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公財の暮らし再生機構 〈リモつうしん〉 新潟県長岡市(太田東山・小国・山古志・栃尾・川口)・南魚沼市 LIMO 通信 2014 Summer vol.23 リモつうしん新潟県長岡市 太田東山・小国・山古志・栃尾・川口・南魚C s C o n t a c t 【活動レポート】地域ビジネスとしての農家・農村レストラン 【活動レポート】地域ビジネスとしての農家・農村レストラン 【山里ガイド】山里の新情報 【山里ガイド】山里の新情報 【山の特産品】爽快な香りは江戸の万能薬 塩澤薄荷「薄荷油」 【山の特産品】爽快な香りは江戸の万能薬 塩澤薄荷「薄荷油」 復興10年 たくましく前へ、長岡 復興10年 たくましく前へ、長岡 ~そのさきの未来へ~ ~そのさきの未来へ~ LIMO通信 2014〈Summer〉第23号 平成26年7月1日発行 発行/公益財団法人 山の暮らし再生機構 LIMO通信編集委員会 TEL0258-30-1213 http://www.yamanokurashi.jp/ 「LIMO通信」は山の暮らし再生機構が、太田東山・小国・山古志・栃尾・川口・南魚沼の地域活動や支援活動を発信 している情報誌です。この「LIMO通信」を通して地域復興支援員の活動を皆さまに知っていただき、各地域のパイ プ役としてお役に立つことを願っています。 LIMO通信とは? 【山の暮らし再生機構】里山を生命の源を育むマザーランドとしてとらえ、「Life in Motherland=LIMO(リモ)」を通称に活動しています。 ※LIMO通信は公益財団法人 新潟県中越大震災復興基金の助成を受け年4回発行しています。 編集後記 爽快な香りで江戸っ子をも魅了 塩澤薄荷「薄荷油」 「地産地消」をさらに発展させた「地産訪消」。地域で生産されたものを、地域を 訪れた人に消費してもらうという活動です。魅力ある食材は人を呼び込む「力」が あります。農家レストランや食をテーマにしたアンテナショップ、また、こだわりの 農産品を扱うセレクトショップなど、小さな地域ビジネスが中山間地域ならでは の食文化を発信しています。 郵便はがきに①住所、②氏名、 ③TEL④年齢、⑤性別、⑥本誌 のご感想、ご意見をご記入の 上、下記までご応募ください。 〒940-0062新潟県長岡市大手通1-4-11 水野ビル3F 公益財団法人 山の暮らし 再生機構 第23号プレゼント係 TEL0258-30-1213 南魚沼の塩沢は、江戸時代に三国街道 の宿場町として栄え、古くから野生の薄 荷が自生しており、薬草として使われて いました。戦国時代に上杉謙信が関東遠 征の際に「和種薄荷草」を原料とした薬 (香料)を地元の者から献上され、戦の時 には芳香をめでて士気を高めたり、筋肉 疲労の時には患部に塗ったりと、「万病 の妙薬」として愛用したという言い伝え も残っています。 塩沢で薄荷栽培に本格的に取り組んだ のが文化年間(1804~1817)と言われて おり、その始まりは青木藤兵衛という人物 が伊勢神社に参拝した旅で大和国(現・奈 良県)から薄荷草を数株買い入れてきたと いう説や、医師の井口祥禎が肥前国(現・ 佐賀県、長崎県)でオランダ人から苗を譲 り受けたのを持ち帰ってきたなどといった 説があります。 薄荷油は、夏に刈り取って陰干しした薄 荷草を蒸留器で精製し、抽出された水と油 を分離させるために0℃近くまで冷却しま す。当時は冷やすために雪が使われてい たことから冬に加工されていました。 塩沢はもともと薄荷草が自生するほど 薄荷栽培に適した地であり、薄荷油、薄荷 円(薄荷脳・薄荷精)を作るのに必要な雪 に困らなかったため、品質のいい製品がで き、江戸の町でも大評判になったようです。 「塩澤薄荷」の特約店として県内では浦 佐(南魚沼)、和南津(長岡市川口)、県外で は上州(現・群馬県)、信濃(現・長野県)、浜 田(現・島根県)の名が残されていること や、「薄荷脳行商人」が江戸・浅草まで街道 筋の薬屋を回って商いを行っていた記録 も残っています。 塩沢では「稲荷屋」「平野屋」「高田屋」 「鈴木」の4軒が大きな商いをしており、安 政4年(1854年)の「物産取調書上帳」に よると塩沢の薄荷の売り上げは500両に 達しています。4軒の内のひとつ、「平野 屋」は1717年創業の清酒・鶴齢で知られ る青木酒造で、昭和25年頃までは酒蔵の 他に薬局を営み、薄荷油の販売を行って いました。しかし、北海道や岡山で大規模 な薄荷栽培と工場生産が行われるように なったことで、塩澤薄荷は次第に衰退して いきました。 平成21年に、昔の雪国の街並みを再 現した三国街道塩沢宿「牧之通り」が完 成したことを機会に塩沢ならではのお土 産を、という思いで昔のボトルを参考に 平成の塩澤薄荷「薄荷油」の復刻版が生 まれました。 LIMO通信の設置場所 塩澤薄荷 「薄荷油」を 3名様にプレゼント 新潟県/長岡市役所(アオーレ長岡)、ながおか市民センター、長岡市立 図書館(中央・互尊文庫・西地域・南地域・北地域)、南魚沼市役所・庁 舎、十日町市役所、新潟県各地域振興局ほか中越地域の「道の駅」 首都圏/表参道・新潟館ネスパス(渋谷区神宮)、ブリッジにいがた(中央区 日本橋)、認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター(千代田区有楽町)  ※バックナンバーはLIMOホームページでもご覧いただけます。 豊かな自然から生まれた山の 特産品。古くから伝わるこの地 ならではの品々を紹介します。 ※ご記入いただいた個人情報は、プレゼン トの発送および今後の誌面作りの参考にの み使用します。当選者の発表は商品の発送 をもってかえさせていただきます。 平成26年 9 1 日(月) 消印有効 応募締切 公財山の暮らし再生機構 「農」と「食」をキーワードに 「地域に根ざした農業」を目指し、新たな魅力を発信。 」と「食」をキーワードに 域に根ざした農業」を目指し、新たな魅力を発信。 域に根ざした農業 を目指し 新たな魅力を発信 」を目指し、新たな魅力を 根ざした農業」を目指 農業」を目指し、新たな魅力を発信。 、新たな魅 し、新たな に根ざした農業」を目指し、新たな魅力を発信。 域に根ざした農 域に根ざした農業」を目指し、新たな魅 目指 発信 根ざした農業」を目指し 新たな魅力を発信 根ざした農業」を目指し 新たな魅力を発信 農×食の力で 地域を元気にする 「農」 「地域 「地域 塩澤薄荷「薄荷油」問い合わせ/オーギヤカフェ TEL025-775-7701 南魚沼市塩沢181-1 江戸時代、頭痛、咳止め、毒消し、かご酔いなどに効くと評判になった薄荷油。 現在でもスーッとする独特の香りは虫除け、眠気覚ましやマッサージの際の アロマオイルとしても使われている。 雪国らしい雁木のある「牧之通り」。塩澤薄荷の宣伝のために当時 の人気彫刻師・小林源太郎や石川雲蝶が彫ったという看板が残さ れている。散策しながら見つけてみるのも楽しい。 和製の薄荷は西洋のペパーミ ントと異なり、茎の葉と葉の間 に可憐な花をつける。 Present 特産品 はっかゆ

