13
TttθJapα ttese Jo“ rん α J of Hcα λ Psycλ oJogy 1994,7oJ.ろ .I,1‐ 13 ◇◇◇◇◇◇ 00000000)0◎ ききびきき 00× ЮЮЮЮねつつ 0つ 00◇ 怒 りと循環器系疾患 関連性 検討 早稲田大学大学院人間科学研究科 早稲田大学人間科学部 鈴木 春木 The Relationship between Anger and Circulatory Disease Taira Suzuki . Yutaka Haruki (Graduate School of Human Sciences, Waseda University, Department of Human Sciences, Waseda University, Mikashima Tokorozawa, Saitama 359) This study was conducted to examine the structure of factors of STAXl-Japanese-version among the people with circulatory-diseases and normal healthy group, and to compare their scores among three groups with diseases (hypertension / coronary heart disease /both). (STAXI, which were developed by Spielberger et al. has two sub scales. One is State and Trait Anger Scale(STAS), the other is Anger Expression Scale (AX). STAS was desigend to assess the intensity of anger as an emotional state (state anger) and individual differences in anger proneness as a personality trait (trait anger). After examining the research on angbr expression, AX scale was developed. This AX has 3 sub-scales for measuring suppressed anger (anger in), anger expressed toward other people or the environment (anger out), and the control of anger (anger control) . ) As it was proven, STAXl-Japanese-version has an almost equal structure of factors to the American-version. In addition, it has ample reliability. But in two sub scales (anger in & anger control) , there exists some validity problems which may come from cultural differences between Japan and U.S .A. And, the scores of 3 sub-scales(state anger, trait anger, anger out) were related to the patients under 60's who are suffering from both hypertension and CHD. As the results, anger should be studied more in relation to circulatory diseases in consideration of cultural differences. Key Words : Anger, circulatory disease, Type A behavior pattern 問題提起 最近、わが国において も冠動脈疾患の発症および経 過 に影響 を与 えて い る現 象 と して タイプA行 ター ンが注 目され るようになった。 このタイプA行 ー ン とは Rosenman&Friedman(1959)の 研 究 に始 ま る もの で、 あ る特 定 の行 動 ンが冠動脈疾患 (CHD)の 発症 と深 く関連 して い るこ とが明 らか にな った もの で あ る。 タイプA行 ター ンの特 徴 は精 力 的に物事 をこなす、競争的な状況を好む、時間切迫感 が強 、な ど様 々な属性が報告 されてきてい る。 しか し、 グ ロバ ールなタイプA行 動は必ず しも心臓疾患を 予測 しな い とい う報 告 もあ る。例 えば、Dembroski (1990)は 、 心 臓 疾 患 にか か りや す 行動 は、怒 り・ 敵意 ・ イライラのみであると報告 している。 欧米ではかねてより、怒 りと循環器系疾患 との関連 性の研究が進んでお り、怒 りや敵意、攻撃性などとい ったことは本態性高血圧や CHDな どの重要な疾患要 因 で あ る と見 な され て きた (Diamond,1982;Fri man&Rosenlman,1974)。 falぇ ば、crane(1981)は State Anger(S― Ang)と Trait Anger(T― Ang)の -1-

The Japanese Journal of Health Psychology, 1994, Vol.7, No

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Tttθ Japα ttese Jo“ rんαJ of Hcα Jιλ PsycλoJogy

1994,7oJ.ろ 助 .I,1‐ 13

◇◇◇◇◇◇00000000)0◎ききびきき00×OЮЮЮЮЮねつつ0つ00◇ 原 著

怒 りと循環器系疾患の関連性の検討

早稲田大学大学院人間科学研究科 早稲田大学人間科学部

菫ユ鈴木 平 春木

The Relationship between Anger and Circulatory Disease

Taira Suzuki . Yutaka Haruki

(Graduate School of Human Sciences, Waseda University,Department of Human Sciences, Waseda University, Mikashima Tokorozawa, Saitama 359)

This study was conducted to examine the structure of factors of STAXl-Japanese-version among the

people with circulatory-diseases and normal healthy group, and to compare their scores among three

groups with diseases (hypertension / coronary heart disease /both). (STAXI, which were developed by

Spielberger et al. has two sub scales. One is State and Trait Anger Scale(STAS), the other is Anger

Expression Scale (AX). STAS was desigend to assess the intensity of anger as an emotional state (state

anger) and individual differences in anger proneness as a personality trait (trait anger). After examining

the research on angbr expression, AX scale was developed. This AX has 3 sub-scales for measuring

suppressed anger (anger in), anger expressed toward other people or the environment (anger out), and

the control of anger (anger control) . )

As it was proven, STAXl-Japanese-version has an almost equal structure of factors to the

American-version. In addition, it has ample reliability. But in two sub scales (anger in & anger control)

, there exists some validity problems which may come from cultural differences between Japan and U.S.A. And, the scores of 3 sub-scales(state anger, trait anger, anger out) were related to the patients

under 60's who are suffering from both hypertension and CHD.As the results, anger should be studied more in relation to circulatory diseases in consideration of

cultural differences.

