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Bulletin of the JSME Transactions of the JSME (in Japanese) 日本機械学会論文集 [DOI: 10.1299/transjsme.21-00016] © 2021 The Japan Society of Mechanical Engineers Vol.87, No.901, 2021 Abstract The motion of an arm installed to a multicopter can possibly disturb its orientation. To realize an aerial manipulation by using a multicopter with a robot arm, a control of its center of gravity (COG) is required. In previous study, we proposed a design method for the mechanism of a robotic arm suitable for a multicopter. In the proposed design method, the arm can adjust its COG due to redundancy degrees of freedom. For safe flight, however, it is necessary to obtain its parameters utilized for multicopter control before take-off. In this research, we propose a method to estimate parameters to adjust COG with simple experiment before take-off. Moreover, to suppress the number of times of measurements and parameters variation, we obtain appropriate calibration orientations by simulation and confirm the effectiveness by calibration experiment using the obtained orientations. Finally, we fly a multicopter with the developed arm and observe a rotational speed of the propeller using a high-speed camera and evaluate the effect of the arm movement on the multicopter. Keywords : UAV, Multicopter, COG, Arm, Calibration 1. ロボットアームは組み立てや輸送関連の作業のために,工場で利用されている.しかし,これらのロボット アームは地面に固定されているため,作業領域が狭い.一方で,車両に取り付けられたロボットアームはより広い 範囲を作業領域とすることができる.しかし,車両の高さや路面状況によって大幅に制限を受ける.よって,より 広範囲な作業領域を得るためには,ロボットアームを地面や車両ではなく,航空機に取り付けることが望ましい. しかし,ロボットアームを動かすと航空機の重心がずれる問題がある.地上に固定されているロボットアーム は,重心がずれても地面からの反力に支えられて,状態を維持することができる.しかし,航空機は地面と離れ ているためこの恩恵に与ることができない.その結果,重心のずれによるモーメントが発生し,機体が傾く恐れ がある. 前述した問題に対して,航空機にドローンを使用した解決手法がいくつか提案されている.例えば variable 1 重心位置調節機能を持つドローン用アームの キャリブレーション方法と空中での動作の評価 松永 *1 ,吉田 大哲 *2 ,島崎 航平 *3 ,妹尾 *4 ,高木 *4 The method of calibration for the robot arm capable of adjusting position of the center of gravity and the evaluation of the motion in the air Nozomu MATSUNAGA *1 , Hironori YOSHIDA *2 , Kohei SHIMASAKI *3 , Taku SENOO *4 and Takeshi TAKAKI *4 *1,*2,*4 Department of Robotics Laboratory, Graduate School of Advanced Science and Engineering, Hiroshima University 1-4-1 Kagamiyama, Higashi-Hiroshima, Hiroshima 739-8527, Japan *3 Hiroshima University Digital Monozukuri (Manufacturing) Education and Research Center Hiroshima Sangaku Kyodo Lab. 3-10-32 Kagamiyama, Higashi-Hiroshima, Hiroshima 739-0046, Japan Received: 7 January 2021; Revised: 11 June 2021; Accepted: 4 August 2021 No.21-00016 [DOI:10.1299/transjsme.21-00016], J-STAGE Advance Publication date : 17 August, 2021 *1 学生員,広島大学大学院先進理工系科学研究科スマートロボティクス研究室(〒739-8527 広島県東広島市鏡山 1-4-1*2 広島大学大学院先進理工系科学研究科スマートロボティクス研究室 *3 正員,広島大学デジタルものづくり教育研究センター(〒739-0046 広島県東広島市鏡山3-10-32 ひろしま産学共同研究拠点3 階) *4 正員,広島大学大学院先進理工系科学研究科スマートロボティクス研究室 E-mail of corresponding author: [email protected]

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Bulletin of the JSME

Transactions of the JSME (in Japanese)日本機械学会論文集

[DOI: 10.1299/transjsme.21-00016] © 2021 The Japan Society of Mechanical Engineers

Vol.87, No.901, 2021

AbstractThe motion of an arm installed to a multicopter can possibly disturb its orientation. To realize an aerial manipulation

by using a multicopter with a robot arm, a control of its center of gravity (COG) is required. In previous study, we

proposed a design method for the mechanism of a robotic arm suitable for a multicopter. In the proposed design method,

the arm can adjust its COG due to redundancy degrees of freedom. For safe flight, however, it is necessary to obtain its

parameters utilized for multicopter control before take-off. In this research, we propose a method to estimate parameters

to adjust COG with simple experiment before take-off. Moreover, to suppress the number of times of measurements

and parameters variation, we obtain appropriate calibration orientations by simulation and confirm the effectiveness

by calibration experiment using the obtained orientations. Finally, we fly a multicopter with the developed arm and

observe a rotational speed of the propeller using a high-speed camera and evaluate the effect of the arm movement on the

multicopter.

