7
October, 2008 No. 41 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門 Page 1 日本機械学会のフェローは,日本機 械学会に10年以上在籍している会員 の中から,「機械工学・機械技術と社 会および本会の発展に顕著な貢献をな した者」として選出されます.第85 期(2007年度)は,フェロー候補 ロボメカ部門フェロー認定者紹介 淺間 一(第85期部門長) として,各部門から75名の推薦があ りましたが,選考の結果40名がフェ ローと認定を受けることとなりまし た.当ロボティクス・メカトロニクス 部門では,下記4名の方が,フェロー として認定されました.ここに心から お祝いを申し上げます.今後さらなる 学術的あるいは社会的なご活躍を祈念 いたしますとともに,今後とも,本学 会,本部門の活動へのなお一層のご協 力,ご指導を賜りたく,お願い申し上 げます. 認定者紹介(五十音順,敬称略) 1998年5月京都大学大学院情報学研究 科助教授,2003年12月神戸大学工学部 教授となり現在に至る.その間,1990 年カリフォルニア大学バークレー校客 員研究員.ロボティクス,制御工学, レスキュー工学などの研究に従事.特 に最近では「両極端」に興味をもち, 何事も2つの極端な側面から考えるこ とを好むようになる.たとえば,「能 動的動歩行」と「受動的動歩行」, 「実学」と「科学」というように,で 大須賀 公一(神戸大学) 1959 年 11 月 16 日 生.1984 年 3 月 大 阪大学大学院基礎 工学研究科修士課 程修了.同年4月 (株)東芝入社,総 合 研 究 所 勤 務. 1986年10月大阪府 立大学工学部助 手.その後,講師,助教授を経て, ある.これによってその中間がよく理 解できる,すなわち「中庸」という考 え方に至るというスタンスである. 1986年度計測自動制御学会学術奨励 賞,1988年度システム制御情報学会椹 木記念賞奨励賞,計測自動制御学会論 文賞,2002年同学会教育貢献賞,2005 年第11回ロボティクスシンポジア特別 奨励賞,日本機械学会ロボティク・ス メカトロニクス部門ROBOMEC表彰, 2007年同部門学術貢献賞などを受賞. 大学工学部教授,1996年岐阜大学バー チャルシステム・ラボラトリー施設 長,1998年英国サリー大客員教授, 2008年副工学部長,現在に至る.ロ ボット制御,ロボット数式処理,バー チャルリアリティ応用ロボティクスな どの研究に従事. 2002年(財)あさ ひ中小企業振興団「中小企業優秀新技 術・新製品賞」,計測自動制御学会シ ステムインテグレーション部門「技術 業績賞」,2003年日本ロボット学会 川﨑 晴久(岐阜大学) 1949 年 6 月 27 日 生.1974年名古屋 大学大学院工学研 究科修士課程修 了,同年日本電信 社(現 NTT)研 員, 1988 年 NTT 関 連 企 業本部担当部長, 1990年金沢工業大学教授,1994年岐阜 「実用化技術賞」,2006年文部科学大 臣表彰「科学技術賞」,2006年World Automation Conference “Best Paper Award” ほか受賞.主な著書に「ロ ボット工学の基礎」(森北出版), 「C & FORTRAN による数値解析の基 礎」(共立出版)などがある.日本ロ ボット学会,日本バーチャルリアリ ティ学会,IEEEなどの会員(工学博 士).

No. 41 October, 2008No. 41 October, 2008 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門 Page 1 日本機械学会のフェローは,日本機 械学会に10年以上在籍している会員

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • October, 2008 No. 41 日本機械学会

    ロボティクス・メカトロニクス部門

    Page 1

    日本機械学会のフェローは,日本機

    械学会に10年以上在籍している会員

    の中から,「機械工学・機械技術と社

    会および本会の発展に顕著な貢献をな

    した者」として選出されます.第85

    期(2007年度)は,フェロー候補

    ロボメカ部門フェロー認定者紹介 淺間 一(第85期部門長)

    として,各部門から75名の推薦があ

    りましたが,選考の結果40名がフェ

    ローと認定を受けることとなりまし

    た.当ロボティクス・メカトロニクス

    部門では,下記4名の方が,フェロー

    として認定されました.ここに心から

    お祝いを申し上げます.今後さらなる

    学術的あるいは社会的なご活躍を祈念

    いたしますとともに,今後とも,本学

    会,本部門の活動へのなお一層のご協

    力,ご指導を賜りたく,お願い申し上

    げます.