Key Words : Anger, circulatory disease, Type A behavior pattern

問題提起

最近、わが国においても冠動脈疾患の発症および経

過に影響を与えている現象 としてタイプA行動パター

ンが注目されるようになった。このタイプA行動パタ

ー ンとは Rosenman&Friedman(1959)の 研究に始

まるもので、ある特定の行動パタニンが冠動脈疾患

(CHD)の 発症 と深 く関連 していることが明らかにな

ったものである。タイプA行動パターンの特徴は精力

的に物事をこなす、競争的な状況を好む、時間切迫感

が強い、など様々な属性が報告されてきている。 しか

し、グロバールなタイプA行動は必ず しも心臓疾患を

予測 しないという報告 もある。例 えば、Dembroski

(1990)は、心臓疾患にかか りやすい行動は、怒 り・

敵意・イライラのみであると報告 している。

欧米ではかねてより、怒 りと循環器系疾患との関連

性の研究が進んでおり、怒 りや敵意、攻撃性などとい

ったことは本態性高血圧やCHDな どの重要な疾患要

因であると見なされてきた(Diamond,1982;Fried‐

man&Rosenlman,1974)。 falぇ ば、crane(1981)は

State Anger(S― Ang)と Trait Anger(T― Ang)の下

-1-

位 尺 度 か らな:る State and Trait Anger Scale

(STAS)(Spielberger et al.,1980)を 使用 して、両下

位尺度の得点が高血圧の患者では有意に高 くなること

を見いだ している。この研究で使用されたSTASとは情動の状態 としての怒 りの強さ (S―Ang)を測定 し

たり、パーソナ リティー特性 としての怒 りやすさの個

人差 (T― Ang)な どを測定するために作成されたもの

である (Spielberger,1980;Spiel berger et al.,1983)。

具体的な質問項 目として、「怒 りを感 じている」「イラ

イラ してい る」「机 をばんばんたたきたい」 (以上

S―Ang)や、「気が短 い」「怒 りっ|ゴ い」「す ぐかっと

な る」 (以 上 T―Ang)な どが あ る。Spielberger

(1985)に よると T―Angは 怒 りを経験する気質上の

個 人差 として概念定義 されている。 このT‐Angは

S―Angが しば しば経験 される度合いを反映 している

と考えられる。T―Angの 得点が高い人は低い人 と比

較 して怒 りを呼び起こす事態を感 じやすいと推測され

る。 また T―Angの 得点が高い人は、いらだった り、

挫折感 を感 じた りするような時には S―Angが激 しく

上昇すると考えられている。なお Westberry(1980)

によると、大学生と海軍の新入隊員 とを被験者にした

研究で、T―Ang下位尺度はBDHI(Buss― Durkee

Hostility lnventory)の 総合得点との間に.66か ら.73

の範囲の相関が見られたとされている。

ところでSTASを 用いて怒 りの経験を評価測定 し

ていくうちに、怒 りをどの程度外へ表現 したり、ある

いは表現することを抑制 したりしているのかを測定す

ることが重要であるということが明 らかになってき

た。そこで Anger― Inと Anger― Outな どの概念が登

場 してきた。この Anger―Inと は怒 りを表現すること

を抑制 したり、怒 りを心の中に抱 くものであると定義

さ れ て い る (Averill,1982;Funkenstein,King,&

Drolette,1954;Tavris,1982)。 同様 に怒 りを他人や

周囲の ものに対 して向けることが Anger― Outで ある

と定義 されている。 この Anger― Inと Anger― Outの

臨床的意義は以下の先行研究に示 されている。まず

Harburg et al.(1973,1979) と{Gentry et al.(1981,

1982)は怒 りを表現することを抑制する傾向のある人

は収縮期血圧 と拡張期血圧が上昇すると報告 してい

る。 また Williams et al.(1980)は MMPIの hoS‐

tility scaleが一定以上の得点の者は冠動脈疾患にな

りや す い とい うことを発見 した。Haynes et al.

(1980)は フラミンガムでのタイプA行動の研究で、

抑制された敵意は (同研究で用いられた尺度で測定さ

れるタイプA行動と同様に)CHDの 重大な危険因子

であると報告 している。 さらに、Dembroski et al.

(1984)は 敵意 (hostility)や Anger― Inが潜在的に高い

人は血管造影法で詳細に調べ られた冠動脈疾患のひど

さと有意な関連性があったことを見いだ した。

以上のように怒 りがどこへ向かうかは臨床的に重要

であると考えられてきた。そこで Spielberger et al.