Keywords : UAV, Multicopter, COG, Arm, Calibration

1. 諸 言 ロボットアームは組み立てや輸送関連の作業のために,工場で利用されている.しかし,これらのロボットアームは地面に固定されているため,作業領域が狭い.一方で,車両に取り付けられたロボットアームはより広い範囲を作業領域とすることができる.しかし,車両の高さや路面状況によって大幅に制限を受ける.よって,より広範囲な作業領域を得るためには,ロボットアームを地面や車両ではなく,航空機に取り付けることが望ましい.しかし,ロボットアームを動かすと航空機の重心がずれる問題がある.地上に固定されているロボットアームは,重心がずれても地面からの反力に支えられて,状態を維持することができる.しかし,航空機は地面と離れているためこの恩恵に与ることができない.その結果,重心のずれによるモーメントが発生し,機体が傾く恐れがある.前述した問題に対して,航空機にドローンを使用した解決手法がいくつか提案されている.例えば variable

1

重心位置調節機能を持つドローン用アームの キャリブレーション方法と空中での動作の評価

松永 望*1,吉田 大哲*2,島崎 航平*3,妹尾 拓*4,高木 健*4

The method of calibration for the robot arm capable of adjusting position of the center of gravity and the evaluation of the motion in the air

Nozomu MATSUNAGA*1, Hironori YOSHIDA*2, Kohei SHIMASAKI*3, Taku SENOO*4 and Takeshi TAKAKI*4

*1,*2,*4 Department of Robotics Laboratory, Graduate School of Advanced Science and Engineering, Hiroshima University 1-4-1 Kagamiyama, Higashi-Hiroshima, Hiroshima 739-8527, Japan

*3 Hiroshima University Digital Monozukuri (Manufacturing) Education and Research Center Hiroshima Sangaku Kyodo Lab. 3-10-32 Kagamiyama, Higashi-Hiroshima, Hiroshima 739-0046, Japan

Received: 7 January 2021; Revised: 11 June 2021; Accepted: 4 August 2021

No.21-00016 [DOI:10.1299/transjsme.21-00016], J-STAGE Advance Publication date : 17 August, 2021 *1 学生員,広島大学大学院先進理工系科学研究科スマートロボティクス研究室(〒739-8527 広島県東広島市鏡山 1-4-1) *2 広島大学大学院先進理工系科学研究科スマートロボティクス研究室 *3 正員,広島大学デジタルものづくり教育研究センター(〒739-0046 広島県東広島市鏡山3-10-32 ひろしま産学共同研究拠点3階)*4 正員,広島大学大学院先進理工系科学研究科スマートロボティクス研究室 E-mail of corresponding author: [email protected]

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Matsunaga, Yoshida, Shimasaki, Senoo and Takaki, Transactions of the JSME (in Japanese), Vol.87, No.901 (2021)

[DOI: 10.1299/transjsme.21-00016] © 2021 The Japan Society of Mechanical Engineers

parameter Integral Backstepping (VPIB)コントローラは,アームの重心位置の変化によりドローンに発生するトルクを補償し,ドローンの制御を向上させることにより,アームを動かした時にも安定したホバリングが実現している(Jimenez-Cano et al., 2013).また,ドローンとアームを一つのシステムと見なした動的モデルに,sliding mode