LIMO - 公益財団法人 山の暮らし再生機構3名様にプレゼント 新潟県/長岡市役所(アオーレ長岡)、ながおか市民センター、長岡市立 図書館(中央・互尊文庫・西地域・南地域・北地域)

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(公財)山の暮らし再生機構

〈リモつうしん〉新潟県長岡市(太田東山・小国・山古志・栃尾・川口)・南魚沼市

LIMO通信2014 Summervol.23

〈リモつうしん〉新潟県長岡市(太田東山・小国・山古志・栃尾・川口)・南魚沼

C’sCo

n tact

交信

【活動レポート】地域ビジネスとしての農家・農村レストラン【活動レポート】地域ビジネスとしての農家・農村レストラン

【山里ガイド】山里の新情報【山里ガイド】山里の新情報

【山の特産品】爽快な香りは江戸の万能薬 塩澤薄荷「薄荷油」【山の特産品】爽快な香りは江戸の万能薬 塩澤薄荷「薄荷油」

復興10年 たくましく前へ、長岡復興10年 たくましく前へ、長岡

~そのさきの未来へ~~そのさきの未来へ~

LIMO通信 2014〈

Summer〉第

23号 平成26年

7月1日発行 発行/公益財団法人 山の暮らし再生機構 LIM

O通信編集委員会 TEL0258-30-1213 

http://www.yam

anokurashi.jp/

「LIMO通信」は山の暮らし再生機構が、太田東山・小国・山古志・栃尾・川口・南魚沼の地域活動や支援活動を発信している情報誌です。この「LIMO通信」を通して地域復興支援員の活動を皆さまに知っていただき、各地域のパイプ役としてお役に立つことを願っています。

LIMO通信とは?