    認定者紹介(五十音順,敬称略)

    1998年5月京都大学大学院情報学研究

    科助教授,2003年12月神戸大学工学部

    教授となり現在に至る.その間,1990

    年カリフォルニア大学バークレー校客

    員研究員.ロボティクス,制御工学,

    レスキュー工学などの研究に従事.特

    に最近では「両極端」に興味をもち,

    何事も2つの極端な側面から考えるこ

    とを好むようになる.たとえば,「能

    動的動歩行」と「受動的動歩行」,

    「実学」と「科学」というように,で

    大須賀 公一(神戸大学)

    1959 年 11 月 16 日

    生.1984年3月大

    阪大学大学院基礎

    工学研究科修士課

    程修了.同年4月

    (株)東芝入社,総

    合研究所勤務.

    1986年10月大阪府

    立大学工学部助

    手.その後,講師,助教授を経て,

    ある.これによってその中間がよく理

    解できる,すなわち「中庸」という考

    え方に至るというスタンスである.

    1986年度計測自動制御学会学術奨励

    賞,1988年度システム制御情報学会椹

    木記念賞奨励賞,計測自動制御学会論

    文賞,2002年同学会教育貢献賞,2005

    年第11回ロボティクスシンポジア特別

    奨励賞,日本機械学会ロボティク・ス

    メカトロニクス部門ROBOMEC表彰,

    2007年同部門学術貢献賞などを受賞.

    大学工学部教授,1996年岐阜大学バー

    チャルシステム・ラボラトリー施設

    長,1998年英国サリー大客員教授,

    2008年副工学部長,現在に至る.ロ

    ボット制御,ロボット数式処理,バー

    チャルリアリティ応用ロボティクスな

    どの研究に従事. 2002年(財)あさ

    ひ中小企業振興団「中小企業優秀新技

    術・新製品賞」,計測自動制御学会シ

    ステムインテグレーション部門「技術

    業績賞」,2003年日本ロボット学会

    川﨑 晴久(岐阜大学)

    1949 年 6 月 27 日

    生.1974年名古屋

    大学大学院工学研

    究科修士課程修

    了,同年日本電信

    電 話 公 社(現

    NTT)研 究 員,

    1988年NTT関連企

    業本部担当部長,

    1990年金沢工業大学教授,1994年岐阜

    「実用化技術賞」,2006年文部科学大

    臣表彰「科学技術賞」,2006年World

    Automation Conference “Best Paper

    Award” ほか受賞.主な著書に「ロ

    ボット工学の基礎」(森北出版),

    「C & FORTRAN による数値解析の基

    礎」(共立出版)などがある.日本ロ

    ボット学会,日本バーチャルリアリ

    ティ学会,IEEEなどの会員(工学博

    士).

  • Page 2

    ロボティクス・メカトロニクス

    日本機械学会賞としてロボメカ部門から推薦したものから,2件の論文

    2007年度機械学会賞受賞者紹介

    が日本機械学会賞(論文)を,1件の

    著作が日本機械学会教育賞を受賞いた

    しました.ここに紹介させて頂きま

    す.

    日本機械学会賞(論文)

    日本機械学会教育賞

    手触り感計測用センサシステムの開発日本機械学会論文集,72巻,724号,C編(2006年12月)

     田中 由浩  (名古屋工業大学)* 田中 真美 (東北大学) 長南 征二 (秋田県立大学)* *(元)東北大学

    力制御型マニピュレーションに基づくヒューマノイドロボットの実時間歩容計画

    日本機械学会論文集,71巻,711号,C編(2005年11月)

     原田 研介 ((独)産業技術総合研究所), 梶田 秀司 (〃),金広 文男 (〃), 藤原 清司 (〃),金子 健二 (〃), 横井 一仁 (〃),比留川 博久 (〃)

    はじめてのロボット創造設計 ここが知りたいロボット創造設計 これならできるロボット創造設計 の著作

     米田 完  (千葉工業大学) 坪内 孝司 (筑波大学) 大隅 久  (中央大学)

    http://www.jsme.or.jp/rep2008photo/aw/shou85.htm

    ループ長.2005年5月より知能システ

    ム研究部門副部門長(フィールドシス

    テム研究グループ長兼務)で現在に至

    る.この間,1986-1987スタンフォー

    ド大学ロボティクス研究所客員研究

    員.1997年より東京理科大学大学院理

    工学系研究科客員教授(連携大学

    院),2000年より神奈川工科大学大学

    院工学系研究科客員教授(連携大学

    院)を務める.歩行誘導機械の研究

    (盲導犬ロボット),極限作業ロボッ

    トプロジェクト「移動制御技術の研

    小森谷 清(産業技術総合研究所)

    1951年7月7日生.

