Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
東日本学術調査シンポジウム 平成25年5月26日
復興庁 岡本全勝
東日本大震災からの復興
1 復旧の実績と課題
(1)早かった応急復旧と経済回復
①避難者を半年で、避難所から住宅へ
民間住宅借り上げ(7万戸)、仮設住宅建設(5万戸)、公営住宅など
②インフラやサービスは半年で復旧
平成23年秋には、生活不能地域(津波浸水地域、原発避難地域)を除
き、ほぼ応急復旧、サービス再開。
・公共インフラの復旧=道路、鉄道、電力、ガス、水道、港湾、空港
・サービスの再開=通信、郵便、病院、銀行、給油所、コンビニ、宅配便
③早期に回復した日本経済、東北地方
平成23年春=悲観的な経済見通し。サプライチェーンの寸断。
鉱工業生産指数は、被災地域で35%、全国で15%減少。
驚異的な早さで生産復旧。経済指標は、全国並みに回復。
④長引く避難生活
31万人が、北海道から沖縄まで、1,200市区町村に居住。
長期化する人も(高台移転工事、放射線の高い地域)
〈主要課題1〉 長期避難者の生活支援
(2)工事が進む津波被災地域と、遅れる原発事故被災地域
①市町村長アンケート(朝日新聞3月1日)
岩手県 宮城県 福島県
復興が進んでいる ― ― 1
どちらかといえば進んでいる 6 12 3
どちらかといえば進んでいない 6 2 5
進んでいない ― ― 6
その他 ― 1 ―
②津波被災地域での工事
ア)道路や堤防などの本格復旧工事は、計画を策定済み、実施中。
イ)住宅と町並みの復旧
別の場所に移転して町を作る。あるいは、土を盛ってかさ上げをする。
集団移転:想定224地区、区画整理:想定57地区
地区ごとの完成予定を公表済み。5万戸分(民間用宅地と公営住宅)
ウ)用地買収、資材不足、職員不足などの課題への対応
〈主要課題2〉 住宅再建の工事促進
(3)原発事故被災地域への対策
①復興の前に、原発事故起因の課題解決が必要
第1原発の安定化、廃炉、除染、中間貯蔵施設の建設
避難指示の解除、賠償の支払い、健康管理、リスクコミュニケーション
②福島県の復興
ア)県民の帰還、産業の復興、風評被害の払拭
イ)放射線量の低い地域から、住民が帰還
除染、インフラ復旧、サービス再開、産業復興が必要。
ウ)当分の間、帰還できない地域の住民
待つ人には、町外コミュニティを建設
新しい生活を選ぶ人には、就業や住宅の斡旋
〈主要課題3〉 除染と住民の帰還、帰還できない人への対応
(4)国土の復旧から生活の再建へ
①町が復興する3つの要素
・インフラの復旧と住宅の再建
・公共サービス(教育、医療、介護)と商業サービスの再開
・働く場(産業と事業の再開)
②条件不利、日本の課題を先取りした地域での復興
僻地、過疎化、少子化、産業空洞化の進んだ東北の沿岸部
〈主要課題4〉 地域の賑わいの再建
2 未曾有の災害との戦い
(1)大震災の特殊性
①千年に一度の巨大津波
・広い地域で大きな被害(死者数、避難者数、市町村数)
・町役場の機能が失われた
・現地で復旧できない、町を作り替える
②初めての原発事故
・想定外の規模の事故
・広範な放射能汚染、長期間帰還できない地域も
③多数の避難者が、全国に避難中
(2)対応の進化
①生かされた阪神淡路大震災の教訓
迅速な救助と救援(自衛隊、消防、警察、海上保安庁など)
官邸での緊急対策本部の立ち上げ
②これまでにない取り組み=復興の仕組み
ア)責任組織の設置と一元化(被災者生活支援本部、復興本部、復興庁)
イ)増税を含め、資金を確保(5年間で25兆円)
ウ)自治体への支援
国の職員が現地で計画作りなどを支援、復旧・復興事業の自治体負担をゼロ
に、復興交付金制度、使途自由の取り崩し型基金(3,000億円)
他の自治体からの職員応援
③これまでにない取り組み=暮らしを重視
ア)被災者の生活支援
被災者を臨時雇用(雇用創出基金、5万9千人)、仮設住宅団地に高齢者など
のサポート拠点を併設(115か所)、仮設住宅の見回り
イ)産業の復旧
仮設工場や仮設店舗の無料貸与(528か所)、中小企業等が共同で事業再開
する際の施設・設備の補助(9,200社超)、企業立地補助金、復興特区制度、二重
ローン対策
(3)民間企業、ボランティアの貢献
①企業の貢献と期待(社会的貢献、CSR)
・無償支援=義援金、物資の提供、社員ボランティア、各種支援の基金
・本業での貢献=サービスの早期再開、新規投資による雇用の場、ノウハ
ウなどの提供による被災地域の企業支援
②ボランティアの活躍と期待
・被災直後のボランティア=避難所支援、がれき片付け
・復興過程でのNPO=仮設住宅見回り、まちづくり合意形成支援など
3 大震災が日本社会にもたらしたもの
(1)大震災で見えた日本社会
①失ったもの(生命、財産の他に)
科学技術(者)への信頼、政府への信頼
②壊れなかったもの
新幹線の安全などの技術、被災者の冷静さと助け合い
③国民の助け合いと拒否と
被災者の受入れの一方で、風評被害も
(2)今後への教訓
①千年に一度に備える=地震津波対策
防災と減災。堤防で防げないもの。住宅は高台に、逃げる。
②想定外が起きた場合の対応=原発事故への対応
・検証(事前の対策、事故時の対応、住民の避難誘導)
・対応のための組織と運営
復興庁ホームページ http://www.reconstruction.go.jp/
岡本全勝のホームページ http://homepage3.nifty.com/zenshow/index.html
拙稿「東日本大震災からの復興ー試される政府の能力」(日本行政学会
『年報行政研究48』2013年5月)
平成25年5月26日
資料目次
1.復興の現状と課題
(1)東日本大震災からの復興に向けた道のり(主な指標)・・・・・・・・
2.原子力災害からの復旧・復興
(1)東日本大震災からの復興に向けた道のりと見通し(福島復興関係)・・
(2)福島県民の避難の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3.新たな取組
(1)東日本大震災に際しての政府の新たな取組例・・・・・・・・・・・・
(2)復興推進計画に基づく特例の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)民間企業による主な復興支援活動の内容・・・・・・・・・・・・・10
(3)ボランティアの活躍・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
47 34
100%
59%
51%
30.9
6 58
2 29 58 90
20 3799%
75%
1
2
90
38 63% 88%
100%52 61 66 69
65 85 90
-99% -76% -66% -31% 20%
10 34 104 209
16 224 400 528
316 3829 5779 8012 9248
281
2
3
2012/7/17~
2012/8/10~
20km
2012/4/1~
2012/4/1~
25,300
24,500
32,900
1,200
2012/12/10~
2012/4/16~
(2013/3/22 )(2013/4/1 )
(2013/3/25 )
380
8,0501,320
60
300
7,600
9,800
120
4,650
3,400
1,470
2010,560
2
280
5,260
510
12,740
70
8,420
370
800
57,650
14,270
40,520
50
5,500
2,640
1,210
H23.9
6,300
220
(2013/5/28 )
4
2,621 1,6034,000 170
6.9
115
34
25 5
5
528332
525 9,200
3561,636 1,352
175 106
5 9210
22,408
5 25
3,000
6
1 7
8
9
10
( )
( )11