10
都市・建築空間において音声(ことば)による良好なコミュニケーションを成立させる ことは,空間の持つべき基本的な性能であることは論を待たない.また,社会の高齢化の 進行,空間のバリアフリー化の促進など,誰にとっても良好な音環境を実現することは重 要である.しかし,室内音響,電気音響および騒音制御と多岐にわたる音環境制御技術を, 良好な音声コミュニケーションの成立に適合させるための指針がこれまで示されてこなか った. 本会では,空間の音声伝送品質にかかわる課題について長期にわたり委員会等を設置し て音環境分野の一部として議論し,数多くのシンポジウムの開催を行い,ガイドライン案 を提案してきた.これまでの議論は,従来の音環境評価の考え方に基づき物理的な評価値 を如何に示すかに注力されてきた.さらに,音声伝送性能の測定法に関する国際規格 IEC 60268-16 があるが,空間の性能のあり方についての議論がこれまで示されてこなかったた め,測定結果をどのように評価するのかが明確ではなかった. そこで,空間の音声伝送性能について空間の用途および音声伝送の形態を整理し,人の 判断に基づいた評価規準を示すことにより,将来の技術的発展を妨げない形で空間性能の 物理的な評価を可能とする「都市・建築空間における音声伝送性能評価規準・同解説」を 作成した. また,規準本文に対する直接的な解説とともに,現在入手しうる学術的および技術的情 報を付録として掲載した.さらに本書の使い方について目的別に示し,必要な情報をでき るだけ容易に取り出せるように編集した. 本規準は,都市・建築の設計者・発注者と音響技術者の間の協議が円滑に進むように, また,意志決定を両者の協力の下に行えるように配慮したつもりである.日常生活を円滑 に営めるよりよい音環境の創造に本規準が少しでも役立てば幸いである. 2011 11 日本建築学会

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都市・建築空間において音声(ことば)による良好なコミュニケーションを成立させる

ことは,空間の持つべき基本的な性能であることは論を待たない.また,社会の高齢化の

進行,空間のバリアフリー化の促進など,誰にとっても良好な音環境を実現することは重

要である.しかし,室内音響,電気音響および騒音制御と多岐にわたる音環境制御技術を,

良好な音声コミュニケーションの成立に適合させるための指針がこれまで示されてこなか

った.

本会では,空間の音声伝送品質にかかわる課題について長期にわたり委員会等を設置し

て音環境分野の一部として議論し,数多くのシンポジウムの開催を行い,ガイドライン案

を提案してきた.これまでの議論は,従来の音環境評価の考え方に基づき物理的な評価値

を如何に示すかに注力されてきた.さらに,音声伝送性能の測定法に関する国際規格 IEC

60268-16 があるが,空間の性能のあり方についての議論がこれまで示されてこなかったた

め,測定結果をどのように評価するのかが明確ではなかった.

そこで,空間の音声伝送性能について空間の用途および音声伝送の形態を整理し,人の

判断に基づいた評価規準を示すことにより,将来の技術的発展を妨げない形で空間性能の

物理的な評価を可能とする「都市・建築空間における音声伝送性能評価規準・同解説」を

作成した.

また,規準本文に対する直接的な解説とともに,現在入手しうる学術的および技術的情

報を付録として掲載した.さらに本書の使い方について目的別に示し,必要な情報をでき

るだけ容易に取り出せるように編集した.

本規準は,都市・建築の設計者・発注者と音響技術者の間の協議が円滑に進むように,

また,意志決定を両者の協力の下に行えるように配慮したつもりである.日常生活を円滑

に営めるよりよい音環境の創造に本規準が少しでも役立てば幸いである.

2011 年 11 月

日本建築学会

ご案内本書の著作権・出版権は(社)日本建築学会にあります.

本書より著書・論文等への引用・転載にあたっては必ず本会の許諾を得てください.

R〈学術著作権協会委託出版物〉

本書の無断複写は、著作権法上での例外を除き禁じられています.