(1985)は Anger ContrOl(AX― C)、 Anger Out

(AX-0)、 Anger ln(AX― I))の 各下位尺度から構成

され るAnger Expression Scale(AX)(Spielberger

et al.,1985)を 独 自に作成 した (質問紙の項 目の内容

は資料 1参照 )。 なおこの AX―Cは怒 りの抑制因子で

あると考えられており、AX作成中に因子分析を実行

して発見されたものである (Spielberger et al。 ,1985)。

そこで彼は1114人の高校生を対象にした研究で AX― I

のスコアと収縮期血圧・拡張期血圧の大 きさとの間に

正の有意な相関がみられたと報告 している。また同報

告で血圧 とAX-0の スコアの間には弱い負の相関が

みられた。

以上のように、怒 りと疾患との関連は注目に値する

と言えるだろう。本研究では、わが国において怒 りと

循環器系疾患とがどのように関わっているかについて

検討することを目的とする。具体的には怒 りを測定す

る State― Trait Anger Expression Scale(STAX

I;先のSTASと AXを合わせたもの)の 日本語版

(重久訳 :資料 1・ 注 1参照)について検討 し、疾患

との関連性を分析することを目的とする。

研究 1

目 的

現在通院中の循環器系疾患者 と健常者を対象に、怒

りを測定するSTAXI日 本語版の因子構造を調べ、

各因子を構成する質問項 目の内部の一貫性 を検討す

る。また各下位尺度間の関連性 も検討する。

方 法

1.被験者

調査対象者は、疾患群 として東京都内の 2つの病院

注 1:今回使用 したSTAXI日 本語版は東京家政

学院大学の重久剛先生が翻訳されたものを使用させて

いただきました。ここで先生に深い感謝の意を表 した

いと思います。

鈴木 0春木 :怒 りと循環器系疾患の関連性の検討

-2-

疾患群 健常群

男性人数 (%) 173(79。0%) 14(12.6%)

女性人数 (%) 46(21。 0%) 97(87。 4%)

平均年齢 (SoD) 62.037 (g.got) 30.459 $.qzz)

健康心理学研究 Vol.7,No.|

被験者の性別・年齢構成表 1

の循環器内科に通院 している患者219名 (男性173名・

女性46名 )、 および健常群 として上智大学コミュニテ

ィカレッジの「入門心理療法」 という夜間の講座の受

講生111名 (男 性 14名・女性97名 )である。被験者の

性別および年齢の構成は表 1に示 した通 りである。

2.調査時期

通院中の患者に対 しては1990年 8月 中に調査を実施

した。調査用紙の記入に際 しては、病院内で記入 した

ものと、自宅で記入したものとがある。なお後 日、各

担当の医師の協力により疾患名を調査 した。

上智大学コミュニティカレッジでは1990年 10月 18日

の講義中に調査用紙に記入 してもらった。

調査用紙記入時間はいずれも15分から20分程度であ

った。

3。 評定尺度および分析方法

怒 りの評 定尺 度 として State and Trait Anger

Scale(STAS)と Anger Expression Scale(AX)か

らなるSTAXIの 日本語版を用いた。 STASはState Anger(S―Ang)と Trait Anger(T― Ang)の下

位尺度からな り、「とてもよくあてはまる」から「ま

ったくあてはまらない」の 4件法で回答させた。AX

(Spielberger et al。 ,1985)は、Anger Control(AX― C)

