌトや配垃資料、資料の敎理。

毎週の掻動、掻動を通じおの感想、次週の掻動予定等の報告曞を提出する。

è¡š 2 総合挔習Ⅱ2 幎次 1 孊期の授業抂芁

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た。オリ゚ンテヌションでグルヌプ分けず課題の説明を行った埌、1 ヶ月間授業は行わず、各グルヌプに分かれお次の掻動を行い、掻動の報告ず感想、次週の掻動予定をレポヌトずしお毎週提出した。①教員・公務員を遞んだ受講生は、2 人〜 4 人組で採甚詊隓のための勉匷䌚を実斜、②䌁業を遞んだ受講生は、就職説明䌚、䌁業合同説明䌚、䌁業説明䌚、地方䌁業の説明䌚、OBOG 蚪問のいずれかに参加、③トレヌナヌを遞んだ受講生は、トレヌナヌずしお仕事ができる職堎蚪問、トレヌナヌ講習䌚ぞの参加、資栌取埗に関係する専門孊校蚪問のいずれかを行った。

4授業実践1実践期間ず受講生

総合挔習Ⅰの実斜期間は平成 19 幎 12 月 6 日〜平成 20 幎 2 月 21 日、総合挔習Ⅱの実践期間は平成 20 幎 4 月 14 日から 6 月 30 日であった。総合挔習Ⅰを履修し 6 割以䞊出垭しおいた受講生は 233 名、総合挔習Ⅱを履修し 6 割以䞊出垭しおいた受講生は 195 名であった。2授業の進め方ず圹割分担

各クラスの受講生数がほが均等になるようにしお 12 クラスに線成した。本研究者らが、授業蚈画、授業案、配垃資料、ワヌクシヌト、評䟡基準、孊期末詊隓問題を䜜成し、教員 12 人がそれらを甚いお各クラスの授業を進めた。

総合挔習Ⅰでは、教員の他に、受講生 3 〜 4人が毎時間亀代で授業を進行させる先生圹を務めた。先生圹は担圓日の前週に決めた。事前に授業進行の準備ができるように、先生圹には担圓授業の 4 日前に本研究者から授業案ず進行衚を枡し、加えお授業圓日の昌䌑みに 15-30 分の説明䌚を開いお授業の進行に぀いお確認した。総合挔習Ⅱでは先生圹を蚭けず、各クラスを担圓する教員だけで授業を進行させた。

総合挔習Ⅰは 3 〜 4 人のグルヌプで、総合挔習Ⅱは 4 人〜 6 人のグルヌプで掻動を行った。3授業ワヌクシヌト・宿題ワヌクシヌトの掻甚

受講生は、宿題ワヌクシヌトにしたがっお授業䞭に怜蚎するための材料を事前にそろえたり䞋調べをした。授業では、互いに宿題ワヌクシヌトに蚘入しおきたこずをグルヌプで報告・発衚し合ったり、分析やアドバむスを行なう等、宿

題ワヌクシヌトを基にしお掻動を行った。授業䞭に行った掻動や孊習内容の報告、授業の感想等は、授業ワヌクシヌトに蚘入した。宿題ワヌクシヌトず授業甚ワヌクシヌトは、毎時間の授業の最埌に回収され、本研究者のずころに集められる。本研究者らは、回収されたワヌクシヌトの回答を分類・集蚈するなどしお受講生の孊習掻動を資料にたずめ、次の授業で受講生にフィヌドバックした。回収したワヌクシヌトは、次の授業で受講生に返华した。

5効果の怜蚌1 職業に関する意識ず掻動の効果に぀いおの

䞻芳的評䟡受講生が提出した宿題ワヌクシヌト、授業

ワヌクシヌト、レポヌト、詊隓の回答に曞かれた自由蚘述を KJ 法によりカテゎリヌに分類し、各カテゎリヌの定矩を䜜成した埌、定矩にしたがっお 2 名の評䟡者が独立しお分類し、䞀臎率を算出した。䞀臎率が 80に達しなかった堎合は、定矩を再怜蚎し、分類をやり盎した。最終的に䞍䞀臎だった蚘述に぀いおは 2 名の評䟡者で話し合っお分類した。各カテゎリヌに圓おはたる回答数あるいは回答者数を集蚈分析した。2職業未決定状態の枬定

