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01 つける。 み出す。 このまちの 一歩先 える 駆け抜ける人たち・ 第12回 NPO法人センター・オブ・ジ・アーツ 理事長 白 井 くみ代 さん 今日、どう? 特 定 非 営 利 活 動 法 人 リーブ・ウィズ・ドリーム 特定非営利活動法人 日本エニアグラム学会 協ステ大解剖 Vol.12 相談の受付 01-03 04 To the person who foresees one step ahead in our town. Kyodo Magazine Vol.36 2021 March 日本は人口減少時代。 中央区の出生数や年少人口は年々増加しているが、 町会・自治会など、地域の担い手不足は課題だ。 子どもの見守りをその「かけはし」にできないか 子育て世代を担い手にする、協働事業の秘訣とは? Contents 協働ステーション中央

To the person who foresees one step ahead in our town

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01

見つける。踏み出す。

このまちの一歩先を考える人へ

駆け抜ける人たち・ 第12回NPO法人センター・オブ・ジ・アーツ 理事長

白 井 くみ代さん

今日、どう?特定非営利活動法人 リーブ・ウィズ・ドリーム特定非営利活動法人 日本エニアグラム学会

協ステ大解剖Vol.12 相談の受付

0 1 - 0 3

0 4

To the person who foresees one step ahead in our town.

K y o d o M a g a z i n e V o l . 3 62 0 2 1 M a r c h

日本は人口減少時代。

中央区の出生数や年少人口は年々増加しているが、

町会・自治会など、地域の担い手不足は課題だ。

子どもの見守りをその「かけはし」にできないか-。

子育て世代を担い手にする、協働事業の秘訣とは?

C o n t e n t s

協働ステーション中央

02-03

駆け抜ける人たち・第 12 回

NPO法人センター・オブ・ジ・アーツ 理事長

白 井 くみ代さん

夕方、豊海小学校前をスタートしパトロールコースをランニング。PTA、NPO、区のメンバーが一緒に汗を流した。

―「ランPAT(らんぱと)」はどんな活動ですか?「2.0」とは?

PTAの有志で地域をランニングしながらパトロールをする活動です。人通りの多い繁華街を持つ中央区で、子どもが細い路地や夜の繁華街を一人で歩くのは危険なため、中央区PTA連合会が通学路をランニングコースに組み込むことで「PTAランPAT事業」として活動を開始したのがきっかけです。その後、PTA役員の交代を経ながら継続されていた地域活動のひとつであるこの事業を活用し、地域活動の新たな担い手の創出を目的に、一層発展させた協働事業「ランPAT2.0」として、今回参画をさせていただきました。―団体が参画されたきっかけは?

「かけはし」になると思ったからです。日頃、表現活動を通じて区内の子どもと大人の接点をつくっていますが、ランPATは子育て世代と町会・自治会の「かけはし」になるなと。私は中央区で子育てをしながら地域に育ててもらいました。感謝の気持ちが強くあります。団体のメンバーにはPTA会長職経験者が多いのですが、学校行事や祭事で町会・自治会の方々の力を借り

てきました。この活動で恩返しできるなら、私たちで発展させていこうと思いました。―で、今回、区の協働事業提案制度を活用されたと。

はい。令和2年度のスタートに向けて区と話を進めました。町会・自治会は高齢化し、若年層の担い手を求めていますが、人材を見つけられない。一方、PTAには担い手になり得る保護者が多くいる。ランPATで子育て世代が町会・自治会と関わるきっかけをつくる。続けていけば担い手になっていく。地域も活性化する。その点をねらいとしました。それまではランPATをするだけでしたが、今回の協働事業の初年度として、豊海・久松・明正の3校の通学区域の注意喚起箇所を共有するグループワークを企画しました。町会やPTAも参加。地域の歴史や見守りの

意義も聞くことができました。PTA役員と町会長が顔の見える関係になったことは大きな成果。区には、町会・自治会との連絡調整を担ってもらいました。コロナで人数を絞って開催せざるを得なかったのが残念です。―区と同じ目的を持ち、役割分担しながら進めたんですね。