、Anger Out(AX-0)、 Anger ln(AX― I)の 3つ の

下位尺度から構成されてお り、 3件法で回答させた。

なお質問項 目は資料 1に記 した。

結果 と考察

まず全被験者330名 を対象に、 STASと AXの 2

つの尺度に関 して、因子構造が米国における研究結果

とわが国のものとで一致するか検討するため、主因子

法バ リマックス回転による因子分析をおこなった。結

果は表 2に示 したとおりである。

その結果、まずSTASの 方は、表 2(左)の よう

に 2つの解釈可能な因子が抽出された。この結果は米

国における研究とほぼ一致する。すなわち第一因子は

質問項 目 1か ら10ま での10項 目からなり、調査時点で

の怒 りをどの程度感 じているかに関する質問項 目から

構 成 されてい るため、米国における研究 と同様に

State Angerの 因子 と解釈される。第二因子は質問項

目11か ら18、 および20の 9項 目からなり、怒 りやすさ

に関するパーソナ リティ特性に関する質問項 目から構

成されているため、これも米国における研究 と同様に

Trait Angerの 因子と解釈される。

次にAXでは、表 2(右)の ように 3つの解釈可能

な因子が抽出された。第一因子は質問項 目の24、 28、

31、 35、 38、 40、 44の 7項 目からなる。これらは怒 り

を抑えたり、自分で市1御 しようとしたりするような内

容に関する質問項 目から構成されているため、米国に

おける研究 と同様に Anger Controlの 因子 と解釈 さ

れ る。第二因子 は質問項 目の 22、 27、 32、 34、 39、

42、 43の 7項 目からなる。これらは怒 りを言動によっ

て外に現 したり、他人に直接ぶつけたりするような質

問項 目から構成されているため、米国における研究と

同様に Anger Outの因子 と解釈 される。第二因子は

質問項 目の21、 23、 33、 36、 37、 41の 6項 目かなる。

これらは怒 りを自分の心の中に有 し、外へ表さないと

いうような質問項 目から構成されているので、やはり

米国における研究 と同様に Anger lnの 因子と解釈さ

れる。ただ し質問項 目1(怒 りを抑える)は米国での

研究では Anger Controlの 因子に分類 されていたも

のであり、この違いは言語記述のあり方に由来するも

のと考えられる。

以上のようにSTAXIの 因子構造に米国における

研究とほぼ一致するものであつたといえるだろう。

次に因子分析の結果明らかになった各因子を構成す

る項 目 (下位尺度)群の内部の一貫性 を検討するた

め、Cronbachの α係数を算出 した。この結果は表 2

の下に示されているように、0.758か ら0.913の範囲で

あった。AX-0と AX―Iの 値が他 と比較 してやや低

いとも考えられるが、全ての下位尺度に関しては信頼

-3-

表 2。 STAX

鈴木・春木 :怒 りと循環器系疾患の関連1生の検討

Iの 因子分析結果 (主 因子法バ リマ ックス回転 )

STASの 結果

質問項目 因子 1 因子 2

6 0.81548 0。 12349

8 0。 81527 0。 14065

10 0。78978 0。 17753

7 0。78925 0。 11013

5 0。78665 0。 17433

4 0。74276 0。27895

0.72460 0。24499

3 0.68473 0。24214

2 0。63831 0。26359

9 0。59830 0。 16621

0。05990 0。74601

16 0。 19981 0。73023

12 0。24407 0.72894

13 0.03409 0。 64445

15 0◆25556 0。 61893

14 0.17431 0。 61389

20 0。24791 0。 59188

18 0。 14871 0。 58055

17 0。21633 0。49876

19 0。41146 0。 34667

寄与率 0。 30029 Oe21277

α係数 0。91274 0。 83933

性が保証されたと言ってよいだろう。これらの結果か

らSTAXIの 日本語版から抽出された各因子に相当

する下位尺度の内部の一貫性 という点からみて信頼性

の高い尺度であるといえるだろう。

最後に各因子内の項 ロスコアを算出し、それぞれの

間の相関係数を調べてみた (表 3)。

STASに 関 しては、S―Angと T―Angの 間の相

関係数は有意に高い数値を示 していた。この結果は米

国の研究と一致 しており、 STASの 日本語版の妥当

AXの質問項目 因子 1 因子 2 因子 3

32 0。09998 0。70829 0.08586

34 0。00598 0。70390 0。03459

39 0。 12668 0。 65064 0。 12132

43 -0。 12982 0。 62926 ‐0。 12334

22 0.25198 0。 61388 0。00943

42 0.22682 0。 55532 0139370

27 0。08354 0.50398 0。25895

25 0。28125 0。47188 0。26737

29 0。21299 0。44709 0。26005

36 ‐0。07491 0。03232 0。70270

37 -0.13502 0。29445 0。69246

41 -0.07002 0。 32626 0。64402

23 -0.33854 -0。 20513 0。54816

21 ‐0。43078 -0。03632 0。54133

33 0。04303 0。 37767 0。50015

30 -0.47354 -0.12211 0.47975

26 -0.04735 0。 15552 0。47253

24 -0。 54935 -0。 38993 0。34927

35 ‐0。 62897 0。02047 0。31308

44 ‐0。 64946 0。02016 0。 13409

28 ‐0。67099 ‐0.28916 0。09137

31 ‐0。 67723 -0。 16317 0。 19686

38 ‐0。68758 ‐0.07838 -0。0469040 ‐0。71347 oO。 08971 -0.12743

寄与率 0。 16068 0。 16145 0。 14118

α係数 0。 81821 0。78016 0.75806

性を支持する結果を与えていると言えるだろう。

AXに 関 しては、 まず AX-0で あるが、S―Ang、

T―Angお よび AX―Iの 各尺度 と有意な正の相関を示

し、AX―C尺度 とは有意な負の相関を示 した。米国

での研究ではAX-0と AX― Iと の相関は本質的に 0、

すなわち相関関係はみられないとされており (Spiel‐

berger et al.,1985)、 本研究の結果 とは異なってい

た。これを除 くAX-0の 結果は米国の先行研究 と一

致 して いた。 次 に AX―Iは S― Ang、 T―Ang,AX-0お よびAX―Cの 各尺度 と有意な正の相関を示 した。

-4-

表 3.各因子を構成する項目の合計得点の相関係数表

比較項目 相関係数 (r) 検定結果(P)