【山の暮らし再生機構】 里山を生命の源を育むマザーランドとしてとらえ、「Life in Motherland=LIMO(リモ)」を通称に活動しています。

※LIMO通信は公益財団法人 新潟県中越大震災復興基金の助成を受け年4回発行しています。

編集後記

爽快な香りで江戸っ子をも魅了 塩澤薄荷「薄荷油」

「地産地消」をさらに発展させた「地産訪消」。地域で生産されたものを、地域を訪れた人に消費してもらうという活動です。魅力ある食材は人を呼び込む「力」があります。農家レストランや食をテーマにしたアンテナショップ、また、こだわりの農産品を扱うセレクトショップなど、小さな地域ビジネスが中山間地域ならではの食文化を発信しています。

郵便はがきに①住所、②氏名、③TEL④年齢、⑤性別、⑥本誌のご感想、ご意見をご記入の上、下記までご応募ください。

〒940-0062新潟県長岡市大手通1-4-11水野ビル3F 公益財団法人 山の暮らし再生機構 第23号プレゼント係TEL0258-30-1213

 南魚沼の塩沢は、江戸時代に三国街道

の宿場町として栄え、古くから野生の薄

荷が自生しており、薬草として使われて

いました。戦国時代に上杉謙信が関東遠

征の際に「和種薄荷草」を原料とした薬

(香料)を地元の者から献上され、戦の時

には芳香をめでて士気を高めたり、筋肉

疲労の時には患部に塗ったりと、「万病

の妙薬」として愛用したという言い伝え

も残っています。

 塩沢で薄荷栽培に本格的に取り組んだ

のが文化年間(1804~1817)と言われて

おり、その始まりは青木藤兵衛という人物

が伊勢神社に参拝した旅で大和国(現・奈

良県)から薄荷草を数株買い入れてきたと

いう説や、医師の井口祥禎が肥前国(現・

佐賀県、長崎県)でオランダ人から苗を譲

り受けたのを持ち帰ってきたなどといった

説があります。

 薄荷油は、夏に刈り取って陰干しした薄

荷草を蒸留器で精製し、抽出された水と油

を分離させるために0℃近くまで冷却しま

す。当時は冷やすために雪が使われてい

たことから冬に加工されていました。

 塩沢はもともと薄荷草が自生するほど

薄荷栽培に適した地であり、薄荷油、薄荷

円(薄荷脳・薄荷精)を作るのに必要な雪

に困らなかったため、品質のいい製品がで

き、江戸の町でも大評判になったようです。

 「塩澤薄荷」の特約店として県内では浦

佐(南魚沼)、和南津(長岡市川口)、県外で

は上州(現・群馬県)、信濃(現・長野県)、浜

田(現・島根県)の名が残されていること

や、「薄荷脳行商人」が江戸・浅草まで街道

筋の薬屋を回って商いを行っていた記録

も残っています。

 塩沢では「稲荷屋」「平野屋」「高田屋」

「鈴木」の4軒が大きな商いをしており、安

政4年(1854年)の「物産取調書上帳」に

よると塩沢の薄荷の売り上げは500両に

達しています。4軒の内のひとつ、「平野

屋」は1717年創業の清酒・鶴齢で知られ

る青木酒造で、昭和25年頃までは酒蔵の

他に薬局を営み、薄荷油の販売を行って

いました。しかし、北海道や岡山で大規模

な薄荷栽培と工場生産が行われるように

なったことで、塩澤薄荷は次第に衰退して

いきました。

 平成21年に、昔の雪国の街並みを再

現した三国街道塩沢宿「牧之通り」が完

成したことを機会に塩沢ならではのお土

産を、という思いで昔のボトルを参考に

平成の塩澤薄荷「薄荷油」の復刻版が生

まれました。

LIMO通信の設置場所

塩澤薄荷「薄荷油」を3名様にプレゼント

●新潟県/長岡市役所(アオーレ長岡)、ながおか市民センター、長岡市立図書館(中央・互尊文庫・西地域・南地域・北地域)、南魚沼市役所・庁舎、十日町市役所、新潟県各地域振興局ほか中越地域の「道の駅」

