20
Oracle Database 18cの紹介 Oracle ホワイト・ペーパー | 2018 年 7 月

Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

  • Upload
    others

  • View
    5

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

Oracle Database 18cの紹介 Oracle ホワイト・ペーパー | 2018 年 7 月

Page 2: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

1 | Oracle Database 18c の紹介

免責事項

下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯一の目的とするものであり、いかなる契約にも組み込むことはできません。マテリアルやコード、機能の提供をコミットメント(確約)するものではなく、購買を決定する際の判断材料になさらないで下さい。オラクルの製品に関して記載されている機能の開発、リリース、および時期については、弊社の裁量により決定されます。

Page 3: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

2 | Oracle Database 18c の紹介

目次

免責事項 ....................................................................................................................................................1

はじめに ....................................................................................................................................................3

Autonomous Database Cloud の紹介 ..................................................................................................4

マルチテナント・アーキテクチャ ........................................................................................................5

パフォーマンス ........................................................................................................................................6

高可用性 ....................................................................................................................................................8

セキュリティ ......................................................................................................................................... 11

データウェアハウスおよびビッグ・データ...................................................................................... 13

アプリケーション開発 ......................................................................................................................... 16

結論 ......................................................................................................................................................... 18

Page 4: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

3 | Oracle Database 18c の紹介

はじめに

Oracle Database 18c は、世界でもっとも人気の高いデータベースの最新世代であり、オンプレ

ミスでも Oracle Cloud でも展開可能です。Oracle Exadata および Oracle Database Appliance な

ど、データベース・ワークロード向けに特別に設計された、汎用のハードウェアやエンジニア

ド・システムで稼働します。これにより、あらゆる規模の企業が、高いセキュリティと費用効

率が要求されるトランザクション・ワークロードおよび分析ワークロード向けの展開に対し、

最高レベルのスケーラビリティと信頼性を備えた世界最速のデータベース・テクノロジーを、

クラウド、オンプレミス、およびハイブリッド・クラウドの環境で利用できるようになりまし

た。Oracle Database 18c には、新たな機能と、Oracle Database 12c でリリースされた機能への

改良点が含まれています。たとえば、以下のようなものがあります。

» 大幅なコスト削減と優れた俊敏性をもたらすマルチテナント・アーキテクチャ

» リアルタイム分析の大幅なパフォーマンス向上につながるインメモリ列ストア

» 大量の Web アプリケーションの高可用性を実現するネイティブなデータベース・シャー

ディング

» データベース・パフォーマンス、可用性、セキュリティ、分析、アプリケーション開発を強

化するその他多数のクリティカルな機能

2017 年 7 月、オラクルは、毎年新たな機能を市場に投入するために設計されたデータベース・

ソフトウェアのリリース・プロセスを、より柔軟性と応答性が高い戦略に移行しました。一般

提供されている Oracle Database 18c は、オラクルのデータベース・ソフトウェア・リリース・

モデルにおける最初の年次リリースでした。比較を目的とした場合、Oracle Database 18c は、

旧リリース・モデルにおける Oracle Database 12c Release 2 への最初のパッチ・セットである

ととらえることができます。先を待ち望んでいる顧客は、最新の Oracle Database が登場する

のを何年も待つ必要がなくなり、データベースの新たな機能と強化点の導入を年単位で定期的

に期待できます。Oracle Database 18c(およびそれに続く年次リリース)は、オラクルの

Autonomous Database Cloud のコア・コンポーネントとしても明確に位置づけられています。

このホワイト・ペーパーでは、あらゆるトランザクション・ワークロードと分析ワークロード、

そしてアプリケーション開発要件にとって、最高のパフォーマンス、スケーラビリティ、信頼

性、セキュリティを顧客が実現できるように支援する Oracle Database 18c のクリティカルな機

能について説明します。

Page 5: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

4 | Oracle Database 18c の紹介

「データベース・ソフトウェア市場セグメントのリーダーとして歴史を重ねてきたオラクルが次世代データ管理プラットフォームの先駆者となるのは驚くに当たらない」

IDC、RESEARCH VICE PRESIDENT

CARL OLOFSON 氏

Autonomous Database Cloudの紹介

継続的なデータベース・リリースにおいて、オラクルは革新的な自動化機能を導入し、管理者がエンドユーザーに高水準のサービスを提供するのを支援してきました。こうした革新的機能として、以下が挙げられます。

» コストベースの最適化。自動 SQL 問合せ最適化、自動統計収集、自動クエリー・リライト、自動 SQL 計画管理、自動 SQL チューニング

» パフォーマンスのチューニングと診断。メモリとリソースの自動管理、索引およびマテリアライズド・ビューの自動アドバイザ、自動データベース診断モニター、自動データベース・ワークロード・キャプチャ&リプレイ、および自動ワークロード・リポジトリ

» データの最適化。自動 UNDO 管理、自動セグメント領域管理、自動ストレージ管理、自動データ最適化、および自動列キャッシュ

» クラウド規模の運用。自動スタンバイ管理(ブローカ)、診断フレームワーク、マルチテナント・アーキテクチャ、Cluster Health Advisor における自動データベース・クローン・リフレッシュおよび機械学習

オラクルは 2017 年 10 月に、特定のデータウェアハウス、OLTP、NoSQL のワークロードに合わせたデータベース・サービス群である Autonomous Database Cloud を発表しました。機械学習技術とともに既存のデータベース機能を利用することで、Autonomous Database Cloud は、手動管理のデータベースでは提供が容易ではないレベルのパフォーマンスと信頼性を提供できます。Autonomous Database Cloud は特に、以下に示すものを通じ、ルーチンの管理作業を自動化し、人為的エラーをなくすことで高水準のサービスを低コストで顧客に提供するよう設計されています。

» 自己稼働。ユーザーがワークロードとポリシーを定義するだけで、自動化によって実行。

» 自己保護。外部からの攻撃および内部ユーザーの両方から保護。

» 自己修復。あらゆる停止時間からの自動保護。

Autonomous Database Cloud は、世界でもっとも幅広く実証され、洗練されたデータベースであるOracle Database に基づいて構築されています。世界でもっとも優れたデータベース・プラットフォームである Oracle Exadata 上で実行され、Oracle Cloud(パブリック・クラウド展開向け)および Exadata Cloud at Customer(プライベート・クラウド展開向け)で、従量制サービスとして利用できます。