倧孊生の職業未決定状態を枬定するために䞋山1986が䜜成した「職業未決定尺床41項目」を甚い、総合挔習Ⅰ・Ⅱを通じお、受講生の職業未決定状態がどのように倉化するのかを調べるために、総合挔習Ⅰオリ゚ンテヌション平成 19 幎 12 月 6 日、総合挔習Ⅱオリ゚ンテヌション平成 20 幎 4 月 14 日、総合挔習Ⅱ最終回平成 20 幎 6 月 30 日に調査を行った。

6結果ず考察1将来の職業ずしお関心のある職業

è¡š 3 は、総合挔習Ⅰの授業開始1 幎次 3 孊期時点で受講生が回答しおいる、「将来就きたい職業」「就きたい職業は決たっおいないが、関心を持っおいる職業」「匕退埌のセカンドキャリアずしお考えおいる職業」を瀺しおいる。回答者 227 名のうち 8 名3.5は「ただいずれも挙げられない」ず回答しおいた。職業を挙

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げるこずができた回答者 219 名のうち、48は「就きたい職業が決たっおいる」、43は「就きたい職業は決たっおいないが、関心を持っおいる職業はある」、8は「匕退埌のセカンドキャリアずしお考えおいる」ず回答しおいた。「将来就きたい職業」「関心を持っおいる職業」「匕退埌のセカンドキャリアずしお考えおいる職業」ずしお回答者が最初に挙げおいた職業の䞭で最も倚かったのは、教員であった。

前述のように、䜓育専門孊矀卒業埌に教員になっおいる者は 20皋床で、実際には半数が䌁業に就職しおいる。しかし、平成 17 幎床 1幎次の受講生の 47䞉朚・䞉波2007、平成 18 幎床 2 幎次生の受講生の 50䞉朚・䞉波2008、平成 19 幎 3 幎次教職科目受講生の69䞉朚・䞉波2008が、将来の職業の遞択肢の䞀぀ずしお教員を挙げおいた。

教員採甚の状況が厳しいにも関わらず教員志望者が倚く、志望を最埌たで倉曎しにくい理由の䞀぀ずしお、自分の出身県で就職したいずいう垌望が先にあり、地元での就職先ずしお教員を考えおいるのではないかずいうこずが掚枬された。そこで、本実践の総合挔習Ⅰ終了時に、

「地元で就職したいか」尋ねたずころ、回答者225 名の 74が地元での就職を垌望しおいた。地元で就職を垌望するず回答した 166 名に

「教員・公務員以倖の、地元での就職状況に぀いお調べたいか」尋ねたずころ、地元での就職を垌望する者の 67が教員・公務員以倖の地元での就職に関心があるこずが分かった。すなわち、地元での就職を望む者が倚く、教員・公務員以倖でも地元䌁業ぞの就職にも関心を持぀者が倚いこずが分かった。

教員に次いで将来就きたいず考えおいる職業ずしお倚く挙げられるのは、トレヌナヌず䞊んでスポヌツ関連䌁業平成 18 幎床 2 幎次生の受講生の 11である。しかし、前述のように、䜓育専門孊矀卒業生の就職先䌁業はスポヌツ関連䌁業に限らず、倚岐に枡っおいる。たた、スポヌツに関連する䌁業は倚皮倚様であるが、スポヌツ関連䌁業を志望する受講生の倚くが職業に関する調査の䞭で調べおくるのは、ミズノやアシックス等の倧手スポヌツメヌカヌに぀いおである。そこで、「自分の専門皮目や興味関心のあるスポヌツ関係の仕事ができるなら、就職先が䞭小䌁業でもかたわないか」尋ねたずころ、回答者 231 名䞭 148 名64が「はい」ず回答した。䞀方で、「自分の専門皮目や興味関心のあるスポヌツ関係の仕事ができなくおも、倧手ず蚀われる䌁業に就職したいか」尋ねたずころ、回答者 228 名䞭 148 名65が「はい」ず回答しおいた。このこずから、スポヌツ関係の仕事には就きたいず思っおいるが同時に倧䌁業志向でもある孊生が少なからずいるこずが分かった。

2職業遞択ず就職の準備のための行動総合挔習Ⅰず総合挔習Ⅱの最埌の授業では、

将来の職業遞択ず就職の準備のために今埌しなければならないこずを受講生に挙げさせた。衚4 は、総合挔習ⅠずⅡをずもに受講し回答が埗られた 154 名の受講生の回答を分類した結果を瀺しおいる。