ですね。団体は企画運営を担いました。役割分担では、PTA役員の強みを発揮しました。私たちの団体にはPTA役員経験者が多くいます。特に会長職経験者は、学校・保護者と町会・自治会との両方と関係ができているので、核になってもらいました。豊海小学校ではPTA会長より、会員に積極的に参加するよう呼びかけてもらったんです。ご本人も参加してくれました。行政やPTA連合会としてフレキシブルに動くには限界がある。必要とする人を地域で見つけてつなぐことも難しい。そこを補えるのがNPOの強みだと思います。―どうしたら必要とする人に仲間になってもらえるのでしょうか。

楽しさとやりがいを感じるその方の強みを引き出すことでしょうか。自分が地域でどう役に立てるのか、意外と役割に気づけません。そのきっかけを作る。気づくと人はおのずと動き出す。

目標を共有して行動すればシナジーが生まれる。そうして地域に相互扶助の関係が築かれていくのだと思っています。その人が地域でどんな役割を担えるのか。日頃からそうした視点でコミュニケーションをはかり、関係を作ることが大切ですね。―なるほど。それぞれの良さを活かし合う。協働するため

に良さを引き出すことも大事な役割ですね。協働事業として

来年度はどんなことに取り組みますか。

コロナで活動できなかった間、グループワークの情報をWEBサイトに載せたり、ランPATのやり方をYouTube動画にしたりしました。区との協議のなかで、「子育て世代と町会・自治会がつながる仕かけをWEBコンテンツでも」となり、グループワークの様子や町会長のお顔を写真で掲載し、参加できなかった保護者にも情報提供しました。各PTAや団体メンバーのSNSでも発信。多くの保護者への広がりが期待できます。ランPATがビブスを着用した特別な取り組みに留まることなく、地域で子どもを見守る意識が高まるコンテンツを充実させていきたいです。何よりも、コロナが終息し、対面で思いきり活動できることを願っています。

区と協働し、町会・PTAを巻き込み地域の子どもを見守る「ランPAT2.0」

K y o d o M a g a z i n e V o l . 3 6 2 0 2 1 M a r c h

―「ランPAT(らんぱと)」はどんな活動ですか?「2.0」とは?

PTAの有志で地域をランニングしながらパトロールをする活動です。人通りの多い繁華街を持つ中央区で、子どもが細い路地や夜の繁華街を一人で歩くのは危険なため、中央区PTA連合会が通学路をランニングコースに組み込むことで「PTAランPAT事業」として活動を開始したのがきっかけです。その後、PTA役員の交代を経ながら継続されていた地域活動のひとつであるこの事業を活用し、地域活動の新たな担い手の創出を目的に、一層発展させた協働事業「ランPAT2.0」として、今回参画をさせていただきました。―団体が参画されたきっかけは?

「かけはし」になると思ったからです。日頃、表現活動を通じて区内の子どもと大人の接点をつくっていますが、ランPATは子育て世代と町会・自治会の「かけはし」になるなと。私は中央区で子育てをしながら地域に育ててもらいました。感謝の気持ちが強くあります。団体のメンバーにはPTA会長職経験者が多いのですが、学校行事や祭事で町会・自治会の方々の力を借り

てきました。この活動で恩返しできるなら、私たちで発展させていこうと思いました。―で、今回、区の協働事業提案制度を活用されたと。

はい。令和2年度のスタートに向けて区と話を進めました。町会・自治会は高齢化し、若年層の担い手を求めていますが、人材を見つけられない。一方、PTAには担い手になり得る保護者が多くいる。ランPATで子育て世代が町会・自治会と関わるきっかけをつくる。続けていけば担い手になっていく。地域も活性化する。その点をねらいとしました。それまではランPATをするだけでしたが、今回の協働事業の初年度として、豊海・久松・明正の3校の通学区域の注意喚起箇所を共有するグループワークを企画しました。町会やPTAも参加。地域の歴史や見守りの

意義も聞くことができました。PTA役員と町会長が顔の見える関係になったことは大きな成果。区には、町会・自治会との連絡調整を担ってもらいました。コロナで人数を絞って開催せざるを得なかったのが残念です。―区と同じ目的を持ち、役割分担しながら進めたんですね。

