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PGM市場レポート2018年2月 1 Precious Metals Management プラチナ市場の要約 2017年の供給と需要 中国の宝飾需要と日本の投資需要の急減により、プラチナ需要は 2017 年に鈍化した。 中国ではプラチナ宝飾品が 18 金等の宝飾品に市場シェアを奪われたため、プラチナ宝 飾加工需要が減少し、日本では 2 年間にわたって異例の高水準にあったプラチナ地金 販売量がより通常に戻った。もっとも、自動車触媒市場は予想よりも堅調で、需要の減 少も前年比でわずかな水準にとどまった一方で、産業用のプラチナ使用量は増加した。 また、リサイクル量の増加が鉱山供給量の減少を補ったため、2017 年のプラチナ市場 はわれわれの予想通りわずかな供給過剰となった。 われわれの概算によると、世界のプラチナ一次供給量は 2017 年に 600 万オンス弱と なり、前年比で 2%減少した。ロシアでは在庫販売量と砂鉱床の生産量が減少して出荷 量が 7.5%減となり、北米の生産量も処理工程の変更による影響を受けた。南アフリカ では、世界の 2 大プラチナ一次生産者であるアングロ・アメリカン・プラチナムとイ ンパラ・プラチナムの処理施設が技術的問題に見舞われたため、未精錬在庫が大きく変 動した。この影響により、在庫の一部が精錬されず 2018 年に先送りされた。2017 年 の最終的な生産量と販売量は本稿執筆時点でまだ入手できていないため、鉱山供給量に 関するわれわれの見積もりは暫定値である。 2017 年、南アフリカのプラチナ鉱山生産量は前年からほぼ変わらなかった。同国最大 のプラチナ採掘事業のうち、シバニェ・スティルウォーターのルステンバーグプラチ ナ鉱山とインパラ・プラチナムのルステンバーグリース鉱区の 2 ヵ所では増産となり、 モガラクエナ露天鉱(アングロ・アメリカン・プラチナム)も前年に続いて記録的な業 績を達成した。しかし、南アフリカの事業環境は依然として厳しく、安全上の操業停止 と社会の混乱が主因となって、採掘作業が散発的に中断する状況が続いている。 また、鉱山閉鎖は 2017 年も続き、プラチナ・グループ・メタルズ・リミテッドのマセヴェ (Maseve)鉱山が年央に生産を中止し、アトラツァ・リソーシズ(Atlatsa Resources) のボコニ鉱山が 9 月末に一時閉鎖となった。マセヴェ(Maseve)の地上設備は、近隣 の BRPM 鉱山やスタイドリフト(Styldrift)鉱山を運営するロイヤル・バフォケン・プ ラチナムに売却される予定である。 南アフリカでは昨年、処理作業の中断が相次いだことから、地金生産が打 撃を受けた。アングロ・アメリカン・プラチナムでは、ウォーターヴァル 精錬所の溶鉱炉で 2016 年に溶融マットが漏洩したことから、2017 年の 年明けには仕掛在庫が通常の水準を上回っていた。さらに 2017 年 6 月に は、同精錬所の転炉で高圧水の漏水が発生したため、この仕掛在庫の精錬 は遅れたが、年末までには処理を終えた。また 10 月には、グレンコアと のモトトロ合弁事業で鉱滓ダムの壁に漏水が発見されたために選鉱作業を 見合わせていたことを発表。処理作業が再開されるまでは新たに採掘され 宝飾需要と投資需要の減少によ り、プラチナ市場はわずかながら も供給過剰に転じた。 鉱山供給量は小幅な減少もリサ イクル量の増加によって相殺さ れ、総供給量の合計は昨年とほぼ 変わらない水準となった。 欧州のディーゼル車生産台数とプ ラチナ充填量がいずれも小幅な減 少となったことを受けて、自動車 用需要も前年比で 1%減少した。 大半の産業セクターの堅調なプ ラチナ需要により、産業用消費 量は 200 万オンスに迫る水準ま で大幅に増加した。 中国市場が強い逆風を受けたこ とから、世界の宝飾加工需要は 8%も減少した。 日本の地金販売量が大幅に減少 したことを受けて、プラチナ投 資は 26 万オンス以上減少した。 要約:プラチナ プラチナの供給と需要 (単位:1,000 oz) 供給 2015年 2016年 2017年 9 南アフリカ 4,572 4,392 4,364 ロシア 670 703 650 その他 865 988 962 供給合計 6,107 6,083 5,976 需要 自動車触媒 3,228 3,327 3,285 宝飾品用 2,746 2,412 2,227 産業用 1,753 1,855 1,978 投資用 451 620 356 総需要合計 8,178 8,214 7,846 リサイクル量 -1,715 -1,929 -1,980 純需要合計 6,463 6,285 5,866 在庫変動 -356 -202 110

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PGM市場レポート2018年2月

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Precious Metals Management

プラチナ市場の要約2017年の供給と需要

中国の宝飾需要と日本の投資需要の急減により、プラチナ需要は 2017 年に鈍化した。中国ではプラチナ宝飾品が 18 金等の宝飾品に市場シェアを奪われたため、プラチナ宝飾加工需要が減少し、日本では 2 年間にわたって異例の高水準にあったプラチナ地金販売量がより通常に戻った。もっとも、自動車触媒市場は予想よりも堅調で、需要の減少も前年比でわずかな水準にとどまった一方で、産業用のプラチナ使用量は増加した。また、リサイクル量の増加が鉱山供給量の減少を補ったため、2017 年のプラチナ市場はわれわれの予想通りわずかな供給過剰となった。

われわれの概算によると、世界のプラチナ一次供給量は 2017 年に 600 万オンス弱となり、前年比で 2%減少した。ロシアでは在庫販売量と砂鉱床の生産量が減少して出荷量が 7.5%減となり、北米の生産量も処理工程の変更による影響を受けた。南アフリカでは、世界の 2 大プラチナ一次生産者であるアングロ・アメリカン・プラチナムとインパラ・プラチナムの処理施設が技術的問題に見舞われたため、未精錬在庫が大きく変動した。この影響により、在庫の一部が精錬されず 2018 年に先送りされた。2017 年の最終的な生産量と販売量は本稿執筆時点でまだ入手できていないため、鉱山供給量に関するわれわれの見積もりは暫定値である。

2017 年、南アフリカのプラチナ鉱山生産量は前年からほぼ変わらなかった。同国最大のプラチナ採掘事業のうち、シバニェ・スティルウォーターのルステンバーグプラチナ鉱山とインパラ・プラチナムのルステンバーグリース鉱区の 2 ヵ所では増産となり、モガラクエナ露天鉱(アングロ・アメリカン・プラチナム)も前年に続いて記録的な業績を達成した。しかし、南アフリカの事業環境は依然として厳しく、安全上の操業停止と社会の混乱が主因となって、採掘作業が散発的に中断する状況が続いている。

また、鉱山閉鎖は 2017 年も続き、プラチナ・グループ・メタルズ・リミテッドのマセヴェ(Maseve)鉱山が年央に生産を中止し、アトラツァ・リソーシズ(Atlatsa Resources)のボコニ鉱山が 9 月末に一時閉鎖となった。マセヴェ(Maseve)の地上設備は、近隣の BRPM 鉱山やスタイドリフト(Styldrift)鉱山を運営するロイヤル・バフォケン・プ

ラチナムに売却される予定である。

南アフリカでは昨年、処理作業の中断が相次いだことから、地金生産が打撃を受けた。アングロ・アメリカン・プラチナムでは、ウォーターヴァル精錬所の溶鉱炉で 2016 年に溶融マットが漏洩したことから、2017 年の年明けには仕掛在庫が通常の水準を上回っていた。さらに 2017 年 6 月には、同精錬所の転炉で高圧水の漏水が発生したため、この仕掛在庫の精錬は遅れたが、年末までには処理を終えた。また 10 月には、グレンコアとのモトトロ合弁事業で鉱滓ダムの壁に漏水が発見されたために選鉱作業を見合わせていたことを発表。処理作業が再開されるまでは新たに採掘され

• 宝飾需要と投資需要の減少により、プラチナ市場はわずかながらも供給過剰に転じた。

• 鉱山供給量は小幅な減少もリサイクル量の増加によって相殺され、総供給量の合計は昨年とほぼ変わらない水準となった。

• 欧州のディーゼル車生産台数とプラチナ充填量がいずれも小幅な減少となったことを受けて、自動車用需要も前年比で 1%減少した。

• 大半の産業セクターの堅調なプラチナ需要により、産業用消費量は 200 万オンスに迫る水準まで大幅に増加した。

• 中国市場が強い逆風を受けたことから、世界の宝飾加工需要は8%も減少した。

• 日本の地金販売量が大幅に減少したことを受けて、プラチナ投資は 26 万オンス以上減少した。

要約:プラチナ

プラチナの供給と需要 (単位:1,000 oz)

供給 2015年 2016年 2017年9

南アフリカ 4,572 4,392 4,364

ロシア 670 703 650

その他 865 988 962

供給合計 6,107 6,083 5,976

需要

自動車触媒 3,228 3,327 3,285

宝飾品用 2,746 2,412 2,227

産業用 1,753 1,855 1,978

投資用 451 620 356

総需要合計 8,178 8,214 7,846

リサイクル量 -1,715 -1,929 -1,980

純需要合計 6,463 6,285 5,866

在庫変動 -356 -202 110

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南アフリカでは、処理作業の中断が相次ぎ、地金の生産量に影響を及ぼした

た鉱石が在庫として積み上がるため、約 4 万 5,000 オンスのプラチナ生産が遅れることになる。

インパラ・プラチナムでは、南アフリカの 2 ヵ所の溶鉱炉とジンバブエのジムプラッツ精錬所のメンテナンス作業によって年末の仕掛在庫が通常の水準を上回り、ノーザム・プラチナムでも、新たな溶鉱炉の稼働を控えて PGM 精鉱の在庫が積み上がった。これとは対照的に、ロンミンでは精錬プラントを洗浄して PGM 含有物質の回収処理作業を続けたため、地金の生産量が鉱山生産量を上回った。われわれはこうした在庫変動を考慮したうえで、南アフリカの生産者によるプラチナ供給量が 2017 年に約 436 万オンスとなり、2016 年からわずかに減少したと推定する。

ジンバブエでは、生産者 3 社すべての鉱山生産量が引き続き増加した。もっとも、2016 年の記録的な供給量にはジムプラッツの未精錬在庫の処理を進めたことによる 2万オンスが含まれているため、2017 年の推定供給量は 2016 年をわずかに下回っている。ジムプラッツでは、昨年も精錬所の停電によって生産量が打撃を受けており、実際のところ、2017 年の生産分の一部は 2018 年に精錬されることになる。われわれは、年末の最終生産報告書に沿って供給量の推定値を調整し、5 月に刊行される次回のレポートで発表する予定である。

ロシアのプラチナ供給量に関しては、2017 年の暫定推定値を 65 万オンスとし、ノリリスク・ニッケルが在庫からの供給を行った 2016 年から 7.5%減少したと推定する。ロシア極東部に位置する砂鉱床のコンディール(Kondyor)鉱山とコリャーク(Koryak)鉱山では、処理量と品位の双方が急減したため、生産量が引き続き減少したが、ノリリスク・ニッケルの地金生産量は 2017 年第 1 四半期に一時的に落ち込んだ後に回復した。原因は、PGM の選鉱作業の一部をノリリスクの鉱山からコラ半島にある同社の複合処理施設へと移転させる間に仕掛在庫が短期的に増加したことにあった。

近年、ノリリスク・ニッケルは、同社の採鉱地に貯蔵された古い磁硫鉄鉱精鉱を精錬することによって、生産量を増やしてきた。今やこの在庫は使い尽くされてしまったが、2016 年 12 月にはノリリスク地域で 1980 年代に採掘・処理された銅精鉱を国営のロ

ステク(Rostec)から購入し、2017 年にはこの銅精鉱から PGM を採収し始めた。

北米では、2017 年の推定供給量が計 31 万 8,000オンスとなり、前年比で 6%減少した。ヴェールもグレンコアも、カナダの鉱山で銅とニッケルの生産量が減少したことを反映し、年初来 9 ヵ月間のプラチナ生産量が前年同期比で 2 桁の減少となったと報告。もっとも、ヴェールのサドバリー精錬所のメンテナンスと生産工程の変更によって PGMの精錬が遅れていたため、最終四半期には生産量が増加に転じる可能性があると考えられ、通年の見積もりにもこの見方が反映されている。

米国では、モンタナ州のスティルウォーター鉱山とイーストボルダー鉱山が 2017 年 5 月に合併し

ノリリスク・ニッケルは、古い銅精鉱を処理することによって、PGM の生産量を補った

プラチナの供給と需要

2013年 2015年2014年 2016年

一次供給量 リサイクルからの供給量 総需要

1,000 oz

2017年0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

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てシバニェ・スティルウォーターグループと改名され、生産量が前年比でわずかに増加。同社が進めるブリッツ拡張プロジェクトは 2017 年 9 月 29 日に生産を開始した。

全体では、一次供給量がやや減少した一方で、二次供給量が 3%増加して約 200 万オンスに達した。中古宝飾品のリサイクル量は減少したが、自動車触媒のリサイクル量が急増したため、廃車からのプラチナリサイクル量も増加して記録的な水準に達した。