    1976年東京大学大

    学院工学系研究科

    修士課程修了.同

    年通商産業省工業

    技術院機械技術研

    究所に入所.1984

    年機械部主任研究

    官,1991年ロボット工学部感覚制御課

    長,2001年組織改変により産業技術総

    合研究所知能システム研究部門研究グ

    究」,など移動ロボットの自律化に関

    する研究に従事,近年は乗車型移動プ

    ラットフォーム,インテリジェント車

    いすなど,屋外で人間の活動を支援す

    る知能システムの研究に係る.1987年

    日本ロボット学会論文賞,2005IROS

    Finalist Best Application Paper.

    ロボメカ部門広報委員会,技術委員

    会,欧文誌委員会の委員長を務める.

    日本機械学会,日本ロボット学会,計

    測自動制御学会,IEEEなどの会員.

    1993年博士(工学)(東京大学).

    課程中退.東京工業大学工学部機械物

    理工学科助手.1993年「4足歩行機械

    の動的歩行制御」で博士(工学).

    1994年東京工業大学工学部機械宇宙学

    科助教授.2006年千葉工業大学工学部

    未来ロボティクス学科教授.現在に至

    る.この間1993年Naval Postgraduate

    School客員研究員.1999年ロボメッ

    ク'99プログラム副委員長および会場

    委員長.2003年日本ロボット学会学術

    米田 完(千葉工業大学)

    1961 年 10 月 16 日

    生.1985年東京工

    業大学理学部物理

    学科卒.1987年同

    大学院理工学研究

    科物理学専攻修士

    課程修了.1989年

    同大学院機械物理

    工学専攻博士後期

    講演会実行委員長.研究領域は2足,

    4足,6足歩行,および車輪,クロー

    ラ,壁面,ガラス面移動などの機構と

    制御.また,小中学生のロボット工作

    教室などを企画実施.2008年「はじめ

    てのロボット創造設計」など教科書3

    冊の執筆で日本機械学会教育賞を受

    賞.日本機械学会,日本ロボット学

    会,日本設計工学会の会員.

  • Page 3

    ロボティクス・メカトロニクス

    日本機械学会ロボティクス・メカト

    ロニクス部門では,ロボティクス・メ

    カトロニクス分野の活性化をはかる一

    環として,以下の3部門賞を設けてお

    ります.

    (1)部門功績賞

    ロボティクス・メカトロニクスの分

    野で,研究,教育,学会活動の面で多

    大の影響を及ぼし,国際的評価が高

    く,かつ有力な著書,論文などを著し

    ている個人に贈る.

    (2)部門学術業績賞

    ロボティクス・メカトロニクスの分

    野で萌芽的あるいは発展性のある学術

    業績を挙げた個人に贈る.

    (3)部門技術業績賞

    ロボティクス・メカトロニクスの分

    野で萌芽的あるいは発展性のある技術

    開発面での業績を挙げた個人または団

    体(法主体)に贈る.

    部門運営委員会の指名による表彰委

    員会(委員長は副部門長が担当)が部

    門賞候補者の中から日本機械学会部門

    賞通則第5項に基づく人数以内を選考

    し,推薦理由を付して部門長に報告し

    た後,最終決定をロボティクス・メカ

    トロニクス部門運営委員会が行い,部

    門協議会を経て理事会に報告するもの

    でございます.

    部門賞の受賞候補者は原則として日

    本機械学会会員とします.部門賞募集

    は公募によるものとし,推薦または本

    人よりの申請を部門長宛でご提出願い

    ます.募集方法は,部門ホームページ

    や部門主催講演会などで公示致します

    が,推薦締切は原則として当該年度の

    10月末日までとなっております.

    日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門賞・部門一般表彰

    日本機械学会若手優秀講演フェロー賞 -第85期受賞者のご紹介-

    去る平成20年6月6日(金)に,

    長野市のビックハットで開催されまし

    たロボティクス・メカトロニクス講演

    1.日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門賞

    会2008にて,前年度の功績・業績

    を讃えまして各賞の表彰式が行われま

    した.また,日本機械学会若手優秀講

    演フェロー賞につきましても,この場

    をお借りしてご紹介させていただきま

    す.

    ロボティクス・メカトロニクス分野

    の活性化をはかる一環として,以下の

    3つの一般表彰を設けております.

    (1)ROBOMEC表彰 当該年度のロボティクス・メカトロ

    ニクス部門主催講演会・シンポジウム

    などにおいて,研究内容に対して高い

    評価を得た著者全員に対して行う.