●首都圏/表参道・新潟館ネスパス(渋谷区神宮)、ブリッジにいがた(中央区日本橋)、認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター(千代田区有楽町) 

※バックナンバーはLIMOホームページでもご覧いただけます。

豊かな自然から生まれた山の特産品。古くから伝わるこの地ならではの品々を紹介します。

※ご記入いただいた個人情報は、プレゼントの発送および今後の誌面作りの参考にのみ使用します。当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。

平成26年9月1日(月)

消印有効

応募締切

(公財)山の暮らし再生機構

「農」と「食」をキーワードに「地域に根ざした農業」を目指し、新たな魅力を発信。

」と「食」をキーワードに域に根ざした農業」を目指し、新たな魅力を発信。域に根ざした農業 を目指し 新たな魅力を発信」を目指し、新たな魅力を 信新 信信新新根ざした農業」を目指根 指指 発発農業」を目指し、新たな魅力を発信。目業業域域 根根 、新たな魅魅ざざ し、新たなししし ををををにに たたたたに根ざした農業」を目指し、新たな魅力を発信。魅域に根ざした農域 なな域に根ざした農業」を目指し、新たな魅域 根 た農 目指 た 発信指根ざした農業」を目指し 新たな魅力を発信発農農根ざした農業」を目指し 新たな魅力を発信ざ域域 ざざ 信信

「農×食の力で 地域を元気にする」「農」「地域「地域地地地地域域「「

巻頭特集

巻頭特集

●塩澤薄荷「薄荷油」問い合わせ/オーギヤカフェ TEL025-775-7701 南魚沼市塩沢181-1

江戸時代、頭痛、咳止め、毒消し、かご酔いなどに効くと評判になった薄荷油。現在でもスーッとする独特の香りは虫除け、眠気覚ましやマッサージの際のアロマオイルとしても使われている。

雪国らしい雁木のある「牧之通り」。塩澤薄荷の宣伝のために当時の人気彫刻師・小林源太郎や石川雲蝶が彫ったという看板が残されている。散策しながら見つけてみるのも楽しい。

和製の薄荷は西洋のペパーミントと異なり、茎の葉と葉の間に可憐な花をつける。

Present

山の特産品

は っ か ゆ

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12

就農を決意

金沢からUターン

 

みわ農園は、作業受託を合わせる

と19ヘクタールの田んぼと30アール

の畑を営む農家で、米の生産販売を

しながら自分たちで生産した農産

物を加工し、地域のイベントなどで

販売しています。弘和さん、弥生さ

んご夫婦は、平成26年1月に、自ら

生産した農作物を使ったお弁当や

惣菜だけでなく、厳選した安心でき

る農産物や調味料、地元作家が作

る小物雑貨などを取り扱うアンテ

ナショップ「農家の弁当や

まつえん

どん」を開店しました。

料理人として培った

経験を活かして

 

弘和さんは40歳未満の専業農家で

構成する「JA魚沼みなみ青年部」に

所属しています。青年部には米の生産

者の他、南魚沼の特産品である「八色

スイカ」や「八色シイタケ」、ヒマワリの

ポット苗を生産する園芸農家など70

名程います。また、近隣の塩沢地域、湯

沢地域の若手農家や農産物加工品を

 

お二人とも前職は料理人です。弘

和さんは大学進学を機に南魚沼から

移り住んだ金沢で料理に興味をも

ち、「イタリア料理・居酒屋」に10年間

勤務し、弥生さんは同じ金沢の「くず

し割烹」で7年ほど修業していたそ

うです。

 

弘和さんが帰省した時に、新潟に

は米だけではなく美味しい農産物が

あるのに、あまり知られていないこ

とに気付き、自分たちが作り手と

なってその美味しさを伝えていこう

と就農を決断し、2年前の秋にU

ターンして来ました。

生産する人たちと「魚沼楽市座」とい

うグループを結成し、県内外のイベン

トに積極的に参加しています。安心で

安全、こだわりをもって農産物加工品

を作っている人や自分と同じように

地域の良いものをもっと広めたいとい

う思いで農業に取り組んでいる人た

ちとの交流は刺激になっています。

 

