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Title 微生物の鉄捕捉分子と生体の防御機構 Author(s) 森, 潔; 向山, 政志; 中尾, 一和 Citation 日本内科学会雑誌 (2010), 99(6): 1188-1193 Issue Date 2010-06-10 URL http://hdl.handle.net/2433/158314 Right Type Journal Article Textversion publisher Kyoto University

Title 微生物の鉄捕捉分子と生体の防御機構 日本内 …...galが生体防御に働く上で電要な性質となって いるLlI 涙の主成分であるtearlipocaUniこもシデ

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Title 微生物の鉄捕捉分子と生体の防御機構

Author(s) 森, 潔; 向山, 政志; 中尾, 一和

Citation 日本内科学会雑誌 (2010), 99(6): 1188-1193

Issue Date 2010-06-10

URL http://hdl.handle.net/2433/158314

Right

Type Journal Article

Textversion publisher

Kyoto University

1.総論

3.微生物の鉄捕捉分子と生体の防御機構

森 潔向山政志中尾 -和

日本内科学会雑誌第99巻 第6号別刷

2010年6月10日

鉄代謝の臨床鉄欠乏と鉄過剰:診断と治療の進歩

トピックス

1.総論

3.微生物の鉄捕捉分子と生体の防御機構

森 ご宝刀式糸 向山政志 中 尾一 和

要 旨

鉄は細胞分裂に必須の元素であるので,微生物は鉄濃度の低い環境から効率よく鉄を捕捉するために

シデロフォアと総称される鉄結合性有機化合物を合成,分泌する.一方,最近の研究により,晴乳類に

はシデロフォア結合蛋白が存在し大腸菌や結核菌の鉄利用を阻害することで、感染防御に役立つている

ことが解明された.シデロフォア結合蛋白は,感染のほかにも細胞分化,癌,造血,アポトーシスなど

の多彩な生命現象にも関わっている.

〔日内会誌 99 : 1188-1193. 2010)

Key words : siderophore. neutrophil gelatinase-associated lipocalin (Ngal). キレート, トランス

フェリン

はじめに

鉄はヒトの体内に最も多く含まれる金属で,

約 3gも存在している.鉄は 2価と 3価を行き来

しやすい性質をもつことから,生体内で化学反

応を触媒し酵素反応(ベルオキシダーゼやカ

タラーゼにおいて)やガス交換(ヘモグロビン

において)の場を提供することに役立つている.

Fe2+は毒性が強く. Fe3+は水に難溶性である た

め,生体内の鉄はキャリアー(へム, トランス

フェリン,ラクトフェリン,フェリチン,ヘモ

ジデリンなど)と結合して,貯蔵・運搬されて

いる.

微生物においても,晴乳類においても.DNA

(deoxyribonucleic acid)の合成のためにはリボ

ヌクレオチド・リダクターゼという酵素が律速

もり きよし, むこうやま まさし なかお

かずわ:京都大学大学院医学研究科内分泌代謝内科

日本内科学会雑誌第99巻第6号・平成22年6月10日 (18)

段階のひとつとなっており,その活性発揮には

Fe2+イオンが必要である 従って,鉄がなけれ

ば(ほとんど全ての)細菌も癌細胞も増殖する

ことができない1) そこで,細菌,真菌,植物は

鉄濃度の低い環境に曝されると,効率よく鉄を

捕捉するためにシデロフォア (siderophore)と

総称される鉄結合性小分子を産生する.本稿で

は,シデロフォアを介する微生物と宿主の聞の

激しい鉄獲得の戦いについて概説し最近注目

を浴びている(晴乳類が産生する)シデロフォ

ア結合蛋白の性質を紹介したい2)

1. 微生物とシデ口フォア

Fe3+イオンは元来水に溶けにくいが,さらに

晴乳類の血液中には鉄と結合していない不飽和

トランスフェリン(分子量 80kDa)が存在し,

寿命を終えた赤血球の処理や組織障害なと守に伴っ

て血中に放出されるFe3+濃度を低く保ち,病原

Enterochelin

。舟OH

太賜白

Oesferrioxamme

(OFO)

MuemeiC ACld

HNfthkうcω∞…0ト

C沼 H吋〉OHH

放線歯 ムギト.イネ

図 1.代表的なシデロフォアの化学捕造

カテコール製のenterochelin.ヒドロキサム酸型のdesferrioxamine.大変の般からmR産された mugineicacidの3つを示す.