control (SMC)を用いた手法(Kim et al., 2013)や,VPIBコントローラを用いてアームの重心変化,反力,アームの動作によって発生する反トルクを補償する手法 (Heredia et al., 2014)が提案されている.バッテリーの位置を動かして重心変化を補償する機構を備えたアームも開発されている(Ruggiero et al., 2015).もし重心の変化によって生じたトルクを,機構的な制限のためにバッテリーの位置を動かすことによって補償できない場合は,プロペラの回転速度を上げて補う (Cano et al., 2013).また,ドローンに加わる外力も,ドローンの高度や角速度,推力,線速度によって推定され,補償される.これらの値はコントローラにフィードバックされ,マルチコプターの安定した姿勢を実現している.しかしこれらの提案手法ではドローンを制御するのに用いるパラメータを得るために,高価なセンサが必要である.また,提案されたコントローラを用いるためには,専用のドローンが必要である.一方,アームの機構や制御を向上させることによって,ドローンに取り付けられたアームを動かす手法も提案されている.超多自由度を持つアームはドローンの姿勢に影響を及ぼさず (Danko and Oh, 2013),専用のドローンは不要である.しかし,アームは超多自由度を有するため,アームの部品数が多くなり,構成が複雑になる.平行リンクを用いたドローン用ロボットアーム(Danko et al., 2015)は,アームを動かす全てのモーターがドローンの底に固定されており,質量も同じ領域に集約されている.アームの姿勢が変化しても,重心位置の変化が少なく抑えられるので,ドローンの姿勢に与える影響も小さく,専用のドローンも不要である.しかし,平行リンクには重心位置の変化を補償する機能がないので,手先の質量が大きくなると,アームの動作の影響を受けてドローンが姿勢を崩す可能性がある.これに対し,我々はアームの動作中に生じるドローンの姿勢への外乱を機構的に抑制するようなアームを提案した(Ohnishi et al., 2017).具体的にはこのアームは重心位置を調節することができ,簡略化されたモデルにおいて,回転する部品の角運動量の総和がゼロになるように構成されている.この構成によって,ロボットアームは重心位置と,回転する部品から生じる反トルクの両方を補償することが出来る.また,ドローンの姿勢に対する外乱は機構的に抑制されるので,このロボットアームはフライトのために特別な制御則を必要としない.言い換えれば,このロボットアームは一般的な既製のフライトコントローラを用いたドローンに取り付けることができる.上記のコンセプトを元に,必要最小限の自由度を用いて,アームの構成を簡素化し,4つのジョイントと 3

つの自由度を持つロボットアームを開発した.しかし,重心を一定の位置に保つために必要なパラメータを同定するためには,各部品の重心位置や質量を計測する必要があり,非常に手間がかかる.また,ドローンを構成する部品は,カメラやバッテリー,ハンドの把持物を筆頭として頻繁に交換され,パラメータが変化する.緊急物資の搬送をドローンで行うためには,事前に搬送物を含めたパラメータを取得する必要があるが,その度に上記の同定作業を繰り返すのは効率的ではない.そこで本稿では,開発したドローン用ロボットアームにおいて重心を一定の位置に保つために必要なパラメータを,フライト前の簡単な操作によって推定する方法を提案する.一方でこの手法にも,キャリブレーションに用いるアームの姿勢によって,推定するパラメータの精度にばらつきが生じる問題がある.多くの姿勢を用いて最小二乗法を適用することで,計測誤差を小さくすることも考えられるが,測定には手間がかかる.測定の数を必要最低限に抑えつつ,計測誤差によるパラメータのばらつきを最小限に抑えるために,適切なキャリブレーション姿勢を求める研究 (Klimchik et al., 2015)も行われているが,重心位置を用いたキャリブレーションに関する研究は行われていない.そこで,提案するキャリブレーション手法における最適なキャリブレーション姿勢をシミュレーションによって求め,求めた姿勢にて実機のキャリブレーションを行い,その有効性を確認する.また,最後には開発したドローン用アームを用いてフライトを行い,高速カメラを用いてプロペラの回転数を観測するすることで,アーム動作がドローンに与える影響を評価し,開発したアームの有効性を示す.

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Matsunaga, Yoshida, Shimasaki, Senoo and Takaki, Transactions of the JSME (in Japanese), Vol.87, No.901 (2021)

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Destination Point Destination Point Destination Point

(a) (c)(b)

Drone Acceleration Drone Acceleration

Object Acceleration Object Acceleration

Status : Hovoring

Fig. 1 Multicopter with a gripper. At (a), the hovering drone is to deliver a object to the destination point. At (b),The drone is tilted and moves in the direction of the destination point, but the object moves away from thedestination pojnt. At (c), the drone is tilted to stop on the destination point, but the object is passed overthe destination point.

(a) (b)

Center of gravity of the whole robot

Drone

Center line

Center line

Slider

Fig. 2 Multicopter with a robot arm. (a) does not have a slider, but (b) does.

2. 開発したロボットアーム付きドローン2·1 ロボットアームの必要性と構造ドローンは空中を全方向に移動できることより,図 1(a)のように棒の先端にグリッパを取り付けることで空中からの操作を実現できる可能性がある.しかし,操作性を考えるとアームを用いた方が良いと考えられる.ここで,図 1(a)のドローンで把持物体を目標位置に搬送する場合を考える.図 1(b)のように水平方向にドローンを移動させるためには,ドローンを傾ける必要があり,このとき手先は目標位置から離れる方向に動く.また,図 1(c)