総合挔習Ⅰ終了埌に「これからやらなければならないこず」ずしお最も倚くの受講生に挙げられおいたのは、「職業・䌁業に぀いお調べる

将来就きたいず思う職業

興味のある職業

競技匕退埌のセカンドキャ

蚈

教員 67 39 7 11352トレヌナヌ/栄逊士 12 6 0 188スポヌツ指導者 7 6 5 188プロ遞手実業団含む 3 5 4 125スポヌツビゞネスクラブスタッフ・亀枉人など

3 7 0105

スポヌツ関連䌁業 4 11 1 167その他の䌁業 2 7 1 105公務員 3 2 0 52マスコミ 2 2 0 42研究職/倧孊院 2 6 0 84その他 1 1 0 21未蚘入 0 3 0 31

合蚈 106(48%) 95(43%) 18(8%) 219100

è¡š 3 総合挔習開始時点で受講生が興味をもっおいる職業

Page 7: Career planning program for physical education major

䜓育専攻倧孊生のキャリアプランニング教育 53

こず34」「郚掻動や孊生生掻に打ち蟌む・授業をしっかり受けるこず31」であった。総合挔習Ⅱ終了埌には、「珟堎で働いおいる人に話を聞くこず30」「採甚詊隓や面接の察策26」「コミュニケヌション胜力や衚珟力を逊うこず26」が、倚くの受講生から挙げられおいた。総合挔習Ⅰ終了時点では、珟圚の生掻を充実させるなど、珟状での努力を挙げおいるのに察し、総合挔習Ⅱ終了時点では、珟堎の人に話を聞くこずや就職詊隓の察策など、職業遞択や将来の就職に向けお新たな行動を起こすこずを挙げおいる。

自分を知るこずずしお、総合挔習Ⅱの埌では「PR できる自分の長所や胜力を理解するこず14」、職業を探すこずずしお「自分の胜力が掻かせる職業を探す9」こずが、総合挔習Ⅰの終了時点よりも倚く挙げられおおり、職業ず自分を照らし合わせお刀断するようになっおいるこずが分かる。

情報収集に぀いおも、総合挔習Ⅰの埌には職業や䌁業に぀いお調べるこず34を考えおいる人が倚かったのに察しお、総合挔習Ⅱの埌では、採甚詊隓15や職堎に関する情報

30を収集するこずが必芁だず考える人が、総合挔習Ⅰ終了時点に比べお倍増しおいる。たた情報収集の方法ずしお、総合挔習Ⅱの埌では、暡擬䜓隓した「䌁業説明䌚・講習䌚・勉匷䌚に参加するこず」が挙げられおり20、総合

挔習Ⅰに比べお、「珟堎で働いおいる人17から 30に増加」「先茩や芪1から 8に増加」ずいうように人から情報を埗ようずする傟向や、孊生ずしお今いる環境から倖ぞ出お情報を埗ようずする傟向が匷くなっおいるこずが分かる。

さらに、将来の進路に向けおの準備掻動を比べおみるず、総合挔習Ⅰの埌では、珟圚の孊生生掻を充実させるこずを挙げおいるのに察しお

31、総合挔習Ⅱの埌では、より就職掻動ず盎接的に関係した採甚詊隓や面接のための準備がより倚く挙げられるようになった11から26に増加。

たた、これから身に぀ける力ずしお挙げられおいるこずを比べおみるず、総合挔習Ⅰの埌では、仕事で必芁になる専門的知識や胜力が倚く挙げられ22、倖囜語胜力や資栌8ずいった特殊な胜力も挙げられおいるが、総合挔習Ⅱの埌では、コミュニケヌション胜力18から 26に増加や、リヌダヌシップ等2から 8に増加、様々な仕事で必芁ずされる基瀎的な力が挙げられるようになっおいる。これは、総合挔習Ⅱで行った暡擬就職掻動や暡擬面接の䜓隓を通じお、コミュニケヌション胜力やリヌダヌシップずいった基本的な力が重芖され、専門的知識や実践力は就職しおからでも身に぀けられるこずや、こうした胜力の違いが面接やディスカッションではっきりず珟れるこず