本書を複写される場合は、学術著作権協会(03-3475-5618)の許諾を受けてください.

社団法人 日本建築学会

ご案内本書の著作権・出版権は㈳日本建築学会にあります.本書より著書・論文等への引用・

転載にあたっては必ず本会の許諾を得てください.

R〈学術著作権協会委託出版物〉

本書の無断複写は,著作権法上での例外を除き禁じられています.本書を複写される

場合は,㈳学術著作権協会(03   -   3475   -   5618)の許諾を受けてください.

社団法人 日本建築学会

Summary

Speech transmission is one of the basic acoustical functions of rooms. Such a transmission is

necessary to maintain speech communication in rooms. It is becoming increasingly important to

provide a better acoustical environment for everybody, especially for the aging society and for

persons with disabilities. However, we did not have guidelines and standards for speech

communication in rooms for a long time because the quality of speech transmission could be

controlled by many technologies such as room acoustics, sound systems, and noise control.

AIJ has been discussing about speech transmission in rooms for more than a couple of decades

already. The discussions have been about the method of physical evaluation. As a result of these

discussions, AIJ has presented guideline proposals. The international standard (IEC 60268-16)

standardized physical evaluation as the methodology for the evaluation of speech transmission.

Using the IEC standard as a tool for the evaluation and the design of sound environment rooms,

determining the relationship between the requirement of speech transmission performance of

rooms and the physical index becomes important.

This document summarizes the required speech transmission performance for each room

purpose. Each requirement is based on the subjective evaluation of speech transmission

performance.This document also provides current technical and scientific knowledge about speech

transmission in rooms.

AIJ expects this document to be useful for designers and engineers to develop better rooms and

spaces for speech communication.

日本建築学会環境基準(AIJES)について

本委員会では,これまでに,日本建築学会環境基準(AIJES)として13刊を発刊するに至っている.また,各分野において,規準等を整備すべく,検討・作成作業が進められてきた.AIJES はアカデミック・スタンダードと称し,学会が学術的見地から見た推奨基準を示すことを目的に,「基準」,「規準」,「仕様書」,「指針」のような形で公表されてきた.これらの英文表記は,「Academic Standards for~」としていたが,この「Academic Standards」には教育水準といった意味もあり,AIJES の目的とは異なる意味に解される場合もあり誤解を生ずる恐れがあるとの指摘も寄せられた.そこで,2010年度以降に発刊されるAIJES については,英文表記を「Standards for~」等に変更

することを決定した.また,既発刊のAIJES については,改定版発刊時に英文表記を変更することとした.

2010年9月 日本建築学会 環境工学委員会

日本建築学会環境基準(AIJES)について

本委員会では,これまでに,日本建築学会環境基準(AIJES)として13刊を発刊するに至っている.また,各分野において,規準等を整備すべく,検討・作成作業が進められてきた.AIJES はアカデミック・スタンダードと称し,学会が学術的見地から見た推奨基準を示すことを目的に,「基準」,「規準」,「仕様書」,「指針」のような形で公表されてきた.これらの英文表記は,「Academic Standards for~」としていたが,この「Academic Standards」には教育水準といった意味もあり,AIJES の目的とは異なる意味に解される場合もあり誤解を生ずる恐れがあるとの指摘も寄せられた.そこで,2010年度以降に発刊されるAIJES については,英文表記を「Standards for~」等に変更

することを決定した.また,既発刊のAIJES については,改定版発刊時に英文表記を変更することとした.

2010年9月 日本建築学会 環境工学委員会

刊行 と

日本建築学会環境基準(AIJES)について

本委員会では,これまでに,日本建築学会環境基準(AIJES)として13刊を発刊するに至っている.また,各分野において,規準等を整備すべく,検討・作成作業が進められてきた.AIJES はアカデミック・スタンダードと称し,学会が学術的見地から見た推奨基準を示すことを目的に,「基準」,「規準」,「仕様書」,「指針」のような形で公表されてきた.これらの英文表記は,「Academic Standards for~」としていたが,この「Academic Standards」には教育水準といった意味もあり,AIJES の目的とは異なる意味に解される場合もあり誤解を生ずる恐れがあるとの指摘も寄せられた.そこで,2010年度以降に発刊されるAIJES については,英文表記を「Standards for~」等に変更

することを決定した.また,既発刊のAIJES については,改定版発刊時に英文表記を変更することとした.