また、イベントへの参加だけでな

く、自然を感じる体験や、南魚沼に

代々受け継がれている「農」と「食」を

料理人としての経験を活かして提案

するなど、これからの地域農業を考

える様々な活動を行っています。

 

この夏、弘和さんは、イベントを通

じて交流が生まれた六日町温泉「温

泉御宿

龍言」と連携し、担い手不足

で耕作放棄地となった畑を利用し

て、宿泊者に野菜の収穫を楽しく

体験してもらう観光農園を始めま

した。

 

南魚沼でこれからの農業のあり方

を模索しながら新たな「食のチカ

ラ」

を発信するみわ農園。「農」と「食」の

新たな可能性を引き出し、発信する

ためにいろいろな人たちと交流を持

ちながら、地域活動に取り組んでい

ます。

 国内の食味評価で常に「特A」の認定を受ける魚沼コシヒカリ。しかしながら、中山間地域の農業は後継者不足や耕作放棄地の増加などの課題を抱えています。新潟のブランド米の産地と位置付けられている、南魚沼地域においても例外ではありません。このような担い手不足の中、存続への危機感を持ちながらも家族二世代で農業を営む「みわ農園」の三輪弘和さん(37歳)は、「農」と「食」をテーマに「地域に根ざした農業」を目指しています。

農×食農×食ごはんを

届ける

農家が発信する

農と食の魅力

ごはんを届ける

農家が発信する

農と食の魅力

C’sCo

n tact

交信

田んぼ仕事はまだ雪が残る3月から始まる。種子消毒、育苗、田植え、…。就農2年目、田んぼ仕事は学ぶことが多いという。

手間は掛かるが、有機肥料農法、玄米黒酢農法で米作りをしているみわ農園。農業の先輩である父・正雄氏、また仲間たちからの支えやアドバイスがありがたい。

手間は掛かるが、有機肥料農法、玄米黒酢農法で米作りをしているみわ農園。農業の先輩である父・正雄氏、また仲間たちからの支えやアドバイスがありがたい。

4月~11月、毎月1回塩沢地域で開催される「ナナシのマルシェ」にイナカレッジの短期インターン生と出店。この他「うおぬまマルシェ」「雪見市」など積極的にイベントに参加し、地域住民との交流を図っている。

三輪家の常備食でもある南

魚沼の郷土料理「みそ豆」。

代々受け継がれてきた味も

大切にしている。

「まつえんどん」とは三輪家の屋号。みわ農園が作ったコシヒカリと地元の旬の素材を中心に化学調味料を使わず弥生さんが手がけるお弁当、惣菜をはじめ、地元の農産物や手作り食品、小物などを販売し、地域の情報発信を行っている。

農家の弁当や まつえんどんTEL.025-775-7401南魚沼市美佐島972営業時間/午前10時から午後8時 定休日/木曜日

みわ農園 三輪

弘和

南魚沼市

の力で 地域を  元気にする。

りゅうごん

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4月1日(火)に住民主

体での地域活動の拠点「お

ぐにコミュニティセンター(愛

称・だんだん)」がオープンし

ました。少子高齢化や震災

により地域社会のあり方

が変化している中、小国地

域では平成24年から住みよ

い地域を作るために誰もが

参加して話し合いができる

「地域づくり交流会」を開

催し、未来への夢やひとりひ

とりの思いを語り合いなが

ら、コミュニティ活動の推進

を検討してきました。設立

された「おぐにコミュニティ

センター」は、これまで以上

に住みよい地域を目指し、

世代や団体の枠を超えたコ

ミュニティ活動の拠点として

活用されます。

栃尾地域

「すがばたけ」

 

栃尾地域の市街地から緑に囲ま

れた山道を南東に4㎞ほど車を走

らせると、守門岳、桑代山を借景と

した絶景のロケーションに農村レ

ストラン&農産物直売館「すがば

たけ」があります。復興基金事業を

活用して平成23年にオープンし、

この景色と地元の農産物、そして

旬の新鮮野菜を使った料理を求め

て年間1万人以上の人が利用する

人気店です。

 