回答者154名

蚘述者数 % 蚘述者数 %自分を知る/自己分析をする 30 24% 23 18%PRできる自分の長所や胜力を理解する 3 2% 17 14%自分のやりたい仕事を探す 24 19% 25 20%自分の胜力が掻かせる職業を探す 5 4% 11 9%職業や䌁業に぀いお調べる 42 34% 29 23%採甚詊隓に関する情報を収集する 8 6% 19 15%就職掻動に぀いお知る 5 4% 0 0%珟堎で働いおいる人に話を聞く 21 17% 38 30%就職掻動をしおいる先茩や芪に聞く 1 1% 10 8%䌁業説明䌚・講習䌚・勉匷䌚に参加する 7 6% 25 20%郚掻動や孊生生掻に打ち蟌む・授業をしっかり受ける 39 31% 17 14%芖野を広げる・いろいろな経隓を積む 23 18% 20 16%採甚詊隓や面接の察策 14 11% 32 26%コミュニケヌション胜力や衚珟力を逊う 22 18% 33 26%積極性、リヌダシップを磚く 3 2% 10 8%仕事で必芁になる専門的知識や胜力を身に付ける 28 22% 15 12%むンタヌンシップ、実習などで実践力を磚く 18 14% 1 1%倖囜語胜力を身に付ける・資栌を取る 10 8% 4 3%人脈を広げる 5 4% 11 9%

3 2% 3 2%

自分を知る

職業を探す

情報収集

力を぀ける

その他

挔習Ⅰ終了埌 挔習Ⅱ終了埌蚘述分類倧分類

準備掻動

è¡š 4 これからやらなければならないこず

Page 8: Career planning program for physical education major

䞉朚ひろみ・䞉波千穂矎54

が分かったためず考えられる。3受講生が実感した総合挔習の効果

総合挔習Ⅱの終了時点で、授業を通じお将来の進路に関しおどんな課題が達成できたか尋ねた。衚 5 は、回答を分類した結果を瀺しおいる。衚 5 から分かるように、授業を通じお達成できた課題ずしお最も倚く挙げられおいたこずは、キャリアプランニングの取り組みの進展であった57。「自分自身のこず・自分のやりたいこずを考えるようになった」受講生は 26であり、「自己を知る」段階に留たった受講生は平成 18 幎床䞉朚・䞉波2008の 25ず倉わらなかったが、「これからいろいろな職業に぀いお怜蚎する必芁があるず自芚した10」ずいうように「職業に぀いお知る」段階に留たっおいる者はより少なかった。回答者の 1631名は将来の職業決定ができたず述べおおり、職業探玢から職業を実際に遞択する段階ぞ、就職ぞず進んでいるず蚀える。

たた、将来の進路に関する課題を達成するきっかけずなったこずに぀いお尋ねた結果、195 名の回答者から 223 の蚘述が埗られ、総合挔習で行った掻動を含めお総合挔習がきっかけずなったこずを瀺す回答は 67を占めおいた。挔習の掻動の䞭でも、暡擬面接やグルヌプディスカッションが圱響したずいう蚘述23が倚かった。たた、友人や先茩、恩垫や家族など人ずの亀流16も重芁であるこずが瀺唆された。

4職業未決定状態の倉化衚 6 は、䞋山1986の「職業未決定尺床41

項目」を甚いお、総合挔習Ⅰ開始前、総合挔習Ⅰ終了埌、総合挔習Ⅱ終了埌に調査を行った結果を瀺しおいる。3 回の調査ですべおの項目に回答しおいる 125 名のデヌタを分析の察象ずした。回答は 3 件法で、「あおはたる」を 3 点、「どちらずもいえない」を 2 点、「あおはたらない」を 1 点ずしお埗点化した。「職業未決定尺床」は、

「混乱」因子、「未熟」因子、「安盎」因子、「猶予」因子、「暡玢」因子、「決定」因子で構成され、「職業決定に関する䞻䜓性、安定性の内圚化の皋床を考慮しお、䞋䜍尺床を「混乱」「未熟」「安盎」「猶予」「暡玢」「決定」ずいう順に䞋山1986p.24」䞊べおいる。䞋山1986に埓い、それぞれの因子に察応しおいる項目の埗点を合蚈しお各䞋䜍尺床埗点を算出し、䞋䜍尺床埗点に぀いお枬定時点総合挔習Ⅰ開始前、総合挔習Ⅰ終了埌、総合挔習Ⅱ終了埌の䞀芁因分散分析を行った。「混乱」因子は、「職業決定に盎面しお䞍安

になり、情緒的に混乱しおいる状態䞋山1986p22」を瀺す項目で構成されおいる。尺床埗点に察しお䞀芁因分散分析を行った結果、混乱しおいる状態は、総合挔習Ⅰによっおは有意に倉化しなかったが、総合挔習Ⅱによっお有意に緩和されたこずが分かったLSD=0.83。「未熟」因子埗点は、「職業意識が未熟なた

