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日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」成人市中肺炎診療ガイドラインThe JRS Guidelines for the Management of Community-Acquired Pneumonia in Adults
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肺炎は罹患率,死亡率共に高い,重要な疾患である.しかし,原因とな
る病原微生物,治療を受ける場所,治療に携わる医師,抗菌薬がさまざま
であることから,いろいろな治療が行われている.もしそれを,一定の良
い方法に纏め上げることができれば,最も理想的で,効果的なガイドライ
ンになるはずであると考えられ,1990年代に入ると欧米諸国において,
次々と肺炎診療ガイドラインが発表された.
本邦では1998年に日本呼吸器学会が“呼吸器感染症に関するガイドラ
イン”の作成を計画し,その第1番目として成人市中肺炎ガイドラインで
ある「成人市中肺炎診療の基本的考え方」を2000年に公表した.このガ
イドラインは肺炎の診療や研究に大きなインパクトを与えたが,当初から
不十分な点があることも明らかであった.従って,3年後の改訂を明示し
ていた.
予定より2年遅れとなったが,本ガイドラインはその改訂版である.た
だし,予想よりはるかな速さで医療を取り巻く環境が変化し,ガイドライ
ンという言葉が抵抗無く受け入れられる時代となったので,「成人市中肺
炎診療ガイドライン」と表題を変更した.また,前回のガイドライン発表
後の,肺炎診療の進歩,ガイドラインに対する意見や批判,ガイドライン
に則った研究,更には欧米のガイドラインの進歩などを参考とし,大きく
改正した.前回のガイドラインが呼吸器学会会員以外の医師たちへの浸透
が不十分であったことを反省し,今回は日本国内の全ての医師へ本ガイド
ラインが配布されるように配慮した.
基本理念に示された,本ガイドラインの真意をお汲み取りいただき,ご
利用いただけることを願う.同時に,本ガイドラインの進歩のためにご意
見,ご批判を歓迎する.
2 成人市中肺炎診療ガイドライン
1 はじめに(ガイドライン作成の基本理念)
このポケット版は「成人市中肺炎診療ガイドライン」の主要な図表のみ
を集めた,簡略化した小冊子である.詳しいことはガイドラインの正本を
参考としていただきたい.
引用文献もガイドラインの正本を見ていただきたい.
更に,このポケット版で*印などをつけ,その解説が正本のみにあると
ころがある.簡潔にまとめることを主旨としていることによるものであり,
ご理解いただきたい.
改正してできたガイドラインとはいえ不十分なところがあることは否め
ない.更なる改訂に期待していただきたい.
3成人市中肺炎診療ガイドライン
表1-1 ガイドライン作成の基本理念�
1. 目的: 肺炎治療の向上を図り,国民健康の増進に役立つことを目的とする.加えて,菌の耐性化予防や医療資源の有効利用に有用であらねばならない.�
2. 信頼性: 作成委員会で検討を重ね,日本呼吸器学会のホームページで公開し,広く意見を仰ぎ,信頼性を獲得する.�
3. 明瞭性: フローチャートを使用し,簡潔,明瞭なものとする.解説,注記などは後ろに別記する.また,今回はフローチャートを主にした簡潔なポケット版と,従来の冊子形式の,二つの型を作製する.ポケット版は本邦の全ての医師に配布されるように配慮する.�
4. 応用性: あらゆる成人市中肺炎の状況を想定し,広く応用できるものとする.�
5. 柔軟性: 良識ある使用ができるように配慮する.除外,代理の案,不成功例の取り扱いなどを定める.�
6. 使用対象: あらゆる実地臨床医,特に診療所医師(開業医)ならびに一般病院勤務医を対象とする.�
7. 不利益性: ガイドラインのために不利益を蒙る人がいないように留意する.ガイドラインが優れた臨床判断による診療を制限するものではないことを明記する.すなわち,このガイドラインは成人市中肺炎診療の目安であって,このガイドライン通りに治療することを義務付けるものではない.�
8. 推薦薬剤: カテゴリー毎に薬剤群を推薦し,原則として個々の薬品名で推薦することはしない.�
9. 調査計画: ガイドラインに関する調査,研究や論文などの集積に務める.�
10. 将来計画: 必要に応じて改正作業をおこない,改訂する.日本呼吸器学会の中にワーキンググループを残し,常時活動させる.また,国際的ガイドラインの作成や動向に注目し,参加,協力に努める.�
5成人市中肺炎診療ガイドライン4 成人市中肺炎診療ガイドライン
2 成人市中肺炎初期治療の基本フローチャート
原因菌不明�
細菌性肺炎疑い� 非定型肺炎疑い*�
治療の場の目安�(10ページ参照)�
治療の目安�
肺炎の群別�
肺炎の重症度�(8ページ参照)�
検査結果�
検査の目安�(12ページ参照)�
外来� アモキシシリン� βラクタマーゼ阻害薬配合� ペニシリン���入院� ペニシリン系注射薬� セフェム系注射薬�
外来治療�
軽症�(0項目)�
中等症�(1,2項目)�
外来� マクロライド系� テトラサイクリン系� (レスピラトリーキノロン)� またはケトライド��入院� ミノサイクリン注射薬� マクロライド系注射薬�
肺炎球菌尿中抗原検査�(必要によりインフルエンザウイルス抗原,レジオネラ尿中抗原検査)�
(基本となる薬のみをあげてある.詳しくは26,27ページの表を見ていただきたい.)�
原因菌推定�
ICU治療肺炎�肺炎球菌性肺炎� その他の細菌性肺炎�
外来� 第13章の表に従う�����入院� 第13章の表に従う�
ICU治療�入院治療�
重症�(3項目)�
超重症�(4,5項目)�
外来� アモキシシリン(高用量経口)� (レスピラトリーキノロン)����入院� ペニシリン系注射薬(高用量)� セフェム注射薬� カルバペネム系注射薬�
カルバペネム系� +�下記の何れか�ニューキノロン系注射薬�マクロライド系注射薬�ミノサイクリン注射薬�
肺炎球菌,レジオネラ尿中抗原検査�(必要によりインフルエンザ�ウイルス抗原)�グラム染色(喀痰)�培養検査(喀痰)�
肺炎球菌,レジオネラ尿中抗原検査�(必要によりインフルエンザ�ウイルス抗原)�グラム染色(喀痰,その他)�培養検査(喀痰,血液)�血清検査ならびにストック�
肺炎とは肺実質の,急性の,感染性の,炎症である.すなわち,何らか
の病原微生物が肺に侵入して,急性の炎症を来たした場合である.急性炎
症を来たした証拠として,多くは発熱,咳,痰,呼吸困難,胸痛などの症
状を呈し,末梢血白血球増加,CRP陽性,赤沈亢進などの検査所見を呈
し,炎症の場が肺にある証拠として胸部X線写真上異常陰影を呈する.
肺炎は罹患率が高い上,死亡率も高い,極めて重要な疾患である.
疫学調査がよくおこなわれている米国での調査結果によると,年間1000
人につき13名が肺炎に罹患している.
米国における肺炎の頻度
1.年間100人につき1.5回の肺炎(成人ならびに子供):National Health Inter-
view Survey
2.年間100人につき1.2回の肺炎(成人):Washington Group Health Coopera-
tive Study
3.年間1000人につき33.6回の肺炎(65歳以上):Utah Resident Medical Ben-
eficiaries
4.年間1000人につき3.4回の入院(成人ならびに子供):National Health In-
terview Survey
5.人口10万に対する死亡率は男30,女34(1997年)で,年間約5万人が死亡
し,死因順位は第6位:World Health Statistics Annual 1997-1999
日本における肺炎の頻度(表3-1)
本邦における肺炎の受療率は人口10万対30であり,死亡率は人口10万
対70で,死因順位は第4位である.受療率,罹患率共に高齢になるに従い
急激に増加し,85歳以上の男性では死因第2位,90歳以上の男性では死因
第1となる.
6 成人市中肺炎診療ガイドライン
3 肺炎とは
7成人市中肺炎診療ガイドライン
4 市中肺炎の診断
図4-1 肺炎の診断�
高齢者肺炎診断の注意点:� 高齢者では肺炎の症状が潜在性であったり,欠如したりすることがあるので,� 疑わしい場合は早目に胸部画像検査をする方が良い.� 殊に,発熱,呼吸数増加,頻脈などを見のがさないことが重要である.� 食欲減退,不活発,会話の欠除などが現われた場合にも肺炎を疑う.� 独居老人など,症状を訴えることができ難い環境にある場合もある.�
市中肺炎とは:� 病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎である.� 肺結核,院内肺炎,日和見肺炎,閉塞性肺炎,大量誤嚥(胃酸)による肺炎,� 慢性下気道感染症の急性増悪などを充分に鑑別する必要がある.�
肺炎�(臨床診断)�
原因微生物の検索�(菌の検出,血清検査など)�
一般臨床検査�(WBC, CRP, ESRなど)�
発熱,咳,痰,胸痛�呼吸困難,など*�
胸部画像所見:浸潤影�(単純X線,CT)�
表3-1 日本における肺炎の年齢階級別受療率と死亡率(人口10万対,2002年)
90歳以上85~ 8975~
7965~69
55~59
45~49
35~39
25~29
15~19総数年齢階級
2121147633436外来受療率
48930986217323219入院
4317208733969.215.24.61.50.50.576.4男
死亡率 229193414422.45.61.90.90.50.362.7女
2787129124944.610.33.21.20.50.469.4総数
2004年「国民衛生の動向」から
旧JRS(日本呼吸器学会)ガイドラインでは身体所見ならびに検査成績から肺炎の重症度を判定する分類法をとった.これは日本化学療法学会の抗微生物薬の効果判定基準に準拠するものであった.その時に用いたパラメーターと肺炎死亡との間にはきれいな相関が認められなかった.そこで今回は,肺炎患者の生命予後という点から,以下の症状,所見,背景因子から重症度を分類することとした.
身体所見,年齢による肺炎の重症度分類(A-DROPシステム)
8 成人市中肺炎診療ガイドライン
表5-2 重症度分類�
軽症: 上記5つの項目の何れも満足しないもの.�中等症: 上記項目の1つまたは2つを有するもの.�重症: 上記項目の3つを有するもの�超重症: 上記項目の4つまたは5つを有するもの� ただし,ショックがあれば1項目のみでも超重症とする�
表5-1 使用する指標�
1. 男性70歳以上,女性75歳以上�2. BUN 21mg/dL以上または脱水あり�3. SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)�4. 意識障害*�5. 血圧(収縮期)90mmHg以下�
1 or 2 30
外来治療� 外来または入院� 入院治療�
4 or 5
ICU入院�
図5-1 重症度分類と治療の場の関係�
男性70歳以上,女性75歳以上�BUN 21mg/mL以上または脱水あり�SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)�意識障害あり*�血圧(収縮期)90mmHg以下�
5 肺炎の重症度分類
*:意識障害;本邦では表に示した3-3-9度方式(Japan coma scale)が用
いられている.これに該当する場合は意識障害ありと判定するが,高齢者
などではI 1~3程度の意識レベルは認知症などで日頃から存在する場合
がある.したがって,肺炎に由来する意識障害であることを検討する必要
がある.
**:呼吸数と生命予後が相関するであろうことが知られている.しかし,
呼吸数を測定している症例が十分でないため,今回の検討では両者の相関
を明らかにすることができなかった.そのために呼吸数を割愛した.
呼吸数の測定は肺炎治療上極めて重要なことであるので,呼吸数測定を
推奨する.***:胸部X線写真上の陰影の広がりも予後と相関し,重症度や予後判定
の因子としているものも多い.今回のガイドラインでは割愛しているが,
今後更に検討する.