J

§ II[UX A 1

図2. 大腸菌のシデロフ才ア受容体(左)及び晴乳類のリポカリン蛋白群(右)

の立体構造

左1el:22同阪国通型 enterochelin受容体である FepA蛮自を禍から眺めた蛾子.

(文献 7 より ~Im ) 右は脂溶性分子のキャリア奄臼群であるリポカリンスーパーファミリーの一般的広備違 (文献8よりヲ1m)

1189

性微生物の.tt'i殖を予防している幻.さらに感染症

や悔件炎掠性疾忠においては網内系 (マクロ

ファージ)にフェリチンの形で鉄が貯雌され.

血m鉄潰度低イlfiを伴う貧血を呈する (anemiaof

chronic disease).この病態は血液中での細菌の

期荊を抑制するために合理的な戦略であり.肝

臓から分也されるへプシ ジンの地加が放要な役

割jを来たしているけ.したがって.感染起の急性

期で感染のコントロールができていない時には

鉄剤の投勺・を比令わせる必躍がある.フェリチ

ンは 24例のサブユニッ トからなる 5∞kDaの大

明蛋白で.1分子のフェリチンは4.αぬ倒ものFe3・

イオンを結合し細胞質内に余剰鉄を貯蔵する

ことがでさる.

(19)

シデロフォアは鉱欠乏に応答して紛IWなどか

ら分泌される鉄結合性.非ペプチド件.の小分子

日本内科学会事・13 ;W99~品 目I!6 -ij-・ 平成22~草 6 月 108

1190

で,その分子11:は tOOODaUドであるけ.シデロ

フォアの鉄に対する結合力は著しく強いため.

I柑乳舗などの宿主の体内に存在するトランスフ

リン,フェリチンーへムなどの銑結合性分子か

ら鉄を引き剥がして.細商に鉄を悦紛できるJt

徹生物や植物の産生するシデロフォアの種察i.構造は多舷にわたっており .すでに数百組煩以

上が見つかっている(同 1)引.鉄のi全射用キレー

ト薬として臨床応用されているdesfcJTioxamine

(DFO)は放組閣の産生するシデロフォアで l 副

作用としてDFOを利用できるエルシニア硝やム

コール真菌による感染症が知られている.稲は

元来シデロフォアを産生する能力が低く T アjレ

カリ性で鉄を利用しづらい上地では生育が悪い

が.シデロフォア合成酵嵩を導入した遺伝子改

革作物はそのような環境でもよく育つ的.よ脇菌

ではシデロフォアの合成酵素 6種類(EntAから

~n印).取り込みLこ必要な蛋白 8種類 (FepA

など)が同定されている(図 2)7). シヂロフォア

はFeJ'イオンと結合することでI吸お披長に変化

を来たし.肉眼的にも色彩変化 として認識さ i'

る.時限聞は緑色色紫のほかにシデロフォアの

一種であるフルオレセインという蛍光色京・を分

t必するが.これは現在.蛍克服底検査,蛍丸染

色.入浴剤などに応用されている.

2.宿主はシデ口フ ォア結合蛋白 を産生す

neutropbil gelatinase-associated Iipocalin

(Ngalまたはlipocalin2. siderocalin. human neu・

trophillipocalin. 24.p3) は肘巾球分略賠i粒から r;~_

離された機能未知の分泌諸白であったか Ngal

は脂Jl}j酸,フェロモンー レチノイン酸などの脂

溶性分子を運搬する蛋白鮮であるリポカ リンスー

ノfーファミリーに属する (困 2)前.大脇菌に先現

させたヒトNgal蛋白が赤みを帯びている ζ とを

契機に. Ngalは大腸菌由来のシデロフォア (en-

terochelin)に結合することが解明された9).Ngal

日本肉料常会組lt ~匝99巻祭日号・平422年 6ill0B (20)

蛋白は試験管内で大腸菌の増殖を抑制する.ま

たNgal knockoutマウスを用いた検討ーにより.