    (2)ベストプレゼンテーション表彰

    当該年度のロボティクス・メカトロ

    ニクス講演会において,プレゼンテー

    ション面に対して高い評価を得た個人

    に対して行う.

    (3)部門貢献表彰

    部門への著しい貢献が認められる個

    人,または団体に対して行う. 部門運営委員会の指名による表彰委

    員会(委員長は副部門長が担当)が部

    門表彰候補者の中から適格者を選考

    し,推薦理由を付して部門長に報告し

    た後,最終決定をロボティクス・メカ

    トロニクス部門運営委員会が行い,部

    門協議会を経て理事会に報告するもの

    でございます.

    部門一般表彰の表彰候補者は原則と

    して日本機械学会会員とします.ベス

    トプレゼンテーション表彰は当該年度

    のロボティクス・メカトロニクス講演

    会の実行委員会が候補者を選考し,開

    催日から5ヶ月以内に表彰委員会に推

    薦致します.ROBOMEC表彰,及び部門貢献表彰候補者は公募によるもの

    とし,推薦または本人よりの申請を部

    門長宛でご提出願います.募集方法

    は,部門ホームページや部門主催講演

    会などで公示致しますが,推薦締切は

    原則として当該年度の10月末日まで

    と な っ て お り ま す.な お,

    ROBOMEC表彰で対象とする講演会・シンポジウムは前年度の10月1

    日以降,当該年度の9月30日までに

    開催されたものとなっております.

    2.日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門一般表彰

    功績賞 新井 健生(大阪大学)

    学術業績賞 坪内 孝司(筑波大学)

    前野 隆司(慶應義塾大学)

    技術業績賞 コマツ(株式会社小松製作所)

    株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ

  • Page 4

    ロボティクス・メカトロニクス

    ROBOMEC表彰

    部門貢献表彰

    ベストプレゼンテーション表彰

    講演題目 受賞者

    マーカレスキャプチャとテクスチャの情報を用いた関節機構のモデル化

    (ROBOMEC2007 1A2-I08) 福田 大輔,山根 克,中村 仁彦(東大)

    自己位置認識機能と障害物検出機能の抽象化ミドルウェアの開発

    (ROBOMEC2007 1P1-D03) 竹内 栄二朗,坪内 孝司(筑波大)

    起立/着座支援機能を有する歩行器の研究

    (Welfare Engineering Symposium 2007,MF113) 中後 大輔,高瀬 國克(電通大)

    波長の実時間推定による能動触のための粗さ感伝達システム

    (12th ROBOTICS Symposia,1B5)

    岡本 正吾,昆陽 雅司(東北大),

    前野 隆司(慶應大),田所 諭(東北大)

    把持力増大機構を有する電動義手

    (12th ROBOTICS Symposia,2B4) 高木 健,小俣 透(東工大)

    講演題目 受賞者

    非剛体レジストレーションを用いた人体構造のモデル化

    (ROBOMEC2007 1A2-H05) 多田 充徳(産総研)

    1モータ2リンクロボットを用いたリンク回転式動歩行の制御

    (1歩の移動をより安定に行う為の制御方法の変更)

    (ROBOMEC2007 1P1-F06)

    竹囲 年延(筑波大)

    光駆動ディスクマイクロポンプの提案・開発

    (ROBOMEC2007 2A1-N02) 井上 宏之(横国大)

    日常生活支援のためのマイクロアクチュエータアレイ

    (パラレルメカニズムを利用したマイクロアクチュエータの構成)

    (ROBOMEC2007 2A2-J03)

    冨沢 哲雄(産総研)

    触覚ネイルチップ -基本コンセプト-

    (ROBOMEC2007 2P1-N09) 佐野 明人(名工大)

    主な功績・業績 受賞者

    ロボティクス・メカトロニクス講演会’07実行委員長 長南 征二(秋田県立大学)

    第12回ロボティクス・シンポジア実行委員長 木村 哲也(長岡技術科学大学)

    福祉工学シンポジウム2007実行委員長 小野 栄一(産業技術総合研究所)

    ロボティクス・メカトロニクス部門

    (以下RMD)では,部門運営および当該学術領域の発展に長期的かつ顕著

    な貢献をされた方を表彰する部門賞

    と,単年度ベースで部門運営に貢献さ

    れ,また優れ た学術業績を残された

    方を表彰する部門一般表彰に大別され

    ており,表彰委員会により選考を重ね

    て表彰しております.

    本年度は特にRMD設立20周年を迎え,上記とは別に長期に渡り草の根

    的な活動を通じて本学術領域の裾野発

    展に貢献された方,また機械学会内部

    において他部門に対する相対的地位向

    上と円滑な部門運営発展に周辺支援と

    してご尽力戴いた方への感謝を記念し

    て,20周年部門貢献表彰として表彰

    いたしました.