め、将来の芋通しが無く、職業遞択に取り組めないでいる状態䞋山1986p22」を瀺しおいる。尺床埗点に察しお䞀芁因分散分析を行っ

蚘述者数 蚘述数就職に぀いお真剣に考えるようになった 39(20%)自分自身のこず・自分のやりたいこずを考えるようになった 50(26%)これからいろいろな職業に぀いお怜蚎する必芁があるず自芚た

20(10%)やりたい職業が絞り蟌たれおきた 45(23%)関心をもっおいた仕事に就きたいずいう気持ちが確認できた 26(13%)職業決定できた 31(16%)決定した職業に぀くための準備や蚈画ができるようになった 20(10%)仕事や職堎、採甚詊隓の情報が埗られた 43(22%)就職掻動・採甚詊隓のしくみが理解できた 23(12%)面接、自己PRなどの仕方がわかった 12(6%)コミュニケヌション胜力の向䞊 18(9%)問題解決胜力の向䞊 22(11%)知識・胜力䞍足の自芚 15(8%)勉匷の必芁性を自芚 42(22%)

195名100 406(100%)

分類

231(57%)

合蚈

キャ

リアプランニ

ングぞの取り組み

情報収

集

胜力の習

埗

78(19%)

97(24%)

è¡š 5 総合挔習を通じお達成するこずができた課題回答者 195 名

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䜓育専攻倧孊生のキャリアプランニング教育 55

た結果、職業意識が未熟な状態は、総合挔習Ⅰによっおは有意に倉化しなかったが、総合挔習Ⅱによっお有意に改善されたこずが分かった

LSD=0.76。「安盎」因子埗点は、「自らの関心や興味を職

業遞択に結び぀けおいこうずする努力をしない安易な職業決定態床䞋山1986p22」を瀺す項目で構成されおいる。尺床埗点に察しお䞀芁因分散分析を行った結果、努力をしない安易な態床は、総合挔習Ⅰによっおは有意に倉化しなかったが、総合挔習Ⅱによっお有意に改善されたこずが分かったLSD=0.66。「猶予」因子埗点は、「職業決定を猶予しお圓

面のずころは職業に぀いお考えたくないずいう

状態䞋山1986p22」を瀺す項目で構成されおいる。尺床埗点に察しお䞀芁因分散分析を行った結果、職業決定を猶予したいずいう状態は、総合挔習Ⅰによっおは有意に倉化しなかったが、総合挔習Ⅱによっお有意に改善されたこずが分かったLSD=0.68「暡玢」因子埗点は、「職業決定に向かっお積

極的に暡玢しおいる状態䞋山1986p22」を瀺す項目で構成されおいる。尺床埗点に察しお䞀芁因分散分析を行った結果、積極的に暡玢しおいる状態には、本実践を通じお有意な倉化はみずめられなかった。「決定」因子埗点は、「職業の既決を瀺しおい

る䞋山1986p24」項目で構成されおい

䞋䜍尺床

項目内容 挔習開始前挔習Ⅰ終了挔習Ⅱ終了

Q5 望む職業に就けないのではず䞍安になるQ12 職業決定のこずを考えるず、ずおも焊りを感じるQ16 蚈画をたおるが、䞀貫性がなく、倉化しおいくQ23 誀っおしたうずいう䞍安があり、決定できないQ24 自分で実珟できないような職業ばかり考えおいるQ25 就けたずしおも、うたくやっおいく自信がないQ26 将来の職業のこずを考えるず気が滅入っおくるQ32 䜕にでもなれるような気持ちになる時ず、䜕にもなれないのではないかずいう気持ちになる時があるQ2 䜕を基準にしお考えたらよいのかわからない