のように手先が目標位置に近づくと今度はドローンの動きを停止させるために逆向きに傾ける必要がある.このとき,手先は目標位置を通り過ぎることになる.手先に着目した場合,一度逆方向に動かす必要があるため,操作者が操作するには,難しい系である.ゆえに,ある程度目的位置にドローンが到達できれば,その位置でホバリングし細かい調整はアームで行うのが実用的である.つまり,大まかな位置調整はプロペラの回転数を調節することで行い,最終的な微調整はアームを用いることが有効である.しかし,図 2(a)のように,ロボットアームをドローンに付けると,アームを動かした時に重心位置が変化し,その影響でドローンが傾くことによりその場でホバリングすることができなくなる問題がある.この問題を解決するために,図 2(b)のようにスライダを取り付けることを考える.この場合は,ドローンの重心位置をスライダで調節できる.ゆえに,手先位置を動かしても重心位置をドローンの中心に保てるので上記問題を緩和できる.このように重心位置を補償する場合,スライダの動きにより手先の可動範囲は狭くなるが,アームの役割は最後の微調整であることを考えると大きな問題にはならない.DJI社製のドローンS 900に開発したアームを取り付けた様子を図 3に示す.詳細は 5-3節の実験で示すが,500gのペットボトルを把持した状態で手先を水平方向に 550mm動かすことができるので,可動範囲としては十分であると考えられる.

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285[mm]

300[mm]

900[mm]

Diagonal line of the drone

Fig. 3 Developed robot arm for a multicopter.

L

L

1

2

: Center of

gravity of each part

H[Hx Hy]

Object

l

l

l

l 0

1

2

3

1

2

ls

Slider

Arm1 Arm2

x

y

Fig. 4 Model of a multicopter with the arm.

2·2 制御方法このドローンのモデルを図 4に示す.アームの関節角度をそれぞれ θ1,θ2,スライダの位置を ls,手先位置を

H[Hx Hy],手先位置から搬送物の重心位置への角度を φ とする. アーム 1およびアーム 2を駆動するモータはスライダに実装されている.アーム 2は減速比1のベルトとプーリーにより,スライダ上にあるモーターから動力が伝達されるためアーム 2の関節角度 θ2はスライダを基準としている.ハンドの手首はアーム根本部分からプーリーを経由してワイヤーが取り付けられており,アームの姿勢に拘らず手先が一定の方向を向くように設計されている(Ohnishi et al., 2017).よって,搬送物の重心の角度 φ も一定であり,定数として考えることができる.以上より,手先位置は

Hx = ls +L1 cosθ1 +L2 cosθ2 (1)

Hy = L1 sinθ1 +L2 sinθ2 (2)

となる.また,ロボットの全質量 M はドローン,アーム,把持対象すべて含む質量である.スライダーの質量(バッテリを含む)を m0,アーム 1と 2の質量をそれぞれ m1,m2,把持物の質量を m3,ドローンのみの質量をmd とする.x座標の重心位置 Gx は下式となる.

Gx =ls(M−md)+A+Bcosθ1 +C cosθ2

M(3)

ただし,A = m0l0 +m3l3cosφ,B = m1l1 +m2L1 +m3L1,C = m2l2 +m3L2 である.ここで,重心位置をドローンの中心,つまり x = 0に保ちながら手先位置 H[Hx Hy]を動かす方法について考える.PPP = [Hx Hy Gx]

T とし,FFF = [θ1 θ2 ls]T とする.このとき,dPPPと dFFF の関係は以下のようになる.dFFF = JJJ−1dPPP (4)

JJJ ∈ ℜ3×3 はヤコビ行列であり下式となる.

JJJ =

1 −L1 sinθ1 −L2 sinθ2

0 L1 cosθ1 L2 cosθ2

(M−md)/M (−Bsinθ1)/M (−C sinθ2)/M

(5)

アームの角度 θ1,θ2 およびスライダーの位置 ls は計測できるとする.このとき,式 (1)-(3) より,手先位置H[Hx Hy]および重心の x座標 Gx が求まる.この値に対し,それぞれを動かしたい方向に dPPPほど動かした場合,FFF は式 (4)より dFFF 動かせばよい.この操作を繰り返すことにより,重心の x座標を x = 0に保ちつつ,手先位置H[Hx Hy]を任意に動かすことができる.

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Matsunaga, Yoshida, Shimasaki, Senoo and Takaki, Transactions of the JSME (in Japanese), Vol.87, No.901 (2021)

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(a) (b)

dqdq =0

Slider

Center line Center line

Center of gravity of the whole robot

G =0xG =0x

=0

Fig. 5 Center of gravity and inclination of the multicopter.