    部門20周年記念貢献表彰

    主な功績・業績 受賞者

    長年に渡りロボットグランプリを企画・運営に携わり,その継続的活動は,過酷なボラン

    ティア精神に立脚するものである.この活動は,RMDが子供達の教育にも大きな貢献をで

    きることを示したものと評価した.

    広瀬 茂男(東京工業大学)

    機械学会全体の立場から,RMD運営について学会中枢部との連携強化について様々な助言

    を通し,RMDが現在の規模にまで発展する上で大きな貢献をしたと評価した. 田口 裕也(日本機械学会)

  • Page 5

    ロボティクス・メカトロニクス

    日本機械学会若手優秀講演フェロー賞

    本賞は,グローバル競争時代を迎え

    て大学院学生および企業若手研究者の

    意識高揚のため,フェロー寄付金によ

    り設立するもので2004年3月より

    贈賞を開始しております.規定にもあ

    りますように本会講演会において優れ

    た講演を行った学生員および准員に対

    して「日本機械学会若手優秀講演フェ

    ロー賞」として顕彰することによって

    若者に自信と誇りを与え,本会が若手

    の専門家育成を支援し,もって科学技

    術創造立国のための人材育成に貢献す

    ることを目的としております.

    表彰対象者は,日本機械学会の支

    部・部門等が主催する本賞を対象とす

    ることを明記した講演会において,発

    表論文の共著者で且つ登壇し発表した

    者で,講演申し込み登録時に学生員お

    よび准員である者としております.な

    おポスター発表形式の場合もこれに準

    じます.

    3.日本機械学会若手優秀講演フェロー賞

    講演題目 受賞者

    2足歩行ロボットの受動車輪機構を用いた滑走移動

    (第1報:インラインスケートによるスウィズル動作の実現)

    (ROBOMEC2007 1A1-E11)

    橋本 健二(早稲田大学)

    空気圧人工筋によって駆動される6自由度人間型ロボットアームの開発

    (ROBOMEC2007 1A2-M10) 近藤 英明(大阪大学)

    レーザ光により行動制御したミドリムシ集団による部品移送・組み立て

    (ROBOMEC2007 1P1-D06) 宝里 茂彦(東京電機大学)

    メカノバイオニックシステムのための筋細胞ブロックアクチュエータの開発

    (パリレン構造体への筋細胞培養の試み)

    (ROBOMEC2007 2A2-O02)

    橋本 真幸(東京農工大学)

    質量感覚を提示する指先装着型触覚ディスプレイ

    (ROBOMEC2007 2P1-N06) 南澤 孝太(東京大学)

    高齢者のための起立動作に関する研究(動作中の転倒危険性を増大させる要因)

    (Welfare Engineering Symposium 2007, MF132) 別府 慎太郎(同志社大学)

    ROBOMEC2008 in NAGANO 開催報告 ROBOMEC2008実行委員長 河村 隆(信州大学) ROBOMEC2008組織委員長 橋本 稔(信州大学) ROBOMEC2008プログラム委員長 村上 弘記(IHI) ロボティクス・メカトロニクス第86期部門長 大道 武生(名城大学)

    ROBOMEC2008は2008年6月5日(木)よ

    り7日(土)までの3日間,長野オリン

    ピックのアイスホッケー会場であった

    ビッグハットを主会場に開催されまし

    た.本講演会はロボティクス・メカト

    ロニクス分野における,我が国最大の

    講演会であり,その規模・内容ともに

    充実し続けています.今回は「持続的

    な産業発展を支えるロボティクス・メ

    カトロニクス」をテーマに掲げまし

    た.ロボメカ分野の基礎,理論,要

    素,システム,応用技術など,最先端

    の研究内容について討論されました.

    講演会初日は,メルパルク長野おい

    て,8件のチュートリアルに加え,産

    学連携人材育成フォーラム,地域交流

    ワークショップを開催しました.ま

    た,ロボメカ部門が発足より20周年の

    節目を迎えたことから,20周年記念

    フォーラムを企画しました.この

    フォーラムでは,発足当時から現在ま

    でのロボメカ部門の20年を振り返り,

    福田敏男名大教授,山藤和男電通大名

    誉教授,安川員仁日本電産サンキョー

    社長の3氏による記念講演と,ロボメ

    カ分野の未来について気鋭の研究者が

    語るパネルディスカッションが行われ

    ました.その後会場を移し,部門登録

    者総会・ウェルカムパーティーが催さ

    れました.部門長より部門の現状など

    の説明の後,パーティーに移行して,

    関連分野とロボメカ部門の発展につい

    て語り合う時間となりました.初日の

    参加者は約300名でした.