2010年9月 日本建築学会 環境工学委員会

日本建築学会環境基準(AIJES)の発刊に際して

 本会では,各種の規準・標準仕様書の類がこれまで構造・材料施工分野においては数

多く公表されてきた.環境工学分野での整備状況は十分ではないが,われわれが日常的

に五感で体験する環境性能に関しては法的な最低基準ではない推奨基準が必要であると

いえる.ユーザーが建物の環境性能レベルを把握したり,実務家がユーザーの要求する

環境性能を実現したりする場合に利用されることを念頭において,新しい学術的成果や

技術的展開を本会がアカデミック・スタンダードとして示すことは極めて重要でありま

す.おりしも,本会では、1998年 12月に学術委員会が「学会の規準・仕様書のあり方

について」をまとめ,それを受けて 2001年 5月に「学会規準・仕様書のあり方検討委員

会報告書(答申)」が公表された.これによれば,「日本建築学会は,現在直面している

諸問題の解決に積極的に取り組み,建築界の健全な発展にさらに大きく貢献することを

目的として,規準・標準仕様書類の作成と刊行を今後も継続して行う」として,本会に

おける規準・標準仕様書等は,次の四つの役割,すなわち,実務を先導する役割,法的

規制を支える役割,学術団体としての役割,中立団体としての役割,を持つべきことを

うたっている.

 そこで,本委員会では,1999年 1月に開催された環境工学シンポジウム「これからの

性能規定とアカデミック・スタンダード」を皮切りとして,委員会内に独自のアカデミッ

ク・スタンダードワーキンググループを設置するとともに,各小委員会において環境工

学各分野の性能項目,性能基準,検証方法等の検討を行い,アカデミック・スタンダー

ド作成についての作業を重ねてきた.

 このたび,委員各位の精力的かつ献身的な努力が実を結び,逐次発表を見るに至った

ことは,本委員会といたしましてたいへん喜ばしいことである.このアカデミック・ス

タンダードがひとつのステップとなって,今後ますます建築環境の改善,地球環境の保

全が進むことへの期待は決して少なくないと確信している.

 本書の刊行にあたり,ご支援ご協力いただいた会員はじめ各方面の関係者の皆様に心

から感謝するとともに,このアカデミック・スタンダードの普及に一層のご協力をいた

だくようお願い申し上げる.

  2004年 3月

日本建築学会 環境工学委員会

る.

してたいへん喜ばしいことである.このアカデミック・スタンダー

ドがひとつのステップとなって,今後ますます建築環境の改善,地球環境の保全が進むことへの期待は決して少なくないと確信している.

おりしも,本会では,1998 年 12 月に学術委員会が「学会の規準・仕様書のあり方に

ついて」をまとめ,それを受けて 2001 年5月に「学会規準・仕様書のあり方検討委員

会報告書(答申)」が公表された.これによれば,「日本建築学会は,現在直面している

日本建築学会環境基準(AIJES)の発刊に際して

 本会では,各種の規準・標準仕様書の類がこれまで構造・材料施工分野においては数

多く公表されてきた.環境工学分野での整備状況は十分ではないが,われわれが日常的

に五感で体験する環境性能に関しては法的な最低基準ではない推奨基準が必要であると

いえる.ユーザーが建物の環境性能レベルを把握したり,実務家がユーザーの要求する

環境性能を実現したりする場合に利用されることを念頭において,新しい学術的成果や

技術的展開を本会がアカデミック・スタンダードとして示すことは極めて重要でありま

す.おりしも,本会では、1998年 12月に学術委員会が「学会の規準・仕様書のあり方

について」をまとめ,それを受けて 2001年 5月に「学会規準・仕様書のあり方検討委員

会報告書(答申)」が公表された.これによれば,「日本建築学会は,現在直面している

諸問題の解決に積極的に取り組み,建築界の健全な発展にさらに大きく貢献することを

目的として,規準・標準仕様書類の作成と刊行を今後も継続して行う」として,本会に

おける規準・標準仕様書等は,次の四つの役割,すなわち,実務を先導する役割,法的

規制を支える役割,学術団体としての役割,中立団体としての役割,を持つべきことを

うたっている.