9成人市中肺炎診療ガイドライン
■観察項目および評価法�
I
2又はI-2
1又はI-1
意識レベル�(小分類)�
3又はI-3
10又はII-1
20又はII-2
30又はII-3
100又はIII-1
200又はIII-2
300又はIII-3
痛み刺激に払いのける動作をする.�
痛み刺激に全く反応しない.�
痛み刺激に少し手・足を動かしたり,顔をしかめる.�
時・人・場所がわからない(失見当識).�
だいたい清明だが,いま一つはっきりしない.�
名前,生年月日が言えない.�
普通の呼びかけで,容易に開眼する.�※ 合目的な運動(例えば右手を握れ,離せ)を
するし言葉も出るが,間違いが多い.�
大きな声,または体を揺さぶることにより開眼する.�※ 簡単な命令に応じる.例えば握手.�
痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと,かろうじて開眼する.�
覚醒している�
刺激を加えると覚醒する�(刺激をやめると眠り込む)�
刺激を加えても覚醒しない�
覚醒の有無� 刺激に対する反応�
II
III
Japan Coma Scale, JCS(3-3-9度方式)�
※ III・3方式の場合�
成人における市中肺炎の治療が行われる場は,自宅,診療所,病院の外
来,一般病院や総合病院における内科,呼吸器科,感染症科などの病棟,
ICUなど,さまざまである.外来,入院,ICU治療の目安を示しているが,
社会的適応も含め,最終的には診察医の判断による.判断材料の中には,
本邦と欧米諸国との間の診療実態の違いも含まれる.
外来治療,入院治療の目安
軽症の肺炎,すなわち,重症度分類の指標が0の場合:外来治療.
中等症の肺炎,すなわち,指標の1つまたは2つを有する場合:入院
治療(短期を含む)が望ましいが,外来でも可.
重症肺炎,すなわち,指標の3つを有する場合:入院治療.
超重症肺炎,すなわち,指標を4つまたは5つ有する場合:ICU入院.
付:IDSAガイドラインにおける入院,外来治療の基準
アメリカ感染症学会(IDSA)の市中肺炎ガイドラインでは,死亡率に
相関する危険度を区分し,危険度毎に推奨される治療の場を決定するよう
なシステムがとられている.煩雑であるが,科学的なものであるとして使
用を推奨する呼吸器専門医も多い.従って,付録として此処にあげること
にした.使用できる状況にあれば,使用されることが望ましいし,クリニ
カルパスを利用する場合には,使用しやすいであろう.
危険度と死亡率に基づいた治療場所の決定は以下の表の如くである.
10 成人市中肺炎診療ガイドライン
6 外来治療,入院治療の判断
表6-1 肺炎患者における危険度と死亡率�
推奨される�治療場所�危険度� 点数�
研究結果�
患者数� 死亡率(%)�
I 点数なし 3,034 0.1 外来� II 70以下 5,778 0.6 外来� III 71~90 6,790 2.8 入院(短期)� IV 91~130 13,104 8.2 入院� V 130以上 9,333 29.2 入院�
危険度を算出するシステムは表6-2の如くであり,19の項目から点数を
計算することになっている.
本来PORT studyにおけるこの点数は,肺炎の危険度を知るためのもの
であり,危険度は次の表のように区分される.
11成人市中肺炎診療ガイドライン
表6-2 危険度算出システム�
特性 ポイント 特性 ポイント�
背景 身体所見� 年齢:男性(50歳こえた) 年齢数 精神状態の変化 +20� 女性( 〃 ) 年齢数-10 呼吸数30/分以上 +20� ナーシングホーム居住者 +10 収縮期血圧90mmHg未満 +20� 体温35℃未満または40℃以上 +15�合併症 脈拍数125/分以上 +10� 悪性腫瘍 +30� 肝疾患 +20 検査値� うっ血性心不全 +10 pH 7.35未満 +30� 脳血管障害 +10 BUN 10.7mmol/L以上 +20� 腎疾患 +10 Na 130 mEq/L未満 +20� グルコース 13.9mmol/L以上 +10� Ht 30%未満 +10� PaO2 60Torr未満 +10� (SpO2 90%未満)� 胸水の存在 +10
表6-3 スコアーの評価�
危険度 合計�
軽度 1.点数なし� 2.≦70点� 3.71~90�中等度 4.91~130�重度 5.>130
12 成人市中肺炎診療ガイドライン
7 市中肺炎の原因微生物と検査法
I.外来,ベッドサイドでも実施可能な簡便な検査� 1)塗抹鏡検検査(結果が実施者の経験に左右され易い)� ① グラム染色� ② 特殊染色� a.ヒメネス染色 (レジオネラの染色)� b.Diff-Quik染色 (BALにおけるニューモシスチス)� c.ギムザ染色 (ニューモシスチスの染色)� 2)抗原検査(結果が実施者の経験に左右されにくい)� ① 呼吸器検体を用いるもの� インフルエンザウイルス (鼻腔拭い液,咽頭拭い液,鼻咽頭吸引液)� ② 尿検体を用いるもの� 肺炎球菌 (ICA法)� レジオネラ(ICA法)��II.手技が煩雑,あるいは特定の機器,施設が必要な検査� 1)塗抹鏡検検査� ① 抗酸菌染色 結核菌,非結核性(非定型)抗酸菌の染色� (チール・ネルゼン染色,蛍光染色)� ② 蛍光抗体法 レジオネラ,クラミジア(クラミドフィラ),マイコプラ
ズマ,ニューモシスチスの染色� ③ PAS染色 真菌の染色� ④ グロコット染色 真菌,ニューモシスチスの染色� ⑤ トルイジンブルー染色 ニューモシスチスの染色� 2)抗原検査� ① 呼吸器検体を用いるもの アデノウイルス� ② 血液,尿検体を用いるもの レジオネラ(EIA法),アスペルギルス,カンジ
ダ,クリプトコックス,CMV(サイトメガロウイルス)�
3)遺伝子検査� ① 呼吸器検体を用いるもの 結核菌,非結核性抗酸菌,レジオネラ,クラミジ
ア,マイコプラズマ,CMV� ② 血液検体を用いるもの コクシエラ,CMV��III.培養検査� 病原微生物検査のゴールデンスタンダードである�迅速性に欠けるが,菌の同定,薬剤感受性,疫学調査などに有用�
○�R
表7-1 初期治療に役立つ微生物検査�
13成人市中肺炎診療ガイドライン
表7-2 成人市中肺炎における原因微生物の頻度�
肺炎球菌�インフルエンザ菌�マイコプラズマ�クラミジア(クラミドフィラ)・�ニューモニエ�レジオネラ�黄色ブドウ球菌�クラミジア・シッタシ�モラクセラ・カタラリス�クレブシエラ�ミレリ・グループ�嫌気性菌�コクシエラ�緑膿菌�真菌�ウイルス�その他�
(複数菌感染の割合)�
原因微生物不明の割合�
24.6�18.5�5.2�
6.5��3.9�3.4�2.2�2.2�1.3�1.3�2.5�0.9�0.4�0.4�22.4�2.8�
18.5�
23.7
38.7�6�11.2�
3.4��1.4�1.4�0.3�1.7�1.4�1.1�1.1��1.1�0.3�1.4�2.9�
6.1�
32.7
26.3�13.0�9.3�
6.8��1.5�3.3�1.3�3.5�2.0�1.8�5.5�0.5�2.0��3.0�0.8�
14.0�
34.5
12.3�4.7�27.4�
11.3��0.9��1.9�������1.9��
7.5�
47.2
22�14.3�14.9�
25.0��0.6�7.1��6.5�1.2��������
17.9�
27.9
28�4�8�
12��4�2�2�1����2���8�5
(%)�
:非定型肺炎の病原微生物�
*インフルエンザ流行中の冬期4ヵ月�**原因微生物頻度の合計は100%になっていない�
病原微生物�
232例� 349例�400例�106例�168例� 5961例�
入院� 入院� 入院� 外来� 外来� 入院�
5大学病院�と関連病院*�
基幹�病院� 大学病院� 診療所�欧州10カ国�26研究**�
14 成人市中肺炎診療ガイドライン
両面テープ�
CONTROL�SAMPLE
CONTROL�SAMPLE
判定窓�
1.尿検体に付属の綿棒を浸す.�
2.右パネルの綿棒挿入口に挿入する.�
3.添加試薬を3滴(レジオネラは2滴)をゆっくり滴下.
4.右パネル右端の両面テープを剥がし,左パネルと張り合わせる.
5.判定窓がある面を上にして15分静置後,判定する.
陽性(+)�サンプルラインとコントロールライン両方が出現する.
陰性(-)�コントロールラインのみが出現する.
図7-1 尿中抗原検出試薬�「BinaxNOW肺炎球菌」「BinaxNOWレジオネラ」の操作法�
※本検査法の注意点については冊子(正本)を参考としていただきたい.�
15成人市中肺炎診療ガイドライン
図7-2 呼吸器感染症における主要原因菌のグラム染色像�
肺炎球菌� ブドウ球菌�
インフルエンザ菌� 緑膿菌�
クレブシエラ� モラクセラ・カタラーリス�
旧JRS市中肺炎ガイドラインの特徴の一つは,非定型肺炎と細菌性肺炎
を鑑別して,治療に当たる方法を採った点である.今回改定する前に行っ
た調査でも,約80%の呼吸器科医師がこの方法の継続を希望した.今回
の鑑別法は前回のものを継承するものであるが,症状,所見5項目,検査
所見1項目用いる,更に簡便なものである.なお,レジオネラ肺炎は通常
非定型肺炎に含まれるが,この鑑別法ではレジオネラ肺炎を含んでいない.
この鑑別法で非定型肺炎と細菌性肺炎が完全に鑑別できるものではな
い.典型的な非定型肺炎を拾い上げ,マクロライドあるいはテトラサイク
リン系抗菌薬で治療するのが狙いである.鑑別の難しい非定型肺炎は高齢
者に多く,一般的に細菌性肺炎との混合感染であることが多い.市中肺炎
16 成人市中肺炎診療ガイドライン
8 細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別
表8-1 鑑別に用いる項目�
1.年齢60歳未満�2.基礎疾患がない,あるいは,軽微�3.頑固な咳がある�4.胸部聴診上所見が乏しい�5.痰がない,あるいは,迅速診断法で原因菌が証明されない�6.末梢血白血球数が10,000/μL未満である�
表8-2 鑑別基準�
6項目中4項目以上合致した場合 非定型肺炎疑い�6項目中3項目以下の合致 細菌性肺炎疑い�この場合の非定型肺炎の感度は77.9%,特異度は93.0%
5項目中3項目以上合致した場合 非定型肺炎疑い�5項目中2項目以下の合致 細菌性肺炎疑い�この場合の非定型肺炎の感度は83.9%,特異度は87.0%
上記6項目を使用した場合;�
上記1から5までの5項目を使用した場合;�
で第一の標的とすべき病原菌は肺炎球菌である.本邦における成人呼吸器
疾患患者から分離される肺炎球菌は,マクロライド,テトラサイクリン系
抗菌薬に高度耐性を示すものが多い.
17成人市中肺炎診療ガイドライン
図8-2 肺炎球菌性肺炎の胸部単純X線写真とCT写真�
図8-1 マイコプラズマ肺炎の胸部単純X線写真とCT写真�
インフルエンザ,麻疹,水痘,アデノ,RSウイルスなど,さまざまな
ウイルスによって惹起される肺炎である.本ガイドラインでは代表的で,
迅速診断と特効的治療が可能なインフルエンザウイルス肺炎と,現在話題
のSARSと鳥インフルエンザウイルス肺炎を概説する.