    講演会のメインプログラムはビッグ

    ハットにて6月6日,7日に開催しまし

    た.ポスター講演会場は4000m2のア

    リーナの2/3を使いポスター講演ブー

    ス240コマを用意しました.今回は12

    の大テーマのもと,68のセッションを

    設定して1054件の発表が行われまし

    た.講演会参加者数も約1500名となり

    ました.

    ポスター講演は6日に午前1,午後

    1,7日に午前1,午後1,2の5つの時間

    帯を設けて行われました.いずれの時

    間帯の大変盛況で,最終日の最後の

    セッションまで,会場は熱気に包ま

    れ,熱心な議論が行われました.

    6日午後のセッション後に表彰式お

    よび特別講演が行われました.アリー

    ナの約1/3を区切り,観客席の稼働イ

    スをせり出して,特設会場を設置しま

    した.表彰式では日本機械学会および

    ロボメカ部門の賞を受賞された方に賞

    状が授与されました.

    特別講演は,セイコーエプソン生産

  • Page 6

    ロボティクス・メカトロニクス

    技術開発本部副本部長の福島米春氏に

    よる,「セイコーエプソンのものづく

    り・ひとづくり」,金沢大学医学部教

    授の渡邊剛氏「ダビンチを操る」のご

    講演をいただきました.福島氏には製

    造業の多い長野県を基盤とした企業の

    ものづくり・ひとづくり教育を含めた

    お話しを企業のお立場から,渡邊氏に

    は「ダビンチ」を使った外科手術の第

    一人者として,医療におけるロボット

    利用の最前線のお話しをいただきまし

    た.

    その後会場をホテルメトロポリタン

    長野に移して,ロボティクス・メカト

    ロニクス分野関係者が一堂に会して情

    報交換,親睦を深める懇親会を開催い

    たしました.

    ポスター講演会場内には34社37ブー

    スの機器展示,5社のパーツ・カタロ

    グ展示および9件の実行委員会企画展

    示も配置され,多くの参加者に立ち

    寄っていただきました.

    アリーナ内には一般公開展示として

    産総研デジタルヒューマンプロジェク

    トのご協力による「キッズのための安

    全・安心社会を作るロボット技術」ロ

    ボット遊具ノボレオンが,また,別室

    には,NEDO次世代ロボット共通基盤開

    発プロジェクトの成果発表の場を併設

    しました.7日には特設ステージにお

    いて,ロボットグランプリのPR,若手

    ネットワークによる青少年向けセミ

    ナー,ロボメカデザインコンペの紹

    介,ロボコンプロデュースのデモ,地

    元小諸のロボコン大会なども開催さ

    れ,講演会参加者はもとより一般のか

    たも多数来場いただきました.また今

    回,小中高校生および引率者にはポス

    ター講演会場にも無料でご入場いただ

    きました.6日には地元テレビ局,NHK

    でも取り上げられ大会の様子が放映さ

    れました.

    最後に後援・協賛をいただいた関東

    経済産業局,長野県,長野市,上田

    市,岡谷市,長野県テクノ財団をはじ

    め,多くの学協会に厚く御礼申し上げ

    ます.また開催にあたりまして,多大

    なるご協力をいただいた県内企業に厚

    く御礼申し上げます.本講演会は組

    織・実行委員会委員・プログラム委員

    など多くの方のご尽力のもと,成功裡

    に終えることができました.ここに改

    めて関係各位に感謝申し上げます.あ

    りがとうございました.

    講演会会場(ビッグハットアリーナ) 懇親会(ホテルメトロポリタン長野)

    日本機械学会主催でロボメカ部門が

    企画・実施しているロボットグランプ

    リは,学会会員のみならず,小・中学

    生から大学生,一般の人々に対する啓

    蒙活動として,高く評価されたロボッ

    ト競技会である.第11回からはロボメカ部門内に新たにロボットグランプリ

    組織運営委員会を設置し,将来にわた

    る競技会運営方針が議論された.競技

    会の実施には,日本科学未来館からも

    担当者に参加していただき,今後は協

    力関係を持ちながら日本科学未来館で

    実施していくことが決定された.

    この決定に従い,第11回は会場をこれまでの大学関連施設から日本の科学

    技術の殿堂である日本科学未来館に移

    し,2008年3月8日,9日の2日間開催された.日本科学未来館にはイベントに

    かかわらず週末に多数の来場者がある

    こともあり,多数の参加があった.日

    本機械学会,ロボメカ部門にとっても

    大きな宣伝の場となった.