Page 6: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

5 | Oracle Database 18c の紹介

図1:Oracle Autonomous Databaseの主要コンポーネント

データウェアハウス、データ・マート、データ・サイエンス、およびデータ・レイク向けのAutonomous Data Warehouse Cloud のユースケースは、2018 年 3 月から Oracle Cloud で利用できるようになっています。

マルチテナント・アーキテクチャ

クラウド(パブリックまたはプライベート)向けに設計されたオラクルのマルチテナント・データベースは、統合を簡素化し、高密度のスキーマベースの統合を実現する独自のアーキテクチャをもたらしますが、既存アプリケーションの変更は不要です。このアーキテクチャでは、1 つのマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)で多数の'プラガブル'データベース(PDB)をホストできます。マルチテナント・コンテナに統合された、または'組み込まれた'各データベースのルック・アンド・フィールは、アプリケーション側から見て、マルチテナント以前の Oracle データベースと何ら変わりません。複数のデータベースをマルチテナント・コンテナに統合することにより、多数のプラガブル・データベースがコンテナ・メモリとプロセッサ・リソースを共有し、より高密度のデータベース統合が可能となります。加えて、CDB 内のすべての PDB が、データベース・バックアップ、パッチ適用、アップグレード、およびスタンバイ運用のため、効率的に"一括管理"されます。

オラクルのマルチテナント・データベースにより、データベースのプロビジョニング、クローニング、移動を迅速に行うことも可能です。たとえば、基盤となるファイル・システムによって Copy-On-Write がサポートされている場合(Oracle Solaris ZFS ファイル・システム、Oracle ASM クラスタ・ファイル・システムなど)、プラガブル・データベースのクローニングはほぼ瞬時に実行されます。オラクルのマルチテナント・データベースのその他の俊敏性機能には次のものがあります。

» PDB Hot Clone:ユーザーをオフラインにすることなく、PDB を高速にインスタンス化

» PDB Refresh:クローン PDB を最新データで定期的に更新

» PDB Relocate:停止時間をほぼゼロに抑えながら、PDB を CDB 間に再配置

さらに、オラクルのマルチテナント・データベースがもたらすアプリケーション・コンテナ機能により、従来スタンドアロン展開のオンプレミス向けに構築されていたアプリケーションを、コードを変更することなく、即席の Software-as-a-Service(SaaS)アーキテクチャに変換できます。アプリケーションは変更されることなくアプリケーション・ルートにインストールされます。テナントPDB(例:独立した顧客)は、セキュリティで保護してテナント・データの独立性を保持したままアプリケーション・コードを共有できます。アプリケーションのアップグレードは、1 つのアプリケーション・ルート・マスターに対してのみ適用する必要があり、テナント PDB はアップグレード後のマスターと同期をとるだけです。

Page 7: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

6 | Oracle Database 18c の紹介

オラクルのマルチテナント・データベースは、2013 年に導入されて以来、ISV をはじめとする顧客に幅広く採用され、オンプレミスとクラウドの両方に展開されてきました。実際に、Exadata Express Service や Autonomous Data Warehouse Cloud など、多くの Oracle Database Cloud Service は、テナントの独立性、俊敏性、スケーラビリティにおいて、マルチテナントに依存しています。Oracle Database 18c のリリースでは、以下をはじめとする多数の拡張機能が既存のマルチテナント機能に導入されています。

» アップグレード、アップデート、リビジョンの迅速な展開。新たなインフラストラクチャにより、データベースのアップグレード、アップデートおよびリビジョンの実行時間がさらに短縮されています。

» トランスポータブル・バックアップでは、接続を解除してから新たなコンテナに接続する前に、PDB で実行されるバックアップの使用をサポートしています。これにより、オンプレミスとクラウド間でのロードバランシングや移行の場合など、CDB 間における PDB の再配置が迅速になり、PDB 再配置の直前直後に毎回バックアップを作成する必要がなくなります。

» Snapshot Carousel により、PDB の定期的なスナップショットを定義して、任意の時点へのフル・リカバリ、または特定時点のクローンに対して使用できます。Snapshot Carousel は、通常、時点が異なる複数のデータベース・コピーが必要となる開発環境や、ミッション・クリティカルでないバックアップ・プロセスやリカバリ・プロセスを増やすことが必要な環境に最適です。

» リフレッシュ可能な PDB スイッチオーバーにより、“マスター”PDB の更新後の増分コピー(例:オンプレミスからクラウドに対する更新)である PDB を作成でき、PDB 間でスイッチオーバーできます。スイッチオーバーが発生すると、“マスター”PDB がクローンとなり、前のクローンがマスターとなります。この機能を使用することで、異なる CDB 間におけるワークロードを正常に切り替えることがより簡単になります。

Oracle Database のマルチテナント・アーキテクチャを利用することで、展開先が Oracle Cloud であろうと、オンプレミスやハイブリッド・クラウド環境であろうと、スケール・メリットを伴うテナントの独立性と俊敏性を高いコスト効率で実現できます。

パフォーマンス

Oracle Database 18c は、SQL 問合せとデータ最適化およびパフォーマンスとチューニングの診断という領域で数多くの革新的技術を継承しています。お客様はこうした技術によって、シングル・サーバーおよびクラスタ化されたサーバーの両方の構成において、トランザクション、分析、および混合の各ワークロードで期待されるデータベースのパフォーマンス・レベルを実現してきました。さらには、Smart Scan、Smart Flash Cache、Storage Index など、Oracle Exadata 独自のパフォーマンス機能により、オンプレミスまたはクラウドのいずれの展開であっても、Exadata 上で実行される Oracle Database 18c のすべてのワークロードについて、より高い水準のパフォーマンスがもたらされます。

Oracle Database は、Oracle Database In-Memory により、インメモリの列形式データへのアクセスも提供します。これにより、分析問合せを大幅に加速したり、分析レポート索引を不要にすることでトランザクション問合せのパフォーマンスを改善したりできます。Oracle Database In-Memoryでは、従来の行形式と純粋なインメモリ列形式で表データを同時に表す、独自のデュアルフォーマット・アーキテクチャが使用されています。インメモリ列ストア(IM 列ストア)には専用のソフトウェア・ルーチンとハードウェア・ルーチンによってアクセスするため、メモリ常駐データのパ