Q11 将来自分が働いおいる姿が思い浮かばないQ19 自分で決定するずいう経隓がなく、䞍安になるQ29 自分䞀人で職業を決める自信がないQ30 䞀生の仕事などみ぀かりそうもないQ35 どのようなこずをやりたいのかわからないQ41 将来の職業に぀いお真剣に考えおこずがないQ7 生掻が安定するなら、職業はどのようなものでもQ9 自分がどのような職業に適しおいるのかわからないQ14 採甚しおくれるなら、どのような職業でもよいQ17 知っおいる職業の䞭でやりたいず思う職業がみ぀からないQ21 できるなら有名な所に就職したいず思っおいるQ34 誰か他の人に決めおもらいたいず思うこずがあるQ40 孊歎や゛ツテ"を利甚しお良い職業に就きたいQ3 せっかく倧孊に入ったのだから、今は考えたくないQ4 できるなら職業決定は、先に延ばし続けおおきたいQ10 職業決定ず蚀われおも、ピンずこないQ28 職業に就くこずは、それほど重芁なこずではないQ31 将来の職業に぀いお、考える意欲が党くわかないQ36 倧孊幎生になっおから考える぀もりだQ37 できるこずなら、い぀たでも奜きなこずをしおいたいQ6 やっおみたい職業がいく぀かあり、考えおいるQ13 今はいろいろなこずを経隓しおみる時期だず思うQ20 充分情報を集めおから決定したいQ27 絞られおきたが、最終的に䞀぀に決められないQ33 芋぀かるたでじっくり探しおいく぀もりだQ39 今の関心を深めおいけば職業に぀ながっおくるQ1 職業蚈画は、着実に進んでいるず思うQ8 職業は決たり、今は実珟しおいく段階である

Q15 自分の職業決定には自信を持っおいる

Q22 考えた結果、最終的に䞀぀の職業を遞んだ

項目番号は、䞋山1986に埓った。 有意氎準1%**、5%*、,10%†、有意差なしns

**

è¡š6 職業未決定䞋䜍尺床因子埗点の倉化                          回答者数 125名

暡玢

安盎

決定

**16.09

未熟

1.72 ns

9.81

3.58

æ··ä¹±

F倀F(2, 372)5.47 **

*

猶予

12.1 11.9

10.2 8.7

9.91 *

14.5 14.7 13.4

11.8

7.1 6.9 8.1

11.1 9.6

9.6

13.6 13.6 14.2

11.2

è¡š 6 職業未決定䞋䜍尺床因子埗点の倉化  

Page 10: Career planning program for physical education major

䞉朚ひろみ・䞉波千穂矎56

る。尺床埗点に察しお䞀芁因分散分析を行った結果、総合挔習Ⅰによっおは有意な倉化は芋られなかったが、総合挔習Ⅱによっお職業を決定する傟向が匷くなったこずが分かった

LSD=0.56。次に、䞋山1986の手続きに埓い、それぞ

れの回答者の職業未決定の各䞋䜍尺床埗点の合蚈点を、各䞋䜍尺床を構成する質問項目数で割っお、各䞋䜍尺床の暙準点を算出し、最も高い暙準点を持぀䞋䜍尺床をその回答者の職業未決定タむプずし、暙準埗点が同じ堎合は職業決定レベルがより䜎い方のタむプに分類した。衚7 は、総合挔習Ⅰ開始前、総合挔習Ⅰ終了埌、総合挔習Ⅱ終了埌の職業未決定タむプの分垃を瀺しおいる。

è¡š 7 から分かるように、混乱タむプの受講生は、総合挔習Ⅰ終了時点で授業開始時の 7から 14ぞず増えおいるが、総合挔習Ⅱ終了時点では、混乱タむプ5、未熟タむプ1、安盎タむプ2、猶予タむプ0は、いずれも枛少しおいる。䞀方、暡玢タむプず決定タむプはずもに総合挔習Ⅱ終了時点で増えおいる。

この衚では、未熟タむプ、安盎タむプ、猶予タむプに分類される受講生の人数が 5 人以䞋ずなっおいるずころがあるので、混乱タむプ、未熟タむプ、安盎タむプ、猶予タむプに分類される受講生の人数を合蚈しおひずたずめにし、暡玢タむプ、決定タむプの 3 ぀のタむプの割合の偏りに぀いおχ 2 怜定を行った。χ 2 怜定の結果、人数の偏りは有意であったχ 24= 15.4, P  .05。そこで、残差分析を行った結果、混乱・未熟・安盎・猶予タむプを合蚈した職業決定の掻動に躊躇しおいる受講生の割合は、授業開始前26は倚かったのに察し、総合挔習Ⅱ終了時点8では有意に少なくなっおおり、決定タむプは総合挔習Ⅱ終了時点27

で有意に増えおいるこずが分かった。以䞊のこずから、受講生の職業未決定状態は

䞻に総合挔習Ⅱの実践あるいは総合挔習ⅠずⅡの䞡方の実践を通じお改善されたず蚀える。総合挔習Ⅱによっお、将来の就職に察しお受講生が抱いおいた情緒的混乱が緩和され、曖昧であったり非珟実的であった考えが改善されたず蚀える。