3. パラメータ推定3·1 制御に必要なパラメータ2章で述べた制御を行うために必要なパラメータを考える.θ1,θ2,lsはアームに備えたエンコーダーで計測す

るため既知とする.L1,L2 はアーム設計時に決まり,ドローンの質量 md は組み立て時に容易に計測できるため既知とする.また,全質量Mは飛行前に計測するとして既知とする.残りの A,B,Cを求める方法を考える.これらは 2-2節で示したように,主に各パーツの重心位置 l0,l1,l2,

l3 と質量 m0,m1,m2,m3 の積で構成される.各パーツの重心位置と質量を求めるためには,部品単位に分解した上で計測を行う必要があるが,カメラやバッテリー,ハンドの把持物などのドローンを構成するパーツは頻繁に交換されるため,その度にパラメータが変化してしまう.特に部品単位の重心位置の計測は非常に手間がかかるので,チューンナップを行うたびにこれらの計測を行うのは,現実的な運用ではないと言える.そこでパラメータ A,B,Cを各パーツの重心位置と質量を計測することなく求めることを考える.

3·2 パラメータ推定方法安全な離陸や飛行を行うためには,離陸前にパラメータを推定することが重要である.よって,飛行していない状態で推定しなければならない.図 5(a)のようにドローンを中心軸上で吊るすことを考える.ドローンの傾きをθd とする.このとき,重心が中心軸上にないとき (Gx = 0)は図 5(a)のようにドローンは傾き,中心軸上にあるとき (Gx = 0)は図 5(b)のようにドローンは傾かない.このことに着目し,パラメータ A,B,Cを推定する.アームの角度 θ1,θ2 をそれぞれ θ1i,θ2i とし,ドローンの傾き θd が 0となるようにゆっくりとスライダ ls を動かしθd = 0となるスライダの位置を探し,その値を lsi とする.このとき,式 (3)より,下式を得る.

A+Bcosθ1i +C cosθ2i = (md −M)lsi (6)

異なる 3通りの姿勢 θ1i,θ2i(i = 1,2,3)で,それぞれの時のドローンの傾き θd が 0となったときのスライダの位置を lsi(i = 1,2,3)とすると,3通りの式 (6)を得られるため,これらをまとめると下式となり A,B,Cが求まる.A

B

C

= (md −M)

1 cosθ11 cosθ21

1 cosθ12 cosθ22

1 cosθ13 cosθ23

−1ls1

ls2

ls3

(7)

以上より各パーツの重心位置と質量を計測することなくパラメータ A,B,Cを求めることができる.ドローンの構成を変更する際にも,部品単位に計測を行う必要がないので,パラメータを求める手間を軽減することができる.

4. シミュレーション4·1 最適なキャリブレーション姿勢ここまで,スライダーの計測値には誤差が含まれないものとして考えてきた.しかし,実際には真値が求まると

は限らない.ドローンの傾きは IMUセンサによって計測され,この計測された値がゼロになるようにスライダーを動かすので,IMUの精度はスライダの位置決めに影響を及ぼす.また,アームは完全な剛体ではなく,自重に

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Matsunaga, Yoshida, Shimasaki, Senoo and Takaki, Transactions of the JSME (in Japanese), Vol.87, No.901 (2021)

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よって少し撓む.これらの要因によって誤差が発生する.誤差の軽減手段として,傾きの計測に IMUを用いず,ドローンの固定治具にエンコーダーを取り付けて傾きを計測することも考えられる.しかし,本論文の目的は簡便なキャリブレーション方法を提案することである.フィールドワークを行っている最中に、キャリブレーションの必要が出てくるようなケースで、そのような特別な固定治具との接続を必要とせず、ドローンに備え付けられている IMUを使ってキャリブレーションを行えることは、利用者の負担を低減させるメリットがある.よって,誤差を軽減させるための具体的な手段についてはこれ以上議論せず,これらの誤差の影響がなるべくでないキャリブレーション姿勢を選ぶこととした.用いるキャリブレーション姿勢によっては,スライダーの計測誤差が増幅されてパラメータの推定値に大きく影響を及ぼす.しかし,現状において最適なキャリブレーション姿勢の解析解を求めることはできていない.多くの姿勢を用いて最小二乗法を適用することで,計測誤差を小さくすることも考えられるが,測定には手間がかかる.そこで,測定の数を必要最低限に抑えつつ,計測誤差によるパラメータのばらつきを最小限に抑えるために,計測誤差に対してロバストなキャリブレーション姿勢をシミュレーションで求める.