インフルエンザウイルス肺炎(influenza viral pneumonia)
インフルエンザウイルスそのものによるウイルス性肺炎で,primary ま
たはpure influenza viral pneumoniaなどと称される.インフルエンザに
合併する肺炎には
1.インフルエンザウイルスによるウイルス性肺炎
2.インフルエンザ罹患後に発症する細菌性肺炎
3.ウイルス性肺炎と細菌性肺炎の合併
の3つの型がある.インフルエンザ後の細菌性肺炎が殆どで,その場合の
肺炎の原因菌は肺炎球菌,インフルエンザ菌,黄色ブドウ球菌が多い.
頻度:ウイルス性肺炎の確定診断が難しいため,正確な頻度は出し難い.
インフルエンザ流行時に発症する肺炎の約20%と見られているが,大流
行が見られていない最近では,重症のインフルエンザウイルス肺炎は少な
いとされている.
誘因:心,肺疾患,ことに僧帽弁狭窄症をはじめとする心疾患.妊婦,
若年者.
症状:インフルエンザ罹患後早期(約3日後)に出現する肺炎の症状.
ことに強く,進行性の呼吸困難.
診断:確定診断は難しい.インフルエンザウイルスの分離,抗原陽性,
または,血清抗体価の上昇があり,白血球増加,膿性痰や原因細菌が無く,
胸部X線写真でARDS様の陰影,コンソリデーションに乏しいすりガラス
陰影を認める場合に考慮され,臨床的に総合判定する.
鑑別:細菌性,非定型,他のウイルス性肺炎.心不全,ARDS,ウイル
ス性心筋炎など.
18 成人市中肺炎診療ガイドライン
9 ウイルス性肺炎
治療:抗インフルエンザウイルス薬.抗菌薬,免疫グロブリンを併用す
ることが多い.
予後:一般的に予後不良とされていた.抗インフルエンザウイルス薬の
使用により改善した.
インフルエンザウイルス肺炎の画像:図9-1,9-2に重症,典型例と限局例
を示す.
19成人市中肺炎診療ガイドライン
図9-1 重症で,典型的な画像を呈したインフルエンザウイルス肺炎�
図9-2 限局性のインフルエンザウイルス肺炎�
SARS:重症急性呼吸器症候群(Severe acute respiratory syndrome)病型;SARSウイルスが関与する肺炎には,1.SARSウイルスによるウイルス性肺炎,
2.SARS治療中の続発性肺炎
の2つの型が知られている.初診時は1.のSARSウイルスによるウイルス
性肺炎がほとんどである.経過が長い症例では,ステロイド使用などによ
る免疫抑制状態により,続発性細菌性肺炎が見られている.
頻度:2002年冬から2003年3月の間に中国広東省から香港,さらに世界中に流行が拡散し,医療従事者を中心に高頻度に2次感染が起こり,こ
れまで未知の新型肺炎として世界中を震撼させた.2004年は少数例の発
生は見られたものの広東省から拡大することはなかった.男性は女性の2
倍以上の罹患率.感染経路は飛沫および接触感染が主体,空気(飛沫核)
感染もある.原因ウイルスは新型コロナウイルスでSARSコロナウイルス
と命名された.1類感染症.
誘因:流行地での患者との濃厚接触.従って,医療従事者や家族,看護人の感染率が高い.N95マスクは感染予防に有用とされる.
症状:平均2~7日の潜伏期の後,急激な発熱(100%),悪寒(75%),筋肉痛(60%),乾性咳嗽(58%),めまい(42%),喀痰(30%),嘔吐,
下痢(各20%)程度の初期症状ではじまり,数日で呼吸困難,低酸素血
症,肺炎像が出現.末梢血好中球数正常,リンパ球(CD4,CD8とも)の
著減,CKの高値,ALT,AST上昇,血小板の低下などが見られる.
80%以上が1週間以内に回復,10~20%がARDS(acute respiratory dis-
tress syndrome)へ移行.
診断:国立感染症研究所あるいは地方の衛生研究所で,鼻咽頭ぬぐい液,喀痰,尿,便を材料としたRT-PCRによる遺伝子診断がまず行われる.ウ
イルス分離,血清抗体価測定(ELISA,免疫酵素法,中和抗体測定)も
行われる.
鑑別:インフルエンザをはじめとして,他のウイルス性肺炎,マイコプラズマ肺炎,クラミジア肺炎,など.
治療:SARSコロナウイルスに有効な薬剤はない.対症療法が主体.予後:若年者の死亡率は1%以下と極めて低いが,65歳以上の高齢者で
は50%以上の致死率.平均致死率は10%程度.
予防:標準予防法.予防のためのワクチンはまだない.SARSの画像:感染初期像とARDSおよび回復後の線維化像を示す.
20 成人市中肺炎診療ガイドライン
21成人市中肺炎診療ガイドライン
図9-3 SARSの胸部X線写真とCT写真�
上は重症のSARS(ARDS)�下左はSARS初期像�下右は回復期の線維化像�
(掲載許可:正本参照)�
高病原性鳥インフルエンザ肺炎(Avian influenza pneumonia)病型;鳥インフルエンザウイルスが関与する肺炎は,現時点では鳥インフルエンザウイルス(A型インフルエンザウイルス)による純粋のウイル
ス性肺炎が報告されている.
頻度:鳥インフルエンザはわが国ではまだ臨床例はないが,2004年1月から3月までの間に山口県,大分県,京都府で養鶏の大量感染が起った.
人への感染は1997年香港でH5N1による感染がみられたが,2004年は香
港,ベトナム,タイなどで人,特に小児への感染が見られた.養鶏や野鳥
の感染は広く東南アジア諸国に拡大した.オランダ,ベルギー,ドイツで
はH7N7による感染が報告された.
感染経路は病鳥との濃厚接触が知られているが,H7N7に感染した89名
中3名はヒト―ヒト感染であった.一旦肺炎を発症したものの死亡率は高
く,30~68%にのぼる.過去の鳥インフルエンザの集団発生ではA型イ
ンフルエンザのH5N1型,H5N2型,H7N1型,H7N3型,H7N7型などが
知られている.わが国の感染症法では高病原性鳥インフルエンザとして4
類感染症に分類.
誘因:流行地での病鳥やその体液あるいは患者との濃厚接触.予防ワクチンはまだない.
症状:1997年の香港,2004年のベトナム,タイのH5N1型の事例では発熱,咳などのヒトの一般的なインフルエンザと同様のものから,ARDS
に至るものまで多様.一方,2003年のオランダのH7N7では結膜炎が主な
症状で,肺炎を発症したものは死亡.
診断:ヒトのA型インフルエンザウイルスの診断に使う迅速診断キットで診断可能であるが,両者の区別はできない.ウイルスの亜型の同定は
血液中の抗体測定,ウイルス分離,遺伝子検査(感染研ではH5ウイルス
遺伝子検出のRT-PCR法を施行)が必要.
鑑別:インフルエンザをはじめとして,他のウイルス性肺炎,マイコプラズマ肺炎,クラミジア肺炎,など.
治療:ヒトのA型インフルエンザの治療に用いられている抗インフルエンザウイルス薬が効果があるとされているが,使用経験が限られている
ため,その効果の詳細は不明.
予後:一旦肺炎を発症したものの死亡率は高く,2004年の流行では30~68%にのぼる.H7N7による結膜炎の生命予後は良好.
22 成人市中肺炎診療ガイドライン
レジオネラ肺炎はブドウ糖非醗酵グラム陰性桿菌であるレジオネラによ
る肺炎であるので細菌性肺炎に属するが,グラム染色で検出されず,βラ
クタム系抗菌薬が無効であることなどから,臨床的には非定型肺炎の中に
含まれる.殆どがLegionella pneumophila血清型1によるものであり,
成人市中肺炎の約3%の原因となっていると考えられている.成人の市中
肺炎では肺炎球菌性肺炎とレジオネラ肺炎が急速に進展し,重症化する可
能性があるので,注目すべき肺炎である.
改訂前のガイドラインでは温泉旅行後や循環式風呂を使用後の肺炎の場
合レジオネラ肺炎を考えることとしており,また,非定型肺炎には含まず,
重症肺炎に含まれるとしていた.しかし,今回のガイドラインでは尿中抗
原検査を推奨し,レジオネラ肺炎を診断する方法を採っている.
レジオネラ肺炎と推定された場合の第一選択薬剤は,ニューキノロン系
薬の点滴静注である.エリスロマイシンの点滴静注とリファンピシンの併
用でも良い.軽症の場合にはマクロライド系薬,テリスロマイシン,ガチ
フロキサシン,レボフロキサシンの内服も有効である.
23成人市中肺炎診療ガイドライン
10 レジオネラ肺炎に対する考え方
図10-1 レジオネラ肺炎のX線像とCT像�
耐性菌防止対策
抗菌薬の登場により肺炎の死亡率は約20分の1に減少したとされてい
る.すなわち,抗菌薬は人類の貴重な医療資源である.この有用な医療資
源を次の世代に受け渡すことは,現在医療に従事するものの勤めである.
しかるに,多くの病原菌に耐性化が現れ,多剤耐性菌は臨床上大きな問題
を提起している.肺炎の死亡率も1980年代以降はむしろ増加してきてお
り,その原因の一つは病原菌の耐性化である.
耐性化防止のため本ガイドラインでは,次の上2項目を大きな柱としている.
1.抗菌力が強く,抗菌域の広いニューキノロン系とカルバペネム系抗
菌薬をエンピリック治療の第1選択薬としない.
2.抗菌薬は十分量を使用し,短期間使用の実行を遂行する.
3.本ガイドラインで併記した推奨薬がある場合は,記載した順に使用
することが望ましい.しかし,原則的には記載順番の後ろにあるも
のほど抗菌力は強い.
PK/PDを考慮した抗菌薬の投与法
従来の薬剤感受性を中心とした考え方に加え,体内動態と薬剤特性を考
慮した投与法が推奨されるようになってきている.
24 成人市中肺炎診療ガイドライン
11 抗菌薬使用に関する新しい考え方
表11-1 細菌学的効果を予測するための薬剤ごとのPK/PDパラメータ�
濃度依存性殺菌作用と�長い持続効果*�
AUC/MIC or�Peak/MIC
キノロン,アミノグリコシド,ケトライド�
アジスロマイシン,クラリスロマイシン,�テトラサイクリン,ストレプトグラミン�
時間依存性殺菌効果と�長い持続効果� AUC/MIC
時間依存性殺菌作用と�短い持続効果�
Time above�MIC
ペニシリン,セフェム,カルバペネム�
抗菌効果� PK/PD�パラメータ� 抗菌薬の種類�
*持続効果:PAE,sub-MIC effectなど�戸塚恭一.日本内科学会雑誌,2003;92:2189(一部変更).�
PK/PDとは,生体内で抗菌薬がどれだけ有効に利用され,また,作用
しているかを考えた概念で,PK(pharmacokinetics)とは生体内におけ
る薬物動態(吸収,分布,代謝,排泄など)のことで,PD(pharmaco-
dynamics)とは生体内における薬物の作用である.このパラメータから
抗菌薬の効果や副作用を予測しようとするものである.
時間依存性に抗菌作用を発揮するβ─ラクタム系抗菌薬はtime above
MICを超える時間をできるだけ長くすることが臨床効果に結びつき(下
図B),キノロン系やアミノ配糖体系薬など濃度依存性に効果が見られる
ものでは,1日1回投与が分割投与より有効性が期待できる(下図A).こ
のように薬剤特性に合わせた投与法を行い,有効性を期待する.