菅畑地区は90世帯、約270名

が住む集落です。元々は農業が主

の典型的な山あいの農村でした

が、高度経済成長期から兼業農家

が増え始めたことに伴い人口が流

出、少子高齢化が進み、耕作放棄地

や集落活動の減少などの課題を抱

えていました。このままでは農地も

集落も無くなってしまうという危

機感から、平成2年に地域の将来

を見据えた地域づくり計画を策定

し、「菅畑農業生産組合」を設立し

ました。その後も時代の流れに応

じて地域の将来像を検討しながら

過去の地域づくり計画を見直し、

平成16年に「菅畑にいがた地鶏生

産組合」を立ち上げ、平成18年に現

在のレストラン運営母体となって

いる農事組合法人「越後田舎の親

類村」を設立しました。

 「すがばたけ」は調理、接客、販売

の常駐従業員3名とパート従業員

13名程で構成されており、スタッフ

全員が菅畑地区の住民です。

 

この春でオープンから4年目を

迎え、農業、観光、産業、そして都市

住民との交流の場といった地域資

源の一つとして、また生産・加工・販

売を行なう6次産業の場(雇用の

場)として活用されています。

山古志地域

「多菜田」

 「中越大震災が無かったら、私た

ちの〝多菜田〞は生まれていなかっ

た」

 

山古志地域にある農家レストラ

ン「多菜田」の代表を務める五十嵐

なつ子さんは、たびたびこの言葉を

口にします。店舗がある虫亀地区

も地震で発生した地すべりにより、

田んぼや養鯉池が決壊し、土砂が県

道を覆うなど大きな被害を受けま

したが、山古志地域の復興ために全

国の方々から計り知れないほどの

想いと力を注いでいただいたこと、

また現在もずっと応援していただい

ていることなど、人々の温かさを感

じていると言います。

 

山古志のような中山間地域の標

高差のある田畑では、寒暖差によっ

て味の濃い野菜や山菜が収穫でき

ます。また、豪雪地であるがゆえ

に、収穫した農産物を大切に保存

し、少しでも美味しく食べられるよ

う工夫を重ねてきた郷土料理の

数々が継承されています。多くの支

援を受けた恩返しとして自分たち

にできることは、楽しく、生き生き

と元気に暮らしている姿を見ていた

だくことではないか。また、山古志の

宝といえる「食」を多くの人に伝え

たいという想いから、五十嵐さんは

地域のお母さんたちと、平成20年、

新潟県中越大震災復興基金を活用

して直売所を併設した農家レスト

ランを開店しました。

 

五十嵐さんは、「店の立ち上げ、

経営を軌道にのせるまでは地域の

方々や復興支援員の皆さんをはじ

め、様々な団体・関係機関の協力を

いただいた」と言います。

「家庭の主婦だった私たちに研修会

やイベントに参加する機会を与え

てくれたり、地域をあげて取り組

む特産品の開発にも声をかけても

らったり、今の〝多菜田〞があるの

は、支え続けてくれる皆さんのお

かげです」

 

お母さんたちの熱い想いは、地域

が誇る美味しい「食」を復興の感謝

の気持ちとともに全国の方々に発

信しています。

C’sCo

n tact

交信

 自分で(地域で)生産したものを自分の手で調理し、その美味しさを伝えたい、それが「農家・農村レストラン」の始まりです。中越地震以降、中越の中山間地域にも農家・農村レストランが誕生し、地域ビジネスとして注目を集めています。地元の特産品をPRし、訪れる人と農産物を通した交流が生まれるとともに、新たな雇用創出の場となっています。私たち地域復興支援員は、新潟県中越大震災復興基金事業においてメニュー化されている、地域資源を活用した特産品開発や起業など地域住民と協働し、側面から活動を支援しています。

素朴だけど素材の味がしっかりと味わえる「多菜田定食」1200円。食材はまず地区内で調達し、なければ山古志地域で探す。できるだけ収益は地域に還元したい。

素朴だけ定食」12れば山古還元した

地域の食材を使い、ひとつひとつの料理に愛情込めて提供している山古志のお母さんたちの店。地域の食めて提供

地区内外へのイベント出店も多い。五十嵐さんをはじめスタッフはレストランの経験を活かして山古志地域の特産品の開発にも携わっている。

里山の美しい景観が凝縮された景色にあたたかな木造の建物が溶け込む「すがばたけ」。

人気メニューの「虎千代鶏(とらちよまる )定 食 」1200円。「菅畑にいがた地鶏生産組合」が生産する肉はもちろんスープまで美味しいにいがた地鶏(虎千代鶏)が堪能できる。