S‐Ang・ T‐Ang 0.578 ***

S―Ang・ AX―C ‐0。 145

S―Ang・ AX‐0 0。548 ***

S‐Ango AX― I 0。337 ***

T‐Ang・ AX―C -0。081

T‐Ang・ AXo0 0。66 ***

T‐Ango AX―I 0。515 ***

AX‐CO AX-0 ‐0。242 **

AX‐C・ AX‐I 0。432 ***

AX‐0・ AX‐I 0。361 ***

健康心理学研究 Vol.7,No.|

P:*<。 05 **<。 01

米国の研究では AX―Iと AX―Cと の相関関係は 0に

近いか もしくは負であり、今回の結果 とは異なった。

最後に AX―Cは S―Angお よび T―Angと 有意な相関

はな くI AX-0と は有意な負の相関がみられ、先に

も述べたように AX―Iと は有意な正の相関が見 られ

た。

以上 の結果 か ら米国の研究結果 と矛盾す るのは

AX―Cと AX―Iと の関係 と、AX-0と AX― Iと の関

係である。まず AX―Cと AX―Iと の関係については、

表 2の結果 と質問項 目の記述内容から両尺度がそれぞ

れ測定すると考えられる概念が被験者の間で混同され

ていることが推測される。すなわち両尺度の妥当性に

問題があると考 えられる。AX-0と AX―Iと の関係

については、表 2の結果 と質問項 目の記述内容から両

概念が被験者に混同されたとは考えにくい。従って、

この問題の原因は AX―Iの測定尺度の妥当性に由来す

るということが考えられる。

以上のことからSTAXIの 日本語版はAXの下位

尺度であるAX―Cお よび AX―Iに 問題が残 るが、米

国での研究を参考にすると臨床的な調査や研究に対 し

て有意義なもの となる可能性が大 きいと言えるだろ

う。

ところで今回の研究では表 1に示 したように被験者

のサンプルの問題がある。疾患群 と統制群 との性別・

年齢構成の隔たりが大きかっただめである。同尺度の

妥当性および信頼性を高めていく上では、まず疾患群

と性別や構成年齢において比較対象可能な健常群のデ

***<。 001

-夕 を集め、再び分析を行うことが必要である。そう

した上で、今後はわが国においても疾患との関連に注

目しながら、臨床場面における判別妥当性や予測的妥

当性についてのさらなる調査研究が望まれる。また

AX―Cと AX―Iに 関しては今後 もわが国と米国との

間の文化差を考慮しながら引き続き信頼性 0妥 当性を

高めていくように改善する必要性があると考えられ

る。

研究 2

目 的

先に述べたように、表 1を参照にすると今回の調査

では疾患群 と健常群 との間には年齢構成および性別構

成に大 きな隔たりが確認される。従って、本調査にお

いて疾患群 と健常群 との比較検討を行うことはあえて

しなかった。そこで、現在通院中の循環器系疾患者の

みを対象に、怒 りを測定するSTAXIの 日本語版の

尺度で測定される心理・行動的特徴 と循環器系疾患と

の関連性について検討することとする。なお本研究で

は米国での研究を参考にSTAXIと 血圧およびCHDと の関連性に注目することとする。また両疾患を併

発 している患者について注目し、分析対象 とする。

方 法

1。 被験者

調査対象者は、研究 1の被験者の中から疾患データ

を確認できた (東京都内の 2つの病院の循環器内科に

-5-

鈴木・春木 :怒 りと循環器系疾患の関連性の検討

表 4。年齢・疾患ごとの各尺度別の平均得点 :()内 は標準偏差

60歳 未 満 60歳 以 上HT群(N=11)

CHD群(N〓27)

HT+CHD群 (N=9)

HT群(N=19)

CHD群(N=43)

HT+CHD群 (N〓 19)

S―Ang14。909

(3。 534)

13。778

(4。 126)

21。778

(5。 995)

12。421

(3.079)

14。 349

(4。 231)

12。421

(4。 694)

T― Ang20。 182

(2.786)

19。259

(4。 621)

24。444

(3。 245)

18。053

(4。 327)

19。 581

(4.837)

18.632

(5。 145)

AX― C 21。455

(3。 560)

22.296

(4.093)

19.556

(3。 609)

21。526

(5。 719)

20。 837

(3。 994)

22.316

(4。796)

AX-0 13。909

(3。 961)

13。407

(4。 190)

18。 889

(3。 887)

12。263

(3.588)

13。442

(4.154)

11。947

(3。045)

AX― I15。455

(4。 275)

16。037

(4。 354)

17。222

(1。 481)

13.526

(3。 687)

14。 326

(3.701)

13.842

(4.598)

通院 している)患者219名 (男性173名 0女性46名 )。

2.調査時期

1990年 8月 中に実施 した。調査用紙の記入に際 して

は、病院内で記入 したものと、自宅で記入 したものと

があった。後 日、各担当の医師の協力によって疾患名

を調査 した。 (研究 1と 同じ)