25成人市中肺炎診療ガイドライン
10
12 18 24
8
6
6
4
2
00
A 1日投与量を1回または2分割で投与した場合�
(μg/mL)�
10
12 18 24
8
6
6
4
2
00
(μg/mL)�
時間�
時間�
B 1日投与量を3分割または6分割で投与した場合��
1日2回�
1日1回�
1日6回�
1日3回�
MIC
MIC
血中濃度�
血中濃度�
図11-1 抗菌薬の投与スケジュールと血中濃度�
(戸塚恭一)
27成人市中肺炎診療ガイドライン26 成人市中肺炎診療ガイドライン
肺炎球菌性肺炎� その他の細菌性肺炎� ICU治療肺炎�
�<外来>1)�1.アモキシシリン高用
量(1.5~2.0g/日)� ペネム系経口薬��2.ペニシリン耐性肺炎
球菌が疑われる場合(65歳以上,アルコール多飲,幼児と同居,3ヵ月以内にβラクタム系抗菌薬の使用)レスピラトリーキノロン経口薬,ケトライド経口薬�
�������<入院>�ペニシリン系注射薬(常用量の2~4倍が望ましい),セフトリアキソン(CTRX),第4世代セフェム,カルバペネム系薬,バンコマイシン�
�<外来>�第13章の表に従う��������������������<入院>�第13章の表に従う�
�1群�カルバペネム系注射薬�第3,4世代セフェム+CLDM3)�モノバクタム+CLDM�グリコペプチド系+アミノ配糖体系�����2群�ニューキノロン系注射薬�テトラサイクリン系注射薬4)�マクロライド系注射薬��������1群,2群から薬剤を選択し,併用する�
12 成人市中肺炎のエンピリック治療
細菌性肺炎疑い� 非定型肺炎疑い�
1 ):外来治療であっても注射薬を選択する場合がありうる�2 ):糖尿病,腎疾患,肝疾患,心疾患など�
3 ):クリンダマイシン�4 ):ミノサイクリン�
�<外来>1)�1.基礎疾患,危険因子がない場合:βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(ペニシリン高用量)�
�2.65歳以上あるいは軽症の基礎疾患2)
がある場合:βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン±マクロライド系またはテトラサイクリン系経口薬�
�3.慢性の呼吸器疾患,最近抗菌薬を使用した,ペニシリンアレルギーのある場合:レスピラトリーキノロン経口薬�
�4.外来で注射を使用する場合(CTRX)�������<入院>�1.基礎疾患がない,あるいは若年成人:βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン注射薬,PIPC(高用量)�
�2.65歳以上あるいは軽症基礎疾患:1に加えセフェム系注射薬�
�3.慢性の呼吸器疾患がある場合:1,2に加えカルバペネム系薬,ニューキノロン系注射薬�
�<外来>1)�1.基礎疾患がない,あるいはあっても軽い,または若年成人:マクロライド系,テトラサイクリン系経口薬�
�2.65歳以上あるいは慢性の心,肺疾患がある場合:1またはレスピラトリーキノロン経口薬,ケトライド�
�������������<入院>�テトラサイクリン系,マクロライド系,またはニューキノロン系注射薬�
27成人市中肺炎診療ガイドライン26 成人市中肺炎診療ガイドライン
肺炎球菌性肺炎� その他の細菌性肺炎� ICU治療肺炎�
�<外来>1)�1.アモキシシリン高用
量(1.5~2.0g/日)� ペネム系経口薬��2.ペニシリン耐性肺炎
球菌が疑われる場合(65歳以上,アルコール多飲,幼児と同居,3ヵ月以内にβラクタム系抗菌薬の使用)レスピラトリーキノロン経口薬,ケトライド経口薬�
�������<入院>�ペニシリン系注射薬(常用量の2~4倍が望ましい),セフトリアキソン(CTRX),第4世代セフェム,カルバペネム系薬,バンコマイシン�
�<外来>�第13章の表に従う��������������������<入院>�第13章の表に従う�
�1群�カルバペネム系注射薬�第3,4世代セフェム+CLDM3)�モノバクタム+CLDM�グリコペプチド系+アミノ配糖体系�����2群�ニューキノロン系注射薬�テトラサイクリン系注射薬4)�マクロライド系注射薬��������1群,2群から薬剤を選択し,併用する�
12 成人市中肺炎のエンピリック治療
細菌性肺炎疑い� 非定型肺炎疑い�
1 ):外来治療であっても注射薬を選択する場合がありうる�2 ):糖尿病,腎疾患,肝疾患,心疾患など�
3 ):クリンダマイシン�4 ):ミノサイクリン�
�<外来>1)�1.基礎疾患,危険因子がない場合:βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(ペニシリン高用量)�
�2.65歳以上あるいは軽症の基礎疾患2)
がある場合:βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン±マクロライド系またはテトラサイクリン系経口薬�
�3.慢性の呼吸器疾患,最近抗菌薬を使用した,ペニシリンアレルギーのある場合:レスピラトリーキノロン経口薬�
�4.外来で注射を使用する場合(CTRX)�������<入院>�1.基礎疾患がない,あるいは若年成人:βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン注射薬,PIPC(高用量)�
�2.65歳以上あるいは軽症基礎疾患:1に加えセフェム系注射薬�
�3.慢性の呼吸器疾患がある場合:1,2に加えカルバペネム系薬,ニューキノロン系注射薬�
�<外来>1)�1.基礎疾患がない,あるいはあっても軽い,または若年成人:マクロライド系,テトラサイクリン系経口薬�
�2.65歳以上あるいは慢性の心,肺疾患がある場合:1またはレスピラトリーキノロン経口薬,ケトライド�
�������������<入院>�テトラサイクリン系,マクロライド系,またはニューキノロン系注射薬�
感染症の治療に当たっては,原因菌を同定し,治療に当たるのが原則で
ある.ただ,治療前における原因菌判明率は低く,肺炎においても同様で
ある.しかし,原因微生物の検査の章でも述べている如く病原微生物を迅
速に診断する方法が進歩してきているので,今後は治療前に原因微生物を
判明することが多くなると思われる.原因菌が判明した時に推奨する.主
たる抗菌薬を示した.
肺炎球菌(尿中抗原,グラム染色などの迅速診断法が有用)外来治療の場合ペニシリン系経口抗菌薬(高用量使用が望ましい1)),ペネム系経口薬レスピラトリーキノロン2)経口薬3),ケトライド3)
1)例えばアモキシシリン1.5~2.0g/日2)レスピラトリーキノロン:トスフロキサシン,スパルフロキサシン,ガチフロキサシン,モキシフロキサシン,ならびに高用量使用のレボフロキサシン
3)ペニシリン耐性肺炎球菌が疑われる場合に選択できる.例えば,65歳以上,アルコール多飲,幼児と同居しているか幼児と接触する機会が多い,過去3ヶ月以内にβラクタム系抗菌薬の投与を受けた.
入院治療の場合ペニシリン系注射薬(高用量が望ましい.常用量の2~4倍)CTRX(セフトリアキソン)第4世代セフェム注射薬カルバペネム系注射薬グリコペプチド系注射薬(バンコマイシン)
インフルエンザ菌(グラム染色による迅速診断が有用)外来治療の場合βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系経口薬第2,3世代セフェム系経口薬ニューキノロン系経口薬
入院治療の場合ピペラシリン,βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系注射薬,第2,3,4世代セフェム系注射薬ニューキノロン系注射薬
28 成人市中肺炎診療ガイドライン
13 原因菌判明時の抗菌薬の選択
クレブシエラ属(グラム染色による迅速診断が有用)外来治療の場合βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系経口薬第2,3世代セフェム系経口薬ニューキノロン系経口薬
入院治療の場合βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系注射薬第2,3,4世代セフェム系注射薬カルバペネム系ニューキノロン系注射薬(中等症以上)
黄色ブドウ球菌(グラム染色による迅速診断,MRSAの場合貪食像が定
着菌との鑑別に有用)外来治療の場合βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系経口薬
入院治療の場合βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系注射薬第1,2世代セフェム系注射薬第4世代セフェム系注射薬カルバペネム系注射薬(中等症以上)グリコペプチド系注射薬
モラクセラ・カタラーリス(グラム染色による貪喰像の確認が迅速診断に有用)外来治療の場合マクロライド系経口薬βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系経口薬,第2,3世代セフェム系経口薬
入院治療の場合βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系注射薬,第2,3世代セフェム系注射薬
レンサ球菌(グラム染色による迅速診断,貪食像の確認は常在菌との鑑別に有用)外来治療の場合ペニシリン系経口薬マクロライド系経口薬
入院治療の場合ペニシリン系注射薬
29成人市中肺炎診療ガイドライン
緑膿菌(グラム染色による迅速診断が有用)外来治療の場合ニューキノロン系経口薬 (治療開始し,その後判明した感受性に従
い,抗菌薬を選択しなおす).
入院治療の場合抗緑膿菌用ペニシリン系注射薬抗緑膿菌用第3,4世代セフェム系注射薬カルバペネム系注射薬ニューキノロン系注射薬
これらの中から感受性のある薬剤を選択する.アミノ配糖体系注射
薬の併用を考慮する.
嫌気性菌(嚥下性肺炎の場合,グラム染色による迅速診断が有用:多種菌の貪喰像を認める)外来治療の場合ペニシリン系経口薬βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系経口薬ペネム系経口薬
入院治療の場合ペニシリン系注射薬クリンダマイシン注射薬βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン注射薬カルバペネム系注射薬
レジオネラ(尿中抗原を検出する迅速診断が簡便で有用)外来治療の場合ニューキノロン系経口薬マクロライド系経口薬リファンピシン,ケトライド経口薬
レジオネラ肺炎は急激な進行がありうるので,入院治療が望ましい.
入院治療の場合ニューキノロン系注射薬マクロライド系注射薬+リファンピシン
30 成人市中肺炎診療ガイドライン
経口薬,注射薬の使用の目安:経口薬は使用が簡単であるという最大の
利点があるが,一般に高い濃度が得られず,バイオアベイラビリティーの
差が大きく,また,服用できない場合がある.注射薬(一般に点滴静注)
は早期に,確実な濃度が得られるが,使用は頬雑.経口薬,注射薬の使用
の目安を以下に示した.もちろん,患者背景により使用の適応は決定され,
最終的には治療する医師の判断による.
経口薬使用の目安:軽症,中等症の肺炎で,食事摂取が可能な場合.
注射薬使用の目安:重症,超重症の肺炎,あるいは中等症の肺炎で食
事摂取が不可能な場合.
現在,注射用抗菌薬を使用する際の従来の皮内反応は中止された.その
代わりに,事前に既往歴などについて十分な問診を行い,カルテに記載す
ることが義務付けられている.従って,抗菌薬を投与する際には患者の薬
剤投与歴およびアレルギー歴に関して問診を十分に行うべきである.また,
日本化学療法学会皮膚反応特別部会が“抗菌薬投与に関連するアナフィラ
キシーショック対策について”を発表している.内容は1.抗菌薬静脈投
与の際の重要な基本的注意事項,2.アナフィラキシーショックの発現予
防のために行わなければならないこと,3.投与時の観察,4.ショック等
の発生に必要な薬剤例,5.ショックの症状と程度,6.救急処置の具体例,
からなっている.ここでは,3の投与時の観察を引用する.
投与時の観察
1.投与開始後は注意深く観察する(特に投与開始直後)
2.下記の症状が現れたら,速やかに投与を中止し,適切な処置を行う
即時型アレルギー反応を疑わせる症状
①注射局所の反応:皮膚発赤,膨疹,疼痛,掻痒感
②全身反応:しびれ感,熱感,頭痛,眩暈,耳鳴り,不安,頻脈,
血圧低下,不快感,口中・咽喉頭異常感,口渇,咳嗽,
喘鳴,腹部蠕動,発汗,悪寒,発疹
31成人市中肺炎診療ガイドライン
14 経口薬,注射薬使用の目安
高齢者の肺炎においても,抗菌薬による化学療法が治療の基本である.