いがた

店内で打つ「手打ち蕎麦 季節の天ぷらそば」880円。

しい景観れた景色かな木造溶け込むたけ」。

た地鶏合」が生産はもちろまで美味がた地鶏鶏)が堪能

しい景観いがた合」が生

接客中も笑い声が絶えないスタッフは全員地域住民。お客さんから栃尾の観光や食について聞かれることも多く、栃尾の情報提供の場となっている。

メニューの代鶏(とらちる )定 食 」円。「菅畑に

人気メ「虎千代よまる1200

食を支えている営農スタッフ。レストランで提供する米、野菜など食材の大半は菅畑産である。

店内で打

平成2年から地域づくりの活動に取り組んでいる原定幸さん。「無理をせず、できることをひとつひとつ積み重ねてきた結果、現在の形に至っています」

農村レストラン&農産物直売館「すがばたけ」 TEL.0258-86-8344 長岡市大川戸字上ノ原1481-2営業時間/午前9時から午後4時(ランチは午前11時から午後2時) 定休日/年末年始

「多菜田」TEL.0258-41-1144 長岡市山古志虫亀647営業時間/午前11時から午後2時 定休日/毎週月・木曜日(祝日営業)

「作る」農業から「伝える」農業へ美味しさを届ける農家・農村レストラン

食のチカラで人を呼び込む

地産訪消」

「集い つながり 助け合い 自分たちの手で創るコミュニティ」小国地域にコミセン誕生

Page 4: LIMO - 公益財団法人 山の暮らし再生機構3名様にプレゼント 新潟県/長岡市役所(アオーレ長岡)、ながおか市民センター、長岡市立 図書館(中央・互尊文庫・西地域・南地域・北地域)

From a rural village

新しいお店から季節のイベントなど山里の情報をお届けします。

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理事長 山口 壽道

山里ガイド

 3月22日(土)に誕生した地元特産品の販売コーナーや50~60人を収容

できるホールを併設する複合施設。栃尾の中心地・雁木通り商店街に面し、

日本一と言われる火の神・秋葉三尺坊を祀った「秋葉神社」や謙信ゆかりの

名刹「常安寺」に隣接するため、栃尾の歴史、特徴を感じられます。あぶらげ、

豆腐、地酒など栃尾の人気グルメや手作りの布小物の雑貨など34の業者の

商品が並んでいます。ご当地キャラを型取った「あぶらげんしん焼き」やなめ

らかな「絹のソフトクリーム」など、とちパルならではの味も楽しめます。

表紙のことば

ぷちぷちとした食感が美味しいシソの実。おにぎりに混ぜ込んだり、キャベツやキュウリなど野菜の浅漬けに加えると、風味がまして食がすすみます。塩を減らし醤油に変えると、鮮やかな色は損ないますが、醤油漬けになります。

あじさいが繋ぐ交流 雨にしっとりと濡れた姿も、初夏の日差しを受けて咲く姿も美しいあじさい。雪国の中山間地域では気候の関係で比較的長い期間、観賞することができます。そんなあじさいで地域おこしに取り組む団体が一堂に会する「新潟県あじさいサミット」は、平成21年度から始まり、情報交換をしながら加盟団体と交流を深めています。長岡市では「太田地区復興活性会議」「東川口お宝いかし隊」「栃尾中集落地域復興デザイン協議会」が参加し、その他には田上町、小千谷市、十日町市の団体が構成メンバーとなっています。栃尾の中集落は平成20年より、あじさいともみじを主体に集落の景観づくりに取り組んできましたが、昨年7月の水害によりあじさいロードが壊滅的な被害を受けました。中集落が再びあじさいの里として色とりどりのあじさいが咲くように、地域の方々が主体となって活動を続けています。

山の「おっかぁ」たちが代々受け継いできたレシピや自慢の新しい味。どことなく懐かしい味を紹介します。

シソの実の塩漬け●作り方①穂シソは洗って水気をきり、指先でしごいて軸から実をはずす。②小さじ1の塩(分量外)でもみ、アク抜きをする。③沸騰した熱湯で1分ほどゆで、冷ましてから水分をふきとる。④シソの実に分量の塩をまぶし、空気に触れないようラップをかけ、重石をのせて漬け込む。⑤半日ほどで漬かるが、3、4日したほうが味が馴染む。長期保存をする場合は煮沸した瓶などに入れ、冷蔵庫または冷凍庫で保管する。

シソの実(穂シソ)…100g塩(シソの10~20%)…10~20g 

●材料

川口・十八番山頂(越後川口三十三番めぐり)●表紙/栃尾・中集落(あじさいロード)