2015 年と 2016 年には、鉄鋼価格の低迷によって廃車台数が急減するとともに、PGM価格が変動する中で集荷業者が今後の価格上昇を期待して継続的にスクラップの放出を控えたことで、自動車触媒のスクラップ量は大幅に低迷した。もっとも、スクラップ市場は 2016 年終盤から回復の兆しを見せ始め、昨年にはこの基調が加速。主要リサイクル業者の報告によると、使用済み触媒の処理量とプラチナ回収量の双方が 2 桁の増加となった。

こうした回復は主に、解体された使用済み自動車(ELV)の台数が急増したためであり、使用済み自動車触媒のプラチナ含有量が変化したためではなかった。われわれは、ディーゼル車のプラチナ消費量が 2000 年から急増したことを反映し、使用済み自動車触媒のプラチナ含有量が 2017 年に欧州市場を中心として大幅に増加すると予想していた。しかし、プラチナ含有量が 2017 年に大幅に増加したことを示す徴候はほとんどなく、これは自動車の平均使用年数が長くなっているためと分析される。

また、大半のディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)で担体として使用されている炭化ケイ素の処理に関連する技術的問題もある。炭化ケイ素のスクラップは酸化状態で処理する必要があるが、欧州のスクラップ精錬所の大半は還元状態で稼働するアーク炉を使用している。そのため、一部の使用済みディーゼル触媒に関しては現地のスクラップ処理能力が不足しており、処理や出荷に長期間を要するようになっている。

宝飾品のリサイクル量については、主要市場である日本と中国のリサイクル量が減少していることを反映し、世界全体で前年比 15%減の 62 万 3,000 オンスにとどまると推定される。日本では、金価格の上昇によって宝飾品のリサイクルがブームとなり、プラチナ宝飾品のリサイクル量も 2012 年~ 2013 年にピークを付けたが、それ以降は従来

の平均的な水準に戻っている。

中国では、宝飾品のリサイクル市場が大きく変化しつつある。過去には、宝飾品の流通経路のみでリサイクルが行われていた。つまり、消費者は不要になったプラチナ宝飾品を小売店に持ち込み、新しく、そして通常はより重い宝飾品に交換し、小売業者と卸売業者は余剰在庫や旧製品を定期的にメーカーに返品し、メーカーはこれを新たな製品に作り替えていた。過去 10 年間にわたり、こうした方法でリサイクルされたプラチナは中国のプラチナ宝飾加工量の約 4 分の 1 を占めてきた。

もっとも、最近では、こうした既存の「クローズドループ」網以外でも、リサイクルが行われている。

シバニェ・スティルウォーターのブリッツ拡 張プロジェクトは、2017 年 9 月 29 日に生産を開始した

使用済み自動車触媒からのリサイクル量は記録的な水準まで増加した

鉄鋼スクラップ価格(ロッテルダム港FOB価格、米ドル/トン)

2015年2014年 2016年

米ドル/トン

2017年0

50

100

150

200

250

300

350

400

出所:Bloomberg

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すなわち、中古宝飾品を新しい宝飾品に交換することを望まない消費者がスクラップ集荷業者に現金取引で中古宝飾品を直接売却しており、こうした中古宝飾品は地元の精錬業者によって処理されて、宝飾品加工業者もしくは宝飾業界以外の需要家のいずれかに販売されている。2017 年には、こうした方法でリサイクルされたプラチナ宝飾品が大幅に増加したと考えられる。

これとは対照的に、既存の「クローズドループ」の流通網を通じて返品され、再加工される売れ残り在庫の量は、前年に異例の高水準であったことから、2017 年には急減した。2015 年以降、中国では宝飾流通網の合理化が進むとともに、ファッション用宝飾部門では、プラチナ宝飾品の市場シェアが 18 金等の宝飾品に奪われてきた。これによって、小売業者や卸売業者が許容可能な在庫量にも影響が及び、2016 年には、流通網全体で広範囲にわたって、在庫の削減が図られた。プラチナ宝飾品の販売スペースの縮小も一因となり、昨年も在庫の削減は続いたが、影響は 2016 年に比べるとはるかに小さくなっている。

プラチナの総需要は 4%減の 785 万オンスにとどまった。主因は、中国の宝飾品製造量と日本の投資用地金販売量の急減にあった。この急減を補ったのが産業セクターの堅調な需要で、プラチナの産業用消費量は 7%増の 200 万オンス弱となり、2011 年の記録とほぼ並んだ。昨年は、自動車触媒用需要の変動が比較的小さく、この用途でのプラチナ使用量は 329 万オンスとなって、わずか 1%の減少にとどまった。

前回のレポートでは、自動車触媒用のプラチナ需要が 2017 年に 5%減少すると予想した。しかし、小型ディーゼル車の生産台数が予想以上に持ちこたえ、欧州では小幅な減少、世界全体では 2%の増加となった。一方、平均プラチナ充填量は小幅な変動にとどまった。大型ディーゼル車セクターでは、プラチナ消費量が増加となった。一方、ディーゼル車向けのプラチナ使用量は合計で前年とほぼ変わらない水準となった。もっとも、ガソリン車用触媒では、プラチナ需要が小幅ながらもさらに減少した。

欧州の小型ディーゼル車向け排ガス規制の新たな段階となる Euro 6d-TEMP は 2017 年9 月に導入された。この規制の段階的導入期間中には、NOx 制御技術に関して、プラ

チナ含有量の多いリーン NOx トラップ触媒(LNT)離れが徐々に進み、PGM を使用しない選択還元触媒(SCR)技術の採用が拡大すると予想される。SCR は酸化触媒や微粒子捕集フィルターといったプラチナを含有する装置と併用されることになるが、Euro 6d-TEMP に適合する後処理装置では Euro 6bの適合装置よりも平均プラチナ含有量が減少すると予想される。もっとも、この新たな規制は 2017年末までの 4 ヶ月間に発売された新型車のみに適用されているため、プラチナの平均充填量に対する影響はわずかなものにとどまっている。

大型車用触媒のプラチナ需要は 2017 年に世界全体で 3%増加したと推定される。背景には、トラック生産台数が米国や日本といった主要市場で増加し

産業用プラチナ消費量は 7%増加して 200 万オンス弱に達した

プラチナ宝飾品のリサイクル量は日本と中国の減少を反映して、世界全体で前年比 15%減となった

中国のプラチナ宝飾品リサイクル量

2010年2008年 2012年

1,000oz

2014年0

100

200

300

400

500

600

700

2011年2009年 2013年 2015年 2017年2016年

宝飾品リサイクル量 総需要に占めるリサイクル量の割合(%)

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

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たことや、大型車におけるディーゼル酸化触媒の利用が中国で拡大したことがあった。ちなみに、世界全体の大型ディーゼル車について見ると、プラチナを使用した触媒の装着率は2017 年に推定で約 60%となり、前年の 54%から拡大した。

化学セクターのプラチナ需要は引き続き好調で、すべての地域で堅調に推

移した。化学用途の大半では、中国が引き続き世界最大のプラチナ消費国となっており、「一帯一路」政策の下で奨励されている中国企業による海外市場投資も中国以外のプラチナ需要に大きく貢献している。

化学用途において、プラチナは化学製品の製造過程で使用されるが消費されない触媒という形をとっていることが多い。したがって、大半のプラチナは、最初に充填する触媒を購入するプラント建設時に購入され、それ以降は「補充」用に少量を必要とするに過ぎない。したがって、プラチナ需要が 2017 年に特に化学セクターで旺盛だったのは、パラキシレン生産設備が世界のその他の地域で拡充され、プロピレン脱水素プラントが中国で新設されたためであった。

特殊シリコンセクターのプラチナ需要は通常と異なり、プラチナ触媒が製造工程で消費され、プラチナは極めて低い濃度だが、最終製品の中に残る。こうした最終製品には様々な消費財や工業製品が含まれ、具体的にはシールや包装材、医療器具、ラベルの剥離ライナー、歯科用印象材などがある。近年、中国のシリコン市場は力強い経済成長と歩調を合わせて急成長を遂げており、これが刺激となって国内ではシリコン生産設備が新設されている。

中国は 2017 年に、石油精製セクターへの設備投資も旺盛に進めた。背景には、品質を高めて新たな排ガス規制に適合する製品を製造するために、業界が施設のアップグレー

ドを図ったことがあった。また、中国は特定の化学製品の自給自足を目標として、原油精製と川下の石油化学製品の製造を統合するという大型プロジェクトにも取り組んでおり、これによっても新規需要が生まれている。

昨年は、電子材セクターでもプラチナ需要が増加した。われわれの概算によると、ハードディスク(HDD)でのプラチナ使用量は前年比で 10%を上回る増加となった。消費者向け製品において、HDD は SSD(ソリッド・ステート・データ)記憶装置との熾烈な競争にさらされているが、クラウド用の「サーバーファーム」や企業用のデータ記憶装置では HDD の利用が一貫して拡大している。データ保存に関する要求は増えてお

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プラチナの需要:自動車触媒用(単位:1,000 oz)

総需要 リサイクル量 純需要

2015年 2016年 2017年9 2015年 2016年 2017年9 2015年 2016年 2017年9

欧州 1,668 1,821 1,766 -477 -501 -558 1,191 1,320 1,208

日本 395 391 396 -62 -66 -68 333 325 328

北米 368 346 326 -460 -470 -565 -92 -124 -239

中国 136 145 157 -14 -18 -23 122 127 134

その他の地域 661 624 640 -99 -104 -108 562 520 532

合計 3,228 3,327 3,285 -1,112 -1,159 -1,322 2,116 2,168 1,963

化学セクターのプラチナ需要は中国の「一帯一路」政策によって増加した

自動車触媒用プラチナ需要(総需要)

1,000 oz

日本欧州

2015年 2017年2016年

北米 中国 世界のその他の地域

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

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り、サーバーのドライブ数の増加に加え、1 ドライブ当たりのディスク枚数を増やして、こうした要求に対応する傾向もあり、この分野では、価格と容量の点から、SSD メモリーが HDD の市場シェアを侵食する可能性は限られている。

燃料電池用のプラチナ需要は電子材セクターの需要に含めており、2017年には 5 万オンス弱となった。日本の住宅用燃料電池(「エネファーム」)市場に関しては、プロトン交換膜(PEM)燃料電池の市場シェアがプラチナを使用しない固体酸化物系燃料電池に奪われたため、プラチナ需要は予想を下回った。これとは対照的に、燃料電池車(FCEV)のプラチナ使用

量は 2017 年に前年比で 300%強も増加。2017 年の燃料電池車の販売台数(主にカリフォルニア州と日本)は前年の 2 倍以上となり、中国では数百台の燃料電池バスが走行し始めた。発展する中国の FCEV 市場に関する詳細は 11 ページを参照のこと。

ガラス製造セクター向けのプラチナ販売量は 30 万オンスを上回り、6 年ぶりの高水準に達した。液晶画面(LCD)用ガラスの生産拡大のために PGM を購入する動きもあったが、この購入量は控えめな水準にとどまり、新規プラチナ需要の大半を占めたのは非常に好調なガラス繊維(ファイバーグラス)セクターであった。主要西欧諸国の経済活動が加速し、中国の経済成長も年 6%前後となっていることから、繊維強化プラスチックの需要が世界的に急成長している。これが刺激となり、中国を中心として、ガラス繊維の生産設備を新設するための多額の設備投資が行われている。新規投資で最大の割合を占めたのは中国国内市場であったが、中国企業は海外市場のダンピング防止関税を回避し、各国の奨励制度や減税制度の適用資格を得るために、自国以外でも生産設備を増設している。

その他の用途のプラチナ需要は 2017 年に約 4%増加した。エンジン制御システムや排ガス制御システムなどで使用されるセンサーなどの自動車部品のプラチナ使用量が増加したためである。タービンブレードやその他の航空エンジン部品に使用されるコーティング用のプラチナ需要も堅調であった。

プラチナの産業用市場は総じて好調だったが、対照的だったのが宝飾セクターであった。中国のプラチナ宝飾品市場は過去 3 年間にわたって強い逆風に見舞われており、目先は業況改善の兆しがほとんどない。ワールド・ゴールド・カウンシルによると、中国では、金の宝飾品に対する需要が2016 年に 17%減少し、2017 年の年初来 6 ヵ月間には減少が加速した。中国では、金が宝飾品販売の大半を占め、通常は価値の貯蔵手段として高純度で重量の大きい製品が購入される。しかし、売上げは急減しており、その結果として小売網の合理化が進んでいる。店舗は閉鎖されて、在庫は同一チェーンの他の店舗に振り分けられる、もしくはリサイクルのために返品される(3 ~ 4 ページを参照)。こうした合理化によってプラチナ宝飾

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ガラスメーカー向けのプラチナ販売量は 30 万オンスを上回り、過去 6 年間で最高となった

プラチナの産業用総需要

1,000 oz

化学石油

2015年 2017年2016年

その他医療/バイオメディカルガラス電子材

0

50

100

150

200

プラチナの需要:産業用(単位:1,000 oz)

2015年 2016年 2017年9

化学 502 527 521

電子材 228 230 258

ガラス 227 246 306

医療&バイオメディカル 215 218 220

石油 140 176 198

その他 441 458 475

合計 1,753 1,855 1,978

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PGM市場レポート2018年2月

品の販売スペースも縮小しているため、必要在庫量も全般的に減少している。

プラチナ宝飾品は伝統的な純金宝飾品とは直接競合しない傾向にある。もっとも、2017 年を通じて明らかになったのは、プラチナがファッションジュエリー業界で 18 金の宝飾品との厳しい競争を強いられているとい