高齢者の場合,加齢によって薬物動態が変化するので十分な配慮が必要で
ある.また,高齢者の肺炎では全身管理(脱水の補正,栄養状態の改善,
O2療法,気道分泌物処理など)を必要とする場合が多くなる.
抗菌薬の選択
原因となる病原微生物は原則的に成人と同様であるので,使用する抗菌
薬の種類は変わらないが,抗菌薬の副作用に慎重でなければならない(こ
とに腎毒性のある薬剤の場合)
抗菌薬の投与経路
経 口 投 与:吸収性は保たれているが,吸収パターンに差がある.
最高血中濃度(C max)は成人と変わらない.
尿中排泄率の低下があり,血中濃度半減期(T1/2)は延長
する.したがって,血中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)
が増大する.
静脈内投与:高齢者は潜在的腎機能低下を有しており,T1/2が延長する.
尿中排泄率は低い.
肝排泄型の薬剤では腎排泄型に比べ,T1/2の延長は軽度で
ある.
筋肉内投与:注射局所からの吸収の低下により,C maxが成人に比べ
低下する.
T1/2は延長する.
抗菌薬の投与量
経 口 薬:一般的に常用量の使用が可能である.
注 射 薬:高齢者では一般的に体重が小さく,潜在的に腎機能が低下
しているので,1回投与量は成人投与量の50~70%が基
準である.
32 成人市中肺炎診療ガイドライン
15 高齢者における抗菌薬療法の注意点
抗菌薬の投与間隔
経 口 投 与:経口薬の体内動態から,1日2回投与を基本とし,T1/2の長
い薬剤では1日1回投与も可能である.
静脈内投与:クレアチニン クリアランス(Ccr)の低下に応じて投与
間隔を延ばす必要がある.80歳以上の高齢者においては
T1/2の短いものでは1日2回投与が基本で,T1/2の長いセフ
ェム系薬では1日1回投与とする.
投 与 時 間:
基本的には成人の場合と同様である.点滴投与による就床時間を短縮し,
ADLを低下させない配慮が必要である.
副作用
副作用の種類は成人と変わらないが,気付かれ難いこと,重症化しやす
いこと,などに注意する.
33成人市中肺炎診療ガイドライン
図15-1 高齢者における抗菌薬(注射剤)の投与方法(模式図)�
(成人)�
(高齢者)�
1回投与量を減らし,投与間隔を延ばす�
抗菌薬による化学療法が肺炎治療の基本である.それに併用する可能性
のある薬剤として,副腎皮質ホルモン(以下ステロイド)と,免疫グロブ
リン,G-CSFなどがある.
漢方薬については今回は触れていない.
肺炎治療におけるステロイドの役割として,
1.解熱および全身状態の改善,
2.ガス交換能の改善,
3.線維化抑制,
4.抗ショック作用,
5.過剰なサイトカインの産生抑制,
などの作用が期待される.
ステロイドの使用量,使用期間,種類などに関しての一定の見解はない.
ただし,ニューモシスチス肺炎での有効性は立証されており,ニューモシ
スチス肺炎に対する使用は
day 1 ~ 5 :1mg/kg/日, 分2
day 6 ~10:0.5mg/kg/日, 分1
day 11~21:0.25mg/kg/日,分1
の投与が推奨されているので,一つの参考となる.
免疫グロブリンの役割として,
1.免疫グロブリン低下による液性免疫不全の改善,
2.ウイルス中和作用,
3.オプソニン作用による好中球の貪食能亢進,
などの作用が期待される.
34 成人市中肺炎診療ガイドライン
16 ステロイド,免疫グロブリンなどの使用法
免疫グロブリンの使用量,使用期間は,5g/回,1日1回,3日間まで.
G-CSFの役割として,
1.好中球数の増加,
2.好中球活性化,貪食殺菌能亢進,
などの作用が期待される.
35成人市中肺炎診療ガイドライン
I : 細胞外増殖菌による細菌性肺炎の場合� ステロイド;抗炎症作用により,重症肺炎に対する有効性が期待される*.� 免疫グロブリン;オプソニン化による重症肺炎への有効性の期待� G-CSF;好中球減少時(500/μL以下)に適応��II : 細胞内増殖菌による細菌性肺炎の場合� ステロイド;抗炎症作用によるガス交換能の改善を期待� 免疫グロブリン;有効性は期待できない��III : マイコプラズマ,クラミジア肺炎の場合� ステロイド;重症例で有効性を期待� 免疫グロブリン;有効性は期待できない��IV: ウイルス性肺炎の場合� ステロイド;重症例に対し短期間使用� 免疫グロブリン;重症例に有効性を期待.ただし,サイトメガロウイルス肺
炎では有効性が証明されている.�
表16-1 各種肺炎に対するステロイド,免疫グロブリン,G-CSFの使用�
*:細菌性肺炎にステロイドを使用する場合の注意点� 1.推定原因菌に有効な抗菌薬が使用されていること� 2.肺炎発症4日以内に使用開始のこと� 3.PaO2 60Torr以下の場合� 4.7日間以内の使用に限ること�
抗菌化学療法を施行しても肺炎患者の転帰は,宿主とそれを取り巻く環
境に大きく左右される.患者の全身状態を的確に把握し,感染防御に悪影
響を及ぼす要因を,適切且つ迅速に改善することが重要である.一般療法
とは肺炎患者の治癒促進を目的に行う全身管理である.
安静,保温
肺炎は致死的疾患である.したがって,安静を保って治療に専念する必
要がある.安静には感染対策の一つとして,患者隔離を意味する場合もあ
る.
寒冷,高温を避けることも必要である.ただし,病態が安定した後は安
静や入浴禁止を速やかに解除する.
栄養管理
低栄養状態は感染防御低下の大きな原因の一つであるから,栄養管理は
重要な補助療法である.
経口摂取による栄養補給に努めるべきであるが,不可能な場合には静脈
栄養,経腸栄養などを早めに考慮する.
水,電解質管理(輸液)
脱水の場合;速やかに水分,電解質を補給する.
維持輸液;必要な水分,電解質を均等に(同じ濃度で)補給する.
電解質補正;電解質量を計算し,時間をかけて均等に(同じ濃度で)輸
液する.
呼吸,循環管理
重症例では動脈血ガス分析(BGA),SpO2, ECGなどの検査を行い,
ICU管理例では呼吸,循環モニターが必要である.
低酸素血症が認められる場合には,O2投与,挿管,去痰,人工呼吸を
36 成人市中肺炎診療ガイドライン
17 肺炎の一般療法
考慮する.
感染源対策
患者隔離,清潔保持の必要性を検討する.
医療従事者の標準予防策,飛沫感染の予防対策を検討する.
基礎疾患の改善
基礎疾患の改善は肺炎治療に不可欠である.ただし,基礎疾患改善は困
難な場合が多い.
37成人市中肺炎診療ガイドライン
+�
適正な抗菌化学療法�
図17-1 肺炎の一般療法�
環境�
安静�保温�
脱水�
輸液�
低アルブミン�血症�
栄養管理�(経口,経静脈)�
低酸素血症�
呼吸管理�
感染対策� 基礎疾患�合併症�
診断�治療�
スタンダード�プレコーション�感染経路別�対策�
抗菌薬の使用開始時期
診断後速やかに抗菌薬を使用する.嘗ては受診後8時間以内の使用開始
が求められていた.最近は4時間以内の使用開始が奨められている.
治療効果の判定時期と主な判定事項(図18を参照)
1.3日後(重症例は2日)の判定;初期抗菌薬の有効性の評価
2.7日以内の判定;有効性の評価や終了時期の決定
3.14日以内の判定;終了時期や薬剤変更の決定
抗菌薬投与終了時期の目安
1.感染防御機能が正常と考えられる場合(明らかな基礎疾患が無い場
合);下記効果判定基準4項目中3項目以上を満たした場合
2.感染防御機能が冒されていると思われる場合(基礎疾患がある場
合);下記判定基準4項目中3項目以上を満たした4日後
効果判定の指標と基準*
1.解熱(目安;37℃以下)
2.白血球増加の改善(目安;正常化)
3.CRPの改善(目安;最高値の30%以下へ低下)
4.胸部X線陰影の明らかな改善*:抗菌薬終了時期の目安を示したが,委員の中にはこれに反対の
人もいた.その大きな理由は,抗菌薬の短期使用に役立たない
ということであった.また,CRPの有用性について反対があった.
耐性菌抑制のために,「抗菌薬はできるだけ短期間の使用にとど
める」ことを此処に示すことで,目安を記載する了承を得た.
点滴静注から経口投与への切り替え時期
入院患者において注射薬から経口薬へのスイッチが必要か,有用か,に
ついては未だ問題がある.米国感染症学会のガイドライン(2003)では以
下の状態になった場合に,経口薬に変更できるとしている.
1)臨床的改善,2)薬物摂取が可能,3)血行動態が安定,4)胃腸管が
機能
38 成人市中肺炎診療ガイドライン
18 治療開始時期,治療効果判定,治療終了時期,退院時期の目安
退院時期の目安
一般的には抗菌薬を終了した時期と考えて良い.基礎疾患のない患者で
は,注射薬を内服薬に変更して,早めに退院させることも考えうる.
米国感染症学会のガイドライン(2003)では,1)解熱していない(米国
では37.8℃以上),2)脈拍数100/分以上,3)呼吸数24/分以上,4)収縮
期血圧90mmHg以下,5)酸素飽和度90%以下,6)経口投与不可能,の
うちの,2つ以上が残っている場合には退院できないとしている.
