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経営工学 http://www.comp.sd.tmu.ac.jp/mse/ システムの設計や性能評価、安全性や信頼性の向上、マーケティング、生産管理、投資等 研究テーマ 【キーワード】 産業界や自治体の課題 のうちで、適用可能な例 研究概要 山本 久志 教授 やま もと ひさ 統計手法とオペレーションズリサーチ手法を活用 専門は経営工学である。経営工学の目的は、経 営をキーワードにし、現実のさまざまな経営に関 する問題の解決を目指すことにある。問題解決の アプローチとしてオペレーションズリサーチ (OR)と統計手法を用いて研究をしている。 ORとは、現実世界を定式化した上で課題となる 評価基準に対して数学的モデル化により最適なポ イント、対策を探す手法である。統計手法とは課 題を定式化する際に必要なデータを集めて解析し 情報を抽出することである。いわゆるデータマイ ニング、テキストマイニング等の技術を用いて行う。 問題解決を図る具体的な対象としては、信頼性 工学(システム、ソフトウエア等)、生産管理(人事・ 工場・設備の最適配置)、金融工学(投資ポートフ ォリオ組成)等の分野がある。統計手法では、大規 模なマーケティングデータ(消費者行動要因分析や 行動モデル構築)からスポーツ選手の怪我のデータ (怪我予防のための発生要因分析)までさまざまな データを対象に解析している。これらの中で、こ こでは信頼性工学について紹介しておきたい。 システムと言われるものは、例えば我々のそば にある携帯電話を考えただけでも、その部品を作 ったり組み立てたりする工場の中にある生産シス テムや生産管理システム、品質管理システム、部 品や完成品等を組立工場や消費者のもとへ必要な ときに必要な量を届ける物流システム等が関わっ ている。これら私たちの社会を支えるシステムは 最適な評価、対策や 意思決定方法を提案 高度に情報化され、コンピュータやインターネッ トなどに接続され、複雑化、大規模化されている。 システムが期待通りに動作し続けられるという性 質、いわゆる信頼性は近年、その重要性がますま す増大している。 我が研究室では、限られた経営資源(人、モノ、 金)の中で、高い信頼性や可用性(ユーザーがシス テムを利用するとき、その機能をシステムがきち んと提供できているかの度合い)、安全性が確保 できるシステムの効率的な設計方法(ハード、ソ フト)、最適なシステム構成、またシステムの性 能評価方法などについて、数理的アプローチを手 段として研究し、あるいは数理的手法そのものを 開発し、問題解決へ向けた提案をしている。 実際、我が研究室では具体的に企業等の課題を 受託して研究している。産学公連携などをする際 には、まず分析の基礎となるデータが必要になる。 データを分析することを通して問題のモデル化が でき、ORの手法を使って最適な評価、対策や意 思決定方法を提案することができるからである。 わかりやすい例を挙げると、ある商品を製造し て市場に投入した際のさまざまなデータがあれ ば、そのデータからさまざまな切り口での解析が できる。そこから例えば最大収益化を図るにはど うすればよいのかについて、さまざまな推論を加 えて評価し、最適化を図ることができる。前者が 統計手法で、後者がORの手法である。もちろん、 冒頭から独自に仮定を設定してORの手法を用い ることから始めて、その後にデータ検証するアプ ローチもある。 システムデザイン学部 経営システムデザインコース 山本 久志 高度な信頼性・安全性を有するシステム構築 信頼性、安全性、システム性能評価、最適化アルゴリズム、効率的設計、 データ解析(経営工学全般、オペレーションズリサーチ、需要予測、市場調査) 020 [お問い合わせ]首都大学東京産学公連携センター 連携係 〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1 首都大学東京南大沢キャンパス プロジェクト研究棟 2F TEL : 042-677-2729 FAX : 042-677-5640 E-mail:[email protected] URL: http://www.tokyo-sangaku.jp/ システム状況をリアルタイムに 把握できるシステム開発へ システムは今後、大規模化する一方であり、それらに 対応するシステム評価技術や構築技術を開発していき たい。その一環として、過去のシステムデータやリアル タイムで入手可能なシステムデータから、システム状況 をリアルタイムに把握できるシステムの開発を目指す。 今後の展望 オペレーションズリサーチや統計手法を使った問題解決のイメージ 工場内設備の最適配置検討の例 需要・生活パターンの 解析(赤枠がスポーツ 障害のデータ) 博士(工学)、1983年東京工 業大学 大学院 理工学研究科 経営工学専攻 修士課程修了、 (株)東芝勤務、帝京科学大 学助教授を経て、2009 年より 現職。

山本 久志 - tokyo-sangaku.jp · ニング、テキストマイニング等の技術を用いて行う。 問題解決を図る具体的な対象としては、信頼性 工学(システム、ソフトウエア等)、生産管理(人事・