Page 8: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

7 | Oracle Database 18c の紹介

フォーマンスが向上します。Oracle Database 18c は、Oracle Database In-Memory 自動化をさらに改善し、柔軟性とパフォーマンスを強化しながら、既存のアプリケーションとの互換性、そしてMultitenant、Real Application Clusters、Maximum Availability Architecture、およびデータベース・セキュリティを含む、Oracle Database 18c のすべての機能との互換性を完全に維持しています。

容易な実装

他のインメモリ・データベースとは異なり、Oracle Database In-Memory ではデータベース全体をメイン・メモリに格納する必要がありません。必要となるのは、IM 列ストアのサイズを設定し、パフォーマンスが重視される表やパーティションを特定することだけです。Oracle Database 18c では、IM 列ストアの内容の管理を自動化できるようになりました。これは、IM 列ストアへのオブジェクトの移入および関連性のなくなったオブジェクトの削除をデータベースが自動的に処理することを意味します。Database In-Memory の独自の特徴として、IM 列ストアを利用するために既存のアプリケーションを変更する必要のないことが挙げられます。オプティマイザによって、分析問合せは列形式に、トランザクション問合せは行形式に自動的にルーティングされます。さらに、IM 列ストアは、Exadata ストレージ(オンプレミスおよび Oracle Cloud の両方)上のフラッシュに拡張されており、列形式データの容量が大幅に増加しています。

メモリ最適化によるパフォーマンス

インメモリ・スキャン、結合、集計に対応した Oracle Database In-Memory の最先端のアルゴリズムにより、顧客の分析ワークロードおよび複合ワークロードでパフォーマンスが桁違いに向上することが広く実証されています。その他には、Oracle Database In-Memory の一般的なユースケースとして、分析がビジネス・トランザクションの必須コンポーネントであるハイブリッド・トランザクション分析処理(HTAP)や、データウェアハウス問合せ、レポート・システムが挙げられます。Oracle Database In-Memory によるパフォーマンス強化機能には、インメモリ結合グループ、インメモリ式、JSON 問合せのインメモリ処理などがあります。

分散型リアルタイム分析

Oracle Database In-Memory では、索引をすべての列に配置する場合と同様なパフォーマンスを索引のオーバーヘッドなしに実現することにより、リアルタイム分析を可能にしています。その結果、以前は数時間以上かかっていた分析を数秒で完了できるようになりました。実際に顧客は、トランザクション・データベースで分析の問合せパフォーマンスを高めるために使用していたものの不要となった、分析用の 2 次索引をなくすことができます。IM 列ストアは、Oracle Cloud およびOracle Exadata で実行される Active Data Guard スタンバイ・データベースにも保持できるようになりました。これにより、スタンバイ・データベースをより有効に利用できます。この新機能によって、トランザクション・ユーザーを分析ユーザーから完全に切り離したうえで、ほぼリアルタイムのデータに対して高パフォーマンスの分析を引き続き実行できます。

MemOptimized RowStore

Oracle Database 18c では、Oracle Database In-Memory 列ストアおよび非揮発性メモリのサポートに加え、主キー値に基づく非常に高速で待機時間の短い検索が要求される Internet of Things(IoT)ワークロードなど、高速な問合せパフォーマンス向けに設計された Memoptimized Rowstore が導入されました。新たな表レベル属性である MEMOPTIMIZE FOR READ は、この新たなハッシュ索引によりバッファ・キャッシュに固定するテーブルの指定に使用されます。キー値検索は、その後SQL 実行レイヤーをバイパスし、インメモリ・ハッシュ索引経由のデータ・アクセス・レイヤーで

Page 9: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

8 | Oracle Database 18c の紹介

直接実行されます。この機能により、クライアントはごく短い待機時間でインメモリ・バッファからの読取りを実行でき、これまでの手法と比較して、キー値検索のスループットを大幅に向上させることができます。この高速な検索パフォーマンスは、Remote Direct Memory Access(RDMA)を使用する機能を活用することで InfiniBand 高速ネットワーク用 Exadirect とともに使用する場合、さらに強化できます。

高可用性

Oracle Database はオラクルの Maximum Availability Architecture によって最高水準の可用性を顧客に提供します。このアーキテクチャは、データベース可用性機能、およびベスト・プラクティス構想との統合セットで、オンプレミスおよびクラウドの両方の展開に対し、計画外停止時間および計画停止時間に関する一般的な原因に対応します。

計画外停止時間

IT インフラストラクチャには、損害の大きい計画外停止時間を引き起こす可能性のあるサーバーの障害、ディスク・クラッシュやストレージの破損、サイト停止、人為的エラーなどの障害がつきものです。計画外停止時間を回避、あるいは軽減するため、Oracle Database 18c は、次を含むクリティカルな高可用性機能をいくつか提供します。

» Real Application Clusters(RAC)では、共有データベースとは異なり、クラスタ内の複数のサーバー上で複数のデータベース・インスタンスを実行することが可能です。サーバーは独立して実行されるため、1 つまたは複数のサーバーの障害が他のサーバーに影響することはありません。RAC はシングル・ポイント障害としてデータベース・サーバーを効果的に削除します。

» 自動ストレージ管理(ASM)は、基盤となる(クラスタ化された)ボリューム・マネージャ・テクノロジーで、Oracle Database との使用が推奨されます。ASM は、高速パフォーマンスと高可用性のため、すべてについてストライプ化とミラー化を行い、2 ウェイまたは 3 ウェイのディスク・ミラー化を選択してディスク障害からデータを保護します。

» Recovery Manager(RMAN)は、Oracle データベースのバックアップ、リストア、およびリカバリ・プロセスを管理します。RMAN は、構成可能なバックアップとリカバリ・ポリシーを保守し、すべてのデータベースのバックアップ・アクティビティとリカバリ・アクティビティの履歴レコードを保持します。それにより、データベースのリストアとリカバリの成功に必要となるすべてのファイルがデータベース・バックアップに確実に含まれるようにします。