    開会式では主催者を代表して斉藤忍

    日本機械学会会長,会場をご提供いた

    だいた日本科学未来館より中島義和副

    館長,そして実行委員会を代表して淺

    間一ロボティクス・メカトロニクス部

    門長にそれぞれご挨拶をいただいた.

    この他,南デンマーク大学のヘンリ

    ク・ハウトップ・ルンド教授,同じく

    デンマークの音楽家ファンクスターデ

    ラックス氏にもご参加いただき,紹介

    を行った.

    大道芸ロボット競技会では14台の

    ロボットが出展され,それぞれ趣向を

    凝らしたパフォーマンスが披露され

    た.今回はロボットの調整の時間が短

    かったようで,うまく動作しないロ

    ボットも目に付いたが,それでも楽し

    いストーリー性を持ったものも多く,

    特に観客への受けの良かったロボット

    が優勝した.また,大道芸ロボット競

    技会審査時間には,ファンクスター氏

    による独創的な音楽の演奏が行われ

    た.

    2日目はロボットランサーとスカベ

    ンジャー競技会が行われ,会場は競技

    会参加者の熱気に包まれ大いに盛り上

    がった.ロボットランサー競技会で

    は,参加者のレベルに応じて今年から

    マイスタークラス,スタンダードクラ

    スに分けて競技を行った.スタンダー

    ドクラスには57台,マイスタークラスには15台のエントリーがあった.マイスタークラスはさすがにレベルが高

    く,見ごたえがあった.スカベン

    ジャー競技会には34チームのエントリーがあった.第10回大会より,長野県上田市で開催された上田ロボコンで

    のスカベンジャー競技会を予選と位置

    付け,その1~3位のチームが決勝に

    参戦し,その中の1台が見事3位に入賞した.受賞者にはそれぞれ賞状の他,

    副賞として研究奨励金が日本機械学会

    より,また協賛企業各社から景品が贈

    呈された.

    二日目最後の閉会式では,田口日本

    機械学会機構長よりご挨拶をいただ

    き,最後に広瀬組織運営委員長より総

    第11回ロボットグランプリ ロボットグランプリ実行委員長 大隅 久(中央大学)

  • Page 7

    ロボティクス・メカトロニクス

    評があった.

    来場者数は8日がおよそ400名,9日が800名程度であった. 以下に各競技の結果を報告する.

    ●大道芸ロボット競技 参加申し込み14チームがビデオ予選を通過し,競技決勝を行った.内訳

    は,からくり部門3チーム,計算機部門が11チームで,会場に並べられたロボットが順次パフォーマンスを披露し

    た.観客に札を配り,演技が楽しかっ

    たかどうかを,札を上げて投票しても

    らい,また審査員による審査結果を合

    わせ,評価を行った.Lund教授からも特別賞としてデンマークプレイ賞が

    贈られた.審査結果は以下の通りであ

    る.

    優勝:ポアロ(東京工業大学ポアロ制

    作委員会),準優勝:ラーメンこじま

    軒店主よしおさん(東京工業大学チー

    ムしげお2:50),からくり部門優

    勝:からくりオンステージ(不二越工

    業高等学校),技術賞:静大亭太郎

    (静岡大学サーフ・P),デンマークプレイ賞:ハマラ来襲(静岡大学サー

    フ・G)ドラマチック賞:告白ロボット(東京工業大学チームひろね)

    ●ロボットランサー競技 スタンダードクラス予選,決勝,マ

    イスタークラス決勝の順で競技が行わ

    れた.スタンダードクラスでは予選上

    位14台が決勝に進み,上位3台と技術賞,創造賞の2台が表彰された.マイスタークラスは上位3台のみを表彰した.今年から的に自動計測システムを

    導入し,これに伴い参加ランサー全て

    の槍の先端に導電性ゴムを取り付ける

    こととした.ただし,動作が安定しな

    いことも考え,バックアップとしてス

    タッフも計測に参加した.マイスター

    クラスの上位マシンはランサーと地面

    の設置圧を大きくするため吸引装置を

    利用しており,これを,カーブを曲が

    るタイミングに合わせて調整するとい

    う,非常に高度な技術を導入してい

    た.結果は以下の通り.