Ngallま大脇菌の産生するシヂロフォアを捕捉し

て鉄を利用できなくするために大腸菌によるl枚

JtrL症を阻止していることが示されている附ー その

ほかにNgallま結核菌や肺炎梓菌の感染に対して

も防櫛的に働いている.血液,腎臓,肺ー消化

管,肝臓などにおいて.グラム|換性押曲由来の

エンドトキシン(リボlボリサッカライド)や炎

症性サイトカイン (インターロイキン-ls)など

により Ngalが述やかに強力に誘導されることは胴

galが生体防御に働く上で電要な性質となって

いる LlI涙の主成分であるtearlipocaUniこもシデ

ロフォ ア結合問性がある 11

3.鉄を巡るヒトと微生物の戦い

徹生物はシデロフォア結合蛋白であるNgal

による監視の屈をすり抜けるために撞々の方法

を編み出してきた.サルモネラ菌・病原性大腸

菌・肺炎梓菌では11'oA遺伝子クラスタ ーと呼ば

れる 5つの遺伝下を用いて‘ Ngalに捕摺怒れて

しまうシデロフォアのenterochelinに軸鎖を付加

し構造を変化 させたsalmochelinを陸生したり.

salmochelin専用の薗体内膜 ・外脱の通り遣を作

ることで.自らの病原性をiCEめてNgatによる包

囲網を回避するJ2T炭壇菌は特殊なf応分子を材判

としてステルス ・シテrロフォアを併さることカZで

き.Ngalからの監幌を逃れる 131ステ Jレスとは隠

密,お必びなどの意味で. レーダーに映りにく

い峨闘機はステルス戦闘機と呼ばれる. Ngal

は血液rrでは非定型抗酸菌Mycobacteriul1Iavirml

の増殖を抑制するが目一且マクロファージに侵

入した幽はトランスフェリン陽性. Ngal陰性の

early endosome ~こ留まり. Ngalからの肪害を受

けずにトランスフ ェリンから必要な鉄を鑑得す

るw

ヒトのほうも .搬生物にやられ放題ではないー

結核菌の産生するシデロフォアc.uboxymyco-

(ぎ)」ω

EOEO-ω

nun》

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6

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n}n】

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-LmwQU4口F

ωHm江田斗田町

。55Fe (1 uM) 十 + + + + + + aoo-NRal (10 uM + + + + Ent (10 uM) + + + mUrine___il_:_5_d_ltut 10内 + + + cold Fe (' mM) + cold Ent: Fe 150 uM + +

1191

話 Fe

回3. 楠乳類シデロフォアの新しい横出法 Cretention.assay)

56Fe3+( 1μM).非放射性 Fe3+(9μM).apo・Ngal(裸の Ngal.10μM). entero-

chelin CEnt. 10μM)を混合し. 10 kDa cutoffのフィルターの上で繰り返し

洗うと添加した55Feの 60%がフィルター上に保持芭れた.この反応は 5倍

の Ent:Feの共存にて阻害された.3 kOa cuto仔フィルターを素通りした正常マ

ウス尿の分画 (mUrine. 5倍希釈で使用)には siderophore様分子 (Sid)が

存在し. 38gもの55Fe31が保持された.こnrd:100倍宣のferricammonium

chloride (cOld Fe. 1 mM)あるいは 5倍霊の Ent:Feの共存にて阻害された

以上のことからマウス原中に Ngalと Fe3+の結合を仲介する Sidが存在すると考

えられた. (文献 19より一部改変)

Ngalの発現が汽進する病員長

図4. Ngalの尭現調節及び多彩な全身的作用

bacLinの合成酵素阻害義を用いた抗生物質の開発 がない)と DFOの複合体を投与すると.本来の

が進められている15) 緑膿閣にはDFO取り込み シデロフォアになりすまして緑膿菌に盛んに取

能力があるため.Ga34イオン (Fellとサイズが り込まれて.感染の治蝶に有用である Cfトロイ

似ているが. Fe3ーのような化学反応活性化作用 の木馬」療i去)161.以上のようにヒトと微牛物の

(21) 自本内科学会..at第99巻 第白星き・平成22年 6月108

1192

問の鉄の奪い合いに終罵はない<f鉄泥棒j現象)171• 利用する可能性なども想僧できる.