» Oracle Secure Backup(OSB)は、分散した異機種 IT 環境において、データベースおよびファイル・システム・データの両方のためのスケーラブルで、一元化されたテープ・バックアップ管理を実現します。Oracle Secure Backup には、Oracle オブジェクト・ストアおよび Amazon S3 オブジェクト・ストレージのための RMAN バックアップが含まれます。

» フラッシュバックにより、偶発的な表削除など、ミスの影響を効率的に取り消して、人為的エラーを元の状態に戻します。

» Active Data Guard(ADG)は、レプリカ・スタンバイ・データベース(同期または非同期)を代替の場所(通常はリモート)を保持することでサイト障害から保護できます。ADG により、バックアップ、レポート、分析といった読取り専用プロセスをスタンバイ・データベースにオフロードすることもできます。

Oracle Exadata および Oracle Cloud の多くのデータベース・サービス(Exadata Service、Autonomous Service など)は、オラクルの Maximum Availability Architecture を使用するクリティ

Page 10: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

9 | Oracle Database 18c の紹介

カルな高可用性機能を用いて構築されており、オンプレミスおよび Oracle Cloud の両方に最高水準のデータベース可用性を提供します。

計画停止時間

ハードウェアのアップグレード、ソフトウェアのアップグレード、パッチ適用などの必要な保守で生じる計画停止時間は、すべての IT 操作において必要不可欠な部分です。にもかかわらず、計画的か計画外かに関係なく停止時間はコストのかかるおそれがあります。Oracle Database 18c は、保守作業に必要な計画停止時間量の短縮に役立つ、以下を含む機能をいくつか提供します。

» ハードウェア保守操作と移行操作:自動ストレージ管理を使用することで、ディスクをオンラインのまま追加または削除することができ、データが自動的にリバランスされます。クラスタ・データベース・インフラストラクチャへのデータベース・サーバーの追加またはクラスタ・データベース・インフラストラクチャからの削除も、ユーザーを接続したまま容易に実行できます。クロス・プラットフォームの増分バックアップとリカバリでは、別々のサーバー上のマルチテナント・コンテナ間における PDB の切断と接続が高速に行われるため、クロス・プラットフォームでハードウェア移行を行うための停止時間を最小限にします。

» Oracle Real Application Clusters を使用することで、データベース・ソフトウェアのオンライン・パッチをサーバー・ノードに‘ローリング’方式で適用できます。サーバー間でユーザーをシンプルに移行できます。サーバーはクラスタから静止され、パッチが適用されてからオンラインに戻ります。その後、クラスタ内のすべてのサーバーで同じ操作が繰り返されます。Oracle Database 18c は、Grid Infrastructure ソフトウェアの各ノードに対しローリング方式で Grid Infrastructure に影響を与えずにパッチを適用しながら、アプリケーション・ユーザーに対してはそのノード上で実行されるデータベースを利用可能なままにします。

» ローリング・データベース・アップグレード:Oracle Data Guard または Oracle Active Data Guard により、停止時間を生じさせずに、スタンバイ・データベースのアップグレード、および新しい(アップグレード済み)環境のテストを実行してから、ユーザーを新しい環境に切り替えることができます。

» オンライン再定義:Oracle Database では、オンライン本番システムのサポートを継続しながら表構造への変更が可能であり、ユーザーが基本データへのアクセスを継続している一方で、ストレージ・デバイスにおけるデータファイルとパーティションの移動が可能です。

» エディションベースの再定義:オンライン・アプリケーション・アップグレードが可能になります。エディションベースの再定義を使用すると、現在の本番エディションから分離された、データベース内の新しいエディションのプライバシ内でプログラム・コードを変更できます。エディショニング・ビューは、各エディションに同じ表の異なる表示を公開して、各エディションのコードが、表の固有の表示だけを参照するようにします。クロス・エディション・トリガーは、古い本番エディションによって行われたデータ変更を新しいエディションの列に伝播します。また、その逆も行います。その結果、古い本番環境と新しい本番環境の両方をテスト用に同時に使用でき、ユーザーをエディション間でオンラインのまま移動できます。

Page 11: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

10 | Oracle Database 18c の紹介

データベース可用性の強化

Oracle Database 18c では、以下に示すように、データベースの可用性を最大限に高めるのに役立つ新機能と強化機能により、引き続き Maximum Availability Architecture が進化しています。

» Data Guard Far Sync は、プライマリ・ロケーションからどれだけ離れた場所にあるスタンバイ・データベースでも、データベースのパフォーマンスに影響を及ぼすことなく、最小限のコストと複雑さで同期を維持して、データ損失ゼロの保護を本番データベースに提供します。Far Sync インスタンスは、プライマリ・データベースから変更を同期的に受信して、リモート・スタンバイに非同期的に送信します。Data Guard Far Sync は軽量エンティティで、制御ファイルとログ・ファイルのみを管理し、スタンバイ・データベースの CPU、メモリ、I/O のわずかなリソースだけで、稼働中の遠隔地からプライマリ・データベースを救出します。本番環境を、データ損失をゼロに保ちながら、手動または自動でリモート・スタンバイ・データベースに迅速にフェイルオーバーできます。

» Global Data Services は、Active Data Guard と Oracle GoldenGate のレプリケートされたデータベース全体で、領域間および領域内の負荷分散を実行します。Active Data Guard とGoldenGate の分散データベースに、Real Application Clusters のフェイルオーバー機能とロードバランシング機能を効果的に提供します。Global Data Services は、データベース・サービスの一般的な概念を、近接地または遠隔地にある複数のデータベース・インスタンスをまたいで拡張します。Global Data Services を使用すると、スタンバイ・データベースで構成される Reader Farm 全体にワークロードを分散できます。

» 非ログ・データの自動伝播は Oracle Database 18c で有効になっています。データウェアハウスへのデータの迅速なロードの非ロギングとレプリカ・スタンバイ・データベースの保守との間で妥協する必要がなくなります。スタンバイ・データベースは、プライマリ・データウェアハウスへのデータのロード速度の影響を最小限にしながら非ログ・データの変更を受信できるようになりました。

» 継続的なアプリケーションの可用性により、ユーザー向けアプリケーションに起因するデータベース障害が効率的に管理されます。たとえば、Web アプリケーションでデータベースの停止が生じると、トランザクションが適切に完了しなかったり、ユーザーがトランザクションを再入力したりする結果になりかねません。データベースの停止を容易に復旧できても、アプリケーション自体はそうではありません。アプリケーション・コンティニュイティにより、障害の発生したトランザクションのリプレイが可能となり、データベースの停止をエンドユーザーに対して効果的に非表示にします。