7結論本研究では、受講生がキャリアプランニング

の必芁性を認識しお具䜓的な準備掻動を始めるこずを目指した授業を蚈画・実践し、その効果を怜蚎した。埓来の実践から改善した点は、職業に関する情報収集がしやすいように、基本的情報や圹に立぀情報源たた職業に関する問題点をあらかじめ受講生に提瀺したこず、職業遞択を匷調せず、様々な職業に関する情報を受講生同士で共有させたこず、将来就きたい職業が決たらない状態でも、暡擬的に就職掻動を䜓隓させたこずである。改善したプログラムを実斜し、ワヌクシヌト等の受講生の蚘述を分類・集蚈するこずによっお、受講生の職業に察する関心やキャリアプランニングに察する取り組みに぀いお分析を行った。たた、総合挔習Ⅰの前ず、職業に関する情報収集を䞭心ずした総合挔習Ⅰ終了埌ず、就職掻動の暡擬䜓隓を䞭心ずした総合挔習Ⅱ終了埌に、䞋山1986の職業未決定尺床を甚いお受講生の職業未決定の状態を枬定し、その倉化を分析した。

その結果、䜓育専門孊矀生の職業意識に぀いおは以䞋のこずが明らかになった。①将来就きたいず思っおいるあるいは関心のある職業ずしお、䜓育専門孊矀生の半数以䞊が保健䜓育科教員を挙げおおり、8 割以䞊が教員を含めお䜓育・スポヌツに関連する職業に関心をもっおいる。②しかし、教員志望の孊生の䞭には、地元で就

タむプ

æ··ä¹± 9 7% 18 14% 6 5%未熟 12 10% 4 3% 1 1%安盎 7 6% 4 3% 3 2%猶予 4 3% 1 1% 0 0%暡玢 70 75 81決定 23 23 34

挔習開始前1幎次12月

挔習Ⅰ終了2幎次4月

挔習Ⅱ終了幎次6月

56%18%

10(8%)

60%18%

65%27%

32(26%)

27(22%)

è¡š 7 受講生の職業未決定タむプの人数ず党䜓に占める割合の倉化 ( 回答者 125 名

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䜓育専攻倧孊生のキャリアプランニング教育 57

職できる職業ずしお教員を志望しおいる者も倚く、地元䌁業ぞの就職にも関心を持っおいる。③スポヌツ関係の仕事ができるなら䞭小䌁業でもかたわないず思っおいる䜓育専門孊矀生もいるが、スポヌツ関係の仕事には就きたいず思い぀぀も同時に倧䌁業志向でもある孊生もいる。

就職に向けおの準備行動に察する総合挔習Ⅰ・Ⅱの効果に぀いおは以䞋のこずが分かった。①様々な職業に぀いお調べるこずを䞭心に掻動を行った総合挔習Ⅰの授業埌も、職業や䌁業に぀いおさらに調べるこずが必芁ず考えおいる者が倚く、将来の就職に向けおの準備ずしお珟圚の孊生生掻を充実させるこずを考えおいた。②就職掻動の暡擬䜓隓を行った総合挔習Ⅱの埌では、採甚詊隓など就職掻動に盎接関係した情報を、䌁業説明䌚や OB 蚪問など倧孊の倖に出お収集するこずが必芁ず考えおいた。③たた、総合挔習Ⅱの埌では、採甚詊隓や面接の察策ずずもに、コミュニケヌション胜力やリヌダヌシップなどの基本的な力を身に぀けるこずが重芁だず理解するようになった。④総合挔習Ⅱによっお、将来の職業に぀いおただ怜蚎しおいるだけでなく、職業遞択の結論を䞋そうずする段階ぞず進むこずができたず蚀える。

受講生の職業未決定状態の倉化に぀いおは、䞻に以䞋のこずが分かった。①就職掻動を暡擬䜓隓した総合挔習Ⅱによっお、将来の就職に察しお受講生が抱いおいた情緒的混乱が緩和され、曖昧な芋通しや非珟実的な考えが改善された。③職業探玢を躊躇する者が枛り、将来の職業を決定できた者が増えた。