TEL.0258-53-5104 住所/長岡市谷内2-5-9営業時間/午前9時30分から午後6時 定休日/年末年始

山のごっつぉ 田舎のレシピ

〈理事長コラム〉

山 里こぼればなし

※自家栽培の穂シソを使う場合は穂先に花が2、3個咲き残っているものを収穫すると種が硬すぎず、ほどよいぷちぷち感が得られる。

 

東日本大震災から3

年余の歳月が流れた。東

北の地から、多くの皆さ

んが中越地震の被災地

を訪れ、「地震の後、新た

な生業が生まれました

か。被災者の皆さんは、

今、どうやってお暮しで

すか」と聞く。私は「地

域社会がこれまで育て

培ってきた文化が継承さ

れ、地域資源を大事にし

た小さなビジネスが生ま

れてはいますけれど、何

も特別なことはありま

せんよ」と答える。する

と、それを聞いていた若

者が大きく頷き「おやじ

と弟を奪い去った海だけ

れど、俺、もう一度、海と

しっかりと向き合って漁

師を続けることに決め

た。3年かかったけれど、

俺も、おふくろも、じい

ちゃんもやっぱり海が好

きなんだ」と話してくれ

た。そこに笑顔はなかっ

たけれど、若者は凛とし

てこう言った。「本当に山

が好きな人たちに出会

えてよかった」と。

 

中越地震からは10年の

歳月が流れようとしてい

るが、中越大震災復興ビ

ジョンには、「復旧・復興へ

とあゆみを進め、その後、

被災地は新たな日常を

獲得する」と書かれてい

る。新たな日常とは、決し

て特別な日常を意味して

はいない。新たな日常とは

地域の人たちが持てる地

域資源の価値に気付き、

山で生きていく術を再構

築することから始まるの

ではないか。

グルメから歴史まで栃尾の魅力をまとめて発信

栃尾秋葉門前商工プラザ とちパル

隣接する門前広場では毎月第1日曜日と24日に「門前マルシェ」を開催。

栃尾

 川口支所前おまつり広場をメイン会場に2日間にわたって催される「川

口まつり」。中学生による勇壮な「武者行列」、県内でもめずらしい女性だ

けで担ぐ「女みこし」、大人も子どもも夢中になる水鉄砲の熱き戦い「え

ちご川口水合戦」は見どころ満載です。7月26日(土)午後8時からは復興

祈念花火「エピセンタ(震央)」をはじめ約3,000発の花火が魚野川の河

川敷から打ち上がり、夏の夜空を彩ります。

TEL.0258-89-3113(川口まつり実行委員会 長岡市川口支所産業建設課)会場/長岡市東川口1974-26 長岡市役所川口支所前おまつり広場日時/7月26日(土)~27日(日)

TEL.090-7836-8825 住所/長岡市山古志種苧原2978-2営業時間/午前11時から午後2時 営業日/土・日・祝日

女みこし、武者行列…名物イベント満載

川口まつり

地域内の元気な女性たちによるみこし渡御。

川口

 4月26日(土)種苧原アルパカ牧場の隣に土・日・祝日限定で営業する

そば屋がオープン。店主は約20年、手打そばを作り続けている樺沢正利

さん。手打ちそば体験教室などで講師を務める山古志地域のそば名人の

ひとりです。石うすで挽いた山古志産のそば粉で打つ十割そばは、そば本

来の味と香りが楽しめます。民家を改装したという店舗は、親戚の家に来

たようにゆったりとくつろげる雰囲気です。

そば本来の味で勝負。土・日・祝日限定のそば屋

蕎麦処 為蔵

やや太めのそばは、噛みしめるほどそば本来の味を楽しめる。手打そば700円。

山古志

TEL.0258-94-5965住所/長岡市濁沢町1069-1営業時間/午前10時から午後7時 定休日/月曜

 山に囲まれた濁沢地区の風景に溶け込み、ゆったりとした時間が流れ

ている雑貨屋さん。店内のアクセサリーやバックはオーダーメイドも可能

です。開店したばかりですが、独自の雰囲気が印象に残って、何度も足を

運ぶ人も少なくありません。こだわって作られたお店は、木で仕上げられ

手作り感に溢れ、ひとつひとつ表情の違う布小物など、訪れた人が楽し

いと感じる空間となっています。

オーナーの感性がひかる雑貨屋さんがオープン

zakka kappadou

ひとつひとつ手に取ってゆっくりと選びたいアイテムが揃っている。

太田東山かっぱどう

ためぞう

ざっか