ネイティブなデータベース・シャーディング

Oracle Database は、ネイティブなデータベース・シャーディングを提供し、トランザクション・アプリケーションで卓越したスケーラビリティと信頼性を実現します。Real Application Clusters やActive Data Guard などのクリティカルな高可用性機能は、アプリケーションの透過性を維持しながら、トランザクション・アプリケーションの 99 %を超えるニーズに対応できることが広く実証されています。ただし、グローバル規模のトランザクション・アプリケーションでスケーラビリティや信頼性を高めるには、巨大なデータベースをより小さなデータベース・ファームにシャーディングする方が適している場合があります。その場合は、データベース・ファーム内の特定のシャードにワークロードが自動的にルーティングされるように、シャーディング・キーに基づいてアプリケーションを設計する必要があります。 Oracle Database 18c におけるシャーディングでは、“範

Page 12: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

11 | Oracle Database 18c の紹介

囲”シャーディングおよび“リスト”シャーディングについて明示的なユーザー定義モデルを採用し、データがアクセスに適した場所に配置されるようにできます。

Zero Data Loss Recovery Appliance(Recovery Appliance)

Oracle Recovery Appliance は、エンタープライズ全体で Oracle Database のバックアップ・プロセスおよびリカバリ・プロセスを標準化するエンジニアド・システムです。Oracle Recovery Appliance は革新的なデータ保護ソリューションで、RMAN と完全に統合され、データ損失の発生を防ぎ、データベース・サーバーにおけるデータ保護のオーバーヘッドを大幅に削減するよう設計されています。Recovery Appliance は、クラウド規模の大規模アーキテクチャ、エンド・ツー・エンドのデータ検証、Enterprise Manager Cloud Control を通じ完全に自動化されたデータ保護ライフサイクル全体の管理により、データセンターにおけるすべての Oracle データベースの保護を簡単に標準化できます。

セキュリティ

企業データは悪意のある攻撃からの脅威にますます多くさらされており、EU GDPR などの規則では、機密データ保護管理のさらなる強化を示すことが組織に求められています。オラクルは、初めからマルチレイヤーでの多層防御を採用し、データベースのセキュリティ態勢とデータの機密性を判定する評価的統制、データへの不正アクセスをブロックする予防的統制、ユーザーとアプリケーションによるデータ・アクセス行動を監視する発見的統制、そしてデータベース内のソースにおいてユーザー・レベルとアプリケーション・レベルでアクセス制御を実施するデータ駆動型セキュリティを提供します。以下を含むこれらの統制により、Oracle Database に格納されているエンタープライズ・データをオンプレミスおよび Oracle Cloud の両方で保護します。

» 透過的データ暗号化は、データベース・ストレージおよびバックアップ・メディア・デバイスを標的とする脅威からの保護に有効です。暗号化は表内の機密列や表領域全体に容易に適用でき、データベース・ファイルが喪失したり、盗難に遭ったり、メディアから直接読み取られたりした場合に、データへのアクセスを防ぎます。

» 動的データ・マスキングは、Oracle Data Redaction を使用して、アプリケーションに返す前にデータ・リダクションをデータベース内部で適用することにより、本番アプリケーションにおいて機密データを保護します。動的データ・マスキングは、アプリケーションに対して透過的な方法で機密データの真の値を効果的に非表示にします。たとえば、社会保障番号や銀行口座番号の最後の数桁のみを表示したりします。データ・リダクション・ポリシーをアプリケーション内ではなく、データベース内で定義および適用することで、アプリケーションを変更することなく、機密データを効果的に保護できます。

» 職務分離および最小アクセス権限ポリシー:権限分析機能は、日々の業務および管理アクティビティに必要な権限を正確に反映した'最小権限'モデルを展開するため、既存の権限とロールの使用状況を効率的に記録します。これにより、エンタープライズ・データへのユーザー・アクセスを過剰にプロビジョニングしてしまうセキュリティ上のリスクを低減できます。 最小権限モデルは、Database Vault を使用して、権限を付与されるユーザーを含め、エンタープライズのすべてのユーザーとロールに対し、職務分離を適用することでセキュリティを高めることが可能です。

» 防御の最前線:Oracle Database Firewall を使用して、不正な SQL トラフィックがデータベース

Page 13: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

12 | Oracle Database 18c の紹介

に到達しないよう、それらを監視し、ブロックする発見的統制と予防的統制の両方を防御の最前線に提供します。Database Firewall は、高度な SQL 文法解析エンジンを組み込んで、データベースに送られる SQL 文を検査し、SQL への対応(許可、ログ、アラート、置換、またはブロック)を高い精度で決定することで、SQL インジェクション攻撃の検出とブロックにおいて効果的に統制しています。

» 統合監査:Oracle Database は、(時刻、IP アドレス、プログラム名、プロキシ・ユーザー名などの要素に基づく)監査ポリシーの管理および監査データの閲覧のためのロールとともに、ポリシーベースおよびコンテキスト認識の両方の監査アーキテクチャを提供します。Oracle Audit Vault は、オンプレミスおよびクラウドの両方のシステムとデータベースから監査データを収集し、セキュアな保存方針とコンプライアンス・レポートを提供します。

» Active Directory 統合:Oracle Database 18c では、Microsoft の Active Directory との統合が単純化されています。この統合では、(Oracle Database 18c 以前では必要であった)Oracle Internet Directory を利用する必要がなくなり、ユーザーの認証と認可に Active Directory を直接使用できます。この変更により、認証と認可の管理に必要な複雑さが低減され(必須コンポーネントも削減され)、それと同時にユーザーのセキュリティおよびエンタープライズ全体のLDAP 可用性も改善されています。

» 暗号化鍵の管理:暗号化鍵、証明書、ウォレット、および資格証明の包括的管理は組織のセキュリティ・エコシステムの重要な部分となっています。Oracle Key Vault はセキュアな鍵管理プラットフォームで、オンプレミスおよびクラウドの両方において、エンタープライズ全体への暗号化の展開を容易にします。Oracle Key Vault により、暗号化鍵、Oracle Wallet、Java キーストア、および資格証明ファイルを一元管理できます。Oracle Key Vault には、サーバー・エンドポイントのプロビジョニング、キー・グループのセキュアな管理、キーへのアクセスに関するレポートといった管理作業のための、ブラウザベースの管理コンソールが含まれています。