3。 評定尺度および分析法

使用 した評定尺度は研究 1と 同 じである。

分析にあたって、担当医の協力で被験者を高血圧群

(HT)、 冠動脈疾患群 (CHD)、 および高血圧 と冠

動脈疾患の両方を併発 している群 (HT+CHD)の三群に分類 した。なおHT群は高血圧のみで他の循環

器系疾患がない患者だけを選び、同様にCHD群 は冠

動脈疾患のみ、HT+CHD群 は高血圧 と冠動脈疾患

のみで他の循環器系疾患がない患者だけを選出 した。

各群ごとの各尺度別の得点に関して、構成人数と平均

点および標準偏差を表 4に示 した。

ここでは、研究 1の結果から各下位尺度の因子を構

成する質問項 目の得点を従属変数として年齢 (60歳未

満・60歳 以上)と 疾患 (HToCHD・ HT+CHD)の二要因について 2× 3の分散分析 をおこなっ

た。なお下位検定は全てフィッシャーのLSD法 を用

いた。なお、年齢を60歳で区切った理由は、保坂 と田

り||(1989)に よるタイプA行動の研究において、日本

人に特徴的な仕事中心主義傾向が指摘されていること

に注目し、就労条件を考慮に入れたためである。分析

にあたっては、性別の要因 も考慮 されたが、鈴木 ら

(1993)が本研究 と同 じデータを用いて行った分析で

は性別による結果は見 られなかったため、本研究の分

析の要因の対象から除外された。

結 果

1.STAS(S― Angお よび T―Ang)に ついて

S―Angで は年齢 (F(1,122)=19.402,P<.001)と疾患 (F(2,122)=5.501,P<.01)そ れぞれに主

効果が有意であった。年齢は60歳未満の方が得点が高

くなっていた。疾患ではHT、 CHD、 HT+CHDの順で得点が高 くなっていたが、下位検定の結果、HT+CHDの 群では他の 2群よりも1%水準で得点が

有意に高かった。また図 1の ように、年齢 と疾患の間

の交互作用 も有意であった (F(2,122)=12。 366,P<.001)。 下位検定の結果、60歳未満でHT+CHDの群の得点が他のいずれの群 よりも有意に (全ての組

み合わせで0.1%水準で)得点が有意に高かった。

T―Angで も年齢 (F(1,122)=7.669,P<.01)の主効果が有意であり、60歳未満の方が得点が高 くなっ

ていた。疾患 (F(2,122=2.338,P<.10)の 主効果

は傾向差がみられた。S―Angと 同様にHT、 CHD、HTttCHDの 順で得点が高 くなっていたが、下位検

定の結果、HT+CHDの 群では他の 2群よりも5%水準で得点が有意に高かった。さらに図 2の ように、

年 齢 と疾 患の間で交互作用 も有意であった (F

(2,122)=4.161,P<。 05)。 下位検定の結果、60歳未

満でHTttCHDの 群の得点が他のいずれの群よりも

有意に (全 ての組み合わせで 5%か ら0.1%水準で)

得点が有意に高かった。

T6-

KC曽

くあ

22

21

20

19

18

17

16

15

14

13

12

健康心理学研究 Vol.7,No.|

CHD

疾患

図 1。 S‐Angを 従属変数とした場合の年齢と疾患の交互作用

CHD

疾患

図 2.T‐Angを 従属変数とした場合の年齢と疾患の交互作用

KC“cくニ

25

24

23

22

21

20

19

18

17

HT+CHD

口 60歳未満

日 60歳以上

口 60歳未満

口 60歳以上

-7-

KCO曼覆

22。 5

22

21。 5

21

20。 5

20

19。 5

20

19

18

17

16

15

14

13

12

11

鈴木・春木 :怒 りと循環器系疾患の関連の検討

CHD

疾患

図 3.AX‐ Cを従属変数とした場合の年齢と疾患の交互作用

口 60歳未満

日 60歳以上

HT+CHD

卜同KQO受く □ 60歳未満

回 60歳以上

Htt CHD HT+CHD

疾患

図 4.AX‐ 0を従属変数とした場合の年齢 と疾患の交互作用

-8-

健康心理学研究 Vol.7,No.|

2. AX(AX― C、 AX-0、 AX―I)に ついて

AX―Cの スコアに関 しては、主効果および交互作

用ともに統計的に有意な差異を示す結果がみられなか

った。 しかし有意水準は満たさなかったものの、図 3

に示 したように年齢 と疾患の間の交互作用がうかがわ

れ る傾向が見 られていた (F(2,122)=2。 049,P<。13)。

AX―Oで は年齢 (F(1,122)=13.071,P<.001)の主効果が有意であり、60歳未満の方が得点が高 くな

っていた。疾患 (F(2,122)=2.866,P<.07)の主

効果は傾向差がみられた。ここではHT、 CHD、 HTttC H Dの 順で得点が高 くなっていたが、下位検定

の結果、HT+CHDの 群では他の 2群よりも5%水

準で得点が有意に高かった。さらに図 4の ように、年

齢 と疾患の間で交互作用 も有意であった (F(2,122)