4·2 評価関数式 (7)に示すように,ある 3組の姿勢より 1つの係数行列が定まり,1組のパラメータA,B,Cが求まる.次に,

誤差 ε に対するパラメータ A,B,Cの影響を評価することを考える.誤差がどのように含まれるか不明であるため乱数を用いて n組の誤差を生成して用いる.この n組の誤差 ε j(j=1,2,…,n)を入力し,得られる n組の dA j,dB j,dC j

を用いて,ある 3組の姿勢(1つの係数行列)を評価する.まず,式 (7)を全微分すると,下式を得る.dA

dB

dC

= (md −M)

1 cosθ11 cosθ21

1 cosθ12 cosθ22

1 cosθ13 cosθ23

−1dls1

dls2

dls3

(8)

ここで,微小変化 dlsi(i = 1,2,3)をスライダ位置 lsi(i = 1,2,3)に載る計測誤差(外乱)と考え,ε ji (i = 1,2,3, j =

1,2, ...,n)と置き直すと,下式を得る.dA j

dB j

dC j

= (md −M)

1 cosθ11 cosθ21

1 cosθ12 cosθ22

1 cosθ13 cosθ23

−1ε j

1

ε j2

ε j3

(9)

この式から,計測誤差 εεε j = [ε j1 ε j

2 ε j3 ]

T( j = 1,2, ...,n)が含まれると,パラメータ A,B,Cはそれぞれ dA j,dB j,dC jだけ影響を受けて値がずれることがわかる.キャリブレーションに用いる,ある3組の姿勢 θ1i,θ2i(i = 1,2,3)について,スライダーの誤差を−1 ≤ ε j

i (i = 1,2,3, j = 1,2, ...,n)≤ 1の乱数として与える.ある3組の姿勢 θ1i,θ2i(i = 1,2,3)

に対して,n種類の計測誤差を全て考慮するために,それぞれの計測誤差により生じた dA j, dB j, dC j の大きさの和を評価関数 E として次のように定義した.

E =n

∑j=1

|dA j|+ |dB j|+ |dC j|n|md −M|

(10)

ここで,パラメータの変位の絶対値を |md −M|で割っているのは,質量に依存することなく評価するためである.

4·3 シミュレーション結果用いる計測誤差の組の数を n = 10,000としてシミュレーションを行った.また,キャリブレーションに用いるアームの3組の姿勢は,部品の干渉を考慮し,関節 θ1i,θ2iの範囲を 210 ≤ θ1i[deg] ≤ 330 <,180 ≤ θ2i[deg] ≤ 360

として,10[deg]刻みで選定した.この時,(13×19)3 の組み合わせがあり,全ての組み合わせにおいて,評価関数 E を式 (10)より算出した.ただし,この計算過程で式 (9)の係数行列の行列式が 1.0e-8以下の場合は,逆行列を持たないとし,評価を行わなかった.その分布を図 6に示す.E の値が小さい方が良好な姿勢であり,分布から多くの良好な姿勢が存在していることがわかる.また,シミュレーション結果から得られたキャリブレーション

6

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Matsunaga, Yoshida, Shimasaki, Senoo and Takaki, Transactions of the JSME (in Japanese), Vol.87, No.901 (2021)

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姿勢を,図 7に評価値ごとに示す.今回の条件におけるシミュレーションでは評価値 E = 1.1が最小となった.これを最適な (Optimal)キャリブレーション姿勢とする.また,評価値 E = 3.8, E = 20.0の時の姿勢サンプルを,それぞれ (b)不十分な (Not well)キャリブレーション姿勢, (c)不適切な (Bad)キャリブレーション姿勢とする.

0

1x106

2x106

3x106

4x106

0 5 10 15 20

Postu

re n

um

ebers

E

Fig. 6 Histogram of E with each posture.

(a)Optimal(E=1.1)

1

2

1

1

(b)Not well(E=3.8)

(c)Bad(E=20.0)

�12

�13

�23

�22

1

2

1

1

�12

�22

�13

�23

1

2

1

1

�12

�22

�13

�23

i �1 �2i i[deg] [deg]

1

2

3

210.0

210.0

330.0

180.0

0.0

270.0

i �1 �2i i[deg] [deg]

1

2

3

210.0

210.0

260.0

180.0

240.0

230.0

i �1 �2i i[deg] [deg]

1

2

3

210.0

210.0

270.0

180.0

210.0

300.0

The selections of arm postures with each E

Fig. 7 The selections of arm postures with each E.

5. 実 験実験に用いる図 3のドローンは md = 4.19[kg],M = 7.13[kg]である.図 8に示すように,2本の棒の間にドローンを置き,前節の (a),(b),(c)のキャリブレーション姿勢を用いてそれぞれつり合いを求め,その時のスライダ位置ls を計測した.式 (7)に用いたキャリブレーション姿勢と計測したスライダ位置を代入し,算出したパラメータA,B,Cを,表 1に示す.