» データのマスキングとサブセット化:エンタープライズ・データのセキュリティ保護は本番システムだけに限られているわけではなく、開発、テストおよびその他の目的でデータベースのコピーを作成することは、データ漏洩のさらなるリスクにつながるおそれがあります。Oracle Data Masking and Subsetting は、本番以外で利用する本番データベースのコピーをサニタイズすることで、セキュリティの向上、コンプライアンスの加速、IT コストの削減を後押しします。Oracle Data Masking and Subsetting により、エンタープライズ・データの全体コピーまたはサブセットを本番データベースから抽出し、開発、テストおよびその他の目的での参照整合性を維持しながら不明瞭化できます。データのマスキングおよびサブセット化は、オンプレミス、Oracle Cloud、およびこれら両方の環境間でのデータベースのコピーについて完全にサポートされています。

データベースのセキュリティ評価ツール

Oracle の多層防御機能として最近追加されたのが、Oracle Database Security Assessment Tool(DBSAT)で、Oracle データベースでリスクが生じる可能性のある領域を特定し、そのリスクを緩和するための変更内容と制御方法を提案します。DBSAT は Oracle Database とともに使用するため提供されており、アプリケーションに含まれる機密データの場所、種類、量をすばやく検出し、潜在的な脆弱性に迅速に対応するための推奨事項を優先順位付きで対策レポートに提供します。

Page 14: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

13 | Oracle Database 18c の紹介

データウェアハウスおよびビッグ・データ

Oracle Database 18c は、トランザクション・ワークロードおよび分析ワークロードに対し、業界をリードするパフォーマンス、信頼性、セキュリティを提供し、オンプレミスまたはクラウドのいずれに展開される場合でももっとも厳しい要件に対応できるよう簡単に拡張できます。分析の観点から見ると、Oracle Database は解析ビュー、問合せの近似処理、インメモリ・プロパティ・グラフ分析など、ビジネス・パフォーマンスを効果的に測定して予測分析を行えるようにする、幅広い最適化機能を備えています。Oracle Database はマルチモード・データベースで、リレーショナル・データの完全サポートに加え、JSON、XML、テキスト、空間、グラフ・データなどの非リレーショナル・データを完全にサポートします。これにより、Oracle Database のパフォーマンス、信頼性、セキュリティ機能をフル活用して、非リレーショナル・データの管理とビジネス・アプリケーションへの統合を簡単に実現しつつ、複数の専門データベース(JSON、XML Database など)を不要にします。さらに、Oracle Database は、SQL 拡張機能やネイティブ API を使用して、非リレーショナル・データ(例:JSON および XML)への SQL によるアクセスを可能にします。Oracle Databaseは、オンプレミス、およびオラクルの Autonomous Data Warehouse Cloud を含むクラウドに置かれたエンタープライズ・データソースおよびその他のデータソースを分析する幅広いビジネス・インテリジェンス・ツールもサポートしています。

オラクルのビッグ・データ・プラットフォーム

オラクルは、企業データがさまざまな場所(オンプレミス、クラウド)の、さまざまなプラットフォーム(汎用ハードウェア、エンジニアド・システム)で、異種のデータ・ストア(リレーショナル、Hadoop、NoSQL)に保存される可能性があることを理解しています。顧客が従来のデータウェアハウスを進化させビッグ・データを利用するのを支援するため、オラクルは Oracle Database、Hadoop、NoSQL に保存されているデータへのアクセスが統合されたビッグ・データ・プラットフォームを提供します。オラクルのビッグ・データ・プラットフォームは、汎用システムでもエンジニアド・システム(例:Oracle Exadata および Big Data Appliance)でも実行でき、オンプレミスにも Oracle Cloud にも導入でき、使い慣れた SQL インタフェースや開発/分析ツールを使用してアクセスできます。異種のデータ・ストア間で大量のデータを移動する必要が事実上なくなり、さまざまなリポジトリ(Oracle Database、Hadoop、NoSQL など)に保存された各種データ(リレーショナル、XML、JSON など)に対して、さまざまな言語(SQL、REST、R など)を使用して各種の分析(機械学習、グラフ、Spark など)を容易に実行できます。

リレーショナル、Hadoop、NoSQLでの高速なSQLアクセス

Oracle Big Data SQL は、オラクルのビッグ・データ・プラットフォームのデータ仮想化コンポーネントです。Oracle Big Data SQL により、Oracle SQL を使用して Hadoop、NoSQL、および Oracle Database のデータを対象に、既存の SQL ツールやリソース、スキルを用いて問合せおよび分析を実行できます。Big Data SQL では、問合せフィルタリング、結合、スコアリングなどの SQL 操作を実行する、Oracle Exadata で最初に開発されたオラクルの Smart Scan 機能を使用して、Hadoop およびNoSQL サーバーで高パフォーマンスの問合せを実行できます。Big Data SQL の他のおもなパフォーマンス機能には、超並列の分散問合せ処理やストレージ索引付けなどがあります。また、Oracle Big Data SQL では、(外部表を使用して)メタデータを一元化できるため、保存場所に関係なくデータに簡単にアクセスできます。このメタデータに基づいて、組織は標準のセキュリティ・ポリシーを実装し、Hadoop および NoSQL データ・ストアに保存されているデータに対して Oracle Database のセキュリティ機能(データ・リダクションやアクセス制御など)を適用できます。

Page 15: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

14 | Oracle Database 18c の紹介

包括的な分析機能およびデータ・サイエンス機能

オラクルの哲学は、分析をデータに応用していくことにあります。Oracle Database 18c は開発者やデータ・サイエンティストに対して、さらに詳細なビジネス分析を実行できるデータベース内分析や API という選択肢を用意しています。たとえば、次のような選択肢があります。

» 分析ビューは、結合、集計ルール、階層メタデータ、複雑な測定計算を、任意の SQL ツールで問合せ可能な単一のビューに埋め込みます。計算と集計ルールは、(SQL 文ではなく)分析ビューによって処理され、シンプルな SQL 文を使用して横断が容易なビジネス・データの表現を可能にします。