    スタンダードクラス 優勝:Sonic Calibur type-X(湘南工科大付属高 鈴木佑来),準優勝:SF08(山形県立山形工業高校 齋藤駿丞),3位:Ken2(横浜市立奈良中学校 住吉賢太郎),技術賞:TICO(電気通信大学 丸山 央),創造賞:あかうま

    (立命館大 上本宏明)

    マイスタークラス 優勝:God Aar-thurL3(湘南工科大 黒川旭),準優勝:TRINITY07(電気通信大学 平井雅尊),3位:KLRV(磯子工業高校 尾花健司)

    ●ロボットスカベンジャー競技 ロボットスカベンジャー競技には多

    数の親子チームも参加し,練習フィー

    ルドでも親子で熱心に練習する光景が

    見られた.予選は31チームで行われ,決勝に進んだ16チームと上田市からの3チームを加えた19チームによる決勝が行われた.優勝チームと準優勝チー

    ムの2チームは,ロボット,操作とも

    他チームを寄せ付けない高いレベルで

    あった.その他,3 位,ベストオペレーション賞,コンビネーション賞,

    デザイン賞,敢闘賞,未来賞,科学賞

    がそれぞれ贈られた.結果は以下の通

    り.

    優勝:必笑くんN(森裕之),準優勝 : Team Domani(柴 田 夏 美),3位:真田拾勇士(箱山文哉),アイデ

    ア賞:和平01(土方康平),技術

    賞:長井チャレンジ号(龍崎 舟),

    科学賞:玉ショリくん,缶ショリくん

    (樫山拓斗),創造賞:新たなる予想

    外(楡 木 晶 也),芸 術 賞 : most・dangerous (菱沼啓),未来賞:DD8 (小松大鳳),敢闘賞:FUJIGABURI(大原遼太郎)

    以上.

    写真2 告白ロボット

    写真3 ハマラ来襲

    写真4 ランサー競技

    写真1 斉藤会長挨拶(開会式)

    日本機械学会

    ロボティクス・メカトロニクス部門

    ニュースレターNo. 41(2008.10発行) 編集 第86期広報委員会 委員長 高山 俊男 (東京工業大学) 副委員長 亀川 哲志 (岡山大学) 幹事 土居 隆宏 (金沢工大) 委員 福田 靖 (玉川大学) ■部門ホームページURL

    http://www.jsme.or.jp/rmd/

    ■部門広報委員会メールアドレス

    rmd@jsme.or.jp

    写真5 スカベンジャー競技

    /ColorImageDict > /JPEG2000ColorACSImageDict > /JPEG2000ColorImageDict > /AntiAliasGrayImages false /CropGrayImages true /GrayImageMinResolution 300 /GrayImageMinResolutionPolicy /OK /DownsampleGrayImages true /GrayImageDownsampleType /Bicubic /GrayImageResolution 300 /GrayImageDepth -1 /GrayImageMinDownsampleDepth 2 /GrayImageDownsampleThreshold 1.50000 /EncodeGrayImages true /GrayImageFilter /DCTEncode /AutoFilterGrayImages true /GrayImageAutoFilterStrategy /JPEG /GrayACSImageDict > /GrayImageDict > /JPEG2000GrayACSImageDict > /JPEG2000GrayImageDict > /AntiAliasMonoImages false /CropMonoImages true /MonoImageMinResolution 1200 /MonoImageMinResolutionPolicy /OK /DownsampleMonoImages true /MonoImageDownsampleType /Bicubic /MonoImageResolution 1200 /MonoImageDepth -1 /MonoImageDownsampleThreshold 1.50000 /EncodeMonoImages true /MonoImageFilter /CCITTFaxEncode /MonoImageDict > /AllowPSXObjects false /CheckCompliance [ /None ] /PDFX1aCheck false /PDFX3Check false /PDFXCompliantPDFOnly false /PDFXNoTrimBoxError true /PDFXTrimBoxToMediaBoxOffset [ 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 ] /PDFXSetBleedBoxToMediaBox true /PDFXBleedBoxToTrimBoxOffset [ 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 ] /PDFXOutputIntentProfile () /PDFXOutputConditionIdentifier () /PDFXOutputCondition () /PDFXRegistryName () /PDFXTrapped /False

    /Description > /Namespace [ (Adobe) (Common) (1.0) ] /OtherNamespaces [ > /FormElements false /GenerateStructure false /IncludeBookmarks false /IncludeHyperlinks false /IncludeInteractive false /IncludeLayers false /IncludeProfiles false /MultimediaHandling /UseObjectSettings /Namespace [ (Adobe) (CreativeSuite) (2.0) ] /PDFXOutputIntentProfileSelector /DocumentCMYK /PreserveEditing true /UntaggedCMYKHandling /LeaveUntagged /UntaggedRGBHandling /UseDocumentProfile /UseDocumentBleed false >> ]>> setdistillerparams> setpagedevice