うことである。中国の消費者は以前から、18 金等の宝飾品の購入には慎重な姿勢をとってきた。というのも、純金もしくはプラチナの宝飾品と比べると、18 金等の宝飾品は貴金属の含有率が低い(75%以下)ためである。純金もしくはプラチナの宝飾品は重量単位で販売され、小売業者は店舗に貴金属価格を表示する。これによって消費者は購入品本来の価値を確認することができ、後日に新製品と交換することも容易になる。これとは対照的に、18 金等の宝飾品は 1 個あたりの価格設定となっている。通常の場合、こうした価格は大幅なマージンが加味されて商品本来の価値を大きく上回っており、小売業者はこうした商品の交換に応じない。以前にはこれが障壁となったこともあり、中国では 18 金の宝飾品市場が発達しなかった。

しかし、中国の宝飾業界は過去 2 年間に苦しい状況に直面し、小売業者は純金もしくはプラチナの宝飾品よりも利幅が大きい18金等の宝飾品用の販売スペースを拡大して、収益悪化に対して対応してきた。また、宝飾店の従業員の歩合制度はこうした利幅を反映していることが多いことも、従業員がプラチナ宝飾品ではなく 18 金等の宝飾品を積極的に販売する理由となっている。

18 金等の宝飾品を巡るトレンドは主に収益悪化の軽減を期待した小売業者によって始まったようだが、マーケティング活動が進化する消費者の嗜好にうまく乗じたことは今や明らかである。これは特に、宝飾品の交換に対する関心が上の世代よりも薄い若年層

に当てはまる。その一方で、小売業者主導の 18金等の宝飾品市場の成長によって、メーカーでは 18 金等の宝飾品の製造が需要に追い付かず、プラチナ宝飾品がそのしわ寄せを受けることも多かった。

ジョンソン・マッセイは中国の加工需要に関して、年 2 回の調査を実施している。2017 年上半期の現地調査によると、プラチナの総使用量は前年同期比で17%減少した。下半期には減少ペースが減速すると考え、通年のプラチナ総消費量を前年比 14%減の 130 万オンスとしている。これは暫定値であり、最新の現地調査の完了を受けて 2018 年 5 月の次回レポートで数値を改訂する予定である。

Precious Metals Management

7

中国では、プラチナ宝飾品が18 金等の宝飾品との熾烈な競争にさらされている

中国のプラチナ宝飾業界による推定年間累積購入量(正味)

1,000 oz

2017年2014年 2015年 2016年

1月 12月11月10月9月8月7月6月5月4月3月2月0

200

1,000

1,400

1,800

400

600

800

1,200

1,600

プラチナの需要:宝飾品用(単位:1,000 oz)

総需要 リサイクル量 純需要

2015年 2016年 2017年9 2015年 2016年 2017年9 2015年 2016年 2017年9

欧州 203 177 174 -5 -5 -5 198 172 169

日本 314 310 309 -256 -241 -224 58 69 85

北米 227 220 225 -11 -3 0 216 217 225

中国 1,796 1,510 1,303 -298 -485 -391 1,498 1,025 912

その他の地域 206 195 216 -4 -4 -4 202 191 212

合計 2,746 2,412 2,227 -574 -738 -624 2,172 1,674 1,603

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PGM市場レポート2018年2月

中国とは対照的だったのがインドのプラチナ宝飾市場で、2016 年にはチェンナイ地区(プラチナ宝飾品の主要加工地域)の深刻な洪水被害、関税制度の変更による宝飾業界の先行き不透明感の高まり、「高額紙幣廃止」政策によって低迷したが、2017 年に 15%の成長を実現したと推定する。宝飾需要全般は昨年も低調だったが、プラチナ市場は新しく、金市場と比べると規模も小さいため、個人資産の増大や中間層の拡大といった人口動態に関する要因を追い風とした。

商品の販売個数を見ると、インドでもそれ以外のプラチナ宝飾市場と同様にイヤリングやペンダントなどの軽量商品やペアリングの人気が最も高いことがわかる。もっとも、インドでは、男性向け宝飾市場の規模と重要性が他の国と異なり、プラチナのチェーンやバングルの人気が徐々に高まっている。こうした商品は、チェーンが通常で 25 グラム前後、バングルが 50 グラム前後で、指輪の平均 8 グラムを大きく上回っており、インドの加工需要全体のかなりの割合を占めている。

産業用需要は旺盛で、宝飾需要は低迷し、自動車触媒用需要はほぼ変わらなかったことから、「消費」用途、すなわち投資を除くプラチナ需要は 2017 年に世界全体で控えめな減少にとどまった。しかし、投資需要を考慮すると、世界の需要は前年比で 4%すなわち約 37 万オンス減少しており、この減少分の大半を日本の投資用地金セクターが占め、世界の投資需要は 2017 年に 43%減の 35 万 6,000 オンスとなった。

2015 年と 2016 年には、日本の個人投資家が約 115 万オンスのプラチナを購入し、その大半が地金業者の店頭取引で購入されたプラチナ地金であった。地金投資のこうした急増は、プラチナ価格が金価格を大幅に下回ると同時に円建てプラチナ価格が続落したことと関連していた。これによって、日本の個人投資家は歴史的にも金価格との比較でも、プラチナ価格が割安であると認識し、日本では規模の点でも期間の点でも例を見ないプラチナ地金の販売ブームが起きた。

このブームは 2017 年に終わったが、価格環境は投資の継続にとって好ましく、円建てプラチナ価格は 2017 年を通じて重要な心理的水準である 4,000 円/グラムを下回り、金との価格差も 1,000 円/グラム前後と歴史的に高い水準にある。こうした要因によっ

て、投資はほぼ通年にわたってプラスを堅持したが、過去 2 年間と比較すると買いは控えめであった。

プラチナ ETF 投資は 2017 年に 3 年ぶりにプラスに転じた。背景には、南アフリカの ETF が 2 年間にわたって大量に解約された後に、ようやく安定したことがあった。南アフリカでは、ドル建てプラチナ価格があまり変動していない時期でもランド相場の変動によって買い場があったため、投資家が定期的に押し目買いを入れていた。これとは対照的に、ランド建てプラチナ価格がオンス当たり 1 万 3,000 ランドでピークを付けた 9 月序盤だけは、ETF が大量に解約された。

米国のプラチナ ETF 需要も 2 年連続のプラスとなった。これまでのところ、北米のプラチナ投資は価

Precious Metals Management

8

われわれの概算によると、インドのプラチナ宝飾市場は 2017 年に 15%の成長を遂げた

日本の地金販売ブームは 2017年に終わったが、投資はプラスを堅持している

プラチナと金の円建て小売価格(グラム当たり、8%の消費税を含む)

4,000

5,000

6,000

3,000

3,500

4,500

5,500

円/グラム

プラチナ 出所:田中貴金属工業(株)金

2015年1月 4月 7月 10月

2016年1月 4月 7月 10月

2017年1月 4月 7月 10月

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PGM市場レポート2018年2月

格と正の相関関係にあったが、今年は投資家の動向が変化したことを示す徴候があった。すなわち、最終四半期にはプラチナ価格が 900 ドル/ oz を割り込む水準まで下落したにもかかわらず、米国市場上場の ETF のプラチナ保有量が約 6 万 2,000 オンス増加したのである。

プラチナ投資需要が約 26 万オンス以上減少したことから、2017 年のプラチナ市場は小幅な供給過剰に転じた。2016 年以前の 5 年間には供給不足が続き、これによって英国やスイスが保有していたプラチナ在庫は大幅に減少した(10 ページの図を参照)。2017 年序盤には在庫の放出が続いたが、年央以降には市場が供給不足から脱したことに伴って、在庫の減少ペースも鈍化したようである。

Precious Metals Management

9

プラチナ市場は 5 年間の供給不足の後、2017 年に供給過多に転じた

南アフリカのETF発行残高(プラチナ)

1,000 oz

南アフリカランド/oz

2017年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

900

1,000

1,050

800

12,000

13,000

14,000

11,500

950

12,500

12月

ETF発行残高(プラチナ) 価格

850

13,500

750 11,000

欧州と米国のETF発行残高(プラチナ)

1,000 oz

米ドル/oz

2017年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

1,450

1,550

1,600

1,400

1,425

1,525

1,575

900

1,000

1,050

850

875

975

1,025

1,500

1,475

950

925

12月

ETF発行残高(プラチナ) 価格

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PGM市場レポート2018年2月

10

Precious Metals Management

プラチナ市場の展望2018年の供給と需要

2018 年には、欧州のディーゼル車の平均充填量が減少するため、自動車触媒でのプラチナ使用量も引き続き相応に減少すると同時に、中国の宝飾加工需要も 5 年連続で減少すると予想される。しかし、これを補う以上に増加するのが産業用途で、需要は史上最高水準となった昨年の水準を上回るであろう。ガラスメーカーは LCD 用ガラスとガラス繊維の生産設備を新設するために非常に大量のプラチナを購入し、化学需要も歴史的な高水準を維持するであろう。総合すると、投資を除くプラチナ消費量は小幅ながら増加すると予想される。もっとも、これに見合う形で、一次供給量と二次供給量の合計供給量も使用済み自動車触媒からのプラチナ回収量の増加を主因として小幅に増加するであろう。

世界のプラチナ一次供給量は 2018 年もほぼ変わらないであろう。というのも、今回に限っては、南アフリカの鉱山閉鎖による影響が、昨年積み上げられた未処理の在庫の精錬によって相殺されるためである。

鉱石在庫や仕掛在庫からの放出により、今年は南アフリカの生産量は 15 万オンスも増加するであろう。モトトロ鉱山で選鉱施設の停電を受けて未処理となっていた在庫が処理されると同時に、インパラ・プラチナムでは 2017 年の溶鉱炉のメンテナンス中に積み上がった未処理在庫が処理され、ノーザム・プラチナムでは新たな溶鉱炉の始動を控えて積み上がっている精鉱が精錬されることになる。こうした在庫の処理によって南アフリカのプラチナ供給量は 2018 年に一時的に増加するであろう。しかし、この増加の一部は、ボコニ鉱山とマセヴェ(Maseve)鉱山が 2017 年に閉鎖されたことによる減産によって相殺されるであろう。

ノリリスク・ニッケルの PGM 生産量はほぼ横ばいに推移すると予想されるが、ロシア極東部の砂鉱床の生産量は昨年に続いて減少するであろう。こうした鉱床はかつて年間 15 万オンスのプラチナを供給していたが、生産量が数年間にわたって減少し続けて

おり、2018 年は 2 万オンスにとどまるであろう。北米では、シバニェ・スティルウォーターのブリッツ拡張プロジェクトが供給量にかなり貢献するだろうが、サドバリーニッケル鉱山では PGM の品位が減少の一途を辿っている。

鉱山生産量は低調な水準が見込まれるが、二次供給量は使用済み自動車触媒の集荷量と処理量のさらなる増加を追い風とすると予想される。2015 年と 2016 年には一大市場の欧州と北米を中心としてリサイクル量が低迷していたことから、廃車台数がさらに増加する余地はある。欧州ではディーゼル車のプラチナ充填量が 2000 年~ 2007 年に劇的に増加したことに基づいて使用済み自動車触媒のプラチナ含有量も増加すると予想している。

• 鉱山供給量はほぼ変わらないため、自動車触媒のリサイクル量の増加が供給全体を押し上げることになろう。

• 記録的な産業用需要によって、投資を除くプラチナ消費量は世界的に増加するであろう。

• ガラスセクターは、LCD 用ガラスとガラス繊維の生産設備を新設するために、大量のプラチナを購入するであろう。

• 欧州のディーゼル車向け需要の低迷が米国の需要増加によってやや補われるものの、自動車触媒でのプラチナ消費量は小幅な減少となろう。

• 中国では、プラチナ宝飾品の加工量が引き続き減少するだろうが、減少ペースは鈍化するであろう。

• 投資需要が変わらないことを前提とすると、市場は引き続き小幅な供給過多になろう。

展望:プラチナ

2007年以降のイギリスとスイスからの累積流出量(プラチナ)

100万oz

米ドル/oz-3

-1

0

-5

1,250

1,750

2,250

1,000

-2

1,500

流出量(累積量、左軸) 価格(右軸)

-4

2,000

-6

-7

750

5002017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年2007年

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

11

中国の宝飾品リサイクル量は減少すると予想される。ただし、総需要に占めるリサイクル量の割合は引き続き通常の水準を上回るであろう。まとめると、一次供給量と二次供給量の合計は 2018 年に前年比で 2%~ 3%増加すると考える。

産業用途の見通しは非常に明るく、産業用のプラチナ需要は 2018 年に増加する可能性がある。ガラスメーカーが LCD 用ガラスとガラス繊維の生産設備を中国で拡充するために、非常に大量のプラチナ購入に向けて態勢を整えており、今年はガラスセクターにとって大きな年になろう。電子材セクターのプラチナ需要は燃料電池分野の力強い成長によって押し上げられるであろう。ちなみに、燃料電池の分野では、輸送車両用燃料電池のプラチナ消費量が定置型燃料電池のプラチナ消費量を初めて上回ると予想される。化学セクターのプラチナ需要は引き続き堅調で、プラチナの新規需要は 6 年連続で 50万オンスを上回ると予想される。

今年は、燃料電池車(FCEV)のプラチナ消費量の増加の大半を中国が占めることになろう。というのも、同国の多くの都市で、燃料電池バスプログラムが展開されているためである。これによって、2018 年~ 2021 年に引き渡し予定の燃料電池スタックが大量に発注されている。