» 近 似 問 合 せ は 、 APPROX_COUNT_DISTINCT() 、 APPROX_COUNT() 、 APPROX_SUM() 、APPROX_RANK()をはじめとする、新たなクラスのデータ分析で、過剰にリソースを使用しなくても、非常にすばやく、高い精度で近似した回答を返すことができます。

» Polymorphic Table Function は、Oracle Database 18c の新機能で、テーブル・ファンクションをより汎用的な性質にすることが可能なパラメータを渡すことにより、データの形式をファンクションから返されるようにできます。

» パターン照合では、SQL 構文を使用して、データベース表に保存された一連のイベントのパターンを検出できます。

» 機械学習では、SparkML を拡張および強化する、非常にスケーラブルなデータベース内 R 処理および Spark アルゴリズムを提供します。

» プロパティ・グラフでは、シンプルな標準のインタフェースを用いて Oracle Database 18c をグラフ・データベースとして使用できるようにする、40 を超えるインメモリ・パラレル・アルゴリズムを提供します。

» 空間は、空間データを分析アプリケーションなどのアプリケーションとシームレスに統合できる、非常にスケーラブルなベクター処理/ラスター処理向けの、50 を超える機能を提供します。

» マルチメディアは、顔認識アプリケーション、OCR アプリケーション、ナンバープレート認識アプリケーションによく使用されている画像処理と動画処理に対応した、非常にスケーラブルなオープン・フレームワークを提供します。

Big Data Cloud Service

工場でソフトウェア・コンポーネントおよびハードウェア・コンポーネントを Oracle Exadata やOracle Big Data Appliance などのエンジニアド・システムと 1 つに統合することにより、オラクルは、組織がオンプレミスのビッグ・データ・プロジェクトでリスクを排除し、パフォーマンスを最適化し、実装時間を短縮するのを支援しています。オラクルは、これらの同じ利点を Big Data Cloud Service を利用するクラウドにももたらします。Hadoop、Spark、および NoSQL の包括的な高パフォーマンスのサービスを提供しており、Cloudera Enterprise Data Hub、R およびプロパティ・グラフの分析、およびデータ統合ツールが含まれています。小規模な 3 ノード・クラスタで開始して、必要に応じて数百ノードに簡単にスケールアウトできます。Oracle Cloud では、オラクルのオンプレミス・ソリューションの機能がすべて提供されるだけでなく、ビッグ・データ環境がオンプレミスでの先行設備投資型モデルから従量制の運用コスト・モデルに転換されます。オンプレミスと同じアーキテクチャおよびソフトウェアを Oracle Cloud で提供するオラクルのハイブリッド戦略により、オラクルのビッグ・データ・プラットフォームの既存のスキル・セット、アプリケーション、サポート・リソースを維持しながらクラウドに移行できます。Oracle Exadata と Big

Page 16: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

15 | Oracle Database 18c の紹介

Data Appliance をオンプレミスのデータウェアハウスとビッグ・データ・システムに導入するのか、Exadata Service と Big Data Service を Oracle Cloud で使用するのかを選択できます。

Autonomous Data Warehouse Cloud

オラクルが最近導入した Autonomous Data Warehouse Cloud は、エンタープライズのパフォーマンス、信頼性、セキュリティをデータ・マート、レポート・データベース、データウェアハウスに提供しつつ、運用面の管理は必要としません。Autonomous Data Warehouse Cloud は、使いやすいサービス(例:オンプレミスのデータウェアハウスで通常連想される手動操作が不要)、高速(例:Oracle Exadata 上で実行)、そして完全にエラスティック(例:停止時間ゼロでコンピューティングとストレージを別々に拡張可能)を特徴とします。Autonomous Data Warehouse Cloudは、インタフェース(例:SQL、API)、分析サービス(例:機械学習、グラフ)、そしてデータ管理サービス(例:Autonomous Cloud、オブジェクト・ストア)の選択肢とともに、幅広い分析を可能にします。

図2:Oracle Cloudにおける自由度の高い分析

Page 17: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

16 | Oracle Database 18c の紹介

アプリケーション開発

Oracle Database は、世界でもっとも人気の高い最新世代のデータベースを提供するだけでなく、現在利用されている一般的なすべてのアプリケーション開発フレームワークによってサポートされる統合データ管理ソリューションも開発者に提供します。これにより開発者は、Oracle Databaseのパフォーマンス、信頼性、セキュリティおよびその他の特徴を簡単にフル活用できるアプリケーションを迅速に構築でき、それにより既存の開発リソースとスキル・セットにおける顧客の資産を保護できます。

アプリケーション開発フレームワーク

Oracle Database は、ネイティブのプログラム・インタフェースに加えて、幅広い開発および次のスクリプト言語のサポートも提供します。

» SQL と PL/SQL

» Oracle Call Interface(OCI)

» Java、C、C++などのプログラミング言語

» PHP、Ruby、Perl などのスクリプト言語

» Oracle Developer Tools for Visual Studio .NET、Oracle Data Provider for .NET、および Oracle Database Extensions for .NET

Oracle Application Express

Oracle Application Express(APEX)は、幅広いアプリケーション構築に対応する、データベース中心の高速 Web アプリケーション開発ツールです。APEX は、Oracle Database の各オンプレミス・エディションおよび各 Oracle Database Cloud Service に含まれています。APEX は完全に宣言的であり、Web ブラウザのみを使用することで、エンドユーザーと経験豊富な開発者は、高速で信頼できるセキュアなデータベース・アプリケーションを迅速に構築して展開できます。レポートやシンプルなフォームを作成するパワー・ユーザーから、業務をサポートする高度なアプリケーションを実装する経験豊富な SQL および PL/SQL 開発者までに対応する最適なツールです。

Oracle SQL Developer

Oracle SQL Developer は、プラガブル・データベースを含む Oracle データベースの開発と管理を簡素化します。Oracle SQL Developer も、Oracle Database の各オンプレミス・エディションおよび各 Oracle Database Cloud Service に含まれています。SQL Developer は、PL/SQL アプリケーションを完全にエンド・ツー・エンドで開発する機能、問合せとスクリプトを実行するためのワークシート、データベースを管理するための DBA コンソール、レポート用インタフェース、包括的なデータ・モデリング・ソリューション、および Oracle 以外のデータベースを Oracle Database に移行するための移行プラットフォームを提供します。