39成人市中肺炎診療ガイドライン
図18 抗菌薬効果判定のフローチャート(第IX章)�
3日後�(重症例では2日後)�
7日後以内�
14日後以内�
終了7日後�
抗菌薬投与開始�
発熱�症状�白血球�
改善�傾向�
改善�傾向�
発熱�症状�白血球�
改善�なし�
発熱,症状;消失�白血球;正常化�CRP;改善�XP:著明改善�
発熱,症状�白血球�CRP,�XP
発熱,症状�白血球�CRP,�XP
発熱,症状�白血球�CRP,�XP
発熱,症状�白血球�CRP,�XP
残存�または�悪化�
残存�または�悪化�
薬剤選択�
治療終了�
治療終了�
治療継続� 抗菌薬変更�
抗菌薬変更�
抗菌薬変更�
消失�または�改善�
再発の観察�
治療続行�
41成人市中肺炎診療ガイドライン40 成人市中肺炎診療ガイドライン
① マイコプラズマ�② クラミジア(クラミドフィラ)***�③ レジオネラ***�④ Q熱コクシエラ�⑤ かぜ(インフルエンザなど)�⑥ 抗酸菌(結核菌・非結核性抗酸菌)�⑦ 真菌�⑧ ニューモシスチス�⑨ サイトメガロウイルス�
これらのいずれの病原微生物に対しても治療薬剤が存在しており,診断と治療薬剤選択が確実であれば臨床的に有効性が期待出来る�ただし,診断方法や診断基準が未確立の病原体も多い(Q熱など)�分類上は細菌に含まれる�
効果判定�時期の問題�
2-b-②-4)�
薬剤側の要因�
2-b-②-3)�
宿主側の要因�
移行性の問 題�
投与量・回数など�
合併症や基礎疾患�
物理的な要 因�
抗菌力の発現阻害�
耐性化の強い菌種�
β-ラクタム薬は炎症極期には肺組織移行率は高いものの,炎症極期以外には移行が低率となる�
肺炎の改善は概ね,体温→白血球数→CRP→X線陰影→赤沈値の順に改善,通常3日,7日後に判定�
投与した薬剤の抗菌適応が原因菌に対して認められないことが判明した場合には,最も適合した抗菌薬に変更する�
治療に必要な血中濃度,肺組織内濃度が得られない場合があるが,薬剤やその剤型毎に特性は異なる�
糖尿病,心疾患,脳血管障害,腎疾患,膠原病,肝疾患,慢性呼吸器基礎疾患,肺癌,その他�
慢性呼吸器基礎疾患例の喀痰喀出遅延,膿胸合併例等の膿瘍形成,脳血管障害における誤嚥の反復など�
薬剤不活化酵素の産生(β-ラクタマーゼなど)�嫌気性菌感染などにおける膿瘍形成�
MRSA,PRSP,緑膿菌,腸内細菌(セラチアなど)�ステノトロフォモナス・マルトフィリア�
2-b-②-2)�
細菌側の要因�
2-b-②-1)�
*����
**��
***�
疾患の順序はおおむね頻度順である�しかし④以下の頻度は低く,しかも⑦や⑧は入院患者に多い�①~⑨のいずれかであることが確定したら,その治療を開始する�①~⑨のいずれも否定されたら「病原微生物」による肺炎を考える�
*�**�
***�****�
1)薬剤性肺(臓)炎 2)特発性肺線維症 3)過敏性肺(臓)炎�4)好酸球性肺炎 5)OP(器質化肺炎) 6)サルコイドーシス�7)膠原病性肺病変 8)その他�
19 抗菌薬に反応しない肺炎の対処法
初期治療が無効な肺炎様陰影�
微生物以外の要因による肺炎様陰影�
病原微生物による肺炎陰影�
1.�
2.�
細菌以外の微生物による肺炎�
細菌による�肺炎陰影�
2-a
2-b
投与薬剤の適応内菌種�
① 心不全・肺水腫�② 肺癌�③ びまん性肺疾患��④ 肺塞栓症�⑤ 肺胞蛋白症�⑥ 気管・気管支内異物�⑦ 放射線肺(臓)炎�⑧ ALI-ARDS�⑨ その他�
2-b-②�
投与薬剤の適応外菌種�
2-b-①�
鑑別(除外)診断の進め方�1→2→2-a→2-b→2-b-①→2-b-②→2-b-② -1)→2-b-② -2)→2-b-② -3)→2-b-② -4)の順に鑑別する�
肺炎の罹患率や死亡率は高齢者において顕著であるため,高齢化社会となった現在,高齢者における肺炎の予防は極めて重要である.肺炎を予防する大きな柱は,病原微生物に対する暴露対策と,宿主に対する対策である.すなわち,感染経路の遮断と,宿主の易感染性の除去ならびにワクチン接種である.
インフルエンザに対する迅速診断法や抗インフルエンザウイルス薬が開発されているが,インフルエンザワクチンによる予防が基本である.また,インフルエンザに罹患した場合に重症化する可能性の高い,65歳以上の高齢者およびハイリスクの患者(慢性呼吸器,心疾患,糖尿病,腎不全患者など)では,インフルエンザが同居家族や共同生活者に発生した場合,タミフル1日1カプセル,10日以内の予防内服を行う.
米国予防接種諮問委員会勧告によるインフルエンザ予防接種の対象(2004)1.特別接種の対象
1)合併症を起こしやすいハイリスク群・65歳以上の者
・老人施設入所者と長期療養施設入所者で,慢性疾患を有する全年齢層の者
・呼吸器系あるいは心血管系(喘息を含む)に慢性疾患を有する成人と小児
・糖尿病,腎機能不全,免疫低下状態などを有する成人と小児
・長期のアスピリン投与を受けている者(6カ月~18歳)
・妊娠中にインフルエンザシーズンを迎える妊婦
・月齢6~23カ月の乳幼児
2)50~64齢の者(ハイリスク状態を有する者が多いため)
3)ハイリスク者にインフルエンザを伝播する者
42 成人市中肺炎診療ガイドライン
マスク,手洗い,うがい�
口腔ケア,誤嚥対策,咳反射確保�
予防接種(インフルエンザ,肺炎球菌ワクチン)�
基礎疾患対策�
病原微生物�
宿主�
図20-1 成人市中肺炎の予防�
20 市中肺炎の予防
・医療施設の医師,看護師,その他の医療関係者
・老人施設と長期療養施設の従業員で患者あるいは入所者に接触する者
・ハイリスク者の生活支援施設などの従業員
・ハイリスク者の在宅ケアに従事する者
・ハイリスク者の同居家族(子供を含む)
・月齢6~23カ月の乳幼児の同居家族,および特に月齢0~5カ月の乳児を
家庭外で世話する者
2.その他の対象
・HIV感染者
・海外旅行者(特にハイリスク者)
熱帯(一年中),参加者が多くの国から集まるグループ旅行参加者(一
年中),南半球(4~9月)
・一般人
接種希望者,地域にとって必須な活動に従事するもの,学生あるいは施
設(寮など)にいる者
肺炎球菌ワクチン接種を必要とする対象者1,65歳以上の高齢者で,
①肺炎球菌ワクチン接種を受けてない,受けたかどうかはっきりしない人
②ワクチン接種歴があっても65歳以前のことで,且つ5年以上*経過してい
る人
2,2~64歳で下記の慢性疾患やリスクを有する人
①慢性心不全(うっ血性心不全,心筋症など)
②慢性呼吸器疾患(COPDなど)
③糖尿病
④アルコール中毒
⑤慢性肝疾患(肝硬変など)
⑥髄液漏
3,摘脾を受けた人,脾機能不全の人
4,養護老人ホームや長期療養施設などの居住者
5,易感染性患者
HIV感染者や,白血病,ホジキン病,多発性骨髄腫,全身性の悪性腫瘍,慢
性腎不全,ネフローゼ症候群,移植,などの患者のように長期免疫療法を受
けている人
副腎皮質ステロイドの全身投与を長期間受けている人
*:日本では認められていない
43成人市中肺炎診療ガイドライン
嚥下機能障害により口腔内容物を微量誤嚥(microaspiration)すること
により,誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)が発症する.健康成人でも
就寝中に誤嚥していることがあるが,粘液線毛運動により朝には菌を排除
している.しかし,高齢者や基礎疾患がある場合には,咳反射の低下,線
毛運動の障害が強くなって誤嚥量が増大し,体液性,細胞性免疫の低下と
あいまって,誤嚥性肺炎が起こりやすい.特に大脳基底核障害を中心とす
る脳梗塞患者で誤嚥性肺炎が発症しやすい.
健常人の唾液中には約108個/mLの菌が常在しているが,口腔内が不衛
生であったり歯周病があったりすると,1011個/mLまで増加するといわれ
ている.口腔内の常在菌は嫌気性菌が主で,好気性菌は嫌気性菌の1/10
~1/100に過ぎない.したがって,誤嚥性肺炎の原因菌の検査は通常の喀
痰培養法では困難で,更に,口腔内常在菌の混入を考慮する必要がある.
原因菌の同定には経気管支吸引法や経皮的肺穿刺吸引法が優れており,重
症例やエンピリック治療無効例では試みる価値がある.
なお,誤嚥性肺炎を起こす細菌として,嫌気性菌ではPeptostreptococ-
cus属,Prevotella属,Fusobacterium属などの頻度が高い.広義の嫌気
性菌である S. milleriグループが関与することもあるが,Bacteroides
fragilisの関与は少ない.好気性菌では黄色ブドウ球菌が最も多く,クレ
ブシエラ,エンテロバクター,肺炎球菌,緑膿菌がこれに次ぐ.真菌,ノ
カルジア,放線菌,肺吸虫の頻度は極めて低い.
誤嚥性肺炎を疑わせる所見1.表21-1に示した基礎疾患や常用薬(抗精神薬,抗コリン薬,筋弛緩
薬など)の存在
2.嚥下障害を疑わせる臨床症状
食事中にむせる,咳が出る.常に喉がゴロゴロ鳴っている
唾液が飲み込めず,出している.食事に時間がかかる
痰が汚く,多い.声質の変化,など
嚥下障害の検査簡 易 検 査;飲水試験,反復唾液嚥下試験,簡易嚥下誘発試験
詳しい検査;単純X線検査,嚥下造影検査,鼻腔咽喉頭ファイバー検
査,シンチグラフィー
44 成人市中肺炎診療ガイドライン
21 誤嚥性(大量誤嚥をのぞく)肺炎の診断,治療ならびに予防
抗菌薬療法
嫌気性菌に有効な抗菌薬を使用する.
βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬,クリンダマイシン,カルバ
ペネム系抗菌薬などが推奨される.
誤嚥の予防
1.飲食の意識付け,誤嚥予防の体位保持
2.口腔ケア
3.ACE阻害薬による嚥下障害の改善
4.胃瘻造設,気管食道離断術(適応は厳格に検討)
45成人市中肺炎診療ガイドライン
1.器質的原因� ① 口腔・咽頭�
舌炎,口内炎,歯槽膿漏,扁桃炎,扁桃周囲膿瘍,咽頭炎,喉頭炎,頭頸部腫瘍�
② 食道�食道炎,食道潰瘍,食道蛇行,変形,狭窄,食道腫瘍,食道裂孔ヘルニア,頚椎による圧迫�
�2.機能的原因� ① 咽頭� 脳血管障害,頭部外傷,脳腫瘍,脳膿瘍,脳炎,髄膜炎� 錐体外路疾患(パーキンソン病,進行性核上性麻痺など)� 脊髄小脳変性症� 運動ニューロン疾患(筋萎縮性側索硬化症,進行性球脊髄性筋萎縮症など)� 多発性硬化症� 末梢神経疾患(ギラン・バレー症候群,糖尿病性末梢神経炎など)� 筋疾患(筋ジストロフィー,多発性筋炎など)� 神経筋接合部の異常(重症筋無力症)� 加齢に伴う変化� ② 食道� 食道アカラジア� 筋炎,強皮症,SLE� 胃食道逆流�
表21-1 摂食障害,嚥下障害の原因�
47成人市中肺炎診療ガイドライン46 成人市中肺炎診療ガイドライン
欠点長所
・抗菌スペクトルは狭い.・β ラクタマーゼに加水分解されやすく,ペニシリナーゼで加水分解されやすい.
・腸管からの吸収が悪く,経口薬では低い血中濃度しか得られない.
・グラム陽性球菌に有効である.
・β ラクタマーゼに加水分解されやすく,ぺニシリナーゼで加水分解されやすい.
・BLNARが増加しており,ABPC耐性インフルエンザ菌が問題視されている.
・肺炎球菌に対して治療効果を上昇させるためには高用量が必要である.
・経口抗菌薬の中では,ABPCやAMPCが肺炎球菌に適した経口抗菌薬である.・高用量(1.5 ~ 2g)AMPCは PRSPにも有効である.
・感受性は優れているが,菌は分裂増殖が抑制されて長いフィラメントを形成する分,殺菌性に乏しい.
・広域ペニシリンよりもスペクトルをグラム陰性菌に拡大し,緑膿菌にも優れた抗菌活性を示す.
・セフェム系薬を分解するβ ラクタマーゼ(セファロスポリナーゼ)を産生するグラム陰性桿菌に対しては有効でない.
・βラクタマーゼを産生するインフルエンザ菌やブドウ球菌に対して有効である.
・インフルエンザ菌に対して抗菌活性が弱く.緑膿菌に抗菌活性を示さない.経口薬のみで,血中濃度が上昇しにくい.
・PRSPに対して強い抗菌活性を示す.・βラクタマーゼに安定である.