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Page 1: 山本 久志 - tokyo-sangaku.jp · ニング、テキストマイニング等の技術を用いて行う。 問題解決を図る具体的な対象としては、信頼性 工学(システム、ソフトウエア等)、生産管理(人事・

経営工学

http://www.comp.sd.tmu.ac.jp/mse/

システムの設計や性能評価、安全性や信頼性の向上、マーケティング、生産管理、投資等

研究テーマ

【キーワード】

産業界や自治体の課題のうちで、適用可能な例

研究概要

山本 久志 教授やま もと ひさ し

統計手法とオペレーションズリサーチ手法を活用

 専門は経営工学である。経営工学の目的は、経営をキーワードにし、現実のさまざまな経営に関する問題の解決を目指すことにある。問題解決のアプローチとしてオペレーションズリサーチ(OR)と統計手法を用いて研究をしている。 ORとは、現実世界を定式化した上で課題となる評価基準に対して数学的モデル化により最適なポイント、対策を探す手法である。統計手法とは課題を定式化する際に必要なデータを集めて解析し情報を抽出することである。いわゆるデータマイニング、テキストマイニング等の技術を用いて行う。 問題解決を図る具体的な対象としては、信頼性工学(システム、ソフトウエア等)、生産管理(人事・工場・設備の最適配置)、金融工学(投資ポートフォリオ組成)等の分野がある。統計手法では、大規模なマーケティングデータ(消費者行動要因分析や行動モデル構築)からスポーツ選手の怪我のデータ(怪我予防のための発生要因分析)までさまざまなデータを対象に解析している。これらの中で、ここでは信頼性工学について紹介しておきたい。 システムと言われるものは、例えば我々のそばにある携帯電話を考えただけでも、その部品を作ったり組み立てたりする工場の中にある生産システムや生産管理システム、品質管理システム、部品や完成品等を組立工場や消費者のもとへ必要なときに必要な量を届ける物流システム等が関わっている。これら私たちの社会を支えるシステムは

最適な評価、対策や意思決定方法を提案

高度に情報化され、コンピュータやインターネットなどに接続され、複雑化、大規模化されている。システムが期待通りに動作し続けられるという性質、いわゆる信頼性は近年、その重要性がますます増大している。 我が研究室では、限られた経営資源(人、モノ、金)の中で、高い信頼性や可用性(ユーザーがシステムを利用するとき、その機能をシステムがきちんと提供できているかの度合い)、安全性が確保できるシステムの効率的な設計方法(ハード、ソフト)、最適なシステム構成、またシステムの性能評価方法などについて、数理的アプローチを手段として研究し、あるいは数理的手法そのものを開発し、問題解決へ向けた提案をしている。 実際、我が研究室では具体的に企業等の課題を受託して研究している。産学公連携などをする際には、まず分析の基礎となるデータが必要になる。データを分析することを通して問題のモデル化ができ、ORの手法を使って最適な評価、対策や意思決定方法を提案することができるからである。 わかりやすい例を挙げると、ある商品を製造して市場に投入した際のさまざまなデータがあれば、そのデータからさまざまな切り口での解析ができる。そこから例えば最大収益化を図るにはどうすればよいのかについて、さまざまな推論を加えて評価し、最適化を図ることができる。前者が統計手法で、後者がORの手法である。もちろん、冒頭から独自に仮定を設定してORの手法を用いることから始めて、その後にデータ検証するアプローチもある。

システムデザイン学部 経営システムデザインコース

山本 久志高度な信頼性・安全性を有するシステム構築信頼性、安全性、システム性能評価、最適化アルゴリズム、効率的設計、データ解析(経営工学全般、オペレーションズリサーチ、需要予測、市場調査)

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[お問い合わせ]首都大学東京産学公連携センター 連携係 〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1 首都大学東京南大沢キャンパス プロジェクト研究棟 2FTEL : 042-677-2729 FAX : 042-677-5640 E-mail:[email protected] URL: http://www.tokyo-sangaku.jp/

システム状況をリアルタイムに把握できるシステム開発へ

 システムは今後、大規模化する一方であり、それらに対応するシステム評価技術や構築技術を開発していきたい。その一環として、過去のシステムデータやリアルタイムで入手可能なシステムデータから、システム状況をリアルタイムに把握できるシステムの開発を目指す。

今後の展望オペレーションズリサーチや統計手法を使った問題解決のイメージ

工場内設備の最適配置検討の例需要・生活パターンの解析(赤枠がスポーツ障害のデータ)

博士(工学)、1983年東京工業大学 大学院 理工学研究科 経営工学専攻 修士課程修了、(株)東芝勤務、帝京科学大学助教授を経て、2009年より現職。