中国では、燃料電池を巡る見通しがますます明るくなっている。昨年は、政府が新エネルギー車政策を展開し、FCEV の大衆市場が発展するための好環境が整った。補助金や奨励金の適用資格を得るためには、航続可能距離の最低水準や高速充電といった厳しい基準に対応する必要があり、それには燃料電池の利用が好まれることになる。これとは対照的に、充電型電池を搭載した電気自動車やプラグインハイブリッド車に対する財政支援は減少し、最終的になくなると予想される。中国政府の狙いは、中国全土の FCEV走行台数を 2025 年までに 5 万台、2030 年までに 100 万台に増やすことにある。

好調な産業用需要とは対照的に、自動車触媒でのプラチナ使用量は 2018 年に少し減少すると予想される。小型ディーゼル車の生産台数は、北米、インドおよびその他の地域の一部で増加し、欧州における 2 ~ 3%の減少を相殺することから、世界全体では横ばいとなるであろう。しかし、欧州で販売されるディーゼル車のプラチナ需要は平均充填量の減少によって打撃を受けるであろう。

充填量がこのように減少するのは、欧州の一部の自動車メーカーが触媒装着戦略を変更しているためである。すべてのディーゼル車は NOx 以外の有害物質を処理するためにプラチナを大量に使用する触媒を引き続き装着するものの、2017 年9 月に始まった排ガス規制 Euro 6d-TEMP の段階的導入により、NOx の制御に関しては PGM を使用しない SCR 技術への移行が予想される。このため、2018 年には、欧州の車両全般で、触媒の平均充填量が控えめながらも減少するであろう。

欧州の自動車触媒需要は減少するが、これは非常に堅調な米国のディーゼル車市場によって補われるであろう。北米の小型ディーゼル車生産台数は 100 万台に迫り、史上最高水準に達すると予想される。この地域では NOx 制御のために LNT よりもSCR 技術が広く利用されているものの、米国ディーゼル車は欧

一次供給量と二次供給量の合計 供 給 量 は 2018 年 に 2 ~ 3 %増加するであろう

中国では、燃料電池車の見通しがますます明るくなっている

燃料電池のプラチナ需要:需要に占める最終製品の内訳

需要全体に占める割合

2015年 2016年 2017年 2018年(予想)

70%

90%

100%

50%

80%

路上走行車 その他の車両

60%

40%

30%

20%

10%

0%

定置型電源 携帯およびその他の燃料電池

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

12

州よりも大型である傾向にあるため、触媒システムの PGM 充填量は増加するであろう。

中国のプラチナ宝飾品加工量は 4 年連続で減少しており、2018 年も減少ペースは鈍化するものの、減少基調は変わらないと予想される。中国の金宝飾品市場については、ワールド・ゴールド・カウンシルが 2017 年第 3 四半期の売上げを前年同期比 13%増と試算しており、2017 年下半期には回復を示す徴候があった。この基調が確認されれば、宝飾小売業者の収益悪化が軽減され、流通網がさらに合理化される可能性は少なくなるであろう。また、宝飾業界が重量単位ではなく商品単位の価格設定へと移行して利幅の拡大を図ることを目的として、プラチナ宝飾品のデザイン改善に取り組んでいることを示す徴候もある。もっとも、この取り組みの成功の可否を見極めるには時期尚早である。

日本のプラチナ宝飾需要は 1990 年代に 100 万オンス強でピークを付けたが、近年は年間 30 万オンス強で安定して推移している。日本では、プラチナの安値によって、メー

カーが手頃な価格で新商品を容易に開発できるようになっているため、安値が総じて宝飾需要の追い風となってきた。2018 年には、11 月に予定されている秋篠宮眞子内親王の結婚がプラチナ宝飾品市場に好影響を与えるであろう。つまり、内親王は結婚に関する儀式などでプラチナ宝飾品を身に着けると予想され、その写真や映像が露出することによって、内親王は若者の間で人気があるため、プラチナの売上げが刺激される可能性がある。しかし、この影響は中国の加工量減少による影響と比べると小さなものにとどまるであろう。

宝飾需要と自動車触媒用需要の減少にもかかわらず、「消費用途」のプラチナ使用量の合計(すなわち投資を除く)は 2018 年にやや増加すると予想される。つまり、今年も投資がプラチナ需要全体の方向性を決定する重要な要因になる。

プラチナ ETF が初めて発売された 2007 年以降の 11年間にわたり、ETF への現物投資需要、地金需要およびコイン需要の合計は平均すると年間 50 万オンス前後で推移してきた。しかし、この期間には投資需要を構成する 2 大要素が正反対の動きを示してきた。すなわち、ETF の買いが異例なほどに旺盛な時期には日本の個人投資家向け投資地金の需要が落ち込み、その逆に ETF が解約された時期には地金需要が旺盛になった。

日本の個人投資家は押し目買いをする傾向にあり、2008 年や 2015 年の場合のように、円建てプラチナ価格が急落すると、買いが旺盛になる。この市場では、押し目買いが高値を受けた利益確定の売りを上回る傾向にあるため、プラチナの現物地金が自然と積み上がっている。

欧州のディーゼル車の平均充填量が減少するため、自動車触媒需要は打撃を受けるであろう

プラチナ地金とETFの月間投資量

kg

1,000 oz

2,000

4,000

5,000

-2,000

0

400

500

-200

3,000 300

日本のプラチナ地金販売量(左軸) ETF(右軸)

1,000

0

-1,000

200

100

-100

2013年1月 7月 7月 2015年1月 7月 7月 2017年1月 7月2014年1月 2016年1月

四半期毎の日本のプラチナ地金販売量

kg

円/グラム4,000

8,000

10,000

-4,000

6,000

販売量(左軸) 価格(右軸)

2,000

0

-2,000

3,000

5,000

5,500

2,000

4,500

4,000

3,500

2,500

2,000

Q110

Q314

Q114

Q313

Q113

Q312

Q112

Q311

Q111

Q310

Q317

Q117

Q316

Q116

Q315

Q115

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

13

これとは対照的に、ETF 投資は価格上昇と連動している。2008 年~ 2010 年には、米国市場や欧州市場に上場されているプラチナ ETF に対する旺盛な需要があったが、この時期にはドル建てプラチナ価格が総じて上昇していた。また、南アフリカ市場上場のETF の買いがピークを付けた 2013 年と 2014 年序盤には、ランド安によってランド

建てプラチナ価格が上昇していた。したがって、多くのETF 投資は含み損を抱えていることになり、これが ETFの解約に歯止めをかけている。もっとも、日本の地金市場とは異なり、過去 3 年間にパラジウム ETF が利益確定のために大量に解約されたように、ETF の発行残高が積みあがっていることはない。

先行きを展望すると、プラチナ価格が大幅に上昇しない限り、ETF が 2018 年に利益確定のために広範にわたって解約されることはないであろう。他方、2017 年の大半と同様に、プラチナ価格が引き続き 900 ドル/ oz ~1,000 ドル/ oz で推移すれば、ETF も日本の地金も以前のように旺盛に買われることはないであろう。2018年の投資需要が 2017 年と似ていることを前提とすると、プラチナ市場は引き続き小幅な供給過多となろう。

2017年1月以降のプラチナETF正味投資量

1,000 oz

2017年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

50

150

200

-50

100

12月

0

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PGM市場レポート2018年2月

14

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パラジウム市場の要約2017年の供給と需要

自動車触媒でのパラジウム使用量は 2017 年に約 50 万オンス急増して、史上最高水準の 840 万オンスに達した。化学メーカーによるパラジウム購入量も最高水準を更新する一方で、ETF の解約ペースが大幅に減速したことから、パラジウムの総需要は計 1,015万オンスとなり、前年比で 8%増加した。使用済み自動車触媒からのパラジウム回収量は大幅に増加したものの、世界の鉱山供給量がやや減少したことから、一次供給量と二次供給量の合計は控えめな増加にとどまった。結果としてパラジウム市場の供給不足は、60 万オンス以上に拡大した。

われわれの概算によると、2017 年のパラジウム一次供給量は世界全体で前年比 2%減となった。背景には、ロシアの出荷量が、前年の在庫からの放出を受けてさらに減ったこと、北米の生産量が減少したことがあった。ちなみに、北米では、生産者が輸送ルートを変更したため、パイプライン在庫(輸送中の在庫等)の水準が変動した。

南アフリカでは、鉱山閉鎖が再び相次ぎ、処理プラントのメンテナンス作業による一時的な稼働停止や技術的問題も多く、これによってパラジウムの未精錬在庫が年末に積み上がっていた(1 ページ~ 2 ページを参照)にもかかわらず、2017 年のパラジウム供給量は前年並みの水準を維持した。ちなみに、この未精錬在庫は 2018 年中に処理されることになる。

ロシアの供給量も、前年の仕掛在庫の変動によって影響を受けた。ノリリスク・ニッケルは、ノリリスク採鉱地のニッケル精錬所を閉鎖してニッケルと PGM の加工処理作業の大半をコラ半島に移転するといった生産工程の見直しを図っており、これによって2017 年第 1 四半期には、同社のパラジウム生産量が影響を受けた。もっとも、生産量は第 2 四半期以降に回復し、同社のロシア国内事業でのパラジウム生産量は 2017 年の年初来 9 ヵ月間に前年同期の水準を上回った。

この増加には、以前に採掘された原料を処理したことも寄与したと思われる。ノリリスク・ニッケルは 2016 年 12 月に、150 万トンの古い銅精鉱の購入契約を国営企業のロステクとの間で締結した。この銅精鉱はノリリスク地区の採掘事業からソビエト時代に

供給されたもので、このメタルの精錬によって、すでにほぼ枯渇した磁硫鉄鉱の精鉱備蓄からの PGM 回収量の減少が補われた。

ただし、生産量は増加したものの、ロシアの供給量は 2017 年に前年比で減少したと推定される。ノリリスク・ニッケルは 2015 年に積み上げていた地金在庫を 2016 年に販売しており、2016 年の供給量はこの販売分を含めたことで膨らんだためである。

ノリリスク・ニッケルは 2017 年 11 月に、同社のグローバル・パラジウム・ファンドのパラジウム保有量が 2017 年末に 60 万オンスになる見込みで

• パラジウムの第一次供給量は前年比で 2%減少したが、これは使用済み自動車触媒のリサイクル量の急増によって補われた。

• 自動車触媒用需要が急増して史上最高水準に達したことから、パラジウムの総消費量は8%増加した。

• 世界のガソリン車販売台数が1.5%増加するとともに、北米の触媒充填量が排ガス規制 Tier3 の導入によって押し上げられた。

• 中国の化学セクターのパラジウム需要の上昇傾向が強まったことから、産業用の消費量は堅調な水準となった。

• 投資需要は 3 年連続でマイナスとなったが、解約量は減少した。

• 乏しい流動性と価格上昇に示されるとおり、パラジウム市場は引き続き大幅な供給不足となった。

要約:パラジウム

パラジウムの供給と需要(単位:1,000 oz)

供給 2015年 2016年 2017年9

南アフリカ 2,684 2,574 2,569

ロシア 2,434 2,773 2,652

その他 1,337 1,413 1,376

供給合計 6,455 6,760 6,597

需要

自動車触媒 7,622 7,948 8,424

宝飾品用 222 191 180

産業用 1,956 1,877 1,934

投資用 -659 -646 -386

総需要合計 9,141 9,370 10,152

リサイクル量 -2,418 -2,503 -2,926

純需要合計 6,723 6,867 7,226

在庫変動 -268 -107 -629

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PGM市場レポート2018年2月

15

Precious Metals Management

あると発表した。このファンドは市場の供給不足を緩和して顧客に対するパラジウム供給を確実にすることを目的として、ロシアの中央銀行やその他の市場参加者からパラジウムを購入している。ただし、ノリリスク・ニッケルがこのように市場からパラジウムを購入していることは既存の市場在庫の所有者の変更を意味するとみなされており、それゆえにわれわれの需給推定値では取り上げず、われわれが推定する市場の需給状況にも影響を与えないことに留意すべきである。

2017 年には、パラジウムの二次供給量が急増した。背景には、2 年間にわたって低迷していた使用済み自動車触媒の回収量が増加に転じたことがあった。同時に、多くの自動車メーカーが 1995 年~ 2005 年にプラチナを主体とした三元触媒からパラジウム主体の触媒へと移行していたので、パラジウムの使用量が劇的に増加したことを反映し、使用済み自動車触媒のパラジウム含有量が引き続き増加した。増加ペースが最も速かったのは、他の地域に先駆けて 1990 年代半ばからパラジウム触媒が普及した北米であった。当時の排ガス規制は今日ほど厳しくなかったが、パラジウム触媒技術が今日よりもはるかに後れており、パラジウム充填量は現在の基準から見ると非常に高水準であることが多かった。

リサイクル量が増加したにもかかわらず、一次供給量と二次供給量の合計は 3%未満の増加にとどまった。一方で自動車触媒での消費量が史上最高にまで急増し、ETF の解約が減少したことで、需要は前年比で 8%、すなわち約 80 万オンスも増加した。他方、産業用需要は 2017 年に堅調な様相を呈した。電子材セクターと歯科セクターの緩やかな需要減少が続いたにもかかわらず、化学セクターの需要回復が寄与したためである。

化学セクターによるパラジウムの購入は 2017 年に例を見ないほど旺盛となり、すべての地域が堅調な需要を示した。中国の需要は史上最高水準に達し、背景には、化学原料の輸入依存を減らすことを目的とした「メイド・イン・チャイナ 2025」計画によって、石油化学製品の統合型生産施設の新設に対し、多額の投資が刺激されたことがあった。