=7.140,P<.01)。 下位検定の結果、60歳未満でHT+CHDの 群の得点が他のいずれの群 よりも有意に

(全ての組み合わせで 1%か ら0.1%水準で)得点が有

意に高かった。

AX―Iで は年齢 (F(1,122)=8。 636,P<。 01)の

主効果のみが有意であり、60歳未満の方が得点が高 く

なっていた。

考 察

上記のように、S― Ang、 T―Angお よび AX-0の 結

果はほぼ同 じものであったといえるだろう (図 10

204参 照)。 社会人として働いている人が多いと推

測される60歳未満で、高血圧 とCHDを 併発 している

群での S― Ang、 T―Angお よび AX―Oの各スコアが

他の全ての群 と比較 して有意に高いことを考慮する

と、これらの 3つの尺度で測定される怒 りの持つ臨床

的・社会的な意義は大 きいと言えるだろう。すなわち

年齢層が60歳未満 という点に注目すると、保坂 と田川

(1989)に よるタイプA行動パターンの研究で、 日本

人に特徴的な現象 として仕事中心主義傾向を指摘 した

ことを裏付けているとも考えられる。 しかし単に生物

学的な加齢に伴う現象とも推測されるし、両者の相互

的作用でもあると考えられるので今後の研究が必要で

ある。また怒 りとの有意な関連はHTのみやCHDのみの群には見 られず、高血圧 とCHDを 併発 している

群のみに見 られたという点に注目すると、怒 りと高血

圧 OCHDと の関連性はやや複雑であるということが

推測される。このことは従来までの研究で用いられて

きた高血圧やCHDに対する分類の方法では不十分で

あった可能性を示 している。すなわち今後の研究では

単純に高血圧やCHDと いう診断疾患を用いるのでは

なく、それらの疾患のより詳糸田な内容・メカニズムに

まで踏み込んだ研究が要求されると考えられる。

AX―Iの スコア関 しては、米国では血圧 と高い正の

相関が確認されており、臨床的な意義は大 きいと考え

られる。 しかし本研究では年齢 との関連性以外は見だ

せななかった。 しかし研究 1の結果からAX―Iの信頼

性および妥当性に問題があるとも考えられるので、今

回の研究結果では AX―Iの 臨床的意義に関 してネガテ

ィブな結論を出すことを控えるのが妥当であろう。

米国の先行研究で AX―Cの スコアに関 しては、臨

床的な効果・意義についての記述が見あたらなかっ

た。単に AX―Oや AX―Iと は異なる因子であ り、怒

りの抑制因子であると考えられるという記述に止まっ

ていた。実際に今回 も研究 1で述べたようにAX-0の項 目の得点 と有意な負の相関を示 していた。本来

AX―Cは AX-0や AX―Iの 制御因子 と考えられてい

るので、これ らAX-0や AX―Iが疾患 と関連がある

ならAX―Cは疾患の抑制因子である可能性が推測さ

れる。このことは、先に述べたように (統計的有意水

準を満たす ものではなかったが)、 60歳未満でHT十CHDの 群の得点が他の群 よりもスコアが低い傾向を

示 した事実によってもうかがえる (図 3参照)。 すな

わち、60歳未満の高血圧 とCHDを 併発 しているもの

は、それ以外の疾患群 と比較 して、怒 りを制御する能

力が不足・ もしくは低下 している傾向があるとも考え

られる。 しか し研究 1で も述べたが、今回使用 した

AX―Cの尺度の妥当性 にはやや疑間が残 る。従 って

この因子がわが国で AX-0や AX―Iと どのような関

係にあるのか、米国での研究と比較 して文化差に由来

する差異がみられるか、そして特に疾患抑制因子とし

ての役割 といった臨床的な有意があるのかについてな

ど、今後さらに測定尺度を検討 しながら研究する価値

が大いにあると考えられる。

ところで一般にわが国の文化的風土として、欧米 と

比較 したときに怒 りを直接外に表現することは少ない

と考えられる。加賀 (1979)に よると、わが国と米国

との攻撃性の表出の違いははなはだ しく、米国人は自

己主張を尊ぶ文化に育ったことから攻撃性をはっきり

と表出するが、 日本人は自己抑制を求める文化の中

で、どんなに攻撃欲を感 じてもそれを直接外に出すこ

とを嫌い、受け身―攻撃型 となることが指摘 されてい

る。従って、このような比較文化的な視点に立ってわ

-9-

鈴木 0春木 :怒 りと循環器系疾患の関連1生の検討

が国における怒 りをより正確に評価 0測定 しようと考

えるなら、AX―Iの 方を重視することが大切ではない

だろうか。そのためにもAX― Iの 妥当性を高めるため

の研究が今後よリー層望まれる。

ま と め

本研究では怒 りと循環器系疾患との関連性に注目し

て、 STAXI日 本語版 を用 いて検 討 を行 った。

AX―Cや AX― Iの 下位尺度の妥当性 にやや問題がみ

られたが、それ以外の項 目は米国のものと比較 して間

題はないようである。疾患との関連からは、S―Ang、

T―Ang、 AX-0な どの下位尺度で60歳未満の高血圧

とCHDを 併発 している群が、それ以外の疾患群 と比

較 して、有意に得点が高 くなってお り、注 目に値 し

た。循環器系疾患といってもこれまで注目されてきた

ように単純に高血圧やCHDが 怒 りと関連するという

わけではなく、高血圧やCHDの 種類・メカニズムの

違いによって関連性を考慮する必要があるということ