ですね。団体は企画運営を担いました。役割分担では、PTA役員の強みを発揮しました。私たちの団体にはPTA役員経験者が多くいます。特に会長職経験者は、学校・保護者と町会・自治会との両方と関係ができているので、核になってもらいました。豊海小学校ではPTA会長より、会員に積極的に参加するよう呼びかけてもらったんです。ご本人も参加してくれました。行政やPTA連合会としてフレキシブルに動くには限界がある。必要とする人を地域で見つけてつなぐことも難しい。そこを補えるのがNPOの強みだと思います。―どうしたら必要とする人に仲間になってもらえるのでしょうか。

楽しさとやりがいを感じるその方の強みを引き出すことでしょうか。自分が地域でどう役に立てるのか、意外と役割に気づけません。そのきっかけを作る。気づくと人はおのずと動き出す。

目標を共有して行動すればシナジーが生まれる。そうして地域に相互扶助の関係が築かれていくのだと思っています。その人が地域でどんな役割を担えるのか。日頃からそうした視点でコミュニケーションをはかり、関係を作ることが大切ですね。―なるほど。それぞれの良さを活かし合う。協働するため

に良さを引き出すことも大事な役割ですね。協働事業として

来年度はどんなことに取り組みますか。

コロナで活動できなかった間、グループワークの情報をWEBサイトに載せたり、ランPATのやり方をYouTube動画にしたりしました。区との協議のなかで、「子育て世代と町会・自治会がつながる仕かけをWEBコンテンツでも」となり、グループワークの様子や町会長のお顔を写真で掲載し、参加できなかった保護者にも情報提供しました。各PTAや団体メンバーのSNSでも発信。多くの保護者への広がりが期待できます。ランPATがビブスを着用した特別な取り組みに留まることなく、地域で子どもを見守る意識が高まるコンテンツを充実させていきたいです。何よりも、コロナが終息し、対面で思いきり活動できることを願っています。

子どもがすくすくと育つことを願い、アートや表現活動、様 な々職業の大人との交流を通して、子どもが将来の夢を語りあうワークショップ事業を実施。地域で人も経済も循環する仕組みづくりにも挑戦中。https://centerofthearts.org/

ランPAT2.0 WEBサイト:ラン PATの実施方法や通学区域の注意喚起場所を掲載。https://centerofthearts.org/runpat/

参考:文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」https://manabi-mirai.mext.go.jp/index.html

 地域における教育力の低下、家庭の孤立化など、学校を取り巻く問題が複雑化、困難化している。「地域学校協働活動」は、地域と学校がパートナーとなり、地域全体で子どもたちの成長を支え、地域を創生する活動だ。文部科学省が推進している。実施にあたり、コーディネーターや活動ボランティアの謝金、自治体が実施する研修会等の補助が国から受けられる。小学校の朝活時間に、地域の人が講師になって学習・交流したり、企業が金融リテラシーを学ぶボードゲームをしたりする。こうした多様な主体が参画する取り組みは全国で広がっている。子どもたちは地域への理解・関心が深まり、地域住民には生きがいづくりや自己実現になるなど、いいこと尽くし。ラン PAT2.0 のように、地域で PTA や NPO、地縁組織が協働する機会が増え、課題解決が進むことを願っている。

地域と学校で進める「地域学校協働活動」とは

白井 くみ代(しらい・くみよ)大阪府出身。幼い頃から絵を描き、グラフィックデザイナー、漫画家を経て現職。出産を機に中央区に移り、子育てを始める。幼稚園・小学校のPTA副会長を歴任。2017年、当団体を設立。