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Matsunaga, Yoshida, Shimasaki, Senoo and Takaki, Transactions of the JSME (in Japanese), Vol.87, No.901 (2021)

[DOI: 10.1299/transjsme.21-00016] © 2021 The Japan Society of Mechanical Engineers

Table 1 Estimated Parameters from measured ls.

(a) optimal (E = 1.1) (b) not well (E = 3.8) (c) bad (E = 20.0)

A [kgm] B [kgm] C [kgm] A [kgm] B [kgm] C [kgm] A [kgm] B [kgm] C [kgm]

-0.060 0.181 0.110 -0.048 0.180 0.123 -0.078 0.119 0.146

Table 2 Estimated Parameters from measured ls with arbitrary errors.

(a) optimal (E = 1.1) (b) not well (E = 3.8) (c) bad (E = 20.0)

A′ [kgm] B′ [kgm] C′ [kgm] A′ [kgm] B′ [kgm] C′ [kgm] A′ [kgm] B′ [kgm] C′ [kgm]

with ε1 -0.055 0.187 0.113 -0.016 0.208 0.134 -0.078 0.098 0.165

with ε2 -0.061 0.193 0.107 -0.029 0.233 0.106 -0.006 0.315 0.061

Fig. 8 Experimental Setup.

5·1 計測値から求めたパラメータによるキャリブレーション姿勢の評価キャリブレーション姿勢によって推定するパラメータの精度に有意差が見られるか評価する.求めたパラメータを用いてスライダによる転倒モーメント補償を行いつつ,ロボットハンドの手先位置 H[Hx[mm] Hy[mm]]を 200

秒間で [-350 -400]から [350 -400]までゆっくり動かしたときのドローンの傾き θd を計測した.実験結果を図 9に measured valueとして示す.(a)は (b),(c)に比べて,ロボットハンドの手先位置の変化による

ドローンの傾き θd を小さく保っていることがわかる.つまり,(b),(c)の姿勢でキャリブレーションされたパラメータよりも,(a)の姿勢でキャリブレーションされたパラメータの方が重心の x座標を x = 0に保つことが出来ている.よって (a)の姿勢において,最も精度の高いパラメータをキャリブレーション出来ていると言える.

5·2 任意の誤差を含めた計測値から求めたパラメータによるキャリブレーション姿勢の評価ls の測定値に大きな誤差が含まれた場合に,キャリブレーション姿勢によって推定するパラメータの精度に有

意差が見られるか評価する.任意の乱数誤差 εεεk[mm] = [εk1 εk

2 εk3 ]

T(k = 1,2)を用意し,式 (7)の lsi(i = 1,2,3)に含めた時のパラメータを求め,それぞれ A′,B′,C′ とした.ここで εεε1=[1.48 -1.58 -5.90]T,εεε2=[4.49 7.99 -5.39]T とする.これらの結果を表 2に示す.また,前節と同様にロボットハンドの手先位置 H[Hx[mm] Hy[mm]]を 200秒間で [-350 -400]から [350 -400]までゆっくり動かしたときのドローンの傾き θd を計測した.実験結果を図 9に with εεε1, with εεε2として示す.(a)は (b),(c)に比べて,誤差を含んだ時にもドローンの傾きを小さく保っていることがわかる.また,E の値が大きくなるにつれて,ドローンの傾きが大きくなり,誤差の影響を

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強く受けることがわかる.以上のことから (a)が測定誤差に対して最もロバストであり,最適なキャリブレーション姿勢であると考えられる.

-5.0

0.0

5.0

10.0

-300 -200 -100 0 100 200 300

(a) Optimal design (E = 1.1)q

d [deg]

measured value with e1

with e2

-5.0

0.0

5.0

10.0

-300 -200 -100 0 100 200 300

(b) Not well design (E = 3.8)

qd [deg]

-5.0

0.0

5.0

10.0

-300 -200 -100 0 100 200 300

(c) Bad design (E = 20.0)

qd [deg]

x [mm]

measured value

measured value

with e1

with e1

with e2

with e2

Fig. 9 Experimental results. It can be seen that (a) keeps the inclination of the drone smaller than (b) and (c) evenwhen the error is included. It can also be seen that as the value of E increases, the inclination of the droneincreases, and it is strongly affected by the error.

5·3 空中でのアーム動作によるドローンへの影響の評価図 3のドローンを飛行させるために,改めてチューンナップを行い,再度パラメータの推定を行った.500ml

ペットボトルを把持させると,ロボットの全質量M = 7.3[kg],ドローンのみの質量md = 3.85[kg]であった.また,アームの制御に用いるパラメータ A,B,Cは,それぞれ A = 0.111[kgm],B = 0.330[kgm],C = 0.254[kgm]であった.