が示唆される結果であった。その背後には怒 りと疾患

との関連性についての複雑なシステムの存在がうかが

える。今後、循環器系疾患の発症・経過に怒 りがどの

ように関与 しているかについて研究を進めるために

は、疾患の詳細な内容に立ち入っての検討が必要 とな

るだろう。 また怒 りの制御因子 としての AX―Cと 疾

患 との関連性について注 目すべ きものがうかがわれ

た。すなわち60歳未満の高血圧 とCHDを 併発 してい

る群では他の疾患群 と比較 して、怒 りを制御する能力

が低下、もしくは不足している可能性がうかがえた。しかし、 AX―Cを 測定する尺度自体にも問題があるため、怒 りを制御する能力と疾患との関連性について

は今後の検討課題である。また怒 りの表現の仕方にわ

が国の文化に特有な問題があり、AX― Iの尺度作成に

ついては比較文化的な視点が要求されるであろう。本

研究の結果から、 (と くにAX―Cや AX―Iの 下位尺度

を改善しながら)´ 今後も怒 りと循環器系疾患との関連

性を探る意義はあると考えられる。

評定尺度作成に当たって妥当性の基準をどこにおく

かという問題は本質的な問題であるが、健康心理学的

な視点から、循環器系疾患に基準をおくことでその予

測と制御の前進に期待したい。そうした立場に立つこ

とで、通常われわれが経験的に認識している怒 りに関

する内容やこれまでの研究でよく用いられてきた尺度

lalぇ ば、c。。k&IⅥ edley Hostility Scaleや BDHI

(Buss―Durkey Hostility lnventory)な ど)の 内容に

対する新 しい視点が開ける可能性があると考えられ

る。

なお本研究では疾患群 と健常群 との比較検討ができ

なかったので、今後はSTAXIの 妥当性やその意義

を測る上でもぜひともこの研究が望まれる。

く謝 辞〉

本研究の調査にあたりご協力いただきました、心臓

血管研究所付属病院の澤田準先生および東京女子医科

大学付属病院の近藤瑞香先生に感謝の意を表 します。

本研究の一部は1993年度日本健康心理学会第 6回大

会 (於 :早稲田大学)に おいてポスター発表されまし

た。

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-11-

鈴木・春木 :怒 りと循環器系疾患の関連性の検討

資料 1。 STAX:日 本語版の質問項 目 (重久剛訳)

A.あ たたが、いま感 じていることを答えて ください。あまり時間をかけずにすばや く答えて くだ

さい。 (注 :State Anger Scale)

1。 怒 り狂っている

2。 いらいらしている

3.怒 りを感 じている

4.誰かをどなりつけたい

5。 伺「かを壊 してしまいたい

6。 逆上 している

7.机をばんばんたたきたい

8。 誰かを殴 りたい

9。 精根つきてしまった

10.口 汚 くのの しりたい

B.あ なたが 自分 自身 についていつ も感 じていることについて答えて ください。 (注 :Trait

Anger Scale)

11。 気が短い

12.怒 りっぱい

13。 せっかちである

14。 他人のまちがいで自分が遅れたりすると腹を立てる

15。 良いことをしたのに認められないといらいらする

16。 す ぐかっとなる

17。 怒るといじわるなことを言う

18。 人の前で非難されたりすると怒 りを感 じる

19。 自分のしたいことが出来ないと誰かをたたきたくなる

20◆ 良いことをしてもほめられないと腹が立つ

C。 あなたがぶつう怒ったり腹を立てたりするときの様子について答えて ください。 (注 :AX・括弧内は米国の研究での下位尺度)

21.怒 りを拝「える (AX―C)

22。 怒 りをあらわす (AX-0)23。 怒っていてもそとにあらわさない (AX― I)

24.腹 を立てたりしないでがまんする (AX―C)

25.すねたり、ふ くれたりする (AX― I)

26。 人から離れて一人だけになる (AX― I)

27。 人に皮肉なことを言う (AX-0)28。 冷静さを保つ (AX―C)

29.ド アをばたんと閉めるような、荒々しいことをする (AX-0)30。 心の中では煮えくり返っていても、それを外には表さない (AX― I)

31.自 分の行動を抑制する (AX―C)

32。 ひとと言い合ったりする (AX-0)

-12-

健康心理学研究 Vol.7,No.|

33。 誰にも言えないような恨みを抱 くようになる (AX― I)

34。 自分を怒 らせるものは何でもやっつけようとする (AX-0)

35。 気を静めてかんじゃくを起こしたりしなようにする (AX―C)

36.誰 にも知られないように、自分の胸のなかだけで他人を非難する (AX― I)

37。 外から見るよりも、実は自分はもっと怒っている (AX― I)

38。 大部分の人たちと比べると、より早 く冷静になる (AX―C)

39. 口汚いことを言う (AX-0)

40。 気を静めて相手を理解 しようとする (AX―C)

41.は たの人力ち思うよりも、はるかに苛立っている (AX― I)

42。 落ち着 きを失って不機嫌になる (AX-0)

43.誰 かにいらいらさせ られると、その人に自分の気持ちを伝える (AX-0)

44。 自分で腹立たしい気持ちを静める (AX―C)

-13-