 そこで,本委員会では,1999年 1月に開催された環境工学シンポジウム「これからの

性能規定とアカデミック・スタンダード」を皮切りとして,委員会内に独自のアカデミッ

ク・スタンダードワーキンググループを設置するとともに,各小委員会において環境工

学各分野の性能項目,性能基準,検証方法等の検討を行い,アカデミック・スタンダー

ド作成についての作業を重ねてきた.

 このたび,委員各位の精力的かつ献身的な努力が実を結び,逐次発表を見るに至った

ことは,本委員会といたしましてたいへん喜ばしいことである.このアカデミック・ス

タンダードがひとつのステップとなって,今後ますます建築環境の改善,地球環境の保

全が進むことへの期待は決して少なくないと確信している.

 本書の刊行にあたり,ご支援ご協力いただいた会員はじめ各方面の関係者の皆様に心

から感謝するとともに,このアカデミック・スタンダードの普及に一層のご協力をいた

だくようお願い申し上げる.

  2004年 3月

日本建築学会 環境工学委員会

る.

してたいへん喜ばしいことである.このアカデミック・スタンダー

ドがひとつのステップとなって,今後ますます建築環境の改善,地球環境の保全が進むことへの期待は決して少なくないと確信している.

おりしも,本会では,1998 年 12 月に学術委員会が「学会の規準・仕様書のあり方に

ついて」をまとめ,それを受けて 2001 年5月に「学会規準・仕様書のあり方検討委員

会報告書(答申)」が公表された.これによれば,「日本建築学会は,現在直面している

日本建築学会環境基準(AIJES)の発刊に際して

 本会では,各種の規準・標準仕様書の類がこれまで構造・材料施工分野においては数

多く公表されてきた.環境工学分野での整備状況は十分ではないが,われわれが日常的

に五感で体験する環境性能に関しては法的な最低基準ではない推奨基準が必要であると

いえる.ユーザーが建物の環境性能レベルを把握したり,実務家がユーザーの要求する

環境性能を実現したりする場合に利用されることを念頭において,新しい学術的成果や

技術的展開を本会がアカデミック・スタンダードとして示すことは極めて重要でありま

す.おりしも,本会では、1998年 12月に学術委員会が「学会の規準・仕様書のあり方

について」をまとめ,それを受けて 2001年 5月に「学会規準・仕様書のあり方検討委員

会報告書(答申)」が公表された.これによれば,「日本建築学会は,現在直面している

諸問題の解決に積極的に取り組み,建築界の健全な発展にさらに大きく貢献することを

目的として,規準・標準仕様書類の作成と刊行を今後も継続して行う」として,本会に

おける規準・標準仕様書等は,次の四つの役割,すなわち,実務を先導する役割,法的

規制を支える役割,学術団体としての役割,中立団体としての役割,を持つべきことを

うたっている.

 そこで,本委員会では,1999年 1月に開催された環境工学シンポジウム「これからの

性能規定とアカデミック・スタンダード」を皮切りとして,委員会内に独自のアカデミッ

ク・スタンダードワーキンググループを設置するとともに,各小委員会において環境工

学各分野の性能項目,性能基準,検証方法等の検討を行い,アカデミック・スタンダー

ド作成についての作業を重ねてきた.