P r o f i l e

コラム

NPO法人センター・オブ・ジ・アーツ

区と協働し、町会・PTAを巻き込み地域の子どもを見守る「ランPAT2.0」

04 Ky o d o M a g a z i n e V o l . 3 6 2 0 2 1 M a r c h

バリアフリーマップの更新に区民の力を特定非営利活動法人リーブ・ウィズ・ドリーム

エニアグラムで自分らしく、他者と調和できる生き方を特定非営利活動法人日本エニアグラム学会

無料紹介コースに来てみませんか?学ぶ仲間を募集

わずかな段差、階段しかない駅構内。街中には“バリア(障壁)”がたくさんある。当団体は集めたバリアフリー情報を地図にして公開している。行政でもバリアフリーマップを作っているが、更新が必要。そこで企業の社員や他団体、区民が共に情報を収集する仕組みを中央区の協働事業で作った。3-4人のチームでまちを歩き、地図に落とし込む。「“バリア”は一人ひとり違う。坂を上るか、遠回りでも平坦な道を選ぶかを選択できる情報を載せることが大事です。オリパラを機に進んだハード整備やバリアフリーマップに頼ることなく、住民が声を掛け合うことで“バリア”を乗り越えられるまちになれば」と金子さん。多様な人の視点を取り入れたマップづくりへのチャレンジは続く。

金子 久美子さん 本永 孝彦さん

協働ステーション中央の会議室が、ワークショップに集った仲間の声で賑わう。当団体は、性格を動機から9つのタイプに分け、個 を々照らし、自己と他者の相互理解を深める手法”エニアグラム”を伝える団体。親子、同僚、友人同士―。人間関係に悩む人は少なくない。相手との違いを理解することは、共に生き、協働することの第一歩だ。一年に学ぶ人は約200人。小中学生の親が子どもを理解できるよう支援するファシリテーターが生まれるなど、所属する職場やコミュニティで相互理解をリードする人材が育っている。「他者との違いがわかるだけで気持ちが楽になります。地道に一歩ずつ、自己・他者受容が進み、周りと調和できる生き方や社会づくりをめざす」と本永さんは語る。

協働ステーション中央(協ステ)の魅力に迫るこのコーナー。施設の使い方から誰でも参加できるイベントのこと、ユーザーの声まで! あなたと協ステをつなぐ情報を発信します。

協働ステーション中央は、(特活)NPOサポートセンターが中央区からの事業委託により運営しています。

発 行:協働ステーション中央中央区日本橋小伝馬町5-1 十思スクエア2階TEL:03-3666-4761 FAX:03-3666-4762URL:http://bit.ly/kyodo-station-top

協働ステーション中央に登録する、約200の団体。

ふだん見られないその活動の断片を伝えます。

エニアグラムの概要、活用事例紹介や簡易タイプチェックの体験を協働ステーション中央で定期開催。悩む人も悩む人を支援したい人も一緒に学びます。詳しくは団体まで。お問合せ:https://www.enneagram.ne.jp/

区と協働でバリアフリーマップ作成ボランティア講習会を開催中。まちを歩き“バリア”に気づくポイントを学びます。企業の社会貢献活動にもおすすめです。お問合せ・お申し込み:[email protected]

取材・執筆:佐藤 祥子、栗原 咲子、田村 岳男、西村 幸知撮影:石橋 俊治(プードル写真事務所トーキョー) デザイン・構成:村瀬 成人(株式会社mugroom)

今日、どう?

バリアフリーマップをつくる仲間を募集!

協ステでは、ボランティア・NPO団体、町会・自治会、企業などが

行う社会貢献活動に関する相談を受け付けています。

活動を始めたい時、事業を拡大したい時、協力をえたり事業連携

や協働したりしたい時など、状況に合わせて相談できます。スタッ

フと話す中で解決の手立てが見つかることも。初めての方もどう

ぞお気軽にご活用ください。オンラインでも相談可能。事前予約

するとスムーズです。

Vol.12 協ステ大解剖!

相談のご予約は―E-mai: [email protected]:03-3666-4761(10:00~19:00、月曜、年末年始、施設点検日を除く)

オンラインで事業をしたいが、どんな企画が考えられるか…

活動を始めたいけど、何から始めればいいか…

・寄付が集まらない・集客できない

・効果的な発信方法は?

・助成の申請書の書き方がわからない

・オンラインの会計・支援者管理ツールを知りたい

詳しくはホームページへ⇨

こんな相談にのっています

社会貢献活動での困りごと、相談で解決できます