22 呼吸器系抗菌薬一覧表
抗菌薬
系統分類 感受性が相関する薬剤(=感受性成績を読み替えて良い薬剤)
1回投与用量×1日投与回数商品名一般名(略号)剤
型
40万単位×2~ 4回バイシリンGベンジルペニシリンベンザチン(PCG)経
口
古典ペニシリン
ペニシリン系
40万単位×4~ 6回シンセペンフェネチシリン(PEPC)
30~ 60万単位×2~ 4回結晶ペニシリンGカリウムベンジルペニシリン(PCG)注
射
250~ 500mg× 4回ビクシリン Sアンピシリン /クロキサシリン(ABPC/MCIPC)経
口375mg× 4回コンビペニックスアンピシリン /ジクロキサ
シリン(ABPC/MDIPC)
1~ 2g× 2回ビクシリン Sアンピシリン /クロキサシリン(ABPC/MCIPC)
注射
250~ 500mg× 4~ 6回ビクシリンアンピシリン(ABPC)
経口
広域ペニシリン(エステル型を含む)
250~ 500mg× 3~ 4回バストシリンシクラシリン(ACPC)
250mg× 3~ 4回パセトシン
アモキシシリン(AMPC)サワシリン
250mg× 3~ 4回ヤマシリン塩酸タランピシリン(TAPC)
250mg× 3~ 4回バラシリン塩酸レナンピシリン(LAPC)
250mg× 3~ 4回ペングッド塩酸バカンシピリン(BAPC)
0.5 ~ 2g× 2回ビクシリンアンピシリン(ABPC)注射 1g× 2~ 4回(最大8g)ドイルアスポキシシリン(ASPC)
1~2g×2~4回(最大8g)ペントシリンピペラシリン(PIPC)注射
抗緑膿菌用ペニシリン
375mg× 2~ 3回ユナシントシル酸スルタミシリン(SBTPC)経
口 β -Lactamase阻害剤配合ペニシリン
375mg× 3~ 4回オーグメンチンクラブラン酸 /アモキシシリン(CVA /AMPC)
3g × 2回ユナシン-Sスルバクタム /アンピシリン(SBT/ABPC)
注射
1.25~ 2.5g × 2回タゾシンタゾバクタム /ピペラシリン(TAZ/PIPC)
注射
抗緑膿菌作用
150~ 300mg× 3回ファロムファロペネム(FRPM)経口ペネム系
49成人市中肺炎診療ガイドライン48 成人市中肺炎診療ガイドライン
欠点長所
・イミペネムはインフルエンザ菌に効果が弱い.・緑膿菌に対して耐性菌が年々増加の傾向にある.
・MRSAを除くグラム陽性菌,グラム陰性菌ならびに嫌気性菌にも有効で強力な抗菌活性を示す.・β ラクタマーゼに安定である.
・耐性化が進み臨床上の有用性は狭められている.
・セファロスポリナーゼに不安定である.
・グラム陽性菌,陰性菌に広い抗菌スペクトルを有する.・ペニシリナーゼに安定である.
・セファロスポリナーゼに不安定である.・ペニシリナーゼが大量に産生されるようになった大腸菌に対して効きにくくなってきている.
・広域PCに比べてペニシリナーゼ産生黄色ブドウ球菌,肺炎球菌,肺炎桿菌,大腸菌に優れた抗菌力を有する.
・グラム陽性菌に対する抗菌活性は劣っている.・第一世代に比べ腸内細菌科のグラム陽性菌に対し抗菌スペクトルを拡大している.・第一世代経口セフェム薬の多くが感受性を示さなかったインフルエンザ菌に効果を示す.
・CTM,CXMは殺菌性に乏しく,セファロスポリナーゼに不安定である.
・CMZは殺菌性に優れβ ラクタマーゼに安定であり,嫌気性菌にも抗菌力を有する.
・肺炎球菌・インフルエンザ菌に耐性菌が増加しており抗菌活性が低下してきている.
・第二世代に比べグラム陰性菌に対する抗菌活性を強化し抗菌スペクトルを拡大している.・β ラクタマーゼに安定である.・セファロスポリナーゼ型のβラクタマーゼを産生する菌にも抗菌力を有する.
・黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が劣る.・第二世代に比べグラム陰性菌に対する抗菌活性を強化し抗菌スペクトルを拡大している.・嫌気性菌に抗菌力を有する.・β ラクタマーゼに安定である.
抗菌薬
系統分類 感受性が相関する薬剤(=感受性成績を読み替えて良い薬剤)
1回投与用量×1日投与回数商品名一般名(略号)剤
型
0.5g × 2回(最大2g)チエナムイミペネム /シラスタチン(IPM/CS)
注射カルバペネム系
0.5g × 2回(最大2g)カルベニンパニペネム /ベタミプロン(PAPM/BP)
0.25~0.5g×2~3回(最大2g)メロペンメロペネム三水和物(MEPM)
0.3g × 2~ 3回(最大1.2g)オメガシンビアペネム(BIPM)
0.25×2~3回(最大1.5g)フィニバックスドリペネム(DRPM)
250~ 500mg× 3回ケフラールセファクロル(CCL)
経口
第一世代セフェム
セフェム系
250~ 500mg× 4回ケフレックスセファレキシン(CEX)
250~ 500mg× 3回サマセフセファドロキシル(CDX)
250~ 500mg× 4回アニフラジンセフラジン(CED)
250mg× 4回タイセファコールセアプロン
セファトリジン・プロピレングリコール(CFT)
1g × 2回(最大5g)セファメジンセファゾリン(CEZ)注射 0.25~ 1g× 4~ 6回コアキシンセファロチン (CET)
0.5 ~ 2g× 1~ 2回タイファロゾールセフテゾール (CTZ)
250~ 500mg× 3回オラセフセフロキシム・アキセチル(CXM-AX)経
口第二世代セフェム
100~ 400mg× 3回パンスポリン T塩酸セフォチアム・ヘキセチル(CTM-HE)
0.25 ~ 0.5g × 2~ 4回(敗血症の場合最大4g)
パンスポリン塩酸セフォチアム(CTM)
注射
ハロスポア
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)セフメタゾンセフメタゾール(CMZ)
0.75~1g×2~3回(最大6g)ジナセフセフロキシム(CXM)
50~ 200mg× 3回トミロンセフテラム・ピボキシル(CFTM-PI)
経口黄色ブド
ウ球菌および緑膿菌のいずれにも適応を有しないもの
第三世代セフェム
50~ 200mg× 2回セフスパンセフィキシム(CFIX)
200mg× 2回セフテムセフチブテン(CETB)
250~ 500mg× 2回セフィル塩酸セフェタメト・ピボキシル(CEMT-PI)
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)セフォタックス
セフォタキシム(CTX)
注射
クラフォラン
0.25~ 0.5g × 2~ 4回(最大4g)エポセリンセフチゾキシム(CZX)
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)シオマリンラタモキセフ(LMOX)
51成人市中肺炎診療ガイドライン50 成人市中肺炎診療ガイドライン
欠点長所
・黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が劣る.・第二世代に比べグラム陰性菌に対する抗菌活性を強化し抗菌スペクトルを拡大している.・嫌気性菌に抗菌力を有する.・β ラクタマーゼに安定である.
・PRSP及び BLNARが増加している状況下,これらの耐性菌に対応できるものは少ない.
・FMOXは肺炎に対する適応がない.
・グラム陰性菌に対する抗菌活性をさらに強化し抗菌スペクトルを拡大している.・β ラクタマーゼに安定である.・セファロスポリナーゼ型のβ-ラクタマーゼを産生する菌にも抗菌活性を有する.
・大腸菌や肺炎桿菌が産生する ESBL(Extended-spectrum β lactamase)に不安定である.
・第二世代に比べグラム陰性菌に対する抗菌活性を強化し,抗菌スペクトルを拡大している.・嫌気性菌に抗菌活性を有する.・βラクタマーゼに安定である.・CAZ,CFPM,CZOPは緑膿菌に対して強い抗菌活性を有する.・CPR,CZOP,CFSL はグラム陽性菌に対して抗菌活性を強化している.
・緑膿菌以外のグラム陰性桿菌に対する抗菌活性は必ずしも良好でない.
・細菌の外膜透過性がよく緑膿菌に対する抗菌活性が特異的に強い.
・CPZはジスルフィラム様作用(アンタビュース様作用)を有する.
・SBTは胆汁移行性がよくない.
・βラクタマーゼ産生菌に対してβラクタム系薬本来の抗菌活性を有する.・抗緑膿菌作用を有する.
・殺菌性に弱く狭領域の抗菌薬である.・緑膿菌に対する抗菌活性以外には目立つような抗菌活性が臨床的に認められない.
・嫌気性菌やグラム陽性菌に有効でない.
・抗菌薬を長期間投与することが必要な疾患においては,抗緑膿菌対策としての有用性がある.・菌交代現象を起こさない.
抗菌薬
系統分類 感受性が相関する薬剤(=感受性成績を読み替えて良い薬剤)
1回投与用量×1日投与回数商品名一般名(略号)剤
型
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)ベストコール塩酸セフメノキシム(CMX)
注射
黄色ブドウ球菌および緑膿菌のいずれにも適応を有しないもの
第三世代セフェム
セフェム系
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)ヤマテタンセフォテタン(CTT)
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)ケイペラゾン
セフブペラゾン(CBPZ)トミポラン
1g× 2回(最大6g)メイセリンセフミノクス(CMNX)
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)ケニセフ
セフォジジム(CDZM)ノイセフ
100~ 200mg× 3回メイアクトセフジトレン・ピボキシル(CDTR-PI)
経口黄色ブド
ウ球菌に適応を有するもの
100~ 200mg× 2回バナンセフポドキシム・プロキセチル(CPDX-PR)
100mg× 3回セフゾンセフジニル(CFDN)
100~ 150mg× 3回フロモックス塩酸セフカペン・ピボキシル(CFPN-PI)
1g× 1~ 2回(最大4g)ロセフィンセフトリアキソン(CTRX)注射 0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)フルマリンフロモキセフ(FMOX)
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)モダシンセフタジジム(CAZ)
注射
黄色ブドウ球菌および緑膿菌にも適応を有するもの(*第4世代と呼ばれるものもある)
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)サンセファール
セフピラミド(CPM)セパトレン
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)ブロアクト
硫酸セフピロム*(CPR)ケイテン
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)マキシピーム塩酸セフェピム*(CFPM)
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)ファーストシン塩酸セフォゾプラン*(CZOP)
0.25g×2~4回(最大2g)タケスリン
セフスロジン(CFS)注射抗緑膿菌用
チルマポア
0.5 ~ 1g× 2回(最大6g)セフォビッド
セフォペラゾン(CPZ)セフォペラジン
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)スルペラゾンスルバクタム /セフォペラゾン(SBT/CPZ)
注射
β -lactamase阻害剤配合セフェム
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)アザクタムアズトレオナム(AZT)注射モノバクタム系
0.5 ~ 1g× 2回(最大4g)アマスリンカルモナム(CRMN)
53成人市中肺炎診療ガイドライン52 成人市中肺炎診療ガイドライン
欠点長所
・耐性菌が増加しており,単独では使用しにくい.・グラム陽性菌,陰性菌に広い抗菌スペクトルを有し,緑膿菌,セラチアなどに対し良好な抗菌活性を示す.・抗菌活性以外に,免疫系細胞に対する過剰反応抑制や強力な化学療法に際しての腎毒性軽減などの薬理作用を有する.
・グラム陰性菌には抗菌活性を示さない.・強い腎障害及び聴覚障害がみられる.
・MRSA,PRSPを含めグラム陽性球菌に対して抗菌活性を有する.・血中濃度測定(TDM)することで適正な投与計画が立てられる.
・腎障害や聴覚障害などの重篤な副作用がある(AMK,ISP は毒性が弱い).
・緑膿菌に対する抗菌活性が弱いものもある(SM,KM,AKM,ASTMなど).・SM,KMは結核以外にはあまり使用されない.