 このたび,委員各位の精力的かつ献身的な努力が実を結び,逐次発表を見るに至った

ことは,本委員会といたしましてたいへん喜ばしいことである.このアカデミック・ス

タンダードがひとつのステップとなって,今後ますます建築環境の改善,地球環境の保

全が進むことへの期待は決して少なくないと確信している.

 本書の刊行にあたり,ご支援ご協力いただいた会員はじめ各方面の関係者の皆様に心

から感謝するとともに,このアカデミック・スタンダードの普及に一層のご協力をいた

だくようお願い申し上げる.

  2004年 3月

日本建築学会 環境工学委員会

日本建築学会環境基準制定の趣旨と基本方針

⑴ 本会は,「日本建築学会環境基準」を制定し社会に対して刊行する.本基準は,日本

建築学会環境工学委員会が定める「建築と都市の環境基準」であり,日本建築学会環境

基準(以下, AIJESという)と称し,対象となる環境分野ごとに記号と発刊順の番号を

付す.

⑵ AIJES制定の目的は,本会の行動規範および倫理綱領に基づき,建築と都市の環境

に関する学術的な判断基準を示すとともに,関連する法的基準の先導的な役割を担うこ

とにある.それによって,研究者,発注者,設計者,監理者,施工者,行政担当者が,

AIJESの内容に関して知識を共有することが期待できる.

⑶ AIJESの適用範囲は,建築と都市のあらゆる環境であり,都市環境,建築近傍環境,

建物環境,室内環境,部位環境,人体環境などすべてのレベルを対象とする.

⑷ AIJESは、「基準」、「規準」、「仕様書」、「指針」のような形で規定されるものとする.

以上の用語の定義は基本的に本会の規定に従うが,AIJESでは,「基準」はその総体を指

すときに用いるものとする.

⑸ AIJESは,中立性,公平性を保ちながら,本会としての客観性と先見性,論理性と

倫理性,地域性と国際性,柔軟性と整合性を備えた学術的判断基準を示すものとする.

 それによって,その内容は,会員間に広く合意を持って受け入れられるものとする.

⑹ AIJESは,安全性,健康性,快適性,省エネルギー性,省資源・リサイクル性,環

境適合性,福祉性などの性能項目を含むものとする.

⑺ AIJESの内容は,建築行為の企画,設計時,建設時,完成時,運用時の各段階で適

用されるものであり,性能値,計算法,施工法,検査法,試験法,測定法,評価法など

に関する規準を含むものとする.

⑻ AIJESは,環境水準として,最低水準(許容値)、推奨水準(推奨値)、目標水準(目

標値)などを考慮するものとする.

⑼ AIJESは,その内容に学術技術の進展・社会状況の変化などが反映することを考慮

して,必要に応じて改定するものとする.

⑽ AIJESは,実際の都市,建築物に適用することを前提にしている以上,原則として,

各種法令や公的な諸規定に適合するものとする.

⑾ AIJESは,異なる環境分野間で整合の取れた体系を保つことを原則とする.

, , , ,

時,設計時,建設時,完成時,運用時の各段階で

, ,

適用されるものであり,性能値,計算法,施工法,検査法,試験法,測定法,評価法などに関する規準を含むものとする.

規準作成関係委員(2011 年 2 月現在)

―(五十音順・敬称略)―

環境工学委員会

委員長 久 野 覚

幹 事 飯 塚 悟 佐土原 聡 讃 井 純一郎

委 員 (略)

企画刊行運営委員会

主 査 井 上 勝 夫

幹 事 稲 留 康 一

委 員 (略)

アカデミックスタンダード小委員会

主 査 井 上 勝 夫

幹 事 稲 留 康 一 北 原 博 幸

委 員 (略)