パラジウム触媒は、大量生産の石油化学製品から医薬品などの特殊製品まで、化学処理工程で幅広く使用されている。これまで、化学セクターにおけるパラジウムの最大用途は、繊維や包装材用のポリエチレンテレフタレート(PET)の製造の際に使用される中

間体の高純度テレフタル酸(PTA)の生産であった。しかし、この数年間に、パラジウム触媒を使用するそれ以外のバルクケミカル製品の加工処理作業が劇的に増加している。こうした製品には、製紙や汚水処理の際に化学中間体として使用される過酸化水素、「石炭由来エチレングリコール(Coal-to-MEG、または CTMEG)」として知られるモノエチレングリコール(MEG)、ナイロン製造の際に使用されるカプロラクタムなどがある。

世界の過酸化水素需要は 5%強で増加していると推定されており、増加はアジア、特に中国に集中している。環境への懸念から、プラスチックの代わりに紙を包装材として使用することが奨励され、汚水処理も促進されているため、漂白剤や酸化剤としての過酸化水素の所要量が

使用済み自動車触媒からのメタル別回収量

2,000

4,000

0

1,000

3,000

5,000

1,000 oz

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

プラチナ パラジウム ロジウム

使用済み自動車触媒の回収量が増加に転じたことから、パラジウムの二次供給量は急増した

化学セクターの需要を刺激したのは、『メイド・イン・チャイナ 2025』計画であった

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PGM市場レポート2018年2月

16

Precious Metals Management

増加している。また、酸化プロピレンを製造する際の原料としても過酸化水素の需要は増加している。酸化プロピレンの主な用途は、ポリウレタンの合成に使用されるポリエーテルポリオールの製造であり、これは幅広い消費者製品に用いられている。

中国では昨年、エチレングリコールの輸入依存を改善するために、CTMEG 生産設備の新設に対する投資が特に旺盛となった。MEG は通常、石油から PGM を使用しない触媒を用いて製造される。しかし、中国は石

炭が豊富に供給される一方で石油の純輸入国であるため、CTMEG プラントに多額の投資を行っている。このプラントはパラジウム触媒を必要とするため、2017 年にはこの用途の需要が特に旺盛になったが、先行きを展望すると、CTMEG 生産設備の新設ペースは鈍化すると予想される。

プラント建設は 2016 年に一服した後、昨年になって中国の化学企業はリン酸ヒドロキシルアミンオキシム法(HPO 法)を用いたカプロラクタム生産能力を拡大すべく大規模な投資を行った。カプロラクタムはナイロンを製造するために使用されており、その用途としては繊維が最もよく知られている。しかしながら自動車部品用の軽量合成ナイロン樹脂、3D プリント用の合成樹脂、車両用タイヤの性能と耐久性を向上させるナイロン製「タイヤコード」といった工業用途でのカプロラクタムの使用も拡大している。

自動車触媒用のパラジウム需要も 6%増加して 842 万オンスの史上最高水準に達し、1年間で約 50 万オンスという異例の増加となった。中国とその他の地域が大幅な増加を示したが、最大の増加となったのは北米で、自動車と小型トラックの生産台数が前年比で 5%減少したにもかかわらず、ガソリン車とディーゼル車双方のパラジウム充填量がこれを補う以上の増加となった。

充填量のこのような増加は連邦排ガス規制 US Tier 3 に付随したものであった。この規制は 2017 年に導入されて 2025 年まで適用される。この規制の下、自動車メーカーは自社の自動車が毎年徐々に厳しくなる車両平均排出制限を遵守している限り、異なる様々なベンチマーク(すなわち Bin)に対応していることを保証することができる。こ

のため、2025 年 SULEV30 の目標に対応することができる触媒システムを装着した車両がすでに増加している。これが昨年のパラジウム需要に大きな影響を与え、米国のガソリン車の平均充填量は 2 桁の増加率となった。

米国では、ディーゼル車にもガソリン車にも同一の排ガス規制を適用しているため、Tier 3 基準が施行されると、小型ディーゼル車セクターの PGM 充填量も増加した。米国の小型車部門では、ディーゼルエンジンの使用は主に大型ピックアップトラックやSUV などの最大重量車グループに限定されている。つまり、米国のディーゼル車のほぼすべてが NOx制御のために LNT ではなく SCR 技術を利用しているということになる。それでも、車両の大きさと重

米国では、ガソリン車のパラジウム平均充填量が 2 桁の増加率となった

パラジウムの需要:産業用(単位:1,000 oz)

2015年 2016年 2017年9

化学 451 425 537

歯科 468 430 407

電子材 903 871 853

その他 134 151 137

合計 1,956 1,877 1,934

消費用途のパラジウム需要(投資を除く)

4,000

8,000

12,000

0

2,000

6,000

10,000

1,000 oz

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

自動車触媒

その他

電子材

化学

一次供給量と二次供給量の合計

宝飾

歯科

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PGM市場レポート2018年2月

量の点から、米国のディーゼル車の触媒充填量は欧州のディーゼル車の充填量を大幅に上回っている。また、米国の排ガス規制が規定する技術的な詳細により、ディーゼル車におけるパラジウム利用の拡大が好まれる傾向にある。北米のディーゼル車用触媒では、プラチナとパラジウムの使用比率が今やほぼ 1 対 1 だが、北米以外の小型ディーゼル車市場では3 対 1 となっている。

まとめると、北米の自動車のパラジウム使用量は 8%増加して 212 万オンスの史上最高水準に達した。それでも、中国が世界最大のパラジウム消費国であることは変わらず、同国の自動車触媒用パラジウム需要は 6%増の 216 万オンスになった。中国の需要増加の主因は、ガソリン車向け排ガス規制 China 5 が 2017 年 1 月から全土で施行されたことを受けてパラジウム充填量が増加したためである。自動車の生産台数は 2017 年に、2016 年の 16%増から 1 桁の増加率に鈍化したため、パラジウム需要への影響は控えめなものにとどまった。

投資については、解約量が 2015 年~ 2016 年の水準を下回ったものの、需要は 3 年連続でマイナスとなった。欧州では 1 月に大量の投資が引き揚げられた。この時期にはパラジウム価格が 2 週間で 100 ドル /oz を上回る上昇となり、これに対応して投資家が 15 万オンス強のパラジウムを売却。年央にもさらなる売りがあったが、この売りの一部を埋め合わせたのが南アフリカにおける 8 月の大量購入であった。最終四半期には、ランド建てパラジウム価格の高値更新が相次ぎ、これによって南アフリカの投資家による解約も相次いだ。

パラジウムの現物投資の大半は ETF の形をとっているが、少量のパラジウムコインが複数の国の造幣局で製造されており、昨年は米国の造幣局が初めてパラジウムのイーグル

コインを製造した。もっとも、パラジウム価格が史上最高値に迫ったために投資家が古いパラジウムコインやパラジウム地金を市場で売却して現金化し、これが新規コインに対する需要の一部を相殺した。

過去 3 年間にわたり、投資家は 170 万オンス近くのパラジウムを市場で売却し、自動車触媒用需要が高まる一方で供給が低調だった時期の市場流動性を支えた。しかし、2017 年には、6 年間にわたる供給不足が市場に大きな影響を与え始め、パラジウム価格が年初の 700 ドル /oz 弱から最終四半期に 1,000 ドル /oz 前後まで上昇し、16 年ぶりにプラチナ価格を上回った。トレーダーからはインゴットの調達が難しくなっているとの報告が断続的にあり、こうした需給逼迫によってリースレートが急騰

17

Precious Metals Management

2017 年には、パラジウム価格が 16 年ぶりにプラチナ価格を上回った

パラジウムの需要:自動車触媒用(単位:1,000 oz)

総需要 リサイクル量 純需要

2015年 2016年 2017年9 2015年 2016年 2017年9 2015年 2016年 2017年9

欧州 1,613 1,640 1,665 -413 -424 -489 1,200 1,216 1,176

日本 760 792 805 -106 -110 -122 654 682 683

北米 2,032 1,956 2,121 -1,110 -1,152 -1,443 922 804 678

中国 1,654 2,036 2,164 -56 -75 -100 1,598 1,961 2,064

その他の地域 1,563 1,524 1,669 -212 -240 -269 1,351 1,284 1,400

合計 7,622 7,948 8,424 -1,897 -2,001 -2,423 5,725 5,947 6,001

パラジウムの自動車触媒用総需要

1,000

2,000

0

500

1,500

2,500

1,000 oz

2015年 2016年 2017年

欧州 日本 北米 中国 世界のその他の地域

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PGM市場レポート2018年2月

し、年央には 15%を上回った。2017 年下半期には流動性がやや改善したが、市場は依然として逼迫しており、リースレートは常に 5%を上回っていた。

われわれの需給推定値に基づいて計算すると、2012 年~ 2017 年には約 430 万オンスのパラジウムが市場在庫から放出された。これは貿易データの分析によって裏付けられている。この分析では、在庫の放出によってスイスと英国の在庫が 6 年間で少なくとも計 700 万オンスの純減となり(19 ページの図を参照)、パラジウム市場が大幅な供給不足であることが証明されている。この在庫変動の一部はパラジウム在庫が西から東へと移動したことを示している可能性もあるが、ロシアが 1990 年代と 2000年代初頭にパラジウムの国家備蓄を売却したことによって生まれた余剰分が持続不可能なペースで消費されていることは明らかである。

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南アフリカのETF発行残高(パラジウム)

ETF発行残高(パラジウム) パラジウム価格

南アフリカランド/oz

2017年1月 2月 3月 4月 5月 6月 8月 10月7月 9月

650

750

500

700

800

1,000 oz

550

600 11,000

13,000

12,000

14,000

9,000

10,000

15,000

11月 12月

欧州と米国のETF発行残高(パラジウム)

ETF発行残高(パラジウム) パラジウム価格

ドル/oz

2017年1月 2月 3月 4月 5月 6月 8月 10月7月 9月

800

1,000

500

900

1,100

1,000 oz

600

700 800

1,000

900

1,100

600

700

1,200

11月 12月

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Precious Metals Management

パラジウム市場の展望2018年の供給と需要

2017 年には自動車触媒用総需要とリサイクル量が大幅に増加したが、2018 年のパラジウム需給状況にはあまり大きな変化は見られないであろう。一次供給量と二次供給量の合計は 2%前後の増加になると予想され、「消費用途」の需要(投資を除く)は 1%前後の増加にとどまると見込まれる。市場の供給不足が続くことはほぼ確実だが、不足量は、3 年連続で供給要因となった投資セクターによって決定されることになろう。

パラジウム ETF 保有量は 2014 年半ば~ 2015 年半ばに約 300 万オンスでピークを付けたが、それ以降は大量の解約が長期間にわたって続いている。投資家がパラジウム価格の急騰に乗じて利益を確定したため、発行残高は減少し、2017 年 12 月末に 130 万オンスとなった。

最近の価格上昇によってパラジウム価格が 1,000 ドル /oz を上回ったことから、パラジウムをまだ保有している投資家の大半は含み益を抱えている公算が大きい。しかし、そうした投資家が 2018 年の相場動向にどのように反応するかを予測することは難しい。われわれとしては、利益確定の売りが続く可能性もまだあるが、ETF でパラジウムを保有している投資家はさらなる価格上昇を待って、保有分を解約しようとしている可能性もあると考えている。また、価格上昇が投資家の新たな関心を刺激する余地もある。というのも、2015 年以前のパラジウム ETF 投資は価格と正の相関関係にあったためである。

南アフリカのパイプライン在庫の放出を反映して、一次供給量はやや増加する可能性がある。しかし、鉱山生産量の見通しは依然として低調で、シャフトの閉鎖が続く可能性もある。目先の拡大余地があるのは北米だけで、今年はブリッツ拡張プロジェクトが大きく貢献し始めることから、シバニェ・スティルウォーターの生産量が増加し、ノース・アメリカン・パラジウムでも粉砕処理施設がフルタイムでの稼働を再開するため、2018 年のパラジウム生産量が増加するであろう。

ノリリスク・ニッケルは、生産量が 2017 年~ 2020年に横ばいで推移すると予想している。「サザンクラスター」の開発プロジェクトが進行すれば、中長期的には生産拡大の見通しもある。このプロジェクトについては、フィージビリティスタディが進行中で、結果は 2018 年中に発表される予定である。しかし、今後 5 年以内にこのプロジェクトを通じてパラジウムが供給されることはないであろう。

使用済み触媒からのパラジウム回収量は引き続き増加すると予想されるが、増加ペースは 2017 年の水準から鈍化するであろう。増加が集中するのはやはり北米であろう。北米の自動車メーカーは他の地域のメーカーに先駆けて、三元触媒でのパラジウム使

• 北米の鉱山生産の拡大と使用済み自動車触媒からのリサイクル量の増加によって、供給量全体が増加するであろう。

• ガソリン車の生産台数がやや増加することから、自動車触媒用パラジウム需要は史上最高を更新するであろう。

• 中国における石油化学セクターの設備拡張はパラジウムの産業用消費量を支えるであろう。

• ETF の投資家が利益確定の売りを継続したとしても、パラジウム市場の大幅な供給不足は変わらないであろう。

展望:パラジウム

2007年以降のイギリスとスイスからの累積流出量(パラジウム)

流出量(累積量、左軸) 価格(右軸)

ドル/oz

2017年

-6

-2

-12

-4

0

100万 oz

-10

-8 300

600

450

750

0

150

900

2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年2007年

2 1,050

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PGM市場レポート2018年2月

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用を普及させたため、北米のパラジウム充填量は 2000 年代序盤に特に高水準になった。中国でも、パラジウムの使用量がこの 15 年間に異例の増加となったことから、使用済み触媒からのパラジウム回収量が低水準からではあるが増加すると予想される。その結果、一次供給量と二次供給量の合計は 2%前後の増加となろう。