5·3·1 実験内容フライト時にアームを動かした時のプロペラの回転数を計測し,アームがドローンに与える影響を検証する.実験には一般的な既製のドローンを用いたため,フライトコントローラの中身が公開されておらず,プロペラの回転数を知ることができない.そこで,図 10に示すように,ドローンを真下から高速カメラで撮影し,画像解析することで各画素における輝度値の周波数を求める手法 (Shimasaki et al., 2018)を用いてプロペラの回転数を計測した.ロボットハンドの手先位置 [Hx[mm] Hy[mm]]が [-350,-200]の時を Posture1,[200,-200]の時を Posture2とする.また,それぞれの Postureへアームが遷移するのにかかる時間を 8[sec]とし,この期間を In actionとする.スライダを用いて重心の位置を補償しない場合,手先が重たい方が手先位置を動かしたときにドローンが姿勢を崩しやすい.そこで,重心を補償することによる効果を顕著にするために手先に 500mlペットボトルを把持させることを考える.まず,ペットボトルを把持させた状態で,3章で述べたキャリブレーションを行い,ペットボトルを把持している場合のパラメータを求めた.その後ドローンがホバリングしている状態で,ハンドをドローンの中心より前後に Posture1から Posture2の幅で,2.2節で述べた制御方法にて重心をドローンの中心に保ちつつ動作させ,その時のプロペラの回転数を測定した.比較のため,スライダの位置を固定し,ドローンに対してハンドの位置・速度が前述動作と同様になるようにアームを動かした場合についてもプロペラの回転数を測定した.この場合はスライダが固定されているため,重心位置はドローンの中心に保たれていない.カメラは CHU30-Cで,解

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Slider

Camera

Ground

Posture1

Posture2

500ml bottle

Fig. 10 Experimental setup.

Posture1 Posture2(Endeffector is behind) (Endeffector is in front)

Front propeller

Rear propeller

Endeffector

Fig. 11 Postures captured by high-speed camera.

(a) With slider

Ro

tatio

na

l

sp

ee

d

[rp

m]

(b) Without slider

0 5 10 15 20 25 30 35 40

x [m

m]

time [s]

Ro

tatio

na

l

sp

ee

d

[rp

m]

4500

5000

5500

6000

-400 -200

0 200 400

4500

5000

5500

6000

Front propeller Rear propeller

Front propeller Rear propeller

Without sliderWith slider

In action In actionPosture2 Posture1Posture1

(b) Without slider

(a) With slider

In actionPosture1

Fig. 12 Experimental result. In (b) without slider, the rotation speed of the propellers have changed depending onthe position of the hand. On the other hand, in (a) with slider, there are little changes in the number ofrotations depending on the position of the hand.

像度:640× 480,焦点距離:8[mm],撮影速度:500[fps],露光時間:1[ms]である.撮影した画像を図 11に示す.実際に Posture1では手先位置が後ろ側にあり,Posture2では前側にあるのがわかる.

5·3·2 実験結果図 12にドローンの回転数と手先位置の結果を示す.(a)With sliderにスライダを用いた場合の回転数,(b)Without

slider にスライダを用いなかった場合の回転数を示している.また,前側2つのプロペラの平均回転数を Front

propeller,後ろ側2つのプロペラの平均回転数を Rear propellerとしている.(b)Without sliderでは手先位置によってプロペラの回転数が変化してしまっていることがわかる.一方 (a)With sliderでは手先位置による回転数の変化が少ない.一般にプロペラが出力できる回転数はモータの性能に依存するが,上限がある.突風などの外乱を受けても墜落しないためには,プロペラの回転数を前後で同じ程度に保ち,外乱に対応する回転数の余力をモータに残しておく必要がある.以上のことから,開発したスライダ機構を用いたアームがドローンの安全性向上に寄与していると言える.

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6. 結 言本稿では,開発したドローンにおいて重心を一定の位置に保つために必要なパラメータを,フライト前の簡単な操作によって推定する方法を提案した.また,測定の数を必要最低限に抑えつつ,計測誤差によるパラメータのばらつきを最小限に抑えるために,適切なキャリブレーション姿勢をシミュレーションによって求め,求めた姿勢にて実機のキャリブレーションを行い,その有効性を確認した.さらに,開発したドローン用アームを用いてフライトを行い,高速カメラを用いてプロペラの回転数を観測するすることで,アーム動作がドローンに与える影響を評価し,開発したアームがフライトの安全性向上に寄与することを示した.本稿では救急物資の搬送のように,把持物を含めたドローンの構成が飛行前に決まっている用途を想定した.構成を事前に知ることができない場合や,搬送物を途中で離すようなパラメータが不連続に変化する用途については,今後の課題として検証を行いたい.

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