都市・建築空間における音声伝送品質評価規準刊行小委員会

主 査 佐 藤 洋

幹 事 小 林 正 明 西 川 嘉 雄

委 員 菰 田 基 生 佐 藤 逸 人 橋 本 修 秦 雅 人

前 田 耕 造

執筆担当委員

都市・建築空間における音声伝送品質評価規準刊行小委員会

小 林 正 明 佐 藤 逸 人 佐 藤 洋 西 川 嘉 雄

橋 本 修 秦 雅 人 前 田 耕 造

委員長

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Ⅰ 都市・建築空間における音声伝送性能評価規準・同解説 1. 目 的 ..................................................................................................................... 1 2. 適用範囲 ..................................................................................................................... 1 3. 用 語 ..................................................................................................................... 2 4. 音声伝送性能のクラスの意味 ..................................................................................... 5 5. 音声伝送性能のクラス ................................................................................................ 6 6. 評価手順 ..................................................................................................................... 7

Ⅱ 本文および付録利用の手引き A. 音声伝送を必要とする空間の評価 ............................................................................... 9 B. 音声伝送を必要とする空間の設計 ............................................................................. 10 C. 研究・開発のために................................................................................................... 11 D. 空間の音声伝送性能のクラスの設定例 ...................................................................... 12

D.1 講堂 ...................................................................................................................... 12 D.1.1 空間用途と対応する情報伝達形態の設定 ...................................................... 12 D.1.2 情報伝達形態ごとの伝送種別の設定 ............................................................. 13 D.1.3 音声伝送性能のクラスの設定 ........................................................................ 14 D.1.4 設計と評価 .................................................................................................... 15

D.2 体育館 ................................................................................................................ 15 D.2.1 空間用途と対応する情報伝達形態の設定 ...................................................... 15 D.2.2 情報伝達形態ごとの伝送種別の設定 ............................................................. 16 D.2.3 音声伝送性能のクラスの設定 ........................................................................ 16 D.2.4 設計と評価 .................................................................................................... 17

Ⅲ 付 録

1.音声伝送性能の評価方法 ........................................................................................... 19 1.1 主観的評価方法 ..................................................................................................... 19

1.1.1 主観的評価方法の分類とそれらの特徴 .......................................................... 19 A. 正答率による方法 ........................................................................................... 19 B. 心理学的測定法による音声伝送性能の評価 .................................................... 20 C. 正答率と心理学的測定法を併用した評価方法................................................. 20

1.1.2 「聴き取りにくさ」と「聴き取り間違い」の関係 ......................................... 20 A. 「聴き取りにくさ」 ........................................................................................ 20 B. 「聴き取り間違い」 ........................................................................................ 22

都市・建築空間における音声伝送性能評価規準・同解説

1.1.3 「聴き取りにくさ」と「聴き取り間違い」に基づいた音声伝送性能のクラス

................................................................................................................................. 23 A. クラスの境界................................................................................................... 23 B. 「聴き取りにくさ」と「聴き取り間違い」のクラスの対応 ........................... 25

1.1.4 「聴き取りにくさ」の心理モデルの仮定と z 値の関係 ................................ 26 1.2 物理的評価方法 ..................................................................................................... 29

1.2.1 種々の物理的評価指標の概要 ......................................................................... 29 A. 騒音によるマスキングの影響に着目した方法................................................. 29 B. 室応答のエネルギ比に着目した方法 ............................................................... 29 C. 音声信号強度の時間変化に伴う包絡線情報保存度に着目した方法 ................ 30

1.2.2 STIrについての解説 ........................................................................................ 31 1.3 音声伝送性能のクラスと物理的評価指標の関係 ................................................... 35

1.3.1 STIrと音声伝送性能のクラスの関係 ............................................................... 35 1.3.2 聴感実験の概要 .............................................................................................. 36

A. 実験条件 .......................................................................................................... 36 B. 「聴き取りにくさ」と STIrの関係 .................................................................. 38

1.3.3 「聴き取りにくさ」と U50の関係 .................................................................. 39 2. STIrの測定手順と STIrによる評価方法 ....................................................................... 43

2.1 インパルス応答を用いた STIrの測定方法 ............................................................. 43 2.1.1 測定条件 .......................................................................................................... 43

A. 測定用音源 ...................................................................................................... 43 B. 受音系およびそれらの位置 ............................................................................. 43