8今埌の課題1行動を促す働きかけから行動のサポヌトぞ

本実践によっお、職業決定や職業準備のための行動を促すこずができ、受講生は珟圚の孊生生掻を充実させるだけでなく、孊倖ぞ出お積極的に情報収集をしたり、就職掻動に盎接関係した察策や、様々な職業で共通しお芁求される基本的な胜力を身に付けるために行動を起こそうず考えるようになった。しかし、実際に受講生がどのような行動を起こしたかは確認するこずができなかった。したがっお、先行研究䞉朚・䞉波2008ず同様に、1 幎埌にフォロヌアップ調査を行う必芁があるず考える。

本実践では、職業決定しおいない段階で合同説明䌚に参加するずいうように、行動するこずを授業の課題ずした。仮の経隓だずしおも、経隓したこずのない行動に぀いおは、就職課スチュヌデントプラザやキャリアカりンセラヌなどのサポヌトが必芁である。宿題の䞀぀ずしお就職課を蚪ねさせたが、就職課を掻甚した受講生は、スポヌツに関連した職業の情報がほずんどないず報告しおいた。たた、教員志望の孊生の䞭に実は地元での就職を垌望する者が予想以䞊に含たれおいるこずが分かったが、各郜道府県の䌁業の情報も意倖に少ない。䜓育専門孊矀生の職業意識や進路状況を螏たえお就職課ず話し合い、協力・連携しお䜓育専門孊矀生をサポヌトしおいく必芁があるだろう。

2 䜓育専門孊矀生の専門性を掻かしたキャリアプランニングの怜蚎

職業の遞択や決定を求めずに、合同䌁業説明䌚ぞの参加や採甚詊隓の勉匷䌚を行った結果、決定させようずはしなかったにもかかわらず、職業を遞択・決定しようする受講生や職業を決定した受講生が増えた。具䜓的な掻動を進めおいく䞭で、自分に足りない情報や意識、胜力に気づくこずができたず考えられる。しかし䞀方で、就職に向けお具䜓的な掻動を行なったため、これから必芁な掻動ずしお受講生に就職・採甚詊隓察策をむメヌゞさせおしたいがちであった。

先行研究䞉朚・䞉波2008が瀺しおいるように、䜓育専門孊矀生の胜力や資質を圢䜜っおいるのは、これたでスポヌツや競技に関わっおきた経隓であり、このこずを受講生本人も自芚しおいる。䜓育専門孊矀に圚籍し、日々の授業や課倖掻動、競技生掻の䞭で蓄積されおいる知識や胜力や芳点は、他孊郚や他専攻の孊生には孊ぶ機䌚はなく、したがっお䜓育専門孊矀生の個性ず実力を圢成しおいるものである。今埌は、䜓育専門孊矀生が専門領域ず具䜓的な職業ずを結び぀けやすくなるような情報提䟛や、他の人たちずは違う経隓や資質がどのように様々な職業に掻かせるかを自芚できるような掻動を積極的に行う必芁があるず考える。

Page 12: Career planning program for physical education major

䞉朚ひろみ・䞉波千穂矎58

匕甚文献䞉朚ひろみ・岡出矎則2005「総合的な孊

習の時間」のための教職科目筑波倧孊䜓育専門孊矀での実践筑波倧孊䜓育科孊系玀芁28, 43-55

䞉朚ひろみ・䞉波千穂矎2007「総合的な孊習の時間」のための教職科目䜓育専攻生のキャリアプランニング教育ずしお筑波倧孊䜓育科孊系玀芁30, 47-61

䞉朚ひろみ・䞉波千穂矎2008䜓育専攻倧孊生のキャリアプランニング教育職業意識を高めるための授業「総合挔習Ⅱ」の効果筑波倧孊䜓育科孊系玀芁31, 109-129

文郚科孊省2000特色ある教育掻動展開のための実践実䟋集「総合的な孊習の時

間」の孊習掻動の展開倧日本図曞Pettipas, A., Champagne, D., Chartrand, J., Danish,

S., and Murphy, S.1997: Athlete’s Guide to Career Planning.田䞭りルノェ京・重野匘䞉郎蚳『スポヌツ遞手のためのキャリアプランニング』倧修通曞店2005 幎

関口和代2005倧孊におけるキャリア教育川端倧二・関口和代線著『キャリア圢成個人・䌁業・教育の芖点から』pp. 113-136

䞋山晎圊1986倧孊生の職業未決定の研究教育心理孊研究34120-30

筑波倧孊䜓育専門孊矀2009: 卒業埌の進路http://www.taiiku.tsukuba.ac.jp/gakugun/index.html 2009 幎 11 月 10 日


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