このほかにも Ngalは揃の再上皮化

4. シデロフォア結合霊白の多彩な生物学 (mesenchymal-epitheliaJ transI tionに伴う局所提

的作用 潤抑制・ 迫|煽転移抑制11).リンパ球・神経細胞 ・

述のようにNgaJは撒生物のシデロフォアを

捕捉することで大腸菌.結核幽.肺炎粁ー菌など

の増殖を抑制する働きを有し 白然免疫(抗J長

特集的なリンパ球の活性化を介きない.生まれ

つきの抵抗力)の重要な一翼を担っている ζ と

が解明されてきたが,他にもNgalは幅広い牛ー物

現象に関与している(図 4)2.101.

まずラッ トIJ台児腎臓の器官培主において.分

化誘導因子を蛋白レベルで精製する過程でNgal

が同定された18) 次にマウスやラッ トの特附世モ

デルにおいて. Ngal泣伝子発現は 100-1.000

倍に増加することが報告された2.11.19.201 そ二で

明者らはヒト腎生検組織を検討し'f}障害にお

いては血液.尿.腎組織中のNgaJ含監が増1JIJす

ることを比出した I ~.制.マウスの腎虚血再i程流障

者において鹿血の直JiiiにNga l を Jj~腔内投与して

おくと.腎障害カ哨:しく軽減されたゆーシデロフォ

アの存在がNgaJの作刷に及ぼす影韓を検3、jーした

ところ.大腸幽由来シデロフォアとFe3+イオ ン

が共存すると. Ngalによる特分化誘導.腎保護

作用がi村強された211.1札制.次にl輔乳劃の体内に.

感染椛と は無関係にシデロフォアが存在するカ

を明らかにするために.新しいシデロフォア組IJ

定系を樹立したところ,正常のヒ トあるいはマ

ウス尿中に(分子枇 3kDa以ドの)シデロフォア

轍分子が確かに存在する ζ とが示された(1誕13)叩

ペーパークロマトグラフイーにて評価しでも.

マウス尿中にはFeJ+と結合して.銑の移動度を

増加させる物質が存在した.大腸菌は傾数の酔

~の働きで,アミノ酸などからシデロフォアを

ら合成するカ刊.ヒトの体内のシデロフォアに

ついては必ずしも体内で合成される必要はなく.

ビタミンのように食物から吸収 される内能性,

あるいは脇内細菌から分秘されたものをヒ 卜が

日本内科学会線路領時巻第6号.<jt成22tf.6月10日 (22)

?IJ~:lf球のアポトーシスなどを引き起こすことも

報告されている21 ただし癌におけるNgalの役

割lについては反対意見も提出されている叩.また

慢性骨髄性白血病の原因のBCR-ABL楠遺伝チは

gaJの発現を増強し周辺の正常造血制胞を物理

的に除去するーノfで.白JfJl病細胞ではNgal受容

体 (brainぺypeol-ganic cation transportel-)の発

現を減崩させることでアポトーシスが凶避され

ること. BCR-ABLチロシンキナ ーゼ阻害薬

Glivcc/Grcevec阜市立NgaJ受容体の発現回復による

細胞死誘導によって抗服脳効呆を発揮すること

が報告されている幻

おわりに

galがシデロフォア結合蛋白であるというこ

とが2002年に報告されたことを契機に感染痕に

対する新しい考え方が噂入され.新規治療法の

種も見つかりつつある‘附字し舘Iの体内に存在す

るシデロフォアの緋造.量.発現調節や代謝が

分かつてくれば, シデロフォア結合蛋白の生物

生は一層発展することが期待される

支献

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