2.1.2 測定方法 .......................................................................................................... 44 A. 測定用音源信号 ............................................................................................... 44 B. 応答測定の条件 ............................................................................................... 44

2.1.3 背景騒音の影響についての考慮 ..................................................................... 44 2.1.4 電気音響設備を用いた音声入力方式の違いによる STIrの測定方法 ............... 45

A. 拡声系統のフィードバックがある場合(マイク入力) .................................. 45 B. 拡声系統のフィードバックがない場合(ライン入力) .................................. 47

2.2 測定評価レポート ............................................................................................... 47 3. 電気音響設備 .............................................................................................................. 50

3.1 電気音響設備を使用した音声入力方式の種類と問題点 ........................................ 50 3.2 設計上の留意点 ..................................................................................................... 51 3.3 音響調整および動作特性の測定 ............................................................................ 52

3.3.1 音響調整の方法 .............................................................................................. 52 3.3.2 動作特性の測定方法 ....................................................................................... 53

A. 最大再生音圧レベル ........................................................................................ 53 B. 伝送周波数特性 ............................................................................................... 53 C. 音圧レベル分布 ............................................................................................... 53 D. 安全拡声利得 .................................................................................................. 53 E. 残留雑音レベル ............................................................................................... 54

3.4 運用上の留意点 ........................................................................................................ 54 3.5 非常放送設備 ............................................................................................................ 55

3.5.1 非常放送設備と消防法 ..................................................................................... 55 3.5.2 消防法施行令(昭和 36 年施行,平成 6 年改正) ........................................... 55 3.5.3 設置対象と設置・性能基準 .............................................................................. 55 3.5.4 非常放送設備と音声伝送 .................................................................................. 57

4. 物理的指標(STIr)の予測 .................................................................................................. 59 4.1 予測方法の概要 ........................................................................................................ 59 4.2 残響時間のみによる予測 .......................................................................................... 59 4.3 残響時間および音源-受音点間距離による予測 ...................................................... 60

5. 音声伝送性能評価のためのインパルス応答データベース .............................................. 61 5.1 インパルス応答データベースの概要 ........................................................................ 61 5.2 インパルス応答データベースと音声伝送性能のクラスの関係 ................................. 63

5.2.1 空間用途と音声伝送性能のクラス ..................................................................... 63 5.2.2 室容積と音声伝送性能とのクラス ...................................................................... 64

5.3 残響時間および音源-受音点間距離と STIrとの関係 ............................................... 65 5.3.1 残響時間と STIrとの関係 ................................................................................... 65 5.3.2 音源-受音点間距離と STIrとの関係 ................................................................. 66 5.3.3 電気音響設備の効果 ........................................................................................... 67

5.4 インパルス応答データベースを用いた予測の検証 ................................................... 68 5.4.1 残響時間による予測 ........................................................................................... 68 5.4.2 残響時間および音源-受音点間距離による予測 ................................................ 69 5.4.3 STIr予測のまとめ ............................................................................................... 70

6. 音声による情報伝達を必要とする空間の設計について ................................................. 71 6.1 音声伝送性能の設計について ................................................................................... 71 6.2 室の規模に応じた STIrと吸音率の関係 .................................................................... 71 6.3 同一音場における STIrの最小値と予測値の関係 ...................................................... 71 6.4 実音場における室の規模と吸音率の関係 ................................................................. 72 6.5 従来の室内音響設計との比較 ................................................................................... 73 6.6 同一音場における STIrの最小値に騒音が及ぼす影響について ................................ 73

7. 音源スピーカの指向性の影響 ....................................................................................... 75

7.1 音声伝送性能測定のための音源用スピーカ ............................................................. 75 7.2 スピーカの概要と指向特性 ...................................................................................... 75 7.3 音源スピーカの違いが音声伝送性能の測定値に及ぼす影響 .................................... 77

8. 音声伝送時の音声聴取位置での音量設定方法 ............................................................... 80 9. 騒音環境における高齢者の音声の聴き取り ................................................................... 82