・緑膿菌を含む広範囲のグラム陰性桿菌に対して,グラム陽性菌のうちブドウ球菌に対しても良好な抗菌活性を示す.・血中濃度測定(TDM)することで適正な投与計画が立てられる.・ピーク血中濃度は有効性の,トラフ血中濃度は安全性の指標となる.・ABKは抗MRSA作用を持つ.・β ラクタム系薬との併用で相乗効果がみられる.
抗菌薬
系統分類 感受性が相関する薬剤(=感受性成績を読み替えて良い薬剤)
1回投与用量×1日投与回数商品名一般名(略号)剤
型
1~ 2g× 2回ホスミシン Sホスホマイシン(FOM)注射ホスホマイシン系
0.5g × 4回,1g× 2回塩酸バンコマイシン塩酸バンコマイシン(VCM)注射グリコペプチド系 200~ 400mg× 1回
(初日:200~400mg× 2回)タゴシッドテイコプラニン(TEIC)
200mg× 2回フォーチミシン硫酸アストロマイシン(ASTM)注
射抗グラム陰性桿菌用
アミノ配糖体系
1g × 1回,0.5g × 2回ビスタマイシン硫酸リボスタマイシン(RSM)
100~ 200mg× 2回硫酸アミカシン
硫酸アミカシン(AMK)
注射抗緑膿菌用
ビクリン
1g× 1~ 2回硫酸
硫酸カナマイシン(KM)カナマイシン
200mg× 2~ 3回カネンドマイシン硫酸ベカナマイシン(AKM)
50mg× 2回パニマイシン硫酸ジベカシン(DKB)
90mg× 2回,60mg× 3回トブラシントブラマイシン(TOB)
60mg× 2~ 3回サガミシン硫酸ミクロノマイシン(MCR)
50mg× 2回(最大150mg)シセプチン硫酸シソマイシン(SISO)
75~ 100mg× 2回ネチリン
硫酸ネチルマイシン(NTL)ベクタシン
200mg× 2回,400mg× 1回イセパシン
硫酸イセパマイシン(ISP)エクサシン
40mg× 2~ 3回ゲンタシン硫酸ゲンタマイシン(GM)
75~ 100mg× 2回ハベカシン硫酸アルベカシン(ABK)注射抗MRSA用
55成人市中肺炎診療ガイドライン54 成人市中肺炎診療ガイドライン
欠点長所
・肺炎球菌の約80%に耐性が報告されている.・16員環は,14・15員環と比較すると非定型病原体に対して抗菌活性が劣る.
・チトクロームP450の阻害作用があり,テオフィリン等相互作用が多く,シサプリド,ピモジドとの併用は禁忌である(QT延長,心室性不整脈).
・非定型病原体に対して強い抗菌活性を示す.・β ラクタム系注射薬との併用で転帰(入院期間の短縮や死亡率の減少など)に優れている.・アジスロマイシンはチトクロームP450に影響を及ぼさず,相互作用が少ない.・14,15員環はびまん性汎細気管支炎などの難治性慢性気道感染症に対して少量長期投与が有効である.
・経口薬.成人用製剤のみである.・重症筋無力症患者には慎重投与である.・チトクロームP450の阻害作用があり,テオフィリン等相互作用が多く,シサプリド,ピモジドの併用は禁忌である.
・服薬後の車の運転などには注意する.
・ペニシリン耐性株,マクロライド耐性株を含む肺炎球菌に対して抗菌活性を示す.・非定型病原体を含め,広く呼吸器病原菌をカバーする.・マクロライド系,リンコマイシン系,ストレプトグラミンBの耐性誘導能が低い
・グラム陰性桿菌に対して抗菌活性がない.・マクロライド薬との交叉耐性が認められる.
・グラム陽性球菌,嫌気性菌,マイコプラズマに有効である.・特に,嫌気性菌には優れた抗菌活性を示す.・β ラクタム薬等との併用療法に適している.・βラクタマーゼ産生抑制,毒素産生抑制など,抗菌作用以外の作用が認められている.
・肺炎球菌に耐性株が増加している.・幼少児に対する投与は,歯牙沈着に留意する.・胎児骨内への取込みと催奇形性,変性 TCによるFanconi症候群,食道内停留による食道潰瘍に留意する.
・非定型病原体に対して強い抗菌活性を示す.
抗菌薬
系統分類 感受性が相関する薬剤(=感受性成績を読み替えて良い薬剤)
1回投与用量×1日投与回数商品名一般名(略号)剤
型
200mg× 2回クラリス
クラリスロマイシン(CAM)
経口
14員環
マクロライド系
クラリシッド
200mg× 4~ 6回エリスロシンステアリン酸エリスロマイシン(EM)
150mg× 2回ルリッドロキシスロマイシン(RXM)
300~ 500mg× 2~ 3回エリスロシンラクトビオン酸エリスロマイシン(EM)
注射
500mg× 1回(3日間)ジスロマックアジスロマイシン水和物(AZM)
経口15員環
200mg/3 回リカマイシンロキタマイシン(RKM)
経口16員環
200~ 400mg× 3~ 4回ロイコマイシンキタサマイシン(LM)
200mg× 4~ 6回アセチルスピラマイシン
アセチルスピラマイシン(SPM)
200mg×4回~400mg~3回ジョサマイシンジョサマイシン(JM)
200mg×4回~400mg~3回メデマイシンミデカマイシン(MDM)
200mg× 3回ミオカマイシン酢酸ミデカマイシン(MDM)
200mg/2 回ロイコマイシン酒石酸キタサマイシン(LM)注射
600mg×1回(5~7日間)ケテックテリスロマイシン(TEL)経口ケトライド系
0.5g × 3~ 4回リンコシン塩酸リンコマイシン(LCM)経口
リンコマイシン系150mg×4回~300mg×3回ダラシンクリンダマイシン(CLDM)
0.6g × 2~ 3回リンコシン塩酸リンコマイシン(LCM)注射 300mg× 2~ 4回
(最大2400mg)ダラシン-Sクリンダマイシン(CLDM)
150mg× 3~ 4回レダマイシン塩酸デメチルクロルテトラサイクリン(DMCTC)経
口第1群テトラサイクリン系
250mg× 4回アクロマイシンV塩酸テトラサイクリン(TC)
100mg× 1回(初日:100mg× 2回,200mg× 1回)ビブラマイシン塩酸ドキシサイクリン
(DOXY)経口
第2群 100mg × 2 回,200mg × 1 回(初回:100~ 200mg)ミノマイシン塩酸ミノサイクリン(MINO)
100mg × 2 回,200mg × 1 回(初回:100~ 200mg)ミノマイシン塩酸ミノサイクリン(MINO)注
射
57成人市中肺炎診療ガイドライン56 成人市中肺炎診療ガイドライン
欠点長所
・左記の4種類のレスピラトリーキノロン以外は肺炎球菌や非定型病原体に対して抗菌活性が弱い.
・濫用により肺炎球菌,インフルエンザ菌による耐性が増加するリスクが問題となる.
・β - ラクタム薬など他の系統の薬剤(経口薬)と比較して高価格である.
・注射適応が一部の薬剤(シプロフロキサシン,パズフロキサシン)に限られている.
・特長的な副作用がある. ① NSAIDs との併用により痙攣を誘発することがある.
②QT延長:スパルフロキサシンで報告されている.
③光毒性(光線過敏症):フレロキサシン,ロメフロキサシン,スパルフロキサシンは強い光線過敏を持つが,ガチフロキサシンは弱い.
④耐糖能異常:ガチフロキサシンでは糖尿病患者には禁忌.
⑤骨形成(関節)に対する作用のため,小児適応は一部のキノロン薬(ノルフロキサシン)に限られている.
レスピラトリーキノロンには,ガチフロキサシン,トスフロキサシン,スパルフロキサシン,レボフロキサシン(高用量)があり,以下の利点がある.・ペニシリン耐性株,マクロライド耐性株を含む肺炎球菌に強い抗菌活性を示す.・非定型病原菌を含め,広く呼吸器病原菌をカバーする.・肺炎(および慢性気道疾患の2次感染)に対し,高い臨床的有用性が確認されている.・βラクタム系薬やマクロライド系薬と比較して,同等以上の呼吸器感染菌をカバーし,転帰(入院期間の短縮や死亡率の減少など)にも優れている.・レジオネラ肺炎に対しては,静注用キノロンの効果がもっとも優れている.
・緑膿菌には無効である.・まれに血液障害,ショックなど重篤な副作用のみられることがあるので,他の抗菌薬が無効の場合,あるいは他の抗菌薬が使用できない場合のみに使用すべきであるとの警告が出されている.
・グラム陽性・陰性菌にも効力を有する広域抗菌薬であり,Pneumocystis 肺炎の治療・予防薬としても用いられている.・他の抗菌薬との交差耐性はない.・MRSAに有効である(保険適応外).
・非定型病原体に対する抗菌活性が確立されていない.
・新しい系統の薬剤のため市中肺炎におけるデータがまだ少ない(臨床効果,安全性,経済性).
・ほとんどのグラム陽性菌(VRE,MRSA,PRSPを含む)に対して抗菌活性を示す.・経口および注射用剤型が使用可能であり,静注から経口投与への切り替えが容易である.・腎障害の程度により用量調節の必要が無い.・重症の院内肺炎において,VCMよりも有意差を持って治癒率と死亡率を改善したとの報告あり.
・中心静脈カテーテルからの投与が望ましい.・重篤な肝障害のある患者には禁忌である.・Enterococcus faecalisに対する効果は弱い.
・ほとんどのグラム陽性菌(VRE,MRSA,PRSPを含む)に対して抗菌活性を示す.
・肝代謝酵素の誘導作用を有するため種々の薬剤との相互作用がみられる.特に抗HIV薬であるプロテアーゼ阻害剤の代謝を促進するため併用禁忌となっている.
・抗結核薬であるが,MRSAやレジオネラにも抗菌活性を示す.
抗菌薬
系統分類 感受性が相関する薬剤(=感受性成績を読み替えて良い薬剤)
1回投与用量×1日投与回数商品名一般名(略号)剤
型
100~ 200mg× 3~ 4回バクシダールノルフロキサシン(NFLX)
経口
ニューキノロン
100~ 200mg× 2~ 3回タリビッドオフロキサシン(OFLX)
150~ 200mg× 2~ 3回フルマークエノキサシン(ENX)
100~ 200mg× 2~ 3回シプロキサンシプロフロキサシン(CPFX)
100~ 200mg× 2~ 3回ロメバクトバレオン
塩酸ロメフロキサシン(LFLX)
150mg×2~3回(最大600mg)オゼックストスキサシン
トシル酸トスフロキサシン(TFLX)
100mg×2~3回,200mg× 2回(最大600mg)クラビットレボフロキサシン(LVFX)
100~ 150mg× 1~ 2回スパラスパルフロキサシン(SPFX)
200mg× 2回ガチフロガチフロキサシン水和物(GFLX)
200mg× 2回(最大600mg)スオードプルリフロキサシン(PUFX)
申請中モキシフロキサシン(MFLX)
300mg× 2回シプロキサンシプロフロキサシン(CPFX)注射 500mg× 2回(年齢,症状に
より300mg× 2回に減量)パシルパズクロス
メシル酸パズフロキサシン(PZFX)
960mg× 2回バクタバクトラミン
スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)
経口
スルホンアミド系(サルファ剤)
5~ 7mg/kg × 3回バクトラミンスルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)
注射
600mg× 2回ザイボックスリネゾリド(LZD)経口
オキサゾリジノン系
600mg× 2回ザイボックスリネゾリド(LZD)注射
7.5mg/kg × 3回シナシッドキヌプリスチン /ダルホプリスチン(QPR/DPR)
注射
ストレプトグラミン系
150mg× 3回リファジンリファンピシン(RFP)経口抗結核薬