「消費用途」の需要、すなわち投資を除く需要は控えめながらも増加するだろうが、最終的な需要合計は中国の化学産業による購入時期に左右されるであろう。化学原料の輸入依存の緩和を目的とした中国政府の「メイド・イン・チャイナ 2025」計画は、石油化学製品の統合型生産施設の新設に対する多額の投資を刺激しており、こうしたプラントの一部は今後 2 年間に始動するであろう。化学産業における総需要は例外的に旺盛だった 2017 年の水準にはやや届かないものの、2016 年以前の水準は引き続き大幅に上回るであろう。

自動車触媒でのパラジウム使用量は史上最高水準を更新すると予想される。背景には、ガソリン車の生産台数が世界全体で控えめながら増加することがある。ガソリン車の平均パラジウム充填量は 2018 年に前年と変わらない水準にとどまると予想されるが、向こう数年間にかけて、欧州と中国の排ガス規制が大きな影響を及ぼすと予想される。

欧州では、Euro 6d-Temp と Euro 6b に基づく実路走行(RDE)試験の段階的実施がガソリン車のパラジウム充填量に好影響を与えると予想される。2018 年 9 月以降、すべての新車は排出微粒子について 1.5 の CF(Conformity Factor、台上試験の規制値の倍数)値に対応しなければならず、NOx に関しては 2019 年 9 月からすべての新車に 2.1の CF 値が適用されることになる。中国のメーカーも新たな排ガス規制への対応を加速させている。China 6a は 2020 年 7 月に施行予定だが、一部の省では China 6a を経ずに、より厳しい China 6b に直接移行する予定である(ただし、当初は RDE 試験に関する要件を除く)。

これ以外のパラジウムの用途では使用量の削減が進むと予想される。特に顕著なのが歯科セクターと電子材セクターで、前者の需要はわれわれの調査開始以来で初めて 40 万オンスを下回るであろう。また、後者では、製品の小型化とベースメタルでの代用によってパラジウムの使用量が減少し続けている。宝飾セクターに関しては、中国でのパラジウム宝飾品加工がほぼ完全に姿を消したため、需要は安定するであろう。これらは主

に日本におけるプラチナ宝飾品の割り金としての用途と、大半の主要宝飾市場におけるホワイトゴールドの割り金としての用途に限定されている。もっとも、北米と欧州には、男性用のパラジウム宝飾品市場が小規模ながらまだ存在する。

産業用と自動車触媒用の需要合計の増加ペースは一次供給量と二次供給量の合計の増加ペースを下回ると予想されるものの、市場が大幅な供給不足である状態は変わらないと予想される。ETF 投資家の動向が不足量を決定する重要な要因になるだろうが、投資家が利益確定の売りを続けたとしても、需給均衡を実現するのに十分な量にはならないであろう。

一次供給量と二次供給量の合計は 2%前後の増加となろう

2017年1月以降のパラジウムETF正味投資量

-250

-150

-400

-200

-100

1,000 oz

-350

-300

-50

0

50

2017年1月 2月 3月 4月 5月 6月 8月 10月7月 9月 11月 12月

ETF 投資家の動向が 2018 年の供給不足量を決定するであろう

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Precious Metals Management

ロジウム市場の要約と展望2017年と2018年の供給と需要

ロジウムの総需要は 2017 年に 3.5%増加した。背景には、世界のガソリン車生産台数と北米の自動車における触媒充填量の双方が増加したことがあった。化学セクターとガラスセクターの消費量は回復したが、投資需要はマイナスとなった。使用済み自動車触媒のリサイクル量がロジウムの一次生産者による販売量の減少を補って余りある増加となったため、一次供給量と二次供給量の合計は 3%増加した。ロジウム市場は引き続き供給過剰となったが、投機筋の買いと戦略的調達によって市場流動性が失われ、2017年にロジウム価格は 2 倍となり、1,700 ドル /oz を上回って 6 年ぶりの高値に達した。

ロジウム供給量は 2017 年にやや減少したが、南アフリカの生産者は引き続き好調で、精錬所における仕掛在庫は減り続けた。それと対照的だったのがノリリスク・ニッケルで、同社はロジウムをかなり豊富に含む磁硫鉄鉱の精鉱在庫を過去数年間にわたって処理してきたが、この在庫を使い果たしてしまったため、2017 年のロジウム生産量は急減したとみられる。2016 年 12 月にはロステクから古い銅精鉱在庫を購入し、こうした地上在庫の処理によって引き続き鉱山生産を補っているが、この銅精鉱のロジウム含有量はわずかに過ぎないと考えられる。

二次供給量は使用済み自動車触媒のリサイクルがほぼすべてを占めており、2017 年には約 20%増加した。増加が特に著しかったのは北米で、自動車リサイクル市場は過去2 年間にわたって非常に低調であったが、2017 年は廃車台数が急増したため、リサイクル量を押し上げた。2000 年代初頭に三元触媒におけるロジウム使用量が急増したことも反映している。世界のロジウム需要は 1999 年に 50 万オンス強だったが、2007年には約 88 万オンスまで増加して史上最高水準に達した。排ガス規制は今日ほど厳しくなかったが、ロジウムの平均充填量は現在の水準より高かった。しかし、ロジウム価格が 2007 年~ 2008 年に急騰したことを受けて、自動車メーカーは三元触媒のロジウム使用量を節約する取り組みを強化した。2017 年にスクラップとなった自動車の大半は、ロジウム充填量がピークに達した 1999 年~ 2007 年の 8 年間に製造されたものであった。

一次供給量と二次供給量の合計は約 3%増加したが、総需要はこれをやや上回る増加となり、105 万オンスと過去最高に達した。自動車セクターが需要増加の主たる牽引役であることに変わりはなく、小型車の生産台数は北米を除くすべての主要市場で増加した。

世界のガソリン車生産台数は 2%強の増加となって 7,500 万台を上回った。

自動車触媒用のロジウム需要は小型ガソリン車の生産台数の増減をほぼ反映していたが、米国は例外で、連邦排ガス規制 Tier 3 の施行によってガソリン車の平均 PGM 充填量が増加し、これがロジウム需要に反映された。米国の排ガス規制は他の規制とは異なり、自動車メーカーは、自動車が 2017 年から 2025 年に徐々に厳しくなる車両の平均排出限度を遵守し

• 2017 年は、一次供給量の減少が使用済み自動車触媒からの回収量の急増によって相殺された。

• ガソリン車の生産台数と米国の触媒充填量のいずれもが増加し、ロジウム需要を押し上げた。

• ロジウム市場は引き続き供給過剰となったが、投機筋の買いと戦略的調達によって流動性は失われた。

• 2018 年は、供給も需要もほぼ変わらないであろう。

• 今後数年間は、排ガス規制の強化によって自動車触媒需要が大幅に増加するであろう。

要約:ロジウム

ロジウムの供給と需要(単位:1,000 oz)

供給 2015年 2016年 2017年9

南アフリカ 611 615 618

ロシア 80 85 65

その他 62 72 67

供給合計 753 772 750

需要

自動車触媒 762 822 858

その他 158 191 190

需要合計 920 1,013 1,048

リサイクル量 -262 -271 -324

純需要合計 658 742 724

在庫変動 95 30 26

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ている限り、その車両は異なる様々な基準にも対応していると認定することができる。このため、2025 年 SULEV30 の目標に対応する充填量の多い触媒システムを装着した自動車がすでに増加しており、米国の自動車の平均ロジウム含有量に著しい影響を与えている。したがって、米国ではガソリン車の生産台数の急激な落ち込みにもかかわらず、ロジウム使用量が 5%増加したと推定される。

排ガス規制が異なることに加え、平均的に自動車の車体サイズが大きいため、北米の触媒充填量は一般的に他の主要自動車市場の充填量を 50%も上回っているが、ロジウムの消費量は世界で 2 番目にとどまっている。中国は世界最大のガソリン車生産国として圧倒的な地位を堅持しており、それゆえに自動車触媒でのロジウム使用量も世界最大となっている。同国では、ガソリン車の生産台数が 2017 年にやや増加し、また車 1台当たりの平均ロジウム充填量もわずかに増加したことから、自動車触媒用ロジウム需要は北米同様に約 5%の増加となった。

化学、ガラス、電子材およびその他の用途でのロジウム使用量は横ばいであった。ただし、中国企業が国内外のプラント拡充のために大量のロジウムを購入したため、化学メーカーとガラスメーカーのロジウム需要はいつになく堅調であった。もっとも、この一部は投資需要によって相殺された。ちなみに、投資需要は、投資家がロジウム価格の急騰に乗じた利益確定のために ETF を解約したことからマイナスとなった。

需要全体は増加したにもかかわらず、2017 年のロジウム市場は引き続きやや供給過剰となった。しかし、アジアを中心とする投機筋の買いと戦略的調達によって、ロジウムの入手はかなり困難になった。もっとも、こうした投機筋の買いや戦略的調達は特定の産業に帰属させることができず、ETF などの測定可能な投資以外の手段であるため、需要には算入していない。ロジウム市場は小規模で流動性に乏しいため、こうした買いは価格に極めて大きな影響を与える。ロジウム価格は2017 年に 2 倍以上となり、本稿執筆時点で 6 年ぶりの高値となる 1,715 ドルに達している。

先 行 き を 展 望 す る と、2018 年 の 需 給 状 況 は2017 年とほぼ変わらないと予想される。供給量は横ばいもしくはわずかな減少が見込まれる。南アフリカでは、鉱山生産量が昨年の鉱山閉鎖によって打撃を受けるだろうが、地金の生産量はパイプライン在庫の処理によって支えられるだろう。しかしながら、ロジウムの生産量がこのような形で支えられるのは来年が最後の年になると思われ、南アフリカの出荷量は目先、年間 60 万

自動車触媒用ロジウム需要(グロス)

1,000 oz

日本欧州

2015年 2017年2016年

北米 中国 世界のその他の地域

0

50

100

150

200

250

300

小型ガソリン車の地域別生産台数

100万台

日本欧州

2015年 2017年2016年

北米 中国 世界のその他の地域

0

5

10

15

20

25

30

出所:LMC Automotive

2017 年のロジウム総需要は過去最高の 105 万オンスまで増加した

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オンスを割り込む水準まで減少する可能性がある。他方、使用済み自動車触媒のリサイクル量は増加するだろうが、増加ペースは 2017 年の水準から大幅に鈍化するだろう。

2018 年の需要は横ばいになると予想される。今年はガソリン車の平均ロジウム充填量が大幅に変わることはないと予想されるため、ロジウムの消費動向は、2%前後と予想されるガソリン車生産台数の増加を反映するであろう。ただし、この増加を相殺する要因として、欧州におけるディーゼル車のロジウム使用量の減少が挙げられる。欧州では、ロジウムを使用するリーン NOx トラップを搭載した車の生産台数の減少が見込まれている。

2018 年以降、排ガス規制が大方の主要自動車市場で強化されるため、ロジウム充填量は増加基調を辿ると予想される。欧州では、Euro 6d-TEMP と Euro 6d の排ガス規制を遵守するために、自動車メーカーがロジウム充填量を増やすと予想される。この規制では、実路走行(RDE)試験の NOx 規制値を台上試験の 2.1 倍とする CF 値が 2019 年からすべての新車に対して課され、2020 年からはこの CF 値が 1.5 まで引き下げられる。

北米では、車両の平均排出限度を 2025 年まで一貫して引き下げていく。また、中国は規制を大幅に変更する時期になっており、2020 年~ 2023 年には排ガス規制 China 6a と 6b を導入する。一部の地域は、より厳しい規制である 6b に直接移行する

(ただし、当初は RDE の要件を除く)と予想されており、これが今後数年間の平均ロジウム充填量に大きな影響を与えるであろう。

自動車触媒用需要のさらなる増加見通しは投機筋の買いや戦略的調達をさらに刺激する可能性もある。その場合、われわれの需給推定における 2018年のロジウム市場が引き続きやや供給過剰になることが示されたとしても、ロジウムのタイト感は継続するだろう。

2015年1月 4月 7月 10月

2016年1月 4月 7月 10月

2017年1月 4月 7月 10月

ロジウム価格(ドル/oz)

ドル/oz

400

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

600

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プラチナの供給と需要(単位:1,000 オンス)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

供給1 南アフリカ 4,110 4,208 3,547 4,572 4,392 4,364

ロシア2 801 736 700 670 703 650

北米 306 318 339 314 337 318

ジンバブエ3 337 410 401 400 489 486

その他3 126 174 167 151 162 158

供給合計 5,680 5,846 5,154 6,107 6,083 5,976

需要4 自動車触媒4 3,158 2,937 3,057 3,228 3,327 3,285

化学 452 522 576 502 527 521

電子材4 176 219 225 228 230 258

ガラス 153 102 143 227 246 306

投資 450 871 277 451 620 356

宝飾品4 2,783 2,984 2,839 2,746 2,412 2,227

医療&バイオメディカル5 223 217 214 215 218 220

石油 112 146 172 140 176 198

その他 395 419 434 441 458 475

需要合計 7,902 8,417 7,937 8,178 8,214 7,846

リサイクル量6 自動車触媒 -1,120 -1,199 -1,280 -1,112 -1,159 -1,322

電子材 -22 -24 -27 -29 -32 -34

宝飾品 -895 -790 -762 -574 -738 -624

リサイクル量合計 -2,037 -2,013 -2,069 -1,715 -1,929 -1,980

純需要合計7 5,865 6,404 5,868 6,463 6,285 5,866

在庫変動8 -185 -558 -714 -356 -202 110

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プラチナの地域別総需要(単位:1,000オンス)2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年欧州 自動車触媒 1,323 1,280 1,472 1,668 1,821 1,766