Oracle REST Data Services

Oracle REST Data Services(ORDS)は、Oracle Database 用の RESTful サービスに対応する中間層テクノロジーです。ORDS を使用することで、開発者は Oracle Database を使いやすい RESTful APIサービスに変換できます。ORDS は REST リクエストを受信して、SQL または PL/SQL コード・ブロックとして Oracle Database にこれらのリクエストをマーシャリングし、出力を JSON コレク

Page 18: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

17 | Oracle Database 18c の紹介

ションとして呼び出し側アプリケーションに返します。ORDS により、どのデータベース・リソースも REST 経由で利用することができ、データ・アクセス API は Oracle Database の全パワーをフルに利用して、最高レベルのパフォーマンス、信頼性、セキュリティを獲得できます。

JSONのサポート

Oracle Database は、JSON データの保存、問合せ、処理をフルにサポートしており、開発者はアプリケーションを構築するために Simple Oracle Document Access(SODA)API、REST または Java NoSQL API を使用して、Oracle を NoSQL データベースとして利用できます。JSON のサポートには、SQL 経由でデータベース内の JSON を返したり、操作したりする数多くの関数が含まれており、SQL および SQL 生成ツールを使用して分析レポート用の問合せを JSON データに対して簡単に実行できます。

Oracle Live SQL

Live SQL は、SQL および PL/SQL アプリケーションの開発コンセプト、チュートリアル、プラクティスをオンラインでテストしたり、共有したりする簡単な手段を Oracle データベース・コミュニティに提供します。オンプレミスまたはクラウドのデータベースについて、ハードウェアやソフトウェア、そしてインストールや構成は必要ありません。Oracle Database 18c で実行される SQL および PL/SQL のサンプル・スクリプトへのアクセスに必要なのは Web ブラウザのみで、これらのサンプル・スクリプトは必要に応じて自由に作成、コピー、テスト、共有が可能です。

Oracle Database on Docker

Oracle Database および関連の開発者向けツールは、Docker Certification Program を使用してDocker Store マーケットプレイスで入手できます。Docker Certification Program は、Oracle のようなベンダーが自身のテクノロジーを Docker プラットフォームに統合し、認定するためのフレームワークです。そのため開発者は、Docker 内の Oracle Database のイメージを引き出し、コンテナ・プラットフォームとして Docker Enterprise Edition を使用して、最新のエンタープライズ・アプリケーションの開発、テスト、展開をすばやく開始できます。

Page 19: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

18 | Oracle Database 18c の紹介

結論

世界でもっとも広く利用されているデータベースの最新世代である Oracle Database 18c は、Oracle Database 12c で確立された、主要アーキテクチャ、パフォーマンス、分散データそれぞれの革新的機能に基づいて構築されています。Oracle Database 18c 独自のマルチテナント・アーキテクチャ、デュアルフォーマットのインメモリ列ストア、およびネイティブ・シャーディングにより、ビジネスおよびコスト管理の目標を達成するため、オンプレミスおよびクラウドの両方でデータベースを進化させることができます。

Oracle Database 18c は顧客に高パフォーマンス、信頼性、セキュアなプラットフォームを提供し、クラウド、オンプレミス、ハイブリッド・クラウドのいずれの構成でもトランザクション・ワークロードおよび分析ワークロードを簡単に、そして高いコスト効率で最新化できます。Oracle Database 18c はオンプレミスおよびクラウドで実行される、なじみのあるデータベース・ソフトウェアを提供し、社内開発の Oracle アプリケーションおよび ISV アプリケーションを採用し、それらを変更しなくても Oracle Cloud で実行可能にします。そのため、顧客は引き続き既存のすべてのIT スキルとリソースを利用することができ、同時にオンプレミスおよび Oracle Cloud の両方でOracle Database の同じサポートを得ることができます。

Real Application Clusters や Active Data Guard といった独自のクリティカルなデータベース機能、そして Oracle Exadata や Database Appliance といった固有のエンジニアド・システムによって、オラクルは他に大きく差を付けてデータベース市場のリーダーとしての地位を確立しています。実際に、Oracle は、世界でもっとも要求の厳しいトランザクション・ワークロードと分析ワークロードで要求されるパフォーマンス、信頼性、セキュリティを提供できることが広く実証されています。Oracle Database 18c は、顧客のエンタープライズ・データ管理を次のレベルに導き、クラウドへの道を開きます。

Page 20: Oracle Database 18cの紹介...1 | Oracle Database 18c の紹介 免責事項 下記事項は、弊社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、情報提供を唯

Oracle Corporation, World Headquarters

500 Oracle Parkway

Redwood Shores, CA 94065, USA

海外からのお問い合わせ窓口

電話:+1.650.506.7000

ファクシミリ:+1.650.506.7200

C O N N E C T W I T H U S

blogs.oracle.com/oracle

facebook.com/oracle

twitter.com/oracle

oracle.com

Copyright © 2018, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.本文書は情報提供のみを目的として提供されており、ここに記載される内容は予告なく変更されることがあります。本文書は、その内容に誤りがないことを保証するものではなく、また、口頭による明示的保証や法律による黙示的保証を含め、商品性ないし特定目的適合性に関する黙示的保証および条件などのいかなる保証および条件も提供するものではありません。オラクルは本文書に関するいかなる法的責任も明確に否認し、本文書によって直接的または間接的に確立される契約義務はないものとします。本文書はオラクルの書面による許可を前もって得ることなく、いかなる目的のためにも、電子または印刷を含むいかなる形式や手段によっても再作成または送信することはできません。 Oracle および Java は Oracle およびその子会社、関連会社の登録商標です。その他の名称はそれぞれの会社の商標です。 Intel および Intel Xeon は Intel Corporation の商標または登録商標です。すべての SPARC 商標はライセンスに基づいて使用されるSPARC International, Inc.の商標または登録商標です。AMD、Opteron、AMD ロゴおよび AMD Opteron ロゴは、Advanced Micro Devices の商標または登録商標です。UNIX は、The Open Group の登録商標です。0218 ホワイト・ペーパー・タイトル 2018 年 2 月