化学 110 98 111 120 123 123電子材 17 15 12 13 13 12ガラス 2 7 11 11 11 11投資 135 -40 -73 -88 109 36宝飾品 179 217 204 203 177 174医療&バイオメディカル 78 74 72 71 71 70石油 -3 -12 22 -4 4 14その他 115 106 108 105 107 110合計 1,956 1,745 1,939 2,099 2,436 2,316

日本 自動車触媒 591 503 448 395 391 396化学 35 42 41 43 41 40電子材 21 27 31 33 32 33ガラス -3 -20 -96 4 2 19投資 98 -40 19 700 543 171宝飾品 312 310 313 314 310 309医療&バイオメディカル 20 19 16 16 16 16石油 3 -1 3 3 3 2その他 63 70 71 79 74 74合計 1,140 910 846 1,587 1,412 1,060

北米 自動車触媒 395 339 356 368 346 326化学 106 102 113 114 103 112電子材 21 19 18 22 26 36ガラス 7 7 10 10 29 45投資 187 57 7 -32 109 127宝飾品 187 213 218 227 220 225医療&バイオメディカル 89 85 85 85 86 87石油 46 23 21 40 37 18その他 118 122 125 116 121 122合計 1,156 967 953 950 1,077 1,098

中国 自動車触媒 93 130 130 136 145 157化学 89 133 155 131 121 126電子材 31 36 39 38 39 47ガラス 53 93 144 178 134 109投資 0 0 0 0 0 0宝飾品 1,950 2,100 1,935 1,796 1,510 1,303医療&バイオメディカル 15 17 18 19 19 20石油 21 56 30 32 61 81その他 40 48 53 58 71 79合計 2,292 2,613 2,504 2,388 2,100 1,922

その他の地域 自動車触媒 756 685 651 661 624 640化学 112 147 156 94 139 120電子材 86 122 125 122 120 130ガラス 94 15 74 24 70 122投資 30 894 324 -129 -141 22宝飾品 155 144 169 206 195 216医療&バイオメディカル 21 22 23 24 26 27石油 45 80 96 69 71 83その他 59 73 77 83 85 90合計 1,358 2,182 1,695 1,154 1,189 1,450 総需要合計 7,902 8,417 7,937 8,178 8,214 7,846

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プラチナの供給と需要(単位:トン)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

供給1 南アフリカ 127.8 130.9 110.3 142.2 136.6 135.7

ロシア2 24.9 22.9 21.8 20.8 21.9 20.2

北米 9.5 9.9 10.5 9.8 10.5 9.9

ジンバブエ3 10.5 12.7 12.5 12.4 15.2 15.1

その他3 3.9 5.4 5.2 4.7 5.0 4.9

供給合計 176.6 181.8 160.3 189.9 189.2 185.8

需要4 自動車触媒4 98.2 91.2 95.0 100.5 103.6 102.2

化学 14.1 16.3 18.0 15.5 16.4 16.1

電子材4 5.5 6.8 7.1 7.1 7.1 8.0

ガラス 4.7 3.2 4.4 6.9 7.7 9.5

投資 13.9 27.2 8.6 14.1 19.3 11.1

宝飾品4 86.6 92.8 88.4 85.5 75.0 69.2

医療&バイオメディカル5 7.0 6.7 6.6 6.6 6.8 6.8

石油 3.5 4.5 5.4 4.4 5.5 6.2

その他 12.3 13.1 13.6 13.8 14.2 14.8

需要合計 245.8 261.8 247.1 254.4 255.6 243.9

リサイクル量6 自動車触媒 -34.9 -37.3 -39.9 -34.5 -36.1 -41.1

電子材 -0.7 -0.7 -0.8 -0.9 -1.0 -1.0

宝飾品 -27.9 -24.6 -23.7 -17.9 -23.0 -19.4

リサイクル量合計 -63.5 -62.6 -64.4 -53.3 -60.1 -61.5

純需要合計7 182.3 199.2 182.7 201.1 195.5 182.4

在庫変動8 -5.7 -17.4 -22.4 -11.2 -6.3 3.4

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プラチナの地域別総需要(単位:トン)2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年欧州 自動車触媒 41.1 39.8 45.8 51.9 56.7 55.0

化学 3.4 3.0 3.5 3.7 3.8 3.8電子材 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4 0.4ガラス 0.1 0.2 0.3 0.3 0.3 0.3投資 4.2 -1.2 -2.3 -2.7 3.4 1.1宝飾品 5.6 6.8 6.4 6.3 5.5 5.4医療&バイオメディカル 2.4 2.3 2.2 2.2 2.2 2.2石油 -0.1 -0.4 0.7 -0.1 0.1 0.4その他 3.6 3.3 3.4 3.3 3.3 3.4合計 60.8 54.3 60.4 65.3 75.7 72.0

日本 自動車触媒 18.4 15.6 13.9 12.3 12.2 12.3化学 1.1 1.3 1.3 1.3 1.3 1.2電子材 0.6 0.8 1.0 1.0 1.0 1.0ガラス -0.1 -0.6 -3.0 0.1 0.1 0.6投資 3.0 -1.2 0.6 21.8 16.9 5.3宝飾品 9.7 9.6 9.7 9.8 9.6 9.6医療&バイオメディカル 0.6 0.6 0.5 0.5 0.5 0.5石油 0.1 0.0 0.1 0.1 0.1 0.1その他 2.0 2.2 2.2 2.5 2.3 2.3合計 35.4 28.3 26.3 49.4 44.0 32.9

北米 自動車触媒 12.3 10.5 11.1 11.5 10.8 10.1化学 3.3 3.2 3.5 3.5 3.2 3.5電子材 0.7 0.6 0.6 0.7 0.8 1.1ガラス 0.2 0.2 0.3 0.3 0.9 1.4投資 5.8 1.8 0.2 -1.0 3.4 4.0宝飾品 5.8 6.6 6.8 7.1 6.8 7.0医療&バイオメディカル 2.8 2.6 2.6 2.6 2.7 2.7石油 1.4 0.7 0.7 1.2 1.2 0.6その他 3.7 3.8 3.9 3.6 3.8 3.8合計 36.0 30.0 29.7 29.5 33.6 34.2

中国 自動車触媒 2.9 4.0 4.0 4.2 4.5 4.9化学 2.8 4.2 4.8 4.1 3.8 3.9電子材 1.0 1.1 1.2 1.2 1.2 1.5ガラス 1.6 2.9 4.5 5.5 4.2 3.4投資 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0宝飾品 60.7 65.3 60.2 55.9 47.0 40.5医療&バイオメディカル 0.5 0.5 0.6 0.6 0.6 0.6石油 0.7 1.7 0.9 1.0 1.9 2.5その他 1.2 1.5 1.7 1.8 2.2 2.5合計 71.4 81.2 77.9 74.3 65.4 59.8

その他の地域 自動車触媒 23.5 21.3 20.2 20.6 19.4 19.9化学 3.5 4.6 4.9 2.9 4.3 3.7電子材 2.7 3.8 3.9 3.8 3.7 4.0ガラス 2.9 0.5 2.3 0.7 2.2 3.8投資 0.9 27.8 10.1 -4.0 -4.4 0.7宝飾品 4.8 4.5 5.3 6.4 6.1 6.7医療&バイオメディカル 0.7 0.7 0.7 0.7 0.8 0.8石油 1.4 2.5 3.0 2.2 2.2 2.6その他 1.8 2.3 2.4 2.6 2.6 2.8合計 42.2 68.0 52.8 35.9 36.9 45.0 総需要合計 245.8 261.8 247.1 254.4 255.6 243.9

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パラジウムの供給と需要(単位:1,000オンス)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

供給1 南アフリカ 2,359 2,464 2,125 2,684 2,574 2,569

ロシア:一次生産量2 2,627 2,528 2,589 2,434 2,773 2,652

ロシア:国家備蓄売却量2 260 100 0 0 0 0

北米 811 831 912 874 892 865

ジンバブエ3 266 322 327 319 392 381

その他3 162 152 160 144 129 130

供給合計 6,485 6,397 6,113 6,455 6,760 6,597

需要4 自動車触媒4 6,673 7,069 7,515 7,622 7,948 8,424

化学 524 378 315 451 425 537

歯科 510 457 464 468 430 407

電子材4 1,190 1,017 970 903 871 853

投資 467 -8 943 -659 -646 -386

宝飾品4 442 354 272 222 191 180

その他 104 109 111 134 151 137

需要合計 9,910 9,376 10,590 9,141 9,370 10,152

リサイクル量6 自動車触媒 -1,675 -1,899 -2,185 -1,897 -2,001 -2,423

電子材 -443 -463 -474 -475 -481 -482

宝飾品 -194 -157 -89 -46 -21 -21

リサイクル量合計 -2,312 -2,519 -2,748 -2,418 -2,503 -2,926

純需要合計7 7,598 6,857 7,842 6,723 6,867 7,226

在庫変動8 -1,113 -460 -1,729 -268 -107 -629

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パラジウムの地域別総需要(単位:1,000オンス)2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年欧州 自動車触媒 1,427 1,502 1,583 1,613 1,640 1,665

化学 79 71 -23 77 80 82歯科 81 80 77 70 66 60電子材 151 112 113 101 99 95投資 163 -14 -74 -200 -269 -287宝飾品 64 61 60 59 58 57その他 24 24 25 27 22 22合計 1,989 1,836 1,761 1,747 1,696 1,694

日本 自動車触媒 799 782 794 760 792 805化学 17 18 16 15 15 15歯科 220 184 205 227 200 191電子材 320 220 212 231 227 222投資 0 -4 -2 4 -3 -3宝飾品 70 70 67 66 64 61その他 9 9 9 9 9 9合計 1,435 1,279 1,301 1,312 1,304 1,300

北米 自動車触媒 1,803 1,770 1,963 2,032 1,956 2,121化学 87 68 71 76 76 78歯科 190 168 156 145 138 130電子材 163 159 140 131 128 124投資 304 10 -205 -181 -71 -19宝飾品 44 43 44 41 38 34その他 39 43 43 60 46 47合計 2,630 2,261 2,212 2,304 2,311 2,515

中国 自動車触媒 1,325 1,499 1,608 1,654 2,036 2,164化学 213 144 160 208 169 265歯科 3 8 8 8 7 7電子材 176 168 170 158 156 156投資 0 0 0 0 0 0宝飾品 238 155 78 34 10 9その他 14 15 16 17 41 44合計 1,969 1,989 2,040 2,079 2,419 2,645

その他の地域 自動車触媒 1,319 1,516 1,567 1,563 1,524 1,669化学 128 77 91 75 85 97歯科 16 17 18 18 19 19電子材 380 358 335 282 261 256投資 0 0 1,224 -282 -303 -77宝飾品 26 25 23 22 21 19その他 18 18 18 21 33 15合計 1,887 2,011 3,276 1,699 1,640 1,998 総需要合計 9,910 9,376 10,590 9,141 9,370 10,152

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

30

パラジウムの供給と需要(単位:トン)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

供給1 南アフリカ 73.4 76.6 66.1 83.5 80.1 79.9

ロシア:一次生産量2 81.7 78.6 80.5 75.7 86.3 82.5

ロシア:国家備蓄売却量2 8.1 3.1 0.0 0.0 0.0 0.0

北米 25.2 25.9 28.4 27.2 27.7 26.9

ジンバブエ3 8.3 10.0 10.2 9.9 12.2 11.9

その他3 5.0 4.7 5.0 4.5 4.0 4.0

供給合計 201.7 198.9 190.2 200.8 210.3 205.2

需要4 自動車触媒4 207.5 219.9 233.7 237.0 247.1 262.0

化学 16.3 11.8 9.8 14.1 13.3 16.6

歯科 15.8 14.1 14.5 14.6 13.4 12.6

電子材4 37.1 31.5 30.2 28.1 27.2 26.5

投資 14.6 -0.2 29.3 -20.5 -20.1 -12.0

宝飾品4 13.8 11.0 8.5 6.9 6.0 5.7

その他 3.2 3.4 3.5 4.2 4.7 4.4

需要合計 308.3 291.5 329.5 284.4 291.6 315.8

リサイクル量6 自動車触媒 -52.2 -59.1 -68.0 -59.0 -62.2 -75.4

電子材 -13.7 -14.4 -14.8 -14.8 -15.0 -15.0

宝飾品 -6.0 -4.9 -2.7 -1.4 -0.7 -0.6

リサイクル量合計 -71.9 -78.4 -85.5 -75.2 -77.9 -91.0

純需要合計7 236.4 213.1 244.0 209.2 213.7 224.8

在庫変動8 -34.7 -14.2 -53.8 -8.4 -3.4 -19.6

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

31

パラジウムの地域別総需要(単位:トン)2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年欧州 自動車触媒 44.4 46.7 49.2 50.2 51.0 51.8

化学 2.5 2.2 -0.7 2.4 2.5 2.5歯科 2.5 2.5 2.4 2.2 2.1 1.9電子材 4.7 3.5 3.5 3.1 3.1 2.9投資 5.1 -0.4 -2.3 -6.2 -8.4 -8.9宝飾品 2.0 1.9 1.9 1.8 1.8 1.8その他 0.7 0.7 0.8 0.8 0.7 0.7合計 61.9 57.1 54.8 54.3 52.8 52.7

日本 自動車触媒 24.8 24.3 24.7 23.6 24.6 25.0化学 0.5 0.6 0.5 0.5 0.5 0.5歯科 6.8 5.7 6.4 7.1 6.2 5.9電子材 10.0 6.8 6.6 7.2 7.1 6.9投資 0.0 -0.1 -0.1 0.1 -0.1 -0.1宝飾品 2.2 2.2 2.1 2.0 2.0 1.9その他 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3合計 44.6 39.8 40.5 40.8 40.6 40.4

北米 自動車触媒 56.1 55.1 61.1 63.2 60.8 66.0化学 2.7 2.1 2.2 2.4 2.4 2.4歯科 5.9 5.2 4.9 4.5 4.3 4.0電子材 5.1 4.9 4.4 4.1 4.0 3.8投資 9.5 0.3 -6.4 -5.6 -2.2 -0.6宝飾品 1.4 1.3 1.4 1.3 1.2 1.1その他 1.2 1.3 1.3 1.9 1.4 1.5合計 81.9 70.2 68.9 71.8 71.9 78.2

中国 自動車触媒 41.2 46.6 50.0 51.4 63.3 67.3化学 6.6 4.5 5.0 6.5 5.3 8.2歯科 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2電子材 5.5 5.2 5.3 4.9 4.9 4.9投資 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0宝飾品 7.4 4.8 2.4 1.1 0.3 0.3その他 0.4 0.5 0.5 0.5 1.3 1.4合計 61.2 61.8 63.4 64.6 75.3 82.3

その他の地域 自動車触媒 41.0 47.2 48.7 48.6 47.4 51.9化学 4.0 2.4 2.8 2.3 2.6 3.0歯科 0.5 0.5 0.6 0.6 0.6 0.6電子材 11.8 11.1 10.4 8.8 8.1 8.0投資 0.0 0.0 38.1 -8.8 -9.4 -2.4宝飾品 0.8 0.8 0.7 0.7 0.7 0.6その他 0.6 0.6 0.6 0.7 1.0 0.5合計 58.7 62.6 101.9 52.9 51.0 62.2 総需要合計 308.3 291.5 329.5 284.4 291.6 315.8

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

32

ロジウムの供給と需要(単位:1,000オンス)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

供給1 南アフリカ 577 554 470 611 615 618

ロシア2 90 80 80 80 85 65

北米 22 23 24 22 24 22

ジンバブエ3 28 36 36 35 43 40

その他3 3 8 7 5 5 5

供給合計 720 701 617 753 772 750

需要4 自動車触媒4 775 753 769 762 822 858

化学 80 79 90 73 64 74

電子材 6 5 3 3 3 3

ガラス 35 47 49 52 85 95

その他 63 87 38 30 39 18

需要合計 959 971 949 920 1,013 1,048

リサイクル量6 自動車触媒 -252 -281 -306 -262 -271 -324

リサイクル量合計 -252 -281 -306 -262 -271 -324

純需要合計7 707 690 643 658 742 724

在庫変動8 13 11 -26 95 30 26

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

33

ロジウムの供給と需要(単位:トン)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

供給1 南アフリカ 17.9 17.2 14.6 19.0 19.1 19.2

ロシア2 2.8 2.5 2.5 2.5 2.6 2.0

北米 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7

ジンバブエ3 0.9 1.1 1.1 1.1 1.3 1.2

その他3 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2

供給合計 22.4 21.7 19.1 23.5 23.9 23.3

需要4 自動車触媒4 24.1 23.4 23.8 23.7 25.5 26.7

化学 2.5 2.5 2.9 2.3 2.0 2.3

電子材 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

ガラス 1.0 1.4 1.5 1.7 2.6 3.0

その他 2.0 2.8 1.2 1.0 1.3 0.6

需要合計 29.8 30.1 29.4 28.7 31.4 32.6

リサイクル量6 自動車触媒 -7.8 -8.7 -9.5 -8.2 -8.4 -10.1

リサイクル量合計 -7.8 -8.7 -9.5 -8.2 -8.4 -10.1

純需要合計7 22.0 21.4 19.9 20.5 23.0 22.5

在庫変動8 0.4 0.3 -0.8 3.0 0.9 0.8

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

34

イリジウムの需要(単位:1,000オンス)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

需要 化学 19 21 22 22 23 23

電子材 28 35 49 89 112 88

電子化学 73 41 39 41 44 69

その他 75 68 71 77 81 84

合計 需要 195 166 182 228 259 264

イリジウムの需要(単位:トン)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

需要 化学 0.6 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7

電子材 0.9 1.1 1.5 2.8 3.5 2.7

電子化学 2.3 1.3 1.2 1.3 1.4 2.2

その他 2.3 2.1 2.2 2.4 2.5 2.6

合計 需要 6.1 5.2 5.7 7.1 8.1 8.2

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

35

ルテニウムの需要(単位:1,000オンス)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

需要 化学 134 321 332 444 340 419

電子材 247 336 361 458 433 438

電子化学 172 145 136 151 172 188

その他 79 105 108 149 154 160

合計 需要 632 908 936 1,202 1,100 1,204

ルテニウムの需要(単位:トン)

2017年の数値は暫定推定値9

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

需要 化学 4.2 10.0 10.3 13.8 10.6 13.0

電子材 7.7 10.5 11.2 14.3 13.5 13.6

電子化学 5.3 4.5 4.2 4.7 5.4 5.8

その他 2.5 3.3 3.4 4.6 4.8 5.0

合計 需要 19.7 28.2 29.1 37.4 34.2 37.5

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

36

1 供給量は、鉱山による一次 PGM の販売量の推定値を示しており、地域の分類は精練地ではなく採掘地を基準としている。さらに、ロシアの国家備蓄売却など、以前は織り込んでいなかった販売量も供給量として計上している。

2 ロシアの供給量は、ロシアと独立国家共同体(CIS)を含む地域全体の合計 PGM 販売量を示している。ロシアと CIS 諸国の需要は世界のその他の地域に算入されている。ロシアのパラジウム供給量は採掘による一次供給量と在庫の売却に分けられる。

3 ジンバブエからの供給量はその他の供給量と区別されている。ジンバブエで採掘されたPGM は現在、南アフリカで精練されており、本稿では PGM 精鉱またはマット状 PGM の出荷量を標準的な精練実収率で調整した数値で示している。

4 総需要は、いずれの用途についても、当該用途のためのメーカーの需要と当該セクターが保有する未精練の在庫の増減の合計を示している。未精練の在庫を積み上げると需要が増加し、在庫が取り崩されると需要が減少する。

5 医療・バイオメディカルの分野については、医療、バイオメディカル、歯科の 3 セクターを合わせた需要を示している。

6 リサイクル量は、オープンループリサイクル(すなわち、メタルの使用権は最初の購入者から移転される)でのメタル回収量の推定値を示している。例えば、自動車触媒のリサイクル量は個々の地域の使用済み自動車やアフターマーケットの廃車や廃部品から回収されたメタルの重量を示しており、地域の分類については最終的にメタルが回収された地域ではなく自動車が最初に登録された地域を基準としている。これらの数値には、担保となるスクラップもしくは製造工程でのスクラップは含まれていない。リサイクル量が示されていない場合は、オープンループリサイクルによるリサイクル量がごくわずかであることを示している。

7 純需要は、ある用途の総需要の合計から当該用途のオープンループリサイクルによるメタル回収量を差し引いた数値に相当する。リサイクルされたメタルが当該産業で再利用されるか、他の用途に販売されるかは問わない。リサイクル量が示されていない用途については、総需要と正味需要は同一である。

8 ある年の在庫の変動は、加工業者、ディーラー、銀行、受託者が保有している在庫の変動を示しているが、一次精練業者と最終ユーザーが保有する在庫はこの対象とならない。この数値がプラスの場合(「供給過多」と示されることがある)は市場在庫の増加を示し、マイナスの場合(「供給不足」と示されることがある)は市場在庫の減少を示す。

9 2017 年の数値は暫定推定値である。

表の注

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PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

37

ASC アンモニアスリップ触媒CF CF値CO 一酸化炭素CO2

DOC二酸化炭素ディーゼル車用酸化触媒

DPF ディーゼル微粒子捕集フィルターEECELV

欧州経済共同体廃車

ETF 上場投資信託FCEV 燃料電池車GPF ガソリン車用微粒子捕集フィルターHC 炭化水素LAB 直鎖型アルキルベンゼンLDG 小型ガソリン車LEVLNT

低公害車リーンNOxトラップ

NOx 窒素酸化物NO 一酸化窒素NO2 二酸化窒素NRMMNYMEX

特定特殊自動車ニューヨークマーカンタイル取引所

(New York Mercantile Exchange) PMPNPNA

粒子状物質または煤粒子数NOx吸着触媒

ppmPTA

百万分率高純度テレフタル酸

PX パラキシレンRDE 実路走行RoW 世界のその他の地域SCR 選択還元触媒SGE 上海黄金交易所SUV スポーツユーティリティ車

用語集

Page 38: PGM市場レポート2018年2月 プラチナ市場の要約 … market...PGM市場レポート2018年2月 1 Precious Metals Management プラチナ市場の要約 2017年の供給と需要

2010年

2011年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2025年

2024年

2023年

2022年

2021年

北米(米国環境保護庁)

中国(対ガソリン車)

(全土)

中国(対ガソリン車)

(北京)

日本

欧州

北米(カリフォルニア州

大気資源局)

タイ

韓国(対ディーゼル車)

韓国(対ガソリン車)

ブラジル

ロシア

インド(全土)

インド(主要都市)

中国(対ディーゼル車)

(全土)

Tier 3

LEV III 段階的実施

Tier 2

BS 2

BS 3

BS 6

BS 4

China 3

China 5

China 4

Japan 2018 (WLTC)

Japan 2009 (JC08)

Euro 5b/b+

Euro 6b

Euro 5

LEV III さらに強化(予想)

LEV II

Euro 6c/

Euro 6d-TEMP

Euro 6d

Euro 6d-TEMP

China 6b

China 6a/6bの施行期日(要確認)、ただしChina 6bに直接移行する可能性もある

China 4

China 4

China 5 China 5

China 6a

China 6b

China 6a

China 3

BS 4

BS 6

Euro 4

Euro 3

Euro 6b

K-LEV III 段階的実施

K-LEV II

PROCONVE L7(要確認)

PROCONVE L6

PROCONVE L5

Euro 5

Euro 4

Euro 5

Euro 6d

Euro 5

2026年

PGM市場レポート2018年2月

38

Prec

ious

Met

als M

anag

emen

t

排ガ

ス規

制:

小型

上記

は乗

用車

新型

式認

証の

ため

のデ

ータ

であ

る。

中国

の日

付は

頻繁

に変

更さ

れる

こと

があ

り、

上記

の日

付は

現時

点で

入手

可能

な最

善の

見方

を反

映し

てい

る。

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PGM市場レポート2018年2月

39

Prec

ious

Met

als M

anag

emen

t

排ガ

ス規

制:

大型

ディ

ーゼ

ル車

中国

の日

付は

頻繁

に変

更さ

れる

こと

があ

り、

上記

の日

付は

現時

点で

入手

可能

な最

善の

見方

を反

映し

てい

る。

2010年

2011年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2023年

2022年

2021年

北米

中国(北京/主要都市)

日本

欧州

韓国

ブラジル

ロシア

インド(全土)

インド(主要都市)

中国(全土)

GHG(温室効果ガス)規制フェーズ1

EPA10

BS II

BS III

BS VI(予想)

BS IV

Beijing V

China IV

Japan 2016(WHTC:世界統一試験サイクル)

Japan 2009

EURO VI

EURO V

China IV

China V

China VIa

China III

BS IV

BS VI(予想)

Euro VI

Euro V

PROCONVE P8(要確認)

PROCONVE P7

PROCONVE P6

Euro V

Euro IV

GHG(温室効果ガス)規制フェーズ2

北京:Beijing V+(2016

年1月)/11地域:China

V(2016年4月)

Beijing VI

(予想)

China VIaとVIb 主要都市-施行期日は要確認

2024年

2025年

2026年

China VIb

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PGM MARKET REPORT MAY 2015

Precious Metals Management

40

PGM市場レポート2018年2月

Precious Metals Management

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特に、本レポートおよび本レポート中の情報ならびに資料は、規格貴金属関連商品、その他の規格品、有価証券、投資の売買をオファーするものでなく、またそうした売買のオファーを行うことを勧誘するものでもない。さらに規格貴金属関連商品、その他の規格品、有価証券、投資の売買その他の処分についていかなる推奨、投資の提供、その他のアドバイスも行うものではなく、またそのようにみなしてはならない。かかるアドバイスには、貴金属関連取引が潜在投資家の投資目的または財務状況に適しているまたはふさわしいといった趣旨のアドバイスも含まれるが、これに限定されるものではない。

本レポートの情報または資料に依拠し、規格貴金属関連商品、その他の規格品、有価証券、投資に対する投資決定を行ってはならない。投資決定に先立ち、潜在投資家は財務、法務、税務、会計に関する自身の顧問にアドバイスを求め、各自の資金ニーズや資金状況を考慮し、かかる投資決定に伴うリスクを慎重に検討すべきである。本レポートは、いずれかの規格貴金属関連商品、その他の規格品、有価証券、投資を後援、擁護、推薦、奨励する役割を果